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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】車載用燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20240704BHJP
   H01M 8/249 20160101ALI20240704BHJP
   H01M 8/04014 20160101ALI20240704BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20240704BHJP
   B60L 50/71 20190101ALI20240704BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20240704BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
H01M8/249
H01M8/04014
H01M8/00 Z
H01M8/04 N
B60L50/71
H01M8/12 101
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022567704
(86)(22)【出願日】2020-12-10
(86)【国際出願番号】 IB2020001064
(87)【国際公開番号】W WO2022123280
(87)【国際公開日】2022-06-16
【審査請求日】2023-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】礒田 博之
(72)【発明者】
【氏名】筑後 隼人
(72)【発明者】
【氏名】臼田 昌弘
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-41720(JP,A)
【文献】特開2017-47842(JP,A)
【文献】特開2012-158312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00-3/12
7/00-13/00
15/00-58/40
H01M 8/00-8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池と、前記燃料電池との間でガスの授受を行う補機と、を備えた車載用燃料電池システムにおいて、
前記補機を収容する補機構造体を含み、
前記燃料電池は、前記補機構造体の上面に固定された第1の燃料電池と、前記補機構造体の下面に固定された第2の燃料電池と、を含み、
前記補機構造体は、車体の骨格部材と高さ方向で略同一となる位置に配置され、
前記第1の燃料電池及び前記第2の燃料電池は、前記補機構造体を介して前記骨格部材に固定されている車載用燃料電池システム。
【請求項2】
前記第1の燃料電池は、前記車体内において前記骨格部材よりも高い位置を占める第1の内部空間に配置され、
前記第2の燃料電池は、前記車体内において前記骨格部材よりも低い位置を占める第2の内部空間に配置され、
前記第1の内部空間の高さ寸法が前記第2の内部空間の高さ寸法よりも高い場合には、前記第1の燃料電池の高さ寸法は前記第2の燃料電池の高さ寸法よりも高く設定され、
前記第2の内部空間の高さ寸法が前記第1の内部空間の高さ寸法よりも高い場合には、前記第2の燃料電池の高さ寸法は前記第1の燃料電池の高さ寸法よりも高く設定されている請求項1に記載の車載用燃料電池システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車載用燃料電池システムであって、前記車体を支持する前方懸架装置よりも上方であって前記車体の内部に配置された前方原動機室に搭載された車載用燃料電池システムにおいて、
前記第2の燃料電池の下面は、前記前方懸架装置を構成する構造骨格の下面よりも上方に配置されている車載用燃料電池システム。
【請求項5】
前記第2の燃料電池、前記補機構造体、及び前記第1の燃料電池の順に積層された積層構造体において、
前記積層構造体の車両の前方側の端部は略同一面を形成し、
前記積層構造体の車両の後方側の端部には、前記補機構造体の一部であって前記第1の燃料電池及び前記第2の燃料電池よりも後方に突出した突出部が形成されている請求項3又は4に記載の車載用燃料電池システム。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の車載用燃料電池システムであって、前記車体を支持する後方懸架装置よりも上方であって前記車体の内部に配置された後方原動機室に搭載された車載用燃料電池システムにおいて、
前記第2の燃料電池の下面は、前記後方懸架装置を構成する構造骨格の下面よりも上方に配置されている車載用燃料電池システム。
【請求項9】
請求項7に記載の車載用燃料電池システムであって、客室の床板の高さが後部窓の下端以下に設定された車両に搭載された車載用燃料電池システムにおいて、
前記第1の燃料電池の上面は、客室の床板に対して所定の距離だけ低い位置に設定した仮想面よりも低い位置に配置されている車載用燃料電池システム。
【請求項10】
前記第2の燃料電池、前記補機構造体、及び前記第1の燃料電池の順に積層された積層構造体において、
前記積層構造体の車両の後方側の端部は略同一面を形成し、
前記積層構造体の車両の前方側の端部には、前記補機構造体の一部であって前記第1の燃料電池及び前記第2の燃料電池よりも前方に突出した突出部が形成されている請求項7乃至9の何れか1項に記載の車載用燃料電池システム。
【請求項12】
前記補機構造体は、
前記第1の燃料電池のカソードと前記第2の燃料電池のカソードとを接続する空気流路を含み、
前記補機は、
前記第1の燃料電池及び前記第2の燃料電池から排出された燃料オフガスと、前記第1の燃料電池及び前記第2の燃料電池から排出された空気オフガスと、を混合して燃焼する燃焼器と、
前記第1の燃料電池及び前記第2の燃料電池に供給する空気を前記燃焼器の熱による加熱する熱交換器と、を含み、
前記空気流路は、前記補機構造体において前記燃焼器及び前記熱交換器よりも車両の前方側に配置されている請求項3乃至6の何れか1項に記載の車載用燃料電池システム。
【請求項13】
前記補機構造体は、前記第1の燃料電池のアノードと前記第2の燃料電池のアノードとを接続する一対の燃料流路を含み、
一対の前記燃料流路は、前記補機構造体において前記車両の幅方向の両端側に配置され、
前記空気流路は、前記補機構造体において一対の前記燃料流路の間に配置されるとともにその幅方向の両端が前記燃料流路に隣接するように幅広に配置されている請求項12に記載の車載用燃料電池システム。
【請求項14】
前記空気流路は前記補機構造体の前記車両の前方から見て前記熱交換器を覆うように配置されている請求項13に記載の車載用燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車載用燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
