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特許7514982磁気記録層中へのチタンの拡散を低減するように構成された下地層を有する磁気記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】磁気記録層中へのチタンの拡散を低減するように構成された下地層を有する磁気記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G11B 5/738 20060101AFI20240704BHJP
   G11B 5/82 20060101ALI20240704BHJP
   G11B 5/70 20060101ALI20240704BHJP
   G11B 5/84 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
G11B5/738
G11B5/82
G11B5/70
G11B5/84 Z
【請求項の数】 24
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023113790
(22)【出願日】2023-07-11
(65)【公開番号】P2024025674
(43)【公開日】2024-02-26
【審査請求日】2023-07-28
(31)【優先権主張番号】17/886,244
(32)【優先日】2022-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504056130
【氏名又は名称】ウェスタン デジタル テクノロジーズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100207837
【弁理士】
【氏名又は名称】小松原 寿美
(72)【発明者】
【氏名】ホアン コン ホー
(72)【発明者】
【氏名】フア ユアン
(72)【発明者】
【氏名】関 智孔
(72)【発明者】
【氏名】ポール クリストファー ドーシー
【審査官】川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-522957(JP,A)
【文献】特開2011-165232(JP,A)
【文献】特開2013-149315(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0154093(US,A1)
【文献】特開2022-367153(JP,A)
【文献】米国特許第11437064(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2022/0139422(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 5/62 - 5/82
G11B 5/84 - 5/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気記録媒体であって、
基板と、
前記基板上のヒートシンク層と、
前記ヒートシンク層上の、MgOTiO(MTO)を含む下地層であって、前記下地層は、チタンと化学結合するように構成された添加材料を更に含前記添加材料が、FeO、Fe、C又はAl のうちの少なくとも1つを含む、下地層と、
前記下地層上の磁気記録層と、を備える、磁気記録媒体。
【請求項2】
前記下地層が、
(100-a)[(100-b)MgO-bTiO]-aXを含み、
式中、Xは、前記添加材料であり、
式中、aは、0.1~10モル%(両端値を含む)の範囲であり、
式中、bは、40~100モル%(両端値を含む)の範囲である、請求項1に記載の磁気記録媒体。
【請求項3】
前記下地層と前記磁気記録層との間にMgO-N層を更に備え、請求項1に記載の磁気記録媒体。
【請求項4】
前記MgO-N層が、FeO、Fe、C又はAlのうちの少なくとも1つを更に含む、請求項に記載の磁気記録媒体。
【請求項5】
前記基板と前記ヒートシンク層との間に接着層、軟下地層(SUL)及びシード層を、この順に更に備え、前記ヒートシンク層と前記下地層との間に、熱抵抗層を更に備え、請求項1に記載の磁気記録媒体。
【請求項6】
前記接着層がNiTaを含み、前記シード層がRuAlを含み、前記ヒートシンク層がCrを含み、前記熱抵抗層がRuAlTiOを含む、請求項に記載の磁気記録媒体。
【請求項7】
前記磁気記録層上のキャッピング層と、前記キャッピング層上のカーボンオーバーコート(COC)と、を更に備える、請求項1に記載の磁気記録媒体。
【請求項8】
前記磁気記録層がFePtを含む、請求項1に記載の磁気記録媒体。
【請求項9】
前記添加材料が、前記下地層のうちの5%(モル%)に相当するFeOを含む、請求項1に記載の磁気記録媒体。
【請求項10】
前記磁気記録媒体が、熱アシスト磁気記録(HAMR)用に構成されている、請求項1に記載の磁気記録媒体。
【請求項11】
データ記憶デバイスであって、
磁気ヘッドを含むスライダと、
請求項10に記載のHAMR媒体と、を備え、
前記スライダが、前記HAMR媒体の磁気記録層に情報を書き込むように構成されている、データ記憶デバイス。
【請求項12】
記録媒体を製造するための方法であって、前記方法は、
基板を設けることと、
前記基板上に、ヒートシンク層を設けることと、
前記ヒートシンク層上に、MgOTiO(MTO)を含む下地層であって、前記下地層は、チタンと化学結合するように構成された添加材料を更に含前記添加材料が、FeO、Fe、C又はAl のうちの少なくとも1つを含む、下地層を設けることと、
前記下地層上に、磁気記録層を設けることと、を含む、方法。
【請求項13】
前記下地層が、
(100-a)[(100-b)MgO-bTiO]-aXを含み、
式中、Xは、前記添加材料であり、
式中、aは、0.1~10モル%(両端値を含む)の範囲であり、
式中、bは、40~100モル%(両端値を含む)の範囲である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記下地層と前記磁気記録層との間にMgO-N層を設けることを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記MgO-N層が、FeO、Fe、C又はAlのうちの少なくとも1つを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記基板と前記ヒートシンク層との間に接着層、軟下地層(SUL)及びシード層を、この順に設けることと、前記ヒートシンク層と前記下地層との間に、熱抵抗層を設けることと、を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記磁気記録層が、熱アシスト磁気記録(HAMR)用に構成されている、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
気記録媒体であって
基板と、
前記基板上のヒートシンク層と、
前記ヒートシンク層上の、MgOTiO(MTO)を含む下地層であってチタンと化学結合するように構成された添加材料を更に含む、下地層と、
前記下地層上のMgO-N 層と、
前記MgO-N 層上の磁気記録層と、を含磁気記録媒体。
【請求項19】
記添加材料が、FeO、Fe、C又はAlのうちの少なくとも1つを含む、請求項18に記載の磁気記録媒体。
【請求項20】
前記下地層が、
(100-a)[(100-b)MgO-bTiO]-aXを含み、
式中、Xは、前記添加材料であり、
式中、aは、0.1~10モル%(両端値を含む)の範囲であり、
式中、bは、40~100モル%(両端値を含む)の範囲である、請求項18に記載の磁気記録媒体。
【請求項21】
前記MgO-N 層が、FeO、Fe、C又はAl のうちの少なくとも1つを更に含む、請求項18に記載の磁気記録媒体。
