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特許7515232特装車の通信システム、携帯可能な端末機を特装車の通信システムの端末機として機能させるためのコンピュータプログラム、特装車、および特装車の通信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】特装車の通信システム、携帯可能な端末機を特装車の通信システムの端末機として機能させるためのコンピュータプログラム、特装車、および特装車の通信方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/023 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
B60R16/023 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020106686
(22)【出願日】2020-06-22
(65)【公開番号】P2022001463
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】遠山 祥敬
(72)【発明者】
【氏名】速水 健一
(72)【発明者】
【氏名】稲井 恵一
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-160994(JP,A)
【文献】特開2006-016087(JP,A)
【文献】特開2010-063053(JP,A)
【文献】特開2011-111239(JP,A)
【文献】特開2012-226448(JP,A)
【文献】特開2011-020792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/023
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前後方向を長手方向とする車両フレームの上に設けられた架装部と、
当該架装部または当該架装部が設けられてなる車両を識別するための識別情報に関するデータが保存された識別データ記憶装置と、前記架装部の稼働情報に関するデータを記憶する稼働データ記憶装置と、第1の時計機能を有する時間管理装置と、無線または有線の通信を行う通信装置と、前記識別データ記憶装置に保存された前記データまたは前記稼働データ記憶装置に記憶された前記データの少なくとも1つを前記通信装置により発信させる発信制御装置と、を有するとともに前記架装部または前記車両に設けられたコントロールユニットと、
当該コントロールユニットの前記通信装置と通信可能な通信機と、第2の時計機能を有する時間管理機と、当該機能に関するデータを前記通信機により発信させる発信制御機と、を有する携帯可能な端末機と、
を備えており、
前記時間管理装置は、前記第1の時計機能を調整する時計調整部を有し、
当該時計調整部によって、前記第1の時計機能が前記通信装置と前記通信機との通信の際に前記第2の時計機能に基づいて調整可能となっており、
前記識別情報を含んだ識別体と、を備え、
前記端末機は、作業者により操作される入力機と、演算機と、前記作業者により駆動されて前記識別体に接近させたときに前記識別情報を読み取る読み取り機と、を有し、
前記演算機は、前記コントロールユニットの前記通信装置から発信されたデータに含まれる識別情報が入力される第1識別情報入力部と、前記読み取り機により読み取られた識別情報が入力される第2識別情報入力部と、を有し、
前記時計調整部によって、前記第1の時計機能が、前記第1識別情報入力部に入力される識別情報と前記第2識別情報入力部に入力される識別情報とに応じ、前記第2の時計機能に基づいて調整される
ことを特徴とする特装車の通信システム。
【請求項2】
前記端末機は、前記コントロールユニットの前記通信装置から発信されたデータに含まれる識別情報が表示される表示機と、を有し、
前記端末機の前記演算機は、前記作業者の前記入力機の操作に基づいて、前記コントロールユニットを接続相手として承認する接続承認部を有し、
前記時計調整部によって、前記第1の時計機能が、前記接続承認部における承認に応じ、前記第2の時計機能に基づいて調整される
ことを特徴とする請求項1に記載の特装車の通信システム。
【請求項3】
前記第1の時計機能は水晶振動子に基づいており、
当該機能は、前記接続承認部における承認に応じ、前記第2の時計機能に更新される
ことを特徴とする請求項2に記載の特装車の通信システム。
【請求項4】
通信機と演算機とを有する携帯可能な端末機を特装車の無線通信システムの端末機として機能させるためのコンピュータプログラムであって、
前記特装車は、
車両前後方向を長手方向とする車両フレームの上に設けられた架装部または当該架装部が設けられてなる車両を識別するための識別情報に関するデータが保存された識別データ記憶装置と、前記架装部の稼働情報に関するデータを記憶する稼働データ記憶装置と、第1の時計機能を有する時間管理装置と、通信を行う通信装置と、前記識別データ記憶装置に保存された前記データを前記通信装置により発信させる発信制御装置と、を有するコントロールユニットと、を備え、
前記端末機の前記演算機を、
前記コントロールユニットの前記通信装置から発信された前記データを前記端末機の前記通信機により受信する通信部、
および、
