(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】撮像装置、画像処理装置の制御方法、撮像システム
(51)【国際特許分類】
H04N 23/60 20230101AFI20240705BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20240705BHJP
H04N 23/45 20230101ALI20240705BHJP
H04N 23/58 20230101ALI20240705BHJP
【FI】
H04N23/60 500
H04N7/18 D
H04N7/18 E
H04N23/45
H04N23/58
H04N23/60 300
(21)【出願番号】P 2020019126
(22)【出願日】2020-02-06
【審査請求日】2023-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川▲畔▼ 昴佑
【審査官】淀川 滉也
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-268972(JP,A)
【文献】特開2002-369046(JP,A)
【文献】特開2012-010186(JP,A)
【文献】特開2016-040883(JP,A)
【文献】特表2012-520650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/60
H04N 23/45
H04N 23/58
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが
パン角およびチルト角を制御することにより撮影範囲を変更可能
であり共通の台座に設置された複数の撮像手段と、
前記複数の撮像手段それぞれに設定された所定時点でのパン角およびチルト角の差に基づいて、前記複数の撮像手段
に対応する前記所定時点での複数の撮影範囲の位置関係を判定する
判定手段と、
前記複数の撮像手段により
前記所定時点で取得された映像を前記
判定手段による
判定結果に基づいて配置した映像データを生成する生成手段と、
を有し、
前記複数の撮像手段におけるパン角およびチルト角の座標系は、前記複数の撮像手段で共通となるように設定され、
前記生成手段は、
前記判定手段により前記複数の撮影範囲に含まれる少なくとも2つの撮影範囲が少なくとも部分的にオーバーラップすると判定された場合、前記少なくとも2つの
撮影範囲に対応する少なくとも2つの撮像手段により取得された少なくとも2つの映像の前記映像データにおける位置関係
が前記少なくとも2つの撮影範囲の位置関係と同じになるように、前記映像データを生成する
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記複数の撮像手段は、ローテーション角をさらに制御可能であり、
前記判定手段は、前記複数の撮像手段それぞれに設定された前記所定時点でのローテーション角にさらに基づいて、前記複数の撮像手段に対応する前記所定時点での複数の撮影範囲の位置関係を判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記生成手段により生成された映像データをネットワークを介して配信する配信手段をさらに有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記生成手段は、前記少なくとも2つの撮像手段それぞれの位置が第2の所定の位置関係を満たす場合に、前記少なくとも2つの映像のうち少なくとも1つの映像を180°回転して配置した映像データを生成する
ことを特徴とする請求項1乃至
3の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
それぞれが
パン角およびチルト角を制御することにより撮影範囲を変更可能
であり共通の台座に設置された複数の撮像部により取得された映像を処理する画像処理装置の制御方法であって、
前記複数の撮像部それぞれに設定された所定時点でのパン角およびチルト角の差に基づいて、前記複数の撮像部
に対応する前記所定時点での複数の撮影範囲の位置関係を判定する
判定工程と、
前記複数の撮像部により
前記所定時点で取得された映像を前記
判定工程による
判定結果に基づいて配置した映像データを生成する生成工程と、
を含み、
前記複数の撮像部におけるパン角およびチルト角の座標系は、前記複数の撮像部で共通となるように設定され、
前記生成工程では、
前記判定工程により前記複数の撮影範囲に含まれる少なくとも2つの撮影範囲が少なくとも部分的にオーバーラップすると判定された場合、前記少なくとも2つの
