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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】電子機器および制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/26 20060101AFI20240705BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240705BHJP
   G06F 1/28 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
G06F1/26 306
G03G21/00 388
G06F1/28
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020108997
(22)【出願日】2020-06-24
(65)【公開番号】P2022006640
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北之迫 浩輝
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-193533(JP,A)
【文献】特開2013-127720(JP,A)
【文献】特開2017-073096(JP,A)
【文献】特開2019-121268(JP,A)
【文献】特開2019-154210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/26- 1/3296
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器であって、
給電機器と通信を行う通信手段と、
前記給電機器から電力を受ける受電手段と、
認証通信に関する所定のメッセージを前記通信手段により前記給電機器から受信したことに応じて、前記電子機器の動作を制限する制御手段と
を有し、
前記通信手段により前記所定のメッセージを前記給電機器から受信したことに応じて、前記制御手段は、前記電子機器が前記認証通信に対応していないことを示すメッセージを前記給電機器に送信するように前記通信手段を制御することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
電子機器であって、
給電機器と通信を行う通信手段と、
前記給電機器から電力を受ける受電手段と、
認証通信に関する所定のメッセージを前記通信手段により前記給電機器から受信したことに応じて、前記電子機器の動作を制限する制御手段と
を有し、
前記電子機器が所定の状態である場合、前記制御手段は、前記通信手段が前記所定のメッセージを前記給電機器から受信したことに応じた前記電子機器の動作の制限を行わないことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
前記所定の状態は、前記電子機器が電源OFF状態であることを特徴とする請求項に記載の電子機器。
【請求項4】
前記所定の状態は、前記電子機器の電源である電池の残量が所定の閾値以下でない状態であることを特徴とする請求項に記載の電子機器。
【請求項5】
電子機器であって、
給電機器と通信を行う通信手段と、
前記給電機器から電力を受ける受電手段と、
認証通信に関する所定のメッセージを前記通信手段により前記給電機器から受信したことに応じて、前記電子機器の動作を制限する制御手段と
を有し、
前記電子機器の動作が制限された後、前記制御手段は、電力供給の制限または停止を前記給電機器に要求するように前記通信手段を制御することを特徴とする電子機器。
【請求項6】
前記制御手段は、前記通信手段が前記所定のメッセージを前記給電機器から受信したことに応じて、前記給電機器から供給される電力が制限された場合に継続できない動作を終了させることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記制御手段は、前記通信手段が前記所定のメッセージを前記給電機器から受信したことに応じて、前記電子機器のシャットダウン処理を行うことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記認証通信は、USB Type-C Authentication Specificationに準拠する通信であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項9】
USB Power Delivery(USBPD)規格におけるシンクとして動作可能で、USB Type-C Authentication Specification(C-Auth規格)におけるレスポンダとして動作することができない電子機器であって、
給電機器と接続する接続手段と、
前記接続手段に接続された前記給電機器から電力を受ける受電手段と、
前記接続手段に接続された前記給電機器と通信を行う通信手段と、