前記通信装置と前記通信機との通信の際に、第2の時計機能を、前記通信機から前記コントロールユニットの前記通信装置に送信する送信部、として機能させ、
前記演算機は、前記コントロールユニットの前記通信装置から発信されたデータに含まれる識別情報が入力される第1識別情報入力部と、前記識別情報を含んだ識別体に接近させて読み取られた識別情報が入力される第2識別情報入力部と、を有し、
前記時間管理装置を、前記第1の時計機能が、前記第1識別情報入力部に入力される識別情報と前記第2識別情報入力部に入力される識別情報とに応じ、前記第2の時計機能に基づいて調整されるように機能させることが可能である
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項5】
車両前後方向を長手方向とする車両フレームの上に設けられた架装部または当該架装部が設けられてなる車両を識別するための識別情報であるとともに携帯可能な端末機の通信機に通信されるデータが保存された識別データ記憶装置と、前記架装部の稼働情報に関するデータを記憶する稼働データ記憶装置と、第1の時計機能を有する時間管理装置と、前記端末機の通信機と無線通信を行う通信装置と、前記識別データ記憶装置に保存された前記データを前記通信装置により発信させる発信制御装置と、を有するコントロールユニットを備え、
前記時間管理装置は、前記第1の時計機能を調整する時計調整部を有し、
前記端末機の演算機は、前記コントロールユニットの前記通信装置から発信されたデータに含まれる識別情報が入力される第1識別情報入力部と、前記識別情報を含んだ識別体に接近させて読み取られた識別情報が入力される第2識別情報入力部と、を有し、
当該時計調整部によって、前記第1の時計機能が、前記第1識別情報入力部に入力される識別情報と前記第2識別情報入力部に入力される識別情報とに応じ、前記通信装置と前記通信機との通信の際に前記端末機が有する第2の時計機能に基づいて調整可能となっている
ことを特徴とする特装車。
【請求項6】
特装車に備えられかつ通信装置を有するコントロールユニットと、通信機を有しかつ携帯可能な端末機とを通信させる特装車の通信方法であって、
前記コントロールユニットには、前記特装車を識別するための識別情報に関するデータが保存された識別データ記憶装置と、前記特装車の架装部の稼働情報に関するデータを記憶する稼働データ記憶装置と、第1の時計機能を有する時間管理装置と、が設けられ、
前記識別情報のデータを含んだ信号を前記特装車の通信装置から発信する識別データ発信ステップと、
前記特装車の通信装置から発信された前記信号を前記端末機の通信機により受信する識別データ受信ステップと、
前記端末機の読み取り機により前記識別情報を読み取る識別データ読取ステップと、
前記端末機における第2の時計機能を含んだ信号を前記端末機から発信する時計データ発信ステップと、
前記端末機から発信された前記信号を前記コントロールユニットにより受信する時計データ受信ステップと
前記第1の時計機能を、前記識別データ受信ステップおいて受信した識別情報と前記識別データ読取ステップにおいて読み取られた識別情報とに応じ、前記時計データ受信ステップにおいて受信した前記第2の時計機能を含んだ信号に基づいて調整する時計調整ステップと、を含んだ
ことを特徴とする特装車の通信方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者が携帯可能な端末機と特装車との間で通信可能な特装車の通信システム、作業者が携帯可能な端末機を特装車の通信システムの端末機として機能させるためのコンピュータプログラム、特装車、および特装車の通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特装車と言われる車両には、車両前後方向を長手方向とする車両フレーム(例えばシャシフレーム)の上に、荷箱やコンテナなどの箱体、またはこれら箱体を積みおろしするための駆動装置、さらにはこれらに収容して運搬するための荷物やゴミなどの積みおろし作業や圧縮作業を行うための作業装置などの架装物が設けられている。架装物は、停車中に駆動されることも多く、これらのメンテナンス等に関しては、車両走行データなどとは別に架装物の独自の駆動状況に関してデータを収集し、そのデータに基づいてメンテナンス等を実施することが知られている。こうしたデータの収集を行う際には、特装車のコントロールユニットと外部の端末機との間において、有線や無線で通信が行われる。
【0003】
特許文献1には、特装車のコントロールユニットと携帯用パーソナルコンピュータとをUSBケーブルにより接続し、コントロールユニットから携帯用パーソナルコンピュータに有線通信によりデータを送信するシステムが記載されている。特許文献2には、特装車の制御装置からタブレット型パソコンやスマートフォンなどの外部端末に対して、無線通信によりデータを送信するシステムが記載されている。
【0004】
また、近年、代表的な無線通信規格の一つであるブルートゥース(登録商標)を利用して、特装車のコントロールユニットから端末機にデータを送信することが行われている。ブルートゥース(登録商標)を利用して通信を行う場合、通信に先立ってペアリングが行われる。ペアリングの後、端末機と特装車のコントロールユニットとは1対1の無線通信を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5147485号公報
