(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】プリンタ、プリンタの制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 11/42 20060101AFI20240704BHJP
【FI】
B41J11/42
(21)【出願番号】P 2023075807
(22)【出願日】2023-05-01
(62)【分割の表示】P 2019057435の分割
【原出願日】2019-03-25
【審査請求日】2023-05-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブッタラート ナッタウット
(72)【発明者】
【氏名】高田 智己
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-189005(JP,A)
【文献】特開2017-048057(JP,A)
【文献】特開2013-240893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 3/36
B41J 11/00-11/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の台紙に所定間隔でラベルが仮着されてなるラベル連続体に印字するプリンタであって、
前記ラベル連続体を搬送方向又は前記搬送方向の逆方向に搬送する搬送ユニットと、
前記ラベルに印字する印字ユニットと、
前記ラベル連続体の前記搬送方向において、前記印字ユニットよりも前記搬送方向における上流側に配置され、前記ラベルの印字開始位置を特定するための第1検出ユニットと、
前記印字ユニットよりも前記搬送方向における下流側に配置され、前記ラベルの端部を検出することにより前記ラベルの印字開始位置を特定するための第2検出ユニットと、
を備え、
前記ラベル連続体を搬送し、前記第1検出ユニットにより最初に位置検出用マークまたは前記ラベル間のギャップが検出される第1上流側ラベルよりも下流側にある複数の下流側ラベルのうち1枚目である第1下流側ラベルの下流側の端部を前記第2検出ユニットが検出すると、前記第1下流側ラベルの印字開始位置と前記印字ユニットとが対応する位置まで前記ラベル連続体を前記搬送方向の逆方向に搬送し、その後、前記搬送方向に搬送しながら前記第1下流側ラベルに印字を行い、
前記第2検出ユニットが前記第1下流側ラベルに後続する第2下流側ラベルの下流側の端部を検出すると、前記第2下流側ラベルの印字開始位置と前記印字ユニットとが対応する位置まで前記ラベル連続体を前記搬送方向の逆方向に搬送し、その後、前記搬送方向に搬送しながら前記第2下流側ラベルに印字を行い、
前記第1検出ユニットによって前記第1上流側ラベルの前記位置検出マークまたは前記ギャップが検出されてから前記第1上流側ラベルの前記印字開始位置が前記印字ユニットに対応する位置に搬送されるまでは、前記第1上流側ラベルよりも下流側にある複数の下流側ラベルのうち前記第2下流側ラベルに後続する下流側ラベルに対して、前記第2下流側ラベルに後続する前記下流側ラベルの端部が前記第2検出ユニットに検出されると前記第2下流側ラベルに後続する前記下流側ラベルの前記印字開始位置と前記印字ユニットとが対応する位置まで前記ラベル連続体を前記搬送方向の逆方向に搬送し、その後、前記搬送方向に搬送しながら前記第2下流側ラベルに後続する前記下流側ラベルに印字を行い、
前記第1検出ユニットによって前記第1上流側ラベルの前記位置検出マークまたは前記ギャップが検出され、前記第1上流側ラベルにおける前記印字開始位置が前記印字ユニットに対応する位置に搬送された後は、前記第1上流側ラベル及び前記第1上流側ラベルよりも上流側にあるラベルに対しては、前記位置検出用マーク又は前記ギャップによって特定される印字開始位置が前記印字ユニットに対応するように前記ラベル連続体を搬送し、印字を行う、
プリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタであって、
前記印字ユニットは、
サーマルヘッドを保持するヘッドユニットと、前記サーマルヘッドとの間で前記ラベルを挟持するプラテンローラと、を有し、
前記ヘッドユニットは、前記サーマルヘッドが前記プラテンローラから離間するヘッドオープン位置と、前記サーマルヘッドが前記プラテンローラに当接するヘッドクローズ位置とに移動可能とされており、
前記印字ユニットがヘッドクローズ位置にセットされたとき、
前記第2検出ユニットが前記ラベルを検出すると前記搬送方向の逆方向に搬送し、
前記第2検出ユニットが前記ラベルを検出していなければ前記搬送方向に搬送する、
プリンタ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプリンタであって、
当該プリンタに前記ラベル連続体がセットされた際、
前記第2検出ユニットによって前記第1下流側ラベルの下流側の端部が検出されるまで、前記搬送方向の逆方向に前記ラベル連続体を搬送する、
プリンタ。
【請求項4】
帯状の台紙に所定間隔でラベルが仮着されてなるラベル連続体における前記ラベルに印字する印字ユニットと、
前記ラベル連続体を搬送方向又は前記搬送方向の逆方向に搬送する搬送ユニットと、
前記ラベル連続体の前記搬送方向において、前記印字ユニットよりも前記搬送方向における上流側に配置され、前記ラベルの印字開始位置を特定するための第1検出ユニットと、
前記印字ユニットよりも前記搬送方向における下流側に配置され、前記ラベルの端部を検出する第2検出ユニットと、
