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特許7515038千秒長パルスプラズマ放電を満たした協調燃料供給システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】千秒長パルスプラズマ放電を満たした協調燃料供給システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G21B 1/15 20060101AFI20240704BHJP
   G21B 1/05 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
G21B1/15
G21B1/05
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024070029
(22)【出願日】2024-04-23
【審査請求日】2024-05-10
(31)【優先権主張番号】202310436716.5
(32)【優先日】2023-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520416233
【氏名又は名称】中国科学院合肥物質科学研究院
【氏名又は名称原語表記】HEFEI INSTITUTES OF PHYSICAL SCIENCE, CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
【住所又は居所原語表記】No.350 Shushanhu Road Hefei,Anhui 230031(CN)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】宋雲涛
(72)【発明者】
【氏名】胡建生
(72)【発明者】
【氏名】左桂忠
(72)【発明者】
【氏名】曹斌
(72)【発明者】
【氏名】呉金華
(72)【発明者】
【氏名】侯吉磊
(72)【発明者】
【氏名】元京升
(72)【発明者】
【氏名】陳躍
(72)【発明者】
【氏名】余耀偉
(72)【発明者】
【氏名】黄明
(72)【発明者】
【氏名】▲ゴォン▼先祖
【審査官】小林 幹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0141053(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0198182(US,A1)
【文献】Jiansheng Hu et al.,All superconducting tokamak: EAST,AAPPS Bulletin,2023年04月11日,Volume 33, Article number 8,p.1-24
【文献】X. J. Yao et al.,Development of plasma fueling on EAST,Proceeding of A3 foresight progam seminar on critical physics issues specific to steady state sustainment of high-performance plasmas 2015,2015年,p.243-257
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21B 1/00-1/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
千秒長パルスプラズマ放電を満たした協調燃料供給方法であって、
前記方法で使用される千秒長パルスプラズマ放電を満たした協調燃料供給システムは、通常ガス導入システムと、超音波分子線注入システムと、アイスペレット注入システムと、融合装置と、ダイバータと、プラズマとを含み、前記通常ガス導入システムは、融合装置の正中面位置、波アンテナ近傍、ダイバータターゲットプレート位置に配置され、ピエゾバルブにより導入ガスの流量を調整し、前記超音波分子線注入システムは、融合装置の正中面及びダイバータ領域に配置され、ラバールノズルにより迅速なガス導入を行い、前記アイスペレット注入システムは、融合装置の正中面に配置され、アイスペレットの製造及び加速推進に使用され、前記融合装置は、磁場閉じ込め核融合反応装置であり、波アンテナガス導入口は、低域混成波とイオンサイクロトロン波アンテナ近傍のガス導入口であり、前記ダイバータは、融合炉ダストを排出するために使用され、前記プラズマは、全体的に電気的に中性であり、
