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特許7515029積み重ねられたインペラを備えたターボ機械ロータ及びターボ機械
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】積み重ねられたインペラを備えたターボ機械ロータ及びターボ機械
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/62 20060101AFI20240704BHJP
   F04D 29/28 20060101ALI20240704BHJP
   F04D 29/66 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
F04D29/62 C
F04D29/28 L
F04D29/66 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023558956
(86)(22)【出願日】2022-04-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(86)【国際出願番号】 EP2022025179
(87)【国際公開番号】W WO2022228727
(87)【国際公開日】2022-11-03
【審査請求日】2023-09-25
(31)【優先権主張番号】102021000010781
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】カンジオリ,フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】グリエルモ,アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンニーニ,ジュゼッペ
(72)【発明者】
【氏名】フォルミキーニ,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】テンペスティーニ,マッシミリアーノ
(72)【発明者】
【氏名】マティナ,ダリオ
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第1970528(EP,A1)
【文献】特公昭50-36683(JP,B1)
【文献】国際公開第2016/060686(WO,A1)
【文献】米国特許第4037404(US,A)
【文献】米国特許第6250883(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/62
F04D 29/66
F04D 29/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボ機械用のロータであって、
互いに軸方向に隣接して配置された複数のロータセグメントであって、それぞれのロータセグメントは中央貫通ボアを含む、複数のロータセグメントと、
前記ロータセグメントの前記貫通ボアを通って延在するタイロッドであって、前記タイロッドは対向する第1の軸方向端部及び第2の軸方向端部を有する、タイロッドと、
前記タイロッドの前記第1の軸方向端部及び前記第2の軸方向端部に配置され、前記ロータセグメントを互いに対して、かつ前記タイロッドに対してロックするように適合された、対向する第1のロッキング部材及び第2のロッキング部材と、
前記タイロッドの前記第1の軸方向端部と前記第2の軸方向端部との間、及び前記タイロッドと前記ロータセグメントのうちの1つとの間の中間位置に配置された、少なくとも1つの中間支持部材と、を備え、
前記中間支持部材は、前記タイロッドに連結され、前記タイロッドと共に回転する内側環状構成要素と、前記1つのロータセグメントと協働するように適合された外側環状構成要素と、を含み、
前記外側環状構成要素は複数の環状セグメントを含み、それぞれの環状セグメントは、前記内側環状構成要素と前記環状セグメントとの間に配置された少なくとも1つの弾性部材によって前記内側環状構成要素に弾性的に連結されており、
前記内側環状構成要素、前記外側環状構成要素の前記環状セグメント、及び前記弾性部材は、モノリシック機械構成要素として形成されている、ロータ。
【請求項2】
それぞれの環状セグメントは、隣接する前記環状セグメントから機械的に分離されている、請求項1に記載のロータ。
【請求項3】
前記内側環状構成要素、前記環状セグメント、及び前記弾性部材は、積層造形によって単一体として形成されている、請求項1又は2に記載のロータ。
