(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】レーザーダイオード照明を備えたニアアイディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20240705BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20240705BHJP
G09G 3/34 20060101ALI20240705BHJP
G09G 3/36 20060101ALI20240705BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G09G3/20 680A
G09G3/20 680C
G09G3/20 611H
G09G3/34 J
G09G3/20 642J
G09G3/20 642A
G09G3/36
H04N5/64 511A
(21)【出願番号】P 2019550144
(86)(22)【出願日】2019-09-08
(86)【国際出願番号】 IL2019051003
(87)【国際公開番号】W WO2020049574
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2022-08-19
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518010049
【氏名又は名称】ルムス エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】Lumus Ltd.
【住所又は居所原語表記】8 Pinchas Sapir Street, 7403631 Ness Ziona, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダンジガー,ヨチャイ
(72)【発明者】
【氏名】クリキ,ローネン
(72)【発明者】
【氏名】リヴネ,ニツァン
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/211074(WO,A1)
【文献】特開2014-225725(JP,A)
【文献】特表2009-516862(JP,A)
【文献】特開2017-125905(JP,A)
【文献】特開2011-039490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01-27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
観測者の目に画像を投影するためのニアアイディスプレイであって:
(a)平面かつ相互に平行である第1及び第2の主な外部表面を有する導光光学素子(LOE)と;
(b)画像に対応する照明を投影するための画像プロジェクターであって、前記画像プロジェクターは、前記第1及び第2の主な外部表面で内部反射によって前記LOE内に伝播するために前記LOEの中へ照明を取り入れるように、前記LOEに光学的に連結され、(i)少なくとも1つの光生成レーザーダイオード、及び
(ii)光を生成するために前記
光生成レーザーダイオードを起動するための制御装置を含む、前記画像プロジェクターと;及び
(c)カップリングアウト構成であって、前記LOEから観測者の目に向かって照明をカップリングアウトするために、前記第1の主な外部表面に対して斜角で前記LOEに関連した複数の相互並行、部分反射表面を含み、前記複数の部分反射表面の隣接面間に間隔を有する、前記カップリングアウト構成と、を含み、
前記光生成レーザーダイオードは、ダイオード起動電力の作用として生成した光のコヒーレンス長のばらつき特性を有し、
前記照明は前記第1及び第2の主な外部表面において全内部反射によって前記LOE内を伝播し、
前記制御装置は前記複数の部分反射表面の隣接面間の前記間隔の2倍未満のコヒーレンス長で光を生成するダイオード起動電力のあるレベルで前記
光生成レーザーダイオードを起動するように構成され
、
前記画像プロジェクターは、前記光生成レーザーダイオードによって生成された光の経路に配置された経路増幅反射構成をさらに含み、前記経路増幅反射構成は、全反射鏡と、前記全反射鏡に対して平行に配備され、かつ前記全反射鏡からコヒーレンス長の半分以上の間隔を置かれた少なくとも1つの部分反射鏡、又は拡散体層とを含む、ことを特徴とするニアアイディスプレイ。
【請求項2】
前記制御装置は、前記作用の最高値に対応する前記ダイオード起動電力の少なくとも1つのレベルを除外した、少なくとも1つの値の範囲に渡って前記ダイオード起動電力のレベルを変化するように構成される、請求項1に記載のニアアイディスプレイ。
【請求項3】
前記制御装置は、前記コヒーレンス長が閾値以下に存在する値の少なくとも1つの範囲に渡って前記ダイオード起動電力のレベルを変化するように構成される、請求項1に記載のニアアイディスプレイ。
【請求項4】
前記ダイオード起動電力のレベルは前記作用の最低値に近位である、請求項1に記載のニアアイディスプレイ。
【請求項5】
前記ダイオード起動電力のレベルは、前記
光生成レーザーダイオードの公称最大電力定格より大きい、請求項1に記載のニアアイディスプレイ。
【請求項6】
前記複数の部分反射表面は、前記LOE内の内部に位置される、請求項1に記載のニアアイディスプレイ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの光生成レーザーダイオードは、可視光線の異なる色を生成する、少なくとも3つの光生成レーザーダイオードとして実行される、請求項1に記載のニアアイディスプレイ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの光生成レーザーダイオードは、前記画像プロジェクターの画像面に配備された空間光モジュレータの少なくとも一部を照らすために配備される、請求項1に記載のニアアイディスプレイ。
