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特許7515055三次元形状造形物の製造方法および三次元形状造形物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】三次元形状造形物の製造方法および三次元形状造形物
(51)【国際特許分類】
   B22F 10/38 20210101AFI20240705BHJP
   B22F 10/36 20210101ALI20240705BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20240705BHJP
   B29C 64/268 20170101ALI20240705BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240705BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20240705BHJP
   B22F 12/70 20210101ALI20240705BHJP
【FI】
B22F10/38
B22F10/36
B29C64/153
B29C64/268
B33Y10/00
B33Y80/00
B22F12/70
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020034649
(22)【出願日】2020-03-02
(65)【公開番号】P2021138977
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100197583
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 健
(72)【発明者】
【氏名】阿部 諭
(72)【発明者】
【氏名】中村 暁史
【審査官】萩原 周治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/051778(WO,A1)
【文献】特開2002-322501(JP,A)
【文献】特開2020-023727(JP,A)
【文献】国際公開第2018/199041(WO,A1)
【文献】特開2017-106116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 3/00-3/26
B22F 10/00-12/90
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)粉末層の所定箇所に光ビームを照射して該所定箇所の粉末を焼結又は溶融固化させて固化層を形成する工程、および
(ii)得られた固化層の上に新たな粉末層を形成し、該新たな粉末層の所定箇所に光ビームを照射して更なる固化層を形成する工程
により粉末層および固化層を交互に繰り返して積層させることで三次元形状造形物を製造する方法であって、
高密度部分および低密度部分を有して成る前記三次元形状造形物を製造し、
前記低密度部分の少なくとも一部を通気部として用い、
前記通気部として、外部と通気可能に所定方向に延在するメイン通気部を少なくとも2つ形成し、
少なくとも互いに隣接する一方の前記メイン通気部と他方のメイン通気部とを連通させる、サブ通気部を更に形成し、
前記サブ通気部が、前記メイン通気部の延在方向とは異なる方向に延在し、かつ前記メイン通気部の通気機能を補助する部分である、三次元形状造形物の製造方法。
【請求項2】
上面視で、前記メイン通気部を、それぞれ前記所定方向に延在する前記高密度部分と前記低密度部分とにより取り囲み、少なくとも前記低密度部分を前記サブ通気部として用い、前記メイン通気部の一部を囲み、かつ前記サブ通気部として用いる前記低密度部分がポーラス部である、請求項に記載の製造方法。
【請求項3】
前記高密度部分内に、前記サブ通気部としての前記低密度部分を局所的に更に形成する、請求項に記載の製造方法。
【請求項4】
上面視で、前記メイン通気部を、前記所定方向に延在する前記高密度部分により取り囲み、該高密度部分内に、前記サブ通気部としての前記低密度部分を局所的に形成する、請求項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記サブ通気部が固化密度0%であり、かつ該サブ通気部を取り囲む前記固化層の一部がアンダーカット部を有する場合にて、該アンダーカット部の形成時における前記光ビームの照射エネルギーを、該アンダーカット部以外の前記固化層の他の部分の形成時における該光ビームの照射エネルギーよりも相対的に小さくする、請求項に記載の製造方法。
【請求項6】
平面視で、少なくとも2つの前記メイン通気部の一部となる部分を所定の間隔をおいて縦方向および横方向の少なくとも一方の方向に形成する、請求項1~のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
