(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】登録装置
(51)【国際特許分類】
G07G 1/12 20060101AFI20240705BHJP
G07G 1/01 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
G07G1/12 321K
G07G1/01 301D
(21)【出願番号】P 2023093834
(22)【出願日】2023-06-07
(62)【分割の表示】P 2022000648の分割
【原出願日】2012-08-20
【審査請求日】2023-07-03
(31)【優先権主張番号】P 2012013236
(32)【優先日】2012-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2012102594
(32)【優先日】2012-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100145481
【氏名又は名称】平野 昌邦
(72)【発明者】
【氏名】森 邦雄
(72)【発明者】
【氏名】成田 直文
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 文克
(72)【発明者】
【氏名】西村 昌弘
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-233963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00 - 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
客が購入する商品を店員の操作により登録し、当該登録した商品の取引に関する登録データを前記客が自らの操作により精算を行えるように複数の精算装置のうちいずれかに送信する登録装置であって、
表示手段と、
前記複数の精算装置の状態情報を受信する受信手段と、
前記複数の精算装置の中から、前記客の精算処理を行う空き状態の精算装置を前記登録装置自体が指定する指定手段と、
前記登録データを前記指定手段により指定された精算装置に送信する送信手段と、を備え、
前記指定手段により指定される精算装置は、
前記複数の精算装置がいずれも使用中であった場合に、使用中の前記精算装置のうち会員カードを使用しているものがあるときは、当該会員カードを使用している精算装置である、
ことを特徴とする登録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、登録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
顧客が商品を購入する場合に精算時の操作を自ら行うPOSシステムには、顧客が購入しようとする商品についての取引に関するデータを登録する登録装置と、その登録されたデータに基づいて顧客自らが操作して精算処理を行う精算装置とから構成されたものがある。特許文献1には、このような登録装置と精算装置とを備えるPOSシステムが記載されている。
【0003】
特許文献1に記載されているPOSシステムでは、まず、登録装置で精算用レシートが発行され、それが顧客に手渡される。この精算用レシートには、購入対象商品に関して精算に必要な情報(例えば購入合計金額を表す情報)が、例えば、2次元コードまたは1次元コード等で印字されている。次に、顧客は、その精算用レシートを使って自分で精算装置を操作し、精算処理を行う。例えば、顧客は、2次元コードまたは1次元コード等を精算装置のリーダに読み取らせた上で、現金投入、クレジットカード挿入等の支払い操作を行う。精算装置は、読み取った2次元コードまたは1次元コード等と顧客の支払い操作に応じて精算処理を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているPOSシステムでは、2次元コードまたは1次元コード等を精算装置のリーダに読み取らせる等、登録装置で登録されたデータを用いて精算装置において精算処理を行えるようにするために、顧客が、所定の操作をする必要があり、顧客はどの精算装置で操作を行うか手間取ってしまうことがあるという課題があった。また、顧客が向かった精算装置が使用中である場合もあった。そのため精算に時間がかかってしまうという課題があった。
【0006】
そこで本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、顧客の精算時間を短縮できるPOSシステム、登録装置、プログラム、及び登録データの送信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、店員の操作に基づいて顧客の購入対象の商品を登録する登録装置と、前記商品の登録データに基づいて顧客が自ら操作して決済処理を行う複数の精算装置とを有するPOSシステムにおいて、前記登録装置は、前記複数の精算装置のうち使用中である精算装置の選択を禁止し、前記登録データの送信先として選択された一つの空き状態の精算装置で前記顧客の決済処理が行えるように前記登録された商品の登録データを送信する送信手段、を備えることを特徴とするPOSシステムである。
【0008】
上記態様によれば、顧客が決済処理が行えるように登録装置において選択された精算装置へ登録データが送信されるので、顧客が精算装置を操作しようとしたときには、その精算装置に既に必要な登録データが届いていることになる。また、登録装置が登録データの送信先となる精算装置を選択する際、使用中の精算装置を選択しないようにすることができる。よって、精算処理における顧客の操作を軽減でき、それにより精算時間も短縮できる。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記POSシステムにおいて、前記登録装置は、前記送信先として選択された精算装置を案内する表示手段、を備えることを特徴とする。
【0010】
上記態様によれば、登録装置は、どの精算装置へ登録データを送信したかを店員又は顧客に分かるように表示することができる。
【0011】
また、本発明の一態様は、上記POSシステムにおいて、前記登録装置は、前記精算装置に接続された釣銭釣札機内に収納されている何れかの貨幣種によってニアフルまたはニアエンドの状態が生じていることを表示部に表示する、ことを特徴とする。
【0012】
上記態様によれば、店員が登録装置において登録データの送信先となる精算装置を選択する場合、釣銭釣札機内に収納している貨幣種においてニアフルやニアエンドの状態である精算装置を選択することを避けて、他の精算装置を選択できるので、現金による決済中において釣銭切れを生じてしまったり、あるいは、決済時に入金された金種によって釣銭釣札機が入金フル状態となり動作が出来なくなってしまうといったトラブルを事前に回避することができる。
【0013】
また、本発明の一態様は、上記POSシステムにおいて、前記登録装置は、前記精算装置が受信した登録データを保留扱いにして当該登録装置に呼び戻す呼戻し手段、を備えることを特徴とする。
【0014】
上記態様によれば、清算装置で会計待ちの顧客の登録データを会計の順番に関係なく、登録装置に呼び戻し、顧客が買い忘れた商品の追加登録などを早くおこなうことができる。
【0015】
また、本発明の一態様は、上記POSシステムにおいて、前記登録装置は、前記精算装置が使用中でない場合、前記精算装置が空き状態である旨を表示する表示手段、を備えることを特徴とする。
【0016】
上記態様によれば、登録装置は、店員又は顧客が空き状態の精算装置が分かるように表示できる。
【0017】
また、本発明の一態様は、上記POSシステムにおいて、前記登録装置は、前記登録データに基づく決済処理を保留、または未精算の登録データを保留にする保留手段、を備え、前記精算装置は、当該精算装置における決済処理または未精算の登録データが保留にされると、登録データを送信した登録装置に戻す送信手段、を備えることを特徴とする。
【0018】
上記態様によれば、既に登録されている登録データの精算処理を保留して、買い忘れた商品を登録装置においてスムーズに追加登録して一緒に精算を行うことができる。
【0019】
また、本発明の一態様は、上記POSシステムにおいて、前記精算装置は、前記送信手段により送信された前記登録データを受信する受信手段と、前記登録データに基づく決済処理で用いられる少なくとも支払い金額情報を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0020】
上記態様によれば、精算装置は、決済処理で用いられる支払い金額情報を表示できる。
【0021】
また、本発明の一態様は、店員の操作に基づいて顧客の購入対象の商品を登録する登録装置と、前記商品の登録データに基づいて顧客が自ら操作して決済処理を行う複数の精算装置とを有するPOSシステムにおける前記登録装置であって、前記複数の精算装置のうち使用中である精算装置の選択を禁止し、前記登録データの送信先として選択された一つの空き状態の精算装置で前記顧客の決済処理が行えるように前記登録された商品の登録データを送信する送信手段、を備えることを特徴とする登録装置である。