【請求項22】
前記基板と前記ヒートシンク層との間に接着層、軟下地層(SUL)及びシード層を、この順に更に備え、前記ヒートシンク層と前記下地層との間に、熱抵抗層を更に備える、請求項18に記載の磁気記録媒体。
【請求項23】
前記接着層がNiTaを含み、前記シード層がRuAlを含み、前記ヒートシンク層がCrを含み、前記熱抵抗層がRuAlTiO を含む、請求項22に記載の磁気記録媒体。
【請求項24】
前記磁気記録層がFePtを含む、請求項18に記載の磁気記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、いくつかの態様では、磁気記録媒体に関する。より具体的には、排他的ではないが、本開示は、熱アシスト磁気記録(heat-assisted magnetic recording、HAMR)とともに使用するために構成された、磁気記録媒体に関する。
【0002】
序論
ハードディスクドライブ(hard disk drive、HDD)などの磁気記憶システムは、静止及びモバイルコンピューティング環境における多種多様なデバイスにおいて利用される。磁気記憶システムを組み込んだデバイスの例としては、デスクトップコンピュータ、ポータブルノートブックコンピュータ、ポータブルハードディスクドライブ、高精細テレビ(high-definition television、HDTV)受信機、テレビセットトップボックス、家庭用ゲーム機及びポータブルメディアプレーヤが挙げられる。
【0003】
典型的なディスクドライブは、1つ以上のフラットディスクの形態の磁気記憶媒体を含む。ディスクは、一般に、いくつかの主要物質、すなわち、ディスクに構造及び剛性を与える基板材料と、デジタルデータを記憶する磁気インパルス又は磁気モーメントを保持する磁気記録層と、磁気記録層を保護する媒体オーバーコート及び潤滑剤層と、から形成される。典型的なディスクドライブはまた、一般に、ディスクの記録層に記憶された磁場を感知及び/又は変更することができる磁気変換器の形態の読み取りヘッド及び書き込みヘッドを含む。
【0004】
熱アシスト磁気記録(HAMR)システムは、様々な磁気媒体上に磁気的に記録される、情報の面密度を高めることができる。磁気記憶のためのより高い面密度を達成するために、より小さい磁性粒子サイズ(例えば、6ナノメートル(nm)未満)が必要とされ得る。HAMRでは、小さな粒子への記録を容易にするために、書き込み中に媒体に高温が加えられる。高温は、HAMRディスクドライブのスライダのレーザダイオードに結合された近接場トランスデューサを使用して、達成され得る。
【0005】
HAMRとともに使用するための少なくともいくつかの磁気記録媒体は、1つ以上の磁気記録層の下に、マグネシウムチタン酸化物(magnesium-titanium oxide、MTO)層を採用する。MTO層から磁気記録層中へのチタンの拡散に関与する問題が生じる可能性がある。本開示の態様は、HAMR又は他の磁気記録媒体とともに使用するための磁気記録媒体内の拡散問題に対処することを対象とする。
【発明の概要】
【0006】
以下で、本開示のいくつかの態様の基本的な理解を提供するために、そのような態様の簡略化された概要を提示する。この概要は、本開示の全ての企図される特徴の広範な概観ではなく、本開示の全ての態様の鍵となる要素又は重要な要素を識別することも、本開示のいずれか又は全ての態様の範囲を定めることも意図していない。その唯一の目的は、後に提示されるより詳細な説明の前置きとして、本開示のいくつかの態様の様々な概念を、簡略化された形態で提示することである。
【0007】
一実施形態では、磁気記録媒体であって、基板と、基板上のヒートシンク層と、ヒートシンク層上の、MgOTiO(MTO)を含む下地層であって、チタンと化学結合するように構成された添加材料を更に含む、下地層と、下地層上の磁気記録層と、を含む、磁気記録媒体が提供される。いくつかの態様では、記録媒体は、エネルギー/熱アシスト磁気記録(HAMR)とともに使用するように構成されている。いくつかの態様では、添加材料は、FeO、Fe、C又はAlのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの態様では、MTO下地層における添加材料は、磁気記録層中へのチタンの拡散量を、添加材料なしで生じる拡散量と比べて、低減させるように構成されている。いくつかの態様では、MTO下地層は、(100-a)[(100-b)MgO-bTiO]-aXを含み、式中、Xは、添加材料であり、式中、aは、0.1~10モル%(両端値を含む)の範囲であり、式中、bは、40~100モル%(両端値を含む)の範囲である。いくつかの態様では、記録媒体はまた、MTO下地層と磁気記録層との間にMgO-N層も含む。いくつかの態様では、MgO-N層は、FeO、Fe、C又はAlのうちの少なくとも1つを更に含む。いくつかの態様では、記録媒体はまた、基板とヒートシンク層との間に接着層、軟下地層(soft underlayer、SUL)及びシード層を、この順に更に含み、ヒートシンク層とMTO下地層との間に、熱抵抗層を更に含む。いくつかの態様では、磁気記録層上にキャッピング層が設けられ、キャッピング層上にカーボンオーバーコート(carbon overcoat、COC)が設けられる。
【0008】
別の実施形態では、記録媒体を製造するための方法が提供される。本方法は、基板を設けることと、基板上に、ヒートシンク層を設けることと、ヒートシンク層上に、MTOを含む下地層であって、下地層は、チタンと化学結合するように構成された添加材料を更に含む、下地層を設けることと、を含む。いくつかの態様では、添加材料は、FeO、Fe、C又はAlのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの態様では、MTO下地層における添加材料の量は、磁気記録層中へのチタンの拡散量を、添加材料なしで生じる拡散量と比べて、低減させるように選択される。いくつかの態様では、MTO下地層は、(100-a)[(100-b)MgO-bTiO]-aXを含み、式中、Xは添加材料であり、式中、aは、0.1~10モル%(両端値を含む)の範囲であり、式中、bは、40~100モル%(両端値を含む)の範囲である。いくつかの態様では、本方法はまた、MTO下地層と磁気記録層との間にMgO-N層を設けることも含む。いくつかの態様では、MgO-N層は、FeO、Fe、C又はAlのうちの少なくとも1つを更に含む。いくつかの態様では、本方法はまた、基板とヒートシンク層との間に接着層、SUL及びシード層を、この順に設けることと、ヒートシンク層とMTO下地層との間に熱抵抗層を設けることと、も含む。いくつかの態様では、本方法は、磁気記録層上にキャッピング層を設けることと、キャッピング層上にCOCを設けることと、を含む。
【0009】
更に別の実施形態では、HAMR用に構成された媒体であって、基板と、基板上のヒートシンク層と、ヒートシンク層上の、MgOTiO(MTO)を含む下地層と、下地層上の磁気記録層と、を含み、下地層は、下地層から磁気記録層中へのチタンの拡散量を2ナノメートル以下に低減させる添加材料を更に含む、媒体が提供される。例えば、いくつかの態様では、下地層のMTOは、(100-a)[(100-b)MgO-bTiO]-aXを含み、式中、aは、0.1~10モル%(両端値を含む)の範囲であり、式中、bは、40~100モル%(両端値を含む)の範囲である。いくつかの態様では、添加材料Xは、FeO、Fe、C又はAlのうちの少なくとも1つを含む。
【0010】
