IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヴェスタス ウィンド システムズ エー/エスの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】風力タービン用のナセル
(51)【国際特許分類】
   F03D 80/80 20160101AFI20240704BHJP
   F03D 80/50 20160101ALI20240704BHJP
【FI】
F03D80/80
F03D80/50
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2022529693
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(86)【国際出願番号】 DK2020050317
(87)【国際公開番号】W WO2021098928
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2023-11-02
(31)【優先権主張番号】PA201970714
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】514130633
【氏名又は名称】ヴェスタス ウィンド システムズ エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【弁理士】
【氏名又は名称】川内 英主
(74)【代理人】
【識別番号】100202119
【弁理士】
【氏名又は名称】岩附 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】バウン,トーベン ラデガード
(72)【発明者】
【氏名】デムトローダー,イェンス
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0011272(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第3276169(EP,A1)
【文献】特開2009-002274(JP,A)
【文献】特表2011-516793(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第2412970(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 9/19
F03D 80/80
F03D 80/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力タービンのタワー(3)に取り付けられるように構成され、回転軸を画定し、発電機(33)を備えるロータ支持アセンブリと、電力変換アセンブリとを収容する風力タービンのナセル(2)であって、該ナセルは、
風力タービンのタワーに接続されるように配置され、ロータ支持アセンブリを収容する主ユニットと、
第1の補助ユニットと、
第2の補助ユニットと、を備え、
前記主ユニット、前記第1の補助ユニットおよび前記第2の補助ユニットは別個のユニットであり、
前記第1の補助ユニットは第1のインターフェースにおいて前記主ユニットに組み付けられ、
前記第2の補助ユニットは第2のインターフェースにおいて前記主ユニットに組み付けられ、
前記第1の補助ユニットは、電力変換アセンブリの一部を構成する第1の作動部品を収容して、前記第2の補助ユニットに収容される対応する第2の作動部品と同一の機能を有し、前記第1の作動部品および前記第2の作動部品は、前記第1の補助ユニットおよび前記第2の補助ユニットのいずれにも収容されていない電子制御構造によって制御されるように構成されている、ナセル。
【請求項2】
前記電子制御構造は、前記主ユニット内に収容される、請求項1に記載のナセル。
【請求項3】
前記電子制御構造は、前記主ユニットの外部に収容される、請求項1に記載のナセル。
【請求項4】
前記電子制御構造は、前記第1の作動部品および前記第2の作動部品の一方または両方の独立した動作のために構成される、請求項1乃至3のいずれかに記載のナセル。
【請求項5】
前記電子制御構造から前記第1の作動部品および前記第2の作動部品への電気的接続を形成するバスバーの構造を含む、請求項2乃至4のいずれかに記載のナセル。
【請求項6】
前記バスバーは、前記主ユニットから前記第1の補助ユニット内におよび前記第2の補助ユニット内に延びている、請求項5に記載のナセル。
【請求項7】
前記第1の作動部品および前記第2の作動部品の両方は、切り替え構造に電気的に結合され、前記切り替え構造は、前記作動部品と電力グリッドとの間に配置され、前記電力グリッドに接続される、前記第1の作動部品、前記第2の作動部品、または前記第1の作動部品および前記第2の作動部品の両方、の間の選択のために構成される、請求項1乃至6のいずれかに記載のナセル。
【請求項8】
前記切り替え構造は、前記ナセルの内または前記タワーの基部に設けられる、請求項7に記載のナセル。
【請求項9】
前記第1のインターフェースおよび前記第2のインターフェースは、いずれも、対応する補助ユニットの独立した固定のために構成され、前記第1のインターフェースおよび前記第2のインターフェースは、他の補助ユニットから独立して、前記対応する補助ユニットの解放を可能にする、請求項1乃至8のいずれかに記載のナセル。
【請求項10】
前記第1の補助ユニットと前記第2の補助ユニットとは、前記回転軸によって画定される平面によって分離されている、請求項1乃至9いずれかに記載のナセル。
【請求項11】
2つの前記補助ユニットは前記主ユニットの一方の側に上下に配置され、下側および上側の補助ユニットを形成する、請求項1乃至10のいずれかに記載のナセル。
【請求項12】
前記主ユニットに取り付けられ、前記補助ユニットを地面から持ち上げて、前記補助ユニットを前記主ユニットに連結可能な位置に固定するクレーン構造を備える、請求項1乃至11のいずれかに記載のナセル。
【請求項13】
前記クレーン構造は、前記補助ユニットを水平方向に移動させることなく、垂直方向に持ち上げるように構成されている、請求項12に記載のナセル。
【請求項14】
前記第1の作動部品および前記第2の作動部品の両方が、変圧器、コンバータ、バッテリ、および電解セルからなる群から選択される、請求項1乃至13のいずれかに記載のナセル。
【請求項15】
前記ナセル内に収容された発電機を含む、請求項1乃至14のいずれかに記載のナセル。
【請求項16】
前記電子制御構造は、前記ナセルの外側に配置され、前記ナセルは、前記作動部品と前記電子制御構造との間で制御信号を通信するための通信構造を含み、前記通信構造は、前記ナセルからのケーブル接続を含む、請求項1乃至15のいずれかに記載のナセル。
【請求項17】
タワーと、請求項1乃至16のいずれかに記載のナセルと、を備える風力タービン。
【請求項18】
前記ナセルの外側に配置された発電機を備える、請求項17に記載の風力タービン。
