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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】空気調和機の室外機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/38 20110101AFI20240704BHJP
   F24F 1/50 20110101ALI20240704BHJP
   F24F 1/40 20110101ALN20240704BHJP
【FI】
F24F1/38
F24F1/50
F24F1/40
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022541078
(86)(22)【出願日】2020-08-07
(86)【国際出願番号】 JP2020030351
(87)【国際公開番号】W WO2022029997
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2022-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】日本キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 壮軌
(72)【発明者】
【氏名】田畑 佳輝
(72)【発明者】
【氏名】深澤 佑介
(72)【発明者】
【氏名】山梨 紘哉
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-242017(JP,A)
【文献】特開2019-138609(JP,A)
【文献】実開平01-058025(JP,U)
【文献】特開2017-141972(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0141479(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00-13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行に延びる一対の横架材を有するフレームと、
前記一対の横架材の間に架かるモーターベースと、
ケーシングと、前記ケーシングから軸方向に突出する回転軸と、前記ケーシングの外周面から突出する脚部と、を有し、前記モーターベースに支持される電動機と、
前記回転軸に取り付けられて、前記電動機によって回転駆動される羽根車と、を備え、
前記モーターベースは、
前記一対の横架材の間に架かる一対の第一桁部と、
前記一対の第一桁部の間に架かり前記一対の第一桁部を一体に連結する一対の第二桁部と、
それぞれの前記第二桁部に設けられて前記第二桁部の長手方向に延びる一対の支持架部であって、前記一対の第一桁部および前記一対の第二桁部を通る仮想平面の法線方向へ突出する立上板部と、前記立上板部の頂点に連なり水平方向へ突出するフランジ部と、を有する支持架部と、を備え、
前記一対の支持架部のそれぞれに設けられる前記フランジ部は、互いに近付く方向に突出し、
前記支持架部は、前記電動機の脚部が前記フランジ部に固定されて、前記電動機を支持する空気調和機の室外機。
【請求項2】
前記一対の第一桁部の一方の端部の間、および前記一対の第一桁部の他方の端部の間のそれぞれに架かる一対の第三桁部を備え、
前記一対の第三桁部の一方は、前記一対の横架材の一方に接し、前記一対の第三桁部の他方は、前記一対の横架材の他方に接する請求項1に記載の空気調和機の室外機。
【請求項3】
前記モーターベースは、板金加工の一体成形品であって、それぞれの縁部に折り曲げ加工による補強リブを有する請求項1または2に記載の空気調和機の室外機。
【請求項4】
前記モーターベースを前記フレームに固定する締結部材を備える請求項1から3のいずれか1項に記載の空気調和機の室外機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の室外機に関する。
【背景技術】
【0002】
フロントビームとリアビームとを有する筐体と、フロントビームとリアビームとの間に設けられるモーターブラケットと、モーターブラケットに搭載される送風機と、を備える空気調和機の室外機が知られている。モーターブラケットは、フロントビームとリアビームとの間に平行に掛け渡される一対の梁部材である。それぞれの梁部材の一方の端部は、フロントビームにネジで固定され、それぞれの梁部材の他方の端部は、リアビームにネジで固定されている。
