特許 7515089 テープ式使い捨ておむつ

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B1)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2024-07-04

(45)【発行日】2024-07-12

(54)【発明の名称】テープ式使い捨ておむつ

(51)【国際特許分類】

   A61F 13/49 20060101AFI20240705BHJP

   A61F 13/56 20060101ALI20240705BHJP

   A61F 13/51 20060101ALI20240705BHJP

   A61F 13/514 20060101ALI20240705BHJP

   A61F 13/475 20060101ALI20240705BHJP

   A61F 13/53 20060101ALI20240705BHJP

【ＦＩ】

A61F13/49 317

A61F13/56 211

A61F13/49 315

A61F13/51

A61F13/514 400

A61F13/475 112

A61F13/53 200

【請求項の数】 8

(21)【出願番号】P 2023161590

(22)【出願日】2023-09-25

【審査請求日】2023-12-15

【早期審査対象出願】

(73)【特許権者】

【識別番号】000143086

【氏名又は名称】株式会社光洋

(74)【代理人】

【識別番号】100099690

【弁理士】

【氏名又は名称】鷺 健志

(74)【代理人】

【識別番号】100166604

【弁理士】

【氏名又は名称】野村 明代

(72)【発明者】

【氏名】白井 敦子

(72)【発明者】

【氏名】松宮 宗忠

【審査官】原田 愛子

(56)【参考文献】

【文献】特開２０２１－０９４１７４（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０２３－０４３８３０（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１７－０６４２４７（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０２１－０８３６９７（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ａ６１Ｆ １３／４９

Ａ６１Ｆ １３／５６

Ａ６１Ｆ １３／５１

Ａ６１Ｆ １３／５１４

Ａ６１Ｆ １３／４７５

Ａ６１Ｆ １３／５３

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

液透過性のトップシートと液不透過性のボトムシートとの間に液保持性の吸収体を内包する本体であって、長方形の長手方向の中間部の幅が狭くなった全体形状を有し、該長手方向の一端である前部と他端であり該前部より長い後部とを有し、該前部から該中間部へ至る前遷移部及び該後部から該中間部へ至る後遷移部は該中間部へ向かうにつれて幅が狭くなるものと、
該本体の該後部の左右側縁から外方へ突出した各テープと、
該各テープの突出端部に設けられ、該本体の該前部又は該前遷移部における外装面に着脱可能な各ファスニング部と、
該本体の該左右側縁近くに配置された一群の糸状の伸縮材からなる左右の外側伸縮材と、
該左右の外側伸縮材より左右中心線近くに配置された一群の糸状の伸縮材からなる左右の内側伸縮材と、
該本体の該後部の後端縁近くに幅方向に配置された後端伸縮材と、を備え、
該外側伸縮材及び該内側伸縮材が、該後遷移部において該左右側縁に沿って斜めに配置され、該後部において該左右側縁と略平行に配置され、該後部の該後端縁の近くで該左右中心線の方へ斜めに配置されると共に、該後端伸縮材が、少なくとも左右の該内側伸縮材の間を繋ぐように配置されることにより、該本体の該後遷移部及び該後部において該外側伸縮材と該内側伸縮材と該後端伸縮材とが略円弧状に配置され、
該本体の該後遷移部及び該後部は、装着時に着用者の臀部に沿ってフィットすると共に臀部との間に排泄物収容空間を有する膨らみ構造を備え、
更に、該本体の左右の該前遷移部と該中間部と該後遷移部にわたって該外装面に表示さ れた、着用者の鼠径部、大腿部の付け根部分、及び殿溝に沿わせて当てる左右のガイドラ インを備え、
該左右のガイドラインにおける着用者の大腿部の付け根部分に沿わせて当てる部分は、 該中間部にある該左右の内側伸縮材に重なる位置で該長手方向に延びる左右の直線部分で あり、
該左右のガイドラインにおける着用者の殿溝に沿わせて当てる部分は、該後遷移部にあ る該左右の外側伸縮材に重なる位置から該左右の直線部分の後端まで斜めに延びる左右の 下斜め部分である
ことを特徴とするテープ式使い捨ておむつ。

【請求項2】

該各ファスニング部は、該本体の該前部又は該前遷移部における該外装面に設けられたターゲットテープに着脱可能であることを特徴とする請求項１に記載のテープ式使い捨ておむつ。

【請求項3】

該本体の該後部の該後端縁近くに基端を固定されると共に自由端に左右方向にフラップ用伸縮材を配置されたフラップを更に備え、
該後端伸縮材が該フラップの該基端内に設けられたことを特徴とする請求項１に記載のテープ式使い捨ておむつ。

