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特許7515115初期設定方法、コントローラ、および、全館空調システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】初期設定方法、コントローラ、および、全館空調システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/49 20180101AFI20240705BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20240705BHJP
   F24F 110/20 20180101ALN20240705BHJP
   F24F 110/64 20180101ALN20240705BHJP
   F24F 110/65 20180101ALN20240705BHJP
【FI】
F24F11/49
F24F110:10
F24F110:20
F24F110:64
F24F110:65
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021011764
(22)【出願日】2021-01-28
(65)【公開番号】P2022115248
(43)【公開日】2022-08-09
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】和中 剛
(72)【発明者】
【氏名】中北 賢二
(72)【発明者】
【氏名】古門 健
(72)【発明者】
【氏名】小原 大治
(72)【発明者】
【氏名】日比谷 新平
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/092671(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/170365(WO,A1)
【文献】特開2009-186062(JP,A)
【文献】特開2001-56146(JP,A)
【文献】特開2014-214915(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調装置によって状態が調整された空気を複数の対象空間のそれぞれへ送り込むことにより、前記複数の対象空間の状態を調整する全館空調システムにおける初期設定方法であって、
前記全館空調システムは、
前記複数の対象空間に対応する複数の空調ダンパであって、各々が対応する対象空間へ送り込まれる前記空気の量を調整する複数の空調ダンパと、
前記複数の対象空間に対応する複数の環境センサであって、各々が対応する対象空間における環境を計測する複数の環境センサと、
前記複数の空調ダンパを制御するコントローラとを備え、
前記初期設定方法は、
携帯端末が、前記複数の環境センサと前記複数の空調ダンパの対応関係を示す設定情報を公衆回線を通じてサーバから受信する受信ステップと、
前記コントローラが、前記携帯端末から前記設定情報を取得する取得ステップと、
前記コントローラが、取得した前記設定情報に基づいて、前記複数の環境センサと前記複数の空調ダンパの紐づけの設定を行う紐づけステップとを含む、
初期設定方法。
【請求項2】
前記初期設定方法は、さらに、前記コントローラが、前記複数の空調ダンパのうちの1つの空調ダンパを制御しているときに、当該空調ダンパに紐づけられた前記環境センサの計測値が、変化するか否かを確認する確認ステップを含む、
請求項1に記載の初期設定方法。
【請求項3】
前記環境センサは、温度センサである、
請求項1または2に記載の初期設定方法。
【請求項4】
前記環境センサは、湿度センサである、
請求項1~3のいずれか1項に記載の初期設定方法。
【請求項5】
前記環境センサは、空気質センサである、
請求項1~4のいずれか1項に記載の初期設定方法。
【請求項6】
空調装置によって状態が調整された空気を複数の対象空間のそれぞれへ送り込むことにより、前記複数の対象空間の状態を調整する全館空調システムに用いられるコントローラであって、
前記全館空調システムは、
前記複数の対象空間に対応する複数の空調ダンパであって、各々が対応する対象空間へ送り込まれる前記空気の量を調整する複数の空調ダンパと、
前記複数の対象空間に対応する複数の環境センサであって、各々が対応する対象空間における環境を計測する複数の環境センサとを備え、
前記コントローラは、
携帯端末が公衆回線を通じてサーバから受信した、前記複数の環境センサと前記複数の空調ダンパとの対応関係を示す設定情報を前記携帯端末から取得する取得部と、
取得した設定情報に基づいて、前記複数の環境センサと前記複数の空調ダンパとの紐づけを行う初期設定部と、
前記複数の空調ダンパのそれぞれを、前記複数の環境センサのうち当該空調ダンパに紐づけられた前記環境センサの計測値に基づいて制御する制御部とを備える、
コントローラ。
【請求項7】
空調装置によって状態が調整された空気を複数の対象空間のそれぞれへ送り込むことにより、前記複数の対象空間の状態を調整する全館空調システムであって、
前記複数の対象空間に対応する複数の空調ダンパであって、各々が対応する対象空間へ送り込まれる前記空気の量を調整する複数の空調ダンパと、
前記複数の対象空間に対応する複数の環境センサであって、各々が対応する対象空間における環境を計測する複数の環境センサと、
前記複数の空調ダンパを制御するコントローラとを備え、
前記コントローラは、
携帯端末が公衆回線を通じてサーバから受信した、前記複数の環境センサと前記複数の空調ダンパとの対応関係を示す設定情報を前記携帯端末から取得し、
取得した前記設定情報に基づいて、前記複数の環境センサと前記複数の空調ダンパとの紐づけを行い、
前記複数の空調ダンパのそれぞれを、前記複数の環境センサのうち当該空調ダンパに紐づけられた前記環境センサの計測値に基づいて制御する、
全館空調システム。
【請求項8】
さらに、前記対象空間の環境を浄化する、前記対象空間の中に設置された空気清浄機を備え、
前記携帯端末は、前記公衆回線に接続されたサーバから、前記環境センサと前記空気清浄機との紐付の方法を表す設定情報を取得し、
前記コントローラは、前記携帯端末から前記設定情報を取得し、前記設定情報に基づいて、前記環境センサと前記空気清浄機との紐付に関する設定を行う、
