(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】液体タンク、便器装置、および便座装置
(51)【国際特許分類】
E03D 9/03 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
E03D9/03
(21)【出願番号】P 2020023339
(22)【出願日】2020-02-14
【審査請求日】2022-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】作埜 絢子
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-213774(JP,A)
【文献】特開2004-003234(JP,A)
【文献】特開2011-094324(JP,A)
【文献】登録実用新案第3169580(JP,U)
【文献】特開2009-257025(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 1/00-7/00
9/00-9/16
11/00-13/00
A47K 13/00-17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便座装置の機能部における液体タンクケースに着脱可能に取り付けられる液体タンク本体と、
前記液体タンク本体の上部に形成され、前記液体タンク本体内に溜められる液体を注入する注入口を有する液体注入部と、
前記液体注入部に着脱可能に取り付けられ、前記注入口を覆うとともに、便鉢に洗浄水を流す給水経路に前記注入口から前記液体を供給する液体供給部と、
を備え、
前記液体タンク本体の側面は、前記液体タンクケースに囲まれて
おり、
前記液体タンク本体の上面には、前記上面から上方に突出して形成される把手が設けられる液体タンク。
【請求項2】
可撓性を有し、前記液体供給部と前記給水経路とを接続する接続管を備える
請求項1に記載の液体タンク。
【請求項3】
前記液体タンク本体の上部に傾斜面を有し、
前記傾斜面に前記液体注入部が形成されている
請求項1または請求項2に記載の液体タンク。
【請求項4】
前記液体供給部は、前記液体タンク本体内に挿入される管状のノズルを備え、
前記ノズルは前記液体タンク本体の底面に対して傾斜して配置され、
前記ノズルの下端開口が、前記ノズルの長手軸に対して傾斜した下端面に形成されており、
前記ノズルの前記下端面が前記液体タンク本体の前記底面と平行に配置されている
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の液体タンク。
【請求項5】
前記液体タンク本体の下部が、下端部に向かって水平断面が小さくなるように形成されている
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の液体タンク。
【請求項6】
前記液体タンク本体は、前記機能部の上部を覆う第一カバーと、前記液体タンクケースと、によって全面が覆わ
れ、
前記液体タンク本体は、前記機能部の開口に上側から挿入されることで取り付けられる
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の液体タンク。
【請求項7】
便座装置の機能部における液体タンクケースに着脱可能に取り付けられる液体タンク本体と、
前記液体タンク本体の上部に形成され、前記液体タンク本体内に溜められる液体を注入する注入口を有する液体注入部と、
前記液体注入部に着脱可能に取り付けられ、前記注入口を覆うとともに、便鉢に洗浄水を流す給水経路に前記注入口から前記液体を供給する液体供給部と、
を備え、
前記液体タンク本体の側面は、前記液体タンクケースに囲まれており、
前記液体タンク本体の上面に把手が設けられ、
前記把手は、前記把手と前記液体供給部が並ぶ方向で、前記液体タンク本体における中央よりも前記液体供給部とは逆側に配置され、
前記把手と前記液体供給部が並ぶ方向における前記液体供給部が位置する側の前記液体タンク本体の端部は、前記把手と前記液体供給部が並ぶ方向と上下方向とに直交する方向の下端の幅が上端の幅よりも狭い
、液体タンク。
【請求項8】
便鉢を有する便器本体と、
前記便器本体に設けられ、機能部品が設けられる
前記機能部と、
前記便鉢に洗浄水を流す給水経路と、
前記機能部に着脱可能に取り付けられ、前記液体供給部が前記給水経路に接続される請求項1から請求項
7のいずれか一項に記載の液体タンクと、
を備える便器装置。
【請求項9】
便鉢を有する便器本体に取り付け可能な便座と、