本開示のこれら及び他の態様は、以下の詳細な説明を検討することにより、より完全に理解されるであろう。本開示の他の態様、特徴及び実装形態は、添付の図面とともに、本開示の特定の実装形態の以下の説明を検討すると、当業者には明らかになるであろう。本開示の特徴は、以下の特定の実装形態及び図に関して論じられ得るが、本開示の全ての実装形態は、本明細書で論じられる有利な特徴のうちの1つ以上を含むことができる。言い換えれば、1つ以上の実装形態は、特定の有利な特徴を有するものとして論じられ得るが、そのような特徴のうちの1つ以上はまた、本明細書で論じられる本開示の様々な実装形態に従って使用され得る。同様に、特定の実装形態が、デバイス、システム又は方法の実装形態として以下で論じられ得るが、そのような実装形態は、様々なデバイス、システム、及び方法において実装され得ることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
添付図面に示される特定の態様を参照して、以下により詳しい説明を含める。これらの図面は本開示のある態様のみを示し、したがってその範囲を限定するものとして見なされるべきではないと理解した上で、以下の添付図面を使用して、付加的な特殊性及び詳細を伴って本開示を記述し説明する。
図1】本開示の一態様による、スライダと、酸化マグネシウム-酸化チタン(MTO)下地層を有するHAMR媒体と、を含む、熱アシスト磁気記録(HAMR)用に構成された、例示的なディスクドライブであって、MTO下地層は、MTO中のチタンと化学結合して、磁気記録層中へのチタンの拡散を低減する、FeOなどの添加材料を含む、ディスクドライブの上面概略図である。
図2】本開示の一態様による、図1の例示的なスライダ及びHAMR媒体の側面概略図である。
図3】本開示の一態様による、数ある層の中でもとりわけ、チタンと化学結合する添加材料を含むMTO下地層を含む、例示的なHAMR媒体の側面概略図である。
図4】本開示のいくつかの態様による、チタンと化学結合する添加材料を有するMTO下地層を含む、HAMR媒体を製造するための例示的なプロセスのフローチャートである。
図5】本開示の一態様による、数ある層の中でもとりわけ、チタンと化学結合する添加材料を両方とも含む、MTO下地層及び酸化マグネシウム(magnesium oxide、MgO)下地層を含む、例示的なHAMR媒体の側面概略図である。
図6】本開示のいくつかの態様による、チタンと化学結合する添加材料を両方とも有する、MTO下地層及びMgO下地層を含む、HAMR媒体を製造するための例示的なプロセスのフローチャートである。
図7】本開示の一態様による、数ある層の中でもとりわけ、MTO下地層及びMgO下地層を含む例示的なHAMR媒体であって、MTO層は、チタンと化学結合する添加材料を含むが、MGO層は、添加材料を含まない、HAMR媒体の側面概略図である。
図8】本開示の一態様による、MTO下地層及びMgO下地層を含む、HAMR媒体を製造するための例示的なプロセスであって、MTO層は、チタンと化学結合する添加材料を含むが、MGO層は、添加材料を含まない、プロセスのフローチャートである。
図9】本開示の一態様による、MTOと、チタンと化学結合する添加材料と、を含む、下地層を含む、例示的な磁気記録媒体の側面概略図である。
図10】本開示の一態様による、MTOと、チタンと化学結合する添加材料と、を有する、下地層を含む、磁気記録媒体を製造するための例示的なプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の詳細な説明では、その一部をなす添付図面を参照する。上述した例示的な態様、態様及び特徴に加えて、更なる態様、態様及び特徴を、図面及び以下の詳細な説明を参照することにより明らかにする。各図における要素の説明は、先の図の要素を参照し得る。同様の番号は、図において同様の要素を参照する場合があり、それは同様の要素の代替の態様を含む。
【0013】
本開示は、いくつかの態様では、数ある特徴の中でもとりわけ、マグネシウムチタン酸化物(MTO)層から磁気記録層中へのチタンの拡散を低減することができる、熱アシスト磁気記録(HAMR)媒体などの、磁気記録媒体を提供するための様々な装置、システム、方法及び媒体に関する。例えば、磁気記録層が鉄(Fe)-白金(Pt)から形成される場合、チタン(Ti)及びFeは、プロセス温度範囲(例えば、HAMR温度)内で金属間化合物を形成し得るので、拡散は重要な問題であり得る。HAMRは、エネルギーアシスト磁気記録(Energy-Assisted Magnetic Recording、EAMR)の一種であり、HAMRだけでなく、マイクロ波アシスト磁気記録(Microwave Assisted Magnetic Recording、MAMR)をカバーする、より広い用語である。本開示の少なくともいくつかの態様は、HAMRに限定されず、EAMRに適用可能である。また、MTO層は、本明細書では「下地層」と称されるが、MTO層は、「中間層」、「シード層」などの他の名称で称されることもあることに留意されたい。
【0014】
少なくともいくつかのHAMR媒体では、MTO層は、酸化マグネシウム(MgO)及び酸化チタン(titanium oxide、TiO)を含む。MTO層のTiOからのチタンの少なくとも一部は、隣接する磁気記録層(例えば、Fe-Pt記録層)中に拡散する可能性があり、これは記録層を劣化させ、例えば、達成可能な全体的な面密度を低下させる可能性がある。この問題に対処するために、少なくともいくつかのHAMR媒体は、MTO-Nを含み、NはTiと結合される。しかしながら、NガスをスパッタリングしたMTO層は、著しく高いレベル又は量の欠陥を引き起こす可能性がある。他の場合には、いくつかのHAMR媒体は、MTO層と記録層との間にMgO-N層を含む。MgO-N層は、MTO層からFePt磁気記録層中へのTiOの拡散を防止する(又は低減する)ためのバリアとして働く。(MTO層及びMgO-N層は、まとめて「二層」又は「二重層」下地層と称されることがあることに留意されたい。)追加のMgO層を用いることで、MTO層から磁気記録層中へのチタンの拡散を軽減することができるが、MgOは、低い無線周波数(radio-frequency、RF)スパッタ率を有し、(媒体ディスク上に形成される、より多くの量の欠陥をもたらす)粒子スピッティング、及び腐食の影響を受けやすく、したがって、理想的ではない。
【0015】
本明細書では、これら及び他の問題に対処するために、磁気記録媒体であって、基板と、基板上のヒートシンク層と、ヒートシンク層上の下地層であって、MTOと、チタンと化学結合する添加材料と、を含む下地層と、下地層上の磁気記録層と、を含む、磁気記録媒体が提供される。いくつかの実施例では、添加材料は、FeO、Fe、C及び/又はAlを含む。いくつかの態様では、MTO層は、(100-a)[(100-b)MgO-bTiO]-aXであり、式中、Xは、添加材料であり、式中、aは、0.1~10モル%(両端値を含む)の範囲であり、式中、bは、40~100モル%(両端値を含む)の範囲である。(本明細書では、モル百分率(モル%)は、化合物中に存在する総モルに対する、特定の成分のモルの百分率として定義される。)特定の一実施例では、aは5%であり、添加材料(X)はFeOであり、したがって、この例では、MTO層は、5%のFeOを含む(例えば、95MTO-5FeO)。MTO下地層中のチタンと化学結合又は接合する、添加材料を提供することによって、MTO下地層から磁気記録層中へのチタンの拡散が軽減され、面密度が向上し得る、改善された記録層(例えば、FePt層)が提供される。いくつかの実施形態では、追加のMgO層(上述)は使用されない。しかしながら、他の実施形態では、いくらかの量の添加材料も含む、追加のMgO層がそれでも提供される。すなわち、いくつかの実施例では、添加材料は、FePt磁気記録層中へのチタンの拡散を更に低減するように、MTO下地層及び追加のMgO層の両方の中に提供される。更に他の実施例では、追加のMgO層が設けられるが、添加材料は提供されない。
【0016】
例示的な実施例及び実施形態
