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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/06 20060101AFI20240704BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
F25D23/06 W
F25D23/00 305E
F25D23/00 305F
F25D23/06 J
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023079424
(22)【出願日】2023-05-12
(62)【分割の表示】P 2019073530の分割
【原出願日】2019-04-08
(65)【公開番号】P2023099222
(43)【公開日】2023-07-11
【審査請求日】2023-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】石橋 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】磯野 啓博
【審査官】関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-065589(JP,U)
【文献】国際公開第2018/146831(WO,A1)
【文献】特開2012-255629(JP,A)
【文献】特開2020-173037(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/06
F25D 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内箱と、
外箱と、
前記内箱と前記外箱との間に配置される真空断熱パネルと、を有する断熱箱体を具備し、
前記内箱と前記外箱との間には、前記内箱の後板と前記外箱の後板との間に配置される後部の真空断熱パネルの周りに位置させて、当該後部の真空断熱パネルを位置決めするための位置決め部材が設けられ、
前記後部の真空断熱パネルは、その端面と前記位置決め部材とが当接することにより位置決めされ、前記内箱の後板と前記外箱の後板との間に配設されており、
前記位置決め部材には、開口部を介して内部に線状の部材として電気配線および冷媒管のうち少なくとも何れか一方を収容可能な支持部が形成されており、
前記支持部の開口部は、前記真空断熱パネルの厚さ方向に沿って開口しており、前記真空断熱パネルの厚さ方向における端面により覆われている冷蔵庫。
【請求項2】
前記位置決め部材は、前記真空断熱パネルの厚さ方向とは異なる方向において前記真空断熱パネルに当接する当接部を有し、
前記支持部の開口部は、前記当接部よりも前記断熱箱体の中央側に設けられている請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記位置決め部材は、前記真空断熱パネルの厚さ方向とは異なる方向において前記真空断熱パネルに当接する当接部と、前記真空断熱パネルの厚さ方向における端面に当接する基部と、を有し、
前記支持部の開口部は、前記当接部と前記基部の間に設けられている請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記位置決め部材は、前記真空断熱パネルに当接する当接部を有し、
前記当接部のうち前記真空断熱パネルに当接する面は、前記支持部の内面に繋がっている請求項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫の断熱壁は、外箱と内箱の間に断熱材として例えば発泡ウレタンを充填して構成されている。断熱壁の断熱性能を高くするために、発泡ウレタンに加えて断熱性能の良い真空断熱パネルを併用する冷蔵庫が増えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-23890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷蔵庫の断熱壁の後壁内において真空断熱パネルを所定の位置に配置するために、発泡ウレタンを充填する前に、真空断熱パネルを外箱の後板に接着剤例えばホットメルト等で貼り付けて固定していた。そのため、貼り付けのためのホットメルト等の材料費が必要であると共に、ホットメルトの塗布機や圧着のためのプレス機、また、後板に真空断熱パネルを貼り付けた仕掛品を一時的に置く場所など、生産要の設備やスペースが必要であるという問題があった。