【文献】特許第6412722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
こうしたメンテナンス等においては、単に修理や交換などの作業だけでなく、架装物の駆動回数や機器類の温度状況、さらには作業場所などを把握することで、劣化や故障などが生じた要因を特定し、今後の対応に活かすことも重要となる。このため、架装物の駆動等の制御に関わるコントロールユニットには時計機能が設けられ、様々な稼働がいつ行われているかも特定できることが期待される。
【0007】
そこで、本発明者は、架装物及び架装物に対する稼働状況の把握精度を高めるために、これらの時計機能の信頼性向上およびその時間設定の簡易性向上に着目した。
【0008】
第一に、時計機能をなすために一般的に信頼性の高いクオーツ時計を用いることが多くなるが、このクオーツ時計に使用される水晶振動子には温度特性が存在する。このために、温度変化の影響を受けてコントロールユニットで設定された時計機能(時間や経時速度)にずれが生じる恐れがある。例えば、荷受台昇降装置が後部に設けられた特装車の場合、油圧シリンダの伸縮を利用して荷受台の昇降作動が行われる。昇降作動のうち、接地状態の荷受台を所定位置まで上昇させるために何秒を要するか、または停車状態で何回の昇降作動を何分間で実施したかなどの詳細データがメンテナンス等では重要となるため、コントロールユニットの時計機能にずれが生じると的確なデータ収集が困難になってしまう。
【0009】
そこで、温度影響を抑制するための空調機能を設けたコントロールユニットとすることも考えられるが、外部環境の影響を受けやすい特装車においては停車中もこの空調機能を稼働させる必要があり、コスト面の増加や車両バッテリ電圧の低下などを招く恐れも新たに生じる。また、こうした時計機能が設けられた運転室内であれば運転手などが乗車の際に目視する頻度も高く、例えば車両運転中などに時計機能がずれていても気づきやすいために、運転手自らが乗車時に直接的にそのずれた時刻を調整する機会も多くなるのに対し、運転室外にコントロールユニットがある場合には運転中は気づきにくい。さらには、コントロールユニットの時計機能は、主にメンテナンスのために出力する多くのデータのうちの1つの情報ととらえられているだけで、時刻を作業者に知らせるために設けられているわけではない。つまり、稼働データの補助的機能を果たすもので、外部機器に出力はされものであっても、コントロールユニット自体に時刻が表示されず目視し難い。
【0010】
第二に、上述のとおり、目視し難いこととメンテナンスのための1つの情報にすぎない心理的要因があることで、時刻を設定する作業(例えば初めて使用する際に必要となる作業)を忘れてしまう恐れ、さらに時刻を設定する作業自体を煩雑に感じさせる面がある。さらに、運転室内に設けられた時計機能であれば、目視しやすく、初めて使用する際に忘れていたとしても上述のように運転途中に適宜設定するなども可能だが、運転室外のコントロールユニットの場合にはそうした効果は期待し難い。
【0011】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、確認頻度の少ないコントロールユニットの時計機能を簡易に調整可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る特装車の通信システムは、特装車に設けられたコントロールユニットと作業者が携帯可能な端末機との間の通信の際に、コントロールユニットの第1の時計機能を端末機の第2の時計機能に基づいて調整可能となっている。この通信システムは、車両前後方向を長手方向とする車両フレームの上に設けられた架装部と、当該架装部または当該架装部が設けられてなる車両を識別するための識別情報に関するデータが保存された識別データ記憶装置と、前記架装部の稼働情報に関するデータを記憶する稼働データ記憶装置と、第1の時計機能を有する時間管理装置と、無線または有線の通信を行う通信装置と、前記識別データ記憶装置に保存された前記データまたは前記稼働データ記憶装置に記憶された前記データの少なくとも1つを前記通信装置により発信させる発信制御装置と、を有するとともに前記架装部または前記車両に設けられたコントロールユニットと、当該コントロールユニットの前記通信装置と通信可能な通信機と、第2の時計機能を有する時間管理機と、当該機能に関するデータを前記通信機により発信させる発信制御機と、を有する携帯可能な端末機とを備えている。そして、前記時間管理装置は、前記第1の時計機能を調整する時計調整部を有し、当該時間調整部によって、前記第1の時計機能が前記通信装置と前記通信機との通信の際に前記第2の時計機能に基づいて調整可能となっている。ここで、上述する時計機能とは、時刻と、その時間を刻む経時速度とを指している。
【0013】
上記の通信システムによれば、コントロールユニットと端末機とが通信している際に、端末機の時間管理機が有する時刻データに基づいて時間データ記録装置の時刻に関するデータが調整装置を介して調整される。このため、端末機を用いてコントロールユニットと無線または有線で通信を行うだけで、自動的にコントロールユニット内の時刻が調整され、ずれが生じている場合には端末機の時計機能に基づいて簡易に正確な時間に修正される。このため、的確なメンテナンス情報を出力することができる。特に、従来から行われているメンテナンス管理のためにコントロールユニットと端末機とを通信する作業と同時に行うことができるので、特装車を使用期間中に大きな温度変化などの外部環境の強い影響によって、時計機能にずれが生じた場合であってもそのずれが調整されるので、コントロールユニット内の時計機能に注意しない作業者であっても的確なメンテナンス情報を得ることができる。もちろん、時計機能にずれが生じていない場合には、同じ時計機能に基づいて置き換えられるだけで、作業者にとって全く煩雑性は生じない。つまり、本発明であればコントロールユニット内の時計機能の調整意識が無くても、メンテナンスやその管理を行うために端末機を操作する際に、無意識の間に時計機能の調整が行われる
