(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】入力システム、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
H01H 36/00 20060101AFI20240705BHJP
H01H 13/00 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
H01H36/00 K
H01H36/00 J
H01H13/00 B
(21)【出願番号】P 2020160071
(22)【出願日】2020-09-24
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中江 竜
(72)【発明者】
【氏名】屋内 康典
(72)【発明者】
【氏名】南良 武彦
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 勇太
【審査官】荒木 崇志
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-190694(JP,A)
【文献】特開2007-173068(JP,A)
【文献】国際公開第2017/082372(WO,A1)
【文献】特開2007-115440(JP,A)
【文献】特開2004-045243(JP,A)
【文献】特開2004-191348(JP,A)
【文献】特開2009-272043(JP,A)
【文献】特開2001-324397(JP,A)
【文献】特開2013-097510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/00 - 13/88
H01H 36/00 - 36/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動接点体と、第1電極と、第2電極と、第3電極と、第4電極と、を有する入力デバイスと、
前記第1電極に接続される静電センサと、
前記第3電極に接続される導通センサと、
前記静電センサのセンシング動作をON状態又はOFF状態に切り替える制御部と、
前記静電センサに接続され、前記静電センサの出力に基づいて前記可動接点体が押圧されたか否かを判定する判定部と、
を備え、
前記入力デバイスは、
前記可動接点体が押圧されると、前記第1電極と前記第2電極との間の静電容量が変化し、
前記静電容量が変化した後に、さらに、前記可動接点体が押圧されると、前記第3電極と前記第4電極とが導通するように構成され、
前記導通センサは、前記第3電極と前記第4電極との導通を検出し、
前記制御部は、前記導通センサが前記第3電極と前記第4電極との導通を検出した後
であり、かつ、前記導通センサが前記第3電極と前記第4電極との導通が解除されたことを検出した後に、前記静電センサの前記センシング動作を前記OFF状態から前記ON状態にし、
前記静電センサは、前記ON状態の時、前記第1電極と前記第2電極との間の前記静電容量に関する検出値を出力し、
前記静電センサが出力する前記検出値が、前記判定部に入力される、
入力システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記導通センサが前記第3電極と前記第4電極との導通が解除されたことを検出した直後に、前記静電センサの前記センシング動作を前記OFF状態から前記ON状態にする、
請求項1に記載の入力システム。
【請求項3】
前記判定部は、
基準値を記憶する記憶部を有し、
前記基準値と前記静電センサが出力した前記検出値とを比較し、
前記可動接点体が押圧されたか否かを判定する、
請求項1又は2に記載の入力システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記静電センサの前記センシング動作を前記OFF状態から前記ON状態にした後に、前記OFF状態にし、
その後、前記OFF状態から前記ON状態になった時における前記基準値は、前記ON状態から前記OFF状態に切り替わる前に前記静電センサが出力した前記検出値を基に設定される、
請求項3に記載の入力システム。
【請求項5】
前記制御部が、前記静電センサの前記センシング動作を前記OFF状態から前記ON状態にした後に、
前記判定部は、
前記静電センサが出力した前記検出値が前記基準値を含む所定の範囲の値になる前までは、前記可動接点体が押圧されていないと判定し、
前記静電センサが出力した前記検出値が前記基準値を含む所定の範囲の値になった後は、前記可動接点体が押圧されたか否かを判定する、
請求項3又は4に記載の入力システム。
【請求項6】
前記制御部が、前記静電センサの前記センシング動作を前記OFF状態から前記ON状態にした後に、
前記判定部の前記記憶部は、前記静電センサが出力した前記検出値を補助基準値として記憶し、
その後、前記静電センサが出力した前記検出値が前記基準値を含む所定の範囲の値になる前までは、
前記判定部は、
前記静電センサが出力した前記検出値が前記補助基準値よりも小さい場合は、出力した前記検出値を前記記憶部に新たな補助基準値として更新し、
前記静電センサが出力した前記検出値が前記補助基準値よりも大きい場合は、出力した前記検出値と前記補助基準値とを比較し、前記可動接点体が押圧されたか否かを判定する、
請求項3又は4に記載の入力システム。
【請求項7】
可動接点体と、第1電極と、第2電極と、第3電極と、第4電極と、を有する入力デバイスと、
前記第1電極に接続される静電センサと、
前記第3電極に接続される導通センサと、
前記静電センサのセンシング動作をON状態又はOFF状態に切り替える制御部と、
前記静電センサに接続され、前記静電センサの出力に基づいて前記可動接点体が押圧されたか否かを判定する判定部と、
を備え、
前記入力デバイスは、
前記可動接点体が押圧されると、前記第1電極と前記第2電極との間の静電容量が変化し、
前記静電容量が変化した後に、さらに、前記可動接点体が押圧されると、前記第3電極と前記第4電極とが導通するように構成され、
前記導通センサは、前記第3電極と前記第4電極との導通を検出し、
前記制御部は、前記導通センサが前記第3電極と前記第4電極との導通を検出した後、前記静電センサの前記センシング動作を前記OFF状態から前記ON状態にし、
前記静電センサは、前記ON状態の時、前記第1電極と前記第2電極との間の前記静電容量に関する検出値を出力し、
前記静電センサが出力する前記検出値が、前記判定部に入力され、
前記判定部は、
基準値を記憶する記憶部を有し、
前記基準値と前記静電センサが出力した前記検出値とを比較し、
前記可動接点体が押圧されたか否かを判定し、
前記制御部が、前記静電センサの前記センシング動作を前記OFF状態から前記ON状態にした後に、
前記判定部は、
前記静電センサが出力した前記検出値が前記基準値を含む所定の範囲の値になる前までは、前記可動接点体が押圧されていないと判定し、
前記静電センサが出力した前記検出値が前記基準値を含む所定の範囲の値になった後は、前記可動接点体が押圧されたか否かを判定する、
入力システム。
【請求項8】
可動接点体と、第1電極と、第2電極と、第3電極と、第4電極と、を有する入力デバイスと、
前記第1電極に接続される静電センサと、
前記第3電極に接続される導通センサと、
前記静電センサのセンシング動作をON状態又はOFF状態に切り替える制御部と、
前記静電センサに接続され、前記静電センサの出力に基づいて前記可動接点体が押圧されたか否かを判定する判定部と、
を備え、
前記入力デバイスは、
前記可動接点体が押圧されると、前記第1電極と前記第2電極との間の静電容量が変化し、
前記静電容量が変化した後に、さらに、前記可動接点体が押圧されると、前記第3電極と前記第4電極とが導通するように構成され、
前記導通センサは、前記第3電極と前記第4電極との導通を検出し、
前記制御部は、前記導通センサが前記第3電極と前記第4電極との導通を検出した後、前記静電センサの前記センシング動作を前記OFF状態から前記ON状態にし、
前記静電センサは、前記ON状態の時、前記第1電極と前記第2電極との間の前記静電容量に関する検出値を出力し、
前記静電センサが出力する前記検出値が、前記判定部に入力され、
前記判定部は、
基準値を記憶する記憶部を有し、
前記基準値と前記静電センサが出力した前記検出値とを比較し、
前記可動接点体が押圧されたか否かを判定し、
前記制御部が、前記静電センサの前記センシング動作を前記OFF状態から前記ON状態にした後に、
前記判定部の前記記憶部は、前記静電センサが出力した前記検出値を補助基準値として記憶し、
その後、前記静電センサが出力した前記検出値が前記基準値を含む所定の範囲の値になる前までは、
前記判定部は、
前記静電センサが出力した前記検出値が前記補助基準値よりも小さい場合は、出力した前記検出値を前記記憶部に新たな補助基準値として更新し、
前記静電センサが出力した前記検出値が前記補助基準値よりも大きい場合は、出力した前記検出値と前記補助基準値とを比較し、前記可動接点体が押圧されたか否かを判定する、
入力システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記静電センサの前記センシング動作を前記OFF状態から前記ON状態にした後に、前記OFF状態にし、
その後、前記OFF状態から前記ON状態になった時における前記基準値は、前記ON状態から前記OFF状態に切り替わる前に前記静電センサが出力した前記検出値を基に設定される、
請求項7又は8に記載の入力システム。
【請求項10】
入力システムにおける制御方法であって、
前記入力システムは、
可動接点体と、第1電極、第2電極、第3電極、第4電極と、を有する入力デバイスと、前記第1電極に接続される静電センサと、前記第3電極に接続される導通センサと、前記静電センサのセンシング動作をON状態又はOFF状態に切り替える制御部と、前記静電センサに接続され、前記静電センサの出力に基づいて前記可動接点体が押圧されたか否かを判定する判定部と、を有し、
前記入力デバイスは、
前記可動接点体が押圧されると、前記第1電極と前記第2電極との間の静電容量が変化し、
前記静電容量が変化した後に、さらに、前記可動接点体が押圧されると、前記第3電極と前記第4電極とが導通するように構成され、
前記制御方法は、
前記制御部が、前記導通センサに、前記第3電極と前記第4電極との導通を検出させる導通検出ステップと、
前記制御部が、前記導通センサが前記第3電極と前記第4電極との導通を検出した後であり、かつ、前記導通センサが前記第3電極と前記第4電極との導通が解除されたことを検出した後に、前記静電センサの前記センシング動作を前記OFF状態から前記ON状態に切り替える切替ステップと、
