(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】ワーク反転装置及びそのワーク反転方法
(51)【国際特許分類】
B65G 7/08 20060101AFI20240705BHJP
B65G 47/248 20060101ALI20240705BHJP
B23Q 7/00 20060101ALN20240705BHJP
【FI】
B65G7/08 C
B65G47/248 F
B23Q7/00 D
(21)【出願番号】P 2019157334
(22)【出願日】2019-08-29
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】596037194
【氏名又は名称】パスカルエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134131
【氏名又は名称】横井 知理
(74)【代理人】
【識別番号】100092738
【氏名又は名称】吉田 昌司
(72)【発明者】
【氏名】北浦 一郎
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-114361(JP,A)
【文献】実開昭57-003724(JP,U)
【文献】実開昭62-194608(JP,U)
【文献】実開平04-034213(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 7/08
B65G 47/248
B23Q 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークWを水平軸心周りに90度反転可能な水平反転部1と、該水平反転部1により反転されたワークWを垂直軸心周りに反転可能な垂直反転部2とを隣接して備
え、
前記水平反転部と垂直反転部は、共通の基台に設けられ、
前記水平反転部は、互いに直交するワーク当接面を水平状態と垂直状態とに位置変更可能に有し、
前記垂直反転部は、前記水平状態のワーク当接面に接続される水平状態のワーク載置面を有するワーク反転装置。
【請求項2】
前記水平反転部は、前記基台に水平軸心周り回動自在に設けられた回転体を有し、該回転体に前記ワーク当接面が設けられている請求項1記載のワーク反転装置。
【請求項3】
前記ワーク載置面にフリーローラが配置されている請求項1又は2記載のワーク反転装置。
【請求項4】
前記ワーク載置面に回転テーブルが設けられている請求項1又は2記載のワーク反転装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一つに記載のワーク反転装置を用い、
前記水平反転部でワークを90度反転させる第1反転工程と、
前記垂直反転部で前記ワークを90度又は180度反転させる第2反転工程と、
前記水平反転部で前記ワークを90度反転させる第3反転工程とを有するワーク反転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金型などのワークを反転させるワーク反転装置及びそのワーク反転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークを180度反転させる反転装置として特許文献1(特開平11-49317号公報)や特許文献2(特開2018-199151号公報)に記載のものがある。
【0003】
またワークを90度反転させるものとして特許文献3(特開2019-43703号公報)に記載のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-49317号公報
【文献】特開2018-199151号公報
【文献】特開2019-43703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ワークを180度反転させようとするときには、特許文献3に記載の90度反転機を用いて反転させることはできない。
一方、特許文献1や2記載の180度反転装置は、構造が複雑で高価である。
【0006】
そこで、本発明は、特許文献3に記載のような90度ワーク反転装置のような簡単な構造を用いつつも、ワークを180度反転させることができる、構造簡単なワーク反転装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、次の手段を講じた。即ち、本件発明のワーク反転装置は、ワークを水平軸心周りに90度反転可能な水平反転部と、該水平反転部により反転されたワークを垂直軸心周りに反転可能な垂直反転部とを隣接して備え、前記水平反転部と垂直反転部は、共通の基台に設けられ、前記水平反転部は、互いに直交するワーク当接面を水平状態と垂直状態とに位置変更可能に有し、前記垂直反転部は、前記水平状態のワーク当接面に接続される水平状態のワーク載置面を有するものである。
【0010】
前記水平反転部は、前記基台に水平軸心周り回動自在に設けられた回転体を有し、該回転体に前記ワーク当接面が設けられているのが好ましい。
【0011】
前記ワーク載置面にフリーローラが配置されているのが好ましい。
【0012】
前記ワーク載置面に回転テーブルが設けられていても良い。
【0013】
本発明のワーク反転方法は、上記のワーク反転装置を用い、前記水平反転部でワークを90度反転させる第1反転工程と、前記垂直反転部で前記ワークを90度又は180度反転させる第2反転工程と、前記水平反転部で前記ワークを90度反転させる第3反転工程とを有する。
【発明の効果】
【0014】
本件発明によれば、構造簡単な90度反転装置で、ワークを180度反転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態に係るワーク反転装置の正面図。
【
図5】本発明の作業方法の実施の形態を示す第1反転工程の説明図。
【
図9】本発明の他の実施の形態を示すワーク反転装置の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。まず、
