(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】止血帯
(51)【国際特許分類】
A61B 17/132 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
A61B17/132 ZBP
A61B17/132 ZAB
(21)【出願番号】P 2019571341
(86)(22)【出願日】2018-07-06
(86)【国際出願番号】 SE2018050744
(87)【国際公開番号】W WO2019017827
(87)【国際公開日】2019-01-24
【審査請求日】2021-04-15
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-07
(32)【優先日】2017-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】523351922
【氏名又は名称】アオチュアン メディカル テクノロジー (ハイナン) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ダール,キャロライン
(72)【発明者】
【氏名】ニルソン,ジェー.パトリック
【合議体】
【審判長】井上 哲男
【審判官】安井 寿儀
【審判官】村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第5219356(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0304113(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0287262(US,A1)
【文献】国際公開第2014/114604(WO,A1)
【文献】特表2014-531959(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/132
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向軸を有するストリップを備える止血帯であって、前記ストリップは、前記ストリップの第1の縦方向端部におけるヘッド部と、前記ストリップの第2の縦方向端部におけるテール部と、前記ヘッド部と前記テール部との間のループ部と、を有し、前記ループ部がユーザの肢を取り囲むのに充分な長さを有する、止血帯において、
前記ストリップは更に、第1の縦方向端部及び第2の縦方向端部を有する少なくとも1つの張力センサを含み、
前記張力センサは、所定のパターンに配列された複数の切り込みを含み、前記縦方向軸に沿った張力が前記止血帯に加えられたときに前記複数の切り込みを広げることにより前記止血帯の前記縦方向軸に沿って伸展するように適合されており、
前記複数の切り込みの前記パターンは、前記複数の切り込みの各切り込み間に画定されるストリップ材料の少なくとも1つの蛇行経路を形成し、
前記蛇行経路は、前記張力センサの前記第1の縦方向端部から前記張力センサの前記第2の縦方向端部までの、前記ストリップ材料を通る利用可能経路を構成し、前記利用可能経路は、伸展前の緩和状態における前記張力センサの前記第1の縦方向端部及び前記張力センサの前記第2の縦方向端部の間の直線距離よりも長く、それにより、張力が加えられたときに前記止血帯が前記縦方向軸に沿って伸長することを可能とし、
前記複数の切り込みの結果として得られる前記ストリップ材料の前記パターンは、加えられる前記張力に対して制御された抵抗を与えると共に、前記止血帯における所期の適切な張力が達成されたと
いう情報を前記ユーザ
に与えることを可能とし、
前記張力は、前記止血帯が使用されている前記肢にかかる圧力と相関がある、止血帯。
【請求項2】
前記張力センサは、第1の縦方向エッジ及び第2の縦方向エッジを含み、
前記複数の切り込みのうち第1の切り込みは、前記第1の縦方向エッジに到達し、
前記複数の切り込みのうち第2の切り込みは、前記第2の縦方向エッジに到達する、請求項1に記載の止血帯。
【請求項3】
前記ストリップは、前記肢の周径が、前記張力センサによって決定される張力に対応する所期の適切な圧力を前記肢に加えるため必要な許容可能範囲内である場合、ユーザに知らせるように適合された
肢周径制御用目印を含む、請求項1又は2に記載の止血帯。
【請求項4】
前記ループ部は、前記張力センサによって決定される前記加えられる張力に相関がある所期の圧力を前記肢に加えるため、異なる肢周径を考慮するように構成されている、請求項1から3の何れか一項に記載の止血帯。
【請求項5】
前記ストリップは、実質的に非弾性の材料で作製されている、請求項1から4の何れか一項に記載の止血帯。
【請求項6】
前記ストリップは、前記ヘッド部と前記ループ部との間に配置された中間部を更に含み、
前記中間部は、前記ループ部の幅よりも広い幅を有する、請求項1から5の何れか一項に記載の止血帯。
【請求項7】
前記張力センサは、前記中間部に配置されている、請求項6に記載の止血帯。
【請求項8】
前記ストリップは、前記テール部、及び任意選択的に前記ループ部の少なくとも一部を貫通させることを可能とするように構成された開口を更に含む、請求項1から7の何れか一項に記載の止血帯。
【請求項9】
前記複数の切り込みは、複数のスリットを含む、請求項1から8の何れか一項に記載の止血帯。
【請求項10】
前記スリットのうちいくつかが前記ストリップの前記縦方向軸に対して垂直に配向されるか、又は、前記スリットの全てが前記ストリップの前記縦方向軸に対して垂直に配向されている、請求項9に記載の止血帯。
【請求項11】
前記
ストリップの前記縦方向軸に対して垂直に配向された前記スリットは、複数の平行な列に配列され、
各列は、2つ以上のスリットを含む、請求項10に記載の止血帯。
【請求項12】
前記ストリップは、第1のストリップ層と、前記第1のストリップ層上に重ねられた第2のストリップ層と、を含み、
前記張力センサは、前記第1のストリップ層に配置されている、請求項1から11の何れか一項に記載の止血帯。
【請求項13】
前記第2のストリップ層は、前記ストリップ
の横方向軸に沿って2つの別個の部分に分割されている、請求項12に記載の止血帯。
【請求項14】
前記第2のストリップ層は、前記第2のストリップ層の第1の縦方向エッジから前記第2のストリップ層の第2の縦方向エッジまで横切っている少なくとも1つの切り取り線を含む、請求項12に記載の止血帯。
【請求項15】
前記切り取り線は、前記第2のストリップ層が2つの別個の部分に分割されるようにユーザが前記止血帯を前記縦方向軸に沿って引っ張ることにより前記止血帯に張力が加えられた場合に破断するように構成されている、請求項14に記載の止血帯。
【請求項16】
前記第2のストリップ層は、それぞれが第1の縦方向エッジから第2の縦方向エッジまで横切っている複数の平行な切り取り線を含み、
前記第2のストリップ層は、それぞれが2つの隣接する平行な切り取り線によって画定されている多数の除去可能部分を含み、
前記第1のストリップ層は、前記ループ部の前記縦方向軸に沿って配列された複数の前記張力センサを含み、
前記張力センサの各々が前記第2のストリップ層の前記除去可能部分の1つの下方に配置されていることで、前記第2のストリップ層の1つの除去可能部分が除去された場合に前記除去された部分の下方に配置された前記張力センサが動作可能となる、請求項14に記載の止血帯。
【請求項17】
前記複数の張力センサのうち少なくとも第1の張力センサは、前記複数の張力センサのうち第2の張力センサとは異なるヤング率を有し、
各張力センサのヤング率は、前記ループ部における前記ストリップの前記縦方向軸に沿った各張力センサの位置の関数である、請求項16に記載の止血帯。
【請求項18】
前記ループ部は、前記テール部の方に向かってテーパ状である幅を有する、請求項1から17の何れか一項に記載の止血帯。
【請求項19】
前記ストリップの前記縦方向軸に沿って見た前記張力センサの第1の側で前記ストリップに取り付けられた圧力インジケータ要素を更に備え、
前記圧力インジケータ要素は、前記ストリップの前記縦方向軸に沿って見た場合に前記張力センサを超えて延出して、前記圧力インジケータ要素の自由端が前記ストリップの前記縦方向軸に沿って見た前記張力センサの第2の側に配置されるようになっている、請求項1から18の何れか一項に記載の止血帯。
【請求項20】
前記圧力インジケータ要素は、前記ストリップの折り目を中心として折り畳み可能であり、前記止血帯の使用中に前記張力センサの上方又は下方に配置されるように適合されている、請求項19に記載の止血帯。
【請求項21】
前記圧力インジケータ要素は、前記ストリップの表面上に存在する1又は複数の
圧力用目印と共に機能することによって所期の適切な圧力が達成された場合ユーザに視覚的に知らせるように構成されたアパーチャを含む、請求項19又は20に記載の止血帯。
【請求項22】
前記切り込みは、孔の形態であり、
前記ループ部は、前記ヘッド部と同一の幅を有し、
前記張力センサは、所期の張力が加えられた場合に前記ヘッド部及び前記ループ部と同一の幅となるように適合されている、請求項7に記載の止血帯。
【請求項23】
前記ストリップは、弾性材料で作製され、
前記ループ部は、肥大パターンに設けられた複数の切り込みを含む、請求項1又は2に記載の止血帯。
【請求項24】
前記張力センサに関連付けられ、前記止血帯によって前記所期の圧力が加えられた場合に視覚的に示すように適合された少なくとも1つの
圧力用目印を更に備える、請求項1から23の何れか一項に記載の止血帯。
【請求項25】
前記ストリップの前記第1の縦方向エッジ上の、前記張力センサに隣接した第1のポイントに接続されると共に、前記ストリップの前記第1の縦方向エッジに沿った、前記張力センサに隣接し前記第1のポイントとは異なる位置にある第2のポイントにも接続された少なくとも1つの限定部材を更に備え、
前記限定部材は、前記患者を不快にさせるか又は前記患者に有害である可能性のある長さまで前記張力センサが伸展できないことを保証するためのものであって、前記止血帯に張力が加えられた場合の前記張力センサの伸展に応じてまっすぐになるように構成され、
前記限定部材は、好ましくは前記ストリップと同一の面内に設けられている、請求項1から24の何れか一項に記載の止血帯。
【請求項26】
肢に圧力を加えながら前記肢を前記ループ部が取り囲んでいる場合、前記ストリップの重複部分を留めるための手段を更に備える、請求項1から25の何れか一項に記載の止血帯。
【請求項27】
請求項1から26の何れか一項に記載の止血帯を複数含む細長い連続止血帯バンドであって、
前記止血帯は、縦方向の端部ごとに相互に取り外し可能に接続されている、細長い連続止血帯バンド。
【請求項28】
筐体と、前記筐体内でロール状に丸められるか又はジグザグ構成に配置されて収容された請求項27に記載の細長い連続止血帯バンドと、を備えるディスペンサであって、
前記筐体は、開口を含み、前記開口から前記細長い連続止血帯バンドを引き出して、一度に1つの止血帯を前記細長い連続止血帯バンドの残りから分離するため露出させることができ、
前記筐体は、殺菌された筐体である、ディスペンサ。
【請求項29】
パッケージと、請求項1から26の何れか一項に記載の止血帯と、前記パッケージ内に設けられた少なくとも1つの追加の構成要素と、を備えるキットであって、
前記追加の構成要素は、好ましくは、注射器、1対の手袋、トレイ、消毒用に適合されたスワブ、1つ以上の吸収スワブ、洗浄用注射器、包帯、ガーゼ、標本袋、ガーゼ付きばんそうこう、テープ、少なくとも1つの採血管、アルコール瓶、1つ以上の綿棒、ペン、アルコールパッドや外科手術用又はフェイスマスク等の1つ以上の消毒用拭き取り布、IV延長チューブセット、鎮痛剤のような何らかの形態の薬剤、及び、ペーパークロス、から成る群から選択される、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に止血帯に関し、具体的には使い捨て止血帯に関する。本開示は更に、複数の止血帯を含むディスペンサと、単一の止血帯及び少なくとも1つの追加の構成要素を含むキットと、に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘルスケアにおいて、静脈(IV:intravenous)アクセスは最も一般的な侵襲的処置である。その目的は、薬物を供給すること、又は臨床検査のため血液サンプルを採取することである。そのような頻度の高い処置であるにもかかわらず、最初のアクセスの試みは失敗することが多い。末梢静脈カテーテル挿入の試みは最大で3回に1回は失敗することを示す報告があり、血液サンプル採取の試みも、頻度はより低いが同様に失敗しがちである。失敗によって、患者が痛みを経験し、感染のリスクが高まり、薬物の投与が可能となるまでの時間が長くなり、患者と臨床医の双方にストレスがかかり、臨床医が疾患にさらされ、時間とリソースの著しい損失を招く恐れがある。
【0003】
例えば、静脈アクセスを試みる場合に静脈血流を制限するため、止血帯が使用される。止血帯は、静脈を拡張させるため、患者又は患畜の腕(又は別の肢)に巻かれて締め付けられる。これは、血液サンプルを抽出するため又は静脈注射を実行するための静脈の検索及び針による穿刺を容易にするのに役立つ。
