(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】測定装置及び測定方法
(51)【国際特許分類】
G01R 29/08 20060101AFI20240705BHJP
G01R 19/15 20060101ALI20240705BHJP
G01R 19/155 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
G01R29/08 A
G01R19/15
G01R19/155
(21)【出願番号】P 2023507067
(86)(22)【出願日】2022-03-11
(86)【国際出願番号】 JP2022011037
(87)【国際公開番号】W WO2022196573
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-06-07
(31)【優先権主張番号】P 2021041374
(32)【優先日】2021-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】国本 浩
(72)【発明者】
【氏名】谷本 真一
(72)【発明者】
【氏名】松原 亮
(72)【発明者】
【氏名】藤野 新九郎
【審査官】青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-060815(JP,A)
【文献】特開2002-228698(JP,A)
【文献】特開2018-100904(JP,A)
【文献】特開2012-013456(JP,A)
【文献】特開平08-248080(JP,A)
【文献】特開2014-085176(JP,A)
【文献】国際公開第2006/075584(WO,A1)
【文献】実開平04-138281(JP,U)
【文献】特開平10-268009(JP,A)
【文献】中国実用新案第209764955(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 29/08
G01R 19/15
G01R 19/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電界および磁界を測定する測定装置であって、
コイルを含むアンテナと、
前記アンテナのコイルの一端と接続する第1回路と、
前記アンテナのコイルの他端から前記第1回路への接続の一部を開閉させるスイッチと、を備え、
前記測定装置は、
電界の測定および磁界の測定のいずれかを行うための選択信号に応じて前記スイッチがオンとなり、前記アンテナにより磁界の測定を行い、
前記選択信号に応じて前記スイッチがオフとなり、前記アンテナにより電界の測定を行う、
測定装置。
【請求項2】
前記アンテナが第1アンテナであって、
コイルを含む第2アンテナと、
前記第2アンテナのコイルの一端と接続する第2回路と、
前記第2アンテナのコイルの他端から前記第2回路への接続の一部を開閉する第2スイッチと、を更に備え、
前記第1アンテナの軸方向と前記第2アンテナの軸方向とは垂直に交わる、
請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記アンテナがフェライトアンテナにより構成される、
請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記測定装置は、
外部機器と通信を行う接続端子を備え、
前記接続端子から入力された前記選択信号に応じて前記スイッチを開閉させ、
前記電界および前記磁界のいずれかの測定結果を前記接続端子に出力する、
請求項3に記載の測定装置。
【請求項5】
前記選択信号は音声信号であり、
前記測定結果は音声信号である、
請求項4に記載の測定装置。
【請求項6】
前記接続端子は、音声出力端子と音声入力端子とを有する、
請求項5に記載の測定装置。
【請求項7】
前記接続端子が、USB(Universal Serial Bus)により通信を行う、
請求項5に記載の測定装置。
【請求項8】
前記測定装置は、
外部機器と無線により接続され、
前記外部機器から入力された前記選択信号に応じて前記スイッチを開閉させ、
前記電界および前記磁界のいずれかの測定結果を前記外部機器に出力する、
請求項3に記載の測定装置。
【請求項9】
前記第1回路の出力及び前記第2回路の出力のいずれか一方の周波数を変換し、
前記変換した一方の出力と、変換しない他方の出力と、を合成して前記接続端子に出力する、
請求項6に記載の測定装置。
【請求項10】
前記第1回路の出力及び前記第2回路の出力を時分割して前記接続端子に出力する、
請求項6に記載の測定装置。
【請求項11】
前記測定装置の内部回路は、
前記音声入力端子に、前記第1回路の出力と前記第2回路の出力とを出力し、
前記音声出力端子から前記選択信号が入力される時は、前記スイッチがオンとなり、
前記音声出力端子から前記選択信号が入力されない時は、前記スイッチがオフとなる、
請求項6に記載の測定装置。
【請求項12】
アンテナを用いて電界および磁界を測定する測定方法であって、
電界の測定および磁界の測定のいずれかを行うための選択信号に応じて、前記アンテナのコイルの両端と接続端子とを接続可能な第1回路のスイッチがオンとなり、前記アンテナにより磁界の測定を行い、
