(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】埋め込まれた血管補助システムを通る流体体積流量を決定する方法および血管補助システム
(51)【国際特許分類】
A61M 60/523 20210101AFI20240705BHJP
A61M 60/174 20210101ALI20240705BHJP
A61M 60/178 20210101ALI20240705BHJP
A61M 60/237 20210101ALI20240705BHJP
A61M 60/816 20210101ALI20240705BHJP
【FI】
A61M60/523
A61M60/174
A61M60/178
A61M60/237
A61M60/816
(21)【出願番号】P 2020567788
(86)(22)【出願日】2019-06-06
(86)【国際出願番号】 EP2019064800
(87)【国際公開番号】W WO2019234161
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-06-06
(31)【優先権主張番号】102018208870.5
(32)【優先日】2018-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520469457
【氏名又は名称】カルディオン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】KARDION GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】バウムバッハ, ハーディ
(72)【発明者】
【氏名】カッセル, ユリアン
(72)【発明者】
【氏名】シェレンベルク, インガ
(72)【発明者】
【氏名】ブッディ, マルティナ
(72)【発明者】
【氏名】シュルブッシュ, トーマス アレクサンダー
【審査官】寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0041204(US,A1)
【文献】特開平05-079875(JP,A)
【文献】特開昭61-125329(JP,A)
【文献】特表2016-509950(JP,A)
【文献】特表2015-527172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 60/00-60/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流れ機械および処理ユニットを含む心臓補助システムの作動方法であって、前記処理ユ
ニットが、
カニューレの
入口に位置する第1温度センサによって、
前記カニューレを通って前記流れ機械により搬送された血液
の温度パラメータを決定することと、
前記第1温度センサの下流
かつ前記流れ機械の上流にある前記カニューレ
の領域に位置する前記血液
の温度を変化させる
ために、前記第1温度センサの下流に位置する発熱体を
動作させることと、
1)前
記温度パラメータまたはその変化、および2)発熱体動作パラメータまたはその変化に基づいて、前記血液
の体積流量を決定することと、を含む、方法。
【請求項9】
心臓補助システムであって、
カニューレを通して血液を搬送するように構成された流れ機械と、
前記カニューレの入
口が前記流れ機械の上流に位置し、
前記カニューレの
前記入口に配置され、前記カニューレの
前記入口で前記血液
の温度パラメータを測定するように構成された第1温度センサと、
前記第1温度センサの下流に位置し、前記第1温度センサの下流
かつ前記流れ機械の上
流にある前記カニューレに位置する前記血液の温度を変化させるように構成された発熱体と、
1)前
記温度パラメータ、および2)発熱体動作パラメータに基づいて、前記カニューレを通る血液
の体積流量を決定するように構成されたコンピューター処理ユニットと、を含む、心臓補助システム。
【請求項19】
前記第1温度センサが前記発熱体の上流少なくとも5mmにある、請求項1に記載の方
法。
【請求項20】
前記第1温度センサが前記カニューレの遠位端に位置付けられる、請求項1に記載の方
法。
【請求項21】
前記第1温度センサが前記カニューレの入口開口部にある、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記温度センサが前記発熱体の上流少なくとも5mmにある、請求項8に記載のコンピ
ューター処理ユニット。
【請求項23】
前記温度センサが前記カニューレの遠位端に位置付けられる、請求項8に記載のコンピ
ューター処理ユニット。
【請求項24】
前記温度センサが前記カニューレの入口開口部にある、請求項8に記載のコンピュータ
ー処理ユニット。
【請求項25】
前記第1温度センサが前記発熱体の上流少なくとも5mmにある、請求項9に記載の心
臓補助システム。
【請求項26】
前記第1温度センサが前記カニューレの遠位端に位置付けられる、請求項9に記載の心
臓補助システム。
【請求項27】
前記第1温度センサが前記カニューレの入口開口部にある、請求項9に記載の心臓補助
