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特許7515228フォレート受容体1抗体及びそのイムノコンジュゲート及び使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】フォレート受容体1抗体及びそのイムノコンジュゲート及び使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/28 20060101AFI20240705BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20240705BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240705BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240705BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240705BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240705BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20240705BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 31/537 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 31/5513 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 31/337 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 31/407 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 31/7034 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 31/427 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240705BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20240705BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240705BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240705BHJP
   C12P 21/08 20060101ALN20240705BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C07K16/46
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K47/68
A61K45/00
A61K31/537
A61K31/5513
A61K31/337
A61K31/407
A61K31/7034
A61K31/427
A61K39/395 L
A61K39/395 T
A61P15/00
A61P11/00
C12N15/13
C12P21/08
【請求項の数】 46
(21)【出願番号】P 2022171587
(22)【出願日】2022-10-26
(62)【分割の表示】P 2021053225の分割
【原出願日】2011-02-24
(65)【公開番号】P2022191500
(43)【公開日】2022-12-27
【審査請求日】2022-10-26
(31)【優先権主張番号】61/413,172
(32)【優先日】2010-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/346,595
(32)【優先日】2010-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/307,797
(32)【優先日】2010-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512186793
【氏名又は名称】イミュノジェン, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オリガ アブ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル タバース
(72)【発明者】
【氏名】リンギュン ルイ
(72)【発明者】
【氏名】ギリアン パイン
(72)【発明者】
【氏名】ビクター エス. ゴールドマカー
【審査官】松原 寛子
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-500025(JP,A)
【文献】特表2009-521206(JP,A)
【文献】特表2010-503386(JP,A)
【文献】Eur.J.Biochem.,1989年,Vol.178,p.795-802
【文献】Methods in Molecular Biology (Therapeutic Antibodies Methods and Protocols),2009年,vol. 525,pp. 445-467
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C07K 16/00
C12N 1/15
C12N 1/19
C12N 1/21
C12N 5/10
A61K 47/68
A61K 45/00
A61K 31/537
A61K 31/5513
A61K 31/337
A61K 31/407
A61K 31/7034
A61K 31/427
A61K 39/395
A61P 15/00
A61P 11/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトフォレート受容体1に特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントであって、該抗体又は抗原結合フラグメントが:
(a)SGFTFSSFGMH(配列番号132)の重鎖(HC)CDR1アミノ酸配列;YISSGSSTIS(配列番号73)又はYISSGSSTISYADSVKG(配列番号85)のHC CDR2アミノ酸配列;及びEAYGSSMEY(配列番号74)のHC CDR3アミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖可変領域(VH);及び、
(b)RASQNINNNLH(配列番号69)の軽鎖(LC)CDR1アミノ酸配列;YVSQSVS(配列番号70)のLC CDR2アミノ酸配列;及びQQSNSWPHYT(配列番号71)のLC CDR3アミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL);
を含む、
抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項2】
前記HC CDR2が、YISSGSSTISYADSVKG(配列番号85)のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項3】
前記抗体又は抗原結合フラグメントがヒト化されている、請求項1もしくは2に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項4】
1.0~10nMのKdでヒトフォレート受容体1に結合する、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項5】
0.06~1.0nMのKdでヒトフォレート受容体1に結合する、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項6】
完全長抗体である、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項7】
抗原結合フラグメントである、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項8】
前記その抗原結合フラグメントがFab、Fab’、F(ab’)、単鎖FvもしくはscFv、ジスルフィド連結Fv、イントラボディー、IgG-CH2、ミニボディー、F(ab’)、テトラボディー、トリアボディー、ダイアボディー、DVD-Ig、mAb、(scFv)、又はscFv-Fcを含む、請求項7に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメントを作成する方法であって、(a)該抗体又はその抗原結合フラグメントを発現する細胞を培養すること;及び(b)培養細胞から該抗体又はその抗原結合フラグメントを単離することを含む、方法。
【請求項10】
式(A)-(L)-(C)を有するイムノコンジュゲートであって、式中:
(A)は請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメントであり;
(L)はリンカーであり;そして、
(C)は細胞傷害剤であり;
該リンカー(L)は(A)を(C)に連結する、
イムノコンジュゲート。
【請求項11】
前記リンカーが、親水性リンカー又はジカルボン酸系リンカーである、請求項10に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項12】
前記リンカーが、切断不可能なリンカーである、請求項10に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項13】
前記リンカーが、N-スクシンイミジル-[(N-マレイミドプロピオンアミド)-テトラエチレングリコール]エステル(NHS-PEG4-マレイミド)である、請求項12に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項14】
前記リンカーが、N-スクシンイミジル4-(マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボキシレート(SMCC)である、請求項12に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項15】
前記リンカーが切断可能なリンカーである、請求項10に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項16】
前記リンカーが、N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ブタノエート(SPDB)である、請求項15に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項17】
前記リンカーがN-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)-2-スルホブタノエート(スルホ-SPDB)である、請求項15に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項18】
前記リンカーが、N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ペンタノエート(SPP);N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)-2-スルホペンタノエート(スルホ-SPP);N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ブタノエート(SPDB);N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)-2-スルホブタノエート(スルホ-SPDB);N-スクシンイミジル4-(マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボキシレート(SMCC);N-スルホスクシンイミジル4-(マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボキシレート(スルホSMCC);N-スクシンイミジル4-(ヨードアセチル)-アミノベンゾエート(SIAB);及びN-スクシンイミジル-[(N-マレイミドプロピオンアミド)-テトラエチレングリコール]エステル(NHS-PEG4-マレイミド)よりなる群から選択される、請求項10に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項19】
前記細胞傷害剤が、マイタンシノイド、ベンゾジアゼピン、タキソイド、CC-1065、デュオカルマイシン、カリケアマイシン、ドラスタチン、及びアリスタチンよりなる群から選択される、請求項10~18のいずれか1項に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項20】
前記細胞傷害剤がマイタンシノイドである、請求項19に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項21】
前記細胞傷害剤がN(2’)-デアセチル-N(2’)-(3-メルカプト-1-オキソプロピル)-マイタンシン(DM1)、又はN(2’)-デアセチル-N(2’)-(4-メルカプト-4-メチル-1-オキソペンチル)-マイタンシン(DM4)である、請求項20に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項22】
2~6個の(C)をさらに含む、請求項10~21のいずれか1項に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項23】
請求項10~22のいずれか1項に記載のイムノコンジュゲート及び製薬上許容しうる担体を含む、医薬組成物。
【請求項24】
前記イムノコンジュゲートが、(A)当たり平均で3~4個の(C)を有する、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体又は抗原結合フラグメントを含む、FOLR1の増大した発現に関連する障害を診断するための診断試薬。
【請求項26】
標識をさらに含む、請求項25に記載の診断試薬。
【請求項27】
前記標識が、放射標識、蛍光団、及び発色団よりなる群から選択される、請求項26に記載の診断試薬。
【請求項28】
前記標識が、画像化剤及び金属イオンから選択される、請求項26に記載の診断試薬。
【請求項29】
請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体もしくはその抗原結合フラグメント、又は請求項11~22のいずれか1項に記載のイムノコンジュゲートを含む、キット。
【請求項30】
腫瘍生育の阻害、又は癌の治療における使用のための、請求項23又は24に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記腫瘍または癌が、卵巣、脳、乳房、子宮、子宮内膜、膵臓、腎臓、腹膜、および肺よりなる群から選択される、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記腫瘍または癌が、卵巣腫瘍または癌である、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記腫瘍または癌が、肺腫瘍または癌である、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記腫瘍または癌が、子宮内膜腫瘍または癌である、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記腫瘍または癌が、子宮腫瘍または癌である、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記腫瘍または癌が、腹膜腫瘍または癌である、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項37】
腫瘍生育の阻害または癌の治療のための医薬品の製造における、請求項10~22のいずれか1項に記載のイムノコンジュゲート、又は請求項23もしくは24に記載の医薬組成物の使用。
【請求項38】
前記腫瘍または癌が、卵巣、脳、乳房、子宮、子宮内膜、膵臓、腎臓、腹膜、および肺よりなる群から選択される、請求項3に記載の使用。
【請求項39】
前記腫瘍または癌が、卵巣腫瘍または癌である、請求項3に記載の使用。
【請求項40】
前記腫瘍または癌が、肺腫瘍または癌である、請求項3に記載の使用。
【請求項41】
前記腫瘍または癌が、子宮内膜腫瘍または癌である、請求項3に記載の使用。
【請求項42】
前記腫瘍または癌が、子宮腫瘍または癌である、請求項3に記載の使用。
【請求項43】
前記腫瘍または癌が、腹膜腫瘍または癌である、請求項3に記載の使用。
【請求項44】
請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体又は抗原結合フラグメントを生産する単離された細胞。
【請求項45】
請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメントをコードする核酸配列を含む、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項46】
請求項4のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2010年2月24日に出願された米国仮特許出願61/307,797号、2010年5月20日に出願された米国仮特許出願61/346,595号、及び2010年11月12日に出願された米国仮特許出願61/413,172号の優先権を主張し、これらの各々は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の分野は一般的にヒトフォレート受容体1に結合する抗体及びイムノコンジュゲート、並びに癌のような疾患の治療のための抗体及びイムノコンジュゲートを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
癌は先進国における代表的死亡原因の1つであり、合衆国では年間百万人超が癌と診断され、50万の死亡例がある。全体として3人に1人以上がその寿命において何らかの形態の癌を発症することになる。癌には200種類超の異なる型が存在し、そのうちの4種である乳癌、肺癌、結腸直腸癌及び前立腺癌は全新規症例の過半数に相当する(Jemal等
、2003,Cancer J. Clin. 53:5-26)。
【0004】
フォレート受容体(FOLR1)は別名フォレート受容体アルファ又はフォレート結合蛋白としても知られており、細胞の原形質膜上に発現されるN-グリコシル化蛋白である。FOLR1は葉酸に対し、そして数種の還元型葉酸誘導体に対して高親和性を有する。FOLR1は細胞内部への生理学的フォレート、即ち5-メチルテトラヒドロフォレートの送達を媒介する。
【0005】
FOLR1は大部分の卵巣癌において、並びに多くの子宮癌、子宮内膜癌、膵臓癌、腎臓癌、肺癌及び乳癌において過剰発現されるが、正常組織上でのFOLR1の発現は近位尿細管、肺胞、膀胱、精巣、脈絡叢、及び甲状腺における上皮細胞の先端膜に限定される(WeitmanSD,等、CancerRes52:3396-3401(1992); Antony AC, AnnuRev Nutr 16: 501-521(1996); Kalli KR,等、GynecolOncol108:619-626(2008))。FOLR1のこの発現パターンは、それをFOLR1指向癌治療のための望ましい標的としている。
【0006】
卵巣癌は典型的には進行期までは非徴候性であるため、それは後期になって診断される場合が多く、現在使用可能な手順、典型的には外科的減量の後の化学療法剤で治療した場合には不良な予後となる(vonGruenigenV等、Cancer112:2221-2227(2008); Ayhan A
等、Am JObstet Gynecol 196: 81 e81-86(2007); Harry VN等、ObstetGynecolSurv64:548-560(2009))。即ち、卵巣癌のためのより有効な治療薬が医療上明らかに望まれてい
る。
【0007】
3種の抗FOLR1抗体が潜在的抗癌薬として検討されている。ネズミモノクローナル抗体Mov18及びMov19は1980年代後期に単離され(Miotti S等、IntJCancer39:297-303 (1987))、FOLR1をターゲティングすることが確認され(ConeyLR等
、Cancer Res 51:6125-6132 (1991))、そして細胞傷害リボソーム不活性化蛋白とのコ
ンジュゲートとして抗原発現癌細胞を根絶するそれらの能力に関して前臨床試験において試験されている(CondeFP等、EurJBiochem178:795-802 (1989))。
【0008】
Mov19は細胞傷害T細胞及びナチュラルキラー細胞をターゲティングする二重特異性抗体として(MezzanzanicaD等、IntJCancer41:609-615 (1988); Ferrini S等、IntJCancer Suppl 4: 53-55 (1989); FerriniS等、IntJCancer48:227-233 (1991))
、そしてインビボにおけるインターロイキン-2とのMov19の単鎖Fvの融合蛋白として(Melani C等、CancerRes58:4146-4154(1998))試験されている。キメラ(ネズミ
可変/ヒト定常)抗FOLR1抗体Mov18およびMov19はインビトロにおいてFOLR1発現腫瘍の細胞傷害性免疫細胞依存性殺傷を媒介するそれらの能力に関して前臨床的に検討されており(ConeyLR等、CancerRes54:2448-2455(1994))、そしてキメラ
Mov18-IgEはIgE依存性免疫治療前臨床モデルにおいて試験されている(KaragiannisSN等、JImmunol179:2832-2843(2007);Gould HJ等、Eur J Immunol 29: 3527-3537(1999))。
【0009】
Mov18は前臨床試験において、そしてその後1990年代初頭に臨床治験において(Zacchetti A等、Nucl MedBiol36:759-770(2009))種々の放射性核種とのコンジュ
ゲートの形態で研究され、それは如何なる薬物も臨床使用のために認可されずに終了している。
【0010】
MORAb003、即ち、ネズミモノクローナル抗FOLR1抗体LK26のヒト化形態は非修飾抗体として(EbelW等、Cancer Immun7:6(2007))、そして111In放射性
核種とのコンジュゲートとして(Smith-JonesPM等、Nucl Med Biol 35:343-351(2008))
前臨床的に評価されており、そして現在は非修飾抗体として臨床治験に付されている(D.K.Armstrong等、J. Clin. Oncol.26: 2008年5月20日補遺;要約5500)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【文献】Jemal等、2003,Cancer J.Clin. 53:5-26
【文献】WeitmanSD,等、CancerRes 52: 3396-3401 (1992)
【文献】AntonyAC, Annu Rev Nutr 16: 501-521 (1996)
【文献】Kalli KR,等、GynecolOncol 108: 619-626 (2008)
【文献】vonGruenigen V等、Cancer112: 2221-2227 (2008)
【文献】AyhanA等、Am J ObstetGynecol 196: 81 e81-86 (2007)
【文献】HarryVN等、ObstetGynecol Surv 64: 548-560 (2009)
【文献】MiottiS等、Int J Cancer39: 297-303 (1987)
【文献】ConeyLR等、Cancer Res51: 6125-6132 (1991)
【文献】Conde FP等、Eur JBiochem 178: 795-802 (1989)
【文献】Mezzanzanica D等、IntJ Cancer 41: 609-615 (1988)
【文献】Ferrini S等、Int JCancer Suppl 4: 53-55 (1989)
【文献】Ferrini S等、Int JCancer 48: 227-233 (1991)
【文献】Melani C等、Cancer Res58: 4146-4154 (1998)
【文献】Coney LR等、Cancer Res54: 2448-2455 (1994)
【文献】Karagiannis SN等、JImmunol 179: 2832-2843 (2007)
【文献】Gould HJ等、Eur JImmunol 29: 3527-3537 (1999)
【文献】Zacchetti A等、NuclMed Biol 36: 759-770 (2009)
【文献】Ebel W等、Cancer Immun7:6 (2007)
【文献】Smith-Jones PM等、NuclMed Biol 35: 343-351 (2008)
【文献】D. K. Armstrong等、J.Clin. Oncol. 26: 2008年5月20日補遺;要約5500
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明はヒトフォレート受容体1に結合する新規な抗体、これらの抗体を含むイムノコンジュゲート、及びそれらの使用方法を提供する。本発明は又、新規なポリペプチド、例えばヒトフォレート受容体1に結合する抗体、そのような抗体のフラグメント、及びそのような抗体に関連する他のポリペプチドを提供する。ポリペプチドをコードする核酸配列を含むポリヌクレオチド、並びにポリヌクレオチドを含むベクターもまた提供される。本発明のポリペプチド及び/又はポリヌクレオチドを含む細胞も提供される。新規なフォレート受容体1抗体又はイムノコンジュゲートを含む組成物(例えば医薬組成物)もまた提供される。更に又、新規なフォレート受容体1抗体又はイムノコンジュゲートを作成及び使用する方法、例えば腫瘍生育を阻害及び/又は癌を治療するための新規なフォレート受容体1抗体又はコンジュゲートの使用方法も提供される。
【0013】
即ち、1つの側面において、本発明はヒトフォレート受容体1に特異的に結合するヒト化抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、ここで抗体は以下:(a)GYFMN(配列番号1)を含む重鎖CDR1;RIHPYDGDTFYNQXaaFXaaXaa(配列番号56)を含む重鎖CDR2;及びYDGSRAMDY(配列番号3)を含む重鎖CDR3;及び、(b)KASQSVSFAGTSLMH(配列番号7)を含む軽鎖CDR1;RASNLEA(配列番号8)を含む軽鎖CDR2;及びQQSREYPYT(配列番号9)を含む軽鎖CDR3;ただしここで、XaaはK、Q、H及びRから選択され;XaaはQ、H、N及びRから選択され;そしてXaaはG、E、T、S、A及びVから選択されるもの;を含む。特定の実施形態においては、ヒト化抗体又はその抗原結合フラグメントは、抗体キメラMov19と実質的に同じ親和性でヒトフォレート受容体1に結合する。特定の実施形態においては、ヒト化抗体又はその抗原結合フラグメントは重鎖CDR2配列RIHPYDGDTFYNQKFQG(配列番号2)を含む。
【0014】
特定の実施形態においては、結合親和性はフローサイトメトリー、Biacore又はラジオイムノアッセイにより計測される。
【0015】
別の実施形態においては、本発明は、抗体が以下:(a)GYFMN(配列番号1)を含む重鎖CDR1、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;RIHPYDGDTFYNQKFQG(配列番号2)を含む重鎖CDR2、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;及びYDGSRAMDY(配列番号3)を含む重鎖CDR3、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;及び/又は、(b)KASQSVSFAGTSLMH(配列番号7)を含む軽鎖CDR1、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;RASNLEA(配列番号8)を含む軽鎖CDR2、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;及びQQSREYPYT(配列番号9)を含む軽鎖CDR3、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;を含む、ヒトフォレート受容体1に特異的に結合するヒト化抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。
【0016】
特定の実施形態においては、本発明は配列番号6の重鎖を含むヒトフォレート受容体1に特異的に結合するヒト化抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。別の実施形態においては、ヒト化抗体又はその抗原結合フラグメントは2010年4月7日にATCCに寄託され、そしてATCC受託番号PTA-10772、PTA-10773又は10774を有するプラスミドDNAによりコードされる。
【0017】
特定の実施形態において、本発明は、FOLR1への特異的結合に関して、(a)GYFMN(配列番号1)を含む重鎖CDR1;RIHPYDGDTFYNQXaaFXaaXaa(配列番号56)を含む重鎖CDR2;及びYDGSRAMDY(配列番号3)を含む重鎖CDR3;及び、(b)KASQSVSFAGTSLMH(配列番号7)を含む軽鎖CDR1;RASNLEA(配列番号8)を含む軽鎖CDR2;及びQQSREYPYT(配列番号9)を含む軽鎖CDR3;ただしここで、XaaはK、Q、H及びRから選択され;XaaはQ、H、N及びRから選択され;そしてXaaはG、E、T、S、A及びVから選択されるもの;を含む抗体と競合するヒト化抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。特定の実施形態においては、ヒト化抗体は重鎖CDR2配列RIHPYDGDTFYNQKFQG(配列番号2)を含む。
【0018】
特定の実施形態においては、本発明は、配列番号4に少なくとも約90%同一である重鎖可変ドメイン、及び配列番号10又は配列番号11に少なくとも約90%同一である軽鎖可変ドメインを含むヒト化抗体又はその抗原結合フラグメントであるポリペプチドを提供する。別の実施形態においては、ヒト化抗体又は抗原結合フラグメントは配列番号4に少なくとも約95%同一である重鎖可変ドメイン、及び配列番号10又は配列番号11に少なくとも約95%同一である軽鎖可変ドメインを含む。その他の実施形態において、ヒト化抗体は
抗原結合フラグメントは配列番号4に少なくとも約99%同一である重鎖可変ドメイン、及び配列番号10又は配列番号11に少なくとも約99%同一である軽鎖可変ドメインを含む。特定の実施形態においては、ヒト化抗体は抗原結合フラグメントは配列番号4の重鎖可変ドメイン、及び配列番号10又は配列番号11の軽鎖可変ドメインを含む。特定の実施形態においては、本発明は配列番号88~119に少なくとも約90%同一であるポリペプチド、抗体、又は抗原結合フラグメントを提供する。特定の実施形態においては、本発明は配列番号88~119に少なくとも約95%同一であるポリペプチド、抗体、又は抗原結合フラグメントを提供する。特定の実施形態においては、本発明は配列番号88~119に少なくとも約99%同一であるポリペプチド、抗体、又は抗原結合フラグメントを提供する。
【0019】
特定の実施形態においては、本発明は、真核生物細胞においてchMov19よりも少なくとも10倍高値で発現されるヒト化抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。特定の実施形態においては、真核生物細胞はHEK-293T細胞である。
【0020】
特定の実施形態においては、本発明は抗体が以下:(a)SSYGMS(配列番号30)を含む重鎖CDR1;TISSGGSYTY(配列番号31)を含む重鎖CDR2;及び/又はDGEGGLYAMDY(配列番号32)を含む重鎖CDR3;及び/又は、(b)KASDHINNWLA(配列番号27)を含む軽鎖CDR1;GATSLET(配列番号28)を含む軽鎖CDR2;及びQQYWSTPFT(配列番号29)を含む軽鎖CDR3;を含む、ヒトフォレート受容体1に特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。別の実施形態においては、本発明は抗体が以下:(a)TNYWMQ(配列番号60)を含む重鎖CDR1;AIYPGNGDSR(配列番号61)を含む重鎖CDR2;及び/又はRDGNYAAY(配列番号62)を含む重鎖CDR3;及び/又は、(b)RASENIYSNLA(配列番号57)を含む軽鎖CDR1;AATNLAD(配列番号58)を含む軽鎖CDR2;及びQHFWASPYT(配列番号59)を含む軽鎖CDR3;を含む、ヒトフォレート受容体1に特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。別の実施形態においては、本発明は抗体が以下:(a)TNYWMY(配列番号66)を含む重鎖CDR1;AIYPGNSDTT(配列番号67)を含む重鎖CDR2;及び/又はRHDYGAMDY(配列番号68を)含む重鎖CDR3;及び/又は、(b)RASENIYTNLA(配列番号63)を含む軽鎖CDR1;TASNLAD(配列番号64)を含む軽鎖CDR2;及びQHFWVSPYT(配列番号65)を含む軽鎖CDR3;を含むヒトフォレート受容体1に特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。別の実施形態においては、本発明は抗体が以下:(a)SSFGMH(配列番号72)を含む重鎖CDR1;YISSGSSTIS(配列番号73)を含む重鎖CDR2;及び/又はEAYGSSMEY(配列番号74)を含む重鎖CDR3;及び/又は(b)RASQNINNNLH(配列番号69)を含む軽鎖CDR1;YVSQSVS(配列番号70)を含む軽鎖CDR2;及びQQSNSWPHYT(配列番号71)を含む軽鎖CDR3;を含むヒトフォレート受容体1に特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。別の実施形態においては、本発明は抗体が以下:(a)TSYTMH(配列番号78)を含む重鎖CDR1;YINPISGYTN(配列番号79)を含む重鎖CDR2;及び/又はGGAYGRKPMDY(配列番号80)を含む重鎖CDR3;及び/又は、(b)KASQNVGPNVA(配列番号75)を含む軽鎖CDR1;SASYRYS(配列番号76)を含む軽鎖CDR2;及びQQYNSYPYT(配列番号77)を含む軽鎖CDR3;を含むヒトフォレート受容体1に特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。
【0021】
特定の実施形態においては、本発明のポリペプチドは完全長抗体又は抗原結合フラグメントである。特定の実施形態においては、抗体又は抗原結合フラグメントはFab、Fab’、F(ab’)、Fd、単鎖Fv即ちscFv、ジスルフィド連結Fv、V-NARドメイン、IgNar、イントラボディー、IgG-CH2、ミニボディー、F(ab')、テトラボディー、トリアボディー、ダイアボディー、単ドメイン抗体、DVD-
Ig、Fcab、mAb、(scFv)、又はscFv-Fcである。
【0022】
特定の実施形態においては、本発明の抗体又はポリペプチドは約1.0~約10nMのKdでヒトフォレート受容体1に結合する。1つの実施形態において抗体又はポリペプチドは約1.0nM又はそれより良好なKdでヒトフォレート受容体1に結合する。特定の実施形態においては、結合親和性はフローサイトメトリー、Biacore又はラジオイムノアッセイにより計測される。
【0023】
本発明は又、本発明の抗体を発現する細胞を培養すること;及び(b)該培養細胞から抗体を単離することを含む、該抗体を作成する方法を提供する。特定の実施形態においては、細胞は真核生物の細胞である。
【0024】
本発明は又、式(A)-(L)-(C)を有し、式中(A)は本発明の抗体又は抗原結合フラグメント又はポリペプチドであり;(L)はリンカーであり;そして、(C)は細胞傷害剤であり;そして該リンカー(L)は(A)を(C)に連結するイムノコンジュゲートを提供する。
【0025】
特定の実施形態においては、リンカーは切断可能なリンカー、切断不可能なリンカー、親水性リンカー、及びジカルボン酸系リンカーよりなる群から選択される。その他の実施形態において、リンカーはN-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ペンタノエート(SPP)又はN-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)-2-スルホペンタノエート(スルホ-SPP);N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ブタノエート(SPDB)又はN-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)-2-スルホブタノエート(スルホ-SPDB);N-スクシンイミジル4-(マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボキシレート(SMCC);N-スルホスクシンイミジル4-(マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボキシレート(スルホSMCC);N-スクシンイミジル4-(ヨードアセチル)-アミノベンゾエート(SIAB);及びN-スクシンイミジル-[(N-マレイミドプロピオンアミド)-テトラエチレングリコール]エステル(NHS-PEG4-マレイミド)よりなる群から選択される。特定の実施形態においては、リンカーはN-スクシンイミジル-[(N-マレイミドプロピオンアミド)-テトラエチレングリコール]エステル(NHS-PEG4-マレイミド)である。
【0026】
1つの実施形態において、イムノコンジュゲートはマイタンシノイド、マイタンシノイド類縁体、ベンゾジアゼピン、タキソイド、CC-1065、CC-1065類縁体、デュオカルマイシン、デュオカルマイシン類縁体、カリケアマイシン、ドラスタチン、ドラスタチン類縁体、アリスタチン、トマイマイシン誘導体、及びレプトマイシン誘導体又は該剤のプロドラッグよりなる群から選択される細胞傷害剤を含む。その他の実施形態において、細胞傷害剤はがマイタンシノイドである。別の実施形態においては、細胞傷害剤はN(2’)-デアセチル-N(2’)-(3-メルカプト-1-オキソプロピル)-マイタンシン又はN(2’)-デアセチル-N2-(4-メルカプト-4-メチル-1-オキソペンチル)-マイタンシンである。
【0027】
1つの実施形態において、本発明は(A)配列番号4の重鎖可変ドメイン及び配列番号10又は配列番号11の軽鎖可変ドメインを含むヒト化抗体;(L)N-スクシンイミジル-[(N-マレイミドプロピオンアミド)-テトラエチレングリコール]エステル(NHS-PEG4-マレイミド);及び、(C)N(2’)-デアセチル-N2-(4-メルカプト-4-メチル-1-オキソペンチル)-マイタンシン;を含み、ここで(L)は(A)を(C)に連結するイムノコンジュゲートを提供する。
【0028】
1つの実施形態において、本発明は(A)配列番号4の重鎖可変ドメイン及び配列番号10又は配列番号11の軽鎖可変ドメインを含むヒト化抗体;(L)N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ブタノエート(SPDB);及び、(C)N(2’)-デアセチル-N2-(4-メルカプト-4-メチル-1-オキソペンチル)-マイタンシン;を含み、ここで(L)は(A)を(C)に連結するイムノコンジュゲートを提供する。
【0029】
1つの実施形態において、本発明は(A)配列番号4の重鎖可変ドメイン及び配列番号10又は配列番号11の軽鎖可変ドメインを含むヒト化抗体;(L)N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)-2-スルホブタノエート(スルホ-SPDB);及び、(C)N(2’)-デアセチル-N2-(4-メルカプト-4-メチル-1-オキソペンチル)-マイタンシン;を含み、ここで(L)は(A)を(C)に連結するイムノコンジュゲートを提供する。
【0030】
1つの実施形態において、本発明は(A)配列番号4の重鎖可変ドメイン及び配列番号10又は配列番号11の軽鎖可変ドメインを含むヒト化抗体;(L)N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)-2-スルホペンタノエート(スルホ-SPP);及び、(C);N(2’)-デアセチル-N(2’)-(3-メルカプト-1-オキソプロピル)-マイタンシン;を含み、ここで(L)は(A)を(C)に連結するイムノコンジュゲートを提供する。
【0031】
1つの実施形態において、本発明は(A)配列番号4の重鎖可変ドメイン及び配列番号10又は配列番号11の軽鎖可変ドメインを含むヒト化抗体;(L)N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ペンタノエート(SPP);及び、(C);N(2’)-デアセチル-N(2’)-(3-メルカプト-1-オキソプロピル)-マイタンシン;を含み、ここで(L)は(A)を(C)に連結するイムノコンジュゲートを提供する。
