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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】自動ドアの開閉制御装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/41 20150101AFI20240705BHJP
   E05F 15/643 20150101ALI20240705BHJP
   E05F 15/73 20150101ALI20240705BHJP
【FI】
E05F15/41
E05F15/643
E05F15/73
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021186934
(22)【出願日】2021-11-17
(65)【公開番号】P2023074144
(43)【公開日】2023-05-29
【審査請求日】2023-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000238197
【氏名又は名称】扶桑電機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076255
【弁理士】
【氏名又は名称】古澤 俊明
(72)【発明者】
【氏名】田口 清城
(72)【発明者】
【氏名】梅村 賢
(72)【発明者】
【氏名】山澤 淳
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-156489(JP,A)
【文献】特開2008-291571(JP,A)
【文献】特開2006-307471(JP,A)
【文献】特開平7-317430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00 - 15/79
E06B 9/00 - 9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉制御装置により制御されるモーターで開閉ドアを、開放動作と開放端前の開微速動作により開放制御し、閉鎖動作と閉鎖端前の閉微速動作により閉鎖制御する自動ドアの開閉制御装置において、
前記モーターの過負荷電流により前記開閉ドアの前記閉鎖動作時の異常発生位置を検知する検知手段と、
前記開閉ドアの異常発生位置を記憶する記憶手段と、
前記モーターの前記閉鎖動作時の異常発生検知後、前記開閉ドアを反転開放して、再び閉鎖動作に移行したときに、前記閉鎖動作から前記閉微速動作への開始位置を、前記異常発生位置より開放端側に近い位置に変更して設定する位置設定手段と、
前記位置設定手段で変更して設定した前記閉微速動作への開始位置までの間にさらに過負荷電流による異常を検知したとき、その過負荷検知位置を記憶して前記開閉ドアを反転開放し、前回設定した閉微速動作への開始位置よりさらに開放端側に近い位置に再設定する位置再設定手段と
からなることを特徴とする自動ドアの開閉制御装置。
【請求項2】
開閉制御装置により制御されるモーターで開閉ドアを、開放動作と開放端前の開微速動作により開放制御し、閉鎖動作と閉鎖端前の閉微速動作により閉鎖制御する自動ドアの開閉制御装置において、
前記モーターの過負荷電流により前記開閉ドアの前記閉鎖動作時の異常発生位置を検知する検知手段と、
前記開閉ドアの異常発生位置を記憶する記憶手段と、
前記モーターの前記閉鎖動作時の異常発生検知後、前記開閉ドアを反転開放して、再び閉鎖動作に移行したときに、前記閉鎖動作から前記閉微速動作への開始位置を、前記異常発生位置より開放端側に近い位置に変更して設定する位置設定手段と、
前記位置設定手段で変更して設定した前記閉微速動作への開始位置までの間に過負荷電流による異常を検知することなく閉微速動作へ移行し、この閉微速動作中に過負荷電流による異常を検知したとき、その過負荷検知位置を記憶して前記開閉ドアを反転開放し、前回設定した閉微速動作への開始位置よりさらに開放端側に近い位置に再設定する位置再設定手段と
からなることを特徴とする自動ドアの開閉制御装置。
【請求項3】
前記開閉ドアの前記閉鎖動作時の前記異常発生位置を検知する検知手段は、前記モーターに内蔵されたホールICからなることを特徴とする請求項1又は2記載の自動ドアの開閉制御装置。
