(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】回転翼航空機のための近接レーダ方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
B64D 45/00 20060101AFI20240705BHJP
B64C 27/04 20060101ALI20240705BHJP
G01S 7/02 20060101ALI20240705BHJP
G01S 13/46 20060101ALI20240705BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20240705BHJP
H01Q 1/28 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
B64D45/00 A
B64C27/04
G01S7/02 210
G01S13/46
H01Q21/06
H01Q1/28
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019226159
(22)【出願日】2019-12-16
【審査請求日】2022-11-18
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】511148123
【氏名又は名称】タレス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨアン・ベラック
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー・アンコンスタント
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・ガレック
(72)【発明者】
【氏名】リシャール・モンティニー
(72)【発明者】
【氏名】パスカル・コルニク
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-215309(JP,A)
【文献】特表平11-505696(JP,A)
【文献】特開2011-050114(JP,A)
【文献】特開2017-026618(JP,A)
【文献】米国特許第04179193(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 45/00
B64C 27/04
G01S 7/02
G01S 13/46
H01Q 21/06
H01Q 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのレーダセンサを含む近接レーダシステムにより実施される回転翼航空機のための近接レーダ方法であって、前記少なくとも1つのレーダセンサは、
-自然数N(2以上)の受信セクタ(6,8;206,208,210,212;506
1,506
2,...,504
N)と少なくとも1つの発射セクタ(508)とで形成されたアンテナパネル(4;204;504);
-N個の受信セクタを独立に復調し次にそれぞれデジタル化するように構成されたN個の受信チャネル(32,52;280,290,300,310;510
1,510
2,...,510
N);
-前記少なくとも1つの発射セクタにより発射されるレーダ搬送波上のレーダ発射波形を変調するように構成された発射チャネル;
-近接レーダ処理操作を実施するように及び方向/距離地図データを融合するように構成された電子計算機(72;332;514);及び、
-前記航空機の前記近接状況を表示するためのディスプレイ(74;334;516)を有し;
前記N個の受信セクタ(6,8;206,208,210,212;506
1,506
2,...,504
N)は所定の共通中心点Oの周囲に分散され;
前記N個の受信セクタ(6,8;206,208,210,212;506
1,506
2,...,506
N)のそれぞれは、方位角の観点で及び/又は仰角の観点でのその位置が前記それらのセクタの中心点Oと周囲との間で変化する同一数NK(2以上)のユニタリ放射グループを有し、同一放射パターンで同一指示方向に向き;
ユニタリ放射グループは、同一の所定パターンで配置されるとともにセクタのサイズと比較して小さいエリアを局所的にカバーする一組の同一の所定非零自然数NJの放射素子であり、
前記近接レーダ方法は、k(1からNKまで変化する)に応じて逐次的に実行される工程の一連の段階T(k)を含み:
工程の各段階T(k)は、ローブ幅によるコンピュータ的受信ビーム形成中に、及び前記時間的ランクkに応じて変化する数のネットワークローブの出現中に合成パターンを相関で生成するように、並びに前記ネットワークローブに関連する前記検出された障害物曖昧性が前記段階T(k)に先立つ及び/又は続く前記段階又は段階群において提供される地図のおかげで除去される方位角距離/方向及び/又は仰角距離/方向セルの観点で周囲のランクkの地図を確立するように、前記電子計算機が、前記ランクkに関連する干渉パターンM(k)により、方位角の観点で及び/又は仰角の観点でその位置が同一位置を再び通過すること無く前記中央点Oとそれらのセクタの前記周囲との間の前記時間的ランクkに応じて変化する前記干渉パターンM(k)に関連するN個の活性放射グループを受信セクタ当たり1つの放射グループの速度で活性化することにある、方法。
【請求項2】
-前記N個の受信セクタ(6,8;206,208,210,212;506
1,506
2,...,504
N)は所定の共通中心点Oの周囲に角度的に分散され;
-前記N個の受信セクタ(6,8;206,208,210,212;506
1,506
2,...,506
N)のそれぞれは、それらのセクタの前記周囲の方向の方位角の観点で及び/又は仰角の観点で偏位する同一数NK(2以上)のユニタリ放射グループを有し、同一放射パターンで同一指示方向に向き;
-前記近接レーダ方法の工程の前記一連の段階T(k)(kは1からNKまで変化する)は以下のことを特徴とする:
-第1の段階T(1)では、前記電子計算機は、コンピュータ的受信ビーム形成中に明確な合成パターンを取得するように、受信セクタ当たり1つの活性放射グループの速度で前記受信セクタの前記共通中心点Oに最も近いN個の活性放射グループを第1の干渉パターンM(1)により活性化し;次に、
-kの昇順で逐次的に実行される以下の工程の段階T(k)では(kは2からNKまで変化する)、
工程の前記段階T(k)は、先のパターンM(k-1)の前記ローブの1/2のローブ幅によるコンピュータ的受信ビーム形成中に、及び2
*(2k-1)に等しい数のネットワークローブの出現中に合成パターンを相関で生成するように、並びに前記ネットワークローブに関連する前記検出された障害物曖昧性が前記段階T(k)に先立つ段階又は段階群において提供される地図のおかげで除去される方位角距離/方向及び/又は仰角距離/方向セルの観点で前記周囲のランクKの地図を確立するように、前記電子計算機が、前記ランクkに関連する干渉パターンM(k)により、前記時間的ランクkが大きくなればなるほど方位角の観点で及び/又は仰角の観点でより大きく偏位する前記パターンM(k)に関連するN個の活性放射グループを受信セクタ当たり1つの放射グループの速度で活性化することにある、請求項1に記載の近接レーダ方法。
【請求項3】
工程の段階T(k)(kは1からNKまで変化する)毎に、前記電子計算機は第1の工程(104;404;604)、第2の工程(106;406;606)、及び第3の工程(108;608)を実行し;
前記段階T(k)において実行される前記第1の工程(104;404;604)は、干渉パターンM(k)に関連するN個のユニタリ放射グループを前記電子計算機が活性化することにあり、
1に等しいkに関し、第1のパターンM(1)は、受信セクタ当たり1つの活性放射グループの速度で、前記受信セクタの前記共通中心点Oに最も近い前記N個の活性放射グループで形成され、
2~NKのkに関し、次数kの前記パターンM(k)は、受信セクタ当たり1つの活性放射グループの速度で、先のパターンM(k-1)の前記活性放射グループから方位角の観点で及び仰角の観点で同時に偏位する最隣接のN個の活性放射グループで形成され;前記パターンM(k)に関連する前記N個の受信セクタにより受信される前記信号は、対応するデジタル化チャネル上で独立に復調及びデジタル化され、前記電子計算機へ供給され;
前記段階T(k)(kは1~NKである)において実行される前記第2の工程(106;406;606)は、2つの合成ビームが、好適な位相シフト操作により前記受信セクタからの前記N個の信号を組み合わせることにより、前記N個の復調及びデジタル化されたセクタからの前記信号に基づき前記電子計算機による計算を介し形成され、2
*(2k-1)個のネットワークローブが、2に等しいランクkから始まる前記合成ビームにおいて生成され、
前記段階T(k)において実行される第3の工程(108;608)は、前記コンピュータが、方向余弦として表現される方位角距離/方向セル及び/又は方向及び方向/距離余弦として表現される仰角距離/方向セルの観点で前記周囲のランクkの地図を、ランクkの前記パターンM(k)に関して計算された前記合成ビームに基づき確立し、及び潜在的に検出される障害物曖昧性を除去するためにランクkの前記地図と先のランクk-1(kは2以上)の前記地図とを融合することにある、請求項2に記載の近接レーダ方法。
【請求項4】
2以上の所定ランクkから始まる各段階T(k)の前記第3の工程後に実行される表示工程をさらに含む請求項3に記載の近接レーダ方法であって、前記ディスプレイ(74;334;516)は、前記航空機の前記近接状況を表示するように、並びに近づく危険性及び警告をハイライトするように構成される、方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの発射セクタは前記受信セクタ内に含まれ、前記近接レーダはモノスタティックモードで動作する、又は、前記少なくとも1つの発射セクタは前記受信セクタから遠く離れており、前記近接レーダはバイスタティックモードで動作する、請求項1~4のいずれか一項に記載の近接レーダ方法。
【請求項6】
前記レーダがバイスタティックモードで動作する場合、前記受信セクタの前記ユニタリ放射グループと同じ指示方向を向くように構成され同じ放射パターンを有する少なくとも1つのユニタリ発射放射グループが静的に活性化される;及び/又は前記受信セクタの前記ユニタリ放射グループと同じ指示方向を向くように構成され同じ放射パターンを有する少なくとも2つのユニタリ発射放射グループは、前記放射グループの前記活性化を少なくとも1つの循環ベクトル(486)に続くように循環させることにより動的に活性化される、請求項5に記載の近接レーダ方法。
【請求項7】
