(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】ハイドロロッキングガススプリング装置及びその装置を備えたプレス機
(51)【国際特許分類】
F16F 9/56 20060101AFI20240705BHJP
B21D 24/02 20060101ALI20240705BHJP
B30B 15/02 20060101ALI20240705BHJP
F16F 9/06 20060101ALI20240705BHJP
F16F 9/19 20060101ALI20240705BHJP
F16F 9/32 20060101ALI20240705BHJP
F16F 15/027 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
F16F9/56 A
B21D24/02 A
B30B15/02 A
F16F9/06
F16F9/19
F16F9/32 Z
F16F9/32 H
F16F9/32 N
F16F9/32 S
F16F15/027
(21)【出願番号】P 2020105651
(22)【出願日】2020-06-18
【審査請求日】2023-06-12
(73)【特許権者】
【識別番号】596037194
【氏名又は名称】パスカルエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134131
【氏名又は名称】横井 知理
(74)【代理人】
【識別番号】100092738
【氏名又は名称】吉田 昌司
(72)【発明者】
【氏名】北浦 一郎
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-075422(JP,A)
【文献】特開2002-143936(JP,A)
【文献】実開昭48-044076(JP,U)
【文献】特開平09-303463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 9/00-9/58
F16F 15/027
B21D 24/02
B30B 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に形成されたシリンダ室にピストンが摺動自在に設けられ、前記ピストンのロッドが前記本体から突出し、前記シリンダ室は前記ピストンを介して前記ロッド側の液室と反ロッド側のガス室に区分され、前記ガス室に接続されるガスチャンバーと、前記液室に接続される液貯留部とを有し、前記ガス室によりクッション作用を行い、前記液室によりロック作用を行うハイドロロッキングガススプリング装置において、
前記液貯留部に、
液圧媒体を貯留するタンクが設けられ、該タンク内に前記液室に供給される
前記液圧媒体が一方向に流れる流路が形成され、該流路を強制冷却する冷却手段が設けられたハイドロロッキングガススプリング装置。
【請求項2】
前記本体に、前記液室に連通する入口通路と出口通路と、前記ガス室に連通するガス通路とが
設けられ、
前記入口通路と出口通路が、前記流路に入口配管と出口配管を介して接続され、
前記ガス通路が、前記ガスチャンバーにガス配管を介して接続されている請求項1記載のハイドロロッキングガススプリング装置。
【請求項3】
前記入口配管及び前記出口配管に液圧媒体の流れを制御する制御手段が設けられている請求項2記載のハイドロロッキングガススプリング装置。
【請求項4】
前記ガス配管にガスの流れを制御する制御手段が設けられている請求項2又は3記載のハイドロロッキングガススプリング装置。
【請求項5】
前記本体は直方体に形成され、前記シリンダ室が直方体の一端に開放状に形成され、前記シリンダ室の
開放端が蓋体で施蓋され、該蓋体より前記
ロッドが外方に突出し、
前記本体の前記蓋体とは反対側の端部の同一側面の両側に、前記入口通路に連通する入口配管接続口と、前記出口通路に連通する出口配管接続口とが設けられている請求項2~4の何れか一つに記載のハイドロロッキングガススプリング装置。
【請求項6】
前記入口通路と出口通路の前記
液室との連通部は、ザグリ部により構成されている請求項2~5の何れか一つに記載のハイドロロッキングガススプリング装置。
【請求項7】
前記タンクは、外周面に冷却フィンを有する外筒と、該外筒に同心状に内嵌される内筒と、前記外筒と内筒を立設する基台を有し、前記外筒の上端は蓋部材で施蓋され、前記内筒の上端は開放端とされ、