を備えるプリンタの制御方法であって、
前記ラベル連続体を搬送し、前記第1検出ユニットにより最初に位置検出用マークまたは前記ラベル間のギャップが検出される第1上流側ラベルよりも下流側にある複数の下流側ラベルのうち1枚目である第1下流側ラベルの下流側の端部を前記第2検出ユニットが検出すると、前記第1下流側ラベルの印字開始位置と前記印字ユニットとが対応する位置まで前記ラベル連続体を前記搬送方向の逆方向に搬送し、その後、前記搬送方向に搬送しながら前記第1下流側ラベルに印字を行い、
前記第2検出ユニットが前記第1下流側ラベルに後続する第2下流側ラベルの下流側の端部を検出すると、前記第2下流側ラベルの印字開始位置と前記印字ユニットとが対応する位置まで前記ラベル連続体を前記搬送方向の逆方向に搬送し、その後、前記搬送方向に搬送しながら前記第2下流側ラベルに印字を行い、
前記第1検出ユニットによって前記第1上流側ラベルの前記位置検出マークまたは前記ギャップが検出されてから前記第1上流側ラベルの前記印字開始位置が前記印字ユニットに対応する位置に搬送されるまでは、前記第1上流側ラベルよりも下流側にある複数の下流側ラベルのうち前記第2下流側ラベルに後続する下流側ラベルに対して、前記第2下流側ラベルに後続する前記下流側ラベルの端部が前記第2検出ユニットに検出されると前記第2下流側ラベルに後続する前記下流側ラベルの前記印字開始位置と前記印字ユニットとが対応する位置まで前記ラベル連続体を前記搬送方向の逆方向に搬送し、その後、前記搬送方向に搬送しながら前記第2下流側ラベルに後続する前記下流側ラベルに印字を行い、
前記第1検出ユニットによって前記第1上流側ラベルの前記位置検出マークまたは前記ギャップが検出され、前記第1上流側ラベルにおける前記印字開始位置が前記印字ユニットに対応する位置に搬送された後は、前記第1上流側ラベル及び前記第1上流側ラベルよりも上流側にあるラベルに対しては、前記位置検出用マーク又は前記ギャップによって特定される印字開始位置が前記印字ユニットに対応するように前記ラベル連続体を搬送し、印字を行うように、前記プリンタを制御する、
プリンタの制御方法。
【請求項5】
帯状の台紙に所定間隔でラベルが仮着されてなるラベル連続体における前記ラベルに印字する印字ユニットと、
前記ラベル連続体を搬送方向又は前記搬送方向の逆方向に搬送する搬送ユニットと、
前記ラベル連続体の前記搬送方向において、前記印字ユニットよりも前記搬送方向における上流側に配置され、前記ラベルの印字開始位置を特定するための第1検出ユニットと、
前記印字ユニットよりも前記搬送方向における下流側に配置され、前記ラベルの端部を検出する第2検出ユニットと、
を備えるプリンタのコンピュータが実行可能なプログラムであって、
前記ラベル連続体を搬送し、前記第1検出ユニットにより最初に位置検出用マークまたは前記ラベル間のギャップが検出される第1上流側ラベルよりも下流側にある複数の下流側ラベルのうち1枚目である第1下流側ラベルの下流側の端部を前記第2検出ユニットが検出すると、前記第1下流側ラベルの印字開始位置と前記印字ユニットとが対応する位置まで前記ラベル連続体を前記搬送方向の逆方向に搬送し、その後、前記搬送方向に搬送しながら前記第1下流側ラベルに印字を行う手順と、
前記第2検出ユニットが前記第1下流側ラベルに後続する第2下流側ラベルの下流側の端部を検出すると、前記第2下流側ラベルの印字開始位置と前記印字ユニットとが対応する位置まで前記ラベル連続体を前記搬送方向の逆方向に搬送し、その後、前記搬送方向に搬送しながら前記第2下流側ラベルに印字を行う手順と、
前記第1検出ユニットによって前記第1上流側ラベルの前記位置検出マークまたは前記ギャップが検出されてから前記第1上流側ラベルの前記印字開始位置が前記印字ユニットに対応する位置に搬送されるまでは、前記第1上流側ラベルよりも下流側にある複数の下流側ラベルのうち前記第2下流側ラベルに後続する下流側ラベルに対して、前記第2下流側ラベルに後続する前記下流側ラベルの端部が前記第2検出ユニットに検出されると前記第2下流側ラベルに後続する前記下流側ラベルの前記印字開始位置と前記印字ユニットとが対応する位置まで前記ラベル連続体を前記搬送方向の逆方向に搬送し、その後、前記搬送方向に搬送しながら前記第2下流側ラベルに後続する前記下流側ラベルに印字を行う手順と、
前記第1検出ユニットによって前記第1上流側ラベルの前記位置検出マークまたは前記ギャップが検出され、前記第1上流側ラベルにおける前記印字開始位置が前記印字ユニットに対応する位置に搬送された後は、前記第1上流側ラベル及び前記第1上流側ラベルよりも上流側にあるラベルに対しては、前記位置検出用マーク又は前記ギャップによって特定される印字開始位置が前記印字ユニットに対応するように前記ラベル連続体を搬送し、印字を行う手順と、を、
前記コンピュータに実行させるプログラム。
【請求項6】
帯状の台紙に所定間隔でラベルが仮着されてなるラベル連続体に印字するプリンタであって、
前記ラベル連続体を搬送方向又は前記搬送方向の逆方向に搬送する搬送ユニットと、
前記ラベルに印字する印字ユニットと、
前記ラベル連続体の前記搬送方向において、前記印字ユニットよりも前記搬送方向における上流側に配置され、前記ラベルの印字開始位置を特定するための第1検出ユニットと、
前記印字ユニットよりも前記搬送方向における下流側に配置され、前記ラベルの端部を検出することにより前記ラベルの印字開始位置を特定するための第2検出ユニットと、
を備え、
