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特許7514999ガス検知装置およびガス検知装置の診断方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】ガス検知装置およびガス検知装置の診断方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/26 20060101AFI20240704BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
G01N27/26 391Z
G01N27/416 311G
G01N27/416 371G
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023221020
(22)【出願日】2023-12-27
【審査請求日】2024-05-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000190301
【氏名又は名称】新コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100172362
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達哉
(72)【発明者】
【氏名】柏谷 康介
(72)【発明者】
【氏名】石野 智敬
(72)【発明者】
【氏名】末廣 陽
(72)【発明者】
【氏名】能美 耕太郎
【審査官】黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-085455(JP,A)
【文献】特開2010-266356(JP,A)
【文献】特開平5-209852(JP,A)
【文献】特開2010-266355(JP,A)
【文献】特開2010-266354(JP,A)
【文献】特開2008-309713(JP,A)
【文献】特開2008-309712(JP,A)
【文献】特開2008-152322(JP,A)
【文献】特開2004-279293(JP,A)
【文献】特開2011-086073(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/26-27/49
G08B 17/00
G08B 23/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作用極および対極を含むガスセンサに電荷を貯める充電状態と前記ガスセンサに貯まった電荷を放出する放電状態とを切り替えた際の前記ガスセンサからの出力に基づいて、前記ガスセンサの故障診断を行う制御部を備え、
前記制御部は、前記ガスセンサの放電後に取得した前記出力と、前記ガスセンサを充電する前の前記出力に基づく所定のしきい値とに基づいて、前記ガスセンサが故障しているか否かを判断する、ガス検知装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ガスセンサを充電する前の前記出力よりも大きい値を、前記所定のしきい値として設定する、請求項1に記載のガス検知装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ガスセンサの放電後の前記出力を異なる時間で複数取得し、全ての前記出力に基づいて、前記ガスセンサが故障しているか否かを判断する、請求項1に記載のガス検知装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ガスセンサの放電後の前記出力を所定間隔毎に取得し、取得した複数の前記出力に基づいて、前記ガスセンサの正常または故障を判断する、請求項3に記載のガス検知装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ガスセンサを充電する時間よりも長い前記所定間隔毎に前記出力を取得し、取得した複数の前記出力に基づいて、前記ガスセンサの正常または故障を判断する、請求項4に記載のガス検知装置。
【請求項6】
前記制御部は、3以上の異なる時間により前記出力を取得し、取得した3以上の複数の前記出力に基づいて、前記ガスセンサの正常または故障を判断する、請求項3に記載のガス検知装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記出力が所定の条件を満たす場合に、前記ガスセンサの故障診断を行わない、請求項1に記載のガス検知装置。
【請求項8】
前記制御部は、故障診断時以外の前記出力の累積値に基づいて、検知対象のガスを検知する、請求項1に記載のガス検知装置。
【請求項9】
作用極および対極を含むガスセンサに電荷を貯める充電状態と前記ガスセンサに貯まった電荷を放出する放電状態とを切り替えた際の前記ガスセンサからの出力に基づいて、前記ガスセンサの故障診断を行う診断方法において、