所定の略平面方向に延在するメイン通気部の一部となる部分とこれに連続するサブ通気部の一部となる部分とを含む前記固化層を、積層方向に沿って複数形成し、それによって、前記サブ通気部を形成する、請求項1~のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
前記複数の前記固化層の形成と、前記所定の略平面方向に対して略垂直方向に延在する前記メイン通気部の一部となる部分とこれに連続する前記サブ通気部の一部となる部分とを含む複数の前記固化層の形成とを繰り返す、請求項に記載の製造方法。
【請求項9】
高密度部分および低密度部分を有して成る三次元形状形物であって、
前記低密度部分の少なくとも一部が通気部として用いられ、
前記通気部が、外部と通気可能に所定方向に延在する少なくとも2つのメイン通気部と、少なくとも互いに隣接する一方のメイン通気部と他方のメイン通気部とを連通させるサブ通気部とを有して成り、
前記サブ通気部が、前記メイン通気部の延在方向とは異なる方向に延在し、かつ前記メイン通気部の通気機能を補助する部分である、三次元形状造形物。
【請求項10】
上面視で、前記メイン通気部が、それぞれ前記所定方向に延在する前記高密度部分と前記低密度部分とにより取り囲まれ、少なくとも前記低密度部分が前記サブ通気部として用いられ、前記メイン通気部の一部を囲み、かつ前記サブ通気部として用いる前記低密度部分がポーラス部である、請求項に記載の三次元形状造形物。
【請求項11】
上面視で、前記メイン通気部が、前記所定方向に延在する前記高密度部分により取り囲まれ、該高密度部分内に、前記サブ通気部としての前記低密度部分が局所的に設けられている、請求項に記載の三次元形状造形物。
【請求項12】
前記メイン通気部および前記サブ通気部の少なくとも一方が中空部となっている、請求項に記載の三次元形状造形物。
【請求項13】
前記メイン通気部および前記サブ通気部の少なくとも一方がポーラス部となっている、請求項に記載の三次元形状造形物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元形状造形物の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、粉末層への光ビーム照射によって固化層を形成する三次元形状造形物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ビームを粉末材料に照射することを通じて三次元形状造形物を製造する方法(一般的には「粉末床溶融結合法」と称される)は、従来より知られている。かかる方法は、以下の工程(i)および(ii)に基づいて粉末層形成と固化層形成とを交互に繰り返し実施して三次元形状造形物を製造する。
(i)粉末層の所定箇所に光ビームを照射し、かかる所定箇所の粉末を焼結又は溶融固化させて固化層を形成する工程。
(ii)得られた固化層の上に新たな粉末層を形成し、同様に光ビームを照射して更なる固化層を形成する工程。
【0003】
このような製造技術に従えば、複雑な三次元形状造形物を短時間で製造することが可能となる。粉末材料として無機質の金属粉末を用いる場合、得られる三次元形状造形物を金型として使用することができる。一方、粉末材料として有機質の樹脂粉末を用いる場合、得られる三次元形状造形物を各種モデルとして使用することができる。
【0004】
粉末材料として金属粉末を用い、それによって得られる三次元形状造形物を金型として使用する場合を例にとる。図7に示すように、まず、スキージング・ブレード23を動かして造形プレート21上に所定厚みの粉末層22を形成する(図7(a)参照)。次いで、粉末層22の所定箇所に光ビームLを照射して粉末層22から固化層24を形成する(図7(b)参照)。引き続いて、得られた固化層の上に新たな粉末層を形成して再度光ビームを照射して新たな固化層を形成する。このようにして粉末層形成と固化層形成とを交互に繰り返し実施すると固化層24が積層することになり(図7(c)参照)、最終的には積層化した固化層24から成る三次元形状造形物を得ることができる。最下層として形成される固化層24は造形プレート21と結合した状態になるので、三次元形状造形物と造形プレート21とは一体化物を成すことになり、その一体化物を金型として使用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表平1-502890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、上記粉末床溶融結合法に従い、低密度部分100a’と高密度部分200a’を有して成る三次元形状造形物300’を製造し、金型として用いる場合がある。この場合、金型キャビティ内にガスを供給したり、金型キャビティから発生ガスを外部へ除去するために、低密度部分100a’を、外部と通気可能に所定方向に延在する通気部100’として用いる場合がある(図10(a)~(d)参照)。
【0007】
ここで、本願発明者は、得られる三次元形状造形物300’が通気部100’を有する場合に、以下の技術的課題が生じ得ることを新たに見出した。具体的には、成型時における樹脂材料が通気部100’内へと侵入すること等を回避する観点から、通気部100’は微細な空間を形成するところ、かかる微細な空間が外部と通気可能に所定方向に向かって連続していない場合があり得る。この場合、金型キャビティ内にガスを好適に供給したり、金型キャビティから発生ガスを外部へと好適に除去することが困難となるおそれがある。
