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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】流量計変数補正方法
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/84 20060101AFI20240704BHJP
【FI】
G01F1/84
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022546344
(86)(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-22
(86)【国際出願番号】 US2020016181
(87)【国際公開番号】W WO2021154289
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-09-20
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500205770
【氏名又は名称】マイクロ モーション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バトラー, マーク アラン
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110726444(CN,A)
【文献】特表2013-512452(JP,A)
【文献】特表2008-522186(JP,A)
【文献】特表2014-516164(JP,A)
【文献】特表2015-522831(JP,A)
【文献】特開2004-184416(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0084298(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コリオリ流量計(202)内の内圧に基づいて流量変数(509)を補正する方法であって、
前記コリオリ流量計(202)の第1の端部(212a)上に配置された第1のプロセス導管(208a)内に位置する第1の圧力センサ(204)で測定された第1の外圧(503)を受け取ること、
前記コリオリ流量計(202)の前記第1の端部(212a)に対向する第2の端部(212b)上に配置された第2のプロセス導管(208b)内の第2の外圧(505)を圧力損失係数、流体速度、流体粘度、及び密度に基づいて決定すること、
前記第1の外圧(503)及び前記第2の外圧(505)に基づいて推定流量計内部圧力(507)を決定すること、
前記流量変数(509)を受け取ること
及び
前記推定流量計内部圧力(507)、圧力補償係数(510)、及び前記流量変数(509)に基づいて、補正流量変数(512)を生成すること
を含み、
前記圧力補償係数が、前記コリオリ流量計内の圧力と関連している、方法。
【請求項2】
前記第2の外圧(505)を決定することが、前記第2のプロセス導管(208b)内に位置する第2の圧力センサ(206)から第2の外圧の測定値を受け取ることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の外圧(503)および前記第2の外圧(505)に基づいて前記推定流量計内部圧力(507)を決定することが、前記第1の外圧(503)及び前記第2の外圧(505)を平均化することをさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記推定内部圧力を決定することが、プロセス導管の断面積、前記プロセス導管の直径、前記コリオリ流量計(202)の流管の断面積、測定密度ρ、及び測定流量Mにさらに基づいている、請求項1からのいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記流量変数(509)が、質量流量、体積流量、又は密度のうちの少なくとも1つである、請求項1からのいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記推定流量計内部圧力(507)を決定することが、流量計方向にさらに基づいている、請求項1からのいずれかに記載の方法。
【請求項7】
コリオリ流量計(202)内の内圧に基づいて流量変数(509)を補正するための電子機器であって、第1の圧力センサ(204)から第1の外圧(503)を受け取るためのインターフェースと、前記インターフェースと通信する処理システムとを備え、
前記処理システムが、
前記コリオリ流量計(202)の第1の端部(212a)上に配置された第1のプロセス導管(208a)内に位置する第1の圧力センサ(204)で測定された第1の外圧(503)を受け取り、