前記基台に、前記入口配管に連通する入口流路と、出口配管に連通する出口流路とが形成され、前記入口流路が前記内筒に連通し、前記出口流路が前記外筒に連通して、前記外筒内周面と内筒外周面との間に前記流路が形成され、
前記冷却手段は、前記冷却
フィンを冷却する送風手段で構成されている請求項2~6の何れか一つに記載のハイドロロッキングガススプリング装置。
【請求項8】
前記外筒の上端部に前記液圧媒体上面に接するピストンが上下摺動自在に内嵌され、該ピストンに前記蓋部材を貫通して突出するインジケータが設けられている請求項7記載のハイドロロッキングガススプリング装置。
【請求項9】
前記外筒に液圧媒体供給部が設けられている請求項7又は8記載のハイドロロッキングガススプリング装置。
【請求項10】
前記基台に、内筒を内蔵した外筒が複数立設されている請求項7~9の何れか一つに記載のハイドロロッキングガススプリング装置。
【請求項11】
前記
本体は複数設けられ、該本体からの配管と前記
液貯留部からの配管が中継ブロックを介して接続されている請求項2~10の何れか一つに記載のハイドロロッキングガススプリング装置。
【請求項12】
請求項1~11の何れか一つに記載のハイドロロッキングガススプリング装置を備えたプレス機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイドロロッキングガススプリング装置及びその装置を備えたプレス機に関する。
【背景技術】
【0002】
プレス金型内に使用するガススプリングは、ピストンロッドの下死点でロックされるものである。この種のガススプリングとして、ガスのみを用いたものが特許文献1(特許第2644085号公報)に開示されている。
【0003】
また、ガススプリングと油圧シリンダとを別個に設けたものが特許文献2(特開2010-99709号公報)に開示されている。
【0004】
さらに、ガススプリングと油圧シリンダを一体化したハイドロロッキングガススプリングが特許文献3(特開平2―75422号公報)に開示されている。
この特許文献3に記載のものは、本体に形成されたシリンダ室にピストンが摺動自在に設けられ、前記ピストンのロッドが前記本体から突出し、前記シリンダ室は前記ピストンを介して前記ロッド側の液室と反ロッド側のガス室に区分され、前記ガス室に接続されて窒素ガスを保管するガスチャンバーと、前記液室に接続されて液圧媒体を貯留する液貯留部とを有し、前記ガス室によりクッション作用を行い、前記液室によりロック作用を行うものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第2644085号公報
【文献】特開2010-99709号公報
【文献】特開平2―75422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記特許文献3記載のような、ガス室と液室を一体化したハイドロロッキングガススプリングに係るものであり、この従来のものは、液圧媒体を配管経路で冷却するものであり、冷却効率が悪かった。
【0007】
本発明は、構造が簡単で冷却効率がよいハイドロロッキングガススプリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明は、次の手段を講じた。すなわち、本件発明のハイドロロッキングガススプリング装置は、本体に形成されたシリンダ室にピストンが摺動自在に設けられ、前記ピストンのロッドが前記本体から突出し、前記シリンダ室は前記ピストンを介して前記ロッド側の液室と反ロッド側のガス室に区分され、前記ガス室に接続されるガスチャンバーと、前記液室に接続される液貯留部とを有し、前記ガス室によりクッション作用を行い、前記液室によりロック作用を行うハイドロロッキングガススプリング装置において、前記液貯留部に、液圧媒体を貯留するタンクが設けられ、該タンク内に前記液室に供給される前記液圧媒体が一方向に流れる流路が形成され、該流路を強制冷却する冷却手段が設けられたものである。
【0009】
前記本体に、前記液室に連通する入口通路と出口通路と、前記ガス室に連通するガス通路とが設けられ、前記入口通路と出口通路が、前記流路に入口配管と出口配管を介して接続され、前記ガス通路が、前記ガスチャンバーにガス配管を介して接続されているのが好ましい。