請求項7に記載の全館空調システム。
【請求項9】
空調装置によって状態が調整された空気を複数の対象空間のそれぞれへ送り込むことにより、前記複数の対象空間の状態を調整する全館空調システムにおける初期設定方法であって、
前記全館空調システムは、
前記複数の対象空間に対応する複数の空調ダンパであって、各々が対応する対象空間へ送り込まれる前記空気の量を調整する複数の空調ダンパと、
前記複数の対象空間に対応する複数の環境センサであって、各々が対応する対象空間における環境を計測する複数の環境センサと、
前記複数の空調ダンパを制御するコントローラとを備え、
前記初期設定方法は、携帯端末によって実行される方法であり、
前記コントローラの識別情報を取得する取得ステップと、
取得した前記識別情報に対応する設定情報であって、前記複数の環境センサと前記複数の空調ダンパとの対応関係を示す設定情報を公衆回線を通じてサーバから受信する受信ステップと、
前記コントローラに前記設定情報を送信することにより、前記コントローラに前記複数の前記環境センサと前記複数の空調ダンパとの紐づけを行わせる送信ステップとを含む、
初期設定方法。
【請求項10】
前記識別情報は、画像として認識されることが可能な識別子である、
請求項9に記載の初期設定方法。
【請求項11】
前記識別情報は、前記コントローラが設置される建物の住所、または、前記コントローラに割り振られた、前記コントローラに固有の識別子である、
請求項9に記載の初期設定方法。
【請求項12】
前記環境センサが検知した結果を、前記携帯端末の表示部に表示する、
請求項10または11に記載の初期設定方法。
【請求項13】
請求項9~12のいずれか1項に記載の初期設定方法を携帯端末に実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、初期設定方法、コントローラ、および、全館空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ダンパー開閉手段を予め定められた順に開閉する据付位置確認制御手段と、温度調節用センサの接続を判定するセンサ接続判定手段と、を備え、これらの対応関係を比較して異常を警告する空気調和機の制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平4-52445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の全館空調システムの初期設定方法では、温度センサ等の環境センサと、ダンパとの初期設定における対応付けを、施工設定の段階で、ユーザが手動で行っていた。しかし、従来の方法では、ユーザの手間がかかること、および、ユーザによる登録ミス等が生じるという課題がある。
【0005】
本開示は、ユーザの手間を省き、ユーザによる登録ミス等の発生を抑制することができる初期設定方法、コントローラ、および、全館空調システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の一態様に係る初期設定方法は、空調装置によって状態が調整された空気を複数の対象空間のそれぞれへ送り込むことにより、前記複数の対象空間の状態を調整する全館空調システムにおける初期設定方法であって、前記全館空調システムは、前記複数の対象空間に対応する複数の空調ダンパであって、各々が対応する対象空間へ送り込まれる前記空気の量を調整する複数の空調ダンパと、前記複数の対象空間に対応する複数の環境センサであって、各々が対応する対象空間における環境を計測する複数の環境センサと、前記複数の空調ダンパを制御するコントローラとを備え、前記初期設定方法は、携帯端末が、前記複数の環境センサと前記複数の空調ダンパの対応関係を示す設定情報を公衆回線を通じてサーバから受信する受信ステップと、前記コントローラが、前記携帯端末から前記設定情報を取得する取得ステップと、前記コントローラが、取得した前記設定情報に基づいて、前記複数の環境センサと前記複数の空調ダンパの紐づけの設定を行う紐づけステップとを含む。
【0007】
また、本開示の一態様に係るコントローラは、空調装置によって状態が調整された空気を複数の対象空間のそれぞれへ送り込むことにより、前記複数の対象空間の状態を調整する全館空調システムに用いられるコントローラであって、前記全館空調システムは、前記複数の対象空間に対応する複数の空調ダンパであって、各々が対応する対象空間へ送り込まれる前記空気の量を調整する複数の空調ダンパと、前記複数の対象空間に対応する複数の環境センサであって、各々が対応する対象空間における環境を計測する複数の環境センサとを備え、前記コントローラは、携帯端末が公衆回線を通じてサーバから受信した、前記複数の環境センサと前記複数の空調ダンパとの対応関係を示す設定情報を前記携帯端末から取得する取得部と、取得した設定情報に基づいて、前記複数の環境センサと前記複数の空調ダンパとの紐づけを行う初期設定部と、前記複数の空調ダンパのそれぞれを、前記複数の環境センサのうち当該空調ダンパに紐づけられた前記環境センサの計測値に基づいて制御する制御部とを備える。
【0008】
また、本開示の一態様に係る全館空調システムは、空調装置によって状態が調整された空気を複数の対象空間のそれぞれへ送り込むことにより、前記複数の対象空間の状態を調整する全館空調システムであって、前記複数の対象空間に対応する複数の空調ダンパであって、各々が対応する対象空間へ送り込まれる前記空気の量を調整する複数の空調ダンパと、前記複数の対象空間に対応する複数の環境センサであって、各々が対応する対象空間における環境を計測する複数の環境センサと、前記複数の空調ダンパを制御するコントローラとを備え、前記コントローラは、携帯端末が公衆回線を通じてサーバから受信した、前記複数の環境センサと前記複数の空調ダンパとの対応関係を示す設定情報を前記携帯端末から取得し、取得した前記設定情報に基づいて、前記複数の環境センサと前記複数の空調ダンパとの紐づけを行い、前記複数の空調ダンパのそれぞれを、前記複数の環境センサのうち当該空調ダンパに紐づけられた前記環境センサの計測値に基づいて制御する。
【0009】