【請求項9】
前記制御装置は輝度調節を実行するように構成され、及び前記輝度調節の少なくとも一部は前記
光生成レーザーダイオードによって生成された光のパルスのパルス幅変調を使用して実行される、請求項1に記載のニアアイディスプレイ。
【請求項10】
前記画像プロジェクターは、前記プロジェクターの画像面にわたる前記
光生成レーザーダイオードからの照明をスキャンするために構成されたスキャニング構成をさらに含む、請求項1に記載のニアアイディスプレイ。
【請求項11】
前記画像プロジェクターは、前記スキャニングと同期する前記画像プロジェクターからの前記
光生成レーザーダイオード出力からの光の出力強度を変化させるために配備された、電気的に切り替え可能な光減衰器をさらに含む、請求項10に記載のニアアイディスプレイ。
【請求項12】
前記光生成レーザーダイオードによって生成された光が前記拡散体層を通り、前記反射鏡から反射され、かつ前記拡散体層を再び通る、請求項1に記載のニアアイディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の分野及び背景
本発明はニアアイディスプレイに関連し、特に1つ以上のレーザーダイオードが照明源として使用されるニアアイディスプレイに関する。
【0002】
ユーザーの目の前に置かれた透明な導光光学素子(LOE)あるいは「導光路」を用いるニアアイディスプレイを提供することは公知である。画像プロジェクターからの画像はLOEの中へ取り入れられ、ユーザーの目の前の領域に対する内部反射によってLOE内に伝達され、画像はユーザーの目に向けた適切な出力カップリング機構によってLOEから結合される。出力カップリング機構は、角度をつけた斜めの部分反射鏡の、またはLOEに典型的には埋め込まれている「面」のアレイに基づいても良く、あるいは回折パターンを用いても良い。
【0003】
画像プロジェクターは、2つの手法のうちの1つを典型的に用いる。第1の手法によれば、照明源は、liquid-crystal-on-silicon(LCOS)チップなどの送られる各画素の照明強度を変調する空間光モジュレータの表面を照らす。あるいは、細かい照明ビームの強度は、各画素において必要取られる照度基準を与えるために、画像画素をスキャンするように指示されるように変調されても良く、よって画層が形成される。
【0004】
カラーディスプレイは3つのカラーを組み合わせることにより形成される:赤、緑及び青(RGB)であり、各々は異なる光源によって生成され、次第に、それによってRGBカラー画像の視覚印象を生成する。カラーレーザーの相対的な能力は、典型的に白色の認識を与えることである。システムの最大出力は最大の白色電力として画定される。
【0005】
レーザーダイオードは、それらの小さなフォームファクタ及び高出力のために、ニアアイディスプレイの画像プロジェクターでの使用における、潜在的に効果的な照明源である。しかしながら、レーザーダイオードによって生成された光のコヒーレンスは、例えば、観察される画像の質に影響を与える「斑点」として知られる観察可能な人工物の生成等の、干渉関連の人工物を起こす傾向があることが分かった。
【発明の概要】
【0006】
本発明はニアアイディスプレイである。
【0007】
本発明の実施形態の教示に従って、観測者の目に対して画像を投影するためのニアアイディスプレイが提供され、ニアアイディスプレイは次を含む:(a)平面かつ相互に平行である第1及び第2の主な外部表面を有する導光光学素子(LOE);(b)画像に対応する照明を投影するための画像プロジェクター、該画像プロジェクターは、第1及び第2主な外部表面で内部反射によってLOE内に伝播するためにLOEの中へ照明を取り入れるように、LOEに光学的に連結され、該画像プロジェクターは次を含む:(i)少なくとも1つの光生成レーザーダイオード、及び(ii)光を生成するためにレーザーダイオードを起動するための制御装置;及び(b)カップリングアウト構成であって、LOEから観測者の目に向かって照明を連結するために、第1の主な外部表面に対して斜角でLOEに関連した複数の相互並行、部分反射表面を含み、該カップリングアウト構成は複数の部分反射表面の隣接面間に間隔を有し、光生成レーザーダイオードは、ダイオード起動電力の作用として、生成した光のコヒーレンス長の特性変化を有し、及び、該制御装置は、2倍の間隔未満のコヒーレンス長で光を生成するダイオード起動電力のレベルでレーザーダイオードを起動するように構成される。
【0008】
本発明の実施形態のさらなる特徴に従って、制御装置は、作用の最高値に対応するダイオード起動電力の少なくとも1つのレベルを除外する値の少なくとも1つの範囲を超えてダイオード起動電力のレベルを変化するように構成される。
【0009】
本発明の実施形態のさらなる特徴に従って、制御装置はコヒーレンス長が閾値以下に存在する値の少なくとも1つの範囲を超えてダイオード起動電力のレベルを変化するように構成される。
【0010】
本発明の実施形態のさらなる特徴に従って、ダイオード起動電力のレベルは作用の最低値に近位である。
【0011】
本発明の実施形態のさらなる特徴に従って、ダイオード起動電力のレベルは、レーザーダイオードの公称最大電力定格より大きい。
【0012】
本発明の実施形態のさらなる特徴に従って、複数の部分反射表面は、LOE内の内部に位置される。
【0013】
本発明の実施形態のさらなる特徴に従って、少なくとも1つの光生成レーザーダイオードは、可視光線の異なる色を生成する、少なくとも3つの光生成レーザーダイオードとして実行される。
【0014】