融合装置の千秒長パルスプラズマの放電過程において、正中面にある通常ガス導入システムによりプラズマを確立し、低域混成波及びイオンサイクロトロン波アンテナ近傍の通常ガス導入システムによりアンテナ近傍スクレイプオフ層のプラズマのパラメータを調整し、低域混成波とイオンサイクロトロン波の結合効率を向上させ、超音波分子線注入システムによりプラズマ密度をフィードバック制御し、高速のアイスペレット注入システムによりプラズマに対して中心燃料供給を行い、ダイバータ位置にある通常ガス導入システム及び超音波分子線注入システムによりダイバータ熱流のフィードバック制御を行い、異なる位置、異なる種類、異なる時点の燃料供給方式の協調動作により燃料供給を協調し、融合装置の千秒オーダーで安定的な密度制御、低域混成波とイオンサイクロトロン波の実効結合、及びダイバータ熱流の効果的な制御を実現し、
協調燃料供給は、異なる時点でのプラズマ燃料供給の協調であり、通常ガス導入システムによりプラズマ放電に必要な最初のガスを注入し、千秒オーダープラズマ密度を確立し、プラズマ密度を確立した後、燃料供給効率がより高い超音波分子線注入システムにより燃料供給を行い、プラズマ密度を維持し、同時にアイスペレット注入システムにより中心燃料供給を実現し、より高いプラズマ密度を確立して維持することを特徴とする、千秒長パルスプラズマ放電を満たした協調燃料供給方法。
【請求項2】
前記通常ガス導入システムは、燃料ボンベと、サージタンクと、ピエゾバルブと、遮断弁とを含み、通常ガス導入システムは、プラズマの予備ガス導入、波結合効率を改善するためのプラズマ境界パラメータの調整、ダイバータの熱流の制御を実現することを特徴とする、請求項1に記載の千秒長パルスプラズマ放電を満たした協調燃料供給方法。
【請求項3】
前記超音波分子線注入システムは、燃料ボンベと、動弁ボックスと、電磁弁と、ラバールノズルと、遮断弁とを含み、前記超音波分子線注入システムは、それぞれプラズマの密度のフィードバック制御及びダイバータの熱流の迅速な緩和を実現することを特徴とする、請求項1に記載の千秒長パルスプラズマ放電を満たした協調燃料供給方法。
【請求項4】
前記アイスペレット注入システムは、燃料ボンベと、ペレット注入器と、推進ガスボンベと、拡散室と、吸引機群と、遮断弁とを含む。ことを特徴とする、請求項1に記載の千秒長パルスプラズマ放電を満たした協調燃料供給方法。
【請求項5】
前記協調燃料供給は、境界と中心プラズマ燃料供給方法の協調であり、通常ガス導入システムにより境界の燃料供給を実現し、プラズマスクレイプオフ層領域、波アンテナ近傍プラズマの密度及び温度を調整し、低域混成波とイオンサイクロトロン波の結合効率を改善し、超音波分子線注入システムによりガスを注入してプラズマの密度をフィードバック制御し、千秒オーダープラズマ密度ペデスタル領域近傍の燃料供給のニーズを実現し、アイスペレット注入システムにより千秒オーダープラズマペデスタル領域内の中心燃料供給のニーズを実現することを特徴とする、請求項1に記載の千秒長パルスプラズマ放電を満たした協調燃料供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核融合炉の分野に属し、主に千秒長パルスプラズマ放電を満たした協調燃料供給システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
核融合エネルギーは、資源、安全性、クリーン性の面で優れているため、人類社会の将来にとって理想的なエネルギー源である。トカマク型磁気閉じ込め核融合装置は、核融合エネルギーの利用を実現する科学的実現可能性を有しており、核融合エネルギーの実用化への最初の可能性を秘めている。