上記態様によれば、顧客が決済処理が行えるように登録装置において選択された精算装置へ登録データが送信されるので、顧客が精算装置を操作しようとしたときには、その精算装置に既に必要な登録データが届いていることになる。また、登録装置が登録データの送信先となる精算装置を選択する際、使用中の精算装置を選択しないようにすることができる。よって、精算処理における顧客の操作を軽減でき、それにより精算時間も短縮できる。
また、本発明の一態様は、店員の操作に基づいて顧客の購入対象の商品を登録する登録装置として第1コンピュータを機能させ、前記商品の登録データに基づいて顧客が自ら操作して決済処理を行う複数の精算装置として第2コンピュータを機能させる、POSシステムのプログラムであって、前記第1コンピュータを、前記複数の精算装置のうち使用中である精算装置の選択を禁止し、前記登録データの送信先として選択された一つの空き状態の精算装置で前記顧客の決済処理が行えるように前記登録された商品の登録データを送信する送信手段、として機能させるためのプログラムである。
【0022】
上記態様によれば、顧客が決済処理が行えるように登録装置において選択された精算装置へ登録データが送信されるので、顧客が精算装置を操作しようとしたときには、その精算装置に既に必要な登録データが届いていることになる。また、登録装置が登録データの送信先となる精算装置を選択する際、使用中の精算装置を選択しないようにすることができる。よって、精算処理における顧客の操作を軽減でき、それにより精算時間も短縮できる。
【0023】
また、本発明の一態様は、店員の操作に基づいて顧客の購入対象の商品を登録する登録装置と、前記商品の登録データに基づいて顧客が自ら操作して決済処理を行う複数の精算装置とを有するPOSシステムにおける前記登録装置としてのコンピュータを、前記複数の精算装置のうち使用中である精算装置の選択を禁止し、前記登録データの送信先として選択された一つの空き状態の精算装置で前記顧客の決済処理が行えるように前記登録された商品の登録データを送信する送信手段、として機能させるためのプログラムである。 上記態様によれば、顧客が決済処理が行えるように登録装置において選択された精算装置へ登録データが送信されるので、顧客が精算装置を操作しようとしたときには、その精算装置に既に必要な登録データが届いていることになる。また、登録装置が登録データの送信先となる精算装置を選択する際、使用中の精算装置を選択しないようにすることができる。よって、精算処理における顧客の操作を軽減でき、それにより精算時間も短縮できる。
また、本発明の一態様は、店員の操作に基づいて顧客の購入対象の商品を登録する登録装置と、前記商品の登録データに基づいて顧客が自ら操作して決済処理を行う複数の精算装置とを有するPOSシステムにおける登録データの送信方法であって、前記登録装置において、前記複数の精算装置のうち使用中である精算装置の選択を禁止し、前記登録データの送信先として選択された一つの空き状態の精算装置で前記顧客の決済処理が行えるように前記登録された商品の登録データを送信する送信ステップ、を有することを特徴とする登録データの送信方法である。
【0024】
上記態様によれば、顧客が決済処理が行えるように登録装置において選択された精算装置へ登録データが送信されるので、顧客が精算装置を操作しようとしたときには、その精算装置に既に必要な登録データが届いていることになる。また、登録装置が登録データの送信先となる精算装置を選択する際、使用中の精算装置を選択しないようにすることができる。よって、精算処理における顧客の操作を軽減でき、それにより精算時間も短縮できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、顧客の精算時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態としてのPOSシステムの構成図である。
【
図2】
図1の登録用POSレジスタ20の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図1の精算用POSレジスタ30の構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図1の登録用POSレジスタ20及び精算用POSレジスタ30外観構成例を示す斜視図である。
【
図5】
図1のPOSシステム1における処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図6】
図5のステップS22における送信先精算用POSレジスタの選択処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図5のステップS25における送信先精算用POSレジスタの表示例を示す図である。
【
図8】精算用POSレジスタを示す案内が印刷されたレシートの一例を示す図である。
【
図9】
図5のステップS26において待機状態に移行した精算用POSレジスタの表示例を示す図である。
【
図10】
図1のPOSシステム1における処理の流れの他の例を示すシーケンス図である。
【
図11】
図1のPOSシステム1における処理において、精算処理を保留にする処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図12】精算用POSレジスタに表示される、精算処理を保留するボタンの表示例を示す図である。
【
図13】
図11のステップS29cにおいて発行される保留レシートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明によるPOSシステムの一実施形態の構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態において、POSシステム1は、ストアコントローラ10と、登録用POSレジスタ20と、3台の精算用POSレジスタ30とを含んで構成されている。ストアコントローラ10と、登録用POSレジスタ20と、3台の精算用POSレジスタ30とは、有線又は無線接続のLAN(Local Area Network)11で相互に接続されている。
【0028】
なお、
図1に示したPOSシステム1の構成は一例であって、例えば、登録用POSレジスタ20を複数設けたり、精算用POSレジスタ30の数をさらに増やしたり、あるいは精算用POSレジスタ30の数を減らして、2台としたりすることができる。また、ストアコントローラ10と、登録用POSレジスタ20や精算用POSレジスタ30とは、必ずしもLAN11で接続しておく必要はない。その場合に、データのやりとりは、電気配線を活用して高速通信を実現する電力線通信などを用いて行うことができる。また、ストアコントローラ10の機能を、登録用POSレジスタ20が有するようにして、ストアコントローラ10を省略することも可能である。
【0029】
ストアコントローラ10は、POSシステム1を制御するコンピュータであり、商品マスタなどの種々の情報を管理する。ストアコントローラ10は、登録用POSレジスタ20及び各精算用POSレジスタ30に、最新の商品マスタを適宜送信する。ここで、商品マスタとは、各商品の商品識別情報、商品名称、及び販売価格などの商品情報を格納したファイルであって、適宜更新される。
【0030】
登録用POSレジスタ20は、顧客が購入しようとする商品のデータを登録する処理を行う。データの登録は、例えば、商品に付されているバーコードを読み取ることで行う。そのため、登録用POSレジスタ20には、例えば、顧客が購入する商品に付されたバーコード(商品コード)を店員の操作により読み取るスキャナが設けられている。本願においては、登録用POSレジスタ20によって登録され、精算処理において用いられる商品に関するデータを、登録データと呼ぶこととする。登録データは、購入しようとする商品すべての金額すなわち合計金額や、個々の商品の単価や個数の情報を含んでいる。なお、登録データは、購入しようとする商品すべての金額すなわち合計金額や、個々の商品の単価や個数の情報を呼出す識別情報(コード情報等)であってもよい。この場合、精算用POSレジスタ30が上述の識別情報(コード情報等)に基づいて、ストアコントローラ10、または、ストアコントローラ10の機能を有する登録用POSレジスタ20にリクエストを行ない登録データを受信するようにしてもよい。
また、登録用POSレジスタ20は、各精算用POSレジスタ30からステータス情報を受信して管理する。
【0031】
さらに、登録用POSレジスタ20は、ステータス情報に応じて、登録データの送信先となる精算用POSレジスタ30を選択する。その際、登録用POSレジスタ20は、ステータス情報に基づいて、できるだけ待ち時間を少なくできるように、現在商品登録作業中の顧客がどの精算用POSレジスタ30で精算を行えばよいのかを判定する。すなわち、登録用POSレジスタ20は、複数の精算用POSレジスタ30から最適な1つを選択する。登録用POSレジスタ20は、例えば、空いている精算用POSレジスタ30を選択する。あるいは、全ての精算用POSレジスタ30が顧客で埋まっている場合には、登録用POSレジスタ20は、一番早く空きそうな精算装置を選択する。そして、登録用POSレジスタ20は、選択した精算用POSレジスタ30に対して、登録データを送信する。その登録データが示す商品を購入しようとする顧客は、当該登録データが送信された精算用POSレジスタ30を操作して、自分で精算処理を行うことができる。精算処理とは、購入しようとする商品の代金を、現金、電子マネー、クレジットカードなどを選択的に用いて支払い、決済する処理である。