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋め込まれた血管補助システムを通る流体体積流量を決定する方法、処理ユニット、および埋め込み可能な血管補助システムに関する。本発明は、特に(完全に)埋め込まれた左心補助システム(LVAD)で使用される。
【背景技術】
【0002】
埋め込まれた左心補助システム(LVAD)は、主に二つの設計変形が存在する。(経皮的)低侵襲左心補助システムは、第一の共通設計変形を構成する。胸部開口部の下に侵襲的に埋め込まれた心尖左心補助システムは、第二の共通設計変形を構成する。上述の第一の変形では、(経皮的)低侵襲性左心補助システムが大動脈弁の中心に位置するため、血液は左心室から直接大動脈に運ばれる。前述の第二の変形では、血液は、バイパス管を介して大動脈に左心室から心尖に搬送される。
【0003】
心臓補助システムのタスクは、血液を運ぶことである。この場合、いわゆる心臓タイムボリューム(HTV、通常、毎分リットルで示される)は、臨床的に非常に重要である。言い換えれば、この場合の心臓タイムボリュームは、(心室から)特に左心室から大動脈への血液の総体積流量に関連する。それに応じて明確なことは、心臓補助システムの動作中に、測定値としてこのパラメータを収集する試みである。
【0004】
心室から大動脈への血液の総体積流量に対し、補助システムのポンプなどの搬送手段によって、搬送される体積流量を表す補助のレベルに応じて、特定の体積流量が、大動脈弁を通る生理学的経路を介して大動脈に到達する。心室から大動脈への心臓タイムボリュームまたは総体積流量(QHTV)は通常、ポンプ体積流量(Qp)および大動脈弁体積流量(Qa)の総和である。これは、以下の関係で表現することができる。
QHTV=Qp+Qa
【0005】
臨床現場での心臓タイムボリューム(QHTV)を決定するための確立された方法は、希釈法の使用であるが、ただし、これは全て、経皮的に挿入されたカテーテルに依存しており、従って、心臓手術中に、心臓タイムボリューム測定データを提供できるのみである。LVADを介した心臓タイムボリューム(QHTV)の検出は実施が困難であるため、QpはLVADの適切な構成要素によって検出され得る。高レベルの補助(すなわち、Qp/QHTV)については、Qpを心臓タイムボリューム(QHTV)としておよそ使用することができるように、Qaはゼロに近づく。
【0006】
ポンプ体積流量(Qp)を測定する確立された方法は、補助システムの動作パラメータ、主に、血圧などのさらなる生理学的パラメータによって補完され得る電力消費量の相関である。これらの方法は、統計的仮定および使用されるLVADの基礎となるポンプ特性マップに基づくため、相関Qpは、誤差しやすい。パラメータQpの測定品質を高めるために、流量センサの包含が望ましい。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、埋め込まれた血管補助システムの領域における流体体積流量を決定するための改善された方法を特定し、改善された埋め込み可能な血管補助システムを作り出すことである。
【0008】
特に、本発明の目的は、埋め込まれた血管補助システムの領域における流体体積流量を決定するための方法を特定することであり、これにより、血流領域内の流体体積流量を、血管補助システムが埋め込まれるか、または配置される人または動物の体内で決定することができる、埋め込み可能な血管補助システムを作成することである。
【0009】
請求項1によると、埋め込まれた血管補助システムを通る流体体積流量を決定する方法が、本明細書で提案され、方法は、
a)補助システムのカニューレの領域における流体温度パラメータを決定する工程と、
b)カニューレ内の流体温度の変化をもたらすことができる発熱体を動作させる工程と、
c)少なくとも流体温度パラメータまたはその変化、ならびに少なくとも一つの発熱体動作パラメータまたはその変化を使用して、流体体積流量を決定する工程と、を含む。
【0010】
血管補助システムは、好ましくは心臓補助システム、特に好ましくは心室補助システムである。本方法は、好ましくは、血管を通るか、または血管の断面を通る流体体積流量を決定する役割を果たす。血管は、特に左心補助システムの場合には、例えば、大動脈であり、または特に右心補助システムの場合には、二つの肺動脈の中への共通幹(肺幹)であり、好ましくは大動脈である。本方法は、好ましくは、(完全)埋め込まれた(左)心室(心臓)補助システムによって、心臓の心室、特に心臓の(左)心室から大動脈への流体体積流量を決定する役割を果たす。流体は定期的に血液である。補助システムは、好ましくは、心臓の左心室または左心腔の出口に配置される。補助システムは、大動脈弁位置に配置されることが特に好ましい。
【0011】