【0010】
前記入口配管及び前記出口配管に液圧媒体の流れを制御する制御手段が設けられているのが好ましい。
【0011】
前記ガス配管にガスの流れを制御する制御手段が設けられているのが好ましい。
【0012】
前記本体は直方体に形成され、前記シリンダ室が直方体の一端に開放状に形成され、前記シリンダ室の開放端が蓋体で施蓋され、該蓋体より前記ロッドが外方に突出し、前記本体の前記蓋体とは反対側の端部の同一側面の両側に、前記入口通路に連通する入口配管接続口と、前記出口通路に連通する出口配管接続口とが設けられているのが好ましい。
【0013】
前記入口通路と出口通路の前記液室との連通部は、ザグリ部により構成されているのが好ましい。
【0014】
前記タンクは、外周面に冷却フィンを有する外筒と、該外筒に同心状に内嵌される内筒と、前記外筒と内筒を立設する基台を有し、前記外筒の上端は蓋部材で施蓋され、前記内筒の上端は開放端とされ、前記基台に、前記入口配管に連通する入口流路と、出口配管に連通する出口流路とが形成され、前記入口流路が前記内筒に連通し、前記出口流路が前記外筒に連通して、前記外筒内周面と内筒外周面との間に前記流路が形成され、前記冷却手段は、前記冷却フィンを冷却する送風手段で構成されているのが好ましい。
【0015】
前記外筒の上端部に前記液圧媒体上面に接するピストンが上下摺動自在に内嵌され、該ピストンに前記蓋部材を貫通して突出するインジケータが設けられているのが好ましい。
【0016】
前記外筒に液圧媒体供給部が設けられているのが好ましい。
【0017】
前記基台に、内筒を内蔵した外筒が複数立設されているのが好ましい。
【0018】
前記本体は複数設けられ、該本体からの配管と前記液貯留部からの配管が中継ブロックを介して接続されているのが好ましい。
【0019】
本発明のプレス機は、前記ハイドロロッキングガススプリング装置を備えたものである。
【発明の効果】
【0020】
本件発明によれば、冷却手段を設けて液圧媒体を冷却するようにしたので、従来のものに比べて液圧媒体の冷却効率が良くなった。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明のスプリング装置の一実施の形態を示す構成図。
【
図2】本発明のスプリング装置の他の実施の形態を示す構成図。
【
図3】本発明のスプリング装置の他の実施の形態を示す構成図。
【
図4】本発明のスプリング装置の他の実施の形態を示す構成図。
【
図5】本発明のプレス機の実施の形態を示す概略図。
【
図6】本発明のプレス機の他の実施の形態を示す概略図。
【
図18】(a)は液貯留部のタンクと冷却手段の他の実施の形態を示す平面図、(b)はその正面図。
【
図20】外筒と冷却手段の他の実施の形態を示す正面図。
【
図25】液貯留部のタンクの他の実施の形態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は本発明の実施の形態を示す構成図である。
図1において、ハイドロロッキングガススプリング装置は、ガススプリング本体1を有する。この本体1にシリンダ室2が形成されている。シリンダ室2にピストン3が摺動自在に設けられている。シリンダ室2は、ピストン3によりガス室2aと液室2bとに区分されている。
【0023】
ピストン3は、本体1から外方に突出するロッド4を有し、前記液室2bは、ロッド4側のシリンダ室2であり、ガス室2aは、反ロッド側のシリンダ室2である。
【0024】
ガス室2aがガスチャンバー5に接続され、液室2bが液貯留部6に接続されている。
ガス室2aによりクッション作用を行い、液室2bによりロック作用を行うものである。
【0025】
クッション作用とは、ピストンロッド4に作用する押し込み力を吸収することであり、ロック作用とは、押し込み力が解除されたとき、ピストン3の戻り動きを停止させることである。
【0026】
液貯留部6に、液室2bに供給される液圧媒体が一方向に流れる流路7が形成されている。この流路7を強制冷却する冷却手段8が設けられている。
【0027】
この実施の形態では、ガスは窒素ガスであり、液圧媒体はオイルであるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0028】