【0032】
上記のステータス情報とは、精算用POSレジスタ30における精算処理の進捗状況を表す情報である。進捗状況は、待機状態、決済中、レシート発行中、空き状態、会計保留、トラブル発生中などの状況に分けられている。この進捗状況に基づき、登録用POSレジスタ20は、どの精算用POSレジスタ30を選択するのかという判定処理を行う。例えば、登録用POSレジスタ20は、空き状態の精算用POSレジスタ30を優先して選択する。また、空き状態の精算用POSレジスタ30が無ければ、レシート発行中のものを選択する。上記の待機状態、決済中、レシート発行中という3つの進捗状況は、精算処理中の段階を示すものであり、待機状態から決済中、決済中からレシート発行中へと進捗状況は移行する。よって、決済中よりもレシート発行中の方が進捗は進んでいることになり、空き状態のものが無ければ、レシート発行中のものを選択することで、一番早く空きそうな精算用POSレジスタ30を選択することができる。
【0033】
また、登録用POSレジスタ20は、上記のようにして選択した精算用POSレジスタ30へ、現在商品登録作業中の登録データを送信する際には、次のような表示処理を行う。例えば、登録用POSレジスタ20は、各精算用POSレジスタ30から受信したステータス情報を、登録用POSレジスタ20が有するタッチパネルなどの表示画面上に表示する。この表示は、登録データを送信する際に限らず、登録処理中や空き時間において、常時あるいは随時、更新しながら行うようにしてもよい。さらに、登録用POSレジスタ20は、登録データを送信した際には、どの精算用POSレジスタ30へ登録データを送信したかを店員又は顧客に分かるよう表示する。例えば、店員に対し表示した場合には、店員が顧客へ口頭で伝えることなどができる。この場合の表示方法は任意である。例えば、登録用POSレジスタ20において店員に向けて設置されているタッチパネルなどに、各精算用POSレジスタ30のステータス情報を表示するとともに、送信した精算用POSレジスタ30に対応するステータス情報を強調表示することで行うようにすることができる。また、登録用POSレジスタ20が有する顧客側に向けられた表示部に、送信先の精算用POSレジスタ30を示す案内を表示するようにしてもよい。また、該当する精算用POSレジスタ30を案内するレシート(例えば、精算用POSレジスタ30の番号が印字された番号札レシート等)を発行し顧客に手渡すようにしてもよい。
【0034】
なお、精算用POSレジスタ30の選択は、店員が手動で行ってもよい。例えば、ステータス情報を見て店員が判断し、タッチパネル上で選んだ精算用POSレジスタ30ボタンを押下することで精算用POSレジスタ30を選択するようにしてもよい。また、店員の判断を助けるために、ステータス情報の表示において、空いている(あるいは空きそうな)精算用POSレジスタ30を強調して表示してもよい。
【0035】
また、登録用POSレジスタ20は、顧客が購入する商品の全ての買上内容を印刷するようにしてもよい。この場合、顧客は、精算用POSレジスタ30を操作して精算処理を行う前に、登録用POSレジスタ20を用いた登録内容を、印刷結果を見ることで確認することができる。
【0036】
一方、精算用POSレジスタ30は、顧客が自ら操作して精算処理を行うための装置であって、自動釣銭機やカードリーダ(例えばクレジットカードやポイントカード用)、RF(Radio Frequency)リーダ(例えば電子マネー用)などの決済用の機器を備えている。精算用POSレジスタ30は、また、ステータス情報を登録用POSレジスタ20へ随時送信する。
【0037】
また、精算用POSレジスタ30は、登録用POSレジスタ20から上記の登録データを受信すると、顧客が当該精算用POSレジスタ30のところへ来ればよいことが分かるように、報知(つまり顧客への案内)する。報知の例としては、例えば、精算用POSレジスタ30が有する表示部の画面全体に所定の番号等の文字情報等を表示することである。この番号等の文字情報は、登録用POSレジスタ20が(あるいは登録用POSレジスタ20を操作している店員が)顧客に別途報知しておいた情報である。顧客は例えば知らされた自分の番号を表示している精算用POSレジスタ30のところへ行けばよいことになる。また、他の報知例としては、精算用POSレジスタ30が有する所定のランプを点灯することで案内することなどがある。例えば、特定の色で点灯し、顧客は指定された色の精算用POSレジスタ30のところへ行くようにする。また、点滅などであってもよい。また、別の報知例としては、会員カードNoを精算用POSレジスタ30の画面に表示することがある。この会員カードNoは、例えば登録用POSレジスタ20で読み取っておく。顧客は自分の会員カードNoを報知している精算用POSレジスタ30へ行くことになる。
【0038】
また、精算用POSレジスタ30は、報知の後、待機状態になる。すなわち、精算用POSレジスタ30は、報知を行った後、受信した登録データに対応する精算処理の開始の指示などを待機する状態となる。待機状態の解除の例としては、例えば、顧客が精算用POSレジスタ30の表示画面をタッチ(あるいは何らかのボタン押下)すると、自動で精算の処理を開始することがある。タッチするまでは画面に何も表示しないか、上記の報知例のように例えば番号のみ表示しておく。あるいは、精算用POSレジスタ30は、人感知センサを用いて顧客が近づいたか否かを検知して、精算処理を開始してもよい。この場合にも、検知するまでは、画面を無表示としたり、番号表示としたりすることができる。精算用POSレジスタ30は、人感知センサで人の接近を検知したら精算処理を開始する。あるいは、人感知センサの代わりにカメラを使用することもできる。例えば、精算用POSレジスタ30と登録用POSレジスタ20にカメラを設置し、顔認識で同一人物が近づいた場合のみ精算処理を開始するようにしてもよい。
【0039】
また、待機状態にある精算用POSレジスタ30に対する精算処理の流れは例えば次のように行うことができる。(1)まず、決済方法を選択する。現金、クレジットカード、電子マネー等のいずれかまたは併用する旨を顧客の操作に応じて選択する。(2)次に、決済を実行する。精算用POSレジスタ30が有する紙幣や硬貨の投入排出口への現金投入や釣り銭の支払い、カード読み取り機でのカード読み取り等によって決済を実行する。(3)次に、精算用POSレジスタ30が有する印刷部を用いて、レシートを発行する。レシートには、例えば、購入した商品の一覧、購入合計金額、受領金額、釣り金額等が印字される。(4)そして、精算用POSレジスタ30は、精算処理を終了し、空き状態となる。
【0040】
なお、精算用POSレジスタ30における決済方法は、登録用POSレジスタ20で申告してもよい。この場合は登録用POSレジスタ20から決済方法の情報を精算用POSレジスタ30へ送り、精算用POSレジスタ30は上記(2)の操作から処理を開始する。
【0041】
次に、
図2~
図4を参照して、
図1の登録用POSレジスタ20及び精算用POSレジスタ30の構成例について説明する。
図2は、登録用POSレジスタ20の構成を示すブロック図である。
図3は、精算用POSレジスタ30の構成を示すブロック図である。そして、
図4は、登録用POSレジスタ20及び精算用POSレジスタ30の外観構成を示す斜視図である。
【0042】
図2に示すように、登録用POSレジスタ20は、CPU(Central Processing Unit)201と、ROM(Read Only Memory)202と、RAM(Random Access Memory)203と、スキャナ部204と、表示部(店員用)205と、表示部(客用)205aと、操作部206と、通信部207と、ブザー208と、印刷部209とを備える。これらは、バスを介して相互に通信可能である。
【0043】
ROM202は、読み出し専用メモリであり、プログラムを予め記憶する。
CPU201は、中央演算処理装置であり、ROM202に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、登録用POSレジスタ20の動作を制御する。
【0044】
スキャナ部204は、商品に付されているバーコード(商品コード)を光学的に読み取る。
RAM203は、随時読み出し書き込みメモリであり、種々の情報を記憶する。例えば、RAM203は、スキャナ部204によって読み取られたバーコードに基づく商品情報、精算用POSレジスタ30から受信したステータス情報などを記憶する。また、例えば、RAM203は、操作ボタンが操作された履歴を記憶してもよい。
【0045】
表示部(店員用)205及び表示部(客用)205aは、種々の情報を表示する。例えば、表示部(店員用)205及び表示部(客用)205aは、商品マスタから取得した情報(例えば、商品の名称、価格等)を表示する。また、表示部(店員用)205は、タッチパネル(例えば、液晶タッチパネル)であり、店員に対する種々の情報を表示する。さらに、表示部(店員用)205は、画面内の領域に表示された操作ボタン(プリセットボタン)が操作されることにより、予め設定登録された商品情報(商品コード等)について、操作入力を受け付ける。