撮影範囲に対応する少なくとも2つの撮像部により取得された少なくとも2つの映像の前記映像データにおける位置関係
が前記少なくとも2つの撮影範囲の位置関係と同じになるように、前記映像データを生成する
ことを特徴とする制御方法。
【請求項6】
請求項
5に記載の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項7】
撮像システムであって、
それぞれが
パン角およびチルト角を制御することにより撮影範囲を変更可能
であり共通の台座に設置された複数の撮像装置と、
前記複数の撮像装置により取得された映像に基づいて映像データを生成して配信するサーバ装置と、
を有し、
前記サーバ装置は、
前記複数の撮像装置それぞれに設定された所定時点でのパン角およびチルト角の差に基づいて、前記複数の撮像装置
に対応する前記所定時点での複数の撮影範囲の位置関係を判定する
判定手段と、
前記複数の撮像装置により
前記所定時点で取得された映像を前記
判定手段による
判定結果に基づいて配置した映像データを生成する生成手段と、
を有し、
前記複数の撮像装置におけるパン角およびチルト角の座標系は、前記複数の撮像装置で共通となるように設定され、
前記生成手段は、
前記判定手段により前記複数の撮影範囲に含まれる少なくとも2つの撮影範囲が少なくとも部分的にオーバーラップすると判定された場合、前記少なくとも2つの
撮影範囲に対応する少なくとも2つの撮像装置により取得された少なくとも2つの映像の前記映像データにおける位置関係
が前記少なくとも2つの撮影範囲の位置関係と同じになるように、前記映像データを生成する
ことを特徴とする撮像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の撮像装置の制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、1つの監視装置内にそれぞれが可動に構成された複数の撮像部を有する監視カメラが提案されている。このような監視装置では、複数の撮像部をそれぞれ別々の監視領域を撮影するように構成することが出来るほか、複数の撮像部を組み合わせて連続した1つの領域を撮影するように構成することが出来る。
【0003】
また、複数のカメラの撮影状況に合わせて撮影情報の配信を最適化する技術も提案されている。例えば、特許文献1では、撮像範囲が固定された複数の固定カメラにより撮像された撮像画像と撮像範囲を変更可能なPTZカメラにより撮像された撮像画像とに重複領域がある場合に、各カメラにより得られた映像の配信順序を変更する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般に、複数の撮像部により撮影された複数の映像は、ビュワーの表示画面においてあらかじめ指定された配置で表示される。そのため、複数の撮像部を組み合わせて連続した1つの領域を撮影する場合には、当該1つの領域が分断されて表示されてしまうという課題がある。上述の特許文献1に開示された技術は複数のカメラで撮影された映像の配信順序を変更するものであり、このような課題に対処することはできない。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、複数の撮像部により撮影された複数の映像を好適に表示可能とする技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の問題点を解決するため、本発明に係る撮像装置は以下の構成を備える。すなわち、撮像装置は、
それぞれがパン角およびチルト角を制御することにより撮影範囲を変更可能であり共通の台座に設置された複数の撮像手段と、
前記複数の撮像手段それぞれに設定された所定時点でのパン角およびチルト角の差に基づいて、前記複数の撮像手段に対応する前記所定時点での複数の撮影範囲の位置関係を判定する判定手段と、
前記複数の撮像手段により前記所定時点で取得された映像を前記判定手段による判定結果に基づいて配置した映像データを生成する生成手段と、
を有し、
前記複数の撮像手段におけるパン角およびチルト角の座標系は、前記複数の撮像手段で共通となるように設定され、
前記生成手段は、前記判定手段により前記複数の撮影範囲に含まれる少なくとも2つの撮影範囲が少なくとも部分的にオーバーラップすると判定された場合、前記少なくとも2つの撮影範囲に対応する少なくとも2つの撮像手段により取得された少なくとも2つの映像の前記映像データにおける位置関係が前記少なくとも2つの撮影範囲の位置関係と同じになるように、前記映像データを生成する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の撮像部により撮影された複数の映像を好適に表示可能とする技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】3つのカメラを有する撮像装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図2】撮影範囲を規定する3種類の回転動作を説明する図である。
