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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】不動産取引を支援するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20240101AFI20240705BHJP
【FI】
G06Q50/16
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024019283
(22)【出願日】2024-02-13
(62)【分割の表示】P 2023214128の分割
【原出願日】2023-08-24
【審査請求日】2024-05-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和5年2月7日にウェブサイト「https://facilo.jp/product/」で公開
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522106097
【氏名又は名称】株式会社Facilo
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市川 紘
【審査官】星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-177594(JP,A)
【文献】特開2019-185815(JP,A)
【文献】特開2017-126174(JP,A)
【文献】図面編集・帯替えRPA機能,[online],2022年06月26日,[検索日 2024.2.21], インターネット<URL: https://web.archive.org/web/20220626173618/https://forest.openrm.jp/features/rpa.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバが、物件についての、当該物件の所在地の情報を含むテキスト情報を端末から収集するステップと、
不動産データベースから取得され、掲載者の情報を含む物件を紹介するための物件紹介資料データを、前記端末から前記サーバへ送信するステップと、
前記サーバにて、前記掲載者の情報が前記端末に対応する連絡先に変更された物件紹介資料データを生成する連絡先変更処理を行うステップと、
前記サーバが、前記端末から、物件IDおよび送信先情報のうち少なくともいずれか一方を含む、電子メールの送信要求を受信するステップと、
前記サーバが、前記送信要求に応じて、前記物件IDまたは前記送信先情報にて特定される物件についての、前記連絡先変更処理がなされた物件紹介資料データおよび当該物件紹介資料データに対応付けられたテキスト情報へアクセスするためのアクセス情報が含まれた電子メールを、前記送信先情報で特定される送信先へ送信するステップと
を有する情報処理方法。
【請求項2】
前記端末において、前記送信要求に含まれる物件IDと前記送信先情報とを対応付けるステップをさらに有する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記サーバが受信した送信要求において前記送信先情報が含まれていない場合、前記サーバは、前記端末に対し当該送信先情報を要求するステップをさらに有する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記サーバが、前記端末のユーザが担当する顧客と物件IDとを予め対応付けておく登録ステップと、
前記サーバが、前記受信した送信要求に係る送信先情報が前記登録ステップにて登録されている場合、当該送信先情報に対応付けられた物件IDで特定される物件についての前記アクセス情報を前記電子メールに含ませるステップ
さらに有する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記サーバが、前記アクセス情報を前記端末へ通知するステップをさらに有する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記サーバは、前記端末に受け付けられた、内見の日程調整の対象となる物件を特定するステップと、
前記サーバは、該特定した物件の物件紹介資料データに含まれる掲載者の情報によって特定される売主側業者の担当者へ、前記日程調整を要請する旨の電子メールを送信するステップと
をさらに有する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項7】
該特定される物件には複数の物件が含まれ、
前記テキスト情報に含まれる各物件の所在地の情報に基づいて、当該複数の物件を内見する際の移動ルールを決定するステップと、
該決定した移動ルールを前記端末に表示させるステップと