【請求項4】
前記開閉ドアの位置を記憶する記憶手段は、前記モーターの回転数に対応したホールICのパルス信号を計数記憶するメモリからなることを特徴とする請求項1又は2記載の自動ドアの開閉制御装置。
【請求項5】
前記開閉ドアの前記閉鎖動作時の前記異常発生を検知しないときは、異常検知カウンターの検知回数をクリアし、閉微速動作位置を元に戻すようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の自動ドアの開閉制御装置。
【請求項6】
開閉制御装置により制御されるモーターで開閉ドアを、開放動作と開放端前の開微速動作により開放制御し、閉鎖動作と閉鎖端前の閉微速動作により閉鎖制御する自動ドアの開閉制御方法において、
前記モーターの過負荷電流により前記開閉ドアの前記閉鎖動作時の異常発生位置を検知する位置検知工程と、
前記開閉ドアの異常発生位置を記憶する記憶工程と、
前記モーターの前記閉鎖動作時の異常発生検知後、前記開閉ドアを反転開放して、再び閉鎖動作に移行したときに、前記閉鎖動作から前記閉微速動作への開始位置を、前記異常発生位置より開放端側に近い位置に変更して設定する位置設定工程と、
前記位置設定工程で変更して設定した前記閉微速動作への開始位置までの間にさらに過負荷電流による異常を検知したとき、その過負荷検知位置を記憶して前記開閉ドアを反転開放し、前回設定した閉微速動作への開始位置よりさらに開放端側に近い位置に再設定する位置再設定工程と
からなることを特徴とする自動ドアの開閉制御方法。
【請求項7】
開閉制御装置により制御されるモーターで開閉ドアを、開放動作と開放端前の開微速動作により開放制御し、閉鎖動作と閉鎖端前の閉微速動作により閉鎖制御する自動ドアの開閉制御方法において、
前記モーターの過負荷電流により前記開閉ドアの前記閉鎖動作時の異常発生位置を検知する検知工程と、
前記開閉ドアの異常発生位置を記憶する記憶工程と、
前記モーターの前記閉鎖動作時の異常発生検知後、前記開閉ドアを反転開放して、再び閉鎖動作に移行したときに、前記閉鎖動作から前記閉微速動作への開始位置を、前記異常発生位置より開放端側に近い位置に変更して設定する位置設定工程と、
前記位置設定工程で変更して設定した前記閉微速動作への開始位置までの間に過負荷電流による異常を検知することなく閉微速動作へ移行し、この閉微速動作中に過負荷電流による異常を検知したとき、その過負荷検知位置を記憶して前記開閉ドアを反転開放し、前回設定した閉微速動作への開始位置よりさらに開放端側に近い位置に再設定する位置再設定工程と
からなることを特徴とする自動ドアの開閉制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ドアの閉鎖動作中に、開閉ドアが人や物体に接触したようなときに急停止反転して危険な状態を回避するようにした自動ドアの開閉制御装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動ドアは、両開きの場合、図2に示すように、2枚の開閉ドア10とその両側の固定ドア11からなり、前記2枚の開閉ドア10は、無目に設けたレール12に、車輪13と吊り下げ具により開閉自在に吊り下げられる。また、無目内には、両端部に駆動プーリー16と従動プーリー17が設けられ、これらの間に歯付きベルト18が掛け渡される。前記歯付きベルト18の上側には、一方の開閉ドア10がベルト固定具19により結合され、前記歯付きベルト18の下側には、他方の開閉ドア10がベルト固定具19により結合される。前記駆動プーリー16は、モーター14に連結され、このモーター14は、開閉制御装置15により正逆回転等の駆動が制御される。
【0003】
以上のような構成において、正常な開閉動作時には、図3の実線にて示すように、開閉ドア10が閉鎖中のA点において、センサー20で開閉ドア10に近づいた人や物体を検知すると、開閉制御装置15の指令によりモーター14が正回転して開放を開始し、一定速度の開放動作(a1)となる。開放端Cの手前の一定位置B点に達すると、開微速動作に移行し、開放端C点(原点)にて停止する。C点で一定時間が経過すると、開閉制御装置15の指令によりモーター14は、逆回転し、閉鎖を開始して加速し、一定速度で閉鎖動作(b1)となり、閉鎖端Aの手前の一定位置D点に達すると、閉微速動作に移行し、閉鎖端A点にて停止し、次の開放信号に待機する。