少なくとも1つのレーダセンサを含む回転翼航空機のための近接レーダシステムであって、前記少なくとも1つのレーダセンサは、
-自然数N(2以上)の受信セクタ(6,8;206,208,210,212;506
1,506
2,...,506
N)と少なくとも1つの発射セクタ(508)とで形成されたアンテナパネル(4;204;504);
-N個の受信セクタを独立に復調し次にそれぞれデジタル化するように構成されたN個の受信チャネル(32,52;280,290,300,310;510
1,510
2,...,510
N);
-少なくとも1つの発射セクタにより発射されるレーダ搬送波上のレーダ発射波形を変調するように構成された発射チャネル(512);
-近接レーダ処理操作を実施するように及び方向/距離地図データを融合するように構成された電子計算機(72;332;514);及び、
-前記航空機の前記近接状況を表示するためのディスプレイ(74;334;516)
を有し、
前記N個の受信セクタ(6,8;206,208,210,212;506
1,506
2,...,506
N)は所定の共通中心点Oの周囲に分散され;前記N個の受信セクタ(6,8;206,208,210,212;506
1,506
2,...,506
N)のそれぞれは、方位角の観点で及び/又は仰角の観点でのその位置が前記それらのセクタの中心点Oと周囲との間で変化する同一数NK(2以上)のユニタリ放射グループを有し、同一放射パターンで同一指示方向に向き;
ユニタリ放射グループは、同一の所定パターンで配置されるとともにセクタのサイズと比較して小さいエリアを局所的にカバーする一組の同一の所定非零自然数NJの放射素子であり、
前記電子計算機(72;332;514)は工程の一連の段階T(k)(kは1からNKまで変化する)を実行することにより近接レーダ方法を実施するように構成され、
工程の各段階T(k)は、ローブ幅によるコンピュータ的受信ビーム形成中に、及び前記時間的ランクkに応じて変化する数のネットワークローブの出現中に合成パターンを相関で生成するように、並びに前記ネットワークローブに関連する前記検出された障害物曖昧性が前記段階T(k)に先立つ及び/又は続く段階又は段階群において提供される前記地図のおかげで除去される方位角距離/方向及び/又は仰角距離/方向セルの観点で前記周囲のランクkの地図を確立するように、前記電子計算機が、ランクkに関連する干渉パターンM(k)により、方位角の観点で及び/又は仰角の観点でその位置が前記時間的ランクkに応じて変化する前記干渉パターンM(k)に関連するN個の活性放射グループを受信セクタ当たり1つの放射グループの速度で活性化することにある、近接レーダシステム。
【請求項8】
-前記N個の受信セクタ(6,8;206,208,210,212;506
1,506
2,...,506
N)は所定の共通中心点Oの周囲に角度的に分散され;
-前記N個の受信セクタ(6,8;206,208,210,212;506
1,506
2,...,506
N)のそれぞれは、それらのセクタの周囲の方向の方位角の観点で及び/又は仰角の観点で偏位する同一数NK(2以上)のユニタリ放射グループを有し、同一放射パターンで同一指示方向に向き;
-前記工程の一連の段階T(k)(kは1からNKまで変化する)は:前記電子計算機が、コンピュータ的受信ビーム形成中に明確な合成パターンを取得するように、受信セクタ当たり1つの活性放射グループの速度で前記受信セクタの前記共通中心点Oに最も近いN個の活性放射グループを第1の干渉パターンM(1)により活性化する第1の段階T(1)で開始することにより;及び次に、工程の前記段階T(k)(kは2からNKまで変化する)であって、先のパターンM(k-1)の前記ローブの1/2のローブ幅によるコンピュータ的受信ビーム形成中に、及び2
*(2k-1)に等しい数のネットワークローブの出現中に合成パターンを相関で生成するように、並びに前記ネットワークローブに関連する前記検出された障害物曖昧性が前記段階T(k)に先立つ段階又は段階群において提供される前記地図のおかげで除去される方位角距離/方向及び/又は仰角距離/方向セルの観点で前記周囲の地図を確立するように、前記電子計算機が、前記ランクkに関連する干渉パターンM(k)により、前記時間的ランクkが大きくなればなるほど方位角の観点で及び/又は仰角の観点でより大きく偏位する前記パターンM(k)に関連するN個の活性放射グループを受信セクタ当たり1つの放射グループの速度で活性化することにある段階T(k)を逐次的に実行することにより、実施される、請求項7に記載の近接レーダシステム。
【請求項9】
前記N個の受信セクタの各ユニタリ放射グループは単一放射素子で形成され、前記N個の受信セクタの前記放射素子のすべては同一放射パターンを有する;又は
前記N個の受信セクタの各ユニタリ放射グループは同一数NJ(2以上)の放射素子で形成され、前記放射素子は前記レーダ搬送波の1波長λ未満だけ互いに離間される、請求項7又は8のいずれかに記載の近接レーダシステム。
【請求項10】
前記N個の受信セクタの各ユニタリ放射グループは同一数NJ(2以上)の放射素子で形成され、前記放射素子は前記レーダ搬送波の1波長λ未満だけ互いに離間され、前記ユニタリ放射グループのすべては前記アンテナパネル上で同一に配向され;
各ユニタリ放射グループを形成する前記放射素子は前記ユニタリ放射グループが属する前記受信セクタのチャネルの(同一加算回路と並列に接続された)移相器の同一ネットワークにより互いに位相シフトされる、請求項9に記載の近接レーダシステム。
【請求項11】
前記N個の受信セクタの各ユニタリ放射グループは、前記レーダ搬送波の1波長λ未満だけ互いに離間された2つの放射素子で形成され、その仰角の軸に沿った前記アンテナパネル上で互いにアライメントされ;
各ユニタリ放射グループを形成する前記2つの放射素子は、非零仰角及び零アジマス角を有する前記放射グループ点のすべてが同一方向に向くように同一角度Δαだけ互いに位相シフトされる、請求項10に記載の近接レーダシステム。
【請求項12】
各受信セクタの前記NK個のユニタリ放射グループは前記中心点Oに近いエリアから始まり前記受信セクタの前記周囲の方向に行く前記受信セクタの二等分線にほぼ沿って規則的に配置される、請求項7~11のいずれか一項に記載の近接レーダシステム。
【請求項13】
少なくとも1つの発射セクタが前記受信セクタ内に含まれ、前記近接レーダシステムはモノスタティックである;又は
少なくとも1つの発射セクタは前記受信セクタから遠く離れており、前記近接レーダシステムはバイスタティックである、請求項7~12のいずれか一項に記載の近接レーダシステム。
【請求項14】
前記レーダシステムはバイスタティックであり;
前記受信セクタの前記ユニタリ放射グループと同じ指示方向を向くように構成され同じ放射パターンを有する少なくとも1つのユニタリ発射放射グループが静的に活性化される;
及び/又は前記受信セクタの前記ユニタリ放射グループと同じ指示方向を向くように構成され同じ放射パターンを有する少なくとも2つのユニタリ発射放射グループは、前記活性放射グループの活性化を少なくとも1つの循環ベクトルに続くように循環させることにより動的に活性化される、請求項7~13のいずれか一項に記載の近接レーダシステム。
【請求項15】
前記電子計算機(72;332;514)は、工程の各段階T(k)(kは1からNKkまで変化する)において、第1の工程(104;404;604)、第2の工程(106;406;606)及び第3の工程(108;608)を実行するように構成され;
前記段階T(k)において実行される前記第1の工程(104;404;604)は、干渉パターンM(k)に関連するN個のユニタリ放射グループを前記電子計算機が活性化することにあり、
1に等しいkに関し、前記第1のパターンMは、受信セクタ当たり1つの活性放射グループの速度で、前記受信セクタの前記共通中心点Oに最も近い前記N個の活性放射グループで形成され、
2~NKのkに関し、次数kのパターンM(k)は、受信セクタ当たり1つの活性放射グループの速度で、先のパターンM(k-1)の前記活性放射グループから方位角の観点で及び/又は仰角の観点で偏位する最隣接のN個の活性放射グループで形成され;前記パターンM(k)に関連する前記N個の受信セクタにより受信される前記信号は、対応するデジタル化チャネル上で独立に復調及びデジタル化され、前記電子計算機へ供給され;前記段階T(k)(kは1~NKである)において実行される前記第2の工程(106;406;606)は、2つの合成ビームが、好適な位相シフト操作により前記受信セクタからの前記N個の信号を組み合わせることにより、前記N個の復調及びデジタル化されたセクタからの前記信号に基づき前記電子計算機による計算を介し形成され、
2
*(2k-1)個のネットワークローブが、2に等しいランクkから始まる前記合成ビームにおいて生成されることにあり、
前記段階T(k)において実行される第3の工程(108;608)は、前記コンピュータが、方向余弦として表現される方位角距離/方向セル及び/又は方向及び方向/距離余弦として表現される仰角距離/方向セルの観点で前記周囲のランクkの地図を、ランクkの前記パターンM(k)に関して計算された前記合成ビームに基づき確立し、潜在的に検出される障害物曖昧性を除去するためにランクkの前記地図と先のランクk-1(kは2以上)の前記地図とを融合することにある、請求項7~14のいずれか一項に記載の近接レーダシステム。
【請求項16】
前記ディスプレイ(74;334;516)は前記航空機の近接状況を表示するように、並びに近づく危険性及び警告をハイライトするように構成される、請求項7~15のいずれか一項に記載の近接レーダシステム。
【請求項17】
前記搬送波の保護バブルを形成するように前記航空機の前記搬送波の周囲に配置された3つの同一レーダセンサを含む請求項7~16のいずれか一項に記載の近接レーダシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は回転翼航空機のための近接レーダ方法及びシステムに関する。
【0002】
本発明の技術分野は、ヘリコプタ(より一般的には回転翼航空機)によるすぐそばの障害物の検出及び衝突防止のための、レーダシステム及びその使用の分野である。
【背景技術】
【0003】
本発明の文脈はヘリコプタ搭乗時の航行安全性に関する。ヘリコプタ事故の大多数は、離陸段階中、着陸段階中、静止又は低速飛行中、又はそうでなければ崖又はビルなどの障害物に近づく移動中に発生する衝突により引き起こされる。このリスクは、環境条件が劣化され、これにより(例えば夜間条件、雨、霧又は塵雲により)パイロットの視界が低下されるとさらに大きくなる。
【0004】
したがって、衝突リスクを著しく低減するために、外部条件にかかわらず動作する障害物検出装置又はシステムの必要性がある。
【0005】
