IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本農薬株式会社の特許一覧

特許7514930コクシジウム症防除剤及びコクシジウム症防除剤の使用方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】コクシジウム症防除剤及びコクシジウム症防除剤の使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4439 20060101AFI20240704BHJP
   A61P 33/02 20060101ALI20240704BHJP
   C07D 401/04 20060101ALI20240704BHJP
   C07D 491/113 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
A61K31/4439
A61P33/02 173
C07D401/04 CSP
C07D491/113
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022534126
(86)(22)【出願日】2021-07-02
(86)【国際出願番号】 JP2021025130
(87)【国際公開番号】W WO2022004877
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-05-16
(31)【優先権主張番号】P 2020115725
(32)【優先日】2020-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020151716
(32)【優先日】2020-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000232623
【氏名又は名称】日本農薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002239
【氏名又は名称】弁理士法人G-chemical
(72)【発明者】
【氏名】藤原 弘和
(72)【発明者】
【氏名】淵 駿介
(72)【発明者】
【氏名】阿部 豊
【審査官】長部 喜幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/225663(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0101096(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/4439
A61K 31/444
A61K 31/695
A01M 1/20
A01N 47/02
A01N 43/52
A01P 7/04
C07D 401/04
C07D 491/113
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】
{式中、Rは、メチル基又はエチル基を示す。
1は、(b1)(C1‐C8)アルキル基;(b2)ハロ(C1‐C8)アルキル基;(b3)(C3‐C8)シクロアルキル基;(b4)(C1‐C8)アルコキシ(C1‐C8)アルキル基;(b5)アリール基;又は(b6) 同一又は異なっても良く、(a)ハロゲン原子、(b)(C1‐C6)アルキル基、(c)ハロ(C1‐C6)アルキル基、(d)(C1‐C6)アルコキシ基、(e)ハロ(C1‐C6)アルコキシ基、(f)(C1‐C6)アルキルチオ基、(g)ハロ(C1‐C6)アルキルチオ基、(h)(C1‐C6)アルキルスルフィニル基、(i)ハロ(C1‐C6)アルキルスルフィニル基、(j)(C1‐C6)アルキルスルホニル基、(k)ハロ(C1‐C6)アルキルスルホニル基、及び(l)トリメチルシリル基から選択される1~5の置換基を有するアリール基;を示す。
Xは、O、S、SO、SO2、若しくはNR2(ここでR2は、水素原子、(C1‐C6)アルキル基、(C1‐C6)アルキルカルボニル基、(C1‐C6)アルコキシカルボニル基、(C1‐C6)アルキルスルホニル基;又はハロ(C1‐C6)アルキルスルホニル基;を示す。)を示す。
又はNR2のR2がR1と結合して、R2が結合している窒素原子とともに、無置換又は1置換の5~8員の飽和の含窒素脂肪族複素環を形成してもよい(ここで置換基とは、エトキシカルボニル基、又は(C5‐C8)アルキレンジオキシ基(アルキレンジオキシ基は同一の炭素原子と結合しているものとする。)を示す。
Yは、(c1)ハロゲン原子;を示し、
mは、0、又は1を示す。
Zは、同一又は異なってもよく、(d1)ハロゲン原子;又は (d2)(C1‐C8)アルキル基;を示し、
nは0、1、又は2を示す。但し、(C1‐C8)アルキルスルホニル基、(C1‐C8)アルコキシ(C1‐C8)アルキルスルホニル基、(C3‐C8)シクロアルキルスルホニル基、ハロ(C1‐C8)アルキルスルホニル基が、ピリジン環2位、及び4位に入ることはない。}で表されるベンゾイミダゾール化合物、またはその塩類を有効成分として含有することを特徴とするコクシジウム症防除剤。
【請求項2】
Rが、メチル基又はエチル基を示し、
1が、(b1)(C1‐C8)アルキル基;(b2)ハロ(C1‐C8)アルキル基;(b3)(C3‐C8)シクロアルキル基;又は(b6) 同一又は異なっても良く、(a)ハロゲン原子、(b)(C1‐C6)アルキル基、(c)ハロ(C1‐C6)アルキル基、(d)(C1‐C6)アルコキシ基、(e)ハロ(C1‐C6)アルコキシ基、(f)(C1‐C6)アルキルチオ基、(g)ハロ(C1‐C6)アルキルチオ基、(h)(C1‐C6)アルキルスルフィニル基、(i)ハロ(C1‐C6)アルキルスルフィニル基、(j)(C1‐C6)アルキルスルホニル基、(k)ハロ(C1‐C6)アルキルスルホニル基、及び(l)トリメチルシリル基から選択される1~5の置換基を有するアリール基;を示し、
Xが、O、S、又はNR2(R2は前記と同じ。)を示し、
Yが、(c1)ハロゲン原子;を示し、
mが、0、又は1を示し、
Zが、同一又は異なってもよく、
(d1)ハロゲン原子;又は
(d2)(C1‐C 8)アルキル基;を示し、
nが0、1、又は2を示す、請求項1に記載のベンゾイミダゾール化合物、またはその塩類を有効成分として含有することを特徴とするコクシジウム症防除剤。
【請求項3】
Rが、メチル基又はエチル基を示し、
1が、(b1)ハロ(C1‐C8)アルキル基;を示し、
mが、0を示す、請求項1に記載のベンゾイミダゾール化合物、またはその塩類を有効成分として含有することを特徴とするコクシジウム症防除剤。
【請求項4】
Rが、メチル基又はエチル基を示し、
1が、(b1)ハロ(C1‐C8)アルキル基;を示し、
mが、0を示し、
Zが、同一又は異なってもよく、(d1)ハロゲン原子;又は (d2)(C1‐C 8)アルキル基;を示し、
nが2を示す、請求項1に記載のベンゾイミダゾール化合物、またはその塩類を有効成分として含有することを特徴とするコクシジウム症防除剤。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載のコクシジウム症防除剤の有効量を対象動物(人間を除く。)に投与することを特徴とするコクシジウム症防除剤の使用方法。
【請求項6】
対象動物が鳥類である請求項5に記載のコクシジウム症防除剤の使用方法。
【請求項7】
対象動物が鶏である請求項5に記載のコクシジウム症防除剤の使用方法。
【請求項8】
請求項1~4の何れか一項に記載のコクシジウム症防除剤を対象動物(人間を除く。)に投与することを特徴とするコクシジウム症の防除方法。
【請求項9】
対象動物が鳥類である請求項8に記載のコクシジウム症の防除方法。
【請求項10】
対象動物が鶏である請求項8に記載のコクシジウム症の防除方法。
【請求項11】
一般式(1-1)
【化2】
{式中、
1は、(b1)(C1‐C8)アルキル基;(b2)ハロ(C1‐C8)アルキル基;(b3)(C3‐C8)シクロアルキル基;(b4)(C1‐C8)アルコキシ(C1‐C8)アルキル基;(b5)アリール基;又は(b6) 同一又は異なっても良く、(a)ハロゲン原子、(b)(C1‐C6)アルキル基、(c)ハロ(C1‐C6)アルキル基、(d)(C1‐C6)アルコキシ基、(e)ハロ(C1‐C6)アルコキシ基、(f)(C1‐C6)アルキルチオ基、(g)ハロ(C1‐C6)アルキルチオ基、(h)(C1‐C6)アルキルスルフィニル基、(i)ハロ(C1‐C6)アルキルスルフィニル基、(j)(C1‐C6)アルキルスルホニル基、(k)ハロ(C1‐C6)アルキルスルホニル基、及び(l)トリメチルシリル基から選択される1~5の置換基を有するアリール基;を示す。
Xは、O、S、SO、SO2、若しくはNR2(ここでR2は、水素原子、(C1‐C6)アルキル基、(C1‐C6)アルキルカルボニル基、(C1‐C6)アルコキシカルボニル基、(C1‐C6)アルキルスルホニル基;又はハロ(C1‐C6)アルキルスルホニル基;を示す。)を示す。
又はNR2のR2がR1と結合して、R2が結合している窒素原子とともに、無置換又は1置換の5~8員の飽和の含窒素脂肪族複素環を形成してもよい(ここで置換基とは、エトキシカルボニル基、又は(C5‐C8)アルキレンジオキシ基(アルキレンジオキシ基は同一の炭素原子と結合しているものとする。)を示す。
Yは、(c1)ハロゲン原子;を示し、
mは、0、又は1を示す。
Zは、同一又は異なってもよく、(d1)ハロゲン原子;又は(d2)(C1‐C 8)アルキル基;を示し、
nは0、1、又は2を示す。
