(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】付け毛への印刷方法
(51)【国際特許分類】
A41G 5/00 20060101AFI20240705BHJP
A41G 3/00 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
A41G5/00
A41G3/00 N
(21)【出願番号】P 2020106644
(22)【出願日】2020-06-20
【審査請求日】2023-06-19
(73)【特許権者】
【識別番号】520225624
【氏名又は名称】株式会社DEEP COLORS
(74)【代理人】
【識別番号】100203460
【氏名又は名称】加藤 肇
(72)【発明者】
【氏名】杉山 正幸
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1985396(KR,B1)
【文献】特表2016-518935(JP,A)
【文献】米国特許第08590543(US,B2)
【文献】特開2007-146359(JP,A)
【文献】特開2000-248477(JP,A)
【文献】特開昭54-068483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41G 3/00
A41G 5/00
A45D 19/00
B41M 5/035
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
付け毛への印刷方法であって、
前記付け毛の一方の面に平坦部を形成する平坦化工程と、
前記平坦部にインクを付着させる印刷工程と、を実行する
ものであり、
前記印刷工程は、加熱及び加圧が可能な熱転写機により、インクが付着された昇華紙を前記平坦部に対して加圧しつつ加熱する工程であり、
前記平坦化工程は、前記熱転写機により前記平坦部を形成する、印刷方法。
【請求項2】
前記平坦化工程及び前記印刷工
程では、前記加熱の温度及び前記加圧の圧力が等しい、請求項
1に記載の印刷方法。
【請求項3】
前記平坦化工程では、前記付け毛よりも柔らかい部材の上に前記付け毛を載置する、請求項
1又は2に記載の印刷方法。
【請求項4】
前記印刷工程では、前記付け毛の被印刷面とは反対側の面から前記インクを吸引する、請求項1~
3のいずれか1項に記載の印刷方法。
【請求項5】
付け毛への印刷方法であって、
前記付け毛の一方の面に平坦部を形成する平坦化工程と、
前記平坦部にインクを付着させる印刷工程と、を実行する
ものであり、
前記印刷工程では、前記付け毛と、インクが付着された昇華紙とを可撓性を有する容器に封入して前記容器内を減圧し、且つ、その容器を加温する、印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付け毛に対して、柄、絵、文字等を印刷する印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人が頭部に着用する付け毛は、一般的には、付け毛全体を染め上げたり、顔料などが配合された素材により形成したりする等して、全体への着色がなされている。一方、付け毛に対して柄、絵、文字等を印刷することでファッション性を高めることも、一部で行われている。このような付け毛として、特許文献1に記載の付け毛がある。特許文献1に記載の付け毛では、昇華紙を利用して両面に対称な印刷を行うことにより、デザイン性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
付け毛は衣服等とは異なり、多数の繊維単糸が同一方向に揃って延びる構造であり、経糸と緯糸とが絡み合う構造ではない。このような構造であるため、布と同様に染色を行うことが可能であるものの、布と同様の方法にて印刷を行う場合には、インク等の付着が不十分となる可能性がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、付け毛の印刷を好適に行うことが可能な印刷方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の構成は、付け毛への印刷方法であって、前記付け毛の一方の面に平坦部を形成する平坦化工程と、前記平坦部にインクを付着させる印刷工程と、を実行する。