【請求項4】
静止時に、前記外側環状構成要素の外径は、前記中間支持部材が収容される前記ロータセグメントのボアの内径より小さく、前記ロータが回転駆動されると、前記環状セグメントは、前記環状セグメントに作用する遠心力の影響下で膨張し、前記タイロッドに中間支持拘束を提供し、前記タイロッドの剛化、及び結果としての前記タイロッドの第1の共振周波数の増加を引き起こす、請求項1又は2又は3に記載のロータ。
【請求項5】
前記弾性部材の特性は、前記環状セグメントが前記ロータの公称回転速度の70%以下の回転速度で前記ロータセグメントの前記ボアと係合するようなものである、請求項4に記載のロータ。
【請求項6】
前記タイロッドは、中間セクションと、前記第1の軸方向端部から前記中間セクションまで延在する第1の側部セクションと、前記第2の軸方向端部から前記中間セクションまで延在する第2の側部セクションと、を含み、前記中間セクションは、前記第1の側部セクション及び前記第2の側部セクションのうちの少なくとも1つの直径より大きい直径を有し、前記少なくとも1つの中間支持部材は、前記中間セクションにおいて前記タイロッドに対してロックされている、請求項1~5のいずれか一項以上に記載のロータ。
【請求項7】
前記ロータセグメントは、遠心圧縮機インペラを含み、前記中間支持部材は、前記遠心圧縮機インペラのうちの1つの中央貫通ボア内に配置される、請求項1~6のいずれか一項以上に記載のロータ。
【請求項8】
前記ロータセグメントは、第1の遠心圧縮機インペラのセット及び第2の遠心圧縮機インペラのセットを含み、前記第1の遠心圧縮機インペラのセット及び前記第2の遠心圧縮機インペラのセットは、背中合わせの構成で配置されており、前記ロータセグメントは、前記第1の遠心圧縮機インペラのセットと前記第2の遠心圧縮機インペラのセットとの間に配置された相間ドラムを更に含み、前記中間支持部材は、前記相間ドラムの前記中央貫通ボア内に配置されている、請求項1~6のいずれか一項以上に記載のロータ。
【請求項9】
前記タイロッドの前記第1の軸方向端部にある第1のスタブシャフトと、前記タイロッドの前記第2の軸方向端部にある第2のスタブシャフトと、を更に備える、請求項1~8のいずれか一項以上に記載のロータ。
【請求項10】
ケーシングと、前記ケーシング内で回転するように配置された請求項1~9のいずれか一項以上に記載のロータと、を含む、ターボ機械。
【請求項11】
前記ターボ機械は、圧縮機である、請求項10に記載のターボ機械。
【請求項12】
前記圧縮機は、遠心圧縮機である、請求項11に記載のターボ機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題の実施形態は、複数のインペラを含むターボ機械用のロータ、並びに当該ロータを備えるターボ機械に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかのターボ機械は、一緒に組み立てられた複数のロータセグメントからなるロータを含む。例えば、遠心圧縮機は、ロータの回転軸線に沿って順番に配置された複数のインペラを含むロータを備える。
【0003】
インペラは、様々な方法で組み立てられ得る。インペラを組み立てる1つの方法は、インペラをシャフトに焼きばめすることにある。この組み立て技術は、主に、高い回転速度でインペラが、インペラに作用する遠心力によって半径方向に膨張するという事実に起因して、いくつかの欠点を有する。これは、インペラと回転シャフトとの間の焼きばめ結合の緩みにつながる可能性がある。したがって、焼きばめインペラの使用は、比較的低速で回転するターボ機械及び/又は小さなインペラに限定される。
【0004】
より大きなインペラでより高い回転速度を達成するために、いわゆる積み重ね構成が使用される。この場合、それぞれのインペラには軸方向の貫通ボアが提供される。インペラは、互いに軸方向に隣接して積み重ねられ、軸方向タイロッドが、積み重ねられたインペラのボアを通して導入される。タイロッドは、タイロッドによって最初のインペラ及び最後のインペラに軸方向の力が加えられて、すべてのインペラが一緒にしっかりと保持され得るように、最初のインペラ及び最後のインペラから軸方向に突出している。互いに積み重ねられたインペラには、インペラを互いにねじり結合するために、ハース連結具などの前部連結具が提供される。
【0005】