そこで、真空断熱パネルを外箱の後板に接着する作業を不要とする冷蔵庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態の冷蔵庫は、内箱と、外箱と、前記内箱と前記外箱との間に配置される真空断熱パネルと、を有する断熱箱体を具備し、前記内箱と前記外箱との間には、前記内箱の後板と前記外箱の後板との間に配置される後部の真空断熱パネルの周りに位置させて、当該後部の真空断熱パネルを位置決めするための位置決め部材が設けられている。前記後部の真空断熱パネルは、その端面と前記位置決め部材とが当接することにより位置決めされ、前記内箱の後板と前記外箱の後板との間に配設されており、前記位置決め部材には、開口部を介して内部に線状の部材として電気配線および冷媒管のうち少なくとも何れか一方を収容可能な支持部が形成されており、前記支持部の開口部は、前記真空断熱パネルの厚さ方向に沿って開口しており、前記真空断熱パネルの厚さ方向における端面により覆われている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態を示すもので、U字状に折曲した外箱の内側に内箱を収容し真空断熱パネルを載置した構成を示す斜視図
図2】冷蔵庫の縦断側面図
図3】位置決め部材周辺の部分斜視図
図4】他の位置決め部材周辺の部分斜視図
図5】下部支持部材周辺の部分斜視図
図6】下部支持部材周辺の部分縦断側面図
図7】外箱の後板の内面側を示す図
図8】第2実施形態を示すもので、位置決め部材周辺の部分横断面図
図9】第2実施形態を示すもので、下部支持部材周辺の部分縦断側面図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、複数の実施形態による冷蔵庫を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において実質的に同一の構成部品には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について、図1から図7を参照しながら説明する。まず、図2を参照して、本実施形態に係る冷蔵庫の全体構成について簡単に述べる。冷蔵庫1は、前面が開口した縦長矩形箱状の断熱箱体2内に、冷蔵温度帯の冷蔵室3及び野菜室4と、冷凍温度帯の製氷室5、上部冷凍室(図示しないが製氷室5に隣接して配設されている)及び下部冷凍室7とを備える。こうした冷蔵室3~下部冷凍室7は、何れも食品等の貯蔵物(以下「食材等」と称す)を貯蔵するための貯蔵室とされている。
【0008】
断熱箱体2における冷蔵室3の前面開口は、両開き式の左扉3a及び右扉(図示しない)によって開閉される。野菜室4、製氷室5及び下部冷凍室7の前面開口部は、引き出し式の扉4a、扉5a及び扉7aによって夫々開閉される。なお、上部冷凍室の前面開口部も、引き出し式の扉(図示しない)によって開閉される。また、図2に示す冷蔵庫1の構成は一例であり、各貯蔵室の配置順が異なっていてもよいし、例えば上部冷凍室が冷蔵と冷凍とを切り替え可能な切替室であるような構成でもよい。
【0009】
冷蔵室3の左有の扉3aには、上段、中段、下段にドアポケット8a,9a,10aが夫々設けられている。冷蔵室3内には、透明性材料(例えばガラス材料やアクリル樹脂等)で形成された複数の棚板11a、11b、11c、11dが設けられ、その最下段には、チルド室12が配置されている。チルド室12は、扉12aによって開閉され、チルド室12の天井部は、最下段の棚板11dで構成されている。なお、棚板11dの下方において、冷蔵室3と野菜室4を仕切る、冷蔵室3の底板部分は仕切壁15とされている。
【0010】
各貯蔵室は、食材等を貯蔵する容器(ケース)を備えており、図2に例示するように、チルド室12にはケース12b,12cが配置され、野菜室4にはケース4b,4cが配置され、製氷室5にはケース5bが配置され、下部冷凍室7にはケース7b,7cが配置されている。