本発明の実施形態のさらなる特徴に従って、少なくとも1つの光生成レーザーダイオードは、画像プロジェクターの画像面に配備された空間光モジュレータの少なくとも一部を照らすために配備される。
【0015】
本発明の実施形態のさらなる特徴に従って、制御装置は輝度調節を実行するように構成され、及び輝度調節の少なくとも一部はレーザーダイオードによって生成された光のパルスのパルス幅変調を使用して実行される。
【0016】
本発明の実施形態のさらなる特徴に従って、画像プロジェクターは、プロジェクターの画像面にわたるレーザーダイオードからの照明をスキャンするために構成されたスキャニング構成をさらに含む。
【0017】
本発明の実施形態のさらなる特徴に従って、画像プロジェクターは、スキャニングと同期する画像プロジェクターからのレーザーダイオード出力からの光の出力強度を変化するために配備された、電気的に切り替え可能な光減衰器をさらに含む。
【0018】
本発明の実施形態のさらなる特徴に従って、画像プロジェクターは、レーザーダイオードによって生成された光の経路に配置された経路増幅反射構成をさらに含み、該経路増幅反射構成は、全反射鏡と全反射鏡に対して平行に配備され並びにコヒーレンス長の半分よりも全反射鏡から間隔を置かれた少なくとも1つの部分反射鏡とを含む。
【0019】
本発明の実施形態のさらなる特徴に従って、画像プロジェクターは、レーザーダイオードによって生成した光の経路に位置された経路増幅拡散体構成をさらに含み、経路増幅拡散体構成は、レーザーダイオードによって生成された光が拡散体層を通り、反射器から反射され、拡散体層を再び通るように、反射鏡と反射鏡に対して平行に配備され並びにコヒーレンス長の半分よりも反射鏡から間隔を置かれた拡散体層とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明は、一例のみが添付図面の参照と共に本明細書に記載される。
【
図1】ニアアイディスプレイの概略等角図であり、本発明の実施形態に従って構築され動作し、照明源として多くのレーザーダイオードを用いる;
【
図2A】
図1のニアアイディスプレイからのレーザーダイオードための出力電力の
作用としてコヒーレンス長の変動を概略的に例示するグラフである;
【
図2B】出力ビームの異なるコヒーレンス度ためのレーザーダイオード出力の空間的な照度分布の略図である;
【
図2C】
図2Aに類似するグラフであり、
図1のニアアイディスプレイにおけるレーザーダイオードの動作ために許容される起動電力レベルを規定するために、最大のコヒーレンス長のしきい値の適用を例示する;
【
図3A】ホワイトバランスを達成するために等しい持続時間サイクルタイムを使用する、3つの異なった着色がされたレーザーダイオードための時間の機能として相対的な起動電力レベルを例示するグラフである;
【
図3B】対応するホワイトバランスを例示する、
図3Aに類似するグラフであり、各レーザーダイオードの全出力を使用かつ各色のそれぞれのサイクルの持続時間を異ならせる;
【
図3C】
図3Bに類似するグラフであり、
図3Bと同じ感知された出力照度を達成するための公称最大電力定格に対して150%の電力レベルの使用を例示する;
【
図3D】
図3Bに類似するグラフであり、パルス幅変調によって得られた50%の感知された照度基準を例示する;
【
図3E】
図3Dに類似するグラフであり、パルス幅変調との各レーザーダイオードのための離散的な好ましい電力レベルの選択を組み合わせることにより得られた50%の感知された照度の実行を例示する;
【
図4A】空間光モジュレータに基づいた
図1のニアアイディスプレイの画像プロジェクターための典型的な光学的構成の側面図である;
【
図4B】レーザーダイオードと空間光モジュレータとの間の複数の光学通路を生成する部分反射鏡の使用を例示する
図4Aから、プリズム反射鏡と及び反射レンズのそれぞれを拡大した表示である;
【
図4C】レーザーダイオードと空間光モジュレータとの間の複数の光学通路を生成する部分反射鏡の使用を例示する
図4Aから、プリズム反射鏡と及び反射レンズのそれぞれを拡大した表示である;
【
図5A】
図4Bに類似する図であり、2つの反射鏡間のレーザーダイオードからの光の入射を例示する;
【
図6】
図4Bに類似する図であり、拡散体層が多重通路効果を生成するために配備される;
【
図7】
図1のニアアイディスプレイの実装の光学部品の概略側面図であり、狭いスキャンビームの変調に基づく画像プロジェクターを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明はニアアイディスプレイである。
【0022】
本発明に係るニアアイディスプレイの原理及び動作は、図と添付の記載を参照することで一層よく理解され得る。
【0023】
はじめに - コヒーレンス長変動
原則として、「斑点」と呼ばれる非画一性のない平坦な画像を生み出すので、非コヒーレント照明はニアアイディスプレイ適用ための好ましい代案となる。非コヒーレンスは空間かつ一時的に関連しない波面の利用によって達成される。
【0024】
レーザー中の内部波面は「モード」と呼ばれ、出力ビームまたは波面としてレーザーから外へ放射する。レーザー中の特定モードの存在はレーザパワー(さらなる電力及びさらなるモード)及びレーザーの長さ(各モードは、特定の長さに周期的に存在する)に左右される。これらのモードは複数の交わる空間的な分布及び波長を典型的には有する。レーザー中でアクティブのモードが多いほど、出力ビームのコヒーレントは小さくなる。
【0025】
レーザー(その他)放射のコヒーレンス度は、放射の「コヒーレンス長」として示されるパラメーターを使用して、定量化される可能性がある。コヒーレンス長は、コヒーレント波が規定されたコヒーレンス度を保つ伝播距離である。干渉波のすべてによって取られた経路がコヒーレンス長未満で異なる場合、電波干渉は強い。反対に、連続的に組み合わせられる異なる光学通路の経路の長さの差がコヒーレンス長以上で異なる場合、干渉効果は典型的に小さい。