前記接続手段に接続された前記給電機器とUSBPDの通信を行い、前記給電機器に電力供給を要求するように前記通信手段を制御し、前記給電機器から前記要求した電力を受けるように前記受電手段を制御する制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記通信手段が、USBPD規格に準拠しているか否かを認証するための認証通信に関する所定のメッセージを前記給電機器から受信したことに応じて、前記電子機器の動作を制限することを特徴とする電子機器。
【請求項10】
前記制御手段は、前記通信手段が前記所定のメッセージを受信したことに応じて、C-AUTH規格に対応していないことを前記給電機器に通知するように前記通信手段を制御することを特徴とする請求項9に記載の電子機器。
【請求項11】
前記制御手段は、前記通信手段が前記所定のメッセージを受信したことに応じて、電力供給の制限または停止を前記給電機器に要求するように前記通信手段を制御することを特徴とする請求項または10に記載の電子機器。
【請求項12】
給電機器と通信を行う通信手段と、
前記給電機器から電力を受ける受電手段と、を有する電子機器が実行する制御方法であって、
認証通信に関する所定のメッセージを前記通信手段により前記給電機器から受信したか否かを判定することと、
前記所定のメッセージを前記通信手段により前記給電機器から受信したと判定されたことに応じて、前記電子機器の動作を制限することと、
前記所定のメッセージを前記通信手段により前記給電機器から受信したと判定されたことに応じて、前記電子機器が前記認証通信に対応していないことを示すメッセージを前記給電機器に送信するように前記通信手段を制御することと、
を有することを特徴とする電子機器の制御方法。
【請求項13】
給電機器と通信を行う通信手段と、前記給電機器から電力を受ける受電手段と、を有する電子機器が有するコンピュータを、請求項1から8のいずれか1項に記載の電子機器が有する制御手段として機能させるためのプログラム。
【請求項14】
給電機器と接続する接続手段と、
前記接続手段に接続された前記給電機器から電力を受ける受電手段と、
前記接続手段に接続された前記給電機器と通信を行う通信手段と、を有し、USB Power Delivery(USBPD)規格におけるシンクとして動作可能で、USB Type-C Authentication Specification(C-Auth規格)におけるレスポンダとして動作することができない電子機器が実行する制御方法であって、
前記接続手段に接続された前記給電機器とUSBPDの通信を行い、前記給電機器に電力供給を要求するように前記通信手段を制御することと、
前記給電機器から前記要求した電力を受けるように前記受電手段を制御することと、
USBPD規格に準拠しているか否かを認証するための認証通信に関する所定のメッセージを前記通信手段により前記給電機器から受信したか否かを判定することと、
前記所定のメッセージを前記通信手段により前記給電機器から受信したと判定されたことに応じて、前記電子機器の動作を制限することと、
を有することを特徴とする電子機器の制御方法。
【請求項15】
給電機器と通信を行う通信手段と、前記給電機器から電力を受ける受電手段と、を有する電子機器が有するコンピュータを、請求項から11のいずれか1項に記載の電子機器が有する制御手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電機器から供給される電力で動作可能な電子機器およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
USB(Universal Serial Bus)に関する規格としてUSB Type-C規格およびUSB PD(Power Delivery)規格が知られている。USB PD規格に準拠したUSBインタフェースは、最大100Wの電力を供給可能である。
【0003】
特許文献1には、USBケーブルが所定のケーブルであるか否かを認証するための認証通信を行う給電装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-097643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているような認証通信に対応していない電子機器が特許文献1に記載されているような給電機器に接続された場合、給電機器から電子機器に供給される電力が制限されることが想定される。このような場合、電子機器は、ユーザが望む動作を開始または継続できない可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、給電機器から電子機器に供給される電力が制限されることによる電子機器の動作への影響を軽減できるようにすることを1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電子機器は、給電機器と通信を行う通信手段と、前記給電機器から電力を受ける受電手段と、認証通信に関する所定のメッセージを前記通信手段により前記給電機器から受信したことに応じて、前記電子機器の動作を制限する制御手段とを有し、前記通信手段により前記所定のメッセージを前記給電機器から受信したことに応じて、前記制御手段は、前記電子機器が前記認証通信に対応していないことを示すメッセージを前記給電機器に送信するように前記通信手段を制御する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、給電機器から電子機器に供給される電力が制限されることによる電子機器の動作への影響を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1における給電システムの外観例を示す図である。