前記コリオリ流量計(202)の前記第1の端部(212a)に対向する第2の端部(212b)上に配置された第2のプロセス導管(208b)内の第2の外圧(505)を圧力損失係数、流体速度、流体粘度、および密度に基づいて決定し、
前記第1の外圧(503)及び前記第2の外圧(505)に基づいて推定流量計内部圧力(507)を決定し、
前記流量変数(509)を受け取り、そして
前記推定流量計内部圧力(507)、圧力補償係数(510)、及び前記流量変数(509)に基づいて、補正流量変数(512)を生成し、ここで前記圧力補償係数が、前記コリオリ流量計内の圧力と関連している、
ように構成された電子機器。
【請求項8】
前記処理システムが、前記第2のプロセス導管(208b)内に位置する第2の圧力センサ(206)から第2の外圧の測定値を受け取ることによって、前記第2の外圧(505)を決定するようにさらに構成されている、請求項に記載の電子機器。
【請求項9】
前記処理システムが、前記第1の外圧(503)及び前記第2の外圧(505)を平均化することによって、前記第1の外圧(503)及び前記第2の外圧(505)に基づいて前記推定流量計内部圧力(507)を決定するようにさらに構成されている、請求項7又は8に記載の電子機器。
【請求項10】
前記処理システムが、プロセス導管の断面積、前記プロセス導管の直径、前記コリオリ流量計(202)の流管の断面積、測定密度ρ、及び測定流量Mに基づいて、前記推定内部圧力を決定するようにさらに構成されている、請求項からのいずれかに記載の電子機器。
【請求項11】
前記流量変数(509)が、質量流量、体積流量、または密度のうちの少なくとも1つである、請求項から10のいずれかに記載の電子機器。
【請求項12】
前記推定流量計内部圧力(507)を決定することが、流量計方向にさらに基づいている、請求項から11のいずれかに記載の電子機器。
【請求項13】
コリオリ流量計(202)内の内圧に基づいて流量変数(509)を補正するように構成された流量計補正システムであって、
前記コリオリ流量計(202)の第1の端部(212a)上に配置された第1のプロセス導管(208a)内に位置する第1の圧力センサ(204)から第1の外圧(503)を受け取るように構成された、第1圧力受信モジュール、
前記コリオリ流量計(202)の前記第1の端部(212a)に対向する第2の端部(212b)上に配置された第2のプロセス導管(208b)内の第2の外圧(505)を圧力損失係数、流体速度、流体粘度、及び密度に基づいて決定するように構成された、第2圧力受信モジュール、
前記第1の外圧(503)及び前記第2の外圧(505)に基づいて推定流量計内部圧力(507)を決定するように構成された、流量計内部圧力推定モジュール、
前記流量変数(509)を受け取るように構成された、流量変数受信モジュール
及び
前記推定流量計内部圧力(507)、圧力補償係数(510)、及び前記流量変数(509)に基づいて、補正流量変数(512)を生成し、ここで前記圧力補償係数が、前記コリオリ流量計内の圧力と関連しているように構成された、流量変数補正モジュール
を備える、流量計補正システム。
【請求項14】
前記第2圧力受信モジュールが、前記第2のプロセス導管(208b)内に位置する第2の圧力センサ(206)から第2の外圧の測定値を受け取るようにさらに構成されている、請求項13に記載の流量計補正システム。
【請求項15】
前記流量計内部圧力推定モジュールが、前記第1の外圧(503)と前記第2の外圧(505)とを平均化するようにさらに構成されている、請求項13又は14に記載の流量計補正システム。
【請求項16】
前記流量計内部圧力推定モジュールが、プロセス導管の断面積、前記プロセス導管の直径、前記コリオリ流量計(202)の流管の断面積、測定密度ρ、及び測定流量Mに基づいて、前記推定内部圧力を決定するようにさらに構成されている、請求項13から15のいずれかに記載の流量計補正システム。
【請求項17】
前記流量変数(509)が、質量流量、体積流量、又は密度のうちの少なくとも1つである、請求項13から16のいずれかに記載の流量計補正システム。
【請求項18】
前記流量計内部圧力推定モジュールが、流量計方向に基づいて前記推定流量計内部圧力(507)を決定するようにさらに構成されている、請求項13から17のいずれかに記載の流量計補正システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下に記載される実施形態は、測定されたコリオリ流量計変数を補正する方法、より詳細には、測定されたコリオリ流量計変数を、内圧の変化によって生じる測定への影響について補正する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コリオリ流量計は、プロセス流体の質量流量、密度、体積流量、および他の情報を測定するために使用することができる。
【0003】