【0004】
上記閉鎖動作(b1)の途中E点において、開閉ドア10に人や物体等が接触したものとすると、モーター14が過負荷状態であることをモーターに付属されたエンコーダからの信号で急停止する。すると、従来技術(特許文献1)によれば、過負荷検出地点E点を記憶しておき、F点で点線のように反転して開放端C点(原点)にて停止する。一定時間後に再び閉鎖動作(b1)に移行している過程で、過負荷検出地点のE点に至ると、速度を閉微速動作にする、という技術が開示されている。なお、この従来例における駆動源は、歯付きベルトではなく、駆動スクリューである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-291571号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示す装置は、過負荷検出地点Eをメモリに記憶し、反転した後、閉鎖動作に戻る過程のE点に至ると、速度を落として閉微速動作をするが、閉微速動作に戻る過程のE点に至るまでは、高速で閉鎖動作をしているので、過負荷検出地点Eから人や物体を除かないと、再度衝突の恐れがあるという問題があった。
本発明は、過負荷検出をした場合において、過負荷検出地点から人や物体が除かれないことがあっても安全に開閉ドアの開閉動作が行われるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による自動ドアの開閉制御装置は、
開閉制御装置15により制御されるモーター14で開閉ドア10を、開放動作と開放端前の開微速動作により開放制御し、閉鎖動作と閉鎖端前の閉微速動作により閉鎖制御する自動ドアの開閉制御装置において、
前記モーター14の動作の変化により前記開閉ドア10の前記閉鎖動作時の異常発生を検知する手段と、
前記開閉ドア10の異常発生位置を記憶する手段と、
前記モーター14の前記閉鎖動作時の異常発生検知後、前記開閉ドア10を反転開放して、再び閉鎖動作に移行したときに、前記閉鎖動作から前記閉微速動作への開始位置を、前記異常発生位置より開放端側に近い位置に設定する手段と
からなることを特徴とする。
【0008】
前記開閉ドア10の前記閉鎖動作時の前記異常発生を検知する手段は、前記モーター14の電流測定回路23及び/又は前記モーター14に内蔵されたホールIC24からなることを特徴とする。
【0009】
前記開閉ドア10の位置を記憶する手段は、前記モーター14の回転数に対応したホールIC24のパルス信号を計数記憶するメモリ26からなることを特徴とする。
【0010】
前記開閉ドア10の前記閉鎖動作時の前記異常発生を検知する手段による異常発生時の検知回数は、異常検知カウンター27で記憶することを特徴とする。
【0011】
前記異常検知カウンター27による異常発生時の検知回数が連続して一定回数を超えたとき、前記開閉ドア10を停止し、警報を発することを特徴とする。
【0012】
前記開閉ドア10の前記閉鎖動作時の前記異常発生を検知しないときは、前記異常検知カウンター27の検知回数をクリアし、閉微速動作位置を元に戻すようにしたことを特徴とする。
【0013】
本発明は、
開閉制御装置15により制御されるモーター14で開閉ドア10を、開放動作と開放端前の開微速動作により開放制御し、閉鎖動作と閉鎖端前の閉微速動作により閉鎖制御する自動ドアの開閉制御方法において、
前記モーター14の動作の変化により前記開閉ドア10の前記閉鎖動作時の異常発生を検知する工程と、
前記開閉ドア10の異常発生位置を記憶する工程と、
前記モーター14の前記閉鎖動作時の異常発生検知後、前記開閉ドア10を反転開放して、再び閉鎖動作に移行したときに、前記閉鎖動作から前記閉微速動作への開始位置を、前記異常発生位置より開放端側に近い位置に設定する工程と
からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明は、
開閉制御装置により制御されるモーターで開閉ドアを、開放動作と開放端前の開微速動作により開放制御し、閉鎖動作と閉鎖端前の閉微速動作により閉鎖制御する自動ドアの開閉制御装置において、
