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特許7515245多機能性複合材パネル及び同複合材パネルのための方法
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  • 特許-多機能性複合材パネル及び同複合材パネルのための方法 図1
  • 特許-多機能性複合材パネル及び同複合材パネルのための方法 図2
  • 特許-多機能性複合材パネル及び同複合材パネルのための方法 図3A
  • 特許-多機能性複合材パネル及び同複合材パネルのための方法 図3B
  • 特許-多機能性複合材パネル及び同複合材パネルのための方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】多機能性複合材パネル及び同複合材パネルのための方法
(51)【国際特許分類】
   H10K 30/50 20230101AFI20240705BHJP
   B32B 9/00 20060101ALI20240705BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20240705BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20240705BHJP
   B32B 27/34 20060101ALI20240705BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
H10K30/50
B32B9/00 A
B32B27/18 J
B32B27/30 A
B32B27/30 B
B32B27/34
B32B27/36
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019186503
(22)【出願日】2019-10-10
(65)【公開番号】P2020098903
(43)【公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-10-04
(31)【優先権主張番号】16/157,944
(32)【優先日】2018-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ジアンティエン
(72)【発明者】
【氏名】ノードマン, ポール エス.
(72)【発明者】
【氏名】ユン, ホジュン
(72)【発明者】
【氏名】チャン, シャオボー
【審査官】桂城 厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-171864(JP,A)
【文献】特開2013-211283(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0368613(US,A1)
【文献】特開平09-193296(JP,A)
【文献】特開2016-181625(JP,A)
【文献】特開2011-014815(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0190550(US,A1)
【文献】特表2014-502036(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106486601(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00-31/078
H01L 31/18-31/20
H10K 30/00-99/00
H02S 10/00-10/40
H02S 30/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多機能性複合材パネルを製造するための方法であって、
複数の構造層を形成することであって、複数の構造層を形成することが、複数の交互層を形成することを含み、前記複数の交互層の各々が第1の層及び第2の層を備え、
前記複数の交互層を形成することが、
一つ又は複数のポリマーから各交互層のそれぞれの第1の層を形成すること、及び
前記各交互層のそれぞれの第1の層に直接隣接する複数の各交互層のそれぞれの第2の層を形成することであって、前記それぞれの第2の層は、酸化アルミニウム(Al)、グラフェン、シリコン酸化物、又はこれらの組み合わせのうちの一又は複数から形成される、それぞれの第2の層を形成すること、を含む、
前記複数の構造層を形成することと、
前記複数の構造層に隣接する複数の光起電層を形成することと
を含み、前記多機能性複合材パネルが1mmから30mmの厚さを有する、方法。
【請求項2】
前記複数の構造層又は前記複数の光起電層が層堆積プロセスから形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記各交互層のそれぞれの第2の層が、酸化アルミニウム(Al)、グラフェン、及び、シリコン酸化物の組み合わせを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記シリコン酸化物が酸化マグネシウムで処理される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記各交互層のそれぞれの第1の層の一又は複数のポリマーが、一又は複数の導電性ポリマーを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記一又は複数の導電性ポリマーが一又は複数の熱可塑性プラスチックを含み、前記一又は複数の熱可塑性プラスチックが、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、又はこれらの組み合わせのうちの一又は複数を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の構造層のうちの1つの構造層の前記第1の層をマンドレル上に形成することを更に含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記マンドレル上に形成された前記第1の層から前記マンドレルを分離することを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記マンドレルが前記多機能性複合材パネルの少なくとも一部分を形成する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
酸化アルミニウム、グラフェン、又はこれらの任意の組み合わせを含む、前記光起電層に隣接する表面保護層を形成することを更に含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の構造層に隣接する前記複数の光起電層を形成することが、
酸化アルミニウム、グラフェン、又はこれらの任意の組み合わせを含む、前記複数の構造層に直接隣接する第3の層を形成すること、
導電性材料を含む、前記第3の層に直接隣接する第4の層を形成すること、及び
一又は複数の導電性ポリマーを含む、前記第4の層に直接隣接する第5の層を形成すること
を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の構造層に隣接する前記複数の光起電層を形成することが、グラフェン、インジウムすず酸化物、又はこれらの任意の組み合わせを含む、前記第5の層に直接隣接する第6の層を形成することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第4の層の前記導電性材料が、グラフェン、インジウムすず酸化物、又はこれらの任意の組み合わせを含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記第5の層の一又は複数の前記導電性ポリマーが、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、スルホン酸ポリスチレン(PSS)、PEDOT:PSS、ポリピロール(PPy)、ポリアニリン(PANI)、ポリチオフェン(PT)、ポリアセチレン(PAC)、ポリp-フェニレンビニレン(PPV)、又はこれらの任意の組み合わせのうちの一又は複数を含む、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法により前記多機能性複合材パネルを製造するためのシステムであって、
前記多機能性複合材パネルを支持するように構成された基部と、
前記基部の近位に配置されて、前記多機能性複合材パネルを形成する前記複数の構造層及び前記複数の光起電層を形成するように構成された、複数のアプリケーションヘッドと
を備えるシステム。
【請求項16】
前記基部と、前記複数のアプリケーションヘッドのうちの少なくとも一つとが、前記複数の構造層及び前記複数の光起電層の形成の間に互いに対して移動するように構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
複数の交互層を含み、マンドレルに直接隣接して配置された複数の構造層であって、
前記複数の交互層の各交互層が第1の層と第2の層とを含み、前記第2の層が前記第1の層に直接隣接し、
前記第1の層がそれぞれ、一つ又は複数のポリマーを含み、
前記第2の層がそれぞれ、酸化アルミニウム(Al)、グラフェン、シリコン酸化物、又はこれらの組み合わせのうちの一又は複数を含む、
複数の構造層と、
前記複数の構造層に隣接して配置された複数の光起電層であって、光エネルギーを電力へと変換するように構成されている前記複数の光起電層と
を備えた多機能性複合材パネルであって、
1mmから30mmの厚さを有する多機能性複合材パネル。
【請求項18】