【0004】
以前から様々なタイプの止血帯が知られている。おそらく最もシンプルなものは、身体の一部に単に縛られるゴムバンドである。他のものには、弾性材料で作製され、クランプ等の留め具によって所定位置に保持されるストリップがある。一般に、これらの止血帯は再利用可能に構成されている。再利用可能な止血帯は、患者間に微生物を拡散させ、従って患者から患者へと感染をうつすリスクがあり得る。
【0005】
再利用可能な止血帯に伴う問題は、むろん、使い捨て止血帯を用いることによって克服できる。しかしながら、再利用可能な止血帯に対抗できるためには、使い捨て止血帯の生産コストが極めて低いことが不可欠である。使い捨て止血帯の例は、EP1,796,556B1及びUS5,219,356Aで見ることができる。
【0006】
図1は、従来技術に従った使い捨て止血帯100の上面図を示す。止血帯100はストリップから成り、このストリップは、ストリップの第1の縦方向端部のヘッド部2と、反対側の縦方向端部のテール部3と、を有する。
図1において、ストリップの縦方向中心軸はAと表記されている。ストリップは更に、ヘッド部2とテール部3との間のループ部4を備えている。ループ部4は肢に巻かれて肢を取り囲むように意図されている。ストリップは更に、ループ部4及びテール部3の幅よりも広い幅の中間部5を備えている。中間部5はヘッド部2とループ部との間に配置されている。中間部5は、開口を形成する横方向切り込み6を含み、この開口を、テール部と、場合によってはループ部の一部が貫通することができる。ストリップは更に、中間部5に隣接したループ部4の一部に接着剤7を含む。
【0007】
止血帯100を使用する場合は、患者の肢を取り囲むようにループ部を配置し、切り込み6によって形成された開口にテール部を通す。次いで、肢の周りに止血帯を締め付けるようにヘッド部及びテール部を反対方向に引っ張り、これによって肢に圧縮力をかける。その後、圧縮力が維持されるように、切り込み6を貫通しているテール部、又はループ部の一部を、ループ部に重ねて接着剤7によって留める。
【0008】
例えば
図1に示されるもののような、以前から知られている多くの技法は、加えた圧力を知るための手段を提供しない、及び/又は容易かつ正確な針の挿入を可能とする静脈の適正な拡張を生じる正確な圧力を一貫して与えないという欠点がある。これにより、静脈アクセスを得る試みが何度も不必要に失敗することになる。
【0009】
上述の問題を解決する試みが行われている。例えばUS2016/0287262A1は、身体部分の周りに配置できるストラップを備えた静脈止血帯を開示している。ストラップは張力インジケータを備え、これを用いて、身体部分に巻かれた張力ループの近傍又は付近のストラップにおける張力をユーザによって検出することができる。張力インジケータは、ストラップの弾性部の上に配置された要素で構成されており、使用していないとき、この要素はループ状になっている。弾性部が規定の長さまで伸ばされると、ループ状要素がストラップのそれ以上の伸長(elongation)を制限し、これにより、充分な圧力が達成されたという情報をユーザに与える。しかしながらこの止血帯は、異なる肢半径に対する補償を行わないという欠点があり、結果として、生理機能とは無関係に全ての肢に同一の力が加わることになる。更にこれは、異なる特性を有し、相互に適切に留める必要のある2つの材料を使用することが必須であり、これは止血帯の製造コストを増大させる可能性がある。
【0010】
US2013/0304113A1が開示する使い捨て止血帯は、薄い非伸縮性材料のバンドの形態であり、患者の肢に巻かれ、締め付けられて、所定位置に固定されるように構成されている。この止血帯は、患者の肢の周りに締め付けられたときにバンドに加えられる張力量を制御するための手段を備えている。この手段は、ユーザに把持されるタブと止血帯の残り部分とを接続する2つの可撓性脚部を含む。可撓性脚部は、タブがユーザによって引っ張られるとまっすぐになるように適合されており、これによって、インジケータ(タブから延出している)を静止部分に対して移動させ、これにより張力量が示される。この止血帯は、肢周径(leg circumference)に対する補償を行わず、また、加えられる力の方向とユーザのスキルによって影響を受けやすいので、一貫した結果が得られないリスクを生じる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、止血帯を使用して肢の周りに締め付けた場合に所期の適切な圧力が止血帯によって加えられたことを容易かつ信頼性高く推定できる止血帯を提供することである。更に、使い捨て止血帯として使用できるように低コストで止血帯を生成することが可能でなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、縦方向軸を有するストリップを備える止血帯によって達成される。このストリップは、ストリップの第1の縦方向端部におけるヘッド部と、ストリップの第2の縦方向端部におけるテール部と、ヘッド部とテール部との間のループ部と、を有し、ループ部は、人又は動物の肢を取り囲むのに充分な長さを有する。ストリップは更に、縦方向軸、第1の縦方向端部、及び第2の縦方向端部を有する張力センサを含む。張力センサの縦方向中心軸は、好ましくはストリップの縦方向中心軸と一致している。張力センサは所定のパターンに配列された複数の切り込みを含み、このパターンは複数の切り込みの各切り込み間に画定されるストリップ材料の少なくとも1つの蛇行(meandering)経路を形成し、蛇行経路は張力センサの第1の縦方向端部から張力センサの第2の縦方向端部まで延出している。複数の切り込みは、張力センサの第1の縦方向端部及び張力センサの第2の縦方向端部を連結するストリップの材料を通る直線最短利用可能経路を妨害する。止血帯は好ましくは使い捨て止血帯である。
【0013】
複数の切り込みは好ましくは、張力センサの縦方向軸に沿って見た場合、切り込みの間にストリップ材料の少なくとも2つの蛇行経路を画定するように、所定のパターンで張力センサに配列されている。蛇行経路はそれぞれ、張力センサの1つの縦方向端部から張力センサの別の縦方向端部まで延出している。2つの蛇行経路は、ストリップの縦方向中心軸に沿って相互に左右対称とすることができる。これにより、張力センサに張力を加える際、張力を均等に分散させることが容易になる。
【0014】
張力センサは、止血帯が用いられている肢に対して止血帯により適切な圧力が加えられたときをユーザが判定できるように適合されている。
【0015】
更に具体的には、縦方向軸に沿って止血帯に張力が加えられた場合、張力センサは、複数の切り込みを広げることにより止血帯の縦方向軸に沿って伸展する(extend)ように適合されている。複数の切り込みの結果として得られる材料パターンは、加えられる張力に対して制御された抵抗を与えると共に、止血帯における所期の適切な張力が達成されたときをユーザが決定することを可能とする。張力は、止血帯が使用されている肢にかかる圧力と相関がある。これにより、止血帯を容易に使用することができ、ユーザは使用中に加えられた圧力に関する信頼性の高い情報を受け取る。更に、止血帯は、任意選択的に複数の層を含むシートのようなシート材料から、単に所望の通り切断やスタンピングを行うことによって、容易に製造することができる。一例として、シート表面において、シートの第1の軸に縦方向軸が平行に並んで配置された複数の止血帯を同時に切り取ることができる。これにより、複数の止血帯の同時切除、印刷、及び局所的な材料使用が可能となる。これによって、使い捨て止血帯の場合に重要な課題である低い生産コストが得られる。止血帯は、ロールツーロールプロセス(roll-to-roll process)等でも生産できるので、極めて高い生産歩留まりを達成できる可能性がある。
【0016】
張力センサは、止血帯の使用中に止血帯が使用される肢の皮膚と直接接触しないように意図されたストリップの部分に配置することができる。言い換えると、張力センサは、ストリップの別の部分に重複するように適合された部分に配置することができる。これはとりわけ、ユーザが張力を加えたときに張力センサが伸展する能力に影響を及ぼす可能性のある摩擦力が皮膚によって生じるリスクを避けるという利点を有する。あるいは張力センサは、例えばループ部等、肢の皮膚と直接接触するように意図されたストリップの部分に配置することも可能である。
【0017】
張力センサは更に、第1の縦方向エッジ及び第2の縦方向エッジを含む。複数の切り込みのうち第1の切り込みは適宜第1の縦方向エッジに到達し、複数の切り込みのうち第2の切り込みは適宜第2の縦方向エッジに到達することができる。これは、いくつかの場合で張力センサの機能を促進することができる。また、これは、止血帯の使用が容易であるという利点を有する。
【0018】
ストリップは、肢の周径が、張力センサによって決定される張力に対応する所期の適切な圧力を肢に加えるため必要な許容可能範囲内である場合、ユーザに知らせるように適合された1又は複数の目印(indicium)を含むことができる。これは、例えば止血帯が特定範囲内の周径を有する肢にだけ用いられるように意図されている場合、特に適している。そのような目印は、ストリップのループ部に適宜設けることができる。更に、そのような目印は、ストリップの交差ポイント、すなわち肢に圧力を加えるように肢に止血帯が使用された場合にストリップの一部が重複するポイントと共に機能するように適宜意図されている。
【0019】
ループ部は、張力センサによって決定される加えられる張力に相関がある所期の圧力を肢に加えるため、様々な肢周径を考慮に入れるように適宜構成することができる。これにより、止血帯は、特定の肢周径又は特定範囲の肢周径での使用に限定されない。様々な肢周径を考慮に入れるようなループ部の構成は、目印の形態、ループ部の幾何学的形状の形態、又はループ部の構成部分を変更した形態とすればよい。
【0020】
ストリップは、実質的に非弾性の材料で適宜作製することができる。これはとりわけ、止血帯の使用中にループ部におけるストリップ幅が変化しないという利点を有する。これにより、肢に所期の適切な圧力を加える際の精度が向上する。
【0021】
ストリップは、ヘッド部とループ部との間に配置された中間部を更に含むことができる。中間部はループ部の幅よりも広い幅を有する。これは例えば、所望の場合、そのような中間部に張力センサを配置できるという利点を有する。
【0022】
ストリップは、テール部、及び任意選択的にループ部の少なくとも一部を貫通させることを可能とするように構成された開口を更に含むことができる。開口は好ましくは閉鎖型の(enclosed)開口である。これは、開口がストリップのどの縦方向エッジにも到達しないことを意味する。開口は、ストリップの縦方向軸に沿って止血帯に張力が加えられた場合に意図しないせん断応力が張力センサに生じるリスクを最小限に抑える。
【0023】
張力センサにおける複数の切り込みは複数のスリットを含むことができる。スリットは、孔のような他の形態の切り込みよりも有利であり得る。これは、スリットを形成する際、ストリップ材料の強度低下を招く恐れのある材料の除去を必要としないからである。しかしながらスリットは、所望の場合、端部に小さい丸い孔を設けることで、スリットの鋭い端部が分裂又は破壊の開始点として作用するリスクを低減させることも可能である。
【0024】
スリットのうちいくつかは適宜、ストリップの縦方向軸に対して垂直に配向することができる。これはとりわけ、止血帯に張力が加えられた場合、スリットに意図されている拡大を促進する。任意選択的に、スリットの全てをストリップの縦方向端軸に対して垂直に配向してもよい。スリットの縦方向軸に対して垂直に配向されるスリットは適宜、複数の平行な列に配置することができ、各列は2つ以上のスリットを含み得る。
【0025】
ストリップは、第1のストリップ層と、第1のストリップ層上に重ねられた第2のストリップ層と、を含むことができる。このような場合、張力センサは適宜第1のストリップ層に配置することができる。第1のストリップ層は適宜ストリップの縦方向軸全体に延出しているが、第2のストリップ層は、ストリップの縦方向軸の一部にのみ延出するか、又はストリップの縦方向の長さ全体に延出することができる。2つのストリップ層の存在は例えば、使用中に肢に対して適切な圧力が達成された場合、ユーザに視覚的に知らせるための様々な形態の目印の使用を容易にする。この代わりに又はこれに加えて、止血帯に、追加の技術的利点をその機能の形態で与えることも可能である。
【0026】
第2のストリップ層は、例えばストリップの横方向軸に沿って2つの別個の部分に分割することができる。これにより、第1のストリップ層における張力センサの伸展に応じて2つの別個の部分が相対的に移動することが可能となる。これによって、例えば、第2のストリップ層の2つの別個の部分が相互に対して移動した場合にのみ所望の形状を形成するように意図された目印を、第2のストリップ層に設けることができる。
【0027】
あるいは、第2のストリップ層は、第2のストリップ層の第1の縦方向エッジから第2の縦方向エッジまで横切っている少なくとも1つの切り取り線を含むことができる。切り取り線は例えば、ユーザが止血帯を引っ張り、ストリップの縦方向軸に沿って止血帯に張力が加えられた場合に破断するように意図されている。切り取り線の破断によって、上述のような第2のストリップ層の2つの別個の部分が効果的に形成される。