JP2012-221630Aは、熱交換器、改質器、燃焼器等を包含する構造体の上に複数の燃料電池スタックを積層した燃料電池システムを開示している。
【発明の概要】
【0003】
しかし、JP2012-221630Aに示す燃料電池システムを車両に搭載する場合、前記の構造体を車両に固定することになるが、燃料電池システムの最下部にある構造体と車両骨格とでは高さが異なることになるので、構造体を車両骨格に取り付けるためのブラケットを大型にする必要があり、その分、重量が増加する。また、燃料電池システムの最下部を大型のブラケットで固定することになるので、運転時において燃料電池システム及びブラケットの揺動の振幅が大きくなり、車両の制振性や操縦安定性を損ねる虞がある。
【0004】
そこで、本発明は、車両の重量増加を抑制するとともに、車両の制振性や操縦安定性の低下を抑制した車載用燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0005】
本発明のある態様によれば、燃料電池と、燃料電池との間でガスの授受を行う補機と、を備えた車載用燃料電池システムにおいて、補機を収容する補機構造体を含み、燃料電池は、補機構造体の上面に固定された第1の燃料電池と、補機構造体の下面に固定された第2の燃料電池と、を含み、補機構造体は、車体の骨格部材と高さ方向で略同一となる位置に配置され、第1の燃料電池及び第2の燃料電池は、補機構造体を介して骨格部材に固定されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本実施形態の車載用燃料電池システムを車両前方に搭載した例を示す斜視図である。
図2図2は、本実施形態の車載用燃料電池システムを車両前方に搭載した例を示す側面図である。
図3図3は、本実施形態の車載用燃料電池システムに取り付けられた配管を説明するための側面図である。
図4図4は、図3の部分拡大図である。
図5図5は、比較例の車載用燃料電池システムを車両前方に搭載した場合であって車両前方から見た図である。
図6図6は、本実施形態の車載用燃料電池システムを車両前方に搭載した例であって車両前方から見た図である。
図7図7は、本実施形態の車載用燃料電池システムの基本構成を示す図である。
図8図8は、本実施形態の車載用燃料電池システムの構成部品である、燃料電池スタックと補機構造体の斜視図である。
図9図9は、本実施形態の車載用燃料電池システムの構成部品である、燃料電池スタックと補機構造体の分解斜視図である。
図10図10は、本実施形態の車載用燃料電池システムを構成する補機構造体の平面図である。
図11図11は、本実施形態の車載用燃料電池システムの正面図である。
図12図12は、本実施形態の車載用燃料電池システムを車両後方に搭載した第1変形例を示す図である。
図13図13は、比較例の車載用燃料電池システムを車両後方に搭載した場合であって車両後方から見た図である。
図14図14は、本実施形態の車載用燃料電池システムを車両後方に搭載した第1変形例であって車両後方から見た図である。
図15図15は、本実施形態の車載用燃料電池システムを車両後方に搭載した第2変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0008】
[車載用燃料電池システムが搭載される電動車両]
図1は、本実施形態の車載用燃料電池システムを車両前方に搭載した例を示す斜視図である。図2は、本実施形態の車載用燃料電池システムを車両前方に搭載した例を示す側面図である。なお、図1では、後述の第1燃料電池スタック1及び第2燃料電池スタック2の図示を省略している。
【0009】
本実施形態の車載用燃料電池システム(以下、「燃料電池システム」と称す。)は、駆動モータ73(図7参照)により走行する電動車両に搭載されるものである。
【0010】
電動車両は、原動機室(前方原動機室B2F図3参照)、又は後方原動機室B2R(図12参照))、客室B4(図12参照)等を形成する車体Bと、復元力を用いて車体Bを支持する前方懸架装置SF図3参照)及び後方懸架装置SR(図12参照)を備える。
【0011】
本実施形態の適用対象の電動車両はFF車(FR車)、又は後述のRR車が適用される。
【0012】
電動車両がFF車(FR車)の場合、車体Bの前方に前方原動機室B2Fが配置される。また車体Bの前方には電動車両の前後方向に延びるとともに前方原動機室B2Fを車幅方向から挟むように配置されたサイドメンバーB1F(骨格部材)が配置されている。前方原動機室B2F(後述の後方原動機室B2Rも同様)において、サイドメンバーB1Fよりも高い位置を占める空間を第1の内部空間とし、サイドメンバーB1Fよりも低い位置を占める空間を第2内部空間とする。
【0013】
FF車の場合、前方懸架装置SFは、駆動装置B23(駆動モータ73(図7参照)、トランスアクスル装置(不図示))、操舵装置B24を搭載したサブフレームS1F(構造骨格)に、車輪(不図示)と、当該車輪を保持し転舵を可能とするナックル(不図示)を取り付けたアーム(不図示)(又はリンク(不図示))を介して車体Bを支持するスプリング(不図示)と、路面からの振動を吸収するショックアブソーバ(不図示)と、が取り付けられた構造を有している。RR車の場合も同様に、後方懸架装置SR(図12参照)は、サブフレームS1R(図12参照)に、車輪(不図示)と、当該車輪を保持するハブ(不図示)を取り付けたアーム(不図示)(又はリンク(不図示))を介して車体Bを支持するスプリング(不図示)と、路面からの振動を吸収するショックアブソーバ(不図示)と、が取り付けられた構造を有している。
【0014】
FR車の場合、前方懸架装置SFは、駆動装置B23(駆動モータ73(図7参照))、操舵装置B24(不図示)を搭載したサブフレームS1Fに、車輪(不図示)と、当該車輪を保持し転舵を可能とするナックル(不図示)を取り付けたアーム(不図示)(又はリンク(不図示))を介して車体Bを支持するスプリング(不図示)と、路面からの振動を吸収するショックアブソーバ(不図示)と、が取り付けられた構造を有している。後方懸架装置SR(図12参照)は、トランスアクスル装置(不図示)を搭載したサブフレームS1Rに、車輪(不図示)と、当該車輪を保持するハブ(不図示)を取り付けたアーム(不図示)(又はリンク(不図示))を介して車体Bを支持するスプリング(不図示)と、路面からの振動を吸収するショックアブソーバ(不図示)と、が取り付けられた構造を有し、トランスアクスル装置(不図示)には駆動モータ73(図7参照)からの駆動力がプロペラシャフト(不図示)を介して伝達される。また、駆動モータ73とトランスアクスル装置(不図示)を一体とし、後方懸架装置SRに取り付けることで、プロペラシャフト(不図示)を省略した構成も適用できる。
【0015】
図2に示すように、前方原動機室B2Fの車両前方側には、ラジエータ等の冷却デバイスB21が配置されている。
【0016】
