IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 北京首鋼朗澤科技股▲ふん▼有限公司の特許一覧

特許7514940炭素含有工業用ガス工業化タンパク質生産システム
<>
  • 特許-炭素含有工業用ガス工業化タンパク質生産システム 図1
  • 特許-炭素含有工業用ガス工業化タンパク質生産システム 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】炭素含有工業用ガス工業化タンパク質生産システム
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20240704BHJP
   C02F 1/50 20230101ALI20240704BHJP
【FI】
C12M1/00 C
C02F1/50 531R
C02F1/50 510A
C02F1/50 520B
C02F1/50 540A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022549205
(86)(22)【出願日】2022-01-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 CN2022073169
(87)【国際公開番号】W WO2023115677
(87)【国際公開日】2023-06-29
【審査請求日】2022-08-12
(31)【優先権主張番号】202111559296.7
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522322619
【氏名又は名称】北京首鋼朗澤科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING SHOUGANG LANZATECH TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 1601-6, 16th Floor, Building 1, Courtyard 1, Tianshunzhuang North Road, Shijingshan District Beijing 100043, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】夏 楠
(72)【発明者】
【氏名】董 燕
(72)【発明者】
【氏名】陳 ▲ち▼
(72)【発明者】
【氏名】晁 偉
(72)【発明者】
【氏名】宋 慶坤
(72)【発明者】
【氏名】莫 志朋
(72)【発明者】
【氏名】▲とん▼ 淑環
(72)【発明者】
【氏名】鄒 方起
(72)【発明者】
【氏名】李 重陽
【審査官】大西 隆史
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109055438(CN,A)
【文献】特開2013-188149(JP,A)
【文献】西独国特許出願公開第02031214(DE,A1)
【文献】中国特許出願公開第107099556(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112292387(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0138684(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110698228(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第113058403(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112852597(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111334415(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00- 3/00
C02F 1/50
C07K 1/00-19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料ガス中の不純物を除去するための原料ガス浄化システム(1)と、