【請求項19】
前記電子制御構造は、前記タワー内に収容される、請求項17または18に記載の風力タービン。
【請求項20】
電力変換アセンブリの一部を形成する作動部品における動作不良の間、請求項1乃至16のいずれかに記載のナセルを有する風力タービン、または請求項16乃至18の何れかに記載の風力タービンを作動させる方法であって、
動作不良の作動部品を特定することと、
該動作不良の作動部品を収容する補助ユニットを特定することと、
該動作不良の作動部品を風力タービンから取り外すことと、
該動作不良の作動部品を収容している特定された補助ユニットを取り外すことと、
交換用の作動部品を収容する代替の補助ユニットを接続することと、
交換用の作動部品を風力タービンに接続することと、を含む方法。
【請求項21】
前記交換用の作動部品を収容する前記代替の補助ユニットが前記風力タービンに接続されるまで、前記動作不良の作動部品の機能と同一の機能を有する前記作動部品を使用して前記風力タービンの作動を継続すること、を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記動作不良の作動部品、前記動作不良の作動部品の機能と同一の機能を有する作動部品、および前記交換用の作動部品を、同一の電子制御構造を使用して制御することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
全ての作動部品が、前記第1の補助ユニットおよび前記第2の補助ユニットの外側の位置から制御される、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、風力タービン用のナセルに関するものであり、該ナセルは、メインユニットと、該メインユニットに取り付けられた2つの補助ユニットとを含む。本開示のナセルは、大型風力タービンでの使用に特に適している。本開示はさらに、このようなナセルを備える風力タービンを運転する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
風力タービンは、風力タービンの個々の部品の物理的寸法だけでなく、公称出力に関してもサイズが増大する。したがって、必要な風力タービン部品を収容するために、ナセルのサイズも大きくしなければならない。風力タービンは通常、個々の部品の製造場所から風力タービンが設置される運転場所まで輸送される。
【発明の概要】
【0003】
本開示の実施形態の目的は、さらなるモジュール性、設計および製造の容易さを促進し、風力タービンのメンテナンススケジュールの改善を可能にすることである。
【0004】
本開示の実施形態のさらなる目的は、通常の輸送手段を用いて輸送可能なナセルを提供し、該ナセルの可能なサイズを制限することなく、輸送および取扱コストを低減し、非常に迅速かつ効率的なメンテナンスおよび修理を可能にする風力タービンを提供することである。
【0005】
これらおよび他の目的によれば、本開示は、風力タービンタワーに取り付けられ、回転軸を画定するロータ支持アセンブリを支持するように構成された風力タービンナセルを提供し、このナセルは、
風力タービンタワーに接続されるように配置され、ロータ支持アセンブリを収容する主ユニット、
第1の補助ユニット、および
第2の補助ユニット、を備え、
主ユニット、第1の補助ユニット、および第2の補助ユニットは、個別のユニットであり、
第1の補助ユニットは、第1のインターフェースにおいて主ユニットに組付けられ、
第2の補助ユニットは、第2のインターフェースにおいて主ユニットに組付けられ、
第1の補助ユニットは、電力変換アセンブリの一部を構成して、第2の補助ユニットに収容されて対応する第2の作動部品と同様の機能を有する第1の作動部品を収容する。
【0006】
2つの補助ユニットは同一に機能する作動部品を含むため、個々の作動部品のサイズを小さくすることができる。これは、風力タービンのアセンブリ中の利点であり、典型的には、風力タービンの運転中の利点である。
【0007】
同一に機能する構成要素により、ナセルは冗長な動作を可能にすることができ、第1および第2の作動部品のうちの1つが故障した場合、故障した作動部品が交換される間、第1および第2の作動部品のうちの他の1つが取って代わることができる。さらに、故障した作動部品が収容されている補助ユニット全体を交換することにより、故障した作動部品の交換を効率的に行うことができる。これにより、ダウンタイムを短縮して風力タービンを効率的に運転し、効率的なメンテナンスと修理とを行うことができる。
【0008】
電子制御構造は、両方の作動部品を制御するように構成されてもよい。該電子制御構造は、例えば、第1および第2の作動部品の一方または両方の独立した動作のためにそれぞれ構成された冗長制御ユニットを含むことができる。
【0009】
特に、電子制御構造は、第1の補助ユニットの外側、および第2の補助ユニットの外側に収容されていてもよい。これにより、補助ユニットの一方または両方を容易に交換することができ、特に、他の補助ユニットが動作している間に補助ユニットの一方を交換することができ、その逆も可能となる。
【0010】
電子制御構造は、例えば、風力タービンタワーの基部に配置されてもよく、またはメインユニットに配置されてもよく、または別個の補助ユニットに収容されてもよい。
【0011】
少なくとも1つの作動部品は、コンバータ、変圧器、電解セルスタック、および/またはバッテリによって構成されてもよい。具体的には、これらの風力タービン作動部品は、摩耗および劣化を受ける可能性があり、修理または交換が、風力タービンの寿命の間に必要とされ得る。
【0012】
主ユニットおよび補助ユニットは、別々に輸送され、1つ以上の他のユニットに組み付けられてナセルを形成することができる。補助ユニットおよび主ユニットの各々は、輸送貨物コンテナのサイズおよび/または形状を有することができる。これにより、各ユニットは、取り扱い、輸送、保管に関する貨物コンテナの利点を継承する。例えば、輸送用の貨物コンテナは、大量輸送に比べて低コストで、船、列車、トラックなどで世界中どこでも扱うことができる。コスト削減は、ユニットを構成する貨物コンテナを輸送することによってさらに顕著になる。輸送用の貨物コンテナは、インターモーダルコンテナ、標準貨物コンテナ、ボックスコンテナ、海上貨物コンテナ、またはISOコンテナを指し、一般的には、大陸間交通のためのグローバルなコンテナ化インターモーダル貨物輸送システムで材料および製品を保管および移動するために使用されるコンテナを指す。輸送貨物コンテナは、シリーズ1の貨物コンテナについてはISO 668:2013のISO規格の寸法および構造仕様に従うことができる。
【0013】
一実施形態では、ナセルは、シリーズ1の貨物コンテナのためのISO 668:2013のISO規格における寸法および構造仕様に従った1つの貨物コンテナの半分の大きさをそれぞれ有する2つの補助ユニットを備え、コンテナの2つの半分の部分が輸送中に1つのコンテナに組み付けられ、例えば主ユニットの反対側に配置されるように2つの補助ユニットに分割されるように配置される。コンテナは、特に、該コンテナの長手方向に延びるインターフェースで分割されてもよい。