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、作業者が携帯可能な端末機と特装車との間で通信を行う際に、外部環境の影響を受けてずれが生じる恐れのあった特装車における時計機能を端末機が有する時計機能に基づいて調整可能となり、簡易かつ無意識に特装車における時計機能の信頼性を高い精度で維持することができる。このため、外部環境の影響を受けることの多い特装車であっても、コントロールユニット内の時計機能の信頼性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る無線通信システムの構成図である。
図2】実施形態に係る実施形態に係る無線通信システムのブロック図である。
図3】実施形態に係る無線通信方法を利用して特装車の車両データを収集する 方法のフローチャートである。
図4】特装車のコントロールユニットと無線接続される前の端末機の正面図である。
図5】特装車のコントロールユニットと無線接続されたときの端末機の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。図1に示すように、本実施形態に係る無線通信システム1は、特装車5に備えられたコントロールユニット10と、作業者3が手で把持する携帯式の端末機20と、インターネット2を介して端末機20と通信可能(データの送受信可能)なサーバ30とから構成されている。特装車5の種類は何ら限定されないが、ここでは、荷受台昇降装置46を後部に備えたものを例に挙げて説明する。
【0017】
本実施形態に係る特装車5は、図1(a)のとおり、運転室41と、車両前後方向(図中の左右方向)を長手方向とするシャシフレーム42と、左右の前輪43と、左右の後輪44と、シャシフレーム42に支持された荷箱45と、荷箱45の後部に設けられた荷受台昇降装置46とを備えている。荷受台昇降装置46は、主に荷箱と地面との間で荷物の積みおろしの際に用いられ、既知の構成(例えば特開2019-217824号公報)を有しており、図示の状態は荷物の積みおろしに荷受台昇降装置46を利用する前または利用した後の状態となっている。なお、同装置46を利用する際には、図1(b)に示すように荷受台46Aが荷箱45の下方に折り畳まれた状態の収納状態に対し、図1(c)に示すように荷受台46Aを荷箱後方側(図中の右側)に引き出された状態とする。図示する状態から折り畳まれた上側(先端側)の荷受台部分461Aを車両後方側に展開することで、下側(基端側)の荷受台部分462Aとともに水平状態にして荷物の積みおろしに利用可能な状態とすることができる。
【0018】
本実施形態では、図1(a)のとおり、コントロールユニット10は特装車5の左側の後方部に配置されている。コントロールユニット10の位置は特に限定されるものではなく、特装車5の右側部分やその他の部分に設けられていてもよい。
【0019】
コントロールユニット10は、箱状のケースと、当該ケースの内部に設けられた電子回路基板とを含んでいる。ケースには、QRコード(登録商標)等のマトリックス型二次元コード(以下、二次元コードという)が印刷されたシールが貼り付けられている。特装車5には、出荷前に製造現場において製造番号が登録されている。製造番号の登録は特装車5の一台一台について行われ、特装車5は固有の登録番号を有している。上記二次元コードには、特装車5を識別するための識別情報として、当該特装車5の製造番号がコード化されて含まれている。本実施形態では、二次元コードが「識別体」に対応し、製造番号が「識別情報」に対応する。なお、製造番号の登録の時期は出荷前に限らず、出荷後でもよい。また、登録の場所は製造現場に限られない。登録は出荷後でもよいため、本発明は新品の特装車5に限らず、既に使用されている特装車5にも適用することができる。
【0020】
図2は、無線通信システム1のブロック図である。コントロールユニット10は、無線通信を行う通信装置11と、演算装置12と、識別データメモリ13と、車両データメモリ14と、コントロールユニット10内の時計機能を有するとともに時刻を管理する時間管理装置16とを備えている。識別データメモリ13には、特装車5を識別するための識別情報(ここでは、特装車5の製造番号)に関するデータ(以下、識別データという)が記憶されている。この識別データに基づいて、特装車5を他の特装車から区別することができ、特装車5を一義的に特定することができる。車両データメモリ14は、荷受台昇降装置46の稼働に関する2種類のメモリ(稼働データメモリ141、エラーデータメモリ142)を有する。稼働データメモリ141には、荷受台昇降装置46の稼働に関するデータ(以下、稼働データ)が保存される。稼働データは、荷受台46Aの引き出しまたは引き入れに関するデータや上昇または下降に関するデータ(例えば、各作動に利用される油圧シリンダの伸縮情報、油圧シリンダと油圧タンクとの間に設けられた油圧回路の各機器の駆動情報)を指している。