原料水中の雑菌を殺菌するための水浄化システム(2)と、
前記原料ガス浄化システム(1)及び水浄化システム(2)と連通し、原料ガス及び原料水を原料として発酵させてもろみ液を得るための菌体調製システム(3)と、
前記菌体調製システム(3)と連通し、前記もろみ液を菌体とアルコールに分離するための菌体分離システム(4)と、
前記菌体分離システム(4)と連通し、菌体を菌体タンパク質製品にするように構成されたタンパク質製造システム(5)とを備え、
前記菌体調製システム(3)は、
前記原料ガス浄化システム(1)及び水浄化システム(2)と連通し、菌体の作用により原料ガスと原料水を原料として発酵を行い、もろみ液を得るための菌体調製装置(31)と、
前記菌体調製装置(31)及び前記菌体分離システム(4)と連通し、前記菌体調製装置(31)内のもろみ液を前記菌体分離システム(4)に送液する菌体送液ポンプ(32)とを備え、
前記菌体調製システム(3)は、さらに、
前記菌体送液ポンプ(32)及び菌体調製装置(31)と連通し、もろみ液を濃縮もろみ液と清澄液とに分離し、菌体調製装置(31)におけるもろみ液濃度及び液位を調節可能な菌体濃縮装置(33)を備え、
前記菌体送液ポンプ(32)は、2つに分岐して、一方は前記菌体分離システム(4)に、他方は前記菌体濃縮装置(33)に送られ、もろみ液は前記菌体濃縮装置(33)に入って濃縮もろみ液と清澄もろみ液に分離され、前記菌体調製装置(31)においてもろみ液濃度が低下した場合、前記菌体濃縮装置(33)で濃縮もろみ液を分離して前記菌体調製装置(31)に戻し、前記菌体調製装置(31)中のもろみ液の菌体濃度を高め、前記菌体調製装置(31)内のもろみ液濃度が高くなると、前記菌体送液ポンプ(32)のもろみ液の外部排出量を増やしてもろみ液濃度を低くし、
前記菌体送液ポンプ(32)の作動、原料水の供給量、及び前記菌体濃縮装置(33)による前記菌体調製装置(31)に戻す濃縮もろみ液の回収量を制御することにより、前記菌体調製装置(31)におけるもろみ液の液位を制御し、3~6%の高濃度菌体を得ることを特徴とする、炭素含有工業用ガス工業化タンパク質生産システム。
【請求項2】
前記水浄化システム(2)は、
前記原料ガス浄化システム(1)と連通し、かつ滅菌ガスを原料水に通気するように構成されたガス滅菌装置(21)と、
ガス滅菌装置(21)および菌体調製システム(3)と連通し、原料水に滅菌剤を添加するための化学滅菌装置(22)とを備える、請求項1に記載の炭素含有工業用ガス工業化タンパク質生産システム。
【請求項3】
前記菌体分離システム(4)は、
前記菌体調製システム(3)と連通し、前記もろみ液からアルコールを分離する蒸留分離装置(41)と、
前記蒸留分離装置(41)と前記タンパク質製造システム(5)とに連通し、もろみ液中の菌体を分離する遠心分離装置(42)と
を備える、請求項1に記載の炭素含有工業用ガス工業化タンパク質生産システム。
【請求項4】
前記蒸留分離装置(41)は、底部温度が90℃以下であり、頂部圧力が-50kPa以下である、請求項3に記載の炭素含有工業用ガス工業化タンパク質生産システム。
【請求項5】
前記原料ガス浄化システム(1)は、
原料ガス中の塵及びタールを除去するための原料ガス除塵装置と、
前記原料ガス除塵装置に接続され、原料ガス中のベンゼン類系化合物、酸素、ハロゲン類を除去する原料ガス不純物浄化装置とを備える、請求項1に記載の炭素含有工業用ガス工業化タンパク質生産システム。
【請求項6】
前記原料ガス浄化システム(1)は、さらに、
前記原料ガス不純物浄化装置と連通し、原料ガスの温度を制御するための原料ガス温度制御装置(13)と、
前記原料ガス温度制御装置(13)及び菌体調製システム(3)と連通し、原料ガス中の水分を除去するための水分離器(14)とを備える、請求項5に記載の炭素含有工業用ガス工業化タンパク質生産システム。
【請求項7】
前記タンパク質製造システム(5)は、
前記菌体分離システム(4)と連通し、菌体を乾燥して菌体タンパク質を製造するための乾燥装置(51)と、
前記乾燥装置(51)と連通し、前記菌体タンパク質を菌体タンパク質製品に包装するように構成された包装装置(52)とを備える、請求項1に記載の炭素含有工業用ガス工業化タンパク質生産システム。