前記接続端子に入力された前記選択信号に応じて前記スイッチがオフとなり、前記アンテナにより電界の測定を行う、
測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定装置及び測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、無線電波の放射あるいは受信のためのアンテナにおいて、電界成分に感応する電界アンテナと、磁界成分に感応する磁界アンテナと、両者を分岐あるいは結合するための分岐・合成器から構成される耐定在波アンテナを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、アンテナの数が増大することを抑制しつつ、磁界及び電界を測定可能な測定装置及び測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、電界および磁界を測定する測定装置であって、コイルを含むアンテナと、前記アンテナのコイルの一端と接続する第1回路と、前記アンテナのコイルの他端から前記第1回路への接続の一部を開閉させるスイッチと、を備え、前記測定装置は、電界の測定および磁界の測定のいずれかを行うための選択信号に応じて前記スイッチがオンとなり、前記アンテナにより磁界の測定を行い、前記選択信号に応じて前記スイッチがオフとなり、前記アンテナにより電界の測定を行う、測定装置を提供する。
【0006】
また、本開示は、アンテナを用いて電界および磁界を測定する測定方法であって、電界の測定および磁界の測定のいずれかを行うための選択信号に応じて、前記アンテナのコイルの両端と接続端子とを接続可能な第1回路のスイッチがオンとなり、前記アンテナにより磁界の測定を行い、前記接続端子に入力された前記選択信号に応じて前記スイッチがオフとなり、前記アンテナにより電界の測定を行う、測定方法を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、アンテナの数が増大することを抑制しつつ、磁界及び電界を測定可能な測定システム及び測定方法を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の実施の形態1に係る測定システムのブロック図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施の形態2に係る測定システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示に至る経緯)
変電所等においては、巡視や保守に伴う作業や工事が行われる場合がある。このような作業を行う場合、作業員は、該当する機器の近傍にて作業を行うことになる。しかし、機器の保守点検あるいは工事を行う作業員(以下、ユーザと表記)は、作業中における周囲の機器の充電状態あるいは運転状態を認識することが難しかった。
【0010】
また、ユーザは、作業中であるか否かにかかわらず、安全性の観点から、送電線における高電圧の有無を確認することが好ましい。ユーザが送電線に直接接触することは危険であるため、非接触による検知が望まれる。
【0011】
非接触による検知を実現する手法の1つは、通電している送電線には電磁波が出ているため、この電磁波を測定するものである。すなわち、ユーザは、機器に接続した送電線から漏洩する漏洩電界の発生源の方向、漏洩電界の到来方向を知ることにより、通電の有無を確認することができる。
【0012】
ところで、使用される電圧の周波数は50Hz、60Hzといった周波数であり、その波長は数千kmにおよび、波として捉えるのは困難である。したがって、例えばユーザが地上から10m程度の高さにある送電線を検査しても、電圧起動に伴う発生する電界の波の位相の変化(位相差)を捉えることは困難である。
【0013】
一方、配電変電所から大規模建物に送電する際の電圧は、例えば6600V程度に変電された状態となっている。このレベルの電圧が送電線に印加されているため、電界の大きさを検出することが可能であるが指向性に乏しく、特定の送電線の通電の有無を検知することは難しい。しかしながら、通電した送電線から生ずる磁界は指向性が強いため、特定の送電線の通電の有無を検知することは可能である。よって、電界と磁界との双方を検知することにより、特定の送電線の通電の有無、電流の大きさを検知することが容易となる。
【0014】
従来の電界と磁界との双方を検知する装置は、特許文献1に記載されているように、電界及び磁界をそれぞれ検知するアンテナを備える。よって、装置が備えるアンテナの数は、必然的に2、4、6・・・と偶数単位で増えてしまい、装置のサイズ及び重量の増大、構成が複雑化することがある。
【0015】
そこで、以下に示す各実施の形態においては、少ない数のアンテナにより電界と磁界を検視可能とする測定システム及び測定方法の例を説明する。
【0016】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る測定装置及び測定方法の構成および動作を具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0017】
(実施の形態1)
以下、図面を用いて、本開示に係る測定システム及び測定方法を説明する。
