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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】情報通信システム
(51)【国際特許分類】
   B63C 11/26 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
B63C11/26
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024000679
(22)【出願日】2024-01-05
【審査請求日】2024-01-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524137329
【氏名又は名称】株式会社xerograv.
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩永 智佳
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-105787(JP,A)
【文献】特開2017-178040(JP,A)
【文献】特開2010-208454(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63C 11/02 - B63C 11/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイビングを行うダイバーにより所持されるダイバー側装置と、
管理者により所持される管理者側装置と、を備え、
前記ダイバー側装置は、エグジット情報及び水面での現在位置情報を送信し、
前記管理者側装置は、前記ダイバー側装置から送信された前記エグジット情報及び前記現在位置情報を表示するものであり、
前記ダイバー側装置は、前記エグジット情報の送信後、前記現在位置情報を送信し、
前記管理者側装置は、前記ダイバー側装置を示すアイコンと、前記アイコンが前記現在位置情報に基づき配置された地図とを含むマップ画面を表示するものであり、
前記マップ画面は、同じ前記ダイバー側装置の異なる複数の時刻における前記現在位置情報に対応する複数の前記アイコンを含む情報通信システム。
【請求項2】
前記ダイバー側装置は、エントリー情報を送信するものであり、
前記エントリー情報は、前記ダイバーが水に潜る前に前記ダイバー側装置においてエントリーの操作を行った時の位置情報と時刻情報を含み、
前記エグジット情報は、前記ダイバーが水面に浮上した時、又は前記ダイバーが水面に浮上した際に前記ダイバー側装置においてエグジットの操作を行った時の位置情報と時刻情報とを含む請求項1に記載の情報通信システム。
【請求項3】
前記ダイバー側装置は、ダイビング中に記憶したダイビングログを送信し、
前記管理者側装置は、前記ダイビングログを含むログ画面を表示する請求項1又は2に記載の情報通信システム。
【請求項4】
前記管理者側装置は、現在の位置情報を送信し、
前記ダイバー側装置は、前記管理者側装置の前記現在の位置情報を含むマップ画面を表示する請求項1又は2に記載の情報通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイビング用の情報通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ダイバーが安全にダイビングを楽しむための情報を測定し表示する装置として、ダイブコンピュータが知られている。ダイブコンピュータを装着してダイビングを行うことで、潜水日時、潜水時間、潜水深度の時系列変化などをダイビングログとして記録することができる(例えば特許文献1参照)。また、GPS(Global Positioning System)が内蔵されたダイブコンピュータも知られており、これにより、ダイバーが自身の位置情報を知ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-208452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のダイブコンピュータでは、ダイバーが自身の位置情報を把握することができるものの、地上又は海上のボートで待機しているダイビングチームのスタッフからダイバーの位置を把握することができない。そのため、ダイバーの浮上位置が予定の位置よりずれたり、流されたり、チームと逸れたりした場合などは、ダイバーを迎えにいくのに時間がかかったり、ダイバーを見失ったりしてしまい、事故に繋がる恐れがあった。