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑みて為されたものである。すなわち、本発明の目的は、外部と好適に通気可能な通気部を有して成る三次元形状造形物の製造方法およびそれから得られる三次元形状造形物を供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態では、
(i)粉末層の所定箇所に光ビームを照射して該所定箇所の粉末を焼結又は溶融固化させて固化層を形成する工程、および
(ii)得られた固化層の上に新たな粉末層を形成し、該新たな粉末層の所定箇所に光ビームを照射して更なる固化層を形成する工程
により粉末層および固化層を交互に繰り返して積層させることで三次元形状造形物を製造する方法であって、
高密度部分および低密度部分を有して成る前記三次元形状造形物を製造し、
前記低密度部分の少なくとも一部を通気部として用い、
前記通気部として、外部と通気可能に所定方向に延在するメイン通気部を少なくとも2つ形成し、
少なくとも互いに隣接する一方の前記メイン通気部と他方のメイン通気部とを連通させる、サブ通気部を更に形成する、三次元形状造形物の製造方法が供される。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態では、
高密度部分および低密度部分を有して成る三次元形状形物であって、
前記低密度部分の少なくとも一部が通気部として用いられ、
前記通気部が、外部と通気可能に所定方向に延在する少なくとも2つのメイン通気部と、少なくとも互いに隣接する一方のメイン通気部と他方のメイン通気部とを連通させるサブ通気部とを有して成る、三次元形状造形物が供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施形態に従えば、外部と好適に通気可能な通気部を有して成る三次元形状造形物を製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る三次元形状造形物の製造方法を示す模式断面図
図2A】通気部を有して成る三次元形状造形物の製造方法を示す模式図
図2B】通気部を有して成る三次元形状造形物の製造方法を示す模式斜視図
図3】高密度部分と低密度部分とにより囲まれるメイン通気部の模式上面図
図4A】メイン通気部を取り囲む高密度部分が低密度部分を内部に局所的に有する態様の模式断面図
図4B】メイン通気部を取り囲む高密度部分が低密度部分を内部に局所的に有する態様の模式上面図
図5】円形断面のサブ通気部を有して成る三次元形状造形物を示す模式断面図
図6】円形断面のサブ通気部の形成に際してアンダーカット部に対する対応等を示す模式図(図6(a):円形断面のサブ通気部を有して成る三次元形状造形物の製造を示す全体模式斜視図、図6(b):光ビーム照射調整の実施態様を示す模式断面図、図6(c):隆起部発生を示す模式断面図、図6(d):隆起部に対する切削加工の実施態様を示す模式断面図)
図7】粉末床溶融結合法が実施される光造形複合加工のプロセス態様を模式的に示した断面図(図7(a):粉末層形成時、図7(b):固化層形成時、図7(c):積層途中)
図8】光造形複合加工機の構成を模式的に示した斜視図
図9】光造形複合加工機の一般的な動作を示すフローチャート
図10】本願の技術的課題を示した模式図(図10(a):通気部を含む三次元形状造形物の模式全体斜視図、図10(b):通気部の模式上面図、図10(c):通気部の模式断面図、図10(d):通気部の模式部分拡大図)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、図面を参照して本発明の一実施形態をより詳細に説明する。図面における各種要素の形態および寸法は、あくまでも例示にすぎず、実際の形態および寸法を反映するものではない。
【0014】
本明細書において「粉末層」とは、例えば「金属粉末から成る金属粉末層」または「樹脂粉末から成る樹脂粉末層」を意味している。また「粉末層の所定箇所」とは、製造される三次元形状造形物の領域を実質的に指している。従って、かかる所定箇所に存在する粉末に対して光ビームを照射することによって、その粉末が焼結又は溶融固化して三次元形状造形物を構成することになる。
【0015】
また、本明細書で直接的または間接的に説明される“上下”の方向は、例えば造形プレートと三次元形状造形物との位置関係に基づく方向であって、造形プレートを基準にして三次元形状造形物が製造される側を「上方向」とし、その反対側を「下方向」とする。
【0016】
[粉末床溶融結合法]
まず、本発明の製造方法の前提となる粉末床溶融結合法について説明する。特に粉末床溶融結合法において三次元形状造形物の切削処理を付加的に行う光造形複合加工を例として挙げる。図7は、光造形複合加工のプロセス態様を模式的に示しており、図8および図9は、粉末床溶融結合法と切削処理とを実施できる光造形複合加工機の主たる構成および動作のフローチャートをそれぞれ示している。