【0032】
本発明は又本発明の抗体、抗原結合フラグメント、ポリペプチド又はイムノコンジュゲート及び製薬上許容しうる担体を含む医薬組成物を提供する。特定の実施形態においては、医薬組成物は更に第1の抗癌剤を含む。
【0033】
本発明は又、標識された本発明の抗体、抗原結合フラグメント、ポリペプチド又はイムノコンジュゲートを含む診断試薬を提供する。1つの実施形態において、標識は放射標識、蛍光団、発色団、画像化剤及び金属イオンよりなる群から選択される。
【0034】
本発明は又、本発明の抗体、抗原結合フラグメント、ポリペプチド又はイムノコンジュゲートを含むキットを提供する。
【0035】
本発明は又、対象に本発明の抗体、抗原結合フラグメント、ポリペプチド、イムノコンジュゲート又は医薬組成物の治療有効量を投与することを含む、対象における腫瘍生育を阻害する方法を提供する。特定の実施形態においては、本発明は、式(A)-(L)-(C)を有し、式中:(A)はヒトフォレート受容体1に特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントであり;(L)はリンカーであり;そして、(C)はマイタンシノイド及びマイタンシノイド類縁体よりなる群から選択される細胞傷害剤であり;ここで(L)は(A)を(C)に連結するイムノコンジュゲートの治療有効量を投与することを含み;ここでイムノコンジュゲートはKB異種移植片モデルにおいて平均腫瘍体積を少なくとも2倍低減する、対象における腫瘍生育を阻害する方法を提供する。特定の実施形態においては、方法は(a)GYFMN(配列番号1)を含む重鎖CDR1;RIHPYDGDTFYNQXaa1FXaa2Xaa3(配列番号56)を含む重鎖CDR2;及びYDGSRAMDY(配列番号3)を含む重鎖CDR3;及び、(b)KASQSVSFAGTSLMH(配列番号7)を含む軽鎖CDR1;RASNLEA(配列番号8)を含む軽鎖CDR2;及びQQSREYPYT(配列番号9)を含む軽鎖CDR3;ただしここで、XaaはK、Q、H及びRから選択され;XaaはQ、H、N及びRから選択され;そしてXaaはG、E、T、S、A及びVから選択されるもの;を含む抗体又はその抗原結合フラグメントを投与することを含む。その他の実施形態において、抗体はRIHPYDGDTFYNQKFQG(配列番号2)を含む重鎖CDR2を含む。
【0036】
特定の実施形態においては、本発明は、2010年4月7日にATCCに寄託され、そしてATCC受託番号PTA-10772、PTA-10773又は10774を有するプラスミドDNAによりコードされる抗体又はその抗原結合フラグメントを投与することを含む腫瘍生育を阻害するための方法を提供する。
【0037】
別の実施形態においては、方法は配列番号4の重鎖可変ドメイン及び配列番号10又は配列番号11の軽鎖可変ドメインを含むヒト化抗体;(L)N-スクシンイミジル-[(N-マレイミドプロピオンアミド)-テトラエチレングリコール]エステル(NHS-PEG4-マレイミド);及び、(C)N(2’)-デアセチル-N2-(4-メルカプト-4-メチル-1-オキソペンチル)-マイタンシン;を含むイムノコンジュゲートを投与することを提供する。
【0038】
別の実施形態においては、方法は(A)配列番号4の重鎖可変ドメイン及び配列番号10又は配列番号11の軽鎖可変ドメインを含むヒト化抗体;(L)N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ブタノエート(SPDB);及び、(C)N(2’)-デアセチル-N2-(4-メルカプト-4-メチル-1-オキソペンチル)-マイタンシン;を含み、ここで(L)は(A)を(C)に連結するイムノコンジュゲートを投与することを提供する。
【0039】
別の実施形態においては、方法は(A)配列番号4の重鎖可変ドメイン及び配列番号10又は配列番号11の軽鎖可変ドメインを含むヒト化抗体;(L)N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)-2-スルホブタノエート(スルホ-SPDB);及び、(C)N(2’)-デアセチル-N2-(4-メルカプト-4-メチル-1-オキソペンチル)-マイタンシン;を含み;ここで(L)は(A)を(C)に連結するイムノコンジュゲートを投与することを提供する。
【0040】
別の実施形態においては、方法は(A)配列番号4の重鎖可変ドメイン及び配列番号10又は配列番号11の軽鎖可変ドメインを含むヒト化抗体;(L)N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)-2-スルホペンタノエート(スルホ-SPP);及び、(C);N(2’)-デアセチル-N(2’)-(3-メルカプト-1-オキソプロピル)-マイタンシン;を含み;ここで(L)は(A)を(C)に連結するイムノコンジュゲートを投与することを提供する。
【0041】
別の実施形態においては、方法は(A)配列番号4の重鎖可変ドメイン及び配列番号10又は配列番号11の軽鎖可変ドメインを含むヒト化抗体;(L)N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ペンタノエート(SPP);及び、(C);N(2’)-デアセチル-N(2’)-(3-メルカプト-1-オキソプロピル)-マイタンシン;を含み;ここで(L)は(A)を(C)に連結するイムノコンジュゲートを投与することを提供する。
【0042】
別の実施形態においては、方法は2010年4月7日にATCCに寄託され、そしてATCC受託番号PTA-10775及びPTA-10776を有するhuFR-1-21抗体を含むイムノコンジュゲートを投与することを含む。特定の実施形態においては、huFR1-21抗体は、以下:(a)SSYGMS(配列番号30)を含む重鎖CDR1;TISSGGSYTY(配列番号31)を含む重鎖CDR2;及びDGEGGLYAMDY(配列番号32)を含む重鎖CDR3;及び、(b)KASDHINNWLA(配列番号27)を含む軽鎖CDR1;GATSLET(配列番号28)を含む軽鎖CDR2;及びQQYWSTPFT(配列番号29)を含む軽鎖CDR3;を含む。特定の実施形態においては、方法は(a)TNYWMQ(配列番号60)を含む重鎖CDR1;AIYPGNGDSR(配列番号61)を含む重鎖CDR2;及びRDGNYAAY(配列番号62)を含む重鎖CDR3;及び、(b)RASENIYSNLA(配列番号57)を含む軽鎖CDR1;AATNLAD(配列番号58)を含む軽鎖CDR2;及びQHFWASPYT(配列番号59)を含む軽鎖CDR3;を含む、抗体がhuFR1-48抗体であるイムノコンジュゲートを投与することを含む。特定の実施形態においては、(a)TNYWMY(配列番号66)を含む重鎖CDR1;AIYPGNSDTT(配列番号67)を含む重鎖CDR2;及びRHDYGAMDY(配列番号68を)含む重鎖CDR3;及び、(b)RASENIYTNLA(配列番号63)を含む軽鎖CDR1;TASNLAD(配列番号64)を含む軽鎖CDR2;及びQHFWVSPYT(配列番号65)を含む軽鎖CDR3;を含む、抗体がhuFR1-49抗体であるイムノコンジュゲートを投与することを含む。特定の実施形態においては、(a)SSFGMH(配列番号72)を含む重鎖CDR1;YISSGSSTIS(配列番号73)を含む重鎖CDR2;及びEAYGSSMEY(配列番号74)を含む重鎖CDR3;及び(b)RASQNINNNLH(配列番号69)を含む軽鎖CDR1;YVSQSVS(配列番号70)を含む軽鎖CDR2;及びQQSNSWPHYT(配列番号71)を含む軽鎖CDR3;を含む、抗体がhuFR1-57抗体であるイムノコンジュゲートを投与することを含む。特定の実施形態においては、(a)TSYTMH(配列番号78)を含む重鎖CDR1;YINPISGYTN(配列番号79)を含む重鎖CDR2;及びGGAYGRKPMDY(配列番号80)を含む重鎖CDR3;及び、(b)KASQNVGPNVA(配列番号75)を含む軽鎖CDR1;SASYRYS(配列番号76)を含む軽鎖CDR2;及びQQYNSYPYT(配列番号77)を含む軽鎖CDR3;を含む、抗体がhuFR1-65抗体であるイムノコンジュゲートを投与することを含む。
【0043】
1つの実施形態において、方法は卵巣腫瘍、脳腫瘍、乳房腫瘍、子宮腫瘍、子宮内膜腫瘍、膵臓腫瘍、腎臓腫瘍、及び肺腫瘍の生育を阻害する。特定の実施形態においては、方法は卵巣腫瘍生育を阻害する。別の実施形態においては、本発明は肺腫瘍生育を阻害する。特定の実施形態においては、腫瘍生育の阻害は癌を治療するために使用される。その他の実施形態において、方法は第2の抗癌剤を対象に投与することを含む。特定の実施形態においては、第2の抗癌剤は化学療法剤である。
【0044】
本発明は又、本発明の抗体、抗原結合フラグメント又はポリペプチドを生産する単離された細胞を提供する。
【0045】
本発明は又、配列番号5、14、15、37、38、43、44、47、48及び120~127よりなる群から選択される配列に少なくとも90%同一である配列を含む単離されたポリヌクレオチドを提供する。特定の実施形態においては、単離されたポリペプチドは、配列番号5、14、15、37、38、43、44、47、48及び120~127よりなる群から選択される配列に少なくとも95%同一である。別の実施形態においては、単離されたポリペプチドは、配列番号5、14、15、37、38、43、44、47、48及び120~127よりなる群から選択される配列に少なくとも99%同一である。本発明は又、配列番号5、14、15、37、38、43、44、47、48及び120~127のポリヌクレオチドの何れかを含むベクターを提供する。別の実施形態においては、本発明は配列番号5、14、15、37、38、43、44、47、48及び120~127のポリヌクレオチドを含有するベクターを含む宿主細胞を提供する。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
抗体が下記:
(a)GYFMN(配列番号1)を含む重鎖CDR1;RIHPYDGDTFYNQXaaFXaaXaa(配列番号56)を含む重鎖CDR2;及びYDGSRAMDY(配列番号3)を含む重鎖CDR3;及び、
(b)KASQSVSFAGTSLMH(配列番号7)を含む軽鎖CDR1;RASNLEA(配列番号8)を含む軽鎖CDR2;及びQQSREYPYT(配列番号9)を含む軽鎖CDR3;
ただしここで、XaaはK、Q、H及びRから選択され;XaaはQ、H、N及びRから選択され;そしてXaaはG、E、T、S、A及びVから選択されるもの;
を含む、ヒトフォレート受容体1に特異的に結合するヒト化抗体又はその抗原結合フラグメント。
(項目2)
抗体キメラMov19と実質的に同じ親和性でヒトフォレート受容体1に結合する、項目1記載のヒト化抗体又はその抗原結合フラグメント。
(項目3)
結合親和性がフローサイトメトリー、Biacore又はラジオイムノアッセイにより計測される、項目2記載のヒト化抗体又はその抗原結合フラグメント。
(項目4)
重鎖CDR2配列がRIHPYDGDTFYNQKFQG(配列番号2)を含む、項目1~3の何れかに記載のヒト化抗体又はその抗原結合フラグメント。
(項目5)
抗体が下記:
(a)GYFMN(配列番号1)を含む重鎖CDR1、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;RIHPYDGDTFYNQKFQG(配列番号2)を含む重鎖CDR2、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;及びYDGSRAMDY(配列番号3)を含む重鎖CDR3、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;及び/又は、
(b)KASQSVSFAGTSLMH(配列番号7)を含む軽鎖CDR1、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;RASNLEA(配列番号8)を含む軽鎖CDR2、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;及びQQSREYPYT(配列番号9)を含む軽鎖CDR3、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;
を含む、ヒトフォレート受容体1に特異的に結合するヒト化抗体又はその抗原結合フラグメント。
(項目6)
配列番号6の重鎖を含むヒトフォレート受容体1に特異的に結合するヒト化抗体又はその抗原結合フラグメント。
(項目7)
2010年4月7日にATCCに寄託され、そしてATCC受託番号PTA-10772、PTA-10773又は10774を有するプラスミドDNAによりコードされるヒト化抗体又はその抗原結合フラグメント。
(項目8)
ヒトフォレート受容体1への特異的結合に関して項目1~7の何れかに記載の抗体と競合するヒト化抗体又はその抗原結合フラグメント。
(項目9)
配列番号4に少なくとも約90%同一である重鎖可変ドメイン、及び配列番号10又は配列番号11に少なくとも約90%同一である軽鎖可変ドメインを含むヒト化抗体又はその抗原結合フラグメント。
(項目10)
該重鎖可変ドメインが配列番号4に少なくとも約95%同一であり、そして該軽鎖可変ドメインが配列番号10又は配列番号11に少なくとも約95%同一である、項目9記載のヒト化抗体又はその抗原結合フラグメント。
(項目11)
該重鎖可変ドメインが配列番号4に少なくとも約99%同一であり、そして該軽鎖可変ドメインが配列番号10又は配列番号11に少なくとも約99%同一である、項目10記載のヒト化抗体又はその抗原結合フラグメント。
(項目12)
該重鎖可変ドメインが配列番号4に同一であり、そして該軽鎖可変ドメインが配列番号10又は配列番号11に同一である、項目11記載のヒト化抗体又はその抗原結合フラグメント。
(項目13)
該抗体が真核生物細胞においてchMov19よりも少なくとも10倍高値で発現される、項目1~12の何れか1項に記載のヒト化抗体又はその抗原結合フラグメント。
(項目14)
該真核生物細胞がHEK-293T細胞である、項目13記載のヒト化抗体。
(項目15)
ポリペプチドが下記:
(a)配列番号4に少なくとも約90%の配列同一性を有するポリペプチド;及び/又は

(b)配列番号10又は配列番号11に少なくとも約90%の配列同一性を有するポリペプチド;
を含む、ヒトフォレート受容体1に特異的に結合するポリペプチド。
(項目16)
該ポリペプチドが下記:
(a)配列番号4に少なくとも約95%の配列同一性を有するポリペプチド;及び/又は

(b)配列番号10又は配列番号11に少なくとも約95%の配列同一性を有するポリペプチド;
を含む、項目15記載のポリペプチド。
(項目17)
該ポリペプチドが下記:
(a)配列番号4に少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチド;及び/又は

(b)配列番号10又は配列番号11に少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチド;
を含む、項目16記載のポリペプチド。
(項目18)
該ポリペプチドが下記:
(a)配列番号4のポリペプチド;及び/又は、
(b)配列番号10又は配列番号11のポリペプチド;
を含む、項目17記載のポリペプチド。
(項目19)
該ポリペプチドが下記:
(a)配列番号4のポリペプチド;及び、
(b)配列番号10又は配列番号11のポリペプチド;
を含む、項目18記載のポリペプチド。
(項目20)
抗体が下記:
(a)SSYGMS(配列番号30)を含む重鎖CDR1;TISSGGSYTY(配列番号31)を含む重鎖CDR2;及び/又はDGEGGLYAMDY(配列番号32)を含む重鎖CDR3;及び/又は、
(b)KASDHINNWLA(配列番号27)を含む軽鎖CDR1;GATSLET(配列番号28)を含む軽鎖CDR2;及びQQYWSTPFT(配列番号29)を含む軽鎖CDR3;
を含む、ヒトフォレート受容体1に特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメント。
(項目21)
抗体が下記:
(a)TNYWMQ(配列番号60)を含む重鎖CDR1;AIYPGNGDSR(配列番号61)を含む重鎖CDR2;及び/又はRDGNYAAY(配列番号62)を含む重鎖CDR3;及び/又は、
(b)RASENIYSNLA(配列番号57)を含む軽鎖CDR1;AATNLAD(配列番号58)を含む軽鎖CDR2;及びQHFWASPYT(配列番号59)を含む軽鎖CDR3;
を含む、ヒトフォレート受容体1に特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメント。
(項目22)
抗体が下記:
(a)TNYWMY(配列番号66)を含む重鎖CDR1;AIYPGNSDTT(配列番号67)を含む重鎖CDR2;及び/又はRHDYGAMDY(配列番号68)を含む重鎖CDR3;及び/又は、
(b)RASENIYTNLA(配列番号63)を含む軽鎖CDR1;TASNLAD(配列番号64)を含む軽鎖CDR2;及びQHFWVSPYT(配列番号65)を含む軽鎖CDR3;
を含む、ヒトフォレート受容体1に特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメント。
(項目23)
抗体が下記:
(a)SSFGMH(配列番号72)を含む重鎖CDR1;YISSGSSTIS(配列番号73)を含む重鎖CDR2;及び/又はEAYGSSMEY(配列番号74)を含む重鎖CDR3;及び/又は、
(b)RASQNINNNLH(配列番号69)を含む軽鎖CDR1;YVSQSVS(配列番号70)を含む軽鎖CDR2;及びQQSNSWPHYT(配列番号71)を含む軽鎖CDR3;
を含む、ヒトフォレート受容体1に特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメント。
(項目24)
抗体が下記:
(a)TSYTMH(配列番号78)を含む重鎖CDR1;YINPISGYTN(配列番号79)を含む重鎖CDR2;及び/又はGGAYGRKPMDY(配列番号80)を含む重鎖CDR3;及び/又は、
(b)KASQNVGPNVA(配列番号75)を含む軽鎖CDR1;SASYRYS(配列番号76)を含む軽鎖CDR2;及びQQYNSYPYT(配列番号77)を含む軽鎖CDR3;
を含む、ヒトフォレート受容体1に特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメント。
(項目25)
ポリペプチドが下記:
(a)配列番号97に少なくとも約90%の配列同一性を有するポリペプチド;及び/又は、
(b)配列番号96に少なくとも約90%の配列同一性を有するポリペプチド;
を含む、ヒトフォレート受容体1に特異的に結合するポリペプチド。
(項目26)
該ポリペプチドが下記:
(a)配列番号97に少なくとも約95%の配列同一性を有するポリペプチド;及び/又は、
(b)配列番号96に少なくとも約95%の配列同一性を有するポリペプチド;
を含む、項目25記載のポリペプチド。
(項目27)
該ポリペプチドが下記:
(a)配列番号97に少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチド;及び/又は、
(b)配列番号96に少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチド;
を含む、項目26記載のポリペプチド。
(項目28)
該ポリペプチドが下記:
(a)配列番号97のポリペプチド;及び/又は、
(b)配列番号96のポリペプチド;
を含む、項目27記載のポリペプチド。
(項目29)
該ポリペプチドが配列番号97のポリペプチド及び配列番号96のポリペプチドを含む、項目28記載のポリペプチド。
(項目30)
ポリペプチドが下記:
(a)配列番号99に少なくとも約90%の配列同一性を有するポリペプチド;及び/又は、
(b)配列番号98に少なくとも約90%の配列同一性を有するポリペプチド;
を含む、ヒトフォレート受容体1に特異的に結合するポリペプチド。
(項目31)
該ポリペプチドが下記:
(a)配列番号99に少なくとも約95%の配列同一性を有するポリペプチド;及び/又は、
(b)配列番号98に少なくとも約95%の配列同一性を有するポリペプチド;
を含む、項目30記載のポリペプチド。
(項目32)
該ポリペプチドが下記:
(a)配列番号99に少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチド;及び/又は、
(b)配列番号98に少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチド;
を含む、項目31記載のポリペプチド。
(項目33)
該ポリペプチドが下記:
(a)配列番号99のポリペプチド;及び/又は、
(b)配列番号98のポリペプチド;
を含む、項目32記載のポリペプチド。
(項目34)
該ポリペプチドが配列番号99のポリペプチド及び配列番号98のポリペプチドを含む、項目33記載のポリペプチド。
(項目35)
ポリペプチドが下記:
(a)配列番号101に少なくとも約90%の配列同一性を有するポリペプチド;及び/又は、
(b)配列番号100に少なくとも約90%の配列同一性を有するポリペプチド;
を含む、ヒトフォレート受容体1に特異的に結合するポリペプチド。
(項目36)
該ポリペプチドが下記:
(a)配列番号101に少なくとも約95%の配列同一性を有するポリペプチド;及び/又は、
(b)配列番号100に少なくとも約95%の配列同一性を有するポリペプチド;
を含む、項目35記載のポリペプチド。
(項目37)
該ポリペプチドが下記:
(a)配列番号101に少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチド;及び/又は、
(b)配列番号100に少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチド;
を含む、項目36記載のポリペプチド。
(項目38)
該ポリペプチドが(a)配列番号101のポリペプチド;及び/又は、(b)配列番号100のポリペプチドを含む、項目37記載のポリペプチド。
(項目39)
該ポリペプチドが配列番号101のポリペプチド及び配列番号100のポリペプチドを含む、項目38記載のポリペプチド。
(項目40)
ポリペプチドが下記:
(a)配列番号103に少なくとも約90%の配列同一性を有するポリペプチド;及び/又は、
(b)配列番号102に少なくとも約90%の配列同一性を有するポリペプチド;
を含む、ヒトフォレート受容体1に特異的に結合するポリペプチド。
(項目41)
該ポリペプチドが下記:
(a)配列番号103に少なくとも約95%の配列同一性を有するポリペプチド;及び/又は、
(b)配列番号102に少なくとも約95%の配列同一性を有するポリペプチド;
を含む、項目40記載のポリペプチド。
(項目42)
該ポリペプチドが下記:
(a)配列番号103に少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチド;及び/又は、
(b)配列番号102に少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチド;
を含む、項目41記載のポリペプチド。
(項目43)
該ポリペプチドが(a)配列番号103のポリペプチド;及び/又は、(b)配列番号102のポリペプチドを含む、項目42記載のポリペプチド。
(項目44)
該ポリペプチドが配列番号103のポリペプチド及び配列番号102のポリペプチドを含む、項目43記載のポリペプチド。
(項目45)
ポリペプチドが下記:
(a)配列番号113に少なくとも約90%の配列同一性を有するポリペプチド;及び/又は、
(b)配列番号112に少なくとも約90%の配列同一性を有するポリペプチド;
を含む、ヒトフォレート受容体1に特異的に結合するポリペプチド。
(項目46)
該ポリペプチドが下記:
(a)配列番号113に少なくとも約95%の配列同一性を有するポリペプチド;及び/又は、
(b)配列番号112に少なくとも約95%の配列同一性を有するポリペプチド;
を含む、項目45記載のポリペプチド。
(項目47)
該ポリペプチドが下記:
(a)配列番号113に少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチド;及び/又は、
(b)配列番号112に少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチド;
を含む、項目46記載のポリペプチド。
(項目48)
該ポリペプチドが(a)配列番号113のポリペプチド;及び/又は、(b)配列番号112のポリペプチドを含む、項目47記載のポリペプチド。
(項目49)
該ポリペプチドが配列番号113のポリペプチド及び配列番号112のポリペプチドを含む、項目48記載のポリペプチド。
(項目50)
ポリペプチドが下記:
(a)配列番号115に少なくとも約90%の配列同一性を有するポリペプチド;及び/又は、
(b)配列番号114に少なくとも約90%の配列同一性を有するポリペプチド;
を含む、ヒトフォレート受容体1に特異的に結合するポリペプチド。
(項目51)
該ポリペプチドが下記:
(a)配列番号115に少なくとも約95%の配列同一性を有するポリペプチド;及び/又は、
(b)配列番号114に少なくとも約95%の配列同一性を有するポリペプチド;
を含む、項目50記載のポリペプチド。
(項目52)
該ポリペプチドが下記:
(a)配列番号115に少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチド;及び/又は、
(b)配列番号114に少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチド;
を含む、項目51記載のポリペプチド。
(項目53)
該ポリペプチドが(a)配列番号115のポリペプチド;及び/又は、(b)配列番号114のポリペプチドを含む、項目52記載のポリペプチド。
(項目54)
該ポリペプチドが配列番号115のポリペプチド及び配列番号114のポリペプチドを含む、項目53記載のポリペプチド。
(項目55)
ポリペプチドが下記:
(a)配列番号117に少なくとも約90%の配列同一性を有するポリペプチド;及び/又は、
(b)配列番号116に少なくとも約90%の配列同一性を有するポリペプチド;
を含む、ヒトフォレート受容体1に特異的に結合するポリペプチド。
(項目56)
該ポリペプチドが下記:
(a)配列番号117に少なくとも約95%の配列同一性を有するポリペプチド;及び/又は、
(b)配列番号116に少なくとも約95%の配列同一性を有するポリペプチド;
を含む、項目55記載のポリペプチド。
(項目57)
該ポリペプチドが下記:
(a)配列番号117に少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチド;及び/又は、
(b)配列番号116に少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチド;
を含む、項目56記載のポリペプチド。
(項目58)
該ポリペプチドが(a)配列番号117のポリペプチド;及び/又は、(b)配列番号116のポリペプチドを含む、項目57記載のポリペプチド。
(項目59)
該ポリペプチドが配列番号117のポリペプチド及び配列番号116のポリペプチドを含む、項目58記載のポリペプチド。
(項目60)
ポリペプチドが下記:
(a)配列番号119に少なくとも約90%の配列同一性を有するポリペプチド;及び/又は、
(b)配列番号118に少なくとも約90%の配列同一性を有するポリペプチド;
を含む、ヒトフォレート受容体1に特異的に結合するポリペプチド。
(項目61)
該ポリペプチドが下記:
(a)配列番号119に少なくとも約95%の配列同一性を有するポリペプチド;及び/又は、
(b)配列番号118に少なくとも約95%の配列同一性を有するポリペプチド;
を含む、項目60記載のポリペプチド。
(項目62)
該ポリペプチドが下記:
(a)配列番号119に少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチド;及び/又は、
(b)配列番号118に少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチド;
を含む、項目61記載のポリペプチド。
(項目63)
該ポリペプチドが(a)配列番号119のポリペプチド;及び/又は、(b)配列番号118のポリペプチドを含む、項目62記載のポリペプチド。
(項目64)
該ポリペプチドが配列番号119のポリペプチド及び配列番号118のポリペプチドを含む、項目63記載のポリペプチド。
(項目65)
抗体である項目25~65の何れか1項に記載の抗体。
(項目66)
完全長抗体である項目1~24の何れか1項に記載の抗体。
(項目67)
抗原結合フラグメントである項目1~24の何れか1項に記載の抗体。
(項目68)
該抗体又は抗原結合フラグメントがFab、Fab’、F(ab’)、Fd、単鎖Fv即ちscFv、ジスルフィド連結Fv、V-NARドメイン、IgNar、イントラボディー、IgG-CH2、ミニボディー、F(ab')、テトラボディー、トリアボデ
ィー、ダイアボディー、単ドメイン抗体、DVD-Ig、Fcab、mAb、(scFv)、又はscFv-Fcを含む、項目67記載の抗体。
(項目69)
約1.0~約10nMのKdでヒトフォレート受容体1に結合する、項目1~68の何れか1項に記載の抗体又はポリペプチド。
(項目70)
約1.0nM又はそれより良好なKdでヒトフォレート受容体1に結合する、項目1~69の何れか1項に記載の抗体又はポリペプチド。
(項目71)
結合親和性がフローサイトメトリー、Biacore又はラジオイムノアッセイにより計測される、項目69又は70記載の抗体。
(項目72)
(a)項目1~24の何れか1項に記載の抗体を発現する細胞を培養すること;及び(b)該培養細胞から抗体を単離することを含む該抗体を作成する方法。
(項目73)
該細胞が真核生物の細胞である項目72記載の方法。
(項目74)
式(A)-(L)-(C)を有し、式中:
(A)は項目1~71の何れか1項に記載の抗体又は抗原結合フラグメント又はポリペプチドであり;
(L)はリンカーであり;そして、
(C)は細胞傷害剤であり;
そして該リンカー(L)は(A)を(C)に連結するイムノコンジュゲート。
(項目75)
該リンカーが切断可能なリンカー、切断不可能なリンカー、親水性リンカー、及びジカルボン酸系リンカーよりなる群から選択される、項目74記載のイムノコンジュゲート。(項目76)
該リンカーがN-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ペンタノエート(SPP)又はN-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)-2-スルホペンタノエート(スルホ-SPP);N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ブタノエート(SPDB)又はN-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)-2-スルホブタノエート(スルホ-SPDB);N-スクシンイミジル4-(マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボキシレート(SMCC);N-スルホスクシンイミジル4-(マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボキシレート(スルホSMCC);N-スクシンイミジル4-(ヨードアセチル)-アミノベンゾエート(SIAB);及びN-スクシンイミジル-[(N-マレイミドプロピオンアミド)-テトラエチレングリコール]エステル(NHS-PEG4-マレイミド)よりなる群から選択される、項目75記載のイムノコンジュゲート。
(項目77)
該リンカーがN-スクシンイミジル-[(N-マレイミドプロピオンアミド)-テトラエチレングリコール]エステル(NHS-PEG4-マレイミド)である、項目75記載のイムノコンジュゲート。
(項目78)
該リンカーがN-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ブタノエート(SPDB)又はN-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)-2-スルホブタノエート(スルホ-SPDB)である、項目75記載のイムノコンジュゲート。
(項目79)
該細胞傷害剤がマイタンシノイド、マイタンシノイド類縁体、ベンゾジアゼピン、タキソイド、CC-1065、CC-1065類縁体、デュオカルマイシン、デュオカルマイシン類縁体、カリケアマイシン、ドラスタチン、ドラスタチン類縁体、アリスタチン、トマイマイシン誘導体、及びレプトマイシン誘導体又は該剤のプロドラッグよりなる群から選択される、項目74~78の何れか1項に記載のイムノコンジュゲート。
(項目80)
該細胞傷害剤がマイタンシノイドである、項目79記載のイムノコンジュゲート。
(項目81)
該細胞傷害剤がN(2’)-デアセチル-N(2’)-(3-メルカプト-1-オキソプロピル)-マイタンシン又はN(2’)-デアセチル-N2-(4-メルカプト-4-メチル-1-オキソペンチル)-マイタンシンである、項目80記載のイムノコンジュゲート。
(項目82)
下記:
(A)配列番号97、99、101又は103の重鎖可変ドメイン及び配列番号96、98、100又は102の軽鎖可変ドメインを含むヒト化抗体;
(L)N-スクシンイミジル4-(マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボキシレート(SMCC);及び、
(C)N(2’)-デアセチル-N(2’)-(3-メルカプト-1-オキソプロピル)-マイタンシン;
を含み、ここで(L)は(A)を(C)に連結する、イムノコンジュゲート。
(項目83)
下記:
(A)配列番号4の重鎖可変ドメイン及び配列番号10又は配列番号11の軽鎖可変ドメインを含むヒト化抗体;
(L)N-スクシンイミジル-[(N-マレイミドプロピオンアミド)-テトラエチレングリコール]エステル(NHS-PEG4-マレイミド);及び、
(C)N(2’)-デアセチル-N2-(4-メルカプト-4-メチル-1-オキソペンチル)-マイタンシン;
を含み、ここで(L)は(A)を(C)に連結する、イムノコンジュゲート。
(項目84)
下記:
(A)配列番号4の重鎖可変ドメイン及び配列番号10又は配列番号11の軽鎖可変ドメインを含むヒト化抗体;
(L)N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ブタノエート(SPDB);及び、
(C)N(2’)-デアセチル-N2-(4-メルカプト-4-メチル-1-オキソペンチル)-マイタンシン;
を含み、ここで(L)は(A)を(C)に連結する、イムノコンジュゲート。
(項目85)
下記:
(A)配列番号4の重鎖可変ドメイン及び配列番号10又は配列番号11の軽鎖可変ドメインを含むヒト化抗体;
(L)N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)-2-スルホブタノエート(スルホ-SPDB);及び、
(C)N(2’)-デアセチル-N2-(4-メルカプト-4-メチル-1-オキソペンチル)-マイタンシン;
を含み、ここで(L)は(A)を(C)に連結する、イムノコンジュゲート。
(項目86)
下記:
(A)配列番号4の重鎖可変ドメイン及び配列番号10又は配列番号11の軽鎖可変ドメインを含むヒト化抗体;
(L)N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)-2-スルホペンタノエート(スルホ-SPP);及び、
(C)N(2’)-デアセチル-N(2’)-(3-メルカプト-1-オキソプロピル)-マイタンシン;
を含み、ここで(L)は(A)を(C)に連結する、イムノコンジュゲート。
(項目87)
下記:
(A)配列番号4の重鎖可変ドメイン及び配列番号10又は配列番号11の軽鎖可変ドメインを含むヒト化抗体;
(L)N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ペンタノエート(SPP);及び、
(C)N(2’)-デアセチル-N(2’)-(3-メルカプト-1-オキソプロピル)-マイタンシン;
を含み、ここで(L)は(A)を(C)に連結する、イムノコンジュゲート。
(項目88)
第2の(C)を更に含む、項目74~87の何れか1項に記載のイムノコンジュゲート。
(項目89)
第3の(C)を更に含む、項目88記載のイムノコンジュゲート。
(項目90)
第4の(C)を更に含む、項目89記載のイムノコンジュゲート。
(項目91)
2~6個の(C)を含む、項目74~90の何れか1項に記載のイムノコンジュゲート。
(項目92)
3~4個の(C)を含む、項目74~90の何れか1項に記載のイムノコンジュゲート。
(項目93)
項目1~71及び74~92の何れか1項に記載の抗体、抗原結合フラグメント、ポリペプチド又はイムノコンジュゲート及び製薬上許容しうる担体を含む医薬組成物。
(項目94)
イムノコンジュゲートが(A)当たり平均で約3~約4個の(C)を有する項目74~92の何れか1項に記載のイムノコンジュゲートを含む医薬組成物。
(項目95)
イムノコンジュゲートが(A)当たり平均で約3.5±0.5個の(C)を有する、項目47記載の医薬組成物。
(項目96)
第2の抗癌剤を更に含む、項目93~95の何れか1項に記載の医薬組成物。
(項目97)
標識されている項目1~71及び74~92の何れか1項に記載の抗体、抗原結合フラグメント、ポリペプチド又はイムノコンジュゲートを含む診断試薬。
(項目98)
該標識が放射標識、蛍光団、発色団、画像化剤及び金属イオンよりなる群から選択される、項目97記載の診断試薬。
(項目99)
項目1~71及び74~92の何れか1項に記載の抗体、抗原結合フラグメント、ポリペプチド又はイムノコンジュゲートを含むキット。
(項目100)
対象に項目1~71及び71~95の何れか1項に記載の抗体、抗原結合フラグメント、ポリペプチド、イムノコンジュゲート又は医薬組成物の治療有効量を投与することを含む、対象における腫瘍生育を阻害する方法。
(項目101)
式(A)-(L)-(C)を有し、式中:
(A)はヒトフォレート受容体1に特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントであり;
(L)はリンカーであり;そして、
(C)はマイタンシノイド及びマイタンシノイド類縁体よりなる群から選択される細胞傷害剤であり;ここで(L)は(A)を(C)に連結するイムノコンジュゲートの治療有効量を投与することを含み;
ここでイムノコンジュゲートはKB異種移植片モデルにおいて平均腫瘍体積を少なくとも2倍低減する、対象における腫瘍生育を阻害する方法。
(項目102)
該抗体又はその抗原結合フラグメントが下記:
(a)GYFMN(配列番号1)を含む重鎖CDR1;RIHPYDGDTFYNQXaaFXaaXaa(配列番号56)を含む重鎖CDR2;及びYDGSRAMDY(配列番号3)を含む重鎖CDR3;及び、
(b)KASQSVSFAGTSLMH(配列番号7)を含む軽鎖CDR1;RASNLEA(配列番号8)を含む軽鎖CDR2;及びQQSREYPYT(配列番号9)を含む軽鎖CDR3;
ただしここで、XaaはK、Q、H及びRから選択され;XaaはQ、H、N及びRから選択され;そしてXaaはG、E、T、S、A及びVから選択されるもの;
を含む、項目101記載の方法。
(項目103)
重鎖CDR2配列がRIHPYDGDTFYNQKFQG(配列番号2)を含む、項目102記載の方法。
(項目104)
該抗体又はその抗原結合フラグメントが2010年4月7日にATCCに寄託され、そしてATCC受託番号PTA-10772、PTA-10773又は10774を有するプラスミドDNAによりコードされる、項目101記載の方法。
(項目105)
該イムノコンジュゲートが下記:
(A)配列番号4の重鎖可変ドメイン及び配列番号10又は配列番号11の軽鎖可変ドメインを含むヒト化抗体;
(L)N-スクシンイミジル-[(N-マレイミドプロピオンアミド)-テトラエチレングリコール]エステル(NHS-PEG4-マレイミド);及び、
(C)N(2’)-デアセチル-N2-(4-メルカプト-4-メチル-1-オキソペンチル)-マイタンシン;
を含む、項目101記載の方法。
(項目106)
該イムノコンジュゲートが下記:
(A)配列番号4の重鎖可変ドメイン及び配列番号10又は配列番号11の軽鎖可変ドメインを含むヒト化抗体;
(L)N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ブタノエート(SPDB);及び、
(C)N(2’)-デアセチル-N2-(4-メルカプト-4-メチル-1-オキソペンチル)-マイタンシン;
を含み;
ここで(L)は(A)を(C)に連結する、項目101記載の方法。
(項目107)
該イムノコンジュゲートが下記:
(A)配列番号4の重鎖可変ドメイン及び配列番号10又は配列番号11の軽鎖可変ドメインを含むヒト化抗体;
(L)N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)-2-スルホブタノエート(スルホ-SPDB);及び、
(C)N(2’)-デアセチル-N2-(4-メルカプト-4-メチル-1-オキソペンチル)-マイタンシン;
を含み;
ここで(L)は(A)を(C)に連結する、項目101記載の方法。
(項目108)
該イムノコンジュゲートが下記:
(A)配列番号4の重鎖可変ドメイン及び配列番号10又は配列番号11の軽鎖可変ドメインを含むヒト化抗体;
(L)N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)-2-スルホペンタノエート(スルホ-SPP);及び、