【0007】
付け毛は、断面円形の繊維単糸が一方に揃っており、その長手方向に交差する方向の表面は、連続する円弧面である。このような形状であるため、印刷を行う場合には円弧の上端近傍にのみ印刷されることとなるため、染料の付着が不十分である。この点、第1の構成では、平坦化工程により平坦部を形成した後に印刷を行うため、染料が載る面積を拡大することができる。
【0008】
第2の構成は、第1の構成に加えて、前記印刷工程は、加熱及び加圧が可能な熱転写機により、インクが付着された昇華紙を前記平坦部に対して加圧しつつ加熱する工程であり、前記平坦化工程は、前記熱転写機により前記平坦部を形成する。
【0009】
第2の構成では、平坦化工程を実行する機材を別途用意する必要がなく、さらに、平坦化工程後に付け毛を移動させたりすることなく印刷工程を実行することができるため、印刷方法を実行するコストや、実行時の作業の煩雑さを低減することができる。
【0010】
第3の構成は、第2の構成に加えて、前記平坦化工程及び前記印刷工程では、前記加熱の温度及び前記加圧の圧力が等しい。
【0011】
第3の構成では、平坦部を形成した条件と同じ条件で昇華印刷を行うことにより、熱転写機により加熱及び加圧で付け毛が縮んだり変形したりしない。したがって、付け毛が縮んだり変形したりすることに起因する印刷のずれを好適に抑制することができる。
【0012】
第4の構成は、第1~第3のいずれかの構成に加えて、前記平坦化工程では、前記付け毛よりも柔らかい部材の上に前記付け毛を載置する。
【0013】
印刷される側とは反対の側は人の頭髪と接触する側であり、反対の側も平坦となれば、頭髪との馴染みが悪化するおそれがある。この点、第4の構成では付け毛よりも柔らかい部材の上に付け毛を載置しているため、平坦化を行う面の反対側の面の平坦化を抑制することができる。
【0014】
第5の構成は、第1~第4のいずれかの構成に加えて、前記印刷工程では、前記付け毛の被印刷面とは反対側の面から前記インクを吸引する。
【0015】
第5の構成では、インクの吸引により繊維単糸の間にまでインクが浸透するため、より鮮やかな印刷を行うことができる。
【0016】
第6の構成は、第1の構成に加えて、前記印刷工程では、前記付け毛と、インクが付着された昇華紙とを可撓性を有する容器に封入して前記容器内を減圧し、且つ、その容器を加温する。
【0017】
第6の構成では、容器内を減圧することで外圧により容器が圧縮されることとなり、熱転写機を用いた状態と同等の環境を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3】平坦化工程が行われた付け毛の断面を示す図である。
【
図5】印刷が行われた付け毛の断面を示す図である。
【
図6】平坦化工程を行わず印刷を行った付け毛の断面を示す図である。
【
図7】断面を半円弧としない平坦化が行われた断面を示す図である。
【
図8】第2実施形態に係る印刷工程の概要を示す図である。
【
図9】第2実施形態における吸引板の概要を示す図である。
【
図10】第3実施形態に係る印刷工程の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1実施形態>
本実施形態に係る印刷方法について図面を参照して説明する。本実施形態に係る印刷方法により図柄が印刷される付け毛10は、多数の繊維単糸11により構成されている。繊維単糸11は、人間の頭髪と近似した形態に形成したもので、直径は人間の頭髪と同様に約50~150μmであり断面は、円形である。この繊維単糸11の素材は、ポリエステル系繊維、アクリル系繊維、ポリアミド系繊維等の化学繊維、あるいは複数の化学繊維を混合したものである。付け毛10全体の長さは、用途に応じて種々の変更が可能であり、数cm~数十cm程度である。幅についても用途に応じて種々の変更が可能であり、数cm~20cm程度である。
【0020】
付け毛10における多数の繊維単糸11の長さ方向の一端には、固定部12が設けられている。に形成した固定部12は、ミシン等による縫着、接着剤を用いた接着、又は、その両方の手段により形成されている。この固定部12を設けることで、多数の繊維単糸11の相互の位置ずれが生じないように固定されている。
