(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】第1の超音波センサの汚れを判定するための方法、コンピュータプログラム製品、コンピュータ可読記憶媒体、超音波センサ装置、および支援システム
(51)【国際特許分類】
G01S 7/52 20060101AFI20240704BHJP
G01S 15/931 20200101ALI20240704BHJP
G01S 15/32 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
G01S7/52 Z
G01S15/931
G01S15/32
(21)【出願番号】P 2023528151
(86)(22)【出願日】2021-11-09
(86)【国際出願番号】 EP2021081000
(87)【国際公開番号】W WO2022101150
(87)【国際公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-06-26
(31)【優先権主張番号】102020129666.5
(32)【優先日】2020-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508108903
【氏名又は名称】ヴァレオ・シャルター・ウント・ゼンゾーレン・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100202304
【氏名又は名称】塙 和也
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル、ハレック
(72)【発明者】
【氏名】デニス、アシュケナジ
【審査官】東 治企
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-200563(JP,A)
【文献】特開2018-119935(JP,A)
【文献】特開2018-128395(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03226028(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02090898(EP,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1318854(KR,B1)
【文献】特開2002-131428(JP,A)
【文献】特開2014-232070(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 1/72-1/82
G01S 3/80-3/86
G01S 5/18-5/30
G01S 7/52-7/64
G01S 15/00-15/96
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両(1)の支援システム(2)の超音波センサ装置(3)の第1の超音波センサ(4)の汚れを判定するための方法であって、前記第1の超音波センサ(4)が、前記自動車両(1)の周囲(8)に第1の超音波信号(7)を送信するために使用され、前記周囲(8)で反射された前記第1の超音波信号(7)が、前記第1の超音波センサ(4)によって受信され、前記超音波センサ装置(3)の第2の超音波センサ(5)が、前記第1の超音波信号(7)と本質的に同時に、前記第1の超音波信号(7)とは異なる第2の超音波信号(9)を前記周囲(8)に送信するために使用される、方法において、
前記第1の超音波センサ(4)が、前記周囲(8)で反射された前記第2の超音波信号(9)を受信するために使用され、受信された前記第1の超音波信号(7)が、前記超音波センサ装置(3)の電子コンピューティングデバイス(6)によって
、受信された前記第2の超音波信号(
9)と比較され、前記比較が、前記電子コンピューティングデバイス(6)によって前記汚れが判定されるための基礎として解釈されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
受信された前記第1の超音波信号(7)が、第1の受信曲線(10)の基礎とされ、受信された前記第2の超音波信号(9)が、前記電子コンピューティングデバイス(6)によって生成される第2の受信曲線(11)の基礎とされ、前記第1の受信曲線(10)が、前記第2の受信曲線(11)と比較されることを特徴とする、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
受信された前記第1の超音波信号(7)が、受信された前記第2の超音波信号(9)と異なる場合、前記第1の超音波センサ(4)の汚れがないと判定されることを特徴とする、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
受信された前記第1の超音波信号(7)が、受信された前記第2の超音波信号(9)と一致する場合、前記第1の超音波センサ(4)の汚れが判定されることを特徴とする、
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の超音波信号(7)が、前記第2の超音波信号(9)とは異なる周波数帯域で送信されることを特徴とする、