(C)N(2’)-デアセチル-N(2’)-(3-メルカプト-1-オキソプロピル)-マイタンシン;
を含み;
ここで(L)は(A)を(C)に連結する、項目101記載の方法。
(項目109)
該イムノコンジュゲートが下記:
(A)配列番号4の重鎖可変ドメイン及び配列番号10又は配列番号11の軽鎖可変ドメインを含むヒト化抗体;
(L)N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ペンタノエート(SPP);及び、
(C)N(2’)-デアセチル-N(2’)-(3-メルカプト-1-オキソプロピル)-マイタンシン;
を含み;
ここで(L)は(A)を(C)に連結する、項目101記載の方法。
(項目110)
該抗体が2010年4月7日にATCCに寄託され、そしてATCC受託番号PTA-10775及びPTA-10776を有するhuFR-1-21抗体である、項目101記載の方法。
(項目111)
該抗体がhuFR1-21抗体であり、ここで該抗体が下記:
(a)SSYGMS(配列番号30)を含む重鎖CDR1;TISSGGSYTY(配列番号31)を含む重鎖CDR2;及びDGEGGLYAMDY(配列番号32)を含む重鎖CDR3;及び、
(b)KASDHINNWLA(配列番号27)を含む軽鎖CDR1;GATSLET(配列番号28)を含む軽鎖CDR2;及びQQYWSTPFT(配列番号29)を含む軽鎖CDR3;
を含む、項目101記載の方法。
(項目112)
該抗体がhuFR1-48抗体であり、ここで該抗体が下記:
(a)TNYWMQ(配列番号60)を含む重鎖CDR1;AIYPGNGDSR(配列番号61)を含む重鎖CDR2;及びRDGNYAAY(配列番号62)を含む重鎖CDR3;及び、
(b)RASENIYSNLA(配列番号57)を含む軽鎖CDR1;AATNLAD(配列番号58)を含む軽鎖CDR2;及びQHFWASPYT(配列番号59)を含む軽鎖CDR3;
を含む、項目101記載の方法。
(項目113)
該抗体がhuFR1-49抗体であり、ここで該抗体が下記:
(a)TNYWMY(配列番号66)を含む重鎖CDR1;AIYPGNSDTT(配列番号67)を含む重鎖CDR2;及びRHDYGAMDY(配列番号68)を含む重鎖CDR3;及び、
(b)RASENIYTNLA(配列番号63)を含む軽鎖CDR1;TASNLAD(配列番号64)を含む軽鎖CDR2;及びQHFWVSPYT(配列番号65)を含む軽鎖CDR3;
を含む、項目101記載の方法。
(項目114)
該抗体がhuFR1-57抗体であり、ここで該抗体が下記:
(a)SSFGMH(配列番号72)を含む重鎖CDR1;YISSGSSTIS(配列番号73)を含む重鎖CDR2;及びEAYGSSMEY(配列番号74)を含む重鎖CDR3;及び、
(b)RASQNINNNLH(配列番号69)を含む軽鎖CDR1;YVSQSVS(配列番号70)を含む軽鎖CDR2;及びQQSNSWPHYT(配列番号71)を含む軽鎖CDR3;
を含む、項目101記載の方法。
(項目115)
該抗体がhuFR1-65抗体であり、ここで該抗体が下記:
(a)TSYTMH(配列番号78)を含む重鎖CDR1;YINPISGYTN(配列番号79)を含む重鎖CDR2;及びGGAYGRKPMDY(配列番号80)を含む重鎖CDR3;及び、
(b)KASQNVGPNVA(配列番号75)を含む軽鎖CDR1;SASYRYS(配列番号76)を含む軽鎖CDR2;及びQQYNSYPYT(配列番号77)を含む軽鎖CDR3;
を含む、項目101記載の方法。
(項目116)
腫瘍が卵巣腫瘍、脳腫瘍、乳房腫瘍、子宮腫瘍、子宮内膜腫瘍、膵臓腫瘍、腎臓腫瘍、及び肺腫瘍よりなる群から選択される、項目100~115の何れか1項に記載の方法。(項目117)
腫瘍が卵巣腫瘍である、項目116記載の方法。
(項目118)
腫瘍が肺腫瘍である、項目116記載の方法。
(項目119)
癌を治療するために腫瘍生育を阻害する、項目100~118の何れか1項に記載の方法。
(項目120)
対象に第2の抗癌剤を投与することをさらに含む、項目119記載の方法。
(項目121)
該第2の抗癌剤が化学療法剤である、項目120記載の方法。
(項目122)
項目1~71の何れか1項に記載の抗体、抗原結合フラグメント又はポリペプチドを生産する単離された細胞。
(項目123)
配列番号5、14、15、37、38、43、44、47、48及び120~127よりなる群から選択される配列に少なくとも90%同一である配列を含む単離されたポリヌクレオチド。
(項目124)
該配列が配列番号5、14、15、37、38、43、44、47、48及び120~127よりなる群から選択される配列に少なくとも95%同一である、項目123記載の単離されたポリヌクレオチド。
(項目125)
該配列が配列番号5、14、15、37、38、43、44、47、48及び120~127よりなる群から選択される配列に少なくとも99%同一である、項目124記載の単離されたポリヌクレオチド。
(項目126)
項目123~125の何れか1項に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
(項目127)
項目126記載のベクターを含む宿主細胞。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1-1】図1はネズミ(muMov19)及びヒト化(huMov19)Mov19に関する表面残基を示す。(A)ネズミ及びヒト化Mov19軽鎖表面残基。ネズミ及びヒト化Mov19軽鎖可変領域フレーム表面残基及び位置数(Kabatシステム)を示す。元のネズミ配列とは異なるヒト残基には下線を付す。*74位は表面位置ではないが、バージョン1.00におけるコンセンサスN連結グリコシル化部位を除去するために、この位置をスレオニンに変更し(この位置における最も一般的なヒト残基)、これによりバージョン1.60とした。(B)ネズミ及びヒトMov19重鎖表面残基。ネズミ及びヒト化Mov19重鎖可変領域フレーム表面残基及び位置数(Kabatシステム)を示す。元のネズミ配列とは異なるヒト残基には下線を付す。FR1-21(C)及び(D)について同様の表面残基を与えている。
図1-2】図1はネズミ(muMov19)及びヒト化(huMov19)Mov19に関する表面残基を示す。(A)ネズミ及びヒト化Mov19軽鎖表面残基。ネズミ及びヒト化Mov19軽鎖可変領域フレーム表面残基及び位置数(Kabatシステム)を示す。元のネズミ配列とは異なるヒト残基には下線を付す。*74位は表面位置ではないが、バージョン1.00におけるコンセンサスN連結グリコシル化部位を除去するために、この位置をスレオニンに変更し(この位置における最も一般的なヒト残基)、これによりバージョン1.60とした。(B)ネズミ及びヒトMov19重鎖表面残基。ネズミ及びヒト化Mov19重鎖可変領域フレーム表面残基及び位置数(Kabatシステム)を示す。元のネズミ配列とは異なるヒト残基には下線を付す。FR1-21(C)及び(D)について同様の表面残基を与えている。
図1-3】図1はネズミ(muMov19)及びヒト化(huMov19)Mov19に関する表面残基を示す。(A)ネズミ及びヒト化Mov19軽鎖表面残基。ネズミ及びヒト化Mov19軽鎖可変領域フレーム表面残基及び位置数(Kabatシステム)を示す。元のネズミ配列とは異なるヒト残基には下線を付す。*74位は表面位置ではないが、バージョン1.00におけるコンセンサスN連結グリコシル化部位を除去するために、この位置をスレオニンに変更し(この位置における最も一般的なヒト残基)、これによりバージョン1.60とした。(B)ネズミ及びヒトMov19重鎖表面残基。ネズミ及びヒト化Mov19重鎖可変領域フレーム表面残基及び位置数(Kabatシステム)を示す。元のネズミ配列とは異なるヒト残基には下線を付す。FR1-21(C)及び(D)について同様の表面残基を与えている。
図2図2はキメラMov19及びhuMov19重鎖及び軽鎖の可変ドメイン及びmuFR1-21及びhuFR1-21重鎖及び軽鎖可変ドメインのアライメントを示す。Mov19及びFR1-21可変領域のリサーフィシング配列とそれらのネズミ対応物とのアライメント。A)及びC)軽鎖可変ドメイン;B)及びD)重鎖可変ドメイン。ダッシュ「-」はネズミ配列との同一性を示す。CDR(Kabat定義)には下線を付す。
図3図3はHEK細胞におけるキメラMov19とhuMov19の発現を示す。キメラ及びヒトMov19発現プラスミドを懸濁HEK-293T細胞内に一過性にトランスフェクトし、7日後に採取し、そして発現された抗体を定量的ELISAにより測定した。軽鎖及び重鎖のプラスミドは3:1又は6:1のそれぞれのモル比でトランスフェクトした。
図4図4は抗FOLR1抗体の結合特異性を、それらのFOLR1発現300-19細胞への結合により検出したものである。フローサイトメトリーによる300-19-FOLR1細胞へのhuMov19の結合。FOLR1を発現している300-19親細胞。グレー塗りつぶし部分は細胞外自己蛍光を示し;黒点線はFITCにコンジュゲートした抗ヒト二次抗体と共にインキュベートした細胞を示し、黒実線はhuMov19抗体及びFITCにコンジュゲートした抗ヒト二次抗体と共にインキュベートした細胞を示す。
図5図5は抗FOLR1抗体及びイムノコンジュゲートの結合親和性及びインビトロの細胞傷害活性を示す。huMov19及び種々のネズミ及びヒト化FR-1抗体の結合親和性をSKOV3細胞において計測した。列挙した抗体のPEG4-Mal-DM4コンジュゲートのインビトロの細胞傷害活性も又アッセイした。
図6図6はイムノコンジュゲートの抗体依存性細胞性細胞傷害を示す。huMov19、huFR1-21及びMor003のADCC活性をIgrov1細胞に対してアッセイした。Igrov1は標的:NK細胞比1:4の1500細胞/ウェルとともにインキュベートした。
図7図7はKB細胞におけるhuFR1-21-PEG4-mal-DM4及びhuMov19-PEG4-mal-DM4の連続曝露の細胞傷害活性を示す。過剰量の非コンジュゲート抗体は、それらをKB細胞の存在下に同時インキュベートした場合に、イムノコンジュゲートの活性を抑制し、細胞傷害活性が抗原依存性であることを示した。
図8図8はKB異種移植片モデルにおけるhuMov19ターゲティングコンジュゲートのインビボの薬効を示す。FOLR1-ターゲティング切断可能コンジュゲートhuMov19-SPDB-DM4(B)を非FOLR1-ターゲティングhuC242-SPDM-DM4(D)と対比させながら、そして、切断不可能コンジュゲートhuMov19-PEG4-Mal-DM4(C)をhuC242-PEG4Mal-DM4(E)と対比させながら、SCIDマウスに皮下移植されたKB細胞の樹立された異種移植片モデルを用いて試験した。huMov19によるFOLR1のターゲティングは平均腫瘍体積の有意な低減をもたらした。
図9図9はKB異種移植片モデルにおけるネズミFR-1抗FOLR1抗体と比較した場合のhuMov19-PEG4-Mal-DM4のインビボの薬効を示す。未コンジュゲート又はPEG4-Mal-DM4とコンジュゲートしたFR-1シリーズの抗体を、KB異種移植片腫瘍モデルにおいてhuMov19-PEG4-Mal-DM4と比較しながら平均腫瘍体積を低減するそれらの能力に関して試験した。(A)FR-1-9、(B)FR-1-13、(C)FR-1-22及び(D)FR-1-23。
図10図10はKB異種移植片モデルにおけるhuMov19-PEG4-Mal-DM4及びhuFR1-21-PEG4-Mal-DM4のインビボの薬効を示す。接種後第6日にhuMov19-PEG4-Mal-DM4及びhuFR1-21-PEG4-Mal-DM4の10mg/kgの単回注射を行った。huMov19-PEG4-mal-DM4及びhuFR1-21-PEG4-Mal-DM4の両方が平均腫瘍体積の有意な低減を示した。「平均TV]とは平均腫瘍体積をさす。
図11図11はhuMov19-PEG4-mal-DM4がKB異種移植片モデルにおいて用量依存性の活性を示したことを表わしている。イムノコンジュゲートの用量依存性活性は試験した用量の範囲にわたってアッセイした。毎週投薬は抗腫瘍活性の向上をもたらした。高い薬物負荷のみが10mg/kg用量群において活性を限定的に改善し、より低用量の群では活性は低減していた。3.4DARとは抗体当たり3.7薬物分子を指す。
図12図12は種々のリンカーを用いてDM1及びDM4にコンジュゲートしたhuMov19のインビボの薬効を示す。huMov19を、抗体当たり3.9薬物分子でSMCC-DM1に、抗体当たり3.7薬物分子でスルホ-mal-DM4に(B)、そして抗体当たり8.23薬物分子でスルホ-mal-DM4に(C)コンジュゲートし、そしてhuMov19-PEG4-mal-DM4と比較しながら種々の濃度において平均腫瘍体積を低減するそれらの能力についてアッセイした。
図13図13は種々のリンカーを用いてDM1及びDM4にコンジュゲートしたhuMov19のインビボの薬効を示す。huMov19を、抗体当たり4.3薬物分子でSPP-DM1に、抗体当たり3.8薬物分子でスルホ-SPDB-DM4に、抗体当たり3.8薬物分子でSPDB-DM4に、そして抗体当たり6.8薬物分子でスルホ-SPDB-DM4にコンジュゲートし、そして平均腫瘍体積を低減するそれらの能力についてアッセイした。マウスには5mg/kg(A)及び2.5mg/kg(B)の上記したコンジュゲートの1つ、又はPBS単独を投与した。
図14図14はOVCAR-3異種移植片腫瘍モデルにおけるhuMov19-スルホ-SPDB-DM4のインビボの薬効を示す。マウスには25、50又は100μg/kgのhuMov19-スルホ-SPDB-DM4、又はPBS単独を投与した。
図15図15はIGROV-1異種移植片腫瘍モデルにおけるhuMov19-スルホ-SPDB-DM4のインビボの薬効を示す。マウスには25、50又は100μg/kgのhuMov19-スルホ-SPDB-DM4、又はPBS単独を投与した。
図16図16はOV-90異種移植片腫瘍モデルにおけるhuMov19-スルホ-SPDB-DM4のインビボの薬効を示す。マウスには25、50又は100μg/kgのhuMov19-スルホSPDB-DM4、又はPBS単独を投与した。
図17図17はKB異種移植片モデルにおけるイムノコンジュゲートの薬効に対する切断可能及び切断不可能なリンカーの作用を示す。
図18図18は(A)KB異種移植片モデル(B)OVCAR-3異種移植片モデルにおけるイムノコンジュゲートの薬効に対する切断可能なリンカーの作用を示す。
図19図19はKB及び異種移植片腫瘍モデルにおけるhuFR1-48、huFR1-49、huFR1-57及びhuFR1-65-SMCC-DM1のインビトロ及びインビボノ薬効を示す。マウスには200μg/kgの単回用量を投与した。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明はヒトフォレート受容体1(FOLR1)に結合するポリペプチド、例えば抗体及びイムノコンジュゲートを包含するがこれらに限定されない新しい剤を提供する。関連のポリペプチド及びポリヌクレオチド、FOLR1結合剤を含む組成物、及びFOLR1結合剤を作成する方法も提供する。新しいFOLR1結合剤を使用する方法、例えば腫瘍の生育を阻害する、及び/又は癌を治療する方法もまた提供する。
【0048】
1.定義
本発明の理解を容易にするために、多くの用語及びフレーズを以下に定義する。
【0049】
「ヒトフォレート受容体1」即ち「FOLR1」という用語は、本明細書において使用する場合、特段の記載が無い限り何れかのネイティブのひとFOLR1を指す。「FOLR1」という用語は又、「完全長」の、未プロセシングのFOLR1、並びに細胞内のプロセシングの結果生じる何れかの形態のFOLR1を包含する。用語は又、天然に存在するFOLR1変異体、例えばスプライス変異体、対立遺伝子変異体及びアイソフォームを包含する。本明細書に記載したFOLR1ポリペプチドは種々の原料から、例えばヒト組織型から、又はその他の減量から単離するか、又は組み換え又は合成の方法により調製することができる。FOLR1配列の例は、NCBIレファレンス番号P15328、NP_001092242.1、AAX29268.1、AAX37119.1、NP_057937.及びNP_057936.1を包含するがこれらに限定されない。
【0050】
「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子の可変領域内部の抗原認識部位少なくとも1つを介して、蛋白、ポリペプチド、ペプチド、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質又はこれらの組み合わせのような標的を認識して特異的に結合する免疫グロブリン分子を意味する。本明細書において使用する場合、「抗体」という用語は未損傷のポリクローナル抗体、未損傷のモノクローナル抗体、抗体フラグメント(例えばFab、Fab’、F(ab’)2、及びFvフラグメント)、単鎖Fv(scFv)突然変異体、少なくとも2つの未損傷抗体から形成された二重特異性抗体のような多重特異性抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、抗体の抗原決定部分を含む融合蛋白、及び、抗体が所望の生物学的活性を呈する限りにおいて、抗原認識部位を含むいずれかの他の修飾された免疫グロブリン分子を包含する。抗体は、それぞれアルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ及びミューと称される自身の重鎖定常ドメインのアイデンティティーに基づいて、免疫グロブリンの5主要クラス:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgM、又はそのサブクラス(アイソタイプ)(例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)の何れかであることができる。異なるクラスの免疫グロブリンは異なる良く知られたサブユニット構造及び三次元配置を有する。抗体はネイキッドであるか、毒素、放射性同位体等のような他の分子にコンジュゲートされていることができる。
【0051】
「ブロッキング」抗体又は「拮抗剤」抗体とはFOLR1ような自身が結合する抗原の生物学的活性を阻害又は低減するものである。一部の実施形態においてはブロッキング抗体又は拮抗剤抗体は抗原の生物学的活性を実質的に、又は完全に阻害する。望ましくは生物学的活性は10%、20%、30%、50%、70%、80%、90%、95%、又は100%までも低減することができる。
【0052】
「抗FOLR1抗体」又は「FOLR1に結合する抗体」という用語はFOLR1をターゲティングする場合において診断薬及び/又は治療剤として抗体が有用であるように、十分な親和性を持ってFOLR1に結合することができる抗体を指す。未関連の非FOLR1蛋白への抗FOLR1抗体の結合の程度は、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)により計測した場合にFOLR1への抗体の結合の約10%未満である。特定の実施形態においてはFOLR1に結合する抗体は≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、又は≦0.1nMの解離定数(Kd)を有する。
【0053】
「抗体フラグメント」という用語は未損傷の抗体の一部分を指し、そして未損傷の抗体の抗原決定可変領域を指す。抗体フラグメントの例は、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFvフラグメント、線状抗体、単鎖抗体、及び抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体を包含するがこれらに限定されない。
【0054】
「モノクローナル抗体」とは単一の抗原決定基、即ちエピトープの高度に特異的な認識及び結合に関与する均質な抗体集団を指す。これは種々異なる抗原決定基に対して指向された種々異なる抗体を典型的には包含しているポリクローナル抗体とは対照的である。「モノクローナル抗体」という用語は未損傷及び完全長のモノクローナル抗体、並びに抗体フラグメント(Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv)、単鎖(scFv)突然変異体、抗体部分を含む融合蛋白、及び抗原認識部位を含む何れかの他の修飾された免疫グロブリン分子を包含する。更に又、「モノクローナル抗体」とはハイブリドーマ、ファージ選択、組み換え発現、及びトランスジェニック動物による方法を包含するがこれらに限定されない態様の何れかにより作成された抗体を指す。
【0055】
「ヒト化抗体」という用語は最小限の非ヒト(例えばネズミ)配列を含有する特異的な免疫グロブリン鎖、キメラ免疫グロブリン、又はそのフラグメントである非ヒト(例えばネズミ)抗体の形態を指す。典型的にはヒト化抗体は所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒト種(例えばマウス、ラット、ウサギ、ハムスター)のCDRに由来する残基により、相補性決定領域(CDR)由来の残基が置き換えられているヒト免疫グロブリンである(Jones等、1986,Nature,321:522-525;Riechmann等、1988,Nature,332:323-327; Verhoeyen等、1988,Science,239:1534-1536)。一部の例においては、ヒト免疫グロブリ
ンのFvフレームワーク領域(FR)残基が所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒト種由来抗体中の相当する残基で置き換えられている。ヒト化抗体は更に抗体の特異性、親和性及び/又は能力を精鋭化及び最適化するためにFvフレームワーク内及び/又は置き換えられた非ヒト残基内部における追加的残基の置換により修飾できる。一般的にヒト化抗体は、非ヒト免疫グロブリンに相当するCDR領域の全て又は実質的に全てを含有する可変ドメイン少なくとも1つ、そして典型的には2つ又は3つの実質的に全てを含むことになり、一方FR領域の全て又は実質的に全てはヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである。ヒト化抗体は又、免疫グロブリン定常領域又はドメイン(Fc)の少なくとも一部分、典型的にはヒト免疫グロブリンのものを含むこともできる。ヒト化抗体を形成するために使用される方法の例は米国特許5,225,539又は5,639,641号に記載されている。
【0056】
抗体の「可変領域」とは単独又は組み合わせにおいて、抗体軽鎖の可変領域又は抗体重鎖の可変領域を指す。重鎖及び軽鎖の可変領域は各々、超可変領域としても知られている3つの相補性決定領域(CDR)により連結された4つのフレームワーク領域(FR)よりなる。各鎖におけるCDRはFRにより近接して共に保持されており、そして他の鎖のCDRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与している。CDRを決定するためには少なくとも2つの手法、即ち:(1)種間の配列変動性に基づくアプローチ(即ちKabat等
、Sequences of Proteins ofImmunological Interest, (5th 編、1991,NationalInstitutesofHealth,BethesdaMd.));及び(2)抗原-抗体複合体の結晶学的研究に基づい
たアプローチ(Al-lazikaniet al (1997) J. Molec. Biol. 273:927-948))が存在する。更に又、これらの2つのアプローチの組み合わせがCDRを決定するために当該分野で使用される場合もある。
【0057】
Kabatナンバリングシステムは一般的に可変ドメイン内の残基(概ね、軽鎖の残基1~107及び重鎖の残基1~113)を指す場合に使用される(例えばKabat等、SequencesofImmunologicalInterest.5thEd. Public HealthService, National Institutes
of Health, Bethesda, Md.(1991))。
【0058】
Kabatの場合のアミノ酸位置のナンバリングはKabat等、Sequencesof Proteins ofImmunologicalInterest,5thEd.Public Health Service, NationalInstitutes ofHealth,
Bethesda,Md. (1991)における抗体のコンピレーションの重鎖可変ドメイン又は軽
鎖可変ドメインに対して使用されるナンバリングシステムである。このナンバリングシステムを使用すると、実際の線状アミノ酸配列は可変ドメインのFR又はCDRの短鎖化、又はそれへの挿入に相当する、より少数又は追加のアミノ酸を含有する場合がある。例えば、重鎖可変ドメインはH2の残基52の後の単一のアミノ酸の挿入(Kabatによる残基52a)及び重鎖FR残基82の後の挿入残基(例えばKabatによる残基82a、82b及び82c等)を包含する場合がある。残基のKabatナンバリングは「標準的」Kabatナンバリングされた配列との、抗体の配列の相同性の領域におけるアライメントにより所定の抗体について決定することができる。Chothiaは代わりに構造ループの箇所を指している(ChothiaandLeskJ.Mol.Biol. 196:901-917 (1987))。K
abatのナンバリング法を用いてナンバリングした場合のChothiaのCDR-H1ループの終点はループの長さによりH32とH34の間で変動する(その理由はKabatのナンバリング法はH35AとH35Bに挿入を置いており;35Aと35Bの何れも存在しない場合はループは32で終点となり;35Aのみが存在する場合は、ループは33で終点隣;35Aと35Bの両方が存在する場合は、ループは34で終点となる)。AbM超可変領域はKabatのCDRとChothiaの構造ループの間の妥協点を示しており、Oxford Molecular’s AbM抗体モデリングソフトウエアにより使用されている。
【化1-1】
【0059】
「ヒト抗体」という用語は、ヒトにより作成された抗体、又は当該分野で知られている何れかの手法を用いて人工的に生成された抗体に相当するアミノ酸配列を有する抗体を意味する。ヒト抗体のこの定義は、未損傷又は完全長の抗体、そのフラグメント、及び/又は少なくとも1つのヒト重鎖及び/又は軽鎖のポリペプチドを含む抗体、例えばネズミ軽鎖及びヒト重鎖のポリペプチドを含む抗体を包含する。
【0060】
「キメラ抗体」という用語は免疫グロブリン分子のアミノ酸配列が2つ以上の種から誘導されている抗体を指す。典型的には、軽鎖及び重鎖の両方の可変領域は、所望の特異性、親和性及び能力を有する哺乳類の1種(例えばマウス、ラット、ウサギ等)から誘導された抗体の可変領域に相当し、そして、定常領域はその種における免疫応答を誘発することを回避するために別のもの(通常はヒト)から誘導された抗体中の配列に相同である。
【0061】
「エピトープ」又は「抗原決定基」という用語は、本明細書においては互換的に使用され、そして特定の抗体により認識され、そして特異的に結合されることができる抗原の部分を指す。抗原がポリペプチドである場合、エピトープは蛋白の3次折り畳みにより並置された連続アミノ酸及び非連続アミノ酸の両方から形成できる。連続アミノ酸から形成されたエピトープは典型的には蛋白変性時に保持されるのに対し、3次折り畳みにより形成されるエピトープは典型的には蛋白変性時に消失する。エピトープは典型的には少なくとも3つ、そしてより普通には少なくとも5又は8~10個のアミノ酸をユニークな空間的コンホーメーションにおいて包含している。
【0062】
「結合親和性」とは一般的に、分子(例えば抗体)の単一の結合部位とその結合相手(例えば抗原)との間の非共有結合的な相互作用の総計の強度を指す。特段の記載が無い限り、本明細書において使用する場合、「結合親和性」とは結合対のメンバー(例えば抗体と抗原)の間の1:1相互作用を反映する内因性の結合親和性を指す。分子Xのその相手Yに対する親和性は一般的に解離定数(Kd)により表すことができる。親和性は本明細書に記載する者を含めて当該分野で知られている一般的方法により計測できる。低親和性の抗体は一般的に緩徐に抗原に結合し、そして容易に解離する傾向があるのに対し、高親和性の抗体は一般的に急速に抗原に結合し、そしてより長時間結合したままとなる傾向を有する。結合親和性を計測するための種々の方法が当該分野で知られており、それらのいずれも本発明の目的のために使用できる。特定の例示される実施形態は後述するとおりである。
【0063】
「より良好」とは本明細書において使用する場合、分子とその結合相手との間のより強い結合を指す。「より良好」とは本明細書において使用する場合、より小さい数のKd値により表されるより強い結合を指す。例えば、「0.6nMより良好」な抗原に対する親
和性を有する抗体について、その抗原に対する抗体の親和性は<0.6nM、即ち0.59nM、0.58nM、0.57nM、等、又は0.6nM未満の何れかの値である。
【0064】
「実質的に同様」又は「実質的に同じ」というフレーズは、本明細書において使用する場合、当業者が2つの値の間の差が、その値(例えばKd値)により計測される生物学的特性の範囲内において生物学的及び/又は統計学的な有意性を殆ど又は全く有さないと考えるような、2つの数値(一般的に1つは本発明の抗体に関連するものであり、もう1つはレファレンス/コンパレーター抗体に関連するもの)の間の十分高度な同様性を意味する。該2つの値の間の差は、レファレンス/コンパレーター抗体の値の関数として、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約10%未満である。
【0065】
「単離された」ポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞又は組成物は、自然界で観察されない形態となっているポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞又は組成物である。単離されたポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞又は組成物はそれらが自然界で観察される形態にはそれらがもはやなりえない程度にまで精製されているものを包含する。一部の実施形態においては、単離された抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、又は組成物は実質的に純粋である。
【0066】
本明細書において使用する場合、「実質的に純粋」とは少なくとも50%純粋(即ち夾雑物が存在しない)、少なくとも90%純粋、少なくとも95%純粋、少なくとも98%純粋、少なくとも99%純粋である物質を指す。
【0067】
「イムノコンジュゲート」又は「コンジュゲート」という用語は本明細書において使用する場合、細胞結合剤(即ち抗FOLR1抗体又はそのフラグメント)に連結された化合物又はその誘導体を指し、そして包括的な式:C-L-Aにより定義され、式中、C=細胞傷害物質、L=リンカー、そしてA=細胞結合剤又は抗FOLR1抗体又は抗体フラグメントである。イムノコンジュゲートは又、逆順序の包括的な式:A-L-Cによっても定義できる。
【0068】
「リンカー」とは安定な共有結合の態様において抗FOLR1抗体又はそのフラグメントのような細胞結合剤に、通常はマイタンシノイドのような薬物を連結することができる何れかの化学的部分である。リンカーは化合物又は抗体が活性であり続けられる条件において、酸誘導切断、光誘導切断、ペプチダーゼ誘導切断、エステラーゼ誘導切断、及びジスルフィド結合切断に対して感受性であるか、又は実質的に抵抗性であることができる。適当なリンカーは当該分野で良く知られており、そして例えばジスルフィド基、チオエーテル基、酸不安定基、光不安定基、ペプチダーゼ不安定基及びエステラーゼ不安定基を包含する。リンカーは又本明細書に記載する、そして当該分野で知られている荷電リンカー、及びその親水性形態を包含する。
【0069】
「癌」及び「癌性の」という用語は細胞集団が制御不可能な細胞生育を特徴とする哺乳類における生理学的状態を指すか、これを説明するものである。癌の例は癌腫、リンパ腫、芽腫、肉腫、及び白血病を包含するがこれらに限定されない。そのような癌のより特定的な例は、扁平上皮癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、肺の扁平上皮癌、腹膜の癌。肝細胞癌、胃腸の癌、膵臓癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーマ、乳癌、結腸癌結腸直腸癌、子宮内膜又は子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝癌、及び種々の型の頭頚部の癌を包含する。
【0070】
「腫瘍」及び「新生物」は前癌患部を包含する良性(非癌性)又は悪性(癌性)の何れかの過剰な細胞の生育又は増殖に起因する組織の何れかの塊を指す。
【0071】
「癌細胞」、「腫瘍細胞」という用語及び文法的等価表現は、腫瘍細胞集団の塊状物を含む非腫瘍形成性細胞及び腫瘍形成性幹細胞(癌幹細胞)の両方を包含する腫瘍又は前癌性の患部から誘導された細胞の総集団を指す。本明細書において使用する場合、「腫瘍細胞」という用語は、癌幹細胞からそれらの腫瘍細胞を区別できるように更新及び分化する能力を欠いている腫瘍細胞のみを指す場合には、「非腫瘍形成性」という用語により修飾されることになる。
【0072】
「対象」という用語は、特定の治療のレシピエントとなるべきヒト、非ヒト霊長類、げっ歯類等を包含するがこれらに限定されない何れかの動物(例えば哺乳類)を指す。典型的には、「対象」及び「患者」という用語は、ヒト対象に言及する場合には本明細書においては互換的に使用される。
【0073】
1つ以上の他の治療剤「と組み合わせた」投与とは、同時(並行)及び何れかの順序における連続投与を包含する。
【0074】
「医薬品製剤」という用語は活性成分の生物学的活性を有効とする形態にあり、そして、製剤を投与する対象に対して許容できない程度毒性である追加的成分を含有しない調製物を指す。そのような製剤は滅菌されることができる。
【0075】
本明細書に開示する抗体の「有効量」とは特に記載された目的を実施するために十分な量である。「有効量」は記載された目的に関連して、実験的に、そして定型的な態様において決定できる。
【0076】
「治療有効量」という用語は対象又は哺乳類における疾患又は障害を「治療」するために有効な抗体又は他の薬物の量を指す。癌の場合は、薬物の治療有効量は癌細胞の数を低減し;腫瘍の大きさを低減し;周辺臓器内部への癌細胞の浸潤を阻害し(即ちある程度まで緩徐化、そして特定の実施形態においては停止させ);腫瘍の転移を阻害し(即ちある程度まで緩徐化、そして特定の実施形態においては停止させ);腫瘍の生育をある程度まで阻害し;及び/又は癌に関連する症状の1つ以上をある程度まで緩和することができる。本明細書における「治療すること」の定義を参照できる。薬物が既存の癌細胞の生育を防止できる限り、それらは細胞増殖抑制性及び/又は細胞傷害性であることができる。「予防有効量」とは所望の予防結果を達成するために、必要な投薬量において必要な期間に渡り、有効な量を指す。必然的にではないが典型的には、予防用量は疾患の前、又は早期の段階において対象において使用されるため、予防有効量は治療有効量より低値となる。
【0077】
「標識」という用語は本明細書において使用する場合、「標識された」抗体を形成するべく抗体に直接又は間接的にコンジュゲートされる検出可能な化合物又は組成物を指す。「標識はそれ自体検出されることができる(例えば放射性同位体標識又は蛍光標識)か、又は、酵素標識の場合は、検出可能な基質化合物又は組成物の化学的改変を触媒することができる。
【0078】
「化学療法剤」とは作用機序に関わらず、癌の治療において有用な化学的化合物である。化学療法剤のクラスはアルキル化剤、代謝拮抗剤、紡錘毒植物アルカロイド、細胞傷害/抗腫瘍抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤、抗体、光感作剤、及びキナーゼ阻害剤を包含するがこれらに限定されない。化学療法剤は「ターゲティング治療」及び従来の化学療法で使用される化合物を包含する。
【0079】
「治療すること」又は「治療」又は「治療するため」又は「軽減すること」又は「軽減するため」等の用語は、1)診断された病理学的状態又は障害の症状の治癒、緩徐化、減少、及び/又は進行の停止を行う治療手段、及び2)ターゲティングされた病理学的状態又は障害の発症を防止及び/又は緩徐化する予防的又は防止的な手段の両方を指す。即ち、治療を必要とするものは、障害を既に有する者;障害を有し易い者;及び障害を防止すべき者を包含する。特定の実施形態においては、対象は患者が以下:癌細胞の数の減少又は完全な非存在;腫瘍の大きさの低減;例えば軟組織及び骨内部への癌の拡張を包含する周辺臓器内部への癌細胞の浸潤の阻害又は非存在;腫瘍転移の阻害又は非存在;腫瘍生育の阻害又は非存在;特定の癌に関連する症状1つ以上の緩解;罹患率及び死亡率の低減;クオリティーオブライフの向上;腫瘍の腫瘍形成性、腫瘍形成頻度、又は腫瘍形成能力の低減;腫瘍中の癌幹細胞の数又は頻度の低減;腫瘍形成性細胞の非腫瘍形成性状態への分化;又は作用の何らかの組み合わせの1つ以上を呈する場合に本発明の方法に従って癌に関して良好に「治療される。
【0080】
本明細書において互換的に使用される「ポリヌクレオチド」又は「核酸」とは、何れかの長さのヌクレオチドの重合体を指し、そしてDNA及びRNAを包含する。ヌクレオチドはデオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾されたヌクレオチド又は塩基、及び/又はそれらの類縁体、又はDNA又はRNAポリメラーゼにより重合体内に取り込まれることができる何れかの基質であることができる。ポリヌクレオチドは修飾されたヌクレオチド、例えばメチル化ヌクレオチド及びそれらの類縁体を含むことができる。存在する場合、ヌクレオチド構造の修飾は重合体の組み立ての前又は後に行うことができる。ヌクレオチドの配列は非ヌクレオチド成分により中断されていることができる。ポリヌクレオチドは重合の後に、例えば標識成分とのコンジュゲーションにより更に修飾されることができる。他の型の修飾は、例えば「キャップ」、天然に存在するヌクレオチド1つ以上の類縁体による置換、ヌクレオチド間修飾、例えば未荷電連結部(例えばメチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、カーバメート等)及び荷電連結部(例えばホスホロチオエート、ホスホロジチオエート等)を有するもの、例えば蛋白のような懸垂部分を含有するもの(例えばヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ-L-リジン等)、インターカレーターを有する者(例えばアクリジン、ソラレン等)、キレート形成剤を含有するもの(例えば金属、放射活性金属、ホウ素、酸化性金属等)、アルキル化剤を含有するもの、修飾された連結部を有するもの(例えばアルファアノマー核酸等)並びにポリヌクレオチドの未修飾の形態を包含する。更に又、糖に元から存在するヒドロキシル基の何れかを例えばホスホネート基、ホスフェート基で置き換えるか、標準的な保護基で保護するか、又は活性化して別のヌクレオチドへの別の連結部を調製することができ、又は固体支持体にコンジュゲートすることができる。5’及び3’末端のOHはホスホリル化するか、又は、アミン又は炭素原子1~20個の有機キャッピング基部分で置換することができる。他のヒドロキシルもまた、標準的な保護基に誘導体化することができる。ポリヌクレオチドは又、当該分野で一般的に知られているリボース又はデオキシリボースの糖の類縁体型、例えば2’-O-メチル-、2’-O-アリル、2’-フルオロ-又は2’-アジド-リボース、カルボキシル糖類縁体、アルファアノマー型糖、エピマー型糖、例えばアラビノース、キシロース又はリキソース、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環式類縁体及び無塩基のヌクレオシド類縁体、例えばメチルリボーシドを含有できる。1つ以上のホスホジエステル連結部を代替の連結基で置き換えることができる。このような代替の連結基はホスフェートがP(O)S(チオエート)、P(S)S(ジチオエート)、(O)NR(アミデート)、P(O)R、P(O)OR’、CO又はCH(ホルムアセタール)である実施形態を包含するがこれらに限定されず、式中各々のR又はR’は独立してH又は置換又は未置換の場合によりエーテル(-O-)連結部を含有するアルキル(1-20C)、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル又はアラルキルである。ポリヌクレオチド中の全ての連結部が必ずしも同一である必要はない。以上の記載はRNA及びDNAを包含する本明細書において言及する全てのポリヌクレオチドに適用される。
【0081】
「ベクター」という用語は宿主細胞中に1つ以上の遺伝子又は配列を送達及び発現することができるコンストラクトを意味する。ベクターの例はウィルスベクター、ネイキッドDNA又はRNA発現ベクター、プラスミド、コスミド又はファージベクター、カチオン性縮合剤に会合したDNA又はRNA発現ベクター、リポソーム内にカプセル化されたDNA又はRNA発現ベクター、及び特定の真核生物の細胞、例えばプロデューサー細胞を包含するがこれらに限定されない。
【0082】
「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「蛋白」という用語は本明細書においては何れかの長さのアミノ酸の重合体を指すために互換的に使用される。重合体は直鎖又は分枝鎖であることができ、修飾されたアミノ酸を含むことができ、そして非アミノ酸により中断されることができる。用語は又、天然に、又は介入、例えばジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、ホスホリル化、又は他の何れかの操作又は修飾、例えば標識成分とのコンジュゲーションにより修飾されているアミノ酸重合体を包含する。同様に包含されるものは、例えばアミノ酸の類縁体1つ以上(例えば非天然のアミノ酸等を包含)並びに他の当該分野で知られている修飾を含有するポリペプチドである。本発明のポリペプチドは抗体に基づいているため、特定の実施形態においては、ポリペプチドは単鎖又は会合している鎖として存在することができる。
