(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】ロボットアーム運動制御方法、システム及び外科手術システム
(51)【国際特許分類】
A61B 34/30 20160101AFI20240705BHJP
【FI】
A61B34/30
(21)【出願番号】P 2022548541
(86)(22)【出願日】2021-07-29
(86)【国際出願番号】 CN2021109410
(87)【国際公開番号】W WO2022142316
(87)【国際公開日】2022-07-07
【審査請求日】2022-08-09
(31)【優先権主張番号】202011631377.9
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521495954
【氏名又は名称】ベイジン フルワ ロボット メディカル テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BEIJING HURWA ROBOT MEDICAL TECHNOLOGY CO.LTD
【住所又は居所原語表記】Room 1301, Floor 13, Building 5, Number 18 Courtyard, Kechuang 13 Street, Beijing Economic-Technological Development Area, Beijing 100176, China
(73)【特許権者】
【識別番号】522170618
【氏名又は名称】ベイジン フルワ ロボット テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BEIJING HURWA ROBOT TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】1302, 13th Floor, Building 5, Courtyard 18, Kechuang 13th Street, Beijing Economic-Technological Development Area, Beijing 100176, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー シューカン
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】特許第6796346(JP,B1)
【文献】特表2018-529488(JP,A)
【文献】特開2020-104256(JP,A)
【文献】特表2015-526115(JP,A)
【文献】特開2020-48708(JP,A)
【文献】特開2011-194163(JP,A)
【文献】特表2015-508682(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0006267(US,A1)
【文献】特開2020-39397(JP,A)
【文献】特開2003-150569(JP,A)
【文献】特開平8-215211(JP,A)
【文献】特開2004-41580(JP,A)
【文献】特開2007-181670(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/00―34/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
末端にアクチュエータが搭載されたロボットアームの運動制御システムの作動方法であって、
前記運動制御システムは、グラフィカルユーザインタフェースを有するコントローラと、第1の入力装置と、第2の入力装置とを含み、
前記グラフィカルユーザインタフェースが、前記第1の入力装置により入力された第1の制御指令を受信し、前記第1の制御指令が、前記ロボットアームが第1の動作モードに応じて運動するように制御し、前記第1の動作モードが、前記ロボットアームが自身の動力の駆動で現在位置から目標位置に運動することである工程と、
前記グラフィカルユーザインタフェースが、さらに前記第1の入力装置又は前記第2の入力装置の第2の制御指令を受信し、前記第2の制御指令が、前記ロボットアームが第2の動作モードに進入するように制御し、前記第2の動作モードが、前記ロボットアームがその末端が外力の駆動で所定の平面内で平行移動するか又は該平面の法線の周りに回転するように設置されることである工程と、
前記第2の入力装置が、第3の制御指令を入力し、前記第3の制御指令が前記アクチュエータが所定の運動を実行するように制御する工程と、を含み、
ここで、前記第1の入力装置と前記第2の入力装置とは互いに分離されているように設置され、前記第1の入力装置は、グラフィカルユーザインタフェース側に位置し、第1のオペレータ