前記第2の層がそれぞれ、酸化アルミニウム(Al)、グラフェン、シリコン酸化物、及びこれらの任意の組み合わせを含み、
前記一又は複数のポリマーが一又は複数の熱可塑性プラスチックを含み、前記一又は複数の熱可塑性プラスチックが、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、又はこれらの組み合わせのうちの一又は複数を含む、
請求項17に記載の多機能性複合材パネル。
【請求項19】
5.0E6m/s以上の面内比剛性、
一又は複数の方向に、0°K-1以上、50E-6°K-1以下の熱膨張係数、
150kN.m/Kg以上の面内比強度(δx/ρ)、及び
1.5g/cmから2.20g/cmの密度
を有する、請求項17又は18に記載の多機能性複合材パネル。
【請求項20】
前記多機能性複合材パネルが構造繊維を有さない、請求項17から19のいずれか一項に記載の多機能性複合材パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本技術は、複合材構成要素又はパネルの分野に関し、更に詳細には、多機能性層状複合材パネルを製造するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]従来の複合材構成要素又はパネルは、多くの場合、複合材パネルの強度を向上させるために樹脂中に分散された、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)及びガラス繊維強化プラスチック(GFRP)といった繊維強化材を含むことができる。繊維強化材を組み込むことは複合材パネルの相対的強度を上昇させることができるが、そのような複合材パネルを製造するための従来の方法は、往々にしてその機械的強度を損ない得る欠陥に繋がる。例えば、製造プロセスにおける非一貫性及び再現性の欠如は、多くの場合、このような複合材パネルの機械的強度を低下させ得る。更に、このような複合材パネルは、等方性強度の反対の、異方性強度を呈することが多い。例えば、このような複合材パネルは、繊維強化材の長さに沿った方向にのみ増強された強度を呈することが多い。
【0003】
[0003]前述を鑑みて、複合材パネルは、多くの場合繊維強化材の複数のシートから製造され、その場合シートの各々は、様々な方向において一貫性及び強度が上昇するように様々な方向に配向される。しかしながら、繊維強化材の複数のシートを利用することは、往々にして費用が掛かりすぎ、重量増加をもたらす。先述に加えて、繊維強化材(例えば、CFRP、GFRP等)は、比較的低い導電性を呈することが多く、したがって多くの場合電磁効果(EME)保護を提供するために、複合材パネルの後処理又は加工を要し得る。複合材パネルの後処理又は加工は、製造時間を延ばし、法外な費用を要する。
【0004】
[0004]そこで必要とされるのは、改善された複合材パネルと、同複合パネルを製造するための方法である。
【発明の概要】
【0005】
[0005]以下は、本教示のいくつかの態様の基本的理解を促すために、簡略化した概要を提示する。この概要は、広範な概説ではなく、本教示の主要な要素又は重要な要素を特定すること又は本開示の範囲を定めることを意図するものでもない。むしろ、本概要の主要な目的は、後で提示される詳細な説明の前置きとして、単純な形式で一又は複数の概念を提示することに過ぎない。
【0006】
[0006]本開示の実施例は、多機能性複合材パネルを製造するための方法を提供する。本方法は、複数の構造層を形成すること、及び複数の構造層に隣接する複数の光起電層を形成することを含む。複数の構造層を形成することは、導電性有機材料と無機材料の交互層を形成することを含む。交互層を形成することは、導電性有機材料から第1の層を形成すること、及び無機材料から第1の層に隣接する第2の層を形成することを含み得る。多機能性複合材パネルは、約1mmから約30mmの厚さを有することができる。少なくとも一の実施例では、複数の構造層又は複数の光起電層は、層堆積プロセスから形成される。第2の層の無機材料は、酸化アルミニウム(Al)、グラフェン、シリコン酸化物、インジウムすず酸化物(ITO)、アルミニウムドープ亜鉛酸化物(AZO)、又はこれらの任意の組み合わせのうちの一又は複数を含み得る。少なくとも一の実施例では、第2の層の無機材料はシリコン酸化物を含むことができ、シリコン酸化物はマグネシアで処理することができる。少なくとも一の実施例では、第1の層の導電性有機材料は、一又は複数の導電性ポリマーを含むことができる。一又は複数の導電性ポリマーは、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、及びこれらの組み合わせから選択される一又は複数の熱可塑性プラスチックを含むことができる。本方法は、複数の構造層のうちの第1の層をマンドレル上に形成することを含むことができる。少なくとも一の実施例では、方法は、複数の構造層のうちの第1の層からマンドレルを分離することを含むことができる。別の実施例では、マンドレルは、多機能性複合材パネルの少なくとも一部分を形成することができる。一実施例において、本方法は、酸化アルミニウム、グラフェン、又はこれらの任意の組み合わせを含むことのできる、光起電層に隣接する表面保護層を形成することを更に含むことができる。複数の構造層に隣接する複数の光起電層を形成することは、酸化アルミニウム、グラフェン、又はこれらの任意の組み合わせを含む、第2の層に隣接する第3の層を形成すること、導電性材料を含む、第3の層に隣接する第4の層を形成すること、及び一又は複数の導電性ポリマーを含む、第4の層に隣接する第5の層を形成することを含むことができる。複数の構造層に隣接する複数の光起電層を形成することは、グラフェン、インジウムすず酸化物、又はこれらの任意の組み合わせを含む、第5の層に隣接する第6の層を形成することを更に含むことができる。第4の層の導電性材料は、グラフェン、インジウムすず酸化物、又はこれらの任意の組み合わせを含むことができる。第5の層の導電性ポリマーは、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、スルホン酸ポリスチレン(PSS)、PEDOT:PSS、ポリピロール(PPy)、ポリアニリン(PANI)、ポリアセチレン、ポリチオフェン(PT)、ポリアセチレン(PAC)、ポリp-フェニレンビニレン(PPV)、又はこれらの任意の組み合わせのうちの一又は複数を含むことができる。
【0007】
[0007]本開示の実施例は、請求項1の多機能性複合材パネルを製造するためのシステムを提供することができる。このシステムは、多機能性複合材パネルを支持するように構成された基部、及び基部の近位に配置されて、多機能性複合材パネルを形成する複数の構造層と複数の光起電層とを形成するように構成された複数のアプリケーションヘッドを含むことができる。基部と、複数のアプリケーションヘッドのうちの少なくとも一つとは、複数の構造層及び複数の光起電層の形成の間に相手側に対して移動するように構成することができる。
【0008】
[0008]本開示の実施例は、多機能性複合材パネルを提供する。多機能性複合材パネルは、約1mmから約30mmの厚さを有することができ、複数の構造層と、複数の構造層に隣接して配置された複数の光起電層とを含むことができる。複数の構造層は、有機材料と無機材料の交互層を含むことができ、複数の光起電層は、光エネルギーを電力に変換するように構成することができる。交互層の無機材料は、酸化アルミニウム(Al)、グラフェン、シリコン酸化物、及びこれらの任意の組み合わせのうちの一又は複数を含むことができる。交互層の有機材料は、一又は複数の熱可塑性プラスチックを含むことができる。熱可塑性プラスチックは、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、又はこれらの組み合わせのうちの一又は複数を含むことができる。多機能性複合材パネルは、以下:光の透過率により測定した場合に約30%から約95%の透明度、15.0E6m/s以上の面内比剛性、一又は複数の方向に、約0°K-1以上、約50E-6°K-1以下の熱膨張係数、約150kN.m/Kg以上の面内比強度(δx/ρ)及び/又は約1.5g/cmから約2.20g/cmの密度のうちの一又は複数を含むことができる。多機能性複合材パネルは、構造繊維を有さなくとも、又は実質的に有さなくともよい。
【0009】
[0009]上述の特徴、機能及び利点は、様々な実施形態において単独で実現することができるか、又は他の実施形態において組み合わせることができる。それらのさらなる詳細は、以下の説明及び図面を参照して理解することができる。
【0010】
[0010]本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の教示を例示し、説明部分と共に、本開示の原理を解説するために役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】[0011]開示される一又は複数の実装態様による、例示的複合材パネルの側断面図である。
図2】[0012]開示される一又は複数の実装態様による、マンドレルと複数の層とを含む別の例示的複合材パネルの側断面図である。
図3A】[0013]開示される一又は複数の実装態様による、複合材パネルを製造するためのシステムの側断面図である。
図3B】[0014]開示される一又は複数の実装態様による、図3Aの例示的システムの上面図である。
図4】[0015]開示される一又は複数の実装態様による、多機能性複合材パネルを製造するための方法のフロー図である。
【0012】
