(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】パンツ型着用物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/56 20060101AFI20240705BHJP
A61F 13/49 20060101ALI20240705BHJP
A61F 13/514 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
A61F13/56 210
A61F13/49 413
A61F13/514 400
(21)【出願番号】P 2020116656
(22)【出願日】2020-07-06
【審査請求日】2023-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】519372272
【氏名又は名称】DSGジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 孝利
【審査官】原田 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-261354(JP,A)
【文献】特開2019-150121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/56
A61F 13/49
A61F 13/514
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
股下領域と、当該股下領域の前側の前見頃領域と、前記股下領域の後側の後見頃領域とを
有する股部と、
前記後見頃領域に中央領域が接合された胴回り部と、
前記胴回り部の左端部に設けられた左端部係合部材と、
前記胴回り部の右端部に設けられた右端部係合部材と、
前記前見頃領域に設けられ、前記左端部係合部材及び前記右端部係合部材に係合される
被係合部材が形成された被係合領域と、
前記左端部係合部材に対応して前記被係合領域の左端部の前後方向両端に設けられると共に前記右端部係合部材に対応して前記被係合領域の右端部の前後方向両端に設けられた折込み良否判定用マークであって、前記左端部係合部材及び前記右端部係合部材が、前記被
係合部材に係合するように前記股部及び前記胴回り部が折り込まれた際に、前記胴回り部
に覆われている状態に応じて折込みの良否を判定するための折込み良否判定用マークと、
を備え
、
前記折込み良否判定用マークには、外側から視認可能な特定の色相又は/及び検出可能な特定の色相が付与されていて、
前記被係合領域の前後方向の異なる位置にそれぞれ、左右一対の折込み良否判定用マークが設けられ、
左右一対の折込み良否判定用マークを構成する各折込み良否判定用マークの色相は、同一であり、
前記被係合領域の前側に設けられた折込み良否判定用マークの色相と前記被係合領域の後ろ側に設けられた折込み良否判定用マークの色相は、互いに異なる、
パンツ型着用物品。
【請求項2】
前記股部は、前記折込み良否判定用マークが設けられたバックシートと、前記折込み良否
判定用マークを外側から視認可能に又は/及び検出可能に前記バックシートの非肌側に接
合され、前記被係合部材が設けられたカバーシートと、を含んで構成されている、
請求項1に記載のパンツ型着用物品。
【請求項3】
前記被係合領域の前後方向の異なる位置それぞれに設けられた左右一対の折込み良否判定
用マークのうち、一方の左右一対の折込み良否判定用マークは、前記股部の前後方向位置
を検出するための前後方向位置検出用マークを兼ねている、
請求項
1又は2に記載のパンツ型着用物品。
【請求項4】
前記折込み良否判定用マークには、前記色相に置換して、外側から視認可能な特定の形状
又は/及び特定の模様又は/及び検出可能な特定の形状又は/及び特定の模様が付与され
ている、
請求項
1から3のいずれか一項に記載のパンツ型着用物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おむつなどのパンツ型着用物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、おむつのカバーシートやバックシートに、図柄を印刷して外から図柄を視認できるタイプのおむつが知られている。下記特許文献1、特許文献2には、おむつを製造するに際して、バックシートの連続体に、図柄を製造ラインの流れ方向に沿って繰り返し一定間隔毎に印刷すると共に、所定の色相を有するマーカーを繰り返し一定間隔毎に印刷するという発明が記載されている。特許文献1、特許文献2では、マーカーをカラーセンサによって検出し、検出情報に基づいてバックシートの連続体を一定間隔毎に切断するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-36089号公報