【0026】
実験的に査定することができる測定可能なパラメーターにおいて、コヒーレンス長はマイケルソン干渉計を使用して測定可能であり、及び、1/e=37%の縞可視度に相当する自己干渉するレーザビームの光路長差であり、縞可視度Vが次のように画定される場合:
【0027】
【数1】
Iはフリンジパターンを介した強度の最大あるいは最小である。
【0028】
レーザーダイオードは、比較的短い窪み及び少数のアクティブモードを有する傾向があり、並びにアクティブモードの実数は運転条件の機能として変化する。従って、ダイオードレーザー中でコヒーレンス長は数ミリメートルから1ミリメートル未満まで(あるいはセンチメートルまでも)典型的には異なる。
【0029】
供給された電流の変動によってレーザーダイオードに適用されたポンピングパワーを変動させることは、効果的なレーザーコヒーレンス長を変化する。
図2Aは、(入力ポンプパワーに単調に関連づけられる)出力電力の
作用としてのコヒーレンス長の例を示す。
【0030】
コヒーレンス長は、レーザー中でアクティブモードの数に対して反対に関連づけられる。低電力(領域(10))で、レーザーは単一モード(長手方向及び側方の)動作に接近し、コヒーレンス長は最大である。電力が増えると、より多くのモードはがアクティブになり、増えた電力でコヒーレンス長の低減の一般的な傾向を与える。高位モードは周期的にアクティブになり、グラフにおいて例示されるように、それによってコヒーレンス長の低減の一般的傾向に付加された波状の機能を発生する。条件が高位モードに対して好ましい場合、それらはアクティブになり、ポイント(14)で例示されるようなコヒーレンス長の局所的最小値を導く。効果的なキャビティ長がこれらのモードに対してそれほど好ましくなくなるところで、それらはインアクティブになり、コヒーレンス長は局所的最大値(12)の方へ増加する。このプロセスは、最も高いレーザー定格電力(ポイント(16))まで周期的に継続する。ダイオード起動電力の
作用としてのレーザーダイオードで生成された生成された光のコヒーレンス長の総合特性の変動は、
図2Aに示されるように、連続的になってもよく、あるいは不連続性を有してもよい。
【0031】
システム概要
図1は、観測者(図示せず)の目に対して画像を投影するための、ニアアイディスプレイ(60)の概要を概略的に例示する。ニアアイディスプレイは導光光学素子(LOE)あるいは「導光路」(62)を含み、平面かつ相互に平行な第1及び第2の主要な外部表面を有する。画像に対応する照明を投影する画像プロジェクター(64)は、LOE(62)に光学的に連結され、それによってLOE中に照明を取り入れ、それによって第1及び第2の主要な外部表面で内部反射によってLOE内に伝播する。LOE(62)に対する画像プロジェクター(64)の光学的結合はあらゆる適切な光結合によって、例えば傾斜して角を成した入力表面でカップリングプリズムを介して、あるいは反射するカップリング機構を介して、LOEの側端面及び/または主要な外部表面の1つを介して達成されてもよい。カップリングイン構成の詳細は本発明にとって重大ではなく、この略図に示されない。
【0032】
画像プロジェクター(64)は、少なくとも1つの光生成レーザーダイオード(66)及び光を発生するためにレーザーダイオードを起動するための制御装置(68)を含み、好ましくは小型の搭載バッテリー(図示せず)あるいは他のいくつかの適切な電源から電力を用いる。画像プロジェクター(64)更に、画像プロジェクターの画像面に配備されるLCOSチップなどの空間光モジュレータを典型的には含み、それによって光生成レーザーダイオードからの光で少なくとも部分的に照らされる。(部分的に照らされただけである場合、共同譲渡PCT特許出願公報WO2019/111237A1に記載等の、LCOSチップの全点灯は付加的なレーザーダイオードの使用によってまたはLCOSにわたる照明領域のスキャニング動作を取り入れることによって達成される。)空間光モジュレータは、画像の各画素の投影された強度を変調し、それによって画像を生成する。あるいは、画像プロジェクターは高速スキャニングミラーを使用して典型的には実行されるスキャニング構成を典型的に含んでもよく、プロジェクターの画像面にわたるレーザーダイオードからの照明をスキャンし、一方でビームの強度は画素ごとの基礎で動作と同期して変動し、それによって各画素のための所望の強度を投影する。いずれの場合も、コリメーティング光学素子は無限にコリメートされる出力投射画像を生成するために提供される。先行技術において公知のように、上記の構成要素のうちのいくつか、あるいはすべては、1つ以上のPBS立方体あるいは他のプリズム構成の表面上に典型的には配置される。
【0033】
制御装置(68)は、先行技術において公知であるように、LCOSあるいは他の画像ジェネレータの起動と同期して、または下記で説明されるレーザーダイオードを起動する少なくとも1つのプロセッサーあるいは処理回路などの電子部品、スキャニングレーザーの実行において、スキャン機構及びあらゆる減衰器と同期する電子機器を含むことが理解される。制御装置は、当業者において既に理解されるように、このように適切なドライバ回路をすべて含み、専用ハードウェア、ASIC、適切なソフトウェアの管理下で動作するメインプロセッサ、あるいはあらゆるハードウェア/ソフトウェア/ファームウェアの組み合わせとして実行される。
【0034】