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためのものであり、ダイバーの安全性を向上させることができる情報通信システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る情報通信システムは、ダイビングを行うダイバーにより所持されるダイバー側装置と、管理者により所持される管理者側装置と、を備え、ダイバー側装置は、エグジット情報及び水面での現在位置情報を送信し、管理者側装置は、ダイバー側装置から送信されエグジット情報及び現在位置情報を表示するものであり、ダイバー側装置は、エグジット情報の送信後、現在位置情報を送信し、管理者側装置は、ダイバー側装置を示すアイコンと、アイコンが現在位置情報に基づき配置された地図とを含むマップ画面を表示するものであり、マップ画面は、同じダイバー側装置の異なる複数の時刻における現在位置情報に対応する複数のアイコンを含むものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の情報通信システムによれば、ダイバー側装置から送信されたエントリー情報及びエグジット情報の少なくとも何れか一方、及び水面での現在位置情報を管理者側装置に表示することで、管理者側装置においてダイバーの状況を知ることができ、ダイバーの安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る情報通信システムの概略構成図である。
図2】実施の形態1に係る情報通信システムの制御ブロック図である。
図3】実施の形態1に係るダイバー側装置に表示される設定画面の一例である。
図4】実施の形態1に係る情報通信システムの動作の流れを示す図である。
図5】実施の形態1に係るダイバー側装置に表示されるホーム画面の一例である。
図6】実施の形態1に係るダイバー側装置に表示されるダイブ画面の一例である。
図7】実施の形態1に係る管理者側装置に表示される通知の一例である。
図8】実施の形態1に係るダイバー側装置に表示される状態画面の一例である。
図9】実施の形態1に係る管理者側装置に表示されるマップ画面の一例である。
図10】実施の形態1に係る管理者側装置に表示されるログ画面の一例である。
図11】変形例1に係る情報通信システムの動作の流れを示す図である。
図12】変形例1に係るダイバー側装置に表示されるマップ画面の一例である。
図13】変形例2に係る管理者側装置に表示されるマップ画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態の情報通信システム100について説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には、同一符号を付して、その説明を適宜省略又は簡略化する。また、各図に記載の構成について、その形状、大きさ及び配置等は、本発明の範囲内で適宜変更することができる。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る情報通信システム100の概略構成図である。本実施の形態の情報通信システム100は、ダイビングを行うダイバーと、地上又は海上のボートで待機し、ダイバーの送迎等の補佐を行うダイビングチームのスタッフ、船長、家族又は友人等(以下、「管理者」という)との間で情報を共有するためのシステムである。図1に示すように、情報通信システム100は、ダイバーが所持するダイバー側装置1と、管理者が所持する管理者側装置2と、遠隔に設けられたサーバー3とからなる。ダイバー側装置1と、管理者側装置2と、サーバー3とは、インターネットなどのネットワーク200を介して通信可能に接続されている。
【0011】
ダイバー側装置1は、ダイバーの状態及び位置情報を測定し、記録する装置であり、例えば、ダイバーが腕に装着するスマートウォッチである。管理者側装置2は、ダイバーの状態及び位置情報を確認する管制塔の役割を担う装置であり、例えば、管理者によって携帯されるスマートフォン又はタブレット端末である。サーバー3は、ダイバー側装置1及び管理者側装置2と連携してダイビング用通信機能を実現する装置であり、CPUなどのプロセッサと、メモリとを備えたクラウドサーバーである。ダイビング用通信機能は、アプリケーションプログラムを実行することで実現される、ダイバー側装置1と管理者側装置2とで情報を共有するための機能である。
【0012】