【請求項8】
前記乾燥装置(51)は、200℃以下の乾燥温度を有する、請求項に記載の炭素含有工業用ガス工業化タンパク質生産システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本開示は、2021年12月20日に出願された中国特許出願公開第202111559296.7号および「炭素を含有する工業ガスを用いたタンパク質生産システム」の優先権を主張し、その全体の内容は、本明細書に参考として援用される。
【0002】
本開示は、炭素を含有する工業用ガスを用いたタンパク質生産システムに関し、タンパク質の製造分野に属する。
【背景技術】
【0003】
現在、鉄鋼産業の排ガス、合成ガス、精製排ガス等のCO/CO/H含有ガスを微生物発酵法により処理してンパク質を製造する方法は、エネルギー消費量が少なく、安全で効率の良い方法であるため、開発が進められている。このプロセスにおいて、最終産物は副産物であるアルコールの他に、微生物発酵中及び発酵終了後に発生する多数のライフサイクルを終える細菌があり、これらのライフサイクルを終える細菌は高濃度の蛋白廃水を形成し、この蛋白廃水の菌体タンパク質の濃度は10g/L~30g/Lと高く、分離及び回収処理を経ても比較的大量の蛋白を収集することができ、かなりの経済的効果を有する。その一方で直接放流すると蛋白物質の流出を招くだけでなく、高濃度の蛋白が環境に一定の影響を与える。しかしながら、従来の微生物によるタンパク質の発酵生産過程における菌体の代謝は良好ではなく、タンパク質の収率が高くない。
【発明の概要】
【0004】
本開示では、本開示の1つ以上の実施形態を利用することにより、既存の微生物発酵によるタンパク質生産プロセスにおけるタンパク質収率が高くないという技術的課題を解決する、炭素を含有する工業用ガスを用いたタンパク質生産システムを提供する。
【0005】
本発明は、原料ガス中の不純物を除去するための原料ガス浄化システムと、原料水中の雑菌を殺菌するための浄水システムと、前記原料ガス浄化システム及び浄水システムと連通し、原料ガス及び原料水を原料として発酵させて、もろみ液を得る菌体調製システムと、前記菌体調製システムと連通し、前記もろみ液から菌体とアルコールを分離するための菌体分離システムと、前記菌体分離システムと連通し、菌体を菌体タンパク質製品にするためのタンパク質製造システムと、を含む炭素含有工業ガス工業化タンパク質生産システムを提供する。
【0006】
本発明は、原料ガスと原料水を浄化して原料ガス中の不純物を確実に除去し、菌体の生育に良質な原料を提供し、原料中の雑菌を除去して菌体の生育に優れた環境を提供し、さらに原料ガスを菌体調製システムで効率よく発酵させ、菌体分離システムとタンパク質生産システムにより高品質の菌体タンパク質を得て、タンパク質収率を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
なお、本明細書において、図面は、適宜参照符号を付して示したものであり、これにより、適宜、変更、改良等が加えられてもよい。
【0008】
本発明の実施例又は従来技術における技術的解決をより明確にするために、以下、実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に紹介するが、当業者にとって、創造的な労力を払うことなく、これらの図面に基づいて他の図面を獲得することができることは明らかである。
図1】本開示のいくつかの実施形態による、炭素を含有する工業用ガスを用いたタンパク質生産システムの概略図である。
図2】本開示のさらなる実施形態による、炭素を含有する工業用ガスを用いたタンパク質生産システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本出願の実施例の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、本出願の実施例における図面を参照して、本出願の実施例における技術案を明確且つ完全に説明するが、明らかに、説明された実施例は、本出願の一部の実施例であって、全ての実施例ではない。本出願における実施形態に基づいて、発明的な労力を行うことなく当業者によって得られる他のすべての実施形態は、本出願の保護範囲に属する。
