(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】正極電極用集電体
(51)【国際特許分類】
H01M 50/536 20210101AFI20240705BHJP
H01M 4/64 20060101ALI20240705BHJP
H01M 50/583 20210101ALI20240705BHJP
H01M 50/534 20210101ALI20240705BHJP
【FI】
H01M50/536
H01M4/64 A
H01M50/583
H01M50/534
(21)【出願番号】P 2022518657
(86)(22)【出願日】2020-09-07
(86)【国際出願番号】 KR2020012021
(87)【国際公開番号】W WO2021060742
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-05-09
(31)【優先権主張番号】10-2019-0117356
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521018683
【氏名又は名称】ユーアンドエス エナジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】キム,キョン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,スン ホ
(72)【発明者】
【氏名】ジン,ヨン フン
【審査官】渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-283608(JP,A)
【文献】国際公開第2012/093588(WO,A1)
【文献】特開2001-236947(JP,A)
【文献】特開2009-187675(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/531-50/541
H01M 50/574-50/583
H01M 4/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフィルムと、
前記ベースフィルムの上面または下面のうち少なくとも一つの一面に設けられる導電材と、
前記導電材と電気的に連結されるように前記ベースフィルムの上面または下面のうち少なくとも一つの一側に設けられる金属片と、
前記導電材と前記金属片との間、または、前記導電材の表面に設けられる、絶縁性高分子層と、
前記金属片、前記絶縁性高分子層または前記ベースフィルムのいずれか一つと接合されるように設けられるリードタブとを含み、
前記導電材は、前記絶縁性高分子層と前記ベースフィルムの間に位置し、
前記金属片は、前記ベースフィルムの上面及び下面側にそれぞれ設けられる、または、前記リードタブと向かい合うように前記ベースフィルムの上面または下面のいずれか一方に設けられ、
前記リードタブは、前記ベースフィルムの上面または下面側にそれぞれ設けられた前記金属片のいずれか一つと溶接される、または、前記リードタブと向かい合う前記ベースフィルムの一面側に設けられた前記金属片と溶接され
、
前記リードタブが前記金属片と溶接されることにより、前記絶縁性高分子層と前記ベースフィルムとが溶融して溶接部位または溶接ポイントが形成され、
前記溶接部位または溶接ポイントで形成される電流パスを通じて前記リードタブ、前記金属片及び前記導電材が電気的に連結されることを特徴とする正極電極用集電体。
【請求項2】
前記絶縁性高分子層は、接着性または粘着性を有することを特徴とする請求項1に記載の正極電極用集電体。
【請求項3】
前記絶縁性高分子層は、前記ベースフィルムと同じ温度で溶ける、または、前記ベースフィルムより低い温度で溶けることを特徴とする請求項2に記載の正極電極用集電体。
【請求項4】
前記電流パスは、前記リードタブの溶接部位または溶接ポイントのみで形成されることを特徴とする請求項2または3のいずれか一項に記載の正極電極用集電体。
【請求項5】
前記導電材と前記金属片の間
、または
、前記導電材
の表面に設けられる前記絶縁性高分子層は、短絡電流を遮断する、または、絶縁することを特徴とする請求項4に記載の正極電極用集電体。
【請求項6】
前記導電材は、最大断面基準2μmの厚さ以下のアルミニウム金属で設けられることを特徴とする請求項4に記載の正極電極用集電体。
【請求項7】
前記金属片は、アルミニウムホイルまたはSUS 316Lホイルで設けられることを特徴とする請求項6に記載の正極電極用集電体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正極電極用集電体に関し、さらに詳しくは、金属ホイル(foil)を使用せずに電極の重さを減らすことができ、電極組立体の厚さを減らすことができ、リードタブを堅固かつ安定して連結することができ、電池の安全性を確保することができる電極用集電体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
モバイル機器に対する技術開発と需要が増加することにより、エネルギー源としての二次電池の需要が急激に増加しており、かかる二次電池のうち高いエネルギー密度と作動電位を表し、自然放電率の低いリチウム二次電池が常用化されている。
【0003】
リチウム金属二次電池は、最初に常用化された二次電池であり、リチウム金属を負極として使用する。しかし、リチウム金属二次電池は、リチウム金属負極の表面に形成されるリチウム樹枝状によりセルの体積膨脹、容量及びエネルギー密度の漸進的な減少、樹枝状の持続成長による短絡発生、サイクル寿命の減少とセル安定性の問題(爆発及び発火)があり、常用化されてからわずか何年後に生産が中止された。そこで、リチウム金属の代わりに、より安定でかつ格子や空の空間内にリチウムをイオン状態で安定して貯蔵することができる炭素系負極が使用され、前記炭素系負極の使用により本格的なリチウム二次電池の商用化及び普及が進行された。
【0004】
現在までリチウム二次電池は、炭素系または非炭素系負極素材が本流であり、大部分の負極材の開発は、炭素系(黒煙、ハードカーボン、ソフトカーボンなど)と非炭素系(シリコーン、スズ、チタン酸化物など)素材に集中されている。
【0005】
一方、最近では携帯用電子機器及び情報通信機器が小型化されるにつれて、これらを駆動するための超小型電源システムとしてリチウム二次電池の利用が大きく期待されている。
【0006】
さらに、最近は、柔軟性(Flexibility)、安価、製作容易性などの長所を活かした高分子系電子機器及び素子の開発及び研究が活発に進行されている。したがって、小型化された機器に使用するためには、リチウム二次電池のエネルギー密度または性能は維持しながらも電池の厚さまたは重さを減らす必要がある。
【0007】
