(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】炭酸ガス溶解装置
(51)【国際特許分類】
B01F 21/00 20220101AFI20240705BHJP
A23L 2/00 20060101ALN20240705BHJP
A23L 2/54 20060101ALN20240705BHJP
【FI】
B01F21/00
A23L2/00 T
A23L2/54
(21)【出願番号】P 2020084785
(22)【出願日】2020-05-13
【審査請求日】2023-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】311007202
【氏名又は名称】アサヒビール株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000113997
【氏名又は名称】株式会社アクリテック
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】光畑 伸輔
(72)【発明者】
【氏名】前田 勉
(72)【発明者】
【氏名】宮谷 知久
(72)【発明者】
【氏名】武藤 修司
(72)【発明者】
【氏名】隈本 正人
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 俊夫
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-278595(JP,A)
【文献】特開2000-327089(JP,A)
【文献】特開2019-026272(JP,A)
【文献】国際公開第2019/240298(WO,A1)
【文献】特開2018-154375(JP,A)
【文献】特開平05-092131(JP,A)
【文献】実開昭48-079013(JP,U)
【文献】特表2017-505708(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0087525(KR,A)
【文献】特開2007-000771(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 21/00-25/90
A23L 2/00- 2/84
A47J 31/00-31/60
B67B 7/00
B67C 3/00
B67D 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料が注がれた飲料容器の上方に第1密閉空間を形成する第1密閉部材と、
第2密閉空間を構成する第2密閉部材と、
前記第1密閉空間と前記第2密閉空間とを連通させる流路と、
前記流路に配置された第1バルブと、
前記第2密閉空間を大気に連通させたり大気から遮断したりするための第2バルブと、
前記飲料容器の中の前記飲料に炭酸ガスを供給する供給部と、
前記供給部による前記飲料に対する炭酸ガスの供給動作、および、前記供給動作の後に前記第1密閉空間のガス圧を減少させるスニフト動作を制御するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、前記供給動作の後に、前記スニフト動作が複数回にわたって繰り返されるように前記第1バルブおよび前記第2バルブを制御し、
前記複数回にわたる前記スニフト動作
の各々は、前記第2バルブが閉じた状態で前記第1バルブを開いて前記第1密閉空間と前記第2密閉空間とを連通させた後、前記第1バルブを閉じ、前記第2バルブを開く
ことによって前記第2密閉空間を大気圧にする動作を含む、
ことを特徴とする炭酸ガス溶解装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記複数回にわたる前記スニフト動作の後に、前記第1バルブおよび前記第2バルブの双方を開く、
ことを特徴とする請求項1に記載の炭酸ガス溶解装置。
【請求項3】