図1は、本開示の実施の形態1に係る測定システムのブロック図である。測定システム100は、電界及び磁界の双方を測定可能であり、例えば測定の対象物である送電線の通電の有無を検査するための装置である。
【0018】
測定システム100は、基本構成として
図1の上半分に示された、アンテナ10aと、電界の測定および磁界の測定のいずれかの測定を行うための選択信号を入力する接続端子30と、アンテナ10aのコイルの両端と接続端子30とを接続可能な第1回路1aと、第1回路1aの一部を開閉させるスイッチ14aと、を備えている。測定システム100は、PC(パーソナルコンピュータ)23に接続される。PC23は、PC23を操作するユーザ操作を受け付けて、上述した選択信号を測定システム100に出力可能である。測定システム100を操作する操作機器は、PC23に限らず、スマートフォン、タブレット、測定システム100の専用機器等であってよく、特に限定されない。尚、
図1の下半分に示したその他の構成要素については後述する。
【0019】
アンテナ10aは、電界および磁界を検出する。アンテナ10aは、例えばコイルを芯に巻きつけて形成される。芯がフェライトにより構成される場合は、フェライトアンテナにより構成される。フェライトアンテナは、フェライト等の透磁率の高い棒状の芯に、表面を絶縁被覆した電線コイルを巻き付けることにより形成される。フェライトアンテナは、コイルの両端が閉じている場合は、周囲の磁界変化に応じてアンテナの内部を磁力線が通過し、電磁誘導によりコイルに起電力を発生させることで、磁界を測定することができる(ループアンテナの動作)。一方、フェライトアンテナは、コイルの一端が開放されている場合、周囲の電界に応じてコイルに電圧が誘導されることで、電界を測定することができる(モノポールアンテナの動作)。
【0020】
接続端子30には、例えばアンテナ10aにより電界の測定および磁界の測定のいずれかを行うための選択信号が入力される。すなわち接続端子30は、外部から入力された選択信号を受け付ける。ユーザは、PC23を操作して、電界および磁界のうちどちらの測定を行うかを選択する。PC23は、このユーザによる選択操作に対応する選択信号を生成し、接続端子30を介して測定システム100に入力する。なお、接続端子30は、選択信号を受け付けるのみならず、後述するように所定の信号をPC23に出力する機能を有し、信号入出力部として機能する。
【0021】
言い換えると、PC23から出力された選択信号は、測定システム100のLchチップ31及びRchリング32を経由して、測定システム100の第1回路1a、第2回路1bに入力される。また、アンテナ10aによる測定結果はスリープ34を経由して、PC23に入力される。
【0022】
接続端子30は、例えば、少なくとも音声出力端子とマイク入力端子(音声入力端子)を有する接続端子により構成することができる。本実施形態においては、接続端子30は、4つの極を含む4極CTIA(Cellular Telephone Industry Association)端子により構成され、選択信号として音声信号を出力する音声出力端子であるLchチップ31及びRchリング32と、絶縁リング(GND)33と、マイク入力端子であるスリープ(MIC)34を含む。電界の測定および磁界の測定を選択する選択信号は、Lchチップ31及びRchリング32から出力される。ただし後述の通り、Lchチップ31及びRchリング32から何も音声信号を出力しない場合も、出力がゼロである選択信号の出力に含まれる。アンテナ10aによる測定結果は、スリープ34に入力される。
【0023】
第1回路1aは、アンテナ10aのコイルの両端と接続端子30とを接続可能である。第1回路1aは、コンデンサ12aと、ダイオード13aと、アンプ20aとを含む。ダイオード13aとコンデンサ12aは、接続端子30のLchチップ31に接続され、Lchチップ31からの音声信号を直流(DC)変換する。
【0024】
スイッチ14aは、第1回路1aの一部であるとともに、第1回路1aを開閉させる機能を有する。スイッチ14aは、例えばNPN型トランジスタにより構成され、ダイオード13aとコンデンサ12aとの出力側がトランジスタのベースに接続される。スイッチ14aを構成するトランジスタの入力側、本例ではトランジスタのコレクタは、アンテナ10aのコイルに接続される。トランジスタの出力側(本例ではトランジスタのエミッタ)は、アンプ20aに接続されている。この構成により後述する通り、測定システム100は、接続端子30に入力された選択信号に応じて、スイッチ14aがオンまたはオフに切り替わり、第1回路1aを閉じたり開いたりする。この結果、測定システム100は、アンテナ10aによる磁界の測定又は電界の測定の切り替えが可能となる。ただし、スイッチ14aの具体的な構成は、NPN型トランジスタに限定されず、PNP型トランジスタやMOSFETなどのスイッチング機能を有する半導体素子、装置等により代替可能である。
【0025】
アンプ20aは、スイッチ14aを構成するトランジスタのエミッタに接続され、スイッチ14aの出力を増幅する。アンプ20aの出力は、アンテナ10aによる磁界の測定結果又は電界の測定結果であり、接続端子30のマイク入力端子であるスリープ34に入力される。
【0026】
言い換えると、アンテナ10aによる磁界の測定結果又は電界の測定結果はスリープ34を経由して、PC23に入力される。
【0027】