【
図3】2つのカメラによる2つの映像の表示位置の制御を説明するフローチャートである。
【
図4】2つのカメラそれぞれにおける3種類の角度を説明する図である。
【
図5】カメラAの映像に対するカメラBの映像の表示位置を説明する図である。
【
図6】ビュワーの表示画面における表示例を示す図である。
【
図7】略同一の領域を2つのカメラが撮影している状態を説明する図である。
【
図8】カメラAの映像に対するカメラBの映像の表示位置を説明する図である。
【
図9】4つのカメラによる4つの映像の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
(第1実施形態)
本発明に係る撮像装置の第1実施形態として、3つのカメラを有する撮像装置を例に挙げて以下に説明する。
【0012】
<装置構成>
図1は、3つのカメラを有する撮像装置の機能構成を示すブロック図である。なお、本構成は一例に過ぎず、本発明は、
図1に示された構成に限定されるものではない。また、
図2は、撮影範囲を規定する3種類の回転動作を説明する図である。
【0013】
撮像装置1000は、カメラ1100、カメラ1200、カメラ1300、処理部1400、配信部1500を有する。
図2に示すように、3つのカメラ(カメラ1100、カメラ1200、カメラ1300)は、撮像装置1000の筐体内に格納され、それぞれ、パン(P)、チルト(T)、ローテーション(R)の回転動作が可能に構成されている。以下では、カメラ1200及びカメラ1300はカメラ1100と同一の構成であると想定し、カメラ1100に注目して説明する。
【0014】
図2(a)は撮像装置1000を横(水平)方向から観察した様子を示している。また、
図2(b)は撮像装置1000を鉛直上方向から観察した様子を示している。カメラ1100は、
図2(a)および
図2(b)に示す様に、パン角度、チルト角度、ローテーション角度を変更することにより撮影方向を変更することが可能である。パン角度、チルト角度、ローテーション角度の変更は、それぞれ軸P、軸T、軸Rを中心とした回転動作より行われる。
【0015】
また、パン角度の変更は隣接するカメラまで角度を変更することが可能である。例えば
図2(b)のようにカメラ1100、カメラ1200、カメラ1300が配置されている場合、カメラ1100のパン角度は、軸Pを中心とした、カメラ1200からカメラ1300までの回転範囲(矢印)で変更することが可能である。カメラ1200およびカメラ1300についてもカメラ1100と同様にそれぞれのカメラにおけるパン角度、チルト角度、ローテーション角度の変更が可能である。
【0016】
カメラ1100は、撮像部1101と検出部1102とを有する。撮像部1101は、レンズ及びCCDやCMOS等の撮像素子から構成され、撮像により得られた電気信号を処理部1400に出力可能に構成されている。検出部1101は、ロータリエンコーダやフォトインタラプタ、角速度センサ等により構成され、カメラ1100のパン角度、チルト角度、ローテーション角度に関する情報を処理部1400に出力可能に構成されている。
【0017】
処理部1400は、撮像部1101、撮像部1201および撮像部1301から出力された電気信号を受信し、所定の画像処理、圧縮符号化処理を行い、映像データを生成する。生成される映像データは、例えば、3つのカメラからの映像が所定の位置に配置された単一の映像ストリームである。3つのカメラからの映像の配置については後述する。また、処理部1400は、生成した映像データを配信部1500へ出力する。
【0018】
また、処理部1400は、撮像部1101、撮像部1201および撮像部1301へ撮影条件の設定値を送信し、それぞれの撮像部の駆動状態を変更する。ここで、撮影条件にはゲイン条件、ガンマ条件、ダイナミックレンジ条件、露出条件、フォーカス条件等を含む。
【0019】
加えて、処理部1400は、検出部1102、検出部1202及び検出部1302から出力された各カメラの角度情報を受信し、それぞれのカメラの撮影範囲を検出する。
【0020】
配信部1500は、ネットワーク2000と接続されており、処理部1400から出力された映像データをネットワーク2000へと配信する。これにより、ネットワーク2000に接続されたビュワー(不図示)を介して、ユーザは3つのカメラからの映像を見ることが可能となる。また、配信部1500は、ネットワーク2000を介して受信した情報(各種の設定情報など)を処理部1400へと送信する。