の操作に応じて動作し、前記第2の入力装置は、ロボットアーム側に位置し、第2のオペレータ
の操作に応じて動作する作動方法。
【請求項2】
前記第1の入力装置又は前記第2の入力装置が、第4の制御指令を入力し、前記第4の制御指令は、前記ロボットアームが第1の動作モードに応じて運動することを停止するように制御することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記グラフィカルユーザインタフェースが第1の入力装置により入力された第1の制御指令を受信することは、前記グラフィカルユーザインタフェースが予備制御指令を受信して第1の制御インタフェースセットを提供し、前記第1の制御インタフェースセットは、前記第1の入力装置により入力された第1の制御指令を受信することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第3の制御指令の実行が終了した後、前記グラフィカルユーザインタフェースは第1の制御インタフェースセットを提供し、前記第1の制御インタフェースセットは、前記第1の入力装置により入力された第1の制御指令を受信することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
末端にアクチュエータが搭載されたロボットアームの運動制御システムであって、
グラフィカルユーザインタフェースを有するコントローラと、第1の入力装置と、第2の入力装置とを含み、
前記グラフィカルユーザインタフェースは、前記第1の入力装置により入力された第1の制御指令を受信するために用いられ、前記第1の制御指令は、前記ロボットアームが第1の動作モードに応じて運動するように制御するために用いられ、前記第1の動作モードは、前記ロボットアームが自身の動力の駆動で現在位置から目標位置に運動することであり、
前記グラフィカルユーザインタフェースは、さらに前記第1の入力装置又は前記第2の入力装置の第2の制御指令を受信するために用いられ、前記第2の制御指令は、前記ロボットアームが第2の動作モードに進入するように制御するために用いられ、前記第2の動作モードは、前記ロボットアームがその末端が外力の駆動で所定の平面内で平行移動するか又は該平面の法線の周りに回転するように設置されることであり、
前記第2の入力装置は、第3の制御指令を入力するために用いられ、前記第3の制御指令は前記アクチュエータが所定の運動を実行するように制御するために用いられ、
ここで、前記第1の入力装置と前記第2の入力装置とは互いに分離されているように設置され、前記第1の入力装置は、グラフィカルユーザインタフェース側に位置し、第1のオペレータによって操作され、前記第2の入力装置は、ロボットアーム側に位置し、第2のオペレータによって操作される運動制御システム。
【請求項6】
前記第1の入力装置及び前記第2の入力装置は、さらに第4の制御指令を入力するために用いられ、前記第4の制御指令は、前記ロボットアームが第1の動作モードに応じて運動することを停止するように制御するために用いられる請求項5に記載のロボットアーム運動制御システム。
【請求項7】
前記グラフィカルユーザインタフェースは、さらに予備制御指令を受信して第1の制御インタフェースセットを提供するために用いられ、前記第1の制御インタフェースセットは、前記第1の入力装置により入力された前記第1の制御指令を受信する請求項5に記載のロボットアーム運動制御システム。
【請求項8】
前記グラフィカルユーザインタフェースは、さらに、前記第3の制御指令の実行が終了した後に第1の制御インタフェースセットを提供するために用いられ、前記第1の制御インタフェースセットは、前記第1の入力装置により入力された第1の制御指令を受信するために用いられる請求項5に記載のロボットアーム運動制御システム。
【請求項9】
前記第1の入力装置は、音声入力モジュール、機械キー、ジョイスティック又は無線リモコンである請求項5~8のいずれか一項に記載のロボットアーム運動制御システム。
【請求項10】
請求項5~9のいずれか一項に記載のロボットアーム運動制御システムを含む外科手術システムであって、
ロボットアームと、ロボットアームの空間方位情報を位置決めるための位置決めシステムと、前記空間方位情報に基づいて前記ロボットアームの運動を制御するための制御システムとをさらに含む外科手術システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年12月30日に提出された名称が「ロボットアーム運動制御方法、システム及び外科手術システム」である中国特許出願202011631377.9の優先権を主張し、該出願の全ての内容は、引用により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本願は、外科手術ロボットの技術分野に関し、特にロボットアーム運動制御方法、システム及び外科手術システムに関する。
