(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】空調制御装置、空調システムおよび空調制御方法
(51)【国際特許分類】
F24F 11/80 20180101AFI20240705BHJP
【FI】
F24F11/80
(21)【出願番号】P 2020120742
(22)【出願日】2020-07-14
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】吉田 啓祐
(72)【発明者】
【氏名】小室 吉輝
(72)【発明者】
【氏名】近藤 喜之
(72)【発明者】
【氏名】大谷 雄一
【審査官】塩田 匠
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-291045(JP,A)
【文献】特開平08-128694(JP,A)
【文献】特開平04-048141(JP,A)
【文献】特開2005-134052(JP,A)
【文献】特開2003-004278(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
F24F 110/50
F24F 110/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一空間に対する輻射式空調部と対流式空調部を制御する装置であって、
PMV(予測温冷感申告)値を取得するPMV値取得部と、
冷房運転の場合と暖房運転の場合の少なくとも一方に対応するものであって、
前記冷房運転の場合、
前記PMV値が第1冷房閾値(以下、C1閾値という)より大きい場合に、前記輻射式空調部の出力を最大に制御するとともに、前記対流式空調部の出力を最大に制御し、
前記PMV値が前記C1閾値より小さい第3冷房閾値(以下、C3閾値という)以下である場合に、前記輻射式空調部の出力を、少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を最小に制御し、
前記PMV値が、前記C1閾値以下かつ、前記C1閾値より小さく前記C3閾値より大きい第2冷房閾値(以下、C2閾値という)より大きい場合に、前記対流式空調部の前記PMV値に対する出力変化率が前記輻射式空調部の前記PMV値に対する出力変化率以上となるようにして、前記輻射式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御し、
前記PMV値が、前記C2閾値以下かつ、前記C3閾値より大きい場合に、前記輻射式空調部の前記PMV値に対する出力変化率が前記対流式空調部の前記PMV値に対する出力変化率以上となるようにして、前記輻射式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御し、
前記暖房運転の場合、
前記PMV値が第1暖房閾値(以下、H1閾値という)より小さい場合に、前記輻射式空調部の出力を最大に制御するとともに、前記対流式空調部の出力を最大に制御し、
前記PMV値が前記H1閾値より大きい第3暖房閾値(以下、H3閾値という)以上である場合に、前記輻射式空調部の出力を、少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を最小に制御し、
前記PMV値が、前記H1閾値以上かつ、前記H1閾値より大きく前記H3閾値より小さい第2暖房閾値(以下、H2閾値という)より小さい場合に、前記対流式空調部の前記PMV値に対する出力変化率の絶対値が前記輻射式空調部の前記PMV値に対する出力変化率の絶対値以上となるようにして、前記輻射式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御し、
前記PMV値が、前記H2閾値以上かつ、前記H3閾値より小さい場合に、前記輻射式空調部の前記PMV値に対する出力変化率の絶対値が前記対流式空調部の前記PMV値に対する出力変化率の絶対値以上となるようにして、前記輻射式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御する、
制御部と、
を備える空調制御装置。
【請求項2】
同一空間に対する輻射式空調部と対流式空調部を制御する装置であって、
PMV(予測温冷感申告)値を取得するPMV値取得部と、
冷房運転の場合と暖房運転の場合の少なくとも一方に対応するものであって、
前記冷房運転の場合、
前記PMV値が第1冷房閾値(以下、C1閾値という)より大きい場合に、前記輻射式空調部の出力を最大に制御するとともに、前記対流式空調部の出力を最大に制御し、
前記PMV値が前記C1閾値以下かつ前記C1閾値より小さい第3冷房閾値(以下、C3閾値という)より大きい場合に、前記輻射式空調部の出力を少なくとも前記PMV値が1.5~2.0の範囲で最大とし、0.5~1.5の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を少なくとも前記PMV値が0.5~2.0の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御し、 前記PMV値が前記C3閾値以下である場合に、前記輻射式空調部の出力を、少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を最小に制御し、
前記暖房運転の場合、
前記PMV値が第1暖房閾値(以下、H1閾値という)より小さい場合に、前記輻射式空調部の出力を最大に制御するとともに、前記対流式空調部の出力を最大に制御し、
前記PMV値が前記H1閾値以上かつ前記H1閾値より大きい第3暖房閾値(以下、H3閾値という)より小さい場合に、前記輻射式空調部の出力を少なくとも前記PMV値が-2.0~-1.5の範囲で最大とし、-1.5~-0.5の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を少なくとも前記PMV値が-2.0~-0.5の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御し、 前記PMV値が前記H3閾値以上である場合に、前記輻射式空調部の出力を、少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を最小に制御する
制御部と、
を備える空調制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記冷房運転の場合、
前記PMV値が、前記C1閾値以下かつ、前記C1閾値より小さく前記C3閾値より大きい第2冷房閾値(以下、C2閾値という)より大きい場合に、前記対流式空調部の前記PMV値に対する出力変化率が前記輻射式空調部の前記PMV値に対する出力変化率以上となるようにして、前記輻射式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御し、
前記PMV値が、前記C2閾値以下かつ、前記C3閾値より大きい場合に、前記輻射式空調部の前記PMV値に対する出力変化率が前記対流式空調部の前記PMV値に対する出力変化率以上となるようにして、前記輻射式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御し、
前記暖房運転の場合、
前記PMV値が、前記H1閾値以上かつ、前記H1閾値より大きく前記H3閾値より小さい第2暖房閾値(以下、H2閾値という)より小さい場合に、前記対流式空調部の前記PMV値に対する出力変化率の絶対値が前記輻射式空調部の前記PMV値に対する出力変化率の絶対値以上となるようにして、前記輻射式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御し、 前記PMV値が、前記H2閾値以上かつ、前記H3閾値より小さい場合に、前記輻射式空調部の前記PMV値に対する出力変化率の絶対値が前記対流式空調部の前記PMV値に対する出力変化率の絶対値以上となるようにして、前記輻射式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御する
請求項2に記載の空調制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、個人向輻射式空調部をさらに制御するものであり、前記PMV値を個人温度嗜好に基づき補正した補正PMV値に基づき前記個人向輻射式空調部の出力を制御する
請求項1または2に記載の空調制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、個人向輻射式空調部と個人向加湿器をさらに制御するものであり、前記PMV値を個人温度嗜好に基づき補正した補正PMV値に基づき前記個人向輻射式空調部の出力と前記個人向加湿器の出力を制御する
請求項1または2に記載の空調制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、個人向輻射式空調部と個人向除湿器をさらに制御するものであり、前記PMV値を個人温度嗜好に基づき補正した補正PMV値に基づき前記個人向輻射式空調部の出力と前記個人向除湿器の出力を制御する
請求項1または2に記載の空調制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記PMV値を、空調の対象とする空間の
照明の色温度に基づいて補正して前記各出力を制御する
請求項1から6のいずれか一項に記載の空調制御装置。
【請求項8】
同一空間に対する輻射式空調部と対流式空調部を制御する装置であって、
PMV(予測温冷感申告)値を取得するPMV値取得部と、
冷房運転の場合と暖房運転の場合の少なくとも一方に対応するものであって、
前記冷房運転の場合、
前記PMV値が第1冷房閾値(以下、C1閾値という)より大きい場合に、前記輻射式空調部の出力を最大に制御するとともに、前記対流式空調部の出力を最大に制御し、
前記PMV値が前記C1閾値より小さい第3冷房閾値(以下、C3閾値という)以下である場合に、前記輻射式空調部の出力を、少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を最小に制御し、
前記PMV値が、前記C1閾値以下かつ、前記C1閾値より小さく前記C3閾値より大きい第2冷房閾値(以下、C2閾値という)より大きい場合に、前記対流式空調部の前記PMV値に対する出力変化率が前記輻射式空調部の前記PMV値に対する出力変化率以上となるようにして、前記輻射式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御し、
前記PMV値が、前記C2閾値以下かつ、前記C3閾値より大きい場合に、前記輻射式空調部の前記PMV値に対する出力変化率が前記対流式空調部の前記PMV値に対する出力変化率以上となるようにして、前記輻射式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御し、
前記暖房運転の場合、
前記PMV値が第1暖房閾値(以下、H1閾値という)より小さい場合に、前記輻射式空調部の出力を最大に制御するとともに、前記対流式空調部の出力を最大に制御し、
前記PMV値が前記H1閾値より大きい第3暖房閾値(以下、H3閾値という)以上である場合に、前記輻射式空調部の出力を、少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を最小に制御し、