この装置は、乗組員が衝突危険性に関して十分に早く警告されるように、光学的視認条件にかかわらず乗組員に近傍のパノラマ景観を提供することができるべきである。
【0006】
この装置はまた、ヘリコプタ上のその設置の観点での厳しい制約に適合すべきであり、この制約は、質量、消費電力、嵩、測位及び費用の観点での要件を含む。
【0007】
さらに、本装置により行われる機能は、特に障害物の直近傍における演習中に、潜在的衝突危険性を可能な限り予想されることを可能にするのに十分短いリフレッシュ時間で非常に大きなカバレッジ角度を有するべきである。
【0008】
知られているように、近接性検出の問題に対処するために多数の技術的解決策が現在存在する。
【0009】
第1の技術は、潜在的障害物を見つけ出すデジタル地形図に関連する搬送波を見つけ出すためにGPS(全地球測位システム)データを使用することに基づく。この解決策は、より一般的に入手可能なGPS受信機だけを使用するという利点を有する。しかし、過度に粗い分解能及び過度に長い測位リフレッシュ時間などGPSシステムに伴う大きな欠点がある。これらの欠点は中央ナビゲーションシステムからのデータを使用することにより克服されることができるが、いくつかのエリア内で妨害され得る又は利用不能であり得るGPSシステムの劣悪な頑強性の欠点が依然として残る。さらに、このシステムは、必ずしも最新でない又は精度を欠き得る地形モデルに基づく。特に、車両又は一時的設備は、地形モデル内で参照されず、したがって、これらの未掲載障害物に遭遇する際にシステムの信頼性の観点で問題を引き起こす。したがって、地図に基づきGPS測位を使用するシステムは、測位の完全性及び地図の網羅性の観点で弱点を有する。
【0010】
第2の知られた技術は、ヘリコプタの周囲の光学的マッピングを行うためにレーザセンサを使用することにその本質がある。この解決策は、例えば霧又は雨の天候において又はそうでなければ太陽に直面する際など視界の低下条件では働かないという欠点を有する。
【0011】
第3の技術は、レーダセンサベースシステムを纏め、これにより光学的視認度が劣悪な場合でさえ地図を得ることを可能にする。
【0012】
機械式走査レーダベースシステムは、広い走査範囲と短いリフレッシュ時間との妥協点に適合することを可能にしない。
【0013】
静的レーダベースシステムでは、一方で電子走査レーダを実装する設備と他方で多数の静的レーダセンサ又は検出器の使用に基づく設備との間の区別がなされる。
【0014】
電子走査ベースシステムはヘリコプタの周辺空間を走査することによりマッピングを行う。所望の衝突防止アプリケーションが非常に大きな角度カバレッジを必要とする場合、生成される走査像は長いリフレッシュ時間又はそうでなければ空中の各方向の短い照射時間を有する。したがって、非常に大きな角度カバレッジにわたる電子走査の使用は所望アプリケーションの必要要件と合致することが困難であり、これにより、ドップラー速度の精密な測定から恩恵を受けるために、短いリフレッシュ時間と可能な限り長い照射時間とが必要とされる。ドップラー速度を測定することは周囲のより良いマッピングを取得することと潜在的危険をより良く識別及び予想することとを可能にするということが想起される。
【0015】
ヘリコプタの周囲に多数の静的センサを設置することに基づくレーダシステムは、空間の連続的カバレッジを得ることを可能にする。しかし、微角度分解能を得ることは多数のセンサを使用することに関わる。複数のセンサは、価格、設置の容易さ、及び搬送波上の統合化に影響を及ぼす。1つの代替案は、コンピュータ的ビーム形成アンテナ(computational beamforming antenna)を使用することにその本質がある。これらのアンテナは複数の別々の受信チャネルを有する。このとき、空間の大部分において発射及び受信することが可能である。個別受信チャネルのそれぞれをデジタル化することで、デジタル処理を介しビームを同時に帰納的に形成することを可能にする。システムのカバレッジ領域のサイズと角度分解能との間の妥協点は、デジタル化及び処理される別々のチャネルの数に反映され、このことはまず第1にこの解決策の複雑性及び費用に影響を与える。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明により解決される第1の技術的問題は、回転翼航空機のための近接レーダ方法及びシステムの複雑性を低下することであり、レーダシステムは、監視される広い画角をカバーしており、システムが効果的となるために必要な速いリフレッシュ速度を有する。
【0017】
本発明により解決される第2の技術的問題は、回転翼航空機の近接レーダシステムのレーダセンサの数、並びに独立した発射及び/又は受信チャネルの数を低減することであり、レーダシステムは、監視される広い画角をカバーしており、システムが効果的となるために必要な速いリフレッシュ速度を有する。
【0018】
本発明により解決される第3の技術的問題は、回転翼航空機の近接レーダシステムの質量及び嵩を低減すること、及び/又は一体化をより容易にすることであり、レーダシステムは、監視される広い画角をカバーしており、システムが効果的となるために必要な速いリフレッシュ速度を有する。
【0019】
この目的を達成するために、本発明の1つの主題は、少なくとも1つのレーダセンサを含む近接レーダシステムにより実施される回転翼航空機のための近接レーダ方法である。少なくとも1つのレーダセンサは、自然数N(2以上)の受信セクタと少なくとも1つの発射セクタとで形成されたアンテナパネル;N個の受信セクタを独立に復調し次にそれぞれデジタル化するように構成されたN個の受信チャネル;少なくとも1つの発射セクタにより発射されるレーダ搬送波上のレーダ発射波形を変調するように構成された発射チャネル;近接レーダ処理操作を実施するように且つ方向/距離地図データを融合するように構成された電子計算機;及び航空機の近接状況を表示するためのディスプレイを含み、N個の受信セクタは所定の共通中心点Oの周囲に分散され;N個の受信セクタのそれぞれは、方位角の観点で及び/又は仰角の観点でのその位置がそれらのセクタの中心点Oと周囲との間で変化する同一数NK(2以上)のユニタリ放射グループを有し、同一放射パターンで同一指示方向に向く。
【0020】
近接レーダ方法は、k(kは1からNKまで変化する)に応じて逐次的に実行される工程の一連の段階T(k)を含む。工程の各段階T(k)は、ローブ幅によるコンピュータ的受信ビーム形成中に、及び時間的ランクkに応じて変化する数のネットワークローブの出現中に合成パターンを相関で生成するように、並びにネットワークローブに関連する検出された障害物曖昧性が段階T(k)に先立つ及び/又は続く1つ又は複数の段階において提供される地図のおかげで除去される方位角距離/方向及び/又は仰角距離/方向セルの観点で周囲のランクkの地図を確立するように、電子計算機が、ランクkに関連する干渉パターンM(k)により、方位角の観点で及び/又は仰角の観点でその位置が同一位置を再び通過すること無くそれらのセクタの中心点Oと周囲との間の時間的ランクkに応じて変化する前記干渉パターンM(k)に関連するN個の活性放射グループを受信セクタ当たり1つの放射グループの速度で活性化することにその本質がある。
【0021】
特定実施形態によると、近接レーダ方法は以下の特徴のうちの1つ又は複数を単独で又は組み合わせで含む:
-N個の受信セクタは所定の共通中心点Oの回りに角度的に分散され;N個の受信セクタのそれぞれは、それらのセクタの周囲の方向の方位角の観点で及び/又は仰角の観点で偏位する同一数NK(2以上)のユニタリ放射グループを有し、同一放射パターンで同一指示方向に向く;近接レーダ方法の工程の一連の段階T(k)(kは1からNKまで変化する)は以下のことを特徴とする:第1の段階T(1)では、電子計算機は、コンピュータ的受信ビーム形成中に明確な合成パターンを取得するように、受信セクタ当たり1つの活性放射グループの速度で受信セクタの共通中心点Oに最も近いN個の活性放射グループを第1の干渉パターンM(1)により活性化する;次に、k(kは2からNKまで変化する)の昇順で逐次的に実行される続く工程の段階T(k)では、工程の段階T(k)は、電子計算機が、先のパターンM(k-1)のローブの1/2のローブ幅によるコンピュータ的受信ビーム形成中に、及び2*(2k-1)に等しい数のネットワークローブの出現中に合成パターンを相関で生成するように、並びにネットワークローブに関連する検出された障害物曖昧性が段階T(k)に先立つ1つ又は複数の段階において提供される地図のおかげで除去される方位角距離/方向及び/又は仰角距離/方向セルの観点で周囲のランクkの地図を確立するように、ランクkに関連する干渉パターンM(k)により、時間的ランクkが大きくなればなるほど方位角の観点で及び/又は仰角の観点でより大きく偏位する前記パターンM(k)に関連するN個の活性放射グループを受信セクタ当たり1つの放射グループの速度で活性化することにその本質がある;
-工程の段階T(k)(kは1からNKまで変化する)毎に、電子計算機は第1の工程、第2の工程、及び第3の工程を実行する;段階T(k)において実行される第1の工程は、干渉パターンM(k)に関連するN個のユニタリ放射グループを電子計算機が活性化することにその本質があり、ここで、1に等しいkに関し、第1のパターンM(1)は、受信セクタ当たり1つの活性放射グループの速度で、受信セクタの共通中心点Oに最も近いN個の活性放射グループで形成され、2~NKのkに関し、次数kのパターンM(k)は、受信セクタ当たり1つの活性放射グループの速度で、先のパターンM(k-1)の活性放射グループから方位角の観点で及び仰角の観点で同時に偏位する最隣接のN個の活性放射グループで形成され;パターンM(k)に関連するN個の受信セクタにより受信される信号は、対応するデジタル化チャネル上で独立に復調及びデジタル化され、電子計算機へ供給され;段階T(k)(kは1~NKである)において実行される第2の工程は、2つの合成ビームが、好適な位相シフト操作により受信セクタからの前記N個の信号を組み合わせることにより、N個の復調及びデジタル化されたセクタからの信号に基づき電子計算機による計算を介し形成され、2*(2k-1)個のネットワークローブが、2に等しいランクkから始まる前記合成ビームにおいて生成されることにその本質がある;段階T(k)において実行される第3の工程は、コンピュータが、方向余弦として表現される方位角距離/方向セル及び/又は方向及び方向/距離余弦として表現される仰角距離/方向セルの観点で周囲のランクkの地図を、ランクkのパターンM(k)に関して計算された合成ビームに基づき確立し、潜在的に検出される障害物曖昧性を除去するためにランクkの地図と先のランクk-1(kは2以上)の地図とを融合することにその本質がある;