【0017】
光造形複合加工機1は、図8に示すように、粉末層形成部2、光ビーム照射部3および切削部4を備えている。
【0018】
粉末層形成部2は、金属粉末または樹脂粉末などの粉末を所定厚みで敷くことによって粉末層を形成するためのものである。光ビーム照射部3は、粉末層の所定箇所に光ビームLを照射するためのものである。切削部4は、積層化した固化層の表面、すなわち、三次元形状造形物の表面を削るためのものである。
【0019】
粉末層形成部2は、図7に示すように、粉末テーブル25、スキージング・ブレード23、造形テーブル20および造形プレート21を主に有して成る。粉末テーブル25は、外周が壁26で囲まれた粉末材料タンク28内にて上下に昇降できるテーブルである。スキージング・ブレード23は、粉末テーブル25上の粉末19を造形テーブル20上へと供して粉末層22を得るべく水平方向に移動できるブレードである。造形テーブル20は、外周が壁27で囲まれた造形タンク29内にて上下に昇降できるテーブルである。そして、造形プレート21は、造形テーブル20上に配され、三次元形状造形物の土台となるプレートである。
【0020】
光ビーム照射部3は、図8に示すように、光ビーム発振器30およびガルバノミラー31を主に有して成る。光ビーム発振器30は、光ビームLを発する機器である。ガルバノミラー31は、発せられた光ビームLを粉末層22にスキャニングする手段、すなわち、光ビームLの走査手段である。
【0021】
切削部4は、図8に示すように、エンドミル40および駆動機構41を主に有して成る。エンドミル40は、積層化した固化層の表面、すなわち、三次元形状造形物の表面を削るための切削工具である。駆動機構41は、エンドミル40を所望の切削すべき箇所へと移動させるものである。
【0022】
光造形複合加工機1の動作について詳述する。光造形複合加工機1の動作は、図9のフローチャートに示すように、粉末層形成ステップ(S1)、固化層形成ステップ(S2)および切削ステップ(S3)から構成されている。粉末層形成ステップ(S1)は、粉末層22を形成するためのステップである。かかる粉末層形成ステップ(S1)では、まず造形テーブル20をΔt下げ(S11)、造形プレート21の上面と造形タンク29の上端面とのレベル差がΔtとなるようにする。次いで、粉末テーブル25をΔt上げた後、図7(a)に示すようにスキージング・ブレード23を粉末材料タンク28から造形タンク29に向かって水平方向に移動させる。これによって、粉末テーブル25に配されていた粉末19を造形プレート21上へと移送させることができ(S12)、粉末層22の形成が行われる(S13)。粉末層22を形成するための粉末材料としては、例えば「平均粒径5μm~100μm程度の金属粉末」および「平均粒径30μm~100μm程度のナイロン、ポリプロピレンまたはABS等の樹脂粉末」を挙げることができる。粉末層22が形成されたら、固化層形成ステップ(S2)へと移行する。固化層形成ステップ(S2)は、光ビーム照射によって固化層24を形成するステップである。かかる固化層形成ステップ(S2)においては、光ビーム発振器30から光ビームLを発し(S21)、ガルバノミラー31によって粉末層22上の所定箇所へと光ビームLをスキャニングする(S22)。これによって、粉末層22の所定箇所の粉末を焼結又は溶融固化させ、図7(b)に示すように固化層24を形成する(S23)。光ビームLとしては、炭酸ガスレーザ、Nd:YAGレーザ、ファイバレーザまたは紫外線などを用いてよい。
【0023】
粉末層形成ステップ(S1)および固化層形成ステップ(S2)は、交互に繰り返して実施する。これにより、図7(c)に示すように複数の固化層24が積層化する。
【0024】
積層化した固化層24が所定厚みに達すると(S24)、切削ステップ(S3)へと移行する。切削ステップ(S3)は、積層化した固化層24の表面、すなわち、三次元形状造形物の表面を削るためのステップである。エンドミル40(図7(c)および図8参照)を駆動させることによって切削ステップが開始される(S31)。例えば、エンドミル40が3mmの有効刃長さを有する場合、三次元形状造形物の高さ方向に沿って3mmの切削処理を行うことができるので、Δtが0.05mmであれば60層分の固化層24が積層した時点でエンドミル40を駆動させる。具体的には駆動機構41によってエンドミル40を移動させながら、積層化した固化層24の表面を切削処理に付すことになる(S32)。このような切削ステップ(S3)の最終では、所望の三次元形状造形物が得られているか否かを判断する(S33)。所望の三次元形状造形物が依然得られていない場合では、粉末層形成ステップ(S1)へと戻る。以降、粉末層形成ステップ(S1)~切削ステップ(S3)を繰り返し実施して更なる固化層の積層化および切削処理を実施することによって、最終的に所望の三次元形状造形物が得られる。
【0025】
[本発明の特徴部分]
以下、本発明の一実施形態に係る三次元形状造形物の製造方法について説明する。なお、本発明の一実施形態は、低密度部分と高密度部分とを有して成る三次元形状造形物を製造し、当該低密度部分の少なくとも一部を通気部として用いることを前提とする。