前記モーターの過負荷電流により前記開閉ドアの前記閉鎖動作時の異常発生位置を検知する検知手段と、
前記開閉ドアの異常発生位置を記憶する記憶手段と、
前記モーターの前記閉鎖動作時の異常発生検知後、前記開閉ドアを反転開放して、再び閉鎖動作に移行したときに、前記閉鎖動作から前記閉微速動作への開始位置を、前記異常発生位置より開放端側に近い位置に変更して設定する位置設定手段と、
前記位置設定手段で変更して設定した前記閉微速動作への開始位置までの間にさらに過負荷電流による異常を検知したとき、その過負荷検知位置を記憶して前記開閉ドアを反転開放し、前回設定した閉微速動作への開始位置よりさらに開放端側に近い位置に再設定する位置再設定手段と
からなるので、次の作用効果を有する。
(1)開閉ドアは、閉鎖動作時に、異常発生を検知すると、すぐに停止して反転開放する。
(2)特に、開閉ドアは、異常発生検知後に反転して閉鎖動作に移行したとき、先に異常発生した位置より手前に閉微速動作の開始位置を設定するので、異常発生の原因を除去するのが遅れても開閉ドアが人や物体に微速で接することとなって、安全性が確保できる。
(3)前回設定した過負荷検知位置に対する微速開始位置までの間にさらに過負荷電流による異常を検知したとき、前回設定した閉微速動作への開始位置よりさらに開放端側に近い位置に再設定することができる。
【0015】
請求項2記載の発明は、
開閉制御装置により制御されるモーターで開閉ドアを、開放動作と開放端前の開微速動作により開放制御し、閉鎖動作と閉鎖端前の閉微速動作により閉鎖制御する自動ドアの開閉制御装置において、
前記モーターの過負荷電流により前記開閉ドアの前記閉鎖動作時の異常発生位置を検知する検知手段と、
前記開閉ドアの異常発生位置を記憶する記憶手段と、
前記モーターの前記閉鎖動作時の異常発生検知後、前記開閉ドアを反転開放して、再び閉鎖動作に移行したときに、前記閉鎖動作から前記閉微速動作への開始位置を、前記異常発生位置より開放端側に近い位置に変更して設定する位置設定手段と、
前記位置設定手段で変更して設定した前記閉微速動作への開始位置までの間に過負荷電流による異常を検知することなく閉微速動作へ移行し、この閉微速動作中に過負荷電流による異常を検知したとき、その過負荷検知位置を記憶して前記開閉ドアを反転開放し、前回設定した閉微速動作への開始位置よりさらに開放端側に近い位置に再設定する位置再設定手段と
からなるので、前回設定した過負荷検知位置に対する微速開始位置までの間に過負荷電流による異常を検知することなく閉微速動作へ移行してから異常を検知しても請求項1と同様の作用効果を有する。
【0016】
請求項3記載の発明は、
前記開閉ドアの前記閉鎖動作時の前記異常発生位置を検知する検知手段は、前記モーターに内蔵されたホールICからなるので、開閉ドアと人や物体への接触、風雨による開閉ドアへの過負荷などの異常事態を確実に検知できる。
【0017】
請求項4記載の発明は、
前記開閉ドアの位置を記憶する記憶手段は、前記モーターの回転数に対応したホールICのパルス信号を計数記憶するメモリからなるので、開閉ドアの閉鎖時の異常発生位置を正確に検知でき、安全性がより高められる。
【0018】
請求項5記載の発明は、
前記開閉ドアの前記閉鎖動作時の前記異常発生を検知しないときは、異常検知カウンターの検知回数をクリアし、閉微速動作位置を元に戻すようにしたので、自動ドアの正常な状態により速やかに復旧することができる。
【0019】
請求項6記載の発明は、
開閉制御装置により制御されるモーターで開閉ドアを、開放動作と開放端前の開微速動作により開放制御し、閉鎖動作と閉鎖端前の閉微速動作により閉鎖制御する自動ドアの開閉制御方法において、
前記モーターの過負荷電流により前記開閉ドアの前記閉鎖動作時の異常発生位置を検知する位置検知工程と、
前記開閉ドアの異常発生位置を記憶する記憶工程と、
前記モーターの前記閉鎖動作時の異常発生検知後、前記開閉ドアを反転開放して、再び閉鎖動作に移行したときに、前記閉鎖動作から前記閉微速動作への開始位置を、前記異常発生位置より開放端側に近い位置に変更して設定する位置設定工程と、
前記位置設定工程で変更して設定した前記閉微速動作への開始位置までの間にさらに過負荷電流による異常を検知したとき、その過負荷検知位置を記憶して前記開閉ドアを反転開放し、前回設定した閉微速動作への開始位置よりさらに開放端側に近い位置に再設定する位置再設定工程と
