(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】積層鉄心の製造装置
(51)【国際特許分類】
B21D 28/20 20060101AFI20240704BHJP
H02K 15/02 20060101ALI20240704BHJP
B21D 28/02 20060101ALI20240704BHJP
H01F 3/02 20060101ALI20240704BHJP
H01F 41/02 20060101ALI20240704BHJP
H01F 27/245 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
B21D28/20
H02K15/02 F
H02K15/02 E
B21D28/02 D
B21D28/02 F
B21D28/02 C
H01F3/02
H01F41/02 B
H01F27/245 150
(21)【出願番号】P 2023192156
(22)【出願日】2023-11-10
【審査請求日】2023-11-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000128175
【氏名又は名称】株式会社エフ・シー・シー
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】北村 直正
(72)【発明者】
【氏名】上田 展行
【審査官】服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-026735(JP,A)
【文献】特開2014-007925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 28/20
H02K 15/02
B21D 28/02
H01F 3/02
H01F 41/02
H01F 27/245
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の鉄心部材が積層されて相互に結合された積層鉄心の製造装置であって、
ダイ穴が形成されたダイを有する下型と、
前記ダイ穴に対応するパンチであって、帯状の金属板を打ち抜いて前記鉄心部材を形成するパンチを有する上型と、
形成された前記鉄心部材が順次載置される載置台と、
前記載置台の下方に位置し、かつ、前記載置台を支持し、かつ、前記パンチから前記載置台に力が付与されたときに弾性変形することによって前記載置台に載置された前記鉄心部材に背圧を付与する皿ばねと、
前記皿ばねの下端部を支持し、かつ、上下方向に移動可能に構成された支持軸と、
前記支持軸の上下方向の移動を制御する制御モータと、
前記上型および前記制御モータを制御する制御装置と、を備え、
前記積層鉄心は、積層された前記鉄心部材同士がかしめによって相互に結合されており、
前記支持軸が上下方向に移動することによって、前記皿ばねの少なくとも前記下端部は上下方向に移動するように構成され、
前記制御装置は、
前記パンチが下死点に到達して積層された前記鉄心部材同士をかしめによって相互に結合した後に前記パンチが上方に移動する際に、弾性変形した前記皿ばねが元の形状に戻る過程において、前記制御モータを制御して前記支持軸を下方に所定量だけ移動させることを開始するモータ制御部を備えている、製造装置。
【請求項2】
前記モータ制御部は、前記パンチが前記下死点に到達して積層された前記鉄心部材同士をかしめによって相互に結合した後に前記パンチが上方に移動する際に、弾性変形した前記皿ばねが元の形状に戻ると同時もしくは元の形状に戻る前に、前記制御モータを制御して前記支持軸を下方に前記所定量だけ移動させることを完了する、請求項1に記載の製造装置。
【請求項3】
前記皿ばねは、前記鉄心部材同士をかしめるときに必要な前記鉄心部材の上下方向の移動量よりも大きく上下方向に弾性変形可能に構成されている、請求項1または2に記載の製造装置。
【請求項4】
前記載置台を支持し、かつ、前記支持軸より上方に配置され、かつ、前記支持軸に対して上下方向に相対的に移動可能な支持台と、
前記載置台を回転可能に支持するベアリング
と、を備え、
前記ベアリングは、前記載置台と前記支持台との間に設けられ、