本体1に、ガス室2aに連通するガス通路9が設けられ、このガス通路9にガス配管10が接続され、このガス配管10は前記ガスチャンバー5に接続されている。
本体1に、液室2bに連通する入口通路11と出口通路12が設けられている。入口通路11と出口通路12は、シリンダ室2の軸線に平行に設けられている。
【0029】
液貯留部6に、液圧媒体を貯留するタンク13が設けられ、該タンク13に前記流路7が形成されている。
この流路7の両端が、入口配管14と出口配管15を介して前記入口通路11と出口通路12に接続されている。
この実施の形態では、このタンク13はオープン式で、流路7の液圧媒体は大気圧に接している。
【0030】
入口配管14と出口配管15に、液圧媒体の流れを制御する制御手段16が設けられている。
入口配管14に設けられる制御手段16は、逆止弁17で構成されている。逆止弁17は、タンク13側から本体1側に液圧媒体を流すが、その逆方向の流れは阻止するものである。出口配管15に設けられる制御手段16は、電磁制御弁18で構成される。この制御弁18は出口配管15の液圧媒体の流れをオン、オフするものである。また、制御弁18と本体1間の出口配管15には、絞り弁19が設けられて、液圧媒体の流速を制御可能として、制御手段16を構成している。
【0031】
図2に示すものは、前記
図1の制御手段16の逆止弁17を電磁制御弁20に代えたものであり、その他の構成は、前記
図1に記載のものと同じである。
【0032】
図3に示すものは、ガス配管10にも制御手段16を設けたもので、ガス配管10に電磁制御弁21が設けられて、ガスの流れをオン・オフ制御するようにしている。
【0033】
各配管10,14,15に制御手段16を設けることにより、ピストン3の動きを停止させるロッキング精度が向上する。
【0034】
図4は、本発明の他の実施の形態を示す構成図である。前記
図1に示す液貯留部6のタンク13はオープン式であったが、この
図4に示すものは、液貯留部6のタンク13が密閉式である点において異なり、その他の構成は同じである。
【0035】
液貯留部6には、液圧媒体をエア圧で加圧する加圧部22を有する。加圧部22に加圧エアを供給するエア供給部23が設けられている。タンク13の流路7が冷却手段8で冷却されている。
【0036】
図5は、
図1~
図4の構成のハイドロロッキングガススプリング装置の何れかをプレス機に適用した構成図である。
図5において、プレス機のプレススライド24の下面に金型取付板25が取り付けられている。金型取付板24に上金型25が取り付けられている。この金型25内に、ハイドロロッキングガススプリング装置の本体1とガスチャンバー5が取り付けられている。
【0037】
金型取付板25と金型26には、本体1の入口通路14と出口通路15に連通する入口連通路27と出口連通路28が形成され、この連通路27,28に、入口配管14と出口配管15が接続される。入口配管14及び出口配管15は図示省略の液貯留部に接続されている。
【0038】
また、金型取付板25と金型26には、本体1とガスチャンバー5とを連通するガス連通路29が形成されている。
【0039】
図6は、プレス機のダイクッション装置にハイドロロッキングガススプリング装置を適用した構成図である。このダイクッション装置は、特許文献2(特開2010-99709号公報)に示されるものとほぼ同じである。
【0040】
プレス機は、ボルスタ30を有し、ボルスタ30の上面に下金型31が取り付けられる。図示省略するが、上金型は、上下駆動されるスライダーに設けられる。
【0041】
ボルスタ30の四隅にガイドロッド32が下垂状に固定され、ガイドロッド32の下端にベース板33が固定されている。ガイドロッド32には、クッションパッド34が上下動自在に設けられている。
【0042】
クッションパッド34の上面に、クッションピン35の下端が当接している。クッションピン35はボルスタ30を貫通してその上端は、下金型31の移動部(図示省略)を支持している。
【0043】
ベース板33とクッションパッド34との間にガススプリング本体1が複数設けられている。本体1の下部がベース板33に固定され、ピストンロッド4の上端面がクッションパッド34の下面に当接している。
【0044】
本体1からのガス配管10、入口配管14及び出口配管15は、中継ブロック36を介して、それぞれガスチャンバー5と液貯留部6に接続されている。中継ブロック36はベース板33に設けられている。