【0026】
本願発明者らは、外部と好適に通気可能な通気部を有して成る三次元形状造形物の製造方法について鋭意検討した。その結果、本願発明者らは以下の技術的思想を有する本発明を案出するに至った。
【0027】
(本発明の技術的思想)
具体的には、本願発明者らは「通気部100を、外部と通気可能に所定方向に延在する2つ以上のメイン通気部101と、少なくとも互いに隣接する一方のメイン通気部101Aと他方のメイン通気部101Bとを連通させるサブ通気部102とから構成する」という技術的思想を有する本発明を案出するに至った(図1図2A、および図2B参照)。
【0028】
かかる技術的思想に従えば、サブ通気部102を介して少なくとも隣接する一方のメイン通気部101Aと他方のメイン通気部101Bとが連通可能となる。すなわち、サブ通気部102は連通部材として機能することができる。これにより、メイン通気部101が微細な空間を形成する場合において、この微細な空間が外部と通気可能に連続していないとしても、サブ通気部102を介して隣接する一方のメイン通気部101Aと他方のメイン通気部101Bとの間にてガスを好適に移動させることができる。その結果、三次元形状造形物300を例えば金型として用いる場合に、メイン通気部101およびサブ通気部102を有して成る通気部100を介して、金型キャビティ内へとガスを好適に供給したり、金型キャビティから発生ガスを外部へと好適に除去することが可能となる。
【0029】
なお、本明細書でいう「メイン通気部」とは、三次元形状造形物の通気に主として貢献する部分を指す。本明細書でいう「サブ通気部」とは、メイン通気部の通気機能を補助する副たる部分を指す。本明細書でいう「高密度部分」とは固化密度95~100%であるものを指し、「低密度部分」とは固化密度0~70%であるものを指し、「中密度部分」とは固化密度70~95%であるものを指す。更に、本明細書でいう「低密度部分」とは、三次元形状造形物の構成要素であり、その構成要素である低密度部分の全てのうちの少なくとも一部が通気部として用いられるものを指す。すなわち、本明細書でいう「低密度部分」とは、通気部以外の他の用途に用いられる低密度部分も含む。
【0030】
本明細書でいう「上面視」とは、最終的に得られる三次元形状造形物(完成物)を上方向からみた場合を指す。本明細書でいう「平面視」とは、三次元形状造形物(完成物)の製造途中における固化層を上方向からみた場合を指す。
【0031】
本明細書でいう「固化密度(%)」とは、三次元形状造形物の断面写真を画像処理することによって求めた固化断面密度(固化材料の占有率)を実質的に意味している。使用する画像処理ソフトはScion Image ver. 4.0.2(Scion社製のフリーウェア)であって、断面画像を固化部(白)と空孔部(黒)とに二値化した後、画像の全画素数Pxallおよび固化部(白)の画素数Pxwhiteをカウントすることで、以下の式1により固化断面密度ρを求めることができる。
[式1]

【0032】
以下、メイン通気部とサブ通気部とを備えた通気部を有して成る三次元形状造形物の製造方法について具体的に説明する(図2Aおよび図2B参照)。
【0033】
具体的には、本発明の一実施形態に係る三次元形状造形物の製造方法は、粉末床溶融結合法に従い、光ビームを用いて所定の略平面方向に延在する「メイン通気部101の一部となる部分とこれに連続するサブ通気部の一部となる部分」を備えた固化層を積層方向に沿って複数積層する工程を含む。ここでいう「略平面方向」とは、最終的に形成するメイン通気部101の延在方向とは異なる方向(例えば略垂直な方向)を指す。なお、最終的に得られる三次元形状造形物の少なくとも最上面に位置する固化層については、造形物を金型として用いる場合に成型時における樹脂材料が通気部へと侵入することを回避する観点から、メイン通気部の一部となる部分のみを有する固化層であることを要する。すなわち、少なくとも最上面に位置する固化層については、「メイン通気部101の一部となる部分に連続するサブ通気部の一部となる部分」を含まないことを要する。
【0034】
これにより、メイン通気部101およびサブ通気部102を内部に備える、本発明の一実施形態に係る三次元形状造形物300を製造することができる(図1図2Aおよび図2B参照)。
【0035】
得られた本発明の一実施形態に係る三次元形状造形物300は、以下の特徴的な構成を有する。具体的には、本発明の一実施形態に係る三次元形状造形物300は、高密度部分200および少なくとも一部が通気部100として用いられる低密度部分を有して成る。なお、これに限定されることなく、本発明の一実施形態に係る三次元形状造形物300は、通気性と強度確保とを両立させる観点から中密度部分を更に有して成ってよい。
【0036】
この通気部100は、外部と通気可能に所定方向に延在する少なくとも2つのメイン通気部101と、少なくとも互いに隣接する一方のメイン通気部101Aと他方のメイン通気部101Bとを連通させるサブ通気部102とを有して成る。
【0037】