前記皿ばねは、前記支持台と前記支持軸との間に設けられ、
前記ベアリングが回転するとき、前記皿ばねは回転しない、請求項1または2に記載の製造装置。
【請求項5】
前記皿ばねの軸心は、前記支持軸の軸心と同軸上に配置されている、請求項1または2に記載の製造装置。
【請求項6】
前記載置台を支持し、かつ、前記支持軸より上方に配置され、かつ、前記支持軸に対して上下方向に相対的に移動可能な支持台を備え、
前記支持台は、
前記載置台を支持する頭部と、
前記頭部から下方に延びる軸部と、を有し、
前記軸部の直径は、前記頭部の直径よりも小さく、
前記皿ばねは、前記軸部に挿入されている、請求項1または2に記載の製造装置。
【請求項7】
前記皿ばねは、外周縁よりも内周縁が前記載置台側に位置するように配置されている、請求項
6に記載の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層鉄心の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モータ等に用いられる積層鉄心は、帯状の金属板(例えば帯状の鋼板)を所定の形状に打ち抜いて鉄心部材(コア)を形成し、形成された鉄心部材を積層して一体化することによって形成されている。例えば、かしめ、溶接、または、接着等によって、鉄心部材を積層して一体化することによって積層鉄心が形成されている。例えば、特許文献1には、かしめによって複数の鉄心部材を積層し、相互に結合された積層鉄心を製造する製造装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献1の製造装置は、ボールねじの上面に取り付けられた載置台と、載置台上に配置されたガススプリングと、ガススプリングの上端部に設けられかつ鉄心部材が順次積層される支持プレートと、を備えている。ガススプリングは、パンチによって支持プレートが押圧されたときに圧縮し、支持プレート上の鉄心部材に背圧を付与するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ガススプリングは、一般的に、鉄心部材に所定の背圧を与えるために要する容量が大きいため、ガススプリング自体が大型になりやすい傾向にある。このため、ガススプリングを備えた製造装置自体が大型化してしまう虞がある。また、ガススプリングは、弾性変形することによって鉄心部材に背圧を付与するように構成されているが、弾性変形した状態から元の状態に戻るまでに比較的時間を要するため、積層鉄心を製造するリードタイムが長くなる傾向にある。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、装置の大型化を抑制しつつ積層鉄心をより短時間で製造することができる積層鉄心の製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る製造装置は、複数の鉄心部材が積層されて相互に結合された積層鉄心の製造装置であって、ダイ穴が形成されたダイを有する下型と、前記ダイ穴に対応するパンチであって、帯状の金属板を打ち抜いて前記鉄心部材を形成するパンチを有する上型と、形成された前記鉄心部材が順次載置される載置台と、前記載置台の下方に位置し、かつ、前記載置台を支持し、かつ、前記パンチから前記載置台に力が付与されたときに弾性変形することによって前記載置台に載置された前記鉄心部材に背圧を付与する皿ばねと、前記皿ばねの下端部を支持し、かつ、上下方向に移動可能に構成された支持軸と、前記支持軸の上下方向の移動を制御する制御モータと、前記上型および前記制御モータを制御する制御装置と、を備え、前記積層鉄心は、積層された前記鉄心部材同士がかしめによって相互に結合されており、前記支持軸が上下方向に移動することによって、前記皿ばねの少なくとも前記下端部は上下方向に移動するように構成され、前記制御装置は、前記パンチが下死点に到達して積層された前記鉄心部材同士をかしめによって相互に結合した後に前記パンチが上方に移動する際に、弾性変形した前記皿ばねが元の形状に戻る過程において、前記制御モータを制御して前記支持軸を下方に所定量だけ移動させることを開始するモータ制御部を備えている。
【0008】