但し、(C1‐C8)アルキルスルホニル基、(C1‐C8)アルコキシ(C1‐C8)アルキルスルホニル基、(C3‐C8)シクロアルキルスルホニル基、ハロ(C1‐C8)アルキルスルホニル基が、ピリジン環2位、及び4位に入ることはない。}で表されるベンゾイミダゾール化合物、またはその塩類を有効成分として含有することを特徴とするコクシジウム症防除剤
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ベンゾイミダゾール化合物又はその塩類を有効成分とするコクシジウム症防除剤及びコクシジウム症防除剤の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原虫性寄生虫病の一つとして知られるコクシジウム症は、コクシジウム属の原虫によって引き起こされる感染症であって、鶏や七面鳥、アヒル、ウズラ、アイガモなどの家禽等に感染し、消化管出血や成長抑制、斃死などの各種症状を示す。近年、家禽類は集約的・大規模に飼育されていることが多く、コクシジウム症の感染が広がると飼育業者に大きな経済的損失をもたらしている。そのため、コクシジウム症防除剤としてサルファ剤やニトロフラン剤、キノリン剤、抗チアミン剤、ベンゾアミド類、ナフトキノン系誘導体(例えば特許文献1)、ポリエーテル系の抗生物質などが開発され使用されているが、安全域が狭いため、それらの薬剤を投与した動物の肉や卵等を人間の食用にする場合に、動物体内に残留した薬剤の人体への移行の問題があり、その使用量や投与期間に制限が課されている。また薬剤の長期間の使用によって薬剤耐性株が出現し、薬効が低下するという問題も生じている。
【0003】
一方で、ある種のベンゾイミダゾール化合物又はその塩類が農園芸用殺虫殺ダニ剤、外部寄生虫剤、又は内部寄生虫剤として使用することができることが知られているが(例えば特許文献2)、コクシジウム症に関する防除効果については一切記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-51510号公報
【文献】国際公開第2019/225663号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術の欠点を克服し、優れた抗コクシジウム活性を有し、かつコクシジウム症の集団発生を防止することのできるコクシジウム症防除剤及びその使用方法の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明者等は、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、一般式(1)で表される2位にピリジル基が結合したN‐アルキルスルホニル基を有するベンゾイミダゾール化合物、又はその塩類が優れたコクシジウム症防除効果を有するだけでなく、前記課題を解決し得ることを見出し、本願発明に至った。
即ち、本願発明は、
[1]一般式(1)
【化1】
{式中、
Rは、(a1)(C1‐C8)アルキル基;(a2)(C3‐C8)シクロアルキル基;又は(a3)ハロ(C1‐C8)アルキル基;を示す。
1は、(b1)(C1‐C8)アルキル基;(b2)ハロ(C1‐C8)アルキル基;(b3)(C3‐C8)シクロアルキル基;(b4)(C1‐C8)アルコキシ(C1‐C8)アルキル基;(b5)アリール基;又は(b6) 同一又は異なっても良く、(a)ハロゲン原子、(b)(C1‐C6)アルキル基、(c)ハロ(C1‐C6)アルキル基、(d)(C1‐C6)アルコキシ基、(e)ハロ(C1‐C6)アルコキシ基、(f)(C1‐C6)アルキルチオ基、(g)ハロ(C1‐C6)アルキルチオ基、(h)(C1‐C6)アルキルスルフィニル基、(i)ハロ(C1‐C6)アルキルスルフィニル基、(j)(C1‐C6)アルキルスルホニル基、(k)ハロ(C1‐C6)アルキルスルホニル基、及び(l)トリメチルシリル基から選択される1~5の置換基を有するアリール基;を示す。
Xは、O、S、SO、SO2、若しくはNR2(ここでR2は、水素原子、(C1‐C6)アルキル基、(C1‐C6)アルキルカルボニル基、(C1‐C6)アルコキシカルボニル基、(C1‐C6)アルキルスルホニル基;又はハロ(C1‐C6)アルキルスルホニル基;を示す。)を示す。
又はNR2のR2がR1と結合して、R2が結合している窒素原子とともに、無置換又は1置換の5~8員の飽和の含窒素脂肪族複素環を形成してもよい(ここで置換基とは、エトキシカルボニル基、又は(C5‐C8)アルキレンジオキシ基(アルキレンジオキシ基は同一の炭素原子と結合しているものとする。)を示す。
Yは、(c1)ハロゲン原子;を示し、
mは、0、又は1を示す。
Zは、同一又は異なってもよく、(d1)ハロゲン原子;又は (d2)(C1‐C 8)アルキル基;を示し、
nは0、1、又は2を示す。
但し、(C1‐C8)アルキルスルホニル基、(C1‐C8)アルコキシ(C1‐C8)アルキルスルホニル基、(C3‐C8)シクロアルキルスルホニル基、ハロ(C1‐C8)アルキルスルホニル基が、ピリジン環2位、及び4位に入ることはない。}で表されるベンゾイミダゾール化合物、またはその塩類を有効成分として含有することを特徴とするコクシジウム症防除剤、
[2]Rが、(a1)(C1‐C8)アルキル基;を示し、
1が、(b1)(C1‐C8)アルキル基;(b2)ハロ(C1‐C8)アルキル基;(b3)(C3‐C8)シクロアルキル基;又は(b6) 同一又は異なっても良く、(a)ハロゲン原子、(b)(C1‐C6)アルキル基、(c)ハロ(C1‐C6)アルキル基、(d)(C1‐C6)アルコキシ基、(e)ハロ(C1‐C6)アルコキシ基、(f)(C1‐C6)アルキルチオ基、(g)ハロ(C1‐C6)アルキルチオ基、(h)(C1‐C6)アルキルスルフィニル基、(i)ハロ(C1‐C6)アルキルスルフィニル基、(j)(C1‐C6)アルキルスルホニル基、(k)ハロ(C1‐C6)アルキルスルホニル基、及び(l)トリメチルシリル基から選択される1~5の置換基を有するアリール基;を示し、
Xが、O、S、又はNR2(R2は前記と同じ。)を示し、
Yが、(c1)ハロゲン原子;を示し、
mが、0、又は1を示し、
Zが、同一又は異なってもよく、(d1)ハロゲン原子;又は (d2)(C1‐C 8)アルキル基;を示し、
nが0、1、又は2を示す、[1]に記載のベンゾイミダゾール化合物、またはその塩類を有効成分として含有することを特徴とするコクシジウム症防除剤、
[3]Rが、(a1)(C1‐C8)アルキル基;を示し、
1が、(b1)ハロ(C1‐C8)アルキル基;を示し、
mが、0を示す、[1]に記載のベンゾイミダゾール化合物、またはその塩類を有効成分として含有することを特徴とするコクシジウム症防除剤、
[4]Rが、(a1)(C1‐C8)アルキル基;を示し、
1が、(b1)ハロ(C1‐C8)アルキル基;を示し、
mが、0を示し、
Zが、同一又は異なってもよく、(d1)ハロゲン原子;又は (d2)(C1‐C 8)アルキル基;を示し、
nが2を示す、[1]に記載のベンゾイミダゾール化合物、またはその塩類を有効成分として含有することを特徴とするコクシジウム症防除剤、
[5][1]~[4]のいずれか1つに記載のコクシジウム症防除剤の有効量を対象動物(人間を除く。)に投与することを特徴とするコクシジウム症防除剤の使用方法、
[6]対象動物が鳥類である[5]に記載のコクシジウム症防除剤の使用方法、
[7]対象動物が鶏である[5]に記載のコクシジウム症防除剤の使用方法、
[8][1]~[4]のいずれか1つに記載のコクシジウム症防除剤を対象動物(人間を除く。)に投与することを特徴とするコクシジウム症の防除方法、
[9]対象動物が鳥類である[8]に記載のコクシジウム症の防除方法、
[10]対象動物が鶏である[8]に記載のコクシジウム症の防除方法、
[11]一般式(1-1)
【化2】
{式中、R1は、(b1)(C1‐C8)アルキル基;(b2)ハロ(C1‐C8)アルキル基;(b3)(C3‐C8)シクロアルキル基;(b4)(C1‐C8)アルコキシ(C1‐C8)アルキル基;(b5)アリール基;又は(b6) 同一又は異なっても良く、(a)ハロゲン原子、(b)(C1‐C6)アルキル基、(c)ハロ(C1‐C6)アルキル基、(d)(C1‐C6)アルコキシ基、(e)ハロ(C1‐C6)アルコキシ基、(f)(C1‐C6)アルキルチオ基、(g)ハロ(C1‐C6)アルキルチオ基、(h)(C1‐C6)アルキルスルフィニル基、(i)ハロ(C1‐C6)アルキルスルフィニル基、(j)(C1‐C6)アルキルスルホニル基、(k)ハロ(C1‐C6)アルキルスルホニル基、及び(l)トリメチルシリル基から選択される1~5の置換基を有するアリール基;を示す。
Xは、O、S、SO、SO2、若しくはNR2(ここでR2は、水素原子、(C1‐C6)アルキル基、(C1‐C6)アルキルカルボニル基、(C1‐C6)アルコキシカルボニル基、(C1‐C6)アルキルスルホニル基;又はハロ(C1‐C6)アルキルスルホニル基;を示す。)を示す。
又はNR2のR2がR1と結合して、R2が結合している窒素原子とともに、無置換又は1置換の5~8員の飽和の含窒素脂肪族複素環を形成してもよい(ここで置換基とは、エトキシカルボニル基、又は(C5‐C8)アルキレンジオキシ基(アルキレンジオキシ基は同一の炭素原子と結合しているものとする。)を示す。
Yは、(c1)ハロゲン原子;を示し、
mは、0、又は1を示す。
Zは、同一又は異なってもよく、(d1)ハロゲン原子;又は(d2)(C1‐C 8)アルキル基;を示し、
nは0、1、又は2を示す。
但し、(C1‐C8)アルキルスルホニル基、(C1‐C8)アルコキシ(C1‐C8)アルキルスルホニル基、(C3‐C8)シクロアルキルスルホニル基、ハロ(C1‐C8)アルキルスルホニル基が、ピリジン環2位、及び4位に入ることはない。}で表されるベンゾイミダゾール化合物、またはその塩類、