図2】実施形態1における電子機器100の構成要素を説明するためのブロック図である。
図3】実施形態における給電機器300の構成要素を説明するためのブロック図である。
図4】受電制御部109の構成要素を説明するためのブロック図である。
図5】実施形態1における受電制御処理を説明するためのフローチャートである。
図6】実施形態2における受電制御処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0011】
[実施形態1]
図1は、実施形態1における給電システムの外観例を示す図である。図1に示すように、給電システムは、電子機器100と給電機器300とを含む。電子機器100および給電機器300はいずれも、USB PD規格およびUSB Type-C規格に準拠する電子機器である。
【0012】
電子機器100は、撮像部102、操作部104、接続部110などを有する。電子機器100は、接続部110または電池111から供給される電力で動作可能な電子機器である。電子機器100は、USB PD規格におけるシンクとして動作可能であるが、USB Type-C Authentication Specification(以下、C-Auth規格と呼ぶ)におけるレスポンダとして動作することはできない。電子機器100はさらに、例えば、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、パーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータ、メディアプレーヤ、PDA、携帯電話機、スマートフォン、ゲーム機、ロボットまたはドローンとして動作可能な電子機器である。
【0013】
給電機器300は、USBケーブル200を有し、USBケーブル200の先端に設けられたUSB Type-Cプラグ201に接続された受電機器に電力を供給する。なお、給電機器300は、USB PD規格におけるソースとして動作可能で、C-Auth規格におけるイニシエータとして動作可能な電子機器である。給電機器300は、例えば、USB-ACアダプタ、モバイルバッテリ、パーソナルコンピュータまたはタブレットコンピュータとして動作可能である。
【0014】
次に、図2を参照して、電子機器100の構成要素を説明する。
【0015】
メイン制御部101は、電子機器100の構成要素を制御するように構成されている。メイン制御部101は、例えば、電子機器100の構成要素を制御するハードウェアプロセッサ(CPUなど)を有する。
メイン制御部101のハードウェアプロセッサは、メモリ107に記憶されたプログラムを実行することにより、電子機器100の構成要素を制御する。
【0016】
撮像部102は、レンズユニット、撮像素子、周辺回路などを有し、画像データを生成する。撮像部102の動作は、メイン制御部101によって制御される。撮像部102で生成された画像データは、メモリ106に格納される。メイン制御部101は、メモリ106に格納された画像データに対して所定の画像処理を行い、表示用の画像データ、記録用の画像データ、評価値などを生成する。表示用の画像データは、表示部105に表示される。記録用の画像データは、記録媒体103に記録される。
【0017】
記録媒体103は、例えばメモリカードまたはハードディスクである。記録媒体103は、電子機器100から取り外し可能なものであっても、電子機器100に内蔵されたものであってもよい。
【0018】
操作部104は、ユーザが電子機器100に各種の指示を入力するために設けられた入力デバイス(ボタン、スイッチ、ダイヤル、タッチパネルなど)の総称である。操作部104への操作は、メイン制御部101およびサブ制御部108のいずれかまたは両方で検出される。例えば、操作部104には、レリーズスイッチ、動画記録スイッチ、撮影モードを選択するための撮影モード選択ダイヤル、メニューボタン、方向キー、決定キーなどが含まれる。レリーズスイッチは静止画記録用のスイッチであり、メイン制御部101およびサブ制御部108はレリーズスイッチの半押し状態を撮影準備指示、全押し状態を撮影開始指示と認識する。また、メイン制御部101およびサブ制御部108は、動画記録スイッチが撮影スタンバイ状態で押下されると動画の記録開始指示と認識し、動画の記録中に押下されると記録停止指示と認識する。なお、同一の入力デバイスに割り当てられる機能は可変であってよい。また、入力デバイスは、タッチディスプレイを用いたソフトウェアボタンまたはキーであってもよい。
【0019】