本発明に係る製造装置は、パンチから載置台に力が付与されたときに弾性変形することによって載置台に載置された鉄心部材に背圧を付与する皿ばねを備えている。皿ばねは、ガススプリング等に比べて小型であるため、製造装置の大型化を抑制することができる。また、モータ制御部は、パンチが下死点に到達して積層された鉄心部材同士をかしめによって相互に結合した後にパンチが上方に移動する際に、弾性変形した皿ばねが元の形状に戻る過程において、制御モータを制御して支持軸を下方に所定量だけ移動させることを開始する。これにより、弾性変形した皿ばねをより早く元の状態に戻すことができるため、積層鉄心を製造するリードタイムをより短くすることができる。
【0009】
本発明に係る他の製造装置は、複数の鉄心部材が積層されて相互に結合された積層鉄心の製造装置であって、ダイ穴が形成されたダイを有する下型と、前記ダイ穴に対応するパンチであって、帯状の金属板を打ち抜いて前記鉄心部材を形成するパンチを有する上型と、形成された前記鉄心部材が順次載置される載置台と、前記載置台の下方に位置し、かつ、前記載置台を支持し、かつ、前記パンチから前記載置台に力が付与されたときに弾性変形することによって前記載置台に載置された前記鉄心部材に背圧を付与する皿ばねと、前記皿ばねの下端部を支持し、かつ、上下方向に移動可能に構成された支持軸と、前記支持軸の上下方向の移動を制御する制御モータと、前記上型および前記制御モータを制御する制御装置と、を備え、前記支持軸が上下方向に移動することによって、前記皿ばねの少なくとも前記下端部は上下方向に移動するように構成され、前記制御装置は、前記パンチから前記載置台に力が付与されて前記皿ばねが所定以上に弾性変形したときに、前記制御モータを制御して前記支持軸を下方に所定量だけ移動させるモータ制御部を備えている。
【0010】
本発明に係る他の製造装置は、パンチから載置台に力が付与されたときに弾性変形することによって載置台に載置された鉄心部材に背圧を付与する皿ばねを備えている。皿ばねは、ガススプリング等に比べて小型であるため、製造装置の大型化を抑制することができる。また、モータ制御部は、パンチから載置台に力が付与されて皿ばねが所定以上に弾性変形したときに、制御モータを制御して支持軸を下方に所定量だけ移動させる。これにより、弾性変形した皿ばねをより早く元の状態に戻すことができるため、積層鉄心を製造するリードタイムをより短くすることができる。
【0011】
本発明に係る他の製造装置は、複数の鉄心部材が積層されて相互に結合された積層鉄心の製造装置であって、ダイ穴が形成されたダイを有する下型と、前記ダイ穴に対応するパンチであって、帯状の金属板を打ち抜いて前記鉄心部材を形成するパンチを有する上型と、形成された前記鉄心部材が順次載置される載置台と、前記載置台の下方に位置し、かつ、前記載置台を支持し、かつ、前記パンチから前記載置台に力が付与されたときに弾性変形することによって前記載置台に載置された前記鉄心部材に背圧を付与する皿ばねと、前記皿ばねの下端部を支持し、かつ、上下方向に移動可能に構成された支持軸と、を備え、前記皿ばねは、前記パンチから前記載置台に力が付与されたときに、前記支持軸が下方に移動することなく弾性変形可能な弾性力を有する。
【0012】
本発明に係る他の製造装置は、パンチから載置台に力が付与されたときに弾性変形することによって載置台に載置された鉄心部材に背圧を付与する皿ばねを備えている。皿ばねは、ガススプリング等に比べて小型であるため、製造装置の大型化を抑制することができる。また、皿ばねは、パンチから載置台に力が付与されたときに、支持軸が下方に移動することなく弾性変形可能な弾性力を有する。これにより、皿ばねによって載置台に載置された鉄心部材に背圧をより確実に付与することができる。
【0013】
本発明に係る他の製造装置は、複数の鉄心部材が積層されて相互に結合された積層鉄心の製造装置であって、ダイ穴が形成されたダイを有する下型と、前記ダイ穴に対応するパンチであって、帯状の金属板を打ち抜いて前記鉄心部材を形成するパンチを有する上型と、形成された前記鉄心部材が順次載置される載置台と、前記載置台の下方に位置し、かつ、前記載置台を支持し、かつ、前記パンチから前記載置台に力が付与されたときに弾性変形することによって前記載置台に載置された前記鉄心部材に背圧を付与する皿ばねと、前記皿ばねの下端部を支持し、かつ、上下方向に移動可能に構成された支持軸と、前記支持軸の上下方向の移動を制御する制御モータと、前記上型および前記制御モータを制御する制御装置と、を備え、前記皿ばねは、前記パンチから前記載置台に力が付与されたときに、前記皿ばねが前記載置台に載置された前記鉄心部材に付与する背圧のみによって、前記鉄心部材を積層するのに必要な背圧を付与することができる弾性力を有する。