前記第1密閉部材の内径は、前記飲料容器の外形より大きく、前記第1密閉部材は、前記飲料容器の外周面に対して押し付けられる環状シール部材を含み、前記飲料容器の前記外周面に対して前記環状シール部材が押し当てられることによって前記第1密閉空間が形成される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の炭酸ガス溶解装置。
【請求項4】
前記第1密閉部材を昇降させる昇降機構を更に備え、
前記昇降機構によって前記第1密閉部材を降下させることによって、前記環状シール部材の開口部に前記飲料容器の上部が挿入され、前記第1密閉空間が形成される、
ことを特徴とする請求項
3に記載の炭酸ガス溶解装置。
【請求項5】
前記昇降機構によって前記第1密閉部材が降下された後、前記第1密閉部材の上昇を規制する規制部を更に備える、
ことを特徴とする請求項
4に記載の炭酸ガス溶解装置。
【請求項6】
前記第1密閉空間が形成された後に、前記第1密閉空間に炭酸ガスを供給する与圧提供部を更に備え、
前記コントローラは、前記与圧提供部によって前記第1密閉空間に炭酸ガスが供給された後に、前記供給動作を実行する、
ことを特徴とする請求項
5に記載の炭酸ガス溶解装置。
【請求項7】
前記規制部が前記第1密閉部材の上昇を規制可能な準備状態になったことを検知するセンサを備え、前記コントローラは、前記センサの出力に基づいて、前記規制部が前記準備状態になった後に、前記供給部による炭酸ガスの供給動作を可能にする、
ことを特徴とする請求項
6に記載の炭酸ガス溶解装置。
【請求項8】
前記第1密閉空間が形成された後に、前記第1密閉空間に炭酸ガスを供給する与圧提供部を更に備え、
前記コントローラは、前記与圧提供部によって前記第1密閉空間に炭酸ガスが供給された後に、前記供給動作を実行する、
ことを特徴とする請求項1乃至
4のいずれか1項に記載の炭酸ガス溶解装置。
【請求項9】
前記供給部は、前記飲料容器の中の前記飲料に挿入されるノズルを含み、
前記ノズルのうち前記飲料に挿入される部分に、炭酸ガスを噴射するガス噴射孔が設けられている、
ことを特徴とする請求項1乃至
8のいずれか1項に記載の炭酸ガス溶解装置。
【請求項10】
前記ノズルの下端は、錐面を有し、前記ガス噴射孔は、前記錐面に設けられている、
ことを特徴とする請求項
9に記載の炭酸ガス溶解装置。
【請求項11】
前記ガス噴射孔の数は、2個以上である、
ことを特徴とする請求項
10に記載の炭酸ガス溶解装置。
【請求項12】
前記飲料の種類および前記飲料の目標ガスボリュームを設定する設定部を更に備え、
前記コントローラは、前記設定部によって設定された前記種類および前記目標ガスボリュームに応じて前記供給部を制御する、
ことを特徴とする請求項1乃至
11のいずれか1項に記載の炭酸ガス溶解装置。
【請求項13】
前記飲料容器は、タンブラーである、
ことを特徴とする請求項1乃至
12のいずれか1項に記載の炭酸ガス溶解装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸ガス溶解装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、炭酸水を製造するための製造装置が記載されている。この製造装置は、水を収容する密閉容器と、炭酸ガスが高圧で封入され、大気圧より高い圧力となるように炭酸ガスを密閉容器に供給するための炭酸ガスボンベと、炭酸ガスボンベと密閉容器を接続するための炭酸ガス輸送管と、炭酸ガス輸送管に取り付けられた密閉容器内に供給する炭酸ガスの流量を調整するための流量調整用バルブと、炭酸ガスボンベからの炭酸ガスの供給及び停止を行うための第1の開閉バルブと、製造した炭酸水を密閉容器内から取り出すための排出手段とを備えている。炭酸水の製造時には、第1の開閉バルブを開き、排出手段を閉じ、炭酸ガスを大気圧より高い圧力にすることで水に炭酸ガスを溶解させる。製造した炭酸水の排出時には、第1の開閉バルブを閉じ、排出手段を開く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