前記ラベル連続体を搬送し、前記第1検出ユニットにより最初に位置検出用マークまたは前記ラベル間のギャップが検出される第1上流側ラベルよりも下流側にあって前記第2検出ユニットにより最初に検出される下流側ラベルの下流側の端部を前記第2検出ユニットが検出すると、前記第2検出ユニットにより最初に検出される前記下流側ラベルの印字開始位置と前記印字ユニットとが対応する位置まで前記ラベル連続体を前記搬送方向の逆方向に搬送し、その後、前記搬送方向に搬送しながら前記第2検出ユニットにより最初に検出される前記下流側ラベルに印字を行い、
前記第2検出ユニットが前記第2検出ユニットにより最初に検出される前記下流側ラベルに後続する下流側ラベルの下流側の端部を検出すると、前記後続する下流側ラベルの印字開始位置と前記印字ユニットとが対応する位置まで前記ラベル連続体を前記搬送方向の逆方向に搬送し、その後、前記搬送方向に搬送しながら前記後続する下流側ラベルに印字を行い、
前記第1検出ユニットが前記位置検出用マークまたは前記ギャップを検出すると、前記第1上流側ラベル及び前記第1上流側ラベルよりも上流側にあるラベルに対しては、前記位置検出用マーク又は前記ギャップによって特定される印字開始位置が前記印字ユニットに対応するように前記ラベル連続体を搬送し、印字を行う、
プリンタ。
【請求項7】
帯状の台紙に所定間隔でラベルが仮着されてなるラベル連続体における前記ラベルに印字する印字ユニットと、
前記ラベル連続体を搬送方向又は前記搬送方向の逆方向に搬送する搬送ユニットと、
前記ラベル連続体の前記搬送方向において、前記印字ユニットよりも前記搬送方向における上流側に配置され、前記ラベルの印字開始位置を特定するための第1検出ユニットと、
前記印字ユニットよりも前記搬送方向における下流側に配置され、前記ラベルの端部を検出する第2検出ユニットと、
を備えるプリンタの制御方法であって、
前記ラベル連続体を搬送し、前記第1検出ユニットにより最初に位置検出用マークまたは前記ラベル間のギャップが検出される第1上流側ラベルよりも下流側にあって前記第2検出ユニットにより最初に検出される下流側ラベルの下流側の端部を前記第2検出ユニットが検出すると、前記第2検出ユニットにより最初に検出される前記下流側ラベルの印字開始位置と前記印字ユニットとが対応する位置まで前記ラベル連続体を前記搬送方向の逆方向に搬送し、その後、前記搬送方向に搬送しながら前記下流側ラベルに印字を行い、
前記第2検出ユニットが前記第2検出ユニットにより最初に検出される前記下流側ラベルに後続する下流側ラベルの下流側の端部を検出すると、前記後続する下流側ラベルの印字開始位置と前記印字ユニットとが対応する位置まで前記ラベル連続体を前記搬送方向の逆方向に搬送し、その後、前記搬送方向に搬送しながら前記後続する下流側ラベルに印字を行い、
前記第1検出ユニットが前記位置検出用マークまたは前記ギャップを検出すると、前記第1上流側ラベル及び前記第1上流側ラベルよりも上流側にあるラベルに対しては、前記位置検出用マーク又は前記ギャップによって特定される印字開始位置が前記印字ユニットに対応するように前記ラベル連続体を搬送し、印字を行うように、前記プリンタを制御する、
プリンタの制御方法。
【請求項8】
帯状の台紙に所定間隔でラベルが仮着されてなるラベル連続体における前記ラベルに印字する印字ユニットと、
前記ラベル連続体を搬送方向又は前記搬送方向の逆方向に搬送する搬送ユニットと、
前記ラベル連続体の前記搬送方向において、前記印字ユニットよりも前記搬送方向における上流側に配置され、前記ラベルの印字開始位置を特定するための第1検出ユニットと、
前記印字ユニットよりも前記搬送方向における下流側に配置され、前記ラベルの端部を検出する第2検出ユニットと、
を備えるプリンタのコンピュータが実行可能なプログラムであって、
前記ラベル連続体を搬送し、前記第1検出ユニットにより最初に位置検出用マークまたは前記ラベル間のギャップが検出される第1上流側ラベルよりも下流側にあって前記第2検出ユニットにより最初に検出される下流側ラベルの下流側の端部を前記第2検出ユニットが検出すると、前記第2検出ユニットにより最初に検出される前記下流側ラベルの印字開始位置と前記印字ユニットとが対応する位置まで前記ラベル連続体を前記搬送方向の逆方向に搬送し、その後、前記搬送方向に搬送しながら前記下流側ラベルに印字を行う手順と、
前記第2検出ユニットが前記第2検出ユニットにより最初に検出される前記下流側ラベルに後続する下流側ラベルの下流側の端部を検出すると、前記後続する下流側ラベルの印字開始位置と前記印字ユニットとが対応する位置まで前記ラベル連続体を前記搬送方向の逆方向に搬送し、その後、前記搬送方向に搬送しながら前記後続する下流側ラベルに印字を行う手順と、
前記第1検出ユニットが前記位置検出用マークまたは前記ギャップを検出すると、前記第1上流側ラベル及び前記第1上流側ラベルよりも上流側にあるラベルに対しては、前記位置検出用マーク又は前記ギャップによって特定される印字開始位置が前記印字ユニットに対応するように前記ラベル連続体を搬送し、印字を行う手順と、
を、前記コンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、プリンタの制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、長尺状の台紙上にラベル片が仮着されたラベル連続体に印字するプリンタであって、ラベル連続体に予め印刷された位置検出用マークを読み取る検出センサが印字部の上流側に配置されており、検出センサにより検出した位置検出用マークに基づいて、ラベル片と印字部との位置合わせを行って、ラベル片に印字するプリンタが開示されている。
【0003】