【0014】
本発明に係る他の製造装置は、パンチから載置台に力が付与されたときに弾性変形することによって載置台に載置された鉄心部材に背圧を付与する皿ばねを備えている。皿ばねは、ガススプリング等に比べて小型であるため、製造装置の大型化を抑制することができる。また、皿ばねは、パンチから載置台に力が付与されたときに、皿ばねが載置台に載置された鉄心部材に付与する背圧のみによって、鉄心部材を積層するのに必要な背圧を付与することができる弾性力を有する。これにより、簡単な構造によって鉄心部材を積層するのに必要な背圧をより確実に付与することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、装置の大型化を抑制しつつ積層鉄心をより短時間で製造することができる積層鉄心の製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る積層鉄心の製造装置の一部を示す断面図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る載置台および支持部材の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る積層鉄心の製造装置の実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の積層鉄心の製造装置10(以下製造装置10とする)は、複数の鉄心部材5が積層されて相互に結合された積層鉄心8を製造する。製造装置10は、順送型のプレス金型である。製造装置10において、帯状の金属板Wが順送り方向Dに間欠搬送される。帯状の金属板Wは、例えば、コイル材(帯状薄鋼板)である。製造装置10は、下型20と、上型40と、ストリッパプレート60と、制御装置90と、を備えている。
【0019】
下型20は、床面に固定される。
図1に示すように、下型20には、外形打ち抜きステージ25が設けられている。外形打ち抜きステージ25は、後述するダイプレート22と、ダイ23と、外形打ち抜き用ダイ穴26と、スクイズリング27と、外形打ち抜き用パンチ45とを含む。外形打ち抜き用ダイ穴26は、ダイ穴の一例である。外形打ち抜き用パンチ45は、パンチの一例である。
【0020】
下型20は、下型本体21と、ダイプレート22と、ダイ23とを有する。ダイプレート22およびダイ23は、下型本体21上に載置されている。ダイプレート22は、ダイ23を保持する。ダイ23は、外形打ち抜きステージ25を含む。ダイ23には、外形打ち抜き用ダイ穴26が形成されている。ダイプレート22の上面22Tとダイ23の上面23Tとは同じ高さに位置する。
【0021】
図1に示すように、スクイズリング27は、ダイ23の下方に配置されている。スクイズリング27は、形成された鉄心部材5を側方から保持する。スクイズリング27は、積層された鉄心部材5に側圧(即ち締め付け力)を付与する。スクイズリング27は、後述する外形打ち抜き用パンチ45によって外形打ち抜き用ダイ穴26内に打ち抜かれた鉄心部材5を所定の側圧をもって保持する。
【0022】
帯状の金属板Wは、製造装置10の近傍に設けられた搬送装置(図示せず)によって、下型20に間欠搬送される。帯状の金属板Wは、外形打ち抜きステージ25に間欠搬送される。搬送装置は、巻かれた状態で帯状の金属板Wを保持する。搬送装置の図示しない巻き出し装置によって帯状の金属板Wは下型20に搬送され、プレス加工された帯状の金属板Wの端材は、搬送装置の図示しない巻取り装置によって下型20から搬送されて、巻取り装置に巻き取られる。なお、搬送装置の巻き出し装置および巻取り装置に代えて、製造装置10の上流側および下流側にそれぞれ配置した上下一対の回転ロールに帯状の金属板Wを挟んで搬送してもよい。
【0023】