図1は、磁気記録のために構成され、スライダ108と、磁気記録層の下にMTO層を含む磁気記録媒体102と、を備える、データ記憶デバイス100(例えば、ディスクドライブ又は磁気記録デバイス)の上面概略図であり、MTO層は、FeO、Fe、C及び/又はAlなどの、チタンと化学結合する添加材料を含む。例示的な実施例では、磁気記録媒体102は、HAMR媒体を含む。レーザ(図1では見えていないが、図2の114を参照)は、磁気ヘッド/スライダ108によって位置決めされる。ディスクドライブ100は、データを記憶するための1つ以上のディスク/媒体102を含み得る。ディスク/媒体102は、ドライブハウジング106に取り付けられているスピンドルアセンブリ104上に存在する。データは、ディスク102の磁気記録層内のトラックに沿って記憶され得る。データの読み取り及び書き込みは、読み取り及び書き込み要素(108a及び108b)の両方を有し得るヘッド108(スライダ)によって達成される。書き込み要素108aは、ディスク102の磁気記録層の特性を変更し、それによって、そこに情報を書き込むために使用される。一態様では、ヘッド108は、読み取り用のトンネル磁気抵抗(tunnel magneto-resistive、TMR)要素などの磁気抵抗(magneto-resistive、MR)ベースの要素と、書き込み用に通電され得るコイルを有する書き込み極と、を有し得る。動作中、スピンドルモータ(図示せず)は、スピンドルアセンブリ104を回転させ、それによってディスク102を回転させて、所望のディスクトラック107に沿った特定の場所にヘッド108を位置決めする。ディスク102に対するヘッド108の位置は、制御回路110(例えば、マイクロコントローラ)によって制御され得る。例示的なHAMRシステムが示されているが、本開示の少なくともいくつかの態様は、シングル書き込み磁気記録(shingle-written magnetic recording、SMR)媒体、垂直磁気記録(perpendicular magnetic recording、PMR)媒体又はマイクロ波アシスト磁気記録(MAMR)媒体を含む、他のHAMR若しくはEAMR磁気データ記録システム、又は非HAMR若しくは非EAMR磁気データ記録システムにおいて使用され得ることに留意されたい。
【0017】
図2は、図1のスライダ108及び磁気記録媒体102の側面概略図である。磁気記録媒体102は、磁気記録層の下にMTO層を含み、MTO層は、FeO、Fe、C及び/又はAlなどの、チタンと化学結合する添加材料を含む。スライダ108は、スライダ108の上面に取り付けられたサブマウント112を含み得る。レーザ114は、サブマウント112に、及び場合によってはスライダ108に取り付けられ得る。スライダ108は、それぞれ媒体102に情報を書き込み、かつ媒体102から情報を読み取るために、スライダの空気ベアリング表面(air bearing surface、ABS)108cに沿って位置決めされた書き込み要素(例えば、ライタ)108a及び読み取り要素(例えば、リーダ)108bを含む。他の態様では、スライダはまた、Si又はSiクラッド120の層も含み得る。この層は任意選択である。
【0018】
動作中、レーザ114は、スライダ108の空気軸受面(例えば、底面)108cの近くの近接場トランスデューサ(near field transducer、NFT)122に光を方向付けるスライダ内の導波管に(例えば、破線に沿って)光エネルギーを発生させかつ方向付けるように構成されている。導波管を介してレーザ114から光を受信すると、NFT122は、書き込み要素108a内又は近くの、及び読み取り要素108bの近くの媒体102の一部分を加熱する局所的な熱エネルギーを生成する。予想される記録温度は、約350℃~400℃の範囲内である。図2に示す態様では、レーザ指向光は、ライタ108a内に、かつスライダの後縁の近くに配置されている。他の態様では、レーザ指向光は、代わりに、ライタ108aとリーダ108bとの間に位置決めされ得る。図1及び図2は、HAMRシステムの特定の実施例を示す。他の実施例では、磁気記録媒体102は、他の好適なHAMRシステム(例えば、HAMR用に構成された他のスライダを有する)において使用することができる。
【0019】
図3は、本開示の一態様による、例示的なHAMR媒体300の側面概略図である。図3の実施例では、添加材料を含むMTO層は、MgO-TiO-X(MTO-X)下地層と称され、式中、Xは、チタンと化学結合する添加材料を示す。
【0020】
図3のHAMR媒体300は、底層/基層における基板302、基板302上の(例えば、NiTaから形成され得る)接着層304、接着層304上の軟下地層(SUL)306、SUL306上の(例えば、RuAlから形成され得る)シード層308、シード層308上の(例えば、Crから形成され得る)ヒートシンク層310、(例えば、RuAlTiOから形成され得、粗さを低減するためにIntevac(商標)のNew Carbon Technology systemを用いてエッチングされ得る)エッチングされた熱抵抗層312、熱抵抗層312上のMgO-TiO-X(MTO-X)下地層314(式中、Xは、FeO、Fe、C及び/又はAlなどの、チタンと化学結合する添加材料である)を有する、積層構造を有する。いくつかの実施例では、MTO下地層314は、(100-a)[(100-b)MgO-bTiO]-aXであり、式中、aは、0.1~10モル%(両端値を含む)の範囲であり、式中、bは、40~100モル%(両端値を含む)の範囲である。いくつかの態様では、XがFeOである場合、「a」値は(FeOの濃度5%に対応する)5が好ましく、「b」値は(MTO中のMgO及びTiOのほぼ等しい濃度に対応する)50が好ましい。いくつかの態様では、添加剤は、下地層から磁気記録層中へのチタンの拡散量を、磁気記録層中への2ナノメートル(nm)以下に、又は、1.5nm~2.5nmの範囲若しくはより狭い1.75nm~2.25nmの範囲内の他の所定の距離値に低減するように選択された材料である。この点では、いくつかの分析は、Tiが、下地層がMTOのみである媒体中の磁性層中に3nmまで拡散するのに対して、Tiは、下地層がMTO-5%FeOである媒体中の磁性層中に2nmまでしか拡散しないことを示している。いくつかの態様では、添加材料は、下地層から磁気記録層中へのTiの拡散への抑制効果を有する材料である。いくつかの態様では、添加材料は、磁気記録層中のTiの量を所定の閾値濃度未満に低減する材料である。
【0021】
(例えば、FePtから形成され得る)磁気記録層(magnetic recording layer、MRL)316は、MTO下地層314上にある。(例えば、CoFeから形成され得る)キャッピング層318は、MRL316上にある。優先的にエッチングされたカーボンオーバーコート層(COC)320は、キャッピング層318上にある。優先的にエッチングされたCOCは、媒体の表面粗さを低減するために、炭素堆積の前にエッチング工程を含む。図示されていないが、追加の潤滑剤層がCOC層320上にあってもよい。本図(又は、本明細書の他の図)の層は、縮尺通りには示されていないことに留意されたい。
【0022】
本明細書で使用されるとき、「上方」、「下方」、「上」及び「間」という用語は、他の層に対する1つの層の相対位置を指す。したがって、別の層の上、上方又は下方に堆積又は配置された1つの層は、他の層と直接接触し得、又は1つ以上の介在層を有し得る。更に、層の間に堆積又は配置された1つの層は、それらの層と直接接触し得、又は1つ以上の介在層を有し得る。
【0023】
