(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】電子機器ユニットの取付構造
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20240704BHJP
F16B 5/07 20060101ALI20240704BHJP
F16B 5/10 20060101ALI20240704BHJP
H05K 5/00 20060101ALI20240704BHJP
H01Q 1/22 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
B60R11/02 A
F16B5/07 L
F16B5/10 H
H05K5/00 C
H01Q1/22 A
(21)【出願番号】P 2023074858
(22)【出願日】2023-04-28
【審査請求日】2023-06-26
(73)【特許権者】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 和希
(72)【発明者】
【氏名】山岸 慶太
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 崇裕
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-092264(JP,A)
【文献】特開2015-095930(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0216595(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
F16B 5/07
F16B 5/10
H05K 5/00
H01Q 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ガラスに固定されるブラケットと、
前記ブラケットを介して前記車両ガラスに取り付けられる電子機器ユニットと、
前記ブラケットに設けられ、前記電子機器ユニットが前記車両ガラスから離れる第一方向へ移動するのを抑制するように当該電子機器ユニットを支持する支持部と、
前記ブラケットに設けられ、前記電子機器ユニットを、前記支持部によって支持されない非支持位置と、前記支持部によって支持される支持位置と、の間で、前記第一方向と交差した第二方向にスライド可能に案内する案内部と、
前記電子機器ユニットが前記支持位置に位置した状態で前記ブラケットと前記電子機器ユニットとを前記第二方向において係合するとともに、所定操作によって前記ブラケットと前記電子機器ユニットとの係合状態を解除可能な、係合機構と、
を備
え、
前記係合機構は、前記ブラケットおよび前記電子機器ユニットの一方に設けられた被係合部と、前記ブラケットおよび前記電子機器ユニットの他方に設けられ前記被係合部と係合する係合位置と前記被係合部とは係合しない非係合位置との間で弾性変形可能な可動爪部と、を有し、前記電子機器ユニットの前記非支持位置から前記支持位置へのスライドによって前記係合状態となり、前記可動爪部に対する前記所定操作によって前記係合状態を解除した解除状態となるスナップフィット機構であり、
前記ブラケットは、前記電子機器ユニットに対して前記車両ガラスとは反対側に位置するとともに、前記被係合部と前記支持部とが設けられた第一部位を有した、電子機器ユニットの取付構造。
【請求項2】
前記ブラケットは、第一材料で作られた第一部材を有し、
前記電子機器ユニットは、前記第一材料よりヤング率が低い第二材料で作られた第二部材を有し、
前記被係合部は、前記第一部材に設けられ、
前記可動爪部は、前記第二部材に設けられた、
請求項
1に記載の電子機器ユニットの取付構造。
【請求項3】
前記ブラケットは、前記支持部として、前記第二方向において互いに離れた複数の支持部を有した、請求項1に記載の電子機器ユニットの取付構造。
【請求項4】
前記第一部位には、前記被係合部と、当該被係合部を挟むように設けられた前記支持部としての二つの支持部と、が設けられた、請求項
1に記載の電子機器ユニットの取付構造。
【請求項5】
前記電子機器ユニットが正しい姿勢とは異なる姿勢で前記支持位置に向けて移動するのを阻止する干渉機構を備えた、請求項1に記載の電子機器ユニットの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器ユニットの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、接着テープ等を介して車両ガラスに取り付けられた車両用アンテナのような電子機器ユニットが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように電子機器ユニットが車両ガラスに直接的に取り付けられた構造にあっては、当該電子機器ユニットは車両ガラスから容易に外れないように取り付けられているため、当該電子機器ユニットの修理や交換の必要が生じた際に、当該電子機器ユニットの車両ガラスからの取り外しに、手間や時間を要する虞がある。さらに、電子機器ユニットの取り外しの際に、接着テープ等が車両ガラスに残存したような場合には、修理済みあるいは新規な電子機器ユニットの車両ガラスへの取り付けにも手間を要する虞がある。