-上に定義された近接レーダ方法はさらに、2以上の所定ランクkから始まる各段階T(k)の第3の工程後に実行される表示工程を含み、ディスプレイは、近づく危険及び警告をハイライトするために航空機の近接状況を表示するように構成される;
-少なくとも1つの発射セクタが受信セクタ内に含まれ、近接レーダはモノスタティックモードで動作する;又は少なくとも1つの発射セクタは受信セクタから遠く離れており、近接レーダはバイスタティックモードで動作する;
-レーダがバイスタティックモードで動作する場合、受信セクタのユニタリ放射グループと同じ指示方向を向くように構成され同じ放射パターンを有する少なくとも1つのユニタリ発射放射グループが静的に活性化される;及び/又は受信セクタのユニタリ放射グループと同じ指示方向を向くように構成され同じ放射パターンを有する少なくとも2つのユニタリ発射放射グループが、活性放射グループの活性化を少なくとも1つの循環ベクトルに続くように循環させることにより動的に活性化される。
【0022】
本発明の別の主題は、少なくとも1つのレーダセンサを含む回転翼航空機の近接レーダシステムである。少なくとも1つのレーダセンサは、自然数N(2以上)の受信セクタと少なくとも1つの発射セクタとで形成されたアンテナパネル;N個の受信セクタを独立に復調し次にそれぞれデジタル化するように構成されたN個の受信チャネル;少なくとも1つの発射セクタにより発射されるレーダ搬送波上のレーダ発射波形を変調するように構成された発射チャネル;近接レーダ処理操作を実施するように及び方向/距離地図データを融合するように構成された電子計算機;及び航空機の近接状況を表示するためのディスプレイを有し;N個の受信セクタは所定の共通中心点Oの周囲に分散され;N個の受信セクタのそれぞれは、方位角の観点で及び/又は仰角の観点でのその位置がそれらのセクタの中心点Oと周囲との間で変化する同一数NK(2以上)のユニタリ放射グループを有し、同一放射パターンで同一指示方向に向く。
【0023】
電子計算機は工程の一連の段階T(k)(kは1からNKまで変化する)を実行することにより近接レーダ方法を実施するように構成され、工程の各段階T(k)は、ローブ幅によるコンピュータ的受信ビーム形成中に、及び時間的ランクkに応じて変化する数のネットワークローブの出現中に合成パターンを相関で生成するように、並びにネットワークローブに関連する検出された障害物曖昧性が段階T(k)に先立つ及び/又は続く1つ又は複数の段階において提供される地図のおかげで除去される方位角距離/方向及び/又は仰角距離/方向セルの観点で周囲のランクkの地図を確立するように、電子計算機が、ランクkに関連する干渉パターンM(k)により、方位角の観点で及び/又は仰角の観点でその位置が時間的ランクkに応じて変化する前記干渉パターンM(k)に関連するN個の活性放射グループを受信セクタ当たり1つの放射グループの速度で活性化することにその本質がある。
特定実施形態によると、近接レーダシステムは以下の特徴のうちの1つ又は複数を単独で又は組み合わせで含む:
-N個の受信セクタは、所定の共通中心点Oの回りに角度的に分散され;N個の受信セクタのそれぞれは、それらのセクタの周囲の方向の方位角の観点で及び/又は仰角の観点で偏位する同一数NK(2以上)のユニタリ放射グループを有し、同一放射パターンで同一指示方向に向く;工程の一連の段階T(k)(kは1からNKまで変化する)は:計算機が、コンピュータ的受信ビーム形成中に明確な合成パターンを取得するように、受信セクタ当たり1つの活性放射グループの速度で受信セクタの共通中心点Oに最も近いN個の活性放射グループを第1の干渉パターンM(1)により活性化する第1の段階T(1)で開始することにより;次に、工程の段階T(k)(kは2からNKまで変化する)であって、先のパターンM(k-1)のローブの1/2のローブ幅によるコンピュータ的受信ビーム形成中に、及び2*(2k-1)に等しい数のネットワークローブの出現中に合成パターンを相関で生成するように、並びにネットワークローブに関連する検出された障害物曖昧性が段階T(k)に先立つ1つ又は複数の段階において提供される地図のおかげで除去される方位角距離/方向及び/又は仰角距離/方向セルの観点で周囲の地図を確立するように、電子計算機が、ランクkに関連する干渉パターンM(k)により、時間的ランクkが大きくなればなるほど方位角の観点で及び/又は仰角の観点でより大きく偏位する前記パターンM(k)に関連するN個の活性放射グループを受信セクタ当たり1つの放射グループの速度で活性化することにその本質がある工程の段階T(k)を逐次的に実行することにより、実施される;
-N個の受信セクタの各ユニタリ放射グループは単一放射素子で形成され、N個の受信セクタの放射素子のすべては同一放射パターンを有する;又はN個の受信セクタの各ユニタリ放射グループは同一数NJ(2以上)の放射素子で形成され、レーダ搬送波は放射素子の1波長λ未満だけ互いに離間される;
-N個の受信セクタの各ユニタリ放射グループは同一数NJ(2以上)の放射素子で形成され、放射素子はレーダ搬送波の1波長λ未満だけ互いに離間され、ユニタリ放射グループのすべてはアンテナパネル上で同一に配向される;各ユニタリ放射グループを形成する放射素子は、ユニタリ放射グループが属する受信セクタのチャネルの(同一加算回路と並列に接続された)移相器の同一ネットワークにより互いに位相シフトされる;
-N個の受信セクタの各ユニタリ放射グループは、レーダ搬送波の1波長λ未満だけ互いに離間された2つの放射素子で形成され、その仰角の軸に沿ったアンテナパネル上で互いにアライメントされ;各ユニタリ放射グループを形成する2つの放射素子は、非零仰角及び零アジマス角を有する放射グループ点のすべてが同一方向に向くように同一角度Δαだけ互いに位相シフトされる;
-各受信セクタのNK個のユニタリ放射グループは、規則的に、中心点Oに近いエリアから始まり前記受信セクタの周囲の方向に行く前記受信セクタの二等分線にほぼ沿って、配置される;
-少なくとも1つの発射セクタが受信セクタ内に含まれ、近接レーダシステムはモノスタティックである;又は少なくとも1つの発射セクタは受信セクタから遠く離れており、近接レーダシステムはバイスタティックである;
-レーダシステムはバイスタティックであり;受信セクタのユニタリ放射グループと同じ指示方向を向くように構成され同じ放射パターンを有する少なくとも1つのユニタリ発射放射グループが静的に活性化される;及び/又は受信セクタのユニタリ放射グループと同じ指示方向を向くように構成され同じ放射パターンを有する少なくとも2つのユニタリ発射放射グループが、活性放射グループの活性化を少なくとも1つの循環ベクトルに続くように循環させることにより動的に活性化される。
-電子計算機は、工程の各段階T(k)(kは1からNKまで変化する)において、第1の工程、第2の工程、及び第3の工程を実行するように構成される;段階T(k)において実行される第1の工程は、干渉パターンM(k)に関連するN個のユニタリ放射グループを電子計算機が活性化することにその本質があり、ここで、1に等しいkに関し、第1のパターンM(1)は、受信セクタ当たり1つの活性放射グループの速度で、受信セクタの共通中心点Oに最も近いN個の活性放射グループで形成され、2~NKのkに関し、次数kのパターンM(k)は、受信セクタ当たり1つの活性放射グループの速度で、先のパターンM(k-1)の活性放射グループから方位角の観点で及び/又は仰角の観点で偏位する最隣接のN個の活性放射グループで形成され;パターンM(k)に関連するN個の受信セクタにより受信される信号は、対応するデジタル化チャネル上で独立に復調及びデジタル化され、電子計算機へ供給され;段階T(k)(kは1~NKである)で実行される第2の工程は、2つの合成ビームが、好適な位相シフト操作により受信セクタからの前記N個の信号を組み合わせることにより、N個の復調及びデジタル化されたセクタからの信号に基づき電子計算機による計算を介し形成され、2*(2k-1)個のネットワークローブが、2に等しいランクkから始まる前記合成ビームにおいて生成されることにその本質があり;段階T(k)において実行される第3の工程は、コンピュータが、方向余弦として表現される方位角距離/方向セル及び/又は方向及び方向/距離余弦として表現される仰角距離/方向セルの観点で周囲のランクkの地図を、ランクkのパターンM(k)に関して計算された合成ビームに基づき確立し、潜在的に検出される障害物曖昧性を除去するためにランクkの地図と先のランクk-1(kは2以上)の地図とを融合することにその本質がある;
-ディスプレイは、航空機の近接状況を表示するように、並びに近づく危険及び警告をハイライトするように構成される;
-上に定義された近接レーダシステムは、搬送波の保護バブルを形成するように航空機の搬送波の周囲に配置された3つの同一レーダセンサを含む。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明は、いくつかの実施形態の以下のもっぱら一例として与えられ添付図面を参照して説明される明細書を読むとより良く理解されることになる。
【0025】
【
図1】本発明の第1の実施形態による近接レーダシステムのアーキテクチャの図である。
【
図2】
図1の近接レーダシステムにより実施される本発明の第1の実施形態による近接レーダ方法の図である。
【
図3】第2の実施形態による近接レーダシステムのアーキテクチャの図である。
【
図4】ユニタリ放射グループの一般的アーキテクチャの説明図である。
【
図5】
図3の近接レーダシステムにより実施される本発明の第2の実施形態による近接レーダ方法の図である。
【
図6】近接レーダがバイスタティックである第3の実施形態による近接レーダシステムのレーダセンサのアンテナパネルの図である。
【
図7】発射が円状である第3の実施形態の一変形態様による近接レーダシステムのレーダセンサのアンテナパネルの図である。
【
図8】
図6において部分的に説明される近接レーダシステムの第3の実施形態を一般化する第4の実施形態による近接レーダシステムのレーダセンサの機能アーキテクチャの図である。
【
図9】
図2と
図5においてそれぞれに説明され
図8の近接レーダシステムにより実施される第1及び第2の実施形態の近接レーダ方法を一般化する近接レーダ方法のフローチャートの図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
例えばヘリコプタなどの回転翼航空機のための本発明による近接レーダシステムはレーダの合成受信放射パターンの動的変化に基づく。この技術は、時間の経過と共に活性化される放射素子のマッピングを修正することに基づく。これは、粗角度分解能を有するが曖昧性無しのものから始まり微角度分解能を有するがネットワーク曖昧性を有するものの方向に移動することにより複数の地図に逐次的にアクセスすることを可能にする。コンピュータ的ビーム形成により取得される連続的地図を組み合わせることで、微角度分解能へのアクセスを与えると同時に曖昧性を除去する。この技術は、少数の受信チャネルにより完全なカバレッジ領域を連続的に照射及び処理することを可能にする。