前記制御部が、前記静電センサの前記センシング動作を前記OFF状態から前記ON状態にした後、前記静電センサに、前記第1電極と前記第2電極との間の前記静電容量に関する検出値を出力させる静電検出ステップと、
前記制御部が、前記静電センサで出力された前記検出値を、前記判定部に入力させる入力ステップと、を備える、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に入力システム、及び制御方法に関し、より詳細には、静電容量式の入力デバイスを備える入力システム、及び当該入力システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、入力装置が開示されている。この入力装置は、第1押圧検出部と、第2押圧検出部と、クリック検出部とを備えている。第1、及び第2押圧検出部は、押圧面に作用する押圧力を検出する。クリック検出部は、クリック部の弾性変形(クリック感の発生)を検出する。第1、及び第2押圧検出部、並びにクリック検出部はいずれも、静電容量式の圧力センサである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、入力装置(入力デバイス)は、制御系に接続され、制御系は、入力装置からの出力に基づき、入力装置の状態変化を検出(監視)する。制御系は、上記圧力センサに接続されてその静電容量の変化を検出するためのセンシング動作(圧力センサの電極への電圧印加)を実行する静電センサを含み得る。この場合、制御系は、状態変化を監視するために、常時、静電センサをON状態にしてセンシング動作を実行させる必要があり、その結果、静電センサの消費電力の増加が懸念される。
【0005】
本開示は上記事由に鑑みてなされ、静電センサの消費電力の低減を図ることが可能な入力システム、及び制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の入力システムは、入力デバイスと、静電センサと、導通センサと、制御部と、判定部と、を備える。前記入力デバイスは、可動接点体と、第1電極と、第2電極と、第3電極と、第4電極と、を有する。前記静電センサは、前記第1電極に接続される。前記導通センサは、前記第3電極に接続される。前記制御部は、前記静電センサのセンシング動作をON状態又はOFF状態に切り替える。前記判定部は、前記静電センサに接続され、前記静電センサの出力に基づいて前記可動接点体が押圧されたか否かを判定する。前記入力デバイスは、前記可動接点体が押圧されると、前記第1電極と前記第2電極との間の静電容量が変化し、前記静電容量が変化した後に、さらに、前記可動接点体が押圧されると、前記第3電極と前記第4電極とが導通するように構成される。前記導通センサは、前記第3電極と前記第4電極との導通を検出する。前記制御部は、前記導通センサが前記第3電極と前記第4電極との導通を検出した後であり、かつ、前記導通センサが前記第3電極と前記第4電極との導通が解除されたことを検出した後に、前記静電センサの前記センシング動作を前記OFF状態から前記ON状態にする。前記静電センサは、前記ON状態の時、前記第1電極と前記第2電極との間の前記静電容量に関する検出値を出力する。前記静電センサが出力する前記検出値が、前記判定部に入力される。
本開示の別の一態様の入力システムは、入力デバイスと、静電センサと、導通センサと、制御部と、判定部と、を備える。前記入力デバイスは、可動接点体と、第1電極と、第2電極と、第3電極と、第4電極と、を有する。前記静電センサは、前記第1電極に接続される。前記導通センサは、前記第3電極に接続される。前記制御部は、前記静電センサのセンシング動作をON状態又はOFF状態に切り替える。前記判定部は、前記静電センサに接続され、前記静電センサの出力に基づいて前記可動接点体が押圧されたか否かを判定する。前記入力デバイスは、前記可動接点体が押圧されると、前記第1電極と前記第2電極との間の静電容量が変化し、前記静電容量が変化した後に、さらに、前記可動接点体が押圧されると、前記第3電極と前記第4電極とが導通するように構成される。前記導通センサは、前記第3電極と前記第4電極との導通を検出する。前記制御部は、前記導通センサが前記第3電極と前記第4電極との導通を検出した後前記静電センサの前記センシング動作を前記OFF状態から前記ON状態にする。前記静電センサは、前記ON状態の時、前記第1電極と前記第2電極との間の前記静電容量に関する検出値を出力する。前記静電センサが出力する前記検出値が、前記判定部に入力される。前記判定部は、基準値を記憶する記憶部を有し、前記基準値と前記静電センサが出力した前記検出値とを比較し、前記可動接点体が押圧されたか否かを判定する。前記制御部が、前記静電センサの前記センシング動作を前記OFF状態から前記ON状態にした後に、前記判定部は、前記静電センサが出力した前記検出値が前記基準値を含む所定の範囲の値になる前までは、前記可動接点体が押圧されていないと判定し、前記静電センサが出力した前記検出値が前記基準値を含む所定の範囲の値になった後は、前記可動接点体が押圧されたか否かを判定する。
本開示の更に別の一態様の入力システムは、入力デバイスと、静電センサと、導通センサと、制御部と、判定部と、を備える。前記入力デバイスは、可動接点体と、第1電極と、第2電極と、第3電極と、第4電極と、を有する。前記静電センサは、前記第1電極に接続される。前記導通センサは、前記第3電極に接続される。前記制御部は、前記静電センサのセンシング動作をON状態又はOFF状態に切り替える。前記判定部は、前記静電センサに接続され、前記静電センサの出力に基づいて前記可動接点体が押圧されたか否かを判定する。前記入力デバイスは、前記可動接点体が押圧されると、前記第1電極と前記第2電極との間の静電容量が変化し、前記静電容量が変化した後に、さらに、前記可動接点体が押圧されると、前記第3電極と前記第4電極とが導通するように構成される。前記導通センサは、前記第3電極と前記第4電極との導通を検出する。前記制御部は、前記導通センサが前記第3電極と前記第4電極との導通を検出した後前記静電センサの前記センシング動作を前記OFF状態から前記ON状態にする。前記静電センサは、前記ON状態の時、前記第1電極と前記第2電極との間の前記静電容量に関する検出値を出力する。前記静電センサが出力する前記検出値が、前記判定部に入力される。前記判定部は、基準値を記憶する記憶部を有し、前記基準値と前記静電センサが出力した前記検出値とを比較し、前記可動接点体が押圧されたか否かを判定する。前記制御部が、前記静電センサの前記センシング動作を前記OFF状態から前記ON状態にした後に、前記判定部の前記記憶部は、前記静電センサが出力した前記検出値を補助基準値として記憶し、その後、前記静電センサが出力した前記検出値が前記基準値を含む所定の範囲の値になる前までは、前記判定部は、前記静電センサが出力した前記検出値が前記補助基準値よりも小さい場合は、出力した前記検出値を前記記憶部に新たな補助基準値として更新し、前記静電センサが出力した前記検出値が前記補助基準値よりも大きい場合は、出力した前記検出値と前記補助基準値とを比較し、前記可動接点体が押圧されたか否かを判定する。
【0007】
本開示の一態様の制御方法は、入力システムにおける制御方法である。前記入力システムは、入力デバイスと、静電センサと、導通センサと、制御部と、判定部と、を有する。前記入力デバイスは、可動接点体と、第1電極と、第2電極と、第3電極と、第4電極と、を有する。前記静電センサは、前記第1電極に接続される。前記導通センサは、前記第3電極に接続される。前記制御部は、前記静電センサのセンシング動作をON状態又はOFF状態に切り替える。前記判定部は、前記静電センサに接続され、前記静電センサの出力に基づいて前記可動接点体が押圧されたか否かを判定する。前記入力デバイスは、前記可動接点体が押圧されると、前記第1電極と前記第2電極との間の静電容量が変化し、前記静電容量が変化した後に、さらに、前記可動接点体が押圧されると、前記第3電極と前記第4電極とが導通するように構成される。前記制御方法は、導通検出ステップと、切替ステップと、静電検出ステップと、入力ステップと、を備える。前記導通検出ステップでは、前記制御部が、前記導通センサに、前記第3電極と前記第4電極との導通を検出させる。前記切替ステップでは、前記制御部が、前記導通センサが前記第3電極と前記第4電極との導通を検出した後であり、かつ、前記導通センサが前記第3電極と前記第4電極との導通が解除されたことを検出した後に、前記静電センサの前記センシング動作を前記OFF状態から前記ON状態に切り替える。前記静電検出ステップでは、前記制御部が、前記静電センサの前記センシング動作を前記OFF状態から前記ON状態にした後、前記静電センサに、前記第1電極と前記第2電極との間の前記静電容量に関する検出値を出力させる。前記入力ステップでは、前記制御部が、前記静電センサで出力された前記検出値を、前記判定部に入力させる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、静電センサの消費電力の低減を図ることが可能となる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る入力システム全体の模式的な構成図である。
【
図2】
図2は、同上の入力システムの入力デバイスの斜視図である。
【
図3】
図3は、同上の入力デバイスの分解斜視図である。
【
図4】
図4は、同上の入力デバイスにおけるハウジングのボディ、及び4つの電極の平面図である。
【
図5】
図5は、同上の入力デバイスの非操作時の断面図である。
【
図6】
図6は、同上の入力デバイスの操作時の模式図である。
【
図7】
図7は、同上の入力システムの動作を説明するためのグラフである。
【
図8】
図8は、同上の入力システムの変形例における動作を説明するためのグラフである。
【
図9】
図9は、同上の入力デバイスの変形例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)概要
以下の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0011】
本実施形態の一の態様に係る入力システム1は、例えば携帯情報端末、車載機器、家電機器、又はゲーム機器等の各種の電気機器に適用され得る。入力システム1が備える入力デバイス100は、入力(押圧操作)を受け付ける操作部として用いられる。
【0012】
入力システム1は、
図1に示すように、入力デバイス100と、静電センサ22と、導通センサ23と、制御部20と、判定部21と、を備えている。ここでは一例として、静電センサ22、導通センサ23、制御部20、及び判定部21が、制御システム200(
図1参照)を構成する。
【0013】