【0045】
出口配管15に設けられている制御弁18は、制御ユニット37によりオン・オフの制御が行われる。この制御ユニット37は、図示省略のプレス機のスライダーの上下動によって制御される。
【0046】
このダイクッション装置の動作は、特許文献2に記載のものと同じであるので、詳細は省略する。
【0047】
上記構成のハイドロロッキングガススプリング装置は、ピストンロッド4の押し込み動作で、ガス室2aが圧縮されてクッション作用を行う。このとき、液室2bの容積は増大するので、液貯留部6のタンク13から液圧媒体は、入口配管14から入口通路11を通って液室2bに流入する。このとき、制御弁18は閉じられており、出口通路12の流れはない。
【0048】
ピストンロッド4の押圧力が解除されると、ピストンロッド4は、ガス室2aの圧力により突出しようとする。しかし、液室2bの液圧媒体は逆止弁17と制御弁18によって流れが止められているので、ロッド4はロック状態になり、突出が防止される。
【0049】
所定時間経過後、制御弁18が開き動作することにより、液室2bの液圧媒体は、出口通路15及び出口配管15を通ってタンク13に戻される。
【0050】
このようなクッション作用とロック作用が繰り返されることにより、液圧媒体の温度が上昇する。
液圧媒体は、上記動作の繰り返しにおいて、タンク13内の流路7を一方向に流れることになり、この流路7を冷却手段8により冷却するように構成しているので、液圧媒体の温度上昇を抑制することができる。
【0051】
図7~
図10に示すものは、ガススプリング本体1の詳細な構成である。
本体1は直方体に形成され、シリンダ室2が直方体の一端に開放状に形成されている。シリンダ室2の開放端が蓋体38で施蓋され、この蓋体38よりピストンロッド4が外方に突出している。蓋体38はボルト39で本体1に固定されている。
【0052】
本体1の蓋体38とは反対側の端部の同一側面の両側に、入口通路11に連通する入口配管接続口40と、出口通路12に連通する出口配管接続口41とが設けられている。これら入口配管接続口40と出口配管接続口41の中間位置に、ガス配管接続口42が設けられている。
このように、各配管接続口40,41,42を本体1の同一側のほぼ同じ高さ位置に配置することにより、配管作業が容易になる。
【0053】
図9に示すように、本体1の両側に設けられた入口配管接続口40と出口配管接続口41は、シリンダ室2の軸線に平行な入口通路11と出口通路12に連通している。
【0054】
図10に示すように、入口通路11と出口通路12は、直方体のコーナ部に設けられているため、肉厚部分に設けられることになる。もし、シリンダ本体1が直方体でなく円筒体であったなら、シリンダ室2の軸線に平行な入口通路11と出口通路12を本体1に設けるためには、円筒体の直径を大きくしなければならない。
【0055】
しかし本実施の形態では、本体1を直方体として、その両側のコーナ部に入口通路11と出口通路12とを形成したので、
図10に示す本体1の左右方向の寸法を最小のものとすることができる。なお、
図10における本体1の断面形状は正方形である。
【0056】
前記入口通路11と出口通路12の前記油室2bとの連通部は、ザグリ部43により構成されている。このザグリ部43は、本体1のシリンダ室2の開放端からキーシード加工することにより行われる。ザグリ部43とすることにより、本体1の側面から孔加工をする必要がなくなり、またこの孔を埋める栓加工も不要となる。
【0057】
図9において、ピストンロッド4のセンターに、ロッド端部に開口する有底のセンター孔44が設けられている。センター孔44の底側の一端は、ピストン3に嵌合された上下パッキン45間の周面に開口している。ロッド4端部の開口部に、外方からシリンダ室側への侵入を防止する逆止弁46が設けられている。
【0058】
このセンター孔44は、上下パッキン45間に、ガス室2aからのガスや液室2bからの液圧媒体が漏れた場合のドレン回路とされている。
【0059】
図11と
図12は、液貯留部6のタンク13の詳細を示すものである。
タンク13は、外周面に冷却フィン47を有する外筒48と、この外筒48に同心状に内蔵される内筒49とを有する。外筒48と内筒49は基台50に立設されている。外筒48の上端は蓋部材51で施蓋され、内筒49の上端は開放端とされている。外筒48と内筒49は基台50に水密状に立設されている。