をさらに有する
請求項6に記載の情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
物件についてのテキスト情報を端末から収集するステップと、
不動産データベースから取得され、掲載者の情報を含む物件を紹介するための物件紹介資料データを、前記端末から受信するステップと、
前記掲載者の情報が前記端末に対応する連絡先に変更された物件紹介資料データを生成する連絡先変更処理を行うステップと、
前記端末から、物件IDおよび送信先情報のうち少なくともいずれか一方を含む、電子メールの送信要求を受信するステップと、
前記送信要求に応じて、前記物件IDまたは前記送信先情報にて特定される物件についての、前記連絡先変更処理がなされた物件紹介資料データおよび当該物件紹介資料データに対応付けられたテキスト情報へアクセスするためのアクセス情報が含まれた電子メールを、前記送信先情報で特定される送信先へ送信するステップと
を実行させるためのプログラム。
【請求項9】
物件についてのテキスト情報を端末から収集する手段と、
不動産データベースから取得され、掲載者の情報を含む物件を紹介するための物件紹介資料データを、前記端末から受信する手段と、
前記掲載者の情報が前記端末に対応する連絡先に変更された物件紹介資料データを生成する連絡先変更処理を行う手段と、
前記端末から、物件IDおよび送信先情報のうち少なくともいずれか一方を含む、電子メールの送信要求を受信する手段と、
前記送信要求に応じて、前記物件IDまたは前記送信先情報にて特定される物件についての、前記連絡先変更処理がなされた物件紹介資料データおよび当該物件紹介資料データに対応付けられたテキスト情報へアクセスするためのアクセス情報が含まれた電子メールを、前記送信先情報で特定される送信先へ送信する手段と
を有する情報処理装置。
【請求項10】
サーバ装置と端末とを有する情報処理システムであって、
前記サーバ装置は、
物件についてのテキスト情報を端末から収集する手段と、
不動産データベースから取得され、掲載者の情報を含む物件を紹介するための物件紹介資料データを、前記端末から受信する手段と、
前記掲載者の情報が前記端末に対応する連絡先に変更された物件紹介資料データを生成する連絡先変更処理を行う手段と、
前記端末から、物件IDおよび送信先情報のうち少なくともいずれか一方を含む、電子メールの送信要求を受信する手段と、
前記送信要求に応じて、前記物件IDまたは前記送信先情報にて特定される物件についての、前記連絡先変更処理がなされた物件紹介資料データおよび当該物件紹介資料データに対応付けられたテキスト情報へアクセスするためのアクセス情報が含まれた電子メールを、前記送信先情報で特定される送信先へ送信する手段と
を有し、
前記端末は、
前記不動産データベースから、掲載者の情報を含む物件を紹介するための物件紹介資料データを取得する手段と、
前記テキスト情報を前記サーバ装置へ送信する手段と、
前記物件紹介資料データを前記サーバ装置へ送信する手段と、
前記送信要求を前記サーバ装置へ送信する手段と
を有する、
情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不動産の取引を支援するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、不動産の売買又は賃貸等の取引を、情報通信技術を用いて支援する技術が種々提案されている。例えば、特許文献1には、不動産契約の申込から契約の成立までに発生する取引の関係者の負担を軽減するためのシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2023-042885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
不動産物件(以下、単に「物件」)の売買又は賃貸の仲介業務では、物件の売主又は貸主を顧客とする業者(以下、売主側業者)と物件の買主又は借主を顧客とする業者(以下、買主側業者)とが異なる場合がある。売主側業者と買主側業者とが異なる状況下では、物件を紹介する資料(例えば、物件の間取りを表す図面、物件の外観を示す画像等が掲載された資料、及び売主側業者の帯が掲載された資料)を買主側業者が顧客に引き渡す場合、売主側業者から送られてきた資料における売主側業者の帯を自身(即ち、買主側業者)の帯に変更する「帯替え」を行い、帯替え後の資料を顧客に引き渡すこととなる。帯には、不動産の仲介業者の名称、不動産取引に関する免許番号、当該仲介業者の所在地、及び連絡先(メールアドレス、電話番号、及び担当者氏名)等が含まれる。従来、この帯替えは人手で行われることが一般的であり、多大な手間を要していた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、一の態様において、端末が不動産データベースから取得した、掲載者の情報を含む、取引対象物件を紹介する資料を表す画像データを、当該端末からサーバへ送信するステップと、前記サーバにて、前記掲載者の情報が前記端末に対応する連絡先に変更された資料の画像データを生成する帯替え処理を行うステップと、前記サーバが、前記帯替え処理がなされた画像データへのアクセス先情報を通知するステップと、を有する情報処理方法を提供する。