【0014】
主ユニットは、風力タービンタワーに取り付けるように構成されており、これは、ナセルが主ユニットを介して風力タービンタワーによって運ばれることを意味する。これは、中間タワー構造を介して直接または間接的に行うことができる。風力タービンが伝統的な水平軸型である場合、ナセルは、典型的には、タワー頂部とナセルとの間の直接ヨーイング構成物によって運ばれる。しかしながら、本開示は、複数のナセルが、再びタワーによって運ばれる横方向ビーム構造によって運ばれるような種類の多重ロータ風力タービンにも関連し得る。
【0015】
本開示は、風上風力タービンまたは風下風力タービンに関するものであってもよい。
【0016】
主ユニットは、ナセルを塔に接続する部分であり、直接的に、または中間塔構造体または構造体を介して間接的に接続される。主ユニットは、特にナセルの中央部であってもよく、少なくともロータシャフトの一部のような駆動系の一部を収容する。
【0017】
風力タービンは、典型的にはナセルの外側に配置された発電機を備えた直接駆動風力タービンであってもよく、または風力タービンは、例えば主ユニット内に配置された発電機を備えたものであってもよい。主ユニットは、ロータ軸を介してロータを支持する。
【0018】
主ユニットは、風力タービンのタイプに応じて、例えば、潤滑、冷却、および制御目的のための、ギヤボックス、軸受システム、および異なる種類の周辺機器等のさらなる部品を含むことができる。主ユニットは、駆動系とタワーまたは中間タワー構造体とを、例えばヨーイング構成物を介して接続する主フレームを特に含むことができる。主フレームは、特に鋳造部品であってもよい。
【0019】
主フレームは、ヨーイング構成物を介してタワーに対して回転可能であってもよい。これは、ヨーイング構成物を介して主フレームをタワーに接続することによって、または個々のナセル構造の少なくとも2つの主フレームを、ヨーイング構成物を介してタワーに再び接続される中間タワー構造を介してタワーに接続することによって促進することができる。
【0020】
電力変換アセンブリは、発電機からの電力を所望のエネルギー形態に変換する。電力変換アセンブリは、例えばACまたはDCで電力を供給するように、または発電機からの電力を他の形態のエネルギー、例えば水素、アンモニアまたはメタノールに変換するように構成することができる。
【0021】
電気エネルギーの場合、電力変換アセンブリは、発電機を例えば外部電力網に接続するように構成することができる。この場合、電力変換アセンブリは、例えば、コンバータ、変圧器、スイッチギヤで構成することができる。このような構成要素は、電力変換アセンブリに含まれていてもよい。
【0022】
発電機は、一例として、非同期型のまたは同期型の発電機、例えば非同期型のまたは同期型の発電機であってもよく、コンバータの電圧は、発電機電圧と同じ範囲であってもよく、これは、ステータ電圧と呼ばれることもある。
【0023】
発電機は、別の例では、二重給電誘導発電機(DFIG)であってもよい。この場合、コンバータの電圧は発電機の固定子の電圧と異なることがある。コンバータは発電機ロータに接続されており、通常、ステータ電圧と比較して同じ電圧または低い電圧とされる。
【0024】
低い電圧としては、例えば、1000Vまでの電圧が想定される。中程度の電圧としては、1kVから約60kVの電圧が想定される。発電機電圧は、低い電圧または中程度の電圧とすることができる。
【0025】
水素、アンモニアまたはメタノールを生成するように構成された風力タービンにおいて、電力変換アセンブリは、発電機からの電力に基づいて物質を生成するように構成された電解セルを含むことができる。
【0026】
他の実施形態では、風力タービンはエネルギーを貯蔵することができ、電力変換アセンブリはバッテリを含むことができる。
【0027】
したがって、作動部品は、電解セルスタック、コンバータおよび/または変圧器、またはバッテリなどによって構成することができ、このような部品は、2つの個別の補助ユニットに適切に収容することができ、それによって、個別の補助ユニットにおける作動部品間の共用動作によって容量の増加を容易にすることができる。
【0028】
したがって、作動部品は、電解セルスタック、コンバータおよび/または変圧器、またはバッテリなどによって構成することができる。このような部品は、2つの個別の補助ユニットに適切に収容することができ、それによって、個別の補助ユニットにおける作動部品間の共用動作によって容量の増加を促進することができる。
【0029】
第1の作動部品および第2の作動部品は、ナセルから接合部まで同一の作動部品ごとに1本のケーブルによって個別にケーブル接続されてもよい。接合部は、ナセル内にあってもよく、ナセルの直下、例えば、顎構成部の直下にあってもよく、タワーの基部にあってもよく、またはタワーの基部とナセルとの間の任意の場所にあってもよい。それは、風力タービンから離れ、複数の風力タービンをカバーする接合部であってもよく、複数の風力タービンの各々は、同一に機能する各作動部品に対して1本のケーブルで接合部に接続される。したがって、各ケーブルは、作動部品からの合成出力を伝導するケーブルと比較して、低い電力定格を有することができる。さらに、冗長動作と、2つの可能な作動部品のうち1つのみを利用する能力とは、接合部までの全経路で利用することができる。
【0030】
電子制御構造は、例えば、変圧器、コンバータ、冷却システム、または補助ユニットに含まれる他のシステムのためのコントローラを構成することができる。
【0031】
一例では、電子制御構造は、コンバータ用であり、例えば、PMSM(永久磁石同期機)発電機と、風力タービンのAC出力をDC電圧に変換する能動整流器とを備える。整流器から出力された結果のDC電圧は、単一の二次巻線を有するモノリシック変圧器を介してAC/DCコンバータに結合されたフルブリッジインバータ(DC/ACコンバータ)に供給される。AC/DCコンバータは、直列共振タンク(LC回路)、整流器および出力フィルタから構成される。電子制御構造はDC/ACコンバータを駆動し、特にパルス幅変調(PWM)信号を用いてDC/ACコンバータのトランジスタスイッチを制御する。コントローラは、出力電圧Voおよび整流電流[Ir]を示すAC/DCコンバータからの信号と、入力電圧Vgおよび入力直流電流を示すDC/ACコンバータからの入力とを入力として受け取る。コントローラは、受信信号に基づいて、トランジスタスイッチの適切なスイッチング周波数および/または位相シフトを決定する。
【0032】
別の例では、電子制御構造は、風力タービンの全体動作を制御するためのコントローラである。
【0033】