言及されるように、カップリングイン反射鏡の使用あるいは適切に角を成したカップリングプリズムによって等の、LOE中へ画像を結合するための適切なカップリングイン構造は先行技術において既知である。画像プロジェクターとLOEとの間のカップリングは直接であってもよく、あるいは画像がLOEの平面に導入される開口の寸法の拡張のために構造を拡張する付加的な開口を介してもよい。述べられていない場合を除き、プロジェクター及びカップリングイン構造の両方の詳細はLUMU Ltd.(イスラエル)から市販で入手可能な公知の構造に概して類似し、及び、提示の簡明については、それらは本明細書で概略的にのみ表わされる。
【0035】
ニアアイディスプレイは更に、LOEから観測者によって見られる観測者の目に向けて照明を連結するために配備されたカップリングアウト構造(破線の長方形(70)で概略的に表わされる)を含む。下記で
図7と共に更に説明されるように、カップリングアウト構造は主要外部表面に対して斜角でLOE(62)内に配備された、複数の相互並行で部分反射表面(あるいは「面」)として典型的には実行される。カップリングアウト構造には複数の部分反射表面の隣接面間の間隔を有する。面は、所望の画像だけ(その共役像ではなく)を結合するために、一定角度での高い透過及び他の角度で部分反射を提供するために、典型的には角度依存コーティングを有している。そのような面を含むLOEの様々な実装は、LUMUS Ltd.(イスラエル)から市販で入手可能である。
【0036】
本発明のニアアイディスプレイ(60)は典型的にヘッドマウントディスプレイであり、したがって観測者の目と面する関係における第2の主要外部表面と共に、観測者の頭に対してLOE(62)を支持するために構成された支持構造を好ましくは含む。支持構造は、観測者の耳に対するディスプレイの支持ための側面(72)を含む眼鏡フレーム構造として、
図1に概略的に示される。これはヘッドバンド実装構造、及びヘルメットに組み合わされるディスプレイも含む、多くの選択肢のうちの1つにすぎない。支持構造自体の詳細は、本発明にとって重大でなく、本明細書に詳細に記述されない。本明細書の説明は、ユーザーあるいは「観測者」の1つの目に対して画像をもたらすために適切なディスプレイの構成要素全体に渡って指すが、好ましくは先行技術において公知のように、立体映像構造におけるユーザーの各目ために提供され、適切な画像は各目に表示される。電源、通信サブシステム、センサー、入力装置などの他のハードウェア構成部品が、ニアアイディスプレイに典型的に追加され、先行技術の当業者にとって明らかなように、全てはデバイス設計に従い並びに適用が意図される。
【0037】
レーザーアクティベーションための選択的な電力レベル
本発明の特定の実施形態の態様に従って、制御装置(68)は、ユーザーによって観察された画像における可視の干渉関係のアーティファクトを低減するあるいはなくすのに十分に小さなコヒーレンス長で光を生成するダイオード起動電力のあるレベルで1つ以上のレーザーダイオード(66)を起動するように構成される。したがって1つの特に好ましい選択肢に従って、制御装置(68)は、各レーザーダイオード(例えば
図2Aにおいて例示されるように)のためのダイオード起動電力の
作用として生成された光のコヒーレンス長のばらつき特性における1つ以上の最小値(14)あるいは全体的な最小値(18)に対応する離散的な電力レベルで各レーザーダイオード(66)を動作し、それによって干渉関係の効果を最小限にする。局所的最小値及び/または、全体的な最小値最大の出力電力レベル(16)は以上であることが好ましい。これらの最小のコヒーレンス長点においては、画像は小さなスペックル雑音を有し、
図2Bに(22)に示されるように(電力レベル(14)及び(18)に関連した)空間的な照度分布はより広く、(電力レベル(10)及び(12)での動作に関連した)角拡散(20)に関する。中間の輝度電力レベル(好ましい離散的な電力レベル間)は、LCOSにおける画像データを計ることによって、パルス幅変調によって、あるいは(下記、
図7において減衰器(113)に関連して記述されたように)外部減衰器の使用によって等、他の構成要素またはシステムのパラメーターの調節によって達成される。
【0038】
場合によっては、コヒーレンス長作用の最小値に対応させるためには具体的には選択されていないが、最低限の作用にやや近位の、選択的な電力レベルの起動によって、干渉関係の効果の可視度は排除される、あるいは十分に低減される場合がある。このコンテキストにおいて、「最小値に近位」は、最小値と作用の最大地の近接との間のコヒーレンス長の範囲の下側半分に対応する範囲内に存在するとして、好ましくは規定される。
【0039】
ある特に好ましい実施において、制御装置(68)を実行することは効果的であり、その結果レーザーダイオードの電力レベルは前記作用の最高値に対応する少なくとも1つのレベルのダイオード起動電力を除外する、値の1つ以上の許可された範囲を超えて、(すなわち複数の、接近して間隔を置かれたレベルを介して)連続的に変化可能である。
【0040】
あるいは、値の許可された範囲は、コヒーレンス長が特定の閾値以下に存在するある範囲の値によって有利に規定されてもよい。
図2Cは、
図2Aのコヒーレンス長
作用に対するコヒーレンス長しきいの適用を例示する。しきい以下に落ちる領域は、陰影が付けられ、及び制御装置(68)がこの手法に従ってレーザーダイオード(66)を動作することができる許容可能な電力レベルの範囲を規定する。
【0041】
1つの特に好ましい例によって、コヒーレンス長がカップリングアウト構造の隣接した部分反射表面間の2倍の間隔未満に保たれる場合、スペックルなどの干渉の効果は典型的に排除されるか、またはユーザーを妨害しない合格水準まで少なくとも低減される。
【0042】
図2Aのグラフはレーザーヒートシンク温度の結果として変動する場合がある。ある場合において、典型的な操業温度のためのシステムを較正することには十分である場合がある。いくつかの特に好ましい実施において、温度センサーは、制御装置に入力をするために用いられ、及び好ましい電力レベルあるいは許可された電力レベル範囲は(パラメトリックに規定された、あるいは参照テーブルのどちらかによって)温度較正図から判定される。