【請求項4】

該左右のガイドラインにおける着用者の鼠径部に沿わせて当てる部分は、該前遷移部に ある該左右の外側伸縮材に重なる位置から該左右の直線部分の前端まで斜めに延びる左右 の上斜め部分であることを特徴とする請求項１に記載のテープ式使い捨ておむつ。

【請求項6】

該本体の該中間部の該左右側縁に沿った線上で起立するための左右の起立性シートと、左右の該起立性シートの自由端に沿って配置された左右の起立用伸縮材とを、更に備えることを特徴とする請求項１に記載のテープ式使い捨ておむつ。

【請求項7】

該吸収体は、左右各２つのくびれ部と、該くびれ部間にある左右の膨出部とを有することを特徴とする請求項１に記載のテープ式使い捨ておむつ。

【請求項8】

該吸収体は、左右各２つのくびれ部と、該くびれ部間にある左右の膨出部とを有し、
該左右の内側伸縮材は、該左右の膨出部の基端付近に配置されることを特徴とする請求項１に記載のテープ式使い捨ておむつ。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、テープ式使い捨ておむつに関する。

【背景技術】

【0002】

特許文献１に開示されたテープ式使い捨ておむつは、腹側部分の外装面に設けられたターゲットテープと、背側部分の左右側縁から突出して設けられ、該ターゲットテープに着脱可能なファスニングテープと、該おむつの左右側縁に沿って腹側部分の一部から中間部を経て背側部分の前半部まで設けられた左右の弾性材と、該背側部分の後端部中央における吸収体の無い領域に左右方向に設けられたエンドフラップ弾性材と、を備える。

【0003】

テープ式使い捨ておむつは、寝た状態の老人などに介護者によって装着されることが多いが、排出物の漏れが生じないように適切な位置に装着することは容易ではない。特許文献１の該テープ式使い捨ておむつは、該弾性材が前述したように配置されているため、着用者の丸みのある臀部の形状にフィットさせて排出物の漏れが生じないように適切な位置に装着することが困難である。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【文献】特許第５６０３３９１号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

本発明の一つの目的は、排出物の漏れが生じないように適切な位置に装着するのが容易なテープ式使い捨ておむつを提供することである。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本発明の一の態様のテープ式使い捨ておむつは、液透過性のトップシートと液不透過性のボトムシートとの間に液保持性の吸収体を内包する本体であって、長方形の長手方向の中間部の幅が狭くなった全体形状を有し、該長手方向の一端である前部と他端であり該前部より長い後部とを有し、該前部から該中間部へ至る前遷移部及び該後部から該中間部へ至る後遷移部は該中間部へ向かうにつれて幅が狭くなるものと、該本体の該後部の左右側縁から外方へ突出した各テープと、該各テープの突出端部に設けられ、該本体の該前部又は該前遷移部における外装面に着脱可能な各ファスニング部と、該本体の該左右側縁近くに配置された一群の糸状の伸縮材からなる左右の外側伸縮材と、該左右の外側伸縮材より左右中心線近くに配置された一群の糸状の伸縮材からなる左右の内側伸縮材と、該本体の該後部の後端縁近くに幅方向に配置された後端伸縮材と、を備え、該外側伸縮材及び該内側伸縮材が、該後遷移部において該左右側縁に沿って斜めに配置され、該後部において該左右側縁と略平行に配置され、該後部の該後端縁の近くで該左右中心線の方へ斜めに配置されると共に、該後端伸縮材が、少なくとも左右の該内側伸縮材の間を繋ぐように配置されることにより、該本体の該後遷移部及び該後部において該外側伸縮材と該内側伸縮材と該後端伸縮材とが略円弧状に配置され、該本体の該後遷移部及び該後部は、装着時に着用者の臀部に沿ってフィットすると共に臀部との間に排泄物収容空間を有する膨らみ構造を備え、更に、該本体の左右の該前遷移部と該中間部と該後遷移部にわたって該外装面に表 示された、着用者の鼠径部、大腿部の付け根部分、及び殿溝に沿わせて当てる左右のガイ ドラインを備え、該左右のガイドラインにおける着用者の大腿部の付け根部分に沿わせて 当てる部分は、該中間部にある該左右の内側伸縮材に重なる位置で該長手方向に延びる左 右の直線部分であり、該左右のガイドラインにおける着用者の殿溝に沿わせて当てる部分 は、該後遷移部にある該左右の外側伸縮材に重なる位置から該左右の直線部分の後端まで 斜めに延びる左右の下斜め部分であることを特徴とする。