【0010】
本開示は、図1に示されるように、炭素含有工業用ガス工業化タンパク質生産システムを提供し、これは、
原料ガス中の不純物を除去するための原料ガス浄化システム1と、
原料水中の雑菌を殺菌することができる水浄化システム2と、
前記原料ガス浄化システム1及び水浄化システム2と連通可能で且つ原料ガスと原料水を原料として発酵させてもろみ液を得ることができる菌体調製システム3と、
前記もろみ液を菌体とアルコールに分離するために使用可能な、前記菌体調製システム3と連通した菌体分離システム4と、
前記菌体分離システム4と連通し、菌体を菌体タンパク質製品にするために使用可能なタンパク質製造システム5とを備える。
【0011】
原料ガス浄化システム1は原料ガスを浄化するとともに、水浄化システム2は原料水を浄化し、浄化された原料ガスと原料水は菌体調製システム3に入り、原料ガスと原料水を原料として菌体が発酵されて、菌体、発酵産物、例えばアルコール類、不純物、水を含むもろみ液が得られ、さらに、もろみ液は菌体分離システム4に入り、もろみ液から菌体とアルコール類が分離され、不純物と水が排出され、アルコール類は別の工程システムに入り、菌体は蛋白質としてタンパク質製造システム5に入り、菌体蛋白質製品となり、飼料として動物に与えることができる。
【0012】
本開示の実施形態において、前記供給ガスは、炭素含有工業用ガスと水素ガスとを含むことができ、一部の実施形態において、供給ガスは、CO、及びHを含み、供給ガス精製システム1を通して不純物が除去され、不純物は、タール、ベンゼン系、酸素、及びハロゲン化物を含み、これは、菌体の成長に影響を及ぼすことを防止し、同時に、供給ガス精製システム1から粉塵を除去し、粉塵が菌体調製システム3に入ることを防止し、菌体タンパク質生成物の純度に影響を及ぼす。また、原料水中の雑菌、例えばメタン菌等が菌体と炭素源を奪い、菌体の生存空間を占有し、菌体の正常な生育増殖に影響を及ぼし、タンパク質の収率低下、発酵によるアルコールの生産性低下を招く一方、菌体の減退、更には死滅を招き、システムの連続運転時間を確保することができない。原料水中の雑菌を水浄化システム2により除去することで、菌体調製システム3における菌体の清浄度を保ち、タンパク質の収率および純度を向上させるとともに、炭素含有工業ガス工業化タンパク質生産システムを長時間効率よく稼働させることができる。
【0013】
いくつかの実施形態において、図2に示すように、供給ガス浄化システム1は、
原料ガス中の粉塵及びタールを除去するための原料ガス除塵装置と、
前記原料ガス除塵装置と連通し、原料ガス中のベンゼン系化合物、ハロゲン系化合物、酸素を除去することができる原料ガス不純物浄化装置と、
原料ガス不純物精製装置と連通しており、原料ガスの温度を制御するために使用され得る原料ガス温度制御装置13と(本開示の実施形態において、水冷器であってもよい)、
前記原料ガス温度制御装置13および菌体製造システム3と連通しており、原料ガス中の水分を除去するために用いられる水分離器14と、
を含み得る。
【0014】
本発明の実施形態において、原料ガス除塵装置は、第1の除塵装置111及び第2の除塵装置112を含み、第1の除塵装置111は、バグフィルタまたはウォッシュタワーであり、原料ガス不純物除塵装置は、第1の吸着装置121、電熱ヒータ122及び第2の吸着装置123を含んでもよい。第1の除塵装置111から原料ガスを導入し、第1の除塵装置111で粉塵の大部分を除去して、5mg/m未満の除塵量の精製ガスを得、第2の除塵装置112に供給し、第2の除塵装置112で更にタールの一部を除塵除去し、1mg/m以下の除塵量、1mg/m以下のタール含有量の精製ガスを得、第1の吸着装置121に供給して原料ガス中のベンゼン類系化合物不純物を除去し、0.1ppm以下のベンゼン類系化合物含有量の精製ガスを得、更に、電熱ヒーター122で加熱して第2の吸着装置123に供給し、第2の吸着装置123でハロゲン化物を除去して、0.1ppm以下のハロゲン化物、1000ppm以下の酸素の精製ガスを得、原料ガス温度制御装置13で降温して32℃~40℃の温度までに下げ、最終的に気液分離装置に供給して原料ガス中の液体水を分離し、菌体製造装置3に供給して発酵原料とすることができる。
【0015】