前記PMV値が、前記H1閾値以上かつ、前記H1閾値より大きく前記H3閾値より小さい第2暖房閾値(以下、H2閾値という)より小さい場合に、前記対流式空調部の前記PMV値に対する出力変化率の絶対値が前記輻射式空調部の前記PMV値に対する出力変化率の絶対値以上となるようにして、前記輻射式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御し、
前記PMV値が、前記H2閾値以上かつ、前記H3閾値より小さい場合に、前記輻射式空調部の前記PMV値に対する出力変化率の絶対値が前記対流式空調部の前記PMV値に対する出力変化率の絶対値以上となるようにして、前記輻射式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御する、
制御部と、
を有する空調制御装置と、
前記輻射式空調部と、
前記対流式空調部と、
を備える空調システム。
【請求項9】
同一空間に対する輻射式空調部と対流式空調部を制御する装置であって、
PMV(予測温冷感申告)値を取得するPMV値取得部と、
冷房運転の場合と暖房運転の場合の少なくとも一方に対応するものであって、
前記冷房運転の場合、
前記PMV値が第1冷房閾値(以下、C1閾値という)より大きい場合に、前記輻射式空調部の出力を最大に制御するとともに、前記対流式空調部の出力を最大に制御し、
前記PMV値が前記C1閾値以下かつ前記C1閾値より小さい第3冷房閾値(以下、C3閾値という)より大きい場合に、前記輻射式空調部の出力を少なくとも前記PMV値が1.5~2.0の範囲で最大とし、0.5~1.5の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を少なくとも前記PMV値が0.5~2.0の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御し、 前記PMV値が前記C3閾値以下である場合に、前記輻射式空調部の出力を、少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を最小に制御し、
前記暖房運転の場合、
前記PMV値が第1暖房閾値(以下、H1閾値という)より小さい場合に、前記輻射式空調部の出力を最大に制御するとともに、前記対流式空調部の出力を最大に制御し、
前記PMV値が前記H1閾値以上かつ前記H1閾値より大きい第3暖房閾値(以下、H3閾値という)より小さい場合に、前記輻射式空調部の出力を少なくとも前記PMV値が-2.0~-1.5の範囲で最大とし、-1.5~-0.5の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を少なくとも前記PMV値が-2.0~-0.5の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御し、 前記PMV値が前記H3閾値以上である場合に、前記輻射式空調部の出力を、少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を最小に制御する、
制御部と、
を備える空調制御装置と、
前記輻射式空調部と、
前記対流式空調部と、
を備える空調システム。
【請求項10】
同一空間に対する輻射式空調部と対流式空調部を制御する方法であって、
PMV(予測温冷感申告)値を取得するステップを含むとともに、
冷房運転の場合に、
前記PMV値が第1冷房閾値(以下、C1閾値という)より大きい場合に、前記輻射式空調部の出力を最大に制御するとともに、前記対流式空調部の出力を最大に制御し、
前記PMV値が前記C1閾値より小さい第3冷房閾値(以下、C3閾値という)以下である場合に、前記輻射式空調部の出力を、少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を最小に制御し、
前記PMV値が、前記C1閾値以下かつ、前記C1閾値より小さく前記C3閾値より大きい第2冷房閾値(以下、C2閾値という)より大きい場合に、前記対流式空調部の前記PMV値に対する出力変化率が前記輻射式空調部の前記PMV値に対する出力変化率以上となるようにして、前記輻射式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御し、
前記PMV値が、前記C2閾値以下かつ、前記C3閾値より大きい場合に、前記輻射式空調部の前記PMV値に対する出力変化率が前記対流式空調部の前記PMV値に対する出力変化率以上となるようにして、前記輻射式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御するステップと、
暖房運転の場合に、
前記PMV値が第1暖房閾値(以下、H1閾値という)より小さい場合に、前記輻射式空調部の出力を最大に制御するとともに、前記対流式空調部の出力を最大に制御し、
前記PMV値が前記H1閾値より大きい第3暖房閾値(以下、H3閾値という)以上である場合に、前記輻射式空調部の出力を、少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を最小に制御し、
前記PMV値が、前記H1閾値以上かつ、前記H1閾値より大きく前記H3閾値より小さい第2暖房閾値(以下、H2閾値という)より小さい場合に、前記対流式空調部の前記PMV値に対する出力変化率の絶対値が前記輻射式空調部の前記PMV値に対する出力変化率の絶対値以上となるようにして、前記輻射式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御し、
前記PMV値が、前記H2閾値以上かつ、前記H3閾値より小さい場合に、前記輻射式空調部の前記PMV値に対する出力変化率の絶対値が前記対流式空調部の前記PMV値に対する出力変化率の絶対値以上となるようにして、前記輻射式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御するステップと、
の少なくとも一方を含む、
空調制御方法。
【請求項11】
同一空間に対する輻射式空調部と対流式空調部を制御する方法であって、
PMV(予測温冷感申告)値を取得するステップを含むとともに、
前記冷房運転の場合、
前記PMV値が第1冷房閾値(以下、C1閾値という)より大きい場合に、前記輻射式空調部の出力を最大に制御するとともに、前記対流式空調部の出力を最大に制御し、
前記PMV値が前記C1閾値以下かつ前記C1閾値より小さい第3冷房閾値(以下、C3閾値という)より大きい場合に、前記輻射式空調部の出力を少なくとも前記PMV値が1.5~2.0の範囲で最大とし、0.5~1.5の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を少なくとも前記PMV値が0.5~2.0の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御し、 前記PMV値が前記C3閾値以下である場合に、前記輻射式空調部の出力を、少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を最小に制御するステップと、
前記暖房運転の場合、
前記PMV値が第1暖房閾値(以下、H1閾値という)より小さい場合に、前記輻射式空調部の出力を最大に制御するとともに、前記対流式空調部の出力を最大に制御し、
前記PMV値が前記H1閾値以上かつ前記H1閾値より大きい第3暖房閾値(以下、H3閾値という)より小さい場合に、前記輻射式空調部の出力を少なくとも前記PMV値が-2.0~-1.5の範囲で最大とし、-1.5~-0.5の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を少なくとも前記PMV値が-2.0~-0.5の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御し、 前記PMV値が前記H3閾値以上である場合に、前記輻射式空調部の出力を、少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を最小に制御するステップと、
の少なくとも一方を含む、
空調制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空調制御装置、空調システムおよび空調制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
対流によって空調を行う対流式空調機と輻射によって空調を行う輻射式空調機を併用する空調システムが知られている(例えば特許文献1)。特許文献1に記載されている空調システムでは、空調エリア内の温度と目標温度との差が大きいときは、対流式空調機と輻射式空調機の両方を冷房または暖房で運転させ、冷房または暖房が進んで空調エリア内の温度と目標温度の差が小さくなったら、対流式空調機の運転モードを「送風」から「停止」へと、段階的に切り替える制御が行われる。ところで人が快適と感じるかについては温度・湿度以外のパラメータによっても影響される。しかしながら、特許文献1に記載されている空調システムは、温度・湿度以外のパラメータを考慮して対流式空調機と輻射式空調機を併用して制御するための構成を備えていない。
【0003】
また、温度・湿度以外の多数のパラメータを考慮する温度制御の指標として、室内の空気温度、湿度、放射温度(輻射)、気流速度、代謝量(活動量)、着衣量の各要素に基づいて温冷感を評価したPMV(Predicted Mean Vote:予測温冷感申告)が知られており、この指標に基づいて対流式空調機と輻射式空調機を制御することも知られている(特許文献2)。特許文献2に記載されているシステムでは、PMVの値が目標値となるように、対流式空調機が出力する給気温度SAと輻射式空調機による熱処理量が、対流式空調機と輻射式空調機へ送水される冷水を開閉制御する各バルブをオンまたはオフに同時に駆動することで制御される。そのため、特許文献2に記載されているシステムでは、対流式空調機と輻射式空調機を段階的に組み合わせて制御することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6494562号公報
【文献】特開2019-143823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、対流式空調と輻射式空調を段階的に組み合わせて制御することができる空調制御装置、空調システムおよび空調制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係る空調制御装置は、同一空間に対する輻射式空調部と対流式空調部を制御する装置であって、PMV値を取得するPMV値取得部と、冷房運転の場合と暖房運転の場合の少なくとも一方に対応するものであって、前記冷房運転の場合、前記PMV値が第1冷房閾値(以下、C1閾値という)より大きい場合に、前記輻射式空調部の出力を最大に制御するとともに、前記対流式空調部の出力を最大に制御し、前記PMV値が前記C1閾値以下かつ前記C1閾値より小さい第3冷房閾値(以下、C3閾値という)より大きい場合に、前記輻射式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御し、前記PMV値が前記C3閾値以下である場合に、前記輻射式空調部の出力を、少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を最小に制御し、前記暖房運転の場合、前記PMV値が第1暖房閾値(以下、H1閾値という)より小さい場合に、前記輻射式空調部の出力を最大に制御するとともに、前記対流式空調部の出力を最大に制御し、前記PMV値が前記H1閾値以上かつ前記H1閾値より大きい第3暖房閾値(以下、H3閾値という)より小さい場合に、前記輻射式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御し、前記PMV値が前記H3閾値以上である場合に、前記輻射式空調部の出力を、少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を最小に制御する制御部とを備える。