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の超音波信号(7)が、前記第2の超音波信号(9)とは異なる位相変調で送信されることを特徴とする、
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の超音波信号(7)が、前記第2の超音波信号(9)とは異なる周波数変調で送信されることを特徴とする、
請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の超音波信号(7)が、時間(t)と共に周波数が増加する周波数変調で送信され、前記第2の超音波信号(9)が、時間(t)と共に周波数が減少する周波数変調で送信されるか、または前記第1の超音波信号(7)が、時間(t)と共に周波数が減少する周波数変調で送信され、前記第2の超音波信号(9)が、時間(t)と共に周波数が増加する周波数変調で送信されることを特徴とする、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記汚れを判定するときに、前記第1の超音波センサ(4)のセンサノイズが考慮されることを特徴とする、
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の超音波センサ(4)の相関フィルタが、前記第1の超音波信号(7)および前記第2の超音波信号(9)を互いに抽出するために使用されることを特徴とする、
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記汚れの判定が、行程の開始前に実行されることを特徴とする、
請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
コンピュータプログラム製品が電子コンピューティングデバイス(6)のプロセッサ上で実行されたときに、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法を実行するための、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されたプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータプログラム製品を有するコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項14】
少なくとも1つの第1の超音波センサ(4)と、第2の超音波センサ(5)と、電子コンピューティングデバイス(6)とを有し、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法を実行するように設計された、自動車両(1)のための超音波センサ装置(3)。
【請求項15】
請求項14に記載の超音波センサ装置(3)を有する支援システム(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車両の支援システムの超音波センサ装置の第1の超音波センサの汚れを判定するための方法に関し、第1の超音波センサは、自動車両の周囲に第1の超音波信号を送信するために使用され、周囲で反射された第1の超音波信号は、第1の超音波センサによって受信され、超音波センサ装置の第2の超音波センサは、第1の超音波信号と本質的に同時に、第1の超音波信号とは異なる第2の超音波信号を周囲に送信するために使用される。さらに、本発明は、コンピュータプログラム製品、コンピュータ可読記憶媒体、超音波センサ装置、および支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術は、運転者支援システムを有する自動車両を既に開示している。様々な機能に対する要求がますます高まっており、これは超音波センサのさらなる開発が必要であることを意味する。特に、超音波センサを有する運転者支援システムは、駐車プロセスを支援するために使用され、いわゆる駐車支援システムである。この場合、駐車支援システムは、少なくとも半自律的に動作する自動車両の一部を形成する。エラーのないハードウェアに加えて、信頼できる機能は、例えば、超音波センサが利用できないときの検出も必要とする。超音波センサの一般的な課題は、検出性能を低下させ、したがって特に少なくとも半自律的に運転する自動車両の信頼性を低下させるセンサシステムの汚れの検出に関する。特に、例えば雪による汚れは、ほとんどの場合検出することができない。従来技術は、例えば、オープンビューテスト(open view test)などの手法を既に開示している。これは、超音波センサが最大感度に構成されていることを含み、この間の検出の可能性は、センサが一般に何かを検出することができ、したがって雪で汚れていないと推定するために使用される。欠点は、超音波センサが通常の構成外で動作しているため、この試験中に機能が利用できないことである。
【0003】
独国特許出願公開第10121519号明細書は、超音波センサに付着した雪または泥などの外部物質の検出を開示している。障害物が超音波センサからの波の送信を反射し、直接波が超音波センサによって受信され、その結果、障害物が検出される。超音波センサは、超音波センサによって直接受信される直接波を生成し、したがって、超音波センサは、直接波も監視するように設計される。直接波は、超音波センサに雪や泥などの外部物質が付着した場合に減衰され、この減衰に応じて外部物質の存在が検出される。