積み重ねられたインペラは、高速ターボ機械において有益であるが、依然としていくつかの制限を受ける。具体的には、タイロッドの軸方向長さ及び/又はタイロッドを含むターボ機械の動作回転速度は、自由に選択することができない。回転機械の任意の回転構成要素としてのタイロッドは、それ自体の共振周波数によって特徴付けられる。ターボ機械の動作回転速度は、タイロッドの第1の共振周波数以上であることはできない。ターボ機械の回転速度を増加させるためには、より短いタイロッドが使用される必要があり、このことは、同じタイロッドに取り付けられ得るインペラの数に制限を課す。同じロータ上に積み重ね可能なインペラの数が少ないと、単一の圧縮機で達成できる圧縮比が制限される。より高い圧縮機比が必要とされる場合、2つ以上の圧縮機が順番に配置される必要がある。これは、圧縮配置のコスト及び設置面積を増加させる。
【0006】
欧州特許第1970528号は、互いに軸方向に隣接して配置された複数のインペラと、インペラのボアを通って延在するタイロッドと、を含むタービンロータを開示している。タイロッドの第1の軸方向端部及び第2の軸方向端部に配置された対向する第1のロッキング部材及び第2のロッキング部材は、インペラを互いに対して、かつタイロッドに対してロックする。タービンロータの回転中のタイロッドの振動を低減するために、中間支持部材が、ロータの中間位置においてインペラのうちの1つの貫通ボア内に配置される。中間支持部材は、互いに組み合わされた複数の別個の機械構成要素からなる。具体的には、中間支持部材は、タイロッドに焼きばめされる内側環状構成要素と、内側環状構成要素の周りに円周方向に配置される複数の外側構成要素と、を含む。それぞれの外側構成要素は、中間支持部材が収容されるインペラの貫通ボアの内面に対して半径方向ばね及び接線方向ばねによって弾性的に付勢される。外側構成要素が中間インペラの貫通ボアの内面に対して永久的に付勢され、タイロッドがタービンロータの任意の回転速度において、並びにロータが静止しているときにボア内で弾性的に支持されるように、ばねには予荷重が加えられる。
【0007】
ロータにおける中間支持部材の組み立ては、複雑で時間のかかる作業である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術のターボ機械ロータの欠点のうちの1つ以上を解決又は軽減するために、本開示のいくつかの実施形態では、互いに軸方向に隣接して配置された複数のロータセグメントを備え、それぞれのロータセグメントは中央貫通ボア又は穴を含む、ターボ機械用のロータが提供される。タイロッドは、ロータセグメントのボアを通って延在し、対向する第1の軸方向端部及び第2の軸方向端部で第1のロータセグメント及び最後のロータセグメントから軸方向に突出する。対向する第1のロッキング部材及び第2のロッキング部材は、タイロッドの第1の軸方向端部及び第2の軸方向端部に配置され、ロータセグメントを互いに対して、かつタイロッドに対してロックするように適合される。タイロッドの第1の共振周波数を増加させるために、少なくとも1つの中間支持部材が、タイロッドの第1の軸方向端部と第2の軸方向端部との間、及びタイロッドとロータセグメントのうちの1つとの間の中間位置に配置される。中間支持部材は、内側環状構成要素及び外側環状構成要素を含み、後者は、複数の環状セグメントによって形成される。それぞれの環状セグメントは、内側環状構成要素とそれぞれの環状セグメントとの間に配置された少なくとも1つの弾性部材によって内側環状構成要素に弾性的に連結される。内側環状構成要素、外側環状構成要素の環状セグメント、及び弾性部材は、例えば積層造形によって、モノリシック機械構成要素として形成される。
【0009】
ロータへの中間支持部材の取付けは簡単かつ迅速である。中間環状部材は、タイロッドに嵌合される。中間支持部材の弾性部材には予荷重が加えられていないので、中間支持部材が圧入されたタイロッドは、積み重ねられたロータ部材の軸方向の貫通ボアに簡単に導入され得る。環状セグメントは、ロータが回転駆動され、外側環状セグメントが遠心力の影響下で膨張するときにのみ、膨張し、中間支持部材を収容するボアの内面と協働する。タイロッドの第1の臨界(共振)速度が達成される前に、ボアと外側環状セグメントとの間の協働が確立され、その結果、臨界速度が増加する。
【0010】
ロータの組み立てを更に容易にするために、本明細書に開示される実施形態によれば、静止時、すなわちロータの回転速度が0のとき、外側環状構成要素の外径は、中間支持部材が収容されるボアの内径よりも小さい。ロータが回転駆動されると、環状セグメントは膨張し、中間支持部材を収容するボアの内面を押圧する。
【0011】