図2は、実施の形態1に係る情報通信システム100の制御ブロック図である。図2に示すように、ダイバー側装置1は、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、操作表示部14と、センサ部15と、計時部16と、を備えている。
【0013】
制御部11は、CPUもしくはGPU等のプロセッサ、ASICもしくはFPGAなどの処理回路、又はその両方で構成される。制御部11は、操作表示部14の操作に基づき記憶部12に記憶されたアプリケーションプログラムを実行することにより、ダイビング用通信機能を実施する。詳しくは、制御部11は、センサ部15に水圧、水温、心拍数、方位及び位置情報などの測定を指示し、センサ部15によって測定された測定データを記憶部12に記憶するとともに、操作表示部14に表示させる。また、制御部11は、ダイビング中に、ダイバー側装置1のエントリー情報、エグジット情報、及び水面での現在位置情報を通信部13からサーバー3に送信する。エントリー情報及びエグジット情報は、ダイバーによって操作表示部14を用いてエントリー及びエグジットの操作がなされた時に、センサ部15によって測定された位置情報と計時部16によって測定された時刻情報とを含む。現在位置情報は、エグジット後にダイバーが水面にいる状態でセンサ部15によって測定された位置情報と計時部16によって測定された時刻情報とを含む。さらに、制御部11は、ダイビング後に記憶部12に記憶されたダイビングログを通信部13からサーバー3に送信する。
【0014】
記憶部12は、例えば、ROMもしくはフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、又はRAM等の揮発性メモリである。記憶部12は、制御部11により実行されるアプリケーションプログラム、及びアプリケーションプログラムの実行に用いられる各種データを記憶する。また、記憶部12は、センサ部15の測定データを時刻情報とともにダイビングログとして記憶する。
【0015】
通信部13は、ネットワーク200を介してサーバー3と通信し、エントリー情報、エグジット情報、現在位置情報、及びダイビングログをサーバー3に送信する。通信部13は、モバイルデータ通信、無線LAN、衛星通信、又はBluetooth(登録商標)などを用いてネットワーク200に接続する。
【0016】
操作表示部14は、例えばタッチパネルであり、ダイビング用通信機能における表示画面及び操作ボタンを表示する。操作表示部14に入力された指示内容は、制御部11に出力される。
【0017】
センサ部15は、圧力センサ、温度センサ、方位センサ、心拍数センサ、及びGPSセンサなどのセンサからなる。圧力センサは水圧を測定し、温度センサは水温を測定する。方位センサは方位を測定し、心拍数センサはダイバーの心拍数を測定する。GPSセンサは、複数のGPS衛星から受信している電波信号に基づいて、ダイバー側装置1の位置情報を算出する。センサ部15の各センサによる測定結果は、測定データとして制御部11に出力される。
【0018】
計時部16は、タイマーであり、現在の時刻を示す時刻情報、及びダイビング開始(エントリー)からの経過時間であるダイブ時間などを計測し、制御部11に出力する。
【0019】
管理者側装置2は、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、操作表示部24と、を備えている。制御部21は、CPUもしくはGPU等のプロセッサ、ASICもしくはFPGAなどの処理回路、又はその両方で構成される。制御部21は、記憶部22に記憶されたアプリケーションプログラムを実行することにより、ダイビング用通信機能を実施する。詳しくは、制御部21は、ダイバー側装置1のエントリー及びエグジットに関する通知を受信し、操作表示部24に表示する。また、制御部21は、ダイバー側装置1のエントリー情報、エグジット情報、及び現在位置情報を含む画面などの表示画面をサーバー3から受信し、操作表示部24に表示する。
【0020】
記憶部22は、例えば、ROMもしくはフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、又はRAM等の揮発性メモリである。記憶部22は、制御部21により実行されるアプリケーションプログラム、及びアプリケーションプログラムの実行に用いられる各種データを記憶する。
【0021】
通信部23は、ネットワーク200を介してサーバー3と通信し、ダイバー側装置1のエントリー及びエグジットに関する通知、及び種々の表示画面をサーバー3から受信する。通信部23は、モバイルデータ通信、無線LAN、衛星通信、又はBluetooth(登録商標)などを用いてネットワーク200に接続する。