また、本開示の一態様に係る初期設定方法は、空調装置によって状態が調整された空気を複数の対象空間のそれぞれへ送り込むことにより、前記複数の対象空間の状態を調整する全館空調システムにおける初期設定方法であって、前記全館空調システムは、前記複数の対象空間に対応する複数の空調ダンパであって、各々が対応する対象空間へ送り込まれる前記空気の量を調整する複数の空調ダンパと、前記複数の対象空間に対応する複数の環境センサであって、各々が対応する対象空間における環境を計測する複数の環境センサと、前記複数の空調ダンパを制御するコントローラとを備え、前記初期設定方法は、携帯端末によって実行される方法であり、前記コントローラの識別情報を取得する取得ステップと、取得した前記識別情報に対応する設定情報であって、前記複数の環境センサと前記複数の空調ダンパとの対応関係を示す設定情報を公衆回線を通じてサーバから受信する受信ステップと、前記コントローラに前記設定情報を送信することにより、前記コントローラに前記複数の前記環境センサと前記複数の空調ダンパとの紐づけを行わせる送信ステップとを含む。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一態様に係る初期設定方法等は、ユーザの手間を省き、ユーザによる登録ミス等の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施の形態における全館空調システムを示すブロック図である。
図2図2は、実施の形態における全館空調システムの機能を示すブロック図である。
図3図3は、全館空調システムの初期設定方法を示すシーケンス図である。
図4図4は、実施の形態における携帯端末の動作を表すフローチャートである。
図5図5は、特定情報の例を示す図である。
図6図6は、実施の形態における全館空調システムの環境センサとダンパとの紐づけを行う際の動作を表すフローチャートである。
図7図7は、設定情報の例を示す図である。
図8図8は、実施の形態における全館空調システムが行う動作確認の動作を表すフローチャートである。
図9図9は、実施の形態における全館空調システムの変形例を示すブロック図である。
図10図10は、実施の形態における全館空調システムの環境センサとダンパとの紐づけを行う際の動作を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。したがって、以下に実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、並びに、ステップ、ステップの順序等は、一例であって本開示を限定する主旨ではない。
【0013】
各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されてはいない。したがって、例えば、各図において、縮尺等は必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0014】
以下の実施の形態に係る初期設定方法、コントローラ、および、全館空調システムについて説明する。
【0015】
(実施の形態)
[全館空調システムの構成]
まず、全館空調システムの構成について説明する。図1は、実施の形態における全館空調システム1を示すブロック図である。図1に示されるように、全館空調システム1は、空調装置40等を用いて、建物110内のn個の複数の対象空間120-1~120-n(nは自然数)の空気を調整することができるシステムである。対象空間とは、建物内の部屋、または、1つの部屋または廊下等の中の一定の広さを持った空間等のことである。ここで、空気を調整するとは、空気質を調整することでもよい。なお、空気質とは、対象空間の空気の温度、湿度、並びに、対象空間の空気に含まれる二酸化炭素濃度及びPM(Particulate Matter)2.5等の各汚染物質の濃度等である。
【0016】
まずは、全館空調システム1の具体的な構成について説明する。本実施の形態では、全館空調システム1は、環境センサ10-1~10-l(lは自然数)と、ダンパ20-1~20-m(mは自然数)と、ファン30と、空調装置40と、熱交換器50と、コントローラ60と、ルータ70とを備える。全館空調システム1は、建物110の外から取り入れた空気、または、建物110の中から取り入れた空気の空気質の一例である温度を調整して複数の対象空間120-1~120-nのそれぞれに、当該空気を搬送することにより、複数の対象空間120-1~120-nの温度を制御する。
【0017】
環境センサ10-1~10-lは、複数の対象空間120-1~120-nのそれぞれに設けられ、当該環境センサ10-1~10-lが設けられた対象空間の中の空気質を測定する。環境センサ10-1~10-lは、複数の対象空間120-1~120-nのうちのいずれか1つの対象空間に、複数設置されてもよい。環境センサ10-1~10-lは、通信機能を有し、測定された空気質を示す空気質データをコントローラ60に送信することができる。環境センサは、具体的は、温度センサ、湿度センサ、二酸化炭素濃度センサおよび微粒子濃度センサのうちのいずれかであってもよいし、そのほかのセンサであってもよい。
【0018】
環境センサ10-1~10-lが、例えば、温度センサである場合、環境センサ10-1~10-lは、対象空間の温度を計測し、計測した値をコントローラ60に送信する。また、例えば、環境センサ10-1~10-lが湿度センサである場合、環境センサ10-1~10-lは、対象空間の湿度を計測し、計測した値をコントローラ60に送信する。また、例えば、環境センサ10-1~10-lがPM2.5濃度センサ等の粒子状物質(以下、単に微粒子とも記載される)の微粒子濃度を計測する微粒子濃度センサである場合、環境センサ10-1~10-lは、対象空間の中の微粒子濃度を計測し、計測した値をコントローラ60に送信する。また、例えば、環境センサ10-1~10-lが二酸化炭素濃度センサである場合、環境センサ10-1~10-lは、対象空間の中の二酸化炭素濃度を計測し、計測した値をコントローラ60に送信する。環境センサ10-1~10-lは、コントローラ60と有線又は無線で接続される。
【0019】