【0007】

該テープ式使い捨ておむつは、該各ファスニング部が、該本体の該前部又は該前遷移部における該外装面に設けられたターゲットテープに着脱可能であってもよい。

【0008】

該テープ式使い捨ておむつは、該本体の該後部の該後端縁近くに基端を固定されると共に自由端に左右方向にフラップ用伸縮材を配置されたフラップを更に備え、該後端伸縮材が該フラップの該基端内に設けられてもよい。

【0009】

該テープ式使い捨ておむつは、該左右のガイドラインにおける着用者の鼠径部に沿わせ て当てる部分が、該前遷移部にある該左右の外側伸縮材に重なる位置から該左右の直線部 分の前端まで斜めに延びる左右の上斜め部分であってもよい。

【0010】

該テープ式使い捨ておむつは、該本体の該外装面に表示された、該左右のガイドラインにおける着用者の大腿部の付け根部分に沿わせて当てる部分の中央位置を指し示すセンターポイントを更に備えてもよい。

【0011】

該テープ式使い捨ておむつは、該本体の該中間部の該左右側縁に沿った線上で起立するための左右の起立性シートと、左右の該起立性シートの自由端に沿って配置された左右の起立用伸縮材とを、更に備えてもよい。

【0012】

該テープ式使い捨ておむつは、該吸収体が、左右各２つのくびれ部と、該くびれ部間にある左右の膨出部とを有してもよい。

【0013】

該テープ式使い捨ておむつは、該吸収体が、左右各２つのくびれ部と、該くびれ部間にある左右の膨出部とを有し、該左右の内側伸縮材が、該左右の膨出部の基端付近に配置されてもよい。

【0014】

本発明は、前記の目的又は前記の態様に限定されない。本発明のより完全な理解及び多くの本発明の奏する効果は、以下の詳細な説明を参酌し、関連する図面を考慮することにより、より容易に理解されるものとなる。

【図面の簡単な説明】

【0015】

【図1】伸縮材が伸縮力を発揮していない状態の本発明の一実施例のテープ式使い捨ておむつの底面図である。

【図2】図１のテープ式使い捨ておむつのＩＩ―ＩＩ模式端面図である。

【図3】図１のテープ式使い捨ておむつのＩＩＩ―ＩＩＩ模式端面図である。

【図4】図１のテープ式使い捨ておむつが着用された状態の背面を示す写真である。

【図5】図１のテープ式使い捨ておむつが着用された状態の正面を示す写真である。

【発明を実施するための形態】

【0016】

図１から図５を参照して、本発明の一実施例のテープ式使い捨ておむつを説明する。

【0017】

テープ式使い捨ておむつ１の本体２は、長手方向を前後方向とし、幅方向を左右方向とする。図１に示すように、該本体２は、長方形の長手方向の中間部Ｍの幅が狭くなった全体形状を有する。該本体２は、該長手方向の一端である前部Ｆと、他端であり該前部Ｆより長い後部Ｂとを有する。該前部Ｆから該中間部Ｍへ至る前遷移部ＦＭ、及び、該後部Ｂから該中間部Ｍへ至る後遷移部ＢＭは、該中間部Ｍへ向かうにつれて幅が狭くなる。

【0018】

該本体２は、液透過性のトップシート４と、液不透過性のボトムシート５と、該トップシート４と該ボトムシート５との間に内包される液保持性の吸収体３と、を備えている。

【0019】

該吸収体３は、着用者から排出された尿などの液体を素早く吸収し、内部に保持する。該吸収体３は、例えば、ロールシート状のパルプを解繊した吸水性繊維、及び、粉末状又は顆粒状の高吸水性ポリマー、などを含む原材料により作られる。これらの原材料が、吸引ドラムの周面に設置された成形型へ空気搬送され、該成形型内に吸引され堆積させて成形される。かかる成形物３ａを２枚の吸水紙３ｂ、３ｃで挟むことにより、該吸収体３が形成される。

【0020】

該トップシート４は、該本体２の着用者対向面を構成する。該トップシート４は、該吸収体３の着用者側の面を覆っており、両者は接着剤などで固定されている。該トップシート４は、液透過性を有し、着用者から排出された尿などの液体を透過させ、該吸収体３内へ移動させる。