【0022】
操作表示部24は、例えばタッチパネルであり、ダイビング用通信機能における表示画面及び操作ボタンを表示する。操作表示部24に入力された指示内容は、制御部21に出力される。
【0023】
サーバー3は、制御部31と、記憶部32と、通信部33とを備えている。制御部31は、CPUもしくはGPU等のプロセッサ、ASICもしくはFPGAなどの処理回路、又はその両方で構成される。制御部31は、記憶部32に記憶されたプログラムを実行することにより、ダイビング用通信機能のための情報の管理及びコンテンツの生成を行う。
【0024】
具体的には、制御部21は、ダイバー側装置1と管理者側装置2のログイン及び設定情報を管理する。また、制御部21は、ダイバー側装置1から受信したエントリー情報、エグジット情報、現在位置情報及びダイビングログなどの情報を記憶部32に記憶する。また、制御部31は、ダイビング用通信機能における種々の表示画面を生成し、ダイバー側装置1及び管理者側装置2に提供する。
【0025】
記憶部32は、例えば、ROMもしくはフラッシュメモリ等の不揮発性の半導体メモリ、RAM等の揮発性の半導体メモリ、SSD又はHDD等である。記憶部32は、制御部21により実行されるプログラム、及びプログラムの実行に用いられる各種データを記憶する。また、記憶部32は、ダイバー側装置1及び管理者側装置2のログイン情報及び設定情報、ダイバー側装置1から受信したエントリー情報、エグジット情報、現在位置情報及びダイビングログ、並びにダイバー側装置1及び管理者側装置2に表示される表示画面データなどを記憶する。
【0026】
通信部33は、ネットワーク200を介してダイバー側装置1及び管理者側装置2と通信し、ダイバー側装置1からエントリー情報、エグジット情報、現在位置情報及びダイビングログを受信する。また、通信部33は、管理者側装置2にダイバー側装置1のエントリー及びエグジットに関する通知、及び表示画面を送信する。通信部33は、モバイルデータ通信、無線LAN、衛星通信、又はBluetooth(登録商標)などを用いてネットワーク200に接続する。
【0027】
続いて、本実施の形態の情報通信システム100において実施されるダイビング用通信機能の流れについて説明する。ダイビング用通信機能は、ダイバー側装置1及び管理者側装置2においてそれぞれアプリケーションプログラムを起動させ、ログインすることで実施される。まず、ダイビングを行う前に、ダイバー側装置1及び管理者側装置2においてそれぞれ設定が行われる。ダイバー側装置1では、自身の情報を共有する共有対象者(管理者側装置2)の設定が行われ、管理者側装置2では、管理対象者(ダイバー側装置1)の設定が行われる。
【0028】
図3は、実施の形態1に係るダイバー側装置1に表示される設定画面51の一例である。図3に示すように、設定画面51は、アイコン設定部510、名前設定部511、通知設定部512、共有設定部513、共有時間設定部514、及び共有者設定部515を含む。
【0029】
アイコン設定部510は、ダイバー側装置1の所有者であるダイバーの写真などのアイコンを設定するものである。名前設定部511は、ダイバー側装置1の所有者であるダイバーの名前を設定するものである。通知設定部512は、共有対象者に対してダイバーのエントリー及びエグジットに関する通知を行うか否かを設定するものである。共有設定部513は、共有対象者に対して、ダイバーの位置情報を共有するか否かを設定するものである。共有時間設定部514は、ダイバーの情報を共有する時間を設定するものであり、例えば1時間、2時間、等の時間単位設定又は1日などの日単位の設定ができる。共有者設定部515は、ダイバーの情報を共有する共有対象者を設定するものであり、管理者側装置2の名前又はアカウントが設定される。
【0030】
なお、ダイバー側装置1における情報共有の設定は、ダイバーがダイビングを行う前に地上にいる際に行われる。また、情報共有の設定は、ダイバー側装置1を用いて行われてもよいし、ダイバー側装置1と接続されたスマートフォン又はタブレットを用いて行われてもよい。なお、設定画面51にて設定される内容は、上記に限定されるものではなく、その他の設定を行ってもよい。例えば、設定画面51にてダイビングログとして記録する項目を設定してもよいし、情報共有時間の延長の設定を管理者側装置2に委任するか否かを設定してもよい。情報共有時間の延長の設定を管理者側装置2に委任するよう設定することで、状況に応じて管理者側装置2にて情報共有時間を延長することができ、ダイバー側装置1がボートに戻ってこない場合も情報共有を継続でき、ダイバーの状態を確認することができる。
