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特許7514941コリオリ流量計のバランスバーのためのモード分割共振器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】コリオリ流量計のバランスバーのためのモード分割共振器
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/84 20060101AFI20240704BHJP
【FI】
G01F1/84
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022549790
(86)(22)【出願日】2020-02-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-12
(86)【国際出願番号】 US2020019003
(87)【国際公開番号】W WO2021167610
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-09-28
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500205770
【氏名又は名称】マイクロ モーション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュロッサー, マーティン アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ショーレンベルガー, フレデリック スコット
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06494106(US,B1)
【文献】特開2007-163481(JP,A)
【文献】特開2011-137822(JP,A)
【文献】特開2005-134388(JP,A)
【文献】米国特許第06227059(US,B1)
【文献】特開2009-180699(JP,A)
【文献】特開2005-250078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流管(130)、
前記流管(130)を振動させるように構成されたドライバ(180)、
前記流管(130)の動きを測定するように構成された少なくとも1つのピックオフセンサ(170L、170R)、
第1バランスバー(150)
及び
前記第1バランスバー(150)又は前記流管(130)のうちの少なくとも1つに結合された第1モードスプリッタ(300)
を備え、
前記第1モードスプリッタ(300)が、質量部(302)と前記質量部(302)に結合された第1端部を有する第1結合部(304a)とを有し、
前記第1結合部(304a)が駆動方向(Y)における第1剛性と直交方向(Z)における第2剛性とを有し、前記直交方向(Z)が前記駆動方向(Y)と前記バランスバー(150)の長手方向との両方に直交し、前記第2剛性が前記第1剛性と異なり、
前記第1モードスプリッタ(300)が、モードスプリッタがない第1バランスバーの直交方向(Z)での固有振動数よりも、少なくとも5パーセント低い、結合された第1バランスバーと第1モードスプリッタの直交方向(Z)での固有振動数を提供するように構成される、コリオリ流量計(100)。
【請求項2】
前記第2剛性が前記第1剛性よりも大きい、請求項に記載のコリオリ流量計(100)。
【請求項3】
前記質量部(302)が、前記質量部(302)の対向する両端に第1端部(306a)及び第2端部(306b)を有し、前記第1結合部(304a)が、前記質量部(302)の前記第1端部(306a)に結合され、
前記モードスプリッタ(300)が、前記質量部(302)の前記第2端部(306b)に結合された第2結合部(304b)をさらに備える、請求項又はに記載のコリオリ流量計(100)。
【請求項4】
前記第2結合部(304b)が、前記駆動方向(Y)における第3剛性と、前記直交方向(Z)における第4剛性とを有し、前記第4剛性が前記第3剛性よりも大きい、請求項に記載のコリオリ流量計(100)。
【請求項5】
前記第1結合部(304a)が、前記駆動方向(Y)における第1寸法(308)より実質的に大きい直交方向(Z)における第2寸法(310)を有している、請求項からのいずれかに記載のコリオリ流量計(100)。
【請求項6】
前記第1モードスプリッタ(300)が、モードスプリッタがない第1バランスバーの直交方向(Z)での固有振動数よりも、少なくとも10パーセント低い、結合された第1バランスバーと第1モードスプリッタの直交方向(Z)での固有振動数を提供するように構成される、請求項からのいずれかに記載のコリオリ流量計(100)。
【請求項7】