補助システムは、好ましくは、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、またはその(外側)表面の少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも85%、または少なくとも95%で、流体流に位置するように埋め込まれる。さらに、補助システムは、好ましくは、流体流れの中で、その長さの少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも85%、または少なくとも95%に沿って配置される。補助システムの一方の端部は、電気モーターが位置する領域内、または領域上に、少なくとも部分的に大動脈内に位置することが好ましい。さらに、補助システムの反対側の端は、補助システムの(入口)カニューレが位置する領域内、または領域上に、好ましくは、少なくとも部分的に心臓の心室(左心室)内に位置する。さらに、補助システムは、血液が心室から遠位に引き出され、上行大動脈に近位に分配されるように、大動脈弁に中央に配置されることが好ましい。好ましくは、補助システムは、動脈、特に大動脈などの血管内に、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、またはその(外側)表面の少なくとも20%、好ましくは少なくとも40%、特に少なくとも50%、または少なくとも95%で配置される。補助システムは、特に、大動脈(上行大動脈または下行大動脈)に(完全に)位置するように埋め込まれることが好ましい。
【0012】
決定される流体体積流量は、補助システム(それ自体)を通って流れるものである。言い換えれば、これは、特に、補助システム自体を通ってのみ流れる流体体積流量に関する。決定される流体体積流量は、通常、補助システム自体を通る流れを定量化(のみ)するいわゆるポンプ体積流量(式記号Qp)である。本方法は、特に大動脈弁位置において、および/または補助システム自体によって、(完全に)埋め込まれた(左)心室心臓補助システム(LVAD)のポンプ体積流量(Qp)を決定するのに好適である。
【0013】
本方法は、特に、流量測定のための(熱的に)風速計(測定)原理に基づく。この場合の基本的な原理は、流動媒体が流量の関数として高温の身体を冷却することである。本方法は、有利には、LVADに組み込まれ、熱風速測定に基づくセンサ素子によるQpの連続的かつ正確な測定を可能にする。本明細書で提示する解決策では、心臓タイムボリューム(少なくともおよそQpを通して)を、有利に、希釈カテーテルを使用する場合と同等の品質で外科手術シナリオの外側で提供することができる。
【0014】
本明細書で提案する解決策は、特に、補助システム(VAD)の入口カニューレへの一つまたは複数の発熱体、または一つまたは複数の発熱体と、一つまたは複数の温度センサの統合によって特徴付けられる。本方法では、Qpは有利に、少なくとも一つの発熱体および/または少なくとも一つの温度センサの測定された電圧データから計算される。特に、この場合、三つの可能な動作原理、定電流風速測定法、定温風速測定法、またはパルス応答法を使用することができる。
【0015】
工程a)では、補助システムのカニューレの領域内の流体温度パラメータが決定される。(別個の)温度センサを、例えば、決定に使用することができる。決定は、代替的に、または累積的に、発熱体自体によって行うことができる。例えば、発熱体の電気的直列抵抗を、この目的のために使用することができる。流体温度パラメータは、(流体)温度、温度センサ電流、温度センサ出力(電流)信号、または特に発熱体の(温度依存性)電気抵抗値とすることができる。
【0016】
工程a)では、補助システムのカニューレの領域内の温度センサが動作する。動作は、特に、流体温度を測定すること、および/または流体温度を変更することを含む。温度センサは、カニューレの内側表面または外側表面上に配置されることが好ましい。さらに、好ましくは、少なくとも二つの温度センサが提供され得る。この場合、温度センサは、発熱体の上流に配置されてもよく、さらなる温度センサは、発熱体の下流に配置され得る。
【0017】
カニューレは特に入口カニューレであり、吸引管とも呼ぶことができる。(入口)カニューレは、埋め込まれた状態で、心臓の(左)心室から補助システムの流れ機械および/または大動脈に流体を誘導することができるように、好ましくは構成される。
【0018】
単一の温度センサまたは複数の温度センサは、発熱体から距離を置いて配置されることが特に好ましい。これにより、温度センサが発熱体によって熱的に影響を受けないという利点が許容されるが、温度センサが基準温度センサである場合に特に有利である。NTCサーモスタット、PTCサーモスタット、白金などの抵抗素子、半導体接合部、または熱電対を温度センサとして使用することができる。
【0019】
温度センサまたはさらなる温度センサは、発熱体内に導入されてもよく、または発熱体上に配置され得る。少なくとも二つの温度センサが提供される場合、この場合には、基準温度センサが発熱体から距離を置いて配置され、さらなる温度センサが発熱体内に導入されるか、または発熱体上に配置されることが好ましい。一つの温度センサのみが提供される場合、発熱体は、温度センサによる基準温度の測定中に、スイッチオフされるか、または加熱状態で動作しないことが必要であり得る。カニューレの内壁と発熱体との間に平坦な温度センサを位置付けること、または発熱体上に温度センサの位置付けることが好ましい。特に好ましい実装は、発熱体の加熱領域における温度センサを中央に位置決めすることである。可能な形態の実装はまた、3層構造であってもよく、加熱コイルが、下部ポリイミドフィルムと中間ポリイミドフィルムとの間の温度センサとして位置付けられ、白金線コイルが、中間ポリイミドフィルムと上部ポリイミドフィルムとの間の温度センサとして位置付けられる。