また、リチウム二次電池の厚さまたは重さを減らしても、内部短絡が発生した時に電流パスを遮断または破壊することで、リチウム二次電池の安全性を高める必要がある。
【0008】
それだけでなく、リチウム二次電池の厚さまたは重さが減っても電池として機能するためには、外部機器と連結するためのリードタブが電極用集電体に安定的に連結される必要があり、十分な引張強度を有する必要がある。
【0009】
本出願人は、上記のような問題点を解決するために、本発明を提案することになった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような問題点を解決するために提案されたもので、金属ホイルからなる集電体と比べて厚さを減らすことができる正極電極用集電体を提供する。
【0011】
また、本発明は、金属ホイルからなる集電体より重さを減らすことができる正極電極用集電体を提供する。
【0012】
また、本発明は、金属ホイルからなる集電体の抵抗より大きい抵抗値を有するため、内部短絡が発生した時に短絡電流を低下させることができる正極電極用集電体を提供する。
【0013】
また、本発明は、フィルム形態の集電体にリードタブを堅固でかつ安定して連結することができる正極電極用集電体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記のような課題を達成するための本発明による正極電極用集電体は、ベースフィルムと、前記ベースフィルムの上面または下面のうち少なくとも一つの一面に設けられる導電材と、前記導電材と電気的に連結されるように前記ベースフィルムの上面または下面側に設けられる金属片と、前記金属片、前記導電材または前記ベースフィルムのいずれか一つと接合されるように設けられ、前記導電材と電気的に連結されるリードタブとを含み、前記導電材は、前記金属片と前記ベースフィルムの間に位置するか前記リードタブと前記ベースフィルムの間に位置し、前記リードタブは、前記ベースフィルムの上面及び下面側に設けられた前記金属片と溶接されるか、前記リードタブと向かい合う前記ベースフィルムの一面側に設けられた前記金属片と溶接されることができる。
【0015】
前記金属片は、前記ベースフィルムの上面及び下面側にそれぞれ設けられるか、前記ベースフィルムの上面または下面のいずれか一方には前記金属片が設けられ、他方には前記リードタブが設けられることができる。
【0016】
前記導電材と前記金属片の間または前記導電材と前記リードタブの間には、絶縁性高分子層が設けられることができる。
【0017】
前記絶縁性高分子層は、接着性または粘着性を有することができる。
【0018】
前記絶縁性高分子層は、前記ベースフィルムと同じ温度で溶けるか前記ベースフィルムより低い温度で溶けることができる。
【0019】
前記電流パスは、前記リードタブの溶接部位または溶接ポイントのみで形成されることができる。
【0020】
前記導電材と前記金属片の間に位置する前記絶縁性高分子層または前記導電材と前記リードタブの間に位置する前記絶縁性高分子層は、前記リードタブの溶接部位を除いて前記導電材と前記金属片の間または前記導電材と前記リードタブの間を絶縁させて短絡電流を遮断するか絶縁することができる。
【0021】
前記導電材は、最大断面基準2μmの厚さ以下のアルミニウム金属で設けられることができる。
【0022】
前記金属片は、アルミニウムホイルまたはSUS 316Lホイルで設けられることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明による正極電極用集電体は、金属ホイルの代わりに、不導体からなるベースフィルムを利用するため、電極組立体及び電池の重さを減らすことができる。
【0024】
また、本発明による正極電極用集電体は、金属ホイルを使用する代わりに、ベースフィルムの表面に導電材をコーティングまたはめっき層を形成するため、金属ホイルからなる集電体より厚さを減らすことができる。
【0025】
また、本発明による正極電極用集電体は、金属ホイルからなる集電体の抵抗より大きい抵抗値を有し、かつベースフィルムの損傷または導電材層の損傷により電流流れが妨害され得るため、短絡発生時に短絡電流を低下させることができ、電池の安全性を向上させることができる。
【0026】
また、本発明による正極電極用集電体は、ベースフィルムの上下両面に金属材質の金属片を位置させた状態で、いずれか一つの金属片にリードタブを溶接するか、ベースフィルムの上下両面のいずれか一面には金属片を位置させ、他の一面にはリードタブを位置させた状態でリードタブを金属片に溶接するため、リードタブがベースフィルムに堅固でかつ安定して付着することができ、リードタブが付着された部位の引張強度が低下することを防止することができる。
【0027】
また、本発明による正極電極用集電体は、導電材と金属片の間または導電材とリードタブの間に絶縁性高分子層が設けられるため、短絡発生時に電池の安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明による正極電極用集電体を含む電極組立体を示した斜視図である。
【
図2】本発明による電極組立体を示した分解斜視図である。
【
図3】本発明による正極電極用集電体を示した斜視図である。
【
図4】本発明の第1実施例による正極電極用集電体を示した断面図である。
【
図5】本発明の第2実施例による正極電極用集電体を示した断面図である。
【
図6】本発明の第3実施例による正極電極用集電体を示した断面図である。
【
図7】本発明の第4実施例による正極電極用集電体を示した断面図である。
【
図8】
図4による正極電極用集電体を示した平面図である。
【
図9】
図4による正極電極用集電体及び
図6による正極電極用集電体を具備した電極組立体を含む二次電池のリードタブ連結部品に対する外部短絡の試験結果を示したグラフである。
【
図10】絶縁性高分子層のない正極電極用集電体を使用した電池に対する外部短絡の実験結果を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下では、添付の図面を参照して本発明による実施例を詳しく説明する。しかし、本発明が実施例により制限されるか限定されるものではない。各図面に提示された同一の参照符号は、同一の部材を示す。
【0030】
図1は、本発明による正極電極用集電体を含む電極組立体を示した斜視図、
図2は、本発明による電極組立体を示した分解斜視図、
図3は、本発明による正極電極用集電体を示した斜視図、
図4は、本発明の第1実施例による正極電極用集電体を示した断面図、
図5は、本発明の第2実施例による正極電極用集電体を示した断面図、
図6は、本発明の第3実施例による正極電極用集電体を示した断面図、
図7は、本発明の第4実施例による正極電極用集電体を示した断面図、
図8は、
図4による正極電極用集電体を示した平面図、
図9は、
図4による正極電極用集電体及び