飲料に炭酸ガスを溶解させるために特許文献1に記載された製造装置を使用する場合、まず、飲料を密閉容器に充填し、密閉容器を密閉状態にし、第1の開閉バルブを開き、排出手段を閉じることになるであろう。炭酸ガスを大気圧より高い圧力にすることにより、密閉容器内の飲料に炭酸ガスが溶解する。その後、第1の開閉バルブを閉じ、排出手段を開くことにより、密閉容器内において炭酸ガスが溶解された飲料が排出手段を通じて排出され、グラス等の飲料容器に注がれうる。
【0005】
上記のような方法では、炭酸ガスが溶解された飲料が密閉容器から排出手段を通して飲料容器に注がれる際に、飲料が受ける衝撃等によって飲料から炭酸ガスが放出され、炭酸ガスのロスが発生しうる。また、密閉容器に飲料を充填する作業は煩わしいであろう。
【0006】
本発明は、飲料に炭酸ガスを溶解させるために有利な炭酸ガス溶解装置およびノズルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の側面は、炭酸ガス溶解装置に係り、前記炭酸ガス溶解装置は、飲料が注がれた飲料容器の上方に第1密閉空間を形成する第1密閉部材と、第2密閉空間を構成する第2密閉部材と、前記第1密閉空間と前記第2密閉空間とを連通させる流路と、前記流路に配置された第1バルブと、前記第2密閉空間を大気に連通させたり大気から遮断したりするための第2バルブと、前記飲料容器の中の前記飲料に炭酸ガスを供給する供給部と、前記供給部による前記飲料に対する炭酸ガスの供給動作、および、前記供給動作の後に前記第1密閉空間のガス圧を減少させるスニフト動作を制御するコントローラと、を備え、前記コントローラは、前記供給動作の後に、前記スニフト動作が複数回にわたって繰り返されるように前記第1バルブおよび前記第2バルブを制御し、前記複数回にわたる前記スニフト動作の各々は、前記第2バルブが閉じた状態で前記第1バルブを開いて前記第1密閉空間と前記第2密閉空間とを連通させた後、前記第1バルブを閉じ、前記第2バルブを開くことによって前記第2密閉空間を大気圧にする動作を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、飲料に炭酸ガスを溶解させるために有利な炭酸ガス溶解装置およびノズルが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態の炭酸ガス溶解装置の構成を模式的に示す図。
【
図2】実施形態の炭酸ガス溶解装置の構成を模式的に示す図。
【
図3】実施形態の炭酸ガス溶解装置の動作(供給動作)を説明する図。
【
図4】実施形態の炭酸ガス溶解装置の動作(スニフト動作)を説明する図。
【
図5】実施形態の炭酸ガス溶解装置の動作(スニフト動作)を説明する図。
【
図6】実施形態の炭酸ガス溶解装置の動作(スニフト動作)を説明する図。
【
図7】実施形態の炭酸ガス溶解装置の動作(スニフト動作)を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0014】
図1には、実施形態の炭酸ガス溶解装置1の構成が模式的に示されている。炭酸ガス溶解装置1は、飲料容器140に注がれた飲料141に対して炭酸ガスによって圧力を加えることによって飲料141に炭酸ガスを溶解させる。このような処理は、カーボネーションと呼ばれうる。飲料容器140は、例えば、飲料141が注がれ、テーブル上に置かれた状態において、上端部の内径が、該上端部より下方の部分の内径よりも大きい形状を有しうる。飲料容器140は、例えば、タンブラーでありうる。実施形態で使用される飲料容器140は、例えば、金属製でありうる。飲料141は、例えば、ビール系飲料(ビール、発泡酒、第3のビール等)、ワイン、清涼飲料または水等でありうるが、これらに限定されるものではない。飲料141は、炭酸ガス溶解装置1によって処理される前に炭酸ガスが溶解された飲料であってもよいし、炭酸ガスが溶解していない飲料であってもよい。日本で流通しているビールは、例えば、2.7~2.8GV(ガスボリューム)である。一例において、炭酸ガス溶解装置1は、飲料141としてのビールに追加の炭酸ガスを溶解させるように構成され、3.5~5.5GVの範囲内のビール、例えば、4.0GVのビールを実現しうる。