図1に示すように、製造装置10は、載置台30と、支持部材31と、制御モータ39と、を備えている。載置台30は、昇降可能に設けられている。載置台30には、形成された鉄心部材5が順次載置される。載置台30は、鉄心部材5が載置される載置面30Fを有する。載置面30Fは、ダイ23およびスクイズリング27の内方に位置し得る。載置面30F上において、積層鉄心8が製造される。
【0024】
図1に示すように、支持部材31は、載置台30を昇降可能に支持する。支持部材31は、支持台32と、複数の皿ばね33と、支持軸34と、ベアリング35(
図2参照)と、ボールねじ36とを備えている。
【0025】
図2に示すように、支持台32は、載置台30の下方に位置する。支持台32は、載置台30を直接的に支持する。支持台32は、支持軸34に対して上下方向Zに相対的に移動可能に設けられている。支持台32は、支持軸34に対して上下方向Zに相対的に移動可能となるように支持軸34の後述する挿入孔34Hに挿入されている。支持台32は、支持軸34と一体となって上下方向Zに移動可能に設けられている。支持台32は、例えば、外形打ち抜き用パンチ45から載置台30に力が付与されているときには、支持軸34に対して相対的に移動する。また、支持台32は、例えば、外形打ち抜き用パンチ45から載置台30に力が付与されていないときには、支持軸34と一体となって移動する。
【0026】
図2に示すように、皿ばね33は、載置台30の下方に位置する。皿ばね33は、支持台32に取り付けられている。皿ばね33は、支持台32の一部と支持軸34との間に位置する。皿ばね33は、支持台32の一部と支持軸34に挟持されている。皿ばね33は、支持台32を支持する。皿ばね33は、支持台32を介して載置台30を間接的に支持する。なお、皿ばね33は、載置台30を直接的に支持してもよい。皿ばね33は、外形打ち抜き用パンチ45から載置台30に力が付与されたときに弾性変形することによって載置台30に載置された鉄心部材5に背圧を付与する。皿ばね33が弾性変形することによって、載置台30は下方に移動する。皿ばね33は、鉄心部材5同士をかしめるときに必要な鉄心部材5の上下方向Zの移動量よりも大きく上下方向Zに弾性変形可能に構成されている。皿ばね33は、外形打ち抜き用パンチ45から載置台30に力が付与されたときに、支持軸34が下方に移動することなく弾性変形可能な弾性力を有する。皿ばね33は、外形打ち抜き用パンチ45から載置台30に力が付与されたときに、皿ばね33が載置台30に載置された鉄心部材5に付与する背圧のみによって、鉄心部材5を積層するのに必要な背圧を付与することができる弾性力を有する。皿ばね33の軸心33Cは、支持軸34(例えば後述する軸部34A)の軸心34Cと同軸上に配置されている。皿ばね33は、外周縁33Aよりも内周縁33Bが載置台30側(即ち上方)に位置するように配置されている。
【0027】
図2に示すように、支持軸34は、皿ばね33の下端部を支持する。支持軸34は、上下方向Zに移動可能に構成されている。支持軸34が上下方向Zに移動することによって、皿ばね33の少なくとも下端部は上下方向Zに移動するように構成されている。支持軸34は、上下方向Zに延びる軸部34Aと、軸部34Aの上端に設けられた支持部34Bとを有する。軸部34Aと支持部34Bとは、図示しない締結部材(例えばボルトやねじ等)によって相互に連結されている。軸部34Aの上端34ATと、支持台32の下端32Bとの間には隙間32Sが形成されている。
図1に示すように、軸部34Aの下端は、ボールねじ36の後述するナット36Aに接続されている。
図2に示すように、支持部34Bは、皿ばね33の下端部を支持する。支持部34Bには、支持台32が挿入される挿入孔34Hが形成されている。
【0028】
図2に示すように、ベアリング35は、載置台30と皿ばね33との間に設けられている。より詳細には、ベアリング35は、載置台30と支持台32との間に設けられている。ベアリング35は、載置台30を回転可能に支持する。ベアリング35が回転することによって、載置台30は支持台32に対して相対的に回転する。ベアリング35が回転するとき、皿ばね33は回転しない。
【0029】