【0005】
そこで、本発明の課題の一つは、例えば、車両ガラスにより容易に着脱することが可能となるような、改善された新規な電子機器ユニットの取付構造を得ること、である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子機器ユニットの取付構造は、例えば、車両ガラスに固定されるブラケットと、前記ブラケットを介して前記車両ガラスに取り付けられる電子機器ユニットと、前記ブラケットに設けられ、前記電子機器ユニットが前記車両ガラスから離れる第一方向へ移動するのを抑制するように当該電子機器ユニットを支持する支持部と、前記ブラケットに設けられ、前記電子機器ユニットを、前記支持部によって支持されない非支持位置と、前記支持部によって支持される支持位置と、の間で、前記第一方向と交差した第二方向にスライド可能に案内する案内部と、前記電子機器ユニットが前記支持位置に位置した状態で前記ブラケットと前記電子機器ユニットとを前記第二方向において係合するとともに、所定操作によって前記ブラケットと前記電子機器ユニットとの係合状態を解除可能な、係合機構と、を備える。
【0007】
前記電子機器ユニットの取付構造では、前記ブラケットは、合成樹脂材料で作られたボディを有し、前記電子機器ユニットは、無線通信用のアンテナを有してもよい。
【0008】
前記電子機器ユニットの取付構造では、前記係合機構は、前記ブラケットおよび前記電子機器ユニットの一方に設けられた被係合部と、前記ブラケットおよび前記電子機器ユニットの他方に設けられ前記被係合部と係合する係合位置と前記被係合部とは係合しない非係合位置との間で弾性変形可能な可動爪部と、を有し、前記電子機器ユニットの前記非支持位置から前記支持位置へのスライドによって前記係合状態となり、前記可動爪部に対する前記所定操作によって前記係合状態を解除した解除状態となるスナップフィット機構であってもよい。
【0009】
前記電子機器ユニットの取付構造では、前記ブラケットは、第一材料で作られた第一部材を有し、前記電子機器ユニットは、前記第一材料よりヤング率が低い第二材料で作られた第二部材を有し、前記被係合部は、前記第一部材に設けられ、前記可動爪部は、前記第二部材に設けられてもよい。
【0010】
前記電子機器ユニットの取付構造では、前記ブラケットは、前記支持部として、前記第二方向において互いに離れた複数の支持部を有してもよい。
【0011】
前記電子機器ユニットの取付構造では、前記ブラケットは、前記電子機器ユニットに対して前記車両ガラスとは反対側に位置するとともに、前記被係合部と前記支持部とが設けられた第一部位を有してもよい。
【0012】
前記電子機器ユニットの取付構造では、前記第一部位には、前記被係合部と、当該被係合部を挟むように設けられた前記支持部としての二つの支持部と、が設けられてもよい。
【0013】
前記電子機器ユニットの取付構造では、前記電子機器ユニットが正しい姿勢とは異なる姿勢で前記支持位置に向けて移動するのを阻止する干渉機構を備えてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、例えば、車両ガラスにより容易に着脱することが可能となるような、改善された新規な電子機器ユニットの取付構造を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、実施形態の電子機器ユニットの取付構造の例示的かつ模式的な分解斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態の電子機器ユニットの取付構造の例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態の電子機器ユニットの取付構造の
図2とは異なる方向に見た例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態の電子機器ユニットの例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態の電子機器ユニットの取付構造の例示的かつ模式的な平面図である。
【
図6】
図6は、
図5のVI-VI断面において、電子機器ユニットがブラケットに支持されていない非支持位置にある状態を示す図である。
【
図7】
図7は、
図5のVI-VI断面において、電子機器ユニットがブラケットに支持された支持位置にある状態を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態の電子機器ユニットの取付構造の一部の