【0015】
炭酸ガス溶解装置1は、例えば、飲料141が注がれた飲料容器140の上方に第1密閉空間SP1を形成する第1密閉部材10と、第2密閉空間SP2を構成する第2密閉部材20と、第1密閉空間SP1と第2密閉空間SP2とを連通させる流路30とを備えうる。炭酸ガス溶解装置1はまた、流路30に配置された第1バルブ40と、第2密閉空間SP2を大気に連通させたり大気から遮断したりするための第2バルブ50と、飲料容器140の中の飲料141に炭酸ガスを供給する供給部60と、を備えうる。炭酸ガス溶解装置1はまた、コントローラ100を備えうる。コントローラ100は、不図示の制御線によって第1バルブ40および第2バルブ50と接続され、第1バルブ40および第2バルブ50の開閉動作を制御しうる。コントローラ100は、例えば、供給部60による飲料141に対する炭酸ガスの供給動作、および、該供給動作の後に第1密閉空間SP1のガス圧を減少させるスニフト動作を制御しうる。炭酸ガス溶解装置1はまた、飲料容器140を支持する支持台130を備えうる。
【0016】
第1密閉空間SP1によって飲料容器140の上方に第1密閉空間SP1が形成された状態で、供給部60によって飲料容器140の中の飲料141に炭酸ガスを供給することによって、飲料141に炭酸ガスを溶解させるカーボネーションがなされうる。供給部60は、例えば、不図示の炭酸ガス供給源(例えば、炭酸ガスボンベ)から供給される炭酸ガスを移送する炭酸ガス経路62と、炭酸ガス経路62に配置され、コントローラ100によって開閉動作が制御される第3バルブ61と、第3バルブ61と炭酸ガス供給源との間に配置されたレギュレータ66とを含みうる。第3バルブ61は、不図示の制御線によってコントローラ100と接続される。レギュレータ66は、炭酸ガス供給源から供給される炭酸ガスの圧力を所定圧力(例えば、0.8MPa)に減圧して炭酸ガス経路62に供給しうる。供給部60はまた、例えば、飲料容器140中の飲料141に挿入されるノズル63を含みうる。ノズル63のうち飲料141に挿入される部分には、炭酸ガス経路62を通して供給される炭酸ガスを噴射するガス噴射孔65が設けられうる。ノズル63の下端は、錐面64を有しうる。他の観点において、ノズル63は、炭酸ガスを移送する管部を含み、該管部の下端は、錐面64を有しうる。ガス噴射孔65は、錐面64に設けられうる。ガス噴射孔65は、錐面64に穿孔するように形成されうる。ガス噴射孔65の数は、2個以上でありうる。あるいは、ガス噴射孔65の数は、2個以上かつ10個以下、好ましくは2個以上かつ4個以下でありうる。供給部60は、例えば、第1密閉空間SP1の圧力が0.30MPa以上かつ0.45MPa以下の範囲内の圧力になるように飲料141に炭酸ガスを供給しうる。これにより、飲料141がビールである場合に、そのGV値が4.0GVになりうる。
【0017】
スニフト動作は、供給動作の後に行われる。スニフト動作は、第2バルブ50が閉じた状態で第1バルブ40を開いて第1密閉空間SP1と第2密閉空間SP2とを連通させた後、第1バルブ40を閉じ、第2バルブ50を開く動作を含みうる。第2バルブ50が閉じた状態で第1バルブ40を開いて第1密閉空間SP1と第2密閉空間SP2とを連通させると、第1密閉空間SP1の炭酸ガスの一部が第2密閉空間SP2に移動しうる。第1バルブ40を閉じ、第2バルブ50を開くと、第2密閉空間SP2が大気圧になるまで第2密閉空間SP2の炭酸ガスが大気中に放出されうる。コントローラ100は、例えば、スニフト動作が複数回にわたって繰り返されるように第1バルブ40および第2バルブ50を制御しうる。
【0018】