バスバー構造は、電子制御構造から第1および第2の作動部品への電気的接続を形成することができる。バスバーは、主ユニットから第1および第2の補助ユニット内に、例えば、主ユニットおよび補助ユニットの側壁の開口を通って延びてもよい。バスバー構造は、主ユニット内のバスバーと補助ユニット内のバスバーとを接続する1組の可撓性バスバーコネクタを含むことができる。
【0034】
電子制御構造は、代替的に、または追加的に、作動部品と、風力タービンから電力を受ける外部電力グリッドとの間に配置されたスイッチギヤに実装されてもよい。スイッチギヤは、特に、同じように機能する作動部品の1つをグリッドに接触するように接続するか、またはグリッドと接触しないように接続するように構成することができる。したがって、0個、1個または2個の変圧器、コンバータ、および/またはバッテリをグリッドに接続し、風力タービンからの電力出力を提供することができる。
【0035】
したがって、この電子制御構造は、風力タービンの性能を低下させるかまたはアップグレードするために、および選択された誤動作する作動部品を交換するために使用することができ、その結果、同じように機能する作動部品が動作している間にそれらを交換することができる。
【0036】
第1および第2の作動部品の一方または両方の独立した作動を切り替えるための遠隔操作可能な制御は、例えば外部のコントロールセンターからの移動を可能にしてもよく、2つの同一に機能する作動部品のうちの1つに異常がある場合には、操作の継続を可能にしてもよい。
【0037】
スイッチギヤは、有利には、風力タービンタワーの基部に配置することができる。
【0038】
主ユニットおよび補助ユニットは、第1および第2のインターフェースを介して組み立てられる。インターフェースは、主ユニットが塔頂部に組み立てられた後に、補助ユニットを主ユニットから解放することを可能にするのに特に適している。これにより、補助ユニット全体を交換することにより、動作不良の作動部品を迅速かつ効率的に交換するためにインターフェースを使用することができる。この目的のために、各インターフェースは、主ユニット上および補助ユニット上に相互に連動する構造的特徴を含むことができる。このような相互に連動する特徴の例は、主ユニットおよび補助ユニットの一方の突出部と、主ユニットおよび補助ユニットの他方の凹みまたは穴とすることができ、インターフェースは、主ユニットおよび補助ユニットの取り外し可能な接合を可能にするボルト式インターフェースとすることができ、または補助ユニットは、サービス、作動部品の交換または地上とナセルとの間の作動部品および人員の輸送のために、補助ユニットを地上に降ろすことができるケーブルによって、主ユニット上の所定の位置に保持することができる。一実施形態では、インターフェースは、補助ユニットが主ユニットの近くに降下されたときに、補助ユニットが主ユニットによって受け取られるように構成される。このようなインターフェースは、フック、または、主ユニットおよび補助ユニットの少なくとも一方に設けられた上方および外方に突出する脚によって構成することができる。
【0039】
第1のインターフェースおよび第2のインターフェースは、対応する補助ユニットの独立した固定のために構成されてもよく、それらの両方は、他の補助ユニットから独立してその補助ユニットの解放を可能にしてもよい。これにより、一方の補助ユニットおよびその中に収容された作動部品を、他方の補助ユニットおよびその中に収容された作動部品を取り外すことなく交換することができる。
【0040】
2つの補助ユニットは、主ユニットの両側に配置することができる。この実施形態では、2つの補助ユニットは、回転軸が延びる垂直面、すなわちロータシャフトを通る垂直面の両側にあって、したがって、これによって分離されていてもよい。このような平面は、回転軸および回転軸の垂直上方の点によって決定される。
【0041】
2つの補助ユニットは、主ユニットの一方の側に互いに上方に配置されてもよく、または、互いに上方に2つのユニットが主ユニットの両側に配置されてもよい。この場合、2つの補助ユニットは、例えば、回転軸が延びる水平面の両側にあってもよい。
【0042】
一実施形態では、変圧器およびコンバータの両方が、第1および第2の補助ユニットの両方に収容される。別の実施形態では、変圧器およびバッテリは、第1および第2の補助ユニットの両方に収容される。別の実施形態では、コンバータおよびバッテリは、第1および第2の補助ユニットの両方に収容される。別の実施形態では、変圧器、コンバータ、およびバッテリが、第1および第2の補助ユニットの両方に収容される。
【0043】
少なくとも1つの作動部品、すなわち、例えば、変圧器、コンバータおよび/またはバッテリは、主ユニット内の構成要素、典型的には発電機と電気的に接続するように構成された電気コネクタを備えることができる。電気コネクタは、主ユニットと補助ユニットとの間のインターフェースを介して接続されてもよい。特に、このインターフェースは、補助ユニットに入ることなく、主ユニット内の主空間からの接続または接続の遮断を可能にしてもよく、または、主ユニットに入ることなく、補助ユニット内の補助空間からの接続または接続の遮断を可能にしてもよい。
【0044】
第1および第2の作動部品は、インターリーブ動作のために構成されたコンバータ作動部品であってもよい。インターリーブ動作は、マルチフェージングとも呼ばれ、フィルタ部品のサイズを小さくすることができる動作原理である。インターリーブコンバータは、共通のフィルタコンデンサおよび負荷に接続された2組のスイッチ、ダイオード、およびインダクタの並列の組み合わせに相当し、コンバータの周波数を例えば4kHzから2.5kHzに低減することができ、それによって損失を大幅に低減する。
【0045】
一実施形態では、主ユニットおよび補助ユニットは、ナセルの下からナセルの上まで空気が通過することを可能にするギャップを形成するインターフェースにおいて接合される。このようなギャップは、熱対流を増大させ、したがって、主ユニットおよび補助ユニット内の空間を冷却することができる。
【0046】
一実施形態では、振動減衰材料が、主ユニットと補助ユニットとの間に配置される。ゴムまたは発泡材、または同様の弾性変形能および振動減衰効果を有する材料を使用することができる。減衰材料は、特に、主ユニットと補助ユニットとの間で圧縮されてもよく、特に、主ユニットと補助ユニットとが釘、リベット、ボルトまたは任意の類似の機械的取り付け具によって固定される場所に配置されてもよい。さらに、減衰材料は、特に、主フレームが、ヨーイング構成部に直接接続された一体の鋳造部品である場合に、主ユニットの主フレーム間に配置されてもよい。これにより、特に補助ユニットと組み合わせた場合に、調性の問題を防ぐことができる。
【0047】
一実施形態では、主ユニットは補助ユニットよりも広い。主ユニットが「幅広」であるとは、回転軸に垂直な水平面内の寸法が、補助ユニットの同寸法よりも大きいことを意味する。主ユニットは、特に、シリーズ1の貨物コンテナについては、ISO668:2013のISO規格における寸法および構造仕様に従った輸送貨物コンテナよりも広くてもよく、補助ユニットは、これらのISO規格、ISO668:2013、シリーズ1の貨物コンテナについて規定されたサイズを有するか、またはそれよりも小さくてもよい。