【背景技術】
【0003】
コンピュータ支援手術システムにおいて、協働ロボットアームを用いて実行操作を支援することができる。協働ロボットアームの遠位端には、通常、末端アクチュエータが搭載される。異なるシーンに応じて、末端アクチュエータの一端に異なる医療用器具、例えば鋸、ドリル又はフライス等が搭載される。協働ロボットアーム、末端アクチュエータ及び医療用器具の三者の間の機械的接続機構及び制御操作により、ターゲットへの切断、ドリル又はフライス削りなどの操作を実現することができる。
【0004】
末端アクチュエータに骨切りを支援するための電動揺動鋸が搭載されることを例として、電動揺動鋸の鋸刃は現在の任意の位置から切断待ち位置に入り、切断待ち位置から骨切り位置に入る過程は、走行と呼ばれる。ロボットアームが移動することにより鋸刃が骨切り位置に入った後、ロボットアームの動作自由度を骨切り平面内に限定し、鋸刃をロックされた平面内のみで移動させ、さらに電動揺動鋸を通電し、医師によりロボットアームを押し鋸刃を制御して罹患骨に接触させる。1つの箇所の骨切りを完了した後、次の骨切り箇所に走行し、継続して骨切りを行う。その過程において、ディスプレイは、専門の医師が参照にするために、鋸刃と罹患骨のデジタル三次元モデルの相対位置及び他の提示情報をリアルタイムに表示することができる。上記操作は、いずれも専門の医師により完了され、それにより骨切りへの制御権を保証する。専門の医師は、骨切り操作を行う時に、軟組織への切込みを回避するために、細心の注意を払う必要がある。操作に不慣れな医者又は細心の注意を払った骨切り操作を終えたばかりの医者に対して、次のロボットアームに対する操作を思い出すように考える努力が必要になる可能性がある。よって、手術過程がスムーズではなく、手術にかかる時間が増えてしまう。
【発明の概要】
【0005】
本願の提供するロボットアーム運動制御方法、システム及び外科手術システムは、手術過程のスムーズ性を向上させることができる。
【0006】
第1の態様において、ロボットアームの運動制御方法を提供し、ロボットアームの末端にアクチュエータが搭載され、該方法は、グラフィカルユーザインタフェースにより第1の入力装置により入力された第1の制御指令を受信し、第1の制御指令はロボットアームが第1の動作モードに応じて運動するように制御するために用いられることと、第1の入力装置又は第2の入力装置の第2の制御指令を受信し、第2の制御指令はロボットアームが第2の動作モードに進入するように制御するために用いられることと、第2の入力装置により入力された第3の制御指令を受信し、第3の制御指令はアクチュエータが所定の運動を実行するように制御するために用いられることとを含み、ここで、第1の入力装置と第2の入力装置とは互いに分離されており、又は互いに分離できるように設置される。
【0007】
本願の実施例に係る第1の態様によれば、該方法は、第1の入力装置又は第2の入力装置により、第4の制御指令を入力し、第4の制御指令は、ロボットアームが第1の動作モードに応じて運動することを停止するように制御するために用いられることをさらに含む。
【0008】
本願の実施例に係る第1の態様によれば、グラフィカルユーザインタフェースにより第1の入力装置により入力された第1の制御指令を受信することは、グラフィカルユーザインタフェースが予備制御指令を受信して第1の制御インタフェースセットを提供し、第1の制御インタフェースセットは、第1の入力装置により入力された第1の制御指令を受信することを含む。
【0009】
本願の実施例に係る第1の態様によれば、該方法は、第3の制御指令の実行が終了した後、グラフィカルユーザインタフェースは第1の制御インタフェースセットを提供し、第1の制御インタフェースセットは、第1の入力装置により入力された第1の制御指令を受信するために用いられることをさらに含む。
【0010】
本願の実施例に係る第1の態様によれば、第1の動作モードは、ロボットアームが自身の動力の駆動で現在位置から目標位置に運動することであり、及び/又は、第2の動作モードは、ロボットアームがその末端が外力の駆動で所定の平面内で平行移動するか又は該平面の法線の周りに回転するように設置されることである。
【0011】