【0020】
流体の基準温度は、好ましくは、工程a)で測定される。基準温度は、好ましくは、特に好ましくは、補助システムの構成要素である、基準温度センサによって決定される。基準温度センサは、例えば、補助システムの(入口)カニューレ内に、および/またはカニューレ上に配置され得る。基準温度は、通常、流体の背景温度、すなわち、特に、補助システムの発熱体および/または流れ機械によって熱的に影響されない流体温度を表す。
【0021】
工程b)では、カニューレ内の流体温度の変化をもたらすことができる発熱体が動作される。言い換えれば、これは、特に、発熱体が、カニューレ内の流体温度の変化を引き起こすことができるように構成され、配置されることを意味する。この目的のために、発熱体は、カニューレ内に、またはカニューレの内側表面上に直接配置され得る。しかしながら、発熱体が、例えば、熱伝導によって、カニューレ内の流体の少なくとも一部の流体温度を上昇させることができる限り、発熱体が、カニューレの壁内、カニューレの外側表面上、またはカニューレから距離を置いて配置されることも(代替的に)可能である。動作のために、発熱体は一般に電流によって制御される。
【0022】
発熱体は、少なくとも一つの加熱フィラメントまたは熱フィラメントで形成されることが好ましい。発熱体、特に、カニューレの内側表面を少なくともセグメント領域または周方向部分および/または長手部分で被覆する円形または管状発熱体が提供されることが好ましい。さらに、発熱体は、カニューレの内側表面を少なくとも部分的に被覆する(可撓性)加熱フィルムの様式で形成されることが好ましい。少なくとも一つの加熱フィラメントは、フィルム内またはフィルム上に配置されることが特に好ましい。好ましくは、加熱フィラメントは、特にフィルムによって被覆されたカニューレの内側表面の少なくとも50%にわたって、または全体にわたって(例えば、曲がりくねったパターンで、および/またはループで)連続的に延在する。少なくとも二つの加熱フィラメントが提供され得る。加熱フィラメントまたは熱フィラメントがカニューレ内部の壁(カニューレ壁の内側)上に実装され、それによって画定された血液量が有利に調査され、補助システムがスリップする時に、例えば大動脈弁の加熱が除外され得ることが好ましい。複数の発熱体または加熱フィラメントが提供される場合、それらはカニューレの内側表面の両側の位置に配置され得る。発熱体または加熱フィラメントはさらに、好ましくは、共同で作動または通電される。
【0023】
発熱体自体が温度センサとして使用される場合も有利である。発熱体は、カニューレ内の流体温度の変化をもたらすように、および特に、カニューレ内の流体温度の変化を検出するように、構成されることが好ましい。発熱体自体は、温度センサとして、特に発熱体、特に加熱フィラメント材料の適切な選択(温度変化の場合の抵抗変化)によって使用され得る。従って、発熱体の有利な実施形態は、例えば、ポリイミドフィルムの間またはフィルム上に、例えば、(プラチナ)ワイヤコイル(白金合金で作られ、曲がりくねったパターンで配設された加熱フィラメント)である。好ましくは、発熱体は、導電性の抵抗材料(例えば、白金合金)から薄膜プロセスで生成される加熱コイルを含む。この場合、発熱体は、例えば、発熱体(直列)抵抗が測定されるという点で、温度センサとして使用され得る。基準温度または流体バックグラウンド温度を測定するために、発熱体(直列)抵抗は、例えば、ヒーターをオフにした状態、または発熱体が加熱状態(例えば、加熱電圧および/または加熱電流によって決定される)で作動していない相で測定できる。発熱体自体を温度センサとして使用することができる場合、(さらなるまたは別個の)温度センサは提供されず、この場合、発熱体を(別個の)温度センサの代わりに工程a)で動作することができる。この文脈において、温度センサとして使用され得るただ一つの(プラチナ)加熱コイルが、発熱体として、または発熱体において使用されることが特に好ましい。スイッチオフ状態、すなわち、発熱体が加熱状態で動作していないとき、(プラチナ)発熱体または加熱コイルは、動作中、基準温度センサとして使用できる、すなわち、発熱体が加熱状態で動作しているとき、発熱体として、同時に動作温度センサとして使用できる。この目的のために、発熱体(直列)抵抗の(既知の)温度依存性を、例えば使用することができる。
【0024】
この場合の発熱体は、補助システムの電気モーターに加えて定期的に提供される構成要素であり、特に電気モーターとは別々に配置される。この場合の発熱体は、特に、好ましくは、それに供給された電気エネルギーの少なくとも70%、特に好ましくは少なくとも80%、または少なくとも90%を熱に変換する、電気的に動作可能な構成要素を意味する。従って、この場合の発熱体は、特に、補助システムの流れ機械を駆動する電気モーターを意味しない。
【0025】
