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特許7515169落雷位置標定システムによる落雷検知の真偽を確認するための確認装置、確認方法及び確認プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】落雷位置標定システムによる落雷検知の真偽を確認するための確認装置、確認方法及び確認プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01W 1/16 20060101AFI20240705BHJP
   G01R 29/08 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
G01W1/16 C
G01R29/08 E
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020177813
(22)【出願日】2020-10-23
(65)【公開番号】P2022068960
(43)【公開日】2022-05-11
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000144991
【氏名又は名称】株式会社四国総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100170542
【弁理士】
【氏名又は名称】桝田 剛
(72)【発明者】
【氏名】新居 浩治
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-156158(JP,A)
【文献】特開2018-198053(JP,A)
【文献】特開2004-333453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01W 1/16
G01R 29/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
落雷位置標定システムによる落雷の検知に際して生成される落雷位置標定データを取得するデータ取得部と、
機械学習により訓練済みの判定モデルを使用して、取得された落雷位置標定データに基づき、前記落雷の検知が確報か誤報かを判定する判定部と、
判定の結果に関する情報を出力する出力部と、
を備え、
前記落雷位置標定データは、前記落雷の検知において前記落雷位置標定システムの各落雷センサが落雷を捕捉した方位角と前記落雷位置標定システムの中央処理装置の解析により前記各落雷センサの測定データから導出された落雷の位置の各落雷センサに対する角度との角度差を示す方位角差データを含むように構成される、
落雷位置標定システムによる落雷検知の真偽を確認するための確認装置。
【請求項2】
前記落雷位置標定データは、前記落雷位置標定システムの各落雷センサによる落雷の測定データを含むように構成される、
請求項1に記載の確認装置。
【請求項3】
前記測定データは、前記各落雷センサが落雷を捕捉した方位角及び信号強度の測定値により構成される、
請求項2に記載の確認装置。
【請求項4】
前記落雷位置標定データは、前記落雷位置標定システムの中央処理装置の解析により前記各落雷センサの前記測定データから導出される落雷の解析データを更に含むように構成される、
請求項2又は3に記載の確認装置。
【請求項5】
落雷位置標定システムによる落雷の検知に際して生成された学習用落雷位置標定データ及び前記学習用落雷位置標定データにおける前記落雷の検知が確報か誤報かの真値を示す正解ラベルの組み合わせによりそれぞれ構成される複数の学習データセットを取得するデータ取得部と、
取得された複数の学習データセットを使用して、判定モデルの機械学習を実施する学習処理部であって、前記機械学習は、前記各学習データセットについて、前記学習用落雷位置標定データに基づき落雷の検知が確報か誤報かを前記判定モデルを使用して判定した結果が前記正解ラベルにより示される真値に適合するように前記判定モデルを訓練することにより構成される、学習処理部と、
を備え、
前記学習用落雷位置標定データは、前記落雷の検知において前記落雷位置標定システムの各落雷センサが落雷を捕捉した方位角と前記落雷位置標定システムの中央処理装置の解析により前記各落雷センサの測定データから導出された落雷の位置の各落雷センサに対する角度との角度差を示す方位角差データを含むように構成される、
モデル生成装置。
【請求項6】
前記学習用落雷位置標定データは、前記落雷位置標定システムの各落雷センサによる落雷の測定データを含むように構成される、
請求項に記載のモデル生成装置。
【請求項7】
前記判定モデルは、ニューラルネットワークにより構成される、
請求項5又は6に記載のモデル生成装置。
【請求項8】
コンピュータが、
落雷位置標定システムによる落雷の検知に際して生成される落雷位置標定データを取得するステップと、
機械学習により訓練済みの判定モデルを使用して、取得された落雷位置標定データに基づき、前記落雷の検知が確報か誤報かを判定するステップと、
判定の結果に関する情報を出力するステップと、
を実行
前記落雷位置標定データは、前記落雷の検知において前記落雷位置標定システムの各落雷センサが落雷を捕捉した方位角と前記落雷位置標定システムの中央処理装置の解析により前記各落雷センサの測定データから導出された落雷の位置の各落雷センサに対する角度との角度差を示す方位角差データを含むように構成される、
落雷位置標定システムによる落雷検知の真偽を確認するための確認方法。
【請求項9】
コンピュータに、
落雷位置標定システムによる落雷の検知に際して生成される落雷位置標定データを取得するステップと、
機械学習により訓練済みの判定モデルを使用して、取得された落雷位置標定データに基づき、前記落雷の検知が確報か誤報かを判定するステップと、
判定の結果に関する情報を出力するステップと、
を実行させ、
前記落雷位置標定データは、前記落雷の検知において前記落雷位置標定システムの各落雷センサが落雷を捕捉した方位角と前記落雷位置標定システムの中央処理装置の解析により前記各落雷センサの測定データから導出された落雷の位置の各落雷センサに対する角度との角度差を示す方位角差データを含むように構成される、
落雷位置標定システムによる落雷検知の真偽を確認するための確認プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、落雷位置標定システムによる落雷検知の真偽を確認するための確認装置、確認方法及び確認プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、落雷の位置を特定するために、落雷位置標定システム(LLS:Lightning Location System)が用いられている。落雷位置標定システムは、複数の落雷センサ及び中央処理装置を備えることで、落雷により発生する電磁波を捕捉して、得られた電磁波の測定結果から落雷の位置を導出するように構成されたシステムである。例えば、特許文献1には、落雷位置標定システムを利用して、落雷事故点を標定する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-333453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
各電力会社(送配電会社)は、送電の系統運用の他、送電線の耐雷設計のための基礎資料を得る目的で、落雷位置標定システムを保有している。従来、観測員が、落雷を目視で観測し記録していたため、基礎資料を得るのにコストがかかっていたが、落雷位置標定システムを利用することで、そのコストを抑えることができる。しかしながら、この落雷位置標定システムには、次のような問題点があることを本件発明者は見出した。
【0005】
