(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】埋込配線器具
(51)【国際特許分類】
H01R 9/00 20060101AFI20240705BHJP
H02G 3/02 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
H01R9/00 B
H02G3/02
(21)【出願番号】P 2020218504
(22)【出願日】2020-12-28
【審査請求日】2023-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】390005038
【氏名又は名称】神保電器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101867
【氏名又は名称】山本 寿武
(72)【発明者】
【氏名】藤好 枝折
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】実公昭59-017088(JP,Y2)
【文献】特開平09-289002(JP,A)
【文献】実開昭59-082968(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/00
H02G 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部ケースを有し、当該外部ケースを取付枠に装着した状態で壁部に施設される埋込配線器具において、
前記外部ケースの側面に設けた端子部と、
前記端子部に電線を締結するための端子ねじと、
前記端子部および端子ねじの周囲を覆うための絶縁性の端子カバーとを備え、
前記端子カバーは、前記外部ケースに組み込まれ、前記端子部および端子ねじの周囲を覆う回動閉じ位置と、前記端子部および端子ねじを露出させる回動開き位置との間を回動する構成とし、且つ、前記端子部および端子ねじの周囲を覆う摺動閉じ位置と、前記端子部および端子ねじを露出させる摺動開き位置との間を、前記外部ケースの側面と対向する仮想平面に沿って直線的に移動する構成としたことを特徴とする埋込配線器具。
【請求項2】
前記端子カバーは、回動軸を構成する一対の突起と、弾性的に撓んでこれら一対の突起を相対的に移動させる弾性撓み部とを有し、
前記外部ケースは、前記一対の突起を回動自在に支持する軸受凹部と、当該外部ケースの側面と対向する仮想平面に沿って前記一対の突起を摺動案内する一対の摺動溝とを有し、
前記弾性撓み部を弾性的に撓ませることにより、前記一対の突起が各々前記一対の軸受凹部から抜け出して前記一対の摺動溝へ移動する構成としたことを特徴とする請求項1に記載の埋込配線器具。
【請求項3】
前記端子カバーの裏面に工具引掛け部を形成し、当該工具引掛け部に工具を引掛けて当該端子カバーを前記摺動溝の延びる方向に引っ張ることで、前記弾性撓み部が弾性的に撓んで、前記一対の突起が各々前記一対の軸受凹部から抜け出し、前記一対の摺動溝へ移動する構成としたことを特徴とする請求項2に記載の埋込配線器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、室内の壁部に施設されるコンセントやスイッチなどの埋込配線器具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の埋込配線器具は、金属製または樹脂製の取付枠に装着して、室内の壁部に施設される。壁部に施設された状態では、表面部分のみが室内の壁面から露出し、その他の部分は壁部の内部空間に埋め込まれるため、埋込配線器具と称されている。
【0003】
埋込配線器具には、屋内配線を構築する電線が接続される複数の端子部が設けてある。これらの端子部は、塵埃の付着などに起因する電線間の短絡を防止するために、近年は、ねじ無し端子と称するケースの内部に設けた構成のものが一般に採用されている。
【0004】
しかし、ねじ無し端子は、大電流を流す電線の接続には不向きであり、現在でも大電流用途の埋込配線器具には、端子ねじによって電線を端子部に締結する構成の端子部が採用されている。かかる構成の端子部は、ケースの外面に露出して設けられるので、塵埃の付着を防止することが好ましく、その目的から端子カバーを備えた構成の埋込配線器具が提案されている。
【0005】
特許文献1は、本出願人が先に提案した端子カバー付きの埋込配線器具を開示している。