【0046】
操作部206は、登録用POSレジスタ20を動作させるための各種の操作ボタン(小計キー、現計キー、置数キー、訂正キー、及びプリセットキー等)を備える。例えば、操作部206は、操作ボタン(プリセットキー)が操作されることにより、そのプリセットキーに予め設定登録されている商品情報(商品コード等)について、操作入力を受け付ける。
【0047】
通信部207は、LAN11を介して、他の装置と通信する。
ブザー208は、店員が操作を確認することが必要な場合などに、ブザー音を発生させる。
【0048】
印刷部209は、登録データなどを示す情報を必要に応じて印刷する。ただし、本実施形態において登録データの印刷は省略することができる。なお、印刷部209は、前述したように、ステータス情報に応じて選択した登録データ(会計データ)の送信先となる精算用POSレジスタ30を案内する情報をレシート(印刷媒体)に印刷してもよい。
【0049】
スキャナ部204、表示部(店員用)205、操作部206、印刷部209の外観構成などを
図4に示した。
【0050】
一方、
図3に示すように、精算用POSレジスタ30は、CPU301と、ROM302と、RAM303と、スキャナ部304と、表示部305と、操作部306と、通信部307と、ブザー308と、印刷部309と、決済部310と、サインポール311と、人感知センサ312とを備える。これらは、バスを介して相互に通信可能である。
【0051】
ROM302は、プログラムを記憶している読み出し専用メモリである。
CPU301は、中央演算処理装置であり、ROM302に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、精算用POSレジスタ30の動作を制御する。
【0052】
RAM303は、種々の情報を記憶する、随時読み出し書き込みメモリである。例えば、RAM303は、ストアコントローラ10から取得した商品マスタ、及びスキャナ部304によって読み取られた2次元コード又はバーコードによって示される商品の買上内容などを記憶する。スキャナ部304によって2次元コード又はバーコードを読取る場合の例として、例えば、登録用POSレジスタ20において、精算用POSレジスタ30のステータス情報が何らかの事情により取得することができない(例えば、トラブル発生中の状況にある)ために登録用POSレジスタ20が会計に用いる2次元コード又はバーコードを会計用伝票に印字した場合等が考えられる。
【0053】
スキャナ部304は、例えば会員カード等に付されているバーコード(会員コード)を光学的に読み取る。
【0054】
表示部305は、CPU301からの制御に応じて、種々の情報を画面に表示する。また、表示部305は、画面に表示した操作ボタンが操作された履歴(例えば、操作回数、操作順など)を、操作ボタン毎にRAM303に記憶させる。
【0055】
操作部306は、精算用POSレジスタ30を動作させるための各種の操作ボタン(訂正キー及びプリセットキー等)を備える。例えば、操作部306は、操作ボタン(訂正キー)が操作されることにより、操作入力の訂正を受け付ける。
【0056】
通信部307は、LAN11を介して、他の装置と通信する。例えば、ストアコントローラ10と接続して、ストアコントローラ10から最新の商品マスタを取得する。
【0057】
ブザー308は、エラー等が発生した場合、エラーを報知するブザー音を発生させる。 印刷部309は、精算処理(すなわち商品の買上金額の決済)が終了した場合、顧客が持ち帰る精算済みレシートを印刷して発行する。
【0058】
決済部310は、釣銭釣札機、クレジットカードリーダ、電子マネーリーダ等と、それらの制御部とを備えて構成されていて、決済部310を用いて、現金、クレジット、電子マネーにより決済処理が行われる。決済部310は、釣銭釣札機によって、現金により決済を実行し、決済を実行した結果(例えば、決済が成立したか否かを示す情報)を、バスを介してCPU301に出力する。釣銭釣札機は、紙幣の投入及び排出をする紙幣投入口、硬貨を投入するための硬貨投入口、釣銭を排出する釣銭排出口とを備えている。また、決済部310は、クレジットにより決済を実行し、決済を実行した結果を、ポート及びバスを介してCPU301に出力する。また、決済部310は、電子マネーにより決済を実行し、決済を実行した結果を、バスを介してCPU301に出力する。
【0059】
サインポール311は、複数色の表示灯を有し、それらの表示灯を点灯や点滅させることで、精算用POSレジスタ30が選択された装置であることを示す情報を報知したり、操作可能である旨を報知したりする。
人感知センサ312は、精算用POSレジスタ30の正面の所定圏内に人物(顧客)がいることを検知するセンサである。
【0060】
スキャナ部304、表示部305、操作部306、印刷部309、決済部310、及びサインポール311などの外観構成を
図4に示した。
【0061】
次に、
図5を参照して、
図1~
図4を参照して説明したPOSシステム1の動作例について説明する。
図5に示した動作例では、ストアコントローラ10と、登録用POSレジスタ20及び各精算用POSレジスタ30との間で、所定のデータの送受信が完了済みであるとしている。よって、登録用POSレジスタ20及び各精算用POSレジスタ30における処理及びそれらの間のデータのやりとりのみを示している。また
図5では、
図1に示した3台の精算用POSレジスタ30を、精算用POSレジスタ30a~30cとして示している。また、
図5の動作例では、開始時に、3台の精算用POSレジスタ30a~30cがすべて空き状態であるとしている。
【0062】
いま、ステップS11、S14及びS17で、3台の精算用POSレジスタ30a~30cがそれぞれ空き状態である旨を示すステータス情報を登録用POSレジスタ20に対して送信したとすると、登録用POSレジスタ20はステータス情報をそれぞれ受信する(ステップS12、S15及びS18)。そして、登録用POSレジスタ20は、RAM203の所定の記憶領域に各精算用POSレジスタ30a~30cのステータス情報をそれぞれ記憶する(ステップS13、S16及びS19)。
【0063】
次に、ステップS20では、登録用POSレジスタ20に顧客が訪れ、操作部206に対して店員が所定の操作を行うことで商品登録処理が開始されたとする。以後、スキャナ部204、表示部205や操作部206を用いて、顧客が購入しようとする商品データの登録処理が行われる。そして、ステップS21では、商品の登録処理が終了し、操作部206に対して店員が所定の操作を行うことで、商品登録処理が終了されたとする。なお、ステップS21では、いずれかの精算用POSレジスタ30に送信すべき登録データ(会計データ)が生成される。
【0064】
ここで、登録用POSレジスタ20は、登録データの送信先となる精算用POSレジスタ30の選択処理を行う(ステップS22)。ステップS22では、登録用POSレジスタ20が、RAM203の所定の記憶領域に記憶されている各精算用POSレジスタ30a~30cの各ステータス情報を参照し、各ステータス情報に基づいて精算処理の進捗が最も進んだ(すなわち空き状態となっているか、あるいは最も早く空き状態となる可能性の高い)精算用POSレジスタを選択する。この例では、ステップS22で、精算用POSレジスタ30aが選択されたものとする。
【0065】
次に、登録用POSレジスタ20は、ステップS22で設定された登録データの送信先となる精算用POSレジスタ30aに対して、登録データを送信する(ステップS23)。これに対して、精算用POSレジスタ30aは、登録データを受信する(ステップS24)。ステップS23で登録データを送信した登録用POSレジスタ20は、登録データを送信した精算用POSレジスタが精算用POSレジスタ30aである旨を示す表示を行う(ステップS25)。一方、ステップS24で登録データを受信した精算用POSレジスタ30aは、登録データを受信した旨を報知するとともに、精算処理の待機状態に移行する(ステップS26)。
【0066】
次に、精算用POSレジスタ30aは、待機状態であることを示すステータス情報を送信する(ステップS27)。登録用POSレジスタ20は、精算用POSレジスタ30aからステータス情報を受信し(ステップS28)。RAM203の所定の記憶領域に記憶されている精算用POSレジスタ30aのステータス情報を空き状態から待機状態に更新する(ステップS29)。
【0067】
ここで、精算用POSレジスタ30aに顧客が到着し、操作部306等に対する所定の操作が行われたり、人感知センサ312によって人の接近が感知されたりすることで、決済処理が開始される(ステップS30)。ステップS30で開始された決済処理では、表示部305に操作方法などが示され、顧客の操作に応じて、決済方法の選択や、選択された決済方法による決済が行われる。精算用POSレジスタ30aは、ステップS30で決済処理を開始すると、決済中であることを示すステータス情報を送信する(ステップS31)。登録用POSレジスタ20は、精算用POSレジスタ30aからステータス情報を受信し(ステップS32)。RAM203の所定の記憶領域に記憶されている精算用POSレジスタ30aのステータス情報を待機状態から決済中に更新する(ステップS33)。
【0068】