【0011】
冷蔵室3の左右の扉3aは夫々、前面が絶縁性のガラス材料からなるガラス板16aで覆われ、内部には断熱材たるウレタン19が充填剤として充填され、内側には樹脂材料からなる内板16bを備えている。左扉3aの前面には、操作パネル28が配設されている。なお、野菜室4の扉4a等も、前面がガラス板で覆われており、内部にはウレタン19が充填されている。
【0012】
断熱箱体2の内部には断熱材として、複数の真空断熱パネル18a~18cとウレタン19が用いられている。具体的には、図2に示すように、断熱箱体2の内部には、その天井壁に沿う真空断熱パネル18a、後壁(背面壁2a)に沿う真空断熱パネル18b、逆L字状に屈曲した底壁に沿う真空断熱パネル18c、左右の側壁に沿う左右一対の真空断熱パネル(図示しない)が夫々配置されるとともにウレタン19が充填されている。
【0013】
断熱箱体2の背面壁2a側の底部(前記屈曲した部分の庫外側)には、機械室が設けられており、この機械室に圧縮機20等が配置されている。製氷室5並びに上部冷凍室及び下部冷凍室7の奥側には、冷却器カバー21Cで覆われた冷凍冷却器室21Rが設けられている。冷凍冷却器室21Rには、冷却器21及びファン装置22が収容されている。また、冷蔵室3と野菜室4の奥側には、その冷蔵室3下部側と野菜室4上部側とにわたって、冷却器カバー23Cで覆われた冷蔵冷却器室23Rが設けられている。冷蔵冷却器室23Rには、冷却器23及びファン装置24が収容されている。
【0014】
上記した各冷却器21,23は蒸発器として、圧縮機20等とともに周知の冷凍サイクルを構成する。ファン装置22は冷却器21用ファンとして、当該冷却器21で生成された冷気を冷却器カバー21Cの吹出口から冷凍室5、7へ送風する。また、ファン装置24は冷却器23用ファンとして、当該冷却器23で生成された冷気を、冷却器カバー23Cの吹出口等から冷蔵室3へ送風する。
【0015】
断熱箱体2の天井壁の上面後部には、制御装置25の制御基板25aを収容する基板収容部26が設けられている。制御装置25は、例えばマイクロコンピュータを主体として構成されており、冷蔵庫1の動作全般を制御する。制御装置25は、各種のセンサ等で検出した貯蔵室の温湿度等に基づいて、ファン装置22,24や、圧縮機20を含む冷凍サイクルを運転することにより、各貯蔵室を冷却する。
【0016】
次に、断熱箱体2の具体的構成について、図1図3ないし図7を参照して説明する。断熱箱体2は、図1に示すように、鋼板製の外箱30と、プラスチック製の内箱31との間の断熱空間に、断熱材を充填して構成されている。図1に示す外箱30は、底板及び後板(即ち、背板)を取り外した状態を示している。
【0017】
鋼板製の外箱30は、左側板30a、右側板30b、天板30c、底板および後板を有する前面に開口した箱状をなしている。左側板30a、右側板30b、天板30cは、一枚の長尺な鋼板をほぼU字状に折曲することにより形成されている。底板および後板は、U字状の折曲物である左側板30a、右側板30b、及び天板30cと別個に設けられた鋼板製の板材であり、上記U字状の折曲物に例えば係合またはねじ止め等により取り付けられている。
【0018】
プラスチック製の内箱31は、真空成形機で一体成形されたものである。内箱31は、外箱30の左側板30a、右側板30b、天板30c、底板および後板とそれぞれ対向する左側板、右側板、天板、底板31dおよび後板31eを有する前面に開口した箱状をなしている。
【0019】
外箱30と内箱31の間に充填される断熱材は、発泡断熱材例えばウレタン19と、真空断熱パネル18a、18b、18cとで構成されている。図1に示す真空断熱パネル18bは、外箱30と内箱31の間の後壁部、即ち、断熱箱体2の後壁部内に配設されている。また、外箱30と内箱31の間の左右の側壁部内にも、図示しない真空断熱パネルが配設され、外箱30と内箱31の間の天井壁部内にも、真空断熱パネル18aが配設され、外箱30と内箱31の間の底壁部内にも、真空断熱パネル18cが配設されている。
【0020】