[0016]図面のいくつかの詳細は、厳密な構造的精度、細部、及び縮尺を維持するよりも、本教示の理解を促すために簡略化されて図示されていることに留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0017]種々の典型的態様の以下の記載は、実際には例示的なものにすぎず、本開示、その適用又は用途を限定することを意図していない。
【0014】
[0018]本開示を通して使用される範囲は、その範囲内にあるすべての各値を記載する簡略表記として使用されている。範囲の形式での記載は、便宜性及び簡潔性のためのものにすぎず、ここに開示されるいずれの実施例又は実装態様についても、その範囲に対する非柔軟な限定として解釈すべきでない。したがって、開示される範囲は、特に開示されるすべての可能な範囲と、その範囲内の個々の数値とを含むものである。したがって、範囲内のいずれの値も、その範囲の終端として選択することができる。例えば、1から5といった範囲の記載は、1.5から3、1から4.5、2から5、3.1から5等といった部分的範囲と、その範囲内の個々の数字、例えば、1、2、3、3.2、4、5等を具体的に開示したものと考慮されるべきである。このことは、範囲の広さを問わず適用される。
【0015】
[0019]特に断らない限り、ここで及び本明細書の他の部分で表現されるすべてのパーセンテージ及び量は、重量パーセントを指すものである。与えられる量は、材料の活性な量に基づいている。
【0016】
[0020]加えて、すべての数値は示される値の「約」又は「凡そ」の値であり、当業者であれば想定するであろう実験誤差及び変動を考慮したものである。ここに開示されるすべての数値及び範囲は、「約」がそれと共に使用されているかどうかにかかわらず、凡その値及び範囲である。また、数字と一緒にここで使用される「約」という用語は、その数字の±0.01%(上限と下限を含めて)、±0.1%(上限と下限を含めて)、±0.5%(上限と下限を含めて)、±1%(上限と下限を含めて)、その数字の±2%(上限と下限を含めて)、その数字の±3%(上限と下限を含めて)、その数字の±5%(上限と下限を含めて)、その数字の±10%(上限と下限を含めて)、又はその数字の±15%(上限と下限を含めて)であり得る値を指す。更に、ある数域がここに開示されるとき、その範囲に含まれるいずれの数値も、具体的に開示されていると理解されたい。
【0017】
[0021]ここで使用される材料を「有さない」又は「実質的に有さない」という表現は、材料が、組成、構成要素、又は相の総重量に基づいて、10.0重量%未満、5.0重量%未満、3.0重量%未満、1.0重量%未満、0.1重量%未満、0.05重量%未満、0.01重量%未満、0.005重量%、又は0.0001重量%未満の量で存在する組成、構成要素、又は相を指すことができる。
【0018】
[0022]ここで引用されるすべての参照文献は、参照によりその全体がここに包含される。本開示と引用される参照文献との定義に矛盾がある場合には、本開示内容が優先される。
【0019】
[0023]添付図面に示される本教示の実施例に、以下で詳しく言及する。同じ又は同様の部品を指すために、可能な場合は常に、図面全体を通じて同じ参照番号を使用する。
【0020】
[0024]例示的複合材構成要素又はパネルとそれらのための方法とがここに開示される。ここに開示される複合材パネルは、従来の複合材パネル(例えば、繊維ベースの複合材パネル)と比較して、等方性の剛性及び強度の向上、全方向における引張力及び/又は圧縮力下での強度及び剛性の向上、層剥離の減少、欠陥の減少、及び/又は界面接合の向上を有する。等方性の剛性及び強度の向上は、機械部品を形成するために利用される無機材料の強度により提供することができる。例えば、等方性の剛性及び強度の向上は、機械部品を形成するために利用されるシリケートの強度により提供することができる。等方性の強度及び剛性の向上は、無機材料を汚染して無機材料の強度を低下させ得る汚染物質(例えば水)が、無機材料(例えばシリケート)に含まれない又は実質的に含まれないことによっても提供され得る。無機材料中の水を排除する能力は、ここに開示される方法によって提供され得る。ここに開示される複合材パネルの製造方法は、従来の複合材パネル(例えば、繊維ベースの複合材パネル)と比較して、等方性の剛性及び強度の向上、全方向における引張力及び/又は圧縮力下での強度及び剛性の向上、層剥離の減少、欠陥の減少、及び/又は界面接合の向上を有する複合材パネルを生成することができる。例えば、複合材パネルを製造するための方法は、真空中で機械部品を製造することにより、欠陥の処理を減らす又は無くす、及び/又は複合材パネルを製造するために使用される材料を汚染して材料の強度を低下させ得る汚染物質(例えば水)を排除することができる。ここに開示される方法は、堆積プロセスに由来する汚染物質を無くすことのできる、交互層堆積を通して及び/又は真空蒸着を通して、複合材パネルの層間のより強い接合界面及びより大きなミクロン大の欠陥を無くすこともできる。
【0021】
[0025]図1は、開示される一又は複数の実装態様による、例示的複合材構成要素又はパネル100の側断面図である。ここに更に記載されるように、複合材パネル100は、多機能性複合材パネル及び/又は構造的複合材パネルとすることができる。例えば、複合材パネル100は、太陽エネルギーを利用することができるか又は利用するように構成することができ(例えばソーラーパネル)、更に、構造的支持を提供することができるか又は同提供するように構成することができる。図1に示されるように、複合材パネル100は、複数の層を含む(11の層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122が示されている)。図示される層の数は、例示にすぎず、個別層の数は約200から約75,000、又はそれ以上とすることができる。例えば、複合材パネル100を形成するために利用される層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122の数は、約200、約400、約1,000、約10,000、約20,000、又は約30,000から約40,000、約50,000、約60,000、約75,000、又はそれ以上とすることができる。
【0022】
[0026]ここに更に記載されるように、少なくとも一の実装態様では、複合材パネル100は、複数の層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122を含む単一の又はモノリシックな部品として製造することができ、層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122のうちの一又は複数は、基板の少なくとも一部分であり得るか、又は同一部分を形成し得る。モノリシックな部品として複合材パネル100を製造することにより、等方性の強度及び剛性を向上させることができる。後述するように、別の実装態様では、複合材パネル100は、マンドレル上に製造することにより、マンドレルと複数の層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122とを含む複合材パネル100を形成することができる。マンドレルを、複合材パネル100と一体化させる又は複合材パネル100から取り外し可能にすることができることを理解されたい。
【0023】
[0027]複合材パネル100は、約1mmから約30mm以上の厚さを有することができる。例えば、複合材パネル100の厚さは、約1mm、約2mm、約4mm、約6mm、約8mm、約10mm、約12mm、又は約14mmから約16mm、約18mm、約20mm、約22mm、約24mm、約26mm、約28mm、約30mm、又はそれ以上とすることができる。別の実施例では、複合材パネル100の厚さは、約2mm以上、約5mm以上、約10mm以上、約15mm以上、約20mm以上、約25mm以上、約30mm以上、約40mm以上、約50mm以上、又は約100mm以上とすることができる。
【0024】
[0028]複合材パネル100の層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122の各々の厚さは、特に限定されない。少なくとも一の実装態様では、層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122の各々の厚さは、少なくとも部分的に、複合材パネル100及び/又はその層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122の一又は複数の所望の特性によって決定することができる。したがって、複合材パネル100の層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122の各々は、広く変動する厚さを有することができる。層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122のうちのいずれかの一又は複数は、残りの層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122のうちのいずれかの一又は複数と同じ又は異なる厚さを有することができる。少なくとも一の実装態様では、層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122の各々は、それぞれ独立して、約1nm(0.001μm)から約40μm以上の厚さを有することができる。例えば、層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122の各々は、それぞれ独立して、約0.001μm、約0.01μm、約0.05μm、約0.1μm、約0.5μm、約1μm、約2μm、約4μm、約6μm、約8μm、約10μm、約12μm、約14μm、約16μm、約18μm、又は約20μmから約22μm、24μm、26μm、28μm、30μm、32μm、34μm、36μm、38μm、40μm、又はそれ以上の厚さを有することができる。