図1は、メータアセンブリ10およびメータ電子機器20を備えるコリオリ流量計100の例を示す。メータアセンブリ10は、プロセス流体の流れの変化に応答する。メータ電子機器20はリード線102を介してメータアセンブリ10に接続され、密度、体積流量、および質量流量の情報を、他の情報とともに、メータ電子機器インターフェース26を介してオペレータに提供する。
【0004】
メータアセンブリ10は、マニホールド150及び150'、フランジ103及び103'、平行流管130及び130'、ドライバ180、並びに速度ピックオフセンサ170L及び170Rを含む。流管130及び130'は、それらの長さに沿って2つの対称な位置で曲がり、それらの長さ全体にわたって本質的に平行である。ブレースバー140及び140'は、各流管がその周りを振動する軸を規定するように働く。
【0005】
フランジ103及び103'が入口端部104及び出口端部104'を介してプロセスライン(図示せず)に接続されると、プロセス流体はフランジ103を通ってメータの入口端部104に入り、マニホールド150を通って流入する。マニホールド150は、プロセス流体を分割し、流管130及び130'に通す。流管130及び130'を出ると、プロセス流体は、マニホールド150'によって単一の流れで再結合され、フランジ103'によってプロセスライン(図示せず)に接続された出口端部104'に送られる。
【0006】
両方の流管130及び130'は、流量計の第1の位相外れ曲げモードにおいて、反対方向にドライバ180によって駆動される。このドライバ180は、流管130'に取り付けられた磁石及び流管130に取り付けられ両流管を振動させるために交流が通される対向コイルのような、多くの周知の構成のうちの任意の1つを含むことができる。適切なドライバ電圧が、メータ電子機器20によってドライバ180に印加される。
【0007】
メータ電子機器20は、リード線102を介して駆動信号をドライバ180に供給して、流管130及び130'を振動させる。メータ電子機器20は、リード線102を介して速度ピックオフセンサ170L及び170Rから左右の速度信号を受信し、メータアセンブリ10を通る流れの質量流量、体積速度及び/又は密度情報を計算する。
【0008】
流量計の用途によっては、例えば、石油及びガス生産においては、高いメータ精度が要求される。しかしながら、異なる内部ライン圧力は異なる流管剛性に対応している可能性があり、流管剛性はコリオリ力に対する感度とメータ流管の固有振動数に影響を与える。したがって、いくつかのコリオリメータの設計では、メータ流管の振動特性に対する内部ライン圧力の影響により、流量及び/又は密度の測定値にずれが生じる。
【0009】
流管の壁は、流量及び密度測定に必要な感度を達成するために薄くなる傾向があるため、流管内の圧力を測定するための圧力タップを含めることは現実的ではない。従って、従来技術のメータの一部のオペレータは、流量計の外側に圧力測定タップを設けて、接続プロセス導管内のプロセス流体の圧力を測定している。通常、オペレータは、粘性抵抗を回避するために、これらの圧力タップを流量計の上流に配置する。あるいは、一部のオペレータは、システム内のライン圧力に影響を及ぼすプロセス制御についての合理的な経験及び知識に基づいて、固定値のライン圧力を仮定する。
【0010】
測定された上流でのライン圧力又は仮定したライン圧力のいずれかを使用して、従来技術のメータは、メータ剛性の変化を補正するために、外部で測定された圧力に基づいて流量計測定値に圧力補償係数を適用する。圧力による剛性の変化のために要求される測定補正に対する、ライン圧力の比率を表す圧力補償係数は、工場での型式試験によって決定される。一般に、圧力補償係数は、流量計の特定のモデル、又は同様のサイズ及び設計のすべてのメータについて決定される、普遍的な係数である。
【0011】
しかし、流量計の外側と流量計の流管内の圧力とは、実質的な差異がある場合がある。外側の圧力タップと流管との間の圧力差が一時点で正確に分かっていても、圧力差にさらなる不確実性が生じ、結果として流量変数の測定誤差が増える可能性がある。例えば、流体に対するベルヌーイ効果は、流管内の断面積及び速度がプロセス導管における流管内と流管の外側とで異なる場合、流量計の外側の圧力に対して流量計の流管内の圧力を増減させる可能性がある。外部圧力タップと流量計管の間の圧力差は、例えば流量計内のコーティングの蓄積のために、型式試験の後に変化することもある。流量計を通る流量を増加させると、圧力タップと流管の内部との間にさらなる圧力損失を発生させる可能性がある。試験中のプロセス流体の粘度の増加は、圧力タップと流管の内部との間にさらなる圧力損失を引き起こす可能性がある。流管の内側と流量計の外側との間のこれらの圧力差は、流量計の測定値に誤差をもたらす可能性がある。
【0012】