【0083】
2つ以上の核酸又はポリペプチドの文脈における「同一」又はパーセント「同一性」という用語は、配列同一性の部分として如何なる保存的アミノ酸置換も考慮しない場合に、最大相応が得られるように比較してアライン(必要に応じてギャップを導入)した場合に、同じであるか、又は同じであるヌクレオチド又はアミノ酸残基の特定のパーセンテージを有する2つ以上の配列又はサブ配列を指す。パーセント同一性は配列比較ソフトウエア又はアルゴリズムを用いながら、又は目視による検査により計測できる。アミノ酸又はヌクレオチド配列のアライメントを得るために使用できる種々のアルゴリズム及びソフトウエアが当該分野で知られている。そのような配列アライメントアルゴリズムの非限定的な例は、Karlin等、1993,Proc.Natl.Acad.Sci.,90:5873-5877により変更され、NBL
AST及びXBLASTプログラム(Altschul等、1991,Nucleic Acids Res., 25:3389-3402)に組み込まれたKarlin等、1990,Proc.Natl.Acad.Sci.,87:2264-2268に記載されて
いるアルゴリズムである。特定の実施形態においてはGapped BLASTをAltschul等、1997,NucleicAcidsRes.25:3389-3402に記載の通り使用できる。BLAST-2
、WU-BLAST-2 (Altschul等、1996, Methodsin Enzymology, 266:460-480)、ALIGN、ALIGN-2(Genentech,SouthSanFrancisco,California)又はMega
lign(DNASTAR)は配列をアラインするために使用できる別の好適に入手できるソフトウエアプログラムである。特定の実施形態においては、2つのヌクレオチド配列の間のパーセント同一性は、GCGソフトウエアにおけるGAPプログラムを用いながら(例えばNWSgapdna.CMPマトリックス及びギャップウエイト40、50、60、70又は90及びレングスウエイト1、2、3、4、5及び6を用いながら)求められる。特定の代替の実施形態においては、NeedlemanandWunsch(J.Mol.Biol. (48):444-453 (1970))のアルゴリズムを組み込んだGCGソフトウエアパッケージにおけるGA
Pプログラムを用いることにより2つのアミノ酸配列の間のパーセント同一性を求めることができる(例えばBlossum62マトリックス又はPAM250マトリックス及びギャップウエイト16、14、12、10、8、6又は4及びレングスウエイト1、2、3、4、5を用いる)。あるいは特定の実施形態においては、ヌクレオチド又はアミノ酸配列の間のパーセント同一性はMyersandMiller(CABIOS,4:11-17(1989))のアルゴリズ
ムを用いながら求める。例えばパーセント同一性はALIGNプログラム(バージョン2.0)を用いながら、そして、残基表を伴ったPAM120、ギャップレングスペナルティー12及びギャップペナルティー4を用いながら、求めることができる。特定のアライメントソフトウエアによる最大のアライメントのための適切なパラメーターは当業者が決定できる。特定の実施形態においては、アライメントソフトウエアのデフォルトパラメーターを使用する。特定の実施形態においては、第1のアミノ酸配列の第2の配列に対するパーセンテージ同一性「X」は100×(Y/Z)として計算され、式中、Yは第1及び第2の配列のアライメント(目視検査によるか特定の配列アライメントプログラムによりアラインした場合)における同一マッチとして採点されたアミノ酸残基の数であり、そしてZは第2の配列中の残基の総数である。第1の配列の長さが第2の配列より長い場合、第2の配列に対する第1の配列のパーセント同一性は第1の配列に対する第2の配列のパーセント同一性より長くなることになる。
【0084】
非限定的な例として、何れかの特定のポリヌクレオチドが、レファレンス配列に対して特定のパーセント配列同一性を有する(例えば少なくとも80%同一、少なくとも85%同一、少なくとも90%同一、そして一部の実施形態においては少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一)かは、特定の実施形態においては、Bestfitプログラムを用いて測定できる(WisconsinSequenceAnalysisPackage,Version 8 for
Unix(登録商標), GeneticsComputer Group,UniversityResearch Park, 575 ScienceDrive,Madison,WI 53711)。Festfitは2つの配列の間の相同性の最良セグメントを見つけるためにSmithandWaterman,AdvancesinApplied Mathematics 2: 482 489 (1981)
のローカルホモロジーアルゴリズムを使用している。Bestfit及び何れかの
他の配列アライメントプログラムを用いることにより本発明に従って特定の配列がレファレンス配列に対して例えば95%同一であるかどうかを調べる場合、パラメーターは、同一性のパーセンテージがレファレンスヌクレオチド配列の完全長に渡って計算されるように、そしてレファレンス配列におけるヌクレオチドの総数の5%までの相同性におけるギャップが許容されるように設定する。
【0085】
一部の実施形態においては、本発明の2つの核酸又はポリペプチドは、配列比較アルゴリズムを用いるか、又は目視検査により計測した場合に最大相応が得られるように比較してアラインした場合に、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、そして一部の実施形態においては少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%のヌクレオチド又はアミノ酸残基の同一性を有することを意味するべく、実質的に同一という。特定の実施形態においては、同一性は少なくとも約10、約20、約40~60残基長の、又はその間の何れかの整数値である配列の領域に渡って、そして60~80残基より長い領域、例えば少なくとも約90~100残基に渡って存在し、或いは、配列は例えばヌクレオチド配列のコドン領域のように、比較される配列の完全長に渡って実質的に同一である。
【0086】
「保存的アミノ酸置換」とは1つのアミノ酸残基が同様の側鎖を有する別のアミノ酸残基で置き換えられているものである。同様の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは当該分野で定義されており、例えば、塩基性側鎖(例えばリジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えばアスパラギン酸、グルタミン酸)、未荷電極性側鎖(例えばアスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えばグリシン、アラニン、バアリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分枝側鎖(例えばスレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えばチロシン、ゲニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を包含する。例えば、チロシンに対するフェニルアラニンの置換は保存的置換である。特定の実施形態においては、本発明のポリペプチド及び抗体の配列における保存的置換は、そのアミノ酸配列を含有するポリペプチド又は抗体の、ポリペプチド又は抗体が結合する抗原、即ちFOLR1への結合を消失させない。抗原結合を排除しないヌクレオチド及びアミノ酸の保存的置換を識別するための方法は当該分野で良く知られている(例えばBrummell等、Biochem.32:1180-1187(1993);Kobayashi等、Protein Eng. 12(10):879-884 (1999);及びBurks等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA94:.412-417 (1997)を参照)
【0087】
本開示及び請求項において使用する場合、「ある~」、そして「その~」という単数標記は、特段の記載が無い限り複数標記も包含するものとする。
【0088】
「含む」という表現で実施形態を本明細書に記載する場合は常時、「よりなる」及び/又は「より本質的になる」と言う用語において説明する別様の類似の実施形態も提供されるものと理解しなければならない。
【0089】
本明細書において「A及び/又はB」等のフレーズにおいて使用する場合の「及び/又は」という用語は「A及びB」、「A又はB」、「A」及び「B」の何れをも包含することを意図している。同様に「A、B及び/又はC」というフレーズにおいて使用する場合の「及び/又は」という用語は、以下の実施形態:A、B及びC;A、B又はC;A又はC;A又はB;B又はC;A及びC」;Aoyobi B;B及びC;A(単独);B(単独);及びC(単独)の各々を包含することを意図している。
【0090】
II.FOLR1結合剤
本発明はヒトFOLR1に特異的に結合する剤を提供する。これらの剤は本明細書においては、「FOLR1結合剤」と称する。FOLR1に関する完全長アミノ酸(aa)及びヌクレオチド(nt)配列は当該分野で知られており、そしてそれぞれ配列番号25及び26で示されるとおり、本明細書において提供される。
【0091】
特定の実施形態においては、FOLR1結合剤は抗体、イムノコンジュゲート又はポリペプチドである。一部の実施形態においては、FOLR1結合剤はヒト化抗体である。特定の実施形態においては、FOLR1結合剤はネズミMov19抗体のヒト化バージョンである(可変重鎖及び軽鎖は配列番号17及び18にそれぞれ示す)。
【0092】
特定の実施形態においては、FOLR1結合剤は以下の作用、即ち:
腫瘍細胞の増殖の阻害、腫瘍内の癌幹細胞の発生頻度を低減することによる腫瘍の腫瘍形成性の低減、腫瘍生育の阻害、生存率の増大、腫瘍細胞の細胞死のトリガー、腫瘍形成性細胞から非腫瘍形成性状態への分化、又は腫瘍細胞の転移の防止、の1つ以上を有する。
【0093】
特定の実施形態においては、ヒトFOLR1に特異的に結合するイムノコンジュゲート又は他の剤は細胞傷害剤を介して細胞死をトリガーする。例えば、特定の実施形態においては、ヒトFOLR1抗体に対する抗体は、蛋白内在化によりFOLR1を発現している腫瘍細胞において活性化されるマイタンシノイドにコンジュゲートされる。特定の代替の実施形態においては、剤又は抗体はコンジュゲートされない。
【0094】
特定の実施形態においては、FOLR1結合剤は腫瘍生育を阻害することができる。特定の実施形態においては、FOLR1結合剤はインビボで(例えば異種移植片マウスモデル及び/又は癌を有するヒトにおいて)腫瘍生育を阻害することができる。特定の実施形態においては、FOLR1結合剤はヒトにおける腫瘍の生育を阻害することができる。
【0095】
即ち、本発明はヒトフォレート受容体1に特異的に結合するヒト化抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、ここで抗体は以下:(a)GYFMN(配列番号1)を含む重鎖CDR1;RIHPYDGDTFYNQXaaFXaaXaa(配列番号56)を含む重鎖CDR2;及びYDGSRAMDY(配列番号3)を含む重鎖CDR3;及び、(b)KASQSVSFAGTSLMH(配列番号7)を含む軽鎖CDR1;RASNLEA(配列番号8)を含む軽鎖CDR2;及びQQSREYPYT(配列番号9)を含む軽鎖CDR3;ただしここで、XaaはK、Q、H及びRから選択され;XaaはQ、H、N及びRから選択され;そしてXaaはG、E、T、S、A及びVから選択されるもの;を含む。特定の実施形態においては、抗体はMov19抗体であり、これは重鎖CDR2であるRIHPYDGDTFYNQKFQG(配列番号2)を含む上記抗体である。
【0096】
特定の実施形態においては、本発明はCDR当たり4つまで(即ち0、1、2、3又は4つ)の保存的アミノ酸置換を有するhuMov19のCDRを含むFOLR1に特異的に結合するヒト化抗体又は抗原結合フラグメントを提供する。即ち、特定の実施形態においては、本発明は抗体が以下:(a)GYFMN(配列番号1)を含む重鎖CDR1、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;RIHPYDGDTFYNQKFQG(配列番号2)を含む重鎖CDR2、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;及びYDGSRAMDY(配列番号3)を含む重鎖CDR3、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;及び/又は、(b)KASQSVSFAGTSLMH(配列番号7)を含む軽鎖CDR1、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;RASNLEA(配列番号8)を含む軽鎖CDR2、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;及びQQSREYPYT(配列番号9)を含む軽鎖CDR3、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;を含む、ヒトフォレート受容体1に特異的に結合するヒト化抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。
【0097】
本発明は又、抗体が以下:(a)SSYGMS(配列番号30)を含む重鎖CDR1;TISSGGSYTY(配列番号31)を含む重鎖CDR2;及び/又はDGEGGLYAMDY(配列番号32)を含む重鎖CDR3;及び/又は、(b)KASDHINNWLA(配列番号27)を含む軽鎖CDR1;GATSLET(配列番号28)を含む軽鎖CDR2;及びQQYWSTPFT(配列番号29)を含む軽鎖CDR3;を含む、ヒトフォレート受容体1に特異的に結合するヒト化抗体(huFR1-21)又はその抗原結合フラグメントを提供する。
【0098】
特定の実施形態においては、本発明はCDR当たり4つまで(即ち0、1、2、3又は4つ)の保存的アミノ酸置換を有するhuFR1-21のCDRを含むFOLR1に特異的に結合するヒト化抗体又は抗原結合フラグメントを提供する。即ち、特定の実施形態においては、本発明は抗体が以下:(a)SSYGMS(配列番号30)を含む重鎖CDR1、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;TISSGGSYTY(配列番号31)を含む重鎖CDR2、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;及びDGEGGLYAMDY(配列番号32)を含む重鎖CDR3、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;及び/又は、(b)KASDHINNWLA(配列番号27)を含む軽鎖CDR1、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;GATSLET(配列番号28)を含む軽鎖CDR2、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;及びQQYWSTPFT(配列番号29)を含む軽鎖CDR3、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;を含む、ヒトフォレート受容体1に特異的に結合するヒト化抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。
【0099】
特定の実施形態においては、本発明はCDR当たり4つまで(即ち0、1、2、3又は4つ)の保存的アミノ酸置換を有するhuFR1-48のCDRを含むFOLR1に特異的に結合するヒト化抗体又は抗原結合フラグメントを提供する。即ち、特定の実施形態においては、本発明は抗体が以下:(a)TNYWMQ(配列番号60)を含む重鎖CDR1、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;AIYPGNGDSR(配列番号61)を含む重鎖CDR2、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;及びRDGNYAAY(配列番号62)を含む重鎖CDR3、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;及び/又は、(b)RASENIYSNLA(配列番号57)を含む軽鎖CDR1、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;AATNLAD(配列番号58)を含む軽鎖CDR2、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;及びQHFWASPYT(配列番号59)を含む軽鎖CDR3、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;を含む、ヒトフォレート受容体1に特異的に結合するヒト化抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。
【0100】
特定の実施形態においては、本発明はCDR当たり4つまで(即ち0、1、2、3又は4つ)の保存的アミノ酸置換を有するhuFR1-49のCDRを含むFOLR1に特異的に結合するヒト化抗体又は抗原結合フラグメントを提供する。即ち、特定の実施形態においては、本発明は抗体が以下:(a)TNYWMY(配列番号66)を含む重鎖CDR1、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;AIYPGNSDTT(配列番号67)を含む重鎖CDR2、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;及びRHDYGAMDY(配列番号68)を含む重鎖CDR3、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;及び/又は、(b)RASENIYTNLA(配列番号63)を含む軽鎖CDR1、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;TASNLAD(配列番号64)を含む軽鎖CDR2、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;及びQHFWVSPYT(配列番号65)を含む軽鎖CDR3、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;を含む、ヒトフォレート受容体1に特異的に結合するヒト化抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。
【0101】
特定の実施形態においては、本発明はCDR当たり4つまで(即ち0、1、2、3又は4つ)の保存的アミノ酸置換を有するhuFR1-57のCDRを含むFOLR1に特異的に結合するヒト化抗体又は抗原結合フラグメントを提供する。即ち、特定の実施形態においては、本発明は抗体が以下:(a)SSFGMH(配列番号72)を含む重鎖CDR1、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;YISSGSSTIS(配列番号73)を含む重鎖CDR2、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;及びEAYGSSMEY(配列番号74)を含む重鎖CDR3、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;及び/又は、(b)RASQNINNNLH(配列番号69)を含む軽鎖CDR1、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;YVSQSVS(配列番号70)を含む軽鎖CDR2、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;及びQQSNSWPHYT(配列番号71)を含む軽鎖CDR3、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;を含む、ヒトフォレート受容体1に特異的に結合するヒト化抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。
【0102】
特定の実施形態においては、本発明はCDR当たり4つまで(即ち0、1、2、3又は4つ)の保存的アミノ酸置換を有するhuFR1-65のCDRを含むFOLR1に特異的に結合するヒト化抗体又は抗原結合フラグメントを提供する。即ち、特定の実施形態においては、本発明は抗体が以下:(a)TSYTMH(配列番号78)を含む重鎖CDR1、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;YINPISGYTN(配列番号79)を含む重鎖CDR2、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;及びGGAYGRKPMDY(配列番号80)を含む重鎖CDR3、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;及び/又は、(b)KASQNVGPNVA(配列番号75)を含む軽鎖CDR1、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;SASYRYS(配列番号76)を含む軽鎖CDR2、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;及びQQYNSYPYT(配列番号77)を含む軽鎖CDR3、又は1、2、3又は4の保存的アミノ酸置換を含むその変異体;を含む、ヒトフォレート受容体1に特異的に結合するヒト化抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。
【0103】
本明細書に記載した個々の軽鎖又は重鎖の1つを含むポリペプチド、並びに軽鎖及び重鎖の両方を含むポリペプチド(例えば抗体)も提供する。配列番号4及び6のポリペプチドはそれぞれhuMov19の重鎖の可変ドメイン及びhuMov19の重鎖を含む。配列番号10~13のポリペプチドはそれぞれhuMov19の可変ドメイン軽鎖バージョン1.00、可変ドメイン軽鎖バージョン1.60、軽鎖バージョン1.00、及び軽鎖バージョン1.60を含む。配列番号42及び46のポリペプチドはそれぞれhuFR1-21の重鎖の可変ドメイン及びhuFR1-21の重鎖を含む。配列番号41及び45のポリペプチドはそれぞれhuFR1-21の可変ドメイン軽鎖及び軽鎖を含む。配列番号97及び113のポリペプチドはそれぞれhuFR1-48の重鎖の可変ドメイン及びhuFR1-48の重鎖を含む。配列番号96及び112のポリペプチドはそれぞれhuFR1-48の可変ドメイン軽鎖及び軽鎖を含む。配列番号99及び115のポリペプチドはそれぞれhuFR1-49の重鎖の可変ドメイン及びhuFR1-49の重鎖を含む。配列番号98及び114のポリペプチドはそれぞれhuFR1-49の可変ドメイン軽鎖及び軽鎖を含む。配列番号101及び117のポリペプチドはそれぞれhuFR1-57の重鎖の可変ドメイン及びhuFR1-57の重鎖を含む。配列番号100及び116のポリペプチドはそれぞれhuFR1-57の可変ドメイン軽鎖及び軽鎖を含む。配列番号103及び119のポリペプチドはそれぞれhuFR1-65の重鎖の可変ドメイン及びhuFR1-65の重鎖を含む。配列番号102及び118のポリペプチドはそれぞれhuFR1-65の可変ドメイン軽鎖及び軽鎖を含む。
【0104】
同様に提供されるものは、(a)配列番号4又は6に少なくとも約90%の配列同一性を有するポリペプチド;及び/又は(b)配列番号10~13に少なくとも約90%の配列同一性を有するポリペプチドを含むポリペプチドである。同様に提供されるものは、(a)配列番号42又は46に少なくとも約90%の配列同一性を有するポリペプチド;及び/又は(b)配列番号41及び45に少なくとも約90%の配列同一性を有するポリペプチドを含むポリペプチドである。同様に提供されるものは、(a)配列番号97又は113に少なくとも約90%の配列同一性を有するポリペプチド;及び/又は(b)配列番号96及び112に少なくとも約90%の配列同一性を有するポリペプチドを含むポリペプチドである。同様に提供されるものは、(a)配列番号99又は115に少なくとも約90%の配列同一性を有するポリペプチド;及び/又は(b)配列番号98及び114に少なくとも約90%の配列同一性を有するポリペプチドを含むポリペプチドである。同様に提供されるものは、(a)配列番号101又は117に少なくとも約90%の配列同一性を有するポリペプチド;及び/又は(b)配列番号100及び116に少なくとも約90%の配列同一性を有するポリペプチドを含むポリペプチドである。同様に提供されるものは、(a)配列番号103又は119に少なくとも約90%の配列同一性を有するポリペプチド;及び/又は(b)配列番号102及び118に少なくとも約90%の配列同一性を有するポリペプチドを含むポリペプチドである。特定の実施形態においては、ポリペプチドは配列番号4、6、10~13、41、42、45又は46に少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。即ち、特定の実施形態においては、ポリペプチドは(a)配列番号4又は6に少なくとも約95%の配列同一性を有するポリペプチド;及び/又は(b)配列番号10~13に少なくとも約95%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。特定の実施形態においては、ポリペプチドは(a)配列番号42又は46に少なくとも約95%の配列同一性を有するポリペプチド;及び/又は(b)配列番号41及び45に少なくとも約95%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。同様に提供されるものは、(a)配列番号97又は113に少なくとも約95%の配列同一性を有するポリペプチド;及び/又は(b)配列番号96及び112に少なくとも約95%の配列同一性を有するポリペプチドを含むポリペプチドである。同様に提供されるものは、(a)配列番号99又は115に少なくとも約95%の配列同一性を有するポリペプチド;及び/又は(b)配列番号98及び114に少なくとも約95%の配列同一性を有するポリペプチドを含むポリペプチドである。同様に提供されるものは、(a)配列番号101又は117に少なくとも約95%の配列同一性を有するポリペプチド;及び/又は(b)配列番号100及び116に少なくとも約95%の配列同一性を有するポリペプチドを含むポリペプチドである。同様に提供されるものは、(a)配列番号103又は119に少なくとも約95%の配列同一性を有するポリペプチド;及び/又は(b)配列番号102及び118に少なくとも約95%の配列同一性を有するポリペプチドを含むポリペプチドである。特定の実施形態においては、ポリペプチドは(a)配列番号4のアミノ酸配列を有するポリペプチド;及び/又は(b)配列番号10又は配列番号11のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。特定の実施形態においては、ポリペプチドは(a)配列番号45のアミノ酸配列を有するポリペプチド;及び/又は(b)配列番号46のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。特定の実施形態においては、ポリペプチドは(a)配列番号6のアミノ酸配列を有するポリペプチド;及び/又は(b)配列番号12又は配列番号13のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。特定の実施形態においては、ポリペプチドはヒトフォレート受容体1に特異的に結合する抗体及び/又はポリペプチドである。特定の実施形態においては、ポリペプチドはヒトフォレート受容体1に特異的に結合するヒト化抗体である。例えば、本発明は(a)配列番号4のアミノ酸配列を有するポリペプチド;及び(b)配列番号10又は配列番号11のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むヒトFOLR1に特異的に結合する抗体又はヒト化抗体を提供する。特定の実施形態においては、配列番号4を含むポリペプチドは重鎖可変領域である。特定の実施形態においては、配列番号10又は11を含むポリペプチドは軽鎖可変領域である。本発明は又、(a)配列番号6のアミノ酸配列を有するポリペプチド;及び/又は(b)配列番号12又は配列番号13のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むヒトFOLR1に特異的に結合する抗体又はヒト化抗体を提供する。本発明は又、(a)配列番号45のアミノ酸配列を有するポリペプチド;及び/又は(b)配列番号46のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むヒトFOLR1に特異的に結合する抗体又はヒト化抗体を提供する。本発明は又、(a)配列番号112のアミノ酸配列を有するポリペプチド;及び/又は(b)配列番号113のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むヒトFOLR1に特異的に結合する抗体又はヒト化抗体を提供する。本発明は又、(a)配列番号114のアミノ酸配列を有するポリペプチド;及び/又は(b)配列番号115のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むヒトFOLR1に特異的に結合する抗体又はヒト化抗体を提供する。本発明は又、(a)配列番号116のアミノ酸配列を有するポリペプチド;及び/又は(b)配列番号117のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むヒトFOLR1に特異的に結合する抗体又はヒト化抗体を提供する。本発明は又、(a)配列番号118のアミノ酸配列を有するポリペプチド;及び/又は(b)配列番号119のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むヒトFOLR1に特異的に結合する抗体又はヒト化抗体を提供する。特定の実施形態においては、配列番号4、6、10~13、41、42、45、46、96~103及び112~119に対して特定のパーセンテージの配列同一性を有するポリペプチドと、配列番号4、6、10~13、41、42、45、46、96~103及び112~119との相違点は保存的アミノ酸置換のみである。
【0105】
特定の実施形態においては、FOLR1結合剤はhuMov19、FR-1-21、FR1-48、FR1-49、FR1-57、及びFR1-65抗体よりなる群から選択される抗FOLR1抗体を含むか、本質的にこれよりなるか、これよりなる。
【0106】
特定の実施形態においては、huMov19抗体は2010年4月7日にAmerican Type Culture Collection(ATCC)に寄託され、そしてATCC受託番号PTA-10772及びPTA-10773又は10774を有するプラスミドによりコードされる。
【0107】
特定の実施形態においては、FR-1-21抗体は2010年4月7日にATCCに寄託され、そしてATCC受託番号番号PTA-10775及びPTA-10776を有するプラスミドによりコードされる。
【0108】
特定の実施形態においては、ヒト化抗体は抗体キメラMov19と実質的に同じ親和性でFOLR1に結合する。抗原に対する抗体の親和性又はアビディティーは当該分野で良く知られている何れかの適当な方法、例えばフローサイトメトリー、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、又はラジオイムノアッセイ(RIA)、又は動態分析(例えばBIACORETM分析)を用いながら実験的に測定できる。直接の結合アッセイ並びに競合的結合アッセイのフォーマットを容易に使用できる。(例えばBerzofsky等、"Antibody-AntigenInteractions,"InFundamentalImmunology,Paul,W. E., 編、Raven Press: New
York, N.Y. (1984);Kuby,JanisImmunology, W. H.Freeman and Company: New York,
N.Y. (1992);及び本明細書に記載した方法を参照)。特定の抗体-抗原相互作用の計測
される親和性は異なる条件下(例えば塩濃度、pH、温度)で計測されれば変動する場合がある。即ち、親和性及び他の抗原結合パラメーター(例えばKD又はKd、Kon,Koff)の計測は抗体及び抗原の標準溶液、及び当該分野で知られている、そして本明細書に記載した緩衝液のような標準的な緩衝液を用いて行われる。
【0109】
1つの側面において、結合アッセイは表面にFOLR1抗原を発現している細胞に対してフローサイトメトリーを用いながら実施できる。例えば、100μLのFACS緩衝液(2%正常ヤギ血清を添加したRPMI-1640培地)中試料当たり1x10細胞としながら種々の濃度の抗FOLR1抗体と共にSKOV3のようなFOLR1陽性細胞をインキュベートした。次に、細胞をペレット化し、洗浄し、そして100μLのFITCコンジュゲートヤギ抗マウス又はヤギ抗ヒトIgG抗体(例えばJackson Laboratoryから入手可能なもの、FACS緩衝液中6μg/ml)と共に1時間インキュベートした。細胞を再度ペレット化し、FACS緩衝液で洗浄し、そして1%ホルムアルデヒド含有PBS200μL中に再懸濁した。試料は、例えばHTSマルチウエルサンプラーを用いたFACSCaliburフローサイトメトリーを用いながら獲得し、そしてCellQuest Proを用いて分析した(全ての入手元:BD Biosciences,SanDiego,US)。各試料につき、FL1に関する平均蛍光強度(MFI)をエキスポートし、そして片対数プロットで抗体濃度に対してプロットすることにより、結合曲線を作成した。ジグモイド型の用量応答曲線を結合曲線に対してフィットさせ、そしてデフォルトパラメーターを用いながらGraphPadのPrismのv4(GraphPad Software,San Diego,CA)のようなプログラムを用いてEC50を計算する。EC50値は各抗体に関する見かけの解離定数「Kd」又は「KD」の尺度として使用できる。
【0110】
モノクローナル抗体はハイブリドーマ法、例えばKohler and Milstein (1975)Nature 256:495に記載のものを用いながら調製できる。ハイブリドーマ法を用いながら、マウス、ハムスター又は他の適切な宿主動物を上記した通り免疫化することにより免疫化抗原に特異的に結合するすることになる抗体のリンパ球による生産を誘発する。リンパ球はインビトロで免疫化することもできる。免疫化の後、リンパ球を単離し、そして例えばポリエチレングリコールを用いながら適当なミエローマ細胞系統と融合することによりハイブリドーマを形成し、これを次に未融合のリンパ球及びミエローマ細胞から選別する。免疫沈降、イムノブロッティングによるか、又はインビトロの結合試験(例えばラジオイムノアッセイ(RIA);酵素結合免疫吸着試験(ELISA))により決定される選択された抗原に対して特異的に指向されたモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマは、その後、インビトロの培養で標準的な方法を用いながら(Goding,MonoclonalAntibodies:PrinciplesandPractice, AcademicPress, 1986)又はインビボで動物中の腹水腫瘍として増
殖され得る。次にモノクローナル抗体は、上記においてポリクローナル抗体に関して説明したとおり、培地又は腹水から精製されえる。
【0111】
或いは、モノクローナル抗体は又、米国特許4,816,567に記載の通り組み換えDNA法を用いて作成することもできる。モノクローナル抗体をコードするポリヌクレオチドを、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子を特異的に増幅するオリゴヌクレオチドプライマーを用いたRT-PCR等により成熟B細胞又はハイブリドーマから単離し、そしてその配列を従来の操作法を用いながら決定する。次に重鎖及び軽鎖をコードする単離されたポリヌクレオチドを適当な発現ベクター内にクローニングし、そしてこれが、別様には免疫グロブリン蛋白を生産しないE・コリ細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、又はミエローマ細胞のような宿主細胞内にトランスフェクトされた場合に、モノクローナル抗体が宿主細胞により形成される。更に又、所望の種の組み換えモノクローナル抗体又はそのフラグメントは記載された所望の種のCDRを発現するファージディスプレイライブラリから単離で切る(McCafferty等、1990,Nature,348:552-554;Clackson等、1991,Nature,352:624-628;及びMarks等、1991,J. Mol.Biol.,
222:581-597)。
【0112】
モノクローナル抗体をコードするポリヌクレオチドは更に、組み換えDNA技術を用いながら多くの種々異なる態様において修飾することにより代替の抗体を形成することができる。一部の実施形態においては、例えばマウスモノクローナル抗体の軽鎖及び重鎖の定常ドメインを、1)キメラ抗体を形成するために例えばヒト抗体のこれらの領域に対して、又は2)融合抗体を形成するために非免疫グロブリンポリペプチドに対して、置換することができる。一部の実施形態においては、定常領域をトランケーションするか除去することにより、モノクローナル抗体の所望の抗体フラグメントを形成する。可変領域の部位指向性又は高密度の突然変異誘発を用いることによりモノクローナル抗体の特異性、親和性等を最適化することができる。
【0113】
一部の実施形態においては、ヒトFOLR1に対するモノクローナル抗体はヒト化抗体である。特定の実施形態においては、そのような抗体を治療上使用することにより、ヒト対象への投与時の抗原性及びHAMA(ヒト抗マウス抗体)応答を低減する。
【0114】
非ヒト及びヒト抗体を操作、ヒト化又はリサーフィシングするための方法もまた使用でき、そして当該分野で良く知られている。ヒト化、リサーフィシング、又は同様に操作された抗体は、非ヒト、例えば限定しないが、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類又は他の哺乳類である原料に由来するアミノ酸残基1つ以上を有することができる。これらの非ヒトアミノ酸残基は、既知のヒト配列の「インポート」可変、定常又は他のドメインから典型的には取り出される「インポート」残基としばしば称される残基により置き換えられる。
【0115】
このようなインポートされた配列は免疫原性を低減するため、又は、結合、親和性、オンレート、イフレート、アビディティ、特異性、半減期、又は当該分野で知られている何れかの他の適当な特性を低減、増強又は変調するために使用できる。一般的に、CDR残基は、FOLR1結合への影響においては、直接、そして最も実質的に関与している。従って、非ヒト又はヒトCDR配列の一部又は全部が維持されつつ、可変及び定常領域の非ヒト配列がヒト又は他のアミノ酸により置き換えられることができる。
【0116】
抗体は又、場合により、抗原FOLR1に対する高親和性、及びその他の望ましい生物学的特性を保持するように操作されたヒト化、リサーフィシング、操作又はヒト抗体であることができる。この目的を達成するために、親、操作及びヒト化配列の3次元モデルを用いた親配列及び種々の概念的なヒト化及び操作産物の分析の過程により、ヒト化(又はヒト)又は操作抗FOLR1抗体及びリサーフィシング抗体を場合により調製することができる。3次元免疫グロブリンモデルは一般的に入手可能であり、そして当該分野で良く知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の推定される3次元コンホーメーション構造を図示標示するコンピュータープログラムを使用できる。これらのディスプレイの検討により、候補免疫グロブリン配列の機能における残基の考えられる役割の分析、即ち、候補免疫グロブリンがFOLR1のような自身の抗原に結合する能力に影響する残基の分析が可能になる。このようにして、フレームワーク(FR)残基を選択肢、コンセンサス及びインポート配列とから組み合わせることにより、標的抗原に対する増大した親和性のような所望の抗体特性を達成する。
【0117】
本発明の抗体のヒト化、リサーフィシング又は操作は、何れかの知られた方法、例えば限定しないがWinter(Jones等、Nature321:522(1986);Riechmann等、Nature332:323(1988); Verhoeyen等、Science239:1534(1988)),Sims等、J.Immunol. 151:2296(1993);Chothia and Lesk, J. Mol. Biol.196:901(1987), Carter等、Proc.Natl.Acad. Sci.U.S.A.