【0025】
[0029]複合材パネル100は、約1.5g/cmから約2.20g/cmまで広く変動する全体の密度を有することができる。例えば、複合材パネル100の密度は、約1.5g/cm、約1.6g/cm、約1.7g/cm、又は約1.8g/cmから約1.9g/cm、約2.0g/cm、約2.1g/cm、又は約2.2g/cmとすることができる。
【0026】
[0030]複合材パネル100は、光の透過率により測定した場合、約30%から約95%以上の全体的透明度を有することができる。例えば、複合材パネル100は、約30%、約40%、約50%、約60%、又は約70%から約75%、約80%、約85%、約90%、約95%以上の全体的透明度を有することができる。複合材パネル100の透明性は衝撃損傷を可視化し、それにより、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)及びガラス繊維強化プラスチック(GFRP)から製造された従来の複合材パネルの限界である、目視検査で見逃される衝撃損傷(BVID)を無くすことができる。複合材パネル100の全体的透明度は、ここに開示される光起電層112、114、116、118の日光への十分な曝露を可能にすることができる。複合材パネル100の全体的透明度は、衝撃損傷及び落雷を可視化することもできる。
【0027】
[0031]複合材パネル100は、一又は複数の方向に、約0°K-1以上、且つ約50E-6°K-1以下、約45E-6°K-1以下、約40E-6°K-1以下、約35E-6°K-1以下、約30E-6°K-1以下、約25E-6°K-1以下、約20E-6°K-1以下、又は約15E-6°K-1以下の熱膨張係数を有することができる。複合材パネル100の熱膨張係数は、熱歪みを低減又は防止する、及び/又は複合材パネル100に対して追加の熱負荷を提供することができる。
【0028】
[0032]複合材パネル100は、約15.0E6m/s以上、約25.0E6m/s、170以上、約35.0E6m/s以上、約45.0E6m/s以上、約55.0E6m/s以上、約65.0E6m/s以上、約75.0E6m/s以上、約85.0E6m/s以上、約95.0E6m/s以上、約105.0E6m/s以上、約115.0E6m/s以上、約125.0E6m/s、又は約135.0E6m/s以上、又は約145.0E6m/s以上、又は約155.0E6m/s以上の面内比剛性を有することができる。面内比剛性は、複合材パネル100が、過剰な変形及び/又は安定性の問題をはらまずに効率的に負荷を担持することを可能にし得る。
【0029】
[0033]複合材パネル100は、約150kN.m/Kg以上、約275kN.m/Kg以上、約400kN.m/Kg以上、約525kN.m/Kg以上、約650kN.m/Kg以上、約775kN.m/Kg以上、約900kN.m/Kg以上、約1025kN.m/Kg以上、約1150kN.m/Kg以上、約1275kN.m/Kg以上、約1400kN.m/Kg以上、約1525kN.m/Kg以上、約1650kN.m/Kg以上、約1775kN.m/Kg以上、約1900kN.m/Kg以上、約2025kN.m/Kg以上、約2150kN.m/Kg、又は約2300kN.m/Kg以上の面内比強度(δx/ρ)を有することができる。面内比強度は、適用される構造的負荷の下で複合材パネル100が故障することを防止することができる。
【0030】
[0034]複合材パネル100は、繊維を有さない又は実質的に有さなくともよい。例えば、複合材パネル100は、構造繊維、例えば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)及びガラス繊維強化プラスチック(GFRP)といった、従来の複合材パネルを製造するために利用される構造繊維を有さない又は実質的に有さなくともよい。ここで使用される、材料を「有さない」又は「実質的に有さない」という表現は、材料が、組成、構成要素、又は相の総重量に基づいて、10.0重量%未満、5.0重量%未満、3.0重量%未満、1.0重量%未満、0.1重量%未満、0.05重量%未満、0.01重量%未満、0.0005重量%未満、0.0001重量%、又は0.00001未満の量で存在する、組成、構成要素、又は相を指すことができる。繊維を有さない又は実質的に有さない複合材パネル100を提供することにより、一方向性の剛性及び強度が防止される。
【0031】
[0035]複合材パネル100の一又は複数の層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122の各々は、一又は複数の材料から製造することができる。例えば、複合材パネル100の層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122の各々は、単一の材料又は複数の材料から製造することができる。例えば、複数の層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122のうちの少なくとも一の層は、単一の材料から製造することができる。別の実施例では、複数の層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122のうちの一の層の少なくとも一部分は、第1の材料から製造することができ、同一の層の別の部分は第2の材料から製造することができる。少なくとも一の実装態様では、一又は複数の102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122の隣接層は、同じ材料から製造することができる。別の実装態様では、一又は複数の層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122の隣接層は、異なる材料から製造することができる。例示的一実装態様では、複合材パネル100の少なくとも一部分は、少なくとも二の材料の交互層を含む。例えば、複合材パネル100の少なくとも一部分は、第1の材料から製造された第1の層、第2の材料から製造された第2の層、第1の材料から製造された第3の層、及び第2の材料から製造された第4の層を含むことができる。
【0032】
[0036]複合材パネル100の一又は複数の層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122を形成するために利用される一又は複数の材料は、広く変動し得る。例えば、一又は複数の層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122を形成するために利用される材料の各々は、限定しないが、一又は複数の無機材料、一又は複数の有機材料、一又は複数のセラミック、一又は複数の合金、一又は複数の金属、一又は複数の超合金、一又は複数の非金属、一又は複数のメタロイド、一又は複数のバインダー、一又は複数の添加剤等、又はこれらの任意の組み合わせ、化合物、若しくは複合材とすることができるか、又はそれを含むことができる。一又は複数の層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122を形成するために利用される追加の材料は、限定しないが、一又は複数の導電性材料、一又は複数のカーボンナノ材料、一又は複数の導電酸化物、例えば透明な導電酸化物、一又は複数の導電性ポリマー等、又はこれらの任意の組み合わせ、化合物、若しくは複合材とすることができるか、又はそれを含むことができる。セラミックは、高温強度及び剛性、並びに熱バリヤ及び溶け落ち保護を提供することができる。
【0033】
[0037]無機材料又は化合物は、限定しないが、一又は複数のシリケート(例えばシリケートガラス)、適切なアルコキシドから形成された一又は複数の無機材料、一又は複数の酸化物、例えば酸化アルミニウム、シリコン酸化物、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化タングステン等、又はこれらの任意の複合材、化合物、若しくは組み合わせとすることができるか、又はそれを含むことができる。
【0034】
[0038]無機材料も、限定しないが、導電性又は導電酸化物とすることができるか、又はそれを含むことができる。複合材パネル100の一又は複数の層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122の例示的な導電性又は導電酸化物(例えば、透明な導電酸化物)は、限定しないが、インジウムすず酸化物(ITO)、ドープITO(例えば、SnドープITO)、フッ素ドープ酸化スズ、酸化スズ、インジウム酸化物、アルミニウムドープ亜鉛酸化物(AZO)、亜鉛酸化物等、又はその組み合わせ、若しくは複合材とすることができるか、又はそれを含むことができる。
【0035】