図2,3とは異なる方向に見た例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図9】
図9は、
図5のIX-IX断面図であって、電子機器ユニットがブラケットに支持されていない非支持位置にあり、かつ支持位置へ向けた移動が制限されている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の例示的な実施形態および変形例が開示される。以下に示される実施形態および変形例の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態および変形例に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0017】
以下の実施形態および変形例は、同様の構成要素を有している。以下では、それら同様の構成要素については、共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する場合がある。
【0018】
また、本明細書において、序数は、方向や、部位、部材、機構等を区別するために便宜上付与されうるものである。また、序数は、優先順位や順番を示すものではないし、数を特定するものでもない。
【0019】
また、各図において、X方向を矢印Xで表し、Y方向を矢印Yで表し、Z方向を矢印Zで表す。X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに交差するとともに互いに直交している。また、Z方向は、車両ガラスの厚さ方向において車室内側に離れる方向を示している。Z方向は、第一方向の一例である。
【0020】
[実施形態]
図1は、電子機器ユニット20の取付構造100の分解斜視図である。
図1に示されるように、実施形態の取付構造100は、ブラケット10と、電子機器ユニット20と、カバー30と、を備えている。電子機器ユニット20は、ブラケット10を介して、車両ガラスとしての前面ガラス101の内面101aに取り付けられる。すなわち、電子機器ユニット20と内面101aとの間には、ブラケット10が介在している。カバー30は、ブラケット10および電子機器ユニット20を、車室内側から覆っている。カバー30は、ブラケット10に着脱可能に取り付けられている。また、電子機器ユニット20は、以下に述べる構造により、ブラケット10に着脱可能に取り付けられている。なお、実施形態では、電子機器ユニット20が、車両ガラスとしての前面ガラス101に取り付けられる構造が例示されるが、本実施形態の取付構造100は、電子機器ユニット20が前面ガラス101以外の車両ガラスに取り付けられる場合にも、適用可能である。
【0021】
図2は、取付構造100の、車室外側から見た斜視図である。
図2に示されるように、ブラケット10は、内面101a(
図1参照)に沿って広がるベース壁11を有している。ブラケット10は、ベース壁11の外面11aと前面ガラス101の内面101aとの間に介在した接着テープ40によって、当該内面101aに固定される。本実施形態の取付構造100では、電子機器ユニット20のメンテナンス時等において、ブラケット10は、基本的には取り外されない。
【0022】
ブラケット10は、例えば、電磁波透過性を有した合成樹脂材料で作られる。ベース壁11は、ブラケット10のボディの一例である。
【0023】
図3は、取付構造100の、車室内側から見た斜視図である。
図2,3に示されるように、電子機器ユニット20は、ブラケット10に設けられた第一部位12aおよび第二部位12bによって、支持されている。第一部位12aは、電子機器ユニット20の被支持部21aに対してZ方向の前方、言い換えると被支持部21aに対して前面ガラス101とは反対側に位置している。これにより、第一部位12aは、被支持部21aすなわち電子機器ユニット20がZ方向へ移動するのを抑制するように、当該電子機器ユニット20を支持している。また、第二部位12bは、電子機器ユニット20の被支持部21bに対してZ方向の前方、言い換えると被支持部21bに対して前面ガラス101とは反対側に位置している。これにより、第二部位12bは、被支持部21bすなわち電子機器ユニット20がZ方向へ移動するのを抑制するように、当該電子機器ユニット20を支持している。第一部位12aおよび第二部位12bは、支持部の一例である。
【0024】
また、
図3に示されるように、電子機器ユニット20には、コネクタ22が設けられている。コネクタ22には、電力あるいは電気信号を伝送するハーネスのコネクタ(不図示)が着脱可能に取り付けられる。
【0025】
図4は、電子機器ユニット20の斜視図である。
図4に示されるように、電子機器ユニット20は、筐体21を有している。筐体21は、略直方体状の箱状に構成されている。筐体21は、Z方向の端部に位置する底壁21cと、Z方向の反対方向の端部に位置する頂壁21dと、X方向の端部に位置する前壁21gと、X方向の反対方向の端部に位置する後壁21hと、Y方向の端部およびY方向の反対方向の端部に位置する二つの側壁21iと、を有している。底壁21c、頂壁21d、前壁21g、および後壁21hは、壁とも称されうる。上述した被支持部21a,21bは、いずれも筐体21の一部として構成されている。