【0043】
あるいは、空間的なセンサーは、レーザーの実際の空間的なノイズを検知するために使用することができ、かつ起動電力を最小限の空間的なノイズにセットする。特定の典型的な実施におけるそのようなセンサーのための適切な位置の例は、
図4A中の要素(23A)、(23B)及び
図7中の要素(115)として示される。
【0044】
図2A中などのべき関数のコヒーレンス長は各レーザーダイオードに特有あり、両方の値及びフォームにおいて相当に異なる場合があることが留意される。その結果、多重電源を有するシステム(RGBカラーディスプレイ等)に対処する場合、電力レベルの管理はそれ特有の特性に従って各レーザーダイオードのために行なわれる。場合によっては、1つ以上のダイオードは適用される制限を必要としない電力レベルの全体の運転範囲以上の十分に短いコヒーレンス長を有しする場合があり、一方で他のダイオードが電力レベルの非常に制限のある範囲内で動作される必要がある場合がある。ある場合において、特にコヒーレンス長が定格出力レベル運転範囲以上の所望の閾値を超えている場合、低減されたコヒーレンス長の条件に達するために、レーザーダイオードの公称最大電力定格より大きな電力、例えば150%の電力で、1つ以上のレーザーダイオードを動作することが好ましい場合がある。時間平均電力出力が定格値以下にとどまる限り、レーザーダイオードへの損傷がない短期間、最大電力定格を典型的に超過することができる。
【0045】
空間光モジュレータの実施
実施の第1のサブセットにおいて、レーザーダイオードは、画像ジェネレータとして働くLCOSチップなどの空間光モジュレータを投光照射(flood illuminate)する。レーザー平均電力は、観測者によって知覚されるLCOSの最も明るい画素の全体の輝度を判定する。色は、異なる色を使用して、連続する照明によって生成される。
【0046】
スペックルを避けるための各レーザーダイオードの動作電力に関してここまで記述された制限は、すべてのレーザーカラー(赤、緑、及び青)からの連続的なグレースケールレベルを達成する必要性と一致しなければならず、及び、最大の投影電力で観測者の中へ白色照明を得るために、光源の電力を較正しなければならない。
【0047】
ホワイトバランスを達成するために、順に動作するカラー供給源は、
図3Aにおいて示されるような異なる相対的な電力で、通常はアクティブ化される。多くの場合において、赤源は低い最大電力を有し、よって最大の電力R1で動作され、一方で他源(G1、B1)はホワイトバランスを達成する低い電力でアクティブ化する。このように動作された時、システムの最大出力パワーは全出力での各源の動作に関連して低減される。(これは単なる例であり、かつ赤以外の色は光学システムのソース電力及びスペクトル透過率に左右される白色出力電力の「ボトルネック」であってもよい。)
【0048】
好ましい代替案として、ホワイトバランスは、
図3Bにおいて示されるような各カラー供給源のタイムスロットの修正によってカラーシーケンス動作において達成可能である。例において、赤のタイムスロットは実質的に大きく、R2及び他の色の供給源を着色する、適切にそのように修正される(G2、B2)それら各々、最大の出力電力で動作する。
【0049】
例えば、均等な時間配列(
図3A)、ホワイトバランスは、R1_power=100%、R2_power=66%及びB1_power=33%で達せられ、その後、修正されたタイムスロットにおいてタイミングはR2_timing=50% G2_timing=33% B2_timing=1である。
従って、総出力電力は50%だけ増加する。
【0050】
レーザーは平均総出力電力において制限されている。この制限を超過するとレーザーに損傷をもたらす。
図3Cは、ピーク強度が150%まで増加し、一方で最大の平均電力が2/3だけパルス持続時間を短くすることによって保たれている、本発明の実施形態の態様に従ったアクティベーションスキームを示す。従って、レーザーの最大電力は超過されないが、動作中、多くのモードがアクティブ化され、出力ビームは必要とされるように、コヒーレントが低い。このプロセスにおいて、レーザーダイオード中の上位モードは更なる内部損失を有する傾向があるので、いくつかの効率を犠牲にする。レーザパワー制限はピーク電力とパルス持続時間との間で非線形である場合があり、制限を超過してはならない。
【0051】
レーザーダイオードを動作するための許可された電力レベルにおける上記の制限を損なわずに、全体の画像輝度を変えるために、電力削減はパルス幅変調(PWM)を使用して有利に達成可能である。単純システム管理については、ホワイトバランスためのタイムスロットは設定定数である。
図3Dは各タイムスロット中に照射時間を減らすことによって低下した照度基準を例示する。本実施例において、供給源のアクティベーション時間はシステム輝度(3Bに対する)の半分を生成するために半分だけ減らされ、一方、
図2Aにおける最小のコヒーレンス長ポイント(18)に対応する光力を用いることによって、照明品質を保つ。
【0052】
図3Eは、各レーザーダイオードのために利用可能な多くの離散的な好ましい電力レベルの使用とPWM手法が結合するこの手法の修正を示す。この図において、色順の出力は2Dのように50%になるように設定される。本実施例では、点破線は、レーザーの好ましい電力レベルを表わす(経験的に判定された、各レーザーによって異なり、かつ各レーザーダイオードの
図2Aの(14)及び(18)ポイントなどに好ましくは対応する)。選択された電力レベルは可能な限り最低であり、一方で細かい電力調節は各カラーレーザーの照射時間によって達成される。