この態様に係る情報処理方法によれば、物件資料についての帯替えが自動で実行されるので、帯替えの手間が軽減される。帯替えの手間が軽減される分だけ、仲介業者は顧客への提案活動に更に注力することが可能になる。このように、第1の態様に係る情報処理方法によれば、物件資料についての帯替えを自動化することにより、仲介業者による顧客への提案活動を支援することが可能になる。
【0006】
好ましい態様において、前記サーバが、前記端末が前記不動産データベースにアクセスすることによって取得した物件の情報を収集するステップと、前記サーバにて、前記端末から取得した情報に基づいて、各物件の物件IDと当該物件に関するテキスト情報に基づいて生成される情報とを対応付けて記憶するステップと、前記端末にて、前記取得した画像データのファイル名を、前記物件IDを用いて変更するステップと、前記サーバが、前記端末から受信した画像データのファイル名から特定される物件に対応付けられた情報を、前記帯替え処理がなされた画像データに対応付けて記憶するステップと、を更に有し、前記通知するステップにおいて、前記帯替え処理がなされた画像データに対応付けられた情報へのアクセス先を更に通知する。この態様に係る情報処理方法によれば、取引対象の
物件を紹介する資料を表す画像データとテキスト情報とをセットで取得することが可能になる。
【0007】
他の好ましい態様において、前記帯替え処理において、前記端末に対応する連絡先を示す複数の連絡先データのなかから、前記取得した画像データに応じて決定される一の連絡先データが用いられる。この態様に係る情報処理方法によっても、取引対象の物件を紹介する資料を表す画像データとテキスト情報とをセットで取得することが可能になる。
【0008】
他の好ましい態様において、前記サーバが、前記端末から、資料の提案先の端末の指定を受け付けるステップを更に有し、前記サーバは、前記通知するステップにおいて、前記帯替え処理がなされた画像データへのアクセス先を含む案内情報を、該指定された提案先の端末へ送信する。この態様に係る情報処理方法によれば、買主側仲介業者の顧客に物件を案内をすることが可能になる。
【0009】
他の好ましい態様において、前記端末にて、前記不動産データベースから取得した複数の物件についての情報のうち、画像データが前記不動産データベースから取得済みである物件については、未取得である物件と区別可能な態様で表示するステップを更に有する。この態様に係る情報処理方法によれば、資料を表す画像データが取得済みかどうかを端末を用いて把握することができる。
【0010】
他の好ましい態様において、前記サーバが、前記収集するステップにおいて前記端末が前記データベースから複数回情報を取得した場合に、価格変動が生じた物件を特定するステップと、該特定された物件の識別情報を前記端末へ通知するステップと、前記端末にて、前記サーバから取得した物件情報とともに、価格変動が生じたことを示す情報を表示するステップと、を更に有する。この態様に係る情報処理方法によれば、価格変動が生じた物件の物件情報及び価格変動が生じたことを示す情報が端末に表示されるので、顧客への提案の意思決定に役立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の情報処理方法を実行する情報システム1の構成例を示す図である。
図2】物件を紹介する資料ADの一例を示す図である。
図3】情報システム1に含まれる業務支援サーバ30の構成例を示す図である。
図4】第2端末20に表示されるリストLの表示例を示す図である。
図5】第2端末20に表示されるリストLの他の表示例を示す図である。
図6】価格変動を通知するポップアップMの第2端末20における表示例を示す図である。
図7】情報システム1を利用した帯替えにおける第2端末20、業務支援サーバ30、及びデータベースサーバ40の各装置の動作の流れを示すシーケンス図である。
図8】情報システム1を利用した取引対象物件の提案における第1端末10、第2端末20、及び業務支援サーバ30の各装置の動作の流れを示すシーケンス図である。
図9】内見の日程調整に関する変形例において第2端末20に表示させる画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<A.実施形態>
以下に述べる実施形態には技術的に好ましい種々の限定が付されている。しかし、本発明の実施形態は、以下に述べる形態に限られるものではない。
【0013】