表示部105は、撮像部102で生成された画像データ、電子機器100の設定または状態に関する情報、メニュー画面などを表示する。表示部105は、電子機器100に接続される表示装置であってもよい。
【0020】
メモリ106は、撮像部102で生成された画像データを一時的に保持するバッファメモリ、表示部105のビデオメモリ、メイン制御部101のワークメモリなどとして使用される。メモリ107は、メイン制御部101のハードウェアプロセッサが実行可能なプログラムなどを記憶する。
【0021】
サブ制御部108は、電子機器100の構成要素を制御するように構成されている。サブ制御部108は、例えば、電子機器100の構成要素を制御するハードウェアプロセッサ(CPUなど)と、ハードウェアプロセッサが実行可能なプログラムを記憶したメモリとを有する。サブ制御部108は、メイン制御部101と通信可能であり、メイン制御部101より低消費電力で動作可能である。サブ制御部108は、受電制御部109を制御する制御手段として動作する。
【0022】
受電制御部109は、接続部110を通じて受信する電力を電子機器100の構成要素に供給する。また、受電制御部109は、接続部110を通じて受信する電力による電池111の充電を制御する。受電制御部109は、接続部110に接続された給電機器300と、USB PD規格に準拠する通信(PD通信)を行う。
【0023】
接続部110は、USBインタフェースとして動作可能である。電子機器100は、接続部110に接続された給電機器300から電力の供給を受けることができる。なお、給電機器300がデータ通信可能であれば、電子機器100は給電機器300とデータ通信を行ってもよい。なお、実施形態1において、接続部110は、USB Type-CレセプタクルおよびUSBデバイスコントローラを含む。なお、接続部110はUSBインタフェース以外のインタフェースを含んでもよい。
【0024】
電池111は、電子機器100の電源として動作する。電池111は、電子機器100から取り外し可能な電池であり、充電可能な電池である。電池111の充電は、受電制御部109によって制御される。
【0025】
電源制御部112は、メイン制御部101またはサブ制御部108の制御に従い、電池111または接続部110から電子機器100の他の構成要素への電力供給を制御する。
【0026】
次に、図3を参照して、給電機器300の構成要素を説明する。
【0027】
図3において、制御信号の流れを細線で、電力の流れを太線でそれぞれ示す。給電機器300は、USB PD規格における送電側機器(ソース)として動作可能である。また、給電機器300は、C-Auth規格におけるイニシエータとして動作可能である。
【0028】
制御部301は、給電機器300の構成要素を制御するように構成されている。制御部301は、例えば、給電機器300の構成要素を制御するハードウェアプロセッサ(CPUなど)と、ハードウェアプロセッサが実行可能なプログラムを記憶したメモリとを有する。
【0029】
接続部302は、USBインタフェースとして動作可能であり、USBケーブル200が接続されている。USBケーブル200の先端にはUSB Type-Cプラグ201が設けられている。接続部302は、USBホストコントローラを含む。
【0030】
情報取得部303は、USBケーブル200を介して給電機器300に接続された電子機器100と、USB PD規格に準拠する通信(PD通信)を行う。さらに、情報取得部303は、電子機器100と、C-Auth規格に準拠する通信(認証通信を含む)を行う。
【0031】
接続部304は、商用電源、モバイルバッテリなどの電源に接続される。電源制御部305は、接続部304に接続された電源から供給される電圧および電流を所定の直流電圧および直流電流(例えば9V,3A)に変換する。電源制御部305が生成可能な直流電圧および直流電流は、給電機器300の給電能力として電子機器100に通知される。電源制御部305で生成される直流電圧および直流電流は、制御部301によって制御される。
【0032】
出力制御部306は、接続部302のVBUS端子に接続されている。出力制御部306は、電源制御部305が生成する電力を接続部302のVBUS端子に供給するか遮断するかを制御する。出力制御部306はさらに、情報取得部303から得られる情報またはコマンドに基づいて、電子機器100に供給される電力レベルを制御する。
【0033】
次に、図4を参照して、受電制御部109の構成要素を説明する。
【0034】
図4において、制御信号の流れを細線で、電力の流れを太線でそれぞれ示す。なお、図4においては、主にVBUS端子に供給される電力の流れについて着目したものであって、電池111によって電子機器100が動作する際の電力の流れについては記載していない。
【0035】
情報取得部1091は、接続部110のCC端子に接続されている。情報取得部1091は、接続部110に接続された給電機器300とPD通信を行う。情報取得部1091は、CC端子の電圧によって、給電機器300がUSB PD規格におけるソースであることを検出したり、PD通信を通じて給電機器300に指定した電力の供給を要求したりする。