前記第1モードスプリッタ(300)が、モードスプリッタがない第1バランスバーの前記駆動方向(Y)での固有振動数の1パーセント以内である、結合された第1バランスバーと第1モードスプリッタの前記駆動方向(Y)での固有振動数を有するように構成される、請求項からのいずれかに記載のコリオリ流量計(100)。
【請求項8】
前記第1バランスバー(150)が、実質的に正方形の断面を有する、請求項からのいずれかに記載のコリオリ流量計(100)。
【請求項9】
一つ以上のブラケット(160L、160R、161、161’)を用いて前記第1バランスバー(150)に結合された第2バランスバー(150’)をさらに備える、請求項からのいずれかに記載のコリオリ流量計(100)。
【請求項10】
第2バランスバー(150’)と、前記流管(130)又は前記第2バランスバー(150’)の少なくとも一方に結合された第2モードスプリッタ(300)とをさらに備える、請求項からのいずれかに記載のコリオリ流量計(100)。
【請求項11】
前記流管(130)が直線状である、請求項から10のいずれかに記載のコリオリ流量計(100)。
【請求項12】
流管(130)を提供するステップ、
前記流管(130)を振動させるように構成されたドライバ(180)を、前記流管(130)に結合するステップ、
前記流管(130)の動きを測定するように構成された少なくとも1つのピックオフセンサ(170L、170R)を、前記流管(130)に結合するステップ、
ブレースバー(140、140')を、前記流管(130)に結合するステップ、
バランスバー(150)を前記ブレースバー(140、140')に結合するステップ
及び
モードスプリッタ(300)を前記流管(130)又は前記バランスバー(150)のうちの少なくとも1つに結合するステップであって、前記モードスプリッタ(300)が質量部(302)と前記質量部(302)に結合された第1端部を有する第1結合部(304a)とを有し、前記第1結合部(304a)が駆動方向(Y)における第1剛性と直交方向(Z)における第2剛性とを有し、前記直交方向(Z)が前記駆動方向(Y)と前記バランスバー(150)の長手方向との両方に直交し、前記第2剛性が前記第1剛性と異なる、ステップ
を含み、
前記第1モードスプリッタ(300)が、モードスプリッタがない第1バランスバーの直交方向(Z)での固有振動数よりも、少なくとも5パーセント低い、結合された第1バランスバーと第1モードスプリッタの直交方向(Z)での固有振動数を提供するように構成される、コリオリ流量計(100)の組み立て方法。
【請求項13】
前記バランスバー(150)を前記ブレースバー(140、140’)に結合するステップが、
第1バランスバー(150)を前記ブレースバー(140、140’)に結合すること、
第2バランスバー(150’)を前記ブレースバー(140、140’)に結合すること、
及び
1つ以上のブラケット(160L、160R、161、161’)を使用して前記第1バランスバー(150)を前記第2バランスバー(150’)に結合すること
をさらに含む、請求項12に記載の前記コリオリ流量計(100)の組み立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下に記載される実施形態は、コリオリ流量計のバランスバーに関し、より詳細には、コリオリ流量計のバランスバーのモード分割に関する。
【背景技術】
【0002】
コリオリ流量計は、プロセス流体の質量流量、密度、体積流量、及びの他の情報を測定するために使用される、流量計の一種である。コリオリ流量計は、1つ又は複数の関連するバランスバーを備える単一の流管、2つの流管、又は任意の追加の数の流管のいずれかを含みうる。コリオリ流量計の振動構造は、典型的には、動的平衡システムである。コリオリ流量計が一対の流管を含む場合、例えば、流管を逆位相で振動させて、動的平衡システムを形成することができる。しかしながら、単一の流管を含むコリオリ流量計では、流管は、動的平衡システムを形成するために、一般にバランスバーと逆位相で振動される。さらなる実施形態では、しかし、二つ以上の流管を有するコリオリ流量計が、動的平衡システムを提供するために、バランスバーを含むことがある。
【0003】
図1は、直線流管130を備えたコリオリ流量計100の一例を示す。コリオリ流量計100は、ケース102を備えることができる。ブレースバー140、140’は、流管130を流量計のケース102に結合しうる。ブレースバー140及び140’は、さらに、流管130がその周りで振動する軸を規定するように働く。
【0004】
フランジ103及び130’は、入口端104及び出口端104’を介して、測定している流体を運ぶプロセス導管(図示せず)に接続される。
【0005】