次に、精算用POSレジスタ30aで所定の決済方法による決済処理が終了すると(ステップS34)、精算用POSレジスタ30aはレシートの発行処理を開始する(ステップS35)。精算用POSレジスタ30aは、ステップS35でレシートの発行処理を開始すると、レシート発行中であることを示すステータス情報を送信する(ステップS36)。登録用POSレジスタ20は、精算用POSレジスタ30aからステータス情報を受信し(ステップS37)。RAM203の所定の記憶領域に記憶されている精算用POSレジスタ30aのステータス情報を決済中からレシート発行中に更新する(ステップS38)。
【0069】
次に、精算用POSレジスタ30aは、レシートの発行を終了すると(ステップS39)、空き状態に移行し、空き状態であることを示すステータス情報を送信する(ステップS40)。登録用POSレジスタ20は、精算用POSレジスタ30aからステータス情報を受信し(ステップS41)。RAM203の所定の記憶領域に記憶されている精算用POSレジスタ30aのステータス情報をレシート発行中から空き状態に更新する(ステップS42)。
【0070】
以上のようにして、本実施形態のPOSシステム1では、精算用POSレジスタ30のいずれかを登録用POSレジスタ20で自動的に選択して、精算用POSレジスタ30を用いた顧客の操作に応じた精算処理が行われる。
【0071】
次に、
図6を参照して、
図5のステップS22における送信先精算用POSレジスタの選択処理の一例について説明する。なお、ここでは、ステータス情報が表す進捗状況が、待機状態、決済中、レシート発行中、空き状態、及びトラブル発生中の5つの状況であるとする。
図6に示すように、登録用POSレジスタ20は、まず、RAM203の所定の記憶領域に記憶されている精算用POSレジスタ30a~30cのステータス情報を参照することで、空き状態の精算用POSレジスタ30が在るか否かを判定する(ステップS101)。空き状態の精算用POSレジスタ30が在る場合には(ステップS101でYesの場合には)、空き状態の精算用POSレジスタ30の1台を選択する(ステップS102)。そして、ステップS103で、選択した精算用POSレジスタ30を送信先に設定して、選択処理を終了する。
【0072】
一方、空き状態の精算用POSレジスタ30が無い場合には(ステップS101でNoの場合には)、レシート印刷中の精算用POSレジスタ30が在るか否かを判定する(ステップS104)。レシート印刷中の精算用POSレジスタ30が在る場合には(ステップS104でYesの場合には)、レシート印刷中の精算用POSレジスタ30の1台を選択する(ステップS105)。そして、ステップS103で、選択した精算用POSレジスタ30を送信先に設定して、選択処理を終了する。
【0073】
一方、ステップS104の判定の結果、レシート印刷中の精算用POSレジスタ30が無かった場合には(ステップS104でNoの場合には)、決済中の精算用POSレジスタ30が在るか否かを判定する(ステップS106)。決済中の精算用POSレジスタ30が在る場合には(ステップS106でYesの場合には)、決済中の精算用POSレジスタ30の1台を選択する(ステップS107)。そして、ステップS103で、選択した精算用POSレジスタ30を送信先に設定して、選択処理を終了する。
【0074】
一方、ステップS106の判定の結果、決済中の精算用POSレジスタ30が無かった場合には(ステップS106でNoの場合には)、待機状態の精算用POSレジスタ30が在るか否かを判定する(ステップS108)。待機状態の精算用POSレジスタ30が在る場合には(ステップS108でYesの場合には)、待機状態の精算用POSレジスタ30の1台を選択する(ステップS109)。そして、ステップS103で、選択した精算用POSレジスタ30を送信先に設定して、選択処理を終了する。
【0075】
一方、ステップS108の判定の結果、待機状態の精算用POSレジスタ30が無かった場合には(ステップS108でNoの場合には)、この例では、すべての精算用POSレジスタ30がトラブル発生中の状況にあることとなるので、送信先の精算用POSレジスタを決定できなかった旨を選択結果を表す情報として設定する(ステップS110)。
【0076】
なお、ステップS102、S105、S107またはS109において、2台以上の精算用POSレジスタ30が選択対象となった場合、任意の手法でそのうちの1台を選択する。例えば、登録用POSレジスタ20と、精算用POSレジスタ30との距離に大小がある場合には、距離が小さい精算用POSレジスタ30を選択することができる。また、精算処理中の複数の顧客のうち、いずれかが会員カードなどを持った顧客であり、いずれかが会員カードを持っていない顧客であるような場合には、例えば、会員カードなどを持った顧客が利用中の装置を選択することができる。会員カードを持っている場合には、比較的操作になれている確率が高いと考えられるからである。また、登録用POSレジスタ20で年齢に関する情報を登録できるような場合には、年齢に応じて、子どものみで利用しているときなどには、それ以外の装置を(すなわちその装置を避けて)選択することなどが考えられる。
【0077】
次に、
図7を参照して、
図5のステップS25における送信先精算用POSレジスタの表示処理での表示例について説明する。
図7は、登録用POSレジスタ20の表示部(店員用)205の表示例を示している。
図7の表示例では、商品選択用の(この例では野菜の)アイコンや、金額、個数などを示す情報とともに、精算用POSレジスタ30a~30cのステータス情報を表すボタン2051~2053が表示されている。ただし、精算用POSレジスタ30a~30cは、それぞれ装置1~3として表示している。さらに、ステップS22の処理で選択されたステータス情報が空き状態の精算用POSレジスタ30aについては、網掛けして示したように、他のボタンと異なる形態で(例えば点滅状態としたり表示色を異ならせたりして)表示を行っている。
図7の例では、この形態を変更することで、精算用POSレジスタ30aが送信先として選択されたことが示されている。
【0078】
なお、前述したように、登録用POSレジスタ20は、表示部(客用)205aに、送信先の精算用POSレジスタ30を示す案内を表示するようにしてもよい。例えば、登録用POSレジスタ20は、
図7に示す精算用POSレジスタ30a~30cのステータス情報を表すボタン2051~2053を、表示部(客用)205aに表示するようにしてもよい。
【0079】
また、前述したように、送信先の精算用POSレジスタ30を示す案内は、顧客に手渡すレシートに印刷されていてもよい。
図8は、送信先の精算用POSレジスタ30を示す案内が印刷されたレシート(精算用POSレジスタ30の番号が印字された番号札レシート、お会計券、POSレジ案内レシート)の一例を示している。この
図8では、送信先の精算用POSレジスタ30を示す案内として、「1番のレジでお会計してください」という文字(符号3051参照)がレシートに印刷されている。ここで、この「1番のレジ」とは、例えば
図7の表示例の装置1(精算用POSレジスタ30a)に対応している。
【0080】
次に
図9を参照して、
図5のステップS26において精算処理の待機状態に移行した精算用POSレジスタ30の表示部305の表示例について説明する。
図9は、精算用POSレジスタ30の表示部305の表示例を示している。
図9の表示例では、「精算機」であることを示す情報、待機状態であることを示す情報(「待機中」)などとともに、この精算用POSレジスタ30が受信した登録データに基づいて精算する顧客を識別可能な情報(例えば番号、「会計待番号」)が、会計順(登録データの受信順)に表示されている。なお、顧客を識別可能な情報(例えば番号)は、例えば登録用POSレジスタ20の表示部(客用)205aに表示されることにより顧客に通知されてもよいし、顧客に手渡すレシートに印刷されることにより顧客に通知されてもよい。
【0081】
次に
図10を参照して、
図1~
図4を参照して説明したPOSシステム1の他の動作例について説明する。
図10に示した動作例では、
図5を参照して説明した動作例と比較して、各精算用POSレジスタ30のステータス情報が異なっている。すなわち、
図10の動作例では、精算用POSレジスタ30aが決済中、精算用POSレジスタ30bがレシート発行中、そして、精算用POSレジスタ30cが決済中であるとしている。
【0082】
図10に示す例では、ステップS51~S59において、
図5のステップS11~S19と同様にして各精算用POSレジスタ30a~30cのステータス情報が更新される。そして、ステップS60~S61で、
図5のステップS20~S21と同様にして商品登録処理が行われた後、ステップS62ではレシート発行中の精算用POSレジスタ30bが送信先の装置として選択される。この例では、精算用POSレジスタ30a及び30cが決済中であるため、レシート発行中の精算用POSレジスタ30bが一番処理の進捗が進んでいると判定されるからである。以後、ステップS63~S82では、
図5のステップS23~S42と同様にして精算用POSレジスタ30bを用いて登録データの送信処理や精算処理が行われる。ただし、ステップS66における報知及び待機状態への移行処理は、ステップS54でステータス情報を送信した際に発行中であったレシートの発行が終了した後に実行されるようにする。
【0083】