機能部品が設けられ、前記便座に連結される前記機能部と、
前記機能部に着脱可能に取り付けられ、便器本体の便鉢に洗浄水を流す給水経路に前記液体供給部が接続される請求項1から請求項
7のいずれか一項に記載の液体タンクと、 を備える便座装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体タンク、便器装置、および便座装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水洗式便座装置では、便鉢内に洗浄水が溜められている。このような水洗式便器では、使用時、尿が洗浄水に着水する際に液の飛沫が生じる場合がある。水洗式便器の使用時の液飛沫を低減するため、特許文献1には、便鉢内の洗浄水の水面に泡を発生させた便座装置が開示されている。特許文献1の便座装置では、洗剤タンクを設け、洗剤タンクから供給される洗剤を含む洗浄水を便鉢に溜めるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
便座装置の機能部は、水洗装置、局部洗浄装置、脱臭装置、温風乾燥装置等、多様な機能部材が配置される。便座装置全体の寸法の増加を抑えながらこれらの各種機能部材を機能部内に収めるため、機能部内は、効率良く各種機能部材が配置されている。このため、洗剤タンクも限られたスペースに収納している。洗剤タンクを備える便座装置では、洗剤タンク内に洗剤が補充されないと、いずれ洗剤が無くなる。そのため、洗剤タンクは便座装置と別部材で形成され、便座装置の機能部に対して着脱可能に取り付けられている。洗剤タンクに洗剤を補充する際、機能部の蓋を開けて洗剤タンクを取り外して作業するため、手間を要していた。
【0005】
上記事情を踏まえ、本開示は、液体の補充作業の負担が軽減可能な液体タンク、便器装置、および便座装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る液体タンクは、便座装置の機能部における液体タンクケースに着脱可能に取り付けられる液体タンク本体と、前記液体タンク本体の上部に形成され、前記液体タンク本体内に溜められる液体を注入する注入口を有する液体注入部と、前記液体注入部に着脱可能に取り付けられ、前記注入口を覆うとともに、便鉢に洗浄水を流す給水経路に前記注入口から前記液体を供給する液体供給部と、を備え、前記液体タンク本体の側面は、前記液体タンクケースに囲まれており、前記液体タンク本体の上面には、前記上面から上方に突出して形成される把手が設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図7】一実施形態に係る液体タンクの変形例の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態に係る液体タンク1、便器装置200、および便座装置100について図面を参照して説明する。図面において、同一および類似の何れかの部分には同一の符号を付して、重複する説明を省く場合がある。以下の説明では、特に断らない限り、便器装置200が設置される床部から鉛直に延びる方向を縦方向Hと称する。縦方向Hに直交する一方向を幅方向Wと称する。縦方向H及び幅方向Wに直交する方向を前後方向Dと称する。
【0009】
図2および
図3は、液体タンク1が便座装置100の機能部170に取り付けられた状態を示している。
図2では、第一カバー105、および便座103の図示を省略している。
図3では、第一カバー105の記載を省略し、第二カバー106の一部を破断して示している。
【0010】
図1に示すように、便器装置200は、便器本体101と、便座装置100と、を備える洋式便座装置である。便器本体101は、前部に便鉢102が設けられている。便器本体101の後部内に例えば、エゼクタ174及び不図示のポンプ等の機能部品が設置されている。便器装置200は、外部の水源から便鉢102に便器洗浄水を供給する給水経路110を有する。
【0011】
便器本体101の上部に、便座装置100が取り付けられる。便座装置101は、便座103、便蓋104、および機能部170を備える。便鉢102の上部に便座103および便蓋104が配置されている。便座103および便蓋104は、便鉢102の上方で回動可能に構成されている。便鉢102の後方の上部に機能部170が設置される。機能部170には、各種機能部品が設けられる。
【0012】