上述のようなプリンタでは、新しいラベル連続体がセットされた際、位置検出用マークが検出センサによって読み取られるまで、ラベル連続体が下流側に搬送されるように制御されている。これにより、新たにセットされたラベル連続体のラベル片の間隔に適した搬送及び印字が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述のプリンタでは、ラベル連続体が新たにセットされると、新たなラベル連続体のラベルピッチ等を読み取るために、検出センサによって位置検出用マークが検出されるまで搬送されるようになっている。
【0006】
上述のプリンタでは、ラベル連続体の仕様によっては、ラベル連続体に配置されたラベルに印字可能となるまでに複数枚のラベルが送り出されることになる。このため、セット直後のラベル連続体の検出センサよりも下流側に位置するラベルには印字することができず、一部のラベルが印字されないままロスになるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、長尺状の台紙に所定間隔でラベルが配置されてなるラベル連続体に印字するプリンタにおいて、ラベルロスを無くすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様によれば、帯状の台紙に所定間隔でラベルが仮着されてなるラベル連続体に印字するプリンタであって、前記ラベル連続体を搬送方向又は前記搬送方向の逆方向に搬送する搬送ユニットと、前記ラベルに印字する印字ユニットと、前記ラベル連続体の前記搬送方向において、前記印字ユニットよりも前記搬送方向における上流側に配置され、前記ラベルの印字開始位置を特定するための第1検出ユニットと、前記印字ユニットよりも前記搬送方向における下流側に配置され、前記ラベルの端部を検出することにより前記ラベルの印字開始位置を特定するための第2検出ユニットと、を備え、前記ラベル連続体を搬送し、前記第1検出ユニットにより最初に位置検出用マークまたは前記ラベル間のギャップが検出される第1上流側ラベルよりも下流側にある複数の下流側ラベルのうち1枚目である第1下流側ラベルの下流側の端部を前記第2検出ユニットが検出すると、前記第1下流側ラベルの印字開始位置と前記印字ユニットとが対応する位置まで前記ラベル連続体を前記搬送方向の逆方向に搬送し、その後、前記搬送方向に搬送しながら前記第1下流側ラベルに印字を行い、前記第2検出ユニットが前記第1下流側ラベルに後続する第2下流側ラベルの下流側の端部を検出すると、前記第2下流側ラベルの印字開始位置と前記印字ユニットとが対応する位置まで前記ラベル連続体を前記搬送方向の逆方向に搬送し、その後、前記搬送方向に搬送しながら前記第2下流側ラベルに印字を行い、前記第1検出ユニットによって前記第1上流側ラベルの前記位置検出マークまたは前記ギャップが検出されてから前記第1上流側ラベルの前記印字開始位置が前記印字ユニットに対応する位置に搬送されるまでは、前記第1上流側ラベルよりも下流側にある複数の下流側ラベルのうち前記第2下流側ラベルに後続する下流側ラベルに対して、前記第2下流側ラベルに後続する下流側ラベルの端部が前記第2検出ユニットに検出されると前記第2下流側ラベルに後続する前記下流側ラベルの前記印字開始位置と前記印字ユニットとが対応する位置まで前記ラベル連続体を前記搬送方向の逆方向に搬送し、その後、前記搬送方向に搬送しながら前記第2下流側ラベルに後続する前記下流側ラベルに印字を行い、前記第1検出ユニットによって前記第1上流側ラベルの前記位置検出マークまたは前記ギャップが検出され、前記第1上流側ラベルにおける前記印字開始位置が前記印字ユニットに対応する位置に搬送された後は、前記第1上流側ラベル及び前記第1上流側ラベルよりも上流側にあるラベルに対しては、前記位置検出用マーク又は前記ギャップによって特定される印字開始位置が前記印字ユニットに対応するように前記ラベル連続体を搬送し、印字を行うプリンタが提供される。
【発明の効果】
【0009】
上記態様によれば、第1下流側ラベルの下流側の端部を第2検出ユニットが検出すると、第1下流側ラベルの印字開始位置と印字ユニットとが対応するようにラベル連続体を搬送方向の逆方向に搬送し、第1下流側ラベルに印字を行い、第2検出ユニットが第1下流側ラベルに後続する第2下流側ラベルの下流側の端部を検出すると、第2下流側ラベルの印字開始位置と印字ユニットとが対応するようにラベル連続体を搬送方向の逆方向に搬送し、第2下流側ラベルに印字を行う。
そして、第1検出ユニットが第1上流側ラベルの位置検出用マークまたはギャップを検出すると、位置検出用マークまたはギャップが検出された第1上流側ラベル及び当該第1上流側ラベルよりも更に上流側にあるラベルに対しては、検出された位置検出用マークまたはギャップによって特定される印字開始位置が印字ユニットに対応するようにラベル連続体を搬送し、第1上流側ラベルに印字を行う。
これにより、第1検出ユニットにおいてラベルの印字開始位置が特定できないラベルに対しても印字可能となる。したがって、ラベルロスを無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係るプリンタの概略構成図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るプリンタのブロック図である。
【
図3】連続体と、プリンタにおけるラベル検出ユニットの位置、及びサーマルヘッドの位置を説明する模式図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るプリンタによる印字機構及びラベル検出ユニットの制御を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係るプリンタ1の概略構成図である。