【0021】

該トップシート４は、液透過性の不織布、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、レーヨン等の化学繊維、又は綿、セルロース等の天然繊維、又はこれらの組合せからなる不織布で作られる。該トップシート４は、上記の不織布に限られず、液透過性を有する適切な材料、例えば、有孔フィルム、ティッシュ、又はそれらを適宜つなぎ合わせたシートで作られてもよい。

【0022】

該ボトムシート５は、該吸収体３の下面を覆っており、両者は接着剤などで固定されている。該ボトムシート５は、液不透過性を有し、該トップシート４を透過した排泄物や、該吸収体３によって吸収又は保持されなかった排泄物が、外部へ漏れるのを防止する。

【0023】

該ボトムシート５は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の液不透過性のフィルムや、液不透過性の不織布で作られる。該ボトムシート５は、上記のフィルム又は不織布に限られず、不透液性を有する適切な材料、例えば、不透液性を有する伸縮材、防水性接着剤を塗布した材料、それらの積層体、又はそれらを適宜つなぎ合わせたシートで作られてもよい。

【0024】

該本体２は、該本体２の外装面を構成する外装シート６を更に備えている。該外装シート６は、該ボトムシート５の下に配置され、両者は接着剤などで固定される。図２及び図３に示すように、本実施例では、該ボトムシート５の下に、２枚の該外装シート６，６が重ねて配置されている。３つの該シートの間は夫々接着剤などで固定されている。

【0025】

該外装シート６は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、レーヨン等の化学繊維、又は綿、セルロース等の天然繊維、又はこれらの組合せからなる不織布などで作られる。該外装シート６は該ボトムシート５より不透液性が弱くてもよい。

【0026】

更に、該テープ式使い捨ておむつ１は、該本体２の該後部Ｂの左右側縁２Ｌ、２Ｒから外方へ突出した左右各２つのテープ７（７Ｌ１、７Ｌ２，７Ｒ１，７Ｒ２）を備えている。該各テープ７（７Ｌ１、７Ｌ２，７Ｒ１，７Ｒ２）の各突出端部には、該本体２の該前部Ｆ又は該前遷移部ＦＭにおける該外装面に着脱可能な各ファスニング部８（８Ｌ１、８Ｌ２，８Ｒ１，８Ｒ２）が設けられている。

【0027】

該各テープ７（７Ｌ１、７Ｌ２，７Ｒ１，７Ｒ２）は、該本体２の該後部Ｂの該左右側縁２Ｌ，２Ｒ付近に、接着剤や熱溶着などによって固定されている。該各テープ７は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、レーヨン等の化学繊維や、又は綿、セルロース等の天然繊維、又はこれらの組合せからなる不織布で作られる。

【0028】

該各テープ７は、前述した不織布に限られない。例えば、該各テープ７の一部又は全部が伸縮材で作られてもよい。該各テープ７の一部又は全部が伸縮材で作られる場合は、該テープ式使い捨ておむつ１の着用時に、該各テープ７の伸縮性によって、該各ファスニング部８を該本体２の該外装面に着脱する位置を適宜調整することができる。そのため、該テープ式使い捨ておむつ１の着用者へのフィット性及びサイズ対応性がさらに向上する。

【0029】

該本体２の外装面に着脱可能な該各ファスニング部８は、該本体２の該外装面の素材などに合わせて選択することができる。例えば、該本体２の該外装面を構成する素材が不織布などである場合は、該素材に着脱可能に掛止できるフック小片が集合した面ファスナーを使用できる。また、該各ファスニング部８は、粘着性を有する粘着テープを使用してもよい。

【0030】

該テープ式使い捨ておむつ１においては、該本体２の該前部Ｆ及び該前遷移部ＦＭにおける該外装シート６の表面上にターゲットテープ９が設けられている。該ターゲットテープ９が、該各ファスニング部８（８Ｌ１、８Ｌ２，８Ｒ１，８Ｒ２）を着脱可能とする外装面を構成する。

【0031】

図１に示すように、該本体２の該前部Ｆ及び該前遷移部ＦＭにおける外装面を構成する該ターゲットテープ９には、該各ファスニング部８を着脱させる位置を決めるのを補助する目印であるターゲット１０が印刷されている。

【0032】

更に、該テープ式使い捨ておむつ１は、該本体２の該左右側縁２Ｌ及び２Ｒの近くに配置された一群の糸状の伸縮材からなる左右の外側伸縮材１１Ｌ及び１１Ｒと、該左右の外側伸縮材１１Ｌ及び１１Ｒより左右中心線Ｃ１近くに配置された一群の糸状の伸縮材からなる左右の内側伸縮材１２Ｌ及び１２Ｒと、該本体２の該後部Ｂの後端縁２Ｂの近くに幅方向に配置された後端伸縮材１３と、を備えている。