【0027】
したがって、本発明による近接レーダシステムは、短いリフレッシュ時間で広い視野角をカバーすることと同時に、効果的なドップラー処理を行うために長い照射時間を保証することとを可能にする。
【0028】
図1と簡単なやり方で本発明を示すために一例として与えられる本発明による近接レーダシステムの第1の実施形態とによると、近接レーダシステム2は、互いに隣接しそれぞれアンテナ4の方位角軸u
φに沿って延びる2つの別個の受信セクタ6、8を有するこの場合は送受信器レーダアンテナを形成するアンテナパネル4を有するレーダセンサ3を含む。
図1の左側に位置する第1の受信セクタ6は「左側セクタ」で表され、一方
図1の右側に位置する第2の受信セクタ8は「右側セクタ」で表される。
【0029】
左側受信セクタ6は第1組16の放射素子(この場合は
図1の右から左へER1、ER2、ER3で表される3つの放射素子18、20、22)を有する。
【0030】
右側受信セクタ8は第2組24の放射素子(この場合は
図1の左から右へER4、ER5、ER6で表される3つの放射素子26、28、30)を有する。
【0031】
各放射素子はここではユニタリ放射グループと考えられる(この場合は単一ユニタリ素子に限定される)。
【0032】
一般的に言えば、ユニタリ放射グループは、同一の所定パターンで配置されるとともにセクタのサイズと比較して小さいエリアを局所的にカバーする小さな一組の同一の所定非零自然数NJの放射素子であり、ユニタリ放射グループの放射素子はレーダ搬送波の1波長未満だけ互いに離間される。
【0033】
2つ(NJ=2)の放射素子を有するユニタリ放射グループが近接レーダシステムの第2の実施形態に関して以下に企図され、ユニタリ放射グループの定義の説明が提供されることになる。
【0034】
同一受信セクタの各放射素子は、例えばその電源又は任意の他の手段をオン/オフすることにより活性化され、増幅/減衰及び/又は移相回路を介しアナログ加算回路へ接続されることができる。
【0035】
受信センサ3は、3つの制御可能左側増幅/減衰及び位相シフトアナログ回路34、36、38を有する左側セクタ6の第1の左側デジタル化チャネル32、左側無線周波数加算回路40、中間周波数左側復調器42、及び左側アナログデジタルADC変換回路44を有する。
【0036】
左側受信セクタ6の放射素子ER1、ER2、ER3は、3つの入力を介し、制御可能左側増幅/減衰及び位相シフトアナログ回路34、36、38をそれぞれ通って左側無線周波数加算回路40へ接続される。
【0037】
中間周波数左側復調器42は、左側受信セクタ6に向かって上流側に配置された左側無線周波数加算回路40と左側アナログデジタルADC変換回路44との間に接続される。
【0038】
受信センサ3は、3つの制御可能右側増幅/減衰及び位相シフトアナログ回路54、56、58を有する右側セクタ8の第2の右側デジタル化チャネル52、右側無線周波数加算回路60、中間周波数右側復調器62、及び右側アナログデジタルADC変換回路64を有する。
【0039】
右側受信セクタ8の放射素子ER4、ER5、ER6は、3つの入力を介し、制御可能右側増幅/減衰及び位相シフトアナログ回路54、56、58をそれぞれ通って右側無線周波数加算回路60へ接続される。
【0040】
中間周波数右側復調器62は、右側受信セクタ8に向かって上流側に配置された右側無線周波数加算回路60と右側アナログデジタルADC変換回路64との間に接続される。
【0041】
受信センサ3は、障害物及び衝突危険性を検出することを可能にするレーダ処理操作及びデータ融合のための電子計算機72とディスプレイ74とを有する。
【0042】
電子計算機72は、レーダ処理操作のための第1のモジュール76とデータ融合のための第2のモジュール78とを有する。
【0043】
第1のモジュール76はコンピュータ的受信ビーム形成、距離フィルタリング、及びドップラーフィルタリングを実施するように構成される。
【0044】
第2のモジュール78は方向/距離地図を確立及び融合するように構成される。
【0045】
ディスプレイ74は、航空機の近接状況を表示するように、並びに近づく危険性及び警告をハイライトするように構成される。
【0046】
図2によると、
図1の近接レーダシステムにより実施される本発明の第1の実施形態による近接レーダ方法102は、受信アンテナの中心点Oの周囲に(この場合は方位角軸に沿って)幾何学的に分散されたパターンにより受信アンテナの受信セクタ当たり及び1段階当たり1つのユニタリ放射グループの速度でユニタリ放射グループを活性化する整数ランクの昇順に逐次的に行われる一組の時間段階(この場合T(1)、T(2)、T(3)で表される3つの段階)を含み、中心点Oまでの距離及び同一パターンのユニタリ放射グループ同士間の相互偏位は時間段階の順位が増加すると増加する。
【0047】
第1の工程104の段階T(1)では、受信アンテナの2つの別個の左側セクタと右側セクタとにより受信されるレーダ信号は第1及び第2のデジタル化チャネル上でそれぞれに独立にデジタル化される。
【0048】
この場合放射素子ER1により形成され左側受信セクタに関連付けられたたユニタリ放射グループ18とこの場合放射素子ER4により形成されたユニタリ放射グループ26との両方は活性状態であり、第1のパターンの第1の段階T(1)を形成する。
【0049】
各ユニタリ放射グループER1、ER4の放射パターンは同一であり、広い視野角をカバーする。
【0050】
デジタル化後、第2の工程106では、ユニタリ放射グループER1、ER4から受信されたパターンはコンピュータ的ビーム形成のために組み合わせられる。第1の段階T(1)では、2つの組み合わせられたセクタから生じるパターンは広いビームである。2つのチャネルに適用される相対位相シフトに依存して、その結果のビームは配向され得る。したがって、2つの別個の広いビーム112、114をカバレッジ領域の左側と右側とに対しそれぞれ並列に形成することが可能である。
【0051】
2つのビーム112、114のそれぞれに関し、第3の工程108では、使用されるレーダ信号の帯域にそのサイズが依存する一定数の距離セル(この場合1ビーム当たり5セル)がプロットされる。これらのセルの各セルにおける及びこれらのビームのビーム毎のフィードバックの強度が潜在的障害物(この場合左側ビームの第4の距離セルにおいて検出された障害物116)を粗角度分解能により検出することを可能にする。
【0052】
次に、第2の段階T(2)では、第1の活性化パターンは、この場合放射素子ER2により形成され左側受信セクタに関連付けられたたユニタリ放射グループ20とこの場合放射素子ER5により形成されたユニタリ放射グループ28との両方が活性状態である第2の活性化パターンにより置換される。次に、第1、第2及び第3の工程104、106、108が、放射素子ER2、ER5がより離間されるこの第2のパターンを使用して適用される。第2のその結果のパターンは左側へ配向された第1のビームの2つのローブ116、118と右側へ配向された第2のビームの2つのローブ120、122とがインターリーブされる第2の工程106の出力において取得され、これにより近接レーダシステムの角度検出分解能を精緻化することを可能にする。第3の工程108では、ネットワークローブに関連付けられた曖昧性(この場合単一の曖昧位置128)が第1の段階T(1)の第3の工程において判断された第1の地図のおかげで除去された周囲の第2の地
図126が取得される。
【0053】
次に、第3の段階T(3)では、第2の活性化パターンは、この場合放射素子ER3により形成され左側受信セクタ6に関連付けられたたユニタリ放射グループ22とこの場合放射素子ER6により形成されたユニタリ放射グループ30との両方が活性状態である第3の活性化パターンにより置換される。次に、第1、第2及び第3の工程104、106、108が、放射素子ER3、ER6がさらにより離間されるこの第3のパターンを使用して適用される。第3のその結果のパターン129は、左側へ配向された第1のビームの4つのローブ130、132、134、136と右側へ配向された第2のビームの4つのローブ138、140、142、144とがインターリーブされる第2の工程106の出力において取得され、これにより近接レーダシステムの角度検出分解能を精緻化することを可能にする。第3の工程108では、ネットワークローブに関連付けられた曖昧性(この場合は3つの不明確な位置148、150、152)が、第1及び第2の段階T(1)、T(2)において判断された第1及び第2の地図のおかげで除去される周囲の第3の地
図146が取得される。
【0054】
したがって、レーダシステム2の受信アンテナ上の少数の干渉パターンを使用することにより、及びコンピュータ的ビーム形成を利用することにより、本発明による近接レーダ方法102は、限定数の活性化段階を行うにつれて近接レーダシステムの角度分解能を精緻化し、先の段階において確立された地図のおかげで生成された(ネットワークローブに関連付けられた)曖昧性を除去しようとする。
【0055】
所望カバレッジ領域を取得するために複数のレーダセンサが搬送波の周囲に配置され得る。各パネルは、平面パネルの理論的に1/2空間までの広い角度セクタを処理することができるので、設置されるセンサの数は低いままである。
【0056】
いくつかのアプリケーション又は飛行段階はやや大きな制約角度カバレッジを必要とする。回転翼の衝突を回避するために例えば上方向カバレッジに優先度が与えられ得るが、これはほぼ静的な段階において使用されることが好ましい。対照的に、着陸段階は地上方向のより大きなカバレッジを必要とする。これらの特定ケースにおいてマッピング性能を改善するために、カバレッジ領域はユニタリ放射グループのトポロジーを修正することにより制約され得る。
【0057】
図3と本発明による近接レーダシステムの第2の実施形態とによると、近接レーダシステム202は、中心点の周囲に角度的に分散されるとともにそれぞれが方位角方向u
φ及び仰角方向u
θに沿って延びる4つの別個の受信セクタ206、208、210、212を有する送受信器レーダアンテナをこの場合は形成するアンテナパネル204を有するレーダセンサ203を含む。
【0058】
図3のアンテナパネル204の中心点Oに対して左上、右上、左下、及び右下にそれぞれに位置する第1の受信セクタ206、第2の受信セクタ208、第3の受信210、及び第4の受信セクタ212はそれぞれ「セクタ1」、「セクタ2」、「セクタ3」、及び「セクタ4」で表される。
【0059】