便座装置100は、便鉢102内に溜められたボウル洗浄水の水面に泡を発生させる泡機能を備える。機能部170に液体タンク1を備える。便鉢102への給水経路110に液体タンク1から液体が供給可能に構成されている。本実施形態では、液体タンク1の液体タンク本体5に溜められる液体が洗剤である例を示す。ポンプの駆動力により、液体タンク本体5内に溜められた洗剤がエゼクタ174に供給される。エゼクタ174は、洗剤、水および空気を混合し、微細気泡を含む混合液を生成する。生成された混合液がボウル洗浄水と共に供給される結果、便鉢102に溜まる水の水面に微細気泡が発生する。
【0013】
機能部170は、不図示のベースプレート上に各種機能部品が取り付けられる。
図1および
図2に示すように、機能部170は、ベースプレート、機能部品の上部および側部を覆う第二カバー106が取り付けられる。機能部170は、第一カバー105で上部が覆われて構成されている。ベースプレートには、液体タンクケース160を備える。液体タンクケース160はエゼクタの上方に配置されている。
【0014】
図2に示すように、第二カバー106の上面108には、液体タンク1用の収納開口109が開口している。第二カバー106の上面108には、収納開口109の他、各種機能部品が配置される複数の開口部が形成され、蓋で塞がれている。液体タンクケース160は、上部が覆われず、第一カバー105を開けると、液体タンク1の上部が露出する。
【0015】
図2に示すように、液体タンク1とエゼクタ174との間に、送液管171が設けられている。エゼクタ接続部材175がエゼクタ174に設けられている。送液管171の上流端178が液体供給部2に接続されている。送液管171は、接続管に対応する。送液管171は、エゼクタ174に洗剤を供給する管である。送液管171は、可撓性を有する管である。送液管171は、例えば、可撓性の樹脂チューブ、蛇腹式ホース等で構成されている。
【0016】
図2および
図3に示すように、液体タンクケース160に管固定部165が設けられている。管固定部165の下部に、エゼクタ接続部材175の上流端が固定されている。管固定部165において、エゼクタ接続部材175の上流端と送液管171の下流端179とが接続されている。管固定部165の上部は管カバー173に覆われている。液体タンク1が液体タンクケース160内に収納された状態では、液体供給部2が管固定部165の近傍に配置される。送液管171の上流端178は、管カバー173の下方から液体タンク1に向かって延びて、液体供給部2に接続される。
【0017】
機能部170には、上記泡機能の他に、水洗装置、局部洗浄装置、脱臭装置、温風乾燥装置等、公知の装置が取り付けられていてもよい。
【0018】
液体タンク1は、機能部170内に着脱可能に取り付けられる。
図4から
図6に示すように、液体タンク1は、液体タンク本体5と、液体注入部3と、液体供給部2と、を有する。
図6は
図4に示すVI-VI線における縦断面図である。液体タンク1は、液体タンク本体5内に液体の洗剤が溜められる。液体タンク本体5内の洗剤は液体供給部2を通じて、機能部170のエゼクタ174へと供給される。
【0019】
液体タンク本体5は、
図5および
図6に示すように、上面50、側面52および下面51を有する立体形状の容器である。図示の例では、液体タンク本体5は、縦方向Hに長い形状を有する。
【0020】
液体タンク本体5の上面50に把手9が設けられている。把手9は、上面から上方に突出して形成されている。把手9は、液体タンク1を液体タンクケース160に取り付け、および、取り外す際にユーザが把持する部分である。
【0021】
液体タンク本体5の上面50に傾斜面53を有する。傾斜面53は、上面50の中央部から一つの側面52に向かって下降する斜面である。液体注入部3および液体供給部2は、傾斜面53に設けられている。傾斜面は、隣り合う二つの側面に向かって下降する斜面であってもよい。
【0022】
図6に示すように、液体注入部3は、注入口31および係合部32を備える。注入口31は液体タンク本体5の上部に形成された開口である。注入口31は、洗剤の補充時、液体タンク本体内に液体を注入する開口である。
図6に示すように、液体注入部3は、液体タンク本体5から外方に突出する筒形状を有し、筒形状部分の外周に係合部32が形成されている。係合部32にはネジ溝が形成されている。
【0023】
液体供給部2は、便鉢102に洗浄水を流す給水経路110に注入口31から洗剤を供給する機能を備える。液体供給部2は、液体注入部3に着脱可能に取り付けられる。液体供給部2は、液体注入部3に取り付けられたときに注入口31を覆う。つまり、液体供給部は、注入口31を覆う蓋の機能と、注入口から液体を供給する液供給機能とを備える。液体タンク1は、液体タンク本体5に形成された一つの開口を、液体を注ぎ入れるための注入口と、液体を外部に供給するための供給口として用いる。
【0024】