【0003】
送風機は、電動機と、電動機の回転軸に取り付けられる送風ファンと、を備えている。電動機は、モーターブラケットに搭載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-155968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フロントビームおよびリアビームは、機械室と送風機室との境界に沿って配置されている。機械室は、熱交換器および圧縮機を収容し、送風機室は、送風機を収容している。駆動する送風機は、空気、つまり熱交換器で熱交換された後の外気を機械室から送風機室へ流動させる。したがって、モーターブラケットは、機械室から送風機室へ流動する空気の流れを妨げたり、空気の流動にともなう騒音、例えば風切り音を生じたりしないことが好ましい。そのため、モーターブラケットは、機械室から送風機室の方向へ見た投影面積が小さいことが好ましい。
【0006】
また、モーターブラケットは、送風機の重量を支え、かつ送風機の回転によって生じる振動を支える。そのため、モーターブラケットは、十分な剛性を有する必要がある。
【0007】
そこで、本発明は、送風機の駆動にともなう空気の流動を妨げず、回転機械である送風機の重量と回転にともなう振動とを支持する十分な剛性を有するモーターベースを備える空気調和機の室外機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するため本発明の実施形態に係る空気調和機の室外機は、平行に延びる一対の横架材を有するフレームと、前記一対の横架材の間に架かるモーターベースと、ケーシングと、前記ケーシングから軸方向に突出する回転軸と、前記ケーシングの外周面から突出する脚部と、を有し、前記モーターベースに支持される電動機と、前記回転軸に取り付けられて、前記電動機によって回転駆動される羽根車と、を備え、前記モーターベースは、前記一対の横架材の間に架かる一対の第一桁部と、前記一対の第一桁部の間に架かり前記一対の第一桁部を一体に連結する一対の第二桁部と、それぞれの前記第二桁部に設けられて前記第二桁部の長手方向に延びる支持架部であって、前記一対の第一桁部および前記一対の第二桁部を通る仮想平面の法線方向へ突出する立上板部と、前記立上板部の頂点に連なり水平方向へ突出するフランジ部と、を有する支持架部と、を備え、前記一対の支持架部のそれぞれに設けられる前記フランジ部は、互いに近付く方向に突出し、前記支持架部は、前記電動機の脚部が前記フランジ部に固定されて、前記電動機を支持する
【0009】
また、本発明の実施形態に係る空気調和機の室外機は、前記一対の第一桁部の一方の端部の間、および前記一対の第一桁部の他方の端部の間のそれぞれに架かる一対の第三桁部を備え、前記一対の第三桁部の一方は、前記一対の横架材の一方に接し、前記一対の第三桁部の他方は、前記一対の横架材の他方に接していることが好ましい。
【0010】
本発明の実施形態に係る空気調和機の室外機の前記モーターベースは、板金加工の一体成形品であって、それぞれの縁部に折り曲げ加工による補強リブを有していることが好ましい。
【0011】
本発明の実施形態に係る空気調和機の室外機は、前記モーターベースを前記フレームに固定する締結部材を備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施形態によれば、送風機の駆動にともなう空気の流動を妨げず、回転機械である送風機の重量と回転にともなう振動とを支持する十分な剛性を有するモーターベースを備える空気調和機の室外機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る空気調和機の室外機の斜視図。
図2】本発明の実施形態に係る空気調和機の室外機のフレーム、モーターベース、送風機の斜視分解図。
図3】本発明の実施形態に係る空気調和機の室外機の要部の斜視図。
図4】本発明の実施形態に係る室外機のモーターベースの斜視図。
図5】本発明の実施形態に係る室外機のモーターベースの平面図。
図6】室外機のモーターベースの比較例の斜視図。
図7】本発明の実施形態に係る室外機のモーターベースと比較例との支持剛性の優劣を説明する図。