コリオリ流量計100は、さらに、流管130を振動させるドライバ180を備える。ドライバ180は、ろう付け、接着剤、ファスナ、又は当業者に知られている任意の他の結合方法を使用して、流管130に取り付けられた磁石、及びブラケット161、161’に取り付けられた対向コイルなど、多くの周知の構成のうちの任意の1つを採ることができる。しかしながら、さらなる実施形態では、ドライバ180の任意の部分は、バランスバー150、150’、又は当業者に知られている任意の他の構造物に取り付けられてもよい。交流のドライバ電流が、流管130を振動させるためにドライバ180に流される。図1のコリオリ流量計100の例では、駆動方向はY方向であり、これはこの図における垂直方向である。
【0006】
コリオリ流量計100は、一対のピックオフセンサ170L及び170Rをさらに含む。ピックオフセンサ170L及び170Rは、流管130に取り付けられた磁石及びブラケット160L、160Rに取り付けられた対向するコイルのような、多くの周知の速度、変位又は加速度のピックオフセンサ構成のうちの任意の1つを備えることができる。しかしながら、さらなる実施形態において、ピックオフセンサ170L及び170Rの任意の部分は、ろう付け、接着剤、ファスナ、又は当業者に知られている任意の他の結合方法を使用して、バー150、150’又は任意の他の構造物に取り付けられてもよい。ピックオフセンサ170L及び170Rは、流管130が振動するときの流管130の変位を測定する。流管130を通る流れがない状態では、ピックオフセンサ170L及び170Rの信号は同位相である。しかし、振動する管を通る流れが始まると、管にコリオリ力が誘起される。コリオリ流量計100の例では、ピックオフセンサ170L及び170Rは、駆動方向又はY方向における流管130の動きを測定する。
【0007】
メータ電子機器(図では示されていない)は、ドライバ180に対して、流管130を振動させるための駆動信号を供給し、速度ピックオフセンサ170L及び170Rから左右の速度信号を受け取り、コリオリ流量計100を通過する流れに対する質量流量、体積速度及び/又は密度情報を計算する。
【0008】
例示的なコリオリ流量計100は、流管130の振動を動的平衡させるためにバランスバー150、150’を含む。バランスバー150、150’のそれぞれは、流管130の軸に平行な長手方向に延びており、二つのバランスバー150、150’は、流管130の対向する側面に沿って配置されている。例示されたコリオリ流量計100では、バランスバー150、150’は、流管130のZ方向において対向する側面に配置されている。バランスバー150、150’は、流管130に対向して振動するように構成されている。しかしながら、さらなる実施形態では、コリオリ流量計100は、一つのバランスバーのみを含んでいてもよく、又は当業者に知られている任意の数のバランスバーを含んでもよい。さらなる実施形態では、バランスバー150、150’は、異なる向きで流管130に結合されてもよい。
【0009】
例示のコリオリ流量計100のバランスバー150、150’は、1つ又は複数のブラケット160L、160R、161、及び161’を介して互いに接続されている。しかし、さらなる実施形態では、当業者であれば理解できるように、ブラケットの異なる配置が可能であり得る。
【0010】
例示のコリオリ流量計100では、バランスバー150の断面は略正方形である。これは、駆動方向と平行なY方向と、駆動方向と直交するZ方向とを含むバランスバー150の断面を示す図2に見ることができる。実質的に正方形とは、Y方向及びZ方向におけるバランスバー150の断面の長さが互いに15%以内であることを意味する。しかしながら、さらなる実施形態では、Y方向及びZ方向におけるバランスバー150の長さは、互いに10%以内又は5%以内でありうる。
【0011】
バランスバー150の実質的に正方形である断面形状は、Y方向及びZ方向において実質的に同じ剛性を提供する。バランスバー150が流管130と反対の位相で動くとき、例えばバランスバー150は、Z方向の固有振動数と実質的に同じY方向の固有振動数を有する傾向がある。例えば、位相外れモードにおける1つのバランスバー設計に対して有限要素解析モデリングを使用すると、Y方向又は駆動方向の固有振動数は、約498Hzと、又は503HzであるZ方向の固有振動数と実質的に等しいと決定された。Y方向とZ方向の両方の固有振動数が実質的に同じであるか、又は互いの5%以内である場合、Y方向において、ピックオフセンサ170R、170Lによって検出される、Z方向からの望ましくない応答が存在する可能性がある。これにより、コリオリ流量計の測定精度が低下する可能性がある。
【0012】
メータ精度はバランスバー150の断面寸法に敏感であるため、バランスバー150の実質的に正方形である断面の寸法を、流量計の性能に影響を及ぼすことなく変更することは困難である。特に、バランスバー150がZ方向に薄すぎると、密度に対する流量計の感度が影響を受ける可能性がある。しかし、バランスバー150がZ方向に広すぎると、Z方向の振動が制限され、したがって、平衡Y方向モードと等しくなり得る。このため、従来のコリオリ流量計のバランスバーの直交モード間の振動を分離することは困難であり、結果として、幾つかの従来の流量計では精度が低下している可能性がある。