前方原動機室B2Fの第1の内部空間の車両後方側には、艤装部品B22が配置される。艤装部品B22としては、エアボックス(ワイパー系内蔵)、制動系部品(マスタシリンダ、倍力装置、油圧ポンプ、ABS/VDCACTR等)、空調系部品(ヒータホース、A/C TUBE)が配置される。また前方原動機室B2Fの第2の内部空間の車両後方には、駆動装置B23(駆動モータ73(図7参照)、トランスアクスル装置)、操舵装置B24が配置される。なお、車載バッテリー72(図7参照)は車両中央下部に配置される。
【0017】
電動車両では、走行する際は、車載バッテリー72(図7参照)からインバータ(不図示)を介して駆動モータ73(図7参照)に電力供給されることで駆動モータ73が駆動し、減速する際は、インバータ(不図示)を介して駆動モータ73が発生させた回生電力を車載バッテリー72に供給して充電させる。
【0018】
また車載バッテリー72のSOC(充電量)が所定の下限値に到達すると燃料電池システムを起動し、燃料電池スタック(第1燃料電池スタック1、第2燃料電池スタック2)を発電させて車載バッテリー72に充電する。
【0019】
そして、車載バッテリー72のSOCが所定の上限値に到達したところで発電を停止する。
【0020】
燃料電池システムを構成する補機(コンプレッサー64(図7参照)等)の電力は上記の車載バッテリー72、又は補機用バッテリー(不図示)から供給される。補機用バッテリー(不図示)には燃料電池スタックからの電力が供給される。
【0021】
[燃料電池システムの配置態様]
本実施形態の燃料電池システムは、前方原動機室B2Fにおいて冷却デバイスB21と艤装部品B22(及び駆動装置B23、操舵装置B24)の間となる位置に配置されている。
【0022】
図2に示すように、本実施形態の燃料電池システムは、燃料電池スタックの補機(熱交換器65、燃焼器67等)を包含する筐体である補機構造体3(マニホールド)に第1燃料電池スタック1(第1の燃料電池)及び第2燃料電池スタック2(第2の燃料電池)が取り付けられ、下から順に第2燃料電池スタック2、補機構造体3、第1燃料電池スタック1が積層された積層構造体Aを有する。さらに、積層構造体Aはケース4に収容され、当該ケース4はブラケット(ケース側ブラケット41、車両側ブラケットB6)を介してサイドメンバーB1Fに取り付けられる(図1)。なお、積層構造体Aの詳細については後述する。
【0023】
図1に示すように、ケース4は、積層構造体Aの車両前方側を収容するとともに補機構造体3が取り付けられるトレー形状の前側ケース4Fと、積層構造体Aの車両後方側を収容するとともに前側ケース4Fと接続する後側ケース4Rと、を備える。前側ケース4Fと後側ケース4Rは互いの開口部を合わせて接続されるが、後側ケース4Rの開口部の一部は開口したままとなり、その開口した部分から補機構造体3に接続された配管が延出している。
【0024】
ケース4の補機構造体3(サイドメンバーB1F)と略同じ高さとなる位置からはケース側ブラケット41が延出している。一方、サイドメンバーB1Fのケース側ブラケット41に対向する位置には車両側ブラケットB6が取り付けられている。そして、ケース側ブラケット41が車両側ブラケットB6にねじ止めされることで積層構造体Aを包含するケース4がサイドメンバーB1Fに固定される。
【0025】
ケース4は、積層構造体Aに吹き付けられる走行風を回避して燃料電池スタックの温度低下を抑制するものであるが、走行風の影響が小さい場合は省略することができる。この場合、例えば車両側ブラケットB6を介して補機構造体3をサイドメンバーB1Fに取り付ける、或いは補機構造体3をサイドメンバーB1Fに直接取り付ける。またケース4は、路面から前方原動機室B2F(及び後方原動機室B2R)に飛び込む縁石等から積層構造体Aを保護する機能も有するので、少なくとも積層構造体Aの下部を覆うように配置することも好適である。
【0026】
本実施形態では、図2に示すように、補機構造体3がサイドメンバーB1Fとほぼ同じ高さに配置されている。また、第1燃料電池スタック1が第1の内部空間に配置され、第2燃料電池スタック2が第2の内部空間に配置されている。
【0027】
前方原動機室B2Fにおいて、サイドメンバーB1Fと前方原動機室B2Fを上からカバーするフードB25(ボンネット)との高さ方向の距離(第1の内部空間の高さ)が、サイドメンバーB1FとサブフレームS1Fとの高さ方向の距離(第2の内部空間の高さ)よりも長くなっている。このため、第1燃料電池スタック1の燃料電池セルのスタック数を第2燃料電池スタック2の燃料電池セルのスタック数よりも多くすることで、第1燃料電池スタック1の高さ方向の寸法を第2燃料電池スタック2の高さ方向の寸法よりも高くなるように設定している。
【0028】
第1燃料電池スタック1の上端(ケース4の上端含む)は、フードB25(ボンネット)よりも所定距離だけ下に設定した仮想面B3Fよりも低くなるように配置されている。これにより、フードB25と積層構造体A(ケース4含む)との間で衝撃緩和用の隙間を確保できるので、例えば交通事故発生時の対人衝撃を緩和することができ、特に歩行者の頭部保護が可能となる。
【0029】
また、第2燃料電池スタック2(ケース4含む)の下端は、前方懸架装置SFを構成するサブフレームS1Fの下端よりも上方となるように設定される。これにより、縁石や轍等の路上障害物の直撃を回避できる。
【0030】
ところで、ケース4に対して縁石等が衝突しても、それによる損傷が小さいとケース4の割れを検知しにくい。しかし、小さな割れであっても、雨天時等の走行で漏電や高温ガスのガス漏れ等の不具合が発生する可能性がある。
【0031】
しかし、サブフレームS1Fは車体系部品の中で最も強度のある部材の一つである。よって、サブフレームS1Fが損傷した場合は走行に影響が出るため、前方懸架装置SF(又は後方懸架装置SR)の異常を容易に検知できるとともに、その際にケース4の損傷も容易に推定できる。
【0032】
図2に示すように、積層構造体A(第1燃料電池スタック1、補機構造体3、第2燃料電池スタック2)の電動車両の前方側の端部(側面)は略同一面を形成している。これにより、積層構造体A(ケース4を含む)を冷却デバイスB21に近接して配置することがき、その分、積層構造体A(ケース4を含む)よりも後方となる空間を広げることができる。
【0033】
図3は、本実施形態の車載用燃料電池システムに取り付けられた配管を説明するための側面図である。図4は、図3の部分拡大図である。
【0034】
積層構造体Aの車両の後方側の端部には、補機構造体3の一部が第1燃料電池スタック1及び第2燃料電池スタック2よりも後方に突出した突出部31として形成されている。
【0035】
詳細は後述するが、図3に示すように、補機構造体3の突出部31には、第1燃料電池スタック1及び第2燃料電池スタック2に燃料(アノードガス)及び空気(カソードガス)を供給するための配管(燃料供給配管51、空気供給配管52、オフガス排気配管53)の少なくとも何れか一つが取り付けられる。
【0036】
ここで、燃料供給配管51は、燃料タンク61(図7参照)から供給された燃料を補機構造体3に供給するものである。空気供給配管52は、コンプレッサー64(図7参照)から供給された空気を補機構造体3に供給するものである。オフガス排気配管53は補機構造体3から排出されたオフガス(燃焼ガス)を外部に排出するものである。