図1は、本発明の情報処理方法を実行する情報システム1の構成例を示す図である。図1に示されるように、情報システム1は、第1端末10と、第2端末20と、業務支援サ
ーバ30と、データベースサーバ40と、を含む。第1端末10、第2端末20、業務支援サーバ30、及びデータベースサーバ40は、例えばインターネット等の通信網NWに有線又は無線により接続される。第1端末10、第2端末20、業務支援サーバ30、及びデータベースサーバ40の各々は、通信網NWを介して互いにデータ通信を行う。
【0014】
第1端末10は、不動産物件の購入を所望・検討しているユーザ(以下、「買主」とい
う)によって使用される情報処理端末である。第1端末10の具体例としては、スマート
フォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータが挙げられる。第1端末10には、webブラウザ及びメーラー等の各種アプリケーションソフトが予めインストールされている。第1端末10のユーザは、これらアプリケーションソフトウェアを第1端末10に実行させることにより、各種webページの閲覧、及び電子メールの送受信等を行うことができる。図1には、第1端末10が一つのみ図示されているが、複数の第1端末10が情報システム1に含まれてもよい。
【0015】
第2端末20は、買主に対して不動産物件の提案を行う仲介業者(即ち、買主側業者)によって保有・管理されるものであって、買主側業者の従業員等によって使用される情報処理端末である。第2端末20は、第1端末10と同様に、スマートフォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータである。第2端末20には、第1端末10と同様に、webブラウザ及びメーラー等の各種アプリケーションソフトが予めインストールされている。第2端末20のユーザは、これらアプリケーションソフトウェアを第2端末20に実行させることにより、各種webページの閲覧、及び電子メールの送受信等を行うことができる。
【0016】
また、第2端末20は、後述するように、webブラウザを用いてデータベースサーバ40にアクセスして物件に関する資料をダウンロードする際に、ダウンロードしたデータのファイル名を所定の規則に従って変換する機能、その他業務支援サーバ30によって提供される情報とデータベースサーバ40から取得した情報との連携を円滑にするための各種機能は、例えばwebブラウザの拡張機能(プラグイン)として実装することができる。このプラグインは、例えばこの業務支援サーバ30が提供する各種サービスに登録する際に、業務支援サーバ30からダウンロードされる。
なお、図1には第2端末20が一つのみ図示されているが、複数の第2端末20が情報システム1に含まれてもよい。第2端末20は、本発明における端末の一例である。
【0017】
データベースサーバ40は、不動産データベースDB1を記憶したコンピュータ装置である。不動産データベースDB1には、買い手を募集中の不動産物件に関する資料の画像データが記憶される。図2は当該資料ADの一例を示す図である。資料ADを表す画像データには、物件の間取りの画像或いは物件の外観の画像を表すJPEGデータが含まれる。なお、この画像データは、JPEG形式には限定されず、PDFその他の形式データであってもよい。また、資料ADには、取引対象物件の仲介を行う売主側業者の帯Bが含まれる。売主側業者の帯Bに掲載される名称等の各種情報は、本発明における掲載者の情報の一例である。
なお、データベースサーバ40は、買主側業者とは異なる主体(企業、団体その他の法人)によって管理・運営されていてもよいし、買主側業者によって管理・運営されていてもよい。
【0018】
業務支援サーバ30は、買主側業者による仲介業務を支援する業務支援サービスを、予め登録済のユーザに対して提案するコンピュータ装置である。本実施形態における第2端末20のユーザ(仲介業者の営業マン等)は、予め、上記業務支援サービスの利用登録行っている。本実施形態における業務支援サービスには、データベースサーバ40から取得した画像データの表す資料における売主側業者の帯を買主側業者の帯に差し替える帯替え
処理が含まれる。
なお、業務支援サーバ30は、買主側業者とは異なる主体(企業その他の法人など)によって管理・運営されてもよいし、買主側業者と同一の主体によって管理・運営されてもよい。
【0019】
図3は、業務支援サーバ30の構成例を示す図である。図3に示されるように、業務支援サーバ30は、通信装置310、記憶装置320、処理装置330、及びこれら構成要素間のデータ授受を仲介するバス340を有する。
【0020】
通信装置310は、有線又は無線により通信網NWに接続される送受信デバイスである。通信装置310は、通信網NWに有線又は無線により接続される他の装置から送信されるデータを受信する一方、当該他の装置へデータを送信する。通信装置310の通信相手となる他の装置の具体例としては、第1端末10及び第2端末20が挙げられる。