図6による正極電極用集電体を具備した電極組立体を含む二次電池のリードタブ連結部品に対する外部短絡の試験結果を示したグラフである。
【0031】
図1及び
図2には、本発明による正極(陽極)電極用集電体100を含む電極組立体10が示されている。
図1及び
図2の場合、本発明による正極電極用集電体100は、陽極集電体である。電極組立体10に使用されるために、正極電極用集電体100の表面に正極活物質103が塗布される必要がある。
【0032】
一方、負極(陰極)電極用集電体200は、負極金属ホイル201に負極活物質203が塗布され、長さ方向の一端側に負極リードタブ290が連結されることができる。
【0033】
負極電極用集電体200と本発明による正極電極用集電体100の間に分離膜300が配置される。
図2に示すような状態で分離膜300を挟んで上下にそれぞれ負極電極用集電体200と正極電極用集電体100を順に積むと、
図1のような電極組立体10になる。
【0034】
図3には、本発明による正極電極用集電体100が示されている。正極電極用集電体100は、上述した負極電極用集電体200とは異なり、金属ホイルを使用しない。
【0035】
図3に示すような本発明による正極電極用集電体(CURRENT COLLECTOR FOR CATHODE ELECTRODES)100は、金属ホイルからなる集電体の抵抗より大きい抵抗値を有するため、集電体を流れる電流の限界電流値を調整することができ、ベースフィルムの損傷により電流流れが妨害され得るため、二次電池に内部短絡が発生した時に短絡電流を低下させるか発熱を防止することができる。
【0036】
本発明による正極電極用集電体100を具備したリチウム二次電池(Lithium Secondary Battery)は、Max Current Limited Battery(MCLB)の性格または概念を有することができる。以下では、MCLBの実現を可能にする本発明による正極電極用集電体について説明する。
【0037】
本発明による正極電極用集電体100は、既存の電池の金属ホイル(metal foil)で形成された正極集電体の抵抗より高い抵抗値を有するため、限界電流を調整できるだけでなく、内部短絡時に電流パスを崩壊させることで短絡電流を低下させるか短絡時に発生する発熱現象を減らして、電池の安全性を高めることができる。
【0038】
本発明による正極電極用集電体100は、金属ホイルを使用せずに高分子材質で形成されたベースフィルム101を基本素材とし、ベースフィルム101上に薄い厚さの金属が塗布またはコーティングされることができる。
【0039】
以下では、図面を参照して本発明による正極電極用集電体100の多様な形態について説明する。
【0040】
先ず、
図4~
図7を参照すると、本発明による正極電極用集電体100、400、500、600は、ベースフィルム101(Base film)と、前記ベースフィルム101の上面または下面のうち少なくとも一つの一面に設けられる導電材102(Conductive material)と、前記導電材102と電気的に連結されるように前記ベースフィルム101の上面または下面側に設けられる金属片120(Metal element)と、前記金属片120、前記導電材102または前記ベースフィルム101のいずれか一つと接合するように設けられ、前記導電材102と電気的に連結されるリードタブ190(Lead tab)とを含み、前記導電材102は、前記金属片120と前記ベースフィルム101の間に位置するか前記リードタブ190と前記ベースフィルム101の間に位置し、前記リードタブ190は、前記ベースフィルム101の上面及び下面側に設けられた前記金属片120と溶接されるか前記リードタブ190と向かい合う前記ベースフィルム101の一面側に設けられた前記金属片120と溶接されることができる。
【0041】
この時、前記導電材102は、前記金属片120と前記ベースフィルム101の間に位置するか前記ベースフィルム101と前記リードタブ190の間に位置することができる。
【0042】
ここで、前記導電材102は、短絡時に電解液との反応を通じて電気化学的ヒューズ(electrochemical fuse)の機能が可能であるため、短絡防止機能を有することができる。かかる導電材102の電気化学的特性については後述する。
【0043】
ベースフィルム101は、一定の長さを有するように帯状で設けられることができる。ここで、ベースフィルム101は、その長さ方向(すなわち、相対的に長い長さを有する方向)に沿ってロールツーロール(Roll to roll)方式で供給または移送されることで、後述する電極組立体10を形成することができる。
【0044】
ベースフィルム101は、ポリエチレン(PE:polyethylene)、ポリプロピレン(PP:polypropylene)、ポリブチレンテレフタレート(PBT:Polybutylene terephthalate)、ポリイミド(PI:Polyimide)またはポリエチレンテレフタレート(PET:polyethylene terephthalate)などの高分子不導体材質で設けられることが好ましい。
【0045】
ベースフィルム101は、50μm以下の厚さを有するが、1.4μm以上、50μm以下の厚さを有することが好ましい。本発明の第1実施例による正極電極用集電体100は、既存の金属ホイル集電体を使用する場合より電池の厚さまたは重さを減らすことができるが、厚さが1.4μm以上、50μm以下の不導体材質の高分子フィルムをベースフィルム101として使用することで、本発明による正極電極用集電体100、400、500、600を具備したリチウム二次電池の全体的な厚さまたは重さを減らすことができる。
【0046】
一方、ベースフィルム101は、300℃より低い温度で溶ける材質で形成されることが好ましい。リードタブ190を溶接してベースフィルム101に固定するが、ベースフィルム101がリードタブ190の溶接温度より低い温度で溶けなければリードタブ190がベースフィルム101に結合することができない。よって、ベースフィルム101は、リードタブ190を溶接する過程で溶けられる程度の融点を有する必要があり、300℃より低い融点を有することが好ましい。
【0047】
一方、本発明による正極電極用集電体100、400、500、600は、ベースフィルム101の上面または下面のうち少なくとも一つの表面に設けられる導電材102(conductive material)を含むことができる。
【0048】
導電材102は、アルミニウム(Al)で設けられることが好ましく、ベースフィルム101の表面にめっきまたはコーティングされた状態で形成されることができる。よって、導電材102は、正極電極用集電体100の最外面を形成する導電層(conductive layer)ともいえる。
【0049】