【0031】
管理者側装置2においても、管理者用の設定画面において、管理者のアイコン、名前、管理対象者(ダイバー側装置1)が設定される。なお、管理者側装置2は、複数のダイバー側装置1を管理対象者として設定してもよい。ダイバー側装置1及び管理者側装置2で設定された内容は、サーバー3に送信され、記憶部32に記憶される。
【0032】
図4は、実施の形態1に係る情報通信システム100の動作の流れを示す図である。図4に示すように、まず、ダイバーによってダイビングの開始を示すエントリーの操作が行われる(S1)。詳しくは、情報共有の設定後、ダイバーはダイバー側装置1を装着して海に入る。この時のダイバー側装置1の操作表示部14には、ホーム画面52が表示される。図5は、実施の形態1に係るダイバー側装置1に表示されるホーム画面52の一例である。図5に示すように、ホーム画面52は、ダイブモード選択ボタン521、水中モード選択ボタン522、地図表示ボタン523、及びダイビングログ表示ボタン524を含む。
【0033】
ダイブモード選択ボタン521は、ダイブモードを選択するためのボタンであり、ダイビングを行う際に選択される。水中モード選択ボタン522は、水中モードを選択するためのボタンであり、水中において状態を確認する際に選択される。地図表示ボタン523は、ダイバーの位置情報を表示するためのボタンである。ダイビングログ表示ボタン524は、ダイビングログを表示するためのボタンである。ダイバーがホーム画面52においてダイブモード選択ボタン521を押すと、ダイバー側装置1の操作表示部14に、ダイブ画面53が表示される。
【0034】
図6は、実施の形態1に係るダイバー側装置1に表示されるダイブ画面53の一例である。図6に示すように、ダイブ画面53は、ダイバーの位置情報を示す地図531と、エントリーボタン532と、エグジットボタン533と、を有する。エントリーボタン532は、ダイバーが水中に潜る前に押されるボタンである。エグジットボタン533は、ダイバーが水中から浮上した場合に押されるボタンである。ステップS2のエントリーの操作は、ダイバーによってエントリーボタン532が押されることで行われる。
【0035】
なお、図6においては、エントリーボタン532及びエグジットボタン533がダイバー側装置1の操作表示部14に表示されるソフトキーとなっているが、これらのボタンをハードキーとして設けてもよい。エントリーボタン532及びエグジットボタン533をハードキーとして設けることで、ダイバーの手又は操作表示部14が水に濡れている場合も操作しやすくなる。
【0036】
図4に戻って、ダイバーによってエントリーの操作が行われると、ダイバー側装置1は、エントリー時の位置情報と時刻情報をエントリー情報としてサーバー3に送信する(S2)。エントリー時の位置情報は、センサ部15のGPSセンサによって取得され、時刻情報は計時部16によって取得される。そして、サーバー3は、ダイバー側装置1から受信したエントリー情報を記憶部32に記憶し(S3)、管理者側装置2にダイバー側装置1のエントリー情報が記憶されたことを通知する(S4)。
【0037】
管理者側装置2では、サーバー3からの通知が表示される(S5)。図7は、実施の形態1に係る管理者側装置2に表示される通知240の一例である。図7に示すように、通知240は、ダイバーの情報が更新されたことを通知するメッセージを含む。また、通知240は、ダイバー側装置1のエントリー情報(すなわちダイバーの位置情報及び時刻情報)を含んでもよい。通知240は、プッシュ通知であり、管理者側装置2においてダイビング用通信機能の画面を表示していない場合にも操作表示部24に表示される。このように、管理者側装置2において通知240を表示することで、ダイバーがエントリーしたことを、管理者がリアルタイムで知ることができる。
【0038】
図4に戻って、ダイバーが水中に潜ると、ダイバー側装置1は自動的に水中モードに切り替わり、センサ部15の測定データに基づくダイビングログの記録が行われる(S6)。ここでは、センサ部15の各センサによって水圧、水温、及び心拍数などが測定され、時刻情報とともにダイビングログとして記憶部12に記憶される。
【0039】
また、ダイバー側装置1の操作表示部14には、センサ部15の測定データを含む状態画面54が表示される。図8は、実施の形態1に係るダイバー側装置1に表示される状態画面54の一例である。図8に示すように、状態画面54は、水深表示部541、ダイブ時間表示部542、NDL表示部543、水温表示部544、及び心拍数表示部545を含む。