次に上述した基本構成を有する測定システム100の動作(1)~(3)を説明する。(1)ユーザは、PC23のキーボード、マウス等を操作して測定システム100の操作画面を開き、磁界の測定操作を選択する。PC23は、ユーザによる選択操作に対応して、PC23内の処理装置であるプロセッサが、磁界の測定を選択する選択信号である音声信号(例えば10kHz、1V)を測定システム100のLchチップ31に出力する。Lchチップ31に入力された音声信号は、第1回路1aに入力され、第1回路1aのダイオード13aとコンデンサ12aがこの音声信号を直流信号に変換し、スイッチ14aがオンになる。第1回路1aは、このときスイッチ14aのコレクタとエミッタとが導通して、アンプ20aのマイナス端子にアンテナ10aの片方が接続され、アンテナ10aのコイルの両端が閉じることになる。これにより、測定システム100は、周囲の磁界変化に応じてアンテナ10aの内部を磁力線が通過し、電磁誘導によりコイルに起電力を発生させるため、磁界を測定することができる。
【0028】
(2)次に、ユーザは、PC23のキーボード、マウス等を操作して測定システム100の操作画面を開き、電界の測定操作を選択する。ユーザによる選択操作に対応して、PC23内のプロセッサは、磁界の測定を選択する選択信号である音声信号を出力しない。言い換えると、PC23内のプロセッサは、測定システム100のLchチップ31に出力ゼロの選択信号を出力する。このときスイッチ14aはオフとなり、アンテナ10aの片方は開放状態になる。これにより、測定システム100は、アンテナ10aのコイルの一端が開放されている場合、周囲の電界に応じてコイルに電圧が誘導されるため、電界を測定することができる。
【0029】
(3)アンテナ10aで得られた信号を増幅するアンプ20aの出力は、接続端子30のマイク入力端子(音声入力端子)であるスリープ34に入力される。言い換えると、アンプ20aの出力はスリープ34を経由して、PC23に入力される。ここで入力される入力データは、測定結果のデータである。PC23は、この入力データを、例えばWAV(Waveform Audio File Format)等のデータ形式で取り扱う。PC23は、当該データに基づいて、測定結果を含む画面(不図示)を生成して表示し、又は、当該測定結果のデータを保存する等の処理を行う。PC23は、ユーザによる手動操作により(1)、(2)の操作を切り替えるか、あるいは所定の時間間隔で(1)、(2)の操作を自動で切り替えることにより、電界と磁界との双方を検出し、記録することができる。これにより、ユーザは、例えば測定の対象物である送電線の通電の有無を検査することができる。
【0030】
従来の装置においては、電界と磁界との双方を検出するために少なくとも2つのアンテナが必要であったが、本実施形態によれば、1つのアンテナにより電界と磁界との双方を検出することができる。これにより、測定システム100は、アンテナの数を減らして、具体的にはアンテナの数を半分にしてアンテナの数が増大することを抑制できる。また、測定システム100は、装置の小型化及び軽量化を図るとともに、構成を簡易にすることができ、コストを下げることに貢献することができる。また、電界検出用のアンテナと磁界検出用のアンテナとを個別に設けた場合、両者の干渉が問題となり得るが、測定システム100は、この様な問題も解消することができる。
【0031】
上述の説明は、
図1の上半分に示したアンテナ10aと、接続端子30と、第1回路1aと、スイッチ14aを備えた測定システム100の構成及び動作に関する。更に測定システム100は、
図1の下半分に示したアンテナ10bと、第2回路1bと、スイッチ14bをも備えることができる。
【0032】
アンテナ10bは、アンテナ10aと同等の構成を備える。アンテナ10aは、第1アンテナとみなすことができる。また、アンテナ10bを第2アンテナとみなすことができる。ただし、アンテナ10bは、アンテナ10aを例えば90度回転させた方向を向くように配置されている。すなわち、アンテナ10aとアンテナ10bとの芯の軸方向は互いに90度交差する関係となっている。第2回路1bは、第1回路1aと同等の構成を備えており、コンデンサ12bと、ダイオード13bと、アンプ20bとを含む。スイッチ14bは、スイッチ14aと同等の構成を有する。
【0033】
本構成においては構成要素が増えるが、物理的に2つの異なる方向を向いた第1アンテナ(アンテナ10a)、第2アンテナ(アンテナ10b)を用いることができる。すなわち2つのアンテナが、電磁波が到来する方向に対して異なる姿勢(方向)で電磁波を受信することができる。よって、測定システム100は、2つのアンテナそれぞれで異なる方向から到来する電磁波を捉えることができ、測定の精度をより向上させることができる。
【0034】
一方、この構成において接続端子30のLchチップ31は、アンプ20aの出力に対応する入力のみならず、アンプ20bの出力に対応する入力も入力される。測定システム100は、アンテナ10a、アンテナ10bそれぞれにより得られた測定結果をより正確にとらえるために、これら2つの入力(測定結果)のそれぞれを区別する必要がある。
【0035】
言い換えると、アンプ20aの出力とアンプ20bの出力との両方の出力は、接続端子30のLchチップ31を経由して、PC23に入力される。そのため、PC23は入力された測定結果が、アンテナ10aとアンテナ10bのどちらの測定結果かを区別する必要がある。