第1、第2、第3、第4の受信セクタ206、208、210、212はそれぞれ第1、第2、第3、第4の別個の組216、218、220、222の放射素子を有する。
【0060】
この場合の第1の受信セクタ206は、ER1、ER2、ER3、ER4でそれぞれ表される4つの放射素子228、230、232、234を含み、これらはこの場合それぞれ点線輪郭により示される2つのユニタリ放射グループ224、226にグループ化される。
【0061】
第1のユニタリ放射グループGr1 226は2つの放射素子ER1、ER2をグループ化し、一方、第2のユニタリ放射グループGr2 226は2つの放射素子ER3、ER4をグループ化する。
【0062】
互いに分離された第1及び第2のユニタリ放射グループ224、226は、
図3の第1セクタ206の左上角に向かって方位角の観点で及び仰角の観点で中心点Oから偏位する、第1の遠心軌道に沿って配置される。
【0063】
この場合の第2の受信セクタ208は、ER5、ER6、ER7、ER8でそれぞれ表される4つの放射素子242、244、246、248を含み、これらはこの場合それぞれが点線輪郭により示される2つのユニタリ放射グループ238、240にグループ化される。
【0064】
第3のユニタリ放射グループGr3 238は2つの放射素子ER5、ER6をグループ化し、一方、第4のユニタリ放射グループGr4 240は2つの放射素子ER7、ER8をグループ化する。
【0065】
互いに分離された第3及び第4のユニタリ放射グループ238、240は、
図3の第2のセクタ208の右上角に向かって方位角の観点で及び仰角の観点で中心点Oから偏位する、第2の遠心軌道に沿って配置される。
【0066】
この場合の第3の受信セクタ210は、ER9、ER10、ER11、ER12でそれぞれ表される4つの放射素子256、258、260、262を含み、これらはこの場合それぞれが点線輪郭により示される2つのユニタリ放射グループ252、254にグループ化される。
【0067】
第5のユニタリ放射グループGr5 252は2つの放射素子ER9、ER10をグループ化し、一方、第6のユニタリ放射グループGr6 254は2つの放射素子ER11、ER12をグループ化する。
【0068】
互いに分離された第5及び第6のユニタリ放射グループ252、254は、
図3の第3のセクタ210の左下角に向かって方位角の観点で及び仰角の観点で中心点Oから偏位する、第3の遠心軌道に沿って配置される。
【0069】
この場合の第4の受信セクタ212は、ER13、ER14、ER15、ER16でそれぞれ表される4つの放射素子270、272、274、276を含み、これらはこの場合それぞれが点線輪郭により示される2つのユニタリ放射グループ266、268にグループ化される。
【0070】
第7のユニタリ放射グループGr7 266は2つの放射素子ER13、ER14をグループ化し、一方、第8のユニタリ放射グループGr8 268は2つの放射素子ER15、ER16をグループ化する。
【0071】
互いに分離された第7及び第8のユニタリ放射グループ266、268は、
図3の第4のセクタ212の右下角に向かって方位角の観点で及び仰角の観点で中心点Oから偏位する、第4の遠心軌道に沿って配置される。
【0072】
一般的に言えば、ユニタリ放射グループは、同一の所定パターンで配置されるとともにセクタのサイズと比較して小さいエリアを局所的にカバーする小さな一組の同一の所定非零自然数NJの放射素子であり、ユニタリ放射グループの放射素子はレーダ搬送波の1波長未満だけ互いに離間されるということが想起される。
【0073】
この場合、
図3では、2つ(NJ=2)の放射素子を有するユニタリ放射グループは近接レーダシステムの第2の実施形態のものと考えられる。
【0074】
図4によると、少なくとも2つの放射素子(この場合軸U
refθを指示する仰角θに沿ってアライメントされた)を有するユニタリ放射グループの振る舞いは、レーダの搬送波の波長λと2つの直接隣接した放射素子間の間隔dとの比が変化すると実空間内のネットワークローブの出現の観点で分析される。2つの放射素子354、356を有するユニタリ放射グループ352に関してここで行われる分析は、厳密に2超の数Gの放射素子を有するユニタリ放射グループに関して有効なままである。
【0075】
仰角指示方向は角度(θ)により与えられると想定されるので、実効ネットワークローブは、実空間において出現しcos(θ)+k*λ/dに位置するものである、ここで、kは相対的自然数である。
【0076】
放射素子同士がλ未満の距離dだけ離間されれば、アンテナの法線を指示する実空間内のネットワークローブは存在しない、すなわち、θ=π/2又はcos(θ)=0、しかしローブはθが0以外であると出現する。
【0077】
放射素子がλ/2未満の距離dだけ離間されれば、実空間内にネットワークローブは存在せず、これはθの値にかかわらずそうである。
【0078】
したがって、本発明では、ユニタリ放射グループが少なくとも2つの放射素子で形成される場合、2つの放射素子同士は、指示角θがレーダアンテナの法線に対するものである場合にネットワークローブが存在しないようにするようにレーダ搬送波の1波長λ未満だけ互いに離間されるということが想定される。これは、周囲空間全体を照射することが望まれる標準ケースである。
【0079】
図3に戻ると、受信セクタ206、208、210、212の各放射素子は、例えばその電源又は任意の他の手段をオン/オフすることにより活性化され、増幅/減衰及び/又は移相回路を介しアナログ加算回路へ接続されることができる。
【0080】
受信センサ203は、4つの第1の制御可能増幅/減衰及び位相シフトアナログ回路281、282、283、284を有する第1セクタ206の第1のデジタル化チャネル280、第1の無線周波数加算回路286、第1の中間周波数復調器288、及び第1のアナログデジタルADC変換回路289を有する。
【0081】
第1の受信セクタ206の放射素子ER1、ER2、ER3、ER4は、第1の制御可能増幅/減衰及び位相シフトアナログ回路281、282、283、284をそれぞれ通る4つの第1の入力を介し第1の無線周波数加算回路286へ接続される。
【0082】
第1の中間周波数復調器288は、第1の受信セクタ206に向かって上流側に配置された第1の無線周波数加算回路286と第1のアナログデジタルADC変換回路289との間に接続される。
【0083】
受信センサ203は、4つの第2制御可能増幅/減衰及び位相シフトアナログ回路291、292、293、294を有する第2のセクタ208の第2のデジタル化チャネル290、第2の無線周波数加算回路296、第2の中間周波数復調器298、及び第2のアナログデジタルADC変換回路299を有する。
【0084】
第2の受信セクタ208の放射素子ER5、ER6、ER7、ER8は、第2の制御可能増幅/減衰及び位相シフトアナログ回路291、292、293、294をそれぞれ通る4つの第2の入力を介し、第2の無線周波数加算回路296へ接続される。
【0085】
第2の中間周波数復調器298は、第2の受信セクタ208に向かって上流側に配置された第2の無線周波数加算回路296と第2のアナログデジタル変換回路299との間に接続される。
【0086】
受信センサ203は、4つの第3の制御可能増幅/減衰及び位相シフトアナログ回路301、302、303、304を有する第3のセクタ210の第3のデジタル化チャネル300、第3の無線周波数加算回路306、第3の中間周波数復調器308、及び第3のアナログデジタルADC変換回路309を有する。
【0087】
第3の受信セクタ210の放射素子ER9、ER10、ER11、ER12は、第3の制御可能増幅/減衰及び位相シフトアナログ回路301、302、303、304をそれぞれ通る4つの第3の入力を介し、第3の無線周波数加算回路306へ接続される。
【0088】
第3の中間周波数復調器308は、第3の受信セクタ210に向かって上流側に配置された第3の無線周波数加算回路306と第3のアナログデジタル変換回路309との間に接続される。
【0089】
受信センサ203は、4つの第4の制御可能増幅/減衰及び位相シフトアナログ回路311、312、313、314を有する第4のセクタ212の第4のデジタル化チャネル310、第4の無線周波数加算回路316、第4の中間周波数復調器318、及び第4のアナログデジタルADC変換回路319を有する。
【0090】
第4の受信セクタ212の放射素子ER13、ER14、ER15、ER16は、第4の制御可能増幅/減衰及び位相シフトアナログ回路311、312、313、314をそれぞれ通る4つの第4の入力を介し、第4の無線周波数加算回路316へ接続される。
【0091】
第4の中間周波数復調器318は、第4のアナログデジタル変換回路319に向かって上流側に配置された第4の無線周波数加算回路316と第4の受信セクタ212との間に接続される。
【0092】
受信センサ203は、障害物及び衝突危険性を検出することを可能にする、レーダ処理操作及びデータ融合のための電子計算機332とディスプレイ334とを有する。
【0093】
電子計算機332は、第1、第2、第3、第4のデジタル化チャネル280、290、300、310のそれぞれの出力へ接続され、また、所定の活性化段階に依存して受信及び発射セクタの放射グループの活性化命令を送信するためにユニタリ放射グループを活性化するためのリンク335を介しアンテナパネル204へ接続される。
【0094】
電子計算機332はレーダ処理操作のための第1のモジュール336とデータ融合のための第2のモジュール338とを有する。
【0095】
電子計算機332は、所定の活性化段階に依存して受信及び発射セクタの放射グループの活性化を命令するように構成される。
【0096】
第1のモジュール336はコンピュータ的受信ビーム形成、距離フィルタリング、及びドップラーフィルタリングを実施するように構成される。
【0097】
第2のモジュール338は方向/距離地図を確立及び融合するように構成される。
【0098】
ディスプレイ334は、航空機の近接状況を表示するように、並びに近づく危険性及び警告をハイライトするように構成される。
【0099】
図5によると、
図3の近接レーダシステムにより実施される本発明の第2の実施形態による近接レーダ方法402はこの場合、受信アンテナの中心点Oの周囲の(この場合方位角軸に沿って及び仰角軸に沿った)各段階に関連付けられた様々な幾何学的に分散されたパターンにより受信アンテナの受信セクタ当たり及び1つの段階当たり1つのユニタリ放射グループの速度でユニタリ放射グループを活性化する一組の2つの時間段階T(1)、T(2)を含み、中心点Oまでの距離及び同一パターンのユニタリ放射グループ間の相互偏位は時間段階の順位が増加すると増加する。
【0100】