ダンパ20-1~20-mは、ダクトの内部に取り付けられる風量調節機構である。ダンパ20-1~20-mは、可動の羽根を複数有し、1つまたは複数の羽根を回転させることで流路の断面積を変化させ、風量の調節を行う。ダンパ20-1~20-mは、複数の対象空間のそれぞれに設置された給気口に設けられてもよいし、複数の対象空間のそれぞれと、空調装置40とをつなぐ配管の内部に設けられてもよい。ダンパ20-1~20-mは、コントローラ60と無線又は有線で接続され、コントローラ60からの制御に基づいて、動作する。なお、ダンパ20-1~20-mは、空調ダンパの具体例である。例えば、ダンパ20-x(xは、1~mまでの整数)が、対象空間120-1~120-nのいずれかに設置されてもよい。
【0020】
ファン30は、羽根車を回転させて空気を送る装置である。ファン30は、例えば、多翼ファン、後向きファン、サイレントファン、および、リミットロードファン等の遠心送風機でもよい。また、ファン30は、軸流送風機でもよいし、斜流送風機でもよい。ファン30は、コントローラ60と無線または有線で接続され、コントローラ60からの制御に基づいて、動作する。ファン30は複数台設置されてもよい。
【0021】
空調装置40は、エアフィルタと、加湿器と、冷却コイルと、加熱コイルと、送風機とを備える。空調装置40は、ヒートポンプ等を用いて、加熱された空気、冷却された空気、加湿された空気、または、除湿された空気を搬送することで、室内の空気の温度または湿度等を調整する装置である。
【0022】
エアフィルタは、換気ダクトと、外気ダクトとから流入した空気から、粉じんまたは埃を除去し、空気の清浄度を整える。エアフィルタの方式は、ろ過式、粘着式、または、静電式等である。エアフィルタは、他の方式であってもよい。
【0023】
冷却コイルと加熱コイルとは、熱交換器の一種である。冷却コイルと加熱コイルとは、それぞれ別々に実現されてもよいし、1つのコイルで冷却コイルと加熱コイルとの役割を兼用する冷温水コイルによって実現されてもよい。冷却コイルと加熱コイルとは、エアフィルタを通過した空気の温度と湿度を調整する。
【0024】
冷却コイルは、冷却コイルに供給される冷水と空気との間で熱交換を行い、冷風を生成する。また、冷却コイルは、冷却コイルと接触した空気が結露したドレン水を除去することにより、空気を除湿する。
【0025】
加熱コイルは、加熱コイルに供給される蒸気または温水と空気との間で熱交換を行い、温風を生成する。また、加熱コイルで生成された温風は、ボイラで発生した蒸気を噴霧されること、または、水を電気ヒータで加熱して出来る水蒸気を噴霧されることで、加湿されてもよい。
【0026】
送風機は、エアフィルタ、加湿器、冷却コイル、および、加熱コイルによって調和された空気を空調装置40の外に送風する。送風機は、シロッコファン、リミットロードファン、または、ターボファン等でもよい。
【0027】
熱交換器50は、ヒートポンプであり、加熱コイルまたは冷却コイルであってもよい。熱交換器50は、建物110の外部から取り込んだ空気の熱を吸収、または建物110の外部から取り込んだ空気を加熱する。なお、全館空調システム1は、熱交換器50を備えなくてもよい。
【0028】
また、全館空調システム1は、ボイラ、または、冷凍機を備えてもよい。ボイラは、炉筒煙管ボイラ、水管ボイラ、還流ボイラ、または、セクショナルボイラ等である。ボイラは、バーナで、管の中の空気または水を加熱して、蒸気または温水を取り出す。なお、全館空調システム1は、ボイラの代わりに、真空式ヒータまたは無圧式温水ヒータを備えてもよい。冷凍機は、圧縮式冷凍機または吸収式冷凍機である。冷凍機は、圧縮した冷媒を凝集させたあと、膨張され、蒸発する際に、冷熱を供給する。または、冷凍機は、蒸発した冷媒から熱を奪って稀容液に吸収し、冷媒を吸収した稀容液を加熱して冷媒を水蒸気にし、水蒸気となった冷媒を凝縮して水に戻すサイクルの中で冷熱を供給する。ボイラ、または、冷凍機は、コントローラ60と通信を行い、コントローラ60から制御されてもよい。
【0029】
コントローラ60は、ダンパ20-1~20-m、ファン30、空調装置40及び熱交換器50を制御する制御装置である。加えて、コントローラ60は、全館空調システム1に含まれるその他の機器をコントロールしてもよい。コントローラ60は、CPU等のプロセッサおよびプログラム等を記憶するメモリを備える。コントローラ60は、無線または有線で、ダンパ20-1~20-m、ファン30、空調装置40及び熱交換器50と通信を行ってもよい。また、コントローラ60は、無線で携帯端末と通信を行う。また、コントローラ60は、無線または有線でルータ70と接続され、ルータ70を介してインターネットに接続されてもよい。
【0030】
例えば、コントローラ60は、ダンパ20-1~20-mを制御して、ダンパ20-1~20-mの開閉度合いを変更する。また、例えば、コントローラ60は、ファン30を制御して、ファンの羽根の回転数を変更し、ファン30の送風量を調節する。また、例えば、コントローラ60は、空調装置40の設定温度または設定湿度を変更する。また、例えば、コントローラ60は、熱交換器50の熱源水の流量を調節し、熱交換によって実現される空気の温度を調節する。
【0031】
ルータ70は、データの転送経路を選択し、ネットワーク間の接続またはネットワーク間の中継を行う装置である。ルータ70は、例えば、コントローラ60とインターネット100とを接続する。ルータ70は施工時には存在しないが、居住者の入居後には設置される。
【0032】
携帯端末80は、インターネット100を介してサーバ90から設定情報を取得し、取得した設定情報をコントローラ60に送信する。携帯端末80は、例えば、スマートフォンまたはタブレット端末である。また、携帯端末80は、ウェアラブルデバイスでもよい。設定情報の詳細については後述する。
【0033】
サーバ90は、インターネット100に接続しており、環境センサ10-1~10-lとダンパ20-1~20-mとの対応関係を示す設定情報を記憶している。サーバ90は、CPU等のプロセッサと、プログラム等を記憶するメモリと、通信機能とを備える。
【0034】
建物110は、住宅、公共施設、または、商業施設等の建物である。建物110は複数の対象空間120-1~120-nを有する。対象空間120-1~120-nは、建物110の中の区画であり、壁、扉または天井等で仕切られた空間である。対象空間120-1~120-nのそれぞれは、給気口または排気口を有してもよいし、窓を有してもよい。建物110は、木造、または、鉄筋コンクリート造等である。なお、対象空間120-1~120-nは、集合的に対象空間120と表されてもよい。対象空間120-1~120-nは、天井と壁とで仕切られた空間だけでなく、天井裏または壁の裏の配管スペースを含んでもよい。