[12]R1が、(b1)(C1‐C8)アルキル基;(b2)ハロ(C1‐C8)アルキル基;(b3)(C3‐C8)シクロアルキル基;又は(b6) 同一又は異なっても良く、(a)ハロゲン原子、(b)(C1‐C6)アルキル基、(c)ハロ(C1‐C6)アルキル基、(d)(C1‐C6)アルコキシ基、(e)ハロ(C1‐C6)アルコキシ基、(f)(C1‐C6)アルキルチオ基、(g)ハロ(C1‐C6)アルキルチオ基、(h)(C1‐C6)アルキルスルフィニル基、(i)ハロ(C1‐C6)アルキルスルフィニル基、(j)(C1‐C6)アルキルスルホニル基、(k)ハロ(C1‐C6)アルキルスルホニル基、及び(l)トリメチルシリル基から選択される1~5の置換基を有するアリール基;を示し、
Xが、O、S、又はNR2(R2は前記と同じ。)を示し、
Yが、(c1)ハロゲン原子;を示し、
mが、0、又は1を示し、
Zが、同一又は異なってもよく、(d1)ハロゲン原子;又は (d2)(C1‐C 8)アルキル基;を示し、
nが0、1、又は2を示す、[11]に記載のベンゾイミダゾール化合物、またはその塩類、
[13]R1が、(b1)ハロ(C1‐C8)アルキル基;を示し、
mが、0を示す、[11]に記載のベンゾイミダゾール化合物、またはその塩類、
[14]R1が、(b1)ハロ(C1‐C8)アルキル基;を示し、
mが、0を示し、
Zが、同一又は異なってもよく、(d1)ハロゲン原子;又は (d2)(C1‐C 8)アルキル基;を示し、
nが2を示す、[11]に記載のベンゾイミダゾール化合物、またはその塩類、
[15][11]~[14]のいずれか1つに記載のベンゾイミダゾール化合物、またはその塩類を有効成分として含有することを特徴とするコクシジウム症防除剤、
[16][15]に記載のコクシジウム症防除剤の有効量を対象動物(人間を除く。)に投与することを特徴とするコクシジウム症防除剤の使用方法、
[17]対象動物が鳥類である[16]に記載のコクシジウム症防除剤の使用方法、
[18]対象動物が鶏である[16]に記載のコクシジウム症防除剤の使用方法、
[19][11]~[14]のいずれか1つに記載のベンゾイミダゾール化合物、またはその塩類を対象動物(人間を除く。)に投与することを特徴とするコクシジウム症の防除方法、
[20]対象動物が鳥類である[19]に記載のコクシジウム症の防除方法、
[21]対象動物が鶏である[19]に記載のコクシジウム症の防除方法、
に関する。
【発明の効果】
【0007】
本願発明の2位にピリジル基が結合したN-アルキルスルホニル基を有するベンゾイミダゾール化合物又はその塩類はコクシジウム症防除剤として優れた効果を有する。また当該防除剤を含有することを特徴とする家畜用コクシジウム症防除剤組成物も提供される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本願発明の2位にピリジル基が結合した(N-アルキルスルホニル基を有する)ベンゾイミダゾール化合物又はその塩類の一般式(1)及び(1-1)の定義において、「ハロ」とは「ハロゲン原子」を意味し、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を示す。
【0009】
「(C1‐C8)アルキル基」とは、例えばメチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基、ノルマルペンチル基、イソペンチル基、ターシャリーペンチル基、ネオペンチル基、2,3‐ジメチルプロピル基、1‐エチルプロピル基、1‐メチルブチル基、2‐メチルブチル基、ノルマルヘキシル基、イソヘキシル基、2‐ヘキシル基、3‐ヘキシル基、2‐メチルペンチル基、3‐メチルペンチル基、1,1,2‐トリメチルプロピル基、3,3‐ジメチルブチル基、ノルマルヘプチル基、2‐ヘプチル基、3‐へプチル基、2‐メチルヘキシル基、3‐メチルヘキシル基、4‐メチルヘキシル基、イソヘプチル基、ノルマルオクチル基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1~8個のアルキル基を示し、「(C2‐C8)アルケニル基」とは、例えばビニル基、アリル基、イソプロペニル基、1‐ブテニル基、2‐ブテニル基、2‐メチル‐2‐プロペニル基、1‐メチル‐2‐プロペニル基、2‐メチル‐1‐プロペニル基、ペンテニル基、1‐ヘキセニル基、3,3‐ジメチル‐1‐ブテニル基、ヘプテニル基、オクテニル基等の直鎖又は分鎖状の炭素原子数2~8個のアルケニル基を示し、「(C2‐C8)アルキニル基」とは、例えばエチニル基、1‐プロピニル基、2‐プロピニル基、1‐ブチニル基、2‐ブチニル基、3‐ブチニル基、3‐メチル‐1‐プロピニル基、2‐メチル‐3‐プロピニル基、ペンチニル基、1‐ヘキシニル基、3‐メチル-1-ブチニル基、3,3‐ジメチル‐1‐ブチニル基、ヘプチニル基、オクチニル基等の直鎖又は分鎖状の炭素原子数2~8個のアルキニル基を示す。
【0010】
「(C1‐C6)アルキル基」とは、例えばメチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基、ノルマルペンチル基、イソペンチル基、ターシャリーペンチル基、ネオペンチル基、2,3‐ジメチルプロピル基、1‐エチルプロピル基、1‐メチルブチル基、2-メチルブチル基、ノルマルヘキシル基、イソヘキシル基、2‐ヘキシル基、3-ヘキシル基、2‐メチルペンチル基、3‐メチルペンチル基、1,1,2‐トリメチルプロピル基、3,3‐ジメチルブチル基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1~6個のアルキル基を示す。
【0011】
「(C3-C8)シクロアルキル基」とは、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基等の炭素原子数3~8個の環状のアルキル基を示し、「(C1‐C8)アルコキシ基」としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ノルマルプロポキシ基、イソプロポキシ基、ノルマルブトキシ基、セカンダリーブトキシ基、ターシャリーブトキシ基、ノルマルペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ターシャリーペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、2,3‐ジメチルプロピルオキシ基、1‐エチルプロピルオキシ基、1‐メチルブチルオキシ基、ノルマルヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、1,1,2‐トリメチルプロピルオキシ基、ノルマルヘプチルオキシ基、ノルマルオクチルオキシ基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1~8個のアルコキシ基を示す。
【0012】
「(C3‐C6)シクロアルキル基」とは、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素原子数3~6個の環状のアルキル基を示し、「(C1‐C6)アルコキシ基」としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ノルマルプロポキシ基、イソプロポキシ基、ノルマルブトキシ基、セカンダリーブトキシ基、ターシャリーブトキシ基、ノルマルペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ターシャリーペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、2,3‐ジメチルプロピルオキシ基、1‐エチルプロピルオキシ基、1‐メチルブチルオキシ基、ノルマルヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、1,1,2‐トリメチルプロピルオキシ基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1~6個のアルコキシ基を示す。
【0013】