前記ガスセンサの放電後に取得した前記出力と、前記ガスセンサを充電する前の前記出力に基づく所定のしきい値とに基づいて、前記ガスセンサが故障しているか否かを判断する、ガス検知装置の診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ガス検知装置およびガス検知装置の診断方法に関し、特に、ガスセンサの故障診断を行うガス検知装置およびガス検知装置の診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガスセンサの故障診断を行うガス検知装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、検知極および対極を含むガスセンサと、ガスセンサに流れる電流を電圧に変換する電流/電圧変換回路と、電流/電圧変換回路の出力電圧に基づいてガスセンサの故障診断を行う自己診断手段とを備える警報器(ガス検知装置)が開示されている。この特許文献1の警報器では、自己診断手段は、ガスセンサの検知極および対極の間に電荷を貯めて充電してから、放電し、その際の電流/電圧変換回路の出力電圧に基づいて、ガスセンサの故障診断を行っている。また、自己診断手段は、ガスセンサの充電時および放電時の予め設定された時点における電流/電圧変換回路の出力電圧と予め設定されたしきい値とを比較してガスセンサの故障診断を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-085455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、自己診断手段は、ガスセンサの充電時および放電時の予め設定された時点における電流/電圧変換回路の出力電圧と予め設定されたしきい値とを比較してガスセンサの故障診断を行っている。このため、雰囲気に検知対象のガスが存在することにより、ガスセンサの充電時および放電時の出力電圧がばらつく場合に、予め設定されたしきい値に対する大小関係が異なってしまう。そのため、雰囲気の状態に応じて、ガスセンサの故障診断の結果が異なる場合があるので、ガスセンサの故障を精度よく診断することが困難である。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、雰囲気によらず、ガスセンサの故障を精度よく診断することが可能なガス検知装置およびガス検知装置の診断方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面によるガス検知装置は、作用極および対極を含むガスセンサに電荷を貯める充電状態とガスセンサに貯まった電荷を放出する放電状態とを切り替えた際のガスセンサからの出力に基づいて、ガスセンサの故障診断を行う制御部を備え、制御部は、ガスセンサの放電後に取得した出力と、ガスセンサを充電する前の出力に基づく所定のしきい値とに基づいて、ガスセンサが故障しているか否かを判断する。
【0008】
この発明の第1の局面によるガス検知装置では、上記のように、ガスセンサの放電後に取得した出力と、ガスセンサを充電する前の出力に基づく所定のしきい値とに基づいて、ガスセンサが故障しているか否かを判断する制御部を設ける。これにより、雰囲気に検知対象のガスが存在することにより、ガスセンサの充電時および放電時の出力電圧がばらつく場合でも、ガスセンサの充電する前の出力を基準として所定のしきい値を設定することができる。これにより、ガスセンサを充電してから放電した場合には、出力は充電前の値に戻るため、故障診断を行うための所定のしきい値を雰囲気に応じて適切な値に設定することができる。その結果、雰囲気によらず、ガスセンサの故障を精度よく診断することができる。
【0009】
上記第1の局面によるガス検知装置において、好ましくは、制御部は、ガスセンサを充電する前の出力よりも大きい値を、所定のしきい値として設定する。このように構成すれば、所定のしきい値を充電前の出力よりも大きい値に設定することにより、故障の場合には出力が所定のしきい値を確実に超えないようにすることができるので、故障か否かを精度よく判別することができる。
【0010】
上記第1の局面によるガス検知装置において、好ましくは、制御部は、ガスセンサの放電後の出力を異なる時間で複数取得し、全ての出力に基づいて、ガスセンサが故障しているか否かを判断する。このように構成すれば、ガスセンサの個体差により、ガスセンサの充電時および放電時の出力電圧がしきい値を超えるまでの時間にばらつきがある場合でも、放電後の異なる時間において複数の出力を取得して、全ての出力が所定のしきい値以下である場合に故障と診断するので、ガスセンサの個体差がある場合でも、ガスセンサの故障を精度よく診断することができる。
【0011】
上記異なる時間で複数取得した全ての出力に基づいてガスセンサが故障しているか否かを判断する構成のガス検知装置において、好ましくは、制御部は、ガスセンサの放電後の出力を所定間隔毎に取得し、取得した複数の出力に基づいて、ガスセンサの正常または故障を判断する。このように構成すれば、放電後の所定間隔毎に出力を取得するので、放電後に連続的に出力を取得する場合に比べて、処理負担が増大するのを軽減することができる。また、ガスセンサの個体差により、放電後に出力がしきい値を超えるまでの時間にばらつきがある場合でも、所定間隔毎の出力の取得により、ガスセンサの故障を精度よく診断することができる。
【0012】