【0048】
一実施形態では、主ユニットは、懸架構成と引込み構成との間で移動可能な片持ち梁構造を含む。懸架構成では、片持ち梁構造は、補助ユニットを搬送するように構成され、補助ユニットを主ユニットに向けておよび主ユニットから離れるように巻き上げるために使用可能な、少なくとも1つの、および任意選択的にいくつかの外側に突出した片持ち梁を形成する。外方に突出した片持ち梁構造は、特に、主ユニットの屋根部に取り付けられてもよい。
【0049】
電子制御構造は、主ユニット内に配置することもできるし、ナセルの外側、例えば風力タービンのタワー内に配置することもできる。ナセルは、作動部品と電子制御構造との間で制御信号を通信するための通信構造を含むことができ、通信構造は、例えば、ナセルからのケーブル接続、例えば、直接タワーへのケーブル接続を含むことができる。
【0050】
第2の態様では、本発明は、上記のようなタワーおよびナセルを備えた風力タービンを提供する。風力タービンは、ナセルの外側に配置された発電機および/またはタワー内に収容された電子制御構造を有することができる。
【0051】
第3の態様において、本開示は、第1の態様によるナセルを備えた風力タービンを運転する方法を提供する。特に、この方法は、電力変換アセンブリの一部を形成する作動部品の誤動作中に、このようなナセルを備えた風力タービンを作動させることに関する。
【0052】
この方法は、
動作不良の作動部品を特定すること、
該動作不良の作動部品を収容する補助ユニットを特定すること、
該動作不良の作動部品を風力タービンから切り外すこと、
該動作不良の作動部品を収容している特定された補助ユニットを取り外すことと、
交換用の作動部品を収容する代替の補助ユニットを接続することと、
交換用の作動部品を風力タービンに接続することと、を含む。
【0053】
この方法は、交換用の作動部品を収容する代替の補助ユニットが風力タービンに接続されるまで、動作不良の作動部品の機能と同一の機能を有する作動部品を使用して風力タービンの運転を継続することを含むことができる。
【0054】
この方法は、動作不良の作動部品、該動作不良の作動部品の機能と同一の機能を有する作動部品、および交換用の作動部品を、同一の電子制御構造を用いて制御することを含むことができる。
【0055】
全ての作動部品は、第1および第2の補助ユニットの外側の位置、特に主ユニットから制御されてもよい。
(本実施形態の構成リスト)
【0056】
(構成1)
風力タービンタワー(3)に取り付けられるように構成され、回転軸を画定し、発電機(33)を備えるロータ支持アセンブリと、電力変換アセンブリとを収容する風力タービンナセル(2)であって、該ナセルは、
風力タービンタワーに接続されるように配置され、ロータ支持アセンブリを収容する主ユニットと、
第1の補助ユニットと、
第2の補助ユニットと、を備え、
主ユニット、第1の補助ユニットおよび第2の補助ユニットは別個のユニットであり、
第1の補助ユニットは第1のインターフェースにおいて主ユニットに組み付けられ、
第2の補助ユニットは第2のインターフェースにおいて主ユニットに組み付けられ、
第1の補助ユニットは、電力変換アセンブリの一部を構成する第1の作動部品を収容し、第2の補助ユニットに収容される対応する第2の作動部品と同一の機能を有する。
(構成2)
第1の作動部品および第2の作動部品の両方は、変圧器、コンバータ、バッテリ、および電解セルからなる群から選択される、構成1に記載のナセル。
(構成3)
第1および第2の作動部品の両方を制御するように構成された電子制御構造を備える、構成1または2に記載のナセル。
(構成4)
電子制御構造は、第1および第2の作動部品の一方または両方の独立した動作のためにそれぞれ構成された冗長制御ユニットを含む、構成3に記載のナセル。
(構成5)
電子制御構造は、第1の補助ユニットの外側で且つ第2の補助ユニットの外側に収容されている、構成3または4に記載のナセル。
(構成6)
第1および第2の作動部品の一方または両方の動作を切り替えるための遠隔操作制御装置を備える、構成3乃至5のいずれかに記載のナセル。
(構成7)
第1の作動部品および第2の作動部品の両方は、切り替え構造に電気的に結合され、該切り替え構造は、作動部品と電力グリッドとの間に配置され、電力グリッドに接続される、第1の作動部品、第2の作動部品、または第1および第2の作動部品の両方の間の選択のために構成される、構成1乃至6のいずれかに記載のナセル。
(構成8)
切り替え構造は、ナセル内またはタワーの基部に配置される、構成7に記載のナセル。
(構成9)
第1のインターフェースおよび第2のインターフェースは、いずれも、対応する補助ユニットの独立した固定のために構成され、第1のインターフェースおよび第2のインターフェースは、他の補助ユニットから独立して、対応する補助ユニットの解放を可能にする、構成1乃至8のいずれかに記載のナセル。
(構成10)
第1の補助ユニットと第2の補助ユニットとは、回転軸によって定まる平面によって分離されている、構成1乃至9のいずれかに記載のナセル。
(構成11)
2つの補助ユニットは主ユニットの一方の側に上下に配置され、下側および上側の補助ユニットを形成する、構成1乃至10のいずれかに記載のナセル。
(構成12)
主ユニットに取り付けられ、補助ユニットを地面から持ち上げて、補助ユニットを主ユニットに連結可能な位置に固定するクレーン構造を有する、構成1乃至11のいずれかに記載のナセル。
(構成13)
クレーン構造は、補助ユニットを水平方向に移動させることなく、垂直方向に持ち上げるように構成されている、構成12に記載のナセル。
(構成14)
電力変換アセンブリの一部を形成する作動部品における動作不良の間、構成1乃至13のいずれかに記載のナセルを有する風力タービンを作動させる方法であって、
動作不良の作動部品を特定することと、
該動作不良の作動部品を収容する補助ユニットを特定することと、
該動作不良の作動部品を風力タービンから取り外すことと、
該動作不良の作動部品を収容している特定された補助ユニットを取り外すことと、
交換用の作動部品を収容する代替の補助ユニットを接続することと、
交換用の作動部品を風力タービンに接続することと、を含む方法。
(構成15)
特定された補助ユニットは、主ユニットに取り付けられたクレーン構造を使用して、主ユニットに持ち上げられ、または本体ユニットから下げられる、構成14に記載の方法。
(構成16)
補助ユニットは、クレーン構造を用いて垂直面にのみ吊り上げられる、構成15に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0057】
以下に、本開示の実施形態を、図面を参照してさらに詳細に説明する。
【0058】
図1a】風力タービンを示す。
図1b】風力タービンを示す。
図2】風力タービンのナセルを示す。
図3図2に示すナセル2の斜視図である。