【0035】
図1に示されるハッチングのかかった矢印は、空気の流れを示す。空気は、建物110の中に熱交換器50を通して流入し、熱交換器50から空調装置40、ファン30を通って対象空間120-1~120-nに流入する。また、対象空間120-1~120-nから空調装置40に向かって空気が流出する。
【0036】
図1に示される実線の矢印、実線および点線は、電気信号の流れと、電気信号による接続関係とを示す。
【0037】
図2は、実施の形態における全館空調システム1の機能を示すブロック図である。図2に示すように、コントローラ60は、ダンパ20、ファン30、空調装置40および熱交換器50を制御するコントローラである。また、コントローラ60は、環境センサ10、ルータ70および携帯端末80と通信する。コントローラ60は、記憶部61、制御部62、通信部63、初期設定部65および取得部64を備える。ここで、ダンパ20は、ダンパ20-1~20-mを集合的に表す。また、環境センサ10は、環境センサ10-1~10-lを集合的に表す。
【0038】
記憶部61は、通信部63が取得した設定情報等を記憶する。記憶部61は、ダンパ20-1~20-m、または、環境センサ10-1~10-lの位置情報等を記憶してもよい。また、記憶部61は、制御部62が実行する制御プログラム等を記憶してもよい。なお、記憶部61は、半導体メモリ等によって実現される。
【0039】
制御部62は、ダンパ20-1~20-mのそれぞれと紐づけられた環境センサ10-1~10-lの値に基づいて、ダンパ20-1~20-mの開閉を制御する。
【0040】
例えば、制御部62は、冷房が行われる場合、環境センサ10の計測値が、設定温度より高いときに、環境センサ10と紐づけられたダンパ20を現状より開く制御を行う。また、例えば、制御部62は、冷房が行われる場合、環境センサ10の計測値が設定温度より低いときに、環境センサ10と紐づけられたダンパ20を現状より閉じる制御を行う。反対に、制御部62は、暖房が行われる場合、環境センサ10の計測値が、設定温度より高いときに、環境センサ10と紐づけられたダンパ20を現状より閉じる制御を行う。また、例えば、制御部62は、暖房が行われる場合、環境センサ10の計測値が、設定温度より低いときに、環境センサ10と紐づけられたダンパ20を現状より開く制御を行う。
【0041】
また、制御部62は、環境センサ10の計測した値に基づいて、ファン30、空調装置40、および、熱交換器50を制御する。例えば、制御部62は、ファン30を制御して、ファンの羽根の回転数を変更し、ファン30の送風量を調節する。また、例えば、制御部62は、空調装置40の設定温度または設定湿度を変更する。また、例えば、制御部62は、熱交換器50の熱源水の流量を調節し、熱交換によって実現される空気の温度を調節する。制御部62は、プロセッサとメモリとで実現される。
【0042】
通信部63は、コントローラ60が、無線または有線で、環境センサ10、ルータ70および携帯端末80と通信するための通信モジュール(通信回路)である。通信に用いられる通信規格は、Wi-Fi(登録商標)またはBluetooth(登録商標)であるが、特に限定されない。
【0043】
なお、通信部63は、ルータ70を介して、インターネット100と通信することができる。このとき、通信部63は、インターネット100に接続されたサーバから設定情報を取得してもよい。また、通信部63は、環境センサ10と通信を行う。また、通信部63は、携帯端末80と通信を行う。このとき、携帯端末80は、インターネット100に接続されたサーバ90から設定情報を取得していてもよい。また、通信部63は、インターネット100に接続されたサーバ90と通信を行ってもよい。
【0044】
取得部64は、通信部63が通信を行った携帯端末80から、設定情報を取得する。このとき、携帯端末80は、インターネット100に接続されたサーバから設定情報を取得してもよい。また、取得部64は、通信部63が通信を行ったインターネット100に接続されたサーバから、設定情報を取得してもよい。また、取得部64は、通信部63が通信を行った環境センサ10から、環境センサ10の計測値を取得する。取得部64は、プロセッサとメモリとで実現される。
【0045】
初期設定部65は、取得部64が、携帯端末80、または、インターネット100に接続されたサーバ90から取得した設定情報に基づいて、環境センサ10-1~10-lのそれぞれと、ダンパ20-1~20-mのそれぞれとを紐づける。初期設定部65は、プロセッサとメモリとで実現される。
【0046】
[全館空調システムの動作の概略]
次に、全館空調システム1における初期設定方法について、説明する。全館空調システム1における初期設定方法は、コントローラ60と、携帯端末80とによって、以下のように行われる。図3は、全館空調システム1の初期設定方法を示すシーケンス図である。
【0047】
まず、携帯端末80がインターネット100に接続されたサーバ90に、コントローラ60の特定情報を送信する(ステップS100)。
【0048】
次に、サーバ90が、携帯端末80から送信された特定情報に対応する設定情報を、携帯端末80に送信する(ステップS101)。
【0049】
続いて、携帯端末80が、コントローラ60に、サーバ90から取得した設定情報を送信する(ステップS102)。
【0050】
次に、コントローラ60は、携帯端末80から送信された設定情報に基づいて、ダンパ20と環境センサ10との紐づけを行う(ステップS103)。
【0051】
[全館空調システムに含まれる個別の機器の動作]
続いて、携帯端末80の行う動作について説明する。図4は、実施の形態における携帯端末80の動作を表すフローチャートである。
【0052】