この場合、好ましくは、制御部は、ガスセンサを充電する時間よりも長い所定間隔毎に出力を取得し、取得した複数の出力に基づいて、ガスセンサの正常または故障を判断する。このように構成すれば、充電する時間よりも長い十分な時間間隔により、放電後の出力を取得するので、短い時間間隔により出力を多く取得する場合に比べて、処理負担が増大するのをより軽減することができる。
【0013】
上記異なる時間で複数取得した全ての出力に基づいてガスセンサが故障しているか否かを判断する構成のガス検知装置において、好ましくは、制御部は、3以上の異なる時間により出力を取得し、取得した3以上の複数の出力に基づいて、ガスセンサの正常または故障を判断する。このように構成すれば、3以上の複数のタイミングにおいて出力を取得するので、比較的長い期間に渡って、放電後の出力を取得して故障の判断をすることができる。
【0014】
上記第1の局面によるガス検知装置において、好ましくは、制御部は、出力が所定の条件を満たす場合に、ガスセンサの故障診断を行わない。このように構成すれば、出力が所定の条件を満たす場合には、故障診断が行われないので、故障診断を行っている間に、検知対象のガスの検知が行われなくなるのを抑制することができる。
【0015】
上記第1の局面によるガス検知装置において、好ましくは、制御部は、故障診断時以外の出力の累積値に基づいて、検知対象のガスを検知する。このように構成すれば、故障診断時の充電時および放電時の出力の値が累積されることがないので、検知対象のガスを誤検知するのを抑制することができる。
【0016】
この発明の第2の局面によるガス検知装置の診断方法は、作用極および対極を含むガスセンサに電荷を貯める充電状態とガスセンサに貯まった電荷を放出する放電状態とを切り替えた際のガスセンサからの出力に基づいて、ガスセンサの故障診断を行う診断方法において、ガスセンサの放電後に取得した出力と、ガスセンサを充電する前の出力に基づく所定のしきい値とに基づいて、ガスセンサが故障しているか否かを判断する。
【0017】
この発明の第2の局面によるガス検知装置の診断方法では、上記のように、ガスセンサの放電後に取得した出力と、ガスセンサを充電する前の出力に基づく所定のしきい値とに基づいて、ガスセンサが故障しているか否かを判断する。これにより、雰囲気に検知対象のガスが存在することにより、ガスセンサの充電時および放電時の出力電圧がばらつく場合でも、ガスセンサの充電する前の出力を基準として所定のしきい値を設定することができる。これにより、ガスセンサを充電してから放電した場合には、出力は充電前の値に戻るため、故障診断を行うための所定のしきい値を雰囲気に応じて適切な値に設定することができる。その結果、雰囲気によらず、ガスセンサの故障を精度よく診断することが可能なガス検知装置の診断方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、上記のように、雰囲気によらず、ガスセンサの故障を精度よく診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】一実施形態によるガス検知装置の構成を示したブロック図である。
図2】一実施形態によるガス検知装置のセンサ部の電気回路の一例を示した図である。
図3】一実施形態によるガスセンサの診断時の充電前の電気回路を示した図である。
図4】一実施形態によるガスセンサの診断時の充電中の電気回路を示した図である。
図5】一実施形態によるガスセンサの診断時の放電中の電気回路を示した図である。
図6】一実施形態によるガスセンサが正常な場合の診断時の検知信号の波形の例を示した図である。
図7】一実施形態によるガスセンサの基準電圧が異なる場合の診断時の検知信号の波形の例を示した図である。
図8】一実施形態によるガスセンサが正常な場合の診断時の検知信号の戻りが遅い場合の波形の例を示した図である。
図9】一実施形態によるガスセンサがオープン故障した場合の電気回路を示した図である。
図10】一実施形態によるガスセンサがオープン故障した場合の診断時の検知信号の波形の例を示した図である。
図11】一実施形態によるガスセンサがショート故障した場合の電気回路を示した図である。
図12】一実施形態によるガスセンサがショート故障した場合の診断時の検知信号の波形の例を示した図である。
図13】一実施形態によるガスセンサの経年による診断時の検知信号の波形の変化の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1図13を参照して、一実施形態によるガス検知装置100の構成について説明する。
【0022】
(警報システムの構成)
図1に示すように、ガス検知装置100は、検知対象のガスを検知して警報を行うように構成されている。
【0023】
ガス検知装置100は、図1に示すように、制御部1と、センサ部2と、警報部3と、電源部4とを備えている。
【0024】
制御部1は、ガス検知装置100の各部を制御するように構成されている。また、制御部1は、プログラムを実行して処理を行うMCU(Micro Controller Unit)などのプロセッサと、プログラムを格納するメモリと、を含んでいる。
【0025】
センサ部2は、検知対象ガスを検知するように構成されている。センサ部2は、たとえば、COガス、メタンガス、プロパンガスなどを検知対象ガスとして検知する。センサ部2は、電気化学ガスセンサを含んでいる。センサ部2は、検知対象ガスが存在する場合に、出力電圧が変化することにより、ガスを検知する。