将来の核融合炉では、核融合エネルギーの出力はプラズマ密度や燃焼時間などのパラメータに比例するため、長期間高密度で動作するプラズマを得ることが核融合炉の商業運転にとって極めて重要である。その中核となる重要な科学的及び技術的問題には、1)高密度プラズマの取得集積方法及び定常状態の維持;2)磁場閉じ込め融合装置と定常状態高密度プラズマを両立させる境界熱流制御ソリューションが含まれる。現在及び将来の融合装置の主な燃料供給方法は、通常ガス供給、超音波分子線注入、及びペレット注入を含む。通常ガス導入は、サージタンク、ガス導入管路、遮断弁、ピエゾバルブ及び規管などを利用して融合装置のガス導入及び導入ガス流量の監視を実現する。ガス導入位置は、融合装置の高磁場側、低磁場側及びダイバータ領域に配置することができ、これによって、異なる位置でのプラズマ燃料供給及びダイバータ熱流制御のニーズを満たすことができる。通常ガス導入の方式は、従来の燃料供給方式であり、ピエゾバルブの応答時間が約2msであり、背圧が低く、ガス導入管路が長いため、遅延時間は一般的に20-100msであり、かつ装置サイズの増加に伴ってさらに長くなる。超音波分子線注入は、高圧の亜音速ガスを用いてラバールノズルにより膨張した後に真空領域に注入し、注入速度が400~1200m/sの超音波分子線流を形成し、電磁弁の応答時間が約160μsであるため、注入速度が速く、遅延時間が一般的に約2-20msと短い。超音波分子線注入は、良好な燃料供給及び密度維持方法であり、燃料供給効率が通常ガス導入の約2倍であり、効果的な燃料供給方式である。しかし、将来の核融合炉の高パラメータ動作では供給深さが比較的浅いため、使用は大幅に制限される。アイスペレット注入は、融合燃料である重水素、三重水素をアイスペレットに製造し、ガス推進又は遠心加速の方式によりプラズマに注入し、応答時間が速く、注入速度が1秒あたりキロメートルに達することができる。比較的には、ペレット注入は、理想的な中心燃料の供給方式であるが、融合装置の定常状態の動作にとっては、ペレット燃料供給により引き起こされる密度摂動が比較的大きく、独立してプラズマ密度の定常状態の維持を実現しにくい。
【0003】
融合装置の千秒オーダーで定常状態のプラズマ動作では、単一の方式により高密度プラズマの確立及び定常状態の維持、中心と境界燃料供給の協調制御を含む問題を解決することが困難であり、境界プラズマパラメータの調整、波結合効率の改善、及びダイバータ熱流の協調制御のニーズを同時に満たすことができない。したがって、高密度プラズマの取得、定常状態の維持、プラズマ中心と境界燃料供給の共同制御という問題を解決するために、融合装置の千秒オーダー高パラメータのプラズマ動作に適用する協調燃料供給方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
長パルス高パラメータプラズマ放電の従来の燃料供給技術の欠陥を解決するために、本発明は、超電導トカマク千秒オーダー長パルスプラズマ放電を満たした協調燃料供給システム及び方法を提供することにより、磁場閉じ込め融合装置内の高密度プラズマの取得及び定常状態の維持、中心と境界燃料供給の協調制御などの問題を解決する。
【0005】
本発明は、以下の技術的手段により実現される。
【0006】
通常ガス導入システムと、超音波分子線注入システムと、アイスペレット注入システムと、融合装置と、波アンテナガス導入口と、ダイバータと、プラズマとを含む千秒長パルスプラズマ放電を満たした協調燃料供給システム。通常ガス導入システムは、ピエゾバルブを用いて導入ガスの流量を調節するシステムであり、融合装置の正中面位置、波アンテナ近傍、ダイバータターゲットプレート位置に配置され、プラズマ密度を確立し、境界プラズマパラメータを改善し、波結合効率を向上させ、及びダイバータ熱流を緩和する手段とする。超音波分子線注入システムは、ラバールノズルにより迅速にガスを導入するシステムであり、融合装置の正中面及びダイバータ領域に配置され、プラズマ密度の維持及びダイバータ熱流の迅速な緩和に使用される。アイスペレット注入システムは、ペレットの製造、加速推進のシステムであり、融合装置の正中面に配置され、中心プラズマ燃料供給に使用されて高密度プラズマを得るものである。融合装置は、磁場閉じ込め核融合反応装置である。ダイバータは、融合装置のコア部材であり、磁場閉じ込め融合装置内で重水素・三重水素プラズマ放電を行う。ダイバータは、プラズマが装置の壁と強く相互作用する領域であり、極めて高い熱負荷に耐える。
【0007】