なお、ステップS63での登録データの送信処理は、精算用POSレジスタ30のステータス情報に応じて、一時待機するようにしてもよい。例えば、登録データの送信は、空き状態またはレシート発行中の精算用POSレジスタ30に対してのみ行い、決済中や待機状態の精算用POSレジスタ30に対しては、ステータス情報がレシート発行中となるまで登録データの送信を待機するようにしてもよい。この場合、顧客は、例えば登録用POSレジスタ20の近傍で一時待機するようにする。こうすることで、精算用POSレジスタ30が、非選択装置である旨を報知していない状態で、顧客が精算用POSレジスタ30へ向けて案内されることを防ぐことができる。この場合、登録用POSレジスタ20は、待機位置に一時待機する顧客に対して番号札レシートを発行し、前記顧客に手渡すようにしてもよい。そして、ステータス情報が空き状態またはレシート発行中の状態になった精算用POSレジスタ30に前記顧客の登録データの送信し、受信した精算用POSレジスタ30の表示部に番号札レシートに印字された番号を表示し顧客を誘導するようにしてもよい。
【0084】
ところで、上述したような、顧客が購入する商品を登録する登録用POSレジスタ20と、登録用POSレジスタ20で登録された商品の代金精算を顧客自らが操作し精算を行なう精算用POSレジスタ30とからなるPOSシステム1において、顧客が会計時(精算時)に買い忘れた商品を思い出した場合(気づいた場合)、登録用POSレジスタ20での登録が済んだ状態で精算用POSレジスタ30にいる。そのため、顧客は、一旦、精算用POSレジスタ30で精算を済ませてから、再度、買い忘れた商品を購入するために再度登録用POSレジスタ20の登録待ち行列に並び商品の購入をしなければならないことがある。
この場合、買い忘れた商品を購入するに至る迄、同じ手順が繰り返されることとなるため、買い忘れをした顧客にとっては、繰り返される手順が面倒で煩わしいものであった。また、顧客は買い忘れた商品の購入をあきらめてしまう可能性もあるため、店の売り上げに悪影響を与えたり、店の印象を悪くしてしまう可能性もあった。
【0085】
そこで、本実施形態のPOSシステム1においては、精算用POSレジスタ30での精算処理を保留することが可能であるとともに、保留した登録データに対して商品の登録データを追加登録することが可能である。
【0086】
次に、
図11を参照して、登録データを受信して待機状態となった精算用POSレジスタ30において、登録データに基づく精算処理を保留にし、保留した登録データに対して商品の登録データを追加登録する処理の動作例について説明する。なお、顧客が精算処理を保留にする場合とは、上述したように、例えば登録用POSレジスタ20において登録された購入対象の商品の登録データが精算用POSレジスタ30に送信されて待機状態となっている際に、買い忘れている商品があることに気づいて精算処理を保留する場合などである。顧客は、精算処理を保留することにより、精算処理を行う前にその商品を購入対象の商品として追加(登録)することができる。
【0087】
例えば、精算用POSレジスタ30の表示部305の画面表示に「精算保留」等のボタンが設けられている。この「精算保留」ボタンが押下されると、精算用POSレジスタ30は、当該顧客の登録データ(登録データに基づく精算処理)を保留扱いにする。
【0088】
図11に示した動作例では、
図5のステップS26において、精算用POSレジスタ30aが待機状態に移行した後に、精算処理を保留にする処理が追加されていることが、
図5に示す動作例と異なっている。なお、
図11において、
図5の各処理に対応する処理には同一の符号を付けており、その説明を省略する。また、ステップS30の「決済処理開始」以降の動作は、
図5を参照して説明した動作と同様であり、図示を省略している。
【0089】
精算用POSレジスタ30aは、精算処理の待機状態に移行し(ステップS26)、ステータス情報を送信(ステップS27)した後、例えば顧客の操作に応じて、表示部305に支払い金額情報などを含む精算処理用の決済情報を表示するとともに、精算処理を保留する「精算保留」を入力可能な釦を表示する。そして、精算用POSレジスタ30aは、決済処理が開始されたか否かを判定する(ステップS29a)。ステップS29aにおいて決済処理が開始されたと判定された場合、精算用POSレジスタ30aは、ステップS30に処理を進めて、
図5を参照して説明したように決済処理を開始する。一方、ステップS29aにおいて決済処理が開始されていないと判定された場合、精算用POSレジスタ30aは、「精算保留」ボタンが押下されたか否かを判定する(ステップS29b)。
【0090】
ステップS29bにおいて「精算保留」ボタンが押下されていないと判定された場合、精算用POSレジスタ30aは、ステップS29aに処理を戻し、決済処理が開始されたと判定されるか、または「精算保留」ボタンが押下されたと判定されるまで、ステップS29aとステップS29bの処理を繰り返す。
【0091】
ステップS29bにおいて「精算保留」ボタンが押下されたと判定された場合、精算用POSレジスタ30aは、精算処理を保留した登録データを識別可能な情報(特定可能な情報)を含む保留レシートを発行する(ステップS29c)。例えば、この保留レシートには、精算処理を保留した登録データを再呼出しする為の一次元コードあるいは2次元コードが印刷されている。
なお、登録用POSレジスタ20または精算用POSレジスタ30が何らかのトラブルで通信不能な状態で既に会計用レシートが発行されている場合は発行不要である。
【0092】
また、精算用POSレジスタ30aは、精算処理を保留扱いとした登録データを、その登録データを登録(送信)した登録用POSレジスタ20に戻す処理を行なう。例えば精算用POSレジスタ30aは、保留扱いとした登録データ(保留登録データ)を、その登録データを登録(送信)した登録用POSレジスタ20に送信する(ステップS29d)。登録用POSレジスタ20は、精算用POSレジスタ30aから送信された保留扱いの登録データを受信する(ステップS29e)。
【0093】
保留扱いになった登録データは、呼出されるまで保留扱いとなる。例えば、買い忘れをした顧客は、買物カゴを店員に預けた後、買い忘れた商品を持って登録用POSレジスタ20に行き、買い忘れた商品の追加登録を行なってもらう。顧客によって商品の追加登録が依頼されることに応じて(ステップS29j)、登録用POSレジスタ20は、ステップS12に処理を戻し、精算処理を保留した登録データ(保留登録データ)を再呼出しして、その登録データに追加登録する商品(買い忘れた商品)の登録データを追加する。これにより、登録用POSレジスタ20で追加登録された「買い忘れ商品」は、保留扱いになっている保留登録データ内に追加登録される。
【0094】
そして、登録用POSレジスタ20は、追加登録した登録データを、各ステータス情報に基づいて選択した精算用POSレジスタに送信する。顧客は、保留レシートを用いて登録データを呼出すか、あるいは、再度、登録用POSレジスタ20が指示する精算用POSレジスタ30に行き顧客自らが精算を行なう。
【0095】
このように、精算用POSレジスタ30が、受信し待機状態となっている登録データに基づく精算処理を保留するステップS29c、S29dの処理(保留手段)を実行する。また、登録用POSレジスタ20は、精算処理が保留された保留登録データを受信するステップS29eの処理を実行するとともに、顧客によって商品の追加登録が依頼されることに応じて(ステップS29j)、受信した保留登録データに対して「買い忘れ商品」の登録データを追加登録する処理を実行する。これにより、顧客自らが操作し精算を行なう精算用POSレジスタ30を用いたPOSシステム1において、顧客が買い忘れた商品があったとしても、精算用POSレジスタ30で精算処理を実行する登録データに対して、顧客が買い忘れた商品を追加することが可能である。
【0096】
なお、登録用POSレジスタ20に登録データを記憶している場合は、上述の保留登録データを送信する処理に代えて、精算用POSレジスタ30から登録用POSレジスタ20に登録データが保留(登録データに基づく処理が保留)になった旨を通知する処理としてもよい。例えば、精算用POSレジスタ30aは、登録用POSレジスタ20に保留登録データが存在することを示す表示を表示部305に表示するとともに、保留状態であることを示すステータス情報を登録用POSレジスタ20に送信してもよい。また、登録用POSレジスタ20は、保留状態であることを示すステータス情報を受信したことに応じてステータス情報を待機状態から保留状態に更新してもよい。
【0097】
なお、保留登録データの記憶方法としては、精算用POSレジスタ30に記憶させておく方法、登録データを登録した登録用POSレジスタ20に保留登録データを送信(または、保留登録データを識別可能な識別情報と保留状態であることを示すステータス情報を送信)する方法(登録用POSレジスタ20に記憶させておく方法)、ストアコントローラ10に送信する方法(ストアコントローラ10に記憶させておく方法)、など様々なケースが想定される。
【0098】
精算用POSレジスタ30に保留登録データを記憶させておく方法の場合、登録用POSレジスタ20は、追加登録された「買い忘れ商品」のみを、保留登録データを記憶する精算用POSレジスタ30に送信する処理をしてもよい。これにより、保留登録データを記憶する精算用POSレジスタ30は、受信した「買い忘れ商品」を保留扱いになっている保留登録データ内に追加登録してもよい。