すなわち、落雷位置標定システムを使用して四国内の落雷を検知(標定)したデータを検証したところ、年間に落雷を検知した日数が過去の平均に比べて2~3倍程度増えていることが判明した。落雷位置標定システムの標定方法では、複数の位置が標定位置に該当し得ることから、他の地域の落雷を対象地域内の落雷と誤検知する可能性があること、落雷センサが高性能になり、遠方で発生した落雷の電磁波を捕捉可能になったこと等が誤検知の要因と考えられる。このような落雷の過検出が積み重なると、実際の件数よりも随分と多く落雷が発生していると誤り、送電線の耐雷設計(最適化)に悪影響を及ぼしてしまう可能性がある。
【0006】
本発明は、一側面では、このような事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、落雷位置標定システムによる落雷の検知が確報であるか誤報であるかの真偽を確認するための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
【0008】
すなわち、本発明の一側面に係る確認装置は、落雷位置標定システムによる落雷検知の真偽を確認するための装置であって、落雷位置標定システムによる落雷の検知に際して生成される落雷位置標定データを取得するデータ取得部と、機械学習により訓練済みの判定モデルを使用して、取得された落雷位置標定データに基づき、前記落雷の検知が確報か誤報かを判定する判定部と、判定の結果に関する情報を出力する出力部と、を備える。
【0009】
落雷は、雲の中に溜まった電気が雲の外に放出されることで生じる現象である。そのため、本件発明者は、落雷位置標定システムにより検知された落雷の位置及び時刻の天気情報により、その落雷の検知が確報であるか誤報であるかを確認可能であると考えた。すなわち、検知された落雷の位置及び時刻に雨雲が存在しない場合、その落雷の検知は誤報である可能性が極めて高い。検知された落雷の位置及び時刻に雨雲が存在するが、雨雲のレベルが低い場合も、その落雷の検知は誤報である可能性が高い。一方で、検知された落雷の位置及び時刻に雨雲が存在し、雨雲のレベルが高い場合、その落雷の検知は確報である可能性が高い。このように、天気情報を利用すれば、落雷位置標定システムの落雷検知が確報であるか誤報であるかを高い精度で検証することは可能である。
【0010】
ただし、過去のデータを検証する場面等、検知された落雷の位置及び時刻(又はその近傍)の天気情報を常に手に入れられるとは限らない。そこで、本件発明者は、更に研究を進めて、落雷位置標定システムの落雷検知を検証する方法を検討し、一定の条件下で誤報が生じているのではないかと考えるに至った。この観点から、本件発明者は、落雷位置標定システムによる落雷の検知に際して生成される落雷位置標定データ(例えば、各落雷センサの測定データ等)の特徴を機械学習モデルに学習させることで、落雷位置標定データに基づいて落雷の検知が確報であるか誤報であるかを判定する能力を獲得した訓練済みモデルを生成できるのではないかと考えた。そして、本件発明者は、後述する実験例の結果に示されるとおり、学習用の落雷位置標定データを使用した機械学習により、落雷位置標定システムによる落雷の検知が確報であるか誤報であるかを比較的に高精度で判定可能な訓練済みの判定モデルを生成可能であることを見出した。したがって、当該構成によれば、訓練済みの判定モデルを利用することで、落雷位置標定システムによる落雷の検知が確報であるか誤報であるかを確認することができる。
【0011】
上記一側面に係る確認装置において、前記落雷位置標定データは、前記落雷位置標定システムの各落雷センサによる落雷の測定データを含むように構成されてよい。また、上記一側面に係る確認装置において、前記測定データは、前記各落雷センサが落雷を捕捉した方位角及び信号強度の測定値により構成されてよい。また、上記一側面に係る確認装置において、前記落雷位置標定データは、前記落雷位置標定システムの中央処理装置の解析により前記各落雷センサの前記測定データから導出される落雷の解析データを更に含むように構成されてよい。また、上記一側面に係る確認装置において、前記落雷位置標定データは、前記落雷の検知において前記落雷位置標定システムの各落雷センサが落雷を捕捉した方位角と前記落雷位置標定システムの中央処理装置の解析により前記各落雷センサの測定データから導出された落雷の位置の各落雷センサに対する角度との角度差を示す方位角差データを含むように構成されてよい。当該各構成によれば、落雷位置標定システムによる落雷の検知が確報であるか誤報であるかを適切に確認することができる。なお、落雷位置標定データは、これらのうちの複数種類のデータを含むように構成されてよく、これにより、落雷位置標定システムによる落雷の検知が確報であるか誤報であるかを検証する精度を高めることができる。
【0012】
また、本発明の一側面に係るモデル生成装置は、落雷位置標定システムによる落雷の検知に際して生成された学習用落雷位置標定データ及び前記学習用落雷位置標定データにおける前記落雷の検知が確報か誤報かの真値を示す正解ラベルの組み合わせによりそれぞれ構成される複数の学習データセットを取得するデータ取得部と、取得された複数の学習データセットを使用して、判定モデルの機械学習を実施する学習処理部であって、前記機械学習は、前記各学習データセットについて、前記学習用落雷位置標定データに基づき落雷の検知が確報か誤報かを前記判定モデルを使用して判定した結果が前記正解ラベルにより示される真値に適合するように前記判定モデルを訓練することにより構成される、学習処理部と、を備える。当該構成によれば、落雷位置標定システムによる落雷の検知が確報であるか誤報であるかを検証する能力を獲得した訓練済みの判定モデルを生成することができる。そして、この訓練済みの判定モデルによれば、落雷位置標定システムによる落雷の検知が確報であるか誤報であるかを確認することができる。
【0013】
上記一側面に係るモデル生成装置において、前記学習用落雷位置標定データは、前記落雷位置標定システムの各落雷センサによる落雷の測定データを含むように構成されてよい。また、上記一側面に係るモデル生成装置において、前記学習用落雷位置標定データは、前記落雷の検知において前記落雷位置標定システムの各落雷センサが落雷を捕捉した方位角と前記落雷位置標定システムの中央処理装置の解析により前記各落雷センサの測定データから導出された落雷の位置の各落雷センサに対する角度との角度差を示す方位角差データを含むように構成されてよい。また、上記一側面に係るモデル生成装置において、前記判定モデルは、ニューラルネットワークにより構成されてよい。当該各構成によれば、落雷位置標定システムによる落雷の検知が確報であるか誤報であるかを検証する能力を獲得した訓練済みの判定モデルを適切に生成することができる。
【0014】
上記各形態に係る確認装置及びモデル生成装置それぞれの別の態様として、本発明の一側面は、以上の各構成要素の全部又はその一部を実現する情報処理方法であってもよいし、プログラムであってもよいし、このようなプログラムを記憶した、コンピュータその他装置、機械等が読み取り可能な記憶媒体であってもよい。ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記憶媒体とは、プログラム等の情報を、電気的、磁気的、光学的、機械的、又は、化学的作用によって蓄積する媒体である。
【0015】
例えば、本発明の一側面に係る、落雷位置標定システムによる落雷検知の真偽を確認するための確認方法は、コンピュータが、落雷位置標定システムによる落雷の検知に際して生成される落雷位置標定データを取得するステップと、機械学習により訓練済みの判定モデルを使用して、取得された落雷位置標定データに基づき、前記落雷の検知が確報か誤報かを判定するステップと、判定の結果に関する情報を出力するステップと、を実行する、情報処理方法である。
【0016】
また、例えば、本発明の一側面に係る、落雷位置標定システムによる落雷検知の真偽を確認するための確認プログラムは、コンピュータに、落雷位置標定システムによる落雷の検知に際して生成される落雷位置標定データを取得するステップと、機械学習により訓練済みの判定モデルを使用して、取得された落雷位置標定データに基づき、前記落雷の検知が確報か誤報かを判定するステップと、判定の結果に関する情報を出力するステップと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、落雷位置標定システムによる落雷の検知が確報であるか誤報であるかの真偽を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明が適用される場面の一例を模式的に例示する。