【0037】
このような構成により、燃焼器67及び熱交換器65を、第1燃料電池スタック1の直下及び第2燃料電池スタック2の直上に配置することができる。よって、燃料電池スタックからの排出されるオフガス(燃料オフガス、空気オフガス)を最短で燃焼器67に供給できるともに、熱交換器65で昇温した空気を最短で燃料電池スタックに供給できる。また燃焼器67(熱交換器65)の発する熱を燃料電池スタックへ伝達しやすくなり熱効率が改善する。さらに、配管(燃料供給配管51、空気供給配管52、オフガス排気配管53)を積層構造体Aの後方に配置することにより、電動車両が前突した場合の配管の損傷リスクを回避できる。なお、熱交換器65は、図3図4に示すように燃焼器67に隣接して配置することも可能であるが、図7等に示すように燃焼器67の内部に配置することも可能である。
【0038】
なお、図示は省略するが、燃料電池システムを構成する燃料タンク61、コンプレッサー64、補機用バッテリー等は、前方原動機室B2Fにおいて、ケース4の電動車両の幅方向に隣接する位置(図6においてケース4よりも右側となる位置)に配置ることができる。
【0039】
[本実施形態と比較例との対比]
図5は、比較例の車載用燃料電池システムを車両前方に搭載した場合であって車両前方から見た図である。図6は、本実施形態の車載用燃料電池システムを車両前方に搭載した例であって車両前方から見た図である。
【0040】
図5に示す比較例の燃料電池システムは、上記のJP2012-221630Aと同様の構成であり、燃焼器、熱交換器、改質器等を包含する補機構造体3Aの上に第2燃料電池スタック2A、第1燃料電池スタック1Aが順に配置された積層構造体AAを有する。
【0041】
このような積層構造体AAを前方原動機室B2Fに配置する場合、本願発明と同様に例えばブラケットB6Aを用いてサイドメンバーB1Fに積層構造体AAを固定することになる。しかし、比較例の積層構造体AAにおいてブラケットB6Aと接続可能な補機構造体3Aは積層構造体AAの最下部となるので、補機構造体3AはサイドメンバーB1Fよりも低い位置に配置される。このため、補機構造体3AをサイドメンバーB1Fに取り付けるブラケットB6Aが大型となり、その分、重量が増加する。また、ブラケットB6Aの垂直方向に延びる成分の長さと、積層構造体AAにおいて第1燃料電池スタック1AとブラケットB6Aにより固定された部分(補機構造体3A)との距離が長くなる。したがって、運転時において積層構造体AA及びブラケットB6Aの揺動の振幅がそれぞれ大きくなり、車両の制振性や操縦安定性を損ねる虞がある。
【0042】
一方、図6に示す本実施形態の積層構造体Aを構成する補機構造体3は、サイドメンバーB1Fと略同一の高さに配置される。このため、積層構造体Aの重心はサイドメンバーB1Fとほぼ同じ高さとなり、積層構造体A(ケース4を含む)の重心の高さ位置においてブラケット(ケース側ブラケット41、車両側ブラケットB6)を積層構造体Aに接続することができる。これにより、ブラケット(ケース側ブラケット41、車両側ブラケットB6)を小型にすることができ、且つ積層構造体Aの重心がブラケット(ケース側ブラケット41、車両側ブラケットB6)に近接するので、運転時において積層構造体A及びブラケット(ケース側ブラケット41、車両側ブラケットB6)の揺動の振幅を抑制し、車両の制振性や操縦安定性を高めることができる。
【0043】
また、比較例の積層構造体AAでは、第1燃料電池スタック1Aと第2燃料電池スタック2Aの高さ寸法(燃料電池セルのスタック数)が同じである。よって、仮に比較例の積層構造体AAにおいて、第1燃料電池スタック1Aと第2燃料電池スタック2Aの間に補機構造体3Aを挟んだ構成を構築し、ブラケットを介して補機構造体3AをサイドメンバーB1Fに固定する態様で前方原動機室B2Fに搭載すると、第2燃料電池スタック2AがサブフレームS1Fの下端よりも低くなる、或いは第1燃料電池スタック1AがフードB25に接触する等の配置上の問題が発生する。
【0044】
これに対して、本実施形態の積層構造体Aでは、サイドメンバーB1Fと仮想面B3Fとの間隔に合わせて第1燃料電池スタック1のスタック数を設定し、サイドメンバーB1FとサブフレームS1Fの下端との間隔に合わせて第2燃料電池スタック2のスタック数を設定できる。よって、仮想面B3Fを超えることなく且つサブフレームS1Fの下端からはみ出ることなく積層構造体A(ケース4を含む)を前方原動機室B2Fに搭載することができる。したがって、電動車両の設計変更を行うことなく積層構造体A(ケース4を含む)を最適な状態で前方原動機室B2Fに搭載し、燃料電池スタックの出力を最適化させることができる。
【0045】
[車載用燃料電池スタックの基本構成と動作]
図7は、本実施形態の車載用燃料電池システムの基本構成を示す図である。本実施形態の燃料電池システムは、前記のように第1燃料電池スタック1と第2燃料電池スタック2の間に補機構造体3が配置された構成を有している。
【0046】
補機構造体3には、例えば燃焼器67と、燃焼器67の内部に配置された熱交換器65と、バルブ66と、が収容されている。
【0047】
補機構造体3は、燃料供給配管51に接続され、燃料供給配管51と第1燃料電池スタック1のアノード入口とを接続する燃料流路32Aと、第1燃料電池スタック1のアノード出口と第2燃料電池スタック2のアノード入口とを接続する燃料流路32Bと、第2燃料電池スタック2のアノード出口と燃焼器67の燃料入口とを接続する燃料流路32Cと、第2インジェクタ63Bに連通するとともに燃焼器67の燃料入口に接続された燃料流路32Dと、有する。
【0048】
補機構造体3は、空気供給配管52に接続され、空気供給配管52と熱交換器65の入口とを接続する空気流路33Aと、熱交換器65の出口と第2燃料電池スタック2のカソード入口とを接続する空気流路33Bと、第2燃料電池スタック2のカソード出口と第1燃料電池スタック1のカソード入口とを接続する空気流路33Cと、第1燃料電池スタック1のカソード出口と燃焼器67の空気入口とを接続する空気流路33Dと、空気流路33Bの途中から分岐してバルブ66の入口に接続する空気流路33Eと、バルブ66の出口と燃料流路32Aとを接続する空気流路33Fと、を有する。
【0049】
補機構造体3は、オフガス排気配管53に接続され、燃焼器67の出口とオフガス排気配管53とを接続するオフガス流路34を有する。
【0050】
本実施形態の燃料電池システムは、燃料(アノードガス)を第1燃料電池スタック1及び第2燃料電池スタック2のアノードにそれぞれ供給する燃料供給系統と、空気(カソードガス)を第1燃料電池スタック1及び第2燃料電池スタック2のカソードに供給する空気供給系統と、第1燃料電池スタック1から排出された燃料オフガスと第2燃料電池スタック2から排出された空気オフガスを混合して燃焼させるガス燃焼系統と、第1燃料電池スタック1及び第2燃料電池スタック2を発電させるとともに取り出し電流を車載バッテリー72側に供給する電力供給系統を有する。
【0051】