図1に示すように、ボールねじ36は、ナット36Aおよびねじ軸36Bを備えている。ナット36Aは、ねじ軸36Bに螺合している。ねじ軸36Bは、制御モータ39の回転軸に接続している。制御モータ39が回転してねじ軸36Bが回転することによって、ナット36Aが昇降する。これにより、載置台30も昇降する。
【0030】
図1に示すように、制御モータ39は、支持部材31を介して載置台30を昇降させる。制御モータ39は、支持軸34の上下方向Zの移動を制御する。制御モータ39としては、例えば、サーボモータやステッピングモータ等が挙げられる。制御モータ39は、制御装置90に制御される。
【0031】
図1に示すように、上型40は、下型20の上方に配置されている。上型40は、昇降可能(上下方向Zに移動可能)に構成されている。上型40は、下型20に接近および離隔可能に構成されている。上型40は、外形打ち抜き用ダイ穴26に対応する外形打ち抜き用パンチ45を有する。上型40と外形打ち抜き用パンチ45とは一体となって昇降する。外形打ち抜き用パンチ45は、外形打ち抜き用ダイ穴26の上方に位置する。外形打ち抜き用パンチ45は、外形打ち抜き用ダイ穴26に挿通可能に構成されている。外形打ち抜きステージ25において、上型40が下降して下型20に近接した後、外形打ち抜き用パンチ45および外形打ち抜き用ダイ穴26によって、帯状の金属板Wが打ち抜かれる。これにより、帯状の金属板Wに鉄心部材5の外形が形成されて鉄心部材5が完成し、鉄心部材5は載置台30に順次積層される。帯状の金属板Wが打ち抜かれるときには、後述するように皿ばね33によって載置台30に載置された鉄心部材5に背圧が付与される。ここでは、積層された鉄心部材5はかしめによって相互に結合される。例えば、上下方向Zに積層された2枚の鉄心部材5にそれぞれ形成されたかしめ部分(結合部分)をかしめによって相互に結合させることを繰り返し行うことによって、積層鉄心8が形成される。
【0032】
図1に示すように、ストリッパプレート60は、上型40に設けられている。ストリッパプレート60は、下型20のダイプレート22に対向する位置に配置されている。ストリッパプレート60は、上型40と共に上下方向Zに移動可能に構成されている。ストリッパプレート60は、最も下方の位置である最下降位置(図示せず)まで下方に移動可能に構成されている。ストリッパプレート60は、外形打ち抜き用パンチ45によって帯状の金属板Wを打ち抜く際に、最下降位置において金属板Wが上下方向Zに移動することを規制する。ストリッパプレート60は、最下降位置まで移動した際に、間欠搬送される帯状の金属板Wを下型20(ここではダイプレート22およびダイ23)に押さえ付けて下型20(ここではダイプレート22およびダイ23)と共に帯状の金属板Wを挟持可能に構成されている。ストリッパプレート60は、帯状の金属板Wをダイプレート22の上面22Tおよびダイ23の上面23Tに押さえ付ける。ストリッパプレート60には、外形打ち抜き用パンチ45が挿通されるパンチ挿通孔60Aが形成されている。上型40が下降して、ストリッパプレート60が帯状の金属板Wをダイプレート22に押さえ付けた状態で、さらに上型40が下降すると、パンチ挿通孔60Aから外形打ち抜き用パンチ45が下方に突出し、外形打ち抜き用パンチ45は外形打ち抜き用ダイ穴26に挿通される。
【0033】
図1に示すように、制御装置90は、上型40および制御モータ39を制御する。制御装置90は、例えば、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU)と、CPUが実行するプログラムを格納したROMと、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAMと、上記プログラムや各種データを格納するメモリなどの記憶装置とを備えている。制御装置90は、上型制御部92と、モータ制御部94とを有する。制御装置90の各部の機能は、プログラムによって実現されている。このプログラムは、例えば、インターネットを通じてダウンロードされるものである。なお、このプログラムは、例えばCDやDVDなどの記録媒体から読み込まれてもよい。また、制御装置90の各部の機能は、プロセッサおよび/または回路などによって実現可能なものであってもよい。
【0034】