トカマク融合装置千秒オーダー長パルスを満たした燃料供給方式は、3種類含む。通常のガス導入方式は、従来の燃料供給方式であり、融合装置内へのガス注入速度が遅く、遅延時間が長く、一般的に20-100msであり、装置サイズの増加に伴って遅延時間がさらに長くなる。超音波分子線注入は、高圧の亜音速ガスを用いてラバールノズルにより注入速度が400~1200m/sの超音波分子線流を形成し、注入速度が速く、遅延時間が2-20msであり、燃料供給効率が通常ガス導入の約2倍であり、効果的な燃料供給方式である。アイスペレット注入は、融合燃料である重水素、三重水素をアイスペレットに製造し、ガス推進又は遠心加速の方式によりプラズマに注入し、応答時間が速く、注入速度が1秒あたりキロメートルに達することができる。
【0008】
前記協調燃料供給方法は、境界と中心プラズマ燃料供給方法の協調である。通常ガス導入の方式により境界の燃料供給を実現し、プラズマスクレイプオフ層領域、波アンテナ近傍のプラズマ密度及び温度を調整し、波の結合効率を改善する。超音波分子線注入ガスの速度が速く外乱が少ないとの特性を利用し、プラズマの密度をフィードバック制御し、プラズマペデスタル領域近傍の燃料供給のニーズを実現する。アイスペレット注入によりプラズマペデスタル領域内における中心燃料供給のニーズを実現する。
【0009】
前記協調燃料供給方法は、異なる時点でのプラズマ燃料供給の協調である。通常ガス導入システムによりプラズマ放電に必要な最初のガスを注入してプラズマ破壊を実現し、千秒オーダープラズマ密度を確立する。密度確立後、燃料供給効率がより高い超音波分子線注入により燃料供給を行い、プラズマ密度を維持し、同時にペレット燃料供給の方式により千秒オーダープラズマの中心燃料供給を実現し、より高いプラズマ密度をさらに確立する。
【0010】
前記協調燃料供給方法は、プラズマ密度制御及びダイバータ熱流制御のニーズを同時に満たす燃料供給方式である。融合装置の正中面位置での通常のガス導入、超音波分子線注入及びアイスペレット注入により、密度制御のニーズを実現し、ダイバータ位置での通常ガス導入及び超音波分子線注入の方式により、異なるタイムスケールでのダイバータの極めて高い熱負荷の制御のニーズを実現し、密度及び熱流が制御可能な長パルスプラズマ放電を実現する。
【0011】
本発明の有益な効果は、以下の通りである。
通常のガス導入、超音波分子線注入、ペレット注入の3種類の燃料供給方式の利点を利用し、長パルスプラズマ放電の異なる時点、異なる位置で異なる種類の燃料供給方式を使用し、通常のガス導入方式によりプラズマを確立し、また、波アンテナ近傍のスクレイプオフ層プラズマのパラメータを調整して波の結合効率を向上させる。超音波分子線注入によりプラズマ密度に対してフィードバック制御を行い、高速のアイスペレット注入によりプラズマに対して中心燃料供給を行い、高密度プラズマの動作ニーズを満たす。ダイバータ位置の通常ガス導入及び超音波分子線注入によりダイバータ熱流のフィードバック制御を行う。異なる燃料供給方式の協調作用により、融合装置の千秒オーダーで安定的な密度制御、境界プラズマパラメータの調整、ダイバータ熱流の効果的な制御などを実現する。
【0012】
本発明によれば、融合装置の長パルス定常状態動作条件下での燃料供給を効果的に解決する方法が提供される。異なる種類の燃料供給方式の協調作用により、将来の融合炉内における定常状態、高パラメータでの動作のために新しい方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の千秒長パルスプラズマ放電を満たした協調燃料供給システムの構造模式図である。
図2】本発明の千秒長パルスプラズマ放電を満たした協調燃料供給方法の模式図である。
【0014】
符号の説明
融合装置1、遮断弁2、ピエゾバルブ3、サージタンク4、燃料ボンベ5、ラバールノズル6、電磁弁7、動弁ボックス8、拡散室9、吸引機群10、ペレット注入器11、推進ガスボンベ12、ダイバータ13、プラズマ14、千秒オーダープラズマ密度15、通常ガス導入システム16、超音波分子線注入システム17、アイスペレット注入システム18。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例における図面を参照しながら本発明の実施例における技術的手段を明確で完全に説明する。以下の実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて当業者が創造的努力なしに得た全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に含まれる。