【0028】
第2のストリップ層は複数の切り取り線を含むことも可能である。そのような場合、切り取り線は相互に平行であり、適宜、ストリップの縦方向軸に対して実質的に垂直に配向されている。第2のストリップ層は、それぞれが複数の切り取り線のうち2つの隣接する平行な切り取り線によって画定されている多数の除去可能部分を含む。第1及び第2のストリップ層は、切り取り線の近傍で相互に局所的に接着することができる。更に、第1のストリップ層はループ部の縦方向軸に沿って配列された複数の張力センサを含み、各張力センサは所定のパターンに配列された複数の切り込みを含み、パターンは上述のような少なくとも1つの蛇行経路を形成する。張力センサは同一の又は異なる構成を有することができる。各張力センサは、第2のストリップ層の除去可能部分の1つの下方に配置されていることで、第2のストリップ層の1つの除去可能部分が除去された場合に除去された部分の下方に配置された張力センサが動作可能となる。第2のストリップ層は、残りの張力センサが動作不可能な状態であることを保証する。これによりユーザは、ループ部の縦方向軸に沿った動作可能張力センサが配置される場所を容易に選択できる。
【0029】
第1のストリップ層における複数の張力センサのうち少なくとも第1の張力センサは、複数の張力センサのうち第2の張力センサとは異なるヤング率を有することができる。各張力センサのヤング率は適宜、ループ部におけるストリップの縦方向軸に沿った各張力センサの位置の関数であり得る。これによって、大きく異なる肢周径を補償するように、加えられる張力を調整することができる。
【0030】
ループ部は任意選択的に、テール部の方に向かってテーパ状である幅を有し得る。これにより、肢周径に関係なく、肢に対して適切な所期の圧力を達成することができる。例えば、子供の肢に使用されるループ部の平均幅は、大人の肢に使用されるループ部の平均幅よりも大きい。肢に加えられる圧力は、ストリップにおける張力及び肢に接触している止血帯の表面積の双方に依存する。これらの変数の一方又は双方を変更して適切な圧力を与えることができる。テール部の方に向かってテーパ状の幅を有するループ部を含む止血帯は、力が加えられる表面積の変化を用いて、加えられる圧力を補正するので、張力センサにおける力の補正は必要ない。
【0031】
止血帯は、ストリップの縦方向軸に沿って見た張力センサの第1の側でストリップに取り付けられた圧力インジケータ要素を更に備えることができる。圧力インジケータ要素は、止血帯の別個の構成要素であるか、又はそのようなストリップの一部とすることができる。圧力インジケータ要素は、ストリップの縦方向軸に沿って見た場合に張力センサを超えて延出するのに充分な長さであり、圧力インジケータ要素の自由端がストリップの縦方向軸に沿って見た張力センサの第2の側に配置されるように適合されている。そのような圧力インジケータ要素により、ユーザは、止血帯の使用中に所期の適切な圧力が達成されたことを容易に視覚的に決定できる。圧力インジケータ要素の構成により、圧力インジケータ要素の自由端は、張力センサの伸展に応じてストリップに対して移動する。
【0032】
圧力インジケータ要素は任意選択的にストリップを中心として折り畳み可能であり、止血帯の使用中に張力センサの上方又は下方に配置されるように適合されている。あるいは圧力インジケータ要素は、ストリップと同一の面内のようにストリップの側方に設けることも可能である。これら2つの場合、圧力インジケータ要素はストリップの縦方向エッジに取り付けることができる。あるいは圧力インジケータ要素は、自由端を有しつつ、ストリップの上に重なるようにストリップの上面に取り付けられる。
【0033】
圧力インジケータ要素は、ストリップの表面上に存在する1又は複数の目印と共に機能することによって所期の適切な圧力が達成された場合ユーザに視覚的に知らせるように構成されたアパーチャを含むことができる。あるいは、圧力インジケータ要素の自由端は、ストリップの表面上に存在する1又は複数の目印と共に機能することによって所期の適切な圧力が達成された場合ユーザに視覚的に知らせるように構成することができる。
【0034】
ストリップが中間部を含むと共に張力センサが中間センサに配置されている場合、複数の切り込みは孔の形態とすることができる。これらの孔は好ましくは、所期の張力が加えられた場合に張力センサが隣接するループ部及び/又はヘッド部と同一の幅となるように構成することができる。これによりユーザは、肢に対して適切な圧力が達成されたことを視覚的に決定できる。好ましくは、ヘッド部及びループ部は同一の幅を有し、この幅は張力を加える前の中間部の幅よりも小さい。
【0035】
あるいは、ストリップを弾性材料で作製することができる。このような場合、ループ部は肥大(auxetic)パターンに設けられた複数の切り込みを含む。肥大パターンは、弾性材料が伸長された場合に生じる幅の縮小を補償又は制御する。肥大パターンは張力センサの一部とするか、又は張力センサとは異なるストリップの別個の構成要素とすることができる。
【0036】
止血帯は更に、張力センサに関連付けられ、止血帯によって所期の圧力が加えられた場合に視覚的に示すように適合された1又は複数の目印を備えることができる。そのような1又は複数の目印は例えば、張力センサもしくはその近傍におけるプリントの形態、又は視認性の高い糸等の形態とすることができる。この場合、糸は張力センサに組み込まれ、止血帯に張力が加えられた場合に形状を変化させるように適合されている。
【0037】
止血帯は更に、ストリップの第1の縦方向エッジ上の、張力センサに隣接したポイントに接続されると共に、ストリップの第1の縦方向エッジに沿った、張力センサに隣接し第1のポイントとは異なる位置にある第2のポイントにも接続された少なくとも1つの限定部材を備えることができる。限定部材は、止血帯に張力が加えられた場合の張力センサの伸展に応じてまっすぐになるように構成されている。限定部材は適宜、ストリップと同一の面内に設けることができる。限定部材は、患者を不快にさせるか又は患者に有害である可能性のある長さまで張力センサが伸展できないことを保証する目的を有する。
【0038】
止血帯は適宜、肢に圧力を加えるようにストリップのループ部が肢を取り囲んでいる場合、ストリップの重複部分を留めるための手段を更に備える。ストリップの重複部分を留めるための手段の例は、限定ではないが、接着剤及び面ファスナ(hook and loop)を含む。これにより、止血帯を使用する場合にストリップの重複部分を留めるため別個の構成要素を使用する必要がなくなり、止血帯の使用が容易になると共にコストが削減する。
【0039】
また、本発明は、上述のような止血帯を複数含む細長い連続止血帯バンドにも関する。細長い連続止血帯バンドにおいて、止血帯は縦方向の端部で相互に取り外し可能に接続されている。言い換えると、各止血帯の縦方向中心軸が止血帯バンドの縦方向中心軸と一致するように、止血帯は細長い連続止血帯バンドの縦方向軸に沿って順次配置され、止血帯は相互に取り外し可能に接続されている。これにより、各止血帯を使用しようとする場合、バンドから容易に取り外すことができる。
【0040】
また、本発明は、筐体と、上述のような細長い連続止血帯バンドと、を備えるディスペンサにも関する。細長い連続止血帯バンドは、ロール状とするか又はジグザグ構成に配置することができ、筐体内部に収容される。筐体は開口を含み、この開口から細長い連続止血帯バンドを引き出して、一度に1つの止血帯を細長い連続止血帯バンドの残りから分離するため露出させることができる。筐体は適宜、必要に応じて殺菌された筐体とすることができる。
【0041】
本発明は更に、殺菌することができるパッケージと、上述のような止血帯と、少なくとも1つの追加の構成要素と、を備えるキットにも関する。止血帯及び1又は複数の追加の構成要素(このうち少なくとも1つが存在する)はパッケージ内に提供される。追加の構成要素の例は、注射器、1対の手袋、トレイ、消毒用に適合されたスワブ、1つ以上の吸収スワブ、洗浄用注射器、包帯、ガーゼ、標本袋、ガーゼ付きばんそうこう、テープ、1つ以上の採血管、アルコール瓶、1つ以上の綿棒、ペン、アルコールパッドや外科手術用又はフェイスマスク等の1つ以上の消毒用拭き取り布、IV延長チューブセット、鎮痛剤のような何らかの形態の薬剤、及びペーパークロス(paper cloth)を含む。そのようなキットは、診療所で現在使用されている以前から既知のキットに取って代わることができる。更に、そのようなキットは例えば、救急車、交戦地帯、又は自然災害地域のような現場での使用に特に適している場合がある。
【0042】
本発明に従った止血帯は主に、静脈アクセスを支援するため人又は動物の身体部分を圧迫するために使用するように意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図2a】本発明の第1の例示的な実施形態に従った止血帯の斜視図を示す。
【
図2b】張力を加える前の、
図2aによる止血帯の一部の上面図を示す。
【
図2c】張力を加えた場合の、
図2a及び
図2bによる止血帯の一部の上面図を示す。
【
図3】張力を加える前の、本発明の第2の例示的な実施形態に従った止血帯の一部の上面図を示す。
【
図4a】張力を加える前の、第3の例示的な実施形態に従った止血帯の一部の上面図を示す。
【
図4b】張力を加えた場合の、
図4aによる止血帯の上面図を示す。
【
図5a】肢に巻かれているが張力を加える前の、第4の例示的な実施形態に従った止血帯の斜視図を示す。
【
図5b】肢に巻かれた止血帯を引っ張り始めたときの、
図5aによる止血帯の斜視図を示す。
【
図5c】所期の張力を加え、この張力を保持した状態で留めた場合の、
図5aによる止血帯の斜視図を示す。
【
図6a】張力を加える前の、第5の例示的な実施形態に従った止血帯の一部の上面図を示す。
【
図6b】張力を加えた場合の、
図6aによる止血帯の上面図を示す。
【
図7a】張力を加える前の、第6の例示的な実施形態に従った止血帯の一部の上面図を示す。
【
図7b】張力を加えた場合の、
図7aによる止血帯の上面図を示す。
【
図8】張力を加える前の、第7の例示的な実施形態に従った止血帯の一部の上面図を示す。
【
図9】張力を加える前の、第8の例示的な実施形態に従った止血帯の一部の上面図を示す。
【
図10】張力を加える前の、第9の例示的な実施形態に従った止血帯の一部の上面図を示す。
【
図11】張力を加える前の、第10の例示的な実施形態に従った止血帯の一部の上面図を示す。
【
図12a】張力を加える前の、第11の例示的な実施形態に従った止血帯の斜視図を示す。
【
図12b】張力を加える前、かつヘッド部を折り畳む前の、
図12aによる止血帯の一部の斜視図を示す。
【
図12c】使用中、かつ張力を加えた場合の、
図12aによる止血帯の一部の斜視図を示す。
【
図13a】張力を加える前の、第12の例示的な実施形態に従った止血帯の一部の斜視図を示す。
【
図14a】張力を加える前の、第13の例示的な実施形態に従った止血帯の一部の斜視図を示す。
【
図15a】張力を加える前の、第14の例示的な実施形態に従った止血帯の一部の上面図を示す。
【
図16a】張力を加える前の、第15の例示的な実施形態に従った止血帯の一部の上面図を示す。
【
図17a】第16の例示的な実施形態に従った止血帯の一部の上面図を、拡大した部分を含めて示す。
【
図17b】第16の例示的な実施形態に従った止血帯の一部の上面図を、拡大した部分を含めて示す。
【
図18a】張力を加える前の、第17の例示的な実施形態に従った止血帯の一部の上面図を示す。
【
図19a】張力を加える前の、第18の例示的な実施形態に従った止血帯の一部の上面図を示し、折り畳み可能圧力インジケータ要素フラップは張力センサの上で折り畳まれていない。
【
図19b】張力を加える前の
図19aによる止血帯の上面図を示すが、折り畳み可能圧力インジケータ要素は張力センサの上で折り畳まれている。
【
図20】張力を加える前の、第19の例示的な実施形態に従った止血帯の上面図を示す。
【
図21】張力を加える前の、第20の例示的な実施形態に従った止血帯の上面図を示す。
【
図22a】張力を加える前の、第21の例示的な実施形態に従った止血帯の上面図を示す。
【
図22b】張力を加える前の、肢の周りに使用した場合の、
図22aによる止血帯の斜視図を示す。
【
図23a】張力を加える前の、第22の例示的な実施形態に従った止血帯の一部の上面図を示す。
【
図24a】第23の例示的な実施形態に従った止血帯の斜視図を示す。
【
図25a】張力を加える前の、第24の例示的な実施形態に従った止血帯の一部の上面図を示す。
【
図26】1つの例示的な実施形態に従ったディスペンサの斜視図を示す。
【
図27】1つの例示的な実施形態に従ったキットの上面図を示す。
【
図28】張力を加える前の、第25の例示的な実施形態に従った止血帯の一部の上面図を示す。
【