第2の態様では、ロボットアーム運動制御システムを提供し、ロボットアームの末端にアクチュエータが搭載され、システムは、グラフィカルユーザインタフェースを有するコントローラと、第1の入力装置と、第2の入力装置とを含み、ここで、グラフィカルユーザインタフェースは、第1の入力装置により入力された第1の制御指令を受信するために用いられ、第1の制御指令は、ロボットアームが第1の動作モードに応じて運動するように制御するために用いられ、グラフィカルユーザインタフェースは、さらに第1の入力装置又は第2の入力装置の第2の制御指令を受信するために用いられ、第2の制御指令は、ロボットアームが第2の動作モードに進入するように制御するために用いられ、第2の入力装置は、第3の制御指令を入力するために用いられ、第3の制御指令はアクチュエータが所定の運動を実行するように制御するために用いられ、ここで、第1の入力装置と第2の入力装置とは互いに分離されており、又は互いに分離できるように設置される。
【0012】
本願の実施例に係る第2の態様によれば、第1の入力装置及び第2の入力装置は、さらに第4の制御指令を入力するために用いられ、第4の制御指令は、ロボットアームが第1の動作モードに応じて運動することを停止するように制御するために用いられる。
【0013】
本願の実施例に係る第2の態様によれば、グラフィカルユーザインタフェースは、さらに予備制御指令を受信して第1の制御インタフェースセットを提供するために用いられ、第1の制御インタフェースセットは、第1の入力装置により入力された第1の制御指令を受信する。
【0014】
本願の実施例に係る第2の態様によれば、グラフィカルユーザインタフェースは、さらに、第3の制御指令の実行が終了した後に第1の制御インタフェースセットを提供するために用いられ、第1の制御インタフェースセットは、第1の入力装置により入力された第1の制御指令を受信するために用いられる。
【0015】
本願の実施例に係る第2の態様によれば、第1の動作モードは、ロボットアームが自身の動力の駆動で現在位置から目標位置に運動することであり、及び/又は、第2の動作モードは、ロボットアームがその末端が外力の駆動で所定の平面内で平行移動するか又は該平面の法線の周りに回転するように設置されることである。
【0016】
本願の実施例に係る第2の態様によれば、第1の入力装置は、音声入力モジュール、機械キー、ジョイスティック又は無線リモコンである。
【0017】
第3の態様において、外科手術システムを提供し、システムは、ロボットアーム、位置決めシステム及び制御システムを含み、位置決めシステムは、ロボットアームの空間方位情報を位置決めるために用いられ、制御システムは、空間方位情報に基づいてロボットアームの運動を制御するために用いられ、制御システムは第2の態様のいずれかのロボットアーム運動制御システムである。
【0018】
上記方法及びシステムにおいて、必要に応じて、第1の入力装置と第2の入力装置を異なるオペレータの制御範囲内に配置することができる。例えば、第1のオペレータは、第1の入力装置を制御して入力を行い、第2のオペレータは、第2の入力装置を制御して入力を行う。このように異なるキャラクターが異なる入力を行うことを可能にすることにより、ロボットアームが異なる段階で異なる動作を実行するように制御することができる。各キャラクターは、自身に必要な入力のみに注目することができ、全フローの入力操作を熟知する必要がなく、フローの流暢さの向上に可能性を与える。
【図面の簡単な説明】
【0019】
以下に図面を参照して本願の例示的な実施例の特徴、利点及び技術的効果を説明する。図面において、同じ部材は同じ符号を使用する。図面は実際の比率に応じて描かれていない。
【
図1】ロボットアームを使用して外科手術を行うシーン概略図である。
【
図2】本願の実施例が提供するロボットアームの運動制御方法のフローチャートである。
【
図3】本願の実施例が提供するグラフィカルユーザインタフェースの概略図である。
【
図4】本願の実施例が提供するロボットアーム運動制御システムの構造概略図である。
【
図5】本願の実施例が提供する第2の入力装置の構造概略図である。
【符号の説明】
【0020】
P 手術台
AM ロボットアーム
E 末端アクチュエータ
K 揺動鋸
A 制御コンピュータ
I 画像表示装置
V0 第3のインタフェース
V1 第1のインタフェース
V2 第2のインタフェース
10 第1の入力装置
20 第2の入力装置
21 左上キー
22 右上キー
23 メインキー
30 コントローラ
31 グラフィカルユーザインタフェース
0、1、2、3、4、5、6 刃位置選択ボタン
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本願の各態様の特徴及び例示的な実施例について詳細に説明する。以下の詳細な説明において、多くの具体的な詳細を提供し、それにより本願の全面的な理解を提供する。しかしながら、当業者にとって、本願はこれらの具体的な細部のうちのいくつかの細部を必要とせずに実施することができる。以下に実施例の説明は、単に本願の例示を示すことにより本願のよりよい理解を提供する。図面及び以下の説明において、少なくとも部分的な公知の構造及び技術は示されず、それにより本願に不必要なぼやけを回避する。また、明確にするために、一部の構造のサイズを誇張している可能性がある。また、以下に説明された特徴、構造又は特性は、任意の適切な方式で一つ以上の実施例に結合することができる。