場合によっては、設置条件により、較正型式試験中での圧力タップの場所と同じメータの側(すなわち、上流または下流)に、圧力タップを設置することができないことがある。このような場合、流管剛性の変化を補正するために使用される圧力の精度がさらに低下するため、流量計の測定値にはさらなる不確実性が生じる。この問題はまた、流量方向がメータを通って前後に交互に変化するに従い、圧力タップの上流又は下流の位置が交互となる、双方向の流れ設備にも当てはまる。
【0013】
必要となるのは、内圧の変化に起因する剛性の変化に対して、流量計の測定値をより正確に補正する方法である。
【発明の概要】
【0014】
第1の実施形態では、コリオリ流量計内の内圧に基づいて流量変数を補正する方法が提供される。この方法は、コリオリ流量計の第1の端部に配置された第1のプロセス導管内に位置する第1の圧力センサで測定された第1の外圧を受け取るステップを含む。この方法は、コリオリ流量計の第1の端部に対向する第2の端部上に配置された第2のプロセス導管内の第2の外圧を決定するステップをさらに含む。この方法は、第1の外圧及び第2の外圧に基づいて推定流量計内部圧力を決定するステップを更に含む。この本方法は、流量変数を受け取るステップをさらに含む。この方法は、推定流量計内部圧力、圧力補償係数、及び流量変数に基づいて、補正された流量変数を生成するステップをさらに含む。
【0015】
第2の実施形態では、コリオリ流量計内の内圧に基づいて流量変数を補正するための電子機器が提供される。電子機器は、第1の圧力センサから第1の外圧を受け取るためのインターフェースと、このインターフェースと通信する処理システムとを備え、この処理システムは、コリオリ流量計の第1の端部上に配置された第1のプロセス導管内に位置する第1の圧力センサで測定された第1の外圧を受け取り、コリオリ流量計の第1の端部に対向する第2の端部上に配置された第2のプロセス導管内の第2の外圧を決定し、第1の外圧及び第2の外圧に基づいて推定流量計内部圧力を決定し、流量変数を受け取り、推定流量計内部圧力、圧力補償係数、及び流量変数に基づいて補正流量変数を生成するように構成されている。
【0016】
第3の実施形態は、コリオリ流量計内の内圧に基づいて流量変数を補正するように構成された流量計補正システムである。このシステムは、コリオリ流量計の第1の端部上に配置された第1のプロセス導管内に位置する第1の圧力センサから第1の外圧を受け取るように構成された第1圧力受信モジュール、コリオリ流量計の第1の端部に対向する第2の端部上に配置された第2のプロセス導管内の第2の外圧を決定する第2圧力受信モジュール、第1の外圧及び第2の外圧に基づいて推定流量計内部圧力を決定するように構成された流量計内部圧力推定モジュール、流量変数を受け取るように構成された流量変数受信モジュール、並びに推定流量計内部圧力、圧力補償係数、及び流量変数に基づいて補正流量変数を生成するように構成された流量変数補正モジュールを備える。
【0017】
[態様]
さらなる態様によれば、第2の外圧を決定することは、圧力損失係数、流体速度、流体粘度、及び密度に基づきうる。
【0018】
さらなる態様によれば、第2の外圧を決定することは、第2のプロセス導管内に位置する第2の圧力センサから第2の外圧の測定値を受け取ることをさらに含みうる。
【0019】
さらなる態様によれば、第1の外圧及び第2の外圧に基づいて推定流量計内部圧力を決定することは、第1の外圧及び第2の外圧を平均化することをさらに含みうる。
【0020】
さらなる態様によれば、推定内部圧力を決定することは、プロセス導管の断面積、プロセス導管の直径、コリオリ流量計の流管の断面積、測定密度ρ、及び測定流量Mにさらに基づきうる。
【0021】
さらなる態様によれば、圧力補償係数は、流管内の圧力と関連しうる。
【0022】
さらなる態様によれば、流量変数は、質量流量、体積流量、又は密度のうちの少なくとも1つでありうる。
【0023】
さらなる態様によれば、推定流量計内部圧力を決定することは、流量計方向にさらに基づいていてもよい。
【0024】
さらなる態様によれば、処理システムは、圧力損失係数、流体速度、流体粘度、及び密度に基づいて、第2の外圧を決定するようにさらに構成されうる。
【0025】
さらなる態様によれば、処理システムは、第2のプロセス導管内に位置する第2の圧力センサから第2の外圧の測定値を受け取ることによって、第2の外圧を決定するようにさらに構成されていてもよい。
【0026】
さらなる態様によれば、処理システムは、第1の外圧及び第2の外圧を平均化することによって、第1の外圧及び第2の外圧に基づいて推定流量計内部圧力を決定するようにさらに構成されうる。
【0027】
さらなる態様によれば、処理システムは、プロセス導管の断面積、プロセス導管の直径、コリオリ流量計の流管の断面積、測定密度ρ、及び測定流量Mに基づいて、推定内部圧力を決定するようにさらに構成されうる。
【0028】
さらなる態様によれば、圧力補償係数は、流管内の圧力と関連しうる。
【0029】