【0016】
図1図2に示すように、本発明に係る千秒長パルスプラズマ放電を満たした協調燃料供給システムは、通常ガス導入システムと、超音波分子線注入システムと、ペレット注入システムと、融合装置1と、波アンテナガス導入口と、ダイバータ13と、プラズマ14とを含む。
【0017】
前記通常ガス導入システムは、ピエゾバルブ3を用いて導入ガス流量を調整するシステムである。前記超音波分子線注入システムは、ラバールノズル6を用いてガス導入を迅速に行うシステムである。前記ペレット注入システムは、ペレットの製造、加速推進のためのシステムである。前記融合装置1は、磁場閉じ込め核融合反応装置である。前記波アンテナガス導入口は、低域混成波及びイオンサイクロトロン波アンテナ近傍の導入口である。前記ダイバータ13は、融合炉ダストを排出するための部材である。前記プラズマ14は、全体的に電気的に中性である物質状態である。前記ダイバータ13は、融合装置1の真空室内の要部である。前記プラズマ14は、融合装置1内で行われる。ダイバータ13は、プラズマ14と強く相互作用する部材である。前記遮断弁2は、通常ガス導入システム16、超音波分子線注入システム17、アイスペレット注入システム18と融合装置1との隔離弁である。前記ピエゾバルブ3は、通常ガス導入システム16の管路に位置し、注入ガスのパルス時間及び注入速度を制御する。前記サージタンク4は、通常ガス導入システム16の管路に配置される。前記燃料ボンベ5は、通常ガス導入システム16、超音波分子線注入システム17、アイスペレット注入システム18に配置されて燃料ガスを提供するものである。前記ラバールノズル6、電磁弁7、動弁ボックス8は、超音波分子線注入システム17の主要構成部分であり、その管路に配置される。前記拡散室9、吸引機群10、ペレット注入器11、推進ガスボンベ12は、アイスペレット注入システム18の主要構成部分であり、その管路に配置される。
【0018】
融合装置の千秒長パルスプラズマ放電の過程において、正中面の通常ガス導入システム16によりプラズマ14を確立し、低域混成波及びイオンサイクロトロン波アンテナ近傍の通常ガス導入システム16によりアンテナ近傍に位置するスクレイプオフ層のプラズマ14のパラメータを調整することによって波の結合効率を向上させる。超音波分子線注入システム17によりプラズマ14の密度に対してフィードバック制御を行う。高速のアイスペレット注入システム18によりプラズマ14に対して中心燃料供給を行う。ダイバータ位置にある通常ガス導入システム16及び超音波分子線注入システム17によりダイバータ13熱流のフィードバック制御を行う。異なる位置、異なる種類、異なる時刻の燃料供給方式の協調動作により、融合装置の千秒オーダーの安定的な密度制御、波の実効結合、ダイバータ熱流の効果的な制御などが実現される。
【0019】
図2に示すように、本発明に係る千秒長パルスプラズマ放電を満たした協調燃料供給方法は、千秒オーダープラズマ密度15を取得し、通常ガス導入システム16により通常のガス導入を行い、超音波分子線注入システム17により超音波分子線注入を行い、及びアイスペレット注入システム18によりアイスペレット注入を行うことを含む。前記千秒オーダープラズマ密度15は、通常ガス導入システム16によりプラズマ14が放電する前に予備ガス導入により破壊して得られる。その後、超音波分子線注入システム17によりプラズマ密度に対してフィードバック制御を行う。アイスペレット注入システム18により中心燃料供給を行って燃料供給効率及びプラズマ密度を向上させ、より高い密度を確立する。前記プラズマ14は、融合装置1内で行われる。前記ダイバータ13は、融合装置1とプラズマ14が作用する要部である。前記通常ガス導入システム16は、融合装置1の正中面位置にあるプラズマ14放電予備ガス導入システムと、波アンテナガス導入口ガス導入システムと、上下ダイバータガス導入システムとを含み、主に遮断弁2、ピエゾバルブ3、サージタンク4、燃料ボンベ5から構成される。前記超音波分子線注入システム17は、2つの部分を含み、それぞれ融合装置1の正中面位置及びダイバータ13領域にあり、主に遮断弁2、燃料ボンベ5、ラバールノズル6、電磁弁7、及び動弁ボックス8から構成される。前記アイスペレット注入システム18は、融合装置1の正中面位置に配置され、遮断弁2、燃料ボンベ5、拡散室9、吸引機群10、ペレット注入器11、及び推進ガスボンベ12から構成される。