エラーデータメモリ142には、上記の稼働データのうち閾値を超えているデータがエラー値(以下、エラーデータ)として保存される。こうした識別データメモリ13および車両データメモリ14は物理的に同一のメモリにより構成されていてもよく、異なるメモリにより構成されていてもよい。なお、車両データには、荷受台昇降装置46に関する他種データ(例えば、荷受台昇降装置46の仕様、型式等に関するデータ)などが含まれていてもよい。本実施形態では、車両データが荷受台昇降装置46に関するデータとしたが、同装置46が設けられてなる特装車5に関する各種のデータ(例えば、特装車5の仕様、運転状態、運転履歴、メンテナンス等に関するデータ)が含まれたものでもよい。本実施形態に係る荷受台昇降装置46および特装車5は、図示しない複数のセンサを備えている。例えば、これらセンサにより検出される各種のデータおよびそれらデータを組み合わせて得られるデータが車両データを構成している。このため、車両データに基づいて、例えば荷受台昇降装置46や特装車5の運転履歴の確認、故障診断、修理依頼などを行うことができる。
【0021】
そして、時間管理装置16は、コントロールユニット10の時計機能を管理するもので、打刻部161と時計部162と時計調整部163とを有している。打刻部161は、車両データメモリ14に格納されたデータの駆動時刻やエラー発生時刻を打刻する機能を有しており、この打刻データは車両データメモリ14内にも記録される。時計部162には、水晶振動子が使用されたクオーツ時計の時計機能が設けられており、時刻の他、年月日を示すカレンダー機能も有し、打刻部161に対して日付に関するデータを出力する。時計調整部163は、後述する端末機20の時間管理機20Tに基づいて時計部162の日時に関するデータを調整する機能を有するように構成されており、この機能によって時計部162の時計機能が適宜調整される。なお、時計調整部163の日時に関するデータについては、出荷前などの未使用状態では作業者3などが時刻な年月日などを直接入力して設定することもできる。
【0022】
端末機20は、作業者が直接手にもって操作できる携帯式の端末機である。ここで、携帯式の端末機とは、作業者3が携帯可能な情報端末機のことである。携帯式の端末機は、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレット式のコンピュータ、ノート型のコンピュータなどの汎用的な携帯式端末機の他、本無線通信システム1のための専用の携帯式端末機であってもよい。端末機20は、無線通信を行う通信機21と、入力機22と、表示機23と、撮像装置としてのカメラ24と、演算機25と、メモリ26と、端末機20内の時刻を管理する時間管理機20Tと有している。入力機22は、作業者3が情報を入力するために用いる機能を有し、例えば、ボタンまたはタッチパネル式ディスプレイなどである。入力機22として、音声入力機能を有する機器を用いることも可能である。表示機23は、文字、図形または画像等を表示する装置であり、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどである。時間管理機20Tは、端末機20における時計機能を有しており、当該機能は既知の携帯電話回線を利用して時刻を自動的に修正される構成(例えば、NITZ(Network Identity and Time Zone)機能)で、正確な時刻情報の出力が可能となっている。ここで、時計機能とは、時刻(時刻や年月日の他、カレンダー機能など)とその時間を刻む経時速度を指しており、わずかなずれが生じた場合には上記の携帯電話回線を利用してそのずれが解消される。なお、時刻修正機能に関しては携帯電話回線の利用に限定されず、他の既知の手段(例えば無線LANやGPS機能を利用したもの)でもよい。また、これらの機能と同種の各機能を有する端末機であれば無線通信ではなく有線通信するものでもよい。
【0023】
本実施形態では、端末機20はスマートフォンにより構成されている。メモリ26には、本スマートフォンを特装車の無線通信システム1の端末機20として機能させるアプリケーションソフト(コンピュータプログラム)が保存されている。このアプリケーションソフトを起動させることにより、汎用的なスマートフォンを特装車の無線通信システム1の端末機20として機能させることができる。上記アプリケーションソフトを起動することにより、演算機25は、コントロールユニット10の通信装置11から発信されたデータを端末機20の通信機21により受信する通信部として機能する。また、演算機25は、カメラ24により二次元コード15を撮影し、特装車5の製造番号を読み取る読み取り部として機能する。更に、演算機25は、後述する第1識別情報入力部27A、第2識別情報入力部27B、識別情報表示部29、および接続承認部28として機能する。さらに、演算機25は、コントロールユニット10の通信装置に対して時間管理機20Tのデータを端末機20の通信機21から送信する送信部としても機能する。
【0024】