図1~
図4において、ワーク反転装置は、ワークを水平軸心周りに90度反転可能な水平反転部1と、水平反転部1により反転されたワークを垂直軸心周りに反転可能な垂直反転部2とを隣接して備えている。水平反転部1と垂直反転部2は、共通の基台3に設けられている。
【0017】
水平反転部1は、互いに直交するワーク当接面4を水平状態と垂直状態とに位置変更可能に有する。水平反転部1は、基台3に水平軸心周り回動自在に設けられた回転体5を有する。この回転体5にワーク当接面4が設けられている。
【0018】
図1に示すように、ワーク当接面4は、第1面4aと第2面4bがL形に設けられている。第1面4aと第2面4bは同形の正方形に形成されているが、このような形状に限定されるものではない。第1面4aが水平状態のとき、第2面4bは垂直状態である。
【0019】
回転体5は、第1面4aと第2面4bを支持している。回転体5は、その外周面が円弧面に形成されている。この円弧面の下面を支持する支承ローラ(図示省略)が基台3に設けられている。
【0020】
図2及び
図4に示すように、回転体5は、左右一対設けられてワーク当接面4を支持する。この回転体5を水平軸心周りに回動させる駆動装置(図示省略)が基台3に設けられている。
【0021】
図1の第1面4aが水平状態から、駆動装置により、回転体5を水平軸心周りに90度回転させると、第1面4aは垂直状態となり、第2面4bが水平状態となる。
【0022】
ワーク当接面4の第2面4bが水平状態において、垂直反転部2は、ワーク当接面4bに接続される水平状態のワーク載置面6を有する。ワーク載置面6は基台3に固定されている。ワーク載置面6は、第1面4aまたは第2面4bとほぼ同じ大きさとされている。
【0023】
垂直反転部2は水平状態の第2面4bに連接するように設けられているが、水平状態の第1面4aに連接するように設けられていても良い。垂直反転部2は水平反転部1の片側に設けたものに限らず、両側に設けられていても良い。
【0024】
基台3は一体構造に限らず、水平反転部1と垂直反転部2とを個々に設けた別体構造であっても良い。
【0025】
図5~
図8において、上記ワーク反転装置を用いてワークWを反転させる方法を説明する。
図5に示すように、ワークWをクレーン等で吊り持ちして、水平反転部1のワーク当接面4の第1面4a上に下ろす。ワークWは、その上面に凹部7が形成された直方体である。ワークWの下面を第1面4aに当接させ、ワークWの右側面を第2面4bに当接させる。この状態で、回転体5を90度矢印方向に回転させる。以上の工程を「第1反転工程」という。
【0026】
図6に示すように、90度反転後、ワークWを垂直反転部2のワーク載置面6上に移動させる。この移動は、手動で行っても良く、クレーン等の持ち上げ装置を利用して移動させても良い。手動で移動可能な軽量物の場合、ワーク当接面4とワーク載置面6は同一水平面上に位置するのが良いが、重量物でクレーン等の移動装置を用いる場合は、両者間に段差があってもよい。
【0027】
ワークWを垂直反転部2において垂直軸心周りに180度反転させる。この反転は、軽量物の場合は手動で行い、重量物の場合は、クレーン等で吊り下げた状態で行われる。以上の工程を「第2反転工程」という。
【0028】
図7に示すように、垂直反転部2で180度反転されたワークWを水平反転部1に移動させる。ワークWの凹部7を有する面を、第1面4aに当接させる。この状態で、図示矢印方向に水平反転部1を90度回転させる。
【0029】
図8に示すように、この90度回転により、第1面4aは最初の水平状態に戻り、この第1面4aにワークWの凹部7を有する面が載置された状態になる。すなわち、ワークWは、
図5に示す凹部7が上方を向いた状態から180度反転して凹部7が下方を向いた状態になる。以上の工程を「第3反転工程」という。
【0030】
しかして、この実施の形態では、90度反転装置を用いてワークを180度反転させることができる。
【0031】
なお、前記第2反転工程でワークWを垂直軸心周りに180度反転させたが、90度反転でもよい。90度反転の場合は、第5図におけるワークWの前面又は後面が、第3反転工程の後に、
図8において、下面側になる。
【0032】
第5図におけるワークWの前面又は後面が下面になるようワークの姿勢を変更しようとする場合、クレーンで吊り下げてひっくり返す危険な作業を行うことなく、90度反転装置を用いて安全に姿勢変更することができる。
【0033】
図9、
図10に示すものは、本発明の他の実施の形態である。垂直反転部2において、ワーク載置面6内に回転テーブル8が設けられている。この回転テーブル8は垂直軸心周りに回転するものである。この回転テーブル8は、昇降装置9により昇降自在とされている。回転テーブル8の上面がワーク載置面6より上方に移動可能とされている。回転テーブル8は、駆動式又は遊転式の何れであっても良い。
【0034】
水平反転部1のワーク当接面4から垂直反転部2のワーク載置面6上に移動されたワークWは、回転テーブル8の上昇及び回転によりその姿勢を90度又は180度変更自在とされている。姿勢変更後、回転テーブル8は下降し、ワークWをワーク載置面6に下ろす。その後、ワークWは水平反転部1のワーク当接面4上に移動させられる。
【0035】
なお、図示省略するが、ワーク載置面6にフリーローラが配置されたものであっても良い。フリーローラによりワークWの水平移動および垂直軸周りの回転を容易とする。
【0036】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。
【0037】
本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0038】
1 水平反転部
2 垂直反転部
3 基台
4 ワーク当接面(4a:第1面、4b第2面)
5 回転体
6 ワーク載置面
7 ワークの凹部
8 回転テーブル
9 昇降装置
W ワーク