【0026】
警報部3は、センサ部2により検知対象ガスが検知された場合に、周囲に対して警報を発するように構成されている。警報部3は、たとえば、ブザー音、音声メッセージ、光出力、情報の表示などにより、警報を発する。警報部3は、たとえば、スピーカ、発光部、表示画面などを含んでいる。
【0027】
電源部4は、ガス検知装置100の各部への電力供給を行う。電源部4は、商用電源と接続される電力変換回路を含んでいる。また、電源部4は、たとえば、電池であってもよい。
【0028】
センサ部2は、図2に示すように、ガスセンサ21と、定電圧回路部22と、信号出力部23と、を含んでいる。ガスセンサ21は、作用極21aと、対極21bとを含んでいる。
【0029】
ガスセンサ21は、図2に示すように、抵抗成分Rsと、容量成分Cpと、抵抗成分Rpとを有する回路として表すことができる。つまり、ガスセンサ21の回路としての各要素は、以下のように配置されていると見做せる。抵抗成分Rsは、作用極21a側に配置され、並列に接続された容量成分Cpおよび抵抗成分Rpと、直列に接続されている。並列に接続された容量成分Cpおよび抵抗成分Rpは、対極21b側に配置されている。
【0030】
また、ガスセンサ21に並列に抵抗R3が設けられている。また、ガスセンサ21の作用極21a側には、抵抗R4が接続されている。また、ガスセンサ21の対極21b側には、抵抗R5が接続されている。
【0031】
定電圧回路部22は、センサ部2の基準電圧を生成する。定電圧回路部22は、図2に示すように、ガスセンサ21の対極21b側に接続されている。定電圧回路部22は、抵抗R1と、抵抗R2と、コンデンサC1と、コンデンサC2と、OPアンプU1と、を含んでいる。抵抗R1は、電源部4から供給される電圧VCCに接続されている。抵抗R2は、抵抗R1に直列に接続されるとともに、グランド電位に接続されている。コンデンサC1は、抵抗R2と並列に、抵抗R1に直列に接続されるとともに、グランド電位に接続されている。OPアンプU1は、抵抗R1およびR2との間がプラス側に接続され、マイナス側が出力に接続されている。コンデンサC2は、OPアンプU1の電圧VCCとグランド電位との間に接続されている。
【0032】
信号出力部23は、ガスセンサ21に接続され、ガスセンサ21から入力する電力に基づく検知信号を出力する。信号出力部23は、電流を電圧に変換して検知信号を出力する。信号出力部23は、図2に示すように、抵抗R6と、抵抗R7と、抵抗R9と、コンデンサC3と、コンデンサC4と、OPアンプU2と、を含んでいる。抵抗R6は、ガスセンサ21の作用極21a側に接続されるとともに、OPアンプU2のマイナス側に接続されている。抵抗R7は、ガスセンサ21の対極21b側に接続されるとともに、OPアンプU2のプラス側に接続されている。抵抗R9およびコンデンサC3は、ガスセンサ21の作用極21a側に、抵抗R6およびOPアンプU2と、並列に接続されている。コンデンサC4は、OPアンプU2の電圧VCCとグランド電位との間に接続されている。
【0033】
抵抗R7およびOPアンプU2のプラス側の間には、抵抗R8が接続されている。抵抗R8は、スイッチQ1が接続されている。スイッチQ1は、制御部1からのオンオフ制御の信号により、抵抗R8側からグランド電位に電流を流すオン状態と、抵抗R8側からグランド電位に電流を流さないオフ状態とが切り替えられる。
【0034】
OPアンプU2の出力側には、抵抗R10が接続されている。抵抗R10から、検知信号が制御部1に対して出力される。具体的には、検知信号は、増幅回路により増幅された後に、制御部1に入力される。また、抵抗R10とグランド電位との間にコンデンサC5が接続されている。
【0035】
スイッチQ1は、ガスセンサ21の作用極21aおよび対極21bの間に電荷を貯める充電状態とガスセンサ21の作用極21aおよび対極21bの間の電荷を放出する放電状態とに回路を切り替える。具体的には、スイッチQ1は、オン状態とすることにより、ガスセンサ21の作用極21aおよび対極21bの間に電荷を貯める充電状態とする。また、スイッチQ1は、オフ状態とすることにより、ガスセンサ21の作用極21aおよび対極21bの間の電荷を放出する放電状態とする。また、スイッチQ1は、ガスを検知する場合に、オフ状態とされる。
【0036】
図3に示すように、充電前のスイッチQ1がオフ状態の場合、ガスセンサ21は、通常、検知対象ガスが存在しない場合、電流が流れない。充電前はガスセンサ21に電流が流れていないため、OPアンプU2の負帰還の作用により、作用極21aと対極21bは同電位となる。つまり、容量成分Cpには電荷がない状態となる。
【0037】
図4に示すように、充電するためにスイッチQ1がオン状態となると、抵抗R8がグランド電位に接続されて、OPアンプU2のプラス側の電圧が引き下げられる(in+<in-)。つまり、OPアンプU2のプラス側の電圧は、基準電圧Vrefを抵抗R7およびR8で分圧した電圧となる。これにより、OPアンプU2の入力端子電圧のバランスが崩れ、OPアンプU2の出力電圧が下がる。
【0038】