したがって、タイロッドの第1の臨界(共振)周波数付近でロータを動作させるリスクなしに、より長いタイロッド及び/又はロータのより高い回転速度が可能である。
【0012】
ロータ及びロータを含むターボ機械の特徴及び実施形態は、ロータ及びターボ機械の例示的な実施形態を示す添付図面を参照して、以下の説明においてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
ここで、添付図面を簡単に参照する。
図1図1は、一実施形態による遠心圧縮機の断面図である。
図2図2は、図1の拡大詳細図である。
図3図3は、図2の線III-IIIによる概略断面図である。
図4図4は、別の実施形態による遠心圧縮機のロータの断面図である。
図5図5は、図4の拡大詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
積み重ねられたインペラの配置を有するターボ機械ロータにおけるタイロッドの剛性を高めるために、少なくとも1つの中間支持部材が、タイロッドとターボ機械ロータを形成する要素のうちの1つとの間に提供される。中間支持部材は、タイロッドの第1の共振周波数を増加させ、それにより、ロータは、タイロッドにおいて共振現象が生じるリスクなしに、より高い動作速度で回転することができる。したがって、同じタイロッド上により多くのインペラを用いてより高い回転速度が達成され得、これは、例えば水素などの低分子量ガスを処理するとき、及び/又は高い圧縮比が望ましいときに特に有益である。
【0015】
以下、図面を参照すると、図1は、実施形態による遠心圧縮機1の断面図を示す。遠心圧縮機1は、第1のガス入口5と、第1のガス出口7と、第2のガス入口9と、第2のガス出口11と、を有するケーシング3を含む。図示されていない他の実施形態では、遠心圧縮機は、単一のガス入口及び単一のガス出口を有してもよい。2つの入口及び2つの出口が提供されている場合、圧縮機効率を高めるために、部分的に圧縮されたガスの中間冷却が予見され得る。
【0016】
遠心圧縮機1は、ケーシング3内で回転するように配置されたロータ13を更に含む。ロータ13は、軸方向に互いに隣接して配置された複数のロータセグメントを備える。図1の実施形態では、ロータセグメントは、複数の遠心圧縮機インペラ15を含む。図1の遠心圧縮機1は、7つのインペラ15を含む。インペラの数並びにそれらの配置は異なり得ることが理解されるべきである。例えば、7つより多いインペラ又は7つより少ないインペラがロータ13に沿って配置され得る。
【0017】
図1の実施形態では、インペラ15は、上流から下流への順番でインライン構成に配置されており、図面を見て、最低圧力インペラは圧縮機1の左側に配置され、最高圧力インペラは圧縮機1の右側に配置されている。
【0018】
図1の実施形態では、インペラは、3つのインペラを含む第1の圧縮機セクションと、4つのインペラを含む第2の圧縮機セクションと、にグループ化されている。第1の圧縮機セクションは、第1のガス入口5を通してより低い圧力でガスを受け取り、第1のガス出口7を通して中間圧力でガスを送出する。中間圧力で部分的に加圧されたガスは、第2のガス入口9を通って第2の圧縮機セクションに入り、第2のガス出口11を通って最終送出圧力で送出される。中間冷却器は、第1のガス出口7と第2のガス入口9との間に流体連結され得る。
【0019】
それぞれのインペラ15は、それぞれのディフューザ16と協働し、戻りチャネル18を介してそれぞれの下流インペラに流体連結され得る。
【0020】
ロータ13は、それぞれのインペラ15のそれぞれのハブ15Bに提供されたそれぞれの貫通ボア15Aを通って延在するタイロッド17を更に備える。タイロッド17は、第1の軸方向端部17A及び第2の軸方向端部17Bを有する。
【0021】
実施形態では、第1の軸方向端部17A及び第2の端部17Bは、ねじ切りされ、それぞれ第1のスタブシャフト19及び第2のスタブシャフト21と協働する。第1のスタブシャフト19は、タイロッド17の第1の端部17Aが係合されるねじ付き止まり穴19Aを有し得る。第2のスタブシャフト21は、タイロッド17の第2の端部17Bが係合されるねじ付き止まり穴21Aを有し得る。第1のスタブシャフト19及び第2のスタブシャフト21は、対向する第1のロッキング部材及び第2のロッキング部材を形成するか、又はその一部である。
【0022】
したがって、タイロッド17は、2つのスタブシャフト19、21をタイロッド17の2つの端部17A、17Bにねじ込むことによって張力下に置かれ得る。2つのスタブシャフト19、21は、積み重ね構成において、積み重ねられたインペラ15を互いに押し付ける。