三次元形状造形物300の内部に形成されるサブ通気部102は、メイン通気部の延在方向とは異なる方向(例えば略垂直方向)に延在している。これにより、サブ通気部102は、相互に離隔するメイン通気部間を横切るように配置されることとなる。すなわち、本発明の一実施形態では、サブ通気部102は、少なくとも隣接する2つのメイン通気部101間を連通させるための連通部材として機能することができる。
【0038】
かかる構成によれば、サブ通気部102を介して少なくとも隣接する一方のメイン通気部101Aと他方のメイン通気部101Bとが連通可能となる。これにより、メイン通気部101が微細な空間を形成する場合において、この微細な空間が外部と通気可能に連続していないとしても、サブ通気部102を介して隣接する一方のメイン通気部101Aと他方のメイン通気部101Bの間にてガスを好適に移動させることができる。その結果、三次元形状造形物300が例えば金型として用いられる場合に、メイン通気部101およびサブ通気部102を有して成る通気部100を介して、金型キャビティ内へとガスを好適に供給したり、金型キャビティから発生ガスを外部へと好適に除去することが可能となる。
【0039】
なお、上記固化層の形成時において、最終的に得られる通気部100の通気量を好適に確保する観点から、「メイン通気部101の一部となる部分」と「サブ通気部102の一部となる部分」とはそれぞれ低密度部分(例えば固化密度40%以下)であることが好ましい。更に、最終的に得られる通気部100の通気量をより好適に確保する観点から、「メイン通気部101の一部となる部分」と「サブ通気部102の一部となる部分」とはそれぞれ固化密度が0%であることがより好ましい。この場合、製造途中において重力方向に沿って光ビーム未照射の粉末を落下させ、固化層内部から粉末を取り除くことができる。
【0040】
以下、本発明の一実施形態の採り得る態様について説明する。
【0041】
まず、上記の三次元形状造形物300の製造に際して、所定方向(例えばX方向に相当)に延在する通気部の一部となる部分を含む固化層24aの形成と、所定方向に対して略垂直方向(例えばY方向に相当)に延在する通気部の一部となる部分を含む固化層24bの形成とを繰り返すことが好ましい。
【0042】
具体的には、「メイン通気部の一部となる部分とこれに連続する前記サブ通気部の一部となる部分24a、24a」を含む複数の固化層24aの形成と、Y方向に延在する「メイン通気部の一部となる部分とこれに連続する前記サブ通気部の一部となる部分24b、24b」を含む複数の固化層24bの形成とを繰り返すことが好ましい(図2Aおよび図2B参照)。
【0043】
この場合、例えば下記形態を有する固化層(1層)を形成することができる。一例として、図2Aに示すように、それぞれが連続形態をなす通気部の一部となる部分(低密度部分)24aが所定の間隔をおいて並列に(すなわちストライプ状に)複数配置されるように、固化層(1層)を形成することができる。
【0044】
これにより、最終的に得られる三次元形状造形物の内部の通気部が櫓(やぐら)形態を有することが可能となる。その結果、一方向(例えばX方向)にのみ延在する通気部となる部分を含む固化層を積層して造形物を製造する場合と比べて、ガスの移動経路の領域および/又は数を増やすことができる。それ故、より好適なガス通気(外部からのガス供給/外部への内部ガスの排出)が可能となる。
【0045】
又、別例として、図2Bに示すように、固化層(1層)の形成に際して、「メイン通気部の一部となる部分とこれに連続するサブ通気部の一部となる部分」24a、24bを非連続的に供し、かつ「メイン通気部の一部となる部分」24a、24bを非連続的に供することができる。なお、この場合、「メイン通気部の一部となる部分とこれに連続するサブ通気部の一部となる部分」と「メイン通気部の一部となる部分」とは所定の間隔をおいて並列配置に形成してよい。
【0046】
以上により、所定の固化層(1層)において、連続形態をなす通気部の一部となる部分(低密度部分)がストライプ状に形成される場合と比べて、当該連続部分の占める割合を相対的に減じることができる。換言すれば、所定の固化層(1層)において、高密度部分の割合を相対的に高くすることができる。これにより、最終的に得られる三次元形状造形物において、サブ通気部の存在による好適なガス移動と、所定の強度確保とを好適に両立させることができる。
【0047】
これに加えて、図2Aおよび図2Bに示す形態のいずれにおいても、以下の効果も奏することができる。具体的には、通気部の一部となる部分が所定方向(例えばX方向)にのみ延在する固化層を積層方向に沿って複数積層して三次元形状造形物を製造する場合、通気部の一部となる部分が所定方向にのみ延在していることに起因して、当該所定方向とは異なる方向からの押圧力に対する耐性強度が十分ではないおそれがある。この点につき、図2Aおよび図2Bに示す形態では、通気部の一部となる部分が例えばX方向とY方向に延在しているため、最終的に得られる三次元形状造形物において、所定方向のみならず該所定方向に対して略垂直方向からの外部押圧力に対する耐性強度も好適に確保することができる。
【0048】