89:4285 (1992); Presta等、J.Immunol.151:2623(1993), 米国特許5,639
,641,5,723,323;5,976,862;5,824,514;5,817,483;5,814,476;5,763,192;5,723,323;5,766,886;5,714,352;6,204,023;6,180,370;5,693,762;5,530,101;5,585,089;5,225,539;4,816,567;PCT/:US98/16280;US96/18978;US91/09630;US91/05939;US94/01234;GB89/01334;GB91/01134;GB92/01755;WO90/14443;WO90/14424;WO90/14430;EP229246;7,557,189;7,538,195;及び7,342,110号に記載されているものを用いて実施でき、これらの各々はその引用文献を含めて参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0118】
特定の代替の実施形態においては、FOLR1に対する抗体はヒト抗体である。ヒト抗体は当該分野で知られている種々の手法を用いながら直接調製することができる。インビトロで免疫化された、又は標的抗原に対して指向された抗体を生産する免疫化個体から単離された不朽化ヒトBリンパ球を形成できる(例えばCole等、MonoclonalAntibodiesand
CancerTherapy, Alan R. Liss, p. 77(1985); Boemer等、1991,J.Immunol.,147(1):86-95;及び米国特許5,750,373参照)。更に又、ヒト抗体は例えばVaughan等、1996,Nat.Biotech.,14:309-314,Sheets等、1998,Proc.Nat’l. Acad. Sci.,95:6157-6162,Hoogenboom andWinter,1991, J.Mol. Biol.,227:381, and Marks等、1991,J.Mol.Biol.,222:581に記載のように、ファージライブラリがヒト抗体を発現するそのファージライブラリから選択できる。抗体ファージライブラリの形成及び使用のための手法は又、米国特許5,969,108,6,172,197,5,885,793,6,521,404;6,544,731;6,555,313;6,582,915;6,593,081;6,300,064;6,653,068;6,706,484;及び7,264,963;及びRothe等、2007,J.Mol.Bio.,doi:10.1016/j.jmb.2007.12.018にも記載され
ている(これらの各々は参照により全体が本明細書に組み込まれる)。アフィニティー成熟法及び鎖シャフリング法(Marks等、1992,Bio/Technology10:779-783;参照に
より全体が本明細書に組み込まれる)が当該分野で知られており、そして高親和性のヒト抗体を形成するために使用できる。
【0119】
ヒト化抗体は又、内因性免疫グロブリン生産の非存在下でヒト抗体の完全レパートリーを生産することが免疫化により可能であるヒト免疫グロブリン遺伝子座を含有するトランスジェニックマウスにおいて作成することができる。このアプローチは米国特許5,545,807;5,545,806;5,569,825;5,625,126;5,633,425;及び5,661,016に記載されている。
【0120】
本発明は又ヒトフォレート受容体1を特異的に認識する二重特異性抗体も包含する。二重特異性抗体は少なくとも2つの異なるエピトープを特異的に認識して結合することができる抗体である。異なるエピトープは同じ分子(例えば同じヒトフォレート受容体1)内、又は、例えば抗体がヒトフォレート受容体1、並びに、例えば、1)T細胞受容体(例えばCD3)又はFc受容体(例えばCD64、CD32又はCD16)のような白血球上のエフェクター分子、又は2)後に詳述する細胞傷害剤を特異的に認識して結合する両方の場合のように、異なる分子上にあることができる。
【0121】
例示される二重特異性抗体は2つの異なるエピトープに結合することができ、その少なくとも1つは本発明のポリペプチド中で生じる。或いは、免疫グロブリン分子の抗抗原性アームは、T細胞受容体分子(例えばCD2、CD3、CD28又はB7)又はIgGに対するFc受容体のような白血球上のトリガリング分子に結合するアームと組み合わせることにより特定の抗原を発現する細胞に細胞防御機序を集中させることができる。二重特異性抗体は又特定の抗原を発現する細胞に細胞傷害剤を指向させるために使用できる。これらの抗体は抗原結合アーム及び細胞傷害剤又はEOTUBE、DPTA、DOTA又はTETAのような放射性各種キレート形成剤に結合するアームを保有している。二重特異性抗体を作成するための手法は当該分野で一般的である(Millstein等、1983,Nature305:537-539;Brennan等、1985,Science 229:81;Suresh等、 1986, MethodsinEnzymol.121:120;Traunecker等、1991,EMBOJ.10:3655-3659; Shalaby等、1992, J.Exp.Med.175:217-225;Kostelny等、1992,J.Immunol. 148:1547-1553;Gruber等、1994,J.Immunol.
152:5368;及び米国特許5,731,168)。2価より高価の抗体もまた意図される。
例えば3重特異性抗体を調製できる(Tutt等、J.Immunol.147:60 (1991))。即ち、特定
の実施形態においては、FOLR1に対する抗体は多重特異性である。
【0122】
特定の実施形態においては、例えば腫瘍貫通性を増大させるための抗体フラグメントが提供される。抗体フラグメントの生産のための種々の手法が知られている。伝統的にはこれらのフラグメントは未損傷の抗体の蛋白分解性の消化を介して誘導される(例えばMorimoto等、1993,JournalofBiochemicalandBiophysical Methods 24:107-117;Brennan
等、1985, Science, 229:81)。特定の実施形態においては、抗体フラグメントは組み換
えにより生産される。Fab、Fv及びscFv抗体フラグメントは全てE・コリ又は他の宿主細胞中で発現され、これらより分泌されることができ、これによりこれらのフラグメントの大量の生産が可能となる。そのような抗体フラグメントは上記考察した抗体ファージライブラリから単離することもできる。抗体フラグメントは又例えば米国特許5,641,870に記載の通り線状抗体であることもでき、そして単一特異性又は二重特異性であることができる。抗体フラグメントの生産のための他の手法は当業者の知る通りである。
【0123】
本発明によればヒトフォレート受容体1に特異的な単鎖抗体の生産のために手法を適合させることができる(米国特許4,946,778参照)。更に又、方法をFab発現ライブラリの構築(Huse,等、Science246:1275-1281(1989))のために適合させることに
よりヒトフォレート受容体1に対して所望の特異性を有するモノクローナルFabフラグメント、その誘導体、フラグメント、類縁体又は相同体の迅速で効果的な識別が可能となる。抗体フラグメントは当該分野の手法により生産でき、例えば限定しないが(a)抗体分子のペプシン消化により生産されるF(ab’)2フラグメント;(b)F(ab’)2フラグメントのジスルフィド架橋を還元することにより形成されるFabフラグメント、(c)パパイン及び還元剤による抗体分子の処理により形成されるFabフラグメント、及び(d)Fvフラグメントが包含されるがこれらに限定されない。
【0124】
特に抗体フラグメントの場合は、その血清中半減期を増大させるために抗体を修飾することが更に望ましい場合がある。これは例えば抗体フラグメントにおける適切な領域の突然変異による抗体フラグメント内へのサルベージ受容体結合エピトープの取り込みにより、又は、エピトープをペプチドタグ内に取り込み、次にこれを末端又は中央の何れかにおいて抗体フラグメントに融合させること(例えばDNA又はペプチド合成による)により達成できる。
【0125】
ヘテロコンジュゲート抗体も又、本発明の範囲に包含される。ヘテロコンジュゲート抗体は2つの共有結合的に連結された抗体より成る。そのような抗体は例えば望ましくない細胞に免疫細胞をターゲティングするために提案されている(米国特許4,676,980)。合成蛋白化学における知られた方法、例えば架橋剤を使用するものを用いながらインビトロで抗体を調整することが可能であることも意図している。例えば、ジスルフィド交換反応を用いて、又はチオエーテル結合を形成することにより、免疫毒素を構築することができる。この目的のための適当な試薬の例は、イミノチオレート及びメチル-4-メルカプトブチルイミデートを包含する。
【0126】
本発明の目的のためには、修飾された抗体はヒトFOLR1のポリペプチドとの抗体の会合をもたらす可変領域の何れかの型を含むことができることは当然である。この点に関し、可変領域は、体液性応答を生じさせ、そして所望の腫瘍会合抗原に対する免疫グロブリンを発生させるように誘導することができる哺乳類の何れかの型を含むか、これから誘導することができる。即ち、修飾された抗体の可変領域は例えば、ヒト、ネズミ、非ヒト霊長類(例えばカニクイザル、マカク等)又はオオカミ起源のものであることができる。一部の実施形態においては、修飾された免疫グロブリンの可変領域及び定常領域の両方がヒトのものである。他の実施形態において、適合性抗体(通常は非ヒト原料から誘導)の可変領域を、操作又は特別調整することにより結合特性を向上させるか、又は分子の免疫原性を低減することができる。この点に関し、本発明において有用な可変領域はヒト化されるか、又は別様にインポートされたアミノ酸配列の包含を介して改変することができる。
【0127】
特定の実施形態においては、重鎖及び軽鎖の両方における可変ドメインはCDR1つ以上の少なくとも部分的な置き換えにより、そして必要に応じて部分的なフレームワーク領域の置き換え及び配列変化により、改変される。CDRはフレームワーク領域の誘導元の抗体と同じクラス、更にはサブクラスの抗体から誘導できるが、異なるクラスの抗体から、そして特定の実施形態においては異なる種に由来する抗体から、CDRを誘導することも意図される。ある可変ドメインの抗原結合能力を別のものに転移させるためにドナーの可変領域由来の完全なCDRでCDRの全てを置き換えることが常時必要なわけではない場合がある。寧ろ、一部の場合においては、抗原結合部位の活性を維持するために必要な残基を転移させる必要があるのみの場合がある。米国特許5,585,089、5,693,761及び5,693,762に記載されている説明によれば、これは、定型的な実験を実施することによるか、又は、低減された免疫原性を有する機能的抗体を得るための試行錯誤の試験を行うことにより、当業者の能力の範囲内で十分行える。
【0128】
可変領域の改変にも関わらず、当業者の知る通り、本発明の修飾された抗体は、ネイティブ又は未改変の定常領域を含むほぼ同じ免疫原性の抗体と比較した場合に増強された腫瘍局在化又は低減された血清中半減期のような所望の生化学的特性を提供できるように、定常領域ドメインの1つ以上の少なくとも部分が欠失又は別様に改変されている抗体(例えば完全長抗体又はその免疫反応性フラグメント)を含むことになる。一部の実施形態においては、修飾された抗体の定常領域はヒト定常領域を含むことになる。本発明と適合する定常領域への修飾は、1つ以上のドメインにおける1つ以上アミノ酸の付加、欠失又は置換を含む。即ち、本明細書に開示された修飾された抗体は3つの重鎖定常ドメイン(CH1、CH2又はCH3)の1つ以上に対する、及び/又は軽鎖定常ドメイン(CL)に対する改変又は修飾を含むことができる。一部の実施形態においては、1つ以上のドメインが部分的又は全体的に欠失している修飾された定常領域が意図される。一部の実施形態においては、修飾された抗体は全CH2ドメインが除去されているドメイン欠失のコンストラクト又は変異体を含むことになる(ΔCH2コンストラクト)。一部の実施形態においては、省かれた定常領域ドメインは、非存在定常領域により典型的には付与される分子柔軟性の一部を与える短いアミノ酸スペーサー(例えば10残基)により置き換えられることになる。
【0129】
それらの配置の他に、定常領域は数種のエフェクター機能を媒介することも当該分野で知られている。例えば抗体への補体のC1成分の結合は補体系を活性化させる。補体の活性化は細胞病原体のオプソニン作用及び溶解において重要である。補体の活性化は又、炎症応答を刺激し、そして自己免疫過敏症に関与する場合もある。更に又、抗体はFc領域を介して細胞に結合し、その際、細胞上のFc受容体(FcR)に結合する抗体Fc領域上にFc受容体部位がある。IgG(ガンマ受容体)、IgE(イータ受容体)、IgA(アルファ受容体)及びIgM(ミュウ受容体)を包含する抗体の種々異なるクラスに対して特異的な多くのFc受容体が存在する。細胞表面上のFc受容体への抗体の結合は多くの重要で多様な生物学的応答、例えば抗体被覆粒子の囲い込みと破壊、免疫複合体のクリアランス、抗体被覆標的細胞のキラー細胞による溶解(抗体依存性細胞媒介性細胞傷害、即ちADCCと称される)、炎症メディエーターの放出、胎盤転移及び免疫グロブリン生産の制御をトリガーする。
【0130】
特定の実施形態においては、FOLR1結合抗体は改変されたエフェクター機能をもたらし、次にこれが投与された抗体の生物学的プロファイルに影響する。例えば定常領域ドメインの欠失又は不活性化(点突然変異又は他の手段を介する)は循環中の修飾された抗体のFc受容体結合を低減し、これにより腫瘍の局在化を増強することができる。他の例においては、本発明と矛盾しない定常領域の修飾は補体結合を緩和し、そしてこれにより血清中半減期及びコンジュゲートした細胞毒の非特異的会合を低減してよい。定常領域の更に別の修飾は、増大した抗原特異性又は抗体柔軟性に起因する増強された局在化をもたらすジスルフィド連結部又はオリゴ糖部分を排除するために使用できる。同様に、本発明に従った定常領域の修飾は、当業者の知見の範囲内に十分含まれる良く知られた生化学的又は分子操作の手法を用いながら容易に作成できる。
【0131】
特定の実施形態においては、抗体であるFOLR1結合剤は1つ以上のエフェクター機能を有さない。例えば、一部の実施形態においては、抗体は抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)活性を有さず、及び/又は、補体依存性細胞傷害(CDC)活性を有さない。特定の実施形態においては、抗体はFc受容体及び/又は補体因子に結合しない。特定の実施形態においては、抗体はエフェクター機能を有さない。
【0132】
特定の実施形態においては、修飾された抗体は、それぞれの修飾された抗体のヒンジ領域に直接CH3ドメインを融合するように操作されることができることになる。別のコンストラクトにおいては、ヒンジ領域及び修飾されたCH2及び/又はCH3ドメインの間にペプチドスペーサーを与えることが望ましい場合がある。例えば、適合性のあるコンストラクトはCH2ドメインが欠失しており、そして残りのCH3ドメイン(修飾又は未修飾)が5~20アミノ酸スペーサーでヒンジ領域に連結されているように発現させることができる。そのようなスペーサーは例えば定常ドメインの調節エレメントが使用可能な状態のままであること、又は、ヒンジ領域が柔軟性を維持していることを確保するために、付加させることができる。しかしながら、アミノ酸スペーサーは一部の場合においては免疫原性であることがわかっており、そしてコンストラクトに対する望ましくない免疫応答を誘発することに留意しなければならない。したがって、特定の実施形態においては、コンストラクトに付加された何れのスペーサーも、修飾された抗体の所望の生化学的品質を維持するために比較的非免疫原性となるか、又は全体が省略されることになる。
【0133】
全定常領域ドメインの欠失のほかに、当然ながら、本発明の抗体は数個、更には単一のアミノ酸の部分的欠失又は置換により与えられる場合もある。例えば、CH2ドメインの選択された区域内の単一のアミノ酸の突然変異がFc結合を実質的に低減し、そしてこれにより腫瘍局在化を増強するために十分であってよい。同様に修飾すべきエフェクター機能(例えば補体C1Q結合)を制御する定常領域ドメイン1つ以上の部分を単に欠失させることが望ましい場合がある。そのような定常領域の部分的欠失は抗体の選択された特性(血清中半減期)を向上させつつ、対象の定常領域ドメインに関連する他の所望の機能は未損傷のままとすることができる。更に又、前述の通り、開示された抗体の定常領域は結果として生じるコンストラクトのプロファイルを増強させる突然変異又はアミノ酸1つ以上の置換を介して修飾できる。この点に関し、保存された結合部位により与えられる活性(例えばFc結合)を途絶しつつ、修飾された抗体の配置及び免疫原性プロファイルを実質的に維持してよい。特定の実施形態は、エフェクター機能の低下又は上昇のような所望の特性を増強するか、又はより多くの細胞毒又は炭水化物の結合を可能とするために、定常領域へのアミノ酸1つ以上の付加を含むことができる。そのような実施形態において、選択された定常領域ドメインから誘導される特定の配列を挿入又は複製することが望ましい場合がある。
【0134】
本発明は更に本明細書に記載したキメラ、ヒト化及びヒトの抗体又はその抗体フラグメントに実質的に相同である変異体及び等価物を包含する。これらは例えば、保存的置換突然変異、即ち、アミノ酸1つ以上の同様のアミノ酸による置換を含むことができる。例えば保存的置換はあるアミノ酸の同じ一般的クラス内の別のものによる、例えばある酸性アミノ酸の別の酸性アミノ酸による
、ある塩基性アミノ酸の別の塩基性アミノ酸による、又は、ある中性アミノ酸の別の中性アミノ酸による置換を指す。保存的アミノ酸置換が意図するものは当該分野で良く知られている。
【0135】
本発明のポリペプチドはヒトFOLR1に対する抗体又はそのフラグメントを含む組み換えポリペプチド、天然ポリペプチド、又は合成のポリペプチドであることができる。当該分野で知られるとおり、本発明の一部のアミノ酸配列は蛋白の構造又は機能に大きく影響することなく変動させることができる。即ち、本発明は更にヒトフォレート受容体蛋白に対する抗体又はそのフラグメントの実質的な活性を示すか、又はその領域を含む、ポリペプチドの変形例も包含する。そのような突然変異体は欠失、挿入、反転、反復及び型置換を包含する。
【0136】
ポリペプチド及び類縁体は更に、通常では蛋白の部分ではない追加的な化学部分を含有するように修飾できる。これらの誘導体化された部分は蛋白の溶解性、生物学的半減期、又は吸収を向上させることができる。部分は又、蛋白の何らかの望ましくない副作用等を低減又は排除することもできる。これらの部分の概説はREMINGTON'SPHARMACEUTICALSCIENCES,20th編、MackPublishing Co.,Easton, PA (2000)に記載されている。
【0137】
本明細書に記載する単離されたポリペプチドは当該分野で知られている何れかの適当な方法により生産できる。そのような方法は直接の蛋白合成の方法から、単離されたポリペプチド配列をコードし、これらの配列を適当な形質転換宿主中で発現するDNA配列を構築することまで様々である。一部の実施形態においてはDNA配列は目的の野生型蛋白をコードするDNA配列を単離又は合成することにより組み換え技術を用いながら構築される。場合により、配列を部位特異的突然変異誘発により突然変異誘発することによりその機能的類縁体を得ることができる。例えばZoeller等、Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA81:5662-5066 (1984) 及び米国特許4,588,585を参照できる。
【0138】
一部の実施形態においては目的のポリペプチドをコードするDNA配列はオリゴヌクレオチド合成器を用いた化学合成により構築される。そのようなオリゴヌクレオチドは、所望のポリペプチドのアミノ酸配列に基づいて、そして目的の組み換えポリペプチドが生産されることになる宿主細胞にとって好都合なコドンを選択しながら、設計することができる。標準的な方法は目的の単離されたポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチド配列を合成するために適用できる。例えば完全なアミノ酸配列を用いて戻し翻訳された遺伝子を構築できる。更に又、特定の単離されたポリペプチドに関してコードしているヌクレオチド配列を含有するDNAオリゴマーを合成できる。例えば、所望のポリペプチドの部分に関してコードしている数種の小型のオリゴヌクレオチドを合成し、次にライゲーションすることができる。個々のオリゴヌクレオチドは典型的には相補的組み立てのための5’又は3’オーバーハングを含有する。
【0139】
組み立て(合成、部位指向性突然変異誘発又は他の方法による)の後、目的の特定の単離されたポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を発現ベクター内に挿入し、そして所望の宿主中での蛋白の発現のために適切である発現制御配列に作動可能に連結することになる。適当な組み立ては、ヌクレオチド配列決定、制限マッピング、及び適当な宿主における生物学的に活性なポリペプチドの発現により確認できる。当該分野で良く知られている通り、宿主中でのトランスフェクトされた遺伝子の高い発現レベルを得るためには、遺伝子は選択された発現宿主中で機能的である転写及び翻訳発現制御配列に作動可能に連結していなければならない。
【0140】
特定の実施形態においては、組み換え発現ベクターはヒトFOLR1に対する抗体又はそのフラグメントをコードするDNAを増幅して発現させるために使用される。組み換え発現ベクターは哺乳類、微生物、ウィルス又は昆虫の遺伝子から誘導された適当な転写又は翻訳調節エレメントに作動可能に連結した抗FOLR1抗体又はそのフラグメントのポリペプチド鎖をコードする合成又はcDNA誘導のDNAフラグメントを有する複製可能なDNAコンストラクトである。転写ユニットは一般的に、(1)遺伝子エレメント又は遺伝子発現において調節的役割を有するエレメント、例えば転写プロモーター又はエンハンサー、(2)mRNAに転写され、そして蛋白に翻訳される構造又はコーディング配列、及び(3)以下に詳述する適切な転写及び翻訳の開始および終止配列の組み立て物を含む。そのような調節エレメントは転写を制御するためのオペレーター配列を包含できる。複製起点により通常は付与される宿主において複製するための能力、及び形質転換体の認識を容易にする選択遺伝子もまた組み込まれる。DNA領域はそれらが相互に機能的に関連している場合に作動可能に連結されている。例えばシグナルペプチド(分泌リーダー)に関するDNAはそれがポリペプチドの分泌に参画する前駆体としてそれが発現される場合はポリペプチドに関するDNAに作動可能に連結しており;プロモーターはそれが配列の転写を制御する場合はコーディング配列に作動可能に連結しており;或いは、リボソーム結合部位はそれが翻訳を可能とするように位置づけられていればコーディング配列に作動可能に連結している。コウボ発現系において使用するために意図された構造エレメントは宿主細胞による翻訳蛋白の細胞外分泌を可能にするリーダー配列を包含する。或いは、リーダー又はトランスポート配列の非存在下で組み換え蛋白が発現される場合、それはN末端メチオニン残基を包含できる。この残基は場合により後に、発現された組み換え蛋白から切断されて、最終産物を与える。
【0141】
発現制御配列及び発現ベクターの選択は宿主の選択に依存することになる。広範な種類の発現宿主/ベクターの組み合わせを使用できる。真核生物宿主のための有用な発現ベクターは、例えばSV40、ウシパピローマウィルス、アデノウィルス及びサイトメガロウィルスに由来する発現制御配列を含むベクターを包含する。細菌宿主のための有用な発現ベクターは、知られた細菌プラスミド、例えばエシェリシア・コリ由来のプラスミド、例えばpCR1、pBR322、pMB9及びそれらの誘導体、広範宿主範囲のプラスミド、例えばM13及びフィラメント様1本鎖DNAファージを包含する
【0142】
FOLR1結合ポリペプチド又は抗体(又は抗原として使用するためのFOLR1蛋白)の発現のための適当な宿主細胞は、適切なプロモーターの制御下の、原核生物、コウボ、昆虫及びより高等な真核生物の細胞を包含する。原核生物はグラム陰性又はグラム陽性の生物、例えばE・コリ又はバチルスを包含する。より高等な真核生物の細胞は後述するような哺乳類起源の樹立された細胞系統を包含する。無細胞翻訳系もまた使用される。細菌、カビ、コウボ、及び哺乳類細胞の宿主を用いた適切なクローニング及び発現ベクターはPouwels等、(CloningVectors:ALaboratoryManual,Elsevier, N.Y.,1985)により記
載されており、その該当開示は参照により本明細書に組み込まれる。抗体生産を包含する蛋白生産の方法に関する別の情報は、例えば米国特許出願公開2008/0187954、米国特許6,413,746及び6,660,501及び国際特許公開WO04009823に記載されており、これらの各々は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0143】
種々の哺乳類及び昆虫細胞の培養系も又、組み換え蛋白を発現させるために好都合に使用される。哺乳類細胞中の組み換え蛋白の発現は、そのような蛋白が一般的に正しく折り畳まれ、適切に修飾され、そして完全に機能することから、実施することができる。適当な哺乳類宿主細胞系統の例は、HEK-293及びHEK-293T、Gluzman(Cell23:175,1981)により記載されているサル腎臓細胞のCOS-7系統、及び他の細胞系統、
例えばL細胞、C127,3T3、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、HeLa及びBHK細胞系統を包含する。哺乳類発現ベクターは非転写エレメント、例えば複製起点、発現すべき遺伝子に連結された適当なプロモーター及びエンハンサー、及び5’又は3’フランキング非転写配列、及び5’又は3’非翻訳配列、例えば必要なリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライスドナー及びアクセプター部位、及び転写終止配列を含むことができる。昆虫細胞中の非相同蛋白の生産のためのバキュロウィルス系はLuckowandSummers,Bio/Technology6:47(1988)において考察されている。
【0144】
形質転換された宿主により生産される蛋白は何れかの適当な方法に従って精製できる。そのような標準的な方法はクロマトグラフィー(例えばイオン交換、アフィニティー及びサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度差、又は何れかの他の標準的な蛋白精製手法を包含する。アフィニティータグ、例えばヘキサヒスチジン、マルトース結合ドメイン、インフルエンザ被膜配列及びグルタチオン-S-トランスフェラーゼを蛋白に結合することにより、適切なアフィニティーカラム上を通過させることによる容易な精製が可能となる。単離された蛋白は又、蛋白分解、核磁気共鳴及びX線結晶分析のような手法を用いながら物理的に特性化することができる。
【0145】
例えば、培地中に組み換え蛋白を分泌する系からの上澄みを先ず、市販の蛋白濃縮フィルター、例えばAmicon又はMillipore Pelliconの限外濾過ユニットを用いながら濃縮することができる。濃縮工程の後、濃縮液を適当な精製マトリックスに適用することができる。或いは、アニオン交換樹脂、例えば懸垂ジエチルアミノエチル(DEAE)基を有するマトリックス又は基材を使用できる。マトリックスはアクリルアミド、アガロース、デキストラン、セルロース又は蛋白精製において一般的に使用されている他の型であることができる。或いは、カチオン交換皇帝を使用できる。適当なカチオン交換剤はスルホプロピル又はカルボキシメチル基を含む種々の不溶性マトリックスを包含する。最後に、疎水性RP-HPLC媒体、例えば懸垂メチル又は他の脂肪族基を有するシリカゲルを用いた1つ以上の逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)工程を用いてFOLR1結合剤を更に精製することができる。種々の組み合わせににおける上記した精製工程の一部又は全てを用いて均質な組み換え蛋白を得ることもできる。
【0146】
細菌培養物中に生産された組み換え蛋白は、例えば細胞ペレットからの初期抽出、その後の1回以上の濃縮、塩析、水性イオン交換又はサイズエクスクルージョンクロマトグラフィーの工程により単離できる。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を最終精製工程のために使用できる。組み換え蛋白の発現において使用した微生物細胞は、何れかの好都合な方法、例えば凍結解凍のサイクリング、超音波処理、機械的破壊又は細胞溶解剤の使用により破壊できる。
【0147】
抗体及び他の蛋白を精製するために当該分野で知られている方法は又、例えば米国特許出願公開2008/0312425、2008/0177048及び2009/0187005に記載されているものを包含し、これらの各々は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0148】
特定の実施形態においては、FOLR1結合剤は抗体ではないポリペプチドである。蛋白標的に高親和性で結合する非抗体ポリペプチドを識別して生産するための種々の方法が当該分野で知られている。例えばSkerra,Curr.Opin.Biotechnol.,18:295-304(2007),Hosse等、Protein Science,15:14-27(2006), Gill等、Curr.Opin.Biotechnol.,17:653-658
(2006),Nygren, FEBS J.,275:2668-76 (2008), andSkerra,FEBS J., 275:2677-83
(2008)に記載されており、これらの各々は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
特定の実施形態においては、FOLR1結合ポリペプチドを識別/生産するためにファージディスプレイ技術が用いられている。特定の実施形態においては、ポリペプチドはプロテインA、リポカリン、フィブロネクチンドメイン、アンキリンコンセンサスリピートドメイン及びチオレドキシンよりなる群から選択される型の蛋白スカホールドを含む。
【0149】
一部の実施形態においては、剤は非蛋白分子である。特定の実施形態においては、剤は小分子である。非蛋白FOLR1結合剤の識別において有用なコンビナトリアル化学ライブラリ及び手法は当該分野で知られている。例えばKennedy等、J.Comb.Chem,10:345-354
(2008),Dolle等、 J. Comb. Chem.,9:855-902(2007),andBhattacharyya, Curr.Med.Chem., 8:1383-404 (2001)を参照でき、これらの各々は参照により全体が本明細書に組み込まれる。特定の別の実施形態においては、剤は炭水化物、グリコサミノグリカン、糖蛋白、又はプロテオグリカンである。
【0150】
特定の実施形態においては、剤は核酸アプタマーである。アプタマーは別の分子に結合する自身の能力に基づいて(例えばランダム又は突然変異誘発物質化プールから)選択されているポリヌクレオチド分子である。一部の実施形態においては、アプタマーはDNAポリヌクレオチドを含む。特定の大体の実施形態においては、アプタマーはRNAポリヌクレオチドを含む。特定の実施形態においては、アプタマーは1つ以上の修飾された核酸残基を含む。蛋白への結合に関して核酸アプタマーを作成及びスクリーニングする方法は当該分野で良く知られている。例えば米国特許5,270,163、米国特許5,683,867、米国特許5,763,595、米国特許6,344,321、米国特許7,368,236、米国特許5,582,981、米国特許5,756,291、米国特許5,840,867、米国特許7,312,325、米国特許7,329,742、国際特許公開WO02/077262、国際特許公開WO03/070984、米国特許出願公開2005/0239134、米国特許出願公開2005/0124565及び米国特許出願公開2008/0227735を参照でき、これらの各々は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0151】
III.イムノコンジュゲート
本発明は又、細胞傷害剤(薬物)又はプロドラッグに連結又はコンジュゲートされた本明細書に開示された抗FOLR1抗体、抗体フラグメント、機能的等価物、向上した抗体及びそれらの側面を含むコンジュゲート(本明細書においてはイムノコンジュゲートとも称する)に関する。即ち、特定の実施形態においては、本発明はヒトフォレート受容体1に特異的に結合するヒト化抗体又はその抗原結合フラグメントを含むイムノコンジュゲートを提供し、ここで抗体は以下:(a)GYFMN(配列番号1)を含む重鎖CDR1;RIHPYDGDTFYNQXaaFXaaXaa(配列番号56)を含む重鎖CDR2;及びYDGSRAMDY(配列番号3)を含む重鎖CDR3;及び、(b)KASQSVSFAGTSLMH(配列番号7)を含む軽鎖CDR1;RASNLEA(配列番号8)を含む軽鎖CDR2;及びQQSREYPYT(配列番号9)を含む軽鎖CDR3;ただしここで、XaaはK、Q、H及びRから選択され;XaaはQ、H、N及びRから選択され;そしてXaaはG、E、T、S、A及びVから選択されるもの;を含む。特定の実施形態においては、抗体はhuMov19抗体であり、これは重鎖CDR2であるRIHPYDGDTFYNQKFQG(配列番号2)を含む上記抗体である。他の実施形態において、抗体はFR1-21であり、そして(a)SSYGMS(配列番号30)を含む重鎖CDR1;TISSGGSYTY(配列番号31)を含む重鎖CDR2;及び/又はDGEGGLYAMDY(配列番号32)を含む重鎖CDR3;及び(b)KASDHINNWLA(配列番号27)を含む軽鎖CDR1;GATSLET(配列番号28)を含む軽鎖CDR2;及びQQYWSTPFT(配列番号29)を含む軽鎖CDR3を含む。他の実施形態において、抗体はFR1-48であり、そして(a)TNYWMQ(配列番号60)を含む重鎖CDR1;AIYPGNGDSR(配列番号61)を含む重鎖CDR2;及び/又はRDGNYAAY(配列番号62)を含む重鎖CDR3;及び/又は、(b)RASENIYSNLA(配列番号57)を含む軽鎖CDR1;AATNLAD(配列番号58)を含む軽鎖CDR2;及びQHFWASPYT(配列番号59)を含む軽鎖CDR3;を含む。他の実施形態において、抗体はFR1-49であり、そして(a)TNYWMY(配列番号66)を含む重鎖CDR1;AIYPGNSDTT(配列番号67)を含む重鎖CDR2;及び/又はRHDYGAMDY(配列番号68)を含む重鎖CDR3;及び/又は、(b)RASENIYTNLA(配列番号63)を含む軽鎖CDR1;TASNLAD(配列番号64)を含む軽鎖CDR2;及びQHFWVSPYT(配列番号65)を含む軽鎖CDR3;を含む。他の実施形態において、抗体はFR1-57であり、そして(a)SSFGMH(配列番号72)を含む重鎖CDR1;YISSGSSTIS(配列番号73)を含む重鎖CDR2;及び/又はEAYGSSMEY(配列番号74)を含む重鎖CDR3;及び/又は、(b)RASQNINNNLH(配列番号69)を含む軽鎖CDR1;YVSQSVS(配列番号70)を含む軽鎖CDR2;及びQQSNSWPHYT(配列番号71)を含む軽鎖CDR3;を含む。他の実施形態において、抗体はFR1-65であり、そして(a)TSYTMH(配列番号78)を含む重鎖CDR1;YINPISGYTN(配列番号79)を含む重鎖CDR2;及び/又はGGAYGRKPMDY(配列番号80)を含む重鎖CDR3;及び/又は、(b)KASQNVGPNVA(配列番号75)を含む軽鎖CDR1;SASYRYS(配列番号76)を含む軽鎖CDR2;及びQQYNSYPYT(配列番号77)を含む軽鎖CDR3;を含む。