図6に示すように、液体供給部2は、蓋部21と、被係合部22と、内筒部25と、液供給管24とを備える。液体供給部2は、中央部に貫通する供給口23が形成されている。供給口23は、蓋部21よりも内の内筒部25内に形成されている。
【0025】
蓋部21は、液体注入部3を覆う円筒部分である。蓋部21は、供給口23の外周部に、供給口23の貫通方向に沿って形成されている。蓋部21の内周面に被係合部22が形成されている。被係合部22には、ネジ山が形成されている。被係合部22が係合部32と螺合する。蓋部21の内側に内筒部25が形成されている。蓋部21と内筒部25とは同軸に配置されている。内筒部25の下部には、内筒部25よりも直径が小さいノズル固定部26が形成されている。ノズル固定部26は円筒形状を有し、外周面にノズル係合部261が形成されている。ノズル係合部261は表面に凹凸を有する。ノズル係合部261は、ノズル4の上端内に挿通される。ノズル係合部261は、ノズル4の上端内周面と摩擦係合可能に構成されている。ノズル固定部26は樹脂で形成されている。後述するノズル4とノズル固定部26とが一体で形成されていてもよい。ノズル4とノズル固定部26とが一体に形成される場合、例えば、樹脂成形により形成される。
【0026】
係合部32と被係合部22とが係合する態様は、上述した螺合の例に限定されない。液体注入部3と被係合部22とは、蓋部21が液体注入部3に着脱可能に係合する態様であればよい。
【0027】
液供給管24は、供給口23の上方から挿入されている管状部材である。液供給管24には、送液部材27が挿入されている。送液部材27は、液供給管24内の液体を下流側の送液管171に供給する送液部品である。液供給管24は、送液部材27および内筒部25の供給口23に摩擦係合可能な樹脂部材で形成されている。送液部材27の吐出口272は、蓋部21の外方に突出している。吐出口272には、送液管171との係合部を備える。
図6に示す例では、係合部として、吐出口272の外周面に送液管171と摩擦係合可能な凹凸面が形成されている。係合部は、送液管171が係合可能な構成であればよい。例えば、送液管171および吐出口272に互いに係合可能な係合部材が設けられる構成であってもよい。送液部材27は、液供給管24内への挿入端273を有する。挿入端273から吐出口272まで、管路275が形成されている。送液部材27の上部には、把持部271および係止片274を備える。係止片274は、液供給管24の係止溝241に係合可能な形状を有する。
【0028】
液体供給部2には、ノズル4が接続されている。ノズル4は、長手軸に沿って貫通路44が形成された管状部材である。ノズル4は、例えばゴムチューブである。ノズル4は、液体タンク本体5の内部に挿入されている。ノズル4は、液体タンク本体5の上部の注入口31から、底面54まで延びて設けられている。ノズル4は液体タンク本体5の底面54に対して傾斜して配置されている。ノズル4の下端開口41は、ノズル4の長手軸に対して傾斜した下端面42に形成されている。下端面42は、貫通路44に対して傾斜している。したがって、下端開口41は、貫通路44の開口面積よりも広い開口面積が得られる。ノズル4の下端面42は、液体タンク本体5の底面54と略平行に配置されている。ノズル4の下端面42が液体タンク本体5の底面54に略平行に配置される構成は必須の構成ではない。下端面42が底面54に対して傾斜していてもよい。ノズル4の上端部は、液体供給部2のノズル固定部26が挿入されて摩擦係合している。注入口31は、液体タンク本体5の傾斜面53に開口しているため、上記摩擦係合により、ノズル4を底面54に対して傾斜させた状態で保持できる。
【0029】
液供給管24の下端部にフィルタ28が設けられている。フィルタ28により、液体タンク本体5から吸引される洗剤内に異物が混入した場合に、液供給管24側への異物の侵入を防ぎ、送液部材27が詰まることを防止できる。
【0030】
次に、液体タンク1および便座装置100の使用態様について説明する。液体タンク1に洗剤を補充する手順について説明する。機能部170の第一カバー105を第二カバー106から取り外した状態では、
図2に示すように、第二カバー106の上面に液体タンク1の収納開口109が開口している。収納開口109の開口縁に沿って、液体タンクケース160が配置されている。液体タンクケース160内に液体タンク1が取り付けられている。
【0031】
洗剤を補充する場合、最初に、ユーザは、液体供給部2とエゼクタ174との接続を解除する。ユーザは、送液部材27の把持部271を把持し、