【0013】
プリンタ1は、媒体発行指示に基づいて、価格、バーコード、その他の商品情報、物品あるいはサービスに関する管理情報等の可変情報を印字媒体に印字するものであり、インクリボンRを熱してインクリボンRのインクを印字媒体に転写することで印字を行う熱転写方式のものである。
【0014】
本実施形態では、印字媒体として、帯状の台紙Bに複数のラベルMが所定間隔で連続して仮着され、ロール状に巻回されたラベル連続体(以下、連続体MLと記す)が適用される。本実施形態で使用される連続体MLにおいて、帯状の台紙Bに仮着されたラベルMの各々のラベルピッチLは全て同一である。すなわち、台紙Bに仮着されるラベルMのラベルピッチL及びラベルM同士の間隔も全て同一に形成されている。
【0015】
プリンタ1は、
図1に示すように、印字機構10と、リボン供給軸20と、リボン巻取軸30と、媒体供給軸40と、ラベルMを検出するラベル検出ユニット50と、ラベルMのピッチを検出するピッチ検出ユニット60と、制御部としてのコントローラ70と、を備える。
【0016】
上記各構成は、本体部2に収容されて、本体部2に対して開閉可能に取り付けられたカバー3によって覆われている。また、カバー3には、カバー3の開閉を検出する開閉検出センサ4が備えられている。開閉検出センサ4としては、発光部と受光部とを備えた光学式センサ、或いは、カバー3に応じてスイッチのオンオフが行われる物理センサ等を適用可能である。
【0017】
印字機構10は、ヘッドユニット11と、プラテンローラ12とを備え、ラベルMへの印字と連続体ML及びインクリボンRの搬送を行う。すなわち印字機構10は、搬送ユニットとしての構成も含む。
【0018】
ヘッドユニット11は、サーマルヘッド13の発熱素子を下面から露出させた状態でサーマルヘッド13を保持する。プラテンローラ12は、サーマルヘッド13の直下に配置され、ラベルMに印字を行う印字部15をサーマルヘッド13と共に構成する。
【0019】
ヘッドユニット11は、支持軸14により
図1の矢印の方向に揺動可能に支持される。ヘッドユニット11は、サーマルヘッド13がプラテンローラ12から離間するヘッドオープン位置と、サーマルヘッド13がプラテンローラ12に当接するヘッドクローズ位置と、に移動させることができる。
図1では、ヘッドユニット11はヘッドクローズ位置である。
【0020】
プラテンローラ12は、図示しないステッピングモータによって回転駆動されており、コントローラ70からの指示信号にしたがって、正回転又は逆回転の駆動が可能とされている。
【0021】
リボン供給軸20は、印字部15に供給されるインクリボンRをロール状に保持する。リボン供給軸20から印字部15に供給されたインクリボンRは、サーマルヘッド13とプラテンローラ12との間に挟持される。
【0022】
媒体供給軸40は、印字部15に供給される連続体MLをロール状に保持する。媒体供給軸40から印字部15に供給された連続体MLは、サーマルヘッド13とプラテンローラ12との間にインクリボンRと共に挟持される。
【0023】
使用済のインクリボンRは、ステッピングモータとのギアの連結によってリボン巻取軸30が回転すると、その外周に巻き取られる。なお、ヘッドユニット11がヘッドオープン位置になっている場合は、リボン巻取軸30を回転させることで、インクリボンRのみを巻き取り方向に送ることができる。
【0024】
ラベルM及びインクリボンRがサーマルヘッド13とプラテンローラ12との間に挟持された状態でサーマルヘッド13の発熱素子への通電が行われると、発熱素子の熱によってインクリボンRのインクがラベルMに転写され、ラベルMへの印字が行われる。また、ステッピングモータ(図示せず)によってプラテンローラ12が正回転すると、連続体MLが下流側(白抜き矢印の方向)へと搬送される。なお、連続体MLを搬送方向の下流側へ向けて搬送することを「フォワードフィード」といい、連続体MLを搬送方向の上流側、すなわち、搬送方向とは逆方向へ搬送することを「バックフィード」という。
【0025】
第2検出ユニットとしてのラベル検出ユニット50は、検出光を発光する発光部51と、検出光を受光する受光部52と、を有し、透過型光学式センサを構成する。ラベル検出ユニット50は、受光部52において連続体MLを介して受光した検出光に基づく出力電圧をコントローラ70に出力する。本実施形態においては、ラベル検出ユニット50は、印字機構10よりも下流側に配置されている。
【0026】
発光部51は、検出光の発光出力が多段階、本実施形態においては、例えば、128段階の出力を備え、コントローラ70による制御にしたがって、発光出力が調整可能とされている。
【0027】
受光部52は、発光部51からの検出光を受光するための複数段階の受光感度を備え、コントローラ70による制御にしたがって、受光感度が調整可能とされている。受光部52は、発光部51に対向する位置に配置されている。
【0028】
第1検出ユニットとしてのピッチ検出ユニット60は、台紙BにおいてラベルMが仮着された面とは反対側の面に、ラベルMの配設ピッチと同じピッチで予め印刷されている位置検出用マーク(以下、アイマークと記す。
図1には図示せず)を検出する反射センサを備える。これにより、ラベルMを連続して発行するときに、印字部15に対するラベルMの印字開始位置を特定することができる。
【0029】
コントローラ70は、後述する、マイクロプロセッサ、ROMやRAM等の記憶装置、入出力インターフェース、これらを接続するバス等で構成される。
【0030】