【0021】
記憶装置320は、例えばハードディスク等の不揮発性記憶装置とRAM(Random Access Memory)等の揮発性記記憶装置とを含む。なお、図3では、不揮発性記憶装置及び揮発性記記憶装置の図示は省略されている。不揮発性記憶装置には、前述の業務支援サービスを実現するためのプログラムPR1が予め記憶されている。揮発性記憶装置は当該プログラムPR1を実行する際のワークエリアとして利用される。本実施形態では、業務支援サーバ30とデータベースサーバ40とが別個の装置であるが、両者が同一の装置であってもよい。具体的には、不動産データベースDB1は、業務支援サーバ30が有する記憶装置320に記憶されていてもよい。
【0022】
処理装置330は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のコンピュータである。処理装置330は、業務支援サーバ30の電源(図3では図示略)の投入を契機としてプログラムPR1を不揮発性記憶装置から揮発性記憶装置へ読み出し、当該プログラムPR1の実行を開始する。処理装置330は、プログラムPR1に従って作動することにより、本発明の情報処理方法を実行する。この情報処理方法が実行されることにより、業務支援サービスが実現される。以下、この情報処理方法について図7及び図8を参照しつつ説明する。図7及び図8は、本発明の情報処理方法における第2端末20、業務支援サーバ30、及びデータベースサーバ40の各装置の動作の流れを示すシーケンス図である。
【0023】
第2端末20のユーザは、第2端末20においてwebブラウザを実行し、業務支援サービスにログインする。業務支援サービスにログインすると、第2端末20には、業務支援サービスの利用を促すために第2端末20のユーザに予め割り当てられたwebページ(即ち、第2端末20のユーザのマイページ)が表示される(SA100)。
【0024】
また、第2端末20は、ユーザの入力操作に応じてデータベースサーバ40にアクセスすることができる。データベースサーバ40にアクセスすることにより、第2端末20は、取引対象物件の候補となる物件の検索する検索処理(SA110)を実行する。そして、第2端末20は、検索処理により得られた各種情報を表示する結果表示処理(SA120)を実行する。
【0025】
例えば、取引対象物件の候補となる物件について価格、所在地又は築年数等の条件を指定して検索が行われた場合、結果表示処理では、当該条件を満たす物件に関する情報を掲載したリストが表示される。図4は、結果表示処理にて表示されるリストLの一例を示す図である。図4に示されるように、このリストLには、物件を一意に識別するための識別情報である物件IDと当該物件に関するテキスト情報(図4に示す例では、物件の名称、所在地、及び価格の各々を表す文字列情報)とが掲載される。物件IDの一例としては、
売主側業者等により物件に割り当てられた固有の識別番号(通し番号)が挙げられる。
【0026】
検索処理にてテキスト情報が取得される物件には、当該物件を紹介する資料の画像データを取得済の物件と、同画像データを未取得の物件と、が含まれ得る。結果表示処理では、第2端末20は、前者の物件と後者の物件とを区別可能な態様で表示してもよい。物件を紹介する資料の画像データを取得済の物件と同画像データを未取得の物件とを区別可能にする表示態様の具体例としては、前者の物件に関しては物件ID及びテキスト情報を黒色の文字で表示し、後者に物件に関してはこれら情報を赤色の文字で表示する等、前者の物件と後者の物件とで物件ID及びテキスト情報の表示色を異ならせる態様が考えられる。また、図5に示されるように、前者の物件と後者の物件とで文字の背景色と前景色とを反転させる態様が考えられる。図5に示す例では、物件IDが02の物件について、資料を表す画像データが取得済である。このようにすることにより、第2端末20のユーザは、リストに掲載された各物件について、すでに資料が取得されているか否かを迅速に把握できる。
【0027】
また、業務支援サーバ30は、第2端末20から複数回取得した表示データを分析し、価格変動が生じた物件を特定するステップ、及び特定された物件の物件IDを第2端末20へ通知するステップを実行してもよい。そして、第2端末20は、業務支援サーバ30からの通知に基づいて、図6に示されるように、価格変動があったことを示す情報(図6に示す例では、ポップアップM)をリストLに重ねて表示してもよい。図6に示す例では、物件IDが02の物件について価格変動が発生したことが示されている。なお、上記ポップアップMには、価格変動が発生した日時等が表示されてもよい。これにより、第2端末20のユーザは価格変動その他の取引条件における変化があったことを迅速に把握できる。この結果、買主への迅速かつきめ細やかな提案を行うことが容易になる。