いくつかの態様では、層は以下の厚さを有する。基板302の厚さは0.5mm~0.635mmの範囲である。接着層304の厚さは、45nm~180nmの範囲である。SUL306の厚さは85nm~130nmの範囲である。シード層308の厚さは、2nm~34nmの範囲である。ヒートシンク層310の厚さは、55nm~100nmの範囲である。エッチングされた熱抵抗層312の厚さは、0.5nm~2.0nmの範囲である。MTO-X下地層314の厚さは、1~4nmの範囲である(いくつかの実施例では、厚さは2.5nmが好ましい)。MRL316の厚さは、8nm~11nmの範囲である。キャッピング層318の厚さは1nm~3nmの範囲であり、優先的にエッチングされるCOC320の厚さは32Å~40Åの範囲である。潤滑剤層の厚さ(設けられている場合)は、7Å~9.5Åの範囲である。そうでなければ、日常的な実験を使用して、動作温度、データの所望の面密度などのシステムの特定の特性に基づいて、実用的なHAMRシステム内で使用するための、好適な若しくは好ましい層厚及び/又は好適な若しくは好ましい化合物の百分率濃度を決定することができる。
【0024】
いくつかの実施例では、基板302は、約97mmの外径(すなわち、outer diameter、OD)及び約0.5mmの厚さを有する。他の実施例では、ODは95mm又は95.1mmであってもよい。(一般的に言えば、そのようなディスクは全て「3.5インチ」ディスクと称される。)いくつかの態様では、基板302は、Al合金、NiPめっきAl、ガラス、ガラスセラミック、及び/又はそれらの組み合わせなどの、1つ以上の材料で作製され得る。
【0025】
いくつかの態様では、(代替的に、プレシード層と称される場合がある)接着層304は、接着層の上方に堆積された層又は膜の剥離を低減するために使用される。接着層304は、NiTa(図示されるように、又はCrTi)などの金属合金であってもよい。
【0026】
いくつかの態様では、SUL306は、Co、Fe、Mo、Ta、Nb、B、Cr若しくは他の軟磁性材料、又はそれらの組み合わせなどの、1つ以上の材料から作製することができる。SUL306は、非晶質化合物、又は、Mo、Nb、Ta、W及びBからの1つ以上の元素を添加したCo及びFeの組み合わせ(例えば、CoFe合金)を含み得る。SUL306は、データ記憶動作中に、磁気記録層構造316の磁化を支援するように構成され得る。より具体的には、SUL306は、書き込み動作中に印加される磁場用の帰還路を提供するように構成されてもよい。
【0027】
いくつかの態様では、シード層308は、ヒートシンク層310及びMRL316を含む、続いて堆積される膜用の成長テンプレートを作成するために使用される。シード層308の機能的ゴールには、小さい粒子サイズ及び良好な結晶学的組織が含まれ、両方とも、良好な媒体記録性能にとって望ましい場合がある。
【0028】
いくつかの態様では、ヒートシンク層310は、図示されるようなCr、又はAg、Al、Au、Cu、Mo、Ru、W、CuZr、MoCu、AgPd、CrRu、CrV、CrW、CrMo、CrNd、NiAl、NiTa、それらの組み合わせ、及び/若しくは、当該技術分野で公知の他の好適な材料などの、1つ以上の材料から作製することができる。
【0029】
いくつかの態様では、熱抵抗層312は、ヒートシンク層310に熱抵抗を提供するために堆積される。上述のように、熱抵抗層312は、粗さを低減するためにエッチングされてもよい。
【0030】
いくつかの態様では、上記のMTO-X下地層314は、例えば、MRL316が、小さな粒子を有する良好な結晶学的組織を有するように、MRL316内での正常な結晶成長を可能にするように、核形成を支援するために提供される。
【0031】
いくつかの態様では、MRL316は、データを磁気的に記憶するための1つ以上の磁気記録層を含む(図3には明示せず)。例えば、MRL316は、磁気記録副層及び交換制御副層(exchange control sub-layer、ECL)を含み得る。まとめて、副層は、例えば、厚さ100~200オングストローム(Å)であり得る、MRL構造316を形成する。いくつかの態様では、MRL316は、FePtで作製され得る。いくつかの態様では、MRL316は、FePtYから選択される合金の代わりに作製されてもよく、ここで、Yは、Cu、Ni、及びそれらの組み合わせから選択される材料である。他の態様では、MRL316は、CoPt合金の代わりに作製されてもよい。いくつかの態様では、MRL316は、C、BN、SiO、Ag、及びそれらの組み合わせなどの、分離体を有する高異方性L1FePtから形成され得る。いくつかの態様では、MRLは4層MRLである。MRLの各層は、分離体を有してもよく、分離体の量はMRL内の層ごとに異なる。
【0032】
いくつかの態様では、CoFeキャッピング層318は、Co、Pt、又はPdだけの代わりに作製されてもよい。一実施例では、キャッピング層318は、Coを含む上層と、Pt又はPdを含む底層と、を有する、二層構造とすることができる。上層及び底層のCo/Pt及びCo/Pdの組み合わせに加えて、上層材料及び底層材料の特定の組み合わせは、例えば、Co/Au、Co/Ag、Co/Al、Co/Cu、Co/Ir、Co/Mo、Co/Ni、Co/Os、Co/Ru、Co/Ti、Co/V、Fe/Ag、Fe/Au、Fe/Cu、Fe/Mo、Fe/Pd、Ni/Au、Ni/Cu、Ni/Mo、Ni/Pd、Ni/Reなどを含み得る。追加の実施例では、上層材料及び底層材料は、Pt及びPdの任意の組み合わせ(例えば、合金)、又は、以下の元素:Au、Ag、Al、Cu、Ir、Mo、Ni、Os、Ru、Ti、V、Fe、Reなどの単独若しくは組み合わせのいずれかを含む。
【0033】
いくつかの態様では、潤滑剤層もまた、COC320上に設けられる場合、潤滑剤層(図示せず)は、ポリマーベースの潤滑材料で作製され得る。
【0034】
図4は、本開示のいくつかの態様による、MTO-X層を有するHAMR媒体を製造するためのプロセス400のフローチャートである。一態様では、プロセス400を使用して、図3との関連で上述したHAMR媒体を製造することができる。ブロック402では、プロセスは基板を設ける。ブロック404では、プロセスは、基板上に、(例えば、NiTaから形成され得る)接着層を設ける。ブロック406では、プロセスは、接着層上にSULを設ける。ブロック408では、プロセスは、SUL上に、(例えば、RuAlから形成され得る)シード層を設ける。ブロック410では、プロセスは、シード層上に、(例えば、Crから形成され得る)ヒートシンク層を設ける。ブロック412では、プロセスは、(例えば、RuAlTiOから形成され得る)熱抵抗層を設け、次いで、熱抵抗層をエッチングする。ブロック414では、プロセスは、熱抵抗層上に、MgO-TiO-X(MTO-X)下地層(式中、Xは、FeO、Fe、C及び/又はAlなどの、チタンと化学結合する添加材料である)を設ける。ブロック416では、プロセスは、MTO-X下地層上に、(例えば、FePtから形成され得る)MRLを設ける。ブロック418では、プロセスは、MRL上に、(例えば、CoFeから形成され得る)キャッピング層318を設ける。ブロック420では、プロセスは、キャッピング層上にCOCを設け、次いで、COCを優先的にエッチングする。図示されていないが、プロセスはまた、COC上に潤滑剤層を設けることもできる。追加又は代替の例示的な材料は、上記に列挙されている。
【0035】
したがって、図3及び図4は、(MTO層から磁気記録層中へのチタンの拡散を軽減するために設けられた)上述の追加のMgO-N層が省略されている、HAMR媒体及び方法を示す。追加のMgO-N層を設けるのではなく、MTO-X層には、磁気記録層中へのチタンの拡散を軽減するために、チタンと化学結合する添加材料(X)が設けられる。MTO-X層が5%のFeOを含む実施例では、MTO-FeO層を有する(かつ、追加のMgO-N層を有さない)HAMR媒体は、(FeOを有さない)MTO層及びMgO-N層を有するHAMR媒体と比較して、同様の性能を提供することが分かった。すなわち、追加のMgO-N層の省略にも関わらず、HAMR媒体はほぼ同様に機能し、したがって、FeO添加材料の添加が、磁気記録層中へのチタン拡散を軽減することを実証する。