図3に示す係止溝241に沿って、把持部271を回転方向に移動させる。係止片274を係止溝241の端部まで移動させると、係止片274と係止溝241との係合が解除される。続いて、ユーザは、送液部材27の把持部271を把持しながら持ち上げ、送液部材27を液供給管24から取り外す。送液部材27の挿入端273は液供給管24に摩擦係合しているため、送液部材27の突出方向、すなわち、供給口23の軸線方向に送液部材27を持ち上げると、送液部材27を取り外すことができる。送液部材27は、可撓性を有する長尺な送液管171に接続されているため、送液部材27を供給口23から取り外した後、送液部材27を液体タンクケース160の近傍に一時的に置ける。
【0032】
次に、把手9を把持して液体タンク本体5を上方に持ち上げ、液体タンクケース160から液体タンク本体5を取り外す。
【0033】
次に、ユーザは、液体供給部2の蓋部21を把持して回転させ、液体注入部3から液体供給部2を取り外す。液体供給部2が取り外されると、注入口31が開口する。ユーザは、注入口31に洗剤を注入する。液体注入部3は、液体タンク本体5の傾斜面53に形成されているため、注入口31の開口面積を広く確保できる。注入口31の開口面積が広いため、洗剤等の液体が容易に注入できる。
【0034】
洗剤を液体タンク本体5に補充した後、液体供給部2を液体注入部3に取り付ける。ノズル4を注入口31から液体タンク本体5内に挿入し、蓋部21の被係合部22を係合部32に螺合させる。液体供給部2が液体注入部3に取り付けられると、注入口31が閉じられ、かつ、ノズル4の下端面42が液体タンク本体5の底面54の近傍に略平行に配置される。
【0035】
続いて、ユーザは、把手9を把持しながら、液体タンクケース160の開口内に液体タンク1を挿入する。
図2に示すように、収納開口109および液体タンクケース160の上部の開口形状は液体タンク1の形状に相似している。液体タンクケース160の平面視の寸法は、幅方向Wと前後方向Dで異なり、ユーザが液体タンク本体5を液体タンクケース160内に挿入する向きを間違えると挿入できないように構成されている。
【0036】
液体タンクケース160内に液体タンク本体5を挿入すると、液体タンク本体5の側面52が液体タンクケース160の支持部に接触し、液体タンク本体5が液体タンクケース160に支持される。
【0037】
次に、送液部材27を液供給管24内に挿入し、係止溝241内に係止片274を挿入し回転方向に移動させる。挿入端273が液供給管24に摩擦係合し、係止片274が係止溝241に係合する。この結果送液部材27が液供給管24から外れることが防止される。以上の操作で、液体タンク1を機能部170に取り付ける作業が完了する。送液管171と液体供給部2とが連通した状態で機能部170のポンプが駆動すると、エゼクタ174に洗剤が供給される。
【0038】
液体供給部2とエゼクタとが送液管171に接続されている。送液管171と液体供給部2とが連通すると、液体タンク本体5内の洗剤が液体供給部2から吐出され、エゼクタ174に供給可能な状態となる。液体供給部2がエゼクタ174に連結された状態で、ポンプにより洗剤が液体供給部2を通じてエゼクタ174に供給される。
【0039】
上記液体タンク1、便座装置100、および便器装置200は、液体タンク本体5への液体補充作業が容易に行える。上記液体タンク1および便座装置100は、液体の補充作業の負担を軽減可能である。
【0040】
上記液体タンク1によれば、液体注入用の開口と液体供給用の開口とを一体化できる。この結果、液体が付着しやすい液体の注入口および供給口が一箇所になるため、液体タンク1の清掃性に優れる。この他、液体の注入口と供給口とを独立して設ける場合に比べて、液体タンク本体の上部の面積を小さくできる。
【0041】
上記液体タンク1によれば、液体タンク本体5とエゼクタ174との接続部である送液管171が可撓性を有する。液体供給部2が液体タンク本体5に対して螺合等の係合手段により着脱可能な構成である。液体供給部2が取り付けられた際に位置ずれが生じても可撓性の送液管171により接続状態を良好に保持できる。その結果、液体タンク1の取付作業時、液体供給部2と送液管171とを高精度に位置合わせする必要がなく、液体タンク1を機能部170に容易に取付られる。
【0042】
上記液体タンク1は、傾斜面53に注入口31が形成されているため、広い注入口31を形成できる。その結果、液体タンク本体5に液体を容易に注入できる。液体タンク1は、傾斜面53に注入口31が形成されているため、液体タンク1が機能部170に取り付けた際に、液体供給部2が他の部材に干渉し難い。
【0043】