図4図3に示すナセルを上方から見た図である。
図5】左側および右側の補助ユニットが同一の作動部品を含む実施形態を示す。
図6】第1および第2の補助ユニットが互いに上下方向に配置される実施形態を示す。
図7】電子制御構造が、第1の補助ユニットの外側および第2の補助ユニットの外側の主ユニット内に配置される実施形態を示す。
図8】補助ユニットを主ユニットに取り付けるための概略的な手段を示す。
図9】作動部品と主ユニットまたは補助ユニットとの間のインターフェースの概略的に異なる実施形態を示す。
図10】作動部品と主ユニットまたは補助ユニットとの間のインターフェースの概略的に異なる実施形態を示す。
図11a】発電機と作動部品との間のバスバー接続の詳細を示す。
図11b】発電機と作動部品との間のバスバー接続の詳細を示す。
図11c】発電機と作動部品との間のバスバー接続の詳細を示す。
図11d】発電機と作動部品との間のバスバー接続の詳細を示す。
図12】主ユニットと補助ユニットとの間のインターフェースの4つの異なる実施形態を示す。
図13】主ユニットと補助ユニットとの間のインターフェースの4つの異なる実施形態を示す。
図14】主ユニットと補助ユニットとの間のインターフェースの4つの異なる実施形態を示す。
図15】主ユニットと補助ユニットとの間のインターフェースの4つの異なる実施形態を示す。
図16】主ユニットおよび補助ユニットがヒンジ構造によって組み立てられる実施形態を示す。
図17】主ユニットおよび補助ユニットがヒンジ構造によって組み立てられる実施形態を示す。
図18】主ユニットおよび補助ユニットがヒンジ構造によって組み立てられる実施形態を示す。
図19】補助ユニットを主ユニットに取り付けるためのフックの更なる詳細を示す。
図20】補助ユニットを主ユニットに取り付けるためのフックの更なる詳細を示す。
図21】補助ユニットが地面に自由に降下できる開放位置にあるフックを示す。
図22】補助ユニットを主ユニットに取り付けるための二つのボルト穴を有する断面を示す。
図23】フックが滑るように懸架されている実施形態を示す。
図24】フックが滑るように懸架されている実施形態を示す。
図25】フックが滑るように懸架されている実施形態を示す。
図26】補助ユニットを吊り上げるための主ユニット上のクレーンを示す。
図27】補助ユニットを吊り上げるための主ユニット上のクレーンを示す。
図28】補助ユニットを吊り上げるための主ユニット上のクレーンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0059】
詳細な説明および具体例は、実施形態を示しているが、本開示の精神および範囲内の様々な変更および修正は、この詳細な説明から当業者に明らかになるため、例示のためにのみ与えられる。
【0060】
図1aおよび1bは、タワー3に取り付けられたナセル2を有する風力タービン2を示す。3枚のロータブレード5を担持したハブ4がロータを形成し、ナセル2内のロータ支持アセンブリに支持される。典型的には、ロータ支持アセンブリは、歯車構成と発電機とをハブに接続するロータシャフトを備える。しかし、発電機はシャフトによって直接駆動されるので、歯車は必ずしも必要ではない。図1bは、ナセルの外側に配置された発電機6を有する直接駆動風力タービンを示す。
【0061】
図2は、ナセルが主ユニット20と2つの補助ユニット21,22とを含むことを示す。冷却領域23は、ナセルの頂部に配置される。冷却領域は、主ユニットおよび/または任意の補助ユニットの一部を形成することができる熱交換器によって形成される。主ユニット20は、ヨーイング機構(図示せず)を介してタワー3に取り付けられ、ナセル2を回転させて、ハブ4によって運ばれるロータブレードを風に向ける。
【0062】
図3は、図2に示すナセル2の斜視図である。図3において、ナセル2の外壁は透明であり、それによって、ナセル2の内部部品およびナセル2内に収容された風力タービン部品を明らかにする。主ユニット20は、ハブ4の回転軸により定義される方向に沿って、ハブ4の後方に順に配置された主軸を支持する主軸受けユニット31、歯車構成32、発電機33を収容する。主ユニットにおける構成は主にドライブトレインに属する。
【0063】
補助ユニット21は、変圧器ユニット34と、補助ユニットに収容される2つの作動部品を構成するコンバータユニット35とを収容する。
【0064】
各補助ユニット21,22は、主ユニット20の側面に沿ってインターフェースを介して取り付けられる。本実施形態では、ハブ4の回転軸に沿ってハブ4から主ユニット20の後壁に向かって見たときに、一方の補助ユニット21が主ユニット20の右側に沿って取り付けられ、他方の補助ユニット22が主ユニット20の左側に沿って取り付けられる。
【0065】
なお、変圧器ユニット34およびコンバータユニット35は、主ユニット20に直接吊り下げてもよい。すなわち。変圧器ユニット34およびコンバータユニット35は共に補助ユニットに内蔵されているが、変圧器およびコンバータに起因する直接負荷は、主ユニット20によって直接与えられる。
【0066】
主ユニットおよび補助ユニットは、1つの区画が補助ユニットによって形成されて補助空間を画定し、もう1つの区画が主ユニットによって形成されて主空間を画定するように、密閉され、任意に密閉可能なユニットとなる。これにより、ドライブトレインをコンバータおよび変圧器から分離することができる。2つの区画は、協働する開口部36によって結合されていてもよく、これにより、人員および機器が、主ユニットの主空間から補助ユニットの補助空間に入ることができる。開口部36を密閉することにより、火災等がこれらユニットの一方から他方へ広がることを防止することができる。
【0067】
図4は、図3に示すナセルを上から見た図である。
【0068】
図5は、左側および右側の補助ユニットが、重量バランスおよび二重機能を確立する同一の作動部品を含む実施形態を示す。二重機能とは、風力タービンが同一に機能する2つの作動部品を含み、1つが補助ユニットのそれぞれに含まれることを意味する。故障の場合、風力タービンは、補助ユニットの1つの中の少なくとも1つの作動部品が交換されている間、減少した電力で運転を継続することができる。
【0069】
図4および5は、主ユニットから補助ユニットに延び、スペア部品などの取り扱いを容易にするレール42を含む輸送システムを示す。
【0070】
図6は、2つの補助ユニット61,62が互いに上下に配置される実施形態を示す。この実施形態では、2つの補助ユニットは、同じように機能する作動部品を含み、この場合、それらは両方とも変圧器を含む。
【0071】
図7は、主ユニット71と2つの補助ユニット72,73とから構成されるナセル70を示す。主ユニットは、ロータ支持アセンブリ74と電子制御構造75とを収容する。両補助ユニットは、変圧器76,77を収容する、すなわち、両補助ユニットは、他の補助ユニットの機能と同一の機能を有する作動部品を収容する。主ユニット、すなわち2つの補助ユニットの外側に収容された電子制御構造75は、両方の変圧器を制御し、特に変圧器のグリッドへの接続を制御するように構成される。制御構造は、補助ユニットのいずれにも収容されていないので、補助ユニットの1つが風力タービンから解放されたとき、例えば、故障またはサービスの必要がある場合に交換されるために、風力タービン内に残る。