【文献】特開2015-19724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
おむつのタイプには、リファスナブルパンツと呼ばれるパンツ型おむつがある。このリファスナブルパンツ型おむつは、胴回り部のフックを、股部のループに係合するように折り込んだ状態で工場から出荷される。工場では、胴回り部のフックが、股部のループに係合するように股部及び胴回り部を折り込む工程(以下、この工程を折込み工程という)が実施される。折込み工程では、胴回り部の折込みが浅いなどの折込み不良が発生することがある。
【0005】
また、おむつのバックシート等に、図柄と共にマーカーを印刷した場合には、図柄と共にマーカーが外から見えてしまい、外観の見栄えを損なっていた。
【0006】
本発明は、パンツ型着用物品の折込み良否を判定できるようにすることを課題とする。
【0007】
また本発明は、マーカーが外から見えることがないようにして、従来のマーカーが付与された製品と比較してパンツ型着用物品の外観の見栄えを良くすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様は、股下領域と、当該股下領域の前側の前見頃領域と、前記股下領域の後側の後見頃領域とを有する股部と、前記後見頃領域に中央領域が接合された胴回り部と、前記胴回り部の左端部に設けられた左端部係合部材と、前記胴回り部の右端部に設けられた右端部係合部材と、前記前見頃領域に設けられ、前記左端部係合部材及び前記右端部係合部材に係合される被係合部材が形成された被係合領域と、前記左端部係合部材に対応して前記被係合領域の左端部の前後方向両端に設けられると共に前記右端部係合部材に対応して前記被係合領域の右端部の前後方向両端に設けられた折込み良否判定用マークであって、前記左端部係合部材及び前記右端部係合部材が、前記被係合部材に係合するように前記股部及び前記胴回り部が折り込まれた際に、前記胴回り部に覆われている状態に応じて折込みの良否を判定するための折込み良否判定用マークと、を備えたパンツ型着用物品である。
【0009】
第2の態様は、第1の態様において、前記股部は、前記折込み良否判定用マークが設けられたバックシートと、前記折込み良否判定用マークを外側から視認可能に又は/及び検出可能に前記バックシートの非肌側に接合され、前記被係合部材が設けられたカバーシートと、を含んで構成されている、パンツ型着用物品である。
【0010】
第3の態様は、第1の態様又は第2の態様において、前記折込み良否判定用マークには、外側から視認可能な特定の色相又は/及び検出可能な特定の色相が付与されている、パンツ型着用物品である。
【0011】
第4の態様は、第3の態様において、前記被係合領域の前後方向の異なる位置にそれぞれ、左右一対の折込み良否判定用マークが設けられ、左右一対の折込み良否判定用マークを構成する各折込み良否判定用マークの色相は、同一であり、前記被係合領域の前側に設けられた折込み良否判定用マークの色相と前記被係合領域の後ろ側に設けられた折込み良否判定用マークの色相は、互いに異なる、パンツ型着用物品である。
【0012】
第5の態様は、第4の態様において、前記被係合領域の前後方向の異なる位置それぞれに設けられた左右一対の折込み良否判定用マークのうち、一方の左右一対の折込み良否判定用マークは、前記股部の前後方向位置を検出するための前後方向位置検出用マークを兼ねている、パンツ型着用物品である。
【0013】
第6の態様は、第3の態様から第5の態様のいずれかにおいて、前記折込み良否判定用マークには、前記特定の色相に置換して、外側から視認可能な特定の形状又は/及び特定の模様又は/及び検出可能な特定の形状又は/及び特定の模様が付与されている、パンツ型着用物品である。
【0014】
第7の態様は、第3の態様において、前記折込み良否判定用マークは、前記左端部係合部材に対応して前記被係合領域の左端部の前後方向にわたり一体に設けられていると共に前記右端部係合部材に対応して前記被係合領域の右端部の前後方向にわたり一体に設けられている、パンツ型着用物品である。
【発明の効果】
【0015】
第1の態様にから第7の実施形態によれば、パンツ型着用物品の折込みの良否を判定することができる。またマークは、外側から見えることがなく、従来のパンツ型着用物品と比較して、パンツ型着用物品の外観の見栄えが良くなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は実施形態のパンツ型着用物品を展開状態で示す平面図である。
【
図2】
図2は実施形態のパンツ型着用物品の股部の構成を展開状態で示す斜視図である。
【
図3】
図3は股部のバックシートの連続体を示す平面図である。
【
図4】
図4は股部及び胴回り部が折り込まれたパンツ型着用物品を示す平面図である。