まず、携帯端末80は、コントローラ60の特定情報を識別する(ステップS200)。図5は、特定情報の例を示す図である。ここで、特定情報とは、図5の(a)、(b)、(c)に示されるように、コントローラ60を特定するための機器ID、QRコード(登録商標)、コントローラ60が設置されている建物の住所等である。つまり、特定情報は、カメラ等により画像として認識されることができる情報でもよいし、ユーザによって入力される文字列等で表現される情報でもよい。特定情報は、コントローラ60に固有の情報であり、複数のコントローラ60の中から1つのコントローラ60を特定することができる情報である。
【0053】
次に、携帯端末80は、特定情報に対応した設定情報を取得する(ステップS201)。つまり、携帯端末80は、ステップS200で識別したコントローラ60の特定情報に対応した設定情報を、インターネット100等を介して、サーバ90等からダウンロードする。サーバ90等には、複数の設定情報が記憶されており、携帯端末80は、識別した特定情報に対応した設定情報を取得する。識別した特定情報に対応した設定情報は、識別した特定情報に対応したコントローラ60が設置されている建物110の環境センサ10とダンパ20との紐付を表す情報である。
【0054】
続いて、携帯端末80は、コントローラ60に設定情報を送信する(ステップS202)。
【0055】
次に、全館空調システム1の環境センサ10-1~10-lとダンパ20-1~20―mとの紐づけを行う際の動作について説明する。図6は、実施の形態のおける全館空調システム1の環境センサ10とダンパ20との紐づけを行う際の動作を表すフローチャートである。
【0056】
まず、コントローラ60は、携帯端末80から設定情報を取得する(ステップS100)。図7は、設定情報の例を示す図である。ここで、設定情報は、図7に示されるように、環境センサ10-1~10-lと、ダンパ20-1~20-mとの対応関係を示す情報である。なお、環境センサ10-1~10-lのそれぞれが設置されるポートの番号と、ダンパ20-1~20-mのポートの番号とが同一の場合に、環境センサ10-1~10-lのそれぞれとダンパ20-1~20-mのそれぞれとが対応する。また、環境センサ10-1~10-lのそれぞれが設置されたそれぞれの対象空間と、ダンパ20-1~20-mのそれぞれが設置されたそれぞれの対象空間とが同一の場合に、環境センサ10-1~10-lのそれぞれとダンパ20-1~20-mのそれぞれとが対応してもよい。また、環境センサ10-1~10-lのそれぞれの固有IDと、ダンパ20-1~20-mのそれぞれの固有IDとが紐づけられてもよい。
【0057】
次に、コントローラ60は、取得した設定情報に基づいて、環境センサ10-1~10-lのそれぞれと、ダンパ20-1~20-mのそれぞれとを紐づける(ステップS301)。
【0058】
ここで、コントローラ60は、具体的には、環境センサ10-1~10-lのそれぞれが接続されるポートの番号と、ダンパ20-1~20-mのそれぞれが接続されるポートの番号とを紐づける。なお、コントローラ60は、環境センサ10-1~10-lのそれぞれが接続されるポートの番号と、ダンパ20-1~20-mのそれぞれが接続されるポートの番号とを紐づけるのではなく、環境センサ10-1~10-lのそれぞれの固有のIDと、ダンパ20-1~20-mのそれぞれの固有のIDとを紐づけてもよい。なお、ここで、「紐づける」とは、環境センサ10-1~10-lのそれぞれが接続されるポートの番号を、ダンパ20-1~20-mのそれぞれが接続されるポートの番号と、対応させることをいう。また、「紐づける」とは、環境センサ10-1~10-lのそれぞれの固有のIDと、ダンパ20-1~20-mのそれぞれの固有のIDとを対応させることでもよい。
【0059】
次に、全館空調システム1の環境センサ10とダンパ20との紐付後の動作確認について説明する。図8は、実施の形態における全館空調システム1が行う動作確認の動作を表すフローチャートである。
【0060】
まず、コントローラ60は、ダンパ20を制御する(ステップS400)。例えば、コントローラ60は、ダンパ20を現状よりも開く。またはコントローラ60は、現状よりもダンパ20を閉じる。
【0061】
次に、コントローラ60は、ダンパ20に紐づけられた環境センサ10の計測値が変化したか否かを判定する(ステップS401)。つまり、コントローラ60は、複数のダンパ20のうちの1つのダンパ20を制御し、制御を行った当該ダンパ20に紐づけられた環境センサ10の計測値が変化したか否かを判定する。このとき、コントローラ60は、ダンパ20の制御の結果、引き起こされると予想される変化が環境センサ10の計測値に現れているか否かを判定してもよい。
【0062】
例えば、冷房が行われている場合、コントローラ60がダンパ20を現状より閉じたとき、コントローラ60が制御を行ったダンパ20に紐づけられた環境センサ10の計測値が上昇したか否かを判定してもよい。また、例えば、冷房が行われている場合、コントローラ60がダンパ20を現状より開けたとき、コントローラ60が制御を行ったダンパ20に紐づけられた環境センサ10の計測値が下降したか否かを判定してもよい。また、例えば、暖房が行われている場合、コントローラ60がダンパ20を現状より閉じたとき、コントローラ60が制御を行ったダンパ20に紐づけられた環境センサ10の計測値が下降したか否かを判定してもよい。例えば、暖房が行われている場合、コントローラ60がダンパ20を現状より開けたとき、コントローラ60が制御を行ったダンパ20に紐づけられた環境センサ10の計測値が上昇したか否かを判定してもよい。
【0063】
コントローラ60が、ダンパ20に紐づけられた環境センサ10の計測値が変化したと判定した場合(ステップS401でYes)、コントローラ60は、ダンパ20と環境センサ10の紐づけが正しいと判定する(ステップS402)。
【0064】
コントローラ60が、ダンパ20に紐づけられた環境センサ10の計測値が変化したと判定しなかった場合(ステップS401でNo)、コントローラ60は、ダンパ20と環境センサ10の紐づけが正しくないと判定する(ステップS403)。
【0065】
[変形例]
次に、全館空調システム1の変形例である全館空調システム1aについて説明する。なお、全館空調システム1aの構成要素のうち、全館空調システム1と共通の構成要素については、説明を省略する。図9は、実施の形態における全館空調システム1aの変形例を示すブロック図である。
【0066】