【0040】
水深表示部541には、現在の水深(m)が表示される。水深は、センサ部15によって測定された水圧から求められる。ダイブ時間表示部542には、計時部16によって計測されたエントリーからの経過時間が表示される。NDL表示部543には、減圧停止を必要とせずにその水深にいることができる時間である無限圧潜水時間(NDL:No Decompression Limit)が表示される。NDLは水圧とダイブ時間とから求められる。水温表示部544には、水温(℃)が表示され、心拍数表示部545には、ダイバーの心拍数(bpm)が表示される。ダイバーは、ダイバー側装置1の操作表示部14に表示された状態画面54を見ることで、現在の自身の状態及び周囲の環境を確認することができる。
【0041】
図4に戻って、ダイビングが終了し、ダイバーが水面に浮上すると、ダイバーによってダイビングの終了を示すエグジットの操作が行われる(S7)。詳しくは、ダイバーが水面に浮上することにより、ダイバー側装置1は自動的にマップモードに切り替わり、ダイバー側装置1の操作表示部14には、図6に示すダイブ画面53が表示される。そして、ダイバーによってダイブ画面53のエグジットボタン533が押されることで、エグジットの操作が行われる。
【0042】
ダイバーによってエグジットの操作が行われると、ダイバー側装置1は、エグジット時の位置情報と時刻情報とをエグジット情報としてサーバー3に送信する(S8)。エグジット時の位置情報は、センサ部15のGPSセンサによって取得され、時刻情報は計時部16によって取得される。そして、サーバー3は、ダイバー側装置1から受信したエグジット情報を記憶部32に記憶し(S9)、管理者側装置2にダイバー側装置1のエグジット情報が記憶されたことを通知する(S10)。管理者側装置2では、サーバー3からの通知が表示される(S11)。この時の通知240は、図7と同様にプッシュ通知であり、ダイバーの情報が更新されたことを通知するメッセージを含む。また、通知240は、ダイバー側装置1のエグジット情報(すなわちダイバーの位置情報及び時刻情報)を含んでもよい。なお、ダイバー側装置1は、ダイバーが水面に浮上した時点で自動的に(すなわちダイバーによるエグジットの操作無しに)エグジット情報をサーバー3に送信してもよい。
【0043】
その後、ダイバー側装置1は、現在の位置情報と時刻情報とを含む現在位置情報を定期的にサーバー3に送信する(S12)。サーバー3では、ダイバー側装置1から受信した現在位置情報を記憶部32に記憶する(S13)。ダイビング中、ダイバーによる潜水及び浮上の都度、ステップS1~S13の処理が実施される。
【0044】
管理者側装置2は、ダイビング用通信機能を用いて、ダイバーの現在位置を確認することができる。具体的には、管理者側装置2は、ダイバーの現在の位置を確認するための位置情報を要求する(S14)。サーバー3は、管理者側装置2から位置情報の要求を受信すると、記憶部32に記憶されたダイバーの現在位置情報に基づき、マップ画面61を生成し、管理者側装置2に送信する(S15)。管理者側装置2は、サーバー3から受信したマップ画面61を操作表示部24に表示する(S16)。
【0045】
図9は、実施の形態1に係る管理者側装置2に表示されるマップ画面61の一例である。図9に示すように、マップ画面61は、地図611と、地図内に表示されたアイコン612と、ダイバー情報表示部613とを含む。地図611には、管理者側装置2が管理対象に設定した1つ又は複数のダイバー側装置1のアイコン612が表示される。各アイコン612の地図611上の位置は、各ダイバー側装置1の最新の位置情報に対応している。ダイバー情報表示部613には、管理者側装置2が管理対象に設定したダイバー側装置1のダイバー情報が表示される。ダイバー情報は、ダイバーの名前、アイコン、エントリー情報及びエグジット情報を含む。なお、ダイバー情報表示部613に表示される情報は、上記に限定されない。例えば、ダイバー情報表示部613のアイコンをクリックした場合に、ダイバーの緊急連絡先などの詳細情報を表示するようにしてもよい。
【0046】