この場合、特定のやり方で、ユニタリ放射グループ毎に、ユニタリ放射グループを形成するとともに仰角軸u
θにより与えられる方向にアライメントされた2つの放射素子の組み合わせは、復調及びデジタル化の前に無線周波数レベルで行われる。ユニタリ放射グループ毎に、その結果のパターンが所与の特定方向に配向されるように同一位相シフトΔαが無線周波数レベルで前記グループの2つの放射素子間に適用される。正の位相シフトΔαは
図5に説明するような上方配向放射パターン引き起こす。
【0101】
同様な位相シフトはまた発射時に放射素子へ適用されるということに注意すべきである。発射時の放射素子は、少なくとも1つの放射セクタのものであり、送受信器アンテナを有するモノスタティック近接レーダの場合は受信セクタの1つ又は複数のものであり得る。この場合、少なくとも1つの放射セクタが受信セクタ内に含まれる。
【0102】
発射時の放射素子はまた、連続的発射/受信を行うように別々の放射アンテナと受信アンテナとを有するバイスタティックレーダの場合には、代案として及び好適には、受信セクタから遠く離れた少なくとも1つの放射セクタのものであリ得る。
【0103】
段階T(1)において、第1の工程404では、第1、第2、第3、第4の受信セクタにより受信されたレーダ信号は第1、第2、第3、第4のデジタル化チャネル上でそれぞれ独立にデジタル化される。
【0104】
第1、第3、第5、第7のユニタリ放射グループ224、238、252、266は活性状態であり、第1のパターンの第1の段階T(1)を形成する。
【0105】
各ユニタリ放射グループの放射パターンは同一であり、広い視野角をカバーする。
【0106】
デジタル化後、第2の工程406では、ユニタリ放射グループ224、238、252、266から受信されたパターンは、コンピュータ的ビーム形成のために組み合わせられる。第1の段階T(1)において、4つの組み合わせられたセクタから生じるパターンは広いビームである。4つのチャネルに適用される相対的位相シフトに依存して、その結果のビームは配向され得る。したがって、2つの別個の広いビーム412、414を並列に(この場合仰角方向に)カバレッジ領域の左側と右側それぞれに形成することが可能である。
【0107】
2つのビーム412、414のビーム毎に、ここでは
図5に示さない第3の工程では、使用されるレーダ信号の帯域にそのサイズが依存する一定数の距離セルがプロットされる。これらのセルのそれぞれにおける及びビームのビーム毎のフィードバックの強度は、潜在的障害物を粗角度分解能で検出することを可能にする。
【0108】
次に、第2の段階T(2)では、第1の活性化パターンは、第2、第4、第6、及び第8のユニタリ放射グループ226、240、254、268が活性状態である第2の活性化パターンにより置換される。次に、第1、第2、第3の工程404、406、108は、放射グループ226、240、254、268が互いにより大きく離間されるこの第2のパターンを使用して適用される。第2のその結果のパターン415は、左側へ配向された第1のビームの2つのローブ416、418と右側へ配向された第2のビームの2つのローブ420、422とがインターリーブされる第2の工程406の出力時に取得され、これにより近接レーダシステムの角度検出分解能を精緻化することを可能にする。ここでは
図5に示さない第3の工程では、ネットワークローブに関連付けられた曖昧性が第1の段階T(1)の第3の工程において判断された第1の地図のおかげで除去された周囲の第2の地図が取得される。
【0109】
近接レーダ方法402によると、レーダセンサのカバレッジ領域の定義は、方位角及び仰角軸に沿ったユニタリ放射グループの幾何学的構成へ関連付けられる。カバレッジ領域内の合成放射パターンの生成は、時間段階T(k)が適用される際に、受信セクタにおけるこれらのユニタリ放射グループの分布とレーダの分解能を精緻化するための幾何学的パターンとへ関連付けられる。
【0110】
したがって、アプリケーションに依存して又は考察中の飛行段階に依存して、入手可能なアンテナ支柱の物理的限界及び放射素子の分布の物理的限界内でカバレッジ領域及び所望角度分解能を定義することが可能である。
【0111】
第3の実施形態によると、搬送波の保護バブルを取得することを目的とする近接レーダシステムの1つの好ましい実施形態は搬送波周囲に3つのレーダセンサを配置することにその本質がある。
【0112】
図6と近接レーダシステム452の第3の実施形態とによると、レーダセンサ453は、矩形で配置され中心点Oの周囲に角度的に分散される4つの受信セクタ456、458、460、462と受信セクタ456、458、460、462から絶縁された別個の放射セクタ464とを有するアンテナパネル454を有する。
【0113】
受信アンテナの左上に位置する第1の矩形受信セクタRx1 456は、前記セクタRx1の右下角を左上角へリンクする第1の受信セクタRx1の対角線上に直列に配置された例えば5に等しい整数NKのユニタリ放射グループを有する。
【0114】
受信アンテナの右上に位置する第2の矩形受信セクタRx2 458は、前記セクタRx2の左下角を右上角へリンクする第2の受信セクタRx2の対角線上に直列に配置された同一整数NKのユニタリ放射グループを有する。
【0115】
受信アンテナの左下に位置する第3の矩形受信セクタRx3 460は、前記セクタRx3の右上角を左下角へリンクする第3の受信セクタRx3の対角線上に直列に配置された同一整数NKのユニタリ放射グループを有する。
【0116】
受信アンテナの右下に位置する第4の矩形受信セクタRx4 462は、前記セクタRx4の左上角を右下角へリンクする第4の受信セクタRx4の対角線上に直列に配置された同一整数NKのユニタリ放射グループを有する。
【0117】
各セクタの各放射グループは可能な限り広い角度セクタを照射するために単一放射素子にされる。
【0118】
図5の第2の実施形態と同様に、
図6のレーダシステムにより実施される近接レーダ方法の順次動作は、互いに若干離間された4つのユニタリ放射グループの第1の四角形パターン472を形成するように、及びコンピュータ的ビーム形成中に明確な合成パターンを取得するように、4つの受信セクタ間の共通中心点Oに近い放射グループを使用して段階T(1)で始まることにその本質がある。次の段階T(2)では、放射グループは、ローブ幅の1/2の大きさを有する合成パターンとネットワークローブの出現とを生成するために、第1のパターンと、中心点Oから遠く離れた(4つの他のユニタリ放射グループを有する)より広い第2の四角形パターンとを(その4つの放射グループを非活性化することにより)置換することにより、方位角の観点及び仰角の観点で同時に離間される。近接レーダ方法は、最後(この場合は第10番目)のパターン474が受信アンテナの周囲における4つの放射グループの最大利用可能偏位に対応する最後の時間段階(この場合T(10)で表される)まで段階を連続して実行することにより二分岐進展(dichotomous progression)を継続する。このように製造された合成パターン同士は直交しており、第3の工程108に対応する
図2の部分において行われたものと同様に、方向を符号化するための2進ベースを形成する。
【0119】
曖昧性の除去の観点における制限は処理されたレーダエコーにおいて利用可能な信号対雑音比から生じるということに注意すべきである。本発明による近接レーダ方法の頑強性及び精度を改善するために、ドップラー処理が、信号をコヒーレントに積分することにより行われる。
【0120】
搬送波が動いていれば、所与の方向に誘起されたドップラー速度はこの方向と搬送波の速度ベクトルとの間の角度に依存する。この処理は、搬送波が動いている段階に好適である。
【0121】
静的段階では又は極低速度移動中、ドップラー効果は先験的に使用不可能である。この欠点を軽減するために、本発明は、
図6から導出され
図7において説明されるように循環ベクトル486に続く時間の経過に伴う発射時の放射セクタ484内の活性化された放射グループの位置を変更することにその本質があり、且つ受信アンテナ456、458、460、462の構造が同じに保たれる循環放射技術を実施することを提案する。これは、この運動を行うために使用されるベクトルに従って空間が「ドップラー化」されるようにする。したがって、測定されたドップラー速度と受信信号の方向との間の依存性が見出され、これにより、到来方向を再生するという観点で性能を改善することを可能にする。
【0122】
図8及び第4の実施形態によると、近接レーダシステム502は以下に説明される本発明による少なくとも1つの近接レーダセンサ503を含む。
【0123】
近接レーダセンサ503は以下のものを有する:
-2以上の整数Nの受信セクタ5061,5062,...,506N及び1以上の数Mの放射セクタ508で形成されたアンテナパネル504;
-N個の受信セクタを独立に復調し次にそれぞれデジタル化するように構成されたN個の受信チャネル5101,5102,...,510N;
-M個の発射セクタにより発射されるレーダ搬送波を、発射されるデジタル化レーダ波形に基づき独立に変調するように構成されたM個の発射チャネル512;
-近接レーダ処理操作を行い方向/距離地図データを融合するための電子計算機514;及び、
-航空機の近接状況を表示するためのディスプレイ516。
【0124】
N個の受信セクタ506
1,506
2,...,506
Nは所定の中心点O(
図8に示さない)の周囲に角度的に分散される。
【0125】
発射時及び受信時の各セクタ5061,5062,...,506N、508は、それぞれが同一数NJ(1以上)の放射素子で形成され同一放射パターンを有する一組の数NK(2以上)の同一ユニタリ放射グループを含む。
【0126】
各ユニタリ放射グループ内の放射素子は、ユニタリ放射グループ点のすべてが同一指示方向に向くように互いに位相シフトされ得る。
【0127】
受信アンテナ内のユニタリ放射グループの活動は、受信セクタ当たり及びパターンM(k)当たり1つの活性放射グループの速度で(kは1からKNまで変化する)N個のユニタリ放射グループの時系列T(k)の干渉パターンM(k)で計算機514により構成されることができ、ここでは、現在のパターンから中心点Oまでの距離及び放射グループ同士の間隔はkが増加すると増加する。
【0128】
各受信チャネル5101,5102,...,510Nは、対応する受信セクタ5061,5062,...,506Nの下流に直列に接続された復調器5181、5182,...,518Nとアナログデジタル変換器5201,5202,...,520Nとを有する。
【0129】
電子計算機514は、様々な受信セクタと選択された位相シフトとを組み合わせることにより合成ビームのコンピュータ的ビーム形成を時間段階T(k)においてレーダの処理モジュール526により行うように構成される。
【0130】