図8】本発明の実施形態に係る室外機のモーターベースと比較例との振動振幅の優劣を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る空気調和機の室外機の実施形態について図1から図8を参照して説明する。なお、複数の図面中、同じまたは相当する構成には同一の符号が付されている。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る空気調和機の室外機の斜視図である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係る空気調和機は、室外機1と、室内機(図示省略)と、を備えている。室内機の設置場所は建築物の室内である。室外機1の設置場所は建築物の室外である。室外機1は、水平な基礎の上に設置される。室内機は、室内の天井に埋め込まれたり、天井や梁から吊り下げられたりして設置される。
【0017】
また、空気調和機は、冷凍サイクル(図示省略)を備えている。冷凍サイクルは、熱源側の熱交換器(図示省略)と、圧縮機(図示省略)と、利用側の熱交換器(図示省略)と、膨張機(図示省略)と、これらの機器に冷媒を循環させる冷媒管(図示省略)と、を備えている。冷凍サイクルは、空気調和機の冷却運転と加熱運転とを切り替える四方弁(図示省略)を備えていても良い。
【0018】
室外機1は、冷凍サイクルの熱源側の熱交換器、圧縮機、および四方弁を収容している。室内機は、冷凍サイクルの利用側の熱交換器を収容している。膨張機は、室内機に収容されていても良いし、室外機に収容されていても良い。室外機と室内機とは、渡り配管(図示省略)を介して接続されている。渡り配管は、冷媒管の一部である。空気調和機は、室外機1側の熱交換器と室内機側の熱交換器との間で冷媒を循環させて室内の空気を調和する。
【0019】
図2は、本発明の実施形態に係る空気調和機の室外機のフレーム、モーターベース、送風機の斜視分解図である。
【0020】
図3は、本発明の実施形態に係る空気調和機の室外機の要部の斜視図である。
【0021】
図1に加えて、図2および図3に示すように、本実施形態に係る空気調和機の室外機1は、高さ寸法よりも幅寸法が小さく、かつ幅寸法よりも奥行き寸法が小さい直方体形状の筐体2と、筐体2に設けられるモーターベース3と、モーターベース3に支持される送風機5と、を備えている。
【0022】
筐体2の内部には、熱交換器および圧縮機を収容する機械室6と、送風機5を収容する送風機室7と、が区画されている。機械室6は、筐体2内の下部に配置されている。送風機室7は、機械室6の上方に配置されている。送風機室7の上面には、吹出口11が設けられている。
【0023】
また、機械室6および送風機室7は、筐体2の幅方向に2つずつ並んでいる。筐体2の正面視(図1の実線矢印F方向視)において筐体2の左側の機械室6を左機械室6Lとし、筐体2の右側の機械室6を右機械室6Rとする。また、筐体2の正面視において筐体2の左側の送風機室7を左送風機室7Lとし、筐体2の右側の送風機室7を右送風機室7Rとする。それぞれの左機械室6Lおよび右機械室6Rには、熱源側の熱交換器が個別に配置されている。
【0024】
左送風機室7Lには左送風機5Lが配置されている。右送風機室7Rには右送風機5Rが配置されている。左送風機5Lの真上には左吹出口11Lが設けられている。右送風機5Rの真上には右吹出口11Rが設けられている。つまり、室外機1は、複数の送風機5と、送風機5と同数の吹出口11と、を備えている。
【0025】
なお、左機械室6Lと右機械室6Rとの境界、左送風機室7Lと右送風機室7Rとの境界、および左吹出口11Lと右吹出口11Rとの境界は、明らかであっても良いし、不明瞭であっても良い。
【0026】
筐体2は、フレーム15と、フレーム15を覆う外板16と、を備えている。
【0027】
フレーム15は、鋼板の板金加工品である複数の部材の組立品である。各部材はネジ止めや溶接によって接合されている。フレーム15は、筐体2の底面に配置されるベースフレーム21と、ベースフレーム21の四隅それぞれから上方へ延びる4つのピラー22と、隣り合うピラー22の間のそれぞれに架け渡される4つのビーム23(横架材)と、を備えている。
【0028】