【0053】
コヒーレンス低減用多重通路
予防措置が上に記述されるようなコヒーレンス長を低減するために講じられる場合さえ、複数の光学通路にコヒーレンス長より短い行路差を有するところならどこでも、干渉効果が依然として起こる場合がある。これは、例えば、拡散体、及び波長板などの他の薄い光学エレメント(偏光ビームスプリッター中の偏光管理のために要求される)で起こる場合があり、ここで照明は、薄い要素の表裏面の両方から反射される。本発明の特定の実行の好ましい特徴に従って、これらの干渉のパターンは更に、非コヒーレント副波面へレーザー波面を分割することによってさらに低減される。これらの副波面の各々は波面のコヒーレンス長以上より異なる、異なる光学通路を有する。
【0054】
図4Aは、分離した照明を有しかつ光学通路を画像化する光像プロジェクターを示す。照明のオーバーラップする光学通路を有する他の同様のシステム、及び画像化もまた関連するが、この空間的に区切られた構造は、明確性のための例用に選択される。
【0055】
レーザー(30)はプリズム(32)上に分散光を送る。反射光線は、イメージジェネレータ(LCOS)(42)の全体を照らすために射線を分散させる拡散体(34)を通過する(明確性のために示さない分散した射線)。拡散体(34)の後、PBS(偏光ビームスプリッター)(36)は、LCOS(42)上に射線を集中させる反映オプティックス(38)の上に送られた射線の向きを変える。反射光線は、入口(48)上から導光路(図示せず)へと、反射鏡(46)によってコリメートされるPBS(40)及びPBS(44)を通過する。この入口は光学システムのストッパーである。照明効率は、(48)でディフューザー瞳孔(diffuser pupil)(34)に共役像平面を作ることによって好ましくは最適化される。先行技術において公知のように、PBSを介して必要な反射または透過を達成するように偏光を変換するため、4分の1の波長板は、オプティックス(38)及び(46)の前に設けられる。非画一性センシングは、照明の残留物がある光学通路に空間的なセンサー(画素センサー)を置くことによって行なうことができる。例えば、(23A)、あるいは好ましくは(23B)で、ディフューザー(34)位相パターンが強度パターンに切り替えられる。
【0056】
本発明の特定の実施形態の態様に従って、スペックルを(レーザーダイオードからLCOSまで規定された)照明の光切片における多重経路の生成により減少する。
図4Bは、プリズム(32)が2つの反射表面を含む1つの実施を示す:(50A)は部分反射鏡であり、(50B)は好ましくは完全(100%)反射鏡である。この図の矢によって示されるように、光の一部は(50A)によって、一部は(50B)によって、及び一部は2つの表面間でのくりかえし反射の後に反射される。好ましくは、これらの反射鏡間を行ったり来たりする光学通路は、予め記述されるような、(屈折率及び伝播角度を考慮すると)照明レーザーのコヒーレンス長より大きい。特定のケースでは、これは、(50A)と(50B)との間の間隔に少なくとも約1mmを必要とする。少数の相互に非コヒーレントな反射は、異なる非画一性のパターンを生成するためにディフューザー及び他の構成要素を照らす。パターンは非コヒーレント的に組み合わせられ、したがって個々の反射の平方根加重平均として、無作為な非画一性の平均に対応する視覚印象をもたらす。より部分的な反射平面を(50A)へと取り入れることによって、更に反射が生成され、スペックル雑音はさらに減少する。
図4Cは、湾曲(コンケーブ)部分反射鏡(52A)が反射オプティックス(38)の湾曲(コンケーブ)全反射鏡(52B)に対して平行に含まれている場合の、コンセプトの代替実施を例示する。これは
図4Bと同じ法則によって動作し、(52A)の表裏から反射する際に、複数の内部反射が反対の(凸状)光学的な力を受ける場合、よって、すべての反射に加えられた純良光学的力が凹状表面のうちの1つからの単一の反射と同じであり続けることを保証する。
【0057】
図5Aは、供給源(30)からの光が外部の100%反射平面(50B)と内部部分反射平面(54)との間に導入される
図4Bのバリエーションを示す。この構造において、平面(54)の反射率は高く、それによって、よりコヒーレントな反射が生成される。導入された光の照準はコリメートされる場合があり、並びに平面(54)及び(50B)は平行ではなくてもよく、それによって、生成された波面の均一性が改善する。層(54)及び(50B)の間の出力カップリングは、「面」と称される平行な部分反射鏡の使用によって可能である。
【0058】
図5Bは、より多くの平面が含まれている
図4Bの他のバリエーションを示す。平面の(50B)は100%反射鏡であり、及び、他の平面は部分的に反射している(50A及び50C)。より多くの反射平面は、よりコヒーレントな波面の生成を可能にし、それによって、一層、スペックル雑音を減少することが出来る。
【0059】
記述された中間的な反射鏡の部分的な反射率を、適切なコーティング設計によって選択的な波長及び選択的な角度であるように設計可能である。スペックルがより長い波長において可視であることは最も可能性が高く、したがって、より高い反射率は赤色で好まれる。横の伝播が制限されている場合、反射率はより高い角度で低くなるように設計される場合がある。
【0060】
図6は、他の構造がスペックル雑音を減少することを示す。この構成において、ディフューザー(34)は100%反射鏡(50B)の近くである(55)として再配置される。ディフューザー(55)の角拡散は、それを2回通過することによりディフューザー(34)と同等な光の拡散を生成するようにすべきである(事実上、伝播の平方根分の1)。ディフューザー(55)と反射面(50B)との間の距離はコヒーレンス長より大きくなるべきである。好ましくは、オプティックス(38)(