なお、価格変動が生じたか否か以外にも、ある物件について追加、修正、更新等された情報項目を検出した場合、必要に応じて、これを第2端末へ通知してもよい。このようにすることで、データベースサーバ40や第2端末20に、提供または受信した情報が更新等されたか否かの機能がなくても、そして業務支援サーバ30がデータベースサーバ40に逐次ないし定期的にアクセスする必要なく、第2端末20のユーザに情報が更新等されたことが通知される。なお、更新等された情報のうち通知の対象となる情報を第2端末20のユーザが予め指定おき、これを業務支援サーバ30に通知しておいてもよい。
【0028】
前述したリストを表示している状態の第2端末20は、ユーザの指示に応じて、当該リストを表す表示データを業務支援サーバ30へ送信する第1送信処理(SA130)を実行する。この表示データには、上記リストに掲載された物件IDとテキスト情報との対が含まれる。業務支援サーバ30の処理装置330は、通信装置310を用いて表示データを受信すると、記憶処理(SA140)を実行する。この記憶処理では、処理装置330は、受信した表示データの含まれる物件IDと当該物件IDと対になるテキスト情報とを互いに対応付けて記憶装置320に書き込む。
【0029】
なお、記憶処理において、処理装置330は、テキスト情報に物件の所在地を示す情報が含まれている場合、当該所在地に対応する緯度及び経度を示す情報を取得し、物件ID及びテキスト情報の対に当該情報又は当該情報に応じた地図情報を更に対応付けて記憶装置320に書き込んでもよい。また、処理装置330は、第2端末20から順次受信した複数の表示データに基づいて、第2端末20のユーザによる物件の閲覧履歴を生成し、当該閲覧履歴を示すデータを記憶装置320に記憶させてもよい。前述する第1送信処理及び記憶処理は、第2端末20が不動産データベースDB1にアクセスすることによって取得した物件の情報を収集するステップ、及び第2端末20から取得した情報に基づいて、各物件の物件IDと当該物件に関するテキスト情報に基づいて生成される情報とを対応付けて記憶するステップの一例である。
【0030】
第2端末20のユーザは、結果表示処理にて表示したリストを参照等することにより、取引対象物件の候補となる候補物件を選択する(SA150)。候補物件の選択が行われると、第2端末20は、取得処理(SA160)を実行する。取得処理SA150では、第2端末20は、選択された候補物件の物件IDを記憶するとともに、当該物件IDを含む画像送信要求をデータベースサーバ40へ送信することにより、当該候補物件に関する資料の画像データを取得する。そして、第2端末20は、取得した画像データのファイル名を当該候補物件の物件IDを用いて変更した上で当該画像データを保存する。本実施形態では、第2端末20は、取得した画像データのファイル名に候補物件の物件IDを埋め込むことにより、当該ファイル名を変更する。
【0031】
上記の要領でファイル名が変更された画像データを業務支援サーバ30へアップロードする第2送信処理(SA170)が第2端末20において実行されると、当該画像データが第2端末20から業務支援サーバ30へ送信される。業務支援サーバ30の処理装置330は、当該画像データを通信装置310により受信すると、帯替え処理(SA180)を実行する。
【0032】
この帯替え処理では、処理装置330は、第2端末20からアップロードされた画像データの表す資料における売主側業者の帯を、第2端末20に対応する連絡先を示す情報(即ち、買主側業者の帯)に変更する(差し替える)ことにより、帯替え済の資料を表す画像データを生成する。より詳細に説明すると、この帯替え処理では、処理装置330は、まず、AI等の画像認識アルゴリズムを用いることにより、第2端末20からアップロードされた画像データの表す資料における売主側業者の帯の部分を、(a)資料の下部に位置すること、(b)資料を横断する直線により他の部分から区分けされていること、(c)当該区分けされた部分の高さ及び形状等が所定の条件を満たすこと等を判断基準として推定する。そして、処理装置330は、これらの判断基準に基づいて帯に対応すると推定された部分に対して画像認識等を施すことにより他社の帯が検出された場合に当該帯を消去し、当該部分に第2端末20に対応する買主側業者の帯を挿入する。
【0033】
買主側業者の帯を表す連絡先画像データについては、第2端末20と対応付けて記憶装置320に予め記憶させておけばよい。当該連絡先画像データの表す帯の挿入の際には、処理装置330は、挿入先となる領域の大きさに応じて、連絡先画像データの表す帯を拡大又は縮小して挿入してもよい。また、各々異なる大きさ又は形状の帯を表す複数の連絡先画像データを第2端末20と対応付けて記憶装置320に予め記憶させておき、挿入先となる領域の大きさ又は形状に応じた(換言すれば、帯の挿入先となる画像データに応じた)連絡先画像データを処理装置330に選択させてもよい。
【0034】