[0039]有機材料又は化合物は、限定しないが、一又は複数のポリマーとすることができるか、又はそれを含むことができる。有機材料を利用することにより、隣接層間に接合強度を提供する、及び/又は複合材パネル100の脆性を少なくとも部分的に低下させることができる。加えて、有機材料を利用することで、複合材パネル100に対し、水分及び/又は衝撃保護を提供することができる。有機材料としてポリマーを利用することにより、コストを削減する、処理を容易化する、及び/又は重量効率を維持することができる。例示的なポリマーは、限定しないが、熱可塑性プラスチック、ポレオレフィンベースのポリマー、アクリルベースのポリマー、ポリウレタンベースのポリマー、エーテルベースのポリマー、ポリエステルベースのポリマー、ポリアミドベースのポリマー、ホルムアルデヒドベースのポリマー、シリコンベースのポリマー、又はこれらの任意の組み合わせとすることができるか、又はそれを含むことができる。例えば、ポリマーは、限定しないが、ポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)、ポリビニルフェノール、TORLON(登録商標)、ポリアミド-イミド、ポリエチレン(PE)、ポリフッ化ビニル(PVF)、塩化ポリビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリプロピレン(PP)、ポリ(1-ブテン)、ポリ(4-メチルペンテン)、ポリスチレン、ポリビニルピリジン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、スチレン-アクリロニトリルコポリマー、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンターポリマー、エチレン-メタクリル酸コポリマー、スチレン-ブタジエンゴム、テトラフルオロエチレンコポリマー、ポリアクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ乳酸、ナイロン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリベンズイミダゾール、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリエーテルイミド、ポリフェニルオキシド(PPO)、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルカルバゾール、ポリウレタン、ポリアセタール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エポキシ樹脂、ポリフェニレンオキシド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタート、ポリジヒドロキシメチルシクロヘキシルテレフタート、セルロースエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、これらの任意のコポリマー、又はこれらの任意の組み合わせを含むことができる。更なる例示的ポリマーは、限定しないが、スチレンポリマー前駆体、メチルスチレンポリマー前駆体,(メタ)アクリレートポリマー前駆体、これら前駆体のフッ素化及び非フッ素化形態の両方、及びこれら前駆体のうちの二以上の組み合わせから作製されたポリマーも含むことができる。ポリマーが上述のうちの少なくとも二以上の任意の組み合わせを含み得ることが理解されよう。
【0036】
[0040]少なくとも一の実装態様では、一又は複数のポリマーは、エラストマー、合成ゴム、又はこれらの任意の組み合わせとすることができるか、又はそれを含むことができる。例示的なエラストマー材料及び合成ゴムは、限定しないが、VITON(登録商標)、ニトリル、ポリブタジエン、アクリロニトリル、ポリイソプレン、ネオプレン、ブチルゴム、クロロプレン、ポリシロキサン、スチレン-ブタジエンゴム、ヒドリンゴム、シリコーンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー、これらの任意のコポリマー、又はこれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0037】
[0041]少なくとも一の実装態様では、一又は複数のポリマーは、限定しないが、一又は複数の導電ポリマー又は導電性ポリマーとすることができるか、又はそれを含むことができる。複合材パネル100の一又は複数の層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122の導電性ポリマーは、限定しないが、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、スルホン酸ポリスチレン(PSS)、PEDOT:PSS、ポリピロール(PPy)、ポリアニリン(PANI)、ポリアセチレン、ポリチオフェン(PT)、ポリアセチレン(PAC)、ポリp-フェニレンビニレン(PPV)等、又はこれらの組み合わせ若しくは複合材とすることができるか、又はそれを含むこととができる。
【0038】
[0042]複合材パネル100の一又は複数の層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122の金属は、限定しないが、一又は複数のアルカリ金属、一又は複数のアルカリ土類金属、一又は複数の遷移金属、一又は複数の遷移後金属、又はこれらの任意の混合物、合金、若しくは化合物とすることができるか、又はそれを含むこととができる。例示的な遷移金属は、限定しないが、クロム、鉄、コバルト、モリブデン、タングステン、タンタル、チタニウム、ジルコニウム、ニオブ、レニウム、イットリウム、バナジウム、ハフニウム、又はこれらの任意の混合物、合金、若しくは化合物を含むことができる。例示的な金属はまた、限定しないが、アルミニウム、鉄、チタニウム等、又はこれらの任意の組み合わせとすることができるか、又はそれを含むことができる。金属はまた、ステンレス鋼、炭素鋼、ニッケルベースの超合金、コバルトベースの超合金等、又はこれらの任意の組み合わせといった、金属合金及び超合金とすることができるか、又はそれを含むことができる。一又は複数のメタロイドは、限定しないが、ホウ素、シリコン、アンチモン、又はこれらの任意の混合物若しくは化合物とすることができるか、又はそれを含むことができる。複合材パネル100の一又は複数の層102、104、106、108、110、112のために金属を利用することにより、電磁エネルギー(EME)保護、及び/又は構造剛性及び/又は強度を提供することができる。
【0039】
[0043]複合材パネル100の一又は複数の層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122のカーボンナノ材料又はナノ粒子は、限定しないが、一又は複数のフラーレン、グラフェン、一又は複数のカーボンナノチューブ(例えば、単層及び/又は多層ナノチューブ)、又はこれらの任意の組み合わせとすることができるか、又はそれを含むこととができる。例示的なフラーレンは、限定しないが、C60、C70、C76、C84等を含むことができる。グラフェンは、六角形に整列した一又は複数枚の炭素原子の厚さを有する六角形に整列した炭素原子の二次元シートを含むことができる。カーボンナノチューブは、通常長形の、中空の管状構造を有する分子を含むことができる。
【0040】
[0044]例示的一実装態様では、複合材パネル100の複数の層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122の隣接層間にバインダーが配置されない。例えば、複合材パネル100の複数の層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122の隣接層同士の接着又は結合は、材料の層又はその界面における材料自体により提供され得る。バインダーの省略は、複合材パネル100の製造を単純にする及び/又は製造費を削減することができる。別の実装態様では、一又は複数のバインダーを、複合材パネル100の複数の層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122の隣接層間に挿入することができる。一又は複数のバインダーは、複合材パネル100の層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122の各々を互いと結合、連結、及び/又は凝集するように構成することができ、それにより層剥離を低減する。例示的なバインダーは、限定しないが、一又は複数の金属バインダー、無機バインダー、有機バインダー、又はこれらの任意の組み合わせとすることができるか、又はそれを含むことができる。例示的な金属バインダーは、限定しないが、マグネシウム、ルテニウム、オスミウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、モリブデン、タンタル、タングステン、レニウム、又はこれらの任意の混合物、化合物、又は合金を含むがそれに限定されないいずれか一又は複数の遷移金属を含むことができる。金属バインダーは、限定しないが、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、又はこれらの任意の混合物、化合物、又は合金を含むがそれに限定されない任意のアルカリ金属も含むことができる。例示的な有機バインダーは、限定しないが、水に不溶性若しくは少なくとも実質的に不溶性である一又は複数のワックス又は樹脂とすることができるか、又はそれを含むことができる。ワックスは、例えば、動物蝋、植物蝋、鉱物蝋、合成蝋、又はこれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0041】
[0045]引き続き図1を参照する例示的工程において、複合材パネル100の製造又は形成方法は、第1の層102を、配置すること、堆積させること、又は他の方法で形成することを含むことができる。少なくとも一の実施例では、第1の層102は、マンドレル又は製造システムの基部若しくは支持部といった基板上(図1に示さない)に堆積させることができる。別の実施例では、図1に示すように、第1の層102は、後続の層のための基板とすることもでき、複合材パネル100の一部を形成することができる。方法は、第1の層102に隣接して第2の層104を配置すること、堆積させること、又は他の方法で形成すること、及び第1の層102と第2の層104とを互いに結合することにより、それらの間の層間剥離を低減することも含むことができる。一実施例において、第1の層102と第2の層104とを互いに結合することは、第2の層104の堆積と同時に実施することができる。別の実施例では、第1の層102と第2の層104とを互いに結合することは、第2の層104の堆積の後で実施することができる。例えば、第1の層102と第2の層104とを結合することは、加熱、硬化等といった一又は複数のプロセスによって容易化することができる。