入力デバイス100は、例えばプリント基板に実装された状態で、電気機器の筐体に内蔵される。この場合、筐体において入力デバイス100に対応する位置には例えば操作釦が配置される。これにより、入力デバイス100を利用するユーザが、手指の先、又は手で把持する操作部材等で(以下、説明の便宜上、単に「指先」という)、操作釦を押すことによって、入力デバイス100が操作釦を介して間接的に操作される。制御システム200は、入力デバイス100と電気的に接続される。制御システム200の少なくとも一部は、入力デバイス100が実装されるプリント基板に実装されてもよいし、当該プリント基板とは別のプリント基板に実装されてもよい。或いは、制御システム200の少なくとも一部は、電気機器の筐体の外部に設けられてもよい。
【0014】
入力デバイス100は、
図1及び
図3に示すように、可動接点体B1と、第1電極11と、第2電極12と、第3電極13と、第4電極14と、を有している。
【0015】
静電センサ22は、第1電極11に接続される。静電センサ22は、例えば、入力デバイス100が実装される上記プリント基板の導体パターン等を介して、第1電極11と電気的に接続される。
【0016】
導通センサ23は、第3電極13に接続される。導通センサ23は、例えば、入力デバイス100が実装される上記プリント基板の導体パターン等を介して、第3電極13に接続される。
【0017】
制御部20は、静電センサ22のセンシング動作をON状態又はOFF状態に切り替える。判定部21は、静電センサ22に接続され、静電センサ22の出力に基づいて可動接点体B1が押圧されたか否かを判定する。
【0018】
入力デバイス100は、可動接点体B1が押圧されると、第1電極11と第2電極12との間の静電容量が変化し、静電容量が変化した後に、さらに、可動接点体B1が押圧されると、第3電極13と第4電極14とが導通するように構成される。つまり、入力デバイス100は、外部から押圧操作を受けたときに、第3電極13と第4電極14とが導通するよりも先に、第1電極11と第2電極12との間の静電容量が変化し得るような、構造を有している。ここでいう「押圧操作」は、例えば、ユーザが指先で筐体の操作釦を押すことにより行われる。
【0019】
導通センサ23は、第3電極13と第4電極14との導通を検出する。制御部20は、導通センサ23が第3電極13と第4電極14との導通を検出した後、静電センサ22のセンシング動作をOFF状態からON状態にする。静電センサ22は、ON状態の時、第1電極11と第2電極12との間の静電容量に関する検出値D1を出力する。静電センサ22が出力する検出値D1が、判定部21に入力される。以下では、静電センサ22のセンシング動作がON状態で、検出値D1を出力(検出)可能な状態の入力システム1の動作モードを「通常モード」と呼ぶことがある。また以下では、静電センサ22のセンシング動作がOFF状態で、検出値D1を出力(検出)しない状態の入力システム1の動作モードを「省電力モード」と呼ぶことがある。静電センサ22で消費される電力は、通常モードの方が省電力モードよりも大きい。
【0020】
この構成によれば、制御部20は、導通センサ23が第3電極13と第4電極14との導通を検出した後、静電センサ22のセンシング動作をOFF状態からON状態にする。つまり、静電センサ22のセンシング動作は、少なくとも導通センサ23が導通を検出するまで、OFF状態に維持される。結果的に、静電センサ22の消費電力の低減を図ることが可能となる。
【0021】
また本実施形態の別の形態に係る制御方法は、入力システム1における制御方法である。この制御方法は、導通検出ステップと、切替ステップと、静電検出ステップと、入力ステップと、を備える。導通検出ステップでは、制御部20が、導通センサ23に、第3電極13と第4電極14との導通を検出させる。切替ステップでは、制御部20が、導通センサ23が第3電極13と第4電極14との導通を検出した後、静電センサ22のセンシング動作をOFF状態からON状態に切り替える。静電検出ステップでは、制御部20が、静電センサ22のセンシング動作をOFF状態からON状態にした後、静電センサ22に、第1電極11と第2電極12との間の静電容量に関する検出値D1を出力させる。入力ステップでは、制御部20が、静電センサ22で出力された検出値D1を、判定部21に入力させる。
【0022】
この構成によれば、静電検出ステップでは、ON状態にした後、静電センサ22に、第1電極11と第2電極12との間の静電容量に関する検出値D1を出力させるため、結果的に、静電センサ22の消費電力の低減を図ることが可能となる。制御方法は、コンピュータシステム(制御システム200)上で用いられる。つまり、制御方法は、プログラムでも具現化可能である。
【0023】
(2)詳細
(2.1)入力システムの全体構成
以下、本実施形態に係る入力システム1の全体構成について詳しく説明する。
【0024】
入力システム1は、上述の通り、入力デバイス100と、制御システム200とを備えている(
図1参照)。
【0025】
(2.2)入力デバイスの構成
先ず入力デバイス100の構成について説明する。以下では一例として、
図2~
図5に示すように、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸の3軸を設定して説明する。ここでは、入力デバイス100における扁平なハウジング2の厚み方向に沿った軸を「Z軸」とする。以下の説明では、Z軸に沿った方向を、単に、「上下方向」と呼び、Z軸の正の方を「上方」、Z軸の負の方を「下方」と呼ぶことがある。押圧操作は、入力デバイス100のZ軸の正の側から負の側に向かって成され得る(押圧方向A1:
図6参照)。
【0026】
後述する4つの導電部材10A~10Dの各々は、一方向に長さを有し、その長手方向が「X軸」に沿った方向である。また入力デバイス100をZ軸の方向に沿って見て、後述する4つの電極(第1電極11~第4電極14)が並ぶ並び方向が、「Y軸」に沿った方向である。
【0027】
X軸、Y軸、及びZ軸は、いずれも仮想的な軸であり、図面中の「X」、「Y」、「Z」を示す矢印は、説明のために表記しているに過ぎず、いずれも実体を伴わない。また、これらの方向は、入力デバイス100の使用時の方向を限定する趣旨で表記していない。
【0028】
入力デバイス100は、
図3に示すように、4つの導電部材10A,10B,10C,10Dと、絶縁シート30と、弾性体35と、可動板40と、感触発生部材50と、押し子55と、ハウジング60とを備えている。以下では、説明をわかりやすくするためだけに、必要に応じて、導電部材10A,10B,10C,10Dを、第1~第4導電部材10A,10B,10C,10Dという。
【0029】
また以下では、特に断りの無い限り、入力デバイス100の非操作時、つまり入力デバイス100が押圧操作を受けていない状態について説明する。
【0030】
ハウジング60は、第1~第4導電部材10A,10B,10C,10Dと、絶縁シート30と、弾性体35と、可動板40と、感触発生部材50と、押し子55とを収容する。ハウジング60は、
図2及び
図3に示すように、ボディ61と、カバー62(保護シート)と、を備えている。
【0031】
ボディ61は、四角形(例えば方形)の箱状であり、Z軸の方向(上下方向)に扁平である。ボディ61は、上面に開口を有している。ボディ61は、その開口から下方に凹んだ凹部610を有している。凹部610は、絶縁シート30、弾性体35、可動板40、感触発生部材50、及び押し子55を収容するための収容空間を、凹部610を覆うカバー62と共に形成している。ボディ61は、電気絶縁性を有している。ボディ61は、例えば、樹脂製である。ボディ61は、セラミック製でもよい。
【0032】
カバー62は、四角形(例えば方形)のシート状である。カバー62は、可撓性、耐熱性、及び電気絶縁性を有している。カバー62は、例えば樹脂製シートである。カバー62は、ボディ61の上面において凹部610を覆うようにボディ61に保持される。カバー62は、例えばレーザ溶着又は超音波溶着等によってボディ61の上面に接合されることにより、凹部610の開口面を塞いで凹部610内を密閉状態としている。
【0033】
これにより、ハウジング60内に収容された感触発生部材50を、カバー62を介して押圧することが可能である。カバー62における感触発生部材50とは反対側の面が、入力デバイス100の操作領域となる。
【0034】
第1導電部材10Aは、
図3及び
図4に示すように、第1電極11と、一対の端子110とを有している。第1電極11は、略矩形の平板状である。第1電極11は、Z軸の方向に沿って見て、Y軸の正の側の縁が、Y軸の負の方向に円弧状に窪んでいる。一対の端子110は、第1電極11の長さ方向の両端から突出している。一対の端子110は、ボディ61の外部に露出している。一対の端子110は、ボディ61のX軸の方向における両側の外面から、それぞれ外方に突出している。第1導電部材10Aは、第1~第4導電部材10A~10Dの中で、最もY軸の負の側に位置する。第1導電部材10Aが端子110を一対(2つ)有していることは必須ではなく、いずれか一方の端子110は省略されてもよい。
【0035】
第2導電部材10Bは、
図3及び
図4に示すように、第2電極12と、一対の端子120とを有している。第2電極12は、略矩形の平板状である。第2電極12は、Z軸の方向に沿って見て、Y軸の負の側の縁が、Y軸の正の方向に円弧状に窪んでいる。一対の端子120は、第2電極12の長さ方向の両端から突出している。一対の端子120は、ボディ61の外部に露出している。一対の端子120は、ボディ61のX軸の方向における両側の外面から、それぞれ外方に突出している。第2導電部材10Bは、第1~第4導電部材10A~10Dの中で、最もY軸の正の側に位置する。第2導電部材10Bが端子120を一対(2つ)有していることは必須ではなく、いずれか一方の端子120は省略されてもよい。
【0036】
第1、及び第2導電部材10A,10Bは、例えば、互いに同一の形状及び寸法を有した部材である。第1、及び第2導電部材10A,10Bは、X-Z平面に対して面対称となる態様で配置される。また第1、及び第2導電部材10A,10Bは、Y軸の方向において、それらの間に第3、及び第4導電部材10C,10Dが介在するように配置される。
【0037】
例えば、第1導電部材10Aの一対の端子110のいずれか一方は、制御システム200の静電センサ22と電気的に接続され、第2導電部材10Bの一対の端子120のいずれか一方は、プリトン基板等のグランドと電気的に接続され得る。ただし、一対の端子110のいずれか一方がグランドと電気的に接続され、一対の端子120のいずれか一方が静電センサ22と電気的に接続されてもよい。
【0038】
第3導電部材10Cは、
図3及び