以上の事からも、図2Aおよび図2Bに示す形態に従えば、固化層の形成時には、平面視でメイン通気部の一部となる部分を、所定の間隔をおいて縦方向(X方向に相当)および横方向(Y方向に相当)の少なくとも一方の方向に少なくとも2つ形成することができる。これにより、最終的に得られる少なくとも2つのメイン通気部101を縦方向および横方向の少なくとも一方の方向に形成することが可能となる(図2Aおよび図2B参照)。すなわち、メイン通気部を取り囲むボディ部分(例えば高密度部分)は格子構造(つまり、ラティス構造)を成すことが可能となる。これにより、ガス移動経路を複数確保することができ、より好適なガス通気(外部からのガス供給/外部への内部ガスの排出)が可能となる。
【0049】
なお、効果的かつ効率的に通気を行う観点から、例えば図2Bに示す形態に従い固化層を形成する場合、略同一平面寸法を有するメイン通気部の一部を、略同一の間隔をおいて縦方向および横方向の少なくとも一方の方向に少なくとも2つ形成することが好ましい。これにより、最終的に、略同一平面寸法を有する少なくとも2つのメイン通気部を略同一の間隔をおいて縦方向および横方向の少なくとも一方の方向に形成することが可能となる(図2参照)。これにより、ガス移動経路を複数確保することができると共に、通気抵抗にばらつきが生じることを回避することができる。
【0050】
又、所定の間隔をおいて並列配置された複数の通気部を含む造形物を製造する場合、断面視で中央部分に位置する通気部の延在(長手)寸法よりも側部分に位置する通気部の延在寸法よりも相対的に長くなるように複数の通気部を形成する場合がある。この場合、延在寸法が相対的に長い側部分に位置するメイン通気部は、延在寸法が相対的に短い中央部分に位置するメイン通気部よりも、延在寸法が大きいことに起因して外部と通気可能に連続しない可能性が高くなり得る。
【0051】
この点、本発明の一実施形態によれば、側部分に位置する通気部(メイン通気部に相当)の延在寸法が相対的に大きいとしても、サブ通気部を介して少なくとも側部分に位置するメイン通気部とこれに隣接する他のメイン通気部とを連通させる。これにより、サブ通気部を介して、延在寸法が相対的に長い側部分に位置するメイン通気部とこれに隣接する他のメイン通気部との間にてガスを好適に移動させることができる。
【0052】
又、一実施形態では、上面視で、メイン通気部101を、それぞれメイン通気部101の延在方向(長手方向)に延在する高密度部分200と低密度部分100とにより取り囲み、少なくとも低密度部分100をサブ通気部102として用いることができる(図3参照)。
【0053】
かかる場合、メイン通気部101を取り囲む構成要素である高密度部分200は、メイン通気部が形成される領域の強度確保に資することができる。これに加えて、メイン通気部101を取り囲む構成要素である低密度部分100(サブ通気部102)は、隣接する一方のメイン通気部101Aと他方のメイン通気部102Bとの間にてガスを移動させるための連通部材として機能することができる。
【0054】
特に、メイン通気部101Aとなる部分の固化密度が0%である場合、最終的に得られるメイン通気部101Aは中空状態となり、外部押圧力に対して十分な強度確保が容易でなくなる可能性がある。この点、かかる場合においても、本実施形態に従えば、メイン通気部が形成される領域における強度確保と、隣接する2つのメイン通気部101間におけるガス移動とを好適に実施することができる。
【0055】
なお、メイン通気部101の延在方向(長手方向)に延在する高密度部分200内に、サブ通気部101としての低密度部分を局所的に更に形成することが好ましい。
【0056】
図3に示す実施形態では、メイン通気部101を取り囲む構成要素である低密度部分100(サブ通気部102)は、“壁”として機能するために所定の固化密度(例えば40%)を有する必要がある。そのため、最終的に得られるサブ通気部102が中空状態である場合と比べて、サブ通気部102を介したガス移動が容易ではない可能性がある。
【0057】
そこで、上記のとおり、メイン通気部101の延在方向(長手方向)に延在する高密度部分200内に、サブ通気部101としての低密度部分を局所的に形成する。これにより、隣接する2つのメイン通気部101間におけるガス移動の移動経路パターンを増やすことができる。
【0058】
又、一実施形態では、上面視で、メイン通気部101を、メイン通気部101の延在方向(長手方向)に延在する高密度部分200により取り囲み、当該高密度部分200内にサブ通気部102としての低密度部分を局所的に形成することができる(図4Aおよび図4B参照)。
【0059】
かかる場合、メイン通気部101を取り囲む構成要素である高密度部分200は、メイン通気部が形成される領域の強度確保に資することができる。これに加えて、隣接する2つのメイン通気部101間におけるガス移動は、高密度部分200内に局所的に形成したサブ通気部102(低密度部分)を介して行うことができる。
【0060】
なお、本実施形態では、メイン通気部101を取り囲む“壁”の主たる部分は、ガス通過移動が困難な高密度部分から構成されている。そのため、図3に示す実施形態と比べてガス通過移動可能な領域は高密度部分200内に局所的に形成されたサブ通気部102に限定される。そのため、好適なガス通過移動を行う観点から、図4Aおよび図4Bに示す実施形態では、サブ通気部102となる部分の固化密度が0%であることが好ましい。