また、本実施形態の燃料電池システムは、燃料供給系統、空気供給系統、ガス燃焼系統、電力供給系統を統括的に制御するコントローラ8を備えている。
【0052】
本実施形態の燃料電池システムにおいて、補機構造体3は、第1燃料電池スタック1と第2燃料電池スタック2との間に配置され、燃料供給系統、空気供給系統、ガス燃焼系統の一部を収容することになる。
【0053】
燃料供給系は、燃料タンク61(TANK)、ポンプ62(PUMP)、第1インジェクタ63A(INJ1)により構成される。ポンプ62は燃料タンク61に蓄えられた燃料を与圧して第1インジェクタ63Aに供給し、第1インジェクタ63Aはポンプ62により与圧された燃料を第1燃料電池スタック1のアノードに供給する。燃料供給系において、第1燃料電池スタック1のアノードと第2燃料電池スタック2のアノードは燃料流路32Bにより直列に接続され、第1燃料電池スタック1のアノードが上流となるように接続されている。
【0054】
空気供給系は、コンプレッサー64(COMP)、熱交換器65(HEX)、バルブ66により構成される。コンプレッサー64は外気を導入して熱交換器65に供給し、熱交換器65で加熱された空気を第2燃料電池スタック2のカソードに供給する。空気供給系において、第1燃料電池スタック1のカソードと第2燃料電池スタック2のカソードは空気流路33Cにより直列に接続され、第2燃料電池スタック2のカソードが上流となるように接続されている。またバルブ66は空気流路33Bから分岐して燃料流路32Aに熱交換器65で加熱された空気(酸素)を所定の流量で第1燃料電池スタック1のアノードに供給する。
【0055】
ガス燃焼系統は、燃焼器67(CMB)、第2インジェクタ63B(INJ2)により構成される。第2インジェクタ63B(INJ2)は、ポンプ62に対して第1インジェクタ63A(INJ1)と並列に接続され、燃料を燃焼器67に供給する。燃焼器67は燃料電池システムの起動時において第2インジェクタ63B(INJ2)から供給された燃料と第2燃料電池スタック2のカソードから供給された空気(酸素)とを混合して燃焼ガスを発生させ、当該燃焼ガスにより熱交換器65(及び第1燃料電池スタック1、第2燃料電池スタック2)を加熱する。また、燃焼器67は第1燃料電池スタック1及び第2燃料電池スタック2の発電時において第2燃料電池スタック2のアノードから排出された燃料オフガスと、第1燃料電池スタック1のカソードから排出された空気オフガスとを混合して燃焼ガスを発生させ、熱交換器65等を加熱する。燃焼ガスはオフガス排気配管53を介して最終的に外部に排出される。
【0056】
電力供給系統は、燃料電池スタックを、車載バッテリー72(BATT)(又は補機用バッテリー)及び駆動モータ73(M)に電気的に接続するDC/DCコンバータ71(CONV)により構成される。
【0057】
燃料電池スタック(第1燃料電池スタック1、第2燃料電池スタック2)は、固体酸化物型の燃料電池(SOFC)である。第1燃料電池スタック1には燃料を水蒸気改質(及び部分酸化改質)するための触媒が配置されている。さらに、第1燃料電池スタック1のアノードにはバルブ66を介して空気(酸素)が所定の流量で供給され、燃料に対して部分酸化改質を実施することができる。
【0058】
コントローラ8は、車載バッテリー72のSOCが所定の下限値に到達するとポンプ62及び第2インジェクタ63Bを起動することで燃焼器67に燃料を供給し、コンプレッサー64を起動することで燃焼器67に空気(酸素)を供給する。これにより、燃焼器67において燃料と空気(酸素)を混合させた状態で燃焼して燃焼ガスを発生させ、燃焼器67(熱交換器65)、第1燃料電池スタック1、第2燃料電池スタック2を暖気する。
【0059】
そして、コントローラ8は、燃焼器67が所定の温度に到達し、且つ第1燃料電池スタック1及び第2燃料電池スタック2が発電可能な温度になると第2インジェクタ63Bを停止して、第1インジェクタ63Aを起動しDC/DCコンバータ71を起動する。これにより、第1燃料電池スタック1及び第2燃料電池スタック2が発電を開始する。
【0060】
このとき、第1燃料電池スタック1では、触媒を介して燃料を水蒸気改質(吸熱反応)させて水素を包含する燃料に改質され、これが第1燃料電池スタック1及び第2燃料電池スタック2において発電に用いられる。また、コントローラ8はバルブ66を制御して第1燃料電池スタック1に空気(酸素)を供給し、触媒を介して燃料を部分酸化改質(発熱化反応)させて第1燃料電池スタック1の温度低下を抑制する。
【0061】
コントローラ8は、車載バッテリー72のSOCが所定の上限値に到達すると、DC/DCコンバータ71を停止させることで第1燃料電池スタック1及び第2燃料電池スタック2の発電を停止させる。さらにポンプ62、第1インジェクタ63Aを停止させつつコンプレッサー64の駆動を継続させ燃料電池スタックを降温させる。そして、コントローラ8は燃料電池スタックの温度が所定温度まで低下するとコンプレッサー64を停止させる。
【0062】
[燃料電池システムの構造]
図8は、本実施形態の車載用燃料電池システムの構成部品である、燃料電池スタック2と補機構造体3の斜視図である。図9は、本実施形態の車載用燃料電池システムの構成部品である、燃料電池スタック2と補機構造体3の分解斜視図である。図10は、本実施形態の車載用燃料電池システムを構成する補機構造体3の平面図である。図11は、本実施形態の車載用燃料電池システムの正面図である。
【0063】
本実施形態の燃料電池システムは、前記のように第1燃料電池スタック1と第2燃料電池スタック2の間に補機構造体3が配置され、下から第2燃料電池スタック2、補機構造体3、第1燃料電池スタック1の順に積層された積層構造体Aとなっている。
【0064】
第1燃料電池スタック1はエンドプレート11を上端とし、補機構造体3の上面を下端として多段に積層された燃料電池セルを挟み込み、締結ボルト12で燃料電池セルを積層方向から押圧して形成される。
【0065】
第2燃料電池スタック2はエンドプレート21を下端とし、補機構造体3の下面を上端として多段に積層された燃料電池セルを挟み込み、締結ボルト22で燃料電池セルを積層方向から押圧して形成される。
【0066】
また、エンドプレート11の下面と補機構造体3の上面には集電板(不図示)が配置されている。集電板(不図示)は第1燃料電池スタック1を構成する燃料電池セルとは導通するが、エンドプレート11及び補機構造体3とは電気的に絶縁するように構成されている。よって、一対の集電板(不図示)から第1燃料電池スタック1の取り出し電流を抽出することができる。同様に、エンドプレート21の上面と補機構造体3の下面には集電板(不図示)が配置され、一対の集電板(不図示)から第2燃料電池スタック2の取り出し電流を抽出することができる。
【0067】