【0022】
説明すべきものとして、本明細書において、第1の及び第2のなどのような関係用語は一つのエンティティ又は操作を他のエンティティ又は操作と区別するために用いられ、必ずしもこれらのエンティティ又は操作の間にいかなるこのような実際の関係又は順序が存在することを要求するか又は暗示するものではない。また、「備える」、「含む」という用語又はその任意の他の変形は非排他的な包含をカバーすることを意図し、それにより一連の要素を含む過程、方法、物品又は装置はそれらの要素を含むだけでなく、明確に列挙されない他の要素を含み、又はこのような過程、方法、物品又は装置に固有の要素を含む。より多くの制限がない場合に、「……を含む」により限定された要素は、前記要素を含む過程、方法、物品又は装置において他の同じ要素が存在することを排除しない。
【0023】
本願は、ロボットアームの運動制御方法を提供し、操作フローを最適化することができる。ロボットアームの末端はアクチュエータを搭載するために用いられ、アクチュエータは電動駆動装置であってもよく、アクチュエータには例えばドリル又は鋸等の工具を搭載することができる。運動制御方法は、グラフィカルユーザインタフェースにより第1の入力装置により入力された第1の制御指令を受信し、第1の制御指令はロボットアームが第1の動作モードに応じて運動するように制御するために用いられることと、グラフィカルユーザインタフェースにより第1の入力装置又は第2の入力装置の第2の制御指令を受信し、第2の制御指令はロボットアームが第2の動作モードに進入するように制御するために用いられることと、第2の入力装置により第3の制御指令を入力し、第3の制御指令はアクチュエータが所定の運動を実行するように制御するために用いられることと、を含み、ここで、第1の入力装置と第2の入力装置とは互いに分離されており、又は互いに分離できるように設置される。
【0024】
上記制御方法において、必要に応じて、第1の入力装置と第2の入力装置を異なるオペレータの制御範囲内に配置することができる。例えば、第1のオペレータは第1の入力装置を制御して入力を行い、第2のオペレータは第2の操作装置を制御して入力を行う。このように異なるキャラクターが異なる入力を行うことを可能にすることにより、ロボットアームが異なる段階で異なる動作を実行するように制御し、各キャラクターは自身に必要な入力のみに注目することができ、全フローの入力操作を熟知する必要がなく、フローの流暢さの向上に可能性を与える。また、既存のグラフィカルユーザインタフェースを利用して入力インタフェースを提供することができ、オペレータは、入力過程においてグラフィカルユーザインタフェースからの文字図形の提示を参照にし、正確に入力しやすい。
【0025】
図1~
図3を参照すると、
図1は、ロボットアームを使用して外科手術を行うシーン概略図を示し、
図2は、本願の実施例が提供するロボットアームの運動制御方法のフローチャートを示し、
図3は本願の実施例が提供するグラフィカルユーザインタフェースの概略図である。
【0026】
本願の実施例が提供するロボットアームの運動制御方法は、外科手術システムのロボットアームに適用することができ、説明を容易にするために、本願の実施例は全膝関節置換手術を例として説明する。
【0027】
図1に示すように、患者は、手術台P上に横たわり、ロボットアームAMの末端に末端アクチュエータEが搭載され、末端アクチュエータEの遠位端に揺動鋸Kが搭載され、揺動鋸Kは切断操作を実行することができる。ロボットアームAMの末端は、患者の患部付近に位置している。手術台Pから遠い位置に制御コンピュータAが設置され、制御コンピュータAは、必要な情報を表示しかつグラフィカルユーザインタフェースを提供するための画像表示装置I及びキーボード、マウスなどの入力装置を含む。第1のオペレータは、手術台Pの隣に位置し、かつロボットアームAMの隣に位置してロボットアームを直接接触し操作することができる。第1のオペレータが立つ位置の近傍に入力装置(図示せず)が設置されてもよく、入力装置は
図5に示すような第2の入力装置20であってもよく、具体的には機械的ペダル装置であってもよく、メインキー23、左上キー21及び右上キー22を含むことができる。第2の入力装置20は、ケーブルを介して制御コンピュータAと情報伝達可能に接続されている。第2のオペレータは制御コンピュータAの隣で、表示装置Iに表示されたグラフィカルユーザインタフェースを介して操作することができる。