【0152】
適当な薬物又はプロドラッグは当該分野で知られている。特定の実施形態においては、薬物又はプロドラッグは細胞傷害剤である。本発明の細胞傷害コンジュゲートにおいて使用される細胞傷害剤は、細胞死をもたらすか、又は細胞死を誘導するか、又は一部の態様においては細胞の生存性を低下させる何れかの化合物であることができ、そして例えばマイタンシノイド及びマイタンシノイド類縁体、ベンゾジアゼピン、タキソイド、CC-1065及びCC-1065類縁体、デュオカルマイシン及びデュオカルマイシン類縁体、エネジイン、例えばカリケアマイシン、ドラスタチン及びドラスタチン類縁体、例えばオーリスタチン、トマイマイシン誘導体、レプトマイシン誘導体、メトトレキセート、シスプラチン、カルボプラチン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル及びモルホリノドキソルビシンを包含する。特定の実施形態においては、細胞傷害剤はマイタンシノイド及びマイタンシノイド類縁体である。
【0153】
そのようなコンジュゲートは抗体又は機能的等価物に薬物又はプロドラッグを連結するために連結基を用いることにより調製できる。適当な連結基は当該分野で良く知られており、そして、例えばジスルフィド基、チオエーテル基、酸不安定基、光不安定基、ペプチダーゼ不安定基及びエステラーゼ不安定基を包含する。
【0154】
薬物又はプロドラッグは例えばジスルフィド結合を介して抗FOLR1抗体又はそのフラグメントに連結できる。リンカー分子又は架橋剤は抗FOLR1抗体又はそのフラグメントと反応することができる反応性の化学基を含む。特定の実施形態においては、細胞結合剤との反応のための反応性化学基はN-スクシンイミジルエステル及びN-スルホスクシンイミジルエステルである。更に又、リンカー分子は反応性の化学基、特定の実施形態においては薬物と反応してジスルフィド結合を形成できるジチオピリジル基、を含む。特定の実施形態においては、リンカー分子は、例えば-スクシンイミジル3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)(例えばCarlsson等、Biochem.J.、173:723-737(1978)参照)、N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ブタノエート(SPDB)(例えば米国特許4,563,304参照)、N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)2-スルホブタノエート(スルホ-SPDB)(米国特許公開20090274713参照)、N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ペンタノエート(SPP)(例えばCAS登録番号341498-08-6参照)、2-イミノチオラン又は無水アセチルコハク酸を包含する。例えば、抗体又は細胞結合剤は架橋試薬で修飾することができ、そしてこのようにして誘導された遊離又は保護されたチオール基を含有する抗体又は細胞結合剤を次に、ジスルフィド又はチオール含有マイタンシノイドと反応させることによりコンジュゲートを生成する。コンジュゲートはクロマトグラフィー、例えば限定しないがHPLC、サイズエクスクルージョン、吸着、イオン交換及びアフィニティーキャプチャー、透析又はタンジェンシャルフロー濾過により精製できる。特定の実施形態においては、抗FOLR1抗体はSPDB又はスルホ-SPDBリンカーを介して細胞傷害薬に連結される。特定の実施形態においては、huMov19抗体はSPDB又はスルホ-SPDBリンカーを介して細胞傷害物に連結される。
【0155】
本発明の別の側面において、抗FOLR1抗体は、イムノコンジュゲートの力価、溶解性又は薬効を増強する場合に、ジスルフィド結合及びポリエチレングリコールを介して細胞傷害薬に連結される。そのような切断可能な親水性のリンカーはWO2009/0134976に記載されている。このリンカー設計の追加的な利点は、所望の高い単量体比及び最小限の抗体薬物コンジュゲート凝集である。この側面において得に意図されるものは、細胞結合剤のコンジュゲートであり、そして2~8の薬物負荷の狭小な範囲を有するポリエチレングリコールスペーサー((CHCHO)n=1-14)を担持するジスルフィド結合(-S-S-)を介して連結した薬物は、癌細胞に対して比較的高い強力な生物学的活性を示し、そして高いコンジュゲート州立及び高い単量体比と最小限の蛋白凝集という望ましい生化学的特性を有すると記載されている。
【0156】
この側面において特に意図されるものは式(I)の抗FOLR1抗体薬物コンジュゲート又は式(I’)のコンジュゲート:
A-[X-(-CH-CHO-)-Y-C] (I)
[C-Y-(-CH-CHO-)-X-A (I’)であり、
式中:
Aは抗FOLR1抗体又はフラグメントを示し;
Cは細胞傷害薬を示し;
Xはチオエーテル結合、アミド結合、カーバメート結合、又はエーテル結合を介して細胞結合剤に結合された脂肪族、芳香族又はヘテロ環の単位を示し;
Yはジスルフィド結合を介して薬物に結合された脂肪族、芳香族又はヘテロ環の単位を示し;
lは0又は1であり;
mは2~8の整数であり;そして、
nは1~24の整数である。
一部の実施形態においては、mは2~6の整数である。
一部の実施形態においては、mは3~5の整数である。
【0157】
更に又、特定の実施形態においては、nは2~8の整数である。或いは、例えば米国特許6,441,163及び7,368,565に開示されている通り、細胞結合剤との反応に適する反応性エステルを導入するために先ず薬物を修飾することができる。活性化されたリンカー部分を含有するこれらの薬物の細胞結合剤との反応は、細胞結合剤薬物コンジュゲートを生成する別の方法を提供する。マイタンシノイドは例えば米国特許6,716,821に記載のPEG連結基を用いながら抗FOLR1抗体又はフラグメントに連結することもできる。これらのPEG切断不可能な連結基は水及び非水性の溶媒の両方に可溶であり、そして1つ以上の細胞傷害剤を細胞結合剤に連結するために使用できる。例示されるPEG連結基は、一端において官能性のスルヒドリル又はジスルフィド基、及び、他端において活性エステルを介してリンカーの両側末端で細胞傷害剤及び細胞結合剤と反応するヘテロ2官能性PEGリンカーを包含する。PEG連結基を用いる細胞傷害コンジュゲートの合成の一般的例として、ここでも米国特許6,716,821を参照でき、これは参照により全体が本明細書に組み込まれる。合成の開始は反応性のPEG部分を担持している細胞傷害剤1つ以上の細胞結合剤との反応であり、これにより細胞結合剤のアミノ酸残基による各反応性PEG部分の末端活性エステルの置き換えが起こり、これによりPEG連結基を介して細胞結合剤に共有結合下細胞傷害剤1つ以上を含む細胞傷害コンジュゲートが生じる。或いは、細胞結合剤を2官能性PEG架橋剤で修飾することにより反応性のジスルフィド部分(例えばピリジルジスルフィド)を導入することができ、これを次にチオール含有マイタンシノイドで処理することによりコンジュゲートを得ることができる。別の方法においては、細胞結合を2官能性のPEG架橋剤で修飾することによりチオール部分を導入することができ、次にこれを反応性ジスルフィド含有マイタンシノイド(例えばピリジルジスルフィド)で処理することによりコンジュゲートを得ることができる。
【0158】
切断不可能なの連結を有する抗体-マイタンシノイドコンジュゲートもまた調製できる。そのような架橋剤は当該分野で報告されており(ThermoScientificPierceCrosslinkingTechnicalHandbook及び米国特許公開2005/0169933参照)、そして、N
-スクシンイミジル4-(マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボキシレート(SMCC)、N-スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシ-(6-アミドカプロエート)、即ち、SMCCの「長鎖」類縁体(LC-SMCC)、κ-マレイミドウンデカン酸N-スクシンイミジルエステル(KMUA)、β-マレイミドプロパン酸N-スクシンイミジルエステル(BMPS)、γ-マレイミド酪酸N-スクシンイミジルエステル(GMBS)、ε-マレイミドカプロン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(EMCS)、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)、N-(α-マレイミドアセトキシ)-スクシンイミドエステル(AMAS)、スクシンイミジル-6-(β-マレイミドプロピオンアミド)ヘキサノエート(SMPH)、N-スクシンイミジル4-(p-マレイミドフェニル)-ブチレート(SMPB)、及びN-(p-マレイミドフェニル)イソシアネート(PMPI)、N-スクシンイミジル-4-(ヨードアセチル)-アミノベンゾエート(SIAB)、N-スクシンイミジルヨードアセテート(SIA)、N-スクシンイミジルブロモアセテート(SBA)、及びN-スクシンイミジル3-(ブロモアセトアミド)プロピオネート(SBAP)を包含するがこれに限定されない。特定の実施形態においては、抗体は、1~10個の反応性の基を導入するために文献記載の通り、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)、スルホ-SMCC、マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)、スルホ-MBS又はスクシンイミジル-ヨードアセテートのような架橋剤で修飾される(Yoshitake等、Eur.J.Biochem.,101:395-399(1979);Hashida等、 J. Applied Biochem., 56-63(1984);及びLiu等、Biochem.,18:690-697(1979))。次に修飾された抗体をチオール
含有マイタンシノイド誘導体と反応させることによりコンジュゲートを生成する。コンジュゲートはSephadexG25カラムを通したゲル濾過により、又は、透析又はタンジェンシャルフロー濾過により精製できる。修飾された抗体をチオール含有マイタンシノイド(1~2モル等量/マレイミド基)で処理し、そして、抗体-マイタンシノイドコンジュゲートをSephadexG25カラムを通したゲル濾過、セラミックヒドロキシアパタイトカラム上のクロマトグラフィー、透析又はタンジェンシャルフロー濾過又はこれらの方法の組み合わせにより精製する。典型的には、抗体当たり平均で1~10個のマイタンシノイドを連結する。1つの方法はスクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)で抗体を修飾することによりマレイミド基を導入し、その後、修飾された抗体をチオール含有マイタンシノイドと反応させることによりチオエーテル連結コンジュゲートとする。ここでも抗体分子当たり1~10薬物分子を有するコンジュゲートが生じる。抗体、抗体フラグメント、蛋白ホルモン、蛋白成長因子及び他の蛋白のマイタンシノイドコンジュゲートを同じ態様において製造する。
【0159】
本発明の別の側面においては、PEGスペーサーを間においた切断不可能な結合を介して薬物にFOLR1抗体(例えばhuMov19、FR1-21、FR1-48、FR1-49、FR1-57又はFR1-65)を連結させる。薬物と抗FOLR1抗体又はフラグメントの間のリンカーを形成する親水性PEG鎖を含む適当な架橋試薬は、当該分野で良く知られており、或いは、市販されている(例えばQuantaBiodesign,Powell,Ohio
)。適当なPEG含有架橋剤は又、当該分野で知られている標準的合成化学手法を用いながら市販のPEG自体から合成することもできる。薬物を米国特許出願公開20090274713及びWO2009/0134976に詳述されている方法により2官能性PEG含有架橋剤と反応させることにより次の式、即ちZ-X-(-CH-CH-O-)-Y-Dの化合物とし、次にこれを細胞結合剤と反応させることによりコンジュゲートとすることができる。或いは、細胞結合を2官能性PEG架橋剤で修飾することによりチオール反応性基(例えばマレイミド又はハロアセトアミド)を導入し、次にこれをチオール含有マイタンシノイドで処理することによりコンジュゲートとすることができる。別の方法においては、細胞結合を2官能性PEG架橋剤で修飾することによりチオール部分を導入し、次にこれをチオール反応性マイタンシノイド(例えばマレイミド又はハロアセトアミドを担持したマイタンシノイド)で処理することによりコンジュゲートとすることができる。
【0160】
従って本発明の別の側面は式(II)又は式(II’)の抗FOLR1抗体薬物コンジュゲート:
A-[X-(-CH-CH-O-)-Y-C] (II)
[C-Y-(-CH-CH-O-)-X-A (II’)
であり、式中、Aは抗FOLR1抗体又はフラグメントを示し;
Cは薬物を示し;
Xはチオエーテル結合、アミド結合、カーバメート結合、又はエーテル結合を介して細胞結合剤に結合された脂肪族、芳香族又はヘテロ環の単位を示し;
Yはチオエーテル結合、アミド結合、カーバメート結合、エーテル結合、アミン結合、炭素-炭素結合及びヒドラゾン結合よりなる群から選択される共有結合を介して薬物に結合された脂肪族、芳香族又はヘテロ環の単位を示し;
lは0又は1であり;
pは0又は1であり;
mは2~15の整数であり;そして、
nは1~2000の整数である。
特定の実施形態においては、mは2~8の整数であり;そして、
nは1~24の整数である。
特定の実施形態においては、mは2~6の整数である。
特定の実施形態においては、nは2~8の整数である。
【0161】
特定の実施形態においては、mは3~5の整数である。特定の実施形態においては、抗体はhuMov19である。別の実施形態においては、抗体はFR-1-21である。別の実施形態においては、抗体はFR-1-48である。別の実施形態においては、抗体はFR-1-49である。別の実施形態においては、抗体はFR-1-57である。別の実施形態においては、抗体はFR-1-65である。適当なPEG含有リンカーの例は、抗
FOLR1抗体又はそのフラグメントとの反応のためのN-スクシンイミジルエステル又はN-スルホスクシンイミジルエステル、並びに化合物との反応のためのマレイミド-又はハロアセチル系の部分を有するリンカーを包含する。PEGスペーサーは、本明細書に記載する方法により当該分野で知られている何れかの架橋剤内に取り込まれることができる。
【0162】
本明細書に開示するリンカーの多くは米国特許特許公開 20050169933及び
20090274713、及びWO2009/0134976に詳述されており;その内容は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0163】
本発明は、約2~約8個の薬物分子(「薬物負荷」)、例えばマイタンシノイドが抗FOLR1抗体又はそのフラグメントに連結しており、コンジュゲートの抗腫瘍採用が同じ細胞結合剤に連結した薬物の数が低値又は高値である薬物負荷と比較して遥かに効果的である側面を包含する。「薬物負荷」とは本明細書において使用する場合、細胞結合剤(例えば抗FOLR1抗体又はそのフラグメント)に結合できる薬物分子(例えばマイタンシノイド)の数を指す。1つの側面において、細胞結合剤に結合することができる薬物分子の数は平均で約2~約8個(例えば1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1個)であることができる。特定の実施形態においては、薬物はN2’-デアセチル-N2’-(3-メルカプト-1-オキソプロピル)-マイタンシン(DM1)又はN2’-デアセチル-N2’-(4-メルカプト-4-メチル-1-オキソペンチル)マイタンシン(DM4)である。即ち、特定の実施形態においては、抗体huMov19をDM1又はDM4にコンジュゲートする。別の実施形態においては、、抗体FR-1-21をDM1又はDM4にコンジュゲートする。別の実施形態においては、抗体FR-1-48をDM1又はDM4にコンジュゲートする。別の実施形態においては、抗体FR-1-49をDM1又はDM4にコンジュゲートする。別の実施形態においては、抗体FR-1-57をDM1又はDM4にコンジュゲートする。別の実施形態においては、抗体FR-1-65をDM1又はDM4にコンジュゲートする。
【0164】
即ち、1つの側面において、イムノコンジュゲートは抗体あたり1個のマイタンシノイドを含む。別の側面においてイムノコンジュゲートは抗体当たり2個のマイタンシノイドを含む。別の側面においてイムノコンジュゲートは抗体当たり3個のマイタンシノイドを含む。別の側面においてイムノコンジュゲートは抗体当たり4個のマイタンシノイドを含む。別の側面においてイムノコンジュゲートは抗体当たり5個のマイタンシノイドを含む。別の側面においてイムノコンジュゲートは抗体当たり6個のマイタンシノイドを含む。別の側面においてイムノコンジュゲートは抗体当たり7個のマイタンシノイドを含む。別の側面においてイムノコンジュゲートは抗体当たり8個のマイタンシノイドを含む。
【0165】
1つの側面において、イムノコンジュゲートは抗体あたり約1~約8個のマイタンシノイドを含む。別の側面において、イムノコンジュゲートは抗体あたり約2~約7個のマイタンシノイドを含む。別の側面において、イムノコンジュゲートは抗体あたり約2~約6個のマイタンシノイドを含む。別の側面において、イムノコンジュゲートは抗体あたり約2~約5個のマイタンシノイドを含む。別の側面において、イムノコンジュゲートは抗体あたり約3~約5個のマイタンシノイドを含む。別の側面において、イムノコンジュゲートは抗体あたり約3~約4個のマイタンシノイドを含む。
【0166】
1つの特徴において、イムノコンジュゲートを含む組成物は抗体当たり結合した薬物分子(例えばマイタンシノイド)を平均で約2~約8個(例えば1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1個)有する。1つの側面において、イムノコンジュゲートを含む組成物は抗体あたり平均で約1~約8個の薬物分子(例えばマイタンシノイド)を有する。1つの側面において、イムノコンジュゲートを含む組成物は抗体あたり平均で約2~約7個の薬物分子(例えばマイタンシノイド)を有する。1つの側面において、イムノコンジュゲートを含む組成物は抗体あたり平均で約2~約6個の薬物分子(例えばマイタンシノイド)を有する。1つの側面において、イムノコンジュゲートを含む組成物は抗体あたり平均で約2~約5個の薬物分子(例えばマイタンシノイド)を有する。1つの側面において、イムノコンジュゲートを含む組成物は抗体あたり平均で約3~約5個の薬物分子(例えばマイタンシノイド)を有する。1つの側面において、イムノコンジュゲートを含む組成物は抗体あたり平均で約3~約4個の薬物分子(例えばマイタンシノイド)を有する。1つの側面において、イムノコンジュゲートを含む組成物は抗体あたり平均で約3.5~約4個の薬物分子(例えばマイタンシノイド)を有する。
【0167】
1つの側面において、イムノコンジュゲートを含む組成物は抗体当たり結合した薬物分子(例えばマイタンシノイド)を平均で約2±0.5個、約2.5±0.5個、約3±0.5個、約3.5±0.5個、約4±0.5個、約4.5±0.5個、約5±0.5個、約5.5±0.5個、約6±0.5個、約6.5±0.5個、約7±0.5個、約7.5±0.5個、又は約8±0.5個有する。1つの側面において、イムノコンジュゲートを含む組成物は抗体当たり平均で約3.5±0.5個の薬物分子(例えばマイタンシノイド)有する。
【0168】
抗FOLR1抗体又はそのフラグメントは2官能性架橋試薬を抗FOLR1抗体又はそのフラグメントに反応させ、これにより抗FOLR1抗体又はそのフラグメントへのリンカー分子の共有結合を起こすことにより修飾できる。本明細書において使用する場合、「2官能性架橋試薬」とは本明細書に記載する薬物のような薬物に細胞結合剤を共有結合させる何れかの化学部分である。別の方法においては、連結部分の一部分は薬物により与えられる。この点に関し、薬物は薬物に細胞結合剤を連結するために使用されるより大きいリンカー分子の部分である連結部分を含む。例えば、マイタンシノイドDM1を形成するためには、マイタンシンのC-3ヒドロキシル基における側鎖を遊離のスルヒドリル基(SH)を有するように修飾する。マイタンシンのこのチオール化された型は修飾された細胞結合剤と反応してコンジュゲートを形成できる。従って、再修理かは2つの成分から組み立てられ、その1つは架橋試薬から与えられ、もう1つはDM1に由来する側鎖により与えられる。
【0169】
薬物分子は血清アルブミンのような中間的担体分子を介して抗体分子に連結することができる。
【0170】
本明細書において使用する場合、「細胞結合剤に連結した」又は「抗FOLR1抗体又はフラグメントに連結した」という表現は適当な連結基を介して細胞結合剤抗FOLR1抗体又はフラグメントに結合した少なくとも1つの薬剤誘導体を含むコンジュゲート又はその前駆体を指す。特定の実施形態においては、1つの連結基はSMCCである。
【0171】
特定の実施形態においては、本発明において有用な細胞傷害剤はマイタンシノイド及びマイタンシノイド類縁体である。適当なマイタンシノイドの例はマイタンシノールのエステル及びマイタンシノール類縁体を包含する。マイタンシノール及びマイタンシノール類縁体のように微小管形成を阻害し、そして哺乳類細胞に対して高度に毒性である如何なる薬物も包含される。
【0172】
適当なマイタンシノールエステルの例は修飾された芳香族環を有するもの、及び他の位置における修飾を有するものを包含する。このような適当なマイタンシノイドは米国特許4,424,219;4,256,746;4,294,757;4,307,016;4,313,946;4,315,929;4,331,598;4,361,650;4,362,663;4,364,866;4,450,254;4,322,348;4,371,533;5,208,020;5,416,064;5,475,092;5,585,499;5,846,545;6,333,410;7,276,497及び7,473,796に開示されている。
【0173】
特定の実施形態においては、本発明のイムノコンジュゲートは細胞傷害剤として、正式名称はN2’-デアセチル-N2’-(3-メルカプト-1-オキソプロピル)-マイタンシンであるチオール含有マイタンシノイド(DM1)を利用する。DM1は下記構造式(III)により表わされる。
【化1-2】
【0174】
別の実施形態においては、本発明のコンジュゲートは細胞傷害剤として、チオール含有マイタンシノイドN2’-デアセチル-N2’-(4-メチル-4-メルカプト-1-オキソプロピル)-マイタンシン(例えばDM4)を利用する。DM4は下記構造式(IV)により表わされる。
【化2】
【0175】
立体障害チオール結合を含有する側鎖を含む別のマイタンシノイドは下記構造式(V)で表わされるN2’-デアセチル-N2’-(4-メルカプト-1-オキソペンチル)-マイタンシン(DM3と称する)である。
【化3】
【0176】
米国特許5,208,020及び7,276,497において教示されているマイタンシノイドの各々もまた、本発明におけるコンジュゲートにおいて使用できる。この点に関し、5,208,020及び7,276,697の全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0177】
マイタンシノイドの多くの位置が連結部分を化学的に連結するための位置として機能する。例えばヒドロキシル基を有するC-3位、ヒドロキシメチルで修飾されたC-14位、ヒドロキシルで修飾されたC-15位及びヒドロキシ基を有するC-20位が全て有用であると期待される。特定の実施形態においては、C-3位を利用する。特定の実施形態においては、マイタンシノールのC-3位を利用する。
【0178】
特定のコンジュゲートの構造図を以下に示す。
【化4】

【化5】

【化6】
【化7】

【化8】

【化9】
【化10】

【化11】

特定の実施形態においては、抗体はhuMov19である。別の実施形態においては、抗体はFR1-21である。
【0179】
このような抗体マイタンシノイドコンジュゲートを生成するための幾つかの説明が米国特許6,333,410、6,441,163、6,716,821及び7,368,565に記載されており、これらの各々は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0180】
一般的に、水性緩衝液中の抗体の溶液を、反応性の基を担持したジスルフィド部分を有するマイタンシノイドのモル過剰量と共にインキュベートすることができる。過剰なアミン(例えばエタノールアミン、タウリン等)を添加することにより反応混合物をクエンチングできる。次にマイタンシノイド-抗体コンジュゲートをゲル濾過により精製できる。抗体分子当たりに結合しているマイタンシノイド分子の数は、252nm及び280nmの吸光度の比を分光光学的に計測することにより求めることができる。平均で1~10個のマイタンシノイド分子/抗体を用い、そして特定の実施形態においては平均で2~5個を使用する。マイタンシノイド分子/抗体の平均数は、例えば1~10、2~5、3~4、3.5~4又は約3.5であることができる。1つの側面において、マイタンシノイド分子の平均数は約3.5±0.5である。1つの側面において、マイタンシノイド分子の平均数は約3.5~4である。
【0181】
マイタンシノイド薬物との抗体のコンジュゲートがインビトロで種々の望ましくない細胞系統の増殖を抑制する能力を評価することができる。例えば、ヒトKB細胞系統のような細胞系統が、これらの化合物の細胞傷害性を評価するために容易に使用できる。評価すべき細胞を4~5日間化合物に曝露し、そして細胞の生存割合を知られた方法により直接アッセイにおいて計測できる。次にIC50値をアッセイ結果から計算できる。
【0182】
例えば米国特許出願2010/0203007号に記載のベンゾジアゼピン化合物(例えばインドリノベンゾジアゼピン又はオキサゾリジノベンゾジアゼピン)、それらの誘導体、それらの中間体もまた、抗FOLR1抗体フラグメント又はコンジュゲートを調製するために使用してよい。
【0183】
有用なベンゾジアゼピンは下記式(XIV)、(XV)及び(XVI):
【化12】

【化13】

【化14】

[式中、NとCとの間の二重線--は単結合又は二重結合を示すが、ただしそれが二重結合の場合はXは非存在であり、YはHであり、そしてそれが単結合である場合はXはHであるか、又は化合物をプロドラッグに変換するアミノ保護部分であり;
Yは-OR、-OCOR’で示されるエステル、-OCOOR’で示されるカーボネート、-OCONR’R”で示されるカーバメート、NR’R”で示されるヒドロキシルアミン、-NRCOR’で示されるアミド、NRCOPで示されるペプチド、ただしここでPはアミノ酸又は2~20個のアミノ酸単位を含有するペプチドであるもの、SR’で示されるチオエステル、SOR’で示されるスルホキシド、-SO-R’で示されるスルホン、-SOで示されるスルファイト、-OSOで示されるビスルファイト、ハロゲン、シアノ、アジド、又はチオールから選択され、ここでR,R’及びR”は同じかまたは異なっていて、H、炭素原子1~10個を有する置換又は未置換の直鎖、分枝鎖又は環状のアルキル、アルケニル又はアルキニル、ポリエチレングリコール単位(-OCHCH)n、ただしここでnは1~2000の整数であるもの、炭素原子6~10個を有するアリール、炭素原子3~10個を有するヘテロ環、ただしここで置換基はOR、NR、NO、NRCOR’、SR10から選択されるもの、SOR’で示されるスルホキシド、-SOR’で示されるスルホン、-SOで示されるスルファイト、-OSOで示されるビスルファイト、SONRR’で示されるスルホンアミド、シアノ、アジド、-COR11、OCOR11又はOCONR1112、ただしここでR、R、R、R10、R11及びR12の定義は上記において示したとおりであり、場合によりR”はOHであり;
WはC=O、C=S、CH、BH、SO又はSOであり;
、R、R、R、R’、R’、R’及びR’は各々独立してH、炭素原子1~10個を有する置換又は未置換の直鎖、分枝鎖又は環状のアルキル、アルケニル又はアルキニル、ポリエチレングリコール単位(-OCHCH)n、ただしここでnは1~2000の整数であるもの、又はハロゲン、グアニジニウム[-NH(C=NH)NH]、OR、NR、NO、NRCOR’、SR10、SOR’で示されるスルホキシド、-SOR’で示されるスルホン、スルファイト-SO、ビスルファイト-OSO、SONRR’で示されるスルホンアミド、シアノ、アジド、-COR11、OCOR11又はOCONR1112から選択される置換基から選択され、ここでR、R、R、R10、R11及びR12は各々独立してH、炭素原子1~10個を有する置換又は未置換の直鎖、分枝鎖又は環状のアルキル、アルケニル又はアルキニル、ポリエチレングリコール単位(-OCHCH)n、ただしここでnは1~2000の整数であるもの、炭素原子6~10個を有するアリール、炭素原子3~10個を有するヘテロ環から選択され、場合によりR10はSR13又はCOR13であり、ここでR13は炭素原子1~10個を有する直鎖、分枝鎖又は環状のアルキル、アルケニル又はアルキニル、ポリエチレングリコール単位(-OCHCH)n、ただしここでnは1~2000の整数であるもの、炭素原子6~10個を有するアリール、炭素原子3~10個を有するヘテロ環から選択され、場合によりR11はOR14であり、ここでR14はRと同じ定義を有し、場合によりR、R、R、R、R’、R’、R’,又はR’の何れか1つは共有結合を介した細胞結合剤への連結を可能にする連結基であるか、又は、ポリピロロ、ポリインドリル、ポリイミダゾリル、ポリピロロイミダゾリル、ポリピロロインドリル又はポリイミダゾロインドリル単位であって場合により細胞結合剤への連結を可能にする連結基を担持しているものから選択され;
Zは(CHただしnが1、2又は3であるもの、CR1516、NR17、O又はSから選択され、ここでR15、R16及びR17は各々独立してH、炭素原子1~10個を有する直鎖、分枝鎖又は環状のアルキル、ポリエチレングリコール単位(-OCHCH)n、ただしここでnは1~2000の整数であるものから選択され;
はOR、SR又はNRR’であり、ここでR及びR’は上記と同じ定義を有し;
X’はCH、NR、CO、BH、SO又はSOから選択され、ここでRは上記と同じ定義を有し;
Y’はO、CH、NR又はSであり、ここでRは上記と同じ定義を有し;
Z’はCH又は(CHであり、ここでnは2、3又は4であるが、ただしX’、Y’及びZ’は同時に全てCHであることはなく;
A及びA’は同じかまたは異なっていて、そしてO、-CRR’O、S、-CRR’S、-NR15又はCRR’NHR15から選択され、ここでR及びR’は上記と同じ定義を有し、そして、R15はRに関する上記と同じ定義を有し;
D及びD’は同じかまたは異なっていて、そして独立して炭素原子1~10個を有する直鎖、分枝鎖又は環状のアルキル、アルケニル又はアルキニルであって場合によりハロゲン、OR、NR、NO、NRCOR’、SR10、SOR’で示されるスルホキシド、-SOR’で示されるスルホン、スルファイト-SO、ビスルファイト-OSO、SONRR’で示されるスルホンアミド、シアノ、アジド、-COR11、OCOR11又はOCONR1112の何れか1つで置換されており、R、R、R、R10、R11及びR12の定義は上記の通りであるもの、ポリエチレングリコール単位(-OCHCH、ただしここでnは1~2000の整数であるもの、から選択され;
Lは場合により置換されている任意のフェニル基又は炭素原子3~10個を有する複素環であり、ここで置換基は共有結合を介した細胞結合剤への連結を可能にする連結基であり、或いは、炭素原子1~10個を有する直鎖、分枝鎖又は環状のアルキル、アルケニル又はアルキニルであって場合によりハロゲン、OR、NR、NO、NRCOR’、SR10、SOR’で示されるスルホキシド、-SOR’で示されるスルホン、スルファイト-SO、ビスルファイト-OSO、SONRR’で示されるスルホンアミド、シアノ、アジド、-COR11、OCOR11又はOCONR1112の何れか1つで置換されており、R、R、R、R10、R11及びR12の定義は上記の通りであるもの、ポリエチレングリコール単位(-OCHCH、ただしここでnは1~2000の整数であるもの、から選択され;場合によりLそのものが共有結合を介した細胞結合剤への連結を可能にする連結基である]の化合物、又はそれらの製薬上許容しうる溶媒和物、塩、水和物、又は含水塩、それらの光学異性体、ラセミ混合物、ジアステレオマー、エナンチオマー又はこれらの化合物の多形結晶構造物を包含し、ここで2量体の化合物は場合により細胞結合剤への連結を可能にする連結基を担持するが;ただし、化合物は共有結合を介した細胞結合剤の連結を可能にする連結基を1つより多くは有さない。
【0184】
1つの側面において、NとCとの間の二重線--は単結合又は二重結合を示すが、ただしそれが二重結合の場合はXは非存在であり、YはHであり、そしてそれが単結合である場合はXはHであるか、又は化合物をプロドラッグに変換するアミノ保護部分であり;
Yは-OR、NR’R”、スルファイト-SO又はビスルファイト-OSOから選択され、ここでRはH、炭素原子1~10個を有する直鎖、分枝鎖又は環状のアルキル、アルケニル又はアルキニル、ポリエチレングリコール単位(-OCHCH、ただしここでnは1~2000の整数であるもの、炭素原子6~10個を有するアリール、炭素原子3~10個を有するヘテロ環から選択され;
WはC=O、CH又はSOであり;
、R、R、R、R’、R’、R’及びR’は各々独立してH、NO又は共有結合を介した細胞結合剤への連結を可能にする連結基から選択され;
はOR18であり、ここでR18はRと同じ定義を有し;
Zは(CHただしnが1、2又は3であるもの、CR1516、NR17、O又はSから選択され、ここでR15、R16及びR17は各々独立してH、炭素原子1~10個を有する直鎖、分枝鎖又は環状のアルキル、ポリエチレングリコール単位(-OCHCH)n、ただしここでnは1~2000の整数であるものから選択され;
X’はCH又はC=Oから選択され;
Y’はO、NR又はSであり、ここでRは上記と同じ定義を有し;
Z’はCH又は(CHであり;
A及びA’は各々Oであり;
D及びD’は同じかまたは異なっていて、そして独立して炭素原子1~10個を有する直鎖、分枝鎖又は環状のアルキル、アルケニル又はアルキニルから選択され;