【0036】
そこで本実施形態における測定システム100は、第1回路1aの出力及び第2回路1bの出力をそれぞれ分離するために、周波数変換回路24を備える。周波数変換回路24は、接続端子30のLchチップ31に第2回路1bの出力であるアンプ20bの出力出力可能な分離回路である。周波数変換回路24は、アンプ20bと接続端子30のLchチップ31との間に接続される。周波数変換回路24は、第2回路1bの出力であるアンプ20bの出力を周波数変換することにより、第1回路1aの出力であるアンプ20aの出力と区別可能にする。すなわち、周波数変換回路24は、両出力を分離して接続端子30のLchチップ31に出力する。なお、周波数変換回路24は、アンプ20aと接続端子30のLchチップ31との間に接続され、第1回路1aの出力であるアンプ20aの出力を周波数変換してもよい。
【0037】
次に、上述した
図1全体の構成を有する測定システム100の動作を説明する。測定システム100の動作は、上述した(1)~(3)に加えて次の(4)~(6)を含む。(4)基本構成の(1)の処理が行われると同時に、PC23内のプロセッサは、磁界の測定を選択する選択信号である音声信号(例えば10kHz、1V)を測定システム100のRchリング32に出力する。Rchリング32に入力された音声信号は、第2回路1bに入力され、第2回路1bのダイオード13bとコンデンサ12bとによって直流信号に変換される。直流信号は、スイッチ14bをオンにする。このとき、第2回路1bは、スイッチ14bのコレクタとエミッタとが導通し、アンプ20bのマイナス端子にアンテナ10bの片方が接続され、アンテナ10bのコイルの両端が閉じることになる。これにより、測定システム100は、周囲の磁界変化に応じてアンテナ10bの内部を磁力線が通過し、電磁誘導によりコイルに起電力を発生させるため、磁界を測定することができる。
【0038】
(5)基本構成の(2)の処理が行われると同時に、PC23内のプロセッサは、磁界の測定を選択する選択信号である音声信号を出力しない。言い換えると、PC23内のプロセッサは、第2回路1bに出力ゼロの選択信号を出力する。このときスイッチ14bは、オフとなり、アンテナ10bの片方は開放状態をとる。測定システム100は、アンテナ10bのコイルの一端が開放されている場合、周囲の電界に応じてコイルに電圧が誘導されるため、電界を測定することができる。
【0039】
(6)基本構成の(3)の処理が行われると同時に、アンテナ10bで得られた信号を増幅するアンプ20bの出力は、周波数変換回路24に入力され、周波数変換が行われる。周波数変換された出力は、アンプ20aの出力に重畳され、接続端子30のマイク入力端子(音声入力端子)であるスリープ34に入力される。言い換えると、アンプ20bの出力を周波数変換回路24により周波数変換した出力と、アンプ20aの出力と、を合成した信号は、スリープ34を経由して、PC23に入力される。この入力は、測定結果のデータである。PC23は、この入力の入力データを、例えばWAV(Waveform Audio File Format)等のデータの型式で取り扱う。PC23は、当該データに基づいてユーザに対する測定結果として表示し、又は、当該データを保存する等の処理を行う。測定システム100は、ユーザによる手動操作により(1)及び(4)と、(2)及び(5)の操作を切り替えたり、所定の時間間隔で(1)及び(4)と、(2)及び(5)の操作を自動で切り替えたりすることにより、電界と磁界の双方を検出し、記録することができる。これによりユーザは、例えば測定の対象物である送電線の通電の有無を検査することができる。
【0040】
以上により、従来の装置においては、電界と磁界の双方を2つの異なる方向から検出するためには少なくとも2×2=4つのアンテナが必要であった。本実施形態によれば、測定システム100は、2つのアンテナにより電界と磁界との双方を検出することができる。これにより、測定システム100は、アンテナの数を減らして、具体的にはアンテナの数を半分にしてアンテナの数が増大することを抑制できる。また、測定システム100は、装置の小型化及び軽量化を図るとともに、構成を簡易にすることができ、コストを下げることに貢献することができる。また、測定システム100は、電界検出用のアンテナと磁界検出用のアンテナを個別に設けた場合、両者の干渉が問題となり得るが、この様な問題も解消することができる。
【0041】
尚、測定システム100は、アンテナ10aを90度物理的に回転させる機構を設け、回転角度に応じてLchチップ31とRchリング32との出力を切替えることにより、1つのアンテナ10aのみで、上述した(1)~(6)の処理を行うことが可能となる。
【0042】
言い換えると、PC23は、測定システム100のアンテナ10aの回転角度に応じて、選択信号を切り替える。PC23が出力した選択信号は、測定システム100のLchチップ31とRchリング32とを経由して測定システム100の第1回路1a、第2回路1bに入力される。
【0043】
(実施の形態2)