【0033】

図３に示すように、該左右の外側伸縮材１１Ｌ，１１Ｒ、及び、該左右の内側伸縮材１２Ｌ，１２Ｒは、２枚の該外装シート６，６の間に接着剤や熱溶着などにより伸縮可能に接合されている。上記に限られず、例えば、該左右の外側伸縮材１１Ｌ及び１１Ｒ、又は、該左右の内側伸縮材１２Ｌ及び１２Ｒが、該外装シート６と該ボトムシート５との間に接合されてもよい。

【0034】

図１及び図２に示すように、該テープ式使い捨ておむつ１は、該本体２の該後部Ｂの該後端縁２Ｂ近くに基端を固定されると共に、自由端に沿って左右方向にフラップ用伸縮材１４を配置されたフラップ１５を更に備えている。該後端伸縮材１３は、該フラップ１５の該基端内に設けられ、左右方向に伸縮可能に接着剤などで接合されている。該フラップ用伸縮材１４は、該フラップ１５の該自由端内に、左右方向に伸縮可能に接着剤などで接合されている。該フラップ１５は、該基端側が該本体２の該後部Ｂに固定され、該自由端側が起立可能となっている。

【0035】

該左右の外側伸縮材１１Ｌ，１１Ｒ及び該左右の内側伸縮材１２Ｌ，１２Ｒは、該後遷移部ＢＭにおいて該左右側縁２Ｌ又は２Ｒに沿って斜めに配置され、該後部Ｍにおいて該左右側縁２Ｌ又は２Ｒと略平行に配置され、該後部Ｂの該後端縁２Ｂの近くでは該左右中心線Ｃ１の方へ斜めに配置されている。該後端伸縮材１３は、左右の該内側伸縮材１２Ｌ及び１２Ｒの間を繋ぐように配置されている。これにより、該本体２の該後遷移部ＢＭ及び該後部Ｂにおいて該外側伸縮材１１Ｌ，１１Ｒと該内側伸縮材１２Ｌ，１２Ｒと該後端伸縮材１３とが略円弧状に配置されている。そして、図４に示すように、該本体２の該後遷移部ＢＭ及び該後部Ｂは、装着時に、着用者の臀部に沿ってフィットすると共に臀部との間に排泄物収容空間を有する膨らみ構造１６を備える。

【0036】

該テープ式使い捨ておむつ１によれば、該本体２の該後遷移部ＢＭ及び該後部Ｂにおいて該外側伸縮材１１Ｌ，１１Ｒと該内側伸縮材１２Ｌ，１２Ｒと該後端伸縮材１３とが略円弧状に配置されていることにより、該本体２の該後遷移部ＢＭ及び該後部Ｂが着用者の臀部に沿ってフィットするので、該おむつと着用者との隙間を無くし、排泄物の漏れを防止できる。更に、該本体２の該後遷移部ＢＭ及び該後部Ｂが、装着時に臀部との間に排泄物収容空間を有する膨らみ構造１６を備えることによって、排泄物が大量に出たときでも保持できるので、排泄物の漏れをより確実に防止できる。このようにして、テープ式使い捨ておむつを、膨らみ構造を備えたパンツ型おむつのように装着することが可能となる。

【0037】

該テープ式使い捨ておむつ１が着用者の鼠径部、大腿部の付け根部分、及び殿溝に沿うように適切に装着されていない場合には、該おむつと着用者との間に隙間が生じてしまうので、該膨らみ構造１６の該排泄物収容空間に保持した排泄物が漏れてしまう問題が生じる。そのため、該おむつと着用者との間に隙間を発生させないように適切に該テープ式使い捨ておむつ１を装着することが重要となる。

【0038】

そこで、該テープ式使い捨ておむつ１は、該本体２の左右の該前遷移部ＦＭと該中間部Ｍと該後遷移部ＢＭにわたって該外装面に表示された、着用者の鼠径部、大腿部の付け根部分、及び殿溝に沿わせて当てる左右のガイドライン１７及び１８を更に備えている。該左右のガイドライン１７及び１８は夫々、着用者の鼠径部、大腿部の付け根部分、及び殿溝に沿わせて当てる部分である左右の上斜め部分１７ａ及び１８ａ、直線部分１７ｂ及び１８ｂ、並びに、下斜め部分１７ｃ及び１８ｃを有している。