【0020】
前記主要燃料供給方式の通常ガス導入システム16の動作プロセスは、以下の通りである。注入ガスが燃料ボンベ5からサージタンク4に入り、ピエゾバルブ3により注入ガスのパルス時間及び注入速度を制御し、開弁した遮断弁2を介して融合装置1に入ることによりガス供給が完成する。通常ガス導入システム16を実現するシステムは、それぞれ融合装置1の正中面位置、波アンテナ近傍、上下ダイバータなどの領域に配置され、プラズマ14の予備ガス導入の確立、プラズマ14境界パラメータの調整、波結合効率の改善、ダイバータ13の熱流制御などを実現する。
【0021】
前記主要燃料供給方式の超音波分子線注入システム17の動作プロセスは、以下の通りである。高圧の注入ガスは、燃料ボンベ5から動弁ボックス8に入り、応答時間が比較的速い電磁弁7によりパルス時間及び注入頻度を調整し、ガスはラバールノズル6により加速し、高速で遮断弁2を通過して融合装置1内部のプラズマ14に入る。前記超音波分子線注入システム17は、2つの部分を含み、それぞれ融合装置1の正中面位置及びダイバータ13の領域に位置し、それぞれプラズマ14密度のフィードバック制御及びダイバータ13の熱流の迅速な緩和のニーズを満たしている。
【0022】
前記主要燃料供給方式のアイスペレット注入システム18の動作プロセスは、以下の通りである。燃料ガスは、燃料ボンベ5からペレット注入器11に入り、ここで氷に凝縮し、切断されて円柱形のアイスペレットとなる。アイスペレットは、推進ガスボンベ12のガス供給により加速して拡散室9に入り、拡散室9において吸引機群10により推進ガスが吸引して除去され、遮断弁を経てプラズマ14に入り、これによって中心燃料供給が実現され、高密度のプラズマが確立される。
【0023】
前記ダイバータ13は、融合装置1の頂部及び底部に位置し、プラズマ14の粒子と熱流が強く相互作用する領域であり、易引起ダイバータ13のアブレーションを引き起きやすく、アブレーション材料がプラズマ14に入ってプラズマ14の性能を劣化する。ダイバータ領域に通常ガス導入システム16及び超音波分子線注入システム17を配置することにより、プラズマ14とダイバータ13の作用を緩和し、ダイバータ13の熱流を減少させ、長パルスプラズマ放電の維持の実現に有利である。
【0024】
異なる位置、異なる方式の燃料供給技術により千秒オーダープラズマ放電を実現する協調燃料供給は、具体的なプロセスが以下の通りである。まず、通常のガス導入方式によりプラズマを確立し、また、波アンテナ近傍のスクレイプオフ層プラズマのパラメータを調整して波の結合効率を向上させる。プラズマ確立後、超音波分子線注入によりプラズマ密度に対してフィードバック制御を行い、高速のアイスペレット注入によりプラズマに対して中心燃料供給を行い、高密度プラズマの動作ニーズを満たす。ダイバータ位置の通常ガス導入及び超音波分子線注入によりダイバータ熱流のフィードバック制御を行う。異なる燃料供給方式の協調作用により、融合装置の千秒オーダーで安定的な密度制御、波結合に必要な境界プラズマパラメータの調整、ダイバータ熱流の効果的な制御などを実現する。
【0025】
以上は、当業者が本発明を理解するために本発明の例示的な実施形態を説明した。明らかなように、本発明は、実施形態の範囲に限定されない。様々な変化が添付の特許請求の範囲によって限定及び特定された本発明の思想及び範囲内であれば、これらの変化は当業者にとって自明なものであり、本発明の思想に基づく発明創造は、いずれも保護範囲に含まれる。
【要約】
【要約】
本発明は、千秒長パルスプラズマ放電を満たした協調燃料供給システム及び方法を開示し、通常ガス導入システムと、超音波分子線注入システムと、ペレット注入システムと、融合装置と、波アンテナガス導入口と、ダイバータと、プラズマとを含む。本発明において、融合装置の異なる位置に配置される通常ガス導入システム、超音波分子線注入システム、ペレット注入システムにより、磁場閉じ込め融合装置内で重水素・三重水素プラズマ放電を行い、融合装置におけるプラズマの確立、維持段階での異なる時点、異なる位置、異なる燃料供給方式の協調作用により、融合装置千秒オーダーで安定的な密度の制御、波結合に必要な境界プラズマパラメータの調整、ダイバータ熱流の効果的な制御のニーズを満たす。
【選択図】図1
図1
図2