さらなる態様によれば、流量変数は、質量流量、体積流量、または密度のうちの少なくとも1つでありうる。
【0030】
さらなる態様によれば、推定流量計内部圧力を決定することは、流量計方向にさらに基づいていてもよい。
【0031】
さらなる態様によれば、第2圧力受信モジュールは、圧力損失係数、流体速度、流体粘度、及び密度に基づいて、第2の外圧を決定するようにさらに構成されうる。
【0032】
さらなる態様によれば、第2圧力受信モジュールは、第2のプロセス導管内に位置する第2の圧力センサから第2の外圧測定値を受け取るようにさらに構成されていてもよい。
【0033】
さらなる態様によれば、流量計内部圧力推定モジュールは、第1の外圧と第2の外圧とを平均化するようにさらに構成されうる。
【0034】
さらなる態様によれば、流量計内部圧力推定モジュールは、プロセス導管の断面積、プロセス導管の直径、コリオリ流量計の流管の断面積、測定密度ρ、及び測定流量Mに基づいて、推定内圧を決定するようにさらに構成されうる。
【0035】
さらなる態様によれば、圧力補償係数は、流管内の圧力と関連しうる。
【0036】
さらなる態様によれば、流量変数は、質量流量、体積流量、または密度のうちの少なくとも1つでありうる。
【0037】
さらなる態様によれば、流量計内部圧力推定モジュールは、流量計方向に基づいて推定流量計内部圧力を決定するようにさらに構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
すべての図面において、同じ参照番号は同じ要素を表す。図面は必ずしも縮尺通りではないことを理解されたい。
図1図1は、一実施形態に係る流量計100を示す。
図2図2は、一実施形態に係る流量計システム200を示す。
図3図3は、一実施形態に係る方法300を示す。
図4図4は、一実施形態に係る電子機器400を示す。
図5図5は、一実施形態に係るシステム500を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図2-5および以下の説明は、本出願の最良の形態を作成及び使用する方法を当業者に教示するための、具体的な例を示す。本発明の原理を教示する目的において、いくつかの従来からの態様は、単純化され、又は省略されている。当業者であれば、本出願の範囲内に含まれるこれらの例からの変形を理解できるであろう。当業者であれば、以下に記載される特徴を様々な方法で組み合わせて、本出願の複数の変種が形成できることを理解できるであろう。結果として、以下で説明される実施形態は、以下で記載される具体的な例に限定されるものではなく、特許請求の範囲及びそれらの均等物によってのみ限定される。
【0040】
図2は、一実施形態に係る流量計システム200を示す。流量計システム200は、コリオリ流量計内部の内圧に基づいて流量変数を補正するために使用されうる。流量計システム200は、コリオリ流量計202、第1の圧力センサ204、第1のプロセス導管208a、第2のプロセス導管208b、及び電子機器210を含みうる。
【0041】
いくかの実施形態において、コリオリ流量計202は、コリオリ流量計センサ100と同様であってもよい。しかしながら、さらなる実施形態では、コリオリ流量計202センサは、異なる構成を含んでもよい。例えば、コリオリ流量計202は、当業者であれば理解できるように、直線または湾曲した1つ以上の流管を備えてもよい。
【0042】
図2において、プロセス流体は、第1のプロセス導管208a及び第2のプロセス導管208bを介してコリオリ流量計202に出入りする。図示されている実施形態では、第1のプロセス導管208aは、第1の端部212aにおいて流体入口と結合しており、第2のプロセス導管208bは、コリオリ流量計202の第2の端部212bにおいて流体出口と結合している。しかしながら、これは限定を意図するものではない。実施形態によっては、第2のプロセス導管208b及び第2の端部212bは、入口と結合され得る。更なる実施形態では、流量計システム200は双方向であってもよく、これは第1の端部212a及び第2の端部212bのそれぞれが、入口又は出口として交互に機能しうることを意味する。
【0043】
いくつかの実施形態では、第1の圧力センサ204は、抵抗、容量、圧電、光学、またはMEMSの圧力センサまたは変換器を含むが、これらに限定されない、任意のタイプのセンサを備え得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、流量計システム200は、電子機器210をさらに備えることができる。電子機器210は、コリオリ流量計202内の内圧に基づいて流量変数を補正するために使用されうる。いくつかの実施形態では、電子機器210は、補正流量変数をオペレータに提供することができる。
【0045】