【0039】

該ガイドライン１７及び１８を利用して該テープ式使い捨ておむつ１を着用者に装着する方法を説明する。先ず、該左右のガイドライン１７及び１８の該直線部分１７ｂ及び１８ｂを、着用者の大腿部と股部との境目である大腿部の付け根部分に沿わせて当てる。次に、該左右の下斜め部分１７ｃ及び１８ｃを、着用者の大腿部と臀部との境目である殿溝に沿わせて当てる。最後に、該左右の上斜め部分１７ａ及び１８ａを、着用者の鼠径部に沿わせて当てる。そのようにしてから、該本体２の該前部Ｆ又は該前遷移部ＦＭにおける該外装面に、該各テープ７（７Ｌ１、７Ｌ２，７Ｒ１，７Ｒ２）に設けられた各ファスニング部８（８Ｌ１、８Ｌ２，８Ｒ１，８Ｒ２）と貼り付けて、固定する。

【0040】

上記装着方法のように、該ガイドライン１７及び１８を先ず着用者の大腿部の付け根部分、次に殿溝、最後に鼠径部に沿って当てていきながら、該テープ式使い捨ておむつ１を装着することにより、該本体２の該後遷移部ＢＭ及び該後部Ｂが着用者の臀部に沿ってフィットすると共に臀部との間に排泄物収容空間を有する該膨らみ構造１６を備えることを、容易に且つ確実に実現できる。

【0041】

更に、該テープ式使い捨ておむつ１は、該本体２の該外装面に表示された、該左右のガイドライン１７及び１８における着用者の大腿部の付け根部分に沿わせて当てる部分である該直線部分１７ｂ及び１８ｂの中央位置を指し示す左右のセンターポイント１９Ｌ及び１９Ｒを備えている。

【0042】

前述した該ガイドライン１７及び１８を利用して該テープ式使い捨ておむつ１を着用者に装着する方法において、該直線部分１７ｂ及び１８ｂを、着用者の大腿部と股部との境目である大腿部の付け根部分に沿わせて当てるときに、該左右のセンターポイント１９Ｌ及び１９Ｒによって、該直線部分１７ｂ及び１８ｂを容易に且つ正しく認識することができる。

【0043】

図１及び図３に示すように、該テープ式使い捨ておむつ１の該本体２は、該中間部Ｍにおける該左右側縁２Ｌ及び２Ｒに沿った折り目線２０Ｌ１及び２０Ｒ１上で起立するための左右の起立性シート２０Ｌ及び２０Ｒを備えている。該左右の起立性シート２０Ｌ及び２０Ｒは、該折り目線２０Ｌ１と該左側縁２Ｌとの間、及び、該折り目線２０Ｒ１と該右側縁２Ｒとの間、並びに、該前端縁２Ｆに沿った部分、及び、該後端縁２Ｂに沿った部分で、該トップシート４上に接着剤などで固定されている。該左右の起立性シート２０Ｌ及び２０Ｒのうち固定されていない部分は、該トップシート４から該折り目線２０Ｌ１及び２０Ｒで立ち上がる起立部を形成する。

【0044】

一群の糸状の伸縮材から構成される左右の起立用伸縮材２１Ｌ及び２１Ｒが、該左右の起立性シート２０Ｌ及び２０Ｒの自由端２０Ｌ２及び２０Ｒ２に沿って該前後方向に設けられている。該左右の起立用伸縮材２１Ｌ及び２１Ｒは、該左右の起立性シート２０Ｌ及び２０Ｒを該自由端２０Ｌ２及び２０Ｒ２で折り返した２層部分の間で、該前後方向に伸縮可能に接合されている。

【0045】

該左右の起立用伸縮材２１Ｌ及び２１Ｒが該前後方向に収縮することによって、該左右の起立性シート２０Ｌ及び２０Ｒの該起立部は、ギャザーを形成されると共に該トップシート４から起き上がる。該テープ式使い捨ておむつ１の装着時、該左右の起立性シート２０Ｌ及び２０Ｒの起立部が着用者に密着して、排泄物が外部に漏れるのを防止する。

【0046】

該左右の起立性シート２０Ｌ及び２０Ｒは、例えば、不透液性又は撥水性を有する不織布で作られ、また該ボトムシート５又は該外装シート６と同じ原材料で作られてもよい。

【0047】

該外側伸縮材１１Ｌ及び１１Ｒ、該内側伸縮材１２Ｌ及び１２Ｒ、該後端部伸縮材１３、該フラップ用伸縮材１４，並びに、該起立用伸縮材２１Ｌ及び２１Ｒは、例えば、天然ゴム、ポリウレタン樹脂、オレフィン系エラストマーなどの伸縮可能な材料で作られる。