【0028】
全膝関節置換手術は、一般的に膝関節に対し六回の異なる位置の骨切り操作を行う必要があり、毎回の骨切りの前に揺動鋸Kを計画された骨切り平面と重ね合わせる必要がある。いくつかの位置合わせ操作方法において、手動でロボットアームを引っ張って揺動鋸Kを計画された骨切り平面と重ね合わせる。具体的には、手術システムは、揺動鋸Kと計画された骨切り平面との間の相対的な位置関係をリアルタイムに取得することができ、かつ両者の相対的な位置関係を可視化(例えば、デジタル三次元モデルで表示する)することができる。ロボットアームを手動で引っ張って移動させ、かつ表示装置に表示された相対的な位置関係を参照してロボットアームの方位を調整する。表示装置が位置合わせを表示した後、手動でロボットアームを現在位置にロックする。
【0029】
本願の提供するロボットアームの制御方法では、ロボットアームが第1の入力装置により入力された第1の制御指令を受信し、ロボットアームを第1の動作モードに応じて動作させ、すなわち、ロボットアームが自体の動力及びシステムナビゲーションの案内により自動的に初期位置から骨切り位置に到達する。骨切り位置に到達した後、ロボットアームは第2の入力装置の第2の制御指令を受信し、かつ第2の動作モードに進入し、すなわち、ロボットアームの末端の動作範囲を一つの平面内に限定し、動作方式は該平面内のみで平行移動しかつ該平面の法線の周りに回転することであり、又、外力(例えばオペレータの押し引き)を受けて駆動する時に上記動作方式に応じて動作することができる。
【0030】
具体的には、第1の入力装置は、マウス又はキーボードであってもよく、
図1に示す制御コンピュータAの隣に設置されてもよく、第1のオペレータにより操作される。第1のオペレータは医師助手、看護士又は機器管理者であってもよい。第1の制御指令は、マンマシンインタラクションインタフェースを介して制御コンピュータに入力され、さらに制御コンピュータにより、ロボットアームに送信される。より具体的には、制御コンピュータは上位機であり、ロボットアームは下位機としての産業用制御コンピュータにより直接的に制御され、第1の制御指令は上位機により下位機に送信され、下位機はロボットアームの移動を制御する。グラフィカルユーザインタフェースは
図3に示すような第1の制御インタフェースセットを含み、第1の制御インタフェースセットは、第1のインタフェースV1及び第2のインタフェースV2を含む。第1のインタフェースV1及び第2のインタフェースV2は仮想ボタンであり、マウスで制御するカーソルは、仮想ボタンをクリックするか又は押して指令を入力することができ、クリック又は押しの操作に所定の制御指令が対応する。例えば、「第1のインタフェースV1を押す」との操作に対応する指令は第1の制御指令であり、該指令に対応する運動はロボットアームAMの末端が予定経路に応じて移動することであり、これに基づいて「第1のインタフェースV1を緩める」との操作に対応することが「運動の停止」という第4の制御指令である。又は、「第1のインタフェースV1をクリックする」との操作に対応する制御指令に対応する運動は、ロボットアームAMの末端が予定経路に応じて移動することであり、これを基として、「第2のインタフェースV2をクリックする」との操作に対応する第4の制御指令は、ロボットアームが現在の運動を停止するように制御することができる。
【0031】
第2の入力装置は、機械的なペダル装置であってもよく、機械的なペダル装置は機械的ボタンを含む。第2の入力装置は手術台Pの隣に設置されてもよく、ロボットアームAMの制御者による踏み込み操作を容易にする。ロボットアームAMが骨切り位置に到達する時、第2の入力装置により入力された第2の制御指令を受信し、第2の動作モードに進入する。第2の入力装置を操作して入力操作を行う操作者は、ロボットアームAMを直接的に押すもの、例えば執刀医であってもよい。具体的な操作として、機械的なペダルの一つのボタン、例えば
図5に示す左上キー21を踏んでもよい。いくつかの選択可能な実施例において、グラフィカルユーザインタフェースを介して第1の入力装置により入力された制御指令を受信して、ロボットアームが第2の動作モードに進入するように制御することができる。例えば、
図3に示すように、マウスでカーソルを操作して第1のインタフェースV1を押して、ロボットアームAMを第1の動作モードに応じて運動させ、ロボットアームAMが所定の位置に就いた後、さらにマウスによりカーソルを操作して、第2のインタフェースV2を押し、制御コンピュータは該動作に対応する制御指令を受信し、ロボットアームAMが第2の動作モードに進入するように制御する。
【0032】