からなるので、請求項1記載と同様の作用効果を有する。
【0020】
請求項7記載の発明は、
開閉制御装置により制御されるモーターで開閉ドアを、開放動作と開放端前の開微速動作により開放制御し、閉鎖動作と閉鎖端前の閉微速動作により閉鎖制御する自動ドアの開閉制御方法において、
前記モーターの過負荷電流により前記開閉ドアの前記閉鎖動作時の異常発生位置を検知する検知工程と、
前記開閉ドアの異常発生位置を記憶する記憶工程と、
前記モーターの前記閉鎖動作時の異常発生検知後、前記開閉ドアを反転開放して、再び閉鎖動作に移行したときに、前記閉鎖動作から前記閉微速動作への開始位置を、前記異常発生位置より開放端側に近い位置に変更して設定する位置設定工程と、
前記位置設定工程で変更して設定した前記閉微速動作への開始位置までの間に過負荷電流による異常を検知することなく閉微速動作へ移行し、この閉微速動作中に過負荷電流による異常を検知したとき、その過負荷検知位置を記憶して前記開閉ドアを反転開放し、前回設定した閉微速動作への開始位置よりさらに開放端側に近い位置に再設定する位置再設定工程と
からなるので、請求項2記載と同様の作用効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明による自動ドアの開閉制御装置及び方法の一実施例を示すブロック図である。
図2】本発明に利用される自動ドアの説明図である。
図3】自動ドアの正常動作と、異常検知時の動作の説明図である。
図4】(a)は、本発明の自動ドアの開閉制御装置及び方法による最初の異常検知時の動作の説明図、(b)は、2回目以降の異常検知時の動作の説明図である。
図5】本発明による自動ドアの開閉制御装置及び方法の動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の自動ドアの開閉制御装置は、
開閉制御装置15により制御されるモーター14で開閉ドア10を、開放動作と開放端前の開微速動作により開放制御し、閉鎖動作と閉鎖端前の閉微速動作により閉鎖制御する自動ドアの開閉制御装置において、
前記モーター14の動作の変化により前記開閉ドア10の前記閉鎖動作時の異常発生を検知する手段と、
前記開閉ドア10の異常発生位置を記憶する手段と、
前記モーター14の前記閉鎖動作時の異常発生検知後、前記開閉ドア10を反転開放して、再び閉鎖動作に移行したときに、前記閉鎖動作から前記閉微速動作への開始位置を、前記異常発生位置より開放端側に近い位置に設定する手段と
からなる。
【0023】
前記開閉ドア10の前記閉鎖動作時の前記異常発生を検知する手段は、前記モーター14の電流測定回路23及び/又は前記モーター14に内蔵されたホールIC24からなる。
【0024】
前記開閉ドア10の位置を記憶する手段は、前記モーター14の回転数に対応したホールIC24のパルス信号を計数記憶するメモリ26からなる。
【0025】
前記開閉ドア10の前記閉鎖動作時の前記異常発生を検知する手段による異常発生時の検知回数は、異常検知カウンター27で記憶する。
【0026】
前記異常検知カウンター27による異常発生時の検知回数が連続して一定回数を超えたとき、前記開閉ドア10を停止し、警報を発する。
【0027】
前記開閉ドア10の前記閉鎖動作時の前記異常発生を検知しないときは、前記異常検知カウンター27の検知回数をクリアし、閉微速動作位置を元に戻すようにする。
【0028】
本発明の自動ドアの開閉制御方法は、
開閉制御装置15により制御されるモーター14で開閉ドア10を、開放動作と開放端前の開微速動作により開放制御し、閉鎖動作と閉鎖端前の閉微速動作により閉鎖制御する自動ドアの開閉制御方法において、
前記モーター14の動作の変化により前記開閉ドア10の前記閉鎖動作時の異常発生を検知する工程と、
前記開閉ドア10の異常発生位置を記憶する工程と、
前記モーター14の前記閉鎖動作時の異常発生検知後、前記開閉ドア10を反転開放して、再び閉鎖動作に移行したときに、前記閉鎖動作から前記閉微速動作への開始位置を、前記異常発生位置より開放端側に近い位置に設定する工程と
からなる。
【実施例1】
【0029】
本発明による自動ドアの開閉制御装置及び方法の実施例1を図面に基づき説明する。