【0007】
本開示に係る空調システムは、同一空間に対する輻射式空調部と対流式空調部を制御する装置であって、PMV値を取得するPMV値取得部と、冷房運転の場合と暖房運転の場合の少なくとも一方に対応するものであって、前記冷房運転の場合、前記PMV値がC1閾値より大きい場合に、前記輻射式空調部の出力を最大に制御するとともに、前記対流式空調部の出力を最大に制御し、前記PMV値が前記C1閾値以下かつ前記C1閾値より小さいC3閾値より大きい場合に、前記輻射式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御し、前記PMV値が前記C3閾値以下である場合に、前記輻射式空調部の出力を、少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を最小に制御し、前記暖房運転の場合、前記PMV値がH1閾値より小さい場合に、前記輻射式空調部の出力を最大に制御するとともに、前記対流式空調部の出力を最大に制御し、前記PMV値が前記H1閾値以上かつ前記H1閾値より大きいH3閾値より小さい場合に、前記輻射式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御し、前記PMV値が前記H3閾値以上である場合に、前記輻射式空調部の出力を、少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を最小に制御するする制御部とを有する空調制御装置と、前記輻射式空調部と、前記対流式空調部とを備える。
【0008】
本開示に係る空調制御方法は、同一空間に対する輻射式空調部と対流式空調部を制御する方法であって、PMV値を取得するステップを含むとともに、冷房運転の場合に、前記PMV値がC1閾値より大きい場合に、前記輻射式空調部の出力を最大に制御するとともに、前記対流式空調部の出力を最大に制御し、前記PMV値が前記C1閾値以下かつ前記C1閾値より小さいC3閾値より大きい場合に、前記輻射式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御し、前記PMV値が前記C3閾値以下である場合に、前記輻射式空調部の出力を、少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を最小に制御するステップと、暖房運転の場合に、前記PMV値がH1閾値より小さい場合に、前記輻射式空調部の出力を最大に制御するとともに、前記対流式空調部の出力を最大に制御し、前記PMV値が前記H1閾値以上かつ前記H1閾値より大きいH3閾値より小さい場合に、前記輻射式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御し、前記PMV値が前記H3閾値以上である場合に、前記輻射式空調部の出力を、少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を最小に制御するステップとの少なくとも一方を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示の空調制御装置、空調システムおよび空調制御方法によれば、対流式空調と輻射式空調を段階的に組み合わせて制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る空調制御装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示す輻射式空調部2と対流式空量部3の構成例を示す模式図である。
【
図3】
図1に示す輻射式空調部2と対流式空量部3の他の構成例を示す模式図である。
【
図4】
図1に示す輻射式空調部2と対流式空量部3の他の構成例を示す模式図である。
【
図5】
図1に示す空調制御装置1の動作例を示すフローチャートである。
【
図6】
図1に示す空調制御装置1の動作例を説明するための模式図である。
【
図7】
図1に示す空調制御装置1の他の動作例を示すフローチャートである。
【
図8】
図1に示す空調制御装置1の他の動作例を示すフローチャートである。
【
図9】
図1に示す空調制御装置1の動作例を示すフローチャートである。
【
図10】
図1に示す空調制御装置1の動作例を説明するための模式図である。
【
図11】
図1に示す空調制御装置1の他の動作例を示すフローチャートである。
【
図12】
図1に示す空調制御装置1の他の動作例を示すフローチャートである。
【
図13】本開示の第2実施形態に係る空調制御装置の構成例を示すブロック図である。
【
図14】
図13に示す個人向輻射式空調部21および22と個人向加湿器51および52の構成例を示す模式図である。
【
図15】
図13に示す空調制御装置1aの動作例を説明するための模式図である。
【
図16】
図13に示す空調制御装置1aの動作例を説明するための模式図である。
【
図17】
図13に示す空調制御装置1aの動作例を説明するための模式図である。
【
図18】
図13に示す空調制御装置1aの動作例を説明するための模式図である。
【
図19】
図13に示す空調制御装置1aの動作例を説明するための模式図である。
【
図20】
図13に示す空調制御装置1aの動作例を説明するための模式図である。
【
図21】本開示の第3実施形態を説明するための模式図である。
【
図22】本開示に係るPMVを説明するための模式図である。
【
図23】本開示に係るPMVを説明するための模式図である。
【
図24】本開示の第4実施形態を説明するための模式図である。
【
図25】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
(空調制御装置の構成)
以下、本開示の実施形態に係る空調制御装置、空調システムおよび空調制御方法について、
図1~
図12を参照して説明する。
図1は、本開示の第1実施形態に係る空調制御装置1の構成例を示すブロック図である。
図2~
図4は、
図1に示す輻射式空調部2と対流式空量部3の構成例を示す模式図である。
図5は、
図1に示す空調制御装置1の動作例を示すフローチャートである。
図6は、
図1に示す空調制御装置1の動作例を説明するための模式図である。
図7および
図8は、
図1に示す空調制御装置1の他の動作例を示すフローチャートである。
図9は、
図1に示す空調制御装置1の動作例を示すフローチャートである。
図10は、
図1に示す空調制御装置1の動作例を説明するための模式図である。
図11および
図12は、
図1に示す空調制御装置1の他の動作例を示すフローチャートである。なお、各図において同一または対応する構成には同一の符号を用いて説明を適宜省略する。
【0012】
図1に示すように、本実施形態の空調システム100は、空調制御装置1と、輻射式空調部2と、対流式空調部3とを備える。
【0013】
空調制御装置1は、例えば、マイクロコンピュータ等のコンピュータとその周辺装置等を用いて構成することができる。空調制御装置1は、コンピュータ等のハードウェアとコンピュータが実行するプログラム等のソフトウェアとの組み合わせで構成される機能的構成として、制御部11とPMV値取得部12を備える。制御部11は、PMV値取得部12が取得したPMV値に基づいて、PMV値が目標値(おおむね「0」)となるように、図示していない有線または無線の通信線等を用いて所定の制御信号を送信することで、輻射式空調部2の出力と対流式空調部3の出力を制御する。PMV値取得部12は、センサ部4から取得した情報に基づき、PMV値を算出して取得する。
【0014】
ここで、
図22と
図23を参照してPMVについて説明する。
図22および
図23は、本開示に係るPMVを説明するための模式図である。PMVは、デンマーク工科大学のファンガー教授により提唱された室内温熱環境の快適性指標であり、室内の空気温度、湿度、放射温度(輻射)、気流速度、代謝量(活動量)、着衣量の6つの要素に基づいて、室内で人間が感じる温冷感を評価したものである。PMV値は、下記の式等から算出され、
図22に示すように、+3(暑い)、+2(暖かい)、+1(やや暖かい)、0(どちらでもない)、-1(やや涼しい)、-2(涼しい)、-3(寒い)の評価で表される。また、ISO(国際標準化機構)7730では、-0.5~+0.5の範囲が快適なPMV値とされる。
【0015】
【0016】
また、PMV値とPPDには、
図23に示す関係がある。
図23は横軸をPMV値、縦軸をPPD[%]として、PMV値とPPDの関係を示す。なお、PPD(Predicted Percentage of Dissatisfied:予測不満足率)は予測温冷感申告(PMV)で求められた環境で熱的に不快に感じる人の割合であり、下式で求められる。
【0017】
【0018】
図23に示すように、PMV値の絶対値が2より大きい場合、温熱に関して不快に感じる人は80%以上となる。また、PMV値の絶対値が1.5より大きく2以下の場合、温熱に関して不快に感じる人は50~80%となる。すなわち、PMV値の絶対値が1.5程度で温熱に関して不快に感じる人が50%以下となる。また、PMV値の絶対値が0.5より大きく1.5以下の場合、温熱に関して不快に感じる人は10~50%となる。
【0019】
センサ部4は、温度センサ41、湿度センサ42、CO2(二酸化炭素)濃度センサ43、気流センサ44、カメラ45等を備える。例えば、
図2に示すように、空調の対象とする例えば室内の空間200に設置されている。なお、
図2では、空間200内に、机T1に向かって座る作業者P1と机T2に向かって座る作業者P2を示している。センサ部4は、例えば、机T1や机T2の周辺に設置することができる。PMV値取得部12は、センサ部4が計測した温度、湿度、CO2濃度、気流、カメラ45の撮影画像等に基づいてPMV値を算出する。ここで、例えばCO2濃度は代謝量に変換した後にPMV値の算出式で用いることができる。また、PMV値取得部12は、例えば、カメラ45の撮影画像に基づいて肌の露出割合等に基づき着衣量を推定する。また、カメラ45は、例えば可視光カメラと赤外線カメラを含んでいてもよい。
【0020】
輻射式空調部2は、例えば、
図2に示すように、輻射パネル31と、ポンプ32とを備える。輻射パネル31は、熱源機101から冷温水管102とポンプ32を介して供給された冷温水を熱源として、空間200を輻射によって冷暖房する。この場合、輻射式空調部2の出力は、例えばポンプ32の回転数(回転速度)によって制御することができる。なお、本実施形態において輻射式空調部2の出力および対流式空調部3の出力は、単位時間当たりに空間200から取り除くあるいは空間200に加える熱エネルギーである。熱源機101は、例えば、冷凍機、ボイラー、ヒートポンプ等を備え、一定の温度の冷温水(冷水または温水)を輻射式空調部2および対流式空調部3へ供給する。
【0021】
また、対流式空調部3は、例えば、