第1密閉部材10は、例えば、カップ形状を有しうる。第1密閉部材10の内径は、飲料容器140の外形より大きく、第1密閉部材10は、飲料容器140の外周面に対して押し付けられる環状シール部材12を含みうる。飲料容器140の外周面に対して環状シール部材12が押し当てられることによって第1密閉空間SP1が形成されうる。炭酸ガス溶解装置1は、第1密閉部材10を昇降させる昇降機構80を更に備えうる。昇降機構80は、例えば、電動機または空気圧アクチュエータによって第1密閉部材10を昇降させうる。あるいは、昇降機構80は、第1密閉部材10の移動をガイドしながら、操作者から与えられる操作力によって第1密閉部材10を昇降させうる。この場合、昇降機構80は、操作者が把持するハンドル等の操作部と、第1密閉部材10をガイドするガイド機構とを含みうる。昇降機構80によって第1密閉部材10を降下させることによって、環状シール部材12の開口部に飲料容器140の上部が挿入され、第1密閉空間SP1が形成されうる。
【0019】
第2密閉空間SP2の体積は、例えば、第1密閉空間SP1の体積の10%以上かつ60%以下の範囲、好ましくは第1密閉空間SP1の体積の10%以上かつ30%以下の範囲、更に好ましくは第1密閉空間SP1の体積の10%以上かつ20%以下の範囲となるように構成されうるが、これに限定されるものではない。
【0020】
炭酸ガス溶解装置1は、昇降機構80によって第1密閉部材10が降下された後、第1密閉部材10の上昇を規制する規制部90を更に備えうる。規制部90は、昇降機構80によって第1密閉部材10が降下される前は、
図2に例示されるように第1密閉部材10の昇降経路から退避(
図2では、奥行き方向に退避)し、昇降機構80によって第1密閉部材10が降下された後は、
図1に例示されるように第1密閉部材10の昇降経路に挿入される部材を含みうる。ここで、第1密閉部材10には、第1密閉空間SP1の圧力に応じた上向きの力が第1密閉空間SP1の炭酸ガスによって加えられうる。例えば、炭酸ガスの圧力が0.5MPaで、飲料容器140の内径が72mmであれば、約200kg・fの力が第1密閉部材10に対して上向きに加わる。規制部90は、このような力に耐えるように設計されうる。
【0021】
炭酸ガス溶解装置1は、フレーム構造120を備えることができる。フレーム構造120は、例えば、上板121と、下板122と、上板121と下板122とを連結する連結部123とを有しうる。規制部90は、例えば、上板121の下面と第1密閉部材10の上面との間において、第1密閉部材10の上昇を規制しうる。下板122は、支持台130を保持あるいは支持しうる。
【0022】
炭酸ガス溶解装置1は、第1密閉空間SP1が形成された後に、第1密閉空間SP1に炭酸ガスを供給する与圧提供部70を更に備えうる。与圧提供部70は、例えば、不図示の炭酸ガス供給源(例えば、炭酸ガスボンベ)から供給される炭酸ガスを移送する炭酸ガス経路72と、炭酸ガス経路72に配置され、コントローラ100によって開閉動作が制御される第4バルブ71と、第4バルブ61と炭酸ガス供給源との間に配置されたレギュレータ73とを含みうる。第4バルブ71は、不図示の制御線によってコントローラ100と接続される。レギュレータ73は、炭酸ガス供給源から供給される炭酸ガスの圧力を所定圧力(例えば、0.3MPa)に減圧して炭酸ガス経路72に供給しうる。コントローラ100は、与圧提供部70によって第1密閉空間SP1に炭酸ガスが供給された後に、供給部60による飲料141に対する炭酸ガスの供給動作を実行しうる。与圧提供部70によって第1密閉空間SP1に炭酸ガスが供給されることによって、第1密閉空間SP1の圧力が上昇し、第1密閉空間SP1に与圧が提供されうる。第1密閉空間SP1に与圧が提供された後に、供給部60による飲料141に対する炭酸ガスの供給動作が実行されることによって、供給部60によって飲料141に炭酸ガスが供給されたときの過剰な発泡を抑えうることができる。与圧提供部70は、例えば、第1密閉空間SP1の圧力が0.15MPa以上かつ0.17MPa以下の範囲内の圧力になるように第1密閉空間SP1に炭酸ガスを供給しうる。
【0023】