ベースフレーム21は、被設置面に平行に延びて井桁状に組み合わされた複数の桁材25を備えている。複数の桁材25は、筐体2の正面に沿う前桁材25F、筐体2の背面に沿う後桁材25R、前桁材25Fと後桁材25Rとの間に架設される複数の縦桁材25Cと、を含んでいる。前桁材25Fと後桁材25Rとは、平行に延びている。前桁材25Fの左端は、筐体2の底部の左前の角部に相当し、前桁材25Fの右端は、筐体2の底部の右前の角部に相当する。後桁材25Rの左端は、筐体2の底部の左後ろの角部に相当し、後桁材25Rの右端は、筐体2の底部の右後ろの角部に相当する。
【0029】
4つのピラー22は、互いに平行に延びている。4つのピラー22は、実質的に同じ長さ寸法を有している。ピラー22の長さは、筐体2の高さに相当する。
【0030】
4つのビーム23は、ピラー22の長さの中途であって、筐体2の高さ方向において実質的に同じ箇所に架け渡されている。換言すると、4つのビーム23は、筐体2を被設置面に接地した状態で、実質的に被設置面に平行に延びている。4つのビーム23は、機械室6と送風機室7との境である。4つのビーム23より下方の筐体2の内部空間は、機械室6であり、4つのビーム23より上方の筐体2の内部空間は、送風機室7である。
【0031】
4つのビーム23は、左前のピラー22と右前のピラー22とに架け渡されるフロントビーム23Fと、左後ろのピラー22と右後ろのピラー22とに架け渡されるリアビーム23Rと、を含んでいる。これらフロントビーム23Fとリアビーム23Rとは、平行に延びている。
【0032】
外板16は、筐体2の機械室6の正面、すなわち前の側面を覆い、かつ同一面内で適宜に分割されている。筐体2の背面、左側面、および右側面は、開口を有している。この開口には、熱交換器が露出している。外板16は、鋼板の板金加工品である複数の部材を含んでいる。それぞれの部材は、フレーム15にネジ止めされている。
【0033】
室外機1に収容される熱交換器は、左機械室6Lおよび右機械室6Rのそれぞれに設けられている。熱交換器は、ピラー22で囲まれる筐体2の背面、左側面、および右側面のそれぞれに沿っている。それぞれの熱交換器は、筐体2の平面視でコの字形状(図示省略)に形成された板状の熱交換器であり、左機械室6Lおよび右機械室6Rに個別に設けられている。それぞれの熱交換器は、コの字の開口部を筐体2の正面である外板16へ向けている。そのため、筐体2の機械室6は、背面、左側面、および右側面の開口に露出する熱交換器に、直接外気を送り込み、送風機室7へ外気が抜ける構造を有している。
【0034】
フロントビーム23Fは、断面L字形状の鋼板の一体成形品である。フロントビーム23Fは、左前のピラー22と右前のピラー22との間に水平に架け渡されている。フロントビーム23Fの左側の端部は、左前のピラー22にネジ止め、または溶接されている。フロントビーム23Fの右側の端部は、右前のピラー22にネジ止め、または溶接されている。断面L字形状のフロントビーム23Fは、筐体2の正面に沿う第一板部27と、筐体2の正面から筐体2の内側へフランジ状に突出する第二板部28と、を有している。
【0035】
リアビーム23Rは、フロントビーム23Fの鏡像の形状を有している。リアビーム23Rは、断面L字形状の鋼板の一体成形品である。リアビーム23Rは、左後ろのピラー22と右後ろのピラー22との間に水平に架け渡されている。リアビーム23Rの左側の端部は、左後ろのピラー22にネジ止め、または溶接されている。リアビーム23Rの右側の端部は、右後ろのピラー22にネジ止め、または溶接されている。断面L字形状のリアビーム23Rは、筐体2の背面に沿う第一板部27と、筐体2の背面から筐体2の内側へフランジ状に突出する第二板部28と、を有している。
【0036】
モーターベース3は、板金加工された鋼板の一体成形品である。モーターベース3は、一対の横架材としてのフロントビーム23Fおよびリアビーム23Rに架設されている。つまり、モーターベース3は、筐体2の奥行き方向へ架設されている。室外機1は、複数の送風機5と同数のモーターベース3、つまり2つのモーターベース3を備えている。左モーターベース3Lは、左送風機室7Lに左送風機5Lを支えている。右モーターベース3Rは、右送風機室7Rに右送風機5Rを支えている。
【0037】
送風機5は、モーターベース3に支持される電動機31と、電動機31によって回転駆動される羽根車32と、を備えている。送風機5は、筐体2の高さ方向、つまり筐体2が水平面に接地された状態における鉛直方向に電動機31の回転軸33を向けている。