電子機器210は、第1の圧力センサ204と、コリオリ流量計202に関係するメータ電子機器20又はメータアセンブリ10との、いずれかと通信している。さらなる実施形態では、電子機器210は、第2の圧力センサ206とさらに通信することができる。いくつかの実施形態では、電子機器210は、補正された流量変数情報をオペレータに提供するための、さらなるインターフェースを提供しうる。
【0046】
いくつかの実施形態では、流量計システム200は、電子機器210と、コリオリ流量計202に関係するメータ電子機器20の、両方を備えうる。あるいは、電子機器210は、流量計システム200のための唯一の電子機器を備えることができ、これは、電子機器210が、コリオリ流量計202のメータ電子機器20に関する上記で説明した機能を、さらに提供することを意味する。
【0047】
さらなる実施形態では、流量計システム200は、第2の圧力センサ206を含みうる。第2の圧力センサ206は、第1の圧力センサ204と同じタイプであってもよく、異なるタイプであってもよい。
【0048】
図3は、一実施形態による方法300を示す。方法300は、コリオリ流量計内部の内圧に基づいて、流量変数を補正するために使用されうる。いくつかの実施形態では、方法300は、電子機器210によって実行することができる。いくつかの実施形態では、流量変数は、質量流量、体積流量、又は密度の測定値のうちの少なくとも1つを含みうる。
【0049】
方法300は、ステップ302から始まる。ステップ302では、コリオリ流量計の第1の端部上に配置された第1のプロセス導管内に位置する、第1の圧力センサで測定された第1の外圧が受け取られる。例えば、第1の端部212aに配置された第1のプロセス導管208a内のプロセス流体の圧力を示す信号を、第1の圧力センサ204から受信することができる。
【0050】
方法300はステップ304に続く。ステップ304では、コリオリ流量計の第1の端部に対向する第2の端部上に配置された第2のプロセス導管内の第2の外圧が、決定される。
【0051】
いくつかの実施形態では、第2の外圧を決定することは、流体の速度、密度、及び粘度に加えて、メータに特徴的な1つまたは複数の圧力損失係数に基づきうる。管の1つのセクションに渡る粘性流が経験する圧力低下の原因についての物理は、流体力学の教科書のいくつかの古典的なイントロダクションにおいて説明されている。1つ又は複数の圧力損失係数は、コリオリ流量計、例えばコリオリ流量計202の少なくとも1つのセクションにわたる圧力損失を特徴付ける。いくつかの実施形態では、圧力損失係数のうちの1つまたは複数は、工場で測定された、又は計算モデルに基づいて決定された、1つまたは複数の所定の値を含みうる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の圧力損失係数は、管摩擦、及び/又はマニホールド150、150'、フランジ103、103'、流管130、130'の屈曲などの流量計の物理的特徴、又は当業者に知られている任意の他の物理的特徴による損失を表し得る。流体速度は、コリオリ流量計202で測定された質量流量及び密度、並びに流管130、130'の断面積に基づいて決定されうる。圧力損失係数及び流体速度を用いて、Darcy-Weisbach方程式、又は当業者に公知の任意の他の方法を使用して、第2の外圧を決定することが可能である。
【0052】
いくつかの実施形態では、流体粘度は、流量計システム200の外部で測定されて電子機器210に送信されてもよく、又は既知のプロセス流体に基づいてオペレータによって入力されてもよい。密度は、コリオリ流量計202によって測定することができる。
【0053】
さらなる実施形態では、第2の外圧を決定することは、第2のプロセス導管内に位置する第2の外圧の測定値を受け取ることを含み得る。例えば、第2の圧力センサ206を含む流量計システム200の実施形態では、第2の圧力センサ206を使用して第2の外圧を決定することが可能であり得る。
【0054】
方法300はステップ306に続く。ステップ306では、推定流量計内部圧力が、第1の外圧及び第2の外圧に基づいて決定される。
【0055】
いくつかの実施形態では、推定流量計内部圧力を決定することは、第1の外圧及び第2の外圧を平均化することを含む。例えば、推定流量計内部圧力Pinner_1Aは、式1Aにより決定することができる。
【数1】

式1Aにおいて、Pupstreamは第1の外圧を含み、Pdownstreamは第2の外圧を含み得る。Δpは第1の外圧と第2の外圧との間の圧力損失を表し、いくつかの実施形態では、これは、コリオリ流量計202にわたる、又はコリオリ流量計202並びに第1のプロセス導管208a及び第2のプロセス導管208bの一部にわたる、圧力損失を含みうる。
【0056】
さらなる実施形態では、第1の外圧及び第2の外圧に基づいて推定流量計内部圧力を決定することは、推定流量計内部圧力におけるベルヌーイ効果を考慮することをさらに含みうる。推定流量計内部圧力におけるベルヌーイ効果を考慮することは、プロセス導管の断面積、プロセス導管の直径、コリオリ流量計の流管の断面積、測定密度ρ、及び測定質量流量Mに基づいて、推定内部圧力を決定することをさらに含みうる。