「(C1‐C8)アルキルチオ基」としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、ノルマルプロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ノルマルブチルチオ基、セカンダリーブチルチオ基、ターシャリーブチルチオ基、ノルマルペンチルチオ基、イソペンチルチオ基、ターシャリーペンチルチオ基、ネオペンチルチオ基、2,3‐ジメチルプロピルチオ基、1‐エチルプロピルチオ基、1‐メチルブチルチオ基、ノルマルヘキシルチオ基、イソヘキシルチオ基、1,1,2‐トリメチルプロピルチオ基、ノルマルヘプチルチオ基、ノルマルオクチルチオ基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1~8個のアルキルチオ基を示し、「(C1‐C8)アルキルスルフィニル基」としては、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ノルマルプロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、ノルマルブチルスルフィニル基、セカンダリーブチルスルフィニル基、ターシャリーブチルスルフィニル基、ノルマルペンチルスルフィニル基、イソペンチルスルフィニル基、ターシャリーペンチルスルフィニル基、ネオペンチルスルフィニル基、2,3‐ジメチルプロピルスルフィニル基、1‐エチルプロピルスルフィニル基、1‐メチルブチルスルフィニル基、ノルマルヘキシルスルフィニル基、イソヘキシルスルフィニル基、1,1,2‐トリメチルプロピルスルフィニル基、ノルマルヘプチルスルフィニル基、ノルマルオクチルスルフィニル基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1~8個のアルキルスルフィニル基を示し、「(C1‐C8)アルキルスルホニル基」としては、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ノルマルプロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ノルマルブチルスルホニル基、セカンダリーブチルスルホニル基、ターシャリーブチルスルホニル基、ノルマルペンチルスルホニル基、イソペンチルスルホニル基、ターシャリーペンチルスルホニル基、ネオペンチルスルホニル基、2,3‐ジメチルプロピルスルホニル基、1‐エチルプロピルスルホニル基、1‐メチルブチルスルホニル基、ノルマルヘキシルスルホニル基、イソヘキシルスルホニル基、1,1,2‐トリメチルプロピルスルホニル基、ノルマルヘプチルスルホニル基、ノルマルオクチルスルホニル基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1~8個のアルキルスルホニル基を示す。
【0014】
「(C1‐C6)アルキルチオ基」としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、ノルマルプロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ノルマルブチルチオ基、セカンダリーブチルチオ基、ターシャリーブチルチオ基、ノルマルペンチルチオ基、イソペンチルチオ基、ターシャリーペンチルチオ基、ネオペンチルチオ基、2,3‐ジメチルプロピルチオ基、1‐エチルプロピルチオ基、1‐メチルブチルチオ基、ノルマルヘキシルチオ基、イソヘキシルチオ基、1,1,2‐トリメチルプロピルチオ基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1~6個のアルキルチオ基を示し、「(C1‐C6)アルキルスルフィニル基」としては、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ノルマルプロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、ノルマルブチルスルフィニル基、セカンダリーブチルスルフィニル基、ターシャリーブチルスルフィニル基、ノルマルペンチルスルフィニル基、イソペンチルスルフィニル基、ターシャリーペンチルスルフィニル基、ネオペンチルスルフィニル基、2,3‐ジメチルプロピルスルフィニル基、1‐エチルプロピルスルフィニル基、1‐メチルブチルスルフィニル基、ノルマルヘキシルスルフィニル基、イソヘキシルスルフィニル基、1,1,2‐トリメチルプロピルスルフィニル基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1~6個のアルキルスルフィニル基を示し、「(C1‐C6)アルキルスルホニル基」としては、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ノルマルプロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ノルマルブチルスルホニル基、セカンダリーブチルスルホニル基、ターシャリーブチルスルホニル基、ノルマルペンチルスルホニル基、イソペンチルスルホニル基、ターシャリーペンチルスルホニル基、ネオペンチルスルホニル基、2,3‐ジメチルプロピルスルホニル基、1‐エチルプロピルスルホニル基、1‐メチルブチルスルホニル基、ノルマルヘキシルスルホニル基、イソヘキシルスルホニル基、1,1,2‐トリメチルプロピルスルホニル基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1~6個のアルキルスルホニル基を示す。
【0015】
上記「(C1‐C8)アルキル基」、「(C2‐C8)アルケニル基」、「(C2‐C8)アルキニル基」、「(C3‐C8)シクロアルキル基」、「(C1‐C8)アルコキシ基」、「(C1‐C8)アルキルチオ基」、「(C1‐C8)アルキルスルフィニル基」、又は「(C1‐C8)アルキルスルホニル基」の置換し得る位置に1又は2以上のハロゲン原子が置換されていても良く、置換されるハロゲン原子が2以上の場合は、ハロゲン原子は同一又は異なっても良い。それぞれ、「ハロ(C1‐C8)アルキル基」、「ハロ(C2‐C8)アルケニル基」、「ハロ(C2‐C8)アルキニル基」、「ハロ(C3‐C8)シクロアルキル基」、「ハロ(C1‐C8)アルコキシ基」、「ハロ(C1‐C8)アルキルチオ基」、「ハロ(C1‐C8)アルキルスルフィニル基」、又は「ハロ(C1‐C8)アルキルスルホニル基」と示す。
【0016】
「(C1‐C6)アルキル基」、「(C2‐C6)アルケニル基」、「(C2‐C6)アルキニル基」、「(C3‐C6)シクロアルキル基」、「(C1‐C6)アルコキシ基」、「(C1‐C6)アルキルチオ基」、「(C1‐C6)アルキルスルフィニル基」、又は「(C1‐C6)アルキルスルホニル基」の置換し得る位置に1又は2以上のハロゲン原子が置換されていても良く、置換されるハロゲン原子が2以上の場合は、ハロゲン原子は同一又は異なっても良い。それぞれ、「ハロ(C1‐C6)アルキル基」、「ハロ(C2‐C6)アルケニル基」、「ハロ(C2‐C6)アルキニル基」、「ハロ(C3‐C6)シクロアルキル基」、「ハロ(C1‐C6)アルコキシ基」、「ハロ(C1‐C6)アルキルチオ基」、「ハロ(C1‐C6)アルキルスルフィニル基」、又は「ハロ(C1‐C6)アルキルスルホニル基」と示す。
【0017】
「(C1‐C6)」、「(C2‐C6)」、「(C3‐C6)」、「(C1‐C8)」、「(C2‐C8)」、「(C3‐C8)」等の表現は各種置換基の炭素原子数の範囲を示す。更に、上記置換基が連結した基についても上記定義を示すことができ、例えば、「(C3‐C8)シクロアルキル(C1‐C8)アルキル基」の場合は炭素数3~8個のシクロアルキル基が直鎖又は分岐鎖状の炭素数1~8個のアルキル基に結合していることを示す。
【0018】
本願発明の一般式(1)又は(1-1)で表されるベンゾイミダゾール化合物の塩類としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、燐酸塩等の無機酸塩類、酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩等の有機酸塩類、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、トリメチルアンモニウム等の無機又は有機の塩基との塩類を例示することができる。
【0019】
本願発明の一般式(1)又は(1-1)で表されるベンゾイミダゾール化合物又はその塩類は、その構造式中に1つの不斉中心を有する場合があり、本願発明は各光学異性体及びそれらが任意の割合で含まれる混合物をも全て包含するものである。
【0020】
本願発明のコクシジウム症防除剤の有効成分である一般式(1)で表されるベンゾイミダゾール化合物又はその塩類において、
Rとして好ましくは、(a1)(C1‐C8)アルキル基;である。
1として好ましくは、 (b1)(C1‐C8)アルキル基;(b2)ハロ(C1‐C8)アルキル基;(b3)(C3‐C8)シクロアルキル基;又は(b6) 同一又は異なっても良く、(a)ハロゲン原子、(b)(C1‐C6)アルキル基、(c)ハロ(C1‐C6)アルキル基、(d)(C1‐C6)アルコキシ基、(e)ハロ(C1‐C6)アルコキシ基、(f)(C1‐C6)アルキルチオ基、(g)ハロ(C1‐C6)アルキルチオ基、(h)(C1‐C6)アルキルスルフィニル基、(i)ハロ(C1‐C6)アルキルスルフィニル基、(j)(C1‐C6)アルキルスルホニル基、(k)ハロ(C1‐C6)アルキルスルホニル基、及び(l)トリメチルシリル基から選択される1~5の置換基を有するアリール基;である。
Xとして好ましくは、O、S、又はNR2(R2は前記と同じ。)である。
Yとして好ましくは、(c1)ハロゲン原子であり、mとして好ましくは、0、又は1である。
Zとして好ましくは、同一又は異なってもよく、 (d1)ハロゲン原子;又は(d2)(C1‐C 8)アルキル基;であり、nとして好ましくは0、1、又は2である。
より好ましくは、Rが、(a1)(C1‐C8)アルキル基;であり、R1が、(b1)ハロ(C1‐C8)アルキル基;であり、mが、0である。
更に好ましくは、Rが、(a1)(C1‐C8)アルキル基;であり、R1が、(b1)ハロ(C1‐C8)アルキル基;であり、mが、0であり、Zが、同一又は異なってもよく、 (d1)ハロゲン原子;又は (d2)(C1‐C 8)アルキル基;であり、nが2である。
【0021】
本願発明の一般式(1-1)で表されるベンゾイミダゾール化合物又はその塩類は、一般式(1)で表されるベンゾイミダゾール化合物又はその塩類を製造するための中間体として有用である。