これにより、基準電圧Vref→抵抗R5→容量成分Cp//抵抗成分Rp→抵抗成分Rs→抵抗R4→コンデンサC3//抵抗R9→OPアンプU2の出力側の経路で電流が流れる。その結果、ガスセンサ21の容量成分Cpに電位差が発生し、容量成分Cpが充電される。
【0039】
図5に示すように、充電後に放電するためにスイッチQ1がオフ状態となると、抵抗R8がオープンとなり、OPアンプU2のプラス側の電圧が元の基準電圧Vrefに戻る。これにより、充電により、OPアンプU2のマイナス側の電位が下がっている(in+>in-)ため、OPアンプU2の出力側の電圧が上がる。これにより、OPアンプU2の出力側→コンデンサC3//抵抗R9→抵抗R4→抵抗成分Rs→容量成分Cp//抵抗成分Rp→抵抗R5→基準電圧Vrefの経路で電流が流れる。その結果、ガスセンサ21の電位差が徐々に解消していく。ガスセンサ21の電位差の解消が進むに従い、OPアンプU2からの出力電圧が徐々に下がり、最終的には、充電前の状態に収束する。
【0040】
図6に示すように、時間T0において、充電が開始され、その後、時間T1において、充電から放電に切り替えられる。充電が開始されると、検知信号は、0Vまで低下する。そして、充電から放電に切り替えられると、検知信号は、上昇して、充電前の電圧を超えて、その後、充電前の電圧に収束する。
【0041】
また、図7に示すように、ガスセンサ21は、個体差により、基準電圧が異なる場合がある。この場合、充電後に放電した場合、検知信号は、充電前の電圧である基準電圧を超えてから、基準電圧に収束する。
【0042】
また、図8に示すように、ガスセンサ21は、個体差により、充電後に放電した場合の電圧の戻りが遅い場合がある。つまり、ガスセンサ21は、充電後に放電した後に電圧が戻るまでの時間が個体差によりばらつく場合がある。
【0043】
また、図9に示すように、ガスセンサ21がセンサオープンにより故障した場合には、容量成分Cpが無くなるため、スイッチQ1をオン状態としても、ガスセンサ21に充電されない。つまり、ガスセンサ21がセンサオープンにより故障している場合には、スイッチQ1をオン状態として、OPアンプU2の出力側の電圧が低下して電流を引き込んでもガスセンサ21には充電されない。また、ガスセンサ21に充電されないため、スイッチQ1をオン状態からオフ状態に切り替えたとしても、検知信号の電圧が大きく上昇しない。
【0044】
つまり、ガスセンサ21がセンサオープンにより故障した場合には、図10に示すように、時間T0においてスイッチQ1がオン状態とされても、検知信号が0Vまで下がらない。また、時間T1においてスイッチQ1がオフ状態とされても、検知信号は元の電圧を超えることなく、元の電圧に収束する。
【0045】
また、図11に示すように、ガスセンサ21がセンサショートにより故障した場合には、容量成分Cpが無くなるため、スイッチQ1をオン状態としても、ガスセンサ21に充電されない。つまり、ガスセンサ21がセンサショートにより故障している場合には、スイッチQ1をオン状態として、OPアンプU2の出力側の電圧が低下して電流を引き込んでもガスセンサ21には充電されない。また、ガスセンサ21に充電されないため、スイッチQ1をオン状態からオフ状態に切り替えたとしても、検知信号の電圧が大きく上昇しない。
【0046】
つまり、ガスセンサ21がセンサショートにより故障した場合には、図12に示すように、時間T0においてスイッチQ1がオン状態とされると、検知信号が0Vまで下がる。そして、時間T1においてスイッチQ1がオフ状態とされても、検知信号は元の電圧を超えることなく、元の電圧に収束する。
【0047】
ここで、本実施形態では、制御部1は、ガスセンサ21の放電後に取得した検知信号の出力と、ガスセンサ21を充電する前の検知信号の出力に基づく所定のしきい値とに基づいて、ガスセンサ21が故障しているか否かを判断する。具体的には、制御部1は、ガスセンサ21を充電してから放電後に取得した検知信号の出力が、ガスセンサ21を充電する前の検知信号の出力に基づく所定のしきい値以下であることに基づいて、ガスセンサ21が故障していると判断する。
【0048】
つまり、制御部1は、ガスセンサ21を充電する前の検知信号に基づいて、所定のしきい値を設定する。たとえば、図7に示すように、制御部1は、充電前の検知信号に基づいて所定のしきい値を設定する。図7において、充電前の検知信号の値が比較的小さい破線の波形のガスセンサ21の場合、充電前の検知信号に基づいて、所定のしきい値Th1が設定される。また、充電前の検知信号の値が比較的大きい実線の波形のガスセンサ21の場合、充電前の検知信号に基づいて、所定のしきい値Th2(Th2>Th1)が設定される。
【0049】
また、制御部1は、ガスセンサ21を充電する前の検知信号よりも大きい値を、所定のしきい値として設定する。たとえば、制御部1は、充電する前の検知信号に対して、一律の数値を加算した値を所定のしきい値として設定する。また、制御部1は、充電する前の検知信号に対して、所定の割合(たとえば、1%~10%程度)を増加させた値を所定のしきい値として設定する。
【0050】
また、本実施形態では、制御部1は、スイッチQ1によるガスセンサ21の充電(オン状態)および放電(オフ状態)を切り替えた際の信号出力部23からの検知信号に基づいて、ガスセンサ21の故障診断を行う。具体的には、制御部1は、ガスセンサ21の放電後の検知信号を異なる時間で複数取得し、全ての検知信号に基づいて、ガスセンサ21が故障しているか否かを判断する。具体的には、制御部1は、取得した検知信号のうち全ての検知信号が所定のしきい値以下であることに基づいて、ガスセンサ21が故障していると判断する。