図2図2は、実施の形態に係る確認装置のハードウェア構成の一例を模式的に例示する。
図3図3は、実施の形態に係るモデル生成装置のハードウェア構成の一例を模式的に例示する。
図4図4は、実施の形態に係る確認装置のソフトウェア構成の一例を模式的に例示する。
図5図5は、実施の形態に係るモデル生成装置のソフトウェア構成の一例を模式的に例示する。
図6図6は、実施の形態に係るモデル生成装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、実施の形態に係る確認装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。ただし、以下で説明する本実施形態は、あらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。なお、本実施形態において登場するデータを自然言語により説明しているが、より具体的には、コンピュータが認識可能な疑似言語、コマンド、パラメータ、マシン語等で指定される。
【0020】
§1 適用例
図1は、本実施形態に係る確認システム100の適用場面の一例を模式的に例示する。図1に示されるとおり、本実施形態に係る確認システム100は、確認装置1及びモデル生成装置2を備えており、機械学習により訓練済みの判定モデル5を生成し、生成された訓練済みの判定モデル5を使用して、落雷位置標定システム7による落雷の検知の真偽を確認するように構成される。
【0021】
落雷位置標定システム7は、複数(一般的には、4台以上)の落雷センサ71及び中央処理装置75を備えている。各落雷センサ(LS:Lightning Sensor、方向探知局:DF局)71は、LF帯域(1kHz~350kHz)のアンテナを備え、落雷により発生する電磁波を測定するように構成されている。中央処理装置(TLP:Total Lightning Processor、位置解析局:PA局)75は、各落雷センサ71により得られる落雷の測定データを解析し、落雷の位置を標定する(解析データを生成する)ように構成される。
【0022】
落雷が発生すると、各落雷センサ71は、落雷の電磁波を捕捉したことに応じて、落雷の放電点に対する方位角、電磁波の信号強度等の測定データを捕捉時刻に関連付けて生成する。そして、中央処理装置75が、各落雷センサ71から得られる測定データを解析することで、落雷の標定位置を導出する。解析方法には、例えば、MDF(Magnetic Direction Finding)方式、TOA(Time Of Arrive)方式、IMPACT(IMProved Accuracy from Combined Technology)方式等の方法が存在する。また、中央処理装置75は、落雷の標定位置の導出精度を高めるために、各方式の演算で生じる誤差を最小にする最適化処理を実行可能に構成される場合がある。
【0023】
本実施形態に係る確認装置1は、このような落雷位置標定システム7による落雷検知の真偽を確認するためのコンピュータである。具体的に、確認装置1は、落雷位置標定システム7による落雷の検知に際して生成される落雷位置標定データ121を取得する。落雷位置標定データ121は、落雷位置標定システム7により落雷を検知し、落雷の位置を標定する処理内で又は当該処理に関連して生成される任意のデータを含んでよい。一例として、落雷位置標定データ121は、各落雷センサ71による落雷の測定データ、中央処理装置75の解析により生成される解析データ、及び各落雷センサ71が落雷を捕捉した方位角と中央処理装置75により導出された落雷の位置の各落雷センサ71に対する角度との角度差を示す方位角差データの少なくともいずれかを含むように構成されてよい。確認装置1は、機械学習により訓練済みの判定モデル5を使用して、取得された落雷位置標定データ121に基づき、落雷位置標定システム7による当該落雷の検知が確報か誤報かを判定する。そして、確認装置1は、判定の結果に関する情報を出力する。
【0024】
一方、本実施形態に係るモデル生成装置2は、上記確認装置1で使用する訓練済みの判定モデル5の生成処理を実行するように構成されたコンピュータである。具体的に、モデル生成装置2は、落雷位置標定システム7による落雷の検知に際して生成された学習用落雷位置標定データ31及び学習用落雷位置標定データ31における落雷の検知が確報か誤報かの真値を示す正解ラベル32の組み合わせによりそれぞれ構成される複数の学習データセット30を取得する。そして、モデル生成装置2は、取得された複数の学習データセット30を使用して、判定モデル5の機械学習を実施する。機械学習を実施することは、各学習データセット30について、学習用落雷位置標定データ31に基づき落雷の検知が確報か誤報かを判定モデル5を使用して判定した結果が正解ラベル32により示される真値に適合するように判定モデル5を訓練することにより構成される。これにより、モデル生成装置2は、訓練済みの判定モデル5を生成することができる。生成された訓練済みの判定モデル5は、任意のタイミングで確認装置1に提供されてよい。
【0025】
以上のとおり、本実施形態では、落雷位置標定システム7による落雷の検知が確報か誤報かを判定するのに、機械学習により生成された訓練済みの判定モデル5を使用し、かつ落雷位置標定システム7による落雷の検知に際して生成される落雷位置標定データ121を判定モデル5の説明変数に採用する。本実施形態によれば、このような構成を採用することにより、落雷位置標定システム7による落雷の検知が確報か誤報かの真偽を確認することができる。
【0026】
なお、図1の例では、確認装置1及びモデル生成装置2は、ネットワークを介して互いに接続されている。ネットワークの種類は、例えば、インターネット、無線通信網、移動通信網、電話網、専用網等から適宜選択されてよい。ただし、確認装置1及びモデル生成装置2の間でデータをやりとりする方法は、このような例に限定されなくてもよく、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。例えば、確認装置1及びモデル生成装置2の間では、記憶媒体を利用して、データがやりとりされてよい。
【0027】
また、図1の例では、確認装置1及びモデル生成装置2は、それぞれ別個のコンピュータにより構成されている。しかしながら、本実施形態に係る確認システム100の構成は、このような例に限定されなくてもよく、実施の形態に応じて適宜決定されてよい。例えば、確認装置1及びモデル生成装置2は一体のコンピュータであってもよい。また、例えば、確認装置1及びモデル生成装置2のうちの少なくとも一方は、複数台のコンピュータにより構成されてもよい。
【0028】
§2 構成例
[ハードウェア構成]
<確認装置>
図2は、本実施形態に係る確認装置1のハードウェア構成の一例を模式的に例示する。図2に示されるとおり、本実施形態に係る確認装置1は、制御部11、記憶部12、通信インタフェース13、入力装置14、出力装置15、及びドライブ16が電気的に接続されたコンピュータである。なお、図2では、通信インタフェースを「通信I/F」と記載している。以降の図でも同様の表記を用いる。
【0029】
制御部11は、ハードウェアプロセッサの一例であるCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含み、プログラム及び各種データに基づいて情報処理を実行するように構成される。記憶部12は、メモリの一例であり、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等で構成される。本実施形態では、記憶部12は、確認プログラム81、学習結果データ225等の各種情報を記憶する。
【0030】