サーバ30は、例えば、特装車5の車両データに基づいて特装車5の管理等を行うコンピュータである。サーバ30は、例えば、特装車5を製造するメーカ、特装車5のメンテナンスを行う業者、または、特装車5の作業者3が属する会社等の敷地内に設置されている。後述するように、端末機20は、特装車5のコントロールユニット10から車両データを収集する。端末機20に収集された車両データは、インターネット2を介してサーバ30に送信される。サーバ30は、例えば、収集した車両データに基づいて特装車5の故障診断などを行い、その結果を端末機20に送信する。作業者は端末機20の表示機23を見ることにより、その結果を容易に把握することができる。
【0025】
次に、図3のフローチャートを参照しながら、本実施形態に係る無線通信システム1を用いて、端末機20の通信機とコントロールユニット10の通信装置11との間で通信を行っている際に、コントロールユニット10の時計機能を端末機20の時計機能に基づいて調整する方法、および特装車5の車両データを収集する方法について説明する。ここでは、端末機20の通信機21と特装車5のコントロールユニット10の通信装置11とは、ブルートゥース(登録商標)による無線通信を行うものとする。作業者3が利用しようとしている特装車5の製造番号は、「222222」とする。
【0026】
作業者3は、自らが携帯する端末機20を操作して、前述のアプリケーションソフトを起動する(図3のステップS1)。ここで、コントロールユニット10からは、特装車5の製造番号を含むデータ(識別データ)が発信されている(ステップS2)。なお、この際、コントロールユニット10の演算機12は、発信制御装置として機能する。端末機20の通信機21は、ペアリングを行うために、特装車5のコントロールユニット10から発信される信号を受信する(ステップS3)。コントロールユニット10から発信される信号には、特装車5の製造番号のデータが含まれる。端末機20の演算機25には、特装車5の製造番号が入力される。この際、演算機25は、第1識別情報入力部27A(図2参照)として機能する。そして、図4に示すように、端末機20の表示機23には、接続先となる特装車5の製造番号「222222」が表示される。このとき、周囲に他の特装車5も駐車している場合には、これらの特装車の製造番号(例えば「111111」、「333333」)も含めて一覧表示される。なお、信号の強度は、端末機20と各特装車における各コントロールユニットとの距離に依存する。また、端末機20が受信する信号の強度は、作業者3の位置によっても変化する。そのため、端末機20を持つ作業者3の位置によっては、特装車5のコントロールユニット10から受信する信号よりも、他の特装車のコントロールユニットから受信する信号の方が、強度が大きい場合もあり得る。
【0027】
また、前記アプリケーションソフトを起動すると、図4に示すように、端末機20の表示機23に、特装車の二次元コードを読み取ることを促す画像33が表示される。作業者3が利用する特装車5には、二次元コード15が印刷されたシールがコントロールユニット10のケースに貼られている。そのため、上記画像33を見た作業者3は、コントロールユニット10のケースの手前に移動する。
【0028】
次に、作業者3は、端末機20のカメラ24を二次元コード15に向け、このカメラ24により二次元コード15を読み取る(ステップS4)。なお、表示機23には、カメラ24の撮影画像34が表示される。撮影画像34の中に二次元コード15が含まれるように作業者3が端末機20の位置を調整することにより、端末機20によって二次元コード15を容易に読み取ることができる。
【0029】
二次元コード15には、特装車5の製造番号に関するデータが含まれている。端末機20の演算機25は、カメラ24で読み取った特装車5の二次元コード15から製造番号を抽出する。この際、演算機25は、カメラ24で読み取った識別情報が入力される第2識別情報入力部27Bとして機能する。そして、演算機25は、図5に示すように、表示機23にその製造番号を表す画像35を表示させる。この際、演算機25は、識別情報表示部として機能する。
【0030】
作業者3は、表示機23を見ながら、ペアリングの候補先の中に、この製造番号が含まれるか否かを判定する(ステップS5)。すなわち、作業者3は、コントロールユニット10の通信装置11から発信されたデータに含まれる識別情報(言い換えると、通信機21が受信した識別データに含まれる識別情報)と、カメラ24によって読み取られた識別情報とが一致するか否かを判定する。
【0031】
作業者3は、上記両識別情報が一致すると判定すると、当該製造番号を含む識別データを送信しているコントロールユニット10を無線接続の相手として選択する。すなわち、複数の特装車の中から特装車5のコントロールユニット10をペアリングの相手として選択する。すると、演算機25は、コントロールユニット10をペアリングの相手として承認する(ステップS6)。この際、演算機25は接続承認部28(図2参照)として機能する。
【0032】
本実施形態では、図4および図5に示すように、ペアリングの候補先として製造番号「111111」、「222222」、「333333」が挙がる場合、二次元コード15から読み取った製造番号「222222」が含まれるため、この製造番号「222222」の特装車5のコントロールユニット10がペアリングの相手として承認される。例えば、作業者3は、表示機23に表示される「222222」(図4参照)を指でタップし、製造番号「222222」を選択する。これにより、製造番号「222222」の特装車5のコントロールユニット10がペアリングの相手として承認される。その結果、演算機25は、特装車5のコントロールユニット10とペアリングを行う。すなわち、端末機20と特装車5のコントロールユニット10とは、互いの無線通信を許可する認証動作を行う。なお、ペアリングが終了すると、端末機20はコントロールユニット10に接続され(図5参照)、端末機20とコントロールユニット10とは1対1の無線通信を行う。