【
図5】
図5(A)はパンツ型着用物品の折込み不良を例示する図で、
図5(B)はパンツ型着用物品の折込み不良を例示する図である。
【
図6】
図6は股部のバックシートの連続体を示す平面図である。
【
図7】
図7は股部のバックシートの連続体を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照してパンツ型着用物品の実施形態について説明する。
【0018】
図1は、実施形態のパンツ型着用物品を展開状態で示す平面図である。本実施形態では、パンツ型着用物品としてリファスナブルパンツと呼ばれるパンツ型おむつを想定して説明する。このリファスナブルパンツ型おむつは、胴回り部のフックを、股部のループに係合するように折り込んだ状態で工場から出荷される。
【0019】
(おむつの構成)
【0020】
おむつ1は、大きくは、股部100と、胴回り部200を含んで構成されている。
【0021】
図1において図面下側をおむつ1の前側とし、図面上側をおむつ1の後側とする。また図面左側をおむつ1の左側とし図面右側をおむつ1の右側とする。また
図1において図面上下方向を製造ラインにおける股部100の流れ方向MDとし、流れ方向MDに直交する方向(図面左右方向)をおむつ1の幅方向CDとする。
図1において、流れ方向MD及び幅方向CDに直交する方向を、おむつ1の厚み方向(
図1の紙面に垂直な方向)とする。
図1において紙面表側が着用者の肌側(内側)で、紙面裏側が非肌側(外側)となる。
【0022】
股部100は、股下領域100Mと、股下領域100Mの前側の前見頃領域100Fと、股下領域100Mの後側の後見頃領域100Rとを有する。前見頃領域100Fは、着用者の前部(腹側、前胴回り)に位置する部分である。後見頃領域100Rは、着用者の後部(背側、後胴回り)に位置する部分である。
【0023】
胴回り部200は、中央領域200Mと、中央領域200Mの左側の左サイドフラップ200Lと、中央領域200Mの右側の右サイドフラップ200Rとを有する。胴回り部200には、左右方向に伸縮可能な胴回り弾性部材(図示せず)、例えば糸ゴムが設けられている。この胴回り弾性部材によって、着用者の胴回り方向に伸縮性が付与される。胴回り部200の中央領域200Mに、股部100の後見頃領域100Rが接合されている。
【0024】
胴回り部200の左サイドフラップ200Lの左端部には、左端部係合部材220Lが設けられている。胴回り部200の右サイドフラップ200Rの右端部には、右端部係合部材220Rが設けられている。左端部係合部材220L及び右端部係合部材220Rは、胴回り部200の肌側面(
図1の紙面表側)に設けられている。
【0025】
一方、股部100の前見頃領域100Fには、左端部係合部材220L及び右端部係合部材220Rに係合される被係合部材121が設けられている。被係合部材121は、股部100の被係合領域122に形成されている。被係合部材121は、股部100の非肌側面(
図1の紙面裏側)に設けられている。
【0026】
左端部係合部材220L、右端部係合部材220R及び被係合部材121は、例えばファスニングテープ(面ファスナー)で構成される。オス部材としての左端部係合部材220L、右端部係合部材220Rは、複数のフック(鉤状の突起群)で構成される。メス部材としての被係合部材121は、左端部係合部材220L、右端部係合部材220Rを構成するフックに係合され得る複数のループで構成されている。
【0027】
図4に示すように、おむつ1は、股部100及び胴回り部200が折り込まれ、左端部係合部材220L及び右端部係合部材220Rが、被係合部材121に係合された状態で工場から出荷される。
【0028】
図1に戻り、左端部係合部材220Lに対応して被係合領域122の左端部の前後方向両端には、折込み良否判定用マーク111L、112Lが設けられている。右端部係合部材220Rに対応して被係合領域122の右端部の前後方向両端には、折込み良否判定用マーク111R、112Rが設けられている。すなわち被係合領域122の前後方向の異なる位置にそれぞれ、左右一対の折込み良否判定用マーク111L、111R及び左右一対の折込み良否判定用マーク112L、112Rが設けられている。
【0029】
折込み良否判定用マーク111L、112L及び111R、112Rは、左端部係合部材220L及び右端部係合部材220Rが、被係合部材121に係合するように股部100及び胴回り部200が折り込まれた際に、胴回り部200に覆われたか否かをもって折込みの良否を判定するために用いられる。
【0030】
つぎに股部100の構成例について
図1に
図2を併せ参照して説明する。
【0031】
股部100は、着用者によって排泄された尿等の液体を吸収し保持する部位であり、外側からカバーシート120と、バックシート110と、吸収性本体130と、トップシート140が順次、厚さ方向に重ね合わせられ、接合されて、構成されている。