【0099】
また、ストアコントローラ10に保留登録データを記憶させておく方法の場合、登録用POSレジスタ20は、追加登録された「買い忘れ商品」を、ストアコントローラ10に送信する処理をしてもよい。これにより、ストアコントローラ10は、受信した「買い忘れ商品」を記憶されている保留登録データ内に追加登録してもよい。
【0100】
次に、
図12を参照して、精算用POSレジスタ30の表示部305に表示される精算処理を保留するボタンの表示例について説明する。この
図12では、精算用POSレジスタ30は、精算処理を行うためのレシート番号および支払い金額情報等の決済情報を表示するとともに、精算処理を保留するための「買い忘れボタン」(符号3061参照)を表示部305に表示している。例えば、
図11のステップS26において待機状態に移行した精算用POSレジスタ30aは、
図12に示すように「買い忘れボタン」を含む情報を表示部305に表示する。そして、
図11のステップS29b精算用POSレジスタ30aは、この「買い忘れボタン」が押下されたか否かを、「精算保留」ボタンが押下されたか否かとして判定する。
【0101】
次に、
図13を参照して、
図11のステップS29cにおいて発行される保留レシートについて説明する。この
図13に示す保留レシートには、発行元の精算用POSレジスタ30を示す案内(符号3051参照)とともに、精算処理を保留した登録データを再呼出しする為の2次元コード(符号3052参照)が印刷されている。なお、この図に示すQRコード(登録商標)による2次元コードに代えて、バーコードなどの1次元コードであってもよい。さらに、この2次元コードまたは1次元コードに代えて、各登録データと関連付けられている数字、文字、記号、絵、などにより示される情報であってもよい。
【0102】
以上のように、本実施形態のPOSシステム1は、購入対象の商品を登録する登録用POSレジスタ20(登録装置)と、商品の登録データに基づいて精算を行う複数の精算用POSレジスタ30(精算装置)とを有して構成されている。そして、登録用POSレジスタ20では、各精算用POSレジスタ30から精算処理に関するステータス情報を取得するステップS12、S15、S18等の処理(取得手段)と、登録商品についての精算を行うべき精算用POSレジスタ30をステータス情報に基づいて選択するステップS22の処理(選択手段)と、選択された精算用POSレジスタ30へ登録商品の登録データを送信するステップS23の処理(送信手段)とが実行される。このように、精算用POSレジスタ30のステータスに応じて登録用POSレジスタ20から精算用POSレジスタ30へ登録データが送信されるので、精算用POSレジスタ30には既に必要な登録データが届いており、顧客の操作を軽減でき、それにより精算時間も短縮できる。
【0103】
また、精算用POSレジスタ30が、登録用POSレジスタ20から登録データを受信した場合に精算処理の待機状態となるよう制御を行うステップS26の処理(制御手段)を実行するので、精算用POSレジスタ30をすぐに精算開始できる待機状態とすることができ、顧客の操作を極力軽減することができる。
【0104】
また、精算用POSレジスタ30が、登録用POSレジスタ20から登録データを受信した場合に登録商品についての精算を行うべき精算用POSレジスタ30であることを顧客に報知するステップS26の処理(報知手段)を実行するので、顧客はどの精算装置へ向かえばよいかすぐに見分けることができる。
【0105】
また、登録用POSレジスタ20が、ステータス情報を表示するステップS25の処理(表示手段)を実行するので、登録用POSレジスタ20の側で精算用POSレジスタ30の状態を把握することができる。
【0106】
また、ステータス情報は、精算処理の進捗を示す情報であり、ステップS22の処理(選択手段)では、登録商品についての精算を行うべき精算用POSレジスタ30として、精算処理の進捗が最も進んだ精算用POSレジスタ30が選択される。この構成によれば、精算用POSレジスタ30における精算処理の進捗を示すステータス情報に応じて最適な精算用POSレジスタ30が選択されるので、例えば顧客が1箇所の精算用POSレジスタ30に集中してしまうようなことがなく、効率の良い精算が可能となる。
【0107】
また、登録用POSレジスタ20が登録データを精算用POSレジスタ30へ送信する際に前記ステータス情報が同一であった場合は、顧客の年齢と精算用POSレジスタ30までの距離とに応じて送信先を決定するようにしてもよい。例えば、高齢者である場合は登録用POSレジスタ20から最も近い精算用POSレジスタ30を選択させるようにすればサポートし易く顧客満足度も更に向上させることが可能となる。
【0108】
また、本発明の実施の形態において、登録装置で登録処理中に選択された精算装置へ登録された顧客の購入対象商品の登録データを送信するようにしているが、これに限らず、例えば、登録用POSレジスタ20で登録処理中に選択された精算用POSレジスタ30の精算装置識別情報等と商品の登録データとを紐付けてストアコントローラ10に送信し、前記ストアコントローラ10が対象とする精算用POSレジスタ30の精算処理状況に応じて登録装置で登録された顧客の購入対象商品の登録データを送信するようにしてもよい。又は、精算用POSレジスタ30の精算処理状況に応じて精算用POSレジスタ30自らがストアコントローラ10に登録装置で登録された顧客の購入対象商品の登録データを自装置の精算装置識別情報に基づきリクエストを行ない受信するようにしてもよい。
【0109】
なお、登録用POSレジスタ20は、ステップS22の処理(選択手段)で選択された精算用POSレジスタ30を案内する情報を印刷媒体に印刷する処理(印刷手段)を実行してもよい。これにより、顧客は印刷内容を確認することによりどの精算装置へ向かえばよいかすぐに見分けることができる。
【0110】
また、登録用POSレジスタ20は、登録商品についての精算を行うべき精算用POSレジスタ30として、ステータス情報が「使用中」である精算用POSレジスタ30の選択を出来ないように選択禁止の制御を行なう。ここで、ステータス情報が「使用中」である場合とは、精算用POSレジスタ30における精算処理の進捗状況が、例えば、「待機状態」、「決済中」、又は「レシート発行中」である場合(すなわち「空き状態」でない場合)をいう。なお、「トラブル発生中」である場合も、ステータス情報が「使用中」である場合に含めてもよい。
【0111】
例えば、前述したように、店員が、登録用POSレジスタ20のタッチパネル上に表示された各精算用POSレジスタ30のステータス情報を見て、登録用POSレジスタ20において登録された登録データを送信する精算用POSレジスタ30を選択する構成としてもよい。具体的な一例としては、登録用POSレジスタ20のタッチパネル上には、登録データを送信する精算用POSレジスタ30を選択可能なように、各精算用POSレジスタ30に対応するボタンが表示され、店員は、この各精算用POSレジスタ30に対応するボタンのうちの1つを選択して押下することにより、登録データを送信する精算用POSレジスタ30を選択してもよい。このような場合、登録用POSレジスタ20は、ステータス情報が「使用中」である精算用POSレジスタ30を選択出来ないように制御してもよい。例えば、登録用POSレジスタ20は、各精算用POSレジスタ30に対応するボタンのうちのステータス情報が「使用中」である精算用POSレジスタ30に対応するボタンを選択不可能なように表示してもよい。また、登録中の顧客が精算用POSレジスタ30で登録データ(会計データ)を保留にした顧客である場合は、当該顧客が保留にした精算用POSレジスタ30と対応するボタンが「保留」の表示となっているので、当該「保留」を表示しているボタンを店員が押下すると当該顧客が保留にした登録データ(会計データ)が呼出される。その後、顧客が買い忘れた商品の追加登録が完了し、精算用POSレジスタ30と対応する「保留」が表示されているボタンが押下されると、「保留」ボタンと対応する精算用POSレジスタ30に登録データ(会計データ)が送信されるようにしてもよい。
【0112】
これにより、登録用POSレジスタ20において登録された登録データを、複数の精算用POSレジスタ30のうちの特定の精算用POSレジスタ30のみに偏って送信を行うといったことがないので、複数の登録用POSレジスタ20それぞれに対して平均的に顧客を割り振ることができる。
【0113】
また、精算用POSレジスタ30は、受信し待機状態となっている登録データに基づく精算処理を保留するステップS29c、S29dの処理(保留手段)を実行する。また、登録用POSレジスタ20は、精算処理が保留された保留登録データを受信するステップS29eの処理を実行するとともに、顧客によって商品の追加登録が依頼されることに応じて(ステップS29j)、受信した保留登録データに対して「買い忘れ商品」の登録データを追加登録する処理を実行する。これにより、既に登録されている登録データの精算処理を保留して、買い忘れた商品を登録用POSレジスタ20においてスムーズに追加登録して一緒に精算を行うことができる。例えば、顧客自らが操作し精算を行なう精算用POSレジスタ30を用いたPOSシステム1において、顧客が買い忘れた商品があったとしても、待機状態となっている登録データに基づく精算処理を保留にして、保留にした登録データに対して顧客の買い忘れをした商品を登録用POSレジスタ20で追加登録することが可能となる。よって、顧客は、面倒で煩わしい手順を経ることなく、買い忘れした商品を登録用POSレジスタ20側で追加登録してもらい精算することができる。