【0013】
バランスバー150は、Y方向とZ方向との間のノイズのクロスカップリングを生成しうる、バランスバーの断面形状の一例を提供するにすぎない。さらなる実施形態では、異なる断面形状を有するバランスバーが、Y方向及びZ方向において実質的に同じである剛性を特徴とし、それによって、Y方向とZ方向との間のノイズのクロスカップリングをより起こり易くしている。
【0014】
より必要なことは、コリオリ流量計の精度を向上させるために、Y方向とZ方向との間のバランスバーにおけるノイズのクロスカップリングを防止する方法である。
【発明の概要】
【0015】
第1の実施形態に従って、コリオリ流量計のバランスバー又は流管用のモードスプリッタが提供される。モードスプリッタは、質量部と、この質量部に結合された第1結合部とを備える。第1結合部は、駆動方向おける第1剛性と直交方向における第2剛性とを有し、直交方向は、駆動方向とバランスバーの長手方向との両方に直交し、第2剛性は第1剛性と異なる。
【0016】
第2の実施形態に従って、コリオリ流量計が提供される。コリオリ流量計は、流管、この流管を振動させるように構成されたドライバ、この流管の動きを測定するように構成された少なくとも1つのピックオフセンサ、第1バランスバー、及びこの第1バランスバー又は流管のうちの少なくとも1つに結合された第1モードスプリッタを備える。第1モードスプリッタは、質量部とこの質量部に結合された第1結合部とを有し、第1結合部は、駆動方向における第1剛性と直交方向における第2剛性とを有し、直交方向は、駆動方向及びバランスバーの長手方向の両方に直交し、第2剛性は第1剛性とは異なる。
【0017】
第3の実施形態に従って、コリオリ流量計を組み立てるための方法が提供される。
本方法は、流管を提供するステップ、流管に振動させるように構成されたドライバを流管を結合するステップ、流管の動きを測定するように構成された少なくとも1つのピックオフセンサを流管に結合するステップ、ブレースバーを流管に結合するステップ、バランスバーをブレースバーに結合するステップ、及びモードスプリッタを流管又はバランスバーの少なくとも1つに結合するステップを含む。モードスプリッタは、質量部とこの質量部に結合された第1結合部とを有し、第1結合部は駆動方向における第1剛性と直交方向における第2剛性とを有し、直交方向は駆動方向及びバランスバーの長手方向の両方に直交し、第2剛性は第1剛性とは異なる。
【0018】
[態様]
一態様によれば、第2剛性は第1剛性よりも大きくてもよい。
【0019】
一態様によれば、質量部は、質量部の対向する両端に第1端部及び第2端部を有してもよく、第1結合部は質量部の第1端部に結合されてもよく、モードスプリッタは、質量部の第2端部に結合された第2結合部をさらに備えていてもよい。
【0020】
一態様によれば、第2結合部は、駆動方向における第3剛性と、直交方向における第4剛性とを有してもよく、第4剛性は第3剛性よりも大きい。
【0021】
一態様によれば、第1結合部は、駆動方向における第1寸法よりも実質的に大きい、直交方向における第2寸法を有することができる。
【0022】
一態様によれば、第2剛性は、第1剛性よりも大きくてもよい。
【0023】
一態様によれば、質量部は、質量部の対向する両端に第1端部及び第2端部を有してもよく、第1結合部は質量部の第1端部に結合されてもよく、モードスプリッタは、質量部の第2端部に結合された第2結合部をさらに備えてもよい。
【0024】
一態様によれば、第2結合部は、駆動方向における第3剛性と、直交方向における第4剛性とを有してもよく、第4剛性は第3剛性よりも大きい。
【0025】
一態様によれば、第1結合部は、駆動方向における第1寸法よりも実質的に大きい、直交方向における第2寸法を有することができる。
【0026】
一態様によれば、第1モードスプリッタは、モードスプリッタがない第1バランスバーの直交方向での固有振動数よりも、少なくとも5パーセント低い、結合された第1バランスバーと第1モードスプリッタの直交方向での固有振動数を提供するように構成することができる。
【0027】
一態様によれば、第1モードスプリッタは、モードスプリッタがない第1バランスバーの直交方向での固有振動数よりも、少なくとも10パーセント低い、結合された第1バランスバーと第1モードスプリッタの直交方向での固有振動数を提供するように構成することができる。
【0028】
一態様によれば、モードスプリッタは、モードスプリッタがない第1バランスバーの駆動方向での固有振動数の1パーセント以内である、結合された第1バランスバーと第1モードスプリッタの駆動方向での固有振動数を有するように構成することができる。