図2は、段落[0002]で説明した駆動プーリー16と従動プーリー17と歯付きベルト18を用いた一般的な自動ドアの説明図で、この自動ドアは、2枚の開閉ドア10とその両側の固定ドア11からなり、前記2枚の開閉ドア10は、無目に設けたレール12に、車輪13と吊り下げ具により開閉自在に吊り下げられる。また、無目内には、両端部に駆動プーリー16と従動プーリー17が設けられ、これらの間に歯付きベルト18が掛け渡される。前記歯付きベルト18の上側には、一方の開閉ドア10がベルト固定具19により結合され、前記歯付きベルト18の下側には、他方の開閉ドア10がベルト固定具19により結合される。前記駆動プーリー16は、モーター14に連結され、このモーター14は、開閉制御装置15により正逆回転等の駆動が制御される。
20は、センサーで、例えば玄関の内側の内側センサー20aと、玄関の外側の外側センサー20bとからなる。
【0030】
図1は、図2における本発明の開閉制御装置15を示している。
この開閉制御装置15は、CPU21とモータードライバー回路22と電流測定回路23を介してモーター14に接続されている。また、前記CPU21には、メモリ26と異常検知カウンター27と表示ランプ28が接続され、さらに、センサーインターフェース29を介して前記センサー20が接続され、ホールICインターフェース25を介して前記モーター14のホールIC24に接続され、入力回路インターフェース31を介して入力回路30に接続されている。
【0031】
前記電流測定回路23は、前記開閉ドア10の開閉動作時の異常発生を前記モーター14の過負荷電流により検知する手段として機能する。
また、前記モーター14に内蔵された前記ホールIC24は、パルス信号の変化により前記開閉ドア10の開閉動作時の異常発生を検知する手段として機能することができ、前記開閉ドア10の開閉動作時の異常発生を検知する手段は、前記電流測定回路23と前記ホールIC24のいずれか一方でも、また両方でもよい。
前記電流測定回路23は、前記モーター14に流れる電流を検知し、その電流値を前記CPU21に出力する。前記ホールIC24は、モーター14の回転数に伴うパルス数から前記開閉ドア10の移動距離を計測してその出力を、メモリ26に記憶する。
前記CPU21は、前記閉鎖動作から前記閉微速動作への開始位置を、前記異常発生位置より開放端側に近い位置に設定する手段として機能する。また、前記CPU21は、前記開閉ドア10の過負荷電流検知位置で過負荷を検知しないときは、前記異常検知カウンター27の検知回数をクリアし、閉微速動作位置を元に戻すように指示する。
前記メモリ26は、前記モーター14の回転数に対応したホールIC24のパルス信号を計数記憶して、前記開閉ドア10の位置を記憶する手段として機能する。
前記異常検知カウンター27は、前記モーター14の異常発生時の前記過負荷電流を検知する手段による異常発生時の検知回数を記憶する。
【0032】
このような構成による作用を図5のフローチャートに基づき説明する。
(1)工程:開閉ドア10が閉鎖端(A点)において、センサー20からの起動信号が入力するまで待機し、起動信号がYESになると、図3のa1のように、開閉ドア10は、CPU21とモータードライバー回路22からの指令で所定の速度で開動作をする。
開閉ドア10の移動距離は、モーター14の回転数をホールIC24のパルス数で計測し、ホールICインターフェース25からCPU21を経てメモリ26に記憶される。
(2)工程:開閉ドア10が開放端(C点)の手前から所定距離(例えば50cm)の(B点)に達すると、開微速動作がYESとなり、開閉ドア10は、開微速動作となる。
(3)工程:開閉ドア10は、開放端(C点)に達し、YESになると、開閉ドア10は、停止する。
(4)工程:異常検知回数が所定回数(例えば3回)に達していなければ、NOとなり、開放タイマーがスタートする。
(5)工程:開放タイマーがタイムアップしYESになると、開閉ドア10は、閉鎖動作(b1)に移行する。
【0033】
(6)工程:閉鎖動作(b1)の過程において、前回閉動作時に過負荷あり?がNOであれば次の(7)工程に移行する。
(7)工程:閉鎖動作(b1)の過程において、閉動作時に異常検知したか?が判断され、NOであれば閉鎖動作(b1)継続し、次の(8)工程に移行する。