なお、本願発明者らは、一般式(1)で表されるベンゾイミダゾール化合物は、水分の存在下速やかに加水分解が進行し、対応する一般式(1-1)で表されるベンゾイミダゾール化合物に変化することを確認している。また、対象動物においても、一般式(1)で表されるベンゾイミダゾール化合物又はその塩類を投与後の血中を分析すると対応する一般式(1-1)で表されるベンゾイミダゾール化合物が検出されることも確認している。従って、一般式(1)で表されるベンゾイミダゾール化合物又はその塩類のコクシジウム症に対する防除活性は中間体である一般式(1-1)で表されるベンゾイミダゾール化合物又はその塩類によるものである可能性があり、一般式(1)で表されるベンゾイミダゾール化合物又はその塩類はプロドラッグである可能性が高い。
【0022】
さらには、後掲の実施例のように、一般式(1-1)で表されるベンゾイミダゾール化合物又はその塩類にも、コクシジウム症防除活性が認められる。従って、一般式(1-1)で表されるベンゾイミダゾール化合物又はその塩類自体も、コクシジウム症防除剤の有効成分として有用である。
【0023】
本願発明の一般式(1-1)で表されるベンゾイミダゾール化合物又はその塩類において、
1として好ましくは、 (b1)(C1‐C8)アルキル基;(b2)ハロ(C1‐C8)アルキル基;(b3)(C3‐C8)シクロアルキル基;又は(b6) 同一又は異なっても良く、(a)ハロゲン原子、(b)(C1‐C6)アルキル基、(c)ハロ(C1‐C6)アルキル基、(d)(C1‐C6)アルコキシ基、(e)ハロ(C1‐C6)アルコキシ基、(f)(C1‐C6)アルキルチオ基、(g)ハロ(C1‐C6)アルキルチオ基、(h)(C1‐C6)アルキルスルフィニル基、(i)ハロ(C1‐C6)アルキルスルフィニル基、(j)(C1‐C6)アルキルスルホニル基、(k)ハロ(C1‐C6)アルキルスルホニル基、及び(l)トリメチルシリル基から選択される1~5の置換基を有するアリール基;である。
Xとして好ましくは、O、S、又はNR2(R2は前記と同じ。)である。
Yとして好ましくは、(c1)ハロゲン原子であり、mとして好ましくは、0、又は1である。
Zとして好ましくは、同一又は異なってもよく、 (d1)ハロゲン原子;又は(d2)(C1‐C 8)アルキル基;であり、nとして好ましくは0、1、又は2である。
より好ましくは、R1が、(b1)ハロ(C1‐C8)アルキル基;であり、mが、0である。
更に好ましくは、R1が、(b1)ハロ(C1‐C8)アルキル基;であり、mが、0であり、Zが、同一又は異なってもよく、 (d1)ハロゲン原子;又は (d2)(C1‐C 8)アルキル基;であり、nが2である。
【0024】
本願発明のコクシジウム症防除剤の有効成分である一般式(1)及び(1-1)で表されるベンゾイミダゾール化合物又はその塩類は、例えば下記製造方法によって製造することができるが、本願発明はこれらに限定されるものではない。
【0025】
製造方法1
【化3】
【0026】
工程[A]の製造方法
一般式(2‐2)で表されるニトリル化合物は、一般式(2‐3)で表される化合物と一般式(4)で表される化合物とを塩基及び不活性溶媒の存在下反応することにより製造することができる。
【0027】
本反応で使用する塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機塩基類、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等の酢酸塩類、カリウムt‐ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属アルコキシド類;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,8‐ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデック‐7‐エン等の第三級アミン類、ピリジン、ジメチルアミノピリジン等の含窒素芳香族化合物等を挙げることができ、その使用量は一般式(4)で表される化合物に対して通常1倍モル~10倍モルの範囲で使用される。
【0028】
本反応で使用する不活性溶媒としては、本反応の進行を著しく阻害しないものであれば良く、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の鎖状又は環状エーテル類、酢酸エチル等のエステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジメチルスルホキシド、1,3‐ジメチル‐2‐イミダゾリジノン、N‐メチルピロリドン等の極性溶媒等の不活性溶媒を例示することができ、これらの不活性溶媒は単独で又は2種以上混合して使用することができる。
【0029】
本反応は等モル反応であるので、各反応剤を等モル使用すれば良いが、いずれかの反応剤を過剰に使用することもできる。反応温度は室温から使用する不活性溶媒の沸点域で行うことができ、反応時間は反応規模、反応温度により一定しないが、数分~48時間の範囲で行えば良い。
【0030】
反応終了後、目的物を含む反応系から常法により目的物を単離すれば良く、必要に応じて再結晶、カラムクロマトグラフィー等で精製することにより目的物を製造することができる。また反応系から中間体を単離せずに、次工程を行ってもよい。
【0031】
工程[B]の製造方法
一般式(2‐1)で表されるカルボン酸化合物は、一般式(2‐2)で表されるニトリル化合物を塩基及び不活性溶媒の存在下、反応させることにより製造することができる。
【0032】
本反応で使用する塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機塩基類、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等の酢酸塩類等を挙げることができ、その使用量は一般式(2-2)で表される化合物に対して通常1倍モル~10倍モルの範囲で使用される。
【0033】
本反応で使用する不活性溶媒としては、本反応の進行を著しく阻害しないものであれば良く、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の鎖状又は環状エーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジメチルスルホキシド、1,3‐ジメチル‐2‐イミダゾリジノン、N‐メチルピロリドン等の極性溶媒等の不活性溶媒及び水を例示することができ、これらの不活性溶媒は単独で又は2種以上混合して使用することができる。
【0034】
反応終了後、目的物を含む反応系から目的物を常法により単離すれば良く、必要に応じて再結晶、カラムクロマトグラフィー等で精製することにより目的物を製造することができる。
【0035】
工程[C]の製造方法
一般式(2)で表されるアミド化合物は、一般式(2‐1)で表されるカルボン酸化合物と一般式(3)で表されるジアミノ化合物とを縮合剤、塩基及び不活性溶媒の存在下反応することにより製造することができる。
【0036】
本反応で使用する縮合剤としては、例えばシアノリン酸ジエチル(DEPC)、カルボニルジイミダゾール(CDI)、1,3‐ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl)、クロロ炭酸エステル類、ヨウ化2‐クロロ‐1‐メチルピリジニウム等を例示することができ、その使用量は一般式(2‐1)で表され化合物に対して1倍モル~1.5倍モルの範囲から適宜選択して使用すれば良い。
【0037】
本反応で使用する塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機塩基類、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等の酢酸塩類、カリウムt‐ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属アルコキシド類;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,8‐ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデック‐7‐エン等の第三級アミン類、ピリジン、ジメチルアミノピリジン等の含窒素芳香族化合物等を挙げることができ、その使用量は一般式(2‐1)で表される化合物に対して通常1倍モル~10倍モルの範囲で使用される。
【0038】
本反応で使用する不活性溶媒としては、本反応の進行を著しく阻害しないものであれば良く、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の鎖状又は環状エーテル類、酢酸エチル等のエステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジメチルスルホキシド、1,3‐ジメチル‐2‐イミダゾリジノン、N‐メチルピロリドン等の極性溶媒等の不活性溶媒、ピリジン等の含窒素芳香族化合物等を例示することができ、これらの不活性溶媒は単独で又は2種以上混合して使用することができる。
【0039】
本反応は等モル反応であるので、各反応剤を等モル使用すれば良いが、いずれかの反応剤を過剰に使用することもできる。反応温度は室温から使用する不活性溶媒の沸点域で行うことができ、反応時間は反応規模、反応温度により一定しないが、数分~48時間の範囲で行えば良い。
【0040】
反応終了後、目的物を含む反応系から常法により目的物を単離すれば良く、必要に応じて再結晶、カラムクロマトグラフィー等で精製することにより目的物を製造することができる。また反応系から中間体を単離せずに、次工程を行ってもよい。
【0041】
工程[D]の製造方法