図4に示すように、第3電極13と、端子130とを有している。第3電極13は、略矩形の平板状である。第3電極13は、Z軸の方向に沿って見て、Y軸の負の側の縁が、Y軸の負の方向に膨らむように形成されている。第3導電部材10Cは、第1導電部材10Aの隣りに位置する。端子130は、ボディ61の外部に露出している。端子130は、ボディ61のX軸の正の側の外面から外方に突出している。
【0039】
第4導電部材10Dは、
図3及び
図4に示すように、第4電極14と、端子140とを有している。第4電極14は、略矩形の平板状である。第4電極14は、Z軸の方向に沿って見て、Y軸の正の側の縁が、Y軸の正の方向に膨らむように形成されている。第4導電部材10Dは、第2導電部材10Bの隣りに位置する。端子140は、ボディ61の外部に露出している。端子140は、ボディ61のX軸の負の側の外面から外方に突出している。
【0040】
第3、及び第4導電部材10C,10Dは、例えば、互いに同一の形状及び寸法を有した部材である。第3、及び第4導電部材10C,10Dは、
図4に示すように、それぞれ略クランク形状に形成されている。第3、及び第4導電部材10C,10Dは、Z軸の方向に沿って見て、ボディ61の中心を回転中心として2回対称の態様で配置される。端子130及び端子140は、Y軸の方向において同じ位置から、外部に露出している。
【0041】
例えば、第3導電部材10Cの端子130は、導通センサ23と電気的に接続され、第4導電部材10Dの端子140は、プリトン基板等のグランドと電気的に接続され得る。ただし、端子130がグランドと電気的に接続され、端子140が導通センサ23と電気的に接続されてもよい。
【0042】
第1~第4導電部材10A~10Dは、金属の板材により形成され得る。第1~第4導電部材10A~10Dは、インサート成形等によって、ボディ61に固定されている。ここで、第1電極11~第4電極14は、ボディ61の凹部610の底面から露出する。これらの電極は、Z軸の正の側から見て、第1電極11、第3電極13、第4電極14、第2電極12の順で、Y軸の正の方向に向かって並んで露出する(
図4参照)。第3電極13、及び第4電極14は、凹部610の底面の概ね中央に配置される。
【0043】
入力デバイス100は、ボディ61の裏面(Z軸の負の側の面)を、各種の電気機器におけるプリント基板等の一面に向けて実装され得る。
【0044】
絶縁シート30は、
図3に示すように、四角形のシート状(例えば方形状)の絶縁体(誘電体)である。絶縁シート30は、その中央部に略円形状に貫通する孔301を有する。絶縁シート30は、凹部610内に配置される。絶縁シート30は、凹部610の底面と弾性体35との間に介在する。絶縁シート30は、孔301から第3電極13及び第4電極14を露出する形態で、第1電極11及び第2電極12を覆うように配置される。言い換えると、第1電極11及び第2電極12は、絶縁シート30を介して、弾性体35と対向する。絶縁シート30は、例えば、弾性体35よりも薄い。
【0045】
弾性体35は、
図3に示すように、四角形の平板状(例えば方形状)である。弾性体35は、導電性を有している。弾性体35は、例えば導電性のゴム部材である。弾性体35の外形形状は、絶縁シート30の外形形状と概ね等しい。弾性体35は、その中央部に略円形状に貫通する孔351を有する。孔351の径は、絶縁シート30の孔301の径と概ね等しい。弾性体35は、凹部610内において、孔351と絶縁シート30の孔301とが同心となるように絶縁シート30上に配置される。弾性体35は、その下面(Z軸の負の側の面)に、複数の突起352(
図5参照)を有している。弾性体35は、複数の突起352が絶縁シート30に接触するように配置される。
【0046】
可動板40は、
図3に示すように、四角形の平板状(例えば方形状)である。可動板40は、金属の板材により形成されている。可動板40の外形形状は、弾性体35及び絶縁シート30の外形形状と概ね等しい。可動板40は、その中央部に略円形状に貫通する孔401を有する。孔401の径は、弾性体35の孔351、及び絶縁シート30の孔301のそれぞれの径よりやや小さい。可動板40は、凹部610内において、孔401、孔351、及び孔301が同心となるように、弾性体35上に配置される。
【0047】
第3電極13及び第4電極14は、Z軸の正の側から見て、上述した3つの孔401、孔351、及び孔301から露出する。第3電極13及び第4電極14は、これらの3つの孔を介して、可動板40の上に配置される感触発生部材50と対向する。
【0048】
感触発生部材50は、
図3に示すように、全体として円板状である。感触発生部材50は、その中央部に、クリック部(弾性変形部)51を有している(
図5参照)。感触発生部材50は、弾性を有する材料により形成されている。ここでは感触発生部材50は、互いに略同形で同寸法の2枚の金属板501,502をZ軸に沿って積層して構成される。金属板501,502は、いわゆるメタルドームである。感触発生部材50は、1枚の金属板(メタルドーム)から構成されてもよいし、3枚以上の金属板(メタルドーム)から構成されてもよい。
【0049】
クリック部51は、2枚の金属板501,502の中央部同士が重なって構成される。クリック部51は、ドーム形の板状である。クリック部51の厚み方向の一面(
図5の上面)は、凸面であり、押圧面を構成する。クリック部51の押圧面を押圧していくと、
図6に示すようにクリック部51が弾性変形をし、これによって、クリック感が発生する。より詳細には、この弾性変形によって、クリック部51の中央部が反転して凸状態から凹状態となる(座屈状態)。このように、クリック部51は、押圧面が押圧されると押圧面が凹むように弾性変形してクリック感を発生する。
【0050】
感触発生部材50は、凹部610内において、可動板40の孔401を塞ぐように可動板40上に配置される。クリック部51は、
図5に示すように、入力デバイス100の非操作時において、Z軸の方向に一定の間隔を空けて、第3電極13及び第4電極14と対向する。少なくとも入力デバイス100の非操作時において、第3電極13及び第4電極14は、非導通状態である。
【0051】
一方、入力デバイス100の操作時において、クリック部51は、座屈状態になるほど押圧を受けることで、第3電極13及び第4電極14の両方に略同時に接触する。その結果、第3電極13及び第4電極14は、感触発生部材50を介して導通する。つまり、端子130及び端子140間は導通状態となる。押圧していた力が減少すると座屈していたクリック部51が弾性復帰するため、第3電極13及び第4電極14から離間し、端子130及び端子140は非導通状態に戻る。
【0052】
本実施形態では、可動板40と感触発生部材50とが、可動接点体B1を構成する。入力デバイス100は、通常モードにて、可動接点体B1が押圧されると、第1電極11と第2電極12との間の静電容量が変化し、静電容量が変化した後に、さらに、可動接点体B1が押圧されると、第3電極13と第4電極14とが導通するように構成される。
【0053】
押し子55は、感触発生部材50のクリック部51の弾性変形を起こしやすくするためにクリック部51を押す部材である。押し子55は、電気絶縁性を有している。押し子55は、例えば樹脂製である。押し子55は、
図3に示すように、円盤状である。押し子55の外形形状は、感触発生部材50のクリック部51の外形形状よりも小さい。押し子55は、カバー62によってZ軸の負の側に押さえ付けられながら、カバー62と感触発生部材50の中央部との間に配置される。なお、押し子55は、カバー62の下側(Z軸の負の側)に配置されることに限定されず、カバー62の上側(Z軸の正の側)に配置されてもよい。押し子55は、カバー62又は感触発生部材50に固定される。
【0054】
入力デバイス100では、第1導電部材10Aの第1電極11、第2導電部材10Bの第2電極12、絶縁シート30、弾性体35、及び可動接点体B1が、押圧検出部H1(
図1参照)を構成する。押圧検出部H1は、感触発生部材50の押圧面にかかる押圧力を検出する。押圧検出部H1は、静電容量式の圧力センサである。
【0055】
また入力デバイス100では、第3導電部材10Cの第3電極13、第4導電部材10Dの第4電極14、及び可動接点体B1が、クリック部51の弾性変形(つまりクリック感の発生)を検出するクリック検出部を構成する。特に入力システム1の省電力モードでは、クリック感の発生により第3電極13と第4電極14との間が導通することで、静電センサ22のセンシング動作がOFF状態からON状態に切り替わる。
【0056】
(2.3)入力デバイスの動作
次に入力デバイス100の動作について簡単に説明する。
【0057】
ユーザが指先で入力デバイス100のカバー62の上側(Z軸の正の側)から操作入力のための押圧を開始したとする。可動接点体B1の感触発生部材50の押し込み量(ストローク)の増加に伴い、押圧検出部H1の静電容量が増加する。
【0058】
ここで
図1及び
図6に示すように、押圧検出部H1は、電気的に直列接続されたコンデンサC1とコンデンサC2とを構成している、といえる。コンデンサC1は、第1導電部材10Aの第1電極11、絶縁シート30(誘電体)、弾性体35、及び可動接点体B1からなる。コンデンサC2は、第2導電部材10Bの第2電極12、絶縁シート30(誘電体)、弾性体35、及び可動接点体B1からなる。感触発生部材50の押し込み量(ストローク)の増加に伴い、可動板40と第1電極11及び第2電極12の各々との間の誘電体が僅かに潰れるように変形し、コンデンサC1,C2の静電容量が増加する。
【0059】
感触発生部材50の押し込み量(ストローク)が更に増加して規定値に達すると、感触発生部材50のクリック部51が座屈し、クリック感が発生する。クリック部51は、座屈した際に、
図6に示すように、第3電極13及び第4電極14の両方に接触する。つまり、クリック部51の弾性変形によって、第3電極13と第4電極14との間が導通する。またクリック部51が第3電極13及び第4電極14の両方に接触することで、第3電極13及び第4電極14間の電路がコンデンサC1とコンデンサC2との間の中点と電気的に接続される。発明者らは、この第3電極13及び第4電極14間の電路が当該中点と接続されることによる短絡の影響を実験検証した。その結果、短絡に対して問題なく押圧検出部H1の押圧(感圧)と、第3電極13及び第4電極14間の導通、非導通(クリックのオン、オフ)とを独立して検出可能であることが確認できた。
【0060】
詳細は後述するが、制御システム200は、入力デバイス100から、上記のコンデンサC1,C2の静電容量に関する検出値D1を受信することで、外部から受けている押圧の大きさに応じた処理を実行できる。また制御システム200は、第3電極13と第4電極14との間の導通、又は非導通に応じた処理を実行できる。