図29】張力を加える前の、第26の例示的な実施形態に従った止血帯の上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下で、添付図面及び特定の例示的な実施形態を参照して本発明について記載する。しかしながら、本発明は示されている実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲の範囲内の変形が可能である。更に、1又は複数のデバイスの特徴(feature)及びその詳細をいっそう明確に示すため、いくつかの特徴は誇張される場合があるので、図面は必ずしも一定の縮尺通りに描かれていると見なされるものではない。
【0045】
本開示において、止血帯は、肢を圧縮することによって静脈又は動脈の血流を制限及び/又は阻止するために構成されたデバイスを意味すると見なすものとする。
【0046】
更に、本開示において「使い捨て止血帯」という用語は、一度だけの使用が意図されていることを意味すると見なすものとする。しかしながら、止血帯は所望の場合には2度以上使用され得ることを認めるべきである。しかしながらこれは、例えば2人以上の患者のため等、複数回の使用が意図されたものではない。
【0047】
更に、本開示において「センサ」という用語は、物理的刺激に応答すると共にその物理的刺激に関して得られた情報を提供するように構成されたデバイスを記述する目的で使用される。従って「張力センサ」という用語は、本開示において、張力の形態の物理的刺激に応答すると共にこの張力に関する情報をユーザに提供するように構成されたデバイスを意味すると見なされる。張力に関する情報は、ユーザによる張力センサの目視検査によってユーザに与えることができる。
【0048】
更に、本開示において「切り込み」という用語は広義に解釈され、例えばスリット、スロット、切り取り線、孔、アパーチャ等、任意の形態の貫通開口を包含するものとする。
【0049】
本開示において「蛇行経路」という用語は、張力センサの特徴の記載と共に使用され、より具体的には、張力センサにおける複数の切り込みのパターンに関して使用される。本開示において、「蛇行」という用語は、特定の方向に対して少なくとも1度変化する曲がりくねったコース又は間接的なコースをとって前進又は進行するものと見なすこととする。従って「蛇行経路」という用語は、例えば正弦波又はS字形(serpentine)コース、方形正弦波コース、ジグザグ形コース、台形正弦波コース、ジグソー形(jig-saw-shaped)コース等を有する経路を包含すると見なすべきである。
【0050】
更に、非弾性という用語は本開示において材料特性を記述する場合に使用される。しかしながら、真に非弾性である材料は存在しないことに留意するべきである。従って本開示では、「実質的に非弾性」という用語が用いられる。実質的に非弾性の材料は、材料に切れ目や巨視的欠陥等が存在しないと仮定した場合、材料の面内で人が材料を引っ張ることによって達成できる張力では伸長しない材料を意味すると見なすものとする。
【0051】
本発明に従った止血帯は、使用中に止血帯を引っ張っているときに止血帯の所期の張力が達成された場合、ユーザに知らせるように設計されている。止血帯の所期の張力は、止血帯が使用されている身体部分に加えられる所期の圧力と相関がある。
【0052】
本発明に従った止血帯は、第1の縦方向端部にヘッド部を有するストリップを含む。このヘッド部は適宜、止血帯が身体部分に、具体的には肢に巻かれた場合、圧力を加えるため止血帯を引っ張る際にユーザによって把持されるように意図することができる。ストリップは更に、第2の縦方向端部にテール部を備えている。テール部は、止血帯が身体部分に巻かれた場合、止血帯が身体部分を取り囲むように止血帯を引っ張る際にユーザによって把持することができる。ストリップは、ヘッド部とテール部との間に配置されたループ部も備えており、ループ部は、身体部分、特に肢を取り囲むのに充分な長さを有する。ヘッド部及びテール部のうち少なくとも一方は、止血帯の使用中に患者の肢の皮膚に直接接触せず、単にループ部に重複するように意図されている。止血帯は更に中間部も備えることができ、これは所望の場合、ループ部よりも広い幅を有する場合もあり、そうでない場合もある。そのような場合、このような中間部は、ヘッド部とループ部との間に配置することができる。更にストリップは、テール部と、場合によってはループ部の一部とを使用中に貫通させるように意図された開口を備えることができる。このような開口は、実質的に横方向の切り込みによって適宜形成すればよい。更に、開口は適宜、中間部又はヘッド部に配置することができる。更に止血帯は、適切な圧力が達成された場合に止血帯を留めるように意図された接着剤を含むことができる(例えば
図1に示されている接着剤7と比較)。あるいは止血帯は、患者の肢に止血帯が巻かれた場合に止血帯の重複部分を留めるための他の何らかの手段を適宜含むことも可能である。例えば面ファスナ等、以前から既知の留め手段を用いればよい。
【0053】
本発明に従った止血帯は、ストリップだけから構成するか、又は、ストリップと少なくとも1つの別の構成要素を含むことができる。
【0054】
図1に示されている従来技術とは異なり、本発明に従った止血帯は、止血帯における適切な所期の張力、従って身体部分に対する所期の圧力が達成されたことをユーザに知らせるように意図された張力センサを更に備えている。張力センサは、ストリップの縦方向軸と一致する縦方向軸を適宜有する。あるいは張力センサは、ストリップの縦方向軸に平行な縦方向軸を有し得る。更に、張力センサは、第1の縦方向エッジ及び第2の縦方向エッジによって画定された幅を有する。従って、これらの縦方向エッジは張力センサの外側エッジを形成する。第1及び第2の縦方向エッジは平行とすることができるが、本発明はこれに限定されない。言い換えると、張力センサの幅は張力センサの縦方向軸に沿って一定であるか、又は張力センサの縦方向軸に沿って変動する可能性があり、例えばテーパ状や、厚い中央部を含む場合がある。いずれにせよ、張力センサの第1の縦方向エッジ及び第2の縦方向エッジは、張力センサの中心縦方向軸に沿って相互に左右対称である、すなわち、ストリップの中心縦方向軸に対して相互に左右対称である。この文脈において、張力センサの縦方向の伸展は、ストリップの縦方向軸と同一の軸に沿っていると見なされる。張力センサは、張力センサが配置されているストリップ部分におけるストリップの幅と同一の幅を適宜有することができる。しかしながら、張力センサの幅がストリップの幅と異なることも妥当であり、また、より狭い幅及びより大きい幅も妥当である。
【0055】
張力センサは、所定のパターンに配列された複数の切り込みを含む。パターンは任意選択的に複数の異なるサブパターンを含んでもよい。止血帯が縦方向軸に沿って引っ張る力を受けた場合、切り込みはストリップの縦方向軸に沿って広がることができる。複数の切り込みのパターンは、複数の切り込みの各切り込み間に画定される材料の少なくとも1つの蛇行経路を形成する。蛇行経路は、張力センサの第1の縦方向端部から張力センサの第2の縦方向端部まで延出している。蛇行経路は、ストリップの縦方向軸に対してストリップの面内で蛇行している。言い換えると、張力センサの蛇行経路のコースは、張力センサの縦方向軸に沿って少なくとも一度、好ましくは複数回、変化する。従って、止血帯に引っ張る力が加えられた場合、張力センサはストリップの縦方向軸に沿って伸展することができる。蛇行経路は、少なくともストリップに縦方向軸に沿った張力が加えられた場合、ストリップの縦方向軸と一致するコースを有する部分を含み得ることは認められよう。
【0056】
パターンが複数の異なるサブパターンを含む場合、これらのサブパターンは、張力センサの縦方向軸に沿って及び/又は横方向軸に沿って相互に分離させることができる。横方向軸に沿って相互に分離されている場合、サブパターンは、縦方向軸と平行に又は縦方向軸に沿って配向された1つ以上の直線状切り込みによって適宜分離される。
【0057】
蛇行経路は、張力センサの第1の縦方向端部のポイントから張力センサの第2の縦方向端部までストリップ材料を通る最短利用可能経路を構成する。張力センサの縦方向軸に沿った方向の張力が加えられたときに張力センサが縦方向軸に沿って伸展するためには、この最短利用可能経路は、伸展前の緩和状態における張力センサの第1の縦方向端部と第2の縦方向端部との間の直線距離よりも長くなければならない。これを達成するため、使用時に張力を加える前に張力センサが緩和状態である場合は、複数の切り込みが、張力センサの第1及び第2の縦方向端部を連結するストリップ材料を通る張力センサの縦方向の直線最短利用可能経路を妨害する。張力を加えると、蛇行経路は、張力を加えた結果として部分的に又は完全にコースが変化し得る。特定の実施形態では、張力センサが充分に伸展された場合に張力センサの蛇行経路が直線状になるように、すなわちストリップの縦方向軸に対して平行になるように、張力センサは縦方向軸に沿って伸長することができる。
【0058】
適宜、パターンは複数の蛇行経路を形成する。これらの蛇行経路は、張力センサの横方向軸に沿って見た場合に同一であり、並んで配置されている、すなわち平行である。しかしながら好ましくは、蛇行経路は、張力センサの縦方向軸に沿って見た場合、相互に左右対称とすることができる。更に、複数のサブパターン(このうち少なくとも2つは相互に異なる)から成る所定パターンに複数の切り込みが配列されている場合、蛇行経路は必ずしも同一の長さを有する必要はない。
【0059】
所定パターンに配列された複数の切り込みによって、張力センサには、ストリップの残り部分の弾性とは異なる弾性が与えられる。更に、張力センサの所定パターンは、止血帯によって肢に加えられる所期の圧力に対応した張力を超える張力が加えられた場合、所期の圧力に対応した張力が加えられた場合に張力センサによって達成される伸展よりも大きく伸展できるように構成されている。張力が除去又は低減すると、張力センサの弾性によって張力センサは収縮し、より短い伸展状態になることができる。
【0060】
好ましくは、張力センサの複数の切り込みのうち少なくとも第1の切り込みは第1の縦方向エッジに到達し、張力センサの複数の切り込みのうち少なくとも第2の切り込みは第2の縦方向エッジに到達する。適宜、2つ以上の切り込みが張力センサの第1の縦方向エッジに到達し、2つ以上の切り込みが張力センサの第2の縦方向エッジに到達する。しかしながら張力センサには、張力センサの双方の縦方向エッジ間に到達する切り込みは存在しない。そのような場合のセンサは破れるか又は他の不具合を生じるからである。
【0061】
適宜、張力センサの切り込みは、張力センサの縦方向軸と張力センサの横方向軸の双方に沿って反復するパターン単位を含むパターンで与えられる。反復する場合、パターン単位は張力センサの異なる部分では異なる大きさを有し得る。あるいは、パターン単位は張力センサ全体を通して同一の大きさを有することも可能である。
【0062】
引張応力によってセンサパターン内で移動が生じ得る。この移動は、加えられた張力の方向、加えられた張力の反対方向、加えられた張力に対して垂直方向、又はそれらの組み合わせであり、結果として、張力に沿った方向でなく垂直方向でもない運動を発生させ得る。センサパターン内で1つ以上のインジケータを使用することができ、それらの相互に関連した移動が張力情報を発生させることができる。インジケータは例えば、張力センサに組み込まれているか又は張力センサの近傍の目印、及び/又は張力センサに関連付けられた圧力インジケータとすればよい。いくつかのインジケータを有することの機能は、加えられた圧力を示すことに加えて、せん断応力が生じているか否かを示すことであり得る。これによってユーザは、せん断応力を停止させ、代わりに止血帯の縦方向軸に沿って加えられる張力を増大させることができる。
【0063】
ストリップは、実質的に非弾性の材料によって適宜作製することができる。これは、縦方向軸に沿ったストリップの面内の張力の制御が容易であるという利点を有する。しかしながら材料は、しわ又は同様の望ましくない歪みなしで肢にきつく巻くことができる充分な可撓性を持たなければならない。適切な非弾性材料の例は、限定ではないが、紙又は紙ベースの材料、プラスチック材料等を含む。ストリップは、同じ目的に使用される以前から既知の実質的に非弾性の材料で作製することができる。止血帯は、血液を含む患者の体液に露呈されるので、破棄され燃やされる。すなわち止血帯はリサイクルされない。従って、再生可能な天然資源から製品材料を調達することは環境面で有利である。環境の目的のため、ストリップは好ましくは、紙ベースの材料、生分解性プラスチック材料、又は木質繊維及び生分解性繊維を含む複合材料で作製される。
【0064】
あるいはストリップは、所望の場合、正のポワソン比を有する材料で作製することができる。そのようなストリップは、ストリップと同一のヤング率を有する張力センサと対にして、加えられた張力を量子化することができる。センサパターン及びこのセンサパターンに関連付けられた圧力インジケータ要素は、より高い局所圧力を発生させる弾性材料のポワソン比によって生じるバンド幅の変化を考慮するように適宜作製される。
【0065】
止血帯によって加えられる圧力は、体表面に対する垂直力(normal force)及び力が加えられる表面積に依存する。力は、本発明に従って張力センサを用いて制御される。面積は、肢を取り囲むループ部における止血帯の表面積、すなわち肢と直接接触している面積に対応する。ループ部の実質的に非弾性の材料により、加えられる張力とは関係なくストリップの実質的に一定の幅が保証されるが、肢周径は人や動物によって様々に変動するので、所定の圧力を加えるため考慮しなければならない。本発明は、以下を含む異なる方法で肢周径を考慮することができる。