【0029】
一態様によれば、第1バランスバーは、実質的に正方形の断面を有することができる。
【0030】
一態様によれば、コリオリ流量計は、1つ又は複数のブラケットを使用して第1バランスバーに結合された第2バランスバーをさらに備えることができる。
【0031】
一態様によれば、コリオリ流量計は、第2バランスバーと、流管又は第2バランスバーの少なくとも1つに結合された第2モードスプリッタとをさらに備えることができる。
【0032】
一態様によれば、流管は直線状であってもよい。
【0033】
一態様によれば、バランスバーをブレースバーに結合するステップは、第1バランスバーをブレースバーに結合することと、第2バランスバーをブレースバーに結合することと、1以上のブラケットを使用して第1バランスバーを第2バランスバーに結合することとをさらに含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
すべての図面において、同じ参照番号は同じ要素を表す。図面は必ずしも縮尺通りではないことを理解されたい。
図1図1は、一実施形態に係るコリオリ流量計100を示す。
図2図2は、一実施形態に係るバランスバー150を示す。
図3図3は、一実施形態に係るモードスプリッタ300を示す。
図4図4は、一実施形態に係るグラフ400を示す。
図5図5は、一実施形態に係る方法500を示す。
図6図6は、一実施形態に係る方法600を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1-6および以下の説明は、本出願の最良の形態を作成及び使用する方法を当業者に教示するための、具体的な例を示す。本発明の原理を教示する目的において、いくつかの従来からの態様は、単純化され、又は省略されている。当業者であれば、本出願の範囲内に含まれるこれらの例からの変形を理解できるであろう。当業者であれば、以下に記載される特徴を様々な方法で組み合わせて、本出願の複数の変種が形成できることを理解できるであろう。結果として、本出願は、以下で記載される具体的な例に限定されるものではなく、特許請求の範囲及びそれらの均等物によってのみ限定される。
【0036】
図3は、一実施形態に係るモードスプリッタ300を示す。モードスプリッタ300は、駆動方向の振動モードと直交方向の振動モードとの間の振動を分離するために、コリオリ流量計100の流管130又はバランスバー150、150’の少なくとも1つに結合されうる。
【0037】
モードスプリッタ300は、質量部302と、第1結合部304aとを備える。質量部302は、モードスプリッタの中央本体を備える。モードスプリッタ300の例では、質量部302は、直径が1インチ、高さが1インチの円柱形状を有する。しかしながら、これは限定を意図するものではない。さらなる実施形態では、質量部302は、当業者であれぱ理解できるように、任意のサイズ又は形状を有し得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、質量部302は、タングステンなどの高密度材料から形成されうる。しかしながら、さらなる実施形態では、質量部302は、当業者に公知の任意の材料から形成されてもよい。
【0039】
第1結合部304aは、質量部302に結合される。第1結合部304aは、質量部302をバランスバー150、又はバランスバー150に結合された固定具に結合するように構成される。第1結合部304aは、第1端部で質量部302に結合し、第1端部に対向する第2端部で、バランスバー150、又は流量計の固定具に結合する。
【0040】
第1結合部304aは、駆動方向における第1剛性と直交方向における第2剛性とを有し、直交方向は、駆動方向とバランスバーの長手方向の両方に直交し、第2剛性は、第1剛性よりも大きい。図3において、駆動方向がY方向であり、バランスバー150及び流管130の長さに沿った長手方向がX方向であり、直交方向がZ方向であることが理解できるであろう。
【0041】
いくつかの実施形態において、第1結合部304aは、例えば304SSのステンレス鋼のシートから切り出されうる。しかしながら、さらなる実施形態では、第1結合部304aは、当業者に知られている任意の材料を備えることができ、直交方向Zにおける第2剛性が、駆動方向Yにおける第1剛性よりも大きくなることを可能とする、任意の構成を備えうる。
【0042】
モードスプリッタ300の実施形態では、第1結合部304aは、二つの平面を有する平坦な長方形を含む。いくつかの実施形態において、第1結合部304aは、長手方向Xに0.5インチの長さ、直交方向Zに1.5インチの長さ、及び駆動方向Yに0.024インチの厚さでありうる。直交方向Zより駆動方向Yにおいてはるかに長い第1結合部304aを提供することで、第1結合部304aは、直交方向Zにおいて駆動方向Yとは異なるように構成されうる。