コントローラ70は、制御プログラムに基づいて、ラベル検出ユニット50により、1枚目のラベルMの下流側端部Mfと1枚目のラベルMの上流側端部Meとを検出し、検出された1枚目の下流側端部Mfと1枚目のラベルMの上流側端部MeとからラベルピッチLを算出する。
【0031】
そして、コントローラ70は、算出されたラベルピッチLとピッチ検出ユニット60から印字機構10までの距離Dとを比較し、算出されたラベルピッチLが距離Dよりも小さいとき、ラベル検出ユニット50により、算出されたラベルピッチLに基づいて、2枚目のラベルMにおける印字開始位置まで搬送を行う。
【0032】
すなわち、コントローラ70は、機能構成として、ラベル検出ユニット50により検出された1枚目のラベルMの下流側端部Mfと1枚目のラベルMの上流側端部MeとからラベルピッチLを算出するラベルピッチ算出部と、ピッチ検出ユニット60から印字機構10までの距離DとラベルピッチLとを比較する比較部と、算出されたラベルピッチLが距離Dよりも小さいとき、算出されたラベルピッチLに基づいて2枚目のラベルの印字開始位置まで搬送を行う制御部とを有する。
【0033】
また、コントローラ70は、制御プログラムに基づいて、ラベルピッチLが距離Dよりも大きいとき、2枚目のラベルMを印字する際に、ピッチ検出ユニット60によって特定された2枚目のラベルの印字開始位置まで搬送を行う。
【0034】
図2は、本実施形態のコントローラ70のブロック図である。
【0035】
コントローラ70は、CPU(central processing unit:中央演算装置)71、ROM(read only memory)72、RAM(random access memory)73、搬送制御回路74、印字制御回路75、用紙検出回路76、IOポート77、電源部78、及びセンサ検出回路79を備えて構成される。これらは内部バス80を介して相互に接続されており、相互に各種データの送受信が行なえるように構成されている。
【0036】
CPU71は、ROM72に記憶された上記の制御プログラムを実行することによって、コントローラ70全体を統括的に制御すると共に、各部に所要の処理や制御を実行させる。
【0037】
ROM72は、CPU71が読み出して実行する制御プログラム等を記憶している。ROM72には、ラベル検出ユニット50により検出された1枚目のラベルMの下流側端部Mfと1枚目のラベルの上流側端部MeとからラベルピッチLを測定する手順と、ピッチ検出ユニット60から印字機構10までの距離DとラベルピッチLとを比較する手順と、ラベルピッチLが距離Dよりも小さいとき、ラベルピッチLに基づいて2枚目のラベルMの印字開始位置まで搬送を行う手順とを実行させるための制御プログラムが格納されている。
【0038】
RAM73は、CPU71が実行する処理に必要な各種情報や印字に必要な印字データ、印字フォーマット、登録情報などを記憶する。
【0039】
搬送制御回路74は、CPU71からの指示信号に従ってプラテンローラ12を駆動するステッピングモータを制御し、プラテンローラ12の回転/停止を制御する。これにより、プラテンローラ12は、用紙搬送路における連続体MLの「フォワードフィード」又は「バックフィード」の駆動が制御される。また、ステッピングモータの正回転又は逆回転のステップ数がカウントされるように構成されている。
【0040】
印字制御回路75は、CPU71から供給される印字すべき文字、図形及びバーコードなどの印字データに対応する印字信号を生成し、生成された印字信号をサーマルヘッド13に供給する。これにより、ラベルMに印字が行なわれる。
【0041】
用紙検出回路76は、ラベル検出ユニット50によって検出された情報をCPU71に供給する。或いは、用紙検出回路76は、ピッチ検出ユニット60によって取得された情報をCPU71に供給する。CPU71は、用紙検出回路76からの情報に基づいて、搬送制御回路74による連続体ML及びインクリボンRの搬送を制御すると共に、サーマルヘッド13による印字のタイミングを制御してラベルMに印字を実行する。
【0042】
IOポート77は、表示部81及び入力部82と接続されており、CPU71から供給される表示データを表示部81に出力する。また、IOポート77は、ユーザによる入力部82への操作に対応した操作信号をCPU71に送る。
【0043】
表示部81は、例えば液晶ディスプレイにより構成される。入力部82は、表示部81に備えられたタッチパネルや、ボタン、DIP-SW等により構成される。
【0044】
電源部78は、電源スイッチSに対する押下操作を監視し、電源スイッチSの操作に基づいて、各部への電力供給の実施と停止とを切り替えることにより、プリンタ1の電源をオン/オフする。
【0045】
センサ検出回路79は、開閉検出センサ4からのカバー3の開閉の情報をCPU71に供給する。CPU71は、センサ検出回路79からの「開」から「閉」に移行した情報を受けて、ラベル検出ユニット50における出力電圧の調整処理の実行を開始することができる。
【0046】
なお、
図2に示されたコントローラ70は、複数のCPUで構成することも可能である。コントローラ70が実行する各種制御プログラムは、ROM72に格納して用いられるほか、例えば、CD-ROMや半導体メディア等の非一過性の記録媒体に記憶されたものを用いてもよい。
【0047】
続いて、プリンタ1におけるラベルMへの印字と連続体MLの搬送について説明する。
【0048】
図3は、連続体MLと、プリンタ1におけるラベル検出ユニット50の位置、及びサーマルヘッド13の位置を説明する模式図である。なお、