電子計算機514は、次に、同じ段階T(k)において、距離セルとドップラー速度セルとを識別するために処理操作をデータ融合モジュール528により行うように、及び受信アンテナの活性状態ユニタリ放射グループにより形成される干渉パターンから生じる放射パターンにより利用可能にされた角度分解能を有する方向/距離地図を確立するように構成される。
【0131】
次に、受信アンテナの活性状態放射グループは、次の時間段階T(k+1)において、次の干渉パターンM(k+1)(理想的には先の干渉パターンM(k)に直交する)に関連付けられた新しい放射パターンを取得するように構成される。
【0132】
先の干渉パターンM(k)に適用されるものと同じ処理操作が、先の干渉パターンM(k)と融合される新しい距離/方向地図を取得するように次のパターンM(k+1)へ適用される。
【0133】
本方法は所望分解能まで繰り返され、その後、データはディスプレイ516へ送信される。
【0134】
ディスプレイ516は、航空機近傍の障害物並びに搬送波及び近傍の移動物体の潜在的に遅いドリフトをそれらの半径方向速度と共に信号で伝えるように構成される。
【0135】
開示された解決策は、活性化される放射素子の構成を動的に修正する選択肢と共に少なくとも1つの活性アンテナを必要とする。このタイプのアンテナは、特には軍用ヘリコプタ上の捜索レーダに使用され得る。有利には、本発明において提案される近接レーダは、適用可能な場合には、その機能を実施するためにこのようなレーダのハードウェア能力を使用し得る。本提案方法は、この場合は偵察レーダの特定の1つの動作モードであり、これらの機能が単一ハードウェア装置を共有するのでその結果の利点を有するだろう。これは、装置の質量、消費電力、嵩及び費用に関し非常に好ましい。
【0136】
図9によると、及び一般的に言えば、近接レーダ方法602は、
図8の近接レーダシステムにより実施され、一組の工程を含む。
【0137】
近接レーダ方法は一連の工程の段階T(k)(kは1からNKまで変化する)を含む。本方法は、以下のことを特徴とする:
-第1の段階T(1)では、電子計算機は、コンピュータ的受信ビーム形成中に明確な合成パターンを取得するように、受信セクタ当たり1つの活性放射グループの速度で、受信セクタの共通中心点Oに最も近いN個の活性放射グループを第1の干渉パターンM(1)により活性化する;次に、
-kの昇順で逐次的に実行される以下の工程の段階T(k)では(kは2からNKまで変化する)、
【0138】
工程の段階T(k)は、先のパターンM(k-1)のローブの1/2のローブ幅によるコンピュータ的受信ビーム形成中に、及び2*(2k-1)に等しい数のネットワークローブの出現中に合成パターンを相関で生成するように、並びにネットワークローブに関連する検出された障害物曖昧性が段階T(k)に先立つ1つ又は複数の段階において提供される地図のおかげで除去される方位角距離/方向及び/又は仰角距離/方向セルの観点で周囲のランクKの地図を確立するように、電子計算機が、ランクkに関連する干渉パターンM(k)により、時間的ランクkが大きくなればなるほど方位角の観点で及び/又は仰角の観点でより大きく偏位する前記パターンM(k)に関連するN個の活性放射グループを受信セクタ当たり1つの放射グループの速度で活性化することにその本質がある。
【0139】
工程の段階T(k)(kは1からNKまで変化する)毎に、電子計算機は第1の工程604、第2の工程606、及び第3の工程608を実行する。
【0140】
段階T(k)において実行される第1の工程604は、干渉パターンM(k)に関連するN個のユニタリ放射グループを電子計算機が活性化することにその本質があり、1に等しいkに関し、第1のパターンM(1)は、受信セクタ当たり1つの活性放射グループの速度で、受信セクタの共通中心点Oに最も近いN個の活性放射グループで形成され、2~NKのkに関し、次数kのパターンM(k)は、受信セクタ当たり1つの活性放射グループの速度で、先のパターンM(k-1)の活性放射グループから方位角の観点で及び仰角の観点で同時に偏位する最隣接のN個の活性放射グループで形成され;パターンM(k)に関連するN個の受信セクタにより受信される信号は、対応するデジタル化チャネル上で独立に復調及びデジタル化され、電子計算機へ供給される。
【0141】
段階T(k)(kは1~NKである)において実行される第2の工程606は、2つの合成ビームが、好適な位相シフト操作により受信セクタからの前記N個の信号を組み合わせることにより、N個の復調及びデジタル化されたセクタからの信号に基づき電子計算機による計算を介し形成され、2*(2k-1)個のネットワークローブは、2に等しいランクkから始まる前記合成ビームにおいて生成されることにその本質がある。
【0142】
段階T(k)において実行される第3の工程608は、コンピュータが、方向余弦として表現される方位角距離/方向セル及び/又は方向及び方向/距離余弦として表現される仰角距離/方向セルの観点で周囲のランクkの地図を、ランクkのパターンM(k)に関して計算された合成ビームに基づき確立し、潜在的に検出される障害物曖昧性を除去するためにランクkの地図と先のランクk-1(kは2以上)の地図とを融合することにその本質がある。
【0143】
時間段階T(k)がkと共に増加する偏位に関連付けられる上の
図2と
図5において説明した段階T(k)(kは1からNKまで変化する)の異なるシーケンスが企図され得るということに留意すべきである。
【0144】
例えば1つの変形形態によると、第1のパターンM(1)のユニタリ放射グループ同士が離間されて曖昧である初期段階T(1)で開始し、次のパターンM(k)(kが増加すると互いに近づく)に関連付けられたユニタリ放射グループにより次の段階において本方法を続けることが可能である。この場合、曖昧性は先の段階ではなく次の段階T(k)のおかげで除去される。この方法は、「それほど自然でない」ように見えるが、処理観点からは、
図2と
図5において説明した実施形態のものと等価であり、したがって実施され得る。換言すれば、ユニタリ放射グループの偏位が方位角の観点で及び/又は仰角の観点で増加する初期方法の段階T(k)の順位は、パターンM(k)(kは1からNKまで変化する)が干渉ベースを形成すれば任意の順位により置換され得る。
【0145】
様々な時間段階中、2の累乗の偏位と2k-1個のネットワークローブとを生じる二分岐進展が理想的には好ましいとしても、他の偏位が曖昧性を除去することを可能にするという条件で他の偏位を使用することが可能であるということにも注意すべきである。
【0146】
特に、ユニタリ放射グループの所与の分布を有する既存アンテナネットワークが使用されれば、利用可能な構成は、二分岐進展を正確に提供することを可能にしないが、航空機の近傍内の標的を検出するために使用されることができる干渉ベースに適合する進展を提供する可能性がある。
【0147】
一般的に言えば、回転翼航空機のための近接レーダ方法は、少なくとも1つのレーダセンサを含む近接レーダシステムにより実施され、少なくとも1つのレーダセンサは、
-自然数N(2以上)の受信セクタと少なくとも1つの発射セクタとで形成されたアンテナパネル;
-N個の受信セクタを独立に復調し次にそれぞれデジタル化するように構成されたN個の受信チャネル;
-少なくとも1つの発射セクタにより発射されるレーダ搬送波上のレーダ発射波形を変調するように構成された発射チャネル;
-近接レーダ処理操作を実施するように及び方向/距離地図データを融合するように構成された電子計算機;及び、
-航空機の近接状況を表示するためのディスプレイ、を有する;
【0148】
N個の受信セクタは所定の共通中心点Oの周囲に分散され;N個の受信セクタのそれぞれは、方位角の観点で及び/又は仰角の観点でのその位置がそれらのセクタの中心点Oと周囲との間で変化する同一数NK(2以上)のユニタリ放射グループを有し、同一放射パターンで同一指示方向に向く。
【0149】
近接レーダ方法は、k(1からNKまで変化する)に応じて逐次的に実行される工程の一連の段階T(k)を含む:工程の各段階T(k)は、ローブ幅によるコンピュータ的受信ビーム形成中に、及び時間的ランクkに応じて変化する数のネットワークローブの出現中に合成パターンを相関で生成するように、並びにネットワークローブに関連する検出された障害物曖昧性が段階T(k)に先立つ及び/又は続く1つ又は複数の段階において提供される地図のおかげで除去される方位角距離/方向及び/又は仰角距離/方向セルの観点で周囲のランクkの地図を確立するように、電子計算機が、ランクkに関連する干渉パターンM(k)により、方位角の観点で及び/又は仰角の観点でその位置が同一位置を再び通過すること無くそのセクタの中心点Oと周囲との間の時間的ランクkに応じて変化する前記干渉パターンM(k)に関連するN個の活性放射グループを受信セクタ当たり1つの放射グループの速度で活性化することにその本質がある。
【0150】
一般的に言えば、回転翼航空機のための近接レーダシステムは、次のものを有する少なくとも1つのレーダセンサを含む:
-自然数N(2以上)の受信セクタと少なくとも1つの発射セクタとで形成されたアンテナパネル;
-N個の受信セクタを独立に復調し次にそれぞれデジタル化するように構成されたN個の受信チャネル;
-少なくとも1つの発射セクタにより発射されるレーダ搬送波上のレーダ発射波形を変調するように構成された発射チャネル;
-近接レーダ処理操作を実施するように及び方向/距離地図データを融合するように構成された電子計算機;及び航空機の近接状況を表示するためのディスプレイ;
【0151】
N個の受信セクタは所定の共通中心点Oの周囲に分散され;N個の受信セクタのそれぞれは、方位角の観点で及び/又は仰角の観点でのその位置がそれらのセクタの中心点Oと周囲との間で変化する同一数NK(2以上)のユニタリ放射グループを有し、同一放射パターンで同一指示方向に向く。
【0152】
電子計算機は工程の一連の段階T(k)(kは1からNKまで変化する)を実施することにより近接レーダ方法を実施するように構成され、工程の各段階T(k)は、ローブ幅によるコンピュータ的受信ビーム形成中に、及び時間的ランクkに応じて変化する数のネットワークローブの出現中に合成パターンを相関で生成するように、並びにネットワークローブに関連する検出された障害物曖昧性が段階T(k)に先立つ及び/又は続く1つ又は複数の段階において提供される地図のおかげで除去される方位角距離/方向及び/又は仰角距離/方向セルの観点で周囲のランクkの地図を確立するように、電子計算機が、ランクkに関連する干渉パターンM(k)により、方位角の観点で及び/又は仰角の観点でその位置が時間的ランクkに応じて変化する前記干渉パターンM(k)に関連するN個の活性放射グループを受信セクタ当たり1つの放射グループの速度で活性化することにその本質がある。