そして、上記構成の場合、外箱30と内箱31の間の左右の側壁部、天井壁部、後壁部及び底壁部内に各真空断熱パネル18a、18b、18cを配設し、外箱30の底板及び後板を取り付けた状態で、ウレタン19を外箱30と内箱31の間に充填するように構成されている。
【0021】
ここで、外箱30と内箱31の間の左右の側壁部及び後壁部内に各真空断熱パネル18bを取り付ける方法について説明する。まず、外箱30と内箱31の間の左右の側壁部については、外箱30の左側板30a、右側板30b及び天板30cを、U字状に折曲する前の状態、即ち、一枚の長尺な鋼板の上面における真空断熱パネルの各取付位置に、各真空断熱パネルを例えば両面粘着テープを介して貼り付けることにより仮固定する。
【0022】
そして、真空断熱パネルを仮固定した一枚の長尺な鋼板をU字状に折曲した後、U字状に折曲した外箱30の左側板30a、右側板30b及び天板30cの内側に内箱31を収容して両者を例えば係合またはねじ止め等により連結する。この状態の外箱30及び内箱31を、図1に示すように、うつ伏せに寝かす、即ち、外箱30及び内箱31を、その前面開口部を下にして倒す。
【0023】
このうつ伏せの状態で、内箱31の後板31eの上に真空断熱パネル18bを載置する。尚、後板31eの上に真空断熱パネル18bを載置する際に、例えば両面粘着テープを介して貼り付けて仮固定しても良い。
【0024】
この構成の場合、真空断熱パネル18bの左右方向の位置決めは、後板31eの左辺部に配設された例えば3個の位置決め部材33、34、35と、後板31eの右辺部に配設された例えば2個の位置決め部材36、37とで行なわれるように構成されている。各位置決め部材33~37は、熱を伝達し難い部材例えば発泡プラスチック、一例として発泡スチロールで形成されている。
【0025】
左辺部の2個の位置決め部材33、34と、右辺部の上部の位置決め部材36は、ほぼ同じ形状であり、右辺部の位置決め部材36について、図3を参照して説明する。位置決め部材36は、図3に示すように、板部36aと、板部36aの一端部に突設された当接部36bとを有する。
【0026】
位置決め部材36を内箱31の後板31eに取り付けるに際しては、位置決め部材36の板部36aを、後板31eの右辺部に形成された斜面部(即ち、面取り部)31e1上に例えば両面テープを介して貼り付けている。この場合、位置決め部材36の板部36aを、後板31eの斜面部31e1に貼り付けた状態で、当接部36bが後板31eの平板部に対して垂直に立上るように構成されている。そして、位置決め部材33、34も、同様にして、後板31eの左辺部に形成された斜面部上に例えば両面テープを介して貼り付けられている。
【0027】
また、位置決め部材36の板部36aの図3中の上面には、当接部36bの基部に位置して溝36a1が形成され、当接部36bの反対側に位置して溝36a2が形成されている。これら溝36a1、36a2内には、冷媒管等のパイプや電気配線等が収容されて案内されるように構成されている。図3に、位置決め部材36の溝36a1内に、冷媒管例えばサクションパイプ40を収容した様子を示す。溝36a1、36a2は、冷媒管または配線を支持する支持部を構成している。
【0028】
また、左辺部の下部の位置決め部材35と、右辺部の下部の位置決め部材37は、ほぼ同じ形状であり、右辺部の位置決め部材37について、図4を参照して説明する。位置決め部材37は、図4に示すように、本体部37aと、本体部37aの一端部に突設された当接部37b、37bとを有する。
【0029】
位置決め部材37を内箱31の後板31eに取り付けるに際しては、位置決め部材37の本体部37aを、後板31eの右辺部の斜面部31e1上に例えば両面テープを介して貼り付けている。この場合、位置決め部材37の本体部37aを、後板31eの斜面部31e1に貼り付けた状態で、当接部37b、37bが後板31eの平板部に対して垂直に立上るように構成されている。そして、左辺部の位置決め部材35も、同様にして、後板31eの左辺部の斜面部上に例えば両面テープを介して貼り付けられている。
【0030】