【0036】
入力制御部1092は、接続部110のVBUS端子に接続されている。入力制御部1092は、給電機器300からVBUS端子を通じて電力を受信する。また、入力制御部1092は、情報取得部1091の制御に従って、給電制御部1093に電力を供給するか遮断するかを切り替えることができる。
【0037】
給電制御部1093は、入力制御部1092を介して供給された電力を、電源制御部112および充電制御部1094に適した電力に変換する。給電制御部1093は例えば、電力が5Vまたは9Vの電圧で供給される場合、適正な電池電圧まで低下させる。実施形態1では、電池111が1セル構成のリチウムイオン電池であり、セル電圧が4.2Vになるまで定電流で充電したのち、満充電まで4.2Vで充電するCCCV充電を行うものとする。電池111のセル数や供給される電圧に応じて、給電制御部1093は昇圧および降圧できる構成であってもよい。また、電池111が装着されていない場合、給電制御部1093は入力制御部1092を介して供給された電力を、電源制御部112において効率が最も良い電圧(例えば、3.7V)に変換する。
【0038】
また、給電制御部1093は、情報取得部1091が取得した給電機器300の能力情報に基づくサブ制御部108の指示に従い、供給する電流を制限することもできる。例えば、給電機器300から27W(9V,3A)の電力が供給される場合、給電制御部1093は3.0Aを超える電流が流れないように制限することができる。
【0039】
充電制御部1094は、給電制御部1093を介して供給される電力で、接続部1095に接続している電池111を充電することができる。充電制御部1094は、電池111を例えばCCCV充電する。
【0040】
接続部1095は、例えば電池111を着脱可能に収容する。接続部1095は、電源端子、GND端子、サーミスタ端子など、収容された電池111の端子と接する複数の端子を有している。サーミスタ端子は電池111に内蔵された温度センサの端子である。
【0041】
電圧監視部1096は、VBUS端子の電圧をサブ制御部108に通知する。サブ制御部108は、電圧監視部1096から通知される電圧が異常でないか否かを監視する。例えば、サブ制御部108は、給電機器300に要求した電力が例えば27W(9V,3A)であった場合、電圧監視部1096から通知される電圧が高すぎ(例えば15V)たり低すぎたりしていないか監視する。そして、サブ制御部108は、VBUS端子の異常電圧を検出すると、例えば入力制御部1092を停止させるとともに、情報取得部1091を通じて給電機器300に電力供給の停止を要求する。
【0042】
なお、図4では、電圧監視部1096が入力制御部1092と給電制御部1093の間の電圧を監視するよう図示している。しかし、接続部110と接続部1095の間の電圧を監視するなど、他の位置の電圧を監視してもよい。
【0043】
温度監視部1097は接続部110付近の温度をサブ制御部108に通知する。サブ制御部108は、温度監視部1097が異常な温度が検出されていないかを監視する。例えば、所定の閾値を超える温度が温度監視部1097から通知された場合、サブ制御部108は例えば入力制御部1092を停止させるとともに、情報取得部1091を通じて給電機器300に電力供給の停止を要求する。
【0044】
次に、図5のフローチャートを参照して、実施形態1における受電制御処理を説明する。
【0045】
ステップS501において、サブ制御部108は、給電機器300がUSBを介して接続部110に接続されたか否かを判定する。この判定処理は、電圧監視部1096によるVBUS電圧の検出に基づくものであっても、情報取得部1091によるCC端子の電圧の検出に基づくものであってもよい。サブ制御部108は、給電機器300がUSBを介して接続部110に接続されたと判定された場合は、ステップS502の処理を行う。
【0046】
ステップS502において、サブ制御部108は、給電機器300がUSB PD規格におけるソースであるか否かを判定する。サブ制御部108は、給電機器300がソースであると判定された場合は、ステップS503の処理を行う。サブ制御部108は、給電機器300がソースであると判定されなかった場合は、ステップS507の処理を行う。サブ制御部108は、情報取得部1091が給電機器300(情報取得部303)から、給電機器300の電力供給能力を示すメッセージ(例えば、Source_Capabilities)を受信した場合に、給電機器300がソースであると判定することができる。また、サブ制御部108は、給電機器300の接続が検出されてから所定時間内に給電機器300からメッセージが受信されなかった場合に、給電機器300がソースでないと判定することができる。
【0047】
ステップS503において、サブ制御部108は、ステップS502で取得したメッセージに示される給電機器300の電力供給能力に基づいて、給電機器300に要求する電力を決定する。サブ制御部108は、例えば、給電機器300が供給可能な電力の選択肢から、電子機器100の動作に必要な電力を選択することにより、給電機器300に要求する電力を決定する。なお、給電機器300が電子機器100の全ての機能を実現するための電力を供給できない場合、サブ制御部108は給電機器300からの電力で実現可能な範囲に電子機器100の動作を制限してもよい。サブ制御部108は、決定した電力を要求するPD通信(PDネゴシエーション)を情報取得部1091に行わせる。