【0072】
図8乃至図11は、異なる実施形態において、どのようにして作動部品を主ユニットおよび補助ユニットの一方または両方に取り付けることができるかを示す。
【0073】
図8において、ボルト形状の固定ピン78は、強化ブラケット機構79に係合する。ボルト形状の固定ピンは、作動部品を直接主ユニットで支持し、作動部品からタワーへの荷重経路を作成する。
【0074】
ブラケットは、例えば、主フレームによって支持された主ユニット内の剛性フレームに接続されて、それによって、主フレームを介して、作動部品および/または補助ユニットからの荷重を直接タワー内に導くことができる。
【0075】
図9は、作動部品が、作動部品の底部と補助ユニットの底部との間の支持脚91によって支持される実施形態を示す。
【0076】
図10は、補助ユニット102の底部に載置された支持フレーム105によって作動部品104が支持され、それが主ユニット101内の主フレーム106に直接懸架されている別の実施形態をさらに詳細に示している。これにより、メインフレームは、作動部品のための荷重経路の一部をタワー内に形成する。
【0077】
これにより、変圧器104の重量の少なくとも50%が主ユニット101に担持され、残りの重量が補助ユニット102に担持され、該補助ユニットは再び主ユニット101に担持される。これにより、重量の残りの部分は、主ユニット101によって直接的には支持されない。
【0078】
図11および11aは、図7の実施形態と比較可能な実施形態を示すが、上から見て、さらに詳細に示されている。ナセル70は、主ユニット71と2つの補助ユニット72,73とから構成される。主ユニットは、ロータ支持アセンブリ74と電子制御構造75とを収容する。両補助ユニットは変圧器76,77を収容する。主ユニット、すなわち2つの補助ユニットの外側に収容された電子制御構造75は、両方の変圧器を制御し、特に変圧器のグリッドへの接続を制御するように構成される。
【0079】
ナセルは、各々がバスバー110,111を介して作動部品の一方に接続された2組の巻線を備える発電機112を備える。
【0080】
図11bは、ロータによって駆動され、バスバー110,111を介して作動部品の一方に個別に接続された2つの発電機112’および112’’を備えるナセルの代替実施形態を示す。
【0081】
図11cは、バスバーが主ユニットから補助ユニットに入る伝達部の拡大図を示す。バスバーは、2つのユニット間のギャップを横切って延びる。伝達時には、主ユニットのバスバーは可撓性コネクタ113によって補助ユニットのバスバーに接合される。可撓性コネクタは、主ユニットと補助ユニットとの間のギャップを横切って延びる。バスバーは、主ユニットおよび補助ユニットの壁を貫通して開口を通って延び、ガスケット114は、ギャップと開口との間をシールする。図11dは、主ユニット71および補助ユニット72の側壁118の間にシールされたダクト117を形成する弾性シール移行部116によって接続された2つの係合ジョイント115を形成するガスケットシール114を示す。シールされたダクトは、ユニット間のケーブル等の通し方や、人の出入り路として使用できる。
【0082】
側壁は波形である。具体的には、主ユニットの波形と補助ユニットの波形とは異なる。波形壁の間にはギャップ119があり、これにより、主ユニットと補助ユニットとの間に空気が流れることができる。ギャップは、波形のためにユニットの長さに沿って変化するサイズを有する。
【0083】
図12乃至図15は、主ユニットと補助ユニットとの間のインターフェース、すなわち第1または第2のインターフェースを形成するユニット固定構造の4つの異なる実施形態を示す。これらの4つの図のそれぞれにおいて、主ユニット121と補助ユニット122とは、ユニット固定構造を形成する協働構造によって接続され、以下にさらに詳細に説明される。
【0084】
図12において、協働構造は、主ユニットおよび補助ユニットがボルトによって結合されるブラケット123によって構成される。
【0085】
図13において、協働構造は、図12において使用されるものと同様の下部ブラケット123によって構成される。上端では、ヒンジ点132で主ユニットに枢着されたフック131によって主ユニットと補助ユニットとが組み付けられる。フックは、矢印133によって示されるように回転することができ、図示の位置にあるとき、補助ユニットの端部ブラケット134と係合する。下部ブラケット123を取り外し、フック131を主ユニット内に回転させると、補助ユニットを地上に降ろすことができる。
【0086】
図14の実施形態は、図13の実施形態と比較可能であるが、下部ブラケットが上部ブラケット141に置き換えられ、フックが下縁に配置されている。
【0087】
図15では、補助ユニットを主ユニットにボルト止めするために下部ブラケットと上部ブラケットが使用され、ボルトが取り付けられた状態で、スライド可能な支持体151が補助ユニットの下面を支持する。例えば、作動部品の交換または保守のために、補助ユニットを地面に降ろすことが望まれる場合には、スライド可能な支持体を左側にスライドさせることができ、補助ユニットは、例えば、主ユニットに組み込まれたクレーンを用いて降ろすことができる。
【0088】
図12乃至図15に示される実施形態のいずれにおいても、ブラケットまたはフックは、補助ユニットからの負荷を主ユニットの剛性部分、例えば負荷運搬カラム、例えば主ユニットのコーナーカラムに導く。様々な構造的特徴は、補助ユニットを運ぶブラケットまたはフックを、直接、主ユニット内のメインフレームに接続し、それによって、タワーへの荷重経路を確立することができる。
【0089】
図12乃至図15に示すフックとブラケットのインターフェースに加えて、第1の固定構造(図示せず)は、作動部品(図示せず)を主ユニット内の主フレームに直接接続する。
【0090】
主ユニットおよび補助ユニットが、ヒンジ要素を貫通して延びるヒンジピン166を受け入れるための孔を有するヒンジ要素163,164,165を備えるヒンジ構造によって組み立てられる実施形態を、図16乃至図18に示す。図16はさらに、インターフェースがギャップ167を形成し、空気が例えばナセルの下からナセルの上まで該ギャップを通って通過することを可能にすることを示す。ギャップは、ユニット間を空気が通過することを可能にする多数のピンまたは開放構造から構成され得る距離要素168によって、底部で開放された状態に保持される。
【0091】
このようなギャップは、熱対流を増大させ、したがって、主ユニットおよび補助ユニット内の空間を冷却することができる。ギャップは、ヒンジ構造を有する実施形態に限定されるものではなく、他の組み立て法と組み合わせることができる。