同文献1に開示された埋込配線器具は、ケース(1)の側面に端子ねじ(4)を備えた端子部が設けてあり、当該端子ねじ(4)の周囲を端子カバー(22)で覆う構成となっている。端子カバー(22)は、軸受として機能する有底溝(12)に軸(25)が回動自在に嵌め込まれ、この軸(25)を中心に回動する。そして、端子カバー(22)を開いて端子ねじ(4)を露出させた状態で電線の締結作業を行い、電線を接続した後に、端子カバー(22)を回動して閉じることで、端子ねじ(4)の周囲が端子カバー(22)で覆われ、電線や端子ねじ(4)への塵埃の付着を防止することが可能となる。
【0006】
上述した特許文献1の埋込配線器具は、例えば、特許文献2の
図2に示すような金属板を打ち抜き加工して製作された平板状の取付枠(100)を前提として、端子カバー(22)が構成されていた。すなわち、この種の平板状の取付枠であれば、取付枠に干渉することなく端子カバー(22)を回動させることができる。
【0007】
しかし、近年は、種々の構成をした取付枠が開発されており、例えば、特許文献3の
図1に示すように、第一保持壁(11a)や第一背面壁(21a)が配線器具(30)の側面と対向して配置される構成の金属製取付枠(50)や、特許文献4の
図1に示すように、収容ガイド枠(21)が配線器具(B)の側面と対向して配置される構成の樹脂製取付枠(A)も使われている。そして、特許文献3の取付枠(50)では、第一保持壁(11a)や第一背面壁(21a)が干渉するため、端子カバー(22)を回動させることができない。また、特許文献4の取付枠(A)では、収容ガイド枠(21)が干渉するため、端子カバー(22)を回動させることができない。よって、端子ねじ(4)への電線の締結作業に支障をきたす問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】実公昭59-17088号公報
【文献】特開2010-102940号公報
【文献】特開2011-188692号公報
【文献】特開2002-44824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、種々の構成をした取付枠に装着することができ、且つ当該取付枠に干渉することなく端子カバーを開閉することができる埋込配線器具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、外部ケースを有し、当該外部ケースを取付枠に装着した状態で壁部に施設される埋込配線器具において、外部ケースの側面に設けた端子部と、端子部に電線を締結するための端子ねじと、端子部および端子ねじの周囲を覆うための絶縁性の端子カバーとを備え、
端子カバーは、外部ケースに組み込まれ、端子部および端子ねじの周囲を覆う回動閉じ位置と、端子部および端子ねじを露出させる回動開き位置との間を回動する構成とし、且つ、端子部および端子ねじの周囲を覆う摺動閉じ位置と、端子部および端子ねじを露出させる摺動開き位置との間を、外部ケースの側面と対向する仮想平面に沿って直線的に移動する構成としたことを特徴とする。
【0011】
このように構成することで、本発明に係る埋込配線器具を装着した取付枠に、埋込配線器具の外部ケース側面と対向する位置まで張り出す構成部分が無ければ、回動操作によって、容易に端子カバーを開閉することができる。一方、取付枠に、埋込配線器具の外部ケース側面と対向する位置まで張り出す構成部分が存在するときは、直線的な移動操作によって、当該張り出した構成部分と干渉することなく、端子カバーを開閉することができる。
【0012】
ここで、端子カバーは、回動軸を構成する一対の突起と、弾性的に撓んでこれら一対の突起を相対的に移動させる弾性撓み部とを有し、
外部ケースは、一対の突起を回動自在に支持する軸受凹部と、当該外部ケースの側面と対向する仮想平面に沿って一対の突起を摺動案内する一対の摺動溝とを有し、
弾性撓み部を弾性的に撓ませることにより、一対の突起が各々一対の軸受凹部から抜け出して一対の摺動溝へ移動する構成とすることができる。
【0013】