帯替え処理に後続する紐づけ処理(SA190)では、処理装置330は、帯替え処理にて帯を変更済の画像データのファイル名に埋め込まれている物件IDを抽出し、当該物件IDに対応付けて記憶済のテキスト情報を当該画像データに対応付ける。なお、第2端末20から業務支援サーバ30への画像データのアップロードの際に、第2端末20は、帯替え後の資料の提案先(買主側業者の顧客)を第2端末20のユーザに指定させるステップを実行してもよい。この場合、紐づけ処理では、処理装置330は、帯を変更済の画像データに、上述のテキスト情報に加えて、第2端末20のユーザにより指定された提案先を示す情報を対応付けてもよい。
【0035】
紐づけ処理に後続する第1通知処理(SA200)では、処理装置330は、帯替え処理にて帯が変更された画像データにアクセスするための第1アクセス情報と、当該画像データに対応付けられたテキスト情報にアクセスするための第2アクセス情報とを、第2端末20へ通知する。第1アクセス情報の具体例としては、帯が変更された画像データの記
憶装置320における格納場所を示すURLが挙げられる。第2アクセス情報の具体例としては、上記画像データに対応付けられたテキスト情報の記憶装置320における格納場所を示すURLが挙げられる。
【0036】
第2端末20のユーザは、第1アクセス情報をクリック等することにより、帯を変更済の画像データにより表される資料を閲覧することができる。また、第2端末20のユーザは、第1アクセス情報をクリック等することにより、帯を変更済の画像データに対応付けられたテキスト情報を閲覧することができる。このように物件の資料について帯替えが自動で実行されるので、買主側業者の負荷が軽減される。
【0037】
図8に示されるように、第2端末20のユーザは、帯替え済の資料を確認した後、提案物件を決定すると、第2端末20を操作することにより、第2端末20に第3送信処理(SA210)を実行させる。この第3送信処理では、第2端末20は、案内メールの送信を依頼するメール送信依頼を業務支援サーバ30へ送信する。案内メールとは、提案物件に関する第1アクセス情報及び第2アクセス情報を含む電子メールである。メール送信依頼には、提案物件の物件IDが含まれる。メール送信依頼を受信した業務支援サーバ30の処理装置330は、判定処理(SA220)を実行する。この判定処理では、処理装置330は、メール送信依頼に含まれる物件IDについて提案先が指定されているか否か(即ち、提案先を示す情報が対応付けられているか否かを)を判定する。
【0038】
判定処理の判定結果が“Yes”である場合、処理装置330は、第2通知処理(SA240)を実行する。第2通知処理では、処理装置330は、提案物件に関する案内メールを、当該提案物件に対応する提案先へ送信する。例えば、提案物件に対応する提案先が第1端末10のユーザである場合、処理装置330は、提案物件に関する案内メールを第1端末10へ送信する。なお、帯替え処理にて帯が変更された画像データに、当該画像データの表す資料の提案先を示す情報が対応付けられていた場合には、処理装置330は、前述の第1通知処理において、案内メールを送信してもよい。案内メールは本発明における案内情報の一例である。案内メールの送信により、買主側業者の顧客に対して自動的に物件が案内される。
【0039】
これに対して、判定処理の判定結果が“No”である場合、処理装置330は、提案物件に関する資料の提案先の指定を受け付ける受付処理(SA230)を実行した後に第2通知処理を実行する。受付処理では、処理装置330は、提案先候補の情報を第2端末20へ送信し、提案先の端末を示す提案先情報を第2端末20から受信することによって、提案先の指定を受け付ける。
【0040】
以上説明したように、本実施形態によれば、物件に関する資料について帯替えが自動で実行されるので、買主側業者の負荷が軽減される。
【0041】
また、本実施形態によれば、第2端末20において物件に関する資料が取得されたか否かが表示されるので、どの物件が資料請求済みなのかそうでないのかを容易に把握することができる。この点に関し、データベースサーバ40が買主側業者とも業務支援サーバを運営する方針とも異なる主体(例えば不動産に関する情報を管理する団体であって、登録した不動産取引業者に対してデータを公開する団体)によって運営されており、且つ複数の物件に関する情報を、一括指定しないしは無作為に、ダウンロードする(いわゆるクローリングやスクレイピング)といった態様のアクセスを禁止するポリシーを適用している場合、買主側業者の従業員は、物件を個別に指定してその物件に資料をダウンロードし、手作業で帯替え処理を行い、帯が変更された画像データをローカルに保存していた。従って、どの物件が資料請求済みなのかそうでないのかを管理するのが難しかった。さらに、物件資料をダウンロードした本人については資料請求済みか否かの情報を把握できたとし