【0061】
これにより、最終的に得られるサブ通気部102を中空状態にすることができる。かかる中空状態のサブ通気部102により、隣接する2つのメイン通気部101間におけるガス移動を好適に行うことができる。
【0062】
なお、これに限定されず、上記固化層の形成時に、「メイン通気部101の一部となる部分」と「サブ通気部102の一部となる部分」の少なくとも一方を、固化密度約40%である低密度部分とした場合に、最終的に得られるメイン通気部101およびサブ通気部102の少なくとも一方をポーラス部とすることができる。この場合、上記の中空状態である場合と比べて、メイン通気部101における単一の空隙サイズをより小さくすることができる。そのため、最終的に得られる造形物300を金型として用いる場合に、成型時における樹脂材料の通気部100内への侵入をより好適に回避することができる。
【0063】
なお、上記の図3に示す形態および図4Bに示す形態に限定されるものではない。例えば、上面視で、メイン通気部を、メイン通気部101の延在方向(長手方向)に延在する低密度部分の壁のみにより取り囲み、当該低密度部分をサブ通気部102として用いることもできる。なお、メイン通気部を取り囲む構成要素である低密度部分(サブ通気部102)は、“壁”として機能するために所定の固化密度(例えば40%)を有する必要がある。
【0064】
すなわち、メイン通気部101を取り囲む低密度部分の全てを、隣接する一方のメイン通気部と他方のメイン通気部との間にてガスを移動させるための連通部材として機能させることができる。又、通気部を取り囲む壁を全て低密度から構成する場合、上記の図3に示す形態および図4Bに示す形態と比べて、低照射エネルギーで形成することができるため生産効率の点でも好ましい。
【0065】
又、一実施形態では、粉末床溶融結合法に従えば、サブ通気部102の断面形状として、任意の形状を形成することができる。特に限定されるものではないが、サブ通気部102の断面形状としては、矩形、正方形、円形、菱形、および/または多角形等が挙げられる。
【0066】
例えば、最終的に得られるサブ通気部102Aが円形の断面形状でありかつ中空状態である場合を例に採る(図5および図6(a)~(d)参照)。
【0067】
なお、図5に示すように、全体として周回形態をなすサブ通気部102Aを形成することが好ましい。かかる形態を採る場合、隣接する2つのメイン通気部101間にのみサブ通気部を形成する場合と比べて、サブ通気部102の形成領域を相対的に大きく確保することが可能となる。又、周回形態を成すため、サブ通気部102Aを介して1周周回する間に他のメイン通気部101へとガス移動できない場合があったとしても、2周目以降にも他のメイン通気部101へとガス移動できる機会を好適に確保することができる。
【0068】
最終的に得られるサブ通気部102Aが円形の断面形状でありかつ中空状態である場合(図6(a)参照)、以下態様を採ることが好ましい。
【0069】
具体的には、この場合、製造時において、図6(b)に示すように、断面視にてサブ通気部102Aを取り囲む固化層24の一部がアンダーカット部24Eとなる。アンダーカット部24Eでは、図6(c)に示すように、光ビームの照射時に周辺に位置する粉末19も引き寄せることで、結果として隆起部50が生じる場合がある。
【0070】
かかる事情を鑑み、アンダーカット部24Eの形成時における光ビームLの照射エネルギーを、アンダーカット部24E以外の固化層24の他の部分の形成時における光ビームLの照射エネルギーよりも相対的に小さくすることが好ましい。これにより、照射エネルギーが小さいことに起因して、光ビームLの照射時に周辺に位置する粉末19の引寄せを抑制することができる。これにより、隆起部50の発生を抑制することができる。その結果、所定の断面寸法を有するサブ通気部102Aを形成することができる。
【0071】
なお、上記照射エネルギーの調整に代えて又はこれと併用して、図6(d)に示すように、切削工具40を用いて固化層24のアンダーカット部24Eの上面切削を行うことができる。具体的には、所定の固化層24の形成時において、切削後のアンダーカット部24Eとアンダーカット部24E以外の固化層24の他の部分との厚みが略同一となるように、上記上面切削を行うことが好ましい。これにより、所望の厚みと所望の形状を有する固化層24を後刻に新たに形成することができる。
【0072】
以上、本発明の一実施形態について説明してきたが、本発明の適用範囲のうちの典型例を例示したに過ぎない。従って、本発明はこれに限定されず、種々の改変がなされ得ることを当業者は容易に理解されよう。
【符号の説明】
【0073】
300 三次元形状造形物
200 高密度部分
100 通気部(低密度部分)
101 メイン通気部
102 サブ通気部
22 粉末層
24 固化層
L 光ビーム
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10