【0026】
底壁21cのX方向の端部には、Y方向に離れるとともにX方向に延びた互いに略平行な二つのスリット21fが設けられている。当該スリット21fは、X方向に開放された切欠(切り込み)として形成されている。また、これら二つのスリット21fは、X方向の端部において、Y方向に延びたスリットを介して繋がり、全体としてU字状のスリットが形成されている。そして、底壁21cのX方向の端部には、U字状のスリットに囲まれるように、当該二つのスリット21fのX方向の反対方向の端部(底部)からX方向に突出した爪部21eが設けられている。爪部21eは、Z方向において弾性的に屈曲可能な、すなわち弾性変形可能な可動爪部として構成される。爪部21eの作動については、後述する。
【0027】
また、筐体21には、前壁21gからX方向に突出した互いに略平行な突起21jが設けられている。突起21jは、電子機器ユニット20がブラケット10に正しくない姿勢で装着されるのを防止する役割を有している。当該突起21jの作用および効果については、後述する。
【0028】
図5は、取付構造100の平面図である。
図6は、
図5のVI-VI断面図であって、電子機器ユニット20が、第一部位12aおよび第二部位12bによって支持されていない非支持位置P1にある状態を示す図、また、
図7は、
図5のVI-VI断面図であって、電子機器ユニット20が、第一部位12aおよび第二部位12bによって支持された支持位置P2にある状態を示す図である。
【0029】
図6,7に示されるように、電子機器ユニット20は、筐体21と、当該筐体21内に収容されたコネクタ22、基板アセンブリ23、アンテナ24等を有している。基板アセンブリ23は、リジッド基板やフレキシブル基板のような回路基板と、当該回路基板に実装された電子部品や電気部品と、を有している。無線通信用のアンテナ24は、基板アセンブリ23とは別に構成されているが、これには限定されず、アンテナ24は、基板アセンブリ23の一部に構成されてもよい。
【0030】
なお、電子機器ユニット20は、本実施形態では、一例として、アンテナ24が一体化されたETC(electronic toll collection)ユニット本体である。ただし、電子機器ユニット20は、これには限定されず、ETCユニット本体とアンテナとがハーネスを介して電気的に接続されたETCシステムにおける、当該アンテナを含むアンテナユニットであってもよい。電子機器ユニット20は、通信機器ユニットとも称されうる。また、電子機器ユニット20は、ETCとは異なるシステムのユニット本体や、アンテナ等であってもよい。
【0031】
また、電子機器ユニット20は、作業者あるいはロボットによって、ブラケット10に対して相対的に、非支持位置P1(
図6)から支持位置P2(
図7)にX方向へ移動されることにより装着される。X方向は、第二方向の一例である。
【0032】
この際、
図6,7から明らかとなるように、電子機器ユニット20の非支持位置P1から支持位置P2への移動に際し、ブラケット10の第一部位12aおよび第二部位12bは、筐体21をZ方向の反対方向に支持しながら、X方向にスライド可能に案内する。第一部位12aおよび第二部位12bは、案内部の一例である。
【0033】
電子機器ユニット20の非支持位置P1(
図6)から支持位置P2(
図7)へのX方向への移動に際し、爪部21eは、第一部位12aに当たり、当該第一部位12aによって相対的にZ方向の反対方向へ押圧され、その根元からZ方向の反対方向へ弾性的に曲がる。さらなる電子機器ユニット20のX方向への移動に伴って、爪部21eの先端部分は、当該第一部位12aを乗り越えて、当該第一部位12aに対してX方向に接した状態、すなわち、爪部21eと第一部位12aとがX方向において係合した状態となる。当該係合状態においては、爪部21eと第一部位12aとによって、電子機器ユニット20のX方向の反対方向への移動が制限されるとともに、ブラケット10のベース壁11からZ方向に突出した突起13等によって電子機器ユニット20のX方向への移動が制限される。すなわち、本実施形態では、爪部21e、第一部位12a、および突起13等によって、X方向において電子機器ユニット20とブラケット10とを係合する係合機構が構成されている。また、爪部21eは、可動爪部の一例であり、第一部位12aは、被係合部の一例である。
【0034】
他方、
図7に示されるように、作業者あるいはロボットは、所定操作、本実施形態では、爪部21eに対するZ方向の反対方向への力Fの印加により、爪部21eを、第一部位12aと係合した係合位置Peから、第一部位12aとの係合状態が解除される解除位置Prへ弾性的に曲げることができる。そして、作業者あるいはロボットは、爪部21eが解除位置Prに位置した状態で、電子機器ユニット20を、支持位置P2(