【0051】
たとえば、図6に示すように、制御部1は、充電してから放電後の時間T2、T3およびT4において、検知信号を取得する。図6に示す例の場合、充電してから放電後の時間T1と時間T2との間において、検知信号の値が所定のしきい値Th1を超えている。つまり、検知信号は、時間T2、T3およびT4において、所定のしきい値Th1を超えている。この場合、制御部1は、ガスセンサ21が正常であると判断する。
【0052】
また、図10に示す例の場合、充電(スイッチQ1をオン状態)してから放電(スイッチQ1をオフ状態)にした後、検知信号は、所定のしきい値Th1を超えない。つまり、検知信号は、時間T2、T3およびT4のいずれにおいても、所定のしきい値Th1以下である。この場合、制御部1は、ガスセンサ21が故障していると判断する。
【0053】
また、図12に示す例の場合、充電(スイッチQ1をオン状態)してから放電(スイッチQ1をオフ状態)にした後、検知信号は、所定のしきい値Th1を超えない。つまり、検知信号は、時間T2、T3およびT4のいずれにおいても、所定のしきい値Th1以下である。この場合、制御部1は、ガスセンサ21が故障していると判断する。
【0054】
また、制御部1は、ガスセンサ21を充電してから、放電後に取得した検知信号が所定のしきい値を超えた場合、ガスセンサ21を正常と判断し、以降の故障診断のための検知信号の取得を行わないようにしてもよい。たとえば、図6に示す例では、制御部1は、充電してから放電後の時間T2において、検知信号を取得する。制御部1は、時間T2において取得した検知信号が所定のしきい値Th1を超えているため、ガスセンサ21を正常と判断する。また、制御部1は、以降の時間T3、T4における、故障診断のための検知信号の取得を行わない。また、図8に示す例では、制御部1は、充電してから放電後の時間T2において、検知信号を取得する。制御部1は、時間T2において取得した検知信号が所定のしきい値Th1以下であるため、充電してから放電後の時間T3において、検知信号を取得する。制御部1は、時間T3において取得した検知信号が所定のしきい値Th1を超えているため、ガスセンサ21を正常と判断する。また、制御部1は、以降の時間T4における、故障診断のための検知信号の取得を行わない。
【0055】
また、制御部1は、ガスセンサ21を充電してから、放電後の所定間隔毎に検知信号を取得し、取得した複数の検知信号に基づいて、ガスセンサ21の正常または故障を判断する。具体的には、図6に示すように、制御部1は、放電開始から、時間間隔Ta毎に検知信号を取得する。たとえば、時間間隔Taは、0.1秒~数秒程度である。好ましくは、時間間隔Taは、1秒程度である。
【0056】
また、制御部1は、ガスセンサ21を充電してから、放電後に、ガスセンサ21を充電する時間よりも長い所定間隔毎に検知信号を取得し、取得した複数の検知信号に基づいて、ガスセンサ21の正常または故障を判断する。たとえば、制御部1は、充電時間の数倍~数十倍程度の所定時間間隔毎に、故障を判断するための検知信号を取得する。
【0057】
また、制御部1は、ガスセンサ21を充電してから、放電後の3以上の異なる時間により検知信号を取得し、取得した3以上の複数の検知信号に基づいて、ガスセンサ21の正常または故障を判断する。たとえば、図6に示すように、制御部1は、放電後の時間T2、T3およびT4の3つの異なる時間により、故障を判断するための検知信号を取得する。
【0058】
また、本実施形態では、制御部1は、第1時点において、ガスセンサ21を充電してから放電後の所定のしきい値を超えた検知信号の、所定のしきい値との差分である第1差分を取得する。具体的には、制御部1は、第1時点において、ガスセンサ21を充電してから、放電後の異なる時間により取得した複数の検知信号のうち、所定のしきい値を超えた検知信号の、所定のしきい値との差分である第1差分を取得する。また、制御部1は、第1時点よりも後の第2時点において、ガスセンサ21を充電してから放電後の所定のしきい値を超えた検知信号の、所定のしきい値との差分である第2差分とを取得する。具体的には、制御部1は、第1時点よりも後の第2時点において、ガスセンサ21を充電してから、放電後の異なる時間により取得した複数の検知信号のうち、所定のしきい値を超えた検知信号の、所定のしきい値との差分である第2差分とを取得する。そして、制御部1は、第1差分および第2差分を比較して、ガスセンサ21の劣化状態を判断する。
【0059】
たとえば、図13に示すように、故障の判断を、最初に時点A1で行い、次に時点A2で行い、その次に時点A3で行った場合、経年により、放電後の検知信号の戻りが遅くなっていく場合がある。そこで、各時点における所定のしきい値を超えた差分を比較して、劣化状態が判断される。なお、故障を判断する時点は、たとえば、1日~数か月毎の時点である。
【0060】