図2に示すように、ファンコイル41と、ポンプ42を備える。ファンコイル41は、ファン411と冷温水コイル412を備え、熱源機101から冷温水管103とポンプ42を介して供給された冷温水を熱源として、空間200からの還気RAを冷暖房して空間200へ給気SAする。この場合、対流式空調部3の出力は、例えばポンプ32の回転数とファン411の回転数によって制御することができる。
【0022】
なお、対流式空調部3の構成は、
図2に示すファンコイル41を用いるものに限定されない。例えば、
図3に対流式空調部3aとして示すように、エアハンドリングユニット(AHU)104とバリアブルエアヴォリューム(VAV)ユニット108とを用いた構成としてもよい。この場合、対流式空調部3aの出力は、VAVユニット108による給気SA風量の制御値、AHU104が備えるファン107の回転数等によって制御される。なお、AHU104は、フィルタ105、冷温水コイル104、ファン104等を備え、熱源機101から冷温水管105を介して供給された冷温水を熱源として、外気OAおよび空間200からの還気RAを冷暖房する。そして冷暖房された空気は、ファン107、配管109およびVAVユニット108を介して空間200へ給気SAされる。なお、AHU104は、加湿ノズル等を備えて、蒸気を加えることができる構成を有するものであってもよい。
【0023】
あるいは、対流式空調部3の構成は、例えば、
図4に対流式空調部3bとして示すように、ルームエアコン、パッケージエアコン等のエアコン110を用いて構成することができる。
図4に示すエアコン110は、室内機111と、室外機112と、冷媒配管113とを備える。この場合、対流式空調部3bの出力は、室外機112が備えるコンプレッサの回転数、室内機111が備える給気ファンの回転数等によって制御される。なお、本実施形態では、給気ファンの回転数と出力は例えば比例関係を有するように制御される。
【0024】
(空調制御装置の動作)
次に、
図5~
図12を参照して6つの動作例(第1動作例(
図5)、第2動作例(
図7)、第3動作例(
図8)、第4動作例(
図9)、第5動作例(
図11)、第6動作例(
図12))について説明する。第1動作例~第3動作例は冷房時の動作、第4動作例~第6動作例は暖房時の動作である。
図1に示す空調システム100は冷房と暖房の両方に対応している。なお、以下では互いに異なる複数の閾値をC1~C6閾値およびC11~C14閾値あるいはH1~H6閾値およびH11~H14閾値として表し、また、互いに異なる複数の出力をCP1、CP2、CP11およびCP12出力あるいはHP1、HP2、HP11およびHP12出力として表す。
【0025】
(第1動作例(冷房時))
図5に示す処理は所定の周期で繰り返し実行される。
図5に示す処理を開始すると、空調制御装置1は、まず、PMV値取得部12がセンサ部4の出力信号等に基づいてPMV値を算出して取得する(ステップS101)。次に、制御部11が、PMV値がC1閾値より大きいか否かを判断する(ステップS102)。C1閾値は、例えば
図6に示すように「2.0」とすることができる。
図6は、横軸をPMV値とし、縦軸を輻射式空調部2の出力と対流式空調部3の出力の100分率とし、PMV値と輻射式空調部2の出力の制御目標と対流式空調部3の出力の制御目標との関係の例を示す。
図6に示す場合、出力100%が最大、出力0%が最小(停止)を意味する。
【0026】
PMV値がC1閾値より大きい場合(ステップS102で「YES」の場合)、制御部11は、輻射式空調部2の出力を最大(100%)にするとともに、対流式空調部3の出力を最大(100%)にし(ステップS103)、
図5に示す処理を終了する。他方、PMV値がC1閾値以下の場合(ステップS102で「NO」の場合)、制御部11は、PMV値がC3閾値より大きいか否かを判断する(ステップS104)。
【0027】
PMV値がC3閾値より大きい場合(ステップS104で「YES」の場合)、制御部11は、輻射式空調部2の出力と対流式空調部3の出力を、少なくとも所定のPMV値の範囲でPMV値が小さいほど小さくし(ステップS105)、
図5に示す処理を終了する。
図6に示す例では、制御部11は、輻射式空調部2の出力を、PMV値が1.5~2.0の範囲で最大とし、0.5~1.5の範囲でPMV値が小さいほど小さくする。また、制御部11は、対流式空調部3の出力を、PMV値が0.5~2.0の範囲でPMV値が小さいほど小さくする。
【0028】
他方、PMV値がC3閾値以下の場合(ステップS104で「NO」の場合)、制御部11は、輻射式空調部2の出力を、少なくとも所定のPMV値の範囲でPMV値が小さいほど小さくするとともに、対流式空調部3の出力を最小にし(ステップS106)、
図5に示す処理を終了する。
図6に示す例では、制御部11は、輻射式空調部2の出力を、PMV値が「0」近傍(「0」より大きい「0」に近い値)~0.5の範囲でPMV値が小さいほど小さくし、PMV値が「0」近傍~0の範囲で一定とし(CP2出力一定)、PMV値が0~-1の範囲でPMV値が小さいほど小さくする。また、制御部11は、対流式空調部3の出力を、最小(0%(停止))にする。なお、PMV値が「0」の場合に輻射式空調部2を一定の出力で動かしているのは次の理由による。すなわち、空間200においては、人間の代謝と熱損失があり、また、周囲機器や外部からの入熱があるので、PMVを0で維持するには、空調は作動している必要があるためである。また、PMV=0で空調が停止する制御とした場合、空調機が頻繁にON/OFFしてしまい無駄なエネルギー消費が生じることが考えられるが、これを避けることができる。すなわち、快適な環境に制御しながらも、省エネルギーを達成するために空調は作動し続けたほうがメリットがあるからである。
【0029】
(作用・効果)
図5に示す処理によれば、PMV値が大きいとき(PMV値>2.0)に輻射・対流とも100%出力とし、PMV値が中ぐらいのとき(2.0≧PMV値>0.5)に輻射・対流の出力を変えて温度等が管理される。また、PMV値が小さいとき(0.5≧PMV値)には対流が停止され輻射で管理される。この動作によれば、輻射と対流を段階的に制御することができ、また、対流を抑えた空調制御を行うことができる。
【0030】
(第2動作例(冷房時))
図7に示す処理は所定の周期で繰り返し実行される。
図7に示す処理を開始すると、空調制御装置1は、まず、PMV値取得部12がセンサ部4の出力信号等に基づいてPMV値を算出して取得する(ステップS201)。次に、制御部11が、PMV値がC1閾値より大きいか否かを判断する(ステップS202)。C1閾値は、例えば
図6に示すように「2.0」とすることができる。
【0031】
PMV値がC1閾値より大きい場合(ステップS202で「YES」の場合)、制御部11は、輻射式空調部2の出力を最大(100%)にするとともに、対流式空調部3の出力を最大(100%)にし(ステップS203)、
図7に示す処理を終了する。他方、PMV値がC1閾値以下の場合(ステップS202で「NO」の場合)、制御部11は、PMV値がC2閾値より大きいか否かを判断する(ステップS204)。C2閾値は、C1閾値より小さくC3閾値より大きい値であり、例えば
図6に示すように「1.5」とすることができる。
【0032】
PMV値がC2閾値より大きい場合(ステップS204で「YES」の場合)、制御部11は、輻射式空調部2の出力と対流式空調部3の出力を、対流式空調部3のPMV値に対する出力変化率が輻射式空調部2のPMV値に対する出力変化率以上となるようにして、少なくとも所定のPMV値の範囲でPMV値が小さいほど小さくし(ステップS205)、
図7に示す処理を終了する。
図6に示す例では、制御部11は、輻射式空調部2の出力を、PMV値が1.5~2.0の範囲で最大とする。また、制御部11は、対流式空調部3の出力を、PMV値が1.5~2.0の範囲でCP1出力が最小値となるようにPMV値が小さいほど小さくする。ここで、C2閾値(=1.5)~C1閾値(=2.0)の範囲では、対流式空調部3のPMV値に対する出力変化率(傾きTLC1)は、輻射式空調部2のPMV値に対する出力変化率(傾き=0)以上に設定されている。
【0033】
PMV値がC2閾値以下の場合(ステップS204で「NO」の場合)、制御部11は、PMV値がC3閾値より大きいか否かを判断する(ステップS206)。PMV値がC3閾値より大きい場合(ステップS206で「YES」の場合)、制御部11は、輻射式空調部2の出力と対流式空調部3の出力を、輻射式空調部2のPMV値に対する出力変化率(傾きTLC2)が対流式空調部3のPMV値に対する出力変化率(傾きTLC3)以上となるようにして、少なくとも所定のPMV値の範囲でPMV値が小さいほど小さくし(ステップS207)、
図7に示す処理を終了する。
図6に示す例では、制御部11は、輻射式空調部2の出力を、0.5~1.5の範囲でPMV値が小さいほど小さくする。また、制御部11は、対流式空調部3の出力を、PMV値が0.5~1.5の範囲でPMV値が小さいほど小さくする。ここで、C3閾値(=0.5)~C2閾値(=1.5)の範囲では、輻射式空調部2のPMV値に対する出力変化率(傾きTLC2)は、対流式空調部3のPMV値に対する出力変化率(傾きTLC3)以上に設定されている。
【0034】
他方、PMV値がC3閾値以下の場合(ステップS206で「NO」の場合)、制御部11は、輻射式空調部2の出力を、少なくとも所定のPMV値の範囲でPMV値が小さいほど小さくし、対流式空調部3の出力を最小にし(ステップS208)、
図7に示す処理を終了する。
図6に示す例では、制御部11は、輻射式空調部2の出力を、PMV値が「0」近傍(「0」より大きい「0」に近い値)~0.5の範囲でPMV値が小さいほど小さくし、PMV値が「0」近傍~0の範囲で一定とし(CP2出力一定)、PMV値が0~-1の範囲でPMV値が小さいほど小さくする。また、制御部11は、対流式空調部3の出力を、最小(0%(停止))にする。
【0035】
図7に示す処理によれば、PMV値が中ぐらいのとき(2.0≧PMV値>0.5)の制御を
図5に示す処理より細分化することができる。区間A(2.0≧PMV値>1.5)では、対流による温度管理を主体として空調制御を行うことができる。また、区間B(1.5≧PMV値>0.5)では、輻射による温度管理を主体として空調制御を行うことができる。例えば、上記Aの範囲では輻射は出力100%で対流の出力制御、上記Bの範囲では、対流出力をAの範囲よりは緩く(小さい範囲で)制御しつつ、輻射も制御することができる。この動作によれば、輻射と対流を段階的に制御することができ、また、対流を抑えた空調制御をよりきめ細かく行うことができる。
【0036】
(第3動作例(冷房時))
図8に示す処理は所定の周期で繰り返し実行される。
図8に示す処理を開始すると、空調制御装置1は、まず、PMV値取得部12がセンサ部4の出力信号等に基づいてPMV値を算出して取得する(ステップS301)。次に、制御部11が、PMV値がC1閾値より大きいか否かを判断する(ステップS302)。C1閾値は、例えば
図6に示すように「2.0」とすることができる。
【0037】
PMV値がC1閾値より大きい場合(ステップS302で「YES」の場合)、制御部11は、輻射式空調部2の出力を最大(100%)にするとともに、対流式空調部3の出力を最大(100%)にし(ステップS303)、