Lは場合により置換されている任意のフェニル基又は炭素原子3~10個を有する複素環であり、ここで置換基は共有結合を介した細胞結合剤への連結を可能にする連結基であり、或いは、炭素原子1~10個を有する直鎖、分枝鎖又は環状のアルキル、アルケニル又はアルキニルであって場合によりハロゲン、OR、NR、NO、NRCOR’、SR10、SOR’で示されるスルホキシド、-SOR’で示されるスルホン、スルファイト-SO、ビスルファイト-OSO、SONRR’で示されるスルホンアミド、シアノ、アジド、-COR11、OCOR11又はOCONR1112の何れか1つで置換されているもの、ポリエチレングリコール単位(-OCHCH、ただしここでnは1~2000の整数であるもの、から選択され;場合によりLそのものが共有結合を介した細胞結合剤への連結を可能にする連結基でありるもの;又はそれらの製薬上許容しうる溶媒和物、塩、水和物、又は含水塩、それらの光学異性体、ラセミ混合物、ジアステレオマー、エナンチオマー又はこれらの化合物の多形結晶構造物である。
【0185】
別の特徴において、化合物は下記式(XVII):
【化15】

[式中、NとCとの間の二重線--は単結合又は二重結合を示すが、ただしそれが二重結合の場合はXは非存在であり、YはHであり、そしてそれが単結合である場合はXはHであるか、又は化合物をプロドラッグに変換するアミノ保護部分であり、そしてYはOH、-ORで示されるエーテル、スルファイト-SO、又はビスルファイト-OSOから選択され、ここでRは炭素原子1~10個を有する直鎖、分枝鎖又は環状のアルキル、アルケニル又はアルキニルから選択され;
R2、R3の1つは共有結合を介した細胞結合剤への連結を可能にする連結基であり、もう1つはHであり;
L’、L”又はL’”の1つは細胞結合剤への連結を可能にする連結基であり、残余はHであり;L’は連結基であることができ、そしてGはCH又はNである]により表わされる。他の例は米国特許出願61/150,201に記載されており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。即ち、特定の実施形態においては、抗体huMov19を上記XIX-XXIIに示す構造を有するベンゾジアゼピンにコンジュゲートする。別の実施形態においては、抗体FR-1-21を上記XIX-XXIIに示す構造を有するベンゾジアゼピンにコンジュゲートする。
【0186】
IV.ポリヌクレオチド
特定の実施形態においては、本発明はFOLR1に特異的に結合するポリペプチド、又はそのようなポリペプチドのフラグメントをコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを包含する。例えば、本発明はヒトFOLR1に対する抗体をコードする、又はそのような抗体のフラグメントをコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドを提供する。本発明のポリヌクレオチドはRNAの形態又はDNAの形態であることができる。DNAはcDNA、ゲノムDNA、及び合成DNAを包含し;そして2本鎖又は1本鎖であることができ、そして1本鎖である場合はコーディング鎖又は非コーディング(アンチセンス)鎖であることができる。
【0187】
特定の実施形態においては、ポリヌクレオチドは単離されている。特定の実施形態においては、ポリヌクレオチドは実質的に純粋である。
【0188】
本発明は配列番号4、10、11、41、42及び88~103よりなる群から選択される配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを提供する。同様に提供されるものは配列番号4、10、11、41、42及び88~103に少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。
【0189】
ポリヌクレオチド配列番号5、14及び15はそれぞれhuMov19可変ドメイン重鎖、可変ドメイン軽鎖バージョン1.00及び可変ドメイン軽鎖バージョン1.60に関するコーディング配列を含む。
【0190】
本発明は又、配列番号5、14、15、37、38、43、44、47、48及び120~127よりなる群から選択される配列を含むポリヌクレオチドを提供する。同様に提供されるものは配列番号5、14、15、37、38、43、44、47、48及び120~127に少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を有するポリヌクレオチドである。即ち、特定の実施形態においては、ポリヌクレオチドは(a)配列番号5に少なくとも約95%の配列同一性を有するポリヌクレオチド;及び/又は(b)配列番号14又は15に少なくとも約95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む。特定の実施形態においては、ポリヌクレオチドは(a)配列番号5のアミノ酸配列を有するポリヌクレオチド;及び/又は(b)配列番号14又は配列番号15のアミノ酸配列を有するポリヌクレオチドを含む。
【0191】
特定の実施形態においては、ポリヌクレオチドは、例えば宿主細胞からのポリペプチドの発現及び分泌を支援する、ポリヌクレオチドに同じ読み枠で融合した成熟ポリペプチドに関するコーディング配列を含む(例えば細胞からのポリペプチドの輸送を制御するための分泌配列として機能するリーダー配列)。リーダー配列を有するポリペプチドは、プレ蛋白であり、そして宿主細胞により切断されてポリペプチドの成熟型を形成するリーダー配列を有することができる。ポリヌクレオチドは又、成熟蛋白プラス追加5’アミノ酸残基であるプロ蛋白に対してもコードできる。プロ配列を有する成熟蛋白はプロ蛋白であり、そして蛋白の不活性型である。プロ配列が切断されると活性な成熟蛋白が残存する。
【0192】
特定の実施形態においては、ポリヌクレオチドは例えばコードされたポリペプチドの精製を可能にするマーカー配列に同じ読み枠で融合した成熟ポリペプチドに関するコーディング配列を含む。例えば、マーカー配列は、細菌宿主の場合はマーカーに融合した成熟ポリペプチドの精製を可能にするpQE-9ベクターにより与えられるヘキサヒスチジンタグであることができ、又は、哺乳類宿主(例えばCOS-7細胞)を使用する場合は、インフルエンザヘマグルチニン蛋白から誘導されたヘマグルチニン(HA)タグであることができる。
【0193】
本発明は更に例えばフラグメント、類縁体及び誘導体をコードする上記下ポリヌクレオチドの変異体に関する。
【0194】
ポリヌクレオチド変異体はコーディング領域、非コーディング領域、又は両方において改変を含有できる。一部の実施形態においては、ポリヌクレオチド変異体はサイレントな置換、負荷、又は欠失をもたらすが、コードされたポリペプチドの特性又は活性を改変しない改変を含有する。一部の実施形態においては、ヌクレオチド変異体は遺伝子コードの縮重によるサイレントな置換により生成される。ポリヌクレオチド変異体は種々の理由のため、例えば特定の宿主に対してコドンの発現を最適化する(ヒトmRNA中のコドンをE・コリのような細菌宿主により好まれるものに変える)ために生産することもできる。
【0195】
本明細書に記載するポリヌクレオチドを含むベクター及び細胞も提供される。
【0196】
V.使用方法及び医薬組成物
本発明のFOLR1結合剤(抗体、イムノコンジュゲート及びポリペプチドを包含)は癌の治療のような施療的治療方法を包含するがこれに限定されない種々の用途において有用である。特定の実施形態においては、剤は腫瘍生育を阻害し、分化を誘導し、腫瘍体積を低減し、及び/又は腫瘍の腫瘍形成性を低減するために有用である。使用方法はインビトロ、エクスビボ、又はインビボの方法であってよい。特定の実施形態においては、FOLR1結合剤又は抗体又はイムノコンジュゲート又はポリペプチドはそれが結合するヒトFOLR1の拮抗剤である。
【0197】
1つの側面において、本発明の抗FOLR1抗体及びイムノコンジュゲートは生物学的試料中のFOLR1の存在を検出するために有用である。「検出する」という用語は本明細書において使用する場合、定量的又は定性的な検出を包含する。特定の実施形態においては、生物学的試料は細胞又は組織を含む。特定の実施形態においては、そのような組織は、他の組織と相対比較してより高値のレベルでFOLR1を発現する正常及び/又は癌性の組織、例えばB細胞及び/又はB細胞関連組織を包含する。特定の実施形態においては、FOLR1の過剰発現は卵巣癌、肺癌、脳の癌、乳癌、子宮癌、腎臓癌又は膵臓癌の存在を検出する。
【0198】
1つの側面において、本発明は生物学的試料中のFOLR1の存在を検出する方法を提供する、特定の実施形態においては、方法は、FOLR1への抗FOLR1抗体の結合を可能にする条件下で抗FOLR1抗体に生物学的試料を接触させること、及び、抗FOLR1抗体とFOLR1との間に複合体が形成されているかどうか検出することを含む。
【0199】
1つの側面において、本発明はFOLR1の増大した発現に関連する障害を診断する方法を提供する。特定の実施形態においては、方法は、抗FOLR1抗体に被験細胞を接触させること;FOLR1への抗FOLR1抗体の結合を検出することにより被験細胞によるFOLR1の発現のレベルを(定量的又は定性的に)測定すること;及び被験細胞によるFOLR1の発現のレベルを対照細胞(例えば被験細胞と同じ組織起源の正常細胞、又は、そのような正常細胞に匹敵するレベルでFOLR1を発現している細胞)によるFOLR1の発現のレベルと比較することを含み、ここで対照細胞と比較した場合に被験細胞によるより高レベルのFOLR1の発現は、FOLR1の増大した発現に関連する障害の存在を示している。特定の実施形態においては、被験細胞はFOLR1の増大した発現に関連する障害を有すると疑われる個体から得られる。特定の実施形態においては、障害は細胞増殖障害、例えば癌又は腫瘍である。
【0200】
特定の実施形態においては、上記した者のような診断又は検出の方法は、細胞の表面上に発現されているか、又は自身の表面上にFOLR1を発現している細胞から得られた膜調製物中の、FOLR1への抗FOLR1抗体の結合を検出することを含む。特定の実施形態においては、方法は、FOLR1への抗FOLR1抗体の結合を可能にする条件下で抗FOLR1抗体に細胞を接触させること、及び細胞表面上の抗FOLR1抗体とFOLR1との間に複合体が形成されているかどうか検出することを含む。細胞表面に発現されたFOLR1への抗FOLR1抗体の結合を検出するための例示されるアッセイは「FACS」アッセイである。
【0201】
特定の別の方法を用いてFOLR1への抗FOLR1抗体の結合を検出することができる。そのような方法は、当該分野で良く知られている抗原結合試験、例えばウエスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素連結免疫吸着試験)。「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、蛍光イムノアッセイ、プロテインAイムノアッセイ及び免疫組織化学(IHC)を包含するがこれらに限定されない。
【0202】
特定の実施形態においては、抗FOLR1抗体を標識する。標識は、直接検出される標識又は部分(例えば蛍光、発色団、電子稠密、化学ルミネセント、及び放射活性の標識)並びに例えば酵素的反応又は分子相互作用を介して間接的に検出される酵素又はリガンドのような部分を包含するがこれらに限定されない。
【0203】
特定の実施形態においては、抗FOLR1抗体は不溶性マトリックス上に固定化される。固定化とは溶液中に遊離で残存する如何なるFOLR1からも抗FOLR1抗体を分離することを意味する。これは従来より、水不溶性マトリックス又は表面に吸着することによる(Bennich等、米国特許3,720,760)か、又は共有結合カップリング(例え
ばグルタルアルデヒド架橋を用いる)による等して、アッセイ操作の前に抗FOLR1抗体を不溶化することによるか、又は例えば免疫沈降により抗FOLR1抗体とFOLR1との間の複合体の形成の後に抗FOLR1抗体を不溶化することによるかの、いずれかにより達成される。
【0204】
診断又は検出の上記した実施形態の何れも、抗FOLR1抗体の代わりに、又はそれに追加して、本発明のイムノコンジュゲートを使用しながら実施してよい。
【0205】
特定の実施形態においては、FOLR1結合剤又は拮抗剤(例えばhuMov19抗体又はイムノコンジュゲート)で治療される疾患は癌である。特定の実施形態においては、癌はFOLR1結合剤(例えば抗体)が結合する相手で
あるフォレート受容体1を発現する腫瘍により特徴付けられる。
【0206】
本発明は対象(例えば治療を要する対象)にFOLR1結合剤の治療有効量を投与することを含む癌の治療の方法を提供する。特定の実施形態においては、癌は結腸直腸癌、膵臓癌、肺癌、卵巣癌、肝臓癌、乳癌、脳の癌、腎臓癌、前立腺癌、胃腸癌、黒色腫、子宮頸癌、膀胱癌、神経膠芽腫、及び頭頚部の癌よりなる群から選択される。特定の実施形態においては、癌は卵巣癌である。特定の実施形態においては、癌は肺癌である。特定の実施形態においては、対象はヒトである。
【0207】
本発明は更に本明細書に記載する抗体又は他の剤を用いた腫瘍生育を阻害するための方法を提供する。特定の実施形態においては、腫瘍生育を阻害する方法はインビトロでFOLR1結合剤(例えば抗体)に細胞を接触させることを含む。例えば、FOLR1を発現する不朽化細胞系統又は癌細胞を培地中で培養し、これに抗体又は他の剤を添加して腫瘍生育を阻害する。一部の実施形態においては、患者試料、例えば生検組織、胸水又は血液試料から腫瘍細胞を単離し、培地中で培養し、これにFOLR1結合剤を添加して腫瘍生育を阻害する。
【0208】
一部の実施形態においては、腫瘍生育を阻害する方法はインビボでFOLR1結合剤(例えば抗体)に腫瘍又は腫瘍細胞を接触させることを含む。特定の実施形態においては、FOLR1結合剤に腫瘍又は腫瘍細胞を接触させることは動物モデルにおいて行われる。例えば免疫無防備状態のマウス(例えばNOD/SCIDマウス)中で成育させておいた1つ以上のFOLR1を発現する異種移植片にFOLR1結合剤を投与することにより腫瘍生育を阻害することができる。一部の実施形態においては癌幹細胞を患者試料、例えば生検組織、胸水又は血液試料から単離し、免疫無防備状態のマウスに注射し、次にFOLR1結合剤を投与することにより腫瘍細胞生育を阻害する。一部の実施形態においては、FOLR1結合剤は動物内への腫瘍形成性細胞の導入と同時かその直後に投与することにより腫瘍生育を防止する。一部の実施形態においては、FOLR1結合剤は腫瘍形成性細胞が特定の大きさまで成育した後に治療薬として投与される。
【0209】
特定の実施形態においては、腫瘍生育を阻害する方法はFOLR1結合剤の治療有効量を対象に投与することを含む。特定の実施形態においては、対象はヒトである。特定の実施形態においては、対象は腫瘍を有するか、腫瘍を除去している。
【0210】
特定の実施形態においては腫瘍はFOLR1結合剤又は抗体が結合するフォレート受容体を発現する。特定の実施形態においては、腫瘍はヒトFOLR1を過剰発現する。
【0211】
特定の実施形態においては、腫瘍は脳の癌、結腸直腸腫瘍、膵臓腫瘍、肺腫瘍、卵巣腫瘍、肝臓腫瘍、乳房腫瘍、腎臓腫瘍、前立腺腫瘍、胃腸腫瘍、黒色腫、子宮頚部腫瘍、膀胱腫瘍、神経膠芽腫、及び頭頚部の腫瘍よりなる群から選択される。特定の実施形態においては、腫瘍は卵巣腫瘍である。
【0212】
更に又、本発明は対象にFOLR1結合剤の治療有効量を投与することを含む対象中の腫瘍の腫瘍形成性を低減する方法を提供する。特定の実施形態においては、腫瘍は癌幹細胞を含む。特定の実施形態においては、腫瘍中の癌幹細胞の発生頻度は剤の投与により低減される。
【0213】
即ち、特定の実施形態においては、本発明はhuMov19抗体及びイムノコンジュゲートを用いて癌を治療する方法を提供する。特定の実施形態においては、huMov19イムノコンジュゲートはhuMov19-SPDB-DM4;huMov19-スルホ-SPP-DM1;huMov19-SPP-DM1;又はhuMov19-PEG4-Mal-DM4である。
【0214】
本発明は更にFOLR1結合剤に腫瘍形成性細胞を接触することを含む非腫瘍形成性細胞への腫瘍形成性細胞の文化の方法を提供する(例えば腫瘍形成性細胞を含む腫瘍を有するか、又はそのような腫瘍を除去している対象にFOLR1結合剤を投与することによる)。特定の実施形態においては、腫瘍形成性細胞は卵巣腫瘍細胞である。
【0215】
本発明は又、FOLR1結合剤、ポリペプチド又は抗体の有効量に固形腫瘍の支質を接触することを含むその支質における筋腺維芽細胞の活性化を低減する方法を提供する。
【0216】
本発明は更に、本明細書に記載したFOLR1結合剤の1つ以上を含む医薬組成物を提供する。特定の実施形態においては、医薬組成物は更に製薬上許容しうるベヒクルを含む。これらの医薬組成物はヒト患者において腫瘍生育を阻害し、そして癌を治療する場合に使用できる。
【0217】
特定の実施形態においては、製剤は、製薬上許容しうるベヒクル(例えば担体、賦形剤)に本発明の精製された抗体又は剤を混合することにより保存及び使用のために調製される(Remington,TheScienceandPractice of Pharmacy 20th EditionMackPublishing,
2000)。適当な製薬上許容しうるベヒクルは
非毒性緩衝物質、例えばリン酸塩、クエン酸塩及び他の有機酸;塩類、例えば塩化ナトリ
ウム;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸及びメチオニン;保存料(例えばオクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えばメチル又はプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量ポリペプチド(例えば約10アミノ酸残基未満);蛋白、例えば血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリン;親水性重合体、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリジン;炭水化物、例えば単糖類、2糖類、グルコース、マンノース、デキストリン;キレート形成剤、例えばEDTA;糖類、例えばスクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトール;塩形成対イオン、例えばナトリウム;金属複合体(例えばZn-蛋白複合体);及びノニオン性界面活性剤、例えばTWEEN又はポリエチレングリコール(PEG)を包含するがこれらに限定されない。
【0218】
本発明の医薬組成物は局所又は全身投与の何れかのために如何なる数の方法においても投与できる。投与は局所(例えば経膣及び肛門送達を包含する経粘膜)、例えば経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、ドロップ、座剤、スプレー、液体及び粉末;肺(例えば粉末又はエアロゾルの吸入又は吸収、例えばネブライザーによるもの;気管内、鼻内、表皮及び経皮);経口;又は非経腸、例えば静脈内、動脈内、皮下、腹腔内又は筋
肉内の注射又は輸液;又は頭蓋内(例えば髄腔内又は脳室内)投与であることができる。
【0219】
本発明のイムノコンジュゲートの抗体は、医薬複合製剤又は複合療法としての投薬法において、抗癌特性を有する第2の化合物と組み合わせることができる。医薬複合製剤又は投薬法の第2の化合物は好ましくはそれらが相互に悪影響を及ぼさないように複合物のADCに対して補完的活性を有する。FOLR1結合剤及び第2の抗癌剤を含む医薬組成物も提供される。
【0220】
疾患の治療のためには、本発明の抗体又は剤の適切な用量は、治療すべき疾患の型、疾患の重症度及び経過、疾患の応答性、抗体又は剤が治療又は予防目的の何れで投与されるか、以前の治療、患者の病歴等に応じたものとなり、全て担当医の判断による。抗体又は剤は、1回、又は数日から数か月まで継続する一連の治療に渡り、或いは、治癒が成功するか、又は疾患の縮小(例えば腫瘍の大きさの減少)が達成されるまで投与することができる。最適な投薬計画は患者の身体における薬物の蓄積の計測から計算でき、そして個々の抗体又は剤の相対的力価に応じて変動することになる。投薬医師は最適な用量、投薬法および反復率を容易に決定できる。特定の実施形態においては、用量はkg体重当たり0.01μg~100mgであり、そして毎日、毎週、毎月又は毎年1回以上投与できる。特定の実施形態においては、抗体又は他のFOLR1結合剤を2週間に1回、又は3週間に1回投与する。特定の実施形態においては、抗体又は他のFOLR1結合剤の用量はkg体重当たり約0.1mg~約20mgである。担当医は体液又は組織中の薬物の滞留時間及び濃度の計測値に基づいて投薬の反復率を推定できる。
【0221】
複合療法は「相乗作用」をもたらすことができ、「相乗作用的」であることがわかっており、即ち、活性成分を共に使用した場合に達成される作用が、化合物を別個に使用した場合に得られる作用の総和より大きい。相乗作用は、活性成分が(1)共同製剤され、そして複合単位剤型において同時に投与又は送達されるか;(2)別個の製剤として交互又は並行して送達されるか;又は(3)何らかの他の投薬法による場合に、達成できる。交互治療において送達される場合、相乗作用は、化合物が逐次的に、例えば別個のシリンジにおける異なる注射により投与又は送達される場合に達成できる。一般的に、交互治療中は、各活性成分の有効用量を逐次的、即ち連続して投与するが、複合療法の場合は、2つ以上の活性成分の有効用量を共に投与する。
【0222】
VI.FOLR1結合剤を含むキット
本発明は本明細書に記載した抗体、イムノコンジュゲート又は他の剤を含み、そして本明細書に記載した方法を実施するために使用できるキットを提供する。特定の実施形態においては、キットは容器1つ以上の中にヒトフォレート受容体1に対する精製された抗体少なくとも1つを含む。一部の実施形態においては、キットは対照、アッセイ実施のための説明書、及び結果の分析及び表示のための何れかの必要なソフトウエアの全てを含む検出アッセイを実施するために必要及び/又は十分な成分の全てを含有する。本発明の開示した抗体、イムノコンジュゲート及び他の剤は当該分野で良く知られている確立されたキットフォーマットの1つに容易に組み込むことができることが当業者の知る通りである。
【0223】
更に提供されるものはFOLR1結合剤(例えばFOLR1結合抗体)並びに第2の抗癌剤を含むキットである。特定の実施形態においては、第2の抗癌剤は化学療法剤(例えばゲムシタビン又はイリノテカン)である。
【0224】
本発明の実施形態は以下の非限定的な例を参照することにより更に明確化でき、これらは本開示の特定の抗体の調製及び本開示の抗体を用いるための方法を詳細に説明している。物質及び方法の両方に対する多くの変更が本開示の範囲から逸脱することなく実施できることは当業者の知る通りである。
【実施例
【0225】
本明細書に記載した実施例及び実施形態は説明を目的としているのみであり、そしてそれに基づく種々の改変または変更が当業者に示唆されることになり、そして本出願の精神及び範囲に包含されるべきであると理解しなければならない。
(実施例1)
【0226】
ネズミモノクローナル抗体Mov19のキメラ化
Mov19の可変領域アミノ酸配列をNCBIデータベース(軽鎖(配列番号24)に関してはアクセッションCAA68253及び重鎖(配列番号23)に対してはCAA68252)から入手し、そして次にコドン最適化し、Blue Heron Biotechnologyにより合成した。軽鎖可変領域はpAbKZeoプラスミド中のEcoRI及びBsiWI部位にクローニングし、そして重鎖可変領域はpAbG1NeoプラスミドのHindIII及びApa1部位にクローニングした。
(実施例2)
【0227】
ネズミモノクローナル抗体Mov19及びFR1-21のヒト化Mov19抗体は以前に報告されているフレームワークリサーフィシング法(Roguska M.等、Proc.Natl.Acad.
Sci.USA 1994 Feb;91:969-973)及び(Roguska等、Protein Eng.9(10):895-904 (1996))に従ってヒト化した。要すれば、各可変領域フレームワーク残基に関する平均溶媒アクセス性をPDBデータベースの緊密関連解明抗体構造(closely related solved antibody structure)を用いて計算し、そして30%平均アクセス性より高値の位置を表面
残基としてマークした(Pedersen J.T.等、J. Mol. Biol. 1994; 235: 959-973)
。ヒト表面置き換え配列は、Kabatデータベースにおけるヒト抗体生殖細胞系統配列の相当する位置にネズミ抗体配列の表面位置をアラインすることにより選択した(Johnson,G. and Wu, T. T. (2001) Nucleic Acids Research,29:205-206)。最も相同
なヒト軽鎖可変領域表面(クローンDPK19、Mov19に関してはIMGT遺伝子座IGKV2D-30*01、そしてFR1-21に関してはIMGT遺伝子座IGKV1/OR2-0*01)及び最も相同なヒト
重鎖可変領域表面(クローン8M27、Mov18に関してはIMGT遺伝子座IGHV1-69*08、そ
してFR1-21に関してはIMGT遺伝子座IGHV5-51*02 for FR1-21)を選択することによりネズミMov19フレームワーク表面位置を置き換え、6CDR(表1)は未改変のままとした。ネズミ及びヒトMov19及びFR1-21の表面位置及び残基を図1A~Dに示す。
【表1-1】
【表1-2】
【0228】
残基変化の何れも、Mov19又はFR1-21のCDRとフォレート受容体1上のそれらの標的エピトープとの相互作用に影響するという問題を生じさせず、従って表面の復帰突然変異は何れの抗体のヒト化配列に関しても考慮しなかった。しかしながらリサーフィシングされたMov19配列は軽鎖N74においてコンセンサスN連結グリコシル化部位を導入しており(軽鎖バージョン1.00)、従ってこの部位を除去するために第2のヒト化軽鎖バージョンを作成した。Kabatのヒト軽鎖配列データベースを検討した所、スレオニンが軽鎖74位において観察される最も一般的な残基であることがわかり、従って74位にスレオニンを有するようにヒト化Mov19軽鎖バージョン1.60を構築した。74位は表面残基ではないため、この残基置換はリサーフィシングによるヒト化に影響しない。ネズミ及びヒト化Mov19及びFR1-21の可変領域配列のアライメントを図2に示す。
【0229】
ヒト化Mov19及びFR1-21の可変領域配列をコドン最適化し、Blue Heron Biotechnologyにより合成した。配列は単鎖哺乳類発現プラスミドにおける該当する定常配列とインフレームにクローニングし易くするための制限酵素部位によりフランキングされている。軽鎖可変領域をpAbKZeoプラスミド中のEcoRI及びBsiWI部位にクローニングした。得られたhuMov19軽鎖をコードするプラスミドDNAをATCC受託番号PTA-10773及びPTA-10774としてATCCに寄託し、そして得られたFR1-21軽鎖をコードするプラスミドDNAをATCC受託番号PTA-10776として寄託した。重鎖可変領域はpAbG1NeoプラスミドのHindIII及びApa1部位にクローニングした。得られたhuMov19重鎖をコードするプラスミドDNAをATCC受託番号PTA-10772としてATCCに寄託し、そして得られたFR1-21重鎖をコードするプラスミドDNAをATCC受託番号PTA-10775として寄託した。次にこれらのプラスミドを実施例3に記載するとおりトランスフェクトすることによりhuMov19を作成した。何れかのhuMov19系さをコードするプラスミド(即ちATCC受託番号PTA-10773及びPTA-10774として寄託されたもの)をhuMov19重鎖をコードするプラスミドと対にすることにより、本明細書に記載する方法に従って、そして当該分野で良く知られている通り、huMov19抗体を作成することができる。
(実施例3)
【0230】
組み換え抗体発現
キメラ及びヒト化抗体コンストラクトを標準的なリン酸カルシウム操作法を用いながら付着HEK-293T細胞において(BD Biosciences,CalPhos乳類トランスフェクションキット、カタログ番号631312)又は、PEI変法を用いながら懸濁処理HEK-293T細胞において(DurocherY,PerretS,Kamen A High-levelandhigh-throughputrecombinant proteinproductionbytransienttransfection ofsuspension-growinghuman 293-EBNA1 cells.NucleicAcidsRes. 2002Jan15;30(2):E9)スピナーフラスコ中で一過性に作成した。PEI一過性トランスフェクションは、今回はHEK-293T細胞をFreestyle298(Invitrogen)中で生育させ、そしてPEI-DNA複合体添加後に培養容積を未希釈のままとした以外は、以前に報告されている通り実施した(Durocher,Y.等、NucleicAcidsRes.30(2):E9(2002))。付着
及び懸濁物の一過性トランスフェクションの両方を1週間インキュベートし、そして次に清澄化された上澄みをプロテインAカラム、ついでCMカラムイオン交換クロマトグラフィーにより後述するとおり精製した。図3に示す通り、huMov19の発現はトランスフェクトされた細胞においてキメラMov19の発現より少なくとも10倍高値であった。
(実施例4)
【0231】
抗体精製
抗体を例えばプロテインA又はGクロマトグラフィー(HiTrapプロテインA又はGHP、1mL、Amersham Biosciences)のような標準的方法を用いながら清澄化細胞培養上澄みから精製した。要すれば、1/10容量の1MTris/HCl緩衝液、pH8.0を添加することにより上澄みをクロマトグラフィー用に調製した。pH調節上澄みを0.22μmのメンブレンフィルターで濾過し、そして結合緩衝液(PBS、pH7.3)で平衡化したカラムにロードした。カラムは280nmにおける吸光度が無く安定なベースラインが得られるまで結合緩衝液で洗浄した。0.5mL/分の流量を用いながら、0.15MNaClを含有する0.1M酢酸緩衝液、pH2.8で抗体を溶離した。約0.25mLの画分を採取し、1/10容量の1MTris/HCl、pH8.0を添加することにより中和した。ピーク画分を1xPBSに対して2回一夜透析し、0.2μmのメンブレンフィルターを通して濾過することにより滅菌した。精製された抗体はA280の吸光度により定量した。
【0232】
プロテインA精製画分は、更にカルボキシメチル(CM)クロマトグラフィーによるイオン交換クロマトグラフィー(IEX)を用いて最終精製した。要すれば、プロテインA精製からの試料を結合緩衝液(10mMリン酸カルシウム、10mM塩化ナトリウム、pH7.5)に緩衝液交換し、そして0.22μmのフィルターを通して濾過した。調製した試料を次に、120cm/hrの流量で出発緩衝液で平衡化されたCMファーストフロー樹脂(GE Lifesciences)上にロードした。カラムのサイズは試料中の全ての抗体に結合するために十分な容量を有するように選択した。次にカラムを280nmにおける吸光度が無く安定なベースラインが得られるまで結合緩衝液で洗浄した。20カラム容量(CV)中10mMから500mMの塩化ナトリウムの勾配を開始することにより抗体を溶離した。腫瘍ピークの50mAuより高値のUV読み取り値を有する画分を収集した。純度(単量体及び可溶性高分子量凝集物のパーセンテージ)はAgilentHPLC1100システム(Agilent,Santa Clala,CA)を用いながら、SWXLガードカラム、6.0x40mm(Tosoh Bioscience,Montgomeryville,PA)を用いたTSKgelG3000SWXL,7.8x300mm上のサイズエクスクルージョンクロマトグラフィー(SEC)で評価した。所望の純度(>95%)を有する画分をプールし、TFFシステムを用いてPBS(pH7.4)に緩衝液交換し、そして0.2μmのメンブレンフィルターを通して濾過することにより滅菌した。精製された抗体を更にその純度に関してSECにより試験し、そして1.47の消衰係数を用いながら280nmにおける吸光度測定によりIgG濃度を求めた。必要に応じて希釈を行った。或いは、セラミックヒドロキシアパタイト(CHT)もまた良好な選択性でネズミ及びヒト化抗体の両方を最終精製するために使用できる。粒径40μmのII型CHT樹脂(BioRad Laboratories)もIEXクロマトグラフィーに関して記載したものと同様のプロトコルで抗体の最終精製に適用した。CHTの出発緩衝液は20mMリン酸ナトリウム、pH7.0とし、そして抗体は20CVに渡って20~160mMリン酸ナトリウムの勾配により溶離した。
(実施例5)
【0233】
ねずみ抗FOLR1抗体の開発
2種の異なる免疫化/スクリーニングのシリーズを用いた。第1のシリーズはFR1-21クローンの形成をもたらし、そして第2のシリーズはFR1-48、FR1-49、FR1-57及びFR1-65クローンの形成をもたらしている。第1のシリーズにおいては、マウスを約5x10FOLR1発現KB細胞(American Tissue
Culture Collection,ATCC CCL-17)で皮下免疫化した。第2のシリーズにおいては、自身の表面にヒトFOLR1を発現する300-19細胞を用いてマウスを免疫化した。これらの細胞を作成するためにヒトFOLR1アミノ酸配列をNCBIウエブサイト(アクセッションNP_057937)から入手し、次にそれをコドン最適化し、Blue Heron Biotechnologyにより合成し、EcoRI及びXbaI制限部位によりフランキングさせることによりpSRa哺乳類発現ベクター内へのクローニングを容易にした。300-19細胞、即ちBalb/cマウスから誘導した前B細胞系統(Reth等、Nature, 317: 353-355 (1985))をpSRa-FolR1発現プラスミドでトランスフェクトすることにより細胞表面上にhuFOLR1を高レベルで安定に発現させた。ImmunoGen,Incにおいて使用されているもののような当該分野で知られている標準的な免疫化プロトコルを両方のシリーズに適用した。免疫化したマウスは、ハイブリドーマ形成のために屠殺する3日前に抗原でブーストした。マウスの脾臓を標準的動物プロトコルに従って、例えば2枚の滅菌フロスト処理顕微鏡用スライドの間で組織を磨砕することによりRPMI-1640培地中の単細胞懸濁液を得た。脾細胞を遠心分離し、ペレット化し、洗浄し、ポリエチレングリコール-1500(Roche783641)を用いることによりネズミミエローマ、例えばP3X63Ag8.653細胞(Kearney等、J Immunol,123: 1548-1550(1979))と融合させ
た。ヒポキサンチン-アミノプテリン-チミジン(HAT)(SigmaH-0262)を含有するRPMI-1640選択培地に融合細胞を再懸濁し、そして37℃5%CO下に96穴平底培養プレート(Corning-Costar3596、ウェル当たり細胞懸濁液0.2mL)中における生育に関して選択した。5日間インキュベートした後、培養上澄み0.1mLを各ウェルから取り出し、ヒポキサンチン-チミジン(HT)補給物(SigmaH-0137)を含有するRPMI-1640培地0.1mLと置き換えた。ハイブリドーマクローンが抗体スクリーニングに使用できるようになるまで、37℃5%CO下にインキュベーションを継続した。免疫化及びハイブリドーマ作成の他の手法、例えばLangone等、(編集“Immunochemical Techniques,Part I”,Methods in Enzymology,Academic Press, volume 121,Florida)及びHarlow等、(“Antibodies: A