【0060】
この実施の形態では、内筒49を内蔵した外筒48の組が3セット、横一列に基台50に設けられている。
基台50に、前記逆止弁17と制御弁18が設けられている。逆止弁17に入口配管14が接続され、制御弁18に出口配管15が接続されている。
【0061】
基台50に、入口流路52と出口流路53が形成されている。入口流路52は逆止弁17を介して入口配管14に連通する。出口流路53は制御弁18を介して出口配管15に連通する。
【0062】
入口流路52が外筒48に連通し、出口流路53が内筒49に連通している。外筒48内周面と内筒49外周面との間に前記流路7が形成されている。
このような流路7の構成により、冷却手段8による冷却効率が向上する。
【0063】
この実施の形態では、出口流路53は、左右両側の内筒49の中心に連通し、入口流路52は中央の外筒48の左右両側に連通している。左右両側の外筒48の両側と中央の内筒49の中心が、基台50に設けられた中間流路54を介して連通している。
【0064】
なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、出口流路53を3つの内筒49に並列に連通させ、入口流路52を3つの外筒48に並列に連通させるものであっても良い。
【0065】
前記冷却手段8は、外筒48のフィン47を冷却する送風手段で構成されている。送風手段は、ファンとモータとで構成されている。
【0066】
中央の外筒48の上端部に、液圧媒体上面に接するピストン55が上下摺動自在に内嵌されている。このピストン55に蓋部材51を貫通して突出するインジケータ56が設けられている。
【0067】
このインジケータ56の突出量を検知する検知手段57が蓋部材51に設けられている。この検知手段57は、近接又はリミットスイッチで構成されている。
【0068】
中央の蓋部材51には、前記ピストン55の上面を加圧する加圧エアを供給するためのエア供給ポート58が設けられている。また中央の外筒48の側部には、エア抜きバルブ59が設けられている。
この中央の外筒48の上部構造は、
図4に示す加圧部22に相当する。
【0069】
エア抜きバルブ59は、最初にオイルを充填する時と、回路内のエアがオイルと共に循環してタンク13に溜まった時に使用するものである。タンク13内のピストン55が無い場合は、エア抜きバルブは不要である。なお、ピストン55がある場合は、エアの加圧有無に関わらずエア抜きバルブは必要である。
【0070】
なお、この加圧エア供給ポート58に代えて呼吸穴として、オープン式タンクとすることもできる。
【0071】
図13~
図17は、液貯留部6のタンク13の他の実施の形態である。
図13における左右両側の外筒48の上端部と、中央の外筒48の側面に液圧媒体供給部60が設けられている点が、前記実施の形態と異なり、その他の構成はほぼ同じである。
【0072】
図16に、左右両側の外筒48に設けられる液圧媒体供給部60の詳細を示す。液圧媒体供給部60は、外筒48の上端と蓋部材51の間に介在されたオイル溜り61を有する。オイル溜り61は、外筒48の上端開口を施蓋する底部62を有するとともに、上方開口の凹部63を有し、この凹部63が蓋部材51で施蓋されている。凹部63にオイル64が溜められる。
【0073】
底部62に貫通孔65が設けられ、この貫通孔65を開閉する栓部材66が蓋部材51に螺合されている。蓋部材51とオイル溜り61の接合部にエア抜き67が設けられている。
【0074】
この液圧媒体供給部60は、外筒48内のオイルが減少したとき、栓部材66を緩めて凹部63内のオイル64を外筒48に供給するものである。この供給のとき、エア抜き67からエアが抜け、外筒48にオイルが充満する。
【0075】
図17に、中央の外筒48に設けられる液圧媒体供給部60の詳細を示す。この構造は、
図16に示すものと同じであり、オイル溜り61がエルボ68を介して外筒48側面に取り付けられている点が異なるのみである。
【0076】
図18及び
図19は、基台50に外筒48と内筒49のタンク13が一つ設けられたものを示す。基台50には冷却手段8が設けられている。
【0077】
このタンク構造は、
図13に示す中央のものと同じであるので、説明は省略する。