図2において図面上側が肌側(内側)で、図面下側が非肌側(外側)となる。
【0032】
吸収性本体130は、図示しない吸収性ポリマーを含有する吸収体と、この吸収体を包む液透過性を有するラップシート131とを含んで構成されている。
【0033】
トップシート140は、吸収性本体130の肌側に配置され、液透過性の部材で構成されている。
【0034】
バックシート110は、吸収性本体130の非肌側に配置され、液不透過性と透湿性を有する部材で構成されている。バックシート110の非肌側面には、折込み良否判定用マーク111L、112L及び111R、112Rが例えば印刷によって形成されている。バックシート110の吸収性本体130の非肌側に、折込み良否判定用マーク111L、112L及び111R、112Rと共に、図柄を印刷してもよい。
【0035】
カバーシート120は、おむつ1の非肌側の外装を構成する部材であり、例えば不織布で構成されている。このカバーシート120と吸収性本体130との間にバックシート110が配置されている。カバーシート120の非肌側面の被係合領域122には、被係合部材121が設けられている。カバーシート120は、透明又は半透明の部材で構成されており、バックシート110に印刷された折込み良否判定用マーク111L、112L及び111R、112R(図柄が印刷されている場合には図柄についても)を外側から視認可能又は/及び検出可能となっている。
【0036】
(折込み良否判定用マーク及び前後方向位置検出用マーク)
【0037】
折込み良否判定用マーク111L、112L及び111R、112Rには、外側から視認可能な特定の色相又は/及び検出可能な特定の色相が付与されている。
【0038】
ここで一方の左右一対の折込み良否判定用マーク111L、111Rを構成する各良否判定用マークの色相は、同一である。同様に、他方の左右一対の折込み良否判定用マーク112L、112Rを構成する各良否判定用マークの色相も、同一である。
【0039】
ただし、被係合領域122の前側に設けられた良否判定用マーク111L、111Rの色相A(
図1においてクロスハッチングで示す)と、被係合領域122の後ろ側に設けられた良否判定用マーク112L、112Rの色相B(
図1においてハッチングで示す)は、互いに異なっている。
【0040】
一方の左右一対の折込み良否判定用マーク111L、111Rは、股部100の前後方向位置を検出するための前後方向位置検出用マークを兼ねている。
【0041】
(おむつの製造工程における股部の前後方向位置の検出)
【0042】
図3は、おむつの製造ラインで搬送されるバックシートの110の連続体を示す。
【0043】
バックシート110の連続体には、図柄(図示せず)が製造ラインの流れ方向(バックシート110の前後方向)MDに沿って、繰り返し、個々のおむつ1の股部100に対応する一定間隔L毎に印刷されると共に、特定の色相Aを有する前後方向位置検出用マーク111L、111Rが、繰り返し、一定間隔L毎に印刷されている。
【0044】
バックシート110の連続体は、切断工程に搬送され、図示しない切断装置によって前後方向の所定の切断位置CTにて切断される。バックシート110の連続体に対する切断の制御は、バックシート110の連続体に印刷された前後方向位置検出用マーク111L、111Rの検出結果に基づき行われる。図示しないカラーセンサは、前後方向位置検出用マーク111L、111Rの色相Aに対応する波長の光のスペクトルを検出し、検出結果を図示しない制御装置に出力する。上記制御装置は、上記カラーセンサで前後方向位置検出用マーク111L、111Rの色相Aを検出する毎に、前後方向位置検出用マーク111L、111Rを検出した位置から前後方向に沿って所定の距離だけ離間した切断位置CTにて、バックシート110の連続体を、切断するように、上記切断装置を駆動制御する。こうして個々のおむつ1の股部100に対応する長さLのバックシート110が次工程に搬送される。
【0045】
前後方向位置検出用マーク111L、111Rを、バックシート110の連続体の前後方向切断位置の制御に用いる場合について説明したが、股部100の前後方向位置の制御であれば任意に適用することができる。例えば前後方向位置検出用マーク111L、111Rの検出位置に基づいて、バックシート110の連続体の上に吸収性本体130を前後方向に沿って一定間隔で配列するように制御することができる。また、例えば前後方向位置検出用マーク111L、111Rの検出位置に基づいて、トップシート140の連続体及び吸収性本体130が接合されたバックシート110の連続体を、切断するように制御することができる。
【0046】
(おむつの製造工程における折込み良否の判定)
【0047】