図2は、本開示の実施の形態2に係る測定システムのブロック図である。実施の形態2の測定システム100は、実施の形態1の周波数変換回路24の代わりに時分割回路25を備える。時分割回路25は、周波数変換回路24と同様に第1回路1aの出力及び第2回路1bの出力を分離し、接続端子30のLchチップ31に出力可能な分離回路である。時分割回路25は、アンプ20a及びアンプ20bと接続端子30のLchチップ31との間に接続され、第1回路1aの出力であるアンプ20aの出力と、第2回路1bの出力であるアンプ20bの出力とを時分割して振り分けて両者を区別、すなわち両出力を分離して接続端子30のLchチップ31に出力する。
【0044】
また、第1回路1aのコンデンサ12a、ダイオード13aは、スイッチ14aのみならず、スイッチ14bのベースにも接続され、第2回路1bのコンデンサ12b、ダイオード13bは、スイッチ14bではなく、時分割回路25に接続されている。
【0045】
次に本実施形態の測定システム100の動作(7)~(10)を説明する。
(7)ユーザは、PC23のキーボード、マウス等を操作して測定システム100の操作画面を開き、磁界の測定操作を選択する。ユーザによる選択操作に対応して、PC23内のプロセッサは、磁界の測定を選択する選択信号である音声信号(例えば10kHz、1V)を測定システム100のLchチップ31に出力する。Lchチップ31に入力された音声信号は、第1回路1aに入力され、第1回路1aのダイオード13aとコンデンサ12aがこの音声信号を直流信号に変換し、スイッチ14a及びスイッチ14bがオンになる。このとき測定システム100は、スイッチ14a、スイッチ14bのコレクタとエミッタとが導通してアンプ20a、アンプ20bのマイナス端子にアンテナ10a、アンテナ10bの片方が接続され、アンテナ10a、アンテナ10bのコイルの両端が閉じることになる。これにより、測定システム100は、周囲の磁界変化に応じてアンテナ10a、アンテナ10bの内部を磁力線が通過し、電磁誘導によりコイルに起電力を発生させるため、磁界を測定することができる。
【0046】
(8)次に、ユーザは、PC23のキーボード、マウス等を操作して測定システム100の操作画面を開き、電界の測定操作を選択する。ユーザによる選択操作に対応して、PC23内のプロセッサは、磁界の測定を選択する選択信号である音声信号を出力しない。言い換えると、PC23内のプロセッサは、測定システム100のLchチップ31に出力ゼロの選択信号を出力する。このとき測定システム100は、スイッチ14a、スイッチ14bはオフとなり、アンテナ10a、アンテナ10bの片方は開放状態をとる。測定システム100は、アンテナ10a、アンテナ10bのコイルの一端が開放されている場合、周囲の電界に応じてコイルに電圧が誘導されるため、電界を測定することができる。
【0047】
(9)一方、PC23内のプロセッサは、(7)、(8)の処理の過程において、アンプ20aおよびアンプ20bのいずれかの出力を切替えて、接続端子30のスリープ34に入力する切替の機能を有する。すなわち、PC23内のプロセッサは、音声信号(例えば10kHz、1V)を、接続端子30のRchリング32、第2回路1bのコンデンサ12b、ダイオード13bを介して、時分割回路25に出力可能である。音声信号の出力時(いわゆるHi出力)、時分割回路25は、第1回路1aのアンプ20aの出力が有効な時間を設定し、アンプ20aのみがスリープ34に増幅した測定結果を出力する。一方、PC23内のプロセッサは、音声信号を出力しない時(いわゆるLow出力)、時分割回路25は第2回路1bのアンプ20bの出力が有効な時間を設定し、アンプ20bのみが、スリープ34に増幅した測定結果を出力する。
【0048】
(10)アンテナ10a、アンテナ10bで得られた信号を増幅するアンプ20a、アンプ20bの出力は、接続端子30のマイク入力端子であるスリープ34に入力される。スリープ34は、Lchチップ31の音声信号のオン(Hi)またはオフ(Low)時であり、かつ、Rchリング32の音声信号のオン(Hi)またはオフ(Low)時の、合計4パターンのデータをPC23に入力する。PC23は、この入力データを、例えばWAV(Waveform Audio File Format)等のデータの型式で取り扱う。PC23は、当該データに基づいてユーザに対する測定結果として表示し、又は、当該データを保存する等の処理を行う。測定システム100は、ユーザによる手動操作により(7)、(8)の操作を切り替えたり、PC23が所定の時間間隔で(7)、(8)の操作を自動で切り替えたりすることにより、電界と磁界との双方を検出し、記録することができる。これによりユーザは、例えば測定の対象物である送電線の通電の有無を検査することができる。
【0049】
本実施形態でも、測定システム100は、アンテナの数を減らして、具体的にはアンテナの数を半分にしてアンテナの数が増大することを抑制し、装置の小型化及び軽量化を図るとともに、構成を簡易にすることができ、コストを下げることに貢献することができる。また、測定システム100は、電界検出用のアンテナと磁界検出用のアンテナを個別に設けた場合、両者の干渉が問題となり得るが、この様な問題も解消することができる。
【0050】