確認プログラム81は、落雷位置標定システム7による落雷の検知が確報か誤報かの確認に関する後述の情報処理(図7)を確認装置1に実行させるためのプログラムである。確認プログラム81は、当該情報処理の一連の命令を含む。学習結果データ225は、訓練済みの判定モデル5に関する情報を示す。詳細は後述する。
【0031】
通信インタフェース13は、例えば、有線LAN(Local Area Network)モジュール、無線LANモジュール等であり、ネットワークを介した有線又は無線通信を行うためのインタフェースである。確認装置1は、通信インタフェース13を利用して、他の情報処理装置(例えば、モデル生成装置2)との間で、ネットワークを介したデータ通信を実行することができる。
【0032】
入力装置14は、例えば、マウス、キーボード等の入力を行うための装置である。また、出力装置15は、例えば、ディスプレイ、スピーカ等の出力を行うための装置である。ユーザ等のオペレータは、入力装置14及び出力装置15を利用することで、確認装置1を操作することができる。
【0033】
ドライブ16は、例えば、CDドライブ、DVDドライブ等であり、記憶媒体91に記憶されたプログラム等の各種情報を読み込むためのドライブ装置である。記憶媒体91は、コンピュータその他装置、機械等が、記憶されたプログラム等の各種情報を読み取り可能なように、当該プログラム等の情報を、電気的、磁気的、光学的、機械的又は化学的作用によって蓄積する媒体である。上記確認プログラム81及び学習結果データ225の少なくともいずれかは、記憶媒体91に記憶されていてもよい。確認装置1は、この記憶媒体91から、上記確認プログラム81及び学習結果データ225の少なくともいずれかを取得してもよい。なお、図2では、記憶媒体91の一例として、CD、DVD等のディスク型の記憶媒体を例示している。しかしながら、記憶媒体91の種類は、ディスク型に限られなくてもよく、ディスク型以外であってもよい。ディスク型以外の記憶媒体として、例えば、フラッシュメモリ等の半導体メモリを挙げることができる。ドライブ16の種類は、記憶媒体91の種類に応じて任意に選択されてよい。
【0034】
なお、確認装置1の具体的なハードウェア構成に関して、実施形態に応じて、適宜、構成要素の省略、置換及び追加が可能である。例えば、制御部11は、複数のハードウェアプロセッサを含んでもよい。ハードウェアプロセッサは、マイクロプロセッサ等で構成されてよい。記憶部12は、制御部11に含まれるRAM及びROMにより構成されてもよい。通信インタフェース13、入力装置14、出力装置15及びドライブ16の少なくともいずれかは省略されてもよい。確認装置1は、複数台のコンピュータで構成されてもよい。この場合、各コンピュータのハードウェア構成は、一致していてもよいし、一致していなくてもよい。また、確認装置1は、提供されるサービス専用に設計された情報処理装置の他、汎用のサーバ装置、汎用のPC(Personal Computer)、マイクロコンピュータ等であってよい。
【0035】
<モデル生成装置>
図3は、本実施形態に係るモデル生成装置2のハードウェア構成の一例を模式的に例示する。図3に示されるとおり、本実施形態に係るモデル生成装置2は、制御部21、記憶部22、通信インタフェース23、入力装置24、出力装置25、及びドライブ26が電気的に接続されたコンピュータである。
【0036】
モデル生成装置2の制御部21~ドライブ26及び記憶媒体92はそれぞれ、上記確認装置1の制御部11~ドライブ16及び記憶媒体91それぞれと同様に構成されてよい。制御部21は、ハードウェアプロセッサの一例であるCPU、RAM、ROM等を含み、プログラム及びデータに基づいて各種情報処理を実行するように構成される。記憶部22は、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等で構成される。本実施形態では、記憶部22は、機械学習プログラム82、複数の学習データセット30、学習結果データ225等の各種情報を記憶する。
【0037】
機械学習プログラム82は、訓練済み判定モデル5の生成(判定モデル5の機械学習)に関する後述の情報処理(図6)をモデル生成装置2に実行させるためのプログラムである。機械学習プログラム82は、当該情報処理の一連の命令を含む。複数の学習データセット30は、訓練済みの判定モデル5の生成に使用される。学習結果データ225は、機械学習プログラム82を実行した結果として生成されてよい。機械学習プログラム82及び学習結果データ225の少なくともいずれかは、記憶媒体92に記憶されていてもよい。また、モデル生成装置2は、機械学習プログラム82及び学習結果データ225の少なくともいずれかを記憶媒体92から取得してもよい。
【0038】
なお、モデル生成装置2の具体的なハードウェア構成に関して、実施形態に応じて、適宜、構成要素の省略、置換及び追加が可能である。例えば、制御部21は、複数のハードウェアプロセッサを含んでもよい。ハードウェアプロセッサは、マイクロプロセッサ等で構成されてよい。記憶部22は、制御部21に含まれるRAM及びROMにより構成されてもよい。通信インタフェース23、入力装置24、出力装置25、及びドライブ26の少なくともいずれかは省略されてもよい。モデル生成装置2は、複数台のコンピュータで構成されてもよい。この場合、各コンピュータのハードウェア構成は、一致していてもよいし、一致していなくてもよい。また、モデル生成装置2は、提供されるサービス専用に設計された情報処理装置の他、汎用のサーバ装置、汎用のPC等であってもよい。
【0039】
[ソフトウェア構成]
<確認装置>
図4は、本実施形態に係る確認装置1のソフトウェア構成の一例を模式的に例示する。確認装置1の制御部11は、記憶部12に記憶された確認プログラム81をRAMに展開する。そして、制御部11は、RAMに展開された確認プログラム81に含まれる命令をCPUにより解釈及び実行して、各構成要素を制御する。これにより、図4に示されるとおり、本実施形態に係る確認装置1は、データ取得部111、判定部112、及び出力部113をソフトウェアモジュールとして備えるコンピュータとして動作する。
【0040】
データ取得部111は、落雷位置標定システム7による落雷の検知に際して生成される落雷位置標定データ121であって、真偽を検証する対象となる落雷検知の落雷位置標定データ121を取得するように構成される。判定部112は、学習結果データ225を保持していることで、機械学習により訓練済みの判定モデル5を備えている。判定部112は、訓練済みの判定モデル5を使用して、取得された落雷位置標定データ121に基づき、落雷位置標定システム7による当該落雷の検知が確報か誤報かを判定するように構成される。出力部113は、判定の結果に関する情報を出力するように構成される。
【0041】
(判定モデル)
判定モデル5は、機械学習により調整可能な演算パラメータを有する機械学習モデルにより構成される。判定モデル5に使用する機械学習モデルの構成及び種類はそれぞれ、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。図4に示されるとおり、本実施形態では、判定モデル5は、ニューラルネットワークにより構成される。これにより、判定モデル5を比較的に簡単に実装可能である。
【0042】
具体的な構成の一例として、判定モデル5は、全結合型ニューラルネットワークにより構成されており、入力層51、1つ以上の中間(隠れ)層52、及び出力層53を備えている。中間層52の数は、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。或いは、中間層52は省略されてもよい。判定モデル5の層の数は、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。
【0043】
本実施形態では、判定モデル5の入力層51には、落雷位置標定データ121等の情報が入力され、落雷検知が確報か誤報かを判定した結果が出力層53から出力される。しかしながら、各推論処理を実行可能であれば、判定モデル5の入出力の形式は、このような例に限定されなくてよい。例えば、入力層51は、上記以外の他の情報が更に入力されるように構成されてよい。また、出力層53は、上記以外の他の情報を更に出力するように構成されてよい。