【0021】
<装置の動作>
以下では、処理部1400が映像データを生成する際の、3つのカメラからの映像の配置制御について説明する。
【0022】
ここでは、処理部1400に含まれるCPUが所定の制御プログラムを実行することにより
図3の処理を実現することを想定する。また、制御プログラムは、処理部1400に含まれる不揮発メモリ等に格納されていることを想定する。ただし、特定用途向けIC(ASIC)などのハードウェアにより処理部1400を構成してもよい。また、後述する各種角度の値(以下で説明するXh、Xv、Xr、Yh、Yv、Mh1、Mh2、Nvなど)は不図示の不揮発メモリ等にあらかじめ格納されているものとする。これらの各種角度の値は、カメラの設置状況や撮影対象に合わせて、自動又は手動で設定されるものとする。
【0023】
図3は、2つのカメラによる2つの映像の表示位置の制御を説明するフローチャートである。本フローでは、カメラ1100、カメラ1200およびカメラ1300の中から任意の2台のカメラに対して動作を行う。より具体的には、2台のカメラが、略同一の領域(連続した1つの領域)を撮影しているか、あるいは、互いに独立した領域であるかを判定して、表示位置の制御を行う。ここでは、カメラ1100、カメラ1200およびカメラ1300の中から選択した2台のカメラをそれぞれカメラAおよびカメラBとして説明する。
【0024】
まず、後述する特定の場合(S109~S114)を除いたフローに関して以下に説明する。
【0025】
S100では、処理部1400は、カメラAおよびカメラBそれぞれのパン角度、チルト角度およびローテーション角度を取得する。ここでは、カメラAのパン角度、チルト角度、ローテーション角度をそれぞれAh、Av、Arとする。また、カメラBのパン角度、チルト角度、ローテーション角度をそれぞれBh、Bv、Brとする。
【0026】
S101では、処理部1400は、カメラAとカメラBのパン角度、チルト角度、ローテーション角度それぞれの差分を算出する。ここで、それぞれの差分をΔABh、ΔABv、ΔABrとする。
【0027】
図4は、2つのカメラそれぞれにおける3種類の角度および差分を説明する図である。
図4(a)は水平断面を示しており、Ah、BhおよびΔABhの関係が示されている。
図4(b)は垂直断面を示しており、Av、BvおよびΔABvの関係が示されている。なお、
図2(a)のようなカメラ構成であることに起因して、角度Av、Bvは必ずしも原点Oを通らない。
図4(c)は光軸に垂直な断面を示しており、Ar、BrおよびΔABrの関係が示されている。なお、差分値ΔABh、ΔABv、ΔABrは数式(1)~(3)で算出される。
ΔABh=Ah-Bh ・・・(1)
ΔABv=Av-Bv ・・・(2)
ΔABr=Ar-Br ・・・(3)
【0028】
S102では、処理部1400は、ΔABhの絶対値│ΔABh│とあらかじめ設定された角度Xhを比較する。│ΔABh│≦Xhの場合には、カメラAとカメラBのパン方向の角度が接近していると判断しS103に進む。一方、│ΔABh│>Xhの場合にはS109に進む。
【0029】
S103では、処理部1400は、ΔABvの絶対値│ΔABv│とあらかじめ設定された角度Xvを比較する。│ΔABh│≦Xvの場合には、カメラAとカメラBのチルト方向の角度が接近していると判断しS104に進む。一方、│ΔABv│>Xvの場合には、カメラAとカメラBは互いに独立した撮影範囲を撮影していると判断し、本フローを終了する。
【0030】
S104では、処理部1400は、ΔABrの絶対値│ΔABr│とあらかじめ設定された角度Xrを比較する。│ΔABr│≦Xrの場合には、カメラAとカメラBのローテーション方向の角度が接近していると判断しS105に進む。一方、│ΔABr│>Xrの場合には、カメラAとカメラBは互いに独立した撮影範囲を撮影していると判断し、本フローを終了する。すなわち、S102~S104においてカメラAとカメラBの撮影範囲が所定の角度範囲以内であると判定された場合にS105に進む。
【0031】
S105では、処理部1400は、カメラAとカメラBの表示位置関係を判定する。すなわち、カメラAの撮影範囲とカメラBの撮影範囲との位置関係を判定する。
【0032】
図5は、カメラAの映像に対するカメラBの映像の表示位置を説明する図である。ここでは、カメラAの映像の表示位置3001を基準とした、カメラBの映像の表示位置(表示位置1~表示位置4)が示されている。下記の(i)から(v)までの条件に基づいて、当該4つの表示位置の中の何れの表示位置に対応するかが決定される。
【0033】
(i)表示位置1と判定する条件