【0004】
独国特許出願公開第19924755号明細書は、距離測定装置によって放射され、物体によって反射された波信号に基づいて物体からの距離を測定するための距離測定装置であって、互いに空間的に離間した少なくとも第1および第2の送信および/または受信ユニットを使用して波信号を送信および受信するための送信/受信デバイスを有し、第1の送信および/または受信ユニットが少なくとも1つの送信機能を有し、第2の送信および/または受信ユニットが少なくとも1つの受信機能を有する、距離測定装置を提供する。2つのユニットは、第2のユニットが、第1のユニットによって放射された波信号をクロストーク信号として受信することができ、第1のユニットまたは第2のユニットのいずれかが、第1のユニットによって放射された波信号を反射信号として受信することができるように設計される。また、距離測定装置は、第2のユニットで受信されたクロストーク信号の少なくとも1つの特性パラメータを確認し、確認された特性パラメータに基づいて干渉を判定するための干渉判定デバイスを備える。
【0005】
独国特許出願公開第102011118643号明細書は、超音波を送受信するための膜を備えた第1の超音波センサを有し、第1の超音波センサが第1の共振周波数を有し、超音波を送受信するための膜を備えた超音波センサを有し、第2の超音波センサが第1の共振周波数とは異なる第2の共振周波数を有する、自動車両の運転者支援デバイスに関する。制御デバイスは、超音波センサを作動させ、少なくとも第1の超音波センサを、第1の超音波センサが第1の共振周波数で超音波を送信する第1の動作モードと、第1の超音波センサが第2の共振周波数で超音波を送信する第2の動作モードとの間で切り替えるように設計される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】独国特許出願公開第10121519号明細書
【文献】独国特許出願公開第19924755号明細書
【文献】独国特許出願公開第102011118643号明細書
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、改善された様式で超音波センサの汚れを判定するために使用することができる方法、コンピュータプログラム製品、コンピュータ可読記憶媒体、超音波センサ装置、および支援システムを提供することである。
【0008】
この目的は、独立請求項に記載の方法、コンピュータプログラム製品、コンピュータ可読記憶媒体、超音波センサ装置、および支援システムによって達成される。有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0009】
本発明の一態様は、自動車両の支援システムの超音波センサ装置の第1の超音波センサの汚れを判定するための方法に関し、第1の超音波センサは、自動車両の周囲に第1の超音波信号を送信するために使用され、周囲で反射された第1の超音波信号は、第1の超音波センサによって受信され、超音波センサ装置の第2の超音波センサは、第1の超音波信号と本質的に同時に、第1の超音波信号とは異なる第2の超音波信号を周囲に送信するために使用される。
【0010】
第1の超音波センサは、周囲で反射された第2の超音波信号を受信するために使用され、受信された第1の超音波信号は、超音波センサ装置の電子コンピューティングデバイスによって、受信された第2の超音波信号と比較され、比較は、電子コンピューティングデバイスによって汚れが判定されるための基礎として解釈されるようになっている。
【0011】
したがって、汚れの判定は、改善された様式で実行することができる。この場合、汚れは、特に超音波センサ、この場合特に第1の超音波センサに付着する物質を意味すると理解されることが意図されている。特に、例えば第1の超音波センサ上の雪は、汚れと見なすことができる。
【0012】
雪は、例えば、超音波センサの膜が適切に振動することができることを妨げる。したがって、第1の超音波センサの機能は少なくとも制限される。特に、雪は、第1の超音波センサの機能が十分に提供され得ないことを意味する。それにもかかわらず、支援システムが汚れた場合に第1の超音波センサからの該当する信号を評価する場合、これは誤検出につながる可能性がある。したがって、第1の超音波センサの汚れが確実に検出され得ることが極めて重要である。
【0013】
本発明は、変調信号によって超音波センサを拡張することが、超音波センサが信号を同時に送受信することができるだけでなく、信号を互いに区別することもできることを意味するという事実を利用する。同時に、この並列動作は、超音波センサの構成を変更することなく、エンドユーザ機能、すなわち例えば駐車機能を中断することなく、オープンビューテストの解決策へのアプローチを構成する。2つの異なる超音波信号を同時に比較する場合、これは特に、第1の超音波センサが送受信し、第1の超音波センサが隣接する超音波センサ、すなわちこの場合は第2の超音波センサの第2の超音波信号を同時に受信することを意味する。同時の測定により、通常の条件下では、2つの超音波信号に対して異なる波形が常に得られる。例えば、雪による汚れの場合、2つの波形は本質的に同一であり、いずれも反射点を含まない。