一般式(1‐1)で表されるベンゾイミダゾ‐ル化合物は、一般式(2)で表されるアミド化合物を酸及び不活性溶媒の存在下、反応させることにより製造することができる。
【0042】
本反応で使用する酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸等の有機酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等のスルホン酸、リン酸等を例示することができ、その使用量は一般式(2)で表されるアミド化合物に対して0.01倍モル~10倍モルの範囲から適宜選択して使用すれば良い。
【0043】
本反応で使用する不活性溶媒としては、本反応の進行を著しく阻害しないものであれば良く、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の鎖状又は環状エーテル類、酢酸エチル等のエステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジメチルスルホキシド、1,3‐ジメチル‐2‐イミダゾリジノン、N‐メチルピロリドン等の極性溶媒等の不活性溶媒を例示することができ、これらの不活性溶媒は単独で又は2種以上混合して使用することができる。
反応終了後、目的物を含む反応系から目的物を常法により単離すれば良く、必要に応じて再結晶、カラムクロマトグラフィー等で精製することにより目的物を製造することができる。
【0044】
工程[E]の製造方法
一般式(1)で表わされるベンゾイミダゾ‐ル化合物は、一般式(1‐1)で表わされるベンゾイミダゾール化合物を不活性溶媒、及び塩基存在下、RSO2Clで表されるスルホニルクロリドと反応させることにより製造することができる。
【0045】
本反応で使用する塩基としては、例えば、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機塩基類、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等の酢酸塩類等を挙げることができ、その使用量は一般式(1-1)で表される化合物に対して通常1倍モル~10倍モルの範囲で使用される。
RSO2Clで表されるスルホニルクロリドの使用量は一般式(1-1)で表される化合物に対して通常1倍モル~10倍モルの範囲で使用される。
【0046】
本反応で使用できる不活性溶媒としては、本反応を著しく阻害しないものであれば良く、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類等、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等の鎖状又は環状エーテル類を挙げることができ、これらの不活性溶媒は単独で又は2種以上混合して使用することもできる。
【0047】
本反応における反応温度は通常約0℃から使用する溶媒の沸点の範囲で行えば良く、反応時間は反応規模、反応温度等により変化し、一定ではないが、数分~48時間の範囲で適宜選択すれば良い。
【0048】
反応終了後、目的物を常法により単離すれば良く、必要に応じて再結晶、蒸留等で精製することにより目的物を製造することができる。
【0049】
次に、本願発明化合物及びその中間体の具体例を以下に示す。下記の表において、Meはメチル基、Etはエチル基、n‐Proはノルマルプロピル基、n‐Buはノルマルブチル基、n‐Penはノルマルペンチル基、n‐Hexはノルマルヘキシル基、c‐Proはシクロプロピル基、c‐Penはシクロペンチル基、c-Hepはシクロヘプチル基、Phはフェニル基、TMSはトリメチルシリル基を示す。物性は融点(℃)又はH1‐NMRを示す。H1‐NMRデータは、第5表及び第9表に示す。
【0050】
【化4】
【0051】
【表1】
【0052】
【化5】
【0053】
【表2】
【0054】
【化6】
【0055】
【表3】
【0056】
【化7】
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】
【化8】
【0060】


【表6】
【0061】
【化9】
【0062】
【表7】
【0063】
【化10】
【0064】
【表8】
【0065】
【表9】
【0066】
本願発明のコクシジウム症防除剤の対象となる動物は、牛、豚、ウサギ、鳥類などの家畜、または犬、ウサギ又は猫等のペット(以後対象動物、ただし人間を除く。)であり、好ましくは鳥類(家禽)であり、さらに好ましくは鶏であるが、これらに限定されるものではない。なお、本願発明において、防除とは予防および治療を含むものである。
【0067】
コクシジウム症は、主としてアイメリア属、又はイソスポーラ属等に属する原虫(例えば、改定 獣医寄生虫学・寄生虫病学(1)総論/原虫、2007年11月20日発行、講談社サイエンティフィクスに記載)により引き起こされる感染症である。
【0068】
アイメリア属のコクシジウム症として、鶏のコクシジウム症は、アイメリア・テネラ(Eimeria tenella)、アイメリア・アセルブリナ(Eimeria acervulina)、アイメリア・ネカトリックス(Eimeria necatrix)、アイメリア・ブルネッテイ(Eimeria brunetti)、アイメリア・マキシマ(Eimeria maxima)、アイメリア・ミバティ(Eimeria mivati)、アイメリア・ミティス(Eimeria mitis)、アイメリア・プレコックス(Eimeria precox)、アイメリア・ハガニ(Eimeria hagani)等により引き起こされ、七面鳥ではアイメリア・メレアグリミティス(Eimeria meleagrimitis)、アイメリア・アデノイデス(Eimeria adenoides)、アイメリア・ガロパボニス(Eimeria gallopovonis)等により引き起こされることが知られている。一方、ウシ・ヒツジ等の反芻動物のコクシジウム症は、アイメリア・ボビス(Eimeria bovis)、アイメリア・ツェルニ(Eimeria zuernii)、アイメリア・アブルネンシス(Eimeria auburnensis)、アイメリア・エリプソイダリス(Eimeria ellipsoidalis)、アイメリア・アルロインギ(Eimeria arloingi)、アイメリア・オヴィナ(Eimeria ovina)、アイメリア・パルバ(Eimeria parva)等により引き起こされる事が知られている。豚のコクシジウム症は、アイメリア・デブリエキ(Eimeria debliecki)、アイメリア・スカブラ(Eimeria scabra)等により引き起こされる事が知られている。ウサギのコクシジウム症は、アイメリア・スティエダイ(Eimeria stiedai)、アイメリア・ペルホランス(Eimeria perforans)、アイメリア・マグナ(Eimeria magna)、アイメリア・メディア(Eimeria media)、アイメリア・イレシデュア(Eimeria irresidua)、アイメリア・ピリフォミス(Eimeria piriformis)、アイメリア・ネオレポリス(Eimeria neoleporis)、アイメリア・インテンスティナリス(Eimeria intenstinalis)、アイメリア・マツバヤシ(Eimeria matsubayashii)等に引き起こされる事が知られているがこれらに限定されるものではない。
【0069】
また、イソスポーラ属(シストイソスポーラ属とも言う)のコクシジウム症として、イソスポーラ・アラマタエンシス(Isospora alamataensis)、イソスポーラ・アンセリス(Isospora anseris)、イソスポーラ・ビゲミナ(Isospora bigemina)、イソスポーラ・ブロンコセラエ(Isospora bronchocelae)、イソスポーラ・ヘイドルニ(Isospora heydorni)、イソスポーラ・マンダリ(Isospora mandari)、イソスポーラ・メジロ(Isospora mejiro)、イソスポーラ・ペロミシ(Isospora peromysci)、イソスポーラ・ララ(Isospora rara)、イソスポーラ・チべタナ(Isospora thibetana)、イソスポーラ・カニス(Isospora canis)、イソスポーラ・オイエノシス(Isospora ohioensis)、イソスポーラ・フェリス(Isospora felis)、イソスポーラ・リボータ(Isospora rivolta)、イソスポーラ・スイース(Isospora suis)等により引き起こされる事が知られているがこれらに限定されるものではない。
【0070】
本願発明の防除剤を用いる場合には、他に何らの成分も加えず、そのままベンゾイミダゾール化合物又はその塩類を使用してもよいが、通常はベンゾイミダゾール化合物又はその塩類にさらに固体坦体、液体坦体等の賦形剤を加え、通常の方法(例えば「製剤学」大塚昭信ら編、1995年、南江堂に記載される方法等)に準じて錠剤、粉末剤、顆粒剤、カプセル剤、水溶剤、液剤、水和剤及び懸濁剤等に製剤化してから使用するのが好ましい。固体坦体である賦形剤としては例えば、乳糖、ショ糖、ブドウ糖、コーンスターチ、ゼラチン、カゼイン、澱粉、アラビアガム、セルロース誘導体、アルギン酸等が挙げられる。また液体担体である賦形剤としては例えば、水、グリセリン、植物油、脂肪酸、脂肪酸エステル、ソルビトール等が挙げられる。
【0071】