炭酸ガス溶解装置1は、規制部90が第1密閉部材10の上昇を規制可能な準備状態になったことを検知するセンサ92を備えてもよい。コントローラ100は、不図示の信号線を介して提供されるセンサ92の出力に基づいて、規制部90が準備状態になったことを認識し、その後に供給部60による飲料141に対する炭酸ガスの供給動作を可能にするように構成されうる。センサ92は、規制部90が第1密閉部材10の上昇を規制可能な位置に配置されたことを検知する接触式または非接触式のセンサでありうる。
【0024】
炭酸ガス溶解装置1は、飲料141の種類および飲料141の目標ガスボリュームを設定する設定部110を更に備えてもよい。コントローラ100は、設定部110によって設定された種類および目標ガスボリュームに応じて供給部60を制御しうる。ここで、コンピュータ100は、第1密閉空間SP1の圧力が目標ガスボリュームに対応する圧力になるように供給部60を制御しうる。あるいは、設定部110は、第1密閉空間SP1の圧力自体を目標ガスボリュームに対応する情報として設定してもよい。
【0025】
以下、
図3乃至
図7を参照しながら炭酸ガス溶解装置1の動作を説明する。
図3には、炭酸ガス溶解装置1の供給動作が模式的に示されている。供給動作では、与圧提供部70によって第1密閉空間SP1に与圧が提供された状態で、供給部60によって飲料容器140内の飲料141に炭酸ガスが供給されうる。供給部60によって飲料容器140内の飲料141に炭酸ガスが供給されると、飲料141がビールである場合、飲料141はかなり発泡しうる。その場合、泡が収まるように、例えば、炭酸ガスの供給を停止してから30秒以上かつ60秒以下の時間の経過を待ってスニフト動作に進むことが好ましい。
【0026】
図4乃至
図7には、炭酸ガス溶解装置1のスニフト動作が模式的に示されている。
図4に示された状態では、第2バルブ50が閉じた状態で第1バルブ40を開いて第1密閉空間SP1と第2密閉空間SP2とが連通されている。これにより、第1密閉空間SP1の炭酸ガスの一部が第2密閉空間SP2に移動し、第1密閉空間SP1の圧力と第2密閉空間SP2の圧力とが等しくなりうる。次いで、
図5に示された状態では、第1バルブ40が閉られて、第2バルブ50が開かれる。これにより、第2密閉空間SP2が大気圧になるまで第2密閉空間SP2の炭酸ガスが大気中に放出されうる。
【0027】
次いで、
図6に示された状態では、第2バルブ50が閉じた状態で第1バルブ40を開いて第1密閉空間SP1と第2密閉空間SP2とが連通される。これにより、第1密閉空間SP1の炭酸ガスの一部が第2密閉空間SP2に移動し、第1密閉空間SP1の圧力と第2密閉空間SP2の圧力とが等しくなりうる。次いで、
図7に示された状態では、第1バルブ40が閉られて、第2バルブ50が開かれる。これにより、第2密閉空間SP2が大気圧になるまで第2密閉空間SP2の炭酸ガスが大気中に放出されうる。以上のようにして、スニフト動作が複数回にわたって繰り返されうる。最終的には、第1バルブ40および第2バルブ50の双方が開かれて、第1密閉空間SP1が大気圧にされうる。以上のようなスニフト動作は、飲料141が炭酸ガスによって加圧された状態から大気圧に戻す際における飲料141の激しい発泡を抑制するために効果的である。
【0028】
その後、規制部90による第1密閉部材10の規制が解除され、
図2に例示されるように、昇降機構80によって第1密閉部材10が上方に移動されうる。本実施形態によれば、簡易な操作で、炭酸ガスが溶解あるいは追加された飲料を得ることができる。
【0029】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0030】
1:炭酸ガス溶解装置、10:第1密閉部材、20:第2密閉部材、30:流路、40:第1バルブ、50:第2バルブ、60:供給部、61:第3バルブ、62:炭酸ガス経路、63:ノズル、64:錐面、65:ガス噴射孔、70:与圧提供部、71:第4バルブ、72:炭酸ガス経路、80:昇降機構、90:規制部、92:センサ、100:コントローラ、110:設定部、120:フレーム構造、121:上板、122:下板、123:連結部、130:支持台、140:飲料容器、141:飲料