さらに、端子カバーの裏面に工具引掛け部を形成し、当該工具引掛け部に工具を引掛けて当該端子カバーを摺動溝の延びる方向に引っ張ることで、弾性撓み部が弾性的に撓んで、一対の突起が各々一対の軸受凹部から抜け出し、一対の摺動溝へ移動する構成としてもよい。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、種々の構成をした取付枠に装着することができ、且つ当該取付枠に干渉することなく端子カバーを開閉することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る埋込配線器具の外観を示す図で、(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は底面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る埋込配線器具に組み込まれた端子カバーを示す図で、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は底面図、(d)は背面図である。
【
図3】(a)(b)は本発明の実施形態に係る埋込配線器具の特徴部分を説明するために一部を切欠いて示す拡大正面図である。
【
図4】
図3に続く、本発明の実施形態に係る埋込配線器具の特徴部分を説明するための正面図である。
【
図5】
図3に続く、本発明の実施形態に係る埋込配線器具の特徴部分を説明するための図で、(a)は正面図、(b)は左側面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る埋込配線器具を装着できる3種の取付枠を例示した図で、(a)(d)(g)は平面図、(b)(e)(h)は正面図、(c)(f)(i)は左側面図である。
【
図7】
図6(a)(b)(c)に示した取付枠に、本発明の実施形態に係る埋込配線器具を装着した状態を示す左側面図である。
【
図8】
図6(d)(e)(f)に示した取付枠に、本発明の実施形態に係る埋込配線器具を装着した状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態では、スイッチとしての機能を備えた埋込配線器具1に本発明を適用した構成例を示す。しかし、本発明の埋込配線器具1はスイッチに限定されず、室内の壁部に取付枠を用いて施設される各種の埋込配線器具1(例えば、コンセント)に広く適用可能であることは勿論である。
【0017】
図1は本実施形態に係る埋込配線器具の外観を示す図である。同図に示す埋込配線器具1は、ケース本体11の蓋体12で構成される外部ケース10の内部にスイッチを構成するための各種部品が内蔵してあり、蓋体12に設けたボス面(同図の上面)に揺動式の操作子31が露出している。この操作子31には、
図1(b)に仮想線で示すように、操作ボタン32が嵌め込まれる。
ケース本体11と蓋体12は取付金具33によって締結され、一体化している。取付金具33には、取付枠に装着するための装着爪33aや装着孔33bなどが形成されている。
なお、埋込配線器具1の基本的な構造は、従来から公知の構造を適宜採用することができる。
【0018】
埋込配線器具1は、外部ケース10の側面に露出する端子部13を備えている。
図1に示す埋込配線器具1では、2つの側面にそれぞれ2個の端子部13が設けてあり、各端子部13が外部ケース10内に構築されたスイッチ回路(図示せず)と電気的に導通している。スイッチ回路には複数の接点が設けてあり、操作子31の揺動に伴い複数の接点間が電気的に導通または遮断する構成となっている。
端子ねじ14を緩めた状態で挿入孔34から電線を挿入し、端子ねじ14のねじ込み操作をもって各端子部13に電線が締結される。
【0019】
端子部13が設けられた外部ケース10の側面には、端子カバー20が組み込まれている。
図1に示した本実施形態に係る埋込配線器具1では、外部ケース10の1つの側面に設けた2個の端子部13の周囲を1枚の端子カバー20で覆う構成としてある。よって、外部ケース10の2つの側面にそれぞれ端子カバー20が組み込まれている。
【0020】
図2は端子カバーの構成を示す図である。
端子カバー20は、樹脂製であり、ほぼ四角形状をした平板に形成してある。そして、1つの辺20aの両隅から当該辺を延ばす方向に突き出して一対の突起21が形成してある。これら一対の突起21は、端子カバー20の回動軸を構成する。
【0021】
また、端子カバー20には、上記1つの辺20aのほぼ中央から内側へ垂直に切り込んで切欠溝22が形成してある。この切欠溝22を形成することで、