原料ガス除塵装置と原料ガス不純物浄化装置により原料ガス中の粉塵と不純物を除去し、粉塵が菌体蛋白製品の純度に影響するのを防止し、不純物が菌体の生育に影響するのを防止し、菌体蛋白の収率を向上させるとともに、原料ガス温度制御装置13により原料ガスの温度を菌体の生育に適した32℃~40℃に制御し、原料ガス温度が高くなりすぎたり低くなりすぎたりすることが菌体の生育効率に影響するのを防止するとともに、原料ガスの温度を低下させて気液分離装置による気液分離を可能とする。
【0016】
本開示のある実施形態において、電気ヒーター122の出口は、第1の吸着装置121に接続されてもよく、第1の吸着装置121または第2の吸着装置123の再生が必要な場合、再生ガスを電気ヒーター122の入口に通気し、再生ガスを再生温度まで昇温させて、再生効率向上することができる。
【0017】
加圧下で吸着させ、減圧又は常圧で脱着させる方法は、圧力スイング吸着とも言う。圧力スイング吸着操作は、吸着剤の熱伝導率が比較的小さく、吸着熱及び脱着熱による吸着床の温度変化が大きくないため、ほぼ常温の吸着等温線に沿って進行し、比較的高圧で吸着し、比較的低圧で脱着する等温過程と見ることができる。本開示のある実施形態において、第1の収着装置121または第2の収着装置123が収着を必要とするとき、真空ポンプ124によってそれらを加圧し、収着効率を向上させることもできる。第1の吸着装置121または第2の吸着装置123の再生が必要な場合には、真空ポンプ124により第1の吸着装置121または第2の吸着装置123内のガスを吸引し、その中の気圧を下げ、その脱着効率を上げることもできる。
【0018】
いくつかの実施形態において、浄水システム2は、
前記原料ガス浄化システム1と連通し、原料水に滅菌ガスを通気することができるガス滅菌装置21と、
前記ガス滅菌装置21及び前記菌体調製システム3と連通し、原料水に滅菌剤を添加可能な化学滅菌装置22と、
化学滅菌装置22と菌体準備システム3との間に設けられており、化学滅菌装置22から菌体準備システム3に浄水をポンプ送液するために用いられる浄水送出ポンプ23と
を含み得る。
【0019】
前記ガス滅菌装置21の頂部はプロセス水の入口と連通し、前記ガス滅菌装置21の底部はガスの入口と連通し、前記ガス滅菌装置21の上部はオーバーフローによって前記化学滅菌装置22と連通し、前記化学滅菌装置22の頂部には殺菌剤の入口が設けられ、化学滅菌装置22の出口は前記精製水移送ポンプ23の入口と連通する。
【0020】
本開示の実施形態では、原料水は、ガス滅菌装置21に先に入り、ガス滅菌装置21にオゾンを通すことにより、原料水中のコロニーをオゾンで酸化させることができ、その後、化学滅菌装置22に通水し、化学滅菌装置22に殺菌剤を加えることにより、より徹底して原料水中のコロニーを殺菌し、コロニー総数≦1cfu/gの浄化水を得ることができる。他の実施形態では、化学殺菌装置22の出口で原料水をサンプリングし、原料水中のコロニー数および殺菌剤の含有量を測定し、コロニー総数が1cfu/g以下であり、殺菌剤の含有量が質量分率で0.002‰~0.01‰である。
【0021】
本開示の実施形態は、原料水がガス滅菌装置21、化学滅菌装置22に順に通されることを開示しているが、他の実施形態において、原料水を化学滅菌装置22に先に通し、ガス滅菌装置21に後に通すこともでき、いずれも本開示の技術的態様の実施に影響を与えない。
【0022】
いくつかの態様において、細菌調製システム3は、
前記原料ガス浄化システム1及び水浄化システム2と連通し、菌体の作用により原料ガスと原料水を原料として発酵を行い、もろみ液を得ることができる菌体調製装置31と(本開示実施形態において、菌体調製装置31の送液口は、水分離器14の出口及び除浄水送液ポンプ23の出口にそれぞれ接続され、菌体調製装置31は、バイオリアクターであってもよい)、
前記菌体準備装置31および菌体分離システム4と連通し、前記菌体準備装置31内のもろみ液を菌体分離システム4に送液するように使用可能な菌体送液ポンプ32と、
前記菌体送液ポンプ32及び菌体調製装置31に連通し、もろみ液を濃縮もろみ液と清澄液とに分離し、菌体調製装置31におけるもろみ液濃度及び液位を調節可能な菌体濃縮装置33と(本発明の実施形態において、前記菌体濃縮装置33は、濃縮機であってもよいし、濾過機であってもよい)を備える。