【0043】
モードスプリッタ300の実施形態では、第1結合部304aは、駆動方向Yよりも直交方向Zにおいて剛性が高くなるように構成されている。しかし、さらなる実施形態において、第1結合部304aは、直交方向Zにおける第2剛性が、駆動方向Yにおける第1剛性と異なることを可能にする、任意の構成を含みうる。例えば、第1結合部304aは、駆動方向Yにおける第1剛性よりも大きい直交方向Zにおける第2剛性を提供するように配置された繊維を有する、炭素繊維複合材料を含んでいてもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、第1結合部304aと質量部302とを一つの統合体として形成することができる。しかしながら、さらなる実施形態では、第1結合部304aと質量部302とは、互いに結合された別個の部分として形成されてもよい。
【0045】
モードスプリッタ300を流管130又はバランスバー150へ結合すると、質量部302は、駆動方向Yにおいて流管130又はバランスバー150に弱く結合され、直交方向Zにおいて流管130又はバランスバー150に強く結合される。これは、Z方向の直交モードからの振動を、Y方向の駆動モードから分離するのに役立ち、これによってメータ精度を高めることができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、質量部302は、対向する端に第1端部及び第2端部を有する。図3の実施形態において、質量部302は、質量部302の本体を形成する円柱の対向する端に、第1端部306a及び第2端部306bを有することが理解できる。第1結合部304aは、質量部302の第1端部306aに結合されている。
【0047】
いくつかの実施形態では、モードスプリッタ300は、質量部の第2端部に結合された第2結合部をさらに備えうる。例えば、図3に見られるように、第2結合部304bは、質量部302の第2端部306bに結合されうる。いくつかの実施形態では、第2結合部304bは、第1結合部304aと形状及び特徴が類似していてもよい。質量部302の対向する端部306a、306bに配置された二つの結合部304a、304bを有するモードスプリッタ300を設けることによって、直交モード周波数と駆動モード周波数とを分割分離する平衡モードスプリッタ300を提供することができ、駆動周波数におけるZモードのオフ-共振応答を低減することが可能となる。
【0048】
いくつかの実施形態では、第2結合部304bは、駆動方向Yにおける第3剛性と、直交方向Zにおける第4剛性とを有することができ、第4剛性は、第3剛性よりも大きい。いくつかの実施形態において、第3剛性は第1剛性と同じでもよく、第4剛性は第2剛性と同じでもよい。
【0049】
いくつかの実施形態において、第1結合部304aは、駆動方向Yにおける第1寸法よりも実質的に大きい、直交方向Zにおける第2寸法を有してもよい。例えば、図3の実施形態において見られるように、結合部304aは、駆動方向Yにおける第1寸法308と、直交方向Zにおける第2寸法310とを有している。第1寸法308は、第2寸法310の5%以下の長さである。しかしながら、さらなる実施形態では、第1寸法308は、第2寸法310の15%又は10%以下の長さである。
【0050】
図4は、モードスプリッタ300が駆動モードを直交モードから分離するのに、どのように役立つかを示している。図4は、モードスプリッタ300がバランスバー150に結合された位置における、駆動方向Y及び直交方向の周波数の関数として、伝達率、すなわち、入力変位に対する出力変位の比を提供するグラフ400を示す。例えば図3では、モードスプリッタ300は、第1結合部304a及び第2結合部304bの対向端にある結合位置312a及び312bで、バランスバー150に結合されうることが理解できる。駆動伝達率曲線402は直交方向Zにおける伝達率を示し、直交伝達率曲線404は駆動方向Yにおける伝達率を示す。
【0051】
図4は、モードスプリッタ300がバランスバー150に取り付けられた場合の、モードスプリッタ300の垂直(駆動方向、流量計のY方向)及び水平(流量計のZ方向)入力に対する周波数応答を示している。図から分かるように、駆動伝達率曲線402は、164Hzにおいて大きなピークを有する。モードスプリッタ300に、164Hzでの周波数応答ピークを設けることによって、モードスプリッタ300が流管130又はバランスバー150に結合されている場合、モードスプリッタ300は、駆動方向Yにおいて、バランスバー150の固有振動数を、500Hzの駆動周波数よりも低くすることができる。いくつかの実施形態において、モードスプリッタ300は、さらに低い周波数ピークを有する駆動伝達率曲線402を提供するように構成されてもよい。例えば、質量部302の質量が増加した場合、駆動伝達率曲線402は、さらに低い周波数応答ピークを提供しうる。