0≦ΔABh≦Xh かつ -Yv<ΔABv<Yv ・・・(4)
(ii)表示位置2と判定する条件
-Xh≦ΔABh<0 かつ -Yv<ΔABv<Yv ・・・(5)
(iii)表示位置3と判定する条件
-Yh<ΔABh<Yh かつ 0≦ΔABv≦Xv ・・・(6)
(iv)表示位置4と判定する条件
-Yh<ΔABh<Yh かつ Xv≦ΔABv<0 ・・・(7)
(v)上記の条件を何れも満たさない場合は、表示位置の設定変更を行わない。
【0034】
なお、上記の表示位置候補および条件設定は一例であり構成されるカメラの台数や表示形式に合わせて変更することも可能である。
【0035】
S106では、処理部1400は、S105において所定条件(上述の(i)~(iv))を満たすか否かを判定する。満たす場合はS107にすすみ、満たさない場合(すなわち上述の(v)の場合)は、本フローを終了する。
S107では、処理部1400は、現在のカメラAとカメラBの表示位置の関係(処理部1400が生成する映像データにおけるカメラAの映像とカメラBの映像との位置関係)がS105で判定した表示位置関係と一致しているか否かを判断する。一致している場合は設定変更を行う必要がないため本フローを終了する。一致していない場合にはS108に進む。
S108では、処理部1400は、カメラA及びカメラBの表示位置を、S105で判定した位置関係(検出結果)になるように設定する。すなわち、処理部1400が生成する映像データにおけるカメラAの映像とカメラBの映像との位置関係が、カメラAの撮影範囲とカメラBの撮影範囲との位置関係と同じになるように設定する。その後、本フローを終了する。
【0036】
図6は、ビュワーの表示画面6000における表示例を示す図である。ここでは、表示の一例として、
図6に示す様な予め設定された3つの表示枠のうち2つの表示枠にカメラAおよびカメラBの映像を表示する場合を考える。
【0037】
カメラAの映像の表示位置を基準としてカメラBの映像の表示位置が「表示位置1」であると判定されたとする。この場合、カメラA及びカメラBの映像の表示位置の関係は、
図6の表示位置3001と表示位置3002の関係となる。ここでは、3つの表示枠が予め設定されている場合を説明したが、3つ以上の表示枠がある場合においても同様に設定することが出来る。すなわち、S105において決定されたカメラAおよびカメラBの映像の位置関係が保持された表示位置とすればよい。
【0038】
次に、S109に進む場合を説明する。すなわち、S102において、│ΔABh│>Xhと判定された場合について説明する。この場合、2つのカメラの撮影範囲(撮影方向)が
図7に示されるような状況になることを考慮する必要がある。
【0039】
図7は、略同一の領域を2つのカメラが撮影している状態を説明する図である。すなわち、パン角度は異なっているが2つのカメラが略同一の領域(連続した1つの領域)を撮影している状況に相当する。
【0040】
図7(a)および
図7(b)においてカメラAは軸aを撮影の光軸としており、カメラBは軸bを撮影の光軸としている。そして、カメラAおよびカメラBは、パン角度は異なるが略同一の領域を撮影している。ここでは、面Ovと軸aのなす角を角度Av、面Ovと軸bのなす角を角度Bvとする。
【0041】
S109では、処理部1400は、パン角度に関して、ΔABhの絶対値│ΔABh│とあらかじめ設定された角度Mh1およびMn2(ただし、Mh1<Mn2)とを比較する。数式(8)を満たす場合にはS110に進み、それ以外の場合には本フローを終了する。
Mh1≦│ΔABh│≦Mh2 ・・・(8)
【0042】
S110では、処理部1400は、チルト角度に関して、以下の数式(9)を満たすか否かを判定する。なお、│ΔABh│は、ΔABhの絶対値である。数式(9)を満たす場合にはカメラAとカメラBのチルト方向の角度が接近していると判断しS111に進み、それ以外の場合には本フローを終了する。
0<Av<180°かつ0<Bv<180°かつ│ΔABh│≦Nv ・・・(9)
【0043】
S111では、処理部1400は、ローテーション角度に関して、ΔABrの絶対値│ΔABr│とあらかじめ設定された角度Xrを比較する。数式(10)を満たす場合にはS112に進み、それ以外の場合には本フローを終了する。
【0044】
-Xr≦│Ar│-│Br│≦Xr ・・・(10)
S112では、処理部1400は、カメラAに対するカメラBの表示関係を判定する。すなわち、カメラAの撮影範囲とカメラBの撮影範囲との位置関係を判定する。
【0045】
図8は、カメラAの映像に対するカメラBの映像の表示位置を説明する図である。ここでは、カメラAの映像の表示位置を基準とした、カメラBの映像の表示位置が1つ示されている。下記の(vi)および(vii)の条件に基づいて、当該1つの表示位置においてカメラBの映像を180°回転するか否かが決定される。すなわち、