【0036】
次の実施例(図5及び図6)では、追加のMgO-N層を省略するのではなく、添加材料も含むMgO-N層が設けられる。MTO-X層に加えてMgO-N-X層を設けることによって、チタン拡散を更に軽減することができる。
【0037】
図5は、MTO層とMRLとの間に追加の下地層を含む、本開示の一態様による、例示的なHAMR媒体500の側面概略図である。本実施例では、追加の下地層はMgO-N層である。図5の実施例では、MTO層及び追加のMgO-N層は両方とも添加材料Xを含み、ここで、Xは、チタンと化学結合する添加材料を示す。MTO層内の特定の添加材料は、MgO-N層内の特定の添加材料によって異なっていてもよく、又は、添加材料は同じであるが、異なる濃度で提供されてもよいことに留意されたい。図3のHAMR媒体と同様に、図5のHAMR媒体500は、底層/基層における基板502と、基板502上の接着層504と、接着層504上のSUL506と、SUL506上のシード層508と、シード層508上のヒートシンク層510と、エッチングされた熱抵抗層512と、熱抵抗層512上のMgO-TiO-X(MTO-X)下地層514(式中、Xは、FeO、Fe、C及び/又はAlなどの、チタンと化学結合する添加材料である)と、を有する、積層構造を有する。いくつかの実施例では、MTO514下地層は、(100-a)[(100-b)MgO-bTiO]-aXであり、式中、aは、0.1~10モル%(両端値を含む)の範囲であり、式中、bは、40~100モル%(両端値を含む)の範囲である。加えて、MgO-N-X下地層515(式中、Xは、FeO、Fe、C及び/又はAlなどの、チタンと化学結合する添加材料である)が、MGO-X層515上に設けられる。MRL516はMTO下地層514上にあり、キャッピング層518はMRL516上にあり、優先的にエッチングされたCOC520は、キャッピング層518上にある。図示されていないが、追加の潤滑剤層がCOC層520上にあってもよい。これらの層も、縮尺通りには示されていない。様々な層で使用され得る、例示的な化合物に関する更なる情報については、上記を参照されたい。
【0038】
図6は、本開示のいくつかの態様による、MTO-X層及びMGO-N-X層を有する、HAMR媒体を製造するためのプロセス600のフローチャートである。一態様では、プロセス600を使用して、図5との関連で上述したHAMR媒体を製造することができる。ブロック602では、プロセスは基板を設ける。ブロック604では、プロセスは、基板上に、(例えば、NiTaから形成され得る)接着層を設ける。ブロック606では、プロセスは、接着層上にSULを設ける。ブロック608では、プロセスは、SUL上に、(例えば、RuAlから形成され得る)シード層を設ける。ブロック610では、プロセスは、シード層上に、(例えば、Crから形成され得る)ヒートシンク層を設ける。ブロック612では、プロセスは、(例えば、RuAlTiOから形成され得る)熱抵抗層を設け、次いで、熱抵抗層をエッチングする。ブロック614では、プロセスは、熱抵抗層上に、MgO-TiO-X(MTO-X)下地層(式中、Xは、FeO、Fe、C及び/又はAlなどの、チタンと化学結合する添加材料である)を設ける。ブロック615では、プロセスは、MTO-X層上に、MgO-N-X下地層(式中、Xは、FeO、Fe、C及び/又はAlなどの、チタンと化学結合する添加材料である)を設ける。ブロック616では、プロセスは、MTO-X下地層上に、(例えば、FePtから形成され得る)MRLを設ける。ブロック618では、プロセスは、MRL上に、(例えば、CoFeから形成され得る)キャッピング層318を設ける。ブロック620では、プロセスは、キャッピング層上にCOCを設け、次いで、COCを優先的にエッチングする。図示されていないが、プロセスはまた、COC上に潤滑剤層を設けることもできる。追加又は代替の例示的な材料は、上記に列挙されている。
【0039】
次の実施例(図7及び図8)では、追加のMgO-N層が設けられるが、追加のMgO-N層は添加材料を含まない。それにも関わらず、追加のMgO-N層は、依然としてチタン拡散を妨げるバリアを提供するのに役立ち、したがって、少なくとも図3及び図4の実施形態と比較して、その拡散を更に軽減することができる。
【0040】
図7は、MTO層とMRLとの間に追加の下地層を含む、本開示の一態様による、例示的なHAMR媒体700の側面概略図である。本実施例では、追加の下地層は、添加材料を含まないMgO-N層である。図3及び図4のHAMR媒体と同様に、図7のHAMR媒体700は、底層/基層における基板702と、基板702上の接着層704と、接着層704上のSUL706と、SUL706上のシード層708と、シード層708上のヒートシンク層710と、エッチングされた熱抵抗層712と、熱抵抗層712上のMgO-TiO-X(MTO-X)下地層714(式中、Xは、FeO、Fe、C及び/又はAlなどの、チタンと化学結合する添加材料である)と、を有する、積層構造を有する。いくつかの実施例では、MTO下地層714は、(100-a)[(100-b)MgO-bTiO]-aXであり、式中、aは、0.1~10モル%(両端値を含む)の範囲であり、式中、bは、40~100モル%(両端値を含む)の範囲である。加えて、MgO-N下地層715が、MGO-X層715上に設けられている。MRL716はMTO下地層714上にあり、キャッピング層718はMRL716上にあり、優先的にエッチングされたCOC720は、キャッピング層718上にある。図示されていないが、追加の潤滑剤層がCOC層720上にあってもよい。層は、縮尺通りには示されていない。様々な層で使用され得る、例示的な化合物に関する更なる情報については、上記を参照されたい。
【0041】
図8は、本開示のいくつかの態様による、MTO-X層及びMGO-N層を有する、HAMR媒体を製造するためのプロセス800のフローチャートである。一態様では、プロセス800を使用して、図5との関連で上述したHAMR媒体を製造することができる。ブロック802では、プロセスは基板を設ける。ブロック804では、プロセスは、基板上に、(例えば、NiTaから形成され得る)接着層を設ける。ブロック806では、プロセスは、接着層上にSULを設ける。ブロック808では、プロセスは、SUL上に、(例えば、RuAlから形成され得る)シード層を設ける。ブロック810では、プロセスは、シード層上に、(例えば、Crから形成され得る)ヒートシンク層を設ける。ブロック812では、プロセスは、(例えば、RuAlTiOから形成され得る)熱抵抗層を設け、次いで、熱抵抗層をエッチングする。ブロック814では、プロセスは、熱抵抗層上に、MgO-TiO-X(MTO-X)下地層(式中、Xは、FeO、Fe、C及び/又はAlなどの、チタンと化学結合する添加材料である)を設ける。ブロック815では、プロセスは、MTO-X層上にMgO-N層を設ける。ブロック816では、プロセスは、MgO-N層上に、(例えば、FePtから形成され得る)MRLを設ける。ブロック818では、プロセスは、MRL上に、(例えば、CoFeから形成され得る)キャッピング層318を設ける。ブロック820では、プロセスは、キャッピング層上にCOCを設け、次いで、COCを優先的にエッチングする。図示されていないが、プロセスはまた、COC上に潤滑剤層を設けることもできる。追加又は代替の例示的な材料は、上記に列挙されている。
【0042】