【0023】
実施形態では、インペラハブ15Bには、それぞれのインペラを隣接するインペラ及びスタブシャフト19、21と回転方向にロックする前部連結具が提供され得る。いくつかの実施形態では、前部連結具は、それぞれのハース連結具23(特に、図2の拡大図を参照)を含み、ハース連結具23は、インペラ15、タイロッド17、及びスタブシャフト19、21が、回転軸線A-Aの周りを回転するように適合された単一のロータ本体を一緒に形成するように、ロータの軸線A-Aの周りの相互回転に対してインペラをロックする。更に、それぞれのスタブシャフト19、21と隣接するインペラ15との間に、それぞれのハース連結具22、24が提供され得る。
【0024】
ハース連結具は、相互に積み重ねられたインペラ15間の特に効率的なねじり連結具を提供するが、異なる前部連結具又は継手の使用は除外されない。
【0025】
タイロッド17の軸方向の延長部に沿った中間位置には、中間支持部材31が取り付けられる。いくつかの実施形態では、中間支持部材31は、タイロッド17上に圧入されるか又はキー止めされ得る。
【0026】
図1の実施形態では、中間支持部材31は、第1のガス入口5から(すなわち、図1の左側から)4番目のインペラの高さに位置する。図2は、中間支持部材31が位置するロータ13の部分の拡大図を示す。図3は、図2の線III-IIIによる、中間支持部材31及びタイロッド17の概略機能断面図を示す。
【0027】
図3に示すように、いくつかの実施形態では、中間支持部材31は、内側環状構成要素33及び外側環状構成要素35を含む。内側環状構成要素31は、タイロッド17と共に回転するようにタイロッド17に取り付けられる。例えば、内側環状構成要素31は、タイロッド17に圧入されるか又はキー止めされ得る。
【0028】
具体的には、内側環状構成要素33は、タイロッド17の中間セクション17Cに圧入されるか又はキー止めされ得る。中間支持部材31の挿入及び嵌合を容易にするために、タイロッド17は、第1の軸方向端部17Aから中間セクション17Cまで延在する第1の側部セクションと、第2の軸方向端部17Bから中間セクション17Cまで延在する第2の側部セクションと、を有し得る。中間セクション17Cは、第1の側部セクション及び/又は第2の側部セクションの直径よりもわずかに大きい直径を有し得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、内側環状構成要素33は一体の環状部材であり、外側環状構成要素35は複数の環状セグメント35Aに分割され、複数の環状セグメント35Aはそれぞれの間隙によって互いに分離される。図3の実施形態では、外側環状構成要素35は、4つの環状セグメント35Aに分割されている。環状セグメントの数は異なり得ることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、2つ、3つ、又は4つよりも多い環状セグメント35Aが提供されてもよい。
【0030】
内側環状構成要素33は、内側環状構成要素33と外側環状構成要素35との間の環状間隙内に配置された弾性部材37によって外側環状構成要素35に連結される。より具体的には、外側環状構成要素35のそれぞれの単一環状セグメント35Aは、1つ以上の弾性部材37を介して内側環状構成要素33に弾性的に接続される。
【0031】
いくつかの実施形態では、内側環状構成要素33、外側環状構成要素35、すなわちその環状セグメント35A、及び弾性部材37は、モノリシック機械構成要素として製造され得る。いくつかの実施形態では、例えば、内側環状構成要素33、環状セグメント35A、及び弾性部材37は、積層造形によって製造され得る。
【0032】
他の実施形態では、中間支持部材31は、共に組み立てられた別個の構成要素によって形成され得る。
【0033】
静止状態では、外側環状構成要素35の外径は、中間支持部材31が収容されるインペラ15のボアの内径よりわずかに小さい。
【0034】
ロータ13が回転軸線A-Aを中心に回転するとき、外側環状構成要素35を形成する環状セグメント35Aに作用する遠心力は、外側環状構成要素35のそれぞれの環状セグメント35Aが中間支持部材31を収容するインペラ15の貫通ボアの内面に当接して押圧するまで、弾性部材37を伸長させる。弾性部材37及び外側環状構成要素35の環状セグメント35Aは、環状セグメント35Aが、中間支持部材31が収容されるインペラ15の貫通ボアの内面に接触する回転速度が、タイロッド17の第1の共振周波数より実質的に低くなるように構成されている。