【0052】
図4から容易に分かるように、駆動伝達率曲線402は増幅なしで応答し、その結果、共振より十分低い周波数においては同相である。しかしながら、共振を超えると、入力エネルギーが共振質量を動かす能力を急速に失うため、駆動伝達率曲線402は減衰する。いくつかの実施形態では、駆動伝達率曲線402は、駆動方向Yにおける駆動モードの周波数よりも低いピーク応答周波数を提供することができる。これにより、駆動方向Yにおける駆動モードでのモードスプリッタ300の動きを減衰させることができる。
【0053】
グラフ400は、直交伝達率曲線404が、5000Hz付近(図4には描かれていない)において、500Hzである駆動周波数を十分に上回る、ピーク周波数を有することを示す。これにより、モードスプリッタ300がバランスバー150に取り付けられると、モードスプリッタ300は、バランスバー150と同位相で(剛性アタッチメントとして)直交方向Zに動くことが可能になり、これにより、直交方向Zにおいて(追加の剛性結合質量による)より低い曲げ周波数が提供されうる。
【0054】
いくつかの実施形態では、第1モードスプリッタ300は、流管又はコリオリ流量計の第1バランスバーに結合されうる。例えば、第1モードスプリッタ300は、上述したように、流管130と、流管130を振動させるように構成されたドライバ180と、流管130の動きを測定するように構成された少なくとも1つのピックオフセンサ170R、170Lと、バランスバー150とを備えるコリオリ流量計100に結合されうる。
【0055】
いくつかの実施形態では、第1モードスプリッタ300は、第1モードスプリッタ300の駆動方向Yが、コリオリ流量計100の駆動方向と平行となるように、流管130又はバランスバー150の長手方向中央位置に結合されうる。いくつかの実施形態では、第1モードスプリッタ300は、ドライバ180に隣接して配置されてもよい。しかしながらさらなる実施形態では、当業者であれば理解できるように、第1モードスプリッタ300は、流管130又はバランスバー150の任意の他の長手方向部分に沿って結合されてもよい。
【0056】
例えば図1では、バランスバー150は、ドライバ180に面するバランスバー150の面に、第1結合位置180aを含むことが理解できる。バランスバー150はまた、ドライバ180と反対の方向を向くようにバランスバー150の下に配置され、図では見えない第2結合位置180bを含むことができる。いくつかの実施形態では、モードスプリッタ300は、ろう付け又は接着剤の使用を含むがこれらに限定されない当業者に知られた任意の方法で、第1結合位置312a及び180と、第2結合位置312b及び180bとの間で、バランスバー150に結合されうる。しかしながら、コリオリ流量計100の例は、限定を意図するものではない。さらなる実施形態では、モードスプリッタ300は、バランスバー150に、単一の点又は3つ以上の点で結合されてもよい。さらに、モードスプリッタ300は、バランスバー150の異なる面に結合されうる。
【0057】
いくつかの実施形態では、第1バランスバー150及び第1結合部304aは、駆動方向Yにおける結合された第1剛性と、直交方向Zにおける結合された第2剛性とを有することができ、第2剛性は第1剛性とは異なる。いくつかの実施形態では、第2剛性は、第1剛性よりも大きくてもよい。これは、直交モード振動と駆動モード振動との間の分離をさらに提供しうる。
【0058】
いくつかの実施形態では、第1モードスプリッタ300は、モードスプリッタがない第1バランスバーの直交方向Zでの固有振動数よりも、少なくとも5パーセント低い、結合された第1バランスバーと第1モードスプリッタの直交方向Zでの固有振動数を提供するように、構成されうる。さらなる実施形態では、結合された第1バランスバーと第1バランスバーの直交方向Zでの固有振動数は、モードスプリッタがない第1バランスバーの直交方向Zでの固有振動数よりも、少なくとも10又は15パーセント低くてもよい。
【0059】
例えば、バランスバー150が直交方向Zに503Hzの固有振動数を有し、モードカプラ300が直交方向Zに164Hzの周波数応答ピークを提供する上記の例では、結合された第1バランスバーと第1モードスプリッタの直交方向Zでの固有振動数は、452Hzになり、バランスバー150の直交方向Zでの固有振動数より約11パーセント低くなり得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、モードスプリッタは、モードスプリッタがない第1バランスバーの駆動方向での固有振動数の、1パーセント以内である、結合された第1バランスバーとモードスプリッタの駆動方向での固有振動数を有するように、構成されうる。
【0061】