上記したように、位置決め部材33-37を後板31eの斜面部31e1上に貼り付けた状態で、図2に示すように、内箱31の後板31eの上に真空断熱パネル18bを載置すると共に、真空断熱パネル18bの左右の辺部を位置決め部材33-37の当接部33b-37bに当接させる。これにより、位置決め部材33-37の当接部33b-37bによって、真空断熱パネル18bの左右方向の位置決めが行われる構成となっている。
【0031】
また、真空断熱パネル18bの下端部の位置決め、即ち、上下方向の位置決めは、内箱31の下部に配設された下部支持部材41によって行われる。下部支持部材41は、下辺部位置決め部材を構成するものであり、ある程度の強度を備えたプラスチックで形成されている。下部支持部材41は、図5及び図6に示すように、部材本体42と、この部材本体42の図5中の上端部に設けられた支え部43と、部材本体42の図5中の下端部に設けられた筒状の排水ホース44とを有する。この構成の場合、下部支持部材41は、排水ホース44に一体化される構成となっている。
【0032】
下部支持部材41を内箱31に取り付けるに際しては、図6に示すように、内箱31の内部の後部下部に配設された排水樋45に固定されるように構成されている。具体的には、排水樋45は、冷凍室用の冷却器21から除霜された除霜水を受ける水受け部46と、水受け部46の底部に下方に向けて突出するように形成された排水筒部47とを有する。
【0033】
排水樋45は、ある程度の強度を備えたプラスチックで形成されている。排水樋45の水受け部46は、内箱31の内部の底板31dの上に配置されて固定されている。そして、排水樋45の排水筒部47は、底板31dに形成された貫通孔31d1内に挿入されて下方へ突出されている。
【0034】
ここで、下部支持部材41を内箱31の底板31dの下面に取り付ける場合、図6に示すように、下部支持部材41の部材本体42の上面を、内箱31の底板31dの下面に当接させると共に、底板31dの貫通孔31d1から下方へ突出している排水筒部47を下部支持部材41の排水ホース44内に嵌合させる。そして、下部支持部材41の部材本体42を排水樋45の水受け部46の底部に例えばねじ止めすることにより固定する。これにより、下部支持部材41は、内箱31の底板31dを挟んで排水樋45の水受け部46に固定される構成となっている。
【0035】
上記構成の場合、下部支持部材41の部材本体42を、内箱31の底板31dを挟んで排水樋45の水受け部46の底部に固定した状態では、支え部43が後板31eの平板部に対して垂直に立上るように構成されている。そして、図1に示すように、内箱31の後板31eの上に真空断熱パネル18bを載置すると共に、真空断熱パネル18bの下辺部を下部支持部材41の支え部43に当接させる。これにより、下部支持部材41の支え部43によって、真空断熱パネル18bの上下方向の位置決めが行われる構成となっている。
【0036】
更に、本実施形態の場合、真空断熱パネル18bを上記したようにして内箱31の後板31eの上に載置した状態の構成を、即ち、図1に示すうつ伏せ状態の構成を立ち上らせ、そして、立てた状態で上記真空断熱パネル18bを載置した構成を移動させることがある。このような場合、真空断熱パネル18bの全重量が、下部支持部材41の上に作用するようになる。
【0037】
これに対して、本実施形態では、下部支持部材41を、ある程度の強度を備えたプラスチックで形成し、更に、下部支持部材41を内箱31に取り付けるに際して、内箱31の内部の後部下部に配設された排水樋45に下部支持部材41を固定し、下部支持部材41と排水樋45で内箱31の底板31dを挟む構成とした。この構成によれば、下部支持部材41を十分な強度を有する部品とすることができると共に、下部支持部材41を内箱31に十分な強度で取り付けることができるから、真空断熱パネル18bの全重量が、下部支持部材41の上に作用したとしても、支障は生じない。
【0038】
尚、下部支持部材41の排水ホース44は、前記機械室18内に導かれ、機械室18内に設けられた図示しない蒸発皿に排水されるように構成されている。蒸発皿に排水された除霜水は、機械室18内で発生する熱を受けて蒸発するようになっている。また、図1に示すように、内箱31の後板31eの右辺部には、冷蔵室用の冷却器23から除霜された除霜水を流す排水用チューブ48が配設されている。この排水用チューブ48は、図1図4図6に示すように配設され、更に、前記機械室18内に導かれ、機械室18内の蒸発皿に排水される構成となっている。