オペレータがロボットアームAMを支持した後、ロボットアームは第2の入力装置により入力された第3の制御指令を受信し、アクチュエータEは所定の動作を実行し始め、所定の動作は揺動鋸Kが所定の周波数及び振幅に応じて揺動し始めることであってもよい。第2の入力装置を操作して第3の制御指令を入力する操作者は、ロボットアームAMを直接的に押すもの、例えば執刀医であってもよい。具体的な操作として、機械的なペダルの一つのボタン、例えば
図5に示すようなメインキー23を踏んでもよい。メインキー23が緩められる場合、制御コンピュータAは該動作の電気信号を検出し、かつ該信号に対応する制御指令をロボットアームAMに送信することができ、制御アクチュエータEは、上記した所定の動作を停止する。いくつかの選択可能な実施例において、第1の制御インタフェースセットは一時的であり、すなわち、所定の条件を満たす時のみに現れる。例えば、制御コンピュータが、予備制御指令を受信した場合のみに、第1の制御インタフェースは表示される。予備制御指令は、グラフィカルユーザインタフェースを介して受信されてもよく、
図3に示すように、グラフィカルユーザインタフェースは第3のインタフェースV0を含み、マウスカーソルにより第3のインタフェースV0をクリックして第1の予備制御指令を入力し、グラフィカルユーザインタフェースに新たな制御インタフェース、例えば「医師助手操作」及び「専門医師操作」のオプションボタンを生成する。さらにマウスカーソルにより「医師助手操作」ボタンをクリックして選択することで第2の予備制御指令を入力し、第1のインタフェースV1及び第2のインタフェースV2を呼び出す。他のいくつかの選択可能な実施例において、予備制御指令は、さらに第3の制御指令の実行が終了した信号であってもよい。他のいくつかの選択可能な実施例において、ロボットアームが第1の制御指令を実行する時、末端アクチュエータは第3の制御指令を実行できないように設置され、それによりロボットアームが移動する時に末端アクチュエータがオンになることにより危険が発生することを防止する。
【0033】
ナビゲーションシステムは、ロボットアームに設けられたロボットアーム追跡装置と、患者の体に設けられた患者追跡装置と、位置決め装置とを含む。患者追跡装置は、計画された骨切り平面方位情報を指示することができ、ロボットアーム追跡装置は、揺動鋸Kの方位情報を指示することができ、位置決め装置は、上記方位情報を取得して制御コンピュータに伝送することができる。制御コンピュータは、ロボットアームが予定経路に従って骨切り平面へ移動するように制御し、かつ移動過程において両者の相対的な方位関係を絶えず比較し、両者が重なるまで継続する。追跡装置は、所定の相対位置を有する少なくとも三つの光源を含み、光源は能動光源(例えば発光ダイオード)であってもよく、受動光源(例えば赤外線反射ボール)であってもよい。位置決め装置は、両眼カメラであってもよく、追跡装置の光信号を受信し、かつ追跡装置の空間方位情報を位置決めることができる。
【0034】
図4及び
図5に示すとおり、
図4は本願の実施例が提供するロボットアーム運動制御システムの構造概略図であり、
図5は本願の実施例が提供する第2の入力装置の構造概略図である。
【0035】
ロボットアーム運動制御システムは、ロボットアームの運動を制御するために用いられ、ロボットアームの末端はアクチュエータを搭載するために用いられる。ロボットアーム運動制御システムは、グラフィカルユーザインタフェース31を有するコントローラ30、第1の入力装置10及び第2の入力装置10を含む。ここで、グラフィカルユーザインタフェース31は、第1の入力装置10から入力された第1の制御指令を受信するために用いられ、第1の制御指令はロボットアームが第1の動作モードに応じて運動するように制御するために用いられ、グラフィカルユーザインタフェース31はさらに第1の入力装置10又は第2の入力装置20の第2の制御指令を受信するために用いられ、第2の制御指令はロボットアームが第2の動作モードに進入するように制御するために用いられ、第2の入力装置20は第3の制御指令を入力するために用いられ、第3の制御指令はアクチュエータが所定の運動を実行するように制御するために用いられ、第1の入力装置10と第2の入力装置20とは互いに分離され、それぞれ手術室の異なる位置に配置されてもよい。
【0036】
第1の入力装置10は、マウスであってもよく、それに対応するカーソルはグラフィカルユーザインタフェース31に表示されてもよく、配置された位置は
図1における画像表示装置I又は制御コンピュータAの近傍であってもよい。
【0037】
第2の入力装置10は、
図5に示す機械的ペダル装置であってもよく、ケーブルにより、コントローラ30と通信可能に接続され、手術台Pの周囲に配置されてもよい。
【0038】