【0038】
電動機31の回転軸33は、電動機31のケーシング35から鉛直上向きに突出している。ケーシング35は、回転軸33に直交する方向へ突出する複数の脚部36を備えている。送風機5は、脚部36を介してモーターベース3に支持されている。
【0039】
羽根車32は、いわゆる軸流式(Axial flow impeller)である。羽根車32は、単にプロペラとも呼ばれる。羽根車32は、電動機31の回転軸33に固定されている。羽根車32は、電動機31のケーシング35の上方に配置されている。
【0040】
図4は、本発明の実施形態に係る室外機のモーターベースの斜視図である。
【0041】
図5は、本発明の実施形態に係る室外機のモーターベースの平面図である。
【0042】
なお、左モーターベース3Lおよび右モーターベース3Rは、実質的に同じ構成を有している。そこで、以下、左モーターベース3Lおよび右モーターベース3Rを一括してモーターベース3と記載して説明する。
【0043】
図4および図5に示すように、本実施形態に係る室外機1のモーターベース3は、フロントビーム23Fとリアビーム23Rとの間に架かる一対の第一桁部41と、一対の第一桁部41の間に架かり一対の第一桁部41を一体に連結する一対の第二桁部42と、それぞれの第二桁部42に設けられて第二桁部42の長手方向に延び、かつ一対の第一桁部41および一対の第二桁部42を通る仮想平面Pの法線方向nへ突出して電動機31を支持する支持架部43と、を備えている。
【0044】
一対の第一桁部41は、平行に延びている。一対の第一桁部41は、フロントビーム23Fおよびリアビーム23Rに、実質的に直角に突き当てられている。
【0045】
一対の第二桁部42は、平行に延びている。一対の第二桁部42は、一対の第一桁部41に、実質的に直角に突き当てられている。一対の第二桁部42は、筐体2の平面視における送風機室7の中央部に送風機5が配置されるように、一対の第一桁部41の長さ方向における中央部寄り、略3分の1に相当する部分ごとにそれぞれ架け渡されて設けられている。
【0046】
支持架部43は、仮想平面Pの法線方向nへ突出する立上板部43aと、立上板部43aの頂部に連なり水平方向へ突出するフランジ部43bと、を有している。それぞれの第二桁部42の立上板部43aは、実質的に同じ高さ寸法の突出量を有している。それぞれの第二桁部42のフランジ部43bは、互いに近づく方向へ突出し、電動機31を支える水平な支持面を構成する。すなわち、それぞれのフランジ部43bは、一対の第一桁部41の長さ方向における中央部を向く方向であって、送風機5が配置される方向へ突出している。フランジ部43bは、電動機31のケーシング35から突出する脚部36を下方から支えている。
【0047】
支持架部43は、一対の第二桁部42に組み合わされる別部品であっても良い。この場合には、支持架部43は、一対の第二桁部42、および一対の第一桁部41に一体化される平板部を有していることが好ましい。平板部の中央部分は大きく開口している。この開口の4つの縁のうち、一対の第二桁部42に沿った向かい合う一対の縁に立上板部43aが設けられる。
【0048】
また、モーターベース3は、一対の第一桁部41の一方の端部41fの間、および一対の第一桁部41の他方の端部41rの間のそれぞれに架かる一対の第三桁部45を備えている。
【0049】
一対の第三桁部45の一方は、フロントビーム23Fおよびリアビーム23Rの一方に接し、一対の第三桁部45の他方は、フロントビーム23Fおよびリアビーム23Rの他方に接する。本実施形態において、筐体2の正面側に配置される第三桁部45Fは、フロントビーム23Fに接し、筐体2の背面側に配置され第三桁部45Rは、リアビーム23Rに接している。
【0050】
一対の第三桁部45は、平行に延びている。一対の第三桁部45は、一対の第一桁部41に、実質的に直角に突き当てられている。一対の第三桁部45および一対の第一桁部41は、長方体形状の枠体である。
【0051】
また、モーターベース3は、それぞれの縁部に折り曲げ加工による補強リブ46を有している。つまり、第一桁部41、第二桁部42、および第三桁部45のそれぞれの縁の両端は、仮想平面Pの法線方向n、本実施形態では筐体2の上方へ向かって突出する補強リブ46を有している。第二桁部42におけるモーターベース3の中央部を向く方向で、送風機5が配置される方向に形成された補強リブ46は、支持架部43の立上板部43aに一連に繋がっている。