【0014】
言い換えれば、本発明による方法は、超音波センサが符号化された、すなわち区別可能な超音波信号を送信する可能性を使用する。超音波センサは、例えば、2つの重畳された符号化エコーを含む受信信号から2つの符号化エコーを抽出することができる。ここで、第1の超音波センサが遮断されている場合、2つの抽出された超音波信号の信号は、本質的にセンサノイズのみを含むと仮定する。すなわち、結果が両方の符号化について同じである場合、遮断がある。符号化の結果が異なる場合、汚れはない。
【0015】
2つの超音波信号は、好ましくは同時に、すなわち同じ時刻に送信される。この場合、同時にとは、特に、第1の超音波信号および第2の超音波信号が時間遅延なしに送信されることを意味すると理解されることが意図される。もちろん、技術的状況から、送信中に最小の時間差が生じることを意味し得るが、本発明による方法の説明のためにこの場合には無視される。
【0016】
有利な一実施形態によれば、受信された第1の超音波信号は、第1の受信曲線の基礎とされ、受信された第2の超音波信号は、電子コンピューティングデバイスによって生成される第2の受信曲線の基礎とされ、第1の受信曲線は、第2の受信曲線と比較される。特に、受信曲線は、経時的に分解された受信振幅を有する。例えば地面からの反射に基づいて、受信曲線内にエコーが生じる。受信曲線の比較を使用して、第1の超音波センサが汚れているかどうかを判定することができる。特に、2つの受信曲線が本質的に異なる場合、汚れがないと仮定することができる。受信曲線が本質的に一致する場合、汚れがあると仮定することができる。特に、受信曲線は、汚れた場合にエコー振幅を有さない。これは、第1の超音波センサの汚れを識別するためにも使用することができる。
【0017】
受信された第1の超音波信号が、受信された第2の超音波信号と異なる場合に、第1の超音波センサの汚れがないと判定される場合も有利である。特に、受信された2つの超音波信号が互いに異なる場合、したがって、オープンスペーステストが正であり、第1の超音波センサの汚れがないと仮定することができる。したがって、第1の超音波センサは正常な機能を有すると結論付けることができる。
【0018】
さらに、受信された第1の超音波信号が、受信された第2の超音波信号と一致する場合、第1の超音波センサの汚れが判定される場合に有利であることが分かった。特に、受信された信号は本質的に一致する。比較結果から、第1の超音波信号と第2の超音波信号とが本質的に同じであることが判明した場合、したがって、第1の超音波センサの汚れがあると結論付けることができる。次いで、これを次に、支援システムに通知することができ、例えば駐車機能の場合、この超音波センサからの超音波信号の評価は無視される。
【0019】
さらなる有利な実施形態では、第1の超音波信号は、第2の超音波信号とは異なる周波数帯域で送信される。異なる周波数帯域での送信は、異なる超音波信号を送信することを可能にする。したがって、第1の超音波センサにおける適切な抽出を使用して、第1の超音波信号を第2の超音波信号から確実に区別することができる。これにより、2つの超音波信号の信頼できる比較を実施することができる。
【0020】
第1の超音波信号が第2の超音波信号とは異なる位相変調で送信される場合も有利である。位相変調は、送信信号内で生じる位相シフトをもたらす。したがって、位相変調により、第1の超音波信号を第2の超音波信号から確実に区別することができる。これにより、信頼できる汚れの判定を実行することが可能になる。
【0021】
さらに、第1の超音波信号が第2の超音波信号とは異なる周波数変調で送信される場合に有利であることが分かった。したがって、特に、第1の超音波信号は、第2の超音波信号とは異なる周波数変調を有する。これにより、第1の超音波センサによって第1の超音波信号を第2の超音波信号から確実に区別することが可能になる。したがって、信頼できる比較、したがって信頼できる汚れの判定を実施することができる。
【0022】
さらなる有利な実施形態によれば、第1の超音波信号が、時間と共に周波数が増加する周波数変調で送信され、第2の超音波信号が、時間と共に周波数が減少する周波数変調で送信されるか、または第1の超音波信号が、時間と共に周波数が減少する周波数変調で送信され、第2の超音波信号が、時間と共に周波数が増加する周波数変調で送信される。時間と共に周波数が増加する超音波信号は、チャープアップとも呼ばれ得る。時間と共に周波数が減少する超音波信号は、チャープダウンとも呼ばれる。特に、例えば、第1の超音波信号はチャープアップ信号として送信され、第2の超音波信号はチャープダウン信号として送信される。あるいは、これは逆に行うこともできる。これにより、第1の超音波センサが、第1の超音波信号を第2の超音波信号から確実に区別することが可能になる。したがって、2つの超音波信号の信頼できる比較が実施され得る。これは、有利には、判定を可能にする。
【0023】
汚れを判定するときに第1の超音波センサのセンサノイズが考慮される場合も有利である。特に、センサノイズは、汚れがあっても、第1の超音波信号を第2の超音波信号とは異なるものにする可能性がある。これは、特にセンサ内部ノイズに基づく。センサ内部ノイズを考慮に入れることにより、汚れを確実に判定することが可能になる。