導電材102は、正極電極用集電体100、400、500、600の限界電流または最大電流を調節するか低くするように形成されることができる。換言すると、導電材102は、正極電極用集電体100、400、500、600の伝導性(conductivity)を制御するために、ベースフィルム101の上面または下面のうち少なくとも一つの表面にめっきまたはコーティングされるアルミニウムであり、ベースフィルム101の表面にめっきまたはコーティングされた状態に重点を置く場合は、導電材102は導電層ともいえる。以下における導電材102は、導電層を含む概念である。
【0050】
ベースフィルム101の上面または下面のうち少なくとも一つの表面にめっきまたはコーティングされる導電材102のコーティング量またはコーティング厚さを調節することで、正極電極用集電体100、400、500、600を流れる電流の最大量を制御または低くすることができ、これによりリチウム二次電池の安全性を高めることができ、短絡時に電池の安全性を確保することができる。
【0051】
換言すると、ベースフィルム101の表面に形成された導電材102の厚さまたは量によって正極電極用集電体100を流れる限界電流または最大電流が調節されることができる。このように、本発明による電極用集電体100、400、500、600の導電材102によりリチウム二次電池(Lithium Secondary Battery)のMax Current Limited Battery(MCLB)の性格または概念が実現されることができる。
【0052】
また、物理的な内部短絡または外部短絡が発生した時にベースフィルム101が溶ける可能性があり、急激な電流の発生を妨害し得るため、電池の安全性を向上させることができる。さらに、導電材102の厚さが薄い場合は、内部短絡または外部短絡が発生した時に導電材102を形成するアルミニウム層の電位が低くなり、アルミニウム層と電解液の電気化学的反応を誘導するため、伝導性を低くするか電流を遮断することで、電池の安全性を向上させることができる。
【0053】
前記導電材102は、多様な方式によりベースフィルム101の表面に形成されることができる。例えば、導電材102が金属である場合は、スパッタリング(sputtering)または蒸発コーティング(evaporation coating)によりベースフィルム101の表面に形成されることができる。
【0054】
導電材102がめっきまたはコーティングされる量(重さ)または厚さによって、正極電極用集電体100の伝導性を制御するか電池の安全性を確保することができるため、めっきまたはコーティングする時に導電材102の厚さまたは重さを制御または調節することができる方式を使用する必要がある。
【0055】
ベースフィルム101の表面にめっきまたはコーティングされる導電材102の厚さは、リードタブ190と電極(集電体)の長さによって決定されることができる。例えば、電極(集電体)の長さが長くなると、導電材102のめっき厚さも増加することが好ましい。
【0056】
導電材102は、ベースフィルム101のある一面のみに形成されるか両面ともに形成されることもできる。この時、導電材102は、最大断面基準2μmの厚さ以下で形成されることが好ましい。
【0057】
本発明による正極電極用集電体100、400、500、600は、導電材102によって電流流れが可能であるため、ベースフィルム101の表面に導電材102がめっきまたはコーティングされた状態が維持される必要がある。このため、ベースフィルム101の表面処理を行い導電材102とベースフィルム101の決着力を高めることが好ましい。
【0058】
導電材102とベースフィルム101間の決着力が良くなければ、電解液が注入された状態で導電材102がベースフィルム101の表面から分離または離脱するおそれがあるため、導電材102とベースフィルム101間の決着力を高めることが重要である。
【0059】
ベースフィルム101の表面には、導電材102との接着力または決着力を高めるための表面処理が形成されることができる。
【0060】
導電材102とベースフィルム101の決着力を高めるためにベースフィルム101の表面にコロナ処理をすることが好ましい。
【0061】
一方、本発明による正極電極用集電体100、400、500、600は、外部機器との連結のためのリードタブ190を具備することができる。
【0062】
金属ホイルからなる既存の電極集電体は、金属ホイルに直接リードタブを溶接することができるが、本発明による正極電極用集電体100、400、500、600は、既存の金属ホイルに対応する構成が薄いベースフィルム101であるため、ベースフィルム101に直接リードタブを溶接することが不可能である。すなわち、ベースフィルム101の上面または下面に形成された導電材102にリードタブ190を溶接しなければならないが、ベースフィルム101が薄いため溶接部位に十分な引張強度を確保することができず、リードタブ190がベースフィルム101に付着することが難しい。本発明による正極電極用集電体100、400、500、600は、ベースフィルム101の上面及び下面に金属材質の金属片120を付着した状態で、金属片120にリードタブ190を溶接するか、ある一面に金属片120を付着し他面にリードタブ190を付着した状態でリードタブ190を金属片120に溶接することで、このような問題を解決することができる。
【0063】
本発明による正極電極用集電体100、400、500、600において、リードタブ190は、超音波溶接(ultrasonic welding)、レーザー溶接(laser welding)またはスパット溶接(spot welding)により、金属片120、導電材102またはベースフィルム101に溶接されることができる。
【0064】
図4~
図7に示された本発明による正極電極用集電体100、400、500、600は、ベースフィルム101の上面及び下面にいずれも金属からなる金属片120、リードタブ190が位置している。
【0065】
以下では、
図4~
図7を参照して、正極電極用集電体100、400、500、600についてさらに詳しく説明する。
【0066】
先ず、
図4に示した本発明の第1実施例による正極電極用集電体100は、ベースフィルム101の上面と下面に導電材102が設けられている。上下の導電材102と接合または連結されるようにベースフィルム101の上面及び下面にはそれぞれ金属片120が設けられている。すなわち、金属片120は、ベースフィルム101の上面側と下面側で導電材102と接合または連結されるように設けられることができる。リードタブ190は、ベースフィルム101の上下に設けられた金属片120のいずれか一つに溶接されることで、リードタブ190は金属片120及び導電材102と電気的に連結されることができる。
【0067】
ここで、金属片120は、ベースフィルム101上でリードタブ190を溶接する位置を確保する役割をすることができる。すなわち、金属片120は、リードタブ190の連結部のような役割をすることができる。
【0068】