【0021】
本実施形態では、付け毛への印刷手段として、昇華印刷を用いる。昇華印刷に使用される熱転写機20は、
図2及び
図4に記載されるように、上コテ21と下コテ22を備えている。上コテ21及び下コテ22は鉄などの金属で形成されており、上コテ21及び下コテ22の対向する面は、平行な平面となっている。また、上コテ21の内部には、上コテ21を加熱可能なヒータ(図示略)が設けられており、乾熱プレスを行うことができる。また、図示しない制御部等によりヒータによる加熱温度を変更可能となっている。
【0022】
印刷工程の前に行う平坦化工程について説明する。平坦化工程では
図2に示すように、熱転写機20の下コテ22の上にマット23を敷く。このマット23は、繊維単糸11よりも柔らかい素材、例えば、ウレタン等の合成樹脂により形成されている。マット23の上は、下側シート24により覆われている。この下側シート24は例えば耐熱性を有するシリコーンで形成されており、上コテ21の加熱により溶融しない。
【0023】
下側シート24の上には、付け毛10が載置される。この場合に、付け毛10の固定部12は上コテ21及び下コテ22により挟まれる領域の外側に位置するように載置される。付け毛10の上側は、上側シート25により覆われる。この上側シート25は、下側シートと同じ素材により形成されている。このようにして付け毛10を載置するうえで、櫛等で梳かしたうえで載置したほうがよい。これは、付け毛10の一方の側が略均一に上コテ21と対向している状態とするためである。
【0024】
以上のように配置した後、上コテ21を下方に押し下げて付け毛10の上面に圧力を掛けつつ、加熱することで、乾熱プレスを行う。このときの温度は繊維単糸11の融点よりもやや低く設定されており、付け毛10がポリエステル繊維で形成されているのであれば、例えば、220~240℃である。この平坦化工程により、
図3に示すように、付け毛10の繊維単糸11の上側が平坦化されて平坦部11aが形成され、断面は半円状となる。
【0025】
続いて、平坦化工程の後に行われる印刷工程について説明する。印刷工程では、昇華紙26に印刷されたデザインを付け毛10の平坦部11aが形成された側に印刷する。昇華紙26は、
図3に示すように、上側シート25の代わりに付け毛10の上側に載置される。すなわち、平坦化工程の後に、下コテ22の上側にマット23及び下側シート24が載置され、さらにその上側に付け毛10が配置された状態を維持して、上側シート25のみを取り除いて昇華紙26を付け毛10の上側に配置する。
【0026】
昇華紙26は、表面の薄膜内に分散染料を含んでいる。分散染料は、昇華紙26の裏面に染み出すことはなく、高温の熱が加えられると、転写面の分散染料が昇華されて付け毛10にデザインを転写することができる。分散染料としては、例えば、アントラキノン系の分散染料等を使用することができる。
【0027】
以上のように付け毛10の上側に昇華紙26を配置したうえで、上コテ21を下方に押し下げて昇華紙26の上面に圧力を掛けつつ、加熱することで、乾熱プレスを行う。この場合の圧力及び温度は平坦化工程における圧力及び温度と等しく設定されている。こうすることで、繊維単糸11の平坦部11aに分散染料が転写され、
図5に示すように、分散染料層27が形成される。
【0028】
なお、印刷工程の後に付け毛10に対して柔軟剤等を塗布する工程を加えてもよい。また、静電気防止剤等を塗布する工程を加えて静電気の発生を防止するものとしてもよい。
【0029】
上述した印刷方法の比較例として、平坦化工程を行わず印刷工程のみを行った場合を、
図6に示す。この場合には、分散染料層27が繊維単糸11の円弧面に形成されるが、繊維単糸11の間にまでは分散染料層27は形成されない。すなわち、
図6に示すように、各分散染料層27の間には間隔Sが存在することとなる。
【0030】
また、平坦化工程では、繊維単糸11の断面を半円とせず、
図7に示すように、平坦部11aを形成しつつ、中心角が180°よりも大きい円弧を外面に残す形状してもよい。この場合においても、平坦化工程を行わない場合よりも広い分散染料層27を形成することができる。ただし、中心角が180°よりも小さい円弧を外面に残す形状とした場合には、繊維単糸11の厚みが薄くなりすぎるため、付け毛10の強度が低下するおそれがある。