管理者側装置2にマップ画面61を表示することで、管理者が個別のダイバーの情報を一つ一つ確認する必要がなく、管理対象の複数のダイバーの現在位置を一目で容易に把握することができる。これにより、ダイバーの現在位置へボートを移動させるなどの対応を迅速にとることができる。なお、管理者側装置2において、ダイバーのエントリー後、及びエグジット後など、任意のタイミングでマップ画面61を表示してもよい。例えば、サーバー3から管理者側装置2に対して、ダイバーのエントリー又はエグジットが通知された際に、管理者側装置2はサーバー3に位置情報を要求してもよい。この場合、サーバー3は、エントリー情報又はエグジット情報に基づきマップ画面61を生成し、管理者側装置2に送信する。この場合のマップ画面61は、図9と同様に地図611と、地図内に表示されたアイコン612と、ダイバー情報表示部613とを含む。また、この場合のアイコン612の地図611上の位置は、各ダイバー側装置1のエントリー時の位置情報又はエグジット時の位置情報に対応する。
【0047】
図4に戻って、ダイビングの終了後、ボート又は家に戻ったダイバーは、ダイバー側装置1の記憶部12に記憶されたダイビングログをサーバー3に送信する(S17)。サーバー3は、ダイバー側装置1から受信したダイビングログを記憶部32に記憶する(S18)。ダイバー側装置1及び管理者側装置2は、サーバー3に記憶されたダイビングログを確認することができる。
【0048】
例えば、管理者側装置2において、ダイバーのダイビングログが要求されると(S19)、サーバー3は、記憶部32に記憶されたダイバーのダイビングログに基づきログ画面62を生成し、管理者側装置2に送信する(S20)。管理者側装置2は、サーバー3から受信したログ画面62を操作表示部24に表示する(S21)。なお、ダイバー側装置1は、無線LAN又はBluetooth(登録商標)によって管理者側装置2と同期を行い、記憶部12に記憶されたダイビングログを管理者側装置2に直接送信してもよい。
【0049】
図10は、実施の形態1に係る管理者側装置2に表示されるログ画面62の一例である。図10に示すように、ログ画面62は、ダイバーの名前621と、ダイビング場所622と、ダイビングログ623と、ダイブグラフ624とを含む。ダイビングログ623は、エントリー時間、エグジット時間、ダイブ時間、最高水深、及び水温などを含む。また、ダイブグラフ624は、ダイビングログとして記憶された測定データの時系列データをグラフ化したものである。ダイバー側装置1においても、ダイビングログを要求することで、図10のログ画面62を表示することができる。これにより、ダイビング後にダイビングログを確認することができ、今後のダイビング計画などに役立てることができる。
【0050】
以上のように、本実施の形態の情報通信システム100によると、管理者側装置2において、ダイバー側装置1のエントリー情報、エグジット情報、及び現在位置情報などを共有することで、ダイバーの状況及び現在位置を把握することができる。これにより、ダイバーの浮上位置が予定の位置よりずれた場合なども、ダイバーを迅速に迎えにいくことができ、ダイバーの安全性を向上させることができる。
【0051】
以上が実施の形態の説明であるが、上記の実施の形態は適宜変形することが可能である。例えば、上記実施の形態では、ダイバー側装置1にて、1台の管理者側装置2を共有対象者として設定することとしたが、複数の管理者側装置2を共有対象者として設定してもよい。例えば、共有対象者として、家族又は友人を登録してもよい。この場合、管理者側装置2は、家族又は友人が所持するスマートフォン又はタブレット端末である。これにより、離れた場所にいる家族及び友人もダイバーの状況を知ることができる。また、ダイバー側装置1を、サーバー3及び管理者側装置2以外の外部装置と通信できる構成としてもよい。例えば、ダイバー側装置1から外部装置に対して救援依頼を送信できる構成としてもよい。
【0052】
また、上記実施の形態では、管理者側装置2からダイバー側装置1の現在位置がわかる構成としたが、ダイバー側装置1から管理者側装置2の現在位置がわかるようにしてもよい。図11は、変形例1に係る情報通信システム100の動作の流れを示す図である。図11に示す処理は、図4に示す処理の任意のタイミングで実施することができる。本変形例において、管理者側装置2は、GPSセンサ及び計時部を有し、自身の位置情報及び時刻情報を取得できるものとする。
【0053】
図11に示すように、管理者側装置2は、現在の位置情報と時刻情報とを含む現在位置情報を定期的に又はダイバー側装置1からの要求に応じてサーバー3に送信する(S31)。サーバー3では、管理者側装置2から受信した現在位置情報を記憶部32に記憶する(S32)。そして、ダイバー側装置1において、管理者側装置2の位置情報が要求される(S33)。サーバー3は記憶部32に記憶された管理者側装置2の現在位置情報に基づきマップ画面55を生成し、ダイバー側装置1に送信する(S34)。ダイバー側装置1の操作表示部14には、サーバー3から受信したマップ画面55が表示される(S35)。