例えば、上述の同じ例では、バランスバー150は、駆動方向Yに497Hzの固有振動数を有し、モードスプリッタ300は、駆動方向Yに5000Hzの周波数応答ピークを提供する。したがって、結合された第1バランスバーと第1モードスプリッタの駆動方向Yでの固有振動数は505Hzとなり、これは、497Hzであるバランスバー150の駆動方向Yでの固有振動数と実質的に同じである。
【0062】
このようにして、モードスプリッタ300は、バランスバー150の駆動モード及び直交モードから振動を分離するのに役立ちうる。
【0063】
さらなる実施形態では、第2バランスバーは、1つ又は複数のブラケットを使用して第1バランスバーに結合され得る。例えば、図1は、ブラケット160L、160R、161、161’を介して第1バランスバー150に結合された第2バランスバー150’を示している。第2バランスバー150’はまた、ブレースバー140、140’を介して流管130に結合されうる。
【0064】
コリオリ流量計100の例では、ブラケット160L及び160Rは第1及び第2ピックオフセンサ170R、170Lのためのマウントをさらに提供し、ブラケット161、161’はドライバ180のためのマウントを提供している。しかしながら、これは限定を意図するものではない。当業者であれば容易に理解できるように、一つ以上のブラケット160L、160R、161、161’は、バランスバー150、150’の長さに沿った任意の場所に結合することができ、また、さらなる流量計要素のためのマウントを提供することも、提供しないこともありうる。
【0065】
いくつかの実施形態では、コリオリ流量計100は、第2バランスバー150’と、流管130又は第2バランスバー150’に結合された第2モードスプリッタ300とをさらに備えることができる。いくつかの実施形態では、流管130又は第2バランスバー150’と第2モードスプリッタ300との間の結合は、上述の流管130又は第1バランスバー150と第1モードスプリッタ300について説明したものと同様であってもよく、又は異なっていてもよい。
【0066】
図5は、一実施形態に係る方法500を示す。方法500は、コリオリ流量計100を組み立てるために使用され得る。方法500は、ステップ502から始まる。ステップ502において、流管が提供される。例えば、流管130は、前述のように設けられうる。
【0067】
方法500はステップ504に続く。ステップ504では、流管を振動させるように構成されたドライバが、流管に結合される。例えば、前述のように、ドライバ180が設けられうる。
【0068】
方法500はステップ506に続く。ステップ506では、流管の動きを測定するように構成された少なくとも1つのピックオフセンサが、流管に結合される。例えば、ピックオフセンサ170R、170Lは、前述した流管130に結合されうる。
【0069】
方法500はステップ508に続く。ステップ508において、ブレースバーが流管に結合される。例えば、ブレースバー140は、前述のように、流管130に結合されうる。
【0070】
方法500はステップ510に続く。ステップ510において、バランスバーがブレースバーに結合される。例えば、バランスバー150は、前述のように、ブレースバー140に結合されうる。
【0071】
図6は、一実施形態に係る方法600を示す。いくつかの実施形態では、ステップ510は、方法600のステップをさらに含むことができる。方法600は、ステップ602から始まる。ステップ602において、第1バランスバーがブレースバーに結合されうる。例えば、第1バランスバー150は、前述のように、ブレースバー140に結合されうる。
【0072】
方法600はステップ604に続く。ステップ604において、第2バランスバーがブレースバーに結合されうる。例えば、第2バランスバー150’は、前述のように、ブレースバー140に結合されうる。
【0073】
方法600はステップ606に続く。ステップ606において、第1バランスバーは、1つ又は複数のブラケットを使用して第2バランスバーに結合されうる。例えば、第1バランスバー150は、前述のように、1つ以上のブラケット160L、160R、161、161’を用いて、第2バランスバー150’に結合されうる。
【0074】
方法500はステップ512に続く。ステップ512では、モードスプリッタは、流管又はバランスバーの少なくとも1つに結合される。例えば、モードスプリッタ300は、前述のように、バランスバー150に結合されうる。
【0075】
このように、特定の実施形態は、例示の目的のために本明細書に記載されているが、当業者であれは認識できるように、本記載の範囲内で様々な同等の修正が可能である。本明細書で提供される教示は、上記で説明され、添付の図面に示される実施形態だけでなく、他の実施形態にも適用されうる。したがって、上述の実施形態の範囲は、以下の特許請求の範囲から決定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6