【0057】
いくつかの実施形態では、式2は、式1Aで記載された推定流量計内部圧力Pinner_1A、又は以下の式1Bで記載された推定流量計内部圧力Pinner_1Bを含みうる推定流量計内部圧力Pinner_1をさらに補正して、さらなる推定流量計内部圧力Pinner_2を提供するために使用され得る。
【数2】
【0058】
式2において、Pinner_2はベルヌーイ効果に対する補正後の流管130、130'内の推定圧力を表し、ρはコリオリ流量計202によって測定されるプロセス流体の密度を表し、vpipeは第1の圧力センサ204が配置されている第1のプロセス導管208a内のプロセス流体の速度を表し、vmeterは流管130、130'内のプロセス流体の速度を表す。式3は、第1のプロセス導管208a内のプロセス流体の速度vpipeを提供する。
【数3】

式3において、Mはコリオリ流量計202によって測定される質量流量であり、Apipeは第1のプロセス導管208aの断面積であり、dは第1のプロセス導管208aの直径である。式4は、流管130、130'内のプロセス流体の速度vmeterを提供する。
【数4】

式4において、Ameterは、コリオリ流量計202の流管130、130'の合計断面積である。
【0059】
いくつかの実施形態において、推定流量計内部圧力Pinner_1、及びさらなる推定流量計内部圧力Pinner_2は、計器剛性の変化に対して流量計変数のより正確な補正を可能にしうる。
【0060】
流量計システム200のいくつかの実施形態では、コリオリ流量計202は、第2の圧力センサ206が第2のプロセス導管208b内の下流に配置される設備と、流れ方向が前方と後方との間で交互に変わるのに応じて、圧力センサ204及び/又は206が上流または下流に交互に位置するような、双方向流量測定のために計器が使用される設備と、の両方をサポートすることができる。したがって、推定流量計内部圧力を決定することは、流量計方向にさらに基づいてもよい。ステップ306の更なる実施形態では、双方向の流れの間に流動方向が反転する場合、Pupstreamが第2のプロセス導管208b内の圧力を含み、Pdownstreamが第1のプロセス導管208a内に圧力を含みうる。1つの圧力トランスミッタのみが利用可能であり、それがたまたま下流位置にあるような実施形態では、式1Aは、別の形式をとることができる。
【数5】
【0061】
方法300はステップ308に続く。ステップ308では、流量変数が受け取られる。いくつかの実施形態では、流量変数は、コリオリ流量計202で測定されたプロセス流体の密度、質量流量、または体積流量を含みうる。いくつかの実施形態では、流量変数は、コリオリ流量計202に関係するメータ電子機器20から受け取るか、電子機器210の電子記憶装置から読み出すか、又はコリオリ流量計202のメータアセンブリ10から受け取った生のピックオフセンサデータを用いることで、決定することができる。
【0062】
方法300はステップ310に続く。ステップ310では、推定流量計内部圧力と、圧力補償係数と、流量変数とに基づいて、補正流量変数が生成される。補正流量変数は、流管内の圧力の変化に対して補正された測定流量変数を表す。
【0063】
圧力補償係数は、流量計内の圧力を、流管の剛性の変化に対する測定補正に関連付ける。いくつかの実施形態において、圧力補償係数は、流量計工場での型式試験において決定されうる。圧力補償係数は、流量計の特定のモデル、類似のサイズ及び設計を含む流量計モデルのファミリー、又は単一の流量計に関連し得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、補正流量変数は、圧力補償係数に流量計内部圧力を乗ずることによって決定されうる。例えば、数式5を用いることができる。
Xcorrected= Xmeasured+(Pinner-Pbaseline)*K, (式5)
ここで、Xcorrectedは補正流量変数であり、Xmeasuredは測定された流量変数であり、Pinnerは上記のPinner_1又はPinner_2に対応する推定流量計内部圧力であり、Pbaselineはメータが参照標準に対して最後に較正されたときの内部圧力として記録された圧力であり、Kは圧力補償係数である。
【0065】
いくつかの実施形態において、圧力補償係数Kは、型式試験において流管内部圧力と関連付けされうる。これは、第1の圧力センサ204の位置に関連付けされる圧力補償係数Kを使用する従来技術の方法よりも、圧力についての流量変数の改善された補正を提供することができる。
【0066】
図4は、一実施形態に係る電子機器400を示す。電子機器400は、処理システム402と、記憶システム404と、インターフェース406とを備える。電子機器400は、コリオリ流量計内の内圧に基づいて流量変数を補正するために使用されうる。