また、実施の形態1、2に係る測定システム100は、接続端子30が4極CTIA端子の如き音声出力端子とマイク入力端子を有する接続端子により構成されている。しかしながら、接続端子30は、いわゆるアナログ/デジタル変換が可能なオーディオインターフェースにより構成することも可能である。オーディオインターフェースの一例としてはPC23とUSB(Universal Serial Bus)インターフェースとを介して接続可能な機器などが挙げられる。オーディオインターフェースは、例えば
図1において、接続端子30の位置に配置される。PC23は、オーディオインターフェースを介して、オーディオ出力1を第1回路1aに、オーディオ出力2を第2回路1bにそれぞれ出力する。また、アンプ20aの出力は、オーディオ入力1、アンプ20bの出力がオーディオ入力2として、それぞれオーディオインターフェースに入力される。このような構成の測定システム100の動作(11)~(15)を説明する。
【0051】
(11)ユーザは、PC23のキーボード、マウス等を操作して測定システム100の操作画面を開き、磁界の測定操作を選択する。ユーザによる選択操作に対応して、PC23内のプロセッサは、音声信号(例えば10kHz、1V)であるオーディオ出力1を測定システム100のオーディオインターフェースに出力する。オーディオインターフェースに入力されたオーディオ出力1は、第1回路1aに入力され、第1回路1aのダイオード13aとコンデンサ12aがこのオーディオ出力1を直流信号に変換し、スイッチ14aがオンになる。このとき、測定システム100は、スイッチ14aのコレクタとエミッタとが導通してアンプ20aのマイナス端子にアンテナ10aの片方が接続され、アンテナ10aのコイルの両端が閉じることになる。これにより、測定システム100は、周囲の磁界変化に応じてアンテナ10aの内部を磁力線が通過し、電磁誘導によりコイルに起電力を発生させるため、磁界を測定することができる。
【0052】
(12)(11)の処理が行われると同時に、PC23内のプロセッサは、音声信号であるオーディオ出力2を測定システム100のオーディオインターフェースに出力する。オーディオインターフェースに入力されたオーディオ出力2は、第2回路1bに入力され、第2回路1bのダイオード13bとコンデンサ12bがこのオーディオ出力2を直流信号に変換し、スイッチ14bがオンになる。このとき、測定システム100は、スイッチ14bのコレクタとエミッタとが導通してアンプ20bのマイナス端子にアンテナ10bの片方が接続され、アンテナ10bのコイルの両端が閉じることになる。これにより、測定システム100は、周囲の磁界変化に応じてアンテナ10bの内部を磁力線が通過し、電磁誘導によりコイルに起電力を発生させるため、磁界を測定することができる。
【0053】
(13)次にユーザは、PC23のキーボード、マウス等を操作して測定システム100の操作画面を開き、電界の測定操作を選択する。ユーザによる選択操作に対応して、PC23内のプロセッサは、選択信号である音声信号を出力しない。言い換えると、PC23内のプロセッサは、オーディオインターフェース、第1回路1aに出力ゼロの選択信号を出力する。このときスイッチ14aはオフとなり、アンテナ10aの片方は開放状態をとる。測定システム100はアンテナ10aのコイルの一端が開放されている場合、周囲の電界に応じてコイルに電圧が誘導されるため、電界を測定することができる。
【0054】
(14)(13)の処理が行われると同時に、PC23内のプロセッサは、オーディオインターフェース、第2回路1bに出力ゼロの選択信号を出力する。このときスイッチ14bはオフとなり、アンテナ10bの片方は開放状態をとる。測定システム100は、アンテナ10bのコイルの一端が開放されている場合、周囲の電界に応じてコイルに電圧が誘導されるため、電界を測定することができる。
【0055】
(15)第1回路1aは、アンテナ10aで得られた信号をアンプ20aが増幅し、オーディオ入力1としてオーディオインターフェースに入力する。また、第2回路1bは、アンテナ10bで得られた信号をアンプ20bが増幅し、オーディオ入力2としてオーディオインターフェースに入力する。PC23は、この入力データを処理し、測定結果を記録する。測定システム100は、ユーザによる手動操作により(11)~(14)の操作を切り替えたり、PC23が所定の時間間隔で(11)~(14)の操作を自動で切り替えたりすることにより、電界と磁界との双方を検出し、記録することができる。これによりユーザは、例えば測定の対象物である送電線の通電の有無を検査することができる。
【0056】
この形態によっても、測定システム100は、アンテナの数を減らして、具体的にはアンテナの数を半分にしてアンテナの数が増大することを抑制できる。また、測定システム100は、装置の小型化及び軽量化を図るとともに、構成を簡易にすることができ、コストを下げることもできる。また、測定システム100は、電界検出用のアンテナと磁界検出用のアンテナを個別に設けた場合、両者の干渉が問題となり得るが、この様な問題も解消することができる。
【0057】
測定システム100は、例えば1つの筐体により構成され、この筐体とPC23の様な操作機器とが接続ケーブルによって接続される。また、測定システム100は、接続端子30の代わりに無線通信機能を有する回路、モジュール等を搭載して、無線通信機能を有する操作機器と無線通信とによって接続してもよい。すなわち、測定システム100は、操作機器から無線通信で送信された選択信号を受信する。また、操作機器は、測定システム100から無線通信で送信された測定結果を受信する。ここで、無線通信は、無線LAN、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等を用いることができる。また、測定システム100と操作機器とは、一体の装置により構成されてもよい。