【0044】
各層51~53は、1又は複数のニューロン(ノード)を備える。各層51~53に含まれるニューロンの数は、特に限定されなくてよく、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。図4の例では、各層51~53に含まれる各ニューロンは、隣接する層の全てのニューロンと結合される。ただし、各ニューロンの結合関係は、このような例に限定されなくてよく、実施の形態に応じて適宜決定されてよい。例えば、各ニューロンは、隣接する層の特定のニューロンと接続されたり、隣接する層以外の層のニューロンと接続されたりしてもよい。
【0045】
各層51~53の各結合には、重み(結合荷重)が設定される。各ニューロンには閾値が設定されており、基本的には、各入力と各重みとの積の和が閾値を超えているか否かによって各ニューロンの出力が決定される。閾値は、活性化関数により表現されてもよい。この場合、各入力と各重みとの積の和を活性化関数に入力し、活性化関数の演算を実行することで、各ニューロンの出力が決定される。活性化関数の種類は任意に選択されてよい。各層51~53に含まれる各ニューロン間の結合の重み及び各ニューロンの閾値は、判定モデル5の演算処理に利用される演算パラメータの一例である。
【0046】
判定部112は、訓練済みの判定モデル5の入力層51に対象の落雷位置標定データ121を入力して、訓練済みの判定モデル5の順伝播の演算処理を実行する(すなわち、各層51~53に含まれる各ニューロンの発火判定を入力側から順に実行する)ように構成される。判定部112は、この順伝播の演算処理の実行結果として、落雷位置標定システム7による当該落雷の検知が確報か誤報かを判定した結果を示す情報を出力層53から取得するように構成される。
【0047】
<モデル生成装置>
図5は、本実施形態に係るモデル生成装置2のソフトウェア構成の一例を模式的に例示する。モデル生成装置2の制御部21は、記憶部22に記憶された機械学習プログラム82をRAMに展開する。そして、制御部21は、RAMに展開された機械学習プログラム82に含まれる命令をCPUにより解釈及び実行して、各構成要素を制御する。これにより、本実施形態に係るモデル生成装置2は、データ取得部211、学習処理部212、及び保存処理部213をソフトウェアモジュールとして備えるコンピュータとして動作する。
【0048】
データ取得部211は、判定モデル5の機械学習に使用するための複数の学習データセット30を取得するように構成される。各学習データセット30は、学習用落雷位置標定データ31及び正解ラベル32の組み合わせにより構成される。学習用落雷位置標定データ31は、落雷位置標定システム7による落雷の検知に際して生成されたものであり、上記落雷位置標定データ121と同種のデータである。正解ラベル32は、学習用落雷位置標定データ31における落雷の検知が確報か誤報かの真値を示すように構成される。真値は、観測員による観測結果により得られてもよいし、上記のとおり、天気情報に基づいて特定されてもよい。
【0049】
学習処理部212は、取得された複数の学習データセット30を使用して、判定モデル5の機械学習を実施するように構成される。機械学習を実施することは、各学習データセット30について、学習用落雷位置標定データ31に基づき落雷の検知が確報か誤報かを判定モデル5を使用して判定した結果が正解ラベル32により示される真値に適合するように判定モデル5を訓練することにより構成される。機械学習の方法は、判定モデル5に使用する機械学習の種類に応じて適宜選択されてよい。保存処理部213は、機械学習の結果(すなわち、生成された訓練済みの判定モデル5)に関する情報を学習結果データ225として生成するように構成される。学習結果データ225は、訓練済みの判定モデル5を再生するための情報を含むように適宜構成されてよい。そして、保存処理部213は、生成された学習結果データ225を所定の記憶領域に保存する。
【0050】
(判定モデルの機械学習)
図5に示されるとおり、本実施形態に係る判定モデル5は、ニューラルネットワークにより構成される。本実施形態に係る判定モデル5の機械学習では、学習処理部212は、各学習データセット30の学習用落雷位置標定データ31を入力層51に入力し、判定モデル5の順伝播の演算処理を実行する。この演算処理の結果、学習処理部212は、学習用落雷位置標定データ31に基づいて、落雷位置標定システム7による落雷の検知が確報か誤報かを判定した結果を出力層53から取得する。学習処理部212は、取得された判定結果及び対応する正解ラベル32により示される真値の間の誤差を算出する。学習処理部212は、各学習データセット30について、算出される誤差が小さくなるように、判定モデル5の各演算パラメータの値の調整を繰り返す。これにより、訓練済みの判定モデル5を生成することができる。
【0051】
保存処理部213は、上記機械学習により生成された訓練済みの判定モデル5を再生するための学習結果データ225を生成する。訓練済みの判定モデル5を再生可能であれば、学習結果データ225の構成は、特に限定されなくてよく、実施の形態に応じて適宜決定されてよい。例えば、学習結果データ225は、上記機械学習の調整により得られた判定モデル5の各演算パラメータの値を示す情報を含んでもよい。場合によって、学習結果データ225は、判定モデル5の構造を示す情報を更に含んでもよい。判定モデル5の構造は、例えば、ニューラルネットワークにおける入力層から出力層までの層の数、各層の種類、各層に含まれるニューロンの数、隣接する層のニューロン同士の結合関係等により特定されてよい。保存処理部213は、生成された学習結果データ225を所定の記憶領域に保存する。
【0052】
<その他>
確認装置1及びモデル生成装置2の各ソフトウェアモジュールに関しては後述する動作例で詳細に説明する。なお、本実施形態では、確認装置1及びモデル生成装置2の各ソフトウェアモジュールがいずれも汎用のCPUによって実現される例について説明している。しかしながら、上記ソフトウェアモジュールの一部又は全部が、1又は複数の専用のプロセッサにより実現されてもよい。すなわち、上記各モジュールは、ハードウェアモジュールとして実現されてもよい。また、確認装置1及びモデル生成装置2それぞれのソフトウェア構成に関して、実施形態に応じて、適宜、ソフトウェアモジュールの省略、置換及び追加が行われてもよい。
【0053】
§3動作例
[モデル生成装置]
図6は、本実施形態に係るモデル生成装置2による判定モデル5の機械学習に関する処理手順の一例を示すフローチャートである。ただし、以下のモデル生成装置2の処理手順は、一例に過ぎず、各ステップは可能な限り変更されてよい。また、以下のモデル生成装置2の処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換、及び追加が可能である。
【0054】
(ステップS501)
ステップS501では、制御部21は、データ取得部211として動作し、判定モデル5の機械学習に使用するための複数の学習データセット30を取得する。
【0055】
各学習データセット30は、適宜生成されてよい。確報か誤報かの確認が済んだ落雷の検知に際して、落雷位置標定システム7において生成された落雷位置標定データを学習用落雷位置標定データ31として取得してよい。確報か誤報かの確認は、観測員による目視により行われてもよいし、或いは、天気情報(例えば、雨雲が存在しているか否か)に基づいて行われてもよい。そして、この確認により特定される確報か誤報かの真値を示す正解ラベル32を、得られた学習用落雷位置標定データ31に手動的に又は機械的に関連付ける。これらの処理により、各学習データセット30を生成することができる。
【0056】