【0061】
押圧検出部H1は、静電容量式の圧力センサであるから、制御システム200の静電センサ22がON状態であれば、グラウンド電位の物体(例えばユーザの手指)に関しては、近接センサとしての利用も可能である。この場合、グラウンド電位の物体と圧力センサ(押圧検出部H1)との間に疑似的なコンデンサが形成されることを利用している。一例としては、入力デバイス100は、感触発生部材50の近くにユーザの手指等があることを、押圧検出部H1により検出することができる。
【0062】
(2.4)制御システムの構成
次に制御システム200の構成について説明する。
【0063】
制御システム200は、
図1に示すように、制御部20と、判定部21と、静電センサ22と、導通センサ23とを有している。
【0064】
制御部20は、例えば、1以上のプロセッサ(マイクロプロセッサ)と1以上のメモリとを含むコンピュータシステムにより実現され得る。つまり、1以上のプロセッサが1以上のメモリに記憶された1以上のプログラム(アプリケーション)を実行することで、制御部20として機能する。プログラムは、ここでは制御部20のメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0065】
制御部20は、静電センサ22、導通センサ23、及び判定部21の各々と通信可能に接続されており、これらの制御を行う。特に、制御部20は、静電センサ22のセンシング動作をON状態又はOFF状態に切り替え可能に構成される。制御部20は、導通センサ23のセンシング動作をON状態又はOFF状態に切り替え可能に構成されてもよい。
【0066】
静電センサ22は、例えばIC(Integrated Circuit)により構成され、入力デバイス100の第1電極11と電気的に接続される。静電センサ22のセンシング動作は、制御部20の制御により、OFF状態又はON状態に切り替えられる。静電センサ22は、ON状態の時に、第1電極11に電圧を印加して、入力デバイス100の圧力センサ(押圧検出部H1)を駆動する。静電センサ22は、ON状態の時、押圧検出部H1のコンデンサC1,C2の静電容量に関する情報を取得する。つまり、静電センサ22は、入力デバイス100の第1電極11と第2電極12との間の静電容量に関する検出値D1を出力する。静電センサ22は、センシング動作がOFF状態の時には、押圧検出部H1の駆動(つまり第1電極11への電圧供給)を停止する。
【0067】
押圧検出部H1の静電容量に関する情報(検出値D1)を取得する方法としては、従来周知の様々な方法を採用できる。一例としては、スイッチドキャパシタ方式が利用できる。スイッチドキャパシタ方式では、押圧検出部H1のコンデンサC1,C2に蓄積される電荷の量に基づいて、その静電容量(の変化)を検出する。例えば、静電センサ22は、判定用のコンデンサを内蔵する。静電センサ22は、所定時間の間、第1電極11に電圧を印加してコンデンサC1,C2を充電する充電処理と、コンデンサC1,C2を放電させて蓄えられた電荷で、判定用のコンデンサを充電する放電処理とを交互に繰り返し行う。判定用のコンデンサの両端電圧が規定値に達すると、放電処理を終了して充電処理を開始する。つまり、コンデンサC1,C2の静電容量が大きいほど所定時間内に判定用のコンデンサの両端電圧が規定値に達した回数が増える。したがって、静電センサ22は、所定時間内に判定用のコンデンサの両端電圧が規定値に達した回数により、押圧検出部H1の静電容量の変化を判定できる。ここでいう「検出値D1」は、スイッチドキャパシタ方式を利用して静電容量を検出する場合には、上記回数でもよいし、判定用のコンデンサの両端電圧が規定値に到達するまでに要した時間でもよい。また検出値D1は、電気的な物理量でもよく、例えば演算して得られる静電容量の値(ファラッド)でもよいし、静電容量の値に比例する値でもよい。
【0068】
静電センサ22の検出結果は判定部21に送信される。つまり、静電センサ22が出力する検出値D1が、判定部21に入力される(入力ステップ)。静電センサ22の検出結果は制御部20を経由して判定部21に送信されてもよい。
【0069】
導通センサ23は、入力デバイス100の第3電極13と電気的に接続される。導通センサ23は、第3電極13と第4電極14との導通を検出するように構成される。導通センサ23は、例えば、第3電極13と電気的に直列接続された抵抗器(電圧検出素子)を含み、当該抵抗器の両端電圧の大きさに基づき導通を検出する。導通センサ23の検出結果は、制御部20に送信される。
【0070】
判定部21は、静電センサ22と電気的に接続され、静電センサ22の出力に基づいて可動接点体B1が押圧されたか否かを判定するように構成される。
【0071】
判定部21は、例えば、1以上のプロセッサ(マイクロプロセッサ)と1以上のメモリとを含むコンピュータシステムにより実現され得る。つまり、1以上のプロセッサが1以上のメモリに記憶された1以上のプログラム(アプリケーション)を実行することで、判定部21として機能する。プログラムは、ここでは判定部21のメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0072】
判定部21は、
図1に示すように、記憶部21Aを有する。記憶部21Aは、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)のような書き換え可能な不揮発性メモリを含む。記憶部21Aは、基準値Rf1を記憶する。
【0073】
本実施形態では、判定部21は、基準値Rf1と静電センサ22が出力した検出値D1とを比較し、可動接点体B1が押圧されたか否かを判定する。
【0074】
基準値Rf1は、ユーザからの入力デバイス100への操作入力(接触、押圧)がない安定状態における静電容量に関する値として決められた値である。基準値Rf1は、予め設定される固定値でもよいが、本実施形態では、静電センサ22が駆動される度に異なり得る値である。基準値Rf1は、例えば、前回の通常モードから省電力モードに切り替わった時に出力された検出値D1を基に設定されて記憶部21Aに格納(記憶)される。
【0075】
本実施形態では、判定部21は、制御部20とは別体として構成されている。しかし、判定部21の機能の少なくとも一部が、制御部20に設けられてもよい。例えば、制御部20と判定部21とが、一体となって1つのマイクロプロセッサから構成されてもよい。
【0076】
(2.5)静電センサの駆動
本実施形態の制御部20は、導通センサ23に、第3電極13と第4電極14との導通を検出させる(導通検出ステップ)。制御部20は、導通センサ23が第3電極13と第4電極14との導通を検出した後、静電センサ22のセンシング動作をOFF状態からON状態に切り替える(切替ステップ)。言い換えると、静電センサ22は、第3電極13と第4電極14との導通検出を必須の「第1条件」としてON状態に切り替わる。また制御部20は、静電センサ22に、第1電極11と第2電極12との間の静電容量に関する検出値D1を出力(検出)させる(静電検出ステップ)。
【0077】
一例として、制御部20は、導通センサ23が第3電極13と第4電極14との導通を検出した後であり、かつ上記導通が解除されたことを導通センサ23が検出した後に、静電センサ22のセンシング動作をOFF状態からON状態にする。つまり、制御部20は、導通検出という必須の第1条件に加えて、導通解除の検出という「第2条件」も満たしたときに、静電センサ22のセンシング動作を開始(又は再開)する。言い換えると、クリック部51が座屈して第3電極13及び第4電極14間が導通し、そこから押圧力が減少してクリック部51が弾性復帰して非導通状態に戻るという一連の流れが検出されることで、センシング動作を開始する。
【0078】
特に、制御部20は、導通センサ23が第3電極13と第4電極14との導通が解除されたことを検出した「直後に」、静電センサ22のセンシング動作をOFF状態からON状態にする。
【0079】
導通解除の「直後」とは、例えば、導通解除が検出されたタイミングから、制御部20が含む発振器又はクロックパルス発生回路から一定周期で出力されるクロックパルスの半周期~当該半周期の整数倍の時間(例えば1ミリ秒未満)だけ後として規定される。
【0080】
制御部20は、静電センサ22のセンシング動作をON状態としている間において、可動接点体B1が押圧されていない期間が、所定の期間(例えば数分間)に到達したと判断すると、静電センサ22のセンシング動作をON状態からOFF状態にする。すなわち、制御部20は、動作モードを通常モードから省電力モードに切り替える。省電力モードでは、押圧検出部H1の駆動(つまり第1電極11への電圧供給)が停止するため、静電センサ22で消費される電力が抑制され得る。
【0081】
(2.5)入力システム全体の動作
以下、入力システム1全体の動作について、
図7のグラフを参照しながら説明する。
【0082】
先ず時刻t1まで、入力システム1は、通常モードで動作している。つまり、時刻t1まで、静電センサ22のセンシング動作はON状態である。
図7のグラフは、横軸が時間で、縦軸が静電容量に関する値(出力)を示す。
【0083】
図7の例では、時刻t1で、可動接点体B1が押圧されていない期間が所定の期間に到達したことで、制御部20は、動作モードを、通常モードから省電力モードに切り替えている。つまり、時刻t1で、静電センサ22のセンシング動作は、ON状態からOFF状態となる。
【0084】
この時、制御部20は、時刻t1で出力された検出値D1を、次回の通常モードで使用するための基準値Rf1として、判定部21の記憶部21Aに記憶させる。
図7では、静電センサ22のセンシング動作がON状態で出力される検出値D1(実測値)を実線で示し、静電センサ22のセンシング動作がOFF状態であるが、仮にON状態であれば出力されると予想される検出値D2(予想値)を破線で示している。
【0085】
図7の例では、時刻t2まで、ユーザは入力デバイス100に対して操作入力を行っていない。そして、時刻t2で、ユーザが指先で入力デバイス100に対して操作入力を開始し、時刻t5で、操作入力を終えている。つまり、時刻t2~t5までの間、ユーザの指先は、入力デバイス100に接触し続けている。
【0086】
時刻t2から時刻t3にかけて、ユーザが押圧力を高めていき押圧検出部H1のコンデンサC1,C2の静電容量が増加し、結果的に、検出値D2(予想値)が比例的に増加する。
図7の「G1」は、クリックのオン、オフを示している。時刻t3で、クリック部51が、座屈して第3電極13及び第4電極14に接触し、第3電極13及び第4電極14間が導通している(以下、単に「クリックのオン」という場合がある)。その後、ユーザからの押圧力が減少し、時刻t4で、クリック部51が、弾性復帰により第3電極13及び第4電極14から離れて、第3電極13及び第4電極14間が非導通になる(以下、単に「クリックのオフ」という場合がある)。