【0023】
浄水ガスは、水分離器14の出口から菌体調製装置31に入り、浄水水は、浄水送液ポンプ23の出口から菌体調製装置31に入り、原料ガスと原料水は菌体によりエタノールが生成されるとともに菌体が繁殖し、菌体、エタノール、水および夾雑物が混合してもろみ液となって菌体送液ポンプ32に送られ、菌体送液ポンプ32は、2つに分岐して、一方は菌体分離システム4に、他方は菌体濃化装置33に送られ、もろみ液は菌体濃化装置33に入って濃縮もろみ液と清澄もろみ液に分離され、濃縮もろみ液は菌体調製装置31に戻され、菌体調製装置31でのもろみ液の濃度および液位の調節、清澄もろみ液の他の処理工程への送出に用いることができる。
【0024】
菌体増殖速度が低下すると、菌体製造装置31から排出され続けるもろみ液中に菌体と生成物アルコールが含まれるため、菌体送液ポンプ32だけでは菌体製造装置31でのもろみ液濃度の調節ができず、菌体増殖速度が低下して、最終的には反応が停止してしまい、生産のバランスポイントを維持することが困難となり、炭素含有工業ガス化蛋白生産システムの長時間運転ができなくなる。本開示によりますと、菌体濃縮装置33を設置し、菌体調製装置31においてもろみ液濃度が低下した場合、菌体濃縮装置33で濃縮もろみ液を分離して菌体製造装置31に戻し、菌体製造装置31中のもろみ液の菌体濃度を高めることができ、菌体製造装置31内のもろみ液濃度が高くなると、菌体送液ポンプ32の外部排出(即ちもろみ液の外部排出量)を増やしもろみ液濃度を低くすることもできる。一方、菌体送液ポンプ32の作動、原料水の供給量、および菌体濃縮装置33による菌体製造装置31に戻す濃縮もろみ液の回収量を制御することにより、菌体製造装置31におけるもろみ液の液位を制御することができる一方、3~6%の高濃度菌体を得ることができる。
【0025】
一部の態様では、菌体分離システム4は、
前記菌体調製システム3と連通し、前記もろみ液中のアルコールを分離することが可能な蒸留分離装置41であって、底部温度が90℃以下、頂部圧力が-50kPa以下であり、エタノールを留出させることが可能である蒸留分離装置41と、
前記蒸留分離装置41及び前記タンパク質製造システム5と連通し、もろみ液中の菌体を分離するための遠心分離装置42と(本開示の実施形態において、前記遠心分離装置42は、ディッシュ型遠心分離機、横型スクリュー型遠心分離機、有機膜又は無機膜のうちの1つ以上を含んでもよい)、
遠心分離装置42に連通しており、蒸留後の菌体を含むボトム液を遠心分離装置42に送液するために用いられる蒸留ボトム液送液ポンプ43と
を含み得る。
【0026】
従来の蛋白質の製造方法では、菌体調製装置3で調製したもろみ液をそのまま蒸留するのが一般的であり、水に可溶なイオンが水によって蒸散せず、蒸発後の固体中に残留し、得られる菌体蛋白質製品中に不純物が多量に残留し、製品の純度を低下させる。本発明の実施形態では、まず、もろみ液中のアルコールを蒸留により留去し、残りの夾雑物、菌体および水を遠心分離装置42に送り、遠心分離装置42で水と水溶性夾雑物とを遠心分離することにより、濃度15~30%のより高濃度の菌体を菌体収率>95%で得、タンパク質製造システム5に送る。
【0027】
いくつかの実施形態では、タンパク質製造システム5は、
前記菌体分離システム4と連通し、菌体タンパク質を製造するために菌体を乾燥する乾燥装置51であって、乾燥温度が200℃以下であり、本開示の実施形態では、噴霧乾燥、加圧乾燥、流動床乾燥、およびドラム-ブレード乾燥の1つ以上を含み得る乾燥装置51と、
前記乾燥装置51と連通し、菌体タンパク質を菌体タンパク質製品に包装するための包装装置52とを備える。
【0028】
本開示では、タンパク質の高温分解を防止するために、乾燥装置51の乾燥温度を200℃以下に設定している。
【0029】
以下、本発明の炭素を含有する工業用ガスを用いたタンパク質の製造システムについて、実施例、比較例および実験データを用いて詳細に説明する。
【0030】
<実施例1>
S1、≦1mg/mのダスト、≦0.1ppmのハロゲン化物、32℃~40℃の温度で、液体水を含まないパージガスを得る。
S2、1cfu/g以下のコロニー総数を有する精製水を得る。