なお、落雷位置標定システム7による落雷の検知は、各落雷センサ71の配置に依存し得るため、真偽を確認する推論対象の落雷位置標定システム7より学習用落雷位置標定データ31を収集するのが好ましい。また、学習用落雷位置標定データ31は、推論時に取得する落雷位置標定データ121と同種のデータになるように構成される。学習用落雷位置標定データ31は、落雷位置標定システム7の各落雷センサ71による落雷の測定データを含むように構成されてよい。学習用の測定データは、各落雷センサ71が落雷を捕捉した方位角及び信号強度の測定値により構成されてよい。学習用落雷位置標定データ31は、落雷位置標定システム7の中央処理装置75の解析により各落雷センサ71の測定データから導出される落雷の解析データを更に含むように構成されてよい。学習用の解析データは、落雷の標定位置(緯度、経度)及び強度(電流値)の解析値を含むように構成されてよい。学習用落雷位置標定データ31は、落雷の検知において落雷位置標定システム7の各落雷センサ71が落雷を捕捉した方位角と落雷位置標定システム7の中央処理装置75の解析により各落雷センサ71の測定データから導出された落雷の位置の各落雷センサ71に対する角度との角度差を示す方位角差データを含むように構成されてよい。学習用落雷位置標定データ31は、各落雷センサ71の測定データ、中央処理装置75の解析データ、及び方位角差データの少なくともいずれかを含むように構成されてよい。学習用落雷位置標定データ31は、これらのうちの複数種類のデータ(例えば、全てのデータ)を含むように構成されてよい。
【0057】
各学習データセット30は、コンピュータの動作により自動的に生成されてもよいし、或いは少なくとも部分的にオペレータの操作を含むことで手動的に生成されてもよい。また、各学習データセット30の生成は、モデル生成装置2により行われてもよいし、モデル生成装置2以外の他のコンピュータにより行われてもよい。各学習データセット30をモデル生成装置2が生成する場合、制御部21は、自動的に又はオペレータの操作により手動的に上記生成処理を実行することで、学習データセット30を取得する。一方、各学習データセット30を1又は複数の他のコンピュータが生成する場合、制御部21は、例えば、ネットワーク、記憶媒体92等を介して、学習データセット30を取得する。一部の学習データセット30をモデル生成装置2が生成し、その他の学習データセット30を1又は複数の他のコンピュータが生成してもよい。
【0058】
取得する学習データセット30の件数は、実施の形態に応じて適宜決定されてよい。複数の学習データセット30を取得すると、制御部21は、次のステップS502に処理を進める。
【0059】
(ステップS502)
ステップS502では、制御部21は、学習処理部212として動作し、複数の学習データセット30を使用して、判定モデル5の機械学習を実施する。この機械学習において、制御部21は、各学習データセット30について、学習用落雷位置標定データ31に基づき落雷の検知が確報か誤報かを判定モデル5を使用して判定した結果が正解ラベル32により示される真値に適合するように判定モデル5を訓練する。
【0060】
機械学習の処理の一例として、まず、制御部21は、機械学習の処理対象となる判定モデル5を構成するニューラルネットワークを用意する。ニューラルネットワークの構造、各ニューロン間の結合の重みの初期値、及び各ニューロンの閾値の初期値は、テンプレートにより与えられてもよいし、或いはオペレータの入力により与えられてもよい。また、再学習を行う場合、制御部21は、過去の機械学習により得られた学習結果データに基づいて、判定モデル5を用意してもよい。
【0061】
次に、制御部21は、各学習データセット30の学習用落雷位置標定データ31を訓練データ(入力データ)として使用し、正解ラベル32を正解データ(教師信号、ラベル)として使用して、判定モデル5の訓練処理を実行する。この訓練処理には、確率的勾配降下法、ミニバッチ勾配降下法等が用いられてよい。
【0062】
訓練処理の一例として、制御部21は、各学習データセット30の学習用落雷位置標定データ31を入力層51に入力し、判定モデル5の順伝播の演算処理を実行する。この演算処理の結果、制御部21は、学習用落雷位置標定データ31に基づいて、落雷位置標定システム7による落雷の検知が確報か誤報かを判定した結果に対応する出力値を判定モデル5の出力層53から取得する。制御部21は、各学習データセット30について、得られた出力値と対応する正解ラベル32により示される真値との間の誤差を算出する。誤差(損失)の算出には、損失関数が用いられてよい。誤差の計算に利用する損失関数の種類は、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。
【0063】
次に、制御部21は、算出された誤差の勾配を算出する。制御部21は、誤差逆伝播法により、算出された誤差の勾配を用いて、判定モデル5の各演算パラメータの値の誤差を出力側から順に算出する。制御部21は、算出された各誤差に基づいて、判定モデル5の各演算パラメータの値を更新する。各演算パラメータの値を更新する程度は、学習率により調節されてよい。学習率は、オペレータの指定により与えられてもよいし、プログラム内の設定値として与えられてもよい。
【0064】
制御部21は、上記一連の更新処理により、各学習データセット30について、算出される誤差の和が小さくなるように、判定モデル5の各演算パラメータの値を調整する。例えば、規定回数実行する、算出される誤差の和が閾値以下になる等の所定の条件を満たすまで、制御部21は、上記一連の更新処理による判定モデル5の各演算パラメータの値の調整を繰り返してもよい。
【0065】
この機械学習の結果、制御部21は、落雷位置標定データ121に基づいて、落雷位置標定システム7による落雷の検知が確報か誤報かを判定する能力を獲得した訓練済みの判定モデル5を生成することができる。判定モデル5の機械学習が完了すると、制御部21は、次のステップS503に処理を進める。
【0066】
(ステップS503)
ステップS503では、制御部21は、保存処理部213として動作し、生成された訓練済みの判定モデル5を示す学習結果データ225を生成する。上記のとおり、判定タスクの演算処理を実行するための情報を保持可能であれば、学習結果データ225の構成は適宜決定されてよい。一例として、制御部21は、判定モデル5の構造及び上記調整により得られた各演算パラメータの値を示す情報により構成された学習結果データ225を生成してよい。そして、制御部21は、生成された学習結果データ225を所定の記憶領域に保存する。
【0067】
所定の記憶領域は、例えば、制御部21内のRAM、記憶部22、外部記憶装置、記憶メディア又はこれらの組み合わせであってよい。記憶メディアは、例えば、CD、DVD等であってよく、制御部21は、ドライブ26を介して記憶メディアに学習結果データ225を格納してもよい。外部記憶装置は、例えば、NAS(Network Attached Storage)等のデータサーバであってよい。この場合、制御部21は、通信インタフェース23を利用して、ネットワークを介してデータサーバに学習結果データ225を格納してもよい。また、外部記憶装置は、例えば、外部インタフェース(不図示)を介してモデル生成装置2に接続された外付けの記憶装置であってもよい。
【0068】
学習結果データ225の保存が完了すると、制御部21は、本動作例に係る判定モデル5の機械学習に関する処理手順を終了する。
【0069】
なお、生成された学習結果データ225は、任意のタイミングで確認装置1に提供されてよい。例えば、制御部21は、ステップS503の処理として又は当該処理とは別に、学習結果データ225を確認装置1に転送してもよい。確認装置1は、これを受信することで、学習結果データ225を取得してもよい。また、例えば、確認装置1は、通信インタフェース13を利用して、モデル生成装置2又はデータサーバにネットワークを介してアクセスすることで、学習結果データ225を取得してもよい。また、例えば、確認装置1は、記憶媒体91を介して、学習結果データ225を取得してもよい。また、例えば、学習結果データ225は、確認装置1に予め組み込まれてもよい。
【0070】