図8に示す処理を終了する。他方、PMV値がC1閾値以下の場合(ステップS302で「NO」の場合)、制御部11は、PMV値がC2閾値より大きいか否かを判断する(ステップS304)。C2閾値は、C1閾値より小さくC3閾値より大きい値であり、例えば
図6に示すように「1.5」とすることができる。
【0038】
PMV値がC2閾値より大きい場合(ステップS304で「YES」の場合)、制御部11は、輻射式空調部2の出力を最大にするとともに、対流式空調部3の出力を、最大からCP1出力までの間で、PMV値が小さいほど小さくし(ステップS305)、
図8に示す処理を終了する。
図6に示す例では、制御部11は、輻射式空調部2の出力を、PMV値が1.5~2.0の範囲で最大とする。また、制御部11は、対流式空調部3の出力を、PMV値が1.5~2.0の範囲でCP1出力が最小値となるようにPMV値が小さいほど小さくする。
【0039】
PMV値がC2閾値以下の場合(ステップS304で「NO」の場合)、制御部11は、PMV値がC3閾値より大きいか否かを判断する(ステップS306)。PMV値がC3閾値より大きい場合(ステップS306で「YES」の場合)、制御部11は、輻射式空調部2の出力を、最大からCP2出力へ向けて、PMV値が小さいほど小さくし、対流式空調部3の出力を、CP1出力から最小までの間で、PMV値が小さいほど小さくし(ステップS307)、
図8に示す処理を終了する。
図6に示す例では、制御部11は、輻射式空調部2の出力を、0.5~1.5の範囲でPMV値が小さいほど小さくする。また、制御部11は、対流式空調部3の出力を、PMV値が0.5~1.5の範囲でPMV値が小さいほど小さくする。ここで、C3閾値(=0.5)~C2閾値(=1.5)の範囲では、輻射式空調部2のPMV値に対する出力変化率(傾きTLC2)は、対流式空調部3のPMV値に対する出力変化率(傾きTLC3)以上に設定されている。
【0040】
PMV値がC3閾値以下の場合(ステップS306で「NO」の場合)、制御部11は、PMV値がC4閾値より大きいか否かを判断する(ステップS308)。C4閾値は、例えば、C3閾値より小さく、「0」より大きい「0」に近い値とすることができる。PMV値がC4閾値より大きい場合(ステップS306で「YES」の場合)、制御部11は、輻射式空調部2の出力を、CP2出力まで、PMV値が小さいほど小さくし、対流式空調部3の出力を最小にし(ステップS309)、
図8に示す処理を終了する。
【0041】
PMV値がC4閾値以下の場合(ステップS308で「NO」の場合)、制御部11は、PMV値がC5閾値より大きいか否かを判断する(ステップS310)。C5閾値は、C4閾値より小さい値であり、例えば「0」とすることができる。PMV値がC5閾値より大きい場合(ステップS310で「YES」の場合)、制御部11は、輻射式空調部2の出力を、CP2出力一定にし、対流式空調部3の出力を最小にし(ステップS311)、
図8に示す処理を終了する。
【0042】
PMV値がC5閾値以下の場合(ステップS310で「NO」の場合)、制御部11は、PMV値がC6閾値より大きいか否かを判断する(ステップS312)。C6閾値は、C5閾値より小さい値であり、例えば「-1.0」とすることができる。PMV値がC6閾値より大きい場合(ステップS312で「YES」の場合)、制御部11は、輻射式空調部2の出力を、CP2出力から最小までの間で、PMV値が小さいほど小さくし、対流式空調部3の出力を最小にし(ステップS313)、
図8に示す処理を終了する。他方、PMV値がC6閾値以下の場合(ステップS312で「NO」の場合)、制御部11は、輻射式空調部2の出力を最小にするとともに、対流式空調部3の出力を最小にし(ステップS314)、
図8に示す処理を終了する。
【0043】
図8に示す動作例によれば、
図6に示すように、輻射式空調部2の出力と対流式空調部3の出力を制御することができる。この動作によれば、輻射と対流を段階的に制御することができ、また、対流を抑えた空調制御をよりきめ細かく行うことができる。
【0044】
本実施形態によれば、例えばオフィス等の住居環境で、PMV値が目標値(「0」)になるように、対流式空調機と輻射パネル(輻射式空調機)を段階的に制御することができる。例えば冷房の場合を例にとると、
図6に示すように、それぞれの出力を以下の通り制御することができる。
【0045】
(1)PMVに閾値を複数(
図6の例では最大6つ)設定し、PMVの値に応じて各空調を段階的に制御することができる。
【0046】
(2)
図6でPMV値がC1閾値より大きい、例えば絶対値が2より大きい場合(温熱に関して不快に感じる人が80%以上となる場合)、対流、輻射の運転出力はともに100%とすることができる。
【0047】
(3)PMV値がC1閾値とC2閾値の間、例えば絶対値が1.5より大きく、2.0以下の場合(温熱に関して不快に感じる人が50~80%)、輻射の出力は100%とし、PMV値の絶対値が大きいほど対流の出力を高くし、絶対値が小さいほど対流の出力を小さくする(対流のみ出力を変化させる)ことができる。ここで、PMV1.5程度で温熱に関する不快割合が50%以下となることから、気流による不快指数への影響を考慮するために閾値を設け、この閾値までに空調出力を大きく下げる(例えばPMV1.5の時、対流出力30%)ことができる。
【0048】
(4)PMV値がC2閾値とC3閾値の間、例えば絶対値が0.5より大きく、1.5以下の場合(温熱に関して不快に感じる人が10~50%)、対流、輻射の2つの出力を制御し温度管理を行う。ただし、対流出力は気流による不快指数を考慮し例えば30%以下の範囲で小さい変化量で制御することが望ましい。
【0049】
(5)PMV値がC3閾値以下、例えば絶対値が0.5以下の場合、対流の運転を停止もしくは送風運転とし、輻射の出力制御による温度管理を行うことができる。
【0050】
(6)PMV値がC4閾値以下、例えば0近傍では、快適な環境であると判断し、現状維持をするために輻射の出力を一定とすることができる。
【0051】
(第4動作例(暖房時))
図9に示す処理は所定の周期で繰り返し実行される。
図9に示す処理を開始すると、空調制御装置1は、まず、PMV値取得部12がセンサ部4の出力信号等に基づいてPMV値を算出して取得する(ステップS401)。次に、制御部11が、PMV値がH1閾値より小さいか否かを判断する(ステップS402)。H1閾値は、例えば
図10に示すように「-2.0」とすることができる。
図10は、横軸をPMV値とし、縦軸を輻射式空調部2の出力と対流式空調部3の出力の100分率とし、PMV値と輻射式空調部2の出力の制御目標と対流式空調部3の出力の制御目標との関係の例を示す。
図10に示す場合、出力100%が最大、出力0%が最小(停止)を意味する。
【0052】
PMV値がH1閾値より小さい場合(ステップS402で「YES」の場合)、制御部11は、輻射式空調部2の出力を最大(100%)にするとともに、対流式空調部3の出力を最大(100%)にし(ステップS403)、
図9に示す処理を終了する。他方、PMV値がH1閾値以上の場合(ステップS402で「NO」の場合)、制御部11は、PMV値がH3閾値より小さいか否かを判断する(ステップS404)。
【0053】
PMV値がH3閾値より小さい場合(ステップS404で「YES」の場合)、制御部11は、輻射式空調部2の出力と対流式空調部3の出力を、少なくとも所定のPMV値の範囲でPMV値が大きいほど小さくし(ステップS405)、
図9に示す処理を終了する。
図10に示す例では、制御部11は、輻射式空調部2の出力を、PMV値が-2.0~-1.5の範囲で最大とし、-1.5~-0.5の範囲でPMV値が大きいほど小さくする。また、制御部11は、対流式空調部3の出力を、PMV値が-2.0~-0.5の範囲でPMV値が大きいほど小さくする。
【0054】
他方、PMV値がH3閾値以上の場合(ステップS404で「NO」の場合)、制御部11は、輻射式空調部2の出力を、少なくとも所定のPMV値の範囲でPMV値が大きいほど小さくするとともに、対流式空調部3の出力を最小にし(ステップS406)、
図9に示す処理を終了する。
図10に示す例では、制御部11は、輻射式空調部2の出力を、PMV値が-0.5~「0」近傍(「0」より小さい「0」に近い値)の範囲でPMV値が大きいほど小さくし、PMV値が「0」近傍~0の範囲で一定とし(HP2出力一定)、PMV値が0~1の範囲でPMV値が大きいほど小さくする。また、制御部11は、対流式空調部3の出力を、最小(0%(停止))にする。
【0055】
(作用・効果)
図9に示す処理によれば、PMV値が小さいとき(PMV値<-2.0)に輻射・対流とも100%出力とし、PMV値が中ぐらいのとき(-2.0≦PMV値<-0.5)に輻射・対流の出力を変えて温度等が管理される。また、PMV値が大きいとき(-0.5≦PMV値)には対流が停止され輻射で管理される。この動作によれば、輻射と対流を段階的に制御することができ、また、対流を抑えた空調制御を行うことができる。なお、PMV値が「0」の場合に輻射式空調部2を一定の出力で動かしているのは次の理由による。すなわち、空間200においては、人間の代謝と熱損失があり、また、周囲機器や外部からの入熱があるので、PMVを0で維持するには、空調は作動している必要があるためである。また、PMV=0で空調が停止する制御とした場合、空調機が頻繁にON/OFFしてしまい無駄なエネルギー消費が生じることが考えられるが、これを避けることができる。すなわち、快適な環境に制御しながらも、省エネルギーを達成するために空調は作動し続けたほうがメリットがあるからである。
【0056】
(第5動作例(暖房時))
図11に示す処理は所定の周期で繰り返し実行される。
図11に示す処理を開始すると、空調制御装置1は、まず、PMV値取得部12がセンサ部4の出力信号等に基づいてPMV値を算出して取得する(ステップS501)。次に、制御部11が、PMV値がH1閾値より小さいか否かを判断する(ステップS502)。H1閾値は、例えば
図10に示すように「-2.0」とすることができる。
【0057】
PMV値がH1閾値より小さい場合(ステップS502で「YES」の場合)、制御部11は、輻射式空調部2の出力を最大(100%)にするとともに、対流式空調部3の出力を最大(100%)にし(ステップS503)、
図11に示す処理を終了する。他方、PMV値がH1閾値以上の場合(ステップS502で「NO」の場合)、制御部11は、PMV値がH2閾値より小さいか否かを判断する(ステップS504)。H2閾値は、H1閾値より大きくH3閾値より小さい値であり、例えば
図10に示すように「-1.5」とすることができる。
【0058】
PMV値がH2閾値より小さい場合(ステップS504で「YES」の場合)、制御部11は、輻射式空調部2の出力と対流式空調部3の出力を、対流式空調部3のPMV値に対する出力変化率の絶対値が輻射式空調部2のPMV値に対する出力変化率の絶対値以上となるようにして、少なくとも所定のPMV値の範囲でPMV値が大きいほど小さくし(ステップS505)、
図11に示す処理を終了する。
図10に示す例では、制御部11は、輻射式空調部2の出力を、PMV値が-2.0~-1.5の範囲で最大とする。また、制御部11は、対流式空調部3の出力を、PMV値が-2.0~-1.5の範囲でHP1出力が最小値となるようにPMV値が大きいほど小さくする。ここで、H2閾値(=-1.5)~H1閾値(=-2.0)の範囲では、対流式空調部3のPMV値に対する出力変化率(傾きTLH1)の絶対値は、輻射式空調部2のPMV値に対する出力変化率(傾き=0)の絶対値以上に設定されている。