本明細書に記載のプロセスに関する限り、プロセスは、場合によっては、異なる順序で一連のアクションを実行することができる。別の態様では、プロセスは、アクションのうちの1つ以上をスキップすることができる。更に他の態様では、アクションのうちの1つ以上が同時に実行される。いくつかの態様では、追加のアクションを実行することができる。層の少なくとも一部の堆積は、物理蒸着(physical vapor deposition、PVD)、スパッタ堆積及びイオンビーム堆積、プラズマ強化化学蒸着(plasma enhanced chemical vapor deposition、PECVD)、並びに、PECVD、低圧化学蒸着(low pressure chemical vapor deposition、LPCVD)及び原子層化学蒸着(atomic layer chemical vapor deposition、ALCVD)以外の他の形態の化学蒸着(chemical vapor deposition、CVD)を含むが、それらに限定されない、様々な堆積プロセス又はサブプロセスのいずれかを使用して行うことができる。他の態様では、当該技術分野で公知の他の好適な堆積技術も使用され得る。
【0043】
追加の実施例及び実施形態
図9は、本開示の別の態様による、例示的なHAMR媒体900の側面概略図である。HAMR媒体900は、基板902と、基板上のヒートシンク層903と、ヒートシンク層903上のMTOを含む下地層904であって、チタンと化学結合するように構成された添加材料を更に含む、下地層と、下地層904上のMRL906と、を有する、積層構造を有する。いくつかの態様では、添加材料は、下地層から磁気記録層中へのチタンの拡散量を2nm以下に低減する材料である。いくつかの態様では、基板902は、Al合金、NiPめっきAl、ガラス、ガラスセラミック、及び/又はそれらの組み合わせなどの、1つ以上の材料で作製され得る。いくつかの態様では、下地層904は、MgO-TiO-X(MTO-X)下地層であってもよい(式中、Xは、FeO、Fe、C及び/又はAlなどの、チタンと化学結合する添加材料である)。いくつかの態様では、下地層904は、(100-a)[(100-b)MgO-bTiO]-aXであり、式中、Xは、添加材料であり、aは、0.1~10モル%(両端値を含む)の範囲であり、bは、40~100モル%(両端値を含む)の範囲である。いくつかの態様では、ヒートシンク層903は、Crを含み得る。いくつかの態様では、MRL906は、FePtで作製され得る。いくつかの態様では、MRL906は、FePtYから選択される合金の代わりに作製されてもよく、ここで、Yは、Cu、Ni、及びそれらの組み合わせから選択される材料である。他の態様では、MRL906は、CoPt合金の代わりに作製されてもよい。いくつかの態様では、MRL906は、分離体を有する高異方性L1FePtから形成され得る。いくつかの実施例では、MRL906は、図9には明示されていない、1つ以上の磁気記録層を含み得る。上記で議論されているように、SUL、キャッピング層及び接着層などの、HAMR媒体の追加の層が設けられてもよい。
【0044】
図10は、本開示のいくつかの態様による、HAMR媒体を製造するためのプロセス1000のフローチャートである。一態様では、プロセス1000を使用して、図9との関連で上述したHAMR媒体を製造することができる。ブロック1002では、プロセスは基板を設ける。ブロック1003では、プロセスは、基板上に、ヒートシンク層を設ける。ブロック1004では、プロセスは、ヒートシンク層上に下地層を設け、下地層は、チタンと化学結合するように構成された添加材料を更に含む。ブロック1006では、プロセスは、例えば、下地層上にMRLを堆積させることによって、下地層上にMRLを設ける。いくつかの態様では、基板は、Al合金、NiPめっきAl、ガラス、ガラスセラミック、及び/又はそれらの組み合わせなどの、1つ以上の材料で作製され得る。いくつかの態様では、ヒートシンク層は、Crで作製され得る。いくつかの態様では、下地層は、MgO-TiO-X(MTO-X)下地層であってもよい(式中、Xは、FeO、Fe、C及び/又はAlなどの、チタンと化学結合する添加材料である)。いくつかの態様では、下地層は、(100-a)[(100-b)MgO-bTiO]-aXであり、式中、Xは、添加材料であり、aは、0.1~10モル%(両端値を含む)の範囲であり、bは、40~100モル%(両端値を含む)の範囲である。いくつかの態様では、MRLは、FePtで作製され得る。いくつかの態様では、MRLは、FePtYから選択される合金の代わりに作製されてもよく、ここで、Yは、Cu、Ni、及びそれらの組み合わせから選択される材料である。他の態様では、MRLは、CoPt合金の代わりに作製されてもよい。いくつかの態様では、MRLは、分離体を有する高異方性L1FePtから形成され得る。いくつかの実施例では、MRLは、図10には明示されていない、1つ以上の磁気記録層を含み得る。上記で議論されているように、SUL、キャッピング層及び接着層などの、HAMR媒体の追加の層が設けられてもよい。
【0045】
追加の態様
本明細書に記載される実施例は、本開示の特定の概念を例示するために提供される。上記で示された装置、デバイス又は構成要素は、本明細書に記載の方法、特徴又は工程のうちの1つ以上を実行するように構成され得る。当業者は、これらが本質的に単なる例示であり、他の実施例が、本開示及び添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれ得ることを理解するであろう。本明細書の教示に基づいて、当業者には、本明細書で開示される態様が、任意の他の態様から独立して実装され得ること、及び、これらの態様のうちの2つ以上が、様々な方法で組み合わせられ得ることを理解されたい。例えば、本明細書に記載される任意の数の態様を使用して、装置が実装され得るか、又は方法が実施され得る。加えて、本明細書に記載される態様のうちの1つ以上に加えて、又はそれら以外に、他の構造、機能、又は構造及び機能を使用して、そのような装置が実装され得るか、又はそのような方法が実施され得る。
【0046】
本開示の態様は、本開示の態様に従って、方法、装置、システム、及びコンピュータプログラムプロダクトの概略的なフローチャート図及び/又は概略的なブロック図を参照して上述されている。概略的なフローチャート図及び/又は概略的なブロック図の各ブロック、並びに概略的なフローチャート図及び/又は概略的なブロック図におけるブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令によって実装することができると理解される。これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供されて、プロセッサ又は他のプログラマブルデータ処理装置を介して実行する命令が、概略的なフローチャート図及び/又は概略的なブロック図のブロックで指定された機能及び/又は作用を実装するための手段を作成するように、マシンを生成してもよい。
【0047】
本明細書に記載の主題は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせで実装され得る。したがって、本明細書で使用されるとき、「機能」、「モジュール」などの用語は、説明されている特徴を実装するための、ソフトウェア構成要素及び/又はファームウェア構成要素も含み得る、ハードウェアを指すことがある。例示的な一実装形態では、本明細書に記載の主題は、コンピュータ(例えば、プロセッサ)によって実行されたときに、本明細書に記載の機能を実行するようにコンピュータを制御する、コンピュータ実行可能命令を記憶したコンピュータ可読媒体を使用して、実装され得る。本明細書に記載の主題を実装するのに適したコンピュータ可読媒体の例としては、ディスクメモリデバイス、チップメモリデバイス、プログラマブル論理デバイス及び特定用途向け集積回路などの、非一時的コンピュータ可読媒体が挙げられる。加えて、明細書に記載の主題を実装するコンピュータ可読媒体は、単一のデバイス若しくはコンピューティングプラットフォーム上に位置してもよく、又は、複数のデバイス若しくはコンピューティングプラットフォームにわたって分散されてもよい。