本願発明の防除剤には、例えば、ペプチド亜鉛、ペプチド鉄等の有機ミネラル、炭酸亜鉛、炭酸マンガン、硫酸鉄、炭酸マグネシウム等の無機ミネラル、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、葉酸、パントテン酸、ニコチン酸等のビタミン類、アルファルファミール、圧ペントウモロコシ等をさらに含有させてもよい。また、嗜好性を高めるために、フレーバー等を同時に給与してもよい。必要により、抗菌剤、防カビ剤、駆虫剤、抗酸化剤、色素、着香料、呈味料、酵素のような通常の添加物を混合してもよく、通常の方法により、散剤、顆粒剤、液剤、錠剤等の形態に製剤化して用いるのが好ましい。これらの製剤には、有効成分としてベンゾイミダゾール化合物又はその塩類を、通常、重量比で約0.01~95重量%含有させてもよい。
【0072】
このようにして製剤化された本願発明の防除剤は、そのままで、あるいは水等で希釈して使用することができる。また、さらに他の抗菌剤、防カビ剤、駆虫剤、抗酸化剤、色素、着香料、呈味料、酵素のような通常の添加物等が混用又は同時若しくは非同時に併用されてもよい。
【0073】
本願発明の防除剤の対象動物への投与について特別の制限はなく、後述のような飼料へ撒布、混合など従来公知の方法によることができる。投与量は、対象動物のコクシジウム症防除効果に有効な量、即ち、他の条件を等しくした場合において、本願発明の防除剤を投与したときの方が投与しないときに較べて対象動物のコクシジウム症防除効果が増進される量である。
【0074】
対象動物に投与しようとする本願発明の防除剤の有効成分を混合、ゲル化し自由摂取させる方法は、孵化場及び育雛農場のいずれでも実施することができる。また、孵化場から育雛農場への家禽の輸送中にも実施することができる。
【0075】
また、本願発明の防除剤の有効成分に所定量の水溶性多糖類の粉末を配合したゲル化用調製物を用意し、孵化場及び農場で使用する際に水で希釈しゲル状固形物とし、対象とする対象動物に投与する方法(即ち、自由摂取、そ嚢内直接投与)も実施することができる。
【0076】
製剤化した防除剤は通常は単独で用いるが、水で希釈して製剤希釈液として使用することができる(即ち、飲水希釈投与)。当該製剤希釈液中の有効成分濃度としては、通常、約10~10000ppmの範囲が好ましく、より好ましくは約35~5000ppmの範囲である。当該製剤希釈液の投与方法としては、通常、水1Lに対して防除剤を約0.01~500g溶解して、投与液量に処理する方法等が挙げられる。好ましくは、水1Lに対して約0.035~350gを溶解し投与する方法等が挙げられる。
【0077】
このようにして調製した製剤希釈液を対象動物に投与するには、飲水添加装置等を用いて当該製剤希釈液を投与すればよい。当該製剤希釈液の投与液量は、対象となる家禽の大きさ、生育状況、飼育密度及び投与方法等に応じて適宜決定すればよいが、通常10,000羽当たり約300~2000リットル程度が好ましい。
【0078】
本願発明の防除剤の投与の時期及び実施期間は、採卵用種及び肉用種において、対象動物の全期間継続して、好ましくは幼雛期(孵化後0~5週令の鶏)に投与することである。
【0079】
防除剤の投与量は、対象動物の種類や大きさ等により適宜決定すればよいが、一般に投与総量として0.005~2gの範囲が好ましい。より好ましくは0.005~1gの範囲である。
【0080】
本願発明の防除剤組成物は、前記防除剤を動物用飼料又は飲料水若しくは生理電解質溶液等に添加して防除剤組成物とされる。防除剤の添加量としては、防除剤組成物全量に対して約0.005~10.0重量%の範囲が好ましい。
【0081】
本願発明の防除剤組成物に用いられる対象動物用飼料又は飲料水若しくは生理電解質溶液は、一般に使用されているものであればよく特に限定されるものではない。これらの一例としては、とうもろこし、米、麦、マイロ、大豆粕、ふすま、脱脂米ぬか、魚粉、脱脂粉乳、乾燥ホエー、油脂、アルファルファミール、北洋ミール、大豆油脂、粉末精製牛脂、小麦粉、なたね油脂、肉骨粉(フェザーミール)、動物性油脂、リン酸カルシウム、コーングルテンミール、糖蜜、コーンジャームミール、炭酸カルシウム、リン酸三カルシウム、塩化ナトリウム、塩化コリン、ビタミン類(ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンD、ビタミンE、パントテン酸カルシウム、ニコチン酸アミド、葉酸等)、アミノ酸類(リジン、メチオニン等)、微量無機塩類(硫酸マグネシウム、硫酸鉄、硫酸銅、硫酸亜鉛、ヨウ化カリウム、硫酸コバルト等)、生菌剤等を適宜混合して調製した飼料等が挙げられる。
【0082】
本願発明の防除剤組成物には、その他に例えば、ペプチド亜鉛、ペプチド鉄等の有機ミネラル、炭酸亜鉛、炭酸マンガン、硫酸鉄、炭酸マグネシウム等の無機ミネラル、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、葉酸、パントテン酸、ニコチン酸等のビタミン類、アルファルファミール、圧ペントウモロコシ等がさらに含有されていてもよい。また、嗜好性を高める為、同時にフレーバー等を給与してもよい。
【0083】
本願発明の防除剤組成物の対象動物への投与方法に特に制限はなく、後述のような飼料へ撒布、混合等適宜の方法を利用した給与法によることができる。なお防除剤組成物の投与量は、要するに対象動物のコクシジウム防除効果に有効な量、即ち、他の条件を等しくした場合において、本願発明の防除剤組成物を投与したときの方が投与しないときに較べて家禽のコクシジウム防除効果が増進される量である。
【0084】
本願発明の防除剤組成物の投与の時期及び実施期間は、採卵用種及び肉用種において、対象動物の全期間継続して、好ましくは幼雛期(孵化後0~5週令の鶏)に投与する。より好ましくは孵化後0~21日間継続して投与する。
【0085】
本願発明の防除剤組成物は、対象動物用飼料に配合して用いる場合には、ベンゾイミダゾール化合物又はその塩類を約0.0005~5重量%、好ましくは約0.05~2重量%の割合で用いることができる。また、飲料水若しくは生理電解質溶液に添加して用いる場合には、ベンゾイミダゾール化合物又はその塩類を約0.035~3.5重量%、好ましくは約0.035~1.4重量%の割合で用いることができる。
【0086】
本願発明の防除方法は、本願発明の防除剤又は本願発明の防除剤組成物の有効量を対象動物に投与する工程を有する。当該方法において、防除剤又は防除剤組成物は前記動物に通常の方法で与えることができる。上記の有効量は、いずれも製剤の種類、対象動物、摂取させる期間等の状況によって異なり、上記の範囲に関わることなく増減して適宜選択することができる。
【0087】
具体的には例えば、本願発明の防除剤を対象動物に投与するのに適した濃度になるように水で希釈し、得られた希釈液を対象動物に投与する。尚、希釈倍率は従来の飲水希釈投与法に準じて適用すればよく、例えば、5~10倍程度の希釈液が好ましく使用される。また、本願発明の防除剤を所定濃度になるように水で希釈し、これに攪拌下水溶性多糖類を添加混合し、均一な溶液とし、常温で放置するか、若しくは冷所(例えば、冷蔵庫等)に保管することによりゲル状固形物を得る。または高温で溶解し低温で凝固するゲル化剤(例えば、寒天、ゼラチン等)を用いる場合には、本願発明の防除剤にあらかじめゲル化剤を加えておき、これを常温で放置するか、若しくは冷所(例えば、冷蔵庫等)に保管することによってゲル状固形物を得る。このようにして得られたゲル状固形物を家禽に投与してもよい。尚、ゲル化した場合のゲル強度は、概ね200~2000g/cm2 が適当であり、寒天を用いた場合には寒天の種類により異なるが、概ね0.5~3.0%の濃度に相当する。
【0088】
本願発明の防除剤を水媒体中でゲル化させるのに使用される多糖類しては、例えば、寒天、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース、澱粉、マンナン、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、アラビヤガム、ロウカストビーンガム、キサンタンガム、キトサン、グアーガム、ペクチン、アルギン酸プロピルグリコールエステル、アラビノガラクタン、ガティガム、タマリンドシードガム、プルラン、モルホリン脂肪酸塩、カードラン、トラガントガム等が挙げられる。これらの多糖類の中でも、安価且つ容易に入手し得る点から、特に寒天、澱粉、マンナン、ゼラチンを用いることが好ましい。
【0089】
例えば、前記のゲル状固形物を、飲料水量及び飼料摂取量の少ない概ね0~7日令の家禽に投与すると、床面の固形物を嘴で突っついて摂取しようとする家禽の遺伝的プログラム(習性)によって短時間に本願発明の防除剤の必要量を省力的に摂取させることができる。この際、前記のような若令期の家禽に投与することが困難であった生菌剤、ワクチン、薬剤、栄養等も必要に応じて本願発明の防除剤と共に混合して水溶性多糖類でゲル化させておくと、本願発明の防除剤と同時に効率よく家禽に投与することもできる。また、雛鶏の時期における水分及び栄養の補給はその後の生産性にとって極めて重要であり、栄養を投与する場合には、グルコース、マンノース、フラクトース等の単糖類及びこれらのオリゴ体、シュークロース等の二糖類の糖類等の炭水化物、スキムミルク等の蛋白質、脂質に加えてビタミン、ミネラル等が挙げられる。
【0090】
また、本願発明のコクシジウム症防除剤の効果を補強又は補完する目的で既存のコクシジウム症防除剤を併用することもできる。併用にあたっては投与前に2種以上の有効成分を混合した製剤でもよく、異なる2種以上の製剤を別々に投与してもよい。
【実施例
【0091】
以下で、本願発明の製造例、製剤例及び試験例によりさらに詳しく説明するが、本願発明はこれらの例に何ら限定されるものではない。
【0092】
製造例1.