図7(b)に示される2つのカメラの配置では、カメラの映像が互いに180°回転した状況になり得るためである。
(vi)カメラBの映像をそのまま(0°回転)表示する条件
0°≦ΔABr≦180° ・・・(11)
(vii)カメラB映像を180°回転して表示する条件
-180°≦ΔABr<0° ・・・(12)
【0046】
S113では、処理部1400は、現在のカメラAとカメラBの表示位置の関係(処理部1400が生成する映像データにおけるカメラAの映像とカメラBの映像との位置関係)がS112で判定した表示位置関係と一致しているか否かを判断する。一致している場合は設定変更を行う必要がないため本フローを終了する。一致していない場合にはS114に進む。
【0047】
S114では、処理部1400は、カメラA及びカメラBの表示位置を、S112で判定した位置関係になるように設定する。すなわち、処理部1400が生成する映像データにおけるカメラAの映像とカメラBの映像との位置関係が、カメラAの撮影範囲とカメラBの撮影範囲との位置関係と同じになるように設定する。その後、本フローを終了する。
【0048】
上述のフローを、3つのカメラの中の2つのカメラに関して順次行うことにより、ビュワーの表示画面6000において適切な表示位置関係となる映像データを生成することが可能となる。なお、上述の説明では2台のカメラについて説明したが、より多く台数のカメラを対象として位置関係の判定および設定を行ってもよい。
【0049】
以上説明したとおり第1実施形態によれば、複数のカメラそれぞれの撮影範囲の位置関係を判定する。そして、略同一の領域(連続した1つの領域)を撮影している2つのカメラの映像が、処理部1400が生成する映像データにおいて同じ位置関係となるように設定する。この構成により、略同一の領域を撮影している2つのカメラの映像がビュワーの表示画面において分断されて表示されることを防止することが可能となる。
【0050】
なお、上述の説明では、複数のカメラ映像を含む映像データを生成し配信する機能を撮像装置1000内に配置する例について説明したが、撮像装置1000とは別体のサーバ装置(不図示)に配置した撮像システムとして構成してもよい。すなわち、
図1において、カメラ1100~1300、処理部1400、配信部1500をそれぞれネットワーク上に分散配置してもよい。
【0051】
(変形例)
上述の第1実施形態では3つのカメラを有する撮像装置において、略同一の領域を撮影している2つのカメラの映像を隣接させる例について説明した。しかし、より多くのカメラを有する場合は、隣接する位置関係となるカメラのペアが複数存在する場合もある。その場合は、映像データにおいてそれぞれのペアが隣接するよう表示位置を決定するとよい。
【0052】
図9は、4つのカメラによる4つの映像の表示例を示す図である。
図9(a)は、4つのカメラを有する撮像装置を鉛直上方向から観察した様子を示している。ここでは、カメラAとカメラDが連続した1つの領域(撮影領域X)を撮影している。また、カメラBとカメラCが別の連続した1つの領域(撮影領域Y)を撮影している。
【0053】
図9(b)は、処理部1400が生成する映像データにおける4つのカメラ映像の初期配置設定を示している。このような初期配置設定において映像データを生成した場合、ビュワーの表示画面においては、撮影領域Xおよび撮影領域Yに対応する映像はそれぞれ分断されて表示されることになる。
【0054】
一方、
図9(c)は、変更された4つのカメラ映像の配置設定を示している。すなわち、カメラDの映像はカメラAの映像に対して
図5の「表示位置2」と判定される。その結果、撮影領域Xに対応するカメラDおよびカメラAの映像は映像データにおいて左右に隣接するよう配置される。また、カメラCの映像はカメラBの映像に対して
図5の「表示位置1」と判定される。その結果、撮影領域Yに対応するカメラBおよびカメラCの映像を映像データにおいて左右に隣接するよう配置される。そのため、撮影領域Xを撮影している2つのカメラの映像、撮影領域Yを撮影している2つのカメラの映像、がそれぞれビュワーの表示画面において分断されることなく表示されることになる。
【0055】
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0056】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0057】
1000 撮像装置; 1100、1200、1300 カメラ; 1101、1201、1301 撮像部; 1102、1202、1302 検出部; 1400 処理部; 1500 配信部