金属片120は、5μm以上の厚さを有するように形成されることが好ましい。ここで、金属片120は、ベースフィルム101の一部分のみに設けられて十分である。ベースフィルム101上に設けられる金属片120の個数または位置などには制限がない。但し、金属片120にリードタブ190が溶接される場合であれば、電極組立体の形態を考慮してリードタブ190が溶接される金属片120の位置を決定することが好ましい。
【0069】
上記のように、金属片120は、5μm以上の厚さを有する金属薄膜または金属ホイルの形態を有することが好ましいが、必ずしもこのような形態に限定されるものではない。すなわち、金属片120は、薄膜、ホイルまたはメッシュ(mesh)の形態で設けられることができる。
【0070】
金属片120は、アルミニウムホイル(foil)またはSUS 316Lホイルで設けられることができる。
【0071】
このように、本発明の第1実施例による正極電極用集電体100の金属片120は、リードタブ190の溶接位置を確保することができる。
【0072】
図4に示すように、ベースフィルム101の上下両面に導電材102が形成されることができ、上下の導電材102と接触するように金属片120がベースフィルム101の上下両面側に設けられることができる。リードタブ190は、上下の金属片120のいずれか一つに溶接されることができる。溶接をすると、ベースフィルム101が溶けながら導電材102、金属片120及びリードタブ190が電気的に連結されることができる。
【0073】
また、
図4に示した本発明の第1実施例による正極電極用集電体100を参照すると、導電材102と向かい合う金属片120の一面と導電材102の間には絶縁性高分子層130が形成されることができる。絶縁性高分子層130は、ベースフィルム101の表面または導電材102の表面に金属片120を付着するか、導電材102と金属片120を絶縁するためのものである。
図4の場合は、導電材102と金属片120の間に絶縁性高分子層130が設けられることができる。
【0074】
絶縁性高分子層130は、接着性または粘着性を有する物質で設けられることが好ましい。また、絶縁性高分子層130は、高分子(Polymer)材質で設けられるか高分子フィルムの形態で設けられることができる。
【0075】
絶縁性高分子層130が高分子フィルムの形態で設けられる場合は、厚さが50μm未満であることが好ましい。絶縁性高分子層130の厚さが50μmを超えると、溶接が円滑にできず抵抗が大きくなるという短所がある(表1及び表2参照)。
【0076】
【0077】
【0078】
絶縁性高分子層130は、ベースフィルム101と同じ温度で溶けるか、ベースフィルム101より低い温度で溶けることができる。すなわち、絶縁性高分子層130は、ベースフィルム101と同じ融点を有するか、ベースフィルム101の融点より低い温度の融点を有することが好ましい。
【0079】
絶縁性高分子層130は、ポリエチレン(PE:Polyethylene)、ポリプロピレン(PP:Polypropylene)、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF:Polyvinylidene Difluoride)、ポリエチレンテレフタレート(PET:Polyethylene terephthalate)、ポリイミド(PI:Polyimide)などの高分子材質で形成されるだけでなく、エチレン酢酸ビニル(EVA:Ethylene Vinyl Acetate)またはアクリレート(Acrylate)系化合物などのように接着成分を有する高分子材質で形成されることができる。
【0080】
絶縁性高分子層130は、ベースフィルム101または導電材102の表面に金属片120を付着する機能だけでなく絶縁層の機能もすることができる。リードタブ190が溶接される時、絶縁性高分子層130は溶けながら導電材102と電気的に連結されるが、溶接された部分を除いた部分は、絶縁性高分子層130により絶縁された状態となる。外部短絡時に電気的に連結された部分が溶接された部分に制限された場合、溶接された部分の導電材102が反応して電流を減らすか遮断することができる。電気的に連結された部分が広い場合は、反応が多く必要であるため、電流遮断が難しいことがある。よって、導電材102に金属片120が付着する場合に導電材102と金属片120の間に絶縁性を有する絶縁性高分子層130が設けられることが好ましい。
【0081】
ここで、ベースフィルム101の両面にそれぞれ設けられた導電材102に付着する絶縁性高分子層130及び金属片120は、ベースフィルム101を基準として互いに同一の位置に設けられることができる。
【0082】
図4に示した電極用集電体100についてリードタブ190を溶接する時、ベースフィルム101の引張強度、電気伝導度などに対する実験結果は、下記の表3の通りである。
【0083】
【0084】
表3において、「構造:Al foil(12μm)+KMG(10μm)+(Al/PET/Al)+Al foil(12μm)+KMG(10μm)+Al tab」は、
図4に示したような断面構造を有する正極電極用集電体100を意味する。ここで、Al foilは、厚さ12μmのアルミニウム金属片120を意味し、KMGは、KMG社の接着剤として、厚さ10μmで設けられる接着性を有するアクリレート系化合物である絶縁性高分子層130を意味し、Al/PET/Alは、上下両面にアルミニウム導電材102がコーティングされた高分子PETからなるベースフィルム101を意味し、Al tabは、アルミニウムからなるリードタブ190を意味する。また、「抵抗(Ω)(前面)」は、Al tabとAl tabが付着された面の導電材層との抵抗値を意味し、「抵抗(Ω)(裏面)」は、Al tabとAl tabが付着されていない面の導電材層との抵抗値を意味する。抵抗は、Hioki 3555機種を使用して測定した。これは、他の実験でも同一に適用した。表3は、厚さ7μmのPETからなるベースフィルム101の上下両面にアルミニウム導電材102が1μmの厚さで塗布され、リードタブ190は、厚さが80μmのもの(1-1)と、100μmのもの(1-2)をいずれか一つの金属片120に溶接した状態で、溶接可能性、引張強度、抵抗を測定した結果を示している。
【0085】
一方、実験において、溶接は超音波溶接機を使用して進行した。
【0086】
表3の結果を参照すると、ベースフィルム101の上下両面に金属材質の金属片120が位置するため、いずれか一つの金属片120にリードタブ190を溶接することに問題がないことを確認することができた。また、ベースフィルム101の上下両面に金属片120が設けられた状態でリードタブ190が付着するため、リードタブ190が溶接された部位の引張強度が確保されることを確認することができた。
【0087】