第1の超音波センサの相関フィルタを使用して、第1の超音波信号および第2の超音波信号を互いに抽出することができる場合も有利である。相関フィルタは、第1の超音波信号および第2の超音波信号を確実に抽出することを可能にする。したがって、2つの超音波信号の信頼できる比較が実施され得る。
【0024】
さらなる有利な実施形態では、汚れの判定は、行程の開始前に実行される。例えば、オープンスペーステストは、自動車両において点火が開始された後に実行することができる。例えば、第1の超音波信号および第2の超音波信号は、自動車両のユーザが乗車した後かつ点火が開始された後に送信され得る。これは、行程が実際に始まる前に汚れチェックが実行され得ることを意味する。代替的または追加的に、汚れの判定を運転中に、特に所定の時間間隔で実行することも可能である。例えば、ユーザが駐車ボタンを押した後に適切な汚れチェックが実行されるようにすることもでき、その結果、ユーザは特に駐車プロセスを開始することができる。
【0025】
本発明による方法は、特にコンピュータ実装方法である。
【0026】
本発明のさらなる態様は、コンピュータプログラム製品が電子コンピューティングデバイスのプロセッサ上で実行されたときに、前述の態様による第1の超音波センサの汚れを判定するための方法を実行するための、コンピュータ可読媒体に記憶されたプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品に関する。
【0027】
本発明のさらに別の態様は、前述の態様によるコンピュータプログラム製品を有するコンピュータ可読記憶媒体に関する。コンピュータ可読記憶媒体は、特に電子コンピューティングデバイスの一部として設計することができる。
【0028】
本発明のさらに別の態様は、少なくとも1つの第1の超音波センサと、第2の超音波センサと、電子コンピューティングデバイスとを有し、前述の態様による方法を実行するように設計された、自動車両の超音波センサ装置に関する。特に、本方法は、超音波センサ装置によって実行される。
【0029】
本発明のさらに別の態様は、前述の態様による超音波センサ装置を有する支援システムに関する。
【0030】
本発明のさらに別の態様は、前述の態様による支援システムを有する自動車両に関する。自動車両は、少なくとも半自律的、特に完全自律的な形態である。さらに、自動車両は、特に乗用車の形態である。
【0031】
本方法の有利な構成は、コンピュータプログラム製品、コンピュータ可読記憶媒体、超音波センサ装置、支援システム、および自動車両の有利な構成と見なされることが意図されている。この目的のために、超音波センサ装置、支援システム、および自動車両は、本方法およびその有利な実施形態を実行することを可能にする特定の特徴を有する。
【0032】
本発明のさらなる特徴は、特許請求の範囲、図面および図面の説明から明らかである。上記の説明で引用された特徴および特徴の組み合わせ、ならびに同様に、以下の図の説明で引用された、および/または図のみに示された特徴および特徴の組み合わせは、それぞれ示された組み合わせだけでなく、本発明の範囲から逸脱することなく他の組み合わせでも使用することができる。したがって、本発明はまた、図には明示的に示され説明されていないが、特徴の別個の組み合わせによって説明された実施形態からもたらされ、生成され得る実施形態を含み、開示すると見なされることが意図される。したがって、最初に策定された独立請求項のすべての特徴を有さない実施形態および特徴の組み合わせも開示されていると見なされるべきである。さらに、特許請求の範囲の後方参照文献に記載されている特徴の組み合わせを超えるかまたは異なる実施形態および特徴の組み合わせは、特に上記の実施形態によって開示されていると見なされるべきである。
【0033】
ここで、本発明を、好ましい例示的な実施形態を使用して、添付の図面を参照して、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】支援システムの一実施形態を有する自動車両の一実施形態の概略平面図を示す。
【
図3】受信された超音波信号のさらなる概略グラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図面において、同一または機能的に同一の要素には同じ参照符号が付されている。
【0036】
図1は、支援システム2の一実施形態を有する自動車両1の一実施形態の概略平面図を示す。支援システム2は、例えば、駐車支援システム2として実現され得る。自動車両1は、少なくとも半自律的、特に完全自律的な形態であり得る。自動車両1または支援システム2は、超音波センサ装置3を有する。超音波センサ装置3は、本例示的実施形態では2つの超音波センサ4、5を有する。この時点で、これは純粋に例示的なものであることに言及すべきである。超音波センサ装置3は、さらなる超音波センサ4、5を有することもできる。本例示的実施形態では、超音波センサ装置3は、自動車両1の前部に形成される。言うまでもなく、超音波センサ装置3は、例えば、自動車両1の後端部および/または側部に形成することもできる。
【0037】