上記液体タンク1のノズル4の下端開口41はノズル4の長手軸に対して傾斜した下端面42に形成されているため、下端開口41の開口面積を広く確保できる。上記液体タンク1は、ノズル4の下端面が液体タンク本体5の底面54に対して傾斜して配置されるため、液体タンク本体5から効率的に洗剤等の液体を吸引できる。具体的には、液体タンク本体5内の液体が少量となった場合も、液体が吸引可能である。液体タンク本体5への液体の補充頻度を低減可能であり、補充作業の負担を軽減できる。
【0044】
上記液体タンク1および便座装置100は、液体タンク1の着脱操作が容易に行える。上記便座装置100は、液体タンク1の送液部材27を液体供給部2に着脱する操作が容易に行える。したがって、液体供給部2とエゼクタ174との着脱操作が容易に行える。液体の補充時、液体供給部2および送液部材27は着脱操作を行うが、エゼクタ174およびエゼクタ接続部材175は着脱操作不要である。エゼクタ174およびエゼクタ接続部材175は、施工時およびメンテナンス作業時以外、着脱されない。
【0045】
次に液体タンク1の変形例について
図7および
図8を参照して説明する。以下の説明において既に説明したものと共通の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0046】
図7に示す変形例のように、液体タンク本体5Aの下部が、下端に向かうに従って水平断面の寸法が小さくなるように形成されていてもよい。
図8は、
図7に示すV1-V1線、V2-V2線、V3-V3線における液体タンク本体の各水平断面図を重ねて模式的に示している。
図8に示す符号V1、V2、およびV3で示す実線、または破線がそれぞれV1-V1線、V2-V2線、V3-V3線に対応している。
【0047】
図7および
図8に示すように、液体タンク本体の縦方向Hの中間部よりも下部は、下端に向かうに従って水平断面の寸法が小さくなるように形成されていると、液体タンク本体5A内の洗剤の残留量が低下した場合でも、ノズルの下端部が液体に接触した状態を保持できる。したがって、液体タンク本体内における液体の貯留量が少なくても洗剤を供給できる。この結果、液体タンク本体への洗剤の補充作業の頻度を抑えることができる。
【0048】
上述の通り、液体タンク1Aは、機能部170の液体タンクケース160に収容されて支持される。そのため、液体タンク1Aは、液体タンク本体5Aの底部で全体を支持して自立する必要がない。
【0049】
液体タンク本体は、少なくとも下部において、下端に向かって寸法が小さくなる構成であれば上述の効果を奏する。この他、液体タンク本体の上端から下端に向かうにつれて次第に水平断面が小さくなる構成であってもよい。
【0050】
本変形例の液体タンク1Aによれば、液体タンク本体5内の液体が少量となった場合も、液体が吸引可能である。液体タンク本体5への液体の補充頻度を低減可能であり、補充作業の負担を軽減できる。
【0051】
図7に示す変形例では、接続管の態様が上記実施形態と異なる。
図7では、接続管が蛇腹式の樹脂チューブで構成されている例を示している。上記実施形態の接続管に代えて、蛇腹式のチューブを用いてもよい。
【0052】
液体タンク本体は、上記実施形態および変形例で示した形状に限定されない。液体タンク本体は、液体が収容可能であり、機能部内に収容可能な大きさ及び形状を備えればよい。
【0053】
液体タンク本体5、5Aは、例えば、洗剤が無くなったら液体タンクを取り換える使い捨て方式の液体タンクであってもよい。この場合、工場で注入口31から洗剤が注入された交換用の液体タンク本体5に別途蓋が取り付けられており、液体タンク本体を交換する際、蓋を取り外して液体供給部2を取り付ければよい。
【0054】
機能部170は、上述の実施形態のように便座装置の一部として備える例に限定されない。便器本体101の給水経路に液体タンク1が接続可能となるように、機能部が便器本体と接続されていればよい。例えば、便器本体101の後部にポンプ等と共に機能部が収容される構成であってもよい。
【0055】
以上、本開示の実施形態について図面を参照して詳述した。具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、設計変更等も含まれる。上述の実施形態において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【符号の説明】
【0056】
1、1A・・・液体タンク、2・・・液体供給部、3・・・液体注入部、4・・・ノズル、5、5A・・・液体タンク本体、31・・・注入口、41・・・下端開口、42・・・下端面、53・・・傾斜面、54・・・底面、100 便座装置、101 便器本体、102 便鉢、103 便座、110 給水経路、170 機能部