上型制御部92は、上型40の昇降移動(上下方向Zの移動)を制御する。本実施形態では、上型制御部92は、上型40を上下方向Zに移動させることによって、外形打ち抜き用パンチ45およびストリッパプレート60の上下方向Zの移動を制御する。上型制御部92は、上型40の下型20への接近および下型20からの離隔を制御する。
【0035】
モータ制御部94は、制御モータ39を制御する。モータ制御部94は、制御モータ39を制御することによって、支持軸34の上下方向Zの移動を制御する。モータ制御部94は、制御モータ39を制御することによって、載置台30の昇降移動(上下方向Zの移動)を制御する。モータ制御部94は、外形打ち抜き用パンチ45が下死点に到達して積層された鉄心部材5同士をかしめによって相互に結合した後に外形打ち抜き用パンチ45が上方に移動する際に、弾性変形した皿ばね33が元の形状に戻る過程において、制御モータ39を制御して支持軸34を下方に所定量だけ移動させることを開始する。「所定量」とは、例えば、外形打ち抜き用パンチ45が鉄心部材5のかしめ積層をする際における載置台30の下降量、すなわち、かしめ積層した鉄心部材5の1枚の板厚に相当する量である。「外形打ち抜き用パンチ45が上方に移動する際に、弾性変形した皿ばね33が元の形状に戻る過程において、制御モータ39を制御して支持軸34を下方に所定量だけ移動させることを開始する」とは、例えば、外形打ち抜き用パンチ45が上方に移動を開始するタイミングと同じタイミングにおいて支持軸34を下方に所定量だけ移動させることを開始すること、および、外形打ち抜き用パンチ45が上方に移動を開始するタイミングから所定時間が経過しかつ皿ばね33が元の形状に戻る過程において支持軸34を下方に所定量だけ移動させることを開始することを含む。本実施形態では、モータ制御部94は、外形打ち抜き用パンチ45が下死点に到達して積層された鉄心部材5同士をかしめによって相互に結合した後に外形打ち抜き用パンチ45が上方に移動を開始するタイミングから所定時間が経過しかつ弾性変形した皿ばね33が元の形状に戻る過程において、制御モータ39を制御して支持軸34を下方に所定量だけ移動させることを開始している。モータ制御部94は、外形打ち抜き用パンチ45が下死点に到達して積層された鉄心部材5同士をかしめによって相互に結合した後に外形打ち抜き用パンチ45が上方に移動する際に、弾性変形した皿ばね33が元の形状に戻ると同時に、制御モータ39を制御して支持軸34を下方に所定量だけ移動させることを完了してもよい。モータ制御部94は、外形打ち抜き用パンチ45が下死点に到達して積層された鉄心部材5同士をかしめによって相互に結合した後に外形打ち抜き用パンチ45が上方に移動する際に、弾性変形した皿ばね33が元の形状に戻る前に、制御モータ39を制御して支持軸34を下方に所定量だけ移動させることを完了してもよい。モータ制御部94は、外形打ち抜き用パンチ45から載置台30に力が付与されて皿ばね33が所定以上に弾性変形したときに、制御モータ39を制御して支持軸34を下方に所定量だけ移動させてもよい。モータ制御部94は、直接的に支持軸34を下方に移動させる制御を行うようにしてもよいし、他の制御、例えば制御モータ39の駆動トルクを制御することによって、間接的に支持軸34を下方に移動させる制御を行うようにしてもよい。
【0036】
以上のように、本実施形態の製造装置10は、外形打ち抜き用パンチ45から載置台30に力が付与されたときに弾性変形することによって載置台30に載置された鉄心部材5に背圧を付与する皿ばね33を備えている。皿ばね33は、ガススプリング等に比べて小型であるため、製造装置10の大型化を抑制することができる。また、モータ制御部94は、外形打ち抜き用パンチ45が下死点に到達して積層された鉄心部材5同士をかしめによって相互に結合した後に外形打ち抜き用パンチ45が上方に移動する際に、弾性変形した皿ばね33が元の形状に戻る過程において、制御モータ39を制御して支持軸34を下方に所定量だけ移動させることを開始する。これにより、弾性変形した皿ばね33をより早く元の状態に戻すことができるため、積層鉄心8を製造するリードタイムをより短くすることができる。
【0037】