図3において、各ラベルMには、連続体MLの搬送に伴う各ラベルMの位置の変化を理解しやすくするために、連番([1]、[2]、・・・)を付してある。
【0049】
図3(a)に示されるように、連続体MLは、帯状の台紙Bと、台紙B上に仮着した複数枚のラベルMとにより構成される。台紙Bの裏面側には、ラベルMの搬送方向下流側の先端に相当する位置に、ラベルMのピッチ検出用のアイマークPが予め印字されている。また、ラベルMは、所定の間隔(ギャップG)を空けて搬送方向に連続して配置されている。なお、アイマークは、ラベルMのピッチを検出可能な指標となればよく、アイマークの印刷位置は、ラベルMの搬送方向下流側の先端でなくともよい。
【0050】
ピッチ検出ユニット60は、連続体MLに印字されたアイマークP、或いはギャップGを検出することにより、印字部15に対するラベルMの相対的位置を検出することができる。プリンタ1は、所定のラベルMへの印字中に、ピッチ検出ユニット60によって検出されたアイマークPに基づくラベルピッチにしたがって、ラベルMの印字開始位置が印字機構10に対応するまで連続体MLを送り、ラベルMの印字開始位置から印字するという動作を、連続的に実行することができる。
【0051】
しかしながら、
図3(b)に示されるように、搬送方向におけるラベルMのラベルピッチLが、印字機構10とピッチ検出ユニット60との距離Dよりも小さい場合には、1枚目のラベルM(
図3(b)の[1])へ印字中に、ピッチ検出ユニット60において3枚目のラベルM(
図3(b)の[3])に相当するアイマークPが検出される場合がある。なお、ラベルピッチLの長さが、より短いラベルMの場合には、3枚目以降のラベルMに相当するアイマークPが読み取られている場合もあり得る。
【0052】
このような場合には、1枚目のラベルの印字が終了すると、1枚目のラベルM(
図3(b)の[1])の印字中に検出されたアイマークPに対応するラベルM(
図3(b)の[3])が、印字機構10の位置まで搬送される。この場合には、2枚目のラベルMに印字できないので、2枚目のラベルMがロスになる。なお、ラベルピッチLの長さが、より短い場合には、2枚目だけではなく、2枚目以降のラベルMがロスになる場合もあり得る。
【0053】
これに対して、プリンタ1は、1枚目のラベルMを印字しながら、ラベルMのラベルピッチLを算出し、算出されたラベルピッチLが印字機構10とピッチ検出ユニット60との距離Dよりも小さい場合には、ピッチ検出ユニット60において検出されたアイマークPに基づいて連続体MLを搬送するのではなく、1枚目のラベルMの下流側端部Mfを検出したときと同様に、1枚目のラベルMの上流側端部Meを検出するように構成されている。
【0054】
そして、2枚目のラベルの下流側端部Mfと算出されたラベルピッチLに基づいて、2枚目のラベルMの印字及び連続体MLの搬送を行う。
【0055】
図4は、プリンタ1による印字機構10及びラベル検出ユニット50の制御を説明するフローチャートである。以下、
図4を参照しながら、プリンタ1の動作について説明する。
【0056】
コントローラ70は、カバー3が閉位置にセットされ、ヘッドユニット11がヘッドクローズ位置にセットされたことを検出すると、
図4に示された印字機構10及びラベル検出ユニット50の制御処理の実行を開始する。
【0057】
プリンタ1では、ユーザによって、連続体MLが、例えば、
図3(a)に示すように、ラベルMにおける大まかな位置がラベル検出ユニット50に対応する位置にセットされたことを検出すると、コントローラ70は、ステップS1において、発光部51から検出光を連続体MLに発光しながらバックフィードさせることにより、1枚目のラベルMの下流側端部Mfを検出する。
【0058】
コントローラ70は、1枚目のラベルMの下流側端部Mfを検出すると、ステップS2において、ラベルMの下流側端部Mfの位置に基づいて、印字開始位置までラベルMをバックフィードさせてから印字を開始するとともに、ラベルピッチの算出を行う。具体的には、コントローラ70は、検出された1枚目のラベルMの下流側端部Mfから所定の印字データに基づいて印字開始位置まで連続体MLをバックフィードし、1枚目の印字開始位置から印字を開始する。
【0059】
また、コントローラ70は、1枚目のラベルMの下流側端部Mfが検出されて以降、プラテンローラ12を1ステップ分フォワードフィードする毎に、受光部52で受光された検出光に基づく検出電圧の変化を測定し、1枚目のラベルMの上流側端部Meを検出する。続いて、台紙Bを検出し、その後、2枚目のラベルMの下流側端部Mfを検出したとき、フォワードフィードを停止する。
【0060】
コントローラ70は、このときフォワードフィードした分のステップ数から、ステップS3において、ラベルピッチLを算出する。
【0061】
続いて、コントローラ70は、ステップS4において、ステップS3において算出されたラベルピッチLと、印字機構10とピッチ検出ユニット60との距離Dとを比較する。
【0062】
ステップS4において、ラベルピッチLが距離Dよりも小さいと判定された場合(ステップS4、Yes)には、コントローラ70は、ステップS5に移行する。これは、
図3(b)のパターンに該当する。
【0063】
ステップS5において、コントローラ70は、検出された2枚目のラベルMの下流側端部Mfと、算出されたラベルピッチLに基づいて、2枚目のラベルMの印字開始位置まで搬送し、印字を実行する。
【0064】
3枚目以降のラベルMについては、コントローラ70は、ステップS6において、ピッチ検出ユニット60によって検出されたアイマークPによって特定される印字開始位置に基づいて、連続体MLの搬送及びラベルMへの印字を実行する。