i. 許容される肢周径を制御する、
ii. 肢周径に関連して使用される力を変更する、及び/又は
iii. 肢周径に一致するようにループ部の局所幅を変更する。
肢周径を考慮するためのこういった代替的な方法は、以下に示す例示的な実施形態から明らかとなろう。
【0066】
一例として、上記の(i)で与えられる許容される肢周径の制御は、止血帯を使用できる肢周径に関してユーザに指示することにより適宜実行され得る。これは例えば、そのように止血帯又はそのパッケージにマーキングすることによって実行すればよい。そのようなマーキングは、所望の場合、張力センサに関連付けられた目印と組み合わせてもよい。あるいは、上記の(i)で与えられる許容される肢周径の制御は、ループ部の適切な長さを選択することによって適宜行うことができる。これによって、より大きい周径を有する肢には止血帯を完全に巻くことができないので、そのような肢には止血帯を使用しないことが保証される。
【0067】
一例として、肢周径に関連して使用される力の変更は、複数の切り込みのパターン及びこれに関連付けられたパターン変数、並びに切り込みの幾何学的構成を変更することによって実行できる。この代わりに又はこれに加えて、材料の選択を変更するか、又はコーティングもしくは他の補強によって局所的に補強してもよい。
【0068】
一例として、ループ部の局所幅の変更は、ループ部の幅がテール部に向かってテーパ状になること、又は、局所的に高い圧力を加えるためループの一部の幅が狭いことを含み得る。
【0069】
張力センサの材料及び幅は、任意選択的に、機能性を保証するため止血帯の残り部分とは異なる場合がある。代替的な材料、又は異なる密度もしくは厚さで同一の材料を用いること、又はポリマーベースのコーティング等の追加材料を局所的に利用することで、隣接部分とは無関係である一部の機能性を保証することができる。
【0070】
しかしながら、好ましくは、張力センサはストリップと同一の材料で適宜作製することができる。実際、張力センサは単に、ストリップの所定部分に複数の切り込みを所定パターンで設けることによって実現できる。これにより製造コストが削減し、従って低コストの止血帯が可能となる。これは、使い捨て止血帯の場合には不可欠である。
【0071】
図2aから
図2cに、本発明に従った止血帯の第1の例示的な実施形態が示されている。
図2aは、ストリップの中間部5の開口9にテール部3及びループ部4の一部を貫通させた後であるが、身体部分(図示せず)に対する所期の圧縮を行うため止血帯を引っ張る前の、止血帯1の斜視図である。言い換えると、
図2aは張力を加える前の止血帯を示す。
図2b及び
図2cは止血帯1の一部の上面図を示す。
図2bは、止血帯に張力を加える前、すなわち使用前の緩和状態の図を示し、
図2cは、ストリップの縦方向両端部を実質的に反対方向に引っ張ることによりストリップの縦方向軸に沿って止血帯に張力を加えた場合の止血帯を示す。
【0072】
止血帯1は、ヘッド部2、中間部5、ループ部4、及びテール部3を有するストリップを含む。更にストリップは、中間部5とヘッド部2との間に配置された張力センサ8を備えている。張力センサ8は、円形の孔のような孔10の形態である複数の切り込みを含む。孔10は所定のパターンに配列されている。パターンにおける孔は、張力センサの縦方向軸及び張力センサの横方向軸の双方に沿って反復する。孔のパターンは、個々の孔の間に画定された材料の蛇行経路を形成する。蛇行経路は、張力センサの第1の縦方向端部から第2の縦方向端部まで延出している。
図2bにおいて、蛇行経路のうち2つが点線Mによって示されており、これらは実質的に正弦波状の構成を有する。
図2bに示された蛇行経路は、ストリップの縦方向軸に沿って相互に左右対称である。
図2cに示されているように、孔はストリップの縦方向軸に沿って広がることができる。孔は、張力センサ全体を通して同一の大きさを有するか、又は孔のパターン内の各孔の位置に応じて異なる大きさを有することができる。例えば孔の大きさは、張力センサの縦方向軸に沿った勾配で設けることができる。更に、張力センサが緩和状態にある場合(すなわちユーザによって張力を加える前)、張力センサ8の一方の縦方向端部から張力センサの反対側の縦方向端部までの材料の直線最短利用可能経路が存在しないように、パターン内の孔が配列されている。しかしながら、張力を加えることで張力センサが伸展すると、ストリップ材料には直線経路が出現できる。
【0073】
図2aから
図2cに示されているように、複数の孔10のうち第1の孔10aは張力センサ8の第1の縦方向エッジ8aに到達し得る。更に、複数の孔10のうち第2の孔10bは張力センサ8の第2の縦方向エッジ8bに到達し得る。しかしながら、蛇行経路が得られる限り、張力センサの縦方向エッジにいずれかの孔が到達することは必須ではない。この例示的な実施形態において、縦方向エッジ8a及び8bは、止血帯に張力を加える前は相互に平行でないが、適宜、
図2bに示されているようにストリップの縦方向軸に沿って相互に左右対称とすることができる。止血帯1を肢に巻き、テール部を開口9に貫通させたら、ユーザはヘッド部2及びテール部3を反対方向に引っ張り、これによって患者の肢の周りのループ部4に張力をかける。更に引っ張ると、張力センサ8が活性化され、孔10が広がることで、張力センサの縦方向の長さが拡大する。
図2aから
図2cから明らかであるように、張力センサは、止血帯の使用中、張力センサのこのバージョンが、止血帯が使用される肢とは直接接触しないが、一部がストリップの別の部分に重なるように構成されている。この特定の実施形態において、張力センサ8は、所期の張力及び圧力が得られた場合、
図2cに示されているように張力センサの幅がヘッド部2の幅と一致するように設計され、これによって適切な張力が達成されたことをユーザに知らせる。次いでユーザは、
図1を参照して記載した接着剤のような従来の留め手段によって止血帯を固定して圧力を保持することができる。
【0074】
図3は、本発明の第2の例示的な実施形態に従った止血帯1の一部の上面図を示す。止血帯1は、ヘッド部2とループ部4との間に中間部5を備えており、中間部は、使用中にループ領域4に重なるようにテール部を貫通させるように適合された開口9を含む。開口は切り込み6によって実現することができ、横方向折り目6bに対して開放できるフラップ6aが生成され、折り目6bはフラップ6aのヒンジとして機能する。中間部5は更に張力センサ8を含む。従って、止血帯の使用中、張力センサ8は、止血帯が使用される肢と直接接触しない。この例示的な実施形態において、張力センサ8は所定パターンに配列された複数の切り込みを含み、これらの切り込みは横方向スリット20の形態である。スリット20は、ストリップの縦方向軸に対して垂直に配向された複数の列にパターン形成されており、各列は複数のスリットを含む。第1の列のスリットは隣接列のスリットに対して多少ずれているので、合流する材料が、張力センサの縦方向軸に沿った蛇行接続、言い換えると材料の蛇行経路を形成するようになっている。個々のスリットによって画定された材料の蛇行経路は、方形正弦波形を有すると見なすことができる。
【0075】
更に、複数のスリット20のうち少なくとも第1のスリット20aは、張力センサ8の第1の縦方向エッジ8aに到達する。また、少なくとも第2のスリット20bは、張力センサ8の第2の縦方向エッジ8bに到達する。縦方向エッジに到達するスリットが存在することで、張力センサが中間部の残り部分と同一の幅を有するにもかかわらず張力センサが動作可能であることを保証する。張力センサがストリップの隣接部分と同一の幅を有する場合にもしも縦方向エッジに到達する切り込みが存在しないと、張力センサの縦方向エッジに沿った材料の細い部分(string)が張力センサの伸展に対抗するので、張力センサは伸展することができない。また、第1のスリット20aは第2の縦方向エッジ8bに到達せず、第2のスリット20bは第1の縦方向エッジ8aに到達しないことに留意するべきである。
【0076】
図3に示されているように、張力センサ8は更に、2つの縦方向切り込み21a、21bによって境界が画定された中央部21を任意選択的に含むことができる。中央部21は、張力センサ8の他の部分とは異なるパターンの切り込み20’を含む。中央部21の目的は、例えば、止血帯を引っ張っている間に所期の張力が達成されたか否かを視覚的に判定可能とする目印を含むことである。
【0077】
図4aは、張力を加える前、すなわち止血帯が使用前の緩和状態にある、第3の例示的な実施形態に従った止血帯の一部の上面図を示す。
図4aに示されている例示的な実施形態は
図3の例示的な実施形態と同様であるが、中間部を含まず、ヘッド部2がループ部4よりも広い幅を有する点が異なっている。更に、
図4aに示されている止血帯は、適宜3つのライン25a、25b、25cから成る印刷された目印を含み、これらのラインは、切り込み20’(
図3と比較)によって分離された中央部21の別々の部分に印刷されている。2つの印刷されたライン25a、25cは同一の縦方向ラインに沿って設けられ、中央のライン25bは、周囲に印刷された2つのライン25a、25cの縦方向ラインと平行なラインに沿って設けられている。
【0078】
図4bは、止血帯の縦方向に張力を加えた場合の、
図4aによる止血帯を示す。図に示されているように、張力によって切り込み20は縦方向軸に沿って広がり、このため張力センサ8は、
図4aに示されている緩和状態に比べて縦方向軸に沿った長さが拡大する。更に、所期の張力が達成された場合、印刷された目印の3つのライン25a、25b、25cは単一ライン25と一直線に並び、これによって、身体部分に対して適切な圧力が達成されたという情報をユーザに与える。その後ユーザは、身体部分に対する所期の圧力を維持しながら、従来の手段によって止血帯の重複部分を相互に留めることができる。
【0079】
図5aから
図5cは、第4の例示的な実施形態に従った止血帯1を示し、どのように止血帯を使用するかを示している。第4の例示的な実施形態において、張力センサ8はストリップのテール部3に配置されている。これは、片手のみで止血帯を引っ張れることが望ましい場合に特に適している。以下の文書及び
図5aから
図5cから明らかとなるように、止血帯の使用中に張力センサは肢Lと直接接触しない。
【0080】
図5aは、腕のような肢Lにループ部4を巻くことによって肢Lを取り囲んだ場合の止血帯1を示している。また、テール部は、ストリップのヘッド部2に設けられた開口を貫通しているが、まだ張力は加えられていない。テール部の貫通を可能とするため開口9が充分に幅広であるように、ヘッド部2はテール部及びループ部よりも広い幅を有する。更に、ループ部に適切な張力をかけて肢Lに所期の圧力を加えた後にテール部をループ部に留めることを可能とするため、テール部は接着剤7を含む。使用前は保護ライナによって適宜覆われている接着剤7は、(テール部における)ストリップの縦方向端部と張力センサ8との間に適宜配置されている。
図5aから
図5cにおいて、張力センサ8は、複数の列に配置されたスリットの形態である複数の切り込みを含む張力センサとして図示されている。しかしながら、張力センサは、本開示に記載されている任意の構成のパターンに配置された切り込みを含むことができる。
【0081】
図5bは、肢Lに対して適切な圧力を達成する目的でテール部を引っ張り始めたときの
図5aの止血帯を示している。この段階では、切り込み20はまだ広がり始めていない。言い換えると、張力センサ8はまだ活性化されていない。ユーザが止血帯のテール部を引っ張り続けると、張力センサが活性化されて切り込みが広がり始め、これによって張力センサは伸展する。適切な張力が達成されたときをユーザに知らせるため、張力センサに関連付けて目印(図示せず)を設けることができる。達成された張力を維持するように、テール部を接着剤によってループ部に留めることができる。
図5cは、テール部3を接着剤7(
図5aを参照のこと)によってループ部4に重ねて留めた場合の止血帯を示している。
図5cからわかるように、ストリップの縦方向端部と張力センサとの間に接着剤が設けられていることで、テール部をループ部に留めた後でも、ユーザが引っ張る力を与えなくなったにもかかわらず、張力センサが張力を維持することが保証される。このため、ユーザは張力センサとこれに関連付けられた目印を見ることができ、従って、ストリップの重複部分を留めた後でも所期の圧力が達成されて維持されていることを確認できる。長時間にわたって特定の圧力の保持が必要である場合、センサパターン自体も接着性として、ロックを構成することができる。固定されたバンドは非伸展状態を維持するが、これは、センサパターンのヤング率が摩耗の関数である場合に有用である。その場合、経時的な伸展が生じることで、肢に加えられる圧力が低下するリスクがある。
【0082】
図6a及び
図6bは、第5の例示的な実施形態に従った止血帯の一部の上面図を示す。
図6aは張力を加える前の状態を示し、
図6bは張力を加えた場合の状態を示す。第5の例示的な実施形態において、張力センサ8は止血帯1の中間部5に設けられており、中間部はヘッド部2の幅及びループ部4の幅よりも広い幅を有する。中間部は更に、テール部(図示せず)を貫通させることができる開口9を含む。