【0048】

図１に示すように、該吸収体３は、着用者の下腹部、股間部及び臀部に夫々対応する前部３Ｆ、中部３Ｍ及び後部３Ｂを有し、該前部３Ｆと該中部３Ｍとの間に、左右幅が狭まった左右の第１くびれ部３ｄ及び３ｅを有し、該中部３Ｍと該後部３Ｂとの間に、左右幅が狭まった左右の第２くびれ部３ｆ及び３ｇを有する。

【0049】

該吸収体３の該中部３Ｍは、該左の第１及び第２くびれ部３ｄと３ｆとの間、及び、該右の第１及び第２くびれ部３ｅと３ｇとの間に、外方へ大きく膨出する左右の膨出部３Ｌ及び３Ｒを有する。そのため、該テープ式使い捨ておむつ１は、該吸収体３の該左右の膨出部３Ｌ及び３Ｒを着用者の大腿部に沿って配置させることにより、該本体２の該中間部Ｍにおける吸収力を増大させて排泄物の左右からの漏れを防止できる。

【0050】

該吸収体３の該左右の膨出部３Ｌ及び３Ｒの両根元間の幅を着用者の股間部の幅に適切に対応させることにより、該テープ式使い捨ておむつ１は、着用者の股間部へのフィット性が高くなる。該吸収体３の該左右の膨出部３Ｌ及び３Ｒの両根元間の幅は、該左の第１及び第２くびれ部３ｄ及び３ｆの両最内部を結んだ線と、右の該くびれ部３ｅ及び３ｇの両最内部を結んだ線との間の距離である。該吸収体３の該左右の膨出部３Ｌ及び３Ｒの該両根元間の幅は、該テープ式使い捨ておむつ１のサイズに応じて適切に選択され、例えば、８０ｍｍから１２０ｍｍの間で適宜選択されてもよい。

【0051】

該左右の内側伸縮材７Ｌ及び７Ｒを構成する該一群の糸状の伸縮材は、該吸収体３の該左右の膨出部３Ｌ及び３Ｒに重なって、該前後方向に且つ並行して配置されている。そのため、該左右の膨出部３Ｌ及び３Ｒが、該左右の内側伸縮材７Ｌ及び７Ｒに支持されながら、該中部３Ｍにおける吸収力を増大させるので、排泄物の横漏れを防止できる。

【0052】

本発明のテープ式使い捨ておむつは、前述した実施例には限定されず、例えば、該実施例から理解される変形例、及び、本発明の本質を変更しない変形例を含む。

【0053】

例えば、本発明のテープ式使い捨ておむつは、該ターゲットテープ９が設けられたものに限られない。該ターゲットテープ９が無く、該各ファスニング部８が、該本体２の該前部Ｆ及び該前遷移部ＦＭにおける外装面を構成する該外装シート６に着脱されてもよい。

【0054】

該ターゲット１０は、該本体２の該前部Ｆ及び該前遷移部ＦＭにおける外装面を構成する該外装シート６に印刷されており、該ターゲットテープ９が無くてもよい。また、該外装シート６に印刷された該ターゲット１０の上に、透明なターゲットテープを設けてもよい。また、該ターゲット１０が無くてもよい。

【0055】

本発明のテープ式使い捨ておむつは、該外装シート６を備えず、該ボトムシート５が外装シートを兼用してもよい。この場合、該ボトムシート５は、不透液性を有すると共に、該ファスニング部８を係止できる不織布などからなることが好適である。該ボトムシート５の外装面には、該ファスニング部８を着脱する位置を決めるのを補助する該ターゲット１０が印刷されていてもよく、又は、該ターゲット１０を印刷された該ターゲットテープ９が固定されてもよい。

【0056】

該後端伸縮材１３は、該本体２の該後部Ｂの後端縁２Ｂの近くに幅方向に直接的に配置されており、該フラップ用伸縮材１４及び該フラップが無くてもよい。

【0057】

本発明のテープ式使い捨ておむつは、該左右のガイドライン１７及び１８を備えなくてもよい。しかし、該左右のガイドライン１７及び１８を備えた場合には、該本体２の該後遷移部ＢＭ及び該後部Ｂが着用者の臀部に沿ってフィットすると共に臀部との間に排泄物収容空間を有する該膨らみ構造１６を備えることを、容易に且つ確実に実現できる。