本発明による方法を実行することを可能にするために、超音波センサ装置3は、特に電子コンピューティングデバイス6も有する。電子コンピューティングデバイス6は、次に、例えば、コンピュータ可読記憶媒体およびコンピュータプログラム製品を有し、これらは、この場合には図示されていない。
【0038】
自動車両1の支援システム2の超音波センサ装置3の第1の超音波センサ4の汚れを判定するための方法は、第1の超音波センサ4が、自動車両1の周囲8に第1の超音波信号7を送信するために使用され、周囲8で反射された第1の超音波信号7が、第1の超音波センサ4によって受信されることと、第2の超音波センサ5が、第1の超音波信号7と本質的に同時に、第1の超音波信号7とは異なる第2の超音波信号9を周囲8に送信するために使用されることとを含む。
【0039】
第1の超音波センサ4は、周囲8で反射された第2の超音波信号9を受信するために使用され、受信された第1の超音波信号7は、超音波センサ装置3の電子コンピューティングデバイス6によって、受信された第2の超音波信号9と比較され、比較は、電子コンピューティングデバイス6によって汚れが判定されるための基礎として解釈されるようになっている。
【0040】
特に、第1の超音波信号7は、第2の超音波信号9とは異なる周波数帯域で送信されるようになっている。代替的または追加的に、第1の超音波信号7は、第2の超音波信号9とは異なる位相変調で送信され得る。再び代替的または追加的に、第1の超音波信号7は、第2の超音波信号9とは異なる周波数変調で送信され得る。さらに、第1の超音波信号7が、時間tと共に周波数が増加する周波数変調で送信され(
図2)、第2の超音波信号9が、時間tと共に周波数が減少する周波数変調で送信されるか、または第1の超音波信号7が、時間tと共に周波数が減少する周波数変調で送信され、第2の超音波信号が、時間tと共に周波数が増加する周波数変調で送信されるようになっている。時間と共に周波数が増加する超音波信号7、9は、特にチャープアップと呼ばれる。時間tと共に周波数が減少する超音波信号7、9は、特にチャープダウンと呼ばれる。
【0041】
さらに、特に、汚れの判定は、行程の開始前に実行されるようになり得る。
【0042】
図2は、受信された異なる超音波信号7、9の概略グラフを示す。この場合、超音波信号7、9は、特に受信曲線10、11として示されている。時間tは横座標に、振幅は縦座標にプロットされている。特に、
図2は、受信曲線10、11が該当のエコーを有することを示しており、これは、異なる時間tに対する該当の異なる振幅によって示されている。
【0043】
特に、この場合は、受信された第1の超音波信号7が、第1の受信曲線10の基礎とされ、受信された第2の超音波信号9が、電子コンピューティングデバイス6によって生成される第2の受信曲線11の基礎とされ、第1の受信曲線10が、第2の受信曲線11と比較されることを示している。
図2は、特に、超音波信号7、9または受信曲線10、11が互いに異なることを示している。特に、受信された第1の超音波信号7が、受信された第2の超音波信号9と異なる場合、第1の超音波センサ4の汚れがないと判定され得る。
【0044】
この場合に示すように、超音波信号7、9は、相関フィルタを使用して抽出され得る。したがって、第1の超音波信号7は、第2の超音波信号9から確実に区別され得る。
【0045】
したがって、
図2は、特にいわゆる包絡線を示し、第1の受信曲線10は、第1の超音波センサ4による、それ自体が送信した第1の超音波信号7の直接測定を表し、第2の受信曲線11は、第2の超音波センサ5の第2の超音波信号9の間接測定を表す。例えば地面からの異なる反射のために、2つの受信曲線10、11は互いに大きく異なる。
【0046】
図3は、受信された超音波信号7、9に関するさらなる概略グラフを示す。
図3は、再び、第1の受信曲線10および第2の受信曲線11を示す。この場合、特に、第1の受信曲線10と第2の受信曲線11との間、または第1の超音波信号7と第2の超音波信号9との間の一致を記録することが本質的に可能であることが分かる。特に、受信された第1の超音波信号7が第2の超音波信号9と一致する場合、第1の超音波センサ4の汚れが判定され得る。特に、
図3は、第1の超音波センサ4が汚れのために何も検出することができないことを示し、これは、特に、第1の受信曲線10および第2の受信曲線11がもはやエコーを含まず、本質的に同じであることを特徴とする。
【0047】
特に、時間tと共に、特に後の受信時間において、経過と共に増幅されるバックグラウンドノイズが示されることが分かる。特に、ここで、汚れを判定するときに第1の超音波センサ4のセンサノイズが考慮されるようになり得る。
【0048】
提案された方法を使用して、特に、単一の測定サイクル内で汚れを得ることができる。特に、超音波センサ装置3の追加の構成は不要である。さらに、超音波センサ装置3の機能、例えば駐車機能を中断する必要はない。この場合は、例えば、移動平均の比較、もしくは2つの受信曲線10、11の減算の結果としての単純な方法、または他の非常に単純な比較方法も含む。さらに、本発明による方法は、変調のタイプとは無関係である。
【0049】
特に、
図1~
図3は、チャネル比較による第1の超音波センサ4のブラインド検出を示す。