【0067】
処理システム402は、電子機器400上で実行されると、図3及び図5に関連して説明された方法の一部または全部を実行するコンピュータ命令を実行するように構成され得る。いくつかの実施形態では、処理システム402は、当業者であれば理解できるように、単一の、または任意の複数のプロセッサを含み得る。
【0068】
記憶システム404は、電子的に読み取り可能な媒体、又はコンピュータプログラム命令を記憶するように構成されたコンピュータで読み取り可能な媒体でありうる。いくつかの例では、記憶システム404は、非一時的媒体を含み得る。記憶されたコンピュータプログラム命令は、処理システム402上で実行されたとき、図3及び図5に関連して説明された方法の一部または全部を実行し得る。
【0069】
いくつかの例では、処理システム402及び記憶システム404は、システムオンチップなどのカスタムチップセットに組み込まれ得る。
【0070】
いくつかの例では、図3及び図5に関連して説明される方法の一部は、電子機器400の外部で記憶または実行されうる。例えば、図3から5に関連して説明された方法の一部は、インターネットを介してサーバとクラウド記憶設備の組み合わせにおいて記憶または実行されてもよい。
【0071】
インターフェース406は、電子機器400の外部のデバイスと通信するように構成され得る。インターフェース406を通して、電子機器400は、第1の圧力センサ204と通信してもよい。インターフェース406は、さらに、コリオリ流量計202の内部のメータ電子機器20、又は外部の制御室コンピュータと通信してもよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、電子機器400は、メータ電子機器20を含みうる。しかしながら、さらなる実施形態では、電子機器400は、メータ電子機器20と通信する別の電子機器を備えてもよい。
【0073】
図5は、一実施形態による流量計補正システム500を示す。流量計補正システム500は、流量計システム200のコリオリ流量計202内の内圧に基づいて流量変数を補正するために使用されうる。
【0074】
流量計補正システム500は、第1圧力受信モジュール502を備える。第1圧力受信モジュール502は、コリオリ流量計202の第1の端部212a上に配置された第1のプロセス導管208a内に位置する第1の圧力センサ204から、第1の外圧503を受け取るように構成される。いくつかの実施形態では、圧力受信モジュール502は、上述のように、方法300のステップ302を実行することができる。
【0075】
流量計補正システム500は、第2圧力受信モジュール504をさらに備える。第2圧力受信モジュール504は、コリオリ流量計202の第1の端部212aに対向する第2の端部212b上に位置する第2のプロセス導管208b内の、第2の外圧505を決定するように構成される。いくつかの実施形態では、第2圧力受信モジュール504は、上述のように、方法300のステップ304を実行することができる。
【0076】
流量計補正システム500は、流量計内部圧力推定モジュール506をさらに備える。流量計内部圧力推定モジュール506は、第1の外圧503及び第2の外圧505に基づいて、推定流量計内部圧力507を決定するように構成される。いくつかの実施形態では、流量計内部圧力推定モジュール506は、方法300のステップ306、又は上述したその任意の変形を実行することができる。
【0077】
流量計補正システム500は、流量変数受信モジュール508をさらに備える。流量変数受信モジュール508は、流量変数509を受信するように構成される。いくつかの実施形態では、流量変数受信モジュール508は、上述のように、方法300のステップ308を実行することができる。
【0078】
流量計補正システム500は、流量変数補正モジュール511をさらに備える。流量変数補正モジュール511は、推定流量計内部圧力507、圧力補償係数510、及び流量変数509に基づいて、補正流量変数512を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、流量変数補正モジュール511は、上述のように、ステップ310を実行することができる。
【0079】
上記の実施形態の詳細な説明は、本発明者が本説明の範囲内にあると考えるすべての実施形態の網羅的な説明ではない。実際に、当業者は、上述の実施形態の特定の要素は、さらなる実施形態を生成するために様々に組み合わされ、または除去されてもよく、そのようなさらなる実施形態は、本説明の範囲および教示内に入ることを認識するであろう。したがって、上述の実施形態の範囲は、以下の特許請求の範囲から決定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5