工程c)では、流体体積流量は、少なくとも記流体温度パラメータまたはその変化、ならびに少なくとも一つの発熱体動作パラメータまたはその変化を使用して決定される。工程c)では、流体体積流量は、好ましくは、少なくとも一つの温度センサ動作パラメータまたはその変化、ならびに少なくとも一つの発熱体動作パラメータまたはその変化を使用して決定される。言い換えれば、これは、特に、流体体積流量が、温度センサ動作パラメータまたはその変化、ならびに発熱体動作パラメータまたはその変化の両方を使用して決定されることを意味する。発熱体動作パラメータは、例えば、発熱体温度、発熱体電流、または発熱体出力(電流)信号であると理解され得る。温度センサ動作パラメータは、それとともに測定された温度、温度センサ電流、または温度センサ出力(電流)信号を意味すると理解され得る。ここで、変化は特に、有利に発熱体によって伝達され、温度センサによって検出され得るパルスを意味すると理解され得る。
【0026】
(第一の)有利な実施形態によれば、発熱体は、画定された電力で動作させることが提案される。この場合、発熱体の温度を測定することができる。この(第一の)実施形態は、特に、いわゆる定電流風速測定に関する。定電流風速測定では、発熱体は画定された電力で動作し、結果として生じる温度を測定する。
【0027】
(第二の)有利な実施形態によれば、発熱体を一定温度に保つことが提案される。この場合、発熱体の電力を測定することができる。この(第二の)実施形態は、特に、いわゆる定温風速測定に関する。定温風速測定では、発熱体を一定温度に維持し、この目的のために必要な電力を測定する。
【0028】
(第三の)有利な実施形態によれば、発熱体はパルス状に動作されることが提案される。この場合、工程c)では、流体温度の変化は、特に発熱体の下流に位置する温度センサによって検出され得る。この(第三の)実施形態は、特に、いわゆるパルス応答法に関する。パルス応答法では、発熱体はパルス方式で動作し、熱パルスが下流温度センサで測定されるまでの時間が測定される。測定分解能を改善するために、パルス動作は、例えば、バイナリ乱数配列によって実行することができ、時間遅延は、自己相関器によって決定することができる。さらに、計算における応答パルスの最大振幅の追加の考慮が好ましい。
【0029】
工程c)で決定される流体体積流量は、例えば、工程d)で、補助システムの制御パラメータとして提供されることが好ましい。補助システムの処理ユニットは、この制御パラメータを出力変数として、特に、好ましくは電気モーターの電力、従って特に補助システムの(血液)送達速度を調節する、補助システムの制御ユニットに提供し得る。
【0030】
さらなる態様は、本明細書で提案する方法を実施するように構成された処理ユニットを提案する。処理ユニットは、較正データを記憶できるメモリを有することができる。較正データの代替または追加として、少なくとも一つの(速度依存性)較正係数および/または発熱体の熱モデルも、メモリに記憶され得る。さらに、処理ユニットは、メモリにアクセスできるマイクロプロセッサを含むことができる。処理ユニットは、好ましくは、少なくとも一つの発熱体および/または少なくとも一つの温度センサからデータを受信する。処理ユニットはさらに、発熱体および温度センサを制御および読み取るための電子アセンブリーを含み得る。
【0031】
さらなる態様によれば、埋め込み可能な血管補助システムが提案され、システムは、
補助システムのカニューレの領域の温度測定装置と、
カニューレ内の流体温度の変化をもたらすことができる発熱体と、を含む。
【0032】
補助システムは、好ましくは、左心室心臓補助システム(LVAD)または経皮的で低侵襲性左心補助システムである。さらに、補助システムは、完全に埋め込み可能であることが好ましい。言い換えれば、これは、特に、検出に必要な手段、特に基準温度センサ、モーター温度センサ、および電流センサが、患者の体内に完全に位置し、そこに留まっていることを意味する。補助システムは、特に、好ましくは、心室に、好ましくは心臓の左心室に、および/または大動脈に、特に、大動脈弁位置に少なくとも部分的に配置されるように構成され、および/または好適である。
【0033】
温度測定装置は、温度センサで形成されることが好ましい。温度測定装置は、さらに好ましくは、さらなる温度センサを含む。しかしながら、温度測定装置が発熱体とは別個に提供されることは必須ではない。むしろ、温度測定装置は、発熱体内に、および/または発熱体自体によって形成され得る。発熱体直列抵抗に基づく(暗黙的な)温度測定値が、この目的のために特に好ましい。
【0034】
さらに、補助システムは、ポンプなどの流れ機械を含むことが好ましい。補助システムは、好ましくは電気モーターを有する。電気モーターは、通常、流れ機械の構成要素である。補助システムは、好ましくは細長いおよび/または管状である。好ましくは、(入口)カニューレおよび流れ機械は、補助システムの両端の領域に配置される。
【0035】
有利な実施形態によれば、補助システムはさらに、本明細書で提案する方法を実施するように構成された処理ユニットを含む。
【0036】
本方法に関連して論じた詳細、特徴、および有利な実施形態は、それに応じて、本明細書に提示される処理ユニットおよび/または補助システムにおいて、またその逆でも生じ得る。この点に関して、特徴の詳細な説明について、その説明を完全に参照する。