更に、制御部21は、上記ステップS501~ステップS503の処理を定期又は不定期に繰り返すことで、学習結果データ225を更新又は新たに生成してもよい。この繰り返しの際に、学習データセット30の少なくとも一部の変更、修正、追加、削除等が適宜実行されてよい。そして、制御部21は、更新された又は新たに生成された学習結果データ225を任意の方法で確認装置1に提供してもよい。これにより、確認装置1の保持する学習結果データ225を更新してもよい。
【0071】
[確認装置]
図7は、本実施形態に係る確認装置1の処理手順の一例を示すフローチャートである。以下の確認装置1の処理手順は、落雷位置標定システム7による落雷検知の真偽を確認するための確認方法の一例である。ただし、以下の確認装置1の処理手順は、一例に過ぎず、各ステップは可能な限り変更されてよい。また、以下の確認装置1の処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換、及び追加が可能である。
【0072】
(ステップS101)
ステップS101では、制御部11は、データ取得部111として動作し、落雷位置標定システム7による落雷の検知に際して生成される落雷位置標定データ121であって、真偽を検証する対象となる落雷検知の落雷位置標定データ121を取得する。取得経路は、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。制御部11は、ネットワーク、記憶媒体91、他のコンピュータ等を介して、落雷位置標定システム7より対象の落雷位置標定データ121を取得してよい。
【0073】
上記のとおり、落雷位置標定データ121は、上記学習用落雷位置標定データ31と同種のデータになるように構成される。落雷位置標定データ121は、落雷位置標定システム7の各落雷センサ71による落雷の測定データを含むように構成されてよい。測定データは、各落雷センサ71が落雷を捕捉した方位角及び信号強度の測定値により構成されてよい。落雷位置標定データ121は、落雷位置標定システム7の中央処理装置75の解析により各落雷センサ71の測定データから導出される落雷の解析データを更に含むように構成されてよい。解析データは、落雷の標定位置(緯度、経度)及び強度(電流値)の解析値を含むように構成されてよい。また、落雷位置標定データ121は、落雷の検知において落雷位置標定システム7の各落雷センサ71が落雷を捕捉した方位角と落雷位置標定システム7の中央処理装置75の解析により各落雷センサ71の測定データから導出された落雷の位置の各落雷センサ71に対する角度との角度差を示す方位角差データを含むように構成されてよい。落雷位置標定データ121は、各落雷センサ71の測定データ、中央処理装置75の解析データ、及び方位角差データの少なくともいずれかを含むように構成されてよい。落雷位置標定データ121は、これらのうちの複数種類のデータ(例えば、全てのデータ)を含むように構成されてよい。なお、方位角の測定値、信号強度の測定値、標定位置(緯度、経度)の値、強度(電流値)の値、方位角差の値等の落雷位置標定データ(落雷位置標定データ121、学習用落雷位置標定データ31)を構成する各値には、それぞれにより得られたそのままの値が用いられてもよいし、例えば、平均値、標準偏差、最小値、最大値等の統計量に変換された値が用いられてもよい。また、落雷位置標定データが複数種類の値を含むように構成される場合、各値の尺度が共通になるように、標準化処理により各値は正規化されてもよい。落雷位置標定データは、画像により表現されてもよい。落雷位置標定データ121を取得すると、制御部11は、次のステップS102に処理を進める。
【0074】
(ステップS102)
ステップS102では、制御部11は、判定部112として動作し、学習結果データ225を参照して、訓練済みの判定モデル5を設定する。そして、制御部11は、訓練済みの判定モデル5を使用して、取得された落雷位置標定データ121に基づき、落雷位置標定システム7による当該落雷の検知が確報か誤報かを判定する。具体的に、制御部11は、取得された落雷位置標定データ121を訓練済みの判定モデル5の入力層51に入力し、訓練済みの判定モデル5の順伝播の演算処理を実行する。これにより、制御部11は、落雷位置標定システム7による当該落雷の検知が確報か誤報かを判定した結果を示す情報を訓練済みの判定モデル5の出力層53から取得する。落雷検知の真偽の判定が完了すると、制御部11は、次のステップS103に処理を進める。
【0075】
(ステップS103)
ステップS103では、制御部11は、出力部113として動作し、判定の結果に関する情報を出力する。
【0076】
出力先及び出力する情報の内容はそれぞれ、実施の形態に応じて適宜決定されてよい。一例として、制御部11は、ステップS102により得られた判定の結果をそのまま出力装置15に出力してもよい。また、制御部11は、得られた判定の結果に基づいて、何らかの情報処理を実行してもよい。情報処理は、例えば、判定の結果に応じてメッセージを選択する(落雷の検知が誤報であると判定された場合に、その落雷の検知に関する情報を目視確認するように指示するメッセージを選択する等)ことであってよい。この場合、制御部11は、判定の結果に基づいて情報処理を実行した結果(例えば、判定の結果に応じて選択されたメッセージ)を判定の結果に関する情報として出力してもよい。また、出力先は、出力装置15に限られなくてよい。その他の一例として、制御部11は、他のコンピュータの出力装置に判定の結果に関する情報を出力してもよい。
【0077】
判定の結果に関する情報の出力が完了すると、制御部11は、本動作例に係る処理手順を終了する。なお、制御部11は、ステップS101~ステップS103の一連の情報処理を繰り返し実行してもよい。繰り返すタイミングは、例えば、新たな落雷位置標定データが得られたタイミング等、実施の形態に応じて適宜決定されてよい。これにより、確認装置1は、上記落雷の検知の真偽を確認する推論タスクを繰り返し遂行するように構成されてよい。
【0078】
[特徴]
以上のとおり、本実施形態では、モデル生成装置2は、ステップS501及びステップS502の機械学習の処理において、落雷位置標定システム7による落雷の検知に際して生成される落雷位置標定データを説明変数に採用するように判定モデル5を構成する。確認装置1は、ステップS102の処理において、この機械学習により生成された訓練済みの判定モデル5を使用する。本実施形態では、このような構成を採用することにより、落雷位置標定システム7による落雷の検知が確報か誤報かの真偽を確認することができる。また、本実施形態では、落雷位置標定データ(落雷位置標定データ121、学習用落雷位置標定データ31)を、各落雷センサ71の測定データ、中央処理装置75の解析データ、及び方位角差データの少なくともいずれかを含むように構成することで、落雷位置標定システム7による落雷の検知が確報か誤報かを適切に確認することができる。また、落雷位置標定データ(落雷位置標定データ121、学習用落雷位置標定データ31)を、これらのうちの複数種類のデータを含むように構成することで、落雷位置標定システム7による落雷の検知が確報か誤報かを検証する制度を高めることができる。
【0079】
§4 変形例
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良又は変形を行うことができることは言うまでもない。例えば、以下のような変更が可能である。なお、以下では、上記実施形態と同様の構成要素に関しては同様の符号を用い、上記実施形態と同様の点については、適宜説明を省略した。以下の変形例は適宜組み合わせ可能である。
【0080】
<4.1>