【0048】
ステップS504において、サブ制御部108は、接続部110のVBUS端子から受信する電力がステップS503で決定した電力以下となるように給電制御部1093を制御する。
【0049】
ステップS503で送信した要求を給電機器300が受け付けると、要求を受け付けた旨のメッセージが情報取得部1091で受信される。また、要求した電力がVBUS端子へ供給され始める。サブ制御部108は、VBUS端子に供給される電力を用いて電池111を充電するように充電制御部1094を制御したり、VBUS端子に供給される電力を電源制御部112へ供給して電子機器100に所定の動作を行わせたりしてもよい。
【0050】
給電機器300がC-Auth規格におけるイニシエータとして動作可能な場合、給電機器300は、USB PD規格に準拠しているか否かを認証するための認証通信を行う。給電機器300は、任意のタイミングで認証通信を行うことができる。したがって、サブ制御部108は、要求した電力に応じてステップS504で給電制御部1093を制御した後、情報取得部1091が認証通信に関する所定のメッセージ(例えば、Security_Request)を給電機器300から受信したか否かを監視する(ステップS505)。
【0051】
情報取得部1091が給電機器300から認証通信に関する所定のメッセージを受信していない間、サブ制御部108はVBUS端子に供給される電力を電子機器100の動作に用いたり、電池111の充電に用いたりすることができる。
【0052】
ステップS505において、情報取得部1091が給電機器300から認証通信に関する所定のメッセージを受信したことが検出された場合、サブ制御部108は、ステップS506の処理を行う。
【0053】
ステップS506において、サブ制御部108は、情報取得部1091を通じて給電機器300に、電子機器100が認証通信に対応していないことを示すメッセージ(例えば、Not_Supported)を送信させる。これにより、電子機器100が認証通信に対応していないことが給電機器300に通知される。また、サブ制御部108は、所定のメッセージの受信をメイン制御部101に通知する。
【0054】
次に、ステップS507でメイン制御部101は、給電機器300が電力の供給を制限または停止することを想定して、電子機器100の動作を制限する。メイン制御部101は例えば、給電機器300から供給される電力が制限された場合に継続できない動作を終了させる。例えば、電子機器100で動画撮影中であれば撮影を停止し、撮影で得られた動画像データを記録媒体103へ格納する。メイン制御部101は、電子機器100のシャットダウン処理を行ってもよい。メイン制御部101は、動作制限が完了するとサブ制御部108に通知する。
【0055】
ステップS508において、サブ制御部108は、入力制御部1092から給電機器300に、電力供給の停止を要求するメッセージを送信させる。これにより、給電機器300からの電力供給が停止する。ステップS507でシャットダウン処理を行っていない場合、電子機器100は、電池111からの電力のみで動作する。
【0056】
ステップS509において、サブ制御部108は、USB PD規格ではなく、USB1.1~3.2規格で定められるバスパワーの受信に対応するように給電制御部1093を制御する。バスパワーは、USB接続時のエニュメレーション手順の結果に基づく電力であってよく、例えば5V,100mAや5V,500mAである。
【0057】
例えば、サブ制御部108は、電子機器100の動作モード、電子機器100に電池111が接続されているか否か、電池111の電圧などに基づいて、電子機器100をVBUS端子に供給される電力で動作させるか、電池111で動作させるかを決定してもよい。例えば、電池111が電子機器100に接続されていない場合、または、電池111の電圧が低い場合、VBUS端子に供給される電力(バスパワー)で電子機器100を動作させることができる。この場合、サブ制御部108は、電子機器100の動作をバスパワーで動作可能な動作に制限してもよい。
【0058】
以上説明したように、実施形態1によれば、認証通信に対応していない電子機器100において、認証通信に関する所定のメッセージを給電機器300から受信した場合には、電子機器100の動作を制限するようにした。例えば、意図せず中断されることが望ましくない動作(データの記録動作など)は、終了したり、行わないように制限したりする。そのため、給電機器300が認証通信の失敗に基づいて電力の供給を制限(停止を含む)したとしても、電子機器100の動作への影響を軽減することができる。
【0059】
[実施形態2]