【0037】
本明細書で提示する解決策とその技術環境については、図を参照して以下で詳しく説明する。本発明は、示される例示的な実施形態によって限定されるべきではないことを指摘すべきである。特に、別段の明示的な記載がない限り、図で説明される事実の部分的な態様を抽出し、それらを他の構成要素および/または他の図および/または本説明からの洞察と組み合わせることも可能である。以下が概略的に示される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1a】
図1aは、経皮的で低侵襲性左心補助システムを示す。
【
図1b】
図1bは、胸部開口部の下に侵襲的に埋め込まれた左心補助システムを示す。
【
図2】
図2は、定電流および定温度の方法を実施することができる、埋め込まれた血管補助システムを示す。
【
図3】
図3は、
図2による補助システムの構成要素アーキテクチャーを示す。
【
図5】
図5は、定電流および定温度の方法を実施することができる、さらに埋め込まれた血管補助システムを示す。
【
図6】
図6は、パルス応答法を実施することができる、さらに埋め込まれた血管補助システムを示す。
【
図7】
図7は、パルス応答法を実施することができる、さらに埋め込まれた血管補助システムを示す。
【
図8】
図8は、
図6または
図7による、補助システムの測定された値時間曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
埋め込まれた左心補助システム(LVAD)は、
図1aおよび1bに示すように、主に二つの設計変形に存在する。
図1aは、(経皮的)低侵襲左心補助システム7を示し、
図1bは、胸部開口部の下に侵襲的に埋め込まれた心尖左心補助システム8を示す。
図1aによる変形は、(経皮的)低侵襲性左心補助システム7が大動脈弁11の中心に位置するため、左心室9から大動脈10に直接血液を輸送する。
図1bによる変形は、バイパス管12を介して左心室9から心尖に大動脈10に血液を輸送する。
【0040】
図2は、大動脈弁位置で、定電流および定温度法を実施することができる埋め込まれた血管補助システム2を概略的に示す。
【0041】
補助システム2は、ここでは、例として、左心室心臓補助システム(LVAD)、(入口)カニューレ4が形成されるカニューレ部分と、流れ機械32が配置されるカニューレ部分に接続された流れ機械部分とを備えた管状細長い構造である。補助システム2は、大動脈10から大動脈弁11を通って遠位に心室9に突出する。補助システム2の(入口)カニューレ4は、心室9内に突出する。流体体積流量1は、例えば、補助システム2の流れ機械32(例えば、電気モーターを有することができるポンプ)を使用して、カニューレ4を通して心室9から大動脈10にポンプで搬送される。従って、流体体積流量1は、補助システム2自体を通る流れを定量化するのみである、ポンプ体積流量(Qp)とも呼ばれる。
【0042】
さらに、
図2では、ある一定の大動脈弁体積流量26が、大動脈弁11を通る生理学的経路を介して大動脈10に到達することがわかる。心室9から大動脈10に、補助システム2の領域における大動脈10の断面形状33を通過する心臓タイムボリュームまたは総流体体積流量27(Q
HTV)は、従って、流体体積流量1(Q
p)および大動脈弁体積流量26(Q
a)の総和である。
【0043】
温度センサ3は、カニューレ4の領域内に配置される。この目的のために、温度センサ3は、例えば、カニューレ4の遠位端(そこから流体、例えば、血液が流れる心室9内)上に位置付けられる。補助システム2は、さらに、発熱体5が通電された時に、例えば、ジュール加熱または抵抗加熱によって、カニューレ4の流体温度の変化をもたらすことができる発熱体5を含む。
【0044】
図2による温度センサ3は、例として、この事例では、バックグラウンド血液温度である、基準温度21を検出する基準温度センサである。この目的のために、(基準)温度センサ3は、熱源を表す、発熱体5の上流の熱的に影響されない血流の中に、ここでは、例として、発熱体5の前方または上流の領域に位置付けられる。個別の(基準)温度センサ3の代わりに、システムが作動しておらず、従ってこのさらなる温度センサが発熱体5の影響を受けない場合、例えば、発熱体5の高さまたはその下流(
図5、6:参照符号24、
図7:参照符号3を参照)に配置されるさらなる(第二の)温度センサの値を使用することもできる。血液温度は、安静時の患者においてはゆっくりとしか変化しないため、この値は、バックグラウンド温度の良好な推定を表すこともできる。さらに、発熱体5の設計に応じて、発熱体5自体の電気抵抗を温度センサ3として使用することができる。
【0045】
別の基準温度センサを使用する場合は、
図2の図による温度センサ3の場合と同様であるが、この別の基準温度センサは、例えば、心室9および/またはカニューレ4に向けて指示する補助システム2の先端で、および/または発熱体5の(血流に関して)上流で熱的に分離された方法で、発熱体5の熱出力によって影響されないような方法で、補助システム2に配置する必要がある。結果として、観測された流体体積への熱エネルギー供給による温度上昇を決定することが有利に可能である。媒体内の配向された流れにより、発熱体5への基準温度センサの例示的な最小距離は、特に(主に)キャリア材料の熱伝導率から決定される。少なくとも5mm[ミリメートル]の距離は、非金属キャリア材料に有利である。