【0033】
本実施形態に係る無線通信システム1においては、上記のように特装車5のコントロールユニット10がペアリングの相手として承認されると、演算機25は、時間管理機20Tの時計機能を通信機21から送信し、コントロールユニット10の通信装置11はその時計機能を受信する(ステップS7)。この際、演算機25は時間管理機20Tの時計機能を送信する送信部20U(図2参照)として機能する。
【0034】
ペアリング終了後、作業者3が端末機20を操作することにより、コントロールユニット10の演算装置12は通信装置11から、車両データメモリ14に保存されている車両データを送信し、端末機20の通信機21はその車両データを受信する。なお、この際、コントロールユニット10の演算機12は、車両データ送信制御装置として機能する。これにより、特装車5のコントロールユニット10から端末機20に車両データが収集される(ステップS8)。
【0035】
上述のように、特装車5のコントロールユニット10がペアリングの相手として承認されることに伴って、コントロールユニット10が端末機20の時間管理機20Tにおける時計機能を受信しており、コントロールユニット10における時計調整部163によって時計部162の時計機能が適宜調整され、具体的には時計部162の時計機能が時計管理機20Tの時計機能のデータに更新される。
【0036】
比較例として、時計調整部163を有さず、または端末機20の時間管理機20Tの時計機能に基づいた調整が行われない形態の場合(例えば単に運転室41内に設定されている)車載カーラジオの時計などでは、30日で数分のずれが生じるケースがある。これは30日の期間中に日中の温度上昇などの影響を受けるためで、特に夏場や冬場などの厳しい温度環境下では、大きな温度変化によって、水晶振動子が影響を受けて時計部162の時刻にずれが生じる恐れがある。これに対して、本実施形態に係る構成であれば、仮にそうしたずれが生じた場合であっても、自動的な修正が可能な時計管理機20Tの時計機能に基づいてそのずれが解消される。その結果、打刻部161が正確な時刻を打刻し、稼働データメモリ141には正確な時計機能に基づいた稼働データが記憶され、エラーデータがある場合にはそのエラーデータも正確な時計機能に基づいてエラーデータメモリ142に記録される。したがって、これらデータを車両データとして、コントロールユニット10から外部機器(例えば端末機20)に出力することができる。
【0037】
端末機20に収集された車両データは、インターネット2を介してサーバ30に送信される。そして、サーバ30は、車両データに基づいて、この特装車5の運転履歴の管理、故障診断等を行う。端末機20は、サーバ30から適宜に情報を受信する。作業者3は、端末機20の表示機23を見ることにより、特装車5に関する各種の情報を得ることができる。また、特装車5の使用期間が長くなり、気温の上昇や下降など様々な外部環境が変化した場合であっても、その間に作業者が端末機20を用いてペアリングを行うことでコントロールユニット10内の時計機能を正確に調整することができる。特に、特装車5のメンテナンス情報を確認するためのペアリングを行うだけでよく、時刻調整のための専用の操作を行う必要もないので煩雑性を大きく低減できる。さらには、上記ペアリングに伴って行われるので、コントロールユニット10内の時刻の精度に関心度が低い場合でもあっても自動的(無意識)に時刻調整が行われるため、メンテナンス管理の品質維持の点で好適である。
【0038】
以上のように、本実施形態によれば、複数の特装車が駐車されている場合であっても、作業者3は、端末機20と所望する特装車5のコントロールユニット10とを的確に無線接続することができるとともに、そのコントロールユニット10内の時刻を簡易に調整することができる。上記のようにコントロールユニット10内の各種データ(特に車両データ)は特装車5や荷受台昇降装置46のメンテナンスに関して重要であり、時刻などの時間データに基づいてその機能面も判断されやすい。運転室41と異なり、運転室41の外部に設けられたコントロールユニット10では時刻などのデータは注視されにくいが、本実施形態であれば簡易且つ自動的に時間調整がなされる。しかも、時計機能の調整を目的としない場合にも時間調整がなされるので、作業者3らがこうした時間調整の作業に煩雑さを感じることもなくなる。したがって、誤った特装車の車両データを収集することを防止するだけでなく、その収集データの時間的要素を高い精度で維持することができるので、収集した特装車5の車両データを信頼性の高いものとして活用することができる。
【0039】
また、本実施形態では、コントロールユニット10内の時計機能の調整が、端末機20の「ペアリングの相手として承認」されることに起因した構成としたが、コントロールユニット10の通信装置11と端末機20の通信機21との通信の際であれば、他のタイミングで上記の時計機能の調整が行われる構成としてもよい。
【0040】