【0114】
また、精算用POSレジスタ30が、受信し待機状態となっている登録データが保留にされると、当該登録データを、当該登録データを送信した登録用POSレジスタ20に送信する(戻す)ステップS29dの処理を実行するので、登録用POSレジスタ20側で、保留登録データを更新可能となる。
【0115】
また、精算用POSレジスタ30は、受信し待機状態となっている登録データに基づく精算処理が保留にされると、当該登録データが保留となった旨を、当該登録データを送信した登録用POSレジスタ20に通知する処理を実行してもよい。これにより、登録用POSレジスタ20側で登録データが保留になったことを随時把握することができ、表示画面に保留登録データが存在することを常に把握することができる。また、表示画面に表示された保留登録データが存在する表示を店員がタッチすることにより、保留中の登録データ(会計データ)を呼出すことも可能である。そのため、顧客に対するサポートや買い忘れ商品の追加登録処理をスムーズに行なうことができる。
【0116】
また、上述の保留手段が、待機状態となっている登録データに基づく精算処理を保留にした場合、当該登録データに関連付けられている情報が印刷された保留レシートを発行するので、顧客は買い忘れした商品と保留レシートとを登録用POSレジスタ20の店員に手渡すことにより、買い忘れた商品の登録をスムーズに行なうことができる。
【0117】
また、上述の保留手段が、待機状態となっている登録データに基づく精算処理を保留にした場合、当該登録データを呼出し可能な1次元あるいは2次元コードが印字された保留レシートを発行するので、登録用POSレジスタ20の店員は保留レシートのコード情報によって買い忘れした顧客の会計データを簡単に呼出すことができ、顧客が買い忘れした商品の追加登録をスムーズに行なうことができる。
【0118】
また、精算用POSレジスタ30が、保留手段により登録データが保留にされると、当該登録データが保留にされたことをブザー308により報知する処理を(報知手段)実行するので、保留扱いになったことを店員はいち早く認識することができ、顧客に対するサポートを行なうことができるとともに不正防止の効果を奏する。
【0119】
なお、本実施形態のPOSシステム1においては、精算用POSレジスタ30の「精算保留」ボタンが押下されることにより精算処理を保留することが可能であるとともに、保留にした登録データを登録用POSレジスタ20に送信するようにしているが、これに限られるものではない。例えば、POSシステム1において、登録用POSレジスタ20に「未精算登録データの呼び戻し」ボタンを設け、このボタンが押下されると精算用POSレジスタ30の未精算の顧客の登録データ(登録データに基づく精算処理)を登録用POSレジスタ20の画面に未精算一覧として表示し、その未精算一覧より対象とする顧客の登録データがタッチ(例えば、店員によるタッチ操作)されることにより、その顧客の登録データを保留扱いにし該登録用POSレジスタ20に呼び戻すようにしてもよい。
これにより、POSシステム1は、会計待ちの顧客の登録データを会計の順番に関係なく、登録用POSレジスタ20に呼び戻し、顧客が買い忘れた商品の追加登録などを早くおこなうことができる。
【0120】
また、本実施形態において、保留扱いにした登録データに基づいて決済する決済処理(精算処理)における決済手段(支払い方法)を変更してもよい。上記決済手段の変更として、精算用POSレジスタ30で精算を行おうとしている顧客の登録データに基づく精算処理において、精算用POSレジスタ30の表示部305の画面表示の「精算保留」等のボタンにより保留扱いにした登録データに基づいて決済する決済処理における決済手段を変更してもよい。あるいは、精算用POSレジスタ30での精算を待っている顧客の未精算の登録データ(精算用POSレジスタ30内で記憶されている未精算の登録データ)を登録用POSレジスタ20に設けた「未精算登録データの呼び戻し」ボタンの押下により表示された未精算一覧にて保留扱いにした登録データに基づいて決済する決済処理における決済手段を変更してもよい。
上記決済手段の変更とは、現金、電子マネー、クレジットカードなどを選択的に用いて支払われる決済手段に限らず、例えば、精算代金の一部あるいは全部が商品券等(例えば、所定の額面を支払い金額として使用出来る金券や買い物券等)を用いて支払われる決済手段とする変更としてもよい。例えば、決済処理において、商品券等を使って支払われる額面金額が精算代金の一部である場合には、保留扱いにした登録データに基づく精算代金から商品券等の額面金額を減算した残りの金額を、保留扱いにした登録データの決済金額とするようにしてもよい。また、決済処理において、商品券等を使って支払われる額面金額が精算代金の金額を超える場合には、商品券等を使って支払われる額面金額から保留扱いにした登録データに基づく精算代金を減算した金額を、精算用POSレジスタ30より商品券を使いきれなかった残りの金額を返金分として出金させる金額としてもよい。
なお、登録用POSレジスタ20は、決済処理を変更した、保留扱いにした登録データを、前述の実施形態で示したように精算用POSレジスタ30を指定して送信するようにしてもよい。
【0121】
また、本実施形態において、精算用POSレジスタ30における精算処理の進捗状況を表す情報であるステータス情報において、待機状態、決済中、レシート発行中、空き状態、会計保留、トラブル発生中などを例示したがこれに限らず、例えば、決済部310において現金を入出金する釣銭釣札機の場合において、釣銭釣札機の状態をステータス情報としてもよく、この釣銭釣札機の状態をステータス情報として送信するようにしてもよい。 この場合、釣銭釣札機内に収納している貨幣種においてニアフル(あと少しでその釣銭釣札機が収納するある貨幣種が一杯になってしまう状態)やニアエンド(あと少しでその釣銭釣札機が収納する特定の貨幣種が無くなってしまう状態)の情報をステータス情報として登録用POSレジスタ20に送信するようにしてもよい。このステータス情報に基づき、登録用POSレジスタ20は、どの精算用POSレジスタ30を選択するのかという判定処理を行ってもよい。例えば、登録用POSレジスタ20は、釣銭釣札機内に収納している貨幣種においてニアフルやニアエンドの状態である精算用POSレジスタ30を選択することを避けて、他の精算用POSレジスタ30を選択してもよい。これにより、現金による決済中において釣銭切れを生じてしまったり、あるいは、決済時に入金された金種によって釣銭釣札機が入金フル状態となり動作が出来なくなってしまうといったトラブルを事前に回避することができるという効果を奏する。
なお、
図7の表示例において、商品選択用の(この例では野菜の)アイコンや、金額、個数などを示す情報とともに、精算用POSレジスタ30a~30cのステータス情報を表すボタン2051~2053を表示し「空き状態」等の表示を行っているがこれに限らず、例えば、精算用POSレジスタ30a~30cが備える釣銭釣札機の状態(例えば、ニアフルやニアエンド、あるいは、コイン詰まり等の状態)を表示させるようにしてもよい。
なお、ステータス情報の表示がニアフルやニアエンドの状態にある釣銭釣札機を備えた精算用POSレジスタ30である場合、決済時にトラブル等の問題を生じさせてしまう可能性が高いので、他のボタンと異なる注意を喚起させる形態で(例えば、オペレータに注意を喚起させるために通常の点滅より速い点滅状態にしたり、又は、注意しなければならないことを示すために通常使わない色の表示色(例えば赤色が通常使われない色である場合は赤色など)に異ならせたりして)表示を行ってもよい。この形態の場合においては、他のボタンと異なる形態でステータス情報を表示している精算用POSレジスタ30を送信先として選択してはいけないことが示されることとなるので、トラブル等の問題を生じさせてしまう可能性が高い精算用POSレジスタ30に登録データを送信することを軽減させることができるという効果を奏する。
【0122】
なお、以上に説明したPOSレジスタ(登録用POSレジスタ又は精算用POSレジスタ)及びPOSシステムを実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピュータシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0123】
10…ストアコントローラ、11…LAN、20…登録用POSレジスタ、30…精算用POSレジスタ、201…CPU、202…ROM、203…RAM、204…スキャナ部、205…表示部(店員用)、205a…表示部(客用)、206…操作部、207…通信部、208…ブザー、209…印刷部、301…CPU、302…ROM、303…RAM、304…スキャナ部、305…表示部、306…操作部、307…通信部、308…ブザー、309…印刷部、310…決済部、311…サインポール、312…人感知センサ