【0046】
ここでの動作原理は、流体の熱容量(式記号C、
図4の参照符号23)、この場合、血液を十分に知ることに基づき、および規定温度dTで血液を加熱するために必要な電力dQを決定することに基づく:
【数1】
【0047】
十分に知られている熱容量C(アルゴリズムで提供)で、測定されたエネルギー供給dQ、および二つの測定された(流体)温度から決定された温度上昇dT、観察期間中に輸送された流体体積Vまたは流体体積流量1(式記号Q)を計算することができる。差異dTに必要なバックグラウンド血液温度は、この場合、(基準)温度センサ3によって、または発熱体が十分に長い時間にわたって起動していなかった場合、さらなる温度センサ(上記参照)の値から計算することができる。
【0048】
発熱体5は、この場合には、例として、加熱フィラメントまたは熱フィラメントで形成される。熱フィラメントは、吸引管とも呼ばれる、カニューレ4内の壁上に実装され、結果として、画定された血液体積が有利に調査され、例えば、補助システムがスリップするときの大動脈弁11の加熱を除外できる。
【0049】
図2による実施形態の動作モードについては、
図4に関する以下の説明も参照される。
【0050】
図3は、
図2による補助システムの構成要素アーキテクチャーを概略的に示す。この場合、補助システム2は、例として、制御ユニット13と、温度センサ3と、例として、熱フィラメントまたは加熱フィラメントとして形成される発熱体5とを含む。例として、制御ユニット13は、補助システム2の処理ユニット6の構成要素である。
【0051】
図4は、
図2による補助システム2の制御回路の概略図を示す。参照符号は、
図2~4による実施形態の動作モードの説明に関して
図2および3も参照されるように均一に使用される。
【0052】
図4に示す例示的な制御回路は、
図3に従って制御ユニット13内に実装することができ、補助システム2、特に補助システム2の処理ユニット6の構成要素であり得る。制御回路は、コントローラー14および発熱体5を含む。発熱体5(制御経路)に影響を与える外乱変数は、基準温度21、流体体積流量1、および(流体、ここでは血液の)熱容量23である。ここでの制御変数は、電流20であり、コントローラー14に戻る。ここで、電流20(制御変数)および電圧19(操作変数)は、決定された実効電力17によって一緒に返される。制御偏差18は、目標電力16からの実効電力17の減算から生じる。流体体積流量1、基準温度21、熱容量23、電流20(制御変数)、電圧19(操作変数)の前述の外乱変数は、電圧19と電流20、ならびに発熱体5の実際の電気抵抗22から実効電力17を決定し、また、(例えば、抵抗の既知の温度依存性に基づき)実際の電気抵抗22から発熱体温度25を決定する、コンピューティングユニット15に提供される。コンピューティングユニット15は、そこから、流体体積流量1を計算し、後者は平均体積流量として提供され得る。
【0053】
定電流風速測定としての実施形態では、発熱体5には、ここでは、例として、制御ユニット13内のコントローラー14によって一定の電力が供給され、発熱体温度25を測定するための電気抵抗22と基準温度21の両方が、基準温度センサ3(または、基準温度21を決定するために、ヒーターがオフになっている(すなわち、発熱体5が、加熱状態において動作していない)ときの発熱体抵抗22)から読み取られる。流体体積流量1またはQpは、電気発熱体電力消費17、発熱体5の電気抵抗22に基づいて決定される発熱体温度25、および基準温度21に基づいてコンピューティングユニット15で計算される。
【0054】
定温風速測定としての実施形態では、発熱体5の発熱体温度25は、ここでは、例として、コントローラー14によって画定された温度に、または参照またはバックグラウンド温度21に基づいて画定された温度上昇に保持される。必要とされるフィラメント電力消費量17およびバックグラウンド温度21に基づいて、流体体積流量1またはQpは、制御ユニット13のコンピューティングユニット15で計算される。
【0055】
図5は、定電流および定温度の方法を実施することができる、さらに埋め込まれた血管補助システム2を概略的に示す。
図5による補助システム2は、
図2による補助システム2と多くの共通する特徴を有するため、この点において、参照は、
図2に関する上記の説明に関してなされる。
図5による設計変形は、発熱体5の温度を、発熱体5の電気抵抗22に基づかないで、追加の温度センサ24の電気抵抗に基づいて決定できるように、さらに(第二の)温度センサ24が、発熱体5に熱的に結合されるように配置されるという点で、
図2による設計変形とは異なる。
【0056】
図6は、パルス応答法を実施することができる、さらに埋め込まれた血管補助システム2を概略的に示す。この変形では、好ましくは、カニューレ4内の壁上に配置されるさらなる温度センサ24は、通過時間時間および熱希釈効果を観察することができるように、発熱体5から(流れ機械32の方向に、発熱体5の下流)間隔を置いている。上述の設計変形と同様に、温度センサ3によってここで形成される任意の(