【0039】
また、図1に示す構成において、外箱30のU字状の折曲物に対して、外箱30の後板および底板を例えば係合またはねじ止めにより取り付ける。ここで、外箱30の後板の一例を、図7に示す。図7は、外箱30の後板50の内面、即ち、真空断熱パネル18bの後面を覆う側の面を示す。後板50には、上部の両端部および下部の両端部に位置して、即ち、4隅部に位置して、4個のウレタン注入口50a、50b、50c、50dが形成されている。また、後板50の前面には、ウレタンの流入を促す突条部50e、50fが設けられている。
【0040】
突条部50eは、上から下へ向けて「く」の字状に形成された第1形状部を構成する。突条部50fは、上から下へ向けて逆「く」の字状に形成された第2形状部を構成する。そして、各突条部50e、50fは、上から下へ向けて傾斜状に配置される構成となっている。上記構成の場合、突条部50eと突条部50fは、対向するように配置されていると共に、突条部50eの中間部の凸部と、突条部50fの中間部の凸部とが離間するように配置される構成となっている。また、突条部50e、50fの各中間部には、ガス抜き用の貫通孔50g、50hが形成されている。
【0041】
さて、図1に示すように、U字状に折曲した外箱30の内側に内箱31を収容して両者を連結した構成をうつ伏せに寝かす。尚、内箱31には、排水樋45、各種の部品、上記した位置決め部材33~37並びに下部支持部材41を取り付けておく。上記うつ伏せの状態で、内箱31の後板31eの上に真空断熱パネル18bを載置する。そして、外箱30のU字状の折曲物に対して、外箱30の後板50および底板を例えば係合またはねじ止めにより取り付ける。尚、断熱箱体2の断熱壁内に収容する部品例えば冷媒パイプや電気配線等の部品も、外箱30と内箱31の間に収容して取り付けておく。また、内箱31内に図示しない発泡治具を嵌め込んでおく。
【0042】
そして、外箱30の後板50の4個の注入孔50a~50dからウレタン19の原液を注入する。注入孔50a~50dから注入されたウレタン19の原液は、外箱30と内箱31との間に充填される。この場合、外箱30の後板50と真空断熱パネル18bとの間の狭い隙間については、注入孔50a~50dから注入されたウレタン19の原液は、後板50の突条部50e、50fによって案内されることから、後板50と真空断熱パネル18bとの間の狭い隙間内にスムーズに入っていき、上記隙間内は上記原液で満たされるようになっている。
【0043】
このような構成の本実施形態においては、内箱31の後板と外箱30の後板50との間に配置される後部の真空断熱パネル18bの周りに位置させて、当該後部の真空断熱パネル18bを位置決めするための位置決め部材33~37を設け、後部の真空断熱パネル18bを、その端面と位置決め部材33~37とを当接させることにより位置決めして、内箱31の後板31eと外箱30の後板50との間に配設するように構成した。この構成によれば、真空断熱パネル18bをホットメルトで接着する作業がなくなるので、ホットメルト等の接着剤や、接着剤を塗布する設備等が不要になることから、製造コストを低減することができる。
【0044】
また、位置決め部材33~37を、外箱30や内箱31とは別の部材で形成したので、位置決め部材33~37を簡単な構成にて容易に実現することができる。また、位置決め部材33~37を、内箱31の後板31eの左右の両側辺部に設けたので、位置決め部材33~37によって真空断熱パネル18bの位置決めを確実に行なうことができる。
【0045】
また、真空断熱パネル18bの下辺部を位置決めする下部支持部材41を、内箱31を構成する板材、即ち、底板31dを挟んで排水樋45に固定した。この構成によれば、下部支持部材41の固定強度を大きくすることができる。また、下部支持部材41には、排水ホース44が一体化されているので、排水ホース44の配設等が容易になる。
【0046】
また、外箱30の後板50の前面に、ウレタンの流入を促す突条部50e、50fを設けたので、後板50と真空断熱パネル18bとの間の狭い隙間内に発泡ウレタンの原液をスムーズに流入させることができる。この構成の場合、突条部50e、50fは、上から下へ向けて傾斜状に配置されていることが好ましい。