Laboratory Manual”; Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York (1988))に記載されているものも使用できる。
【表1-3】

(実施例6)
【0234】
ハイブリドーマスクリーニング及び選択
ヒトFOLR1でトランスフェクトしたFOLR1-300-19細胞及びKB細胞を第1及び第2のシリーズのスクリーニングにそれぞれ使用した。FOLR1陽性細胞、例えばFOLR1発現300-19細胞又はKB細胞には結合するがFOLR1陰性細胞、例えば非トランスフェクトの300-19細胞には結合しないマウスモノクローナル抗体の分泌に関してフローサイトメトリーによりハイブリドーマの培養上澄みをスクリーニングした。ハイブリドーマ上澄み0.1mLを0.1mLのFACS緩衝液(2%正常ヤギ血清を添加したRPMI-1640培地)中FOLR1陽性細胞又は非トランスフェクトの300-19細胞(試料当たり1x10個)の何れかと共に3時間インキュベートした。次に細胞を遠心分離し、ペレット化し、洗浄し、PEコンジュゲートヤギ抗マウスIgG抗体(例えばJackson Laboratoryより入手可能、FACS緩衝液中6μg/ml)0.1mLと共に1時間インキュベートした。細胞を遠心分離し、再度ペレット化し、FACS緩衝液で洗浄し、1%ホルムアルデヒド含有PBS0.2mL中に再懸濁した。細胞会合蛍光をHTSマルチウェルサンプラーを用いたFACSCaliburフローサイトメトリー又はFACSアレイフローサイトメトリーを用いながら計測し、そしてCellQuest Pro(全ての入手元はBD Biosciences,Sandiego,US)を用いて分析した。陽性所見のハイブリドーマクローンを限界希釈によりサブクローニングした。フローサイトメトリーにより親細胞と同じFOLR1に対する反応性を示した各ハイブリドーマから1つのサブクローンを選択して後の分析に付した。安定なサブクローンを培養し、各分泌抗FOLR1抗体のアイソタイプを市販のアイソタイピング試薬(Roche1493027)を用いて識別した。上記した通り清澄化されたハイブリドーマ培地からネズミ抗体をプロテインA精製した。これらの抗体をFR-1抗体と表記した。
(実施例7)
【0235】
ネズミモノクローナル抗体精製
抗体を例えばプロテインA又はGクロマトグラフィー(HiTrapプロテインA又はGHP、1mL、Amersham Biosciences)のような標準的方法を用いながらハイブリドーマサブクローン上澄みから精製した。要すれば、1/10容量の1MTris/HCl緩衝液、pH8.0を添加することにより上澄みをクロマトグラフィー用に調製した。pH調節上澄みを0.22μmのメンブレンフィルターで濾過し、そして結合緩衝液(PBS、pH7.3)で平衡化したカラムにロードした。カラムは280nmにおける吸光度が無く安定なベースラインが得られるまで結合緩衝液で洗浄した。0.5mL/分の流量を用いながら、0.15MNaClを含有する0.1M酢酸緩衝液、pH2.8で抗体を溶離した。約0.25mLの画分を採取し、1/10容量の1MTris/HCl、pH8.0を添加することにより中和した。ピーク画分を1xPBSに対して2回一夜透析し、0.2μmのメンブレンフィルターを通して濾過することにより滅菌した。精製された抗体はA280の吸光度により定量した。
(実施例8)
【0236】
フローサイトメトリーによる結合の特性化
精製された抗体を用いながらフローサイトメトリーにより結合特異性を試験した。抗FOLR1のFOLR1発現300-19細胞への結合及び親300-19細胞への結合が無いことを示すFACSヒストグラムを図4に示す。0.1mLのFACS緩衝液(2%正常ヤギ血清を添加したRPMI-1640培地)中のFOLR1発現300-19細胞又は非トランスフェクト300-19細胞(試料当たり細胞1x10個)の何れかと共に3時間、各抗体をインキュベートした。次に、細胞をペレット化し、洗浄し、0.1mLのFITC-コンジュゲートヤギ抗マウスIgG抗体(例えばJackson Laboratoryから入手可能、FACS緩衝液中6μg/ml)と共に1時間インキュベートした。細胞を再度ペレット化し、FACS緩衝液で洗浄し、1%ホルムアルデヒド含有PBS200μL中に再懸濁した。試料はHTSマルチウェルサンプラーを用いたFACSCaliburフローサイトメトリー又はFACSアレイフローサイトメトリーを用いながら獲得し、そしてCellQuest Pro(全ての入手元はBD Biosciences,Sandiego,US)を用いて分析した。抗FOLR1抗体のFACSヒストグラムは蛍光のシフトを示したが、親300-19細胞は示さなかった。細胞系統の何れもFITCコンジュゲートヤギ抗ヒトIgG抗体単独のみとインキュベートした場合には有意な蛍光のシフトは検出されなかった。
(実施例9)
【0237】
muFR1-21のVL及びVH領域のクローニング及び配列決定
製造元のプロトコルに従ってRNeasyキット(QIAgen)を用いながら5x10ハイブリドーマ細胞から全細胞RNAを調製した。その後、SuperScriptIIcDNA合成キット(Invitrogen)を用いながら全RNAからcDNAを合成した。ハイブリドーマ細胞から誘導したcDNA上の第1ラウンドの変性PCR反応のための操作法はWang等、((2000)JImmunolMethods.Jan 13;233(1-2):167-77) and Co
等、((1992)J Immunol. Feb15;148(4):1149-54)に記載の方法に基づいた。VH配列は以
下の変性プライマー:EcoMH1CTTCCGGAATTCSARGTNMAGCTGSAGSAGTC(配列番号50),EcoMH2CTTCCGGAATTCSARGTNMAGCTGSAGSAGTCWGG(配列番号51)及びBamIgG1GGAGGATCCATAGACAGATGGGGGTGTCGTTTTGGC(配列番号52)を用いたPCRにより増幅した。VL配列は以下の変性プライマー:SacIMKGGAGCTCGAYATTGTGMTSACMCARWCTMCA(配列番号53)及びHindKLTATAGAGCTCAAGCTTGGATGGTGGGAAGATGGATACAGTTGGTGC(配列番号54)を用いたPCRにより増幅した。(混合塩基は以下の通り、即ち:N=G+A+T+C,S=G+C,Y=C+T,M=A+C,R=A+G,W=A+Tと定義した)。
【0238】
次にPCR反応混合物を1%低融点アガロースゲル上で泳動させ、300~400bpバンドを切り出し、ZymoDNAミニカラムを用いて精製し、そして配列決定のためにAgencourt Biosciencesに送付した。それぞれの5’及び3’PCRプライマーを配列決定プライマーとして使用することにより両方の方向から可変領域cDNAを形成した。VH及びVL領域のアミノ酸配列はVectorNTIソフトウエアを用いてDNA配列決定の結果を解釈することにより得た。
【0239】
予備可変領域cDNA配列における5’末端プライマー配列決定の人工的要因を発見するために、NCBIのIgBlastサイト(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/igblast/)を用いて抗体配列の誘導元のネズミ生殖細胞系統の配列に関して検索した。次に明確化された可変領域配列を特定の抗体の定常領域に関するNCBIのレファレンス配列と組み合わせることにより予測される完全長のネズミ抗体配列を組み立てた。次に予測されるネズミFr1-21軽鎖及び重鎖の分子量を計算し、そして、液体クロマトグラフィー/質量スペクトル分析(LC/MS)により計測した質量と比較した。ネズミFR1-21重鎖は計測された質量とマッチしたが、軽鎖は5’末端配列を調べるためにフォローアップの配列決定作業を必要とした。ネズミ抗体の生殖細胞系統連結リーダー配列にアニーリングするようにCD37-1LClead1PCRプライマー(ttttgaattcgccaccatgaagtttccttctcaacttct)を設計し、これによりこの新しいPCR反応がプライマーにより改変されない完全な可変領域cDNAを与えるようにした。PCR反応、バンド精製、及び配列決定は上記した通り実施し、そして新しい完全な配列はLC/MSにより計測したFr1-21の軽鎖の分子量にマッチする軽鎖をコードしていた。
(実施例10)
【0240】
レファレンス抗体の発現
Morphotech抗FOLR1抗体、MorAb-003(Farletuzumab)、アミノ酸配列をWorldHealthOrganization(WHO)InternationalNonproprietary Namesfor PharmaceuticalSubstances(INN)
のリストから入手し、コドン最適化し、BlueHeronBiotechnologyにより合成した。単
鎖哺乳類発現プラスミドにおけるそれぞれの定常配列とインフレームにクローニングするために、軽鎖可変領域配列はEcoRI及びBsiWI制限酵素部位によりフランキングされており、そして重鎖可変領域配列はHindIII及びApa1制限酵素部位によりフランキングされてい
る。クローニング、発現及び精製は上記ヒト化Mov19及びFr1-21に関して記載したとおり実施した。
(実施例11)
【0241】
huMov19のADCC活性
ラクテートデヒドロゲナーゼ(LDH)はエフェクター細胞としての新しく単離されたヒトナチュラルキラー(NK)細胞を用いた腫瘍細胞の抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を計測するために使用されている(例えばShields,J.Biol.Chem.,276(9):6591-6604 (2001))。NK単離キットII(Miltenyi Biotech,130-
091-152)に関する修正プロトコルを用いながら正常者ドナー由来のヒト血液(ResearchBloodComponents,Inc.,Brighton,MA)から最初に単離した。血液を1xPBS
で2倍希釈した。希釈血液25mLを50mL三角試験管中の25mLのFicoll
Paque上に慎重に重層し、RTで45分間400Gで遠心分離した。末梢血単核球(PBMC)を界面から収集し、新しい50mL三角試験管に移し、そして1xPBSで1回洗浄した。PBMCをNK単離緩衝液(1xPBS、0.5%BSA、2mMEDTA)2mL中に再懸濁し、次にビオチン抗体カクテル500μLを細胞懸濁液に添加した。ビオチン抗体カクテルは、NK細胞以外のリンパ球に結合してNK細胞の負の選択をもたらすビオチニル化抗体を含有する。混合物を10分間4℃でインキュベートし、次にNK単離緩衝液1.5mL及び抗ビオチンマイクロビーズ1mLを添加した。細胞-抗体混合物を4℃で更に15分インキュベートした。次に、細胞を1回50mLのNK単離緩衝液で洗浄し、3mLのNK単離緩衝液に再懸濁した。次にMACSLCカラムを自動MACS分離機(Miltenyi Biotech)上に搭載し、NK単離緩衝液3mLで予備洗浄した。細胞懸濁液を自動的にカラムにアプライし、洗浄し、そして未標識NK細胞を有する溶出画分を新しい50mL容量の三角試験管に収集した。得られたNK細胞を、一夜、完全RPMI培地(5%ウシ胎児血清、1%ペニシリン-ストレプトマイシン、1mMHEPES、1mMピルビン酸ナトリウム、1%100XMEM非必須アミノ酸溶液を添加したRPMI-1640)30mL中にプレーティングした。その後のアッセイ及び全ての希釈はRHBP培地(20mMHEPES、pH7.4、0.1%BSA及び1%ペニシリン-ストレプトマイシンを添加したRPMI-1640培地)中で実施した。RHBP培地中の種々の濃度の抗体を丸底96穴プレート中50μL/ウェルで2連に分注した。標的細胞をRHBP培地中10細胞/mLで再懸濁し、抗体希釈物を含有する各ウェルに100μL/ウェルで添加した。標的細胞及び抗体希釈物を含有するプレートを37℃で30分間インキュベートした。次に50μL/ウェルで標的細胞を含有するウェルにNK細胞を添加した。典型的な比は3~4NK細胞に対して1標的細胞とした。少なくとも以下の対照、即ち:NK細胞単独、標的細胞単独(自発的LDH放出)、標的細胞とNK細胞(抗体非依存性LDH放出)、標的細胞と10%TritonX-100(最大LDH放出)を各実験に対して設定した。混合物を4時間3℃でインキュベートすることにより細胞溶解を可能とした。プレートを1200rpmで10分間遠心分離し、上澄み100μLを慎重に新しい平底96穴プレートに移した。細胞傷害検出キット(Roche 1644793)から入手したLDH反応混合物(100μL/ウェル)を各ウェルに添加し、5~30分間室温でインキュベートした。試料の光学密度を490nmで計測した(OD490)。各試料のパーセント特異的溶解は、以下の式、即ち:パーセント特異的溶解=(試料の値-自発的放出)/(最大放出-自発的放出)*100を用いて求めた。
【0242】
huMov19とのインキュベーションはヒトNKエフェクター細胞の存在下のIGROV-1細胞に対する良好なADCC活性をもたらす。IGROV-1に対するADCC活性をhuMov19、huFR-1-21、Mor003及びchTK1(アイソタイプ対照)に関して比較した(図6)。0.9ng/mLのhuMov19の投与は約30%のIGROV-1細胞溶解をもたらし、他の抗FOLR1抗体で観察された活性と同様であった。huMov19のADCC活性は0.20ng/mLのEC50を有し、huFR-1-21は0.11ng/mLのEC50を有し、Mor003は0.16ng/mLであり、そしてchTK1はIGROV-1細胞に対して如何なる活性も示さなかった。
(実施例12)
【0243】
抗FOLR1イムノコンジュゲートの調製
huMov19v1.6-スルホ-SPDB-DM4の調製
例示される2-スルホ-SPDBリンカーをDMA中に溶解した。huMov19v1.6抗体をpH7.5において25℃で約2時間2-スルホ-SPDBリンカーの12倍モル過剰量と共に8mg/mlでインキュベートした。
50mMNaCl、2mMEDTAを含有する50mMリン酸カリウム緩衝液、pH6.5で平衡化したSEPHADEXTMG25Fカラムを用いて反応混合物を精製した。マイタンシノイドDM4をジメチルアセトアミド(DMA、終濃度は5%)中に溶解し、リンカーと比較して1.7倍モル過剰量をスルホ-SPDB修飾抗体に滴下した。1mHEPES緩衝液で反応混合物をpH7.5に調節した。室温で一夜インキュベートした後、コンジュゲートした抗体を10mMヒスチジン、250mMグリシン、1%スクロース、pH5.5で平行化したSEPHADEXTMG25F上のクロマトグラフィーにより精製した。
以前に報告されている抗体及びマイタンシノイドに関する消衰係数を用いながら抗体分子当たり連結したDM4分子の数を求めた(Widdison, WC,等、JMedChem,49:4392-4408(2006))。全遊離マイタンシノイド分子種のパーセンテージを上記した通り求めた。hu
Mov19v1.6抗体当たり3.5~5個のDM4分子のコンジュゲートが得られ、<1%が未コンジュゲートマイタンシノイドとして存在していた。
【0244】
huMov19v1.6-SPP-DM1の調製
例示されるN-スクシンイミジル4-(2-ピリジルチオ)ペンタノエート(SPP)リンカーをエタノールに溶解した。50mMNaCl、2mMEDTA、及び5%エタノールを含有する50mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.5)中室温で約2時間、SPPリンカーの6.5~6倍モル過剰量と共に8mg/mlでhuMov19v1.6抗体をインキュベートした。SPP修飾抗体をPBS、pH6.5中で2倍希釈し、そしてマイタンシノイドDM1の1.5倍モル過剰による修飾を、ジメチルアセトアミド(DMA)中のDM1の濃溶液(15~30mM)の添加により行った。DMAの濃度を5%に調節し、そして室温で一夜インキュベートした後、コンジュゲートした抗体を、10mM、250mMグリシン、1%スクロースpH5.5で平衡化したSEPHADEXTMG25F上のクロマトグラフィーにより精製した。抗体及びDM1に関する以前に報告されている消衰係数を用いながら抗体分子当たりに連結したDM1分子の数を求めた(Liu等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 93,8618-8623 (1996))。コンジュゲート反応の後に存在す
る遊離のマイタンシノイドのパーセンテージは、100mM酢酸アンモニウム緩衝液、pH7.0中の25%アセトニトリル中で平衡化されたHiSepTMカラム上に20~50μgのコンジュゲートを注入し、そしてアセトニトリル中に溶離することにより求めた。252nmの波長にセットした吸光度検知器を用いて総遊離マイタンシノイド分子種(勾配溶離し、そして既知標準物質との溶離時間の比較により同定)のピーク面積を計測し、そして結合マイタンシノイド(カラムのフロースルー画分中コンジュゲートピーク中に溶離)に関連するピーク面積と比較することにより総遊離マイタンシノイド分子種のパーセンテージを計算した。huMov19v1.6当たり3.5~4個のDM1分子を有するコンジュゲートが得られ、<1%が未コンジュゲートのマイタンシノイドとして存在していた。
【0245】
huMov19v1.6-SPDB-DM4の調製
例示されるN-スクシンイミジル4-(2-ピリジルチオ)ブタノエート(SPDB)リンカーをエタノールに溶解した。50mMNaCl、2mMEDTA、及び3%エタノールを含有する50mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.5)中室温で約2時間、SPDBリンカーの5.5~5倍モル過剰量と共に8mg/mlでhuMov19v1.6抗体をインキュベートした。SPDB飾抗体をPBS、pH6.5中で2倍希釈し、そしてマイタンシノイドDM4の1.5倍モル過剰による修飾を、ジメチルアセトアミド(DMA)中のDM4の濃溶液(15~30mM)の添加により行った。室温で一夜インキュベートした後、コンジュゲートした抗体を、10mMヒスチジン、250mMグリシン、1%スクロースpH5.5で平衡化したSEPHADEXTMG25F上のクロマトグラフィーにより精製した。抗体及びマイタンシノイドに関する以前に報告されている消衰係数を用いながら抗体分子当たりに連結したDM4分子の数を求めた(Widdison,WC,等、JMedChem,49:4392-4408(2006))。総遊離マイタンシノイド分子種のパーセンテージは上記
した通り求めた。huMov19v1.6抗体当たり3.5~4個のDM4分子を有するコンジュゲートが得られ、<1%が未コンジュゲートのマイタンシノイドとして存在していた。
【0246】
huMov19v1.0-スルホ-mal-DM4の調製
NHS-3-スルホ-malリンカー及びDM4をDMAに別個に溶解した。
40%200mMスクシネート緩衝液、2mMEDTA、pH5.0を含有するDMAの溶液中でリンカー及びDM4チオールを混合し、DM4のリンカーに対するモル比を1.6:1とし、そしてDM4の終濃度を10mMとした。混合物を25℃で2時間反応させた。4mg/ml抗体、90%リン酸塩緩衝液/10%DMApH7.5(v/v)の最終コンジュゲーション条件下でリン酸塩緩衝液(pH7.5)中huMov19v1.0抗体の溶液に、抗体に対してリンカー9.6モル過剰の相当量が添加されるように、精製することなく反応混合物を添加した。室温で一夜インキュベートした後、コンジュゲーション混合物をPBSpH7.5中に平衡化したSEPHADEXG25上のクロマトグラフィーにより精製した。次にhuMov19v1.0-スルホ-mal-DM4を9.55mMリン酸塩、139.6mMNaCl、pH6.5を含有する緩衝液中に透析した。抗体及びマイタンシノイドに関する以前に報告されている消衰係数を用いながら抗体分子当たりに連結したDM4分子の数を求めた(Widdison,WC,等、JMedChem,49:4392-4408(2006))。総遊離マイタンシノイド分子種のパーセンテージは上記した通り求めた。h
uMov19v1.0抗体当たり3.5~4個のDM4分子を有するコンジュゲートが得られ、<1%が未コンジュゲートのマイタンシノイドとして存在していた。
【0247】
huMov19v1.0-SMCC-DM1の調製
NHS-スルホ-SMCCリンカー及びDM1をDMAに別個に溶解した。
40%200mMスクシネート緩衝液、2mMEDTA、pH5.0を含有するDMAの溶液中でリンカー及びDM1チオールを混合し、DM1のリンカーに対するモル比を1.2:1とし、そしてDM1の終濃度を3.75mMとした。混合物を20℃で75分間反応させた。4mg/ml抗体、88%50mMリン酸カルシウム、50mMNaCl、2mMEDTA、pH7.5/12%DMApH7.5(v/v)の最終コンジュゲーション条件下でリン酸塩緩衝液(pH7.5)中huMov19v1.0抗体の溶液に、抗体に対してリンカー6.4モル過剰の相当量が添加されるように、精製することなく反応混合物を添加した。20℃で2時間インキュベートした後、コンジュゲーション混合物をPBSpH7.5中に平衡化したSEPHADEXG25上のクロマトグラフィーにより精製した。次にhuMov19v1.0-SMCC-DM1を250mMグリシン、10mMヒスチジンpH5.5を含有する緩衝液中に透析した。抗体及びマイタンシノイドに関する以前に報告されている消衰係数を用いながら抗体分子当たりに連結したDM1分子の数を求めた(Widdison,WC,等、JMedChem,49:4392-4408(2006))。総遊離マイタンシ
ノイド分子種のパーセンテージは上記した通り求めた。huMov19v1.0抗体当たり3.5~4個のDM1分子を有するコンジュゲートが得られ、<2.8%が未コンジュゲートのマイタンシノイドとして存在していた。
【0248】
huMov19v1.0-PEG4-mal-DM1の調製
NHS-PEG4-mal-DM1の1ステップ試薬をDMAに溶解した。50mMKPi、50mMNaCl、2mMEDTA、pH7.5及び容量で10%のDMA中、25℃で一夜、NHS-PEG4-mal-DM1の5.7倍モル過剰量とともに5mg/mlにおいてhuMov19v1.0抗体をインキュベートした。PBSpH7.5中に平行化したSEPHADEXG25カラムで反応混合物を精製した。huMov19v1.0-PEG4-mal-DM1を250mMグリシン、10mMヒスチジンpH5.5を含有する緩衝液中に透析した。抗体及びマイタンシノイドに関する以前に報告されている消衰係数を用いながら抗体分子当たりに連結したDM1分子の数を求めた(Widdison,WC,等、JMedChem,49:4392-4408(2006))。総遊離マイタンシノイド分子種のパーセン
テージは上記した通り求めた。huMov19v1.0抗体当たり3.5~4個のDM1分子を有するコンジュゲートが得られ、<1.1%が未コンジュゲートのマイタンシノイドとして存在していた。
(実施例13)
【0249】
抗体及びコンジュゲートの結合親和性
抗FOLR1抗体及びそのSPDB-DM4、PEG4Mal-DM4、SMCC-DM1又は抗FOLR1-スルホ-SPDB-DM4コンジュゲートの結合親和性をフローサイトメトリーによりアッセイした。FOLR1発現SKOV3細胞を種々の濃度の抗FOLR1抗体及びそのコンジュゲートと共にインキュベートし、そして、フローサイトメトリー分析のために上記した通り処理した。データ分析はCellQuest Pro(BD Biosciences,SanDiego,US)を用いながら実施し、そして各試料につき、FL1に関する平均蛍光強度(MFI)をエキスポートし、そして片対数プロットで抗体濃度に対してプロットした。用量応答曲線を非直線回帰により作成し、そしてSKOV3細胞への結合に関する被験試料の見かけの平衡解離定数(Kd)に関する値をGraphPadのPrismのv4(GraphPad Software,San
Diego,CA)を用いて計算し、そして図5に示した。結果によれば、使用したリンカーの何れかを介した各DM1又はDM4へのコンジュゲートは抗体の何れか(例えばhuMov19)の親和性を顕著には改変しなかったことを示している。
(実施例14)
【0250】
インビトロ細胞傷害アッセイ
例示されるmuFR1-9、muFR1-13、muFR1-22、muFR1-23、huFR1-23、muFR1-21及びhuFR1-21コンジュゲートが細胞成育を阻害する能力をKovtunYV等、(CancerRes66:3214-3221(2006))に記載されている方法
によるインビトロの細胞傷害アッセイを用いて計測した。完全RPMI培地(RPMI-1640、10%ウシ胎児血清、2mMグルタミン、1%ゲンタマイシン、全試薬入手元Invitrogen)100μL中ウェル当たり1000細胞で96穴プレート中FOLR1発現KB細胞に種々の濃度のPEG4-mal-DM4コンジュゲートを添加した。3倍連続希釈により完全RPMI培地中に抗体及びコンジュゲートを希釈し、そして100μLをウェル当たり添加した。終濃度は典型的には3x10-8M~4.6x10-12Mとなった。細胞及び培地を含有するがコンジュゲートを含有しない対照ウェル及び培地のみを含有するウェルを各アッセイプレートに包含させた。5%CO含有湿潤雰囲気下に37℃で4~6日間プレートをインキュベートした。次にWST-8試薬、10%v/v(DojindoMolecularTechnologies,Gaithersburg,MD,US)をウェルに添加し、
そしてプレートを2~6時間37℃でインキュベートした。WST-8は生細胞においてはデヒドロゲナーゼにより還元されて組織培地中可溶であるオレンジ色の最大ホルマザン産物をもたらす。生成されるホルマザン産物は生細胞の数に正比例する。マルチウエルプレートリーダーにおいて450nm(A450)及び650nm(A650)の吸光度を計測することによりプレートを分析した。先ず、細胞の不透明度のバックグラウンド(A650)をA650から差し引いた。次に得られたA*450を用いて細胞の生存割合を測定した。バックグラウンドA*450吸光度は培地及びWST-8のみを有するウェルの値である。生存割合は以下の通りの計算、即ち:パーセント生存性=100x(A*450投与試料-A*450バックグラウンド)/(A*450未投与試料-A*450バックグラウンド)とした。各投与につき片対数プロットにおいて抗体又はコンジュゲートの濃度に対し生存割合の値をプロットした。次にこれらのデータよりGraphPadのPrismのv4(GraphPad Software,San Diego,CA)を用いてIC50を求め、図5に示した。図5に示された結果によれば、全てのコンジュゲートはFOLR1発現KB細胞に対するそれらの細胞傷害力価において同様に活性である。FOLR1に対する抗FOLR1マイタンシノイドコンジュゲートの特異性を更に確認するために、それらの活性をKB細胞に対する過剰量の非コンジュゲート抗体の存在下に評価した。コンジュゲートへの競合する非コンジュゲート抗体の過剰量の添加は図7に示す通り、それらの細胞傷害を抑制した。これらのデータはコンジュゲートが抗原依存的な態様においてKB細胞を殺傷することを示している。追加的なデータによれば、huMov19-SPDB-DM4はインビトロアッセイにおいて、KB細胞のG2/M期において細胞周期停止を誘導している。
(実施例15)
【0251】
KB異種移植片モデルにおける同様の非ターゲティングコンジュゲートとの比較におけるhuMov19-PEG4Mal-DM4及びhuMov19-SPDB-DM4コンジュゲートのインビボの薬効SCIDマウスに皮下移植されたKB細胞の樹立された異種移植片モデルを用いながら、非ターゲティングhuC242-SPDB-DM4との比較におけるFOLR1ターゲティング切断可能コンジュゲートhuMov19-SPDB-DM4、及び非ターゲティングhuC242-PEG4Mal-DM4との比較における切断不可能コンジュゲートhuMov19-PEG4Mal-DM4を試験した。マウスは体重により投与群に無作為に割りつけ、そして細胞接種後第3日において単回(SPDBコンジュゲート)、又は、3回、毎週細胞接種後第3、10、及び17日において、5及び10mg/kgのコンジュゲートを用いて投与した。種々異なる投与群のメジアン腫瘍体積を図8にプロットした。huMov19-SPDB-DM4又はhuMov19-PEG4Mal-DM4の何れかの投与はPBS対照と比較してメジアン腫瘍体積の減少をもたらしたのに対し、対応する非ターゲティングコンジュゲートの何れかの投与は有意な作用をもたらさなかった。
(実施例16)
【0252】
KB異種移植片モデルにおける抗FOLR1-PEG4Mal-DM4コンジュゲートのインビボの薬効SCIDマウスに皮下移植されたKB細胞の樹立された異種移植片モデルを用いながら、例示される抗FOLR1抗体、huMov19、muFR-1-9、muFR-1-13、muFR-1-22、muFR-1-23及びhuFR-1-21のPEG4Mal-DM4コンジュゲートを試験した。マウスを体重により無作為に割り付け、そして細胞接種後第3日に1回、上記列挙したコンジュゲートの何れかを10mg/kg、又はPBSのみを投与した。huMov19-PEG4Mal-DM4はインビトロにおけるその細胞傷害力価においてmuFR-1-9、muFR-1-13、muFR-1-22、muFR-1-23及びhuFR-1-21のPEG4Mal-DM4コンジュゲートと同様であることが解った。huMov19-PEG4Mal-DM4及びF
R-1-21-PEG4Mal-DM4は他のコンジュゲートの何れよりもインビボで有意に高力価であり、メジアン腫瘍体積のより顕著な現象をもたらした(図9及び10)。力価は又、用量依存性(図11)であり、そしてリンカーの選択も同様に役割を果たしていることがわかった(図12及び13)。
(実施例17)
【0253】
異種移植片モデルにおける抗FOLR1-スルホ-SPDB-DM4コンジュゲートのインビトロ薬効
3種の卵巣漿液性腺癌異種移植片:OVCAR-3、IGROV-1及びOV-90において抗FOLR1huMov19-スルホ-SPDB-DM4コンジュゲートを試験した。3種これらの異種移植片腫瘍の各々は、ホルマリン固定パラフィン包埋切片上のカリブレーションされた免疫組織化学的(IHC)染色法を用いて計測した場合、患者腫瘍に匹敵するFOLR1発現レベルを示している。樹立された皮下異種移植片腫瘍を有するマウス(約100mm)に対し、1.2、2.5及び5.0mg/kgにおいてhuMov19-SPP-DM1コンジュゲートの単回静脈内注射により投与した(抗体濃度に基づく;図14~16はμg/kgにおけるマイタンシノイドコンジュゲートの濃度を示す)。コンジュゲートは評価した3種のモデルの全てにおいて活性であった。OVCAR-3異種移植片においては、最小有効用量(MED)は1.2mg/kgであった(図14)。より高値の用量レベルは高度に活性であり、2.5及び5.0mg/kgの投与群において、それぞれ、4/6及び2/6のマウスで完全後退(CR)をもたらした。コンジュゲートの投与はIGROV-1及びOB-90異種移植片モデルの両方において強力な抗腫瘍活性をもたらし、単回注射で2.5mg/kgのMEDを有していた(図15及び16)。これらのデータは、患者腫瘍に匹敵するFOLR1発現レベルを有する卵巣異種移植片腫瘍に対するhuMov19-スルホ-SPDB-DM4の強力な抗腫瘍活性を示している。
(実施例18)
【0254】
イムノコンジュゲート薬効に対するリンカーの影響
抗FOLR1抗体huMov19をジスルフィド含有切断可能リンカーSPP、SPDB、又はスルホ-SPDBを介して、又は切断不可能なリンカーSMCCを介して、DM1又はDM4に連結した。KB、IGROV-1及びJEG-3細胞系統に対するこれらのコンジュゲートのインビトロの細胞傷害活性を検討した。FACS分析によれば、KB(子宮頸癌)細胞は細胞当たり>2,000,000抗体結合部位を有していた。IGROV-1(卵巣癌)細胞は細胞当たり260,000抗体結合部位を有しており、そしてJEG-3(絨毛癌)細胞は細胞当たり40,000抗体結合部位を有していた。インビトロの細胞傷害の結果を以下の表2にまとめた。切断可能なコンジュゲートはSMCCコンジュゲートの場合と比較して顕著に高値のインビトロの活性を示していた。
【表2】
【0255】
FOLR1陽性KB及びOVCAR-3-腫瘍モデルにおけるコンジュゲートのインビボの活性も試験した。図17に示す結果によれば、切断可能なSPDB-DM4及びスルホ-SPDB-DM4コンジュゲートは切断不可能なSMCC-DM1コンジュゲートよりもインビボでより強力であった。更に又、切断可能なコンジュゲートのうち、SPP-DM1コンジュゲートはSPDB-DM4又はスルホ-SPDB-DM4コンジュゲートの何れよりも、両方の異種移植片モデルにおいて低活性であった(図18)。後者の2つのコンジュゲートはKB腫瘍に対して同様に活性であり、スルホ-SPDB-DM4コンジュゲートはOVCAR-3モデルに対してより活性であった。OVCAR-3モデルを用いて得たデータを以下の表3にまとめた。
【表3】
【0256】
これらのデータによれば、切断可能なリンカーを含有するイムノコンジュゲートはインビトロ及びインビボの両方で上昇した薬効を示し、そしてスルホ-SPDBを含有する抗FOLR1イムノコンジュゲートは腫瘍モデルにおいて高度に活性である。
(実施例19)
【0257】
huFR1抗体SMCC-DM1コンジュゲートのインビトロ及びインビボの薬効
抗FOLR1huFR1-48、huFR1-49、huFR1-57、及びhuFR1-65をSMCCリンカー及びDM1とコンジュゲートし、そしてKB細胞に対する作用をインビボで上記異種移植片モデルを用いて上記した通り分析した。抗体の各々はKB細胞モデルにおいて同様の薬効を示し、huFR1-48、huFR1-49、huFR1-57、及びhuFR1-65イムノコンジュゲートは、変動するが有意なインビボの薬効を、200μg/kgの用量において、異種移植片モデル系において示していた(表4及び図19)。
【表4】
【0258】
本明細書において引用した全ての出版物、特許、特許出願、インターネットサイト、及び受託番号/データベースの配列(ポリヌクレオチド及びポリペプチドの配列の両方を包含する)は、各々の出版物、特許、特許出願、インターネットサイト、及び受託番号/データベースの配列が特定的及び個別に参照により本明細書に組み込まれる場合と同等程度まで、全ての目的のために、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【数1】
【数2】
【数3】
【数4】
【数5】
【数6】
【数7】
【数8】
【数9】
【数10】
【数11】
【数12】
【数13】
【数14】
図1-1】
図1-2】
図1-3】
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【配列表】
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