【0042】
[0046]複合材パネル100の後続の層が第1及び第2の層102、104と同様に堆積され得ることを理解されたい。例えば、第3の層106は、第2の層104に隣接して配置することができ、第4の層108は、第3の層106に隣接して配置することができ、第5の層110は、第4の層108に隣接して配置することができ、第6の層112は、第5の層110に隣接して配置することができ、第7の層114は第6の層112に隣接して配置することができ、第8の層116は第7の層114に隣接して配置することができ、第9の層118は第8の層116に隣接して配置することができ、第10の層120は第9の層118に隣接して配置することができ、第11の層122は第10の層120に隣接して配置することができる。
【0043】
[0047]図1に示される複合材パネル100は、第1の層102から第11の層122に向かう一般的な方向に製造されたものとして示されているが、複合材パネル100は、第11の層122から開始して第1の層102に向かう反対方向に同様に製造することができる。
【0044】
[0048]例示的一実装態様では、複合材パネル100の少なくとも一部分は、無機材料と有機材料の交互層とすることができるか、同相互層を含藻ことができるか、又は同相互層から製造することができる。例えば、図1に示されるように、複合材パネル100の第1、第2、第3、第4、及び第5の層102、104、106、108、110は、無機材料と有機材料の交互層から製造することができる。有機相と無機層を交互に堆積させることにより、複数のナノ又はミクロンサイズの層を含む複合材パネル100を製造することができる。有機材料及び無機材料は、上述したいずれかの有機材料及び無機材料とすることができるか、又はそれを含むことができる。例示的一実装態様では、複合材パネル100の交互層102、104、106、108、110を製造するために利用される有機材料は、ポリマー(例えば、透明なポリマー)を含み、複合材パネル100の交互層102、104、106、108、110を製造するために利用される無機材料は、酸化アルミニウム(Al)、グラフェン、シリコン酸化物、又はこれらの任意の組み合わせのうちの一又は複数を含む。ポリマーから製造される交互層102、104、106、108、110は、複合材パネル100又はその無機層の脆性を低下させるように構成することができる。少なくとも一の実施例では、複合材パネル100の第1、第3、及び第5の層102、106、110は、一又は複数のポリマーから製造され、第2及び第4の層104、108は、酸化アルミニウム(Al)、グラフェン、シリコン酸化物、又はこれらの任意の組み合わせのうちの一又は複数から製造される。別の実施例では、複合材パネル100の第1、第3、及び第5の層102、106、110は、酸化アルミニウム(Al2O3)、グラフェン、シリコン酸化物、又はこれらの任意の組み合わせのうちの一又は複数から製造され、第2及び第4の層104、108は、一又は複数のポリマーから製造される。酸化アルミニウム、グラフェン、シリコン酸化物、又はこれらの任意の組み合わせのうちの一又は複数を利用することにより、衝撃及び損傷の保護を提供する、及び/又は光の透過率を向上させることができる。酸化アルミニウム、グラフェン、シリコン酸化物、又はこれらの任意の組み合わせのうちの一又は複数を利用することにより、剛性及び/又は強度を向上させることもできる。
【0045】
[0049]複合材パネル100の交互層102、104、106、108、110の各々は、それぞれ独立して、約10nmから約200nmの厚さを有することができる。約10nmから約200nmの厚さを有する交互層102、104、106、108、110を提供することにより、欠陥の数を減らすことができる。約10nmから約200nmの厚さを有する交互層102、104、106、108、110を提供することにより、層102、104、106、108、110間の接合を可能にすることもできる。少なくとも一の実装態様では、交互層102、104、106、108、110のうちの少なくとも一は、内表面保護層とすることができ、残りの交互層102、104、106、108、110より比較的大きな厚さを有することができる。例えば、図1に示される複合材パネル100の第2の層104は、内表面保護層とすることができ、約100nmから約20μmの厚さを有することができる。内表面保護層は、水分バリヤを提供することができるか、又は水分バリヤを提供するように構成することにより,複合材パネル100に耐食性を提供することができる。五つの交互層102、104、106、108、110のみが図示されているが、図示の交互層の数は例示的なものにすぎず、交互層の数は約200から約75000、又はそれ以上の層とすることができる。例えば、複合材パネル100を形成するために利用される交互層102、104、106、108、110の数は、約200、約400、約1000、約10000、約20000、又は約30000から約40000、約50000、約60000、約75000、又はそれ以上とすることができる。交互層102、104、106、108、110の数は、少なくとも部分的に、所望の強度及び/又は剛性によって決定することができる。加えて、交互層102、104、106、108、110を利用することは、複合材パネル100の製造のために反復可能が更に容易なパターンを提供する。
【0046】
[0050]例示的一実装態様では、複合材パネル100の少なくとも一部分は、太陽エネルギー又は放射を利用又は収集することができるか、又は利用又は収集するように構成された光起電層とすることができるか、同光起電層を含むことができるか、又は同光起電層から製造することができる。例えば、複合材パネル100の第6、第7、第8、及び第9の層112、114、116、118は光起電層とすることができる。図1に開示される複合材パネル100は、四の光起電層112、114、116、118を例示しているが、図示の層の数は例示に過ぎない。したがって、複合材パネル100は、任意の数の光起電層112、114、116、118を含むことができる。
【0047】
[0051]第6の層112は、交互層102、104、106、108、110、特に第5の層110に隣接して配置することができる。第6の層112は、酸化アルミニウム、グラフェン、又はこれらの任意の組み合わせを含む、無機材料とすることができるか、又は無機材料を含むことができるか、又は無機材料から製造することができる。第6の層112は、残りの光起電層114、116、118に保護(例えば水分バリヤ)を提供することができるか、又は提供するように構成される。第6の層112はまた、残りの光起電層114、116、118の堆積のための基板となることができるか、又は基板となるように構成することができる。例えば、第6の層112は、約10nmから約20μmの厚さを有することができる。
【0048】
[0052]複合材パネル100の光起電層の第7及び第9の層114、118は、透明な導電性層とすることができる。複合材パネル100の第7及び第9の層114、118は、限定しないが、グラフェン、インジウムすず酸化物、又はこれらの任意の組み合わせを含む、一又は複数の導電性材料とすることができるか、又は同導電性材料を含むことができるか、又は同導電性材料から製造することができる。一又は複数の導電性材料を含む複合材パネル100の第7及び第9の層114、118は、複合材パネル100の光起電層112、114、116、118の電極として機能することができる。第7及び第9の層114、118は、それぞれ独立して、複合材パネル100の光起電層112、114、116、118の電荷を運搬するために十分な厚さを有する。例えば、第7及び第9の層114、118は、約10nmから約10μm又は約10nmから約5μmの厚さを有することができる。
【0049】
[0053]第8の層116は、第7の層と第9の層114、118の間に挿入することができ、上述の導電性ポリマー(例えばPEDOT)のうちの一又は複数から製造されたフレキシブル光起電層とすることができる。少なくとも一の実装態様では、第8の層116は、一又は複数の導電性ポリマー(例えばPEDOT)及びグラフェン又はインジウムすず酸化物のうちの少なくとも一を含むことができる。第8の層116は、約10nmから約10μmの厚さを有することができる。第8の層116は、単接合又は多接合太陽電池を提供することができるか、又は提供するように構成することができる。第7及び第9の層114、118は、光又は太陽エネルギーから変換された電流を運搬する又は流出させるために、第8の層116と相互接続することができる。
【0050】
[0054]第10の層120は、上述の第2の層104と同様のものとすることができる。例えば、第10の層120は、酸化アルミニウム(Al)、グラフェン、又はこれらの任意の組み合わせから製造された表面保護層とすることができる。第10の層120は、約1μmから約25μmの厚さを有することができる。第10の層120は、複合材パネル100に保護(例えば、水分バリヤ、衝撃保護等)を提供することができるか、又は提供するように構成することができる。
【0051】