中間体(2‐2)の製造例
5‐シアノ‐2‐(2,2,3,3,3‐ペンタフルオロプロピルオキシ)ピリジンの製造方法
【化11】
2‐クロロ‐5‐シアノピリジン(4.16g,30mmol)をNMP(60mL)に溶解させ、2,2,3,3,3‐ペンタフルオロプロパノール(6.77g,1.5当量)、炭酸カリウム(12.4g,3.0当量)を添加した後、100℃で加熱し2時間反応した。室温まで冷却後、水、酢酸エチルを加え分液し、有機層をブラインで洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去後、カラムクロマトグラフィーで精製し、目的物(7.03g、収率93%)を得た。
【0093】
製造例2.
6‐(2,2,3,3,3‐ペンタフルオロプロピルオキシ)ニコチン酸の製造方法
【化12】
前記工程で得られた5‐シアノ‐2‐(2,2,3,3,3‐ペンタフルオロプロピルオキシ)ピリジン(6.02g,24mmol)をエタノール(30mL)に溶解し、水(30mL)、水酸化ナトリウム(9.60g,10当量)を添加した後、2時間還流した。室温まで冷却後、氷浴下で10%塩酸水を滴下し中和し、酢酸エチルで抽出を行った。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去し、目的物を主とする混合物(6.40g)を得た。
【0094】
製造例3.
2‐(6‐(2,2,3,3,3‐ペンタフルオロプロピルオキシ)ピリジン‐3‐イル)ベンゾイミダゾールの製造方法(中間体化合物11-6)
【化13】
6‐(2,2,3,3,3‐ペンタフルオロプロピルオキシ)ニコチン酸(1.47g,5.4mmol)をピリジン(10mL)に溶解し、フェニレンジアミン(0.70g,1.2当量)、DMAP(0.13g,0.2当量)、EDC・HCl(1.54g,1.5 当量)を添加した後、室温で3時間反応した。水、酢酸エチルを加えて分液し、有機層を10%塩酸水、炭酸カリウム水溶液、ブラインで順に洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去した。残渣をNMP(10mL)に溶解し、パラトルエンスルホン酸一水和物(3.08g,3当量)を添加した後、140℃で1時間反応した。室温まで冷却後、炭酸カリウム水溶液、酢酸エチルを加えて分液した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去後、カラムクロマトグラフィーで精製し、目的物(0.67g,融点:234‐239℃,収率36%(前工程から))を得た。
【0095】
製造例4.
2‐(6‐(2,2,3,3,3‐ペンタフルオロプロピルオキシ)ピリジン‐3‐イル)‐1‐エタンスルホニルベンゾイミダゾ‐ル(化合物番号1-7)の製造方法
【化14】
前記工程で得られた2‐(6‐(2,2,3,3,3‐ペンタフルオロプロピルオキシ)ピリジン‐3‐イル)ベンゾイミダゾール(610mg,1.8mmol)をTHF(10mL)に溶解し、60%水素化ナトリウム(108mg,1.5当量)を室温、撹拌下で加えた。10分間反応した後、エタンスルホニルクロリド(463mg,2.0当量)を添加し、1時間反応した。水、酢酸エチルを順に加え、分液した。有機層を炭酸カリウム水溶液、ブラインで順に洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒留去後、濃縮残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し、目的物(695mg,収率89%)を得た。
【0096】
製造例.5
5, 6-ジブロモ-2‐(6‐(2,2,3,3,3‐ペンタフルオロプロピルオキシ)ピリジン‐3‐イル)ベンゾイミダゾール(中間体化合物11-5)の製造方法
【化15】
6‐(2,2,3,3,3‐ペンタフルオロプロピルオキシ)ニコチン酸(1.47g,5.4mmol)をピリジン(10mL)に溶解し、4, 5-ジブロモフェニレンジアミン(1.72g,1.2当量)、DMAP(0.13g,0.2当量)、EDC・HCl(1.54g,1.5 当量)を添加した後、室温で3時間反応した。水、酢酸エチルを加えて分液し、有機層を10%塩酸水、炭酸カリウム水溶液、ブラインで順に洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去した。残渣を酢酸(10mL)に溶解し、加熱還流下で1時間反応した。室温まで冷却後、水酸化ナトリウム水溶液で中和し、酢酸エチルで抽出を行った。有機層をブラインで洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去後、カラムクロマトグラフィーで精製し、目的物(0.43g,融点:218‐220℃,収率16%(前工程から))を得た。
【0097】
製剤例1. 散剤
ベンゾイミダゾール化合物25部と、乳糖25部とを乳鉢でよく混合した後、当該混合物を充分攪拌混合することにより、散剤を得る。
【0098】
製剤例2. 顆粒剤
ベンゾイミダゾール化合物25部と乳糖25部とを加え、よく攪拌混合する。次いで、これらの混合物に適当量の水を加え、さらに攪拌した後、これを造粒機で製粒し、通風乾燥することにより、顆粒剤を得る。
【0099】
製剤例3. 水和剤
ベンゾイミダゾール化合物25部、珪藻土65部、高級アルコール硫酸エステル5部、アルキルナフタレンスルホン酸塩5部を均一に混合して微細に粉砕することにより、水和剤を得る。
【0100】
試験例1. 鶏コクシジウム(Eimeria tenella)に対する発育阻害評価試験
本願発明の一般式(1)で表されるベンズイミダゾール化合物又はその塩類を調整液にて所定濃度に希釈してマイクロタイタープレートに入れ、その中に鶏コクシジウムのスポロゾイトを感染させた哺乳類細胞をインキュベートした。48時間後に、鶏コクシジウムの成熟シゾントへの発育阻害程度を間接免疫蛍光法にて調査し、EC50値を算出した。
【0101】
その結果、本願発明化合物の化合物番号1-1、1-2、1-3、1-4、1-5、1-6、1-7、1-8、1-9、1-10、1-11、1-12、1-13、1-14、1-15、1-16、1-17、1-18、1-19、1-20、1-21、1-22、1-23、1-24、1-25、1-26、1-27、1-28、1-29、2-1、3-1、4-1、11-1、11-3、11-4、及び11-5のEC50値は20μM以下であった。その中、化合物番号1-2、1-3、1-4、1-5、1-6、1-7、1-11、1-12、1-13、1-14、1-15、1-16、1-17、1-18、1-19、1-20、1-22、1-23、1-24、1-25、1-26、1-27、1-28、1-29、3-1、及び4-1のEC50値は1μM以下であった。
【0102】
なお、本願化合物は水分の存在下速やかに加水分解が進行し、対応する中間体に変化することが確認されている。更に対象動物においても、本願化合物を投与後の血中を分析すると対応する中間体が検出されることから、コクシジウム症に対する活性は中間体による可能性があり、本願化合物はプロドラッグである可能性が高い。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本願発明により、対象動物に投与して優れた効果を発揮する対象動物用コクシジウム症防除剤及びそれを用いる対象動物のコクシジウム症防除剤の使用方法を提供することができる。