例えば、他の承認を行う構成として、コントロールユニット10からの識別データを受信した(図3のステップS3)後に作業者が承認する構成とし、その承認に起因して端末機20の時計機能がコントロールユニット10に送信されるようにしてもよい。この場合、作業者は識別情報の読み取り作業を行わずにコントロールユニット10の時計機能を調整できるため、車両データの収集までは不要でコントロールユニット10の時計機能を適宜調整したいときに簡易に目的を果たすことができるため好ましい。また、時計機能の信頼性が高い端末機20を利用してコントロールユニット10の時計機能を適宜調整するためには、アプリケーションソフトの起動(ステップS1)だけで、コントロールユニット10の通信装置11と端末機の通信機21とが通信する際に、同様にコントロールユニット10の時計機能が調整されるようにしてもよい。この場合、作業者にとって承認作業が省略されるため簡易性が向上する。
【0041】
特装車5のコントロールユニット10において、簡易にその時計機能の調整が行われる点で本実施形態に係る構成は有用であり、上述した端末機20の時計機能に基づいて調整される各方法(各ステップ)が行われるたびに、コントロールユニット10の時計機能が調整されることが好ましいが、複数回ごとに調整が行われる(例えば同ステップが3回行われて1回の調整が行われる)ようにしてもよい。また、最初のステップ時など特定のタイミングのみに限定しても良い。
【0042】
このように時計機能が的確なコントロールユニット10から端末機20に収集した車両データを、端末機20がサーバ30に送信することにより、メンテナンス業者等に対して、特装車5に関する的確な情報を伝えることができる。また、サーバ30から端末機20に情報を送信することにより、メンテナンス業者等が作業者3に対して、迅速かつ正確に的確な指示を出すことができる。その結果、作業者3は的確な対応を行うことが可能となる。
【0043】
本実施形態では、特装車5に設けられた識別体は、視認可能な二次元コード15であり、その二次元コード15を読み取る読み取り機は、端末機20に内蔵されたカメラ24である。また、視認可能な識別体は、マトリックス型二次元コード15である。二次元コード15はバーコード(一次元コード)に比べて情報量が多く、より多くの情報を読み込むことができる。また、二次元コードのなかでも、マトリックス型としたことにより、単に情報量が多いだけでなく、小さなスペースに設置することができる。
【0044】
二次元コード15はシールに印刷されており、特装車5の所定部位に簡単に貼り付け、特装車5に識別体を付与することができる。また、コントロールユニット10の位置に規制されずに、作業者が読み取りやすい位置にシールを貼ることで、その読み取り作業自体を容易化することもできる。ただし、作業者が読み取りしやすい位置に貼っておく方が好ましく、読み取りに起因してコントロールユニット10の時計機能の上記調整を可能とする際には、その調整作業も簡易に行われることになる。また、二次元コード15に関して、シールに印刷されるものの以外に、金属の製造プレートにレーザマーカで印字されたもので、これが適所に貼り付けられたものなど、適宜変更可能である。
【0045】
さらに、作業者によって行われる端末機20の通信機21が受信した識別情報と、カメラ24によって読み取られた識別情報とが一致するか否かの判定も特に限定される訳ではなく、上記判定は端末機20の演算機25等が行ってもよい。すなわち、上記判定を自動的に行ってもよい。無線接続の承認を自動的に行ってもよい。これらが自動的に行われることで、端末機20の時計機能に基づいてコントロールユニット10の時計機能の調整もシームレスに行われる。
【0046】
識別体の識別情報を読み取る読み取り機は、端末機20に内蔵されたカメラ24に限定されず、識別体に接近させたときに識別情報を読み取る装置でもよい。例えば、NFC(Near Field Communication)を利用してもよい。識別体に関しては、識別情報を電子データとして有する非接触ICタグとし、読み取り機はその非接触ICタグと無線通信するリーダでもよい。識別体は超音波などの音波を出力するように構成され、読み取り機はその音波を受信するように構成されていてもよい。識別体と読み取り機が近距離無線通信を行う場合、無線接続の承認を自動的に行ってもよい。
【0047】
無線通信システム1にはサーバ30が含まれているが、サーバ30は必ずしも必要ではない。本発明に係る無線通信システムは、特装車のコントロールユニットおよび携帯式の端末機のみにより構成されていてもよい。
【0048】
なお、 以上、本発明の実施形態について説明したが、前記各実施形態は例示に過ぎず、他にも様々な実施形態が可能で、コンテナの脱着が可能なコンテナ荷役車両や塵芥収集車などであってもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 無線通信システム
5 特装車
10 コントロールユニット
10A ケース
11 通信装置
12 演算機(発信制御装置)
13 識別データメモリ(識別データ記憶装置)
14 車両データメモリ(車両データ記憶装置)
15 マトリックス型二次元コード(識別体)
16 時間管理装置
161 打刻部
162 時計部
163 時計調整部
20 端末機
20T 時間管理機
20U 送信部
21 通信機
22 入力機
24 カメラ(読み取り機、撮像装置)
25 演算機
27A 第1識別情報入力部
27B 第2識別情報入力部
28 接続承認部
29 識別情報表示部
30 サーバ
図1
図2
図3
図4
図5