【0058】

本発明のテープ式使い捨ておむつは、該左右のセンターポイント１９Ｌ及び１９Ｒを備えなくてもよい。しかし、該センターポイント１９Ｌ及び１９Ｒを備えた場合には、該テープ式使い捨ておむつの着用方法において、該左右のガイドライン１７及び１８の該直線部分１７ｂ及び１８ｂを、着用者の大腿部と股部との境目である大腿部の付け根部分に沿わせて当てるときに、該左右のセンターポイント１９Ｌ及び１９Ｒによって、該直線部分１７ｂ及び１８ｂを容易に且つ正しく認識することができる。

【0059】

本発明のテープ式使い捨ておむつは、該左右の起立性シート２０Ｌ及び２０Ｒ並びに起立用伸縮材２１Ｌ及び２１Ｒを備えなくてもよい。これらを備えない使い捨ておむつが適切であるのは、例えば、尿量の少ない着用者に使用する場合、又は、構造を簡易にして安価に製造したい場合である。

【0060】

本発明のテープ式使い捨ておむつは、該吸収体３が、該左右各２つのくびれ部３ｄ、３ｅ，３ｆ，３ｇと、該くびれ部間にある該左右の膨出部３Ｌ，３Ｒとを備えなくてもよい。また、該左右の内側伸縮材１２Ｌ及び１２Ｒが、該左右の膨出部３Ｌ，３Ｒの基端付近に配置されていなくてもよい。

【産業上の利用可能性】

【0061】

本発明は、フィット性に優れたテープ式使い捨ておむつを提供することに利用することができる。

【符号の説明】

【0062】

１・・・テープ式使い捨ておむつ；
２・・・本体；
２Ｆ・・・本体の前端縁；
２Ｂ・・・本体の後端縁；
２Ｌ・・・本体の左側縁；
２Ｒ・・・本体の右端縁；
３・・・吸収体；
３ｄ及び３ｆ・・・左のくびれ部；
３ｅ及び３ｇ・・・右のくびれ部；
３Ｌ及び３Ｒ・・・左右の膨出部；
４・・・トップシート；
５・・・ボトムシート；
６・・・外装シート；
７（７Ｌ１，７Ｒ１，７Ｌ２，７Ｒ２）・・・テープ；
８（８Ｌ１，８Ｒ１，８Ｌ２，８Ｒ２）・・・ファスニング部；
９・・・ターゲットテープ；
１１Ｌ及び１１Ｒ・・・左右の外側伸縮材；
１２Ｌ及び１２Ｒ・・・左右の内側伸縮材；
１３・・・後端伸縮材；
１４・・・フラップ用伸縮材；
１５・・・フラップ；
１６・・・膨らみ構造；
１７及び１８・・・左右のガイドライン；
１９Ｌ及び１９Ｒ・・・左右のセンターポイント；
２０Ｌ及び２０Ｒ・・・左右の起立性シート；
２０Ｌ２及び２０Ｒ２・・・自由端；
２１Ｌ及び２１Ｒ・・・左右の起立用伸縮材；
Ｆ・・・本体の前部；
ＦＭ・・・本体の前遷移部；
Ｍ・・・本体の中間部；
ＢＭ・・・本体の後遷移部；及び、
Ｂ・・・本体の後部

【要約】      （修正有）

【課題】排出物の漏れが生じないように適切な位置に装着するのが容易なテープ式使い捨ておむつを提供する。
【解決手段】テープ式使い捨ておむつ１は、左右の外側伸縮材１１Ｌ及び１１Ｒ並びに左右の内側伸縮材１２Ｌ及び１２Ｒが、本体２の後遷移部ＢＭにおいて左右側縁２Ｌ及び２Ｒに沿って斜めに配置され、後部Ｂにおいて該左右側縁２Ｌ及び２Ｒと略平行に配置され、該後部Ｂの後端縁２Ｂの近くで左右中心線の方へ斜めに配置されると共に、後端伸縮材１３が、少なくとも左右の該内側伸縮材１２Ｌ及び１２Ｒの間を繋ぐように配置されることにより、該後遷移部ＢＭ及び該後部Ｂにおいて該外側伸縮材１１Ｌ及び１１Ｒと該内側伸縮材１２Ｌ及び１２Ｒと該後端伸縮材１３とが略円弧状に配置され、該本体２の該後遷移部ＢＭ及び該後部Ｂは、装着時に着用者の臀部に沿ってフィットすると共に臀部との間に排泄物収容空間を有する膨らみ構造１６を備える。
【選択図】図４

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】