【0092】
図17および図18は、ヒンジ要素163,164,165およびヒンジピン166を示す。図17において、ヒンジ要素は、ヒンジピンがヒンジ要素内に摺動することができるように、互いに正確に位置決めされる。図18において、ヒンジピンは、ヒンジ要素163,164,165の穴を通して挿入される。
【0093】
図19は、補助ユニット191を主ユニット192に取り付けるためのフックのさらなる詳細を示す。フック193は、主ユニット内のヒンジ194に回転自在に懸架されている。フックは、補助ユニットの開口部195を通って回転し、補助ユニットの凹部または縁部196を捕捉することができる。
【0094】
フックはまた、補助ユニット内に取り付けられ、主ユニット内の凹部または端部を捕捉することもでき、その場合、フックは、逆に、すなわち、図20に示されるように取り付けられてもよい。フックの位置は、アクチュエータによって制御することができる。
【0095】
図21は、補助ユニットが地面に自由に降下できる開放位置にあるフックを示す。
【0096】
図22は、二つのボルト穴221が見られる断面を示す。ボルト穴は、ボルトを用いた補助ユニットの主ユニットへの取り付けについて、確実な固定を促進する。本実施形態では、フックは主に補助ユニットを主ユニットに対して正しい高さに位置決めするためのものであり、ボルトはユニットを接合するためのものである。
【0097】
図19、21および22において、フックは、好ましくは、主ユニットの主フレームによって、例えば、主ユニットの内面に沿って配置された柱または支持ポストを介して支持される。図19において、柱197は、主ユニットの内面に沿って延び、該主ユニットの底部において主フレーム上のフックを支持する。
【0098】
図20において、フックが補助ユニットの一部を形成する場合、フックが係合する主ユニット内の端部は、主ユニット内の主フレームによって支持されることが好ましい。繰り返しになるが、これは、主ユニットの内面に沿って配置された柱または柱を介してもよい。
【0099】
フックは、例えば油圧駆動アクチュエータを含む動力駆動手段によって、開位置(図21)と閉位置(図19、20、22)との間で移動させることができる。
【0100】
図23、24、25は、フックが回転懸架されておらず、摺動懸架されている実施形態を示している。この機能は、図19乃至図22の実施形態と同様である。図23および24において、断面図は、補助ユニットを主ユニットにボルト固定するために使用することができるボルト穴231を示す。図23のフックを主ユニットに、図24のフックを補助ユニットに取り付ける。
【0101】
図25aにおいて、フック251を左にスライドさせることにより、補助ユニットの縁を外し、補助ユニットを地面に降ろすことができる。図25bにおいて、フック251を右にスライドさせることにより、補助ユニットの縁部に係合させて両ユニットを固定保持する。フックは、動力駆動手段、例えば油圧アクチュエータによって摺動されてもよい。
【0102】
上の記述においては、図19乃至図25は、補助ユニットを主ユニットに固定するユニット固定構造の一部にとして、説明された。同様の構造は、第1の固定構造を構成することができ、これにより、作動部品が主ユニットに取り外し可能に固定される。同様の構造は、作動部品が補助ユニットに取り外し可能に固定される第2の固定構造を構成してもよく、同様の構造は、2つの補助ユニットが互いに固定される第3の固定構造を構成してもよい。
【0103】
図26は、保守または交換中の補助ユニットの昇降を示す。補助ユニットは、主ユニットの一部を構成するクレーン261を用いて吊り上げられる。移動は、本質的に矢印263で示された垂直面内でのみ行われ、主ユニットへの補助ユニットの取り付けは、ヒンジ式またはスライド式フックなどの可動固定機構を含む、前述のようなユニット固定構造によって容易にすることができる。
【0104】
図27は、内部クレーン261の拡大図を示す。クレーンは、主ユニットの屋根部に取り付けられ、その位置によって、ユニット固定構造が主ユニットと補助ユニットとの間の係合を形成することができる位置まで、補助ユニットを垂直方向に吊り上げることができる。この手順は、垂直方向以外の方向への移動を必要としない場合があり、したがって、外部クレーン支援の必要性を低減した簡単なアセンブリ手順を容易にする。水平面内で調整するために、クレーン261は、例えば矢印262によって示されるように、水平に移動するオプションを有することができる。
【0105】
図28は、主ユニット282の屋根上に2重片持ち梁281を有する別のクレーン構造を概略的に示す。片持ち梁281は、延長部分283内で横方向に延びることができる。片持ち梁は、補助ユニット284の持ち上げおよび主ユニット282への接続を容易にする。回動可能またはスライド可能なフックを含む本明細書に開示されたユニット固定構造は、一般に、垂直方向にのみ巻き上げることによって補助ユニットの取り付けを容易にするが、内側および外側移動は、主ユニットと補助ユニットとの間の水平距離の微調整を容易にする。
【0106】
(定義)
ここで、「ナセル」という用語は、風力タービンの機械筐体を記述する一般的に受け入れられている用語、すなわち、ロータおよび駆動系を支持し、風力タービンタワーによって支持される部分を意味する。
【0107】
本明細書における「主ユニット」および「補助ユニット」という用語は、別個に輸送することができ、ナセルを形成するために1つまたは複数の他のユニットと組み立てられることができるユニットを指す。
【0108】
ここで、「ロータ支持アセンブリ」という用語は、ロータを支持するナセルの部分、典型的にはドライブトレイン、主軸受および主フレームを意味する。ドライブトレインは、風力タービンのタイプに応じて異なる構成要素、例えば、ロータシャフト、発電機、およびオプションとしてロータシャフトと発電機との間のギヤボックスを含むことができる。
【0109】
ここで、用語「同一に機能する構成要素」とは、構成要素が本質的に同じ機能を果たすが、それらは異なる内部構成、異なる定格を有していてもいなくてもよく、またはそれらは異なるメーカーによって製造されてもよいことを意味する。一例として、同じ機能を有するが異なる電力レベルを有する2つの構成要素は、この意味において同一に機能する。別の例として、2つのコンポーネントが同じ機能を提供し、例えば、ACからDCへの変換および/またはDCからACへの変換は、この機能の特定の技術的実装に関係なく、同一に機能し得る。これにより、電力変換を2つの構成要素間で共有することができ、または構成要素の1つが故障した場合に、低減された容量で風力タービンの運転を継続することができる。
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11a
図11b
図11c
図11d
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28