(8)工程:閉鎖動作(b1)において、開閉ドア10が閉鎖端(A点)の手前から所定距離(例えば50cm)の(D点)に達するまで閉鎖動作(b1)し、閉微速動作がYESとなると、開閉ドア10は、閉微速動作となる。
(9)工程:微速動作中に異常検知がNOのとき、異常検知位置の記憶があればそれをクリアし、微速開始位置を通常の位置D点に戻す。
(10)工程:開閉ドア10は、閉鎖端(A点)の位置か?がYESになると停止する。
異常検知カウンター27が回数を記憶していればその異常検知回数をクリアし、元の(1)工程に戻り待機する。
【0034】
(11)工程:前記第(7)工程において、閉動作のE点で異常検知したものとすると、YESとなる。すなわち、図4(a)において、閉鎖動作(b2)のE点で、開閉ドア10が人や物体に接触するなどして、モーター14の電流値が増加すると、それを電流測定回路23で検知してCPU21に出力し、異常検知カウンター27のカウント値に+1と加算する。その時のホールIC24のモーター14の回転数に対応したパルス数がCPU21に送られてメモリ26に開閉ドア10の停止位置Eを記憶する。同時に開閉ドア10は、F点で停止し、(1)工程に戻る。(1)工程に戻ると、さらに、(2)、(3)、(4)、(5)工程にて図4(a)の停止後反転動作(a2)のように反転して開放端(C)で停止する。タイムアップ後に前記(6)工程に戻り、前回閉動作時に過負荷あり?がYESとなるので、(12)工程に移行する。
【0035】
(12)工程:前回閉動作時に過負荷あり?がYESであるから、図4(b)に示すように、前回の異常検知位置であるE点よりやや(例えば15~20cm)手前のG点に微速開始位置を変更する。
【0036】
(13)工程:図4(b)の閉鎖動作(b3)において、前回の過負荷位置G点までの間にさらに過負荷などの異常を検知するとYESとなり、前記(11)工程に戻る。
【0037】
(14)工程:図4(b)の閉鎖動作(b3)において、新たな過負荷位置G点までに過負荷を検知せず、かつ、前記(12)工程で変更した新たな微速開始位置(G点)に達してYESになると、図4(b)のように、開閉ドア10は、新たな閉微速動作(b4)となる。
新たな閉微速動作(b4)において、前記(9)工程で過負荷などの異常を検知しなければ、異常検知位置の記憶をクリアし、微速開始位置を通常の位置に戻す。
(9)工程:1回目の異常検知において、過負荷の原因となった人や物体を除去しないため、開閉ドア10は、閉微速動作(b4)のE点において再度過負荷などの異常を検知しYESになると、(11)工程に戻り、異常検知カウンター27のカウント値に+1と加算する。その時のホールIC24のパルス数がCPU21に送られてメモリ26に開閉ドア10の停止位置Eを記憶する。同時に開閉ドア10は、F点で停止し、(1)工程に戻り、反転動作を繰り返す。1回目の異常検知における過負荷などの異常の原因となった人や物体を除去しないことがあっても、閉微速動作開始点がE点から開放端C側に近いG点に変更されているので、1回目と同じE点で開閉ドア10が人や物体へ接触しても、開閉ドア10が微速であるため小さな衝撃で済み、大けがや大事故を回避できる。(9)工程でYESになると、(11)工程に戻る。
【0038】
(4-1)工程:前記(4)工程において、異常検知回数が所定回数(例えば3回)に達し、YESになると、過負荷連続3回発生したので、開閉ドア10は過負荷位置で開放のままとし、又は、開放端C点まで開放動作し、C点で停止のまま、表示ランプ28、その他の警報装置で異常状態を報知する。警報の報知により過負荷の原因を排除する。同時に異常検知カウンター27の検知回数をクリアする。
【符号の説明】
【0039】
10…開閉ドア、11…固定ドア、12…レール、13…車輪、14…モーター、15…開閉制御装置、16…駆動プーリー、17…従動プーリー、18…歯付きベルト、19…ベルト固定具、20…センサー、21…CPU、22…モータードライバー回路、23…電流測定回路、24…ホールIC、25…ホールICインターフェース、26…メモリ、27…異常検知カウンター、28…表示ランプ、29…センサーインターフェース、30…入力回路、31…入力回路インターフェース。
図1
図2
図3
図4
図5