【0058】
以上のように、電界および磁界を測定する測定システムが、アンテナと、電界の測定および磁界の測定のいずれかを行うための選択信号を入力する接続端子と、アンテナのコイルの両端と接続端子とを接続可能な第1回路と、第1回路の一部を開閉させるスイッチと、を備える。接続端子に入力された選択信号に応じてスイッチがオンとなり、アンテナにより磁界の測定を行うとともに測定結果を接続端子に出力する。接続端子に入力された選択信号に応じてスイッチがオフとなり、アンテナにより電界の測定を行うとともに測定結果を接続端子に出力する。これにより、アンテナの数が増大することを抑制しつつ、磁界及び電界を測定可能な測定システムを提供することができる。
【0059】
接続端子が、少なくとも音声出力端子とマイク入力端子を有する。これにより、接続端子を簡易な構成とすることができる。また、例えばスマートフォンやタブレット等の小型の操作機器を用いて電界および磁界の測定を行うことができる。
【0060】
測定システムのアンテナが第1アンテナであって、第2アンテナと、第2アンテナのコイルの両端と接続端子とを接続可能な第2回路と、第1回路の出力及び第2回路の出力を分離し、接続端子に出力可能な分離回路とを更に備える。これにより、2つのアンテナが、電磁波が到来する方向に対し異なる姿勢をもって電磁波を迎えることができるため、2つのアンテナそれぞれが異なる方向から電磁波を捉えることができ、測定の精度をより向上させることができる。
【0061】
分離回路が、第1回路の出力及び第2回路の出力のいずれかの周波数を変換する周波数変換回路である。または、分離回路が、第1回路の出力及び第2回路の出力を時分割して接続端子に出力する時分割回路である。これにより、単一の接続端子に2つの出力を入力しても、周波数分割または時分割により、出力を分離して測定を行うことができる。
【0062】
音声出力端子から選択信号として音声信号を出力する時はスイッチがオンとなる。音声出力端子から選択信号として音声信号を出力しない時はスイッチがオフとなる。そして、マイク入力端子に第1回路の出力及び第2回路の出力が入力される。これにより、音声出力端子から出力される音声信号を用いてスイッチの切替えを行うことができる。
【0063】
接続端子が、オーディオインターフェースにより構成される。これにより、オーディオインターフェースを介して電界および磁界の測定を行うことができる。
【0064】
アンテナが第1アンテナであって、コイルを芯に巻きつけて形成された第2アンテナと、第2アンテナのコイルの両端と接続端子とを接続可能な第2回路とを更に備える。これにより、オーディオインターフェースを用いつつ、2つのアンテナが、電磁波が到来する方向に対し異なる姿勢をもって電磁波を迎えることができるため、2つのアンテナそれぞれが異なる方向から電磁波を捉えることができ、測定の精度をより向上させることができる。
【0065】
オーディオインターフェースから選択信号として音声信号を出力する時はスイッチがオンとなる。オーディオインターフェースから選択信号として音声信号を出力しない時はスイッチがオフとなる。そして、オーディオインターフェースに第1回路の出力及び第2回路の出力が入力される。これにより、オーディオインターフェースから出力される音声信号を用いてスイッチの切替えを行うことができる。
【0066】
アンテナがフェライトアンテナにより構成される。これにより、アンテナの芯が透磁率の高いものとなり、測定の品質を高いものとすることができる。
【0067】
アンテナを用いて電界および磁界を測定する測定方法において、接続端子に入力された、電界の測定および磁界の測定のいずれかを行うための選択信号に応じて、アンテナのコイルの両端と接続端子とを接続可能な第1回路のスイッチがオンとなり、アンテナにより磁界の測定を行うとともに測定結果を接続端子に出力する。さらに、接続端子に入力された選択信号に応じてスイッチがオフとなり、アンテナにより電界の測定を行うとともに測定結果を接続端子に出力する。これにより、アンテナの数が増大することを抑制しつつ、磁界及び電界を測定可能な測定方法を提供することができる。
【0068】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0069】
なお、本出願は、2021年3月15日出願の日本特許出願(特願2021-041374)に基づくものであり、その内容は本出願の中に参照として援用される。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本開示は、電界および磁界を測定する測定装置及び測定方法として有用である。
【符号の説明】
【0071】
1a 第1回路
1b 第2回路
10a、10b アンテナ
12a、12b コンデンサ
13a、13b ダイオード
14a、14b スイッチ
20a、20b アンプ
23 PC
24 周波数変換回路
25 時分割回路
30 接続端子
31 Lchチップ
32 Rchリング
33 絶縁リング(GND)
34 スリープ(MIC)
100 測定システム