ても、その買主側業者に所属する他の従業員と共有することが困難であった。そのため、一つの物件について重複して資料を資料の取得および帯替え処理を実行してしまうことも現実的に考えられた。換言すると営業活動に用いる資料の管理が属人的になってしまいがちであった。これに対し本実施形態によれば、データベースサーバ40にアクセスポリシーに上述のような制約があったとしても、物件資料の取得の有無の確認や他の従業員との共有が容易となる。
【0042】
また、本実施形態によれば、帯替え後の資料をどの顧客に送付したかを管理することができるので、きめ細やかな営業活動を継続的に行うことが容易になる。この点に関し、特に不動産営業においては、同一顧客に対して継続的に営業活動を行うことが重要であるといわれているところ、例えばある顧客ことに時系列でどのような物件を提案しているのかを把握することが容易にできるため、次の提案内容を的確に決定することが容易になる。買主側業者が抱える複数の顧客に対して資料が送付された物件を分析することで、買主(候補)の属性と物件との関係その他の営業上有用となる情報を抽出することも容易となる。
【0043】
このように、本実施形態によれば、買主側業者による顧客への提案活動を支援することができる。
【0044】
<B:変形例>
上述した第実施形態は以下のように変形されてもよい。
上記実施形態においては、売主側にて原始的に作成され買主側に提供される文書について帯替え処理やこれに付随する処理を行うものであったが、買主側(あるいは借主側)にて原始的に作成され売主側に提供される文書についての帯替え処理やこれに付随する処理に適用してもよい。この場合、上記実施形態における第2端末20は、売主側業者の使用する情報処理端末となり、第1端末10は売主側業者の顧客である売主によって使用するものとなる。そしてデータベースサーバ40には、不動産データベースDB1に代えて、物件の買主又は借主に関する資料(例えば不動産の購入条件(物件の間取りや価格など))を表す画像データと当該買主又は借主に関するテキスト情報とを格納してデータベースを記憶させておけばよい。そして、物件IDに代えて、当該買主又は借主を一意に示す識別情報を用いる。
【0045】
買主への案内メールの送信の前段階として、第2端末20のユーザに対し、当該ユーザが担当する顧客の好みに適した物件が業務支援サーバ30によってレコメンドされてもよい。この場合、レコメンドされた顧客が当該ユーザに選択された場合に、業務支援サーバ30は当該顧客へ案内メールを送信する。具体的には、業務支援サーバ30は、各物件について、所在地、種別、及び築年数等の情報に基づいて顧客に提案する際の優先度を表すスコアを顧客毎に算出し、物件毎にレコメンドする顧客を決定すればよい。
【0046】
業務支援サーバ30は、案内メールにて紹介した物件について、内見(内覧)の日程調整を支援する機能を備えてもよい。例えば、業務支援サーバ30は、内見の日程調整となる物件が第2端末20において選択された場合に、図9に示す内見の開始日時及び終了日時を示す画面を第2端末20に表示させ、当該画面に対する操作に応じて、日程調整を要請する電子メールを当該物件の売主側業者の担当者宛てに送信してもよい。また、紹介した物件が複数ある場合には、各物件の位置情報(あるいはその顧客の住所)や地図情報や交通情報を用いて、これら複数の物件を順に内見する際の最適な移動ルールを特定し、特定した移動ルールを示す情報を合わせて第2端末20に表示させる機能を備えてもよい。
【0047】
要するに、本発明に係る情報システムにおいて、端末が不動産データベースから取得した、掲載者の情報を含む、取引対象物件を紹介する資料の画像データを、当該端末からサ
ーバへ送信するステップと、前記サーバにて、前記掲載者の情報が前記端末に対応する連絡先に変更された資料の画像データを生成する帯替え処理を行うステップと、前記サーバが、前記帯替え処理がなされた画像データへのアクセス先情報を通知するステップとが実行されればよい。
【符号の説明】
【0048】
1…情報システム、10…第1端末、20…第2端末、30…業務支援サーバ、310…通信装置、320…記憶装置、330…処理装置、340…バス、PR1…プログラム、40…データベースサーバ、DB1…不動産データベース、NW…通信網。
【要約】
【課題】不動産物件を紹介する資料の帯替えに要する手間を軽減することにより、不動産取引の仲介業務を支援する。
【解決手段】情報システム1は、第2端末20、不動産データベースDB1、及び業務支援サーバ30を有する。第2端末20は、不動産データベースDB1から取得した、掲載者の情報を含む、取引対象物件を紹介する資料の画像データを、業務支援サーバ30へ送信する。業務支援サーバ30は、掲載者の情報が第2端末20に対応する連絡先に変更された資料の画像データを生成し、当該生成した画像データへのアクセス先情報を第2端末20へ通知する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9