図9,10等では、補機構造体3の中央部に配置された燃焼器67と、燃焼器67の内部に配置された熱交換器65が図示されている。また図9,10等では、外部から燃料を導入して第1燃料電池スタック1のアノードに燃料を供給する燃料流路32Aと、第1燃料電池スタック1のアノード出口と第2燃料電池スタック2のアノード入口とを接続する燃料流路32Bと、熱交換器65に空気を供給する空気流路33Aと、第2燃料電池スタック2のカソード出口と第1燃料電池スタック1のカソード入口とを接続する空気流路33Cと、第1燃料電池スタック1のカソードから排気された空気(酸素)を燃焼器67に供給する空気流路33Dと、燃焼器67から排出された燃焼ガスを外部に排出するためのオフガス流路34が図示されている。
【0068】
図9-11に示すように、補機構造体3の燃焼器67(熱交換器65)よりも車両前方側となる位置には、燃料流路32B、及び空気流路33Cが配置されている。燃料流路32Bは、第1燃料電池スタック1のアノード出口と第2燃料電池スタック2のアノード入口とを接続するものであって一対で配置され、一方の燃料流路32Bが補機構造体3の電動車両の幅方向の一方の端部側に配置され、他方の燃料流路32Bが補機構造体3の車両の幅方向の他方の端部側に配置されている。
【0069】
空気流路33Cは、第2燃料電池スタック2のカソード出口と第1燃料電池スタック1のカソード入口とを接続するものである。空気流路33Cは、一対の燃料流路32Bの間に配置されているが、電動車両の幅方向で幅広に形成されている。また、図10に示すように空気流路33Cは、電動車両の幅方向において熱交換器65とほぼ同じ長さを有し、図11に示すように車両の前方向から見て熱交換器65を覆うように配置されている。補機構造体3の車両前方の側面は、走行風の影響により放熱量が最も大きい部分となる。したがって、当該側面側に空気流路33Cを配置することで、図3のように燃焼器67の前方に熱交換器65を配置した構成の場合であっても、走行風による温度低下を抑制することができる。特に空気流路33Cを電動車両の幅方向に幅広に形成することで熱交換器65(及び燃焼器67)の走行風による温度低下を効率よく抑制することができる。また、空気流路33Cは第2燃料電池スタック2のカソード出口と第1燃料電池スタック1のカソード入口を短距離で連通させるので、その間における放熱量を抑制することができる。
【0070】
[第1変形例]
図12は、本実施形態の車載用燃料電池システムを車両後方に搭載した第1変形例を示す図である。第1変形例の燃料電池システムの適用対象の電動車両はRR車であり、第1変形例の燃料電池システムは電動車両の後方原動機室B2Rに取り付けられる。
【0071】
車体後方には車両の前後方向に延びるとともに後方原動機室B2Rを車幅方向から挟むように配置されたサイドメンバーB1R(図14参照)が配置されている。また、後方原動機室B2Rと客室B4は床板B5により仕切られている。
【0072】
電動車両がRR車の場合、前方懸架装置(不図示)は、操舵装置を搭載したサブフレームに、車体Bを支持するスプリングと、路面からの振動を吸収するショックアブソーバが取り付けられた構造を有している。後方懸架装置SRは、駆動装置B23(駆動モータ73、トランスアクスル装置)を搭載したサブフレームS1Rに、車体Bを支持するスプリング(不図示)と、路面からの振動を吸収するショックアブソーバ(不図示)が取り付けられた構造を有している。
【0073】
第1変形例の燃料電池システムは、図1等に示す燃料電池システムと同様に、第2燃料電池スタック2、補機構造体3、第1燃料電池スタック1の順に積層した積層構造体Aをケース4に収容した形態を有する。そして、補機構造体3は、サイドメンバーB1Rと略同じ高さ位置に配置され、ケース4において補機構造体3と略同じ高さ位置においてケース4とサイドメンバーB1Rがブラケット(ケース側ブラケット41、車両側ブラケットB6)により接続されることで積層構造体Aを包含するケース4がサイドメンバーB1Rに固定される。
【0074】
図12に示すように、例えば、後方原動機室B2RにおいてサイドメンバーB1Rと床板B5との高さ方向の距離(第1の内部空間の高さ方向の寸法)が、サイドメンバーB1RとサブフレームS1Rとの高さ方向の距離(第2の内部空間の高さ方向の寸法)よりも短くなっている。このため、第1燃料電池スタック1の燃料電池セルのスタック数を第2燃料電池スタック2の燃料電池セルのスタック数よりも少なくすることで、第1燃料電池スタック1の高さ方向の寸法を第2燃料電池スタック2の高さ方向の寸法よりも小さく設定している。
【0075】
図12に示すように、第1燃料電池スタック1の上端(ケース4の上端含む)は、その上方にある床板B5よりも所定距離だけ下にある仮想面B3Rよりも低くなるように設定される。これにより、客室B4を設計変更することなく燃料電池システムを搭載することができる。また、客室B4側から床板B5に衝撃を受けたとしても燃料電池システムは床板B5から所定距離以上離れているので、燃料電池システムの損傷を回避できる。
【0076】
また、第2燃料電池スタック2(ケース4の下端を含む)の下端は、後方懸架装置SRを構成するサブフレームS1Rの下端よりも上方となるように設定される。これにより、縁石や轍等の路上障害物の直撃を回避できる。
【0077】
積層構造体A(第1燃料電池スタック1、補機構造体3、第2燃料電池スタック2)の電動車両の後方側の端部(側面)は、略同一面に形成され、積層構造体Aの車両の前方側の端部には、補機構造体3の一部が第1燃料電池スタック1及び第2燃料電池スタック2よりも前方に突出した突出部31として形成されている。この場合、例えば、図2等に示す積層構造体Aを包含するケース4を、電動車両の前後方向で逆向きにして後方原動機室B2Rに搭載する態様としてもよい。
【0078】
これにより、後方原動機室B2Rにおいて、突出部31、第2燃料電池スタック2(ケース4を含む)、及びサブフレームS1Rに囲まれた領域に駆動装置B23(駆動モータ73(図7参照)、トランスアクスル装置)を配置することができ、後方原動機室B2R内を有効利用することができる。
【0079】
そして、突出部31には、配管(燃料供給配管51、空気供給配管52)の少なくとも何れか一つが接続されている。これにより、第1変形例においても、燃焼器67及び熱交換器65を、第1燃料電池スタック1の直下及び第2燃料電池スタック2の直上に配置することができる。
【0080】
なお、上記構成において、燃料タンク61(不図示)及びコンプレッサー64(不図示)は、前方原動機室(不図示)に配置されており、燃料タンク61が燃料供給配管51を介して突出部31(補機構造体3)に連通し、コンプレッサー64が空気供給配管52を介して突出部31(補機構造体3)に連通している。もちろん、燃料タンク61及びコンプレッサー64を後方原動機室B2Rに配置することも可能である。
【0081】
[第1変形例と比較例との対比]
図13は、比較例の車載用燃料電池システムを車両後方に搭載した場合であって車両後方から見た図である。図14は、本実施形態の車載用燃料電池システムを車両後方に搭載した第1変形例であって車両後方から見た図である。
【0082】
図13に示す比較例の燃料電池システムは、図5と同様に、燃焼器、熱交換器、改質器等を包含する補機構造体3Aの上に第2燃料電池スタック2A、第1燃料電池スタック1Aが順に配置された積層構造体AAを有する。
【0083】