絶縁性高分子層130として、KMGの代わりに接着性を有する厚さ10μmのEVAを使用した場合も、表3と類似した実験結果を確認することができた。また、互いに異なる導電材層が溶接部位を通じて通電することが分かった。
【0088】
表4は、
図4に示された集電体100において絶縁性高分子層130を除去した正極電極用集電体に対する実験結果である。すなわち、上下の導電材102に金属片120をそれぞれ付着し、金属片120のいずれか一つにリードタブ190を溶接した構造の正極電極用集電体に対する実験結果である。
【0089】
【0090】
表4において、「構造:Al foil(12μm)+(Al/PET/Al)+Al foil(12 μm)+Al tab」は、電極用集電体100の断面形態を意味する。ここで、Al foilは、厚さ12μmのアルミニウム金属片120を意味し、Al/PET/Alは、両面にアルミニウム導電材102がコーティングされた高分子PETからなるベースフィルム101を意味し、Al tabは、アルミニウムからなるリードタブ190を意味する。表4は、厚さ7μmのPETからなるベースフィルム101の上下両面にアルミニウム導電材102が1μmの厚さで塗布され、リードタブ190は、厚さが80μmのもの(2-1)と100μmのもの(2-2)をいずれか一つの金属片120に溶接した状態で溶接可能性、引張強度、抵抗を測定した結果を示している。
【0091】
表4の結果を参照すると、ベースフィルム101の上下両面に金属材質の金属片120が位置するため、いずれか一つの金属片120にリードタブ190を溶接することに問題がないことを確認することができた。また、ベースフィルム101の上下両面に金属片120またはリードタブ190が付着するため、リードタブ190が溶接された部位の引張強度が確保されることを確認することができた。
【0092】
ここで、ベースフィルム101の両面にそれぞれ設けられた金属片120は、互いに同一の位置に設けられることができる。
【0093】
一方、ベースフィルム101の上下両面のいずれか一面のみに金属片120またはリードタブ190が付着する場合は、溶接部位の引張強度を確保しにくい。表5は、ベースフィルム101の一面に金属片120とリードタブ190がいずれも位置する場合に対する実験結果を示す。
【0094】
【0095】
表5の場合は、ベースフィルム101の上面または下面のいずれか一面のみにAl foilからなる金属片120が位置し、該金属片120にリードタブ190が溶接される正極電極用集電体に対する実験結果である。すなわち、ベースフィルム101の一側面のみに金属が集まっている正極電極用集電体に対する実験結果である。表3及び表4と比べてみると、引張強度が非常に小さいことが分かる。引張強度が小さければリードタブをベースフィルムに溶接することが不可能である。
図5には、本発明の第2実施例による正極電極用集電体400が示されている。
図5を参照すると、正極電極用集電体400は、ベースフィルム101の上下両面に塗布された導電材102、いずれか一方の導電材102の表面に設けられる金属片120、他方の導電材102の表面に設けられるリードタブ190、導電材102と金属片120の間に設けられる絶縁性高分子層130、導電材102とリードタブ190の間に設けられる絶縁性高分子層130を含むことができる。
【0096】
図4の正極電極用集電体100と比べると、金属片120がベースフィルム101の一側に設けられ、反対側にはリードタブ190のみが設けられる点、金属片120と導電材102の間には絶縁性高分子層130があるが、絶縁性高分子層130とリードタブ190の間には金属片120がないという点で異なる。しかし、
図5に示された正極電極用集電体400もベースフィルム101の上面と下面にいずれも金属からなる部材、すなわち、金属片120とリードタブ190が位置する点では
図4に示された正極電極用集電体100と類似している。
【0097】
ベースフィルム101の上下両面にそれぞれ設けられる金属片120とリードタブ190は同一の位置に設けられることができる。
【0098】
図5に示された正極電極用集電体400についてリードタブ190を溶接する時にベースフィルム101の引張強度、電気伝導度に対する実験結果は、下記の表6の通りである。
【0099】
【0100】
表6において、「構造:Al foil(12μm)+KMG(10μm)+(Al/PET/Al)+KMG(10μm)+Al tab」は、
図5に示されたような断面構造を有する電極用集電体400を意味する。ここで、Al foilは、厚さ12μmのアルミニウム金属片120を意味し、KMGは、KMG社の接着剤として厚さ10μmで設けられる接着性を有するアクリレート系化合物である絶縁性高分子層130を意味し、Al/PET/Alは、上下両面にアルミニウム導電材102がコーティングされた高分子PETからなるベースフィルム101を意味し、Al tabは、アルミニウムからなるリードタブ190を意味する。表6は、厚さ7μmのPETからなるベースフィルム101の上下両面にアルミニウム導電材102が1μmの厚さで塗布され、リードタブ190は、厚さが80μmのもの(4-1)と100μmのもの(4-2)を導電材102に直接溶接した状態で、溶接可能性、引張強度、抵抗を測定した結果を示している。
【0101】
表6の結果を参照すると、ベースフィルム101の上下両面にそれぞれ金属材質の金属片120とリードタブ190が位置するため、リードタブ190を溶接するのに問題がないことを確認することができた。また、ベースフィルム101の上下両面にそれぞれ金属片120とリードタブ190が設けられた状態でリードタブ190が溶接されるため、リードタブ190が溶接された部位の引張強度が確保されることを確認することができた。
【0102】
導電材102と金属片120の間に設けられる絶縁性高分子層130として、KMGの代わりに接着性を有する厚さ10μmのEVAを使用した場合にも、表6と類似した実験結果を確認することができた。
【0103】
図6には、本発明の第3実施例による正極電極用集電体500が示されている。
図6を参照すると、正極電極用集電体500は、ベースフィルム101の上下両面のいずれか一面のみに塗布された導電材102、導電材102の表面に設けられる金属片120、導電材102のないベースフィルム101の表面に設けられるリードタブ190、導電材102と金属片120の間に設けられる絶縁性高分子層130を含むことができる。
【0104】
図5の正極電極用集電体400と比べると、導電材102と金属片120がベースフィルム101の一面のみに設けられ、ベースフィルム101の反対面にはリードタブ190のみが設けられる点、金属片120と導電材102の間には絶縁性高分子層130があるが、ベースフィルム101とリードタブ190の間には絶縁性高分子層130がないという点で異なる。しかし、
図6に示された正極電極用集電体500も、ベースフィルム101の上面と下面にいずれも金属からなる部材、すなわち、金属片120とリードタブ190が位置する点では、