【0065】
一方、コントローラ70は、ステップS4において、算出されたラベルピッチLが距離D以上であると判定した場合(ステップS4、No)、ステップS6に移行する。これは、
図3(a)のパターンに該当する。
【0066】
本実施形態に係るプリンタ1は、以上の処理を実行することにより、ピッチ検出ユニット60によってアイマークPが読み取られなかったラベルMに対しても印字を行うことができる。
【0067】
[効果]
本実施形態に係るプリンタ1によれば、ラベル検出ユニット50により検出された1枚目のラベルMの下流側端部Mfと1枚目のラベルMの上流側端部MeとからラベルピッチLを算出し、ピッチ検出ユニット60から印字機構10までの距離Dと算出されたラベルピッチLとを比較する。この比較により、算出されたラベルピッチLが距離Dよりも小さいとき、プリンタ1は、ピッチ検出ユニット60において検出されたアイマークPに基づくラベルピッチを使用することなく、2枚目のラベルMの下流側端部Mfから、算出されたラベルピッチLに基づいて、2枚目のラベルMの印字開始位置まで搬送し、印字を実行する。
【0068】
これにより、プリンタ1は、ピッチ検出ユニット60によってアイマークPが検出されなかったラベルMに対しても、印字開始位置を確定し印字を開始することができる。また、ピッチ検出ユニット60によってアイマークPが検出されなかったラベルMに対しても、次のラベルMの印字開始位置までの搬送量を決定し、印字を実行することができる。
【0069】
したがって、連続体MLにおける一部のラベルMが印字されない状態で送り出されることがなく、ラベルロスを無くすことができる。
【0070】
[プリンタの制御方法]
本発明の実施形態に係るプリンタの制御方法は、第2検出ユニットとしてのラベル検出ユニット50により検出された1枚目のラベルMの下流側端部Mfと上流側端部MeとからラベルピッチLを算出し、第1検出ユニットとしてのピッチ検出ユニット60から印字機構10までの距離よりも、算出されたラベルピッチLが小さいとき、算出されたラベルピッチLに基づいて、2枚目のラベルにおける印字開始位置まで搬送方向の逆方向に連続体MLを搬送するというものであり、このプリンタの制御方法は、上述したプリンタ1によって実現される。
【0071】
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0072】
本実施形態では、2枚目のラベルMが印字できない場合について説明したが、ラベルピッチLがさらに小さい場合には、ピッチ検出ユニット60において、印字機構10とピッチ検出ユニット60との距離Dの間に、2枚以上のラベルMが納まる場合もあり得る。本実施形態では、このような場合であっても、同様に、ロスなく印字することができる。
【0073】
本実施形態では、サーマルヘッド13によるインクリボン転写型のプリンタ1を説明したが、ラベルMが感熱紙であって、サーマルヘッド13が熱を加えることでラベルMに印字を行なう熱転写方式を用いた熱転写型プリンタであってもよい。
【0074】
図4に示すフローチャートは、
図3(a)に示されるように、ラベルMがラベル検出ユニット50に対応する位置にセットされることを前提とする処理である。
【0075】
これに対して、コントローラ70は、ヘッドユニット11がヘッドクローズ位置にセットされたときに、ラベルM間のギャップGがラベル検出ユニット50に対応する位置にセットされた状態から、フォワードフィードによって下流側端部Mfを検出することもできる。
【0076】
実際の連続体MLでは、ラベルM同士のギャップGが搬送方向におけるラベルMの長さよりも顕著に短く設定されていることが多いため、ラベルMをラベル検出ユニット50に対応する位置に合わせる仕様とする方が、ユーザにとっては簡易である。
【0077】
また、本発明のある態様によれば、帯状の台紙に所定間隔でラベルが仮着されてなるラベル連続体に印字するプリンタであって、前記ラベル連続体を搬送方向又は前記搬送方向の逆方向に搬送する搬送ユニットと、前記ラベルに印字する印字ユニットと、前記ラベル連続体の搬送方向において、前記印字ユニットよりも前記搬送方向における上流側に配置され、前記ラベルの印字開始位置を特定するための第1検出ユニットと、前記印字ユニットよりも前記搬送方向における下流側に配置され、前記ラベルの端部を検出する第2検出ユニットと、前記印字ユニットによる印字及び前記ラベル連続体の搬送を制御するコントローラと、を備え、前記コントローラは、前記第2検出ユニットにより検出された1枚目のラベルの下流側端部と上流側端部とからラベルピッチを算出し、前記第1検出ユニットから前記印字ユニットまでの距離よりも前記ラベルピッチが小さいとき、前記ラベルピッチに基づいて前記2枚目のラベルにおける印字開始位置まで前記搬送方向の逆方向に前記ラベル連続体を搬送するプリンタが提供される。
【符号の説明】
【0078】
1 プリンタ
2 本体部
3 カバー
4 開閉検出センサ
10 印字機構
11 ヘッドユニット
12 プラテンローラ
13 サーマルヘッド
14 支持軸
15 印字部
20 リボン供給軸
30 リボン巻取軸
40 媒体供給軸
50 ラベル検出ユニット
51 発光部
52 受光部
60 ピッチ検出ユニット
70 コントローラ
71 CPU
72 ROM
73 RAM
74 搬送制御回路
75 印字制御回路
76 用紙検出回路
77 IOポート
78 電源部
79 センサ検出回路
80 内部バス
81 表示部
82 入力部
B 台紙
M ラベル
Mf 下流側端部
Me 上流側端部
ML 連続体