【0059】
PMV値がH2閾値以上の場合(ステップS504で「NO」の場合)、制御部11は、PMV値がH3閾値より小さいか否かを判断する(ステップS506)。PMV値がH3閾値より小さい場合(ステップS506で「YES」の場合)、制御部11は、輻射式空調部2の出力と対流式空調部3の出力を、輻射式空調部2のPMV値に対する出力変化率(傾きTLH2)の絶対値が対流式空調部3のPMV値に対する出力変化率(傾きTLH3)の絶対値以上となるようにして、少なくとも所定のPMV値の範囲でPMV値が大きいほど小さくし(ステップS507)、
図11に示す処理を終了する。
図10に示す例では、制御部11は、輻射式空調部2の出力を、-1.5~-0.5の範囲でPMV値が大きいほど小さくする。また、制御部11は、対流式空調部3の出力を、PMV値が-1.5~-0.5の範囲でPMV値が大きいほど小さくする。ここで、H3閾値(=-0.5)~H2閾値(=-1.5)の範囲では、輻射式空調部2のPMV値に対する出力変化率(傾きTLH2)の絶対値は、対流式空調部3のPMV値に対する出力変化率(傾きTLH3)の絶対値以上に設定されている。
【0060】
他方、PMV値がH3閾値以上の場合(ステップS506で「NO」の場合)、制御部11は、輻射式空調部2の出力を、少なくとも所定のPMV値の範囲でPMV値が大きいほど小さくし、対流式空調部3の出力を最小にし(ステップS508)、
図11に示す処理を終了する。
図10に示す例では、制御部11は、輻射式空調部2の出力を、PMV値が-0.5~「0」近傍(「0」より小さい「0」に近い値)の範囲でPMV値が大きいほど小さくし、PMV値が「0」近傍~0の範囲で一定とし(HP2出力一定)、PMV値が0~1の範囲でPMV値が大きいほど小さくする。また、制御部11は、対流式空調部3の出力を、最小(0%(停止))にする。
【0061】
図11に示す処理によれば、PMV値が中ぐらいのとき(-2.0<PMV値≦-0.5)の制御を
図9に示す処理より細分化することができる。区間A1(-2.0<PMV値≦-1.5)では、対流による温度管理を主体として空調制御を行うことができる。また、区間B1(-1.5<PMV値≦-0.5)では、輻射による温度管理を主体として空調制御を行うことができる。例えば、上記A1の範囲では輻射は出力100%で対流の出力制御、上記B1の範囲では、対流出力をA1の範囲よりは緩く(小さい範囲で)制御しつつ、輻射も制御することができる。この動作によれば、輻射と対流を段階的に制御することができ、また、対流を抑えた空調制御をよりきめ細かく行うことができる。
【0062】
(第6動作例(暖房時))
図12に示す処理は所定の周期で繰り返し実行される。
図12に示す処理を開始すると、空調制御装置1は、まず、PMV値取得部12がセンサ部4の出力信号等に基づいてPMV値を算出して取得する(ステップS601)。次に、制御部11が、PMV値がH1閾値より小さいか否かを判断する(ステップS602)。H1閾値は、例えば
図10に示すように「-2.0」とすることができる。
【0063】
PMV値がH1閾値より小さい場合(ステップS602で「YES」の場合)、制御部11は、輻射式空調部2の出力を最大(100%)にするとともに、対流式空調部3の出力を最大(100%)にし(ステップS603)、
図12に示す処理を終了する。他方、PMV値がH1閾値以上の場合(ステップS602で「NO」の場合)、制御部11は、PMV値がH2閾値より小さいか否かを判断する(ステップS604)。H2閾値は、H1閾値より大きくH3閾値より小さい値であり、例えば
図10に示すように「-1.5」とすることができる。
【0064】
PMV値がH2閾値より小さい場合(ステップS604で「YES」の場合)、制御部11は、輻射式空調部2の出力を最大にするとともに、対流式空調部3の出力を、最大からHP1出力までの間で、PMV値が大きいほど小さくし(ステップS605)、
図12に示す処理を終了する。
図10に示す例では、制御部11は、輻射式空調部2の出力を、PMV値が-2.0~-1.5の範囲で最大とする。また、制御部11は、対流式空調部3の出力を、PMV値が-2.0~-1.5の範囲でHP1出力が最小値となるようにPMV値が大きいほど小さくする。
【0065】
PMV値がH2閾値以上の場合(ステップS604で「NO」の場合)、制御部11は、PMV値がH3閾値より小さいか否かを判断する(ステップS606)。PMV値がH3閾値より小さい場合(ステップS606で「YES」の場合)、制御部11は、輻射式空調部2の出力を、最大からHP2出力へ向けて、PMV値が大きいほど小さくし、対流式空調部3の出力を、HP1出力から最小までの間で、PMV値が大きいほど小さくし(ステップS607)、
図12に示す処理を終了する。
図10に示す例では、制御部11は、輻射式空調部2の出力を、-1.5~-0.5の範囲でPMV値が大きいほど小さくする。また、制御部11は、対流式空調部3の出力を、PMV値が-1.5~-0.5の範囲でPMV値が大きいほど小さくする。ここで、H3閾値(=-0.5)~H2閾値(=-1.5)の範囲では、輻射式空調部2のPMV値に対する出力変化率(傾きTLH2)の絶対値は、対流式空調部3のPMV値に対する出力変化率(傾きTLH3)の絶対値以上に設定されている。
【0066】
PMV値がH3閾値以上の場合(ステップS606で「NO」の場合)、制御部11は、PMV値がH4閾値より小さいか否かを判断する(ステップS608)。H4閾値は、例えば、H3閾値より大きく、「0」より小さい「0」に近い値とすることができる。PMV値がH4閾値より小さい場合(ステップS606で「YES」の場合)、制御部11は、輻射式空調部2の出力を、HP2出力まで、PMV値が大きいほど小さくし、対流式空調部3の出力を最小にし(ステップS609)、
図12に示す処理を終了する。
【0067】
PMV値がH4閾値以上の場合(ステップS608で「NO」の場合)、制御部11は、PMV値がH5閾値より小さいか否かを判断する(ステップS610)。H5閾値は、H4閾値より小さい値であり、例えば「0」とすることができる。PMV値がH5閾値より小さい場合(ステップS610で「YES」の場合)、制御部11は、輻射式空調部2の出力を、HP2出力一定にし、対流式空調部3の出力を最小にし(ステップS611)、
図12に示す処理を終了する。
【0068】
PMV値がH5閾値以上の場合(ステップS610で「NO」の場合)、制御部11は、PMV値がH6閾値より小さいか否かを判断する(ステップS612)。H6閾値は、H5閾値より大きい値であり、例えば「1.0」とすることができる。PMV値がH6閾値より小さい場合(ステップS612で「YES」の場合)、制御部11は、輻射式空調部2の出力を、HP2出力から最小までの間で、PMV値が大きいほど小さくし、対流式空調部3の出力を最小にし(ステップS613)、
図12に示す処理を終了する。他方、PMV値がH6閾値以上の場合(ステップS612で「NO」の場合)、制御部11は、輻射式空調部2の出力を最小にするとともに、対流式空調部3の出力を最小にし(ステップS614)、
図12に示す処理を終了する。
【0069】
図12に示す動作例によれば、
図10に示すように、輻射式空調部2の出力と対流式空調部3の出力を制御することができる。この動作によれば、輻射と対流を段階的に制御することができ、また、対流を抑えた空調制御をよりきめ細かく行うことができる。
【0070】
本実施形態によれば、例えばオフィス等の住居環境で、PMV値が目標値(「0」)になるように、対流式空調機と輻射パネル(輻射式空調機)を段階的に制御することができる。例えば暖房の場合を例にとると、
図10に示すように、それぞれの出力を以下の通り制御することができる。
【0071】
(1)PMVに閾値を複数(
図10の例では最大6つ)設定し、PMVの値に応じて各空調を段階的に制御することができる。
【0072】
(2)
図10でPMV値がH1閾値より小さい、例えば絶対値が2より大きい場合(温熱に関して不快に感じる人が80%以上となる場合)、対流、輻射の運転出力はともに100%とすることができる。
【0073】
(3)PMV値がH1閾値とH2閾値の間、例えば絶対値が1.5より大きく、2.0以下の場合(温熱に関して不快に感じる人が50~80%)、輻射の出力は100%とし、PMV値の絶対値が大きいほど対流の出力を高くし、絶対値が小さいほど対流の出力を小さくする(対流のみ出力を変化させる)ことができる。ここで、PMV-1.5程度で温熱に関する不快割合が50%以下となることから、気流による不快指数への影響を考慮するために閾値を設け、この閾値までに空調出力を大きく下げる(例えばPMV-1.5の時、対流出力30%)ことができる。
【0074】
(4)PMV値がH2閾値とH3閾値の間、例えば絶対値が0.5より大きく、1.5以下の場合(温熱に関して不快に感じる人が10~50%)、対流、輻射の2つの出力を制御し温度管理を行う。ただし、対流出力は気流による不快指数を考慮し例えば30%以下の範囲で小さい変化量で制御することが望ましい。
【0075】
(5)PMV値がH3閾値以上、例えば絶対値が0.5以下の場合、対流の運転を停止もしくは送風運転とし、輻射の出力制御による温度管理を行うことができる。
【0076】
(6)PMV値がH4閾値以上、例えば0近傍では、快適な環境であると判断し、現状維持をするために輻射の出力を一定とすることができる。
【0077】
(作用・効果)
本実施形態によれば、PMVの値に応じて段階的に対流と輻射を制御することでより、快適な環境を作り出すことができる。また、対流と輻射を併用する領域を持たせることでPMV値の変化に対する応答性を高めることができる。
【0078】
<第2実施形態>
(空調制御装置の構成)
以下、本開示の第2実施形態に係る空調制御装置、空調システムおよび空調制御方法について、
図13~
図20を参照して説明する。
図13は、本開示の第2実施形態に係る空調制御装置の構成例を示すブロック図である。
図14は、
図13に示す個人向輻射式空調部21および22と個人向加湿器51および52と個人向除湿器53および54の構成例を示す模式図である。
図15は、
図13に示す空調制御装置1aの動作例を説明するための模式図である。
図16~
図20は、
図13に示す空調制御装置1aの動作例を説明するための模式図である。なお、各図において同一または対応する構成には同一の符号を用いて説明を適宜省略する。
【0079】
第2実施形態では、目標となるPMVの値を個人毎に変えて制御する。装置構成として、第1実施例に加え個人エリア毎(たとえば
図14に示す机T1、T2毎)に個人向け空調デバイスを設置し、個人の嗜好に合わせて制御を行うことで個人毎に快適な環境をつくりだす。部屋(空間200)全体の空調(対流・輻射)に加えて、個人エリア別に個人向けデバイス(各机の輻射パネル211および212、個人向加湿器51および52ならびに個人向除湿器53および54)で環境条件を調整する。部屋(空間200)全体の空調(対流・輻射)は、第1実施形態と同様にして行う。すなわち、第2実施形態では、第1実施形態による部屋(空間200)全体の空調(対流・輻射)を行うとともに、個人エリア毎の空調(輻射・加湿や除湿)を行う。
【0080】
図13に示すように、第2実施形態の空調制御装置1a(
図1に示す空調制御装置1に対応)は、制御部11a(
図1に示す制御部11に対応)が、輻射式空調部2の出力と対流式空調部3の出力を制御するとともに、個人向輻射式空調部21および22の各出力と、個人向加湿器51および52の各出力(出力蒸気量)と、個人向除湿器53および54の各出力(除湿量)を、個人P1およびP2毎に制御する。