【0052】
さらに、モーターベース3は、図5に二点鎖線で示すように、一対の第一桁部41の間に架かり一対の第一桁部41を一体に連結する第四桁部47を備えていても良い。第四桁部47は、一対の第一桁部41に、実質的に直角に突き当てられている。第四桁部47は、送風機5を支える支持架部43に代えて、第四桁部47の長手方向に延び、かつ一対の第一桁部41および一対の第二桁部42を通る仮想平面Pの法線方向nへ突出する補強リブ48を備えていても良い。この補強リブ48は、モーターベース3の補強リブ46の一部である。
【0053】
モーターベース3は、一対の第一桁部41の端部41f、41r、および一対の第三桁部45をフロントビーム23Fおよびリアビーム23Rに接してフレーム15に固定されている。モーターベース3は、フロントビーム23Fおよびリアビーム23Rのフランジ状に突出する第二板部28に載っていても良いし、第二板部28から離れていても良い。
【0054】
モーターベース3は、筐体2の水平方向へ締め付けられる締結部材51、例えばネジによってフロントビーム23Fおよびリアビーム23Rの第一板部27に締結されていても良いし、筐体2の垂直方向へ締め付けられる締結部材(図示省略)、例えばネジによってフロントビーム23Fおよびリアビーム23Rの第二板部28に締結されていても良い。
【0055】
図6は、室外機のモーターベースの比較例の斜視図である。
【0056】
図6に示すように、モーターベースの比較例60は、本実施形態に係るモーターベース3の第二桁部42に支持架部43を備えていない。比較例60の支持架部43は、一対の第一桁部41に設けられている。また、比較例60の支持架部43は、第一桁部41の一部、つまり一対の第二桁部42に挟まれた部位Aに設けられている。
【0057】
図7は、本発明の実施形態に係る室外機のモーターベースと比較例との支持剛性の優劣を説明する図である。
【0058】
図7は、図4の第一方向へ負荷F1を作用させた場合のモーターベース3の最大変形量、図4の第二方向へ負荷F2を作用させた場合のモーターベース3の最大変形量、図4の第三方向へ負荷F3を作用させた場合のモーターベース3の最大変形量、図6の第一方向へ負荷F1を作用させた場合の比較例60の最大変形量、図6の第二方向へ負荷F2作用させた場合の比較例60の最大変形量、および図6の第三方向へ負荷F3作用させた場合の比較例60の最大変形量を比較する図である。これら変形量は、数値解析によるものである。
【0059】
ここで、負荷F1、負荷F2、負荷F3は、同じ大きさと異なる向きとを有するベクトル量である。
【0060】
また、図4および図6の第一方向は、モーターベース3(比較例60)の長手方向であって筐体2の前方向または後ろ方向に相当する。図4および図6の第二方向は、モーターベース3(比較例60)の短手方向であって筐体2の右方向または左方向に相当する。図4および図6の第三方向は、モーターベース3(比較例60)の長手方向および短手方向に傾斜する方向であって筐体2の斜め前方向または斜め後ろ方向に相当する。したがって、負荷F3は、第一方向および第二方向の分力で表すことができる。
【0061】
さらに、支持架部43の配置を除く他の諸条件、例えば板厚の条件、材質の条件、モーターベース3(比較例60)と電動機31との境界条件(拘束条件)、およびモーターベース3(比較例60)とフレーム15との境界条件(拘束条件)は、同じである。
【0062】
図7に示すように、本実施形態に係るモーターベース3の変形量および比較例60の変形量は、図6の第三方向へ作用する負荷F3によって最大値を示す。図7に示される各ケースの変形量は、比較例60に負荷F3を作用させた場合の最大変形量が1になるよう正規化されている。
【0063】
そして、負荷F1を作用させた場合のモーターベース3の最大変形量は0.32(無次元数)である。負荷F2を作用させた場合のモーターベース3の最大変形量は0.73(無次元数)である。負荷F3を作用させた場合のモーターベース3の最大変形量は0.75(無次元数)である。
【0064】
負荷F1を作用させた場合の比較例60の最大変形量は0.23(無次元数)である。負荷F2を作用させた場合の比較例60の最大変形量は0.87(無次元数)である。負荷F3を作用させた場合の比較例60の最大変形量は1.00(無次元数、正規化の代表値)である。