図7)から非支持位置P1(
図6)へ、X方向の反対方向へスライドし移動することができる。これにより、電子機器ユニット20は、ブラケット10から取り外せる状態となる。
【0035】
このように、本実施形態では、爪部21eと第一部位12aとによって、係合機構としてのスナップフィット機構が構成されている。スナップフィット機構は、電子機器ユニット20のX方向へのスライドにより係合状態となり、上述した所定操作、すなわち爪部21eに対するZ方向の反対方向への力Fの印加により、係合状態が解除された解除状態となる。解除位置Prは、非係合位置の一例である。また、Z方向の反対方向は、解除方向とも称されうる。
【0036】
筐体21は、合成樹脂材料で作られる。上述したように、ブラケット10は、前面ガラス101に取り付けられて電子機器ユニット20を支持する部品であるため、比較的硬い強固な部材で作られるのが好ましい。また、上述したように、筐体21の底壁21cには、弾性変形する爪部21eが設けられているため、適度な可撓性を有した材料で作られるのが好ましい。そこで、本実施形態では、筐体21の少なくとも底壁21cは、ブラケット10のベース壁11を構成する材料(第一材料)よりヤング率が低い材料(第二材料)で作られている。このような構成により、ブラケット10によるより強固な支持と、爪部21eにおける所要の可撓性とを両立することができる。底壁21cを構成する部材は、第二部材の一例であり、ベース壁11を構成する部材は、第一部材の一例である。
【0037】
図8は、取付構造100の一部の車室内側から見た斜視図である。
図8に示されるように、ブラケット10において電子機器ユニット20を支持する第一部位12aは、ベース壁11からZ方向に離れた位置でX方向における所定幅でY方向に延びた梁のような形状を有している。そして、当該第一部位12aは、爪部21eに対する被係合部として機能する部位12a2と、電子機器ユニット20を支持する支持部として機能する二つの部位12a1と、を有し、当該二つの部位12a1は、Y方向において部位12a2を挟むように設けられている。このような構成により、被係合部と支持部とをそれぞれ別個の部位に設けた場合に比べて、ブラケット10をよりコンパクトに構成することができるという効果が得られる。また、支持部として機能する二箇所の部位12a1が、被係合部として機能する部位12a2を挟むように、当該部位12a2の両側に位置しているため、部位12a2が爪部21eに対してY方向に傾いた状態で係合するのを抑制することができ、ひいては、爪部21eと部位12a2とがより確実に係合することができるという効果が得られる。
【0038】
また、
図8に示されるように、ブラケット10は、支持部として機能する二つの部位12a1と、支持部として機能する第二部位12bと、を有している。これら、二つの部位12a1と、第二部位12bとは、互いに離れており、電子機器ユニット20のX方向の端部近傍に位置する被支持部21aと、電子機器ユニット20のX方向の反対方向の端部近傍に位置する被支持部21bとを、複数箇所で支持している。仮に、ブラケット10が1箇所で電子機器ユニット20を支持しようとすると、当該電子機器ユニット20を安定的に支持するためには、より広い領域で電子機器ユニット20を支持するようなより大きな支持部が必要となる場合がある。この点、本実施形態では、ブラケット10は、部位12a1と第二部位12bとによって、電子機器ユニット20の互いに離れた複数箇所を支持することにより、比較的コンパクトな構成で、電子機器ユニット20をより安定的に支持することができるという効果が得られる。さらに、本実施形態によれば、二つの部位12a1と一つの第二部位12bとによって、電子機器ユニット20を3点で支持することができるため、電子機器ユニット20をより安定的に支持することができるという効果が得られる。
【0039】
図9は、
図5のIX-IX断面図であって、電子機器ユニット20が、正しい装着姿勢(
図7)と平行な装着前姿勢(
図6)に対して傾いた姿勢で、非支持位置P3に位置した状態を示す図である。
図9に示されるように、本実施形態では、電子機器ユニット20は、正しい装着前姿勢に対して傾いた姿勢では、電子機器ユニット20の突起21jとブラケット10の突起13とが干渉し、電子機器ユニット20の被支持部21bからZ方向の反対方向に突出した突起21kと第二部位12bとが干渉し、かつ、電子機器ユニット20の爪部21eとブラケット10の第一部位12aとが干渉する。すなわち、本実施形態では、これら部位同士の干渉により、電子機器ユニット20は、正しい姿勢とは異なる姿勢では、非支持位置P1からX方向へ移動できないように構成されている。このように、本実施形態によれば、電子機器ユニット20を、正しい姿勢とは異なる姿勢では、ブラケット10に装着できないよう構成されているため、電子機器ユニット20が第一部位12aおよび第二部位12bによって、正しく強固に支持された状態を、確実に実現することができるという効果が得られる。突起21j、突起13、突起21k、第二部位12b、爪部21e、および第一部位12aは、電子機器ユニット20が正しい姿勢とは異なる姿勢で支持位置P2へ向けて移動するのを阻止する干渉機構の一例である。なお、電子機器ユニット20が支持位置P2で正しい姿勢で装着された場合、突起21jは、突起13に設けられた開口13a内に収容される。