図4に示された集電体100、
図5に示された正極電極用集電体400と類似している。
【0105】
ベースフィルム101の上下両面にそれぞれ設けられる金属片120とリードタブ190は、同一の位置に設けられることができる。
【0106】
図6に示された正極電極用集電体500についてリードタブ190を溶接する時にベースフィルム101の引張強度、電気伝導度などに対する実験結果は、下記の表7の通りである。
【0107】
【0108】
表7において、「構造:Al foil(12μm)+KMG(10μm)+(Al/PET)+Al tab(80μm)」は、
図6に示されたような断面構造を有する電極用集電体500を意味する。ここで、Al foilは、厚さ12μmのアルミニウム金属片120を意味し、KMGは、KMG社の接着剤として、厚さ10μmで設けられる接着性を有するアクリレート系化合物である絶縁性高分子層130を意味し、Al/PETは、上面にアルミニウム導電材102がコーティングされた高分子PETからなるベースフィルム101を意味し、Al tabは、厚さ80μmのアルミニウムからなるリードタブ190を意味する。また、抵抗1は、金属片120と導電材102で測定した抵抗、抵抗2は、金属片120とリードタブ190で測定した抵抗、抵抗3は、導電材102とリードタブ190で測定した抵抗を意味する。表7は、厚さ7μmのPETからなるベースフィルム101の上面にアルミニウム導電材102が1μmの厚さで塗布され、厚さが80μmのリードタブ190をベースフィルム101の下面に溶接した状態で溶接可能性、引張強度、抵抗を測定した結果を示している。
【0109】
表7の結果を参照すると、ベースフィルム101の上下両面にそれぞれ金属材質の金属片120とリードタブ190が位置するため、リードタブ190を溶接するのに問題がないことを確認することができた。また、ベースフィルム101の上下両面にそれぞれ金属片120とリードタブ190が設けられた状態でリードタブ190が溶接されるため、リードタブ190が溶接された部位の引張強度が確保されることを確認することができた。また、抵抗1~3の測定値を分析してみると、電気伝導度も良好であることを確認することができた。
【0110】
図6に示された本発明の第3実施例による正極電極用集電体500は、アルミニウム導電材102が塗布されていないベースフィルム101の一面にリードタブ190が付着するため、導電材102のない面を内側にして折り電極組立体を形成する時に、リードタブ190が分離膜及び負極と接しなくなる。よって、リードタブ190の短絡を防止するための別途の保護フィルムが不要であるという長所がある。
【0111】
図7には、本発明の第4実施例による正極電極用集電体600が示されている。
図7を参照すると、正極電極用集電体600は、ベースフィルム101の上下両面のいずれか一面のみに塗布された導電材102、導電材102の表面に設けられるリードタブ190、導電材102のないベースフィルム101の表面に設けられる金属片120、導電材102とリードタブ190の間に設けられる絶縁性高分子層130を含むことができる。
【0112】
ベースフィルム101の上下両面にそれぞれ設けられる金属片120とリードタブ190は、同一に位置に設けられることができる。
【0113】
図7に示された正極電極用集電体600は、金属片120とリードタブ190の位置が反対であるという点で、
図6に示された正極電極用集電体400と異なる。しかし、
図7に示された正極電極用集電体600も、ベースフィルム101の上面と下面にいずれも金属からなる部材、すなわち、金属片120とリードタブ190が位置するという点では、
図4に示された正極電極用集電体100、
図5に示された正極電極用集電体400及び
図6に示された正極電極用集電体500と類似している。よって、
図7に示された本発明の第4実施例による正極電極用集電体600も、リードタブ190の溶接部位に十分な引張強度を確保することができ、良好な電気伝導度を有するといえる。
【0114】
上記のように、本発明による正極電極用集電体100、400、500、600は、ベースフィルム101の上面または下面のうち少なくとも一面に高分子からなる絶縁性高分子層130を設ける場合にも、ベースフィルム101の両面に金属からなる部材、すなわち、金属片120またはリードタブ190のいずれもあるため、ベースフィルム101またはリードタブ190が溶接された部位の引張強度が良好である。
【0115】
リードタブ190を溶接すると、溶接部位で絶縁性高分子層130及びベースフィルム101が溶けながらリードタブ190が接合されて導電材102と電気的に連結されることができる。
【0116】
【0117】
【0118】
表8と表9は、KMGまたはEVAより融点の高いPEまたはPIを絶縁性高分子層として適用した場合において、溶接可能性に対する実験結果を示している。PETより低い融点を有するPEの場合は溶接が可能であり、引張強度及び抵抗は、KMGまたはEVAを絶縁性高分子層として適用した場合と類似した値を有することを確認することができる。一方、融点の高いPIは溶接し難いことを確認することができる。
図8は、本発明の第1実施例による正極電極用集電体100を示した平面図である。
図8を参照すると、導電材102の上に金属片120が位置し、金属片120の上にリードタブ190が位置している。この時、金属片120と導電材102の間には絶縁性高分子層130が存在する。リードタブ190が溶接される過程で絶縁性高分子層130とベースフィルム101が溶けながら溶接ポイントを形成する。すなわち、
図8の場合、金属片120と導電材102の間に位置する絶縁性高分子層130が溶けながらリードタブ190が溶接されるが、電気的連結は、絶縁性高分子層130が溶けながら連結された溶接ポイントのみでなされる。このように、絶縁性高分子層130がある場合は、リードタブ190の溶接時に電気的連結が溶接ポイントのみの非常に小さい部位で電流パス(pass)が形成されるため、リードタブ190または金属片120と導電材102の間を絶縁させることができる。また、溶接ポイントを除いた残りの部分は、電解液に露出するか電解液が浸透しやすい状態となる。
【0119】
もし、リードタブまたは金属片と導電材の間に絶縁性高分子層がなければ、リードタブまたは金属片と導電材が直接接触するが、この時、両者はリードタブまたは金属片の大きさに該当する面積で導電材と物理的接触をするようになる。このように、リードタブの溶接部位でリードタブまたは金属片と導電材が物理的接触する正極電極用集電体の場合、金属片と導電材の間に絶縁性高分子層がないため、金属片の広さほど面接触を有し、これにより反応する面積も広くなるしかない。そのため、ベースフィルムの表面に塗布された導電材をいずれも反応させることは難しい。このような正極電極用集電体を使用する電池に外部短絡が発生すると、電流パス(pass)が維持されるため、電流を遮断できず電池の温度が上昇するおそれがある(