【0065】
負荷F1を作用させた場合のモーターベース3の変形量は、比較例60の約1.39倍である。負荷F2を作用させた場合のモーターベース3の変形量は、比較例60の約0.84倍である。負荷F3を作用させた場合のモーターベース3の変形量は、比較例60の約0.75倍である。
【0066】
つまり、負荷F1が作用するケースでは、相対的に変形量の絶対値が小さく、負荷F2、負荷F3が作用するケースでは、相対的に変形量の絶対値が大きい。そして、変形量の絶対値が小さい負荷1のケースでは、モーターベース3の変形量は比較例60よりも増加する一方で、変形量の絶対値が大きい負荷2、負荷3のケースでは、モーターベース3の変形量は比較例60よりも減少する。そして、負荷1のケースにおける変形量の増加が約9(無次元数)と少量である一方、負荷2のケースにおける変形量の減少は約14(無次元数)であり、負荷2のケースにおける変形量の減少は約25(無次元数)である。
【0067】
換言すると、変形量が他の2方向に比べて約3分の1以下の第一方向において、第二桁部42に支持架部43を備えるモーターベース3は、比較例60に比べて若干の剛性低下を生じる一方で、変形量が大きい第二方向、第三方向において、第二桁部42に支持架部43を備えるモーターベース3は、比較例60に比べて高剛性を得ることができる。
【0068】
図8は、本発明の実施形態に係る室外機のモーターベースと比較例との振動振幅の優劣を説明する図である。
【0069】
図8は、図4の第一方向(長手方向)におけるモーターベース3の最大振幅量、図4の第二方向(短手方向)におけるモーターベース3の最大振幅量、図4の第四方向(高さ方向、法線方向n、電動機31の回転軸33の軸方向)におけるモーターベース3の最大振幅量、図6の第一方向における比較例60の最大振幅量、図6の第二方向における比較例60の最大振幅量、および図6の第四方向における比較例60の最大振幅量を比較する図である。これら振幅量は、数値解析によるものであり、回転駆動する送風機5の回転軸33の先端部における解析結果に基づいている。
【0070】
振動解析では、送風機5の羽根車32の重心が羽根車32の回転中心に対して偏心していることが考慮されている。また、振動解析では、電動機31のトルクを考慮して、電動機31の回転軸33にねじりモーメントを作用させた。支持架部43の配置を除く他の諸条件、例えば板厚の条件、材質の条件、モーターベース3(比較例60)と電動機31との境界条件(拘束条件)、およびモーターベース3(比較例60)とフレーム15との境界条件(拘束条件)は、同じである。
【0071】
それぞれの最大振幅量は、モーターベース3(比較例60)が仮想平面Pの法線方向n、つまり筐体2の上下方向へ弓形に振動する曲げ1次モードで評価した。この曲げ1次モードは、電動機31の回転数を20回転毎分(revolutions per minute、rotations per minute、RPM)から1200回転毎分まで変化させた解析結果から、送風機5の回転軸33の先端部における振動振幅が最も大きい振動モードである。曲げ1次モードの振動振幅における支配的な成分は、第四方向(高さ方向)の成分である。
【0072】
図8に示すように、本実施形態に係るモーターベース3の最大振幅量および比較例60の最大振幅量は、図6の第四方向において最大値を示す。図8に示される各ケースの最大振幅量は、比較例60の第四方向の最大振幅量が10000になるよう正規化されている。
【0073】
そして、第一方向(長手方向)のモーターベース3の最大振幅量は5.862(無次元数)である。第二方向(短手方向)のモーターベース3の最大振幅量は13.128(無次元数)である。第四方向(高さ方向)のモーターベース3の最大変形量は9511.977(無次元数)である。
【0074】
第一方向(長手方向)の比較例60の最大振幅量は4.567(無次元数)である。第二方向(短手方向)の比較例60の最大振幅量は458.607(無次元数)である。第四方向(高さ方向)の比較例60の最大変形量は10000.000(無次元数、正規化の代表値)である。
【0075】
つまり、第四方向(高さ方向)におけるモーターベース3の最大振幅量は、比較例60より4.8パーセント低減した。
【0076】