【0087】
図7の例では、制御部20は、第3電極13及び第4電極14間の導通が解除された時刻t4の直後に、静電センサ22のセンシング動作をOFF状態からON状態にしている。つまり、入力システム1は、時刻t4の直後からは、通常モードで動作する。
【0088】
時刻t4~時刻t5は、クリックのオフ以降、ユーザが更に入力デバイス100から指先を離していく過程の期間である。時刻t4~時刻t5では、入力デバイス100から指先が離れている過程に応じて、コンデンサC1,C2の静電容量も、操作入力がない状態における静電容量に向かって減少していくことになる。時刻t5で、ユーザの指先が、入力デバイス100から完全に離れている。
【0089】
判定部21は、時刻t4以降、ON状態の静電センサ22から検出値D1を受け取る。判定部21は、静電センサ22が出力する検出値D1に基づき、ユーザからの入力デバイス100への操作入力がない安定状態における静電容量に関する値として決められた基準値Rf1に対して、どれだけ変化したか、を判定する。つまり、判定部21は、例えば、静電センサ22が出力した検出値D1(絶対値)と基準値Rf1との差に基づく値(以下、「相対値」と呼ぶ)を求める。
図7の例では「E1」が相対値を示す。
【0090】
本実施形態では、判定部21は、時刻t5以降の通常モードにおいて、上述の通り、記憶部21Aに記憶される基準値Rf1(つまり時刻t1の検出値D1)を用いて、静電センサ22が出力する検出値D1との比較判定を随時行い、相対値E1を求める。つまり、制御部20は、静電センサ22のセンシング動作をOFF状態からON状態にした後に、OFF状態にする(時刻t1)。制御部20は、その後、OFF状態からON状態になった時(時刻t4)における基準値Rf1は、ON状態からOFF状態に切り替わる前に静電センサ22が出力した検出値D1(時刻t1の検出値)を基に設定される。
【0091】
制御部20は、通常モードにおいて、例えば、クリックのオンに対応した制御信号を外部に出力する。また制御部20は、通常モードにおいて、相対値E1の大きさ(例えば、クリックのオン時の相対値E1を含んでもよい)に応じた各種の制御信号を外部に出力する。判定部21は、相対値E1の大きさと複数の閾値との比較を行い、ユーザからの押圧状況を推定し、その推定結果を制御部20に入力する。制御部20は、その推定結果に対応した制御信号を出力する。具体的には、判定部21は、押圧状況を無段階で推定してもよいし、或いは多段階、例えば軽く押圧(タッチ)、やや強く押圧(半押し)、強く押圧(強押し)の3段階で推定してもよい。3段階で推定する場合、相対値E1の大きさと比較される複数の閾値は、「タッチ」に対応する第1閾値、「半押し」に対応する第2閾値、「強押し」に対応する第3閾値を含み得る。第1閾値、第2閾値、及び第3閾値のうち第1閾値が最も小さく、第3閾値が最も大きい。
【0092】
例えば、判定部21は、相対値E1の大きさが、第1閾値以上で、かつ第2閾値未満であれば、押圧状況が「タッチ」であると推定する。また判定部21は、相対値E1の大きさが、第2閾値以上で、かつ第3閾値未満であれば、押圧状況が「半押し」であると推定する。また判定部21は、相対値E1の大きさが、第3閾値以上であれば、押圧状況が「強押し」であると推定する。判定部21は、相対値E1の大きさが第1閾値未満であれば、「押圧なし」であると推定する。
【0093】
このように相対値E1の大きさから複数の閾値を用いて多段階で押圧状況を推定することは単なる一例である。判定部21は、例えば「半押し」に対応する押圧が存在するか否かのみを推定してもよい。
【0094】
制御部20は、通常モードにおいて、対応する制御信号を、例えば携帯情報端末、車載機器、家電機器、又はゲーム機器等の電気機器のアプリケーションを実行する処理回路(不図示)に送信する。制御部20は、通常モードにおいて、例えば、判定部21の推定結果が「タッチ」であれば第1制御信号を送信し、「半押し」であれば第2制御信号を送信し、「強押し」であれば第3制御信号を送信する。制御部20は、通常モードにおいて、判定部21の推定結果が「押圧なし」であれば、制御信号を送信しない。また制御部20は、通常モードにおいて、導通センサ23にて導通が検出されると、オン信号(静電センサ22のOFF状態を解除する操作時のクリックのオン以降に発生するオンの信号)を送信する。電気機器の処理回路は、入力システム1からの第1~第3制御信号、及びオン信号にそれぞれ対応した処理を実行する。
【0095】
判定部21は、ユーザの指先が入力デバイス100に対して下方へ押し込んでいく過程における押圧状況か、入力デバイス100から離れていく過程における押圧状況かを区別して推定可能でもよい。判定部21は、入力デバイス100に対して押し込んでいく過程の押圧状況についてのみ推定してもよい。
【0096】
ところで、
図7の時刻t2~t5にわたって実行されたユーザからの一連の操作入力は、いわば「静電センサ22のセンシング動作のOFF状態を解除するための復帰操作」といえる。そして、
図7の例では、復帰操作を終えて少し間をおいてから、次の操作入力(時刻t6)を実行して電気機器の処理回路でユーザが望む処理を実行させている。この復帰操作に関して、その最中である時刻t4~t5に発生する静電容量の変化(検出値D1の変化)に対応する制御信号が、電気機器の処理回路に送信されることが望まれない場合もある。
【0097】
そこで本実施形態では、判定部21は、クリックがオン、オフになって静電センサ22がON状態になってから最初に検出値D1が、基準値Rf1を含む所定の範囲の値になるまでは、相対値E1の大きさに関わらず、可動接点体B1が押圧されていないと判定する。結果的に、制御部20は、復帰操作の最中における時刻t4~t5において、制御信号を送信しない(或いは「押圧なし」という信号を送信)。ここでいう「所定の範囲」は、例えば、基準値Rf1に対して許容誤差(一例として±3%)を考慮した範囲である。
【0098】
つまり、制御部20が静電センサ22のセンシング動作をOFF状態からON状態にした後に(時刻t4以降)、判定部21は静電センサ22が出力した検出値D1が基準値Rf1を含む所定の範囲の値になる前までは可動接点体B1が押圧されていないと判定する。判定部21は、静電センサ22が出力した検出値D1が基準値Rf1を含む所定の範囲の値になった後は(時刻t5以降)、可動接点体B1が押圧されたか否かを判定する。
【0099】
これにより、本来、ユーザが復帰操作を行おうとしたにも関わらず、その復帰操作中に指先が入力デバイス100から離れていく過程の中で発生する静電容量の変化が検出されて、可動接点体B1が押圧されていると判定されてしまうことを抑制できる。そのため、復帰操作による制御信号が電気機器の処理回路に送信されて、意図しない処理が実行されることが抑制され得る。結果的に、入力デバイス100を操作する人(ユーザ)の使い勝手が向上される。
【0100】
[利点]
本実施形態では、上述の通り、制御部20は、導通センサ23が第3電極13と第4電極14との導通を検出した後、静電センサ22のセンシング動作をOFF状態からON状態にする。つまり、静電センサ22のセンシング動作は、少なくとも導通センサ23が導通を検出するまで、OFF状態に維持される。
図7でいえば、入力システム1は、少なくとも時刻t1から導通を検出する時刻t3までの間、省電力モードで動作する。結果的に、静電センサ22の消費電力の低減を図ることが可能となる。
【0101】
また本実施形態では、導通センサ23が導通を検出した後であり、かつ、導通が解除されたことを検出した後に、静電センサ22のセンシング動作をOFF状態からON状態にする。
図7でいえば、入力システム1は、時刻t1から、導通を検出する時刻t3を経て導通解除を検出する時刻t4までの間、省電力モードで動作する。結果的に、静電センサ22の消費電力が更に低減され得る。また導通センサ23が導通を検出した時点から当該導通が解除されるまでの間(時刻t3~t4)に、押圧が存在すると判定されてしまう可能性が低減され、判定部21の判定に関する信頼性が向上される。
【0102】
また制御部20は、導通センサ23にて導通が解除されたことを検出した「直後に」、静電センサ22のセンシング動作をOFF状態からON状態にする。そのため、速やかに静電センサ22のセンシング動作が開始されるため、入力デバイス100を操作する人(ユーザ)の使い勝手が向上される。
【0103】
特に本実施形態では、ON状態からOFF状態に切り替わる前に出力した検出値D1(時刻t1の検出値)を記憶部21Aに記憶し、OFF状態からON状態になった時(時刻t4)における基準値Rf1は、記憶していた検出値D1を基に設定される。そのため、例えば復帰操作時(時刻t4)の検出値D1が、基準値Rf1に設定されて判定が行われる場合に比べて、判定部21の判定に関する信頼性がより向上される。具体的には、もし仮に復帰操作中の指先が接触した状態で出力される検出値D1が基準値Rf1に設定されてしまうと、本来、操作入力がない安定状態における静電容量に関する値としての基準値Rf1が、かさ上げされた状態で設定されてしまう可能性がある。この点で、ON状態からOFF状態に切り替わる前に出力した検出値D1(時刻t1の検出値)が、基準値Rf1に設定されることで、より信頼性の高い基準値Rf1を用いた判定が行われることになる。
【0104】
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、上記実施形態に係る入力システム1と同様の機能は、入力システム1の制御方法、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0105】
以下、上記実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。以下では、上記実施形態を「基本例」と呼ぶこともある。
【0106】
本開示における入力システム1は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における入力システム1としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0107】
また、入力システム1における複数の機能が、1つのハウジング内に集約されていることは必須の構成ではない。例えば、入力システム1の構成要素は、複数のハウジングに分散して設けられていてもよい。反対に、入力システム1における複数の機能が、1つのハウジング内に集約されてもよい。さらに、入力システム1の少なくとも一部の機能、例えば、入力システム1の一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0108】