次に、図1図6を参照して、実施形態2を説明する。実施形態1では、認証通信に関する所定のメッセージを電子機器100が給電機器300から受信した場合に、電子機器100の状態によらず電子機器100の動作を制限する例を説明した。実施形態2では、認証通信に関する所定のメッセージを電子機器100が給電機器300から受信した場合に、電子機器100の動作を制限するか否か(或いは、電力供給の制限または停止を給電機器300に要求するか否か)を電子機器100の動作状態に応じて制御する例を説明する。なお、実施形態2では、実施形態1と異なる部分を説明し、実施形態1と同様の部分についてはそれらの説明を省略する。
【0060】
図6は、実施形態2における受電制御処理を説明するためのフローチャートである。
【0061】
ステップS501~S509の処理は実施形態1で説明した処理と同一であるため、それらの説明を省略する。ステップS506において認証通信に対応していないことを示すメッセージ(例えば、Not_Supported)が給電機器300に送信された場合、サブ制御部108は、ステップS601の処理を行う。
【0062】
ステップS601において、サブ制御部108は、電子機器100が電源ON状態であるか否かを判定する。この判定処理は、例えば操作部104に含まれる電源スイッチの状態に基づいて行うことができる。サブ制御部108は、電子機器100が電源ON状態であると判定された場合は、ステップS602の処理を行う。サブ制御部108は、電子機器100が電源ON状態であると判定されなかった場合は、ステップS601の処理を繰り返す。
【0063】
電子機器100が電源ON状態であると判定されなかった場合(すなわち、電子機器100が電源OFF状態である場合)、バスパワーは電池111の充電のように、仮に電力の供給が停止されても問題ない動作に用いられている。そのため、サブ制御部108は、受電の停止を給電機器300に要求することなく、現在の受電状態を維持する。
【0064】
ステップS602において、サブ制御部108は、電池111の残量が所定の閾値以下であるか否かを判定する。所定の閾値は、例えば電池111の電力だけで電子機器100が制限なく動作可能な最小残量であってよい。電池111の残量が所定の閾値以下であると判定されなかった場合、サブ制御部108は、受電の停止を給電機器300に要求することなく、現在の受電状態を維持する。電池111の残量が所定の閾値以下であると判定されなかった場合、仮に給電機器からの電力の供給が停止されても、電池111の電力で電子機器100は動作を継続できるためである。したがって、サブ制御部108は、ステップS601の処理を再度行う。電池111の残量が所定の閾値以下であると判定された場合、サブ制御部108は、ステップS507の処理を行う。
【0065】
実施形態2によれば、給電機器300から認証通信に関する所定のメッセージを受信した場合、電子機器100の動作を制限するか否か(或いは、電力供給の制限または停止を給電機器300に要求するか否か)を、電子機器100の動作状態に応じて制御できる。例えば、電子機器100が電源OFF状態である場合、または、電池111の残量が所定の閾値以下でない場合には、電子機器100の動作を制限せず、電力供給の制限または停止を給電機器300に要求しないように制御することができる。そのため、実施形態2では、電子機器100は、給電機器300から供給される電力をさらに有効に利用することができる。
【0066】
[実施形態3]
実施形態1または2で説明した様々な機能、処理または方法は、パーソナルコンピュータ、マイクロコンピュータ、CPU(Central Processing Unit)またはマイクロプロセッサがプログラムを実行することによって実現することもできる。以下、実施形態3では、パーソナルコンピュータ、マイクロコンピュータ、CPU(Central Processing Unit)またはマイクロプロセッサを「コンピュータX」と呼ぶ。また、実施形態3では、コンピュータXを制御するためのプログラムであって、実施形態1または2で説明した様々な機能、処理または方法を実現するためのプログラムを「プログラムY」と呼ぶ。
【0067】
実施形態1または2で説明した様々な機能、処理または方法は、コンピュータXがプログラムYを実行することによって実現される。この場合において、プログラムYは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体を介してコンピュータXに供給される。実施形態3におけるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、ハードディスク装置、磁気記憶装置、光記憶装置、光磁気記憶装置、メモリカード、揮発性メモリ、不揮発性メモリなどの少なくとも一つを含む。実施形態3におけるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、non-transitoryな記憶媒体である。
【符号の説明】
【0068】
100…電子機器、101…メイン制御部、108…サブ制御部、109…受電制御部、110…接続部、111…電池、1091…情報取得部、1092…入力制御部、1093…給電制御部、300…給電機器
図1
図2
図3
図4
図5
図6