【0047】
また、外箱30の後板50の4隅部に4個のウレタン注入口50a~50dを設け、突条部50e、50fは、上から下へ向けて「く」の字状に形成された第1形状部50eと、上から下へ向けて逆「く」の字状に形成された第2形状部50fとを備え、第1形状部50eと第2形状部50fが対向するように配置されていると共に、第1形状部50eの中間部の凸部と、第2形状部50fの中間部の凸部とが離間するように配置されている構成とした。この構成によれば、後板50と真空断熱パネル18bとの間の狭い隙間内にウレタン19の原液をより一層スムーズに流入させることができる。
【0048】
また、内箱31の後板31eの左右の両側辺部の形状が面取り状角部31e1となるように構成したので、面取り状角部31e1に位置決め部材33~37を容易に取り付けることができる。
【0049】
また、後部の真空断熱パネル18bの左右の側辺部を位置決めする位置決め部材33、34、35に、冷媒管または配線を支持する支持部として溝36a1、36a2を形成したので、冷媒管または配線等の配設を容易に行なうことができる。
【0050】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態を示すものである。尚、第1実施形態と同一構成には同一符号を付している。この第2実施形態では、位置決め部材36に代わる位置決め部材45は、図8に示すように、基部45aと、基部45aの一端部に突設された当接部45bとを有する。基部45aのうちの真空断熱パネル18bが載置される載置面には、溝45a1、45a2が形成されており、溝45a1内には冷媒管例えばサクションパイプ40が収容され、溝45a2内には電気配線46が収容されている。そして、溝45a1、45a2の開口部は、真空断熱パネル18bで閉塞されるように構成されている。溝45a1、45a2は、支持部を構成している。
【0051】
上述した以外の第2実施形態の構成は、第1実施形態の構成と同じ構成となっている。従って、第2実施形態においても、第1実施形態とほぼ同じ作用効果を得ることができる。特に、第2実施形態によれば、溝45a1、45a2の開口部を真空断熱パネル18bで閉塞したので、パイプ40や電気配線46が溝45a1、45a2内から抜け出ることを防止できる。
【0052】
(第3実施形態)
図9は、第3実施形態を示すものである。尚、第1実施形態と同一構成には同一符号を付している。この第3実施形態では、図9に示すように、下部支持部材41に代わる下部支持部材51を、外箱30の後板50に例えばねじ止めするように構成した。
【0053】
上述した以外の第3実施形態の構成は、第1実施形態の構成と同じ構成となっている。従って、第3実施形態においても、第1実施形態とほぼ同じ作用効果を得ることができる。
【0054】
(その他の実施形態)
以上説明した複数の実施形態に加えて以下のような構成を加えても良い。
発泡ウレタンの収縮時に、外箱30の後板50に歪が発生するおそれがあるので、後板50の外面に補強用の突起を設けることが好ましい。突起の高さ寸法は、例えば0.5~2mm程度とすることが良い。尚、2mmの高さ寸法は、冷蔵庫の背面側の壁と外箱との間にスペースを設けるための凸部の高さ寸法である。
【0055】
また、外箱30の後板50に4個のウレタン注入口50a、50b、50c、50dを設けたが、これに限られるものではなく、2個または3個または5個以上のウレタン注入口を設けるように構成しても良い。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
図面中、1は冷蔵庫、2は断熱箱体、3は冷蔵室、4は野菜室、5は製氷室、7は下冷凍室、18a、18b、18cは真空断熱パネル、20は圧縮機、21は冷却器、23は冷却器、30は外箱、31は内箱、33、34、35、36、37は位置決め部材、40は冷媒管、41は下部支持部材、43は支え部、44は排水ホース、45は排水樋、46は水受け部、47は排水筒部、50は後板である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9