図7参照)基準温度センサは、流体(ここでは血液)の参照またはバックグラウンド温度21を決定するために上流に配置される。この場合、温度センサ3および追加温度センサ24が、発熱体5から熱的に分離され、さらなる温度センサ24が、流れ機械32へのその空間的近接のために、熱的に分離されることが保証される。キャリア材料によっては、この場合、5~10mmの距離が良い。
【0057】
発熱体5は、電力パルス31に供され、画定のエネルギー量Epをカニューレ4の血液体積に導入し、これが血液温度の上昇をもたらす。流れ機械32の(ポンプ)起動により、血液は、Qp依存性の通過時間Δtの後の最大温度Tmを観測する、さらなる温度センサ24の方向に、Qp依存性の流量で流れる。Epまたは発熱体電力消費量17に基づいて、Δt、基準温度21、およびTmで、流体体積流量1またはQpが、制御ユニット13(通過時間Δt、または通過時間Δt、および振幅高さTm)で計算される。
【0058】
観察可能な影響は、高い流体体積流量1が、発熱体5からさらなる温度センサ24への短い通過時間に対応し、そして、血液体積に対する発熱体5の固定熱抵抗、および血液の固定熱容量23に基づく、通過時間、遅い流体体積流量1が、さらなる温度センサ24での急激な温度上昇に対応し、速い流れが小さな温度上昇に対応する、振幅の変化の両方である。
【0059】
図7は、パルス応答法を実施することができる、さらに埋め込まれた血管補助システム2を概略的に示す。
図7による補助システム2は、
図6による補助システム2と多くの共通する特徴を有するため、この点において、参照は、
図6に関する上記の説明に関してなされる。差異は、
図7に一つの温度センサ3のみが提供されることである。この温度センサは、好ましくはカニューレ4内の壁上にあり、この場合、さらなる温度センサ24が
図6による実施形態で満たす目的を果たす。従って、
図7による実施形態は、(別個の)基準温度センサなしで管理する。
【0060】
図8は、
図6または
図7による、補助システム2の測定された値時間曲線を概略的に示す。発熱体5の下流(
図6の参照符号24と
図7の参照符号3)に配置される温度センサによって測定された温度曲線は、電圧19とアナログ/デジタルコンバータ出力28の両方が時間29にわたってプロットされるように、温度がアナログ/デジタルコンバータを介して電圧値として測定された時間29にわたってプロットされる。さまざまな測定値の曲線、すなわち、第一の測定値曲線34と、第二の測定値曲線35と、第三の測定値曲線36と、第四の測定値曲線37と、第五の測定値曲線38と、第六の測定値曲線39とがプロットされ、測定値曲線が、流体体積流量(ポンプ体積流量)の減少に従って配置される。測定値曲線39は、従って、低流体体積流量の場合における温度センサにおける温度曲線を表し、測定値曲線34は、従って、高流体体積流量の場合における温度センサにおける温度曲線を表す。さらに、測定された値曲線39のパルス31が測定されるまでの時間差30は、一例としてのみマークされる。時間差30は、測定された値曲線の振幅(最大)と同様に、流体体積流量に反比例していることが明確にわかる。さらに、
図8による図では、さらに測定された値曲線34、35、36、37、および38のパルス31も見ることができ、従って、合計で6つのパルス31が見える。測定された値曲線の説明については、参照は、
図6および
図7に関する上記の説明、特にそこで記述された観察された効果に対してなされる。
【0061】
本明細書で提案する解決策では、特に以下の利点のうちの一つまたは複数が可能である。
センサをVADの入口カニューレに組み込むことにより、組織と発熱体との間の接触が防止され、それによって組織損傷が防止される。
入口カニューレへの統合は、(流れ)幾何学的形状、およびそれゆえに調査された血液量が既知であるという利点を有し、実装変形に応じてセンサのキャリブレーションを簡素化するかそれともまたは置き換える。市販のカテーテルは、血管体積に関して較正するために、氷水ボーラスの投与を必要とする。
連続的なQp測定により、吸引、すなわち、入口管の心室壁への吸引の迅速な診断が可能になり、それによってポンプ機能が障害される。
【0062】
要約すると、本発明の以下の特徴は特に注目すべきである。
埋め込まれた血管補助システム2を通して流体体積流量1を決定する方法には、
a)補助システム(2)のカニューレ(4)の領域における流体温度パラメータを決定する工程と、
b)カニューレ(4)内の流体温度の変化をもたらし得る発熱体(5)を動作させる工程と、
c)少なくとも流体温度パラメータまたはその変化、ならびに少なくとも一つの発熱体動作パラメータまたはその変化を使用して、流体体積流量(1)を決定する工程と、を含む。
【0063】
埋め込み可能な血管補助システム、すなわち、人または動物の体に配置することができる血管補助システムは、補助システム2のカニューレ4の領域に温度測定装置を含み、カニューレ(4)内の流体温度の変化もたらすことができる発熱体5を含む。