本実施形態の製造装置10では、モータ制御部94は、外形打ち抜き用パンチ45が下死点に到達して積層された鉄心部材5同士をかしめによって相互に結合した後に外形打ち抜き用パンチ45が上方に移動する際に、弾性変形した皿ばね33が元の形状に戻ると同時もしくは元の形状に戻る前に、制御モータ39を制御して支持軸34を下方に所定量だけ移動させることを完了する。上記態様によれば、弾性変形した皿ばね33をより早く元の状態に戻すことができるため、積層鉄心8を製造するリードタイムをより短くすることができる。
【0038】
本実施形態の製造装置10では、皿ばね33は、鉄心部材5同士をかしめるときに必要な鉄心部材5の上下方向Zの移動量よりも大きく上下方向Zに弾性変形可能に構成されている。上記態様によれば、皿ばね33によって載置台30に載置された鉄心部材5により適切な背圧を付与することができる。
【0039】
本実施形態の製造装置10では、載置台30を回転可能に支持するベアリング35が回転するとき、皿ばね33は回転しない。上記態様によれば、載置台30に鉄心部材5をより適切に配置することができると共に、皿ばね33が回転しないため載置台30に載置された鉄心部材5により適切な背圧を付与することができる。
【0040】
本実施形態の製造装置10では、皿ばね33の軸心33Cは、支持軸34の軸心34Cと同軸上に配置されている。上記態様によれば、皿ばね33をコンパクトに配置することができる。
【0041】
本実施形態の製造装置10では、皿ばね33は、外周縁33Aよりも内周縁33Bが載置台30側に位置するように配置されている。上記態様によれば、載置台30に載置された鉄心部材5により適切な背圧を付与することができる。
【0042】
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、上述の実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
【0043】
上述した実施形態では、積層された鉄心部材5同士は、かしめによって相互に結合されていたが、結合する方法はかしめに限定されない。積層された鉄心部材5同士は、例えば、溶接や接着等によって相互に結合されてもよい。
【0044】
上述した実施形態では、下型20の下型本体21とダイプレート22とダイ23とは、別体で構成されているが、適宜一体に構成されていてもよい。例えば、ダイプレート22とダイ23とを一体で構成してもよいし、ダイプレート22とダイ23と下型本体21とを一体で構成してもよい。
【0045】
上述した実施形態では、ダイ23の上面23Tとダイプレート22の上面22Tとは同じ高さに位置するが、これに限定されない。例えば、ダイ23の上面23Tは、ダイプレート22の上面22Tよりも下方に位置していてもよい。この場合、ストリッパプレート60は、帯状の金属板Wをダイプレート22の上面22Tに押し付ける。
【0046】
上述した実施形態では、製造装置10は、外形打ち抜き用パンチ45および外形打ち抜き用ダイ穴26を備えていたが、内形打ち抜き用パンチおよび内形打ち抜き用ダイ穴やパイロット孔形成用パンチおよびパイロット孔形成用ダイ穴等をさらに備えていてもよい。
【符号の説明】
【0047】
5 鉄心部材
8 積層鉄心
10 製造装置(積層鉄心の製造装置)
20 下型
23 ダイ
26 外形打ち抜き用ダイ穴(ダイ穴)
30 載置台
33 皿ばね
34 支持軸
35 ベアリング
39 制御モータ
40 上型
45 外形打ち抜き用パンチ(パンチ)
90 制御装置
94 モータ制御部
【要約】
【課題】装置の大型化を抑制しつつ積層鉄心をより短時間で製造することができる積層鉄心の製造装置を提供すること。
【解決手段】製造装置10は、外形打ち抜き用パンチ45から載置台30に力が付与されたときに弾性変形することによって載置台30に載置された鉄心部材5に背圧を付与する皿ばね33と、皿ばね33の下端部を支持する支持軸34と、支持軸34の上下方向Zの移動を制御する制御モータ39と、制御モータ39を制御する制御装置90と、を備え、制御装置90は、外形打ち抜き用パンチ45が下死点に到達して積層された鉄心部材5同士をかしめによって相互に結合した後に外形打ち抜き用パンチ45が上方に移動する際に、弾性変形した皿ばね33が元の形状に戻る過程において、制御モータ39を制御して支持軸34を下方に所定量だけ移動させることを開始するモータ制御部94を備えている。
【選択図】
図2