S3、3%~6%の濃度の高濃度菌体を得る。
S4、15%~30%のより高濃度の菌体を得ること、菌体収率>95%。
S5、乾燥および完成品包装により、菌体タンパク質が得られる。
【0031】
<比較例1>
本比較例では、原料ガスと水の浄化を行わず、菌体濃縮装置を設けず、蒸発濃縮プロセスを採用した。
【0032】
S1、フィードガスおよび水を直接、入菌体調製システム3に供給して、濃度1%~2%の低濃度菌体および清澄液を得る。
S2、低濃度菌体混合後、蒸留分離装置に入れ、濃度1.2%~2.3%の低濃度菌体を得る。
S3、蒸留分離装置から産出された菌体の濃縮液を蒸発濃縮して、濃度6%~10%の高濃度菌体を得る。
S4、乾燥および完成品包装を行い、菌体タンパク質を得る。
【0033】
各実施例および比較例菌体調製装置3の連続安定運転時間、菌体タンパク質粗蛋白、灰分および収率、製品1トン当たりの蒸気消費量を表1に示す。
【0034】
表1のデータから明らかなように、比較例1では原料ガスと水を直接菌体調製装置3に投入し、菌体濃縮装置、蒸留分離装置を設置しないで得た菌体濃縮液を蒸発濃縮したところ、菌体調製装置3の連続安定運転時間が1ヶ月未満と低く、タンパク質の品質が悪く、粗タンパク質含有量が65%~75%、灰分が8%~10%と高く、タンパク質全体の収率が80%~85%であり、収率および蒸気消費量は実施例の50%程度であった。
【0035】
本発明は、原料ガスと原料水を浄化し、原料ガス中の不純物を除去し、菌体の生育に優れた原料を提供し、原料水中の雑菌を除去し、菌体の生育に優れた環境を提供し、さらに原料ガスを菌体調製システム3で効率よく発酵させ、菌体分離システム4とタンパク質製造システム5により高品質の菌体蛋白質を得ることを目的とする。タンパク質が高品質であり、粗タンパク質含量が≧85%、灰分≦1%であり、菌体調製系3における菌体濃度は3%~6%であり、収量は大幅に向上した。同時に、前記菌体タンパク質収率が>95%であり、タンパク質損失が低減され、かつ、前記菌体調製システム3は、連続安定運転時間>12ヶ月であり、総合効率が高いことがわかる。
【0036】
なお、本明細書において、「第1」及び「第2」などの関係用語は、単に一の実体又は動作を他の実体又は動作と区別するために使用されるものであり、必ずしもこのような実体又は動作間のいかなる実際の関係又は順序も必要とせず或いは暗示するものではない。さらに、「備える」、「含む」、またはそれらの任意の他の変形例は、非排他的な包含をカバーするように意図され、したがって、要素のリストを含むプロセス、方法、品目、または装置は、それらの要素だけでなく、明示的に列挙されていない他の要素も含み、またはそのようなプロセス、方法、品目、または装置に固有の要素も含む。「……を含む」という表現によって定義される要素は、これ以上限定せずに、追加の同一の要素が、前記要素を含むプロセス、方法、物品、又は装置内に存在することを除外しない。
【0037】
以上で記述したのは、本発明の具体的な実施形態に過ぎず、当業者が本発明を理解または具現できるようにするためである。これらの実施形態に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかとなり、本明細書で定義される一般原理は、本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく他の実施形態において実施され得る。したがって、本発明は、本明細書に示されたこれらの実施形態に限定されるものではなく、本明細書に開示された原理および新規の特徴に合致する最も広い範囲を与えられるべきである。
【符号の説明】
【0038】
1 原料ガスの浄化システム
111 第1の除塵装置
112 第2の除塵装置
121 第1の吸着装置
122 電気ヒーター
123 第2の吸着装置
124 真空ポンプ
13 原料ガス温度制御装置
14 水分離器
2 水浄化システム
21 ガス滅菌装置
22 化学滅菌装置
23 浄化水移送ポンプ
3 菌体調製システム
31 菌体調製装置
32 菌体輸送ポンプ
33 菌体濃縮装置
4 菌体分離システム
41 蒸留分離装置
42 遠心分離装置
43 蒸留ボトム液送液ポンプ
5 タンパク質製造システム
51 乾燥装置
52 包装装置
図1
図2