【0054】
図12は、変形例1に係るダイバー側装置1に表示されるマップ画面55の一例である。図12に示すように、マップ画面55は、地図551と、地図内に表示されたダイバーのアイコン552と、管理者のアイコン553とを含む。地図551には、ダイバーのアイコン552に加え、ダイバー側装置1が共有対象者に設定した管理者側装置2のアイコン553が表示される。各アイコンの地図551上の位置は、ダイバー側装置1及び管理者側装置2の最新の位置情報に対応している。ダイバー側装置1においてマップ画面55を表示することで、管理者がいるボートの位置をダイバーが知ることができ、はぐれてしまった場合もボートに向かうなどの対応をとることができる。
【0055】
その他の変形例として、上記実施の形態では、管理者側装置2に表示されるマップ画面61では、ダイバー側装置1の現在位置が表示される構成としたが、これに限定されるものではない。図13は、変形例2に係る管理者側装置2に表示されるマップ画面63の一例である。図13に示すように、マップ画面63は、ダイバー側装置1のエグジット情報の履歴を含むものであってもよい。図13では、ダイバー側装置1において、エントリーとエグジットが3回繰り返された場合の例を示している。マップ画面63は、地図631と、同じダイバーの複数のアイコン632と、ダイバー情報を表示するダイバー情報表示部633とを含む。複数のアイコン632の地図631上の位置は、最初のログL1のエグジット時の位置情報と、2回目のログL2のエグジット時の位置情報と、3回目のログL3のエグジット時の位置情報とにそれぞれ対応する。ダイバー情報は、ダイバーの名前、アイコン、及び各ログL1~L3におけるエントリー情報及びエグジット情報を含む。このような表示を行うことで、ダイバーの移動経路を追うことができ、現在位置を推定することができる。
【0056】
さらに、上記実施の形態では、ダイバー側装置1はエントリー情報及びエグジット情報の両方を送信する構成としたが、ダイバー側装置1は、エントリー情報及びエグジット情報の少なくとも何れか一方を送信すればよい。例えば、ダイバーのエントリー時の位置は、ダイビングの開始位置であり、管理者が把握できる場合が多いため、ダイバー側装置1はエグジット情報のみを送信するものであってもよい。
【0057】
また、上記実施の形態では、ダイバー側装置1と管理者側装置2とが、サーバー3を介してクラウド通信を行う構成としたが、ダイバー側装置1と管理者側装置2とがサーバー3を介さず、直接通信するものであってもよい。この場合は、ダイバー側装置1又は管理者側装置2の何れか、又は両方がサーバー3の機能を実施するものとする。
【符号の説明】
【0058】
1 ダイバー側装置、2 管理者側装置、3 サーバー、11、21、31 制御部、12、22、32 記憶部、13、23、33 通信部、14、24 操作表示部、15 センサ部、16 計時部、51 設定画面、52 ホーム画面、53 ダイブ画面、54 状態画面、55、61、63 マップ画面、62 ログ画面、100 情報通信システム、200 ネットワーク、240 通知、510 アイコン設定部、511 名前設定部、512 通知設定部、513 共有設定部、514 共有時間設定部、515 共有者設定部、521 ダイブモード選択ボタン、522 水中モード選択ボタン、523 地図表示ボタン、524 ダイビングログ表示ボタン、531 地図、532 エントリーボタン、533 エグジットボタン、541 水深表示部、542 ダイブ時間表示部、543 NDL表示部、544 水温表示部、545 心拍数表示部、551、611、631 地図、552、553、612、632 アイコン、613 ダイバー情報表示部、621 名前、622 ダイビング場所、623 ダイビングログ、624 ダイブグラフ、633 ダイバー情報表示部。
【要約】
【課題】ダイバーの安全性を向上させることができる情報通信システムを提供することを目的とする。
【解決手段】情報通信システムであって、ダイビングを行うダイバーにより所持されるダイバー側装置と、管理者により所持される管理者側装置と、を備え、ダイバー側装置は、エントリー情報及びエグジット情報の少なくとも何れか一方、及び水面での現在位置情報を送信し、管理者側装置は、ダイバー側装置から送信されたエントリー情報及びエグジット情報の少なくとも何れか一方、及び現在位置情報を表示するものである。
【選択図】図4
図1
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図13