このような積層構造体AAを後方原動機室B2Rに配置する場合、例えばブラケットB6Aを用いてサイドメンバーB1Rに積層構造体AAを固定することになる。しかし、上記同様の理由により、積層構造体AAをサイドメンバーB1Rに取り付けるブラケットB6Aが大型となり、その分、重量が増加する。また、これにより車両の制振性や操縦安定性を損ねる虞がある。
【0084】
一方、図14に示す本実施形態の第1変形例の積層構造体Aを構成する補機構造体3は、サイドメンバーB1Rと略同一の高さに配置される。よって、上記同様の理由により、ブラケット(ケース側ブラケット41、車両側ブラケットB6)を小型にすることができ、且つ積層構造体Aの重心がブラケットに近接するので、運転時において燃料電池システム及びブラケットの揺動の振幅を抑制し、車両の制振性や操縦安定性を高めることができる。
【0085】
[第2変形例]
図15は、本実施形態の車載用燃料電池システムを車両後方に搭載した第2変形例を示す図である。第2変形例の適用対象である電動車両において、電動車両の客室B4の後方の床板B5が例えば後部窓B7の下端と略同じ高さ(又はそれ以下)に設定されている。
【0086】
図15に示すように、後方原動機室B2RにおいてサイドメンバーB1Rと床板B5との高さ方向の距離(第1の内部空間の高さ)が、サイドメンバーB1RとサブフレームS1Rとの高さ方向の距離(第2の内部空間の高さ)よりも高くなっている。このため、第1燃料電池スタック1の燃料電池セルのスタック数を第2燃料電池スタック2の燃料電池セルのスタック数よりも多くすることで、第1燃料電池スタック1の高さ方向の寸法を第2燃料電池スタック2の高さ方向の寸法よりも大きく設定している。このように、第1の内部空間、第2の内部空間の高さ方向の寸法に応じて燃料電池セルのスタック数を適宜設定することができる。したがって、電動車両の設計変更を行うことなく積層構造体A(ケース4を含む)を最適な状態で後方原動機室B2Rに搭載し、燃料電池スタックの出力を最適化させることができる。
【0087】
[本実施形態の効果]
本実施形態の車載用燃料電池システムによれば、燃料電池(第1燃料電池スタック1、第2燃料電池スタック2)と、燃料電池(第1燃料電池スタック1、第2燃料電池スタック2)との間でガスの授受を行う補機(燃焼器67、熱交換器65)と、を備えた車載用燃料電池システムにおいて、補機(燃焼器67、熱交換器65)を収容する補機構造体3を含み、燃料電池(第1燃料電池スタック1、第2燃料電池スタック2)は、補機構造体3の上面に固定された第1の燃料電池(第1燃料電池スタック1)と、補機構造体3の下面に固定された第2の燃料電池(第2燃料電池スタック2)と、を含み、補機構造体3は、車体Bの骨格部材(サイドメンバーB1F、サイドメンバーB1R)と高さ方向で略同一となる位置に配置され、第1の燃料電池(第1燃料電池スタック1)及び第2の燃料電池(第2燃料電池スタック2)は、補機構造体3を介して骨格部材(サイドメンバーB1F、サイドメンバーB1R)に固定されている。
【0088】
上記構成により、補機構造体3が骨格部材(サイドメンバーB1F、サイドメンバーB1R)と略同一の高さに配置される。このため、積層構造体Aの重心は骨格部材(サイドメンバーB1F、サイドメンバーB1R)とほぼ同じ高さとなり、積層構造体A(ケース4を含む)の重心の高さ位置においてブラケット(ケース側ブラケット41、車両側ブラケットB6)を介して骨格部材(サイドメンバーB1F、サイドメンバーB1R)に取り付ける、或いは積層構造体Aを骨格部材(サイドメンバーB1F、サイドメンバーB1R)に直接取り付けることができる。これにより、ブラケット(ケース側ブラケット41、車両側ブラケットB6)を小型にすることができ、且つ積層構造体Aの重心がブラケット(ケース側ブラケット41、車両側ブラケットB6)に近接するので、運転時において積層構造体A及びブラケット(ケース側ブラケット41、車両側ブラケットB6)の揺動の振幅を抑制し、車両の制振性や操縦安定性を高めることができる。
【0089】
本実施形態において、第1の燃料電池(第1燃料電池スタック1)は、車体B内において骨格部材(サイドメンバーB1F、サイドメンバーB1R)よりも高い位置を占める第1の内部空間に配置され、第2の燃料電池(第2燃料電池スタック2)は、車体B内において骨格部材(サイドメンバーB1F、サイドメンバーB1R)よりも低い位置を占める第2の内部空間に配置され、第1の内部空間の高さ寸法が第2の内部空間の高さ寸法よりも高い場合には、第1の燃料電池の高さ寸法は第2の燃料電池の高さ寸法よりも高く設定され、第2の内部空間の高さ寸法が第1の内部空間の高さ寸法よりも高い場合には、第2の燃料電池の高さ寸法は第1の燃料電池の高さよりも高く設定されている。
【0090】
これにより、電動車両の設計変更を行うことなく第1の燃料電池(第1燃料電池スタック1)、補機構造体3、第2の燃料電池(第2燃料電池スタック2)からなる積層構造体A(ケース4を含む)を最適な状態で第1の内部空間及び第2の内部空間(前方原動機室B2F又は後方原動機室B2R)に搭載し、燃料電池スタック(第1燃料電池スタック1、第2燃料電池スタック2)の出力を最適化させることができる。
【0091】
本実施形態において、車体Bを支持する前方懸架装置SFよりも上方であって前記車体Bの内部に配置された前方原動機室B2Fに搭載された車載用燃料電池システムにおいて、第2の燃料電池(第2燃料電池スタック2)の下面は、前方懸架装置SFを構成する構造骨格(サブフレームS1F)の下面よりも上方に配置されている。
【0092】
これにより、燃料電池スタック(特に第2燃料電池スタック2)が縁石や轍等の路上障害物の直撃を回避できる。
【0093】
本実施形態において、第1の燃料電池(第1燃料電池スタック1)の上面は、前方原動機室B2Fを覆うフードB25に対して所定の距離だけ低い位置に設定した仮想面B3Fよりも低い位置に配置されている。
【0094】
これにより、フードB25と積層構造体A(ケース4含む)との間で衝撃緩和用の隙間を確保できるので、例えば交通事故発生時の対人衝撃を緩和することができ、特に歩行者の頭部保護が可能となる。
【0095】
本実施形態において、第2の燃料電池(第2燃料電池スタック2)、補機構造体3、及び第1の燃料電池(第1燃料電池スタック1)の順に積層された積層構造体Aにおいて、積層構造体Aの車両の前方側の端部は略同一面を形成し、積層構造体Aの車両の後方側の端部には、補機構造体3の一部であって第1の燃料電池(第1燃料電池スタック1)及び第2の燃料電池(第2燃料電池スタック2)よりも後方に突出した突出部31が形成されている。
【0096】
これにより、積層構造体Aの車両の前方側の端部は略同一面を形成することで、積層構造体A(ケース4を含む)を冷却デバイスB21に近接して配置することがき、その分、積層構造体A(ケース4を含む)よりも後方となる空間を広げることができる。
【0097】