【0078】
図20及び
図21に示すものは、冷却フィン47が外筒48の軸線に平行に設けられた例である。ファンからなる冷却手段8は、外筒47の軸線に沿って冷却風をフィン47に送風するように配置されている。
【0079】
図22~
図24は、中継ブロック36の詳細である。
ガススプリング本体1が三組設けられ、各本体1からのガス配管10及び入口配管14と出口配管15が中継ブロック36の一側面に接続されている。中継ブロック36の他面に一つのガス配管10が接続され、また入口配管14と出口配管15の一つずつが接続されている。この他面に接続された一つのガス配管10がガスチャンバー5に接続される。またこの他面に接続された入口配管11と出口配管15は、液貯留部6に接続される。
【0080】
中継ブロック36内には、一側面に接続されるガス配管10及び入口配管14と出口配管15と、他面に接続されるガス配管10及び入口配管14と出口配管15とを連通する流路が破線で示す如く形成されている。
【0081】
図25に示すものは、液貯留部6のタンク13の他の実施の形態を示すものである。
外筒48と内筒49の2組からなるタンク13を取り付ける基台50が、プレススライド69の側面に固定されている。基台50は、プレススライド69に設けられた自走式クランプ装置70の間のスペースを有効利用してプレススライド69に取り付けられている。
【0082】
二つの外筒48の間に位置してエア噴き出しパイプ71が基台50に立設されている。このパイプ71には、上下方向に所定間隔をあけて複数のエア噴き出し口72が、各外筒48のフィン47を指向するように設けられている。
【0083】
このパイプ71に、工場の圧縮エアが供給され、エア噴き出し口72からフィン47にエアブロウすることで、タンク13内の流路7のオイルを冷却する、冷却手段8が構成されている。
【0084】
タンク13内の流路7には、上下方向に所定間隔を有して複数の仕切り板73が設けられている。仕切り板73は、内筒49の外周又は外筒48の内周に設けられて、オイルの流れを阻害するものとされている。仕切り板73には、180度の位置を介した二か所のオイル通路74が設けられている。
【0085】
基台50を介して内筒49の内部に流入したオイルは、内筒49上端から外筒48の内周と内筒49の外周間の流路7に流れるが、仕切り板73によってその流れは阻害され、仕切り板73のオイル通路74を通って下方にながれて冷却されるので、熱いオイルと冷えたオイルが、流路7において混ざることが低減され、効率的に冷却することができる。
【0086】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。例えば、冷却手段は、空冷が例示されているが、水冷のものであっても良い。
【0087】
本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0088】
1 本体
2 シリンダ室
2a ガス室
2b 液室
3 ピストン
4 ピストンロッド
5 ガスチャンバー
6 液貯留部
7 流路
8 冷却手段
9 ガス通路
10 ガス配管
11 入口通路
12 出口通路
13 タンク
14 入口配管
15 出口配管
16 制御手段
17 逆止弁
18 制御弁
19 絞り弁
20 制御弁
21 制御弁
22 加圧部
23 エア供給部
24 プレススライド
25 金型取付板
26 上金型
27 入口連通路
28 出口連通路
29 ガス連通路
30 ボルスタ
31 下金型
32 ガイドロッド
33 ベース板
34 クッションパッド
35 クッションピン
36 中継ブロック
37 制御ユニット
38 蓋体
39 ボルト
40 入口配管接続口
41 出口配管接続口
42 ガス配管接続口
43 ザグリ部
44 センター孔
45 パッキン
46 逆止弁
47 フィン
48 外筒
49 内筒
50 基台
51 蓋部材
52 入口流路
53 出口流路
54 中間流路
55 ピストン
56 インジケータ
57 検知手段
58 エア供給ポート
59 エア抜きバルブ
60 液圧媒体供給部
61 オイル溜り
62 底部
63 凹部
64 オイル
65 貫通孔
66 栓部材
67 エア抜き
68 エルボ
69 プレススライド
70 自走式クランプ装置
71 パイプ
72 エア噴き出し口
73 仕切り板
74 オイル通路