図14に示すように、個人向輻射式空調部21は、輻射パネル211とポンプ212を備える。また、個人向輻射式空調部22は、輻射パネル221とポンプ222を備える。個人向輻射式空調部21の出力と個人向輻射式空調部22の出力は、例えば、ポンプ212とポンプ222の回転数を制御することで制御される。個人向加湿器51および52には図示していない蒸気あるいは水と電力が供給され、図示していない可変バルブを制御したり、加熱用の電力を制御したりすることで、個人向加湿器51の出力と個人向加湿器52の出力を制御することができる。個人向除湿器53および54は、例えば、デシカント方式、コンプレッサ方式、ハイブリッド方式等による除湿器であり、加熱用の電力やコンプレッサの回転数を制御することで、個人向除湿器53の出力と個人向除湿器54の出力を制御することができる。なお、空調システム100aが、
図1に示す空調システム100に対応し、空調制御装置1aと輻射式空調部2と対流式空調部3と個人向輻射式空調部21および22と個人向加湿器51および52と個人向除湿器53および54とを備える。ただし、個人向加湿器51および52と、個人向除湿器53および54は、一方を省略してもよい。
【0081】
その際、第2実施形態では、個人別の制御として、各自の嗜好(個人温度嗜好)を考慮し補正したPMV(以下、補正PMV)を用いる。補正の具体的方法として、個人嗜好(暑がり・寒がり)を多段階で自己申告し(
図15)、PMV値に補正定数を加える(補正PMV値=PMV値+補正定数)。例えば、すごく寒がりで補正定数を「-1」とし、すごく暑がりで補正定数を「+1」とする。補正定数は、個人嗜好に合わせて-1から-0.1あるいは+1~+0.1の範囲で多段階に設定する。
【0082】
(空調制御装置の動作(冷房時))
そして、冷房時において、個人向輻射式空調部21および22の各出力と、個人向加湿器51および52の各出力の制御は、例えば、
図16と
図17に示すように、多段階に行う。
図16は、横軸に補正PMV値、縦軸に個人向輻射式空調部出力(%)と個人向加湿器出力(%)をとり、冷房運転の場合の補正PMV値と各出力との関係を示す。
図17は、
図16に示すC11~C14閾値と各出力との関係を一覧にして示す。本実施形態において、制御部11aは、補正PMV値に基づいて個人向輻射式空調部と個人向加湿器を冷房運転の場合に以下のように制御する。なお、各閾値の関係は、C11閾値>C12閾値>C13閾値>C14閾値である。
【0083】
制御部11aは、補正PMV値が、C11閾値(=0.5)以上の場合、個人向輻射式空調部(例えば個人向輻射式空調部21)を最大出力にするとともに、個人向加湿器(例えば個人向加湿器51)を停止する。
【0084】
また、制御部11aは、補正PMV値が、C11閾値(=0.5)未満かつC12閾値(「+0」:0より大きい0近傍の値)以上の場合、個人向輻射式空調部(例えば個人向輻射式空調部21)を補正PMV値が大きいほど出力を大きくするとともに、個人向加湿器(例えば個人向加湿器51)を補正PMV値が大きいほど出力を小さくする。
【0085】
また、制御部11aは、補正PMV値が、C12閾値(「+0」)未満かつC13閾値(「-0」:0より小さい0近傍の値)以上の場合、個人向輻射式空調部(例えば個人向輻射式空調部21)を一定出力(CP11出力)に維持するとともに、個人向加湿器(例えば個人向加湿器51)を一定出力(CP12出力)に維持する。
【0086】
また、制御部11aは、補正PMV値が、C13閾値(「-0」)未満かつC14閾値(=-0.5)以上の場合、個人向輻射式空調部(例えば個人向輻射式空調部21)を補正PMV値が大きいほど出力を大きくするとともに、個人向加湿器(例えば個人向加湿器51)を補正PMV値が大きいほど出力を小さくする。
【0087】
また、制御部11aは、補正PMV値が、C14閾値(=-0.5)未満の場合、個人向輻射式空調部(例えば個人向輻射式空調部21)を停止するとともに、個人向加湿器(例えば個人向加湿器51)を最大出力にする。
【0088】
なお、湿度が一定値以下の場合は、湿度を保つため加湿器の運転を優先させてもよい。
【0089】
以上の動作では、補正PMVがC11閾値より大きい、例えば0.5より大きい場合に個人デスクの輻射パネルの出力は100%とする。また、補正PMVがC11閾値以下、例えば0.5以下の場合は、出力可変とする。また、補正PMVがC12閾値以下、例えば0近傍では、現状維持をするために輻射パネルの出力を一定とする。また、補正PMVがC11閾値より大きい、例えば0.5より大きい場合に加湿器を止めるが、湿度の閾値以下であれば、湿度管理を優先させて加湿器の出力を上げる事でPMV値を正の方向に動かすように制御することができる。
【0090】
(空調制御装置の動作(暖房時))
また、暖房時において、個人向輻射式空調部21および22の各出力と、個人向除湿器53および54の各出力の制御は、例えば、
図18と
図19に示すように、多段階に行う。
図18は、横軸に補正PMV値、縦軸に個人向輻射式空調部出力(%)と個人向除湿器出力(%)をとり、暖房運転の場合の補正PMV値と各出力との関係を示す。
図19は、
図18に示すH11~H14閾値と各出力との関係を一覧にして示す。本実施形態において、制御部11aは、補正PMV値に基づいて個人向輻射式空調部と個人向除湿器を暖房運転の場合に以下のように制御する。なお、各閾値の関係は、H11閾値>H12閾値>H13閾値>H14閾値である。
【0091】
制御部11aは、補正PMV値が、H11閾値(=0.5)以上の場合、個人向輻射式空調部(例えば個人向輻射式空調部21)を停止するとともに、個人向除湿器(例えば個人向除湿器53)を最大出力にする。
【0092】
また、制御部11aは、補正PMV値が、H11閾値(=0.5)未満かつH12閾値(「+0」:0より大きい0近傍の値)以上の場合、個人向輻射式空調部(例えば個人向輻射式空調部21)を補正PMV値が小さいほど出力を大きくするとともに、個人向除湿器(例えば個人向除湿器53)を補正PMV値が小さいほど出力を小さくする。
【0093】
また、制御部11aは、補正PMV値が、H12閾値(「+0」)未満かつH13閾値(「-0」:0より小さい0近傍の値)以上の場合、個人向輻射式空調部(例えば個人向輻射式空調部21)を一定出力(HP11出力)に維持するとともに、個人向除湿器(例えば個人向除湿器53)を一定出力(HP12出力)に維持する。
【0094】
また、制御部11aは、補正PMV値が、H13閾値(「-0」)未満かつH14閾値(=-0.5)以上の場合、個人向輻射式空調部(例えば個人向輻射式空調部21)を補正PMV値が小さいほど出力を大きくするとともに、個人向除湿器(例えば個人向除湿器53)を補正PMV値が小さいほど出力を小さくする。
【0095】
また、制御部11aは、補正PMV値が、H14閾値(=-0.5)未満の場合、個人向輻射式空調部(例えば個人向輻射式空調部21)を最大出力にするとともに、個人向除湿器(例えば個人向除湿器53)を停止する。
【0096】
なお、湿度が一定値以上の場合は、湿度を保つため除湿器の運転を優先させてもよい。
【0097】
以上の動作では、補正PMVがH14閾値より小さい、例えば-0.5より小さい場合に個人デスクの輻射パネルの出力は100%とする。また、補正PMVがH14閾値以上、例えば-0.5以上の場合は、出力可変とする。また、補正PMVがH13閾値以上、例えば0近傍では、現状維持をするために輻射パネルの出力を一定とする。また、補正PMVがH14閾値より小さい、例えば-0.5より小さい場合に除湿器を止めるが、湿度の閾値以上であれば、湿度管理を優先させて除湿器の出力を上げる事でPMV値を負の方向に動かすように制御することができる。
【0098】
さらに、暖房時においては、個人向輻射式空調部21および22の各出力の制御と、個人向加湿器51および52の各出力の制御を組み合わせて行ってもよい。この場合、個人向輻射式空調部21および22の各出力と、個人向加湿器51および52の各出力の制御は、例えば、
図18に実線で示す個人向輻射式空調部21および22の各出力の制御と
図16に破線で示す個人向加湿器51および52の各出力の制御とを組み合わせたものとすることができる。
図20は、H11閾値、H12閾値、H13閾値およびH14閾値が、C11閾値、C12閾値、C13閾値およびC14閾値とそれぞれ同一であるとした場合の、
図16および
図18に示す各閾値と各出力との関係を一覧にして示す。
【0099】
この場合、制御部11aは、補正PMV値が、H11閾値(=0.5)以上の場合、個人向輻射式空調部(例えば個人向輻射式空調部21)を停止するとともに、個人向加湿器(例えば個人向加湿器51)を停止する。
【0100】
また、制御部11aは、補正PMV値が、H11閾値(=0.5)未満かつH12閾値(「+0」)以上の場合、個人向輻射式空調部(例えば個人向輻射式空調部21)を補正PMV値が小さいほど出力を大きくするとともに、個人向加湿器(例えば個人向加湿器51)を補正PMV値が小さいほど出力を大きくする。
【0101】
また、制御部11aは、補正PMV値が、H12閾値(「+0」)未満かつH13閾値(「-0」)以上の場合、個人向輻射式空調部(例えば個人向輻射式空調部21)を一定出力(HP11出力)に維持するとともに、個人向加湿器(例えば個人向加湿器51)を一定出力(CP12出力)に維持する。
【0102】
また、制御部11aは、補正PMV値が、H13閾値(「-0」)未満かつH14閾値(=-0.5)以上の場合、個人向輻射式空調部(例えば個人向輻射式空調部21)を補正PMV値が小さいほど出力を大きくするとともに、個人向加湿器(例えば個人向加湿器51)を補正PMV値が小さいほど出力を大きくする。
【0103】
また、制御部11aは、補正PMV値が、H14閾値(=-0.5)未満の場合、個人向輻射式空調部(例えば個人向輻射式空調部21)を最大出力にするとともに、個人向加湿器(例えば個人向加湿器51)を最大出力にする。
【0104】
(作用・効果)
本実施形態によれば、個人向けデバイスの併用で、個人の嗜好に応じて快適な環境を作り出せる。
【0105】
<第3実施形態>
以下、本開示の第3実施形態に係る空調制御装置、空調システムおよび空調制御方法について、
図21を参照して説明する。第3実施形態は、第1実施形態または第2実施形態と基本的な構成と動作は同一であり以下の点が異なる。
図21は、本開示の第3実施形態を説明するための模式図である。本実施形態では、目標となるPMVの値をその他のパラメータ(例えば照度と色温度)により補正する。照度は高いほど体感温度は高くなり、低いほど体感温度は低くなる。色温度は高いほど体感温度は低く、低いほど体感温度は高くなる。そこで、本実施形態では、
図21に示すように、照度が「低」、色温度が「高」の場合に補正定数を「-0.2」とし、照度が「低」、色温度が「低」の場合に補正定数を「0」とし、照度が「高」、色温度が「高」の場合に補正定数を「0」とし、照度が「高」、色温度が「低」の場合に補正定数を「0.2」とし、第1実施形態のPMV値を補正したり、第2実施形態の補正PMV値を補正したりする。なお、補正定数の値に限定はなく、例えば実証実験の結果等に基づいてに設定することができる。ここで例に挙げた「0.2」および「-0.2」は温熱に関して不快に感じる人が80%以上となるPMV値の「2.0」および「-2.0」の1割の値であり、制御精度上、有意性を確保することができる値の一例である。