全館空調システム1aは、空気清浄機130を備える。なお、全館空調システム1aは、空気清浄機130を複数台備えてもよい。空気清浄機130は、HEPA(High Efficiency Particulate Air Filter)等のフィルターを使用するファン式でもよいし、電気集塵式またはイオン式でもよい。
【0067】
全館空調システム1aにおいて、コントローラ60は、空気清浄機130を制御する。また、環境センサ10は、設置された対象空間の空気質を計測し、コントローラ60は、計測された値に基づいて、空気清浄機130およびダンパ20を制御する。
【0068】
図9に示されるハッチングのかかった矢印は、空気の流れを示す。空気は、建物110の中に熱交換器50を通して流入し、熱交換器50から空調装置40、ファン30を通って対象空間120-1~120-nに流入する。そして、空気清浄機130から対象空間120-1~120-nに向かって空気が流入する。また、対象空間120-1~120-nから空調装置40に向かって空気が流出する。
【0069】
図9に示される実線の矢印、実線および点線は、電気信号の流れと、電気信号による接続関係を示す。
【0070】
全館空調システム1aは、環境センサとダンパとの紐づけを行う際の動作において、全館空調システム1と同様の動作を行う。また、全館空調システム1aは、環境センサ10とダンパ20との紐付後の動作確認において、全館空調システム1と同様の動作を行う。
【0071】
また、全館空調システム1aは、以下の動作を行う。図10は、実施の形態のおける全館空調システムの環境センサ10とダンパ20との紐づけを行う際の動作を表すフローチャートである。
【0072】
まず、コントローラ60は、携帯端末80から設定情報を取得する(ステップS500)。
【0073】
次に、コントローラ60は、取得した設定情報に基づいて、環境センサ10-1~10-lのそれぞれと、複数の空気清浄機130のそれぞれを紐づける(ステップS501)。
【0074】
ここで、コントローラ60は、具体的には、環境センサ10-1~10-lのそれぞれが接続されるポートの番号と、複数の空気清浄機130のそれぞれが接続されるポートの番号とを紐づける。なお、コントローラ60は、環境センサ10-1~10-lのそれぞれが接続されるポートの番号と、複数の空気清浄機130のそれぞれが接続されるポートの番号とを紐づけるのではなく、環境センサ10-1~10-lのそれぞれの固有のIDと、複数の空気清浄機130のそれぞれの固有のIDとを紐づけてもよい。
【0075】
なお、本実施の形態および変形例では、建物の施工時の全館空調システム1および全館空調システム1aの動作について説明したが、建物の使用時(入居者の入居後)には、全館空調システム1および全館空調システム1aは、建物の施工時と異なる構成となる。例えば、ルータ70は、建物の施工時には存在しないが、建物の使用時(入居者の入居後)には存在し、コントローラ60と有線又は無線で接続され、インターネット100と接続する。
【0076】
[効果等]
本開示の初期設定方法は、空調装置40によって状態が調整された空気を複数の対象空間120のそれぞれへ送り込むことにより、複数の対象空間120の状態を調整する全館空調システム1における初期設定方法であって、全館空調システム1は、複数の対象空間120に対応する複数のダンパ20であって、各々が対応する対象空間120へ送り込まれる空気の量を調整する複数のダンパ20と、複数の対象空間120に対応する複数の環境センサ10であって、各々が対応する対象空間120における環境を計測する複数の環境センサ10と、複数のダンパ20を制御するコントローラ60とを備え、初期設定方法は、携帯端末80が、複数の環境センサ10と複数のダンパ20の対応関係を示す設定情報を公衆回線を通じてサーバ90から受信する受信ステップと、コントローラ60が、携帯端末80から設定情報を取得する取得ステップと、コントローラ60が、取得した設定情報に基づいて、複数の環境センサ10と複数のダンパ20の紐づけを行う紐づけステップとを含む。
【0077】
これにより、本開示の初期設定方法は、環境センサ10とダンパ20との紐づけにおいて、ユーザの手間を省き、ユーザによる登録ミス等の発生を抑制することができる。
【0078】
また、例えば、本開示の初期設定方法は、さらに、コントローラ60が、複数のダンパ20のうちの1つのダンパ20を制御しているときに、当該ダンパ20に紐づけられた環境センサ10の計測値が、変化するか否かを確認する確認ステップを含む。
【0079】
これにより、本開示の初期設定方法は、ダンパ20と環境センサ10との紐づけが正しく行われたか否かを確認することができる。
【0080】
また、例えば、本開示の初期設定方法において、環境センサ10は、温度センサである。
【0081】
これにより、本開示の初期設定方法は、温度センサとダンパとを紐づけることができる。
【0082】
また、例えば、本開示の初期設定方法において、環境センサ10は、湿度センサである。
【0083】
これにより、本開示の初期設定方法は、湿度センサとダンパを紐づけることができる。
【0084】
また、例えば、本開示の初期設定方法において、環境センサ10は、空気質センサである。
【0085】
これにより、本開示の初期設定方法は、空気質センサとダンパ20とを紐づけることができる。
【0086】
また、例えば、本開示のコントローラは、空調装置40によって状態が調整された空気を複数の対象空間120のそれぞれへ送り込むことにより、複数の対象空間120の状態を調整する全館空調システム1に用いられるコントローラ60であって、全館空調システム1は、複数の対象空間120に対応する複数のダンパ20であって、各々が対応する対象空間120へ送り込まれる空気の量を調整する複数のダンパ20と、複数の対象空間120に対応する複数の環境センサ10であって、各々が対応する対象空間120における環境を計測する複数の環境センサ10とを備え、コントローラ60は、携帯端末80が公衆回線を通じてサーバ90から受信した、複数の環境センサ10と複数のダンパ20との対応関係を示す設定情報を携帯端末80から取得する取得部64と、取得した設定情報に基づいて、複数の環境センサ10と複数のダンパ20との紐づけを行う初期設定部65と、複数のダンパ20のそれぞれを、複数の環境センサ10のうち当該ダンパ20に紐づけられた環境センサ10の計測値に基づいて制御する制御部62とを備える。