【0035】
圧縮機1が回転駆動されると、環状セグメント35Aは膨張し、タイロッド17に対する中間支持拘束を提供し、タイロッド17の剛化、及び結果としてのタイロッド17の第1の臨界速度、すなわち第1の共振周波数の増加をもたらす。第1の臨界速度は、圧縮機1の運転速度より高くなり、すなわちロータ13の回転速度より高くなる。
【0036】
有利な実施形態では、弾性部材37の特性は、外側環状構成要素35が、例えば圧縮機1の公称回転速度の70%以下、例えば当該公称圧縮機速度又は圧縮機1の動作速度範囲の最小速度の40%~60%であり得る回転速度でインペラ15と係合するようなものであり得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、図2に示されるように、中間支持部材31は、それぞれのインペラ15のインペラアイに収容される。なぜなら、インペラアイは、ロータの回転によって生成される遠心力によってあまり変形されないインペラ部分であるからである。
【0038】
図1では、圧縮機1は、複数のインラインインペラを含む。他の実施形態では、圧縮機は、背中合わせのインペラ構成を有してもよい。背中合わせの構成の例示的な実施形態が図4に示されており、ここではロータのみが示されている。なお、図1及び図2では、同一又は同等の構成要素には同一の参照番号が付されており、再び説明されることはない。
【0039】
より具体的には、図4の圧縮機ロータ13は、2つのセクションに分割された7つのインペラを含む。3つのインペラ15Xがロータ13の左側に示され、4つのインペラ15Yがロータの右側に示されている。インペラ15Xは、インペラアイ及びインペラ入口がロータ13の左端に向くように配置され、インペラ15Yは、インペラアイ及びインペラ入口がロータ13の右端に向くように配置されている。
【0040】
相間ドラム41は、インペラ15X及び15Yの2つのグループ又はセットの間に位置付けられる(特に図5を参照)。図4及び図5の実施形態では、相間ドラム41は、実際には、互いに対向する2つの中間隣接インペラ15X、15Yの2つの部分によって形成される。他の実施形態では、相間ドラムは、最後のインペラ15Xと最後のインペラ15Yとの間に配置され、ハース連結具などの前部連結具によってそこに連結された、別個の追加のロータセグメントとして提供され得る。
【0041】
図4及び図5の実施形態では、中間支持部材31は、相間ドラム41の一部を形成するインペラ15Yの部分に配置される。他の実施形態では、中間支持部材31は、隣接するインペラ15Xの部分に位置付けられ得る。
【0042】
上述した実施形態では、単一の中間支持部材31が提供されているが、他の実施形態では、2つ以上の中間支持部材31が、タイロッド17の2つの対向する軸方向端部17A、17Bの間で、タイロッド17の軸方向延長部に沿って適切に離間した位置に配置され得る。
【0043】
少なくとも1つの中間支持部材31が、タイロッド17とロータセグメントのうちの1つ、例えばインペラ又は相間ドラムとの間に配置される場合、タイロッドの第1の臨界速度は、支持されていないタイロッドに対して著しく増加され得る。他のパラメータが同じであれば、少なくとも1つの中間支持部材を使用することにより、第1の臨界速度が、支持されていないタイロッドの臨界速度の150%まで増加され得る。
【0044】
中間支持部材(複数可)31によって達成される利点は2つある。一方の側で、より長いタイロッドを使用することができ、これは、より多くのインペラが単一の圧縮機に提供され得ることを意味する。インペラの数が多いほど、より高い圧縮比を達成することができる。更に、臨界速度を実質的により高い値にシフトすることは、圧縮機がより高い回転速度で動作することを可能にし、これは、達成可能な圧縮比に関してやはり有益である。
【0045】
中間支持部材は、高い回転速度を必要とする水素などの低分子量のガスを処理するための圧縮機に使用される場合に特に有益である。
【0046】
例示的な実施形態は、上記で開示され、添付の図面に示されている。以下の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に具体的に開示されているものに、様々な変更、省略、及び追加を行ってもよいことが、当業者には理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5