第一方向(長手方向)におけるモーターベース3の最大振幅量、および第二方向(短手方向)におけるモーターベース3の最大振幅量は、第四方向(高さ方向)におけるモーターベース3の最大振幅量の10分の1以下に留まる。第二方向(短手方向)におけるモーターベース3の最大振幅量は、比較例60より97.1パーセント低減した。第一方向(長手方向)におけるモーターベース3の最大振幅量は、比較例60より28.4パーセント増加しているが、この方向の最大振幅量は、第四方向(高さ方向)におけるモーターベース3の最大振幅量の1000分の1以下であり、このような増分は問題にならない。
【0077】
換言すると、第二桁部42に支持架部43を備えるモーターベース3は、比較例60に比べて高剛性を得ることができ、かつ電動機31の回転駆動によって生じる振動を抑制する効果を有している。
【0078】
以上説明したように、本実施形態に係る室外機1のモーターベース3は、フロントビーム23Fとリアビーム23Rとの間に架かる一対の第一桁部41と、一対の第一桁部41の間に架かり一対の第一桁部41を一体に連結する一対の第二桁部42と、それぞれの第二桁部42に設けられて第二桁部42の長手方向に延び、かつ仮想平面Pの法線方向nへ突出して電動機31を支持する支持架部43と、を備えている。そのため、モーターベース3は、送風機5の駆動にともなう空気の流動を妨げず、回転機械である送風機5の重量と回転にともなう振動とを支持する十分な剛性を有する。
【0079】
また、本実施形態に係る室外機1のモーターベース3は、一対の第一桁部41の一方の端部の間、および一対の第一桁部41の他方の端部の間のそれぞれに架かる一対の第三桁部45を備えている。一対の第三桁部45の一方は、フロントビーム23Fおよびリアビーム23Rの一方に接し、一対の第三桁部45の他方は、フロントビーム23Fおよびリアビーム23Rの他方に接する。そのため、モーターベース3は、室外機1のフレーム15に、容易かつ強固に固定される。
【0080】
さらに、本実施形態に係る室外機1のモーターベース3は、一対の第一桁部41の間に架かり一対の第一桁部41を一体に連結する第四桁部47を備えていてもよい。筐体2の奥行き寸法が拡大された場合であっても、モーターベース3は、送風機5の重量と回転にともなう振動とを支持する十分な剛性を容易に確保できる。
【0081】
また、本実施形態に係る室外機1のモーターベース3は、板金加工の一体成形品であって、それぞれの縁部に折り曲げ加工による補強リブ46を有している。そのため、モーターベース3は、フロントビーム23Fとリアビーム23Rとの間に梁状に架け渡される一方で、十分な曲げ剛性を有することができる。なお、モーターベース3は、補強リブ46の突出高さを比較例60の補強リブ46の突出量よりも低くしても、比較例60と同程度の剛性を得ることができる。
【0082】
さらに、本実施形態に係る室外機1は、モーターベース3をフレーム15に固定する締結部材51を備えている。この締結部材51は、仮想平面Pに沿うモーターベース3の主板部分をフレーム15に固定するものであっても良いし、仮想平面Pの法線方向nに延びる補強リブ46をフレーム15に固定するものであっても良い。そのため、モーターベース3は、室外機1のフレーム15に、容易かつ強固に固定される。
【0083】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0084】
1…室外機、2…筐体、3…モーターベース、3L…左モーターベース、3R…右モーターベース、5…送風機、5L…左送風機、5R…右送風機、6…機械室、6L…左機械室、6R…右機械室、7…送風機室、7L…左送風機室、7R…右送風機室、11…吹出口、11L…左吹出口、11R…右吹出口、15…フレーム、16…外板、21…ベースフレーム、22…ピラー、23…ビーム、23F…フロントビーム、23R…リアビーム、25…桁材、25F…前桁材、25R…後桁材、25C…縦桁材、27…第一板部、28…第二板部、31…電動機、32…羽根車、33…回転軸、35…ケーシング、36…脚部、41…第一桁部、41f…第一桁部の前側の端部、41r…第一桁部の後ろ側の端部、42…第二桁部、43…支持架部、43a…立上板部、43b…フランジ部、45、45F、45R…第三桁部、46…モーターベースの補強リブ、47…第四桁部、48…第四桁部の補強リブ、51…締結部材、60…モーターベースの比較例。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8