(3.1)変形例1
以下、入力システム1の変形例1について、
図8のグラフを参照しながら説明する。以下の説明では、変形例1について、基本例と実質的に同じ構成要素については同じ参照符号を付して、その説明を適宜に省略する場合がある。
【0109】
基本例では、制御部20が静電センサ22のセンシング動作をON状態にした後に(時刻t4以降)、判定部21は、静電センサ22が出力した検出値D1が基準値Rf1を含む所定の範囲の値になる前までは、可動接点体B1が押圧されていないと判定していた。つまり、基本例の判定部21は、ユーザの指先が入力デバイス100から離れて復帰操作が終わるまでは、静電容量の変化に依らず全て可動接点体B1が押圧されていないと判定していた。
【0110】
しかし、例えば、復帰操作の最中に、ユーザの指先が入力デバイス100から完全に離れきる前に次の操作入力を行いたいという要望もある。しかし、基本例では、ユーザは、感覚的に復帰操作を終えたことを意識した上で、つまり一拍空けて、次の操作入力を行う必要がある。スピーディーな操作入力が求められる場合、この「一拍」は大きな時間ロスとなり得る。
【0111】
本変形例の入力システム1は、復帰操作の最中であっても、連続して次の操作入力に関する押圧を判定可能に構成されている点で、基本例と相違する。本変形例では、判定部21は、基本例の基準値Rf1に加えて、補助基準値Rf2を用いて、押圧に関する判定を行う。
【0112】
図8は、クリックのオン、オフを示す「G1」以降の入力システム1の動作に着目したグラフである。
図8の例では、時刻t11にクリックがオンし、時刻t12でクリックがオフしている。制御部20は、第3電極13及び第4電極14間の導通が解除された時刻t12の直後に、静電センサ22のセンシング動作をOFF状態からON状態にしている。つまり、入力システム1は、時刻t12の直後から通常モードで動作する。
【0113】
制御部20は、基本例と同様に、ON状態からOFF状態に切り替わる前に静電センサ22が出力した検出値D1を基準値Rf1として、判定部21の記憶部21Aに記憶させる。
【0114】
ここで本変形例では、制御部20が、静電センサ22のセンシング動作をOFF状態からON状態にした後に、判定部21の記憶部21Aは、静電センサ22が出力した検出値D1を補助基準値Rf2として記憶する。
図8の例では、時刻t12で静電センサ22が出力した検出値D1が、補助基準値Rf2に設定される。記憶部21Aは、基準値Rf1と補助基準値Rf2とを個別に記憶可能である。
【0115】
その後(時刻t12以降)、静電センサ22が出力した検出値D1が基準値Rf1を含む所定の範囲(例えば許容誤差を考慮した範囲)の値になる前までは、判定部21は、静電センサ22が出力した検出値D1と補助基準値Rf2とを随時比較する。判定部21は、静電センサ22が出力した検出値D1が補助基準値Rf2よりも小さい場合は、出力した検出値D1を記憶部21Aに新たな補助基準値Rf2として更新する。
【0116】
ユーザの指先が入力デバイス100から離れていく過程の中で、検出値D1は徐々に基準値Rf1に向かって減少しているため、更新される補助基準値Rf2も、減少する検出値D1を後追いする形で減少していくことになる。ここでは、静電センサ22の検出値D1が補助基準値Rf2よりも小さい間、判定部21は、補助基準値Rf2を直近の検出値D1に随時更新することで、その都度得られる相対値E2(
図8では一点鎖線で図示)の大きさがゼロに近づくようにフィードバック制御を行う。相対値E2は、静電センサ22の検出値D1と補助基準値Rf2との差に基づく値である。その結果、指先が離れていく過程では、相対値E2の大きさがゼロに近い値に維持されて、判定部21は、可動接点体B1が押圧されていないと判定する。
【0117】
例えば、時刻t12~t13においては、ユーザからの押圧の減少に応じて静電容量も減少し、結果、検出値D1も基準値Rf1に向かって減少している。この間、判定部21は、補助基準値Rf2を随時更新しながら、相対値E2を算出する。時刻t12~t13においては、相対値E2は、ゼロより僅かに大きい。
【0118】
時刻t13~t14においては、ユーザが、指先が入力デバイス100から離れ切る前に次の操作入力を連続して行おうとして指先の動きを止めたことにより、静電容量の減少が止まり、検出値D1が一定を維持している。その結果、時刻t13~t14においては、相対値E2は、ほぼゼロである。
【0119】
静電センサ22の検出値D1が補助基準値Rf2以上である間は、判定部21は、補助基準値Rf2の更新を中断する。
図8の例では、時刻t13で、静電センサ22の検出値D1が、補助基準値Rf2とほぼ同じとなり、補助基準値Rf2は、更新が中断されて、時刻t13~t17の間、一定を保っている。
【0120】
時刻t14で、ユーザは、次の操作入力の実行のために、再び押圧力を増加させている。その結果、静電容量の増加が再び開始し、検出値D1も上昇を開始する。
【0121】
判定部21は、静電センサ22が出力した検出値D1が補助基準値Rf2よりも大きい場合は、出力した検出値D1と補助基準値Rf2とを比較し、可動接点体B1が押圧されたか否かを判定する。つまり、判定部21は、相対値E2の大きさに応じた各種の制御信号を外部に出力する。判定部21は、相対値E2の大きさと複数の閾値(例えば、基本例で説明した第1閾値~第3閾値)との比較を行い、ユーザからの押圧状況を推定し、その推定結果を制御部20に入力する。制御部20は、その推定結果に対応した制御信号を出力する。
【0122】
具体的な例で説明すると、相対値E2の大きさが第1閾値以上で、かつ第2閾値未満であれば(例えば時刻t15~t16に相当)、判定部21は押圧状況が「タッチ(軽く押圧)」であると推定し、制御部20は「タッチ」に対応した第1制御信号を出力する。相対値E2の大きさが第1閾値未満であれば(例えば時刻t12~t15に相当)、判定部21は、「押圧なし」であると推定し、制御部20は、制御信号を出力しない。
【0123】
判定部21は、静電センサ22の検出値D1と補助基準値Rf2との差Δc(
図8参照)を直接的に相対値E2にしてもよい。ただし、差Δcは、検出値D1と基準値Rf1との差に比べて小さい値になりやすい。そこで、比較判定の信頼性を高めるために、判定部21は、差Δcに任意の係数k(ただし、1より大きい)を掛けた補正値(Δc×k)を、相対値E2にすることが好ましい。この場合、判定部21は、相対値E2の大きさ(Δc×k)を、複数の閾値と比較して、ユーザからの押圧状況を推定する。係数kは、一例として、「補助基準値Rf2÷基準値Rf1」であることを想定するが、これに限定されない。
【0124】
時刻t15~t16においては、指先の動きが瞬間的に止まったことにより、静電容量の増加が止まり、検出値D1が一定を維持している。その結果、時刻t15~t16においては、相対値E2も一定である。
【0125】
時刻t16で、指先が入力デバイス100から離れ始めている。ユーザからの押圧の減少に応じて静電容量も減少し、結果、検出値D1も基準値Rf1に向かって減少する。
【0126】
時刻t17で、検出値D1は、更新が中断されていた補助基準値Rf2に到達し、更にそれを下回る。その結果、判定部21は、補助基準値Rf2の更新を再開する。
【0127】
時刻t18で、静電センサ22の検出値D1が基準値Rf1を含む所定の範囲の値になる。その結果、判定部21は、検出値D1と補助基準値Rf2との比較を終える。その代わりに、時刻t18以降では、判定部21は、検出値D1と基準値Rf1と比較することで、押圧状況を判定する。
【0128】
時刻t19では、新たな操作入力が開始されており、検出値D1と基準値Rf1との差である相対値E1が増加を開始している。
【0129】
このように本変形例の構成では、静電センサ22の復帰操作中において、指先が入力デバイス100から離れていく過程の途中で、連続的に次の押圧がされた場合であっても、その押圧に関する判定も正確に行うことができる。結果的に、入力デバイス100を操作するユーザの使い勝手が向上される。
【0130】
(3.2)変形例2
以下、入力システム1の変形例2について、
図9を参照しながら説明する。以下の説明では、変形例2について、基本例と実質的に同じ構成要素については同じ参照符号を付して、その説明を適宜に省略する場合がある。
【0131】
基本例では、2枚の金属板501,502(メタルドーム)からなる感触発生部材50のクリック部51が、座屈状態になることで第3電極13及び第4電極14に直接的に接触する構成であった。
【0132】
本変形例の入力システム1は、
図9に示すように、導通用の可動部材Z1を更に備える点で、基本例と相違する。
【0133】
可動部材Z1は、導電性を有する。可動部材Z1は、例えば金属の板ばねである。可動部材Z1は、Y軸の負の側に固定端Z11を有し、その反対側(Y軸の正の側)に自由端Z12を有する。可動部材Z1は、可動板40と感触発生部材50との間に配置される。可動部材Z1は、例えば、可動板40の上に固定される。
【0134】
感触発生部材50のクリック部51が、押圧を受けることで、可動部材Z1に接触する。クリック部51が更に座屈状態になるほど押し込まれることで、自由端Z12側が下方に撓み、可動部材Z1の中央部が、第3電極13及び第4電極14の両方に接触する。その結果、第3電極13及び第4電極14間は、可動部材Z1を介して導通する。
【0135】
押圧していた力が減少すると座屈していたクリック部51が弾性復帰するため、それに伴って自由端Z12も、弾性復帰する。その結果、可動部材Z1が、第3電極13及び第4電極14から離間し、第3電極13及び第4電極14間は、非導通状態に戻る。
【0136】
このように本変形例の構成では、可動部材Z1が設けられていることで、基本例のように座屈するクリック部51が直接的に接触する構成に比べて、より確実に第3電極13及び第4電極14間の導通、又は非導通の切り替えを実現しやすくなる。
【0137】
(3.3)その他の変形例
基本例では、制御部20は、導通センサ23にて導通が解除されたことを検出した直後に、静電センサ22のセンシング動作をOFF状態からON状態にする。しかし、静電センサ22のセンシング動作を、導通解除の直後にON状態にすることは必須ではない。制御部20は、導通解除の後、比較的長い時間(例えば数秒以上)が経過してからON状態にしてもよい。
【0138】
また制御部20は、導通センサ23が第3電極13と第4電極14との導通を検出した直後に、静電センサ22のセンシング動作をOFF状態からON状態にしてもよい。ここでいう導通検出の「直後」は、例えば、導通が検出されたタイミングから、制御部20が含む発振器又はクロックパルス発生回路から一定周期で出力されるクロックパルスの半周期~当該半周期の整数倍の時間(例えば1ミリ秒未満)だけ後として規定される。この場合、より速やかに静電センサ22のセンシング動作が開始されるため、ユーザの使い勝手が向上される。