【0040】
以上、説明したように、本実施形態では、ブラケット10は、Z方向への移動を抑制するように電子機器ユニット20を支持する支持部として、第一部位12aおよび第二部位12bを有し、X方向およびX方向の反対方向へスライド可能に電子機器ユニット20を案内する案内部として、第一部位12aおよび第二部位12bを有している。また、取付構造100は、ブラケット10と電子機器ユニット20とをX方向に係合する係合機構として、第一部位12a、突起13、および爪部21eを有している。また、所定操作として、爪部21eをZ方向の反対方向に押圧することにより、係合機構における係合を解除することができる。本実施形態によれば、このような構成により、電子機器ユニット20をより容易に着脱することが可能な取付構造100を実現することができる。
【0041】
また、本実施形態では、ブラケット10は、電子機器ユニット20を、前面ガラス101の内面101aから離れる方向(Z方向)への移動を抑制するように支持するとともに、係合機構による係合が解除された状態で電子機器ユニット20がブラケット10から離脱する方向、すなわち電子機器ユニット20の支持位置P2から非支持位置P1への移動方向は、当該Z方向とは異なる方向(X方向の反対方向)である。したがって、仮に、電子機器ユニット20に前面ガラス101の内面101aから離れる方向(Z方向)に力が作用したとしても、当該係合機構を含む取付構造100は、電子機器ユニット20が当該Z方向に移動するのを、より確実に抑制することができる。
【0042】
また、本実施形態では、電子機器ユニット20は、無線通信用のアンテナ24を有している。よって、本実施形態によれば、前面ガラス101のような車両ガラスに固定する無線通信ユニットについて、上述した効果を得ることができる。
【0043】
また、本実施形態では、係合機構は、スナップフィット機構である。このような構成によれば、着脱可能な係合機構を、比較的簡素な構成によって実現することができる。
【0044】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、型式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【0045】
例えば、可動爪部は、電子機器ユニットの筐体の側壁のような、底壁とは異なる壁に設けられてもよい。また、可動爪部と被係合部との係合を解除する所定操作は、電子機器ユニットの筐体内側への押圧や、車両ガラスに近付く方向への押圧には限定されず、他の方向への押圧や、引張等であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
100…取付構造
101…前面ガラス(車両ガラス)
101a…内面
10…ブラケット
11…ベース壁
11a…外面
12a…第一部位(支持部、被係合部、干渉機構)
12a1…部位(支持部)
12a2…部位(被係合部、係合機構)
12b…第二部位(支持部、干渉機構)
13…突起(係合機構、干渉機構)
13a…開口
20…電子機器ユニット
21…筐体
21a…被支持部
21b…被支持部
21c…底壁
21d…頂壁
21e…爪部(可動爪部、係合機構、干渉機構)
21f…スリット
21g…前壁
21h…後壁
21i…側壁
21j…突起(干渉機構)
21k…突起(干渉機構)
22…コネクタ
23…基板アセンブリ
24…アンテナ
30…カバー
40…接着テープ
F…力
P1…非支持位置
P2…支持位置
P3…非支持位置
Pe…係合位置
Pr…解除位置(非係合位置)
X…方向(第二方向)
Y…方向
Z…方向(第一方向)
【要約】
【課題】例えば、車両ガラスにより容易に着脱することが可能となるような、改善された新規な電子機器ユニットの取付構造を提供する。
【解決手段】電子機器ユニットの取付構造は、例えば、車両ガラスに固定されるブラケットと、ブラケットを介して車両ガラスに取り付けられる電子機器ユニットと、ブラケットに設けられ、電子機器ユニットが車両ガラスから離れる第一方向へ移動するのを抑制するように当該電子機器ユニットを支持する支持部と、ブラケットに設けられ、電子機器ユニットを、支持部によって支持されない非支持位置と、支持部によって支持される支持位置と、の間で、第一方向と交差した第二方向にスライド可能に案内する案内部と、電子機器ユニットが支持位置に位置した状態でブラケットと電子機器ユニットとを第二方向において係合するとともに、所定操作によってブラケットと電子機器ユニットとの係合状態を解除可能な、係合機構と、を備える。
【選択図】
図7