図6aに示されているように、張力センサは、張力センサの第1の縦方向エッジ8aに到達するスリット20aの形態である2つの平行な切り込みと、張力センサ8の第2の縦方向エッジ8bに到達するスリット20bの形態である2つの平行な切り込みと、を含む。スリット20aの一方及びスリット20bの一方は、ストリップの横方向軸に沿った第1の面内に配置されている。これに対応して、スリット20aの他方及びスリット20bの他方は、同様にストリップの横方向軸に配置された第2の面内に配置されている。言い換えると、スリット20a及び20bは、それぞれが2つのスリットから成る2つの平行な列に設けられていると見なすことができる。それぞれが2つのスリットを含む列の中間で、張力センサはスリット20cの形態である第3の切り込みを含み、これは張力センサの縦方向エッジ8a、8bのいずれにも到達しない。第3の切り込みは2列の切り込みに対して平行である。更に、スリット20a、20b、20cの各々は、所望の場合、スリット端部に小さい円形の孔26を設けることができる。このような孔26は、スリットの端部が鋭いために破壊又は分裂の開始点として作用するリスクを低減させる目的を有する。
【0083】
図6bに示されているように、止血帯の縦方向軸に沿って止血帯に張力を加えた場合、スリット20a、20b、及び20cは縦方向軸に沿って広がる。この結果スリット20cは、とがった楕円と同様の形状となる。
【0084】
図7a及び
図7bはそれぞれ第6の例示的な実施形態に従った止血帯の一部の上面図を示す。
図7aは張力を加える前の状態を示し、
図7bは止血帯に張力を加えた場合の状態を示す。第6の例示的な実施形態が
図6a及び
図6bに示されている例示的な実施形態と異なる点は、張力センサがより多くの平行な列のスリットを含み、各列がより短いより多くの切り込み(ここではスリット)を含むことである。スリットは1列おきに、張力センサの第1の縦方向エッジ8aに到達する1つのスリットと、張力センサの第2の縦方向エッジ8bに到達する別のスリットと、を含む。
図7a及び
図7bでは、7列のスリットが示されており、それらの列のうち4つが縦方向エッジに到達するスリットを含む。
【0085】
図8は、止血帯に張力を加える前の第7の例示的な実施形態に従った止血帯の一部の上面図を示す。第7の例示的な実施形態は、
図6a及び
図6bに示されている例示的な実施形態と同様である。しかしながらこれは、張力センサの縦方向エッジに到達するスリット20a、20bが張力センサの縦方向軸に対して垂直でなく、縦方向軸及び横方向軸に対して斜めにエッジに到達する点が異なっている(横方向軸は縦方向軸に対して垂直な軸である)。更に、円形の孔の代わりに、各スリットの端部に細長い孔26’を設けることができる。
【0086】
張力センサの切り込みのパターンが異なる上述の例に加えて、更に別の可能性も存在する。例えば
図9は、張力センサが複数の切り込み30を含む第8の例示的な実施形態に従った止血帯の一部の上面図を示し、各切り込みは、張力センサの縦方向軸に沿って相互に隣接した複数の半円形30aの形状を有する(数字の「3」を延長した形態等)。更に、2つの隣接する切り込み間に存在する材料は、材料の蛇行経路Mを形成する。2つの隣接する蛇行経路M、M’は、張力センサの縦方向軸に沿って相互に左右対称である。
【0087】
図10は、第9の例示的な実施形態に従った止血帯の一部の上面図の形態で更に別の例を示す。この例では、張力センサ8は基本的に文字Tの形状を有する孔32を含み、Tの底部に向かってテーパ状の柱33と、柱33に接する部分の厚さに比べて大きい厚さの端部34を含むTの屋根と、を有する。T形切り込みは2列に配置されており、一方の列は他方よりもT形切り込みが短いことを特徴とする。各列内のT形切り込みは、縦方向切り込み35によって隣接するT形切り込みから分離している。更に、T形切り込みの各列は、実質的に三角形の孔36の形態である追加の切り込みによって分離している。切り込みのパターンは、切り込み間に点線Mで示される蛇行経路を形成する。この例示的な実施形態における蛇行経路は、張力センサ及びストリップの縦方向軸に近いコースを有する部分M
Aを含む。
【0088】
図11は、第10の例示的な実施形態に従った止血帯の一部の上面図を示す。張力センサは、複数の平行な列を含む切り込みのパターンを含み、各列は2つ以上の切り込みを含み、各切り込みはスリット20の形態である。これらの列は、止血帯の横方向軸に沿って、すなわち張力センサの縦方向軸に対して垂直に配向されている。1列おきに、張力センサ8の第1の縦方向エッジ8aに到達する1つのスリット20aと、第2の縦方向エッジ8bに到達する第2のスリット20bと、を含む。張力センサは更に、複数の縦方向切り込み20eを含む。縦方向切り込み20eの各々は、張力センサの縦方向エッジに到達するスリットを含まない列のスリット20と交差する。従って、切り込みのパターンは、張力センサの縦方向軸に沿って材料の複数の矩形蛇行経路を形成するものとして記述できる。
【0089】
本明細書に記載される例示的な実施形態に関係なく、止血帯は、張力センサに関連付けられた少なくとも1つのインジケータを含むことができる。インジケータの例には、圧力インジケータ要素、1つの目印、又は複数の目印が含まれる。1又は複数の目印の目的は、止血帯で適切な圧力が達成されたことをユーザに視覚的に示すことである。1又は複数の目印は、例えば、止血帯によって所期の圧力が得られた場合に形状が変化するか又はその場合だけ目に見えるプリントを構成することができる。あるいはインジケータは、張力センサの上面に取り付けられたか又は張力センサ内に編み込まれたリボン又は糸を構成することができ、止血帯に張力を加える前は張力センサの切り込み間でリボン又は糸が蛇行し、所期の圧力が達成された場合はまっすぐな形状となる。以下で、いくつかの追加の例について説明する。
【0090】
図12aは、生産された状態の使用前の第11の例示的な実施形態に従った止血帯の斜視図を示す。
図12bは、
図12aに従った止血帯の一部の更に詳しい図を示す。
図12cは、使用中に所定の張力を加えた場合の
図12aに従った止血帯の一部の斜視図を示す。この実施形態は、肢半径の差に対する補償を例示する。
【0091】
図12aに示されているように、止血帯1は、折り目41等によってヘッド部2の縦方向端部に取り付けられた圧力インジケータ要素40を含む。圧力インジケータ要素40は更に自由端40aを含む。
図12cに示されているように、圧力インジケータ要素40は止血帯の使用中にヘッド部2の上に折り畳まれて、ストリップの縦方向軸において自由端に対して張力センサが遠位に位置付けられるようになっている。言い換えると、圧力インジケータ要素はヘッド部2の上に折り畳まれた場合に張力インジケータ上に延出する。更に、圧力インジケータ要素40がヘッド部2の上に折り畳まれた場合、圧力インジケータ要素の自由端40aは、張力センサ8の伸展に応じて、ストリップの縦方向軸に沿ってストリップの表面上で移動可能である。
【0092】
圧力インジケータ要素40は、ここではヘッド部2(又は場合によっては中間部)の上面にストリップの縦方向軸に沿って一直線に配置された3つの点43a、43b、43cとして示されている印刷された目印と連携するように意図されたアパーチャ42を含む。点43a、43b、43cは例えば、加えられた張力レベルをユーザに知らせるように異なる色を有し得る。しかしながら、例えばパターン又は幾何学的形状のように、色付きの点以外の形態の目印が妥当である場合がある。更に、目印43a、43b、43cの各々は、ループ部4の上面の対応する目印43’a、43’b、43’cと対になっている。例えば点43aは目印43’aと同じ色を有し、点43bは目印43’bと同じ色を有する等である。ループ部上の目印43’a、43’b、43’cは、ユーザが止血帯を使用する肢の周径に関連している。
【0093】
使用中、止血帯1は対象の肢に巻かれる。止血帯が肢の周りにぴったり巻かれると、この肢の周径に応じて、ループ部の目印43’a、43’b、43’cのうち1つが、切り込み6によって形成された開口に挿入される。これは、所期の適切な圧力を肢に加えるためには目印43a、43b、43cのうちどれが圧力インジケータ要素40のアパーチャ42を通して見えるべきであるかをユーザに知らせる。圧力インジケータ要素40がヘッド部2の上に折り畳まれている状態で止血帯1に張力を加えると、張力センサ8が活性化されて伸展される。これにより、ヘッド部2の上面の印刷された目印43a、43b、43cとアパーチャ42が関連しながら、圧力インジケータ要素40が移動する。ストリップで第1の圧力が達成された場合、アパーチャ42を通して第1の点43aが見える。ユーザがストリップを引っ張り続けると、張力が増大して、アパーチャ42を通して第2の点43bが見えるようになる。
図12cでは、圧力インジケータ要素40のアパーチャ42を通して点43bが見えているので、ストリップは、肢周径が目印43’bに対応する場合に所期の適切な張力が加えられている状態で図示されている。張力レベルの数は3よりも多くするか又は少なくすることも可能である。張力レベル、すなわちループ及び圧力インジケータ要素における目印対の数が多くなると、得られる圧力精度が高くなる。
【0094】
図13a及び
図13bは、第12の例示的な実施形態に従った止血帯の一部の斜視図を示す。
図13aは張力を加える前の止血帯を示し、
図13bは張力を加えた場合の止血帯を示す。
図13bにおいて、伸展させた張力センサ8は説明のため単に波線で示されている。張力センサ8はストリップのヘッド部2に位置しているものとして図示されている。しかしながら、張力センサを中間部に配置することも可能である。ストリップは、このストリップの縦方向軸に沿って見た張力センサの第1の側の上面において、多くの色付きボックス46を含む印刷パターンのような印刷された目印を含む。ストリップは更に、ストリップの縦方向軸に沿って見た張力センサの第2の側のストリップの上面に取り付けられた圧力インジケータ要素45を含む。圧力インジケータ要素は、印刷された目印と共に機能するように適合されている。
図13bに示されているように、圧力インジケータ要素は、張力センサを活性化させるため加えられた張力によって生じる伸展の結果として移動する。このため、圧力インジケータ要素の一部は印刷された目印に対して移動し、これによって止血帯で張力が達成されたことをユーザに知らせる。
【0095】
図14a及び
図14bは、第13の例示的な実施形態に従った止血帯の一部の斜視図を示す。
図14aは張力を加える前の止血帯を示し、
図14bは張力を加えた場合の止血帯を示す。この例示的な実施形態において、ストリップは、第1のストリップ層48と、第1のストリップ層48の上に重ねられた第2のストリップ層49と、を含む。第2のストリップ層49は、ストリップの第1の縦方向端部からストリップの第2の縦方向端部に達する。適宜、第1のストリップ層も、ストリップの第1の縦方向端部からストリップの第2の縦方向端部に達する(
図14a及び
図14bに示されるように意図される)が、これは必須ではない。
【0096】
張力センサ8(
図14bでは活性化状態で一部が見えている)は第1のストリップ層48に配置され、第2のストリップ層49は、第2のストリップ層の第1の縦方向エッジから第2のストリップ層の第2の縦方向エッジまで横切っている切り取り線50を含む。
図14a及び
図14bにおいて、切り取り線はVの形態で第2のストリップ層を横断するように図示され、Vの先端は第2のストリップ層の縦方向エッジ間の中間に配置されている。しかしながら、切り取り線50が第2のストリップ層の各縦方向エッジに到達する限り、他の形態も妥当である。切り取り線50は、縦方向に沿って止血帯1に張力が加わって張力センサが活性化された場合に破断するように構成されている。あるいは切り取り線50は、切り取り線50と同様に構成された第2のストリップ層の永続的な切り込みによって置き換えてもよいことに留意するべきである。言い換えると、第2のストリップ層は2つの別個の部分に分割され、縦方向軸に沿ってストリップに張力を加えた場合、破断する必要なく同一の目的を達成する。
【0097】
第2のストリップ層49は更に、張力センサ8に関連付けられた、印刷された目印を含む。
図14a及び
図14bにおいて、これは、ストリップの横方向軸に沿って配置された3つのサブライン51a、51b、51cの形態で示されている。
図14bに示されているように、3つのサブラインは、止血帯で適切な張力が達成された場合に一直線に並ぶように設けられている。この適切な張力は、パターン形成された切り込みによって可能となる張力センサの所期の伸展によって決定される(
図14a及び
図14bには明確に図示されていない)。張力センサ8が活性化される前は、3つのサブラインのうち中央のサブライン51bはVの先端に設けられ、他の2つのサブライン51a、51cに対して平行であるが、ずれている。
【0098】
図15a、
図15bは、
図13a及び
図13bに示されている例示的な実施形態に対応する第14の例示的な実施形態を示すが、印刷された色付きボックス46が印刷されたスケール56で置き換えられている点が異なっている。
【0099】
図16a、
図16bは、第15の例示的な実施形態に従った止血帯の一部の上面図を示す。