[0055]第11の層122は、上述の第7及び第9の層114、118と同様のものとすることができ、限定しないが、グラフェン、インジウムすず酸化物、又はこれらの任意の組み合わせを含む、一又は複数の導電性材料とすることができるか、又は同導電性材料を含むことができるか、又は同導電性材料から製造することができる。第11の層122は、約10nmから約5μmの厚さを有することができる。第11の層122は電磁効果(EME)の保護を提供することができるか、又は提供するように構成することができる。
【0052】
[0056]複合材パネル100の層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122は、上記において特定の順序で及び特定の組成を含むものとして記載されているが、上述の他の順序、構成、組成は例示であり、複合材パネル100の層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122の各々は、他の順序、構成に配置することができ、他の組成を含むことができる。例えば、複合材パネル100は、保護層104、120のうちの一又は複数を含まなくともよい。別の実施例では、光起電層112、114、116、118は、交互層102、104、106、108、110のいずれか二以上の間に挿入することができる。
【0053】
[0057]複合材パネル100の層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122は、任意の適切な製造プロセス又は技術により製造することができる。例示的なプロセスは、限定しないが、層堆積プロセス、例えば真空蒸着法又は真空気相蒸着法、例えばスパッタリング、エバポレーション、昇華、化学気相蒸着(CVD)、プラズマ加速化学気相蒸着(PECVD)、電子サイクロトロン共鳴-プラズマ加速気相蒸着(ECR-PECVD)、溶射、熱的加熱、スパッタリング、電子ビーム物理気相成長、パルスレーザ蒸着、又はこれらの任意の組み合わせとすることができるか、又はそれを含むことができる。真空蒸着法は、欠陥を導入し得る及び/又は材料の強度を低下させ得る汚染物質(例えば水)を複合材パネル100の製造から除外することができるため、真空蒸着法を利用することにより複合材パネル100の欠陥を低減することができる。
【0054】
[0058]図1の複合材パネル100は、複合材パネル100の総体積に基づいて約40重量%から60重量%の量で、酸化アルミニウム、グラフェン、及びシリコン酸化物(マグネシアを用いた処理あり又はなし)のうちの一又は複数の組み合わせを含むことができる。マグネシアを用いて処理したシリコン酸化物を利用することにより、マグネシア処理なしのシリコン酸化物と比較して、比較的大きな強度が達成できることを理解されたい。複合材パネル100は、複合材パネル100の総体積に基づいて約5%から約25%の量で、酸化アルミニウムを含むことができる。複合材パネル100は、複合材パネル100の総体積に基づいて0%から約10%以上の量で、グラフェンを含むことができる。複合材パネル100の組成は、望ましく且つ十分な構造剛性及び強度と、光透過性とを提供することができるか、又は提供するように構成される。
【0055】
[0059]図2は、開示される一又は複数の実装態様による、マンドレル202と複数の層106、108、110、112、114、116、118、120、122とを含む別の例示的複合材パネル200の側断面図である。図2に示される複合材パネル200は、いくつかの点で上述の複合材パネル100と類似していてよく、したがって図1の記載を参照して最もよく理解することができる。ここで類似の番号は同様の構成要素を示し、詳細な説明は繰り返さない。図2に示されるように、少なくとも一の実装態様では、図1の複合材パネル100の一又は複数の層102、104は、マンドレル202により置き換えることができ、後続の層106、108、110、112、114、116、118、120、122は、マンドレル202上に又はマンドレルに隣接して堆積させることができる。例えば、図1の第1及び第2の層102、104を形成する代わりに、複合材パネル200はマンドレル202を利用して、複数の層106、108、110、112、114、116、118、120、122をマンドレル202上に堆積させて複合材パネル200を製造することにより、複合材パネル200の製造を簡略化することができる。上述のように、マンドレル202は、複合材パネル200の一部分と一体化することができるか、又は同一部分を形成することができる。マンドレル202を複合材パネル200の一体部品として利用することにより、機械部品200に対して更なる構造的強度及び/又は剛性を提供することができる。別の実装態様では、マンドレル202は、複数の層106、108、110、112のための基板の一部分とすることができるか、又は同一部分を形成することができ、マンドレル202は、複合材パネル200を形成するために、層106、108、110、112、114、116、118、120、122から分離又は除去することができる。したがって、複合材パネル200は、マンドレル202のいずれかの曲線又は輪郭を有するように製造することができる。
【0056】
[0060]ここに開示されるマンドレル202は、一又は複数の層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122に関して上述した材料のうちのいずれか一又は複数から製造することができる。例えば、ここに開示されるマンドレル202は、一又は複数の無機材料、一又は複数の有機材料、一又は複数のセラミック、一又は複数の合金、一又は複数の金属、一又は複数の超合金、一又は複数の非金属、一又は複数のメタロイド、一又は複数のバインダー、一又は複数の添加剤、又はこれらの任意の組み合わせ、化合物、又は複合材から製造することができる。少なくとも一の実装態様では、マンドレル202は、一又は複数の金属、例えばアルミニウムはスチール、一又は複数の熱可塑性プラスチック、例えばポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)等、又はこれらの組み合わせを含むことができるか、又はそれから製造することができる。一又は複数の金属、一又は複数の熱可塑性プラスチック、又はこれらの組み合わせからマンドレル202を製造することにより、コストを削減することができる。更に、マンドレル202は、このような材料から容易に製造することができる。別の実装態様では、マンドレル202は、繊維強化材、例えばCFRP、GFRP等、又はこれらの組み合わせから製造することができる。
【0057】
[0061]図3Aは、開示される一又は複数の実装態様による、複合材パネル302を製造するためのシステム300の側断面図である。図3Bは、開示される一又は複数の実装態様による、図3Aの例示的システム300の上面図である。図3A及び3Bに示されるように、システム300は、一又は複数の基部304(一の基部が304で示されている)と、支持部304の近位に配置された一又は複数のアプリケーションノズル又はヘッド(八のノズル又はヘッドが308で示されている)とを含むことができる。図3A及び3Bに示される少なくとも一の実装態様では、支持部304は、その上に配置された一又は複数の複合材パネル302(八のパネルが302で示されている)を、保持、配置、クランプ留め、固定、又は他の方法で支持することができるか、又は保持、配置、クランプ留め、固定、又は他の方法で支持するように構成することができる。支持部304は、約1メートルから約80メートルの径、幅、又は長さを有することができる。図3Aに示される少なくとも一の実装態様では、システム300は、基部304及びアプリケーションヘッド306を含むことができるか又は含むように構成されたエンクロージャ316を含む。エンクロージャ316はまた、複合材パネル302の堆積又は形成を容易にするために、基部304及びアプリケーションヘッド306を真空条件下に維持することができるか、又は維持するように構成することができる。エンクロージャ316は、約1.5Paから約1.3E-6Paの真空圧力を維持することができる。
【0058】
[0062]アプリケーションヘッド308は、基部304の近位に配置し、一又は複数の材料を堆積させることにより複合材パネル302の層310を形成するように構成することができる。例えば、図3Aに示されるように、アプリケーションヘッド308は、基部304の上方に配置し、複数の層310を堆積させて、基部304上に複合材パネル302を形成するように構成することができる。少なくとも一の実装態様では、アプリケーションヘッド308は、複合材パネル302を形成するためにマンドレル312(固定又は取り外し可能)上に層310を堆積させるように構成することができる。別の実装態様では、アプリケーションヘッド308は、少なくとも一の層310を堆積させることにより基板を形成することができ、更に、基板に隣接して後続の層310を堆積することにより複合材パネル302を形成することができる。第1の層又は基板層310が複合材パネル302を形成し得るか又は同パネルの一部分であり得ることを理解されたい。
【0059】
[0063]八の複合材パネル302及び八のアプリケーションヘッド308が図3Bに示されているが、システム300は、任意の数のアプリケーションヘッド308用いて任意の数の複合材パネル302を製造することができるか、又は製造するように構成することができる。例えば、システム300で製造することのできる複合材パネル302の数は、約1から約5、約10、約15、又はそれ以上まで広く変動し得る。同様に、システム300に利用されるアプリケーションヘッド308の数は、約1から約5、約10、約15、又はそれ以上まで広く変動し得る。
【0060】