上記実施形態では、判定モデル5には、全結合型ニューラルネットワークが用いられている。しかしながら、判定モデル5に用いられるニューラルネットワークの種類は、このような例に限定されなくてよく、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。その他の一例として、判定モデル5には、例えば、畳み込みニューラルネットワーク等の他の種類のニューラルネットワークが用いられてよい。また、判定モデル5は、例えば、畳み込み層、プーリング層、正規化層、ドロップアウト層等の他の種類の層を含んでもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、判定モデル5には、機械学習モデルとしてニューラルネットワークが用いられている。しかしながら、判定モデル5に用いられる機械学習モデルの種類は、ニューラルネットワークに限られなくてよく、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。機械学習の方法は、機械学習モデルの種類に応じて適宜選択されてよい。その他の一例として、判定モデル5には、例えば、サポートベクタマシン、決定木モデル等の機械学習モデルが用いられてよい。
【0082】
<4.2>
また、落雷の検知の真偽を単純に検証する場合には、落雷位置標定データの代わりに、天気情報を直接的に使用してもよい。つまり、上記ステップS101では、確認装置1は、落雷位置標定システム7により検知された落雷の位置及び時刻又はその近傍の天気情報(例えば、雨雲レベルを示す情報、雲が存在するか否かを示す情報(一例として、晴れ、曇り等の天気情報)等)を取得してよい。近傍の範囲は、落雷の標定位置及び時刻に雲が存在するか否かを評価可能なように適宜決定されてよい。なお、天気情報は、例えば、天気予報の情報を提供するウェブページ等から適宜取得されてよい。
【0083】
上記ステップS102では、確認装置1は、取得された天気情報に基づいて、落雷の検知が確報か誤報かを判定してもよい。この判定処理は、上記実施形態と同様に訓練済みの判定モデルを使用するように構成されてもよいし、或いは訓練済みの判定モデルを使用しないように構成されてよい。本変形例における訓練済みの判定モデルは、入力データを落雷位置標定データに代えて天気情報を用いることで構成可能である。訓練済みの判定モデルを使用する場合、確認装置1は、上記ステップS102と同様の処理により、取得された天気情報に基づいて、落雷の検知が確報か誤報かを判定することができる。
【0084】
一方、訓練済みの判定モデルを使用しない場合には、上記確認システム100においてモデル生成装置2は省略されてよい。この場合の判定方法の一例として、確認装置1は、天気情報により示される雨雲レベルが閾値未満である場合に、落雷の検知が誤報であると判定してもよい。一方、天気情報により示される雨雲レベルが閾値を超えている場合に、確認装置1は、落雷の検知が確報であると判定してもよい。なお、天気情報により示される雨雲レベルが閾値と等しい場合について、落雷の検知が確報であると判定するか誤報であると判定するかは適宜選択されてよい。その他の一例として、落雷の検知が確報であると判定する範囲及び誤報であると判定する範囲がそれぞれ設けられてよく、その間の範囲に雨雲レベルが属する場合には、確認装置1は、落雷の検知が確報か誤報か不明であると判定し、目視により確認するようにオペレータに促すように構成されてよい。
【0085】
そして、上記ステップS103では、確認装置1は、上記実施形態と同様に、判定の結果に関する情報を出力してよい。以上のとおり、落雷位置標定データの代わりに天気情報を利用する点に関する構成を除き、本変形例に係る確認システムは、上記実施形態と同様に構成されてよい。本変形例によれば、天気情報を利用して、落雷位置標定システム7による落雷の検知が確報か誤報かを簡易的に検証することができる。なお、確認システムは、落雷位置標定データと共に天気情報を利用するように構成されてもよい。
【0086】
§5 実験例
上記実施形態における確認方法の有効性を検証するために、以下の実験例に係る判定モデルを生成した。ただし、本発明は、以下の実験例に限定されるものではない。
【0087】
まず、四国内を監視する落雷位置標定システム(5台の落雷センサ及び中央処理装置を備える)から、学習用及び検証用の落雷位置標定データとして、2010年1月1日から2019年12月31日までの各落雷センサの測定データ(方位角及び信号強度の測定値)及び中央処理装置の解析データ(緯度、経度、及び電流値)、並びに2018年1月1日から2019年12月31日までの方位角差データを取得した。また、ヤフー株式会社のウェブサイトから落雷の検知時刻及び標定位置の天気情報(雨雲レベルを0~8で評価)を取得し、取得された落雷位置標定データのうち、雨雲レベルが0のものを誤報のデータに振り分け、雨雲レベルが8のものを確報のデータに振り分けた。
【0088】
第1実験例に係る判定モデルとして、6450個の演算パラメータを有する3層のニューラルネットワークを用意した(出力層は、誤報か確報かを2クラス分類で出力するように構成した)。測定データ、解析データ及び方位角差データによりそれぞれ構成される600件の落雷位置標定データ(誤報のデータが300件、確報のデータが300件)のうち420件の落雷位置標定データを学習用落雷位置標定データとして使用して、上記実施形態と同様の機械学習により、第1実験例に係る訓練済みの判定モデルを生成した。そして、残りの180件の落雷位置標定データを評価用に使用して、第1実験例に係る判定モデルの判定精度を検証した。
【0089】
また、第2実験例に係る判定モデルとして、6130個の演算パラメータを有する3層のニューラルネットワークを用意した。入力データの情報が少なくなるのに応じて演算パラメータの数を変更した点を除き、第2実験例に係る判定モデルには、第1実験例と同様の構成を採用した。測定データ及び解析データによりそれぞれ構成される17216件の落雷位置標定データ(誤報のデータが8608件、確報のデータが8608件)のうち12051件の落雷位置標定データを学習用落雷位置標定データとして使用して、上記実施形態と同様の機械学習により、第2実験例に係る訓練済みの判定モデルを生成した。そして、残りの5165件の落雷位置標定データを評価用に使用して、第2実験例に係る判定モデルの判定精度を検証した。
【0090】
また、第3実験例に係る判定モデルとして、5618個の演算パラメータを有する3層のニューラルネットワークを用意した。入力データの情報が更に少なくなるのに応じて演算パラメータの数を変更した点を除き、第3実験例に係る判定モデルには、第1実験例及び第2実験例と同様の構成を採用した。方位角差データによりそれぞれ構成される830件の落雷位置標定データ(誤報のデータが415件、確報のデータが415件)のうち581件の落雷位置標定データを学習用落雷位置標定データとして使用して、上記実施形態と同様の機械学習により、第3実験例に係る訓練済みの判定モデルを生成した。そして、残りの249件の落雷位置標定データを評価用に使用して、第3実験例に係る判定モデルの判定精度を検証した。
【0091】
【表1】
【0092】
表1は、各実験例に係る判定モデルの判定精度を検証した結果を示す。第1実験例によれば、94.99%の精度で、落雷位置標定データに基づいて、落雷の検知が確報か誤報かを判定することができた。方位角差データのみを使用した第3実験例でも、88.75%の精度で、落雷の検知が確報か誤報かを判定することができた。これらの結果から、落雷位置標定データに基づいて、落雷の検知が確報か誤報かを判定可能であることを検証することができた。
【符号の説明】
【0093】
1…確認装置、
11…制御部、12…記憶部、13…通信インタフェース、
14…入力装置、15…出力装置、16…ドライブ、
81…確認プログラム、91…記憶媒体、
111…データ取得部、112…判定部、113…出力部、
121…落雷位置標定データ、
2…モデル生成装置、
21…制御部、22…記憶部、23…通信インタフェース、
24…入力装置、25…出力装置、26…ドライブ、
82…機械学習プログラム、92…記憶媒体、
211…データ取得部、212…学習処理部、
213…保存処理部、
225…学習結果データ、
30…学習データセット、
31…学習用落雷位置標定データ、32…正解ラベル、
5…判定モデル、
51…入力層、52…中間(隠れ)層、53…出力層、
7…落雷位置標定システム、
71…落雷センサ、75…中央処理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7