【0031】
上記構成により、本実施形態に係る付け毛10の印刷方法は、以下の効果を奏する。
【0032】
・付け毛10は、断面円形の繊維単糸11が一方に揃っており、その長手方向に交差する方向の表面は、連続する円弧面である。このような形状であるため、印刷を行う場合には円弧の上端近傍にのみ印刷されることとなるため、染料の付着が不十分である。この点、本実施形態では平坦化工程により平坦部11aを形成した後に印刷を行うため、染料が載る面積を拡大することができる。
【0033】
・同一の熱転写機20により平坦化工程及び印刷工程を実行することができるため、平坦化工程を実行する機材を別途用意する必要がなく、さらに、平坦化工程後に付け毛を移動させたりすることなく印刷工程を実行することができる。したがって、印刷方法を実行するコストや、実行時の作業の煩雑さを低減することができる。
【0034】
・平坦部11aを形成した条件と同じ条件で昇華印刷を行うことにより、熱転写機20により加熱及び加圧で付け毛10が縮んだり変形したりしない。したがって、付け毛10が縮んだり変形したりすることに起因する印刷のずれを好適に抑制することができる。
【0035】
・印刷される側とは反対の側は人の頭髪と接触する側であり、反対の側も平坦となれば、頭髪との馴染みが悪化するおそれがある。この点、本実施形態では、付け毛よりも柔らかいマット23の上に付け毛を載置しているため、平坦化を行う面の反対側の面の平坦化を抑制することができる。
【0036】
<第2実施形態>
本実施形態では、
図8に示す熱転写機30の構成の一部が第1実施形態と異なっている。本実施形態に係る熱転写機30は、第1実施形態と同等の構成の上コテ31を備えている。一方、下コテ22の代わりに、穴あき板32を備えている。穴あき板32は、全体がステンレス等の金属で形成された板状であり、内部が空洞となっている。穴あき板32の上面には、
図9に示すように、多数の孔が設けられており、この孔により内部の空洞と外部とが連通している。さらに、この穴あき板32の内部空間には吸引装置33が接続されている。この吸引装置33は、例えば内部にファンを備えており、そのファンを回転させることで穴あき板32の内部空間の空気等を吸引可能となっている。すなわち、吸引装置33の吸引により、穴あき板32の上面の空気等を吸引することができる。
【0037】
印刷工程では、穴あき板32の上面には、メッシュシート34が敷かれる。このメッシュシート34は、合成樹脂の繊維を粗く編み込んだシートであり、付け毛10の繊維単糸11以上の耐熱性を有している。このメッシュシート34の上側には付け毛10が載置され、その上側には昇華紙36が敷かれる。この昇華紙36は第1実施形態と同等のものであるため、説明を省略する。
【0038】
以上のように各構成を配置したうえで、上コテ21を下方に押し下げて昇華紙26の上面に圧力を掛けつつ、加熱することで乾熱プレスを行う。このとき、吸引装置33を作動させることで、穴あき板32の上面の空気が吸引される。この吸引により、繊維単糸11の平坦部11aに付着して分散染料層27を形成したインク以外のインクが下方へ向けてさらに浸透することになる。この場合、繊維単糸11の断面形状を
図5で示した半円形状とした場合にも一定の効果があるが、
図7で示した中心角が180°よりも大きい円弧を外面に残す形状とした場合に、繊維単糸11の側部にもインクが付着して分散染料層を形成することとなる。
【0039】
なお、本実施形態に係る熱転写機30を利用して、平坦化工程を実施してもよい。この場合には、第1実施形態と同様に、マット23、下側シート24、及び、上側シート25を用いればよい。
【0040】
上記構成により、本実施形態に係る付け毛10の印刷方法は、第1実施形態に係る印刷方法が奏する効果の一部に加えて、以下の効果を奏する。
【0041】
・吸引装置33によるインクの吸引により、付け毛10の繊維単糸11の間にまでインクが浸透するため、より鮮やかな印刷を行うことができる。
【0042】
<第3実施形態>
本実施形態では、印刷工程が第1実施形態及び第2実施形態と異なっている。