また、突出部31を形成することにより、燃焼器67及び熱交換器65を、第1燃料電池スタック1の直下及び第2燃料電池スタック2の直上に配置することができる。よって、燃料電池スタックからの排出されるオフガス(燃料オフガス、空気オフガス)を最短で燃焼器67に供給できるともに、熱交換器65で昇温した空気を最短で燃料電池スタックに供給できる。また燃焼器67(熱交換器65)の発する熱を燃料電池スタックへ伝達しやすくなり熱効率が改善する。
【0098】
本実施形態において、突出部31には、第1の燃料電池(第1燃料電池スタック1)及び第2の燃料電池(第2燃料電池スタック2)に燃料を供給する燃料供給配管51、第1の燃料電池(第1燃料電池スタック1)及び第2の燃料電池(第2燃料電池スタック2)に空気を供給する空気供給配管52、第1の燃料電池(第1燃料電池スタック1)及び第2の燃料電池(第2燃料電池スタック2)から排出されたオフガスを排気するオフガス排気配管53の少なくとも何れか1つ以上が接続されている。
【0099】
これにより、配管(燃料供給配管51、空気供給配管52、オフガス排気配管53)を積層構造体Aの後方に配置することになるので、電動車両が前突した場合の配管の損傷リスクを回避できる。
【0100】
本実施形態において、車体Bを支持する後方懸架装置SRよりも上方であって車体Bの内部に配置された後方原動機室B2Rに搭載された車載用燃料電池システムにおいて、第2の燃料電池(第2燃料電池スタック2)の下面は、後方懸架装置SRを構成する構造骨格(サブフレームS1R)の下面よりも上方に配置されている。
【0101】
これにより、燃料電池スタック(特に第2燃料電池スタック2)が縁石や轍等の路上障害物の直撃を回避できる。
【0102】
本実施形態において、第1の燃料電池(第1燃料電池スタック1)の上面は、客室B4の後部の床板B5に対して所定の距離だけ低い位置に設定した仮想面B3Rよりも低い位置に配置されている。
【0103】
これにより、客室B4を設計変更することなく、又は設計変更を最小限にして、車載用燃料電池システムを搭載することができる。また、客室B4側から床板B5に衝撃を受けたとしても燃料電池システムは床板B5から所定距離以上離れているので、車載用燃料電池システムの損傷を回避できる。
【0104】
本実施形態において、客室B4の床板B5の高さが後部窓B7の下端以下に設定された車両に搭載された車載用燃料電池システムにおいて、第1の燃料電池(第1燃料電池スタック1)の上面は、客室B4の床板B5に対して所定の距離だけ低い位置に設定した仮想面B3Rよりも低い位置に配置されている。
【0105】
これにより、客室B4を設計変更することなく、又は設計変更を最小限にして、車載用燃料電池システムを搭載することができる。また、積層構造体A(ケース4を含む)を最適な状態で第1の内部空間及び第2の内部空間(後方原動機室B2R)に搭載し、燃料電池スタック(第1燃料電池スタック1、第2燃料電池スタック2)の出力を最適化させることができる。
【0106】
本実施形態において、第2の燃料電池(第2燃料電池スタック2)、補機構造体3、及び第1の燃料電池(第1燃料電池スタック1)の順に積層された積層構造体Aにおいて、積層構造体Aの車両の後方側の端部は略同一面を形成し、積層構造体Aの車両の前方側の端部には、補機構造体3の一部であって第1の燃料電池(第1燃料電池スタック1)及び第2の燃料電池(第2燃料電池スタック2)よりも前方に突出した突出部31が形成されている。
【0107】
これにより、後方原動機室B2Rにおいて、突出部31、第2の燃料電池(第2燃料電池スタック2)(ケース4を含む)、及びサブフレームS1Rに囲まれた領域に駆動装置B23(駆動モータ73(図7参照)、トランスアクスル装置)を配置することができ、後方原動機室B2R内を有効利用することができる。また、補機構造体3の車両の後方側の端部を略同一面となるように形成することで、補機構造体3の車両後方側の端部と後方原動機室B2Rの最後部との干渉を回避することができる。
【0108】
本実施形態において、突出部31には、第1の燃料電池(第1燃料電池スタック1)及び第2の燃料電池(第2燃料電池スタック2)に燃料を供給する燃料供給配管51、第1の燃料電池(第1燃料電池スタック1)及び第2の燃料電池(第2燃料電池スタック2)に空気を供給する空気供給配管52の少なくとも何れか1つ以上が接続されている。
【0109】
これにより、補機構造体3において補機(燃焼器67及び熱交換器65)を、第1燃料電池スタック1の直下及び第2燃料電池スタック2の直上に配置することができる。よって、熱交換器65で昇温した空気を最短で燃料電池スタックに供給できる。また燃焼器67(熱交換器65)の発する熱を燃料電池スタックへ伝達しやすくなり熱効率が改善する。
【0110】
本実施形態において、補機構造体3は、第1の燃料電池(第1燃料電池スタック1)のカソードと第2の燃料電池(第2燃料電池スタック2)のカソードとを接続する空気流路33Cを含み、補機は、第1の燃料電池(第1燃料電池スタック1)及び第2の燃料電池(第2燃料電池スタック2)から排出された燃料オフガスと、第1の燃料電池(第1燃料電池スタック1)及び第2の燃料電池(第2燃料電池スタック2)から排出された空気オフガスと、を混合して燃焼する燃焼器67と、第1の燃料電池(第1燃料電池スタック1)及び第2の燃料電池(第2燃料電池スタック2)に供給する空気を燃焼器67の熱によ加熱する熱交換器65と、を含み、空気流路33Cは、補機構造体3において燃焼器67及び熱交換器65よりも車両の前方側に配置されている。
【0111】
補機構造体3の車両前方の側面は、走行風の影響により放熱量が最も大きい部分となる。したがって、当該側面側となる補機構造体3の車両の前方側に空気流路33Cを配置することで、熱交換器65(及び燃焼器67)の走行風による温度低下を抑制することがでる。また、空気流路33Cは第2燃料電池スタック2のカソード出口と第1燃料電池スタック1のカソード入口を短距離で連通させるので、その間における放熱量を抑制することができる。
【0112】
本実施形態において、補機構造体3は、第1の燃料電池(第1燃料電池スタック1)のアノードと第2の燃料電池(第2燃料電池スタック2)のアノードとを接続する一対の燃料流路32Bを含み、一対の燃料流路32Bは、補機構造体3において車両の幅方向の両端側に配置され、空気流路33Cは、補機構造体3において一対の燃料流路32Bの間に配置されるとともにその幅方向の両端が燃料流路32Bに隣接するように幅広に配置されている。
【0113】
これにより、空気流路33Cを、車両の前後方向の寸法を小さくして全体的に扁平に形成して断面積(圧力損失)を維持することになるが、補機構造体3の車両の前後方向のスペースを確保することができる。
【0114】
本実施形態において、空気流路33Cは補機構造体3の車両の前方から見て熱交換器65を覆うように配置されている。
【0115】
これにより、空気流路33Cを電動車両の幅方向に幅広に形成することで熱交換器65(及び燃焼器67)の走行風による温度低下を効率よく抑制することができる。
【0116】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
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