[0064]少なくとも一の実装態様では、基部304は、アプリケーションヘッド308に対して並行移動又は移動するように構成することができる。例えば、基部304は、静止又は固定とすることのできるアプリケーションヘッド308に対して、その中心314の周りを回転するように構成することができる。別の実装態様では、アプリケーションヘッド308のうちの少なくとも一は、基部304に対して移動するように構成することができる。例えば、アプリケーションヘッド308のうちの少なくとも一は、静止又は固定とすることのできる基部304の周りを回転して、複合材パネル302を形成するように構成することができる。別の実施例では、アプリケーションヘッド308及び/又は基部304は、互いに対していずれか一又は複数の次元で移動するように構成することができる。基部304に対してアプリケーションヘッド308を又はアプリケーションヘッド308に対して基部304を回転させることにより、特に複数の複合材パネル302及び/又は比較的大きな複合材パネル302を製造するとき、製造時間を短縮することができる。例えば、アプリケーションヘッド308及び/又は基部304は、X軸、Y軸、Z軸、又はこれらの任意の組み合わせに沿って互いに対して並行移動又は移動させることができる。
【0061】
[0065]図4は、開示される一又は複数の実装態様による、多機能性複合材パネルを製造するための方法400のフロー図である。方法400は、402に示される、複数の構造層を形成すること、及び410に示される、複数の構造層に隣接して複数の光起電層を形成することを含むことができる。複数の構造層402を形成することは、404に示される、導電性材料と無機材料の交互層を形成することを含むことができる。導電性材料と無機材料の交互層を形成すること404は、406に示される、導電性有機材料から第1の層を形成すること、及び408に示される、無機材料から第1の層に隣接する第2の層を形成することを含むことができる。
【0062】
[0066]ここに記載されるシステム300及び方法400は、いずれかの適切な複合材パネル100、200又はいずれかの適切な複合材パネル100、200の一部分を製造するために利用することができる。一実施例において、ここに開示されるシステム300及び方法400は、多機能性の構造的複合材パネルを製造するために利用することができる。例えば、ここに開示されるシステム300及び方法400は、光又は太陽放射からエネルギーを利用又は生成することのできる構造的複合材パネルを製造するために利用することができる。システム300及び方法400は、輸送用車両又は船舶の一又は複数の多機能性構造的複合材パネル100、200を製造するために利用することができる。例えば、システム300及び方法400は、列車、車、バス、自動車、航空機、例えば飛行機又はヘリコプター、ボート等の多機能性構造的複合材パネル100、200を製造するために利用することができる。システム300及び方法400は、飛行機又はヘリコプターの床又はキャノピー、飛行機のコックピットの窓、外板パネル、翼、飛行機のパーティション、車のボディ、アクセル、シャーシ、船の船殻、ボートのガラス底等を製造するために利用することができる。ここに記載されるシステム300及び方法400により製造することのできる他の例示的な多機能性構造的複合材パネル100、200は、限定しないが、インペラ、ブレード、ベーン、ケーシング、ダイヤフラム、ステータ、ピストン、シリンダ、ロッド、シャフト、スリーブ、エンジンブロック、タービンディスク、シュラウド、ノーズコーン、インレットケース、排気ケース、中間ケーシング、バルブブロック、ノズルブロック、インレットノズル、放出又はアウトレットノズル、インレット壁、分割壁、放出壁等を含むことができる。少なくとも一の実装態様では、ここに開示されるシステム300及び方法400はまた、多機能性(例えばソーラーパネル付き)構造窓、又は水族館用の窓又は出窓型窓といったフレームなしで構造的属性を少なくとも部分的に提供することのできる窓を、製造することができるか、又は製造するように構成することができる。複合材パネル100、200を製造するためにここに記載されるシステム300及び方法400を利用することにより、重量効率的な、又は環境にやさしい輸送を行う、飛行機、車、船等を高い製造率で提供し、それにより二酸化炭素の排出を低減することができる。
【0063】
[0067]更に、本開示は下記の条項による実施例を含む。
条項1.多機能性複合材パネルを製造するための方法であって、複数の構造層を形成することであって、導電性有機材料と無機材料の交互層を形成することを含み、交互層を形成することが、導電性有機材料から第1の層を形成すること及び無機材料から第1の層に隣接する第2の層を形成することを含む、複数の構造層を形成することと、複数の構造層に隣接する複数の光起電層を形成することとを含み、多機能性複合材パネルが約1mmから約30mmの厚さを有する、方法。
条項2.複数の構造層又は複数の光起電層が層堆積プロセスから形成される、条項1の方法。
条項3.第2の層の無機材料が、酸化アルミニウム(Al)、グラフェン、シリコン酸化物、インジウムすず酸化物(ITO)、アルミニウムドープ亜鉛酸化物(AZO)、又はこれらの任意の組み合わせのうちの一又は複数を含む、条項1又は2の方法。
条項4.第2の層の無機材料がシリコン酸化物を含み、シリコン酸化物がマグネシアで処理される、条項3の方法。
条項5.第1の層の導電性有機材料が一又は複数の導電性ポリマーを含む、条項1-4のいずれかの方法。
条項6.導電性ポリマーが、一又は複数の熱可塑性プラスチックを含み、熱可塑性プラスチックが、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、又はこれらの組み合わせのうちの一又は複数を含む、条項5の方法。
条項7.複数の構造層のうちの第1の層をマンドレル上に形成することを更に含む、条項1-6のいずれかの方法。
条項8.複数の構造層のうちの第1の層からマンドレルを分離することを更に含む、条項7の方法。
条項9.マンドレルが多機能性複合材パネルの少なくとも一部分を形成する、条項7の方法。
条項10.光起電層に隣接する、酸化アルミニウム、グラフェン、又はこれらの任意の組み合わせを含む表面保護層を形成することを更に含む、条項1-9のいずれかの方法。
条項11.複数の構造層に隣接する複数の光起電層を形成することが、酸化アルミニウム、グラフェン、又はこれらの任意の組み合わせを含む、第2の層に隣接する第3の層を形成すること、導電性材料を含む、第3の層に隣接する第4の層を形成すること、及び一又は複数の導電性ポリマーを含む、第4の層に隣接する第5の層を形成することを含む、条項1-10のいずれかの方法。
条項12.複数の構造層に隣接する複数の光起電層を形成することが、グラフェン、インジウムすず酸化物、又はこれらの任意の組み合わせを含む、第5の層に隣接する第6の層を形成することを更に含む、条項11の方法。
条項13.第4の層の導電性材料が、グラフェン、インジウムすず酸化物、又はこれらの任意の組み合わせを含む、条項11又は12の方法。
条項14.第5の層の導電性ポリマーが、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、スルホン酸ポリスチレン(PSS)、PEDOT:PSS、ポリピロール(PPy)、ポリアニリン(PANI)、ポリアセチレン、ポリチオフェン(PT)、ポリアセチレン(PAC)、ポリp-フェニレンビニレン(PPV)、又はこれらの任意の組み合わせのうちの一又は複数を含む、条項11-13のいずれかの方法。
条項15.条項1の多機能性複合材パネルを製造するためのシステムであって、多機能性複合材パネルを支持するように構成された基部;及び基部の近位に配置されて、多機能性複合材パネルを形成する複数の構造層及び複数の光起電層を形成するように構成された複数のアプリケーションヘッドを備えるシステム。
条項16.基部と、複数のアプリケーションヘッドのうちの少なくとも一つとが、複数の構造層及び複数の光起電層の形成の間に、互いに対して移動するように構成されている、条項15のシステム。
条項17.有機材料と無機材料の交互層を含む複数の構造層と、複数の構造層に隣接して配置された複数の光起電層とを備える多機能性複合材パネルであって、複数の光起電層が、光エネルギーを電力に変換するように構成されており、多機能性複合材パネルが約1mmから約30mmの厚さを有する、多機能性複合材パネル。
条項18.交互層の無機材料が、酸化アルミニウム(Al)、グラフェン、シリコン酸化物、又はこれらの任意の組み合わせのうちの一又は複数を含み、交互層の有機材料が一又は複数の熱可塑性プラスチックを含み、一又は複数の熱可塑性プラスチックが、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、又はこれらの組み合わせのうちの一又は複数を含む、条項17の多機能性複合材パネル。
条項19.光の透過率により測定した場合に約30%から約95%の透明度、15.0E6m/s以上の面内比剛性、一又は複数の方向に、約0°K-1以上、約50E-6°K-1以下の熱膨張係数、約150kN.m/Kg以上の面内比強度(δx/ρ)、及び約1.5g/cmから約2.20g/cmの密度のうちの一又は複数を含む、条項17又は18の多機能性複合材パネル。
条項20.構造繊維を実質的に有さない、条項17-19のいずれかの多機能性複合材パネル。
【0064】
[0068]本開示は、例示的実装態様を参照して記載された。限定された数の実装態様が示され、記載されたが、当業者であれば、それら実装態様が、先行する詳細な説明の原理及び精神から逸脱せずに変更可能であることを理解するであろう。本開示は、特許請求の範囲又はその等価物に含まれる限りにおいて、そのようなすべての修正及び変更を含むことを意図している。
図1
図2
図3A
図3B
図4