図4は、おむつの製造ラインの折込み工程で、股部100及び胴回り部200が折り込まれた状態のおむつ1を正面図で示す。
【0048】
折込み工程では、股部100の前見頃領域100Fが、胴回り部200の中央領域200Mに重なるように折り返される。つぎに胴回り部200の左端部係合部材220L及び右端部係合部材220Rが股部100の被係合部材121に係合するように、胴回り部200の左サイドフラップ200L及び右サイドフラップ200Rが折り返される。折込み工程では、胴回り部200の左端部係合部材220Lが被係合領域122の左端部の折込み良否判定用マーク111L、112Lを覆い、胴回り部200の右端部係合部材220Rが被係合領域122の右端部の折込み良否判定用マーク111R、112Rを覆うように、折り込みが制御される。
【0049】
折込み工程には、撮像装置と折込み良否判定装置が設けられている。
【0050】
上記撮像装置は、折り込まれた状態のおむつ1の正面を撮像する。上記折込み良否判定装置は、上記撮像装置で撮像されたおむつ1の正面の画像に基づいて、折込み良否判定用マーク111L、111R、112L、112Rが胴回り部200に覆われている状態に応じて折込みの良否を判定する。具体的には、胴回り部200に覆われているか否かをもって折込みの良否を判定する。例えば折込み良否判定装置は、画像内に、被係合領域122の前側の折込み良否判定用マーク111L、111Rの色相Aに対応する色の領域があるか否かを検出すると共に、被係合領域122の後ろ側の折込み良否判定用マーク112L、112Rの色相Bに対応する色の領域があるか否かを検出する。折込み良否判定用マーク111L、111R、112L、112Rの全ての色相領域を検出しない場合に、「折込み良」と判定し、折込み良否判定用マーク111L、111R、112L、112Rの少なくともいずれか一つの色相領域を検出した場合に、「折込み不良」と判定する。
【0051】
例えば折込み工程で
図4に示すように股部100及び胴回り部200が折り込まれたとする。この場合、上記折込み良否判定装置では、折込み良否判定用マーク111L、111R、112L、112Rが胴回り部200に覆われていると判別され、「折込み良」と判定される。このおむつ1は、次工程に「合格品」として搬送される。
【0052】
以下の
図5(A)、
図5(B)では、被係合領域122の左端部の折込み良否判定用マーク111L、112Lを代表して説明する。
【0053】
例えば折込み工程で
図5(A)に示すように股部100に対して胴回り部200が浅く折り込まれたとする。この場合、上記折込み良否判定装置では、折込み良否判定用マーク111L、112Lが胴回り部200に覆われていないと判別され、「折込み不良(折込みが浅い)」と判定される。このおむつ1は「不合格品」として所定の措置がなされる。
【0054】
また、例えば折込み工程で
図5(B)に示すように股部100に対して胴回り部200が斜めに折り込まれたとする。この場合、上記折込み良否判定装置では、折込み良否判定用マーク111Lは胴回り部200に覆われているものの折込み良否判定用マーク112Lが胴回り部200に覆われていないと判別され、「折込み不良(折込みが斜め)」と判定される。このおむつ1は「不合格品」として所定の措置がなされる。
【0055】
折込み良否判定用マーク111L、111R、112L、112Rを、折込み工程後の折込み良否判定に用いる場合について説明したが、折込み工程前の股部100の状態判定に用いてもよい。例えば折込み工程前の股部100の正面を同様に撮像装置で撮像し、撮像した画像内に折込み良否判定用マーク111L、111R、112L、112Rの少なくともいずれか一つの色相領域を検出した場合に、股部100の端部が折れている「端部折れ不良」があると判定することができる。
【0056】
(消費者による折込み位置調整)
【0057】
実施形態1のおむつ1は、工場から出荷された状態で、そのまま着用者に装着させることができる。また、胴回り部200の左端部係合部材220L及び右端部係合部材220Rを、股部100の被係合部材121から一旦外して、再度、股部100に対して胴回り部200を折り込んで適切な折込み位置に調整することもできる。
【0058】
実施形態1のおむつ1は、折込み良否判定用マーク111L、111R、112L、112Rを外側から視認できるため、消費者が折込み位置を調整する際の目安として用いることができる。
【0059】
例えば、
図5Aに示すように、折込み良否判定用マーク111L、112Lを目安に、胴回り部200が折込み良否判定用マーク111L、112Lを完全には覆わないように折込むことで、適正な折込み位置に対して胴回り部200が、股部100に対して浅く折り込んだ位置に調整することができる。また、