図10に示すように、本実施形態では圧縮袋40を用いる。この圧縮袋40は合成樹脂で形成された袋であり、内部に封入されたものを密閉することができる。圧縮袋40には、付け毛10、シート44、及び、昇華紙46が封入される。シート44は第1実施形態で示した下側シート24と同等のシートであり、昇華紙46についても、第1実施形態や第2実施形態で示したものと同等のものである。
【0043】
圧縮袋40の口は、吸引装置43と接続されている。この吸引装置43は、内部にファンを有しており、この吸引装置43を作動させることで圧縮袋40内の空気を吸いだし、圧縮袋40内を減圧することができる。この圧縮袋40は、圧力容器50内に入れられる。この圧力容器50は金属で形成されており、内部の圧力を大気圧よりも高圧に維持しつつ、加熱を行うことができる。この状態では、圧縮袋40の外表面には大気圧よりも高い圧力が掛かるため、その圧力により昇華紙46が付け毛10に対して圧接した状態となる。こうして圧縮袋40内を減圧し、圧力容器50内を加圧したうえで、圧力容器50内を加熱する。この時の温度は、昇華紙46の分散染料が昇華する温度、例えば、130°~140°程度である。なお、圧力容器50内に圧縮袋40を入れる際に、吸引装置43を取り外してから入れるものとしてもよい。
【0044】
上記構成により、本実施形態に係る付け毛10の印刷方法は、第1実施形態に係る印刷方法が奏する効果の一部に加えて、以下の効果を奏する。
【0045】
・圧縮袋40内を減圧することで外圧により圧縮袋40が圧縮されることとなり、熱転写機20を用いた状態と同等の環境を得ることができる。
【0046】
・圧縮袋40内に昇華紙46、付け毛10、シート44の順に、複数重畳したうえで減圧及び加熱を行うことができるため、一度の工程で複数の付け毛10に対して昇華印刷を行うことができる。
【0047】
<変形例>
・第1実施形態及び第2実施形態の印刷工程において、昇華紙26を用いて染料を転写するものとしているが、インクジェット印刷やスクリーン印刷等、他の様々な公知の印刷方法を利用することができる。また、使用するインクについても実施形態で示したものに限られず、公知の様々なインクを用いることができる。他の印刷方法においても、印刷面が円弧面ではなく平坦部であるため、第1実施形態と同様に平坦なインクの層を形成することができる。
【0048】
・第1実施形態において、平坦化工程と印刷工程とで同じ圧力且つ同じ温度としたが、少なくとも一方が異なっていてもよい。
【0049】
・実施形態において、上下のコテ21,22を有する熱転写機20により平坦化工程及び印刷工程を実施するものとしたが、上コテ21の代わりに加熱可能なローラを用いて平坦化工程及び印刷工程の少なくとも一方を実行するものとしてもよい。また、上コテ21及び下コテ22の代わりにローラを用いるものとしてもよい。
【0050】
・平坦部11aの形成方法は、実施形態に示したものに限られず、断面円形の繊維単糸11に平坦な面を形成可能であれば種々の変更が可能である。例えば、加熱のみ、又は加圧のみで平坦な面を形成してもよいし、加熱して軟化させた後に加圧を行ってもよい。また、切削等により平坦な面を形成してもよい。
【0051】
・第2実施形態及び第3実施形態では、平坦化工程を行わず、実施形態で示した印刷工程を実施するものとしてもよい。この場合、第2実施形態では上コテ31を用いず、穴あき板32の上に付け毛10を置いた状態でスクリーン印刷等の印刷方法を採用してもよい。この場合でも、吸引装置33によりインクを吸引するため、繊維単糸11の側方までインクが浸透するため、好適に印刷を行うことができる。こうすることで、付け毛10に対して加圧を伴う加熱を行うことなく印刷を行うことが可能となる。
【0052】
・平坦部11aは、繊維単糸11の長手方向の全体に設けず、印刷を行う範囲にのみ形成するものとしてもよい。
【0053】
・熱転写機20の上コテ21に凹凸を形成しておき、その凹凸を利用してエンボス加工を行ったうえで、印刷を行うものとしてもよい。
【符号の説明】
【0054】
付け毛…10、繊維単糸…11、平坦部…11a、固定部…12、熱転写機…20、上コテ…21、下コテ…22、マット…23,下側シート…24、上側シート…25、昇華紙…26、分散染料層…27、熱転写機…30、上コテ…31、穴あき板…32、吸引装置…33、昇華紙…36、圧縮袋…40、吸引装置…43、昇華紙…46。