コントローラ30は、制御コンピュータA又は制御コンピュータAにおける制御ユニットであり、グラフィカルユーザインタフェース31は制御コンピュータAの入出力インタフェースであり、画像表示装置Iにより表示される。コントローラ30は、ロボットアームAMに制御指令を出力してもよい。
【0039】
ここで、第1の制御指令、第2の制御指令、第3の制御指令及び第4の制御指令の入力方法は上記した制御方法の実施例における入力方式と一致してもよく、各制御指令に対応するロボットアームの運動方式も上記した実施例における説明を参照することができる。
【0040】
いくつかの選択可能な実施例において、第1の入力装置10は、第2の制御指令を入力することができる。
【0041】
いくつかの選択可能な実施例において、第1の入力装置10はさらに音声入力モジュールであってもよい。オペレータは、音声入力モジュールによりコントローラ30に音声指令を入力することができ、グラフィカルユーザインタフェース31は対応する指令を受信して対応する一つ又は複数の入力インタフェース(例えば仮想キー)を生成し、さらに他の音声指令又は他の入力装置により必要な入力インタフェースを選択し、入力を完了する。音声入力モジュールは、制御コンピュータAの操作者による入力を容易にするために、制御コンピュータAの近くに設けられてもよいし、所定の者による入力を可能にするために、他の位置に設けられてもよい。
【0042】
他のいくつかの選択可能な実施例において、第1の入力装置は、さらに機械キー、ジョイスティック又は無線リモコンであってもよく、任意の位置に設置することができる。
【0043】
他のいくつかの選択可能な実施例において、第2の入力装置は、さらにジョイスティック、機械キー又は無線リモコンであってもよく、第2の入力装置は、ロボットアーム、手術ベッドの隣又は手術室床面に設置されてもよく、ロボットアームを操作する主治医が操作しやすいようにすればよい。
【0044】
制御システム又は制御方法を使用する具体的なステップの例は以下の説明を参照する。
図3に示すように、刃位置選択ボタン0は、切断待ち位置選択ボタンであり、マウスカーソルでクリックして選択し、又は他の入力装置から入力された指令により該ボタンを選択する時、ロボットアームの末端は予め設定された位置に移動することができる。刃位置選択ボタン1~6は、膝関節置換術における6つの骨切り位置選択ボタンに対応する。手術操作において、まず第3のインタフェースV0をクリックして選択することができ、グラフィカルユーザインタフェースに「医師助手操作」及び「専門医師操作」の選択ボタンが現れられ、さらに「専門医師操作」のボタンを選択し、グラフィカルユーザインタフェースに第1のインタフェースV1及び第2のインタフェースV2が現れられる。所望の骨切り位置を選択し、例えば刃位置選択ボタン1をクリックして選択し、次にマウスで第1のインタフェースV1を押し、ロボットアームは切断待ち位置から第1の動作モードで所定の経路に応じて刃位置選択ボタン1に対応する骨切り位置に移動する。ロボットアームが該位置に到達した後、さらに第2のインタフェースV2をクリックして選択し、対応する制御指令によりロボットアームを第2の動作モードに進入させ、医師はロボットアームを保持することができ、次に
図5に示す第2の入力装置におけるメインキー23を踏み込み、末端アクチュエータEの揺動鋸Kを揺動させ、医師はロボットアームを押して移動して骨切りを開始する。
【0045】
本願は、ロボットアームと、制御システムと、位置決めシステムとを含む外科手術システムをさらに提供し、位置決めシステムは、ロボットアームの空間方位情報を位置決めるために用いられ、制御システムは、空間方位情報に基づいてロボットアームの運動を制御するために用いられ、制御システムは上記した実施例のいずれかに記載のロボットアーム運動制御システムである。
【0046】
本願の提供するロボットアーム制御方法、システム及び外科手術システムは、異なるキャラクターが異なる入力装置によりロボットアームの異なる段階での運動を制御することを可能にし、それにより各キャラクターが自身のキャラクターに対応する操作のみに注目することができ、操作フロー全体を熟知する必要がなく、操作過程の流暢さを向上させることに役立つ。
【0047】
好ましい実施例を参照して本願を説明したが、本願の範囲から逸脱することなく、それに様々な改良を行うことができ、かつ等価物でその中の部材を取り替えることができる。特に、構造衝突が存在しない限り、各実施例に言及された各技術的特徴はいずれも任意の方式で組み合わせることができる。本願は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されるものではなく、請求の範囲内に属する全ての技術案を含む。