図16aは止血帯に張力を加える前の状態を示し、
図16bは止血帯に所期の適切な張力を加えた場合の状態を示す。これらの図において、張力センサ8は説明のため単に波線で示されている。しかしながら、張力センサ8は前述のように所定のパターンに設けられた切り込みを含む。張力センサは、前述の例示的な実施形態のいずれかに記載されているように、ストリップの面内で平面状とすることができる。しかしながら、張力センサは所望の場合、ストリップの面に対して起伏のある波形の形態に設けることも可能である。張力センサ8は、この張力センサの上面に目印57を含む。目印57は、止血帯における所期の張力に応じて張力センサが活性化されて所期の伸展まで伸展した場合にのみ所定の形状となるように構成されている。目印57が所期の形状となったことをユーザが容易に判定できるように、例えばヘッド部2の上面に基準形状58を印刷してもよい。
【0100】
図17a及び
図17bは、第16の例示的な実施形態に従った止血帯の一部の上面図を示す。張力センサ8の切り込みは、部分拡大図に示されているような微細切り込みを含む。
図17a及び
図17bはそれぞれ、張力を加える前及び張力を加えている間の止血帯の一部を示す。この文脈において、微細切り込みは、最も長い伸展状態において1mm未満の大きさの切り込みを意味すると見なすものとする。充分な張力を加えると、切り込みの形状及び/又は配向が変化して、
図16bに例示されているような微細止血帯目印が現れる。このような微細目印は、適宜、達成された圧力レベル(ここではmmHgの単位で示される)を示す目印、
図16a及び
図16bに示される目印57のような幾何学的目印を含むか、又は張力が加えられると他のタイプの目印を現すことができる。
【0101】
図17a及び
図17bに示されている例示的な微細パターンにおいて、張力を加える前(
図17aを参照のこと)に止血帯の縦方向軸又は横方向軸に沿って配向された楕円形状の非円形切り込みは、張力を加えられると(
図17bを参照のこと)、線形又は円形の幾何学的形状となる。線形と円形の幾何学的形状の切り込み間の視覚的コントラストは垂直に配向された楕円よりも大きいので、張力を加えた場合に目印を現すように所定の複数の切り込みを整列させればよい。
【0102】
この切り込みパターンに加えて、切り込みは、張力センサの縦方向軸に沿った大きい切り込みと妥当に組み合わせた場合(
図4a及び
図4bを参照のこと)、例えばパターン内で回転及び/又は移動することも可能である。そのようなパターンの組み合わせによって、異なる量の張力が加えられた場合に1つ又はいくつかの複合目印を現すことができる。
【0103】
図18a及び
図18bはそれぞれ、張力を加える前及び張力を加えている場合の、第17の例示的な実施形態に従った止血帯の一部の上面図を示す。第17の例示的な実施形態は
図7a及び
図7bに示されている例示的な実施形態と同様であるが、ストリップが中間部を含まない点が異なっている。その代わり、張力センサ8及び開口9はストリップのヘッド部2に設けられている。更に、ストリップは、ストリップの残り部分と同一の面に配置された圧力インジケータ要素60を含む。圧力インジケータ要素60はヘッド部の縦方向エッジ2aに接続され、自由端60aを含む。圧力インジケータ要素60はヘッド部と同一の面内にあり、張力センサ8につながり(bridge)、
図18a及び
図18bに示されているように、例えばヘッド部の上面に印刷されたスケールと共に読み取りを行うように意図されている。言い換えると、圧力インジケータ要素60の自由端60aの位置がスケール61に対して読み取られる。この例示的な実施形態、並びに
図15a及び
図15bに示されている例示的な実施形態は、様々な圧力レベルの読み取りを可能とする利点を有し、従って、状況に応じて差圧(differential pressure)が望まれる用途に適している場合がある。
【0104】
図18a及び
図18bは、張力センサ8がヘッド部の幅と同一の幅を有することを図示している。代替案として、張力センサ8の幅を縮小して、ヘッド部2の幅を局所的に拡大することなく圧力インジケータ要素60を張力センサの横に並べて取り付けてもよい。場合によっては、ヘッド部の一定の幅は止血帯の生成を容易にすることができる。
【0105】
図19a及び
図19bは、
図18a及び
図18bに示されている例示的な実施形態と同様である第18の例示的な実施形態に従った止血帯の一部の上面図を示す。しかしながら、圧力インジケータ要素60の代わりに、
図19a及び
図19bに示されている止血帯は、折り目63によってヘッド部2の縦方向エッジ2aに接続された圧力インジケータ要素タブ62を含む。圧力インジケータ要素タブ62は更に自由端62aを含む。止血帯を使用する場合、
図19bに示されているように、圧力インジケータ要素タブ62は張力センサ8を覆うようにヘッド部2の上に折り畳まれる。このため、自由端62aは、圧力インジケータ要素タブ62がヘッド部に接続されている折り目63に対して張力センサの縦方向反対側に配置される。所望の場合、ヘッド部は上面に接着剤66も含むことができる。このような接着剤の目的は、圧力インジケータ要素タブがヘッド部の上に折り畳まれた場合、確実に圧力インジケータ要素タブを所定位置にしっかりと配置することである。
【0106】
圧力インジケータ要素タブ62は、自由端62aの近傍に例えば2つのアパーチャ64a、64bを含む。更に、ヘッド部は、上面に印刷された少なくとも1つの目印65を含む。張力センサが活性化された場合、圧力インジケータ要素タブ62の自由端62aは、張力センサ8の伸展の結果として縦方向軸に沿ってヘッド部と共に遠位に移動する。これにより、アパーチャ64a、64bは目印65に対して移動し、これらアパーチャのうち1つを通して目印65が見えると、ユーザは所期の張力が達成されたことを容易に確認することができる。
【0107】
異なる例示的な実施形態に関して上記で説明された目印及び/又は圧力インジケータ要素を含む様々なインジケータの組み合わせを用いて、フェイルセーフの圧力読み取りを保証することができる。従って、本発明は上述の特定のインジケータによって限定されない。
【0108】
図20は、第19の例示的な実施形態に従った止血帯1の上面図を示す。明確さのため、この図では張力センサ8は省略されている。しかしながら、張力センサは、先に開示された例示的な実施形態のうちいずれか1つに従うことができる。第19の実施形態に従った止血帯は、ストリップの縦方向軸に沿って幅が変動する、より具体的には、ヘッド部2からテール部3の方へ向かってテーパ状であるループ部を含む。更に、テール部3の幅は、テール部3に接続する縦方向端部におけるループ部の幅よりも大きい。しかしながら、テール部3の幅はヘッド部の幅よりも小さい。止血帯のストリップのこの構成は、小さい周径を有する肢(例えば子供の腕)及び大きい周径を有する肢(例えば筋肉質な大人の腕)の双方において止血帯を使用することができ、かつ、双方の場合で適切な圧力を可能にするという利点を有する。この場合、小さい周径の肢にはループ部の広い幅が用いられ、大きい周径の肢にはテール部近傍のループ部の狭い幅によって所望の圧力が加えられる。この実施形態は、周径とは無関係に肢の周りに正しい平均圧力を達成するか、又は、肢周径が画定されるポイントである、テールがヘッドに挿入される孔6の近傍で又は孔6において、要求される圧力を達成することができる。テール部の方が隣接するループ部よりも幅が広いので、例えば、ストリップの縦方向軸に沿って張力を加える場合にテール部の把持を容易にすることができる。
【0109】
図21は、
図20に示されている例示的な実施形態と同様の第20の例示的な実施形態に従った止血帯の上面図を示すが、テール部の幅もループ部と同様に、ストリップの第2の縦方向端部に向かってテーパ状である。
図21では、明確さのため張力センサは省略されている。しかしながら、止血帯は、先に開示された例示的な実施形態のうちいずれか1つに従った張力センサを含むことができる。
図21に示されているストリップの構成は、様々な周径の肢を考慮に入れるという、
図20を参照して先に開示されたものと同じ利点を有する。
【0110】
図22a及び
図22bは、第21の例示的な実施形態に従った止血帯の上面図及び斜視図をそれぞれ示す。止血帯は、
図7a及び
図7bに示されている例示的な実施形態に関して記載された止血帯と同様である。しかしながら、ループ部4は、ループ領域4の残り部分に比べて幅が狭い領域4’も含む。領域4’は、ループ領域が肢Lに巻かれた場合にテール部3を貫通させるため適合された開口9の近傍に配置されている。これは
図22bにおいて、ユーザが開口にテール領域を貫通させたがストリップの両方の縦方向端部をまだ引っ張り始めていない状態で示されている。
【0111】
ループ部の残り部分に比べて異なる幅を有する領域4’の目的は、局所的に異なる圧力を得ることである。この例において、ループ部4’は、穿刺するように意図された静脈Vが位置している肢Lの部分に位置付けられている。同一の張力量を使用した場合、領域4’の幅が狭いことによって静脈Vに対する局所圧力が高くなり、一方で、ループ部4の残り部分の幅が広いことによって肢の残り部分にかかる圧力はより低いままである。この結果、患者の快適さを向上させることができる。
【0112】
様々に異なるサイズの肢、すなわち様々に異なる周径を有する肢に使用できる止血帯を有することが望ましい場合がある。
図23a及び
図23bは、これを考慮することができる本発明に従った止血帯の例示的な実施形態を示す。
図23aは、張力を加える前のそのような止血帯の一部の上面図を示し、
図23bは、張力センサ8を活性化するように張力を加えた場合のそのような止血帯の一部の上面図を示す。止血帯は、第1のストリップ層70及び第2のストリップ層71を有するストリップを含む。第2のストリップ層は、第1のストリップ層の上に重ねられ、例えば、接着剤、局所的な融合、又は他の手段によって第1のストリップ層に取り付けられている。第2のストリップ層71は、ループ部4上にのみ存在するか、又は第1の縦方向端部から第2の縦方向端部までストリップ全体に存在することができる。
図23a及び
図23bでは、第1のストリップ層70の図示も可能とするため、第2のストリップ層はループ部にのみ存在するものとして示されている。第1のストリップ層70は、ストリップの一方の縦方向端部からストリップの第2の縦方向端部まで延出している。第2のストリップ層71は、実質的に非弾性の材料で作製され、従って止血帯に張力を加えた場合に縦方向軸に沿って伸長しない。
【0113】
第2の層71は、相互に平行に配置された複数の横方向切り取り線72を含む。各切り取り線は、ループ部の各縦方向エッジ間で止血帯の幅全体を横切る。これらの切り取り線は、例えば層70及び71の局所的な融合により、下にある第1のストリップ層70に局所的な隣接部位を接合することによって達成できる。切り取り線の目的は、
図23aにおいて第2のストリップ層71の除去済み部分73’で示されるように、止血帯を使用する場合にユーザによる第2の層の部分73の除去を可能とすることである。
【0114】
第1の層70は、ループ部4の縦方向軸に沿って一直線に配置された多数の張力センサ8を含む。各張力センサ8は、除去することができる第2の層71の部分73の直下に位置付けられている。このため、隣接した2つの切り取り線72の間の第2のストリップ層71の部分73を除去すると、この除去部分の下方にある第1のストリップ層70に配置された張力センサ8が露出し、動作可能となる。第2のストリップ層の異なる部分73を選択することにより、ユーザは、ループ領域4の縦方向軸に沿った動作可能張力センサが配置される場所を選択できる。張力の関数としてのセンサ伸展量は、ループ領域の縦方向長さに沿って変動し得る。言い換えると、止血帯は複数の張力センサを含むものとして記載することができ、少なくとも第1の張力センサのヤング率は複数の張力センサのうち第2の張力センサのヤング率とは異なる。複数の張力センサの各張力センサのヤング率は、ストリップの縦方向軸に沿った各張力センサの位置の関数である。
【0115】
図23a及び
図23bに示されているような止血帯1の使用中、動作可能となるセンサは肢周径に基づいて選択されるので、肢周径はセンサのヤング率で補償される。残りの張力センサは第2のストリップ層71で覆われるので、止血帯に張力が加えられた場合に非アクティブのままである。更に、一度センサが動作可能となったら、目印を露呈させることができる。
【0116】
本明細書に記載されているような止血帯の例示的な実施形態に関係なく、止血帯は、本明細書では一般に参照番号9で示される閉鎖型の開口を含むことが好ましい。これは、テール部がループ部に重複するようにテール部を貫通可能とするように構成されている。このような閉鎖型の開口によって、張力が所期の止血帯の軸に沿って加えられ、従ってせん断応力のリスクを低減させることを保証する。しかしながら、本発明はこれに限定されない。止血帯は、ループ部が肢に巻かれた場合に確実にテール部がループ部と実質的に重複することができる他の構成を有することも可能である。
図24a及び
図24bはそのような例を示している。
【0117】
図24aは第23の例示的な実施形態に従った止血帯の斜視図を示し、
図24bは