【0106】
本実施形態によれば、PMVに含まれないパラメータをPMVの補正に用いることで、さらに多くの条件を考慮して快適な環境を作り出せる。
【0107】
<第4実施形態>
以下、本開示の第4実施形態に係る空調制御装置、空調システムおよび空調制御方法について説明する。第4実施形態は、第1実施形態、第2実施形態または第3実施形態と基本的な構成と動作は同一であり以下の点が異なる。本実施形態では、紫外線殺菌装置を構成に加える。紫外線殺菌装置は、例えば、対流式空調部3の吹き出し口(吸気口)、個人向加湿器51および52の吹き出し口、机T1、T2上等に設置する。また、本実施形態では、ウィルス感染リスクを優先した湿度管理を実施する。紫外線殺菌装置の運転は、ウィルス感染リスクおよび室内の快適性を考慮し例えばユーザーでON/OFFを切り替えられるものとする。ウィルス感染リスクを低減させるため、個人向加湿器51および52の運転出力の制御には湿度の閾値H15を設ける。閾値H15の設定には、ウィルスの生存率と湿度の関係を用いる。例として、インフルエンザウィルスは湿度80%以上の空間では6時間後の生存率は0%となるが、湿度20%では生存率は60%であり、湿度が低い場合ウィルス感染リスクが高まる。そのため、例えば閾値H15を80%とし、
図24に示すように、湿度が80%以下の場合は個人向加湿器51および52の運転出力を100%(最大出力)とし、湿度が80%より大きい場合は第2実施形態の運転出力(
図17または
図20)とする(紫外線照射OFFの場合)。
図24は、第3実施形態の動作例を説明するための模式図である。閾値H15を、ウィルス感染リスクを低減させることを優先する例えば80%程度の値とした場合PMVの値は高くなり不快な環境となることが想定される。そこで、本実施形態では、紫外線殺菌装置によるウィルス除去を実施することで、紫外線殺菌装置がONとされている場合には閾値H15に基づく個人向加湿器51および52の運転出力制御を行わずに、第2実施形態の運転出力制御を実施する。ただし、紫外線による人体への健康被害を考慮し、人の有無によって制御の内容を異ならせている。すなわち、例えば赤外線カメラにより、対象空間内の人の有無を検知し、人がいる場合は、紫外線殺菌装置は対流式空調部3の吹き出し口ならびに個人向加湿器51および52の吹き出し口に紫外線を照射し、細菌・ウィルスの殺菌を行う。人がいない場合は、前述の対流式空調部3の吹き出し口ならびに個人向加湿器51および52の吹き出し口に加え、机上への照射を行う。また、人がいる場合の紫外線殺菌装置の紫外線強度は、紫外線による人体への健康被害を考慮し、第1実施形態で制御された対流式空調部3ならびに個人向加湿器51および52の流速に応じて、下式を用いて紫外線の照射強度を制御する。下式で評価した照射強度で紫外線を照射した場合、室内のウィルスの生存率は1%以下となりウィルス感染リスクは低下する。そのため、紫外線照射ONの場合、紫外線照射時の個人向加湿器51および52の運転出力は、第2実施形態(
図17または
図20)と同様とする。
【0108】
【0109】
第4実施形態によれば、ウィルス感染リスクを低減させることを優先した個人向加湿器51および52の出力制御や、紫外線殺菌装置による紫外線照射と個人向加湿器51および52の出力制御等との組み合わせによって、第2実施形態等と比較して、快適性の低下を抑制したり、快適性を維持したりすると共に、ウィルス感染リスクを低減することができる。また、紫外線強度を風速等に応じて変化させることで紫外線殺菌装置を適切かつ効率的に運転することができる。
【0110】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、各実施形態は、冷房時と暖房時のいずれか一方のみに対応するようにしてもよい。
【0111】
〈コンピュータ構成〉
図25は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ90は、プロセッサ91、メインメモリ92、ストレージ93、インタフェース94を備える。
上述の空調制御装置1および1aは、コンピュータ90に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ93に記憶されている。プロセッサ91は、プログラムをストレージ93から読み出してメインメモリ92に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ91は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ92に確保する。
【0112】
プログラムは、コンピュータ90に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージに既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、コンピュータは、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサによって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0113】
ストレージ93の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ93は、コンピュータ90のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース94または通信回線を介してコンピュータ90に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ90に配信される場合、配信を受けたコンピュータ90が当該プログラムをメインメモリ92に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ93は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0114】
<付記>
各実施形態に記載の空調制御装置1および1aは、例えば以下のように把握される。
【0115】
(1)第1の態様に係る空調制御装置1および1aは、同一空間200に対する輻射式空調部2と対流式空調部3を制御する装置であって、PMV値を取得するPMV値取得部12と、冷房運転の場合と暖房運転の場合の少なくとも一方に対応するものであって、冷房運転の場合、前記PMV値が第1冷房閾値(C1閾値)より大きい場合に、前記輻射式空調部2の出力を最大に制御するとともに、前記対流式空調部3の出力を最大に制御し、前記PMV値が前記C1閾値以下かつ前記C1閾値より小さい第3冷房閾値(C3閾値)より大きい場合に、前記輻射式空調部2の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部3の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御し、前記PMV値が前記C3閾値以下である場合に、前記輻射式空調部2の出力を、少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を最小に制御し、暖房運転の場合、前記PMV値が第1暖房閾値(H1閾値)より小さい場合に、前記輻射式空調部の出力を最大に制御するとともに、前記対流式空調部の出力を最大に制御し、前記PMV値が前記H1閾値以上かつ前記H1閾値より大きい第3暖房閾値(H3閾値)より小さい場合に、前記輻射式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御し、前記PMV値が前記H3閾値以上である場合に、前記輻射式空調部の出力を、少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を最小に制御する制御部11および11aとを備える。
【0116】
本態様および以下の態様では、対流式空調と輻射式空調を段階的に組み合わせて制御することができる。
【0117】
(2)第2の態様に係る空調制御装置1および1aは、(1)の空調制御装置1および1aであって、前記制御部11および11aは、前記冷房運転の場合、前記PMV値が、前記C1閾値以下かつ、前記C1閾値より小さく前記C3閾値より大きい第2冷房閾値(C2閾値)より大きい場合に、前記対流式空調部の前記PMV値に対する出力変化率が前記輻射式空調部の前記PMV値に対する出力変化率以上となるようにして、前記輻射式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御し、前記PMV値が、前記C2閾値以下かつ、前記C3閾値より大きい場合に、前記輻射式空調部の前記PMV値に対する出力変化率が前記対流式空調部の前記PMV値に対する出力変化率以上となるようにして、前記輻射式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が小さいほど小さく制御し、前記暖房運転の場合、前記PMV値が、前記H1閾値以上かつ、前記H1閾値より大きく前記H3閾値より小さい第2暖房閾値(H2閾値)より小さい場合に、前記対流式空調部の前記PMV値に対する出力変化率の絶対値が前記輻射式空調部の前記PMV値に対する出力変化率の絶対値以上となるようにして、前記輻射式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御し、前記PMV値が、前記H2閾値以上かつ、前記H3閾値より小さい場合に、前記輻射式空調部の前記PMV値に対する出力変化率の絶対値が前記対流式空調部の前記PMV値に対する出力変化率の絶対値以上となるようにして、前記輻射式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御するとともに、前記対流式空調部の出力を少なくとも所定の前記PMV値の範囲で前記PMV値が大きいほど小さく制御する。
【0118】
(3)第3の態様に係る空調制御装置1aは、(1)または(2)の空調制御装置1および1aであって、前記制御部11aは、個人向輻射式空調部をさらに制御するものであり、前記PMV値を個人温度嗜好に基づき補正した補正PMV値に基づき前記個人向輻射式空調部の出力を制御する。
【0119】
(4)第4の態様に係る空調制御装置1aは、(1)から(3)の空調制御装置1および1aであって、前記制御部11aは、個人向輻射式空調部と個人向加湿器をさらに制御するものであり、前記PMV値を個人温度嗜好に基づき補正した補正PMV値に基づき前記個人向輻射式空調部の出力と前記個人向加湿器の出力を制御する。
【0120】
(5)第5の態様に係る空調制御装置1aは、(1)から(3)の空調制御装置1および1aであって、前記制御部11aは、個人向輻射式空調部と個人向除湿器をさらに制御するものであり、前記PMV値を個人温度嗜好に基づき補正した補正PMV値に基づき前記個人向輻射式空調部の出力と前記個人向除湿器の出力を制御する。
【0121】
(6)第6の態様に係る空調制御装置1および1aは、(1)~(5)の空調制御装置1および1aであって、前記制御部11および11aは、前記PMV値を色温度に基づいて補正して前記各出力を制御する。
【符号の説明】
【0122】
100、100a…空調システム
1、1a…空調制御装置
2…輻射式空調部
3…対流式空調部
11、11a…制御部
12…PMV値取得部
21、22…個人向輻射式空調部
51、52…個人向加湿器
53、54…個人向除湿器