図13に示す例では、時点A1では、時間T2において、検知信号が所定のしきい値Th1を超えているため、時間T2における差分が取得される。時点A2では、時間T2において、検知信号が所定のしきい値Th1を超えているため、時間T2における差分が取得される。時点A3では、時間T3において、検知信号が所定のしきい値Th1を超えているため、時間T3における差分が取得される。
【0061】
制御部1は、たとえば、各時点における差分の変化率または変化量に基づいて、ガスセンサ21の劣化の状態を判断する。
【0062】
また、制御部1は、ガスセンサ21の故障診断時の充電時間に応じて、所定のしきい値を設定する。具体的には、制御部1は、ガスセンサ21の状態に応じて、故障診断時の充電時間を変更する。そして、制御部1は、充電時間が長い場合には、充電する前の検知信号に基づく所定のしきい値を大きく設定し、充電時間が短い場合には、充電する前の検知信号に基づく所定のしきい値を小さく設定する。
【0063】
また、制御部1は、ガスセンサ21を充電してから放電後に取得した検知信号が、所定のしきい値の近傍である場合、充電時間を長くして、故障診断を再度行うようにしてもよい。たとえば、故障診断時の放電後の検知信号が所定のしきい値と略等しく、検知信号が所定のしきい値を超えるか超えないかくらいの値の場合に、制御部1は、充電時間を長くして、故障診断を再度行う。
【0064】
また、制御部1は、検知信号が所定の条件を満たす場合に、ガスセンサ21の故障診断を行わない。たとえば、制御部1は、検知信号が警報レベルのガスを検知した場合などには、ガスセンサ21の故障診断を行わないようにしてもよい。つまり、本実施形態のガス検知装置100では、雰囲気にかかわらずガスセンサ21の故障診断をおこなうことは可能だが、たとえば、使用者の保護の観点で警報を優先したり、ガスセンサ21の負荷を考慮して、診断を行なわないようにすることができる。また、制御部1は、所定期間内に検知信号の出力が1回もしくは複数回所定の値に達した場合に、ガスセンサ21の故障診断を行わないようにしてもよい。また、制御部1は、所定期間、検知信号の出力が所定の値以上の値を維持するなどした場合には故障診断を行なわないようにしてもよい。
【0065】
また、制御部1は、故障診断時以外の検知信号の累積値に基づいて、検知対象のガスを検知する。つまり、制御部1は、検知対象のガスを検知する場合には、故障診断時の検知信号が累積されている場合は、リセットした状態で、ガスの検知を開始する。
【0066】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0067】
また、本実施形態では、上記のように、ガスセンサ21の放電後に取得した検知信号の出力と、ガスセンサ21を充電する前の検知信号の出力に基づく所定のしきい値とに基づいて、ガスセンサ21が故障しているか否かを判断する制御部1を設ける。これにより、雰囲気に検知対象のガスが存在することにより、ガスセンサ21の充電時および放電時の出力電圧がばらつく場合でも、ガスセンサ21の充電する前の検知信号の出力を基準として所定のしきい値を設定することができる。これにより、ガスセンサ21を充電してから放電した場合には、検知信号の出力は充電前の値に戻るため、故障診断を行うための所定のしきい値を雰囲気に応じて適切な値に設定することができる。その結果、雰囲気によらず、ガスセンサ21の故障を精度よく診断することができる。
【0068】
また、本実施形態では、上記のように、制御部1は、ガスセンサ21を充電する前の検知信号の出力よりも大きい値を、所定のしきい値として設定する。これにより、所定のしきい値を充電前の検知信号よりも大きい値に設定することにより、故障の場合には検知信号の出力が所定のしきい値を確実に超えないようにすることができるので、故障か否かを精度よく判別することができる。
【0069】
また、本実施形態では、上記のように、ガスセンサ21の放電後の検知信号の出力を異なる時間で複数取得し、全ての検知信号の出力に基づいて、ガスセンサ21が故障しているか否かを判断する。これにより、ガスセンサ21の個体差により、ガスセンサ21の充電時および放電時の出力電圧がしきい値を超えるまでの時間にばらつきがある場合でも、放電後の異なる時間において複数の検知信号の出力を取得して、全ての検知信号の出力が所定のしきい値以下である場合に故障と診断するので、ガスセンサ21の個体差がある場合でも、ガスセンサ21の故障を精度よく診断することができる。
【0070】
また、本実施形態では、上記のように、制御部1は、ガスセンサ21の放電後の検知信号の出力を所定間隔毎に取得し、取得した複数の検知信号の出力に基づいて、ガスセンサ21の正常または故障を判断する。これにより、放電後の所定間隔毎に検知信号の出力を取得するので、放電後に連続的に検知信号の出力を取得する場合に比べて、処理負担が増大するのを軽減することができる。また、ガスセンサ21の個体差により、放電後に検知信号の出力がしきい値を超えるまでの時間にばらつきがある場合でも、所定間隔毎の検知信号の出力の取得により、ガスセンサ21の故障を精度よく診断することができる。
【0071】
また、本実施形態では、上記のように、制御部1は、ガスセンサ21を充電する時間よりも長い所定間隔毎に検知信号の出力を取得し、取得した複数の検知信号の出力に基づいて、ガスセンサ21の正常または故障を判断する。これにより、充電する時間よりも長い十分な時間間隔により、放電後の検知信号の出力を取得するので、短い時間間隔により検知信号の出力を多く取得する場合に比べて、処理負担が増大するのをより軽減することができる。