図24aに示されている止血帯の上面図を示す。明確に図示するように意図された特徴をより明らかに示すため、これらの図では張力センサは省略されている。止血帯1は、先に検討した例示的な実施形態を参照して上述された張力センサのいずれか1つを含み得る。止血帯1は、ヘッド部2におけるストリップの第1の縦方向エッジ80aに第1のくぼみ78を含む。止血帯は更に、ストリップの第2の縦方向エッジ80bに複数の第2のくぼみ79を含むことができる。第2のくぼみ79は、ループ部4において平行に配置されている。肢に巻かれた止血帯1において所期の張力が達成された場合、第1のくぼみ78は、ループ部4の長さに対応した第2のくぼみ79の1つと噛み合うように適合されている。その後、テール部3又はヘッド部2を、接着剤(図示せず)等によって、いずれかの従来の方法でループ部4に留めることができる。留める際に各止血帯端部の縦方向中心軸を一致させる必要があるように留め機構を配置することで、センサパターンにおけるせん断応力は最小限に抑えられる。
【0118】
本発明に従った止血帯を生成するため使用されるストリップの材料は、好ましくは、先に開示された実質的に非弾性の材料である。そのような材料は、張力が加えられた場合に基本的に同一の止血帯幅を保ち、従って使用中は肢に対して一定の圧力を与える。圧力は、肢に接触している単位面積当たりの力に対応し、従って、肢に対して特定の圧力を信頼性高く加えるためには、張力を加えて止血帯を肢の周りに締め付けた場合、(少なくともループ領域で)一定の幅を保つ止血帯を有することが望ましい。
【0119】
しかしながら本発明は、例えばゴム又はシリコーンで作製されたストリップのように、以前から既知の止血帯で使用されるような弾性材料で作製されたストリップでも使用できる。そのような材料は通常、正のポアソン比を有し、従ってストリップの縦方向軸に沿って張力が加えられた場合に幅が縮小する。引っ張った場合にループ部において止血帯の幅が意図せず縮小するか又はこの縮小の制御が難しいと、止血帯によって加えられる圧力が変化する。そのような制御されない幅の縮小に対抗するため、ループ部は好ましくは、肥大パターンに配置された切り込みを含む。これにより、肥大パターンの切り込みが、加えられた張力に対して垂直な方向にループ部を拡大させるので、ループ部の幅の縮小は低減又は補償される。これにより、幅が一定に維持されて精密な圧力を可能とするか、又は、幅の縮小が制御されるので、特定の張力を用いる場合に様々な肢周径を補償することができる。
図25a及び
図25bはそれぞれ、張力を加える前及び張力を加えた場合の、第24の例示的な実施形態に従った弾性材料で作製された止血帯のループ部の一部の上面図を示す。ループ部4は、孔を構成すると共に例示的な肥大パターンに設けられた複数の切り込み83を含む。この肥大パターン領域は張力センサの一部を構成することができる。あるいは、肥大パターンに設けられた切り込み83は張力センサの一部を形成しない。
【0120】
本発明に従った止血帯を適宜生成するには、バンド材料を製造し、上記で開示されたようにストリップの様々な部分並びに切り込み、スリット、孔、開口、及びアパーチャを形成するようにバンド材料を切断すればよい。止血帯は、単一の止血帯に生成することができる。しかしながら、一方の縦方向端部から別の縦方向端部まで相互に接続された複数の止血帯を含む細長いバンドを製造することも妥当であり、この場合、バンドには2つの隣接する止血帯間に切り取り線が設けられて、単一の止血帯を取得しようとするユーザが引き裂くこと等によって各止血帯を隣接する止血帯から容易に分離する/取り外すことができる。細長いバンドは、適宜、開口を含む筐体内に提供することができ、所望の場合はユーザが単一の止血帯を取得できるようにバンドをこの開口から出せばよい。この筐体は殺菌してもよい。細長いバンドは、例えば筐体内部でロール状に提供されるか、又は細長いバンドの止血帯が筐体内で実質的に平坦であり相互に重ねられるようにジグザグに配置することができる。筐体及び細長いバンドは共に止血帯ディスペンサを形成する。
【0121】
図26は、開口87を有する筐体86を含むそのようなディスペンサ85の一例を示す。開口87は、殺菌されている場合がある筐体内部に存在する細長いバンドから止血帯を取り出すためのものである。パッケージ開口は堅い材料とすることができ、場合によっては金属で機能的にする(functionalise)ことができる。
【0122】
バンドを取り出すために用いる力によって、使用前にバンドの形状が変わる可能性がある。生産中に止血帯に折り目(crease)を生成することができ、パッケージからの止血帯の出口で止血帯を引っ張って引き裂くプロセスで、折り目は3D形態に作動され、追加の3D機能を可能とする。
【0123】
パッケージは、これを表面に固定できるように、ステッカ台紙をはぎ取って使用される底部の両面テープを備えることができる。これにより、片手でのバンド取り出しが容易になる。また、パッケージとの接触が減るので、臨床状況における細菌の拡散が低減する。
【0124】
更に、本発明に従った止血帯は、止血帯及び止血帯と共に使用することが意図された少なくとも1つの追加の構成要素を含むキットの形態で、カスタマに販売することができる。
図27はそのようなキット88の一例の上面図を示す。キット88は、上述のような止血帯1と、注射器89と、注射器89の針による穿刺の前に肢の皮膚の一部を殺菌するように意図されたスワブ90と、を含む。止血帯1に加えて、キットは適宜、注射器89及びスワブ90の代わりに又はこれらに加えて他の構成要素を含み得る。そのような構成要素としては、1対の手袋、トレイ、洗浄用注射器、包帯、ガーゼ、標本袋、ガーゼ付きばんそうこう、テープ、少なくとも1つの採血管、アルコール瓶、1つ以上の綿棒、ペン、アルコールパッド、外科手術用又はフェイスマスク、IV延長チューブセット、鎮痛剤のような何らかの形態の薬剤、及びペーパークロスが挙げられる。キットは更に、内部の構成要素を収容する外側パッケージ91も含み、そのようなパッケージは殺菌してもよい。
【0125】
図28は、第25の例示的な実施形態に従った止血帯の一部の上面図を示す。この図はヘッド部2に配置された張力センサを示すが、張力センサは上述のように止血帯の任意の部分に配置すればよい。更に、張力センサはスリットの形態の複数の切り込みを含むものとして示されているが、上記で開示された張力センサの切り込みの他の構成及びパターンも使用できる。
図28に示されているように、ストリップは更に、張力センサ8の各側において張力センサ8と同一の面内にある限定部材95を含む。各限定部材は、張力センサの各側でストリップの縦方向エッジに接続され、ストリップの縦方向軸と一致する面内で湾曲構成の形状となっている。限定部材95の目的は、張力センサが、患者を不快にさせる圧力のような望ましくない伸展状態まで伸展できないことを保証することである。従って限定部材は、張力センサが活性化された場合まっすぐになるが、所期の伸展よりも大きな張力センサの伸展を回避するように意図されている。しかしながら、目的通りの止血帯の通常使用の間、限定部材95は完全にまっすぐに伸びるように意図されないことに留意するべきである。限定部材は、肢に過剰な圧力が加わることに対する追加の保護として機能する。また、限定部材は、張力センサにいっそうの弾性を与える要素として機能することができる。例えば限定部材は、伸展した張力センサが収縮するのを促進し、これによってセンサの破断を阻止することができる。
【0126】
図29は、第26の例示的な実施形態に従った止血帯の上面図を示す。
図29に示されている止血帯1は、中間部5に張力センサ8を含む。張力センサは、ヘッド部と、開口を形成する切り込み6との間に配置されている。開口は、肢を取り囲むようにループ部4が肢に巻かれる場合にテール部3を貫通させるため適合されている。しかしながら、張力センサは
図29に示されるように配置する必要はなく、上記で開示したようにストリップの縦方向軸に沿ってどこにでも配置できることに留意するべきである。更に、張力センサは、上記で開示したように所定のパターンの切り込みを含むことができ、
図29に示されているパターンに限定されない。
図29に示されている止血帯1は更に、ループ部4の上面にプリントPを含む。プリントPの目的は、使用できるループ領域の関連エリアをユーザに知らせることである。言い換えると、止血帯は、肢周径が所期の適切な圧力を加えるために必要な許容可能範囲内である場合、ユーザに知らせるように適合された目印を含む。従ってこの解決策は、止血帯の使用を特定の肢周径のみに限定することによって、加えられる圧力量のエラーを抑制する。プリントPの形態の目印は、ここでは、両方向の矢印によって示される間隔として示されている。しかしながら、例えば
図12aに示されるような他の代替案も可能である。
【0127】
本発明に従った止血帯は、図に示されて上記で検討された実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲の範囲内で変形が可能である。
【0128】
例えば、止血帯が所期の張力で止血帯を固定するための接着剤を含む場合、接着剤は例えば
図1に示されるようにループ領域上に配置することができ、あるいは接着剤は、
図5aから
図5cに示されるようにループ部に対して固定するためテール部に配置することができる。あるいは接着剤は、ループ部に対して固定するためヘッド部に配置してもよい。接着剤はいくつかの例では、そのように張力センサに配置してもよい。接着剤は適宜、保護用の剥がせるライナで覆うことも可能である。
【0129】
留め機構(接着剤等)は適宜、張力センサよりもストリップの縦方向端部の近くに配置することで、取り付けた後も張力センサの伸展を保持し、これによってセンサ値を示すことを可能とする。しかしながら、多くの場合、加えた圧力を知るのは圧力を保持するため止血帯の重複部分を留めるときだけで充分であるので、本発明はこれに限定されない。
【0130】
更に、止血帯は、所期の張力を留めて保持するための他のタイプの手段を含むことができる。例えば接着剤は、面ファスナ(ベルクロ(Velcro)(登録商標)としても既知である)で置き換えることができ、接着剤を参照して上述された位置のいずれに配置してもよい。所望の場合、締め金又は留め金を使用することも妥当であるが、これはあまり好適ではない。
【0131】
張力センサは、切り込み間に、張力センサの一方の縦方向端部から張力センサの反対側の縦方向端部まで延出しているストリップ材料の単一の蛇行経路を含み得る。しかしながらほとんどの場合、張力センサは複数の蛇行経路を含む。これらの蛇行経路は同一の長さ又は異なる長さを有し得る。例えば蛇行経路の第1のサブセットは第1の長さを有し、蛇行経路の第2のサブセットは第1の長さとは異なる第2の長さを有し得る。更に、蛇行経路は相互に平行又は非平行とすることができる。隣接した2つの蛇行経路は、張力センサの縦方向中心軸に平行な軸又は一致する軸に沿って相互に左右対称とすることができる。更に、蛇行経路は、相互に同一又は異なる幾何学的構成を有し得る。上記の所与の可能性は全て、張力センサにおける切り込みの配置の仕方の結果である。
【0132】
また、止血帯は、患者に対する使用中に止血帯の快適さを増すための手段も備えることができる。これは例えば、止血帯と患者の皮膚との間の摩擦を軽減するための表面コーティングを追加することで実施できる。更に、所望の場合、止血帯のエッジを丸くすること、穴を開けること、もしくは代替的な幾何学的構成とすること、又は、使用中に止血帯のエッジが患者の皮膚に損傷を与えるか又は皮膚に食い込むのを回避するように軟化プロセスを施すことも可能である。張力を加えると縦方向エッジが患者の肢から離れる方へ曲がる例では、有効ループ幅が低減して、局所圧力が増大する可能性がある。これによって、より幅の広い止血帯を、圧力を加えるためには使用せず印刷に使用することができ、例えば使用説明の印刷を可能とするという追加の利点が得られる。
【0133】
更に、ヘッド部及び/又はテール部に、局所摩擦を増大するための滑り止めコーティング、穴、又は突起を設けて、止血帯の使用中にこれらの部分を把持しやすくすることができる。
【0134】
開示された実施形態を具体的に参照して、いくつかのセンサパターンについて詳細に記載したが、本発明の範囲内で変形又は変更を実施できることは理解されよう。更に、センサパターンの挙動は、パターンの選択、それに関連する幾何学的パターン変数、材料の選択及びそれに可能な補強(限定部材で例示される)の関数である。
【0135】
本発明に従った止血帯は、様々な肢周径を考慮することができる。センサターゲット圧力、圧力精度、止血帯の長さ、及び止血帯の幅は、様々な肢、患者の部分母集団、及び止血帯ユーザの好みに対応するように変更することができる。より低い圧力が使用され得る部分母集団の例は子供及び高齢の患者を含むが、獣医学で扱われる特定の動物種も含み得る。好ましくは、ループ部は、様々な肢周径を考慮に入れながら、張力センサによって決定される張力に対応した所期の圧力を肢に加えるように構成することができる(例えば
図12aから
図12c、
図20、
図21、
図23a、及び
図23bを比較)。
【0136】
更に、本発明に従った止血帯は、本発明の範囲から逸脱することなく、特定の肢周径に、又は、より正確には特定範囲の肢周径に使用するため適合できることは、当業者によって容易に理解されよう(例えば
図29と比較)。