図2(a)に矢印Aで示す方向に、各突起21にトルクが作用したとき、切欠溝22の両側部分が切欠溝22の方向に弾性的に撓む。すなわち、これら切欠溝22の両側部分は、弾性撓み部23を形成している。そして、弾性撓み部23が切欠溝22の方向に弾性的に撓むことで、一対の突起21が、互いに距離を縮める方向へ相対移動する構成としてある。
【0022】
なお、本実施形態では、
図2(a)に示すように、各突起21と切欠溝22との中間部にも、上記1つの辺20aから内側へ垂直に切り込んで補助切欠溝24が形成してある。この補助切欠溝24を形成することで、弾性撓み部23が撓みやすくなる。
【0023】
端子カバー20の裏面には、工具引掛け部25が形成してある。また、回動軸を構成する一対の突起21の近傍には、上記1つの辺20aと隣接する各辺に、凸部で構成したストッパ26が形成してある。さらに、上記1つの辺20aと対向する辺の両隅には、係止爪27が形成してある。これら工具引掛け部25、ストッパ26、係止爪27についてはさらに後述する。
【0024】
図3は埋込配線器具の特徴部分を説明するために一部を切欠いて示す拡大正面図である。
図3(a)に示すように、外部ケース10を構成する蓋体12の側面には、両隅に軸受凹部15が設けてある。これらの軸受凹部15にそれぞれ突起21を嵌め込むことで、各突起21が回動自在に支持された状態で、端子カバー20が外部ケース10に組み込まれる。
【0025】
端子カバー20は、軸受凹部15に支持された各突起21を回動軸として、
図3(a)の矢印Bで示すように回動自在となっている。そして、外部ケース10の側面と対向する回動位置を回動閉じ位置として、当該回動閉じ位置から
図3(a)の紙面手前に向かってほぼ90°回動することができる。このように回動閉じ位置からほぼ90°回動した位置を回動開き位置とする。
図4は、回動開き位置まで端子カバー20を回動した状態を横方向から見た図である。
【0026】
回動閉じ位置では、端子カバー20が外部ケース10の側面と対向して配置され、外部ケース10の側面に設けられた端子部13と端子ねじ14の周囲を覆っている。これにより、端子部13および端子ねじ14への塵埃の付着を抑制することができる。
【0027】
端子カバー20を回動閉じ位置まで回動させたとき、端子カバー20に形成してある係止爪27が、外部ケース10の底部に設けた係止凸部19と係合する(
図1(c)参照)。これにより、端子カバー20は固定されて、自由な回動が規制される。係止凸部19に対する係止爪27の係合状態は、作業員による手動操作をもって容易に解除することができる。すなわち、端子カバー20を引っ張るだけで、係止爪27が弾性的に撓んで係止凸部19との係合状態が解除され、回動開き位置へ回動させることが可能となる。
【0028】
一方、回動開き位置まで端子カバー20を回動させることで、外部ケース10の側面に設けられた端子部13と端子ねじ14が露出する。これにより、端子ねじ14を容易に操作可能となり、端子ねじ14を緩めた状態で挿入孔34から電線を挿入し、端子ねじ14のねじ込み操作をもって各端子部13に電線が締結される。
【0029】
端子カバー20を回動開き位置まで回動させたとき、図には明確に現れていないが、端子カバー20に形成してあるストッパ26が、外部ケース10における軸受凹部15の周囲に設けた壁に係合する。これにより、端子カバー20は固定されて、自由な回動が規制される。周囲壁に対するストッパ26の係合状態も、作業員による手動操作をもって容易に解除することができる。すなわち、端子カバー20に力を加えるだけで、ストッパ26を摺動させて周囲壁から離脱させることができる。
【0030】
また、ケース本体11には、各軸受凹部15の近傍から底部に向かって直線的に延びる摺動溝16が形成してある。
これらの摺動溝16の各一端は、境界壁17を挟んでそれぞれ軸受凹部15と隣接する位置に設けてある。そして、
図3(b)に矢印Cで示すように、端子カバー20を摺動溝16の延びる方向と同じ方向に引っ張ると、各突起21が軸受凹部15の内壁を押圧し、その反作用をもって
図2(a)に矢印Aで示した方向のトルクが、各突起21に作用する。これにより、端子カバー20の弾性撓み部23が弾性的に撓んで、各突起21が軸受凹部15から抜け出し、さらに境界壁17を乗り越えて摺動溝16に入り込む。
これにより、
図5(a)に示すように、各突起21が摺動溝16内を摺動できる状態が形成される。各突起21が摺動溝16に案内されて摺動したとき、端子カバー20は、外部ケース10の側面と対向する仮想平面に沿って直線的に移動する。