図4に示すように、折込み良否判定用マーク111L、112Lを目安に、胴回り部200が折込み良否判定用マーク111L、112Lを覆うように折り込むことで、適正な折込み位置あるいは深く折り込んだ位置に調整することができる。
【0060】
以上の実施形態では、一方の左右一対の折込み良否判定用マーク111L、111Rが、前後方向位置検出用マークを兼ねており、そのマークの色相が他方の左右一対の折込み良否判定用マーク112L、112Rの色相と異なるものであるとして説明した。
【0061】
しかし、前後方向位置検出の機能が不要であれば、一方の左右一対の折込み良否判定用マーク111L、111Rの色相と他方の左右一対の折込み良否判定用マーク112L、112Rの色相を同じとする実施も可能である。また前後方向位置検出用マークを、折込み良否判定用マーク111L、111R、112L、112Rとは別途に、股部100の別の箇所、例えば股部100の後見頃領域100Rに設ける実施も可能である。
【0062】
また以上の実施形態では、被係合領域122の前後方向の異なる位置にそれぞれ別体の折込み良否判定用マーク111L、112L(右端部については折込み良否判定用マーク111R、112R)を設けるようにしているが、折込み良否判定用マークとしては被係合領域122の前後方向にわたり一体のものであってもよい。
【0063】
図6は、左端部係合部材220Lに対応する折込み良否判定用マーク111L、112Lを、被係合領域122の左端部の前後方向にわたり一体に設けると共に、右端部係合部材220Rに対応する折込み良否判定用マーク111R、112Rを、被係合領域122の右端部の前後方向にわたり一体に設けた構成例を示す。一体化された折込み良否判定用マーク111L、112Lの前側部分111L及び同じく一体化された折込み良否判定用マーク111R、112Rの前側部分111R(
図6でクロスハッチングで示す)が前後方向位置検出用マークを兼ねている。
【0064】
図7は、左端部係合部材220Lに対応する折込み良否判定用マーク111Lを、被係合領域122の左端部の前後方向にわたり一体に設けると共に、右端部係合部材220Rに対応する折込み良否判定用マーク111Rを、被係合領域122の右端部の前後方向にわたり一体に設けた構成例を示す。一体化された折込み良否判定用マーク111L及び同じく一体化された折込み良否判定用マーク111R(
図6でクロスハッチングで示す)は前後方向位置検出用マークを兼ねている。
【0065】
図7において、一体化された折込み良否判定用マーク111L、111Rを、一体化された折込み良否判定用マーク112L、112Rに置換して構成し、前後方向位置検出用マークとしての機能を省くようにしてもよい。
【0066】
以上の実施形態では、折込み良否判定用マーク111L、112L及び111R、112Rに付与された特定の色相の検出結果に応じて折込み良否の判定、切断位置の制御等を行うようにしている。しかし、外側から視認可能又は/及び検出可能であれば、特定の色相を、特定の形状又は/及び特定の模様に置換して、同様に折込み良否の判定等を行う実施も可能である。例えば特定の文字、記号、図形等を、折込み良否判定用マーク111L、112L及び111R、112Rに付与して、特定の文字、記号、図形等の検出結果に応じて折込み良否の判定、切断位置の制御等を行うことができる。
なお実施形態の折込み良否判定用マーク111L、112L及び111R、112Rは、そのマークが胴回り部200に覆われたか否かをもって折込みの良否を判定するマークであるが、必ずしもマークの全領域が完全に胴回り部200に覆われたか否かをもって折込みの良否を判定する実施に限定されるわけではない。
たとえば、胴回り部200によってマークの全領域のうちの80%以上の領域が覆われているか否かをもって折込みの良否を判定する実施も可能であり、場合によっては、胴回り部200によってマークの全領域のうちの50%以上の領域が覆われているか否かをもって折込みの良否を判定する実施も可能である。胴回り部200に覆われているマークの状態に応じて折込みの良否を判定することができればよく、折込みの良否を判定するためのしきい値、つまり胴回り部200に覆われているマークの状態のしきい値(覆われているマークの個数、覆われているマークの面積等)は、任意に設定することができる。
【0067】
以上のように実施形態によれば、パンツ型着用物品の折込み良否を判定できるようになる。また消費者は、折込み位置の調整を容易に行うことができるようになる。
【0068】
また製品に付与されたマークが外側から視認されないため、従来のマーカーが付与された製品と比較してパンツ型着用物品の外観の見栄えが向上する。
【符号の説明】
【0069】
1 おむつ
100 股部
200 胴回り部
220L 左端部係合部材
220R 右端部係合部材
121 被係合部材
122 被係合領域
111L、112L及び111R、112R 折込み良否判定用マーク