【0048】
また、いくつかの代替の実装形態では、ブロック内で示された機能は、図において示された順序とは異なって生じてもよいことに留意されたい。例えば、連続して示す2つのブロックが実質的に並行して実行されてもよいか、又はそれらのブロックが、関連する機能に応じて逆の順序で実行される場合があってもよい。他の工程及び方法として、機能、論理、又は効果の点で、示された図の1つ以上のブロック、又はその部分と同等なものを着想してもよい。様々な矢印の種類及び線の種類がフローチャート及び/又はブロック図で採用され得るが、それらは対応する態様の範囲を限定しないものとして理解される。例えば、矢印は、図示された態様の列挙された工程間の不特定の継続時間の待ち又は監視期間を示してもよい。
【0049】
上述した様々な特徴及びプロセスは、互いに独立して使用されてもよく、又は様々な方法で組み合わされてもよい。全ての可能な組み合わせ及び副次的組み合わせは、本開示の範囲内に含むことを意図している。加えて、いくつかの実装形態では、特定の方法、イベント、状態、又はプロセスブロックが省略され得る。本明細書に記載の方法及びプロセスはまた、任意の特定の順序に限定されず、それに関連するブロック又は状態は、適切な他の順序で行うことができる。例えば、記載されるタスク又はイベントは、具体的に開示されたもの以外の順序で実行されてもよく、又は、複数のものが単一のブロック又は状態に組み合わされてもよい。例示的なタスク又はイベントは、直列に、並列に、又は何らかの他の好適な方式で実行され得る。タスク又はイベントは、開示された例示的な態様に追加されてもよく、又は、開示された例示的な態様から除去されてもよい。本明細書に記載の例示的なシステム及び構成要素は、記載されるものとは異なるように構成されてもよい。例えば、開示された例示的な態様と比較して、要素が追加され、除去され、又は再配置され得る。
【0050】
情報及び信号は、様々な異なる技術及び技法のいずれかを使用して表され得ることが、当業者には理解されよう。例えば、上記の説明全体を通して言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、記号及びチップは、電圧、電流、電磁波、磁場若しくは磁性粒子、光学場若しくは光学粒子、又はそれらの任意の組み合わせによって表され得る。
【0051】
「例示的な」という語は、本明細書では、「例、事例、又は例示として機能すること」を意味するために使用される。本明細書において「例示的な」として記載されたいかなる態様も、他の態様よりも必ずしも好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。同様に、「態様」という用語は、全ての態様が、論じられる特徴、利点、又は動作モードを含むことを要求しない。
【0052】
上記の説明は、本発明の多くの特定の態様を含むが、これらは本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではなく、むしろ、その特定の態様の例として解釈されるべきである。したがって、本発明の範囲は、例示された態様によってではなく、添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物によって決定されるべきである。更に、本明細書の全体を通して、「一態様(one aspect)」、「一態様(an aspect)」、又はそれに類似した言葉への言及は、本態様に関連して記載される特定の特徴、構造又は特性が、本開示の少なくとも1つの態様に含まれることを意味する。したがって、本明細書の全体を通して、「一態様では(in one aspect)」、「一態様では(in an aspect)」、及びそれに類似した言葉の語句の出現は、必ずしも全て同一の態様を指すのではなく、特に明示しない限り、「1つ以上ではあるが全てではない態様」を意味し得る。
【0053】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、実施形態を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形の「ある(a)」、「ある(an)」及び「その(the)」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数形(すなわち、1つ以上)も含むことを意図している。列挙された項目の一覧は、特に明示しない限り、それらの項目のいずれか又は全てを相互に排他する及び/又は相互に含めることを暗に意味するものではない。「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、及びそれらの変形は、本明細書で使用される場合、特に明示しない限り、「含むが、それに限定されない」ことを意味することが更に理解される。すなわち、これらの用語は、記載された特徴、整数、工程、動作、要素又は構成要素の存在を指定し得るが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。更に、「又は」という語は、ブール演算子「OR」と同じ意味を有し、すなわち、「いずれか」及び「両方」の可能性を包含し、特に明記しない限り、「排他的論理和」(「XOR」)に限定されないことが理解される。2つの隣接する単語の間の記号「/」は、特に明記しない限り、「又は」と同じ意味を有することも理解される。更に、「に接続された」、「に結合された」又は「と連通する」などの句は、特に明記しない限り、直接接続に限定されない。
【0054】
「第1の」、「第2の」など、指定を使用する、本明細書における要素へのいかなる言及も、一般に、それらの要素の量又は順序を限定しない。むしろ、これらの指定は、本明細書において、2つ以上の要素、又は要素の事例を区別する便利な方法として使用され得る。したがって、第1の要素及び第2の要素への言及は、2つの要素のみがそこで使用され得ること、又は、第1の要素が、何らかの方式で第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。また、特に明記しない限り、要素のセットは、1つ以上の要素を含み得る。加えて、説明又は特許請求の範囲で使用される「a、b又はcのうちの少なくとも1つ」又は「a、b、c、又はそれらの任意の組み合わせ」という形態の用語は、「a又はb又はc又はこれらの要素の任意の組み合わせ」を意味する。例えば、この用語は、a、又はb、又はc、又はa及びb、又はa及びc、又はa及びb及びc、又は2a、又は2b、又は2c、又は2a及びbなどを含み得る。
【0055】
本明細書で使用される場合、「決定する(determining)」という用語は、多種多様なアクションを包含する。例えば、「決定する(determining)」は、計算する(calculating)、算出する(computing)、処理する(processing)、導出する(deriving)、調査する(investigating)、調べる(looking up)(例えば、テーブル、データベース、又は別のデータ構造を調べる)、確認する(ascertaining)などを含み得る。また、「決定する(determining)」は、受信する(receiving)(例えば、情報を受信する)、アクセスする(accessing)(例えば、メモリのデータにアクセスする)などを含み得る。また、「決定する(determining)」は、解決する(resolving)、選択する(selecting)、選ぶ(choosing)、確立する(establishing)などを含み得る。
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