【0072】
また、本実施形態では、上記のように、制御部1は、3以上の異なる時間により検知信号の出力を取得し、取得した3以上の複数の検知信号の出力に基づいて、ガスセンサ21の正常または故障を判断する。これにより、3以上の複数のタイミングにおいて検知信号の出力を取得するので、比較的長い期間に渡って、放電後の検知信号の出力を取得して故障の判断をすることができる。
【0073】
また、本実施形態では、上記のように、制御部1は、検知信号の出力が所定の条件を満たす場合に、ガスセンサ21の故障診断を行わない。これにより、検知信号の出力が所定の条件を満たす場合には、故障診断が行われないので、故障診断を行っている間に、検知対象のガスの検知が行われなくなるのを抑制することができる。
【0074】
また、本実施形態では、上記のように、制御部1は、故障診断時以外の検知信号の出力の累積値に基づいて、検知対象のガスを検知する。これにより、故障診断時の充電時および放電時の検知信号の出力の値が累積されることがないので、検知対象のガスを誤検知するのを抑制することができる。
【0075】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0076】
たとえば、上記実施形態では、ガス検知装置に1つのガスセンサが設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ガス検知装置に互いに異なる検知対象のガスを検知するための複数のガスセンサが設けられていてもよい。この場合、制御部は、少なくとも1つのガスセンサについて本発明の診断を行ってもよい。
【0077】
また、ガス検知装置には、他の警報機能を備えていてもよい。たとえば、ガス検知装置は、火災警報(火災報知)の機能を備えていてもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、ガスセンサの診断を行う場合に、充電して放電後の複数の異なる時間において検知信号が取得される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、充電して放電後のある1つの時間において検知信号が取得されてもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、ガスセンサの診断を行う場合に、充電して放電後の3つの異なる時間において検知信号が取得される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、充電して放電後の2つまたは4つ以上の複数の異なる時間において検知信号が取得されてもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、ガスセンサの診断を行う場合に、充電して放電後の所定間隔毎に検知信号が取得される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ガスセンサの診断を行う場合に、充電して放電後に連続して複数の検知信号が取得されてもよい。また、ガスセンサの診断を行う場合に、充電して放電後に異なる時間間隔毎に検知信号が取得されてもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、ガスセンサの放電後の出力が、ガスセンサの充電前の出力に基づく所定のしきい値以下であることに基づいて、ガスセンサが故障していると判断する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ガスセンサの放電後の出力が、ガスセンサの充電前の出力に基づく所定のしきい値以上であることに基づいて、ガスセンサが故障していると判断してもよい。たとえば、ガスセンサの充電により出力が上がり、放電により出力が下がる場合に、ガスセンサの放電後の出力がしきい値より小さくならない場合に、ガスセンサが故障していると判断してもよい。
【0082】
また、ガスセンサの充電前の出力に基づく所定のしきい値から、所定の範囲を設定して、放電後のガスセンサの出力が、所定の範囲内または所定の範囲外の場合に、故障であると判断してもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 制御部
21 ガスセンサ
21a 作用極
21b 対極
100 ガス検知装置
【要約】
【課題】雰囲気によらず、ガスセンサの故障を精度よく診断することが可能なガス検知装置を提供する。
【解決手段】このガス検知装置100は、作用極21aおよび対極21bを含むガスセンサ21に電荷を貯める充電状態とガスセンサ21に貯まった電荷を放出する放電状態とを切り替えた際のガスセンサ21からの出力に基づいて、ガスセンサ21の故障診断を行う制御部1を備える。そして、制御部1は、ガスセンサ21の放電後に取得した出力と、ガスセンサ21を充電する前の出力に基づく所定のしきい値とに基づいて、ガスセンサ21が故障しているか否かを判断する。
【選択図】図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13