図10(a)参照)。
【0120】
図9は、本発明の第1実施例による正極電極用集電体100及び本発明の第3実施例による正極電極用集電体500を具備した電極組立体を含む二次電池のリードタブ連結部品に対する外部短絡の試験結果を示しているグラフである。
図9の(a)は、正極電極用集電体100を含む電池の容量が400mAhの場合に対する試験結果であり、正極電極用集電体500は、両面にアルミニウム導電材102が形成されたPET材質のベースフィルム101、ベースフィルム101の両面で導電材102と接触するように設けられたアルミニウムの金属片120、導電材102と金属片120の間に設けられたKMG材質の絶縁性高分子層130、いずれか一つの金属片120に溶接されたリードタブ190を含むことができる。
【0121】
図9の(b)は、正極電極用集電体500を含む電池の容量が1000mAhの場合に対する試験結果であり、正極電極用集電体300は、断面にアルミニウム導電材102が形成されたPET材質のベースフィルム101、ベースフィルム101の導電材102と接触するように設けられたアルミニウムの金属片120、導電材102と金属片120の間に設けられた導電性絶縁性高分子層130、導電材102のないベースフィルム101の一面に接合されたリードタブ190を含むことができる。
【0122】
試験に使用された正極電極用集電体100、500において、正極電極はリチウムコバルトオキシド(LCO、Umicore)95%、導電材(super-P、timcal)2.5%、バインダー(5130、solef)2.5%から構成された組成を使用し、負極電極は、黒煙(BGF-L、BTR)97.1%、導電材(super-P、Timcal)0.3%、バインダーSBR(BM-400B、Zeon)1.3%、CMC(BSH12、日本製紙)1.3%から構成された組成を使用した。また、分離膜は、PE分離膜(SETELA F07BC、Toray tonen)を使用し、電解液はEC/EMC=1/2、1M LiPF6(Panaxetec)を使用した。パウチはDNP社の88um製品を使用し、リードタブはAl(厚さ0.1mm、幅3mm)、Cu(厚さ0.1mm、幅3mm)からなるSHINHWA AITECH製品を使用した。
【0123】
4.35Vまで充電した後、外部短絡試験をした。ここで、絶縁性高分子層130としては、アクリレート系化合物であるKMG社製品を利用した。
【0124】
図9の(a)の場合は、電流が小さく形成されて電池の温度上昇が低いことが分かる。また、
図9の(b)の場合は、きちんと電流遮断ができて電池の温度上昇がないことが分かる。
図9の(a)及び(b)の実験対象である正極電極用集電体500は、ベースフィルム101の断面のみに導電材102が形成され、導電材102と金属片120の間には絶縁性高分子層130が位置するため、溶接時に溶けた絶縁性高分子層130により電流パスが狭い部位のみに形成され、絶縁性高分子層130のないベースフィルム101の一面に電解液に容易に浸透するか含浸できるため、電池の温度が高くなることを効果的に遮断することができ、外部短絡に対して非常に安全なことが分かった。
【0125】
図10は、絶縁性高分子層のない正極電極用集電体を使用した電池に対する外部短絡の実験結果を示したグラフである。
【0126】
図10の実験対象である正極電極用集電体は、ベースフィルムの両面にはアルミニウム導電材が塗布され、ベースフィルムの上下両面に金属片が位置し、いずれか一つの金属片にリードタブを超音波溶接した形態である。電池の容量は、400mAh(
図10(a)参照)、1000mAh(
図10(b)参照)であり、満充電した後に短絡試験をした。
【0127】
図10(b)の実験結果は、短絡が発生することにより電流が多く流れながら電池の温度が高くなり、電池が発火したことを示す。
図9の実験で使用された正極電極用集電体500と異なり、
図10(b)の実験で使用された正極電極用集電体は、絶縁性高分子層なしで金属片が導電材に直接接触しているため、電流パスが面接触することとなり、短絡時に電流パスを完全に遮断することができず電池が発火してしまったものである。
【0128】
図9及び
図10の外部短絡の実験結果から、導電材102と金属片120、リードタブ190の境界には、絶縁性物質からなる絶縁性高分子層130がある場合には、リードタブ190の電気的連結は、絶縁性高分子層130が溶けながら連結された溶接ポイント(部位)のみでなされるため、短絡時に電流パスの遮断に有利であり電池の安全性を高めることが分かった。
【0129】
また、ベースフィルム101の上下両面のうち少なくとも一面は電解液が浸透(または含浸)し易いように絶縁性高分子層130が接着されない部分が存在する構造であることが好ましい。すなわち、多孔質(porous)構造を有し電解液含浸に有利な構造を有するか、絶縁性高分子層130がベースフィルム101の一面のみで金属片120または導電材102のいずれか一つに設けられて絶縁性高分子層のない方を通じて電解液が浸透可能な構造を有することが有利である。また、電解液がゲル(Gel)化される特性があれば浸透に有利であることができる。
【0130】
上記で説明した本発明による正極電極用集電体100、400、500、600は、導電材102が塗布されたベースフィルム101の上下両面に通電されながら金属片120とリードタブ190を付着させるためには、ベースフィルム101の上下両面に金属片120またはリードタブ190が必要である。例えば、ベースフィルムの上下両面に金属片があるか、ベースフィルムの一面には金属片が他面にはリードタブが必要である。もし、ベースフィルムの一面のみに金属片またはリードタブがある場合は、リードタブ溶接部位の接着強度または引張強度が低く、使用し難い。
【0131】
また、外部短絡が発生した時に電流パスの遮断性能を確保し、電池の安全性を高めるためには、絶縁させながら溶けられる高分子からなる絶縁性高分子層130が金属片120またはリードタブ190と導電材102の間に必要である。この時、絶縁性高分子層130により電気的連結はリードタブ190の溶接ポイント(溶接部位)のみでなされる。
【0132】
以上のように、本発明の一実施例では具体的な構成要素などのような特定事項と限定された実施例及び図面によって説明されたが、これは本発明のより全般的な理解のために提供されたものであるだけで、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、本発明が属する分野で通常の知識を有する者であれば、このような記載から多様な修正及び変形が可能である。よって、本発明の思想は説明された実施例に限って定められてはならず、後述する請求の範囲だけでなく、該請求の範囲と均等または等価的変形のある全てのものは、本発明の思想の範疇に属するといえる。