【0139】
(4)まとめ
以上説明したように、第1の態様に係る入力システム(1)は、入力デバイス(100)と、静電センサ(22)と、導通センサ(23)と、制御部(20)と、判定部(21)と、を備える。入力デバイス(100)は、可動接点体(B1)と、第1電極(11)と、第2電極(12)と、第3電極(13)と、第4電極(14)と、を有する。静電センサ(22)は、第1電極(11)に接続される。導通センサ(23)は、第3電極(13)に接続される。制御部(20)は、静電センサ(22)のセンシング動作をON状態又はOFF状態に切り替える。判定部(21)は、静電センサ(22)に接続され、静電センサ(22)の出力に基づいて可動接点体(B1)が押圧されたか否かを判定する。入力デバイス(100)は、可動接点体(B1)が押圧されると、第1電極(11)と第2電極(12)との間の静電容量が変化し、静電容量が変化した後に、さらに、可動接点体(B1)が押圧されると、第3電極(13)と第4電極(14)とが導通するように構成される。導通センサ(23)は、第3電極(13)と第4電極(14)との導通を検出する。制御部(20)は、導通センサ(23)が第3電極(13)と第4電極(14)との導通を検出した後、静電センサ(22)のセンシング動作をOFF状態からON状態にする。静電センサ(22)は、ON状態の時、第1電極(11)と第2電極(12)との間の静電容量に関する検出値(D1)を出力する。静電センサ(22)が出力する検出値(D1)が、判定部(21)に入力される。
【0140】
この態様によれば、制御部(20)は、導通センサ(23)が第3電極(13)と第4電極(14)との導通を検出した後、静電センサ(22)のセンシング動作をOFF状態からON状態にする。つまり、静電センサ(22)のセンシング動作は、少なくとも導通センサ(23)が導通を検出するまで、OFF状態に維持される。結果的に、静電センサ(22)の消費電力の低減を図ることが可能となる。
【0141】
第2の態様に係る入力システム(1)に関して、第1の態様において、制御部(20)は、導通センサ(23)が第3電極(13)と第4電極(14)との導通を検出した直後に、静電センサ(22)のセンシング動作をOFF状態からON状態にする。
【0142】
この態様によれば、速やかに静電センサ(22)のセンシング動作が開始されるため、入力デバイス(100)を操作する人(ユーザ)の使い勝手が向上される。
【0143】
第3の態様に係る入力システム(1)に関して、第1の態様において、制御部(20)は、導通センサ(23)が第3電極(13)と第4電極(14)との導通を検出した後であり、かつ、導通センサ(23)が第3電極(13)と第4電極(14)との導通が解除されたことを検出した後に、静電センサ(22)のセンシング動作をOFF状態からON状態にする。
【0144】
この態様によれば、導通センサ(23)が導通を検出した時点から当該導通が解除されるまでの間の判定部(21)の判定に関する信頼性が向上される。
【0145】
第4の態様に係る入力システム(1)に関して、第3の態様において、制御部(20)は、導通センサ(23)が第3電極(13)と第4電極(14)との導通が解除されたことを検出した直後に、静電センサ(22)のセンシング動作をOFF状態からON状態にする。
【0146】
この態様によれば、速やかに静電センサ(22)のセンシング動作が開始されるため、入力デバイス(100)を操作する人(ユーザ)の使い勝手が向上される。
【0147】
第5の態様に係る入力システム(1)に関して、第1~第4の態様のいずれか1つにおいて、判定部(21)は、基準値(Rf1)を記憶する記憶部(21A)を有する。判定部(21)は、基準値(Rf1)と静電センサ(22)が出力した検出値(D1)とを比較し、可動接点体(B1)が押圧されたか否かを判定する。
【0148】
この態様によれば、記憶部(21A)に記憶された基準値(Rf1)を用いて、検出値(D1)と基準値(Rf1)との差(相対値)から押圧の判定が行われるため、判定部(21)の判定に関する信頼性が向上される。
【0149】
第6の態様に係る入力システム(1)に関して、第5の態様において、制御部(20)は、静電センサ(22)のセンシング動作をOFF状態からON状態にした後に、OFF状態にする。制御部(20)は、その後、OFF状態からON状態になった時における基準値(Rf1)は、ON状態からOFF状態に切り替わる前に静電センサ(22)が出力した検出値(D1)を基に設定される。
【0150】
この態様によれば、例えば、静電センサ(22)のセンシング動作のOFF状態を解除するための押圧操作(復帰操作)が行われた時点の検出値(D1)が基準値(Rf1)に設定されて判定が行われる場合に比べて、判定部(21)の判定に関する信頼性が、より向上される。
【0151】
第7の態様に係る入力システム(1)に関して、第5又は第6の態様において、制御部(20)が、静電センサ(22)のセンシング動作をOFF状態からON状態にした後に、判定部(21)は、静電センサ(22)が出力した検出値(D1)が基準値(Rf1)を含む所定の範囲の値になる前までは、可動接点体(B1)が押圧されていないと判定し、静電センサ(22)が出力した検出値(D1)が基準値(Rf1)を含む所定の範囲の値になった後は、可動接点体(B1)が押圧されたか否かを判定する。
【0152】
この態様によれば、例えば、静電センサ(22)のセンシング動作のOFF状態を解除するための押圧操作(復帰操作)により第3電極(13)と第4電極(14)とが導通し、人(ユーザ)の指等が入力デバイス(100)から離れていく過程の中で、可動接点体(B1)が押圧されていると判定されてしまうことを抑制できる。結果的に、入力デバイス(100)を操作する人(ユーザ)の使い勝手が向上される。
【0153】
第8の態様に係る入力システム(1)に関して、第5又は第6の態様において、制御部(20)が、静電センサ(22)のセンシング動作をOFF状態からON状態にした後に、判定部(21)の記憶部(21A)は、静電センサ(22)が出力した検出値(D1)を補助基準値(Rf2)として記憶する。その後、静電センサ(22)が出力した検出値(D1)が基準値(Rf1)を含む所定の範囲の値になる前までは、判定部(21)は、静電センサ(22)が出力した検出値(D1)が補助基準値(Rf2)よりも小さい場合は、出力した検出値(D1)を記憶部(21A)に新たな補助基準値(Rf2)として更新する。判定部(21)は、静電センサ(22)が出力した検出値(D1)が補助基準値(Rf2)よりも大きい場合は、出力した検出値(D1)と補助基準値(Rf2)とを比較し、可動接点体(B1)が押圧されたか否かを判定する。
【0154】
この態様によれば、例えば、静電センサ(22)のセンシング動作のOFF状態を解除するための復帰操作の中でユーザの指先等が入力デバイス(100)から離れていく過程の途中で連続的に次の押圧がされた場合であっても、その押圧に関する判定も正確に行うことができる。結果的に、入力デバイス(100)を操作する人(ユーザ)の使い勝手が向上される。
【0155】
第9の態様に係る制御方法は、入力システム(1)における制御方法である。入力システム(1)は、入力デバイス(100)と、静電センサ(22)と、導通センサ(23)と、制御部(20)と、判定部(21)と、を有する。入力デバイス(100)は、可動接点体(B1)と、第1電極(11)と、第2電極(12)と、第3電極(13)と、第4電極(14)と、を有する。静電センサ(22)は、第1電極(11)に接続される。導通センサ(23)は、第3電極(13)に接続される。制御部(20)は、静電センサ(22)のセンシング動作をON状態又はOFF状態に切り替える。判定部(21)は、静電センサ(22)に接続され、静電センサ(22)の出力に基づいて可動接点体(B1)が押圧されたか否かを判定する。入力デバイス(100)は、可動接点体(B1)が押圧されると、第1電極(11)と第2電極(12)との間の静電容量が変化し、静電容量が変化した後に、さらに、可動接点体(B1)が押圧されると、第3電極(13)と第4電極(14)とが導通するように構成される。制御方法は、導通検出ステップと、切替ステップと、静電検出ステップと、入力ステップと、を備える。導通検出ステップでは、制御部(20)が、導通センサ(23)に、第3電極(13)と第4電極(14)との導通を検出させる。切替ステップでは、制御部(20)が、導通センサ(23)が第3電極(13)と第4電極(14)との導通を検出した後、静電センサ(22)のセンシング動作をOFF状態からON状態に切り替える。静電検出ステップでは、制御部(20)が、静電センサ(22)のセンシング動作をOFF状態からON状態にした後、静電センサ(22)に、第1電極(11)と第2電極(12)との間の静電容量に関する検出値(D1)を出力させる。入力ステップでは、制御部(20)が、静電センサ(22)で出力された検出値(D1)を、判定部(21)に入力させる。
【0156】
この態様によれば、静電センサ(22)の消費電力の低減を図ることが可能な制御方法を提供できる。
【0157】
第10の態様に係る制御方法に関して、第9の態様において、切替ステップでは、制御部(20)が、第3電極(13)と第4電極(14)との導通を検出した直後に、静電センサ(22)のセンシング動作をOFF状態からON状態に切り替える。
【0158】
この態様によれば、速やかに静電センサ(22)のセンシング動作が開始されるため、入力デバイス(100)を操作する人(ユーザ)の使い勝手が向上される。
【0159】
第11の態様に係る制御方法に関して、第9の態様において、切替ステップでは、制御部(20)が、導通センサ(23)が第3電極(13)と第4電極(14)との導通を検出した後であり、かつ、導通センサ(23)が第3電極(13)と第4電極(14)との導通が解除されたことを検出した後に、静電センサ(22)のセンシング動作をOFF状態からON状態に切り替える。
【0160】
この態様によれば、導通センサ(23)が導通を検出した時点から当該導通が解除されるまでの間の判定部(21)の判定に関する信頼性が向上される。
【0161】
第2~8の態様に係る構成については、入力システム(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0162】
1 入力システム
100 入力デバイス
B1 可動接点体
11 第1電極
12 第2電極
13 第3電極
14 第4電極
20 制御部
21 判定部
21A 記憶部
22 静電センサ
23 導通センサ
D1 検出値
Rf1 基準値
Rf2 補助基準値