【0031】
図3(b)に矢印Cで示す方向の荷重を端子カバー20に作用させるには、マイナスドライバなどの工具の先端を、端子カバー20の裏面に形成した工具引掛け部25に差し込み、外部ケース10の底部に設けた支持凸部18を支点として、梃子の原理をもって工具を押圧操作すればよい。工具引掛け部25は、端子カバー20が回動閉じ位置に配置されているとき、支持凸部18と対向する位置またはその近傍に形成してある。
【0032】
一方、摺動溝16に移動した各突起21は、
図3(b)の矢印Cと逆の方向に端子カバー20を押圧操作することで、今度は各突起21が摺動溝16の端部壁に当接する。このときの当接圧力で端子カバー20の弾性撓み部23が弾性的に撓んで、突起21が摺動溝16から抜け出る。なお、本実施形態では、各突起21の先端部にそれぞれ傾斜面21aを形成し、この傾斜面21aが摺動溝16の開口端縁に当接することで、突起21が摺動溝16から抜け出しやすくしてある。摺動溝16から抜け出た突起21は、境界壁17を乗り越えて軸受凹部15に入り込む。これにより、端子カバー20が回動閉じ位置に配置される。
【0033】
この回動閉じ位置は、端子カバー20が外部ケース10の側面と対向する仮想平面に沿って直線的に移動したときの摺動閉じ位置にもなる。端子カバー20が摺動閉じ位置に配置されているときは、端子カバー20が外部ケース10の側面と対向して配置され、外部ケース10の側面に設けられた端子部13と端子ねじ14の周囲を覆っている。
【0034】
また、各端子がそれぞれ摺動溝16に案内されて外部ケース10の底部近くにある摺動端まで摺動したとき、端子カバー20は摺動開き位置に配置される。端子カバー20が摺動開き位置にあるとき、端子部13および端子ねじ14は露出している。
図5は端子カバー20が摺動開き位置にある状態を示している。
【0035】
このように、端子カバー20を摺動開き位置と摺動閉じ位置との間で、外部ケース10の側面と対向する仮想平面に沿って直線的に移動させることで、外部ケース10の側面と対向する領域まで取付枠の一部が張り出していても、当該取付枠と干渉することなく端子カバー20を開閉することができる。よって、種々の構成をした取付枠に装着することが可能である。
【0036】
図6は構成の異なる3種類の取付枠を例示した図である。
図6(a)(b)(c)に示した取付枠40は、金属板を打ち抜き加工して製作された平板状の取付枠であり、特許文献2に開示された取付枠に相当する。この種の平板状の取付枠40に、本実施形態に係る埋込配線器具1を装着したときは、
図7に示すように、取付枠40と干渉することなく、端子カバー20を回動操作をもって開閉することができる。
【0037】
図6(d)(e)(f)に示した取付枠50は樹脂製の取付枠で、収容ガイド枠51が張り出しているが(特許文献4の取付枠に相当)、
図8に示すように、端子カバー20を外部ケース10の側面と対向する仮想平面に沿って直線的に移動させることで、収容ガイド51と干渉することなく端子カバー20を開閉することができる。
【0038】
図6(g)(h)(i)に示した取付枠60も、保持壁61が張り出しているが(特許文献3の取付枠に相当)、端子カバー20を外部ケース10の側面と対向する仮想平面に沿って直線的に移動させることで、保持壁61と干渉することなく端子カバー20を開閉することができる。
【0039】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変形実施や応用実施が可能である。
また、本発明の埋込配線器具は、大電流を流す電線の接続に好適ではあるが、それのみに用途が限定されるものではなく、外部ケースの外側に端子部を設けた構成の各種の埋込配線器具に適用できることは勿論である。
【符号の説明】
【0040】
1:埋込配線器具、
10:外部ケース、11:ケース本体、12:蓋体、13:端子部、14:端子ねじ、15:軸受凹部、16:摺動溝、17:境界壁、18:支持凸部、19:係止凸部、
20:端子カバー、20a:1つの辺、21:突起、21a:傾斜面、22:切欠溝、23:弾性撓み部、24:補助切欠溝、25:工具引掛け部、26:ストッパ、27:係止爪、
31:操作子、32:操作ボタン、33:取付金具、33a:装着爪、33b:装着孔、34:挿入孔
40,50,60:取付枠、51:収容ガイド枠、61:保持壁