【0087】
これにより、本開示のコントローラは、上記初期設定方法と同様の効果を奏することができる。
【0088】
また、例えば、本開示の全館空調システム1は、空調装置40によって状態が調整された空気を複数の対象空間120のそれぞれへ送り込むことにより、複数の対象空間120の状態を調整する全館空調システム1であって、複数の対象空間120に対応する複数のダンパ20であって、各々が対応する対象空間120へ送り込まれる空気の量を調整する複数のダンパ20と、複数の対象空間120に対応する複数の環境センサ10であって、各々が対応する対象空間120における環境を計測する複数の環境センサ10と、複数のダンパ20を制御するコントローラ60とを備え、コントローラ60は、携帯端末80が公衆回線を通じてサーバ90から受信した、複数の環境センサ10と複数のダンパ20との対応関係を示す設定情報を携帯端末80から取得し、取得した設定情報に基づいて、複数の環境センサ10と複数のダンパ20との紐づけを行い、複数のダンパ20のそれぞれを、複数の環境センサ10のうち当該ダンパ20に紐づけられた環境センサ10の計測値に基づいて制御する。
【0089】
これにより、本開示の全館空調システム1は、上記初期設定方法と同様の効果を奏することができる。
【0090】
また、例えば、本開示の全館空調システム1は、さらに、対象空間120の環境を浄化する、対象空間120の中に設置された空気清浄機130を備え、携帯端末80は、公衆回線に接続されたサーバ90から、環境センサ10と空気清浄機130との紐付の方法を表す設定情報を取得し、コントローラは、携帯端末80から設定情報を取得し、設定情報に基づいて、環境センサ10と空気清浄機130との紐付に関する設定を行う。
【0091】
これにより、本開示の全館空調システム1は、空気清浄機130と環境センサ10との紐づけにおいて、ユーザの手間を省き、ユーザによる登録ミス等の発生を抑制することができる。
【0092】
また、例えば、本開示の初期設定方法は、空調装置40によって状態が調整された空気を複数の対象空間120のそれぞれへ送り込むことにより、複数の対象空間120の状態を調整する全館空調システム1における初期設定方法であって、全館空調システム1は、複数の対象空間120に対応する複数のダンパ20であって、各々が対応する対象空間120へ送り込まれる空気の量を調整する複数のダンパ20と、複数の対象空間120に対応する複数の環境センサ10であって、各々が対応する対象空間120における環境を計測する複数の環境センサ10と、複数のダンパ20を制御するコントローラ60とを備え、初期設定方法は、携帯端末80によって実行される方法であり、コントローラ60の識別情報を取得する取得ステップと、取得した識別情報に対応する設定情報であって、複数の環境センサ10と複数のダンパ20との対応関係を示す設定情報を公衆回線を通じてサーバ90から受信する受信ステップと、コントローラ60に設定情報を送信することにより、コントローラ60に複数の環境センサ10と複数のダンパ20との紐づけを行わせる送信ステップとを含む。
【0093】
これにより、本開示の初期設定方法は、環境センサ10とダンパ20との紐づけにおいて、ユーザの手間を省き、ユーザによる登録ミス等の発生を抑制することができる。
【0094】
また、例えば、本開示の初期設定方法において、識別情報は、画像として認識されることが可能な識別子である。
【0095】
これにより、本開示の初期設定方法は、QRコード(登録商標)等の識別子を用いることができる。
【0096】
また、例えば、本開示の初期設定方法において、識別情報は、コントローラ60が設置される建物の住所、または、コントローラ60に割り振られた、コントローラ60に固有の識別子である。
【0097】
これにより、本開示の初期設定方法は、住所または製造番号等の識別子を用いることができる。
【0098】
また、例えば、本開示の初期設定方法は、環境センサ10が検知した結果を、携帯端末80の表示部に表示する。
【0099】
これにより、本開示の初期設定方法は、環境センサ10が検知した結果をユーザに視認させることができる。
【0100】
また、例えば、本開示のプログラムは、上記初期設定方法を携帯端末80に実行させるためのプログラムである。
【0101】
これにより、本開示のプログラムは、上記初期設定方法と同様の効果を奏することができる。
【0102】
[その他]
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0103】
例えば、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0104】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したコンピュータプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0105】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0106】
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0107】
例えば、本発明は、上記実施の形態の初期設定方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。本発明は、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。なお、このようなプログラムには、汎用のコントローラまたは携帯端末を上記実施の形態に係る全館空調システムにおけるコントローラまたは携帯端末として動作させるためのアプリケーションプログラムが含まれる。
【0108】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0109】
1、1a 全館空調システム
10、10-1~10-l 環境センサ
20、20-1~20-m ダンパ
60 コントローラ
80 携帯端末
90 サーバ
120 対象空間
130 空気清浄機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10