図4A)は反射鏡平面(50B)におけるストッパー(48)の画像を生成するために修正される。この構造は、画質を改善して、スペックルと非画一性を平均する非コヒーレントを生成し、それによって画像の質を向上する。
【0061】
レーザー照明のスキャン
上で説明したように、ニアアイディスプレイための画像の生成に対する代替手法は、画像を生成するために細いビームがスキャンされる、レーザースキャニング構造を用いる。この場合は、レーザパワーの連続変異は必要である。短いコヒーレンス長を保ちながらこれを達成することが望ましい。
図7は、どのようにこれを達成出来るのかという手法を示す。
【0062】
図7は、コリメートされたビームを生成するためにレンズ(112)によってコリメートされたレーザー源(110)を記載する。ここでビームは、(同じ位相を有する)2つの互いにコヒーレントな光ビーム(La1)及び(Lb1)として、概略的に示される。本発明の態様の特定の特に好ましい実施に従って、光ビームは可変減衰器(113)を通過する。特定の実施では、それはビームスプリッタ(109)を更に通過し、好ましくは反射の割合が低い部分的に反射するビームスプリッターであり、及び転換されたビームは電力検出部(115)上を通る。その後、透過ビームは、MEMSテクノロジーを使用して典型的に実行されたミラー(117)を高速スキャンすることによって反射され、及び、その後、全内部反射によって反射される導光路(114)に入射する。反射されたビームはビーム(La2)及び(Lb2)として印を付けられている。これらの2つの光線が部分反射鏡平面(116a)に衝突すると、それらは光線(La3)及び(Lb3)として部分的に反射される。表面の(116a)が平面であるので、これらの2つの光線は互いに関連して引き続きコヒーレントである。従って、レンズ(118)(観測者の目を表す)は、スポット(120)(網膜)上に光線を集中する。スポット(120)においてよりも(La3)と(Lb3)とが互いにコヒーレントであるので、それらは建設的干渉を生成する。
【0063】
光線(Lb2)の一部は部分反射鏡平面(116a)によって送られ、光線(Lb4)として面(116b)から反射し続ける。この光線も更に、レンズ(118)によってポイント(120)上に集中する。面(116a)と(116b)との間の距離は、波長のフラクション内に正確にセットされない。したがって、(Lb3)と(La3)とに対する(Lb4)の干渉は不確定である。(Lb4)と(Lb3)との光路差はDLとしての印を付けられるが、異なる分野の範囲においては部分反射表面間の間隔の概算で約2倍である。上に説明されるような本発明の実施の原則に従って、レーザーの起動電力レベルはコヒーレンス長がDLより小さくなることを保証するために、好ましくは選ばれる。従って、最大の可能なレーザー効率は、様々な面から反射された光の間に干渉を生成せずに達成される。
【0064】
図7の説明において、2つの部分反射表面(116a)及び(116b)だけが、提示を簡潔にするために示される。一般的に実践的な実施において、さらに多くの面が使用され、すべて平面かつ平行である。非同一の間隔が使用される場合、コヒーレンス長のしきいは、部分反射表面の間隔の最小値に従って好ましくはセットされる。
【0065】
多くの手法は、レーザーのスキャニング中にビームのパワー変調を達成するために、取り入れられてもよい。特定の干渉高速切り替え可能減衰器などの十分に速い速度減衰器(113)が利用可能な場合、レーザー(110)の力は、
図2Aのポイント(14)または(18)に対応する離散値のうちの1つにセットされてもよく、あるいはそれらの値間で素早く切り替えられてもよく、及び、速い光減衰器は中間の光電力レベルを提供するために使用されてもよい。
図2Cに記載されているように、レーザーダイオード起動電力レベルの連続的な範囲が利用可能な場合、レーザーダイオード起動電力レベルのバリエーションは、素早く変化する画素強度値のために好ましくは使用され、一方、減衰器(113)は、全体の画像あるいは画像内の画素の領域のどちらかにおいて、強度の許可された範囲を出力強度範囲の下方部へと転換するために使用されてもよい。この場合は、適切な可変光減衰器はLCD素子を使用して実行可能である。
【0066】
付加的にまたは代替的に、特定の画素において必要とされる画素強度値が、起動電力レベルの禁止(すなわちしきいを越えるコヒーレンス長)領域に引き下げられる場合、許容可能な視覚への影響は、(関連する色の)連続フレームで交互にその画素を照らすことにより達成される場合があり、許容可能な電力レベルは「適正」レベル以下及び以上になり、その結果、観測者の目によって統合されるような全体の画素強度は所望の画素強度に近接する。場合によっては、適正レベルより下の強度は0であってもよく、画素が1つのフレームにおいて更に高い強度で照らされてもよく、及びその後、次のフレームにおいて暗くなってもよい。
【0067】
レーザーからの力は、キャリブレーション用制御装置(ここに示されない)へ検知された強度をもたらす電力計(115)によって好ましくはモニタリングされる。この構造の結果は、低いコヒーレンス長及び連続的に変化する力の非常に効果的なレーザースキャニングプロジェクターである。
【0068】
添付された請求項が複数の従属関係なしに起草された点について、これは、単にそのような複数の従属関係を許容しない法的管轄区域における方式要件に対応するためにのみ行われた。請求項を複合的に従属させるようにすることにより意味される特徴のあらゆる可能な組み合わせが、明示的に想定され、本発明の一部として考慮されるべきであることを留意されたい。上記の説明は例としてのみ提供されることを意図しており、添付の特許請求の範囲に定義された本発明の範囲内で他の多くの実施形態が可能であることを理解されるであろう。