(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】印字ユニット及びサーマルプリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 11/14 20060101AFI20240705BHJP
B41J 2/32 20060101ALI20240705BHJP
B41J 11/04 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
B41J11/14
B41J2/32 C
B41J2/32 Z
B41J11/04
(21)【出願番号】P 2020126199
(22)【出願日】2020-07-27
【審査請求日】2023-05-08
(31)【優先権主張番号】P 2019217702
(32)【優先日】2019-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020056786
(32)【優先日】2020-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142837
【氏名又は名称】内野 則彰
(74)【代理人】
【識別番号】100166305
【氏名又は名称】谷川 徹
(72)【発明者】
【氏名】吉川 史高
【審査官】正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-047616(JP,A)
【文献】特開2019-025888(JP,A)
【文献】特開2019-171581(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 11/14
B41J 2/32
B41J 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録紙に印字を行うサーマルヘッドを有するヘッドユニットと、
前記記録紙を紙送りするプラテンローラ、及び前記プラテンローラの両端部をそれぞれ回転可能に軸支する一対のプラテン軸受を有し、前記ヘッドユニットに対して分離可能に組み合わされるプラテンユニットと、
前記ヘッドユニットに対して前記プラテンユニットをロックするロック位置と、前記ヘッドユニットに対する前記プラテンユニットのロックを解除するロック解除位置との間で回転軸線回りに移動可能な操作レバーと、
前記プラテンローラと平行な揺動軸線回りに揺動可能なロックアームを有し、前記プラテンローラをロックするロック状態と、該ロックを解除するロック解除状態とを切り換えるプラテンロック機構と、
前記ロック状態を維持するように、前記ロックアームを前記揺動軸線回りに付勢する付勢部材と、を備え、
前記ヘッドユニットには、開放口を通じて一対の前記プラテン軸受を内部に嵌め込み可能とされ、且つ前記操作レバーが前記ロック位置に位置しているときに、前記プラテン軸受を溝底部に接した状態で収容する一対の収容溝が形成され、
前記ロックアームは、前記操作レバーが前記ロック位置に位置しているときに、前記収容溝内に収容された一対の前記プラテン軸受の少なくとも一方を前記開放口側から押さえ、且つ前記操作レバーが前記ロック位置から前記ロック解除位置側に向けて移動することに伴って、前記揺動軸線回りを揺動して、前記開放口を通じた前記収容溝内からの前記プラテン軸受の離脱を許容可能とし、
前記ロックアームには、前記操作レバーが前記ロック位置から前記ロック解除位置に向けて移動することに伴って、前記プラテン軸受を前記溝底部から前記開放口側に向けて押上げる押上げアームが形成され、
前記ロックアームは、前記操作レバーが前記ロック位置から前記ロック解除位置側に向けて移動することに伴って、前記プラテンユニット側から前記ヘッドユニット側に向けて前記揺動軸線回りを揺動して、前記開放口を通じた前記収容溝内からの前記プラテン軸受の離脱を許容可能とし、
前記付勢部材は、前記プラテンユニット側に向けて前記ロックアームを付勢していることを特徴とする印字ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の印字ユニットにおいて、
前記押上げアームは、前記操作レバーが前記ロック位置に位置しているときに、前記プラテン軸受に対して非接触とされている、印字ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の印字ユニットにおいて、
前記収容溝の内側面には、前記開放口側から前記溝底部側に向かうにしたがって開口幅を狭まるように形成され、前記プラテン軸受を前記溝底部に向けて案内する傾斜した案内突起が形成され、
前記押上げアームは、前記案内突起の頂点部よりも、前記開放口側に前記プラテンローラのローラ中心が移動するように前記プラテン軸受を押上げる、印字ユニット。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の印字ユニットにおいて、
前記ロックアームは、前記プラテンローラを挟んだ両側に配置され、一対の前記プラテン軸受に対応して一対設けられ、
前記プラテンロック機構は、前記揺動軸線に沿って延びると共に一対の前記ロックアーム同士を連結する連結軸部を備えている、印字ユニット。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の印字ユニットにおいて、
前記ヘッドユニット及び前記プラテンユニットのうちの一方に設けられた固定刃と、
前記ヘッドユニット及び前記プラテンユニットのうちの他方に設けられ、前記固定刃に対して相対移動可能な可動刃と、
前記可動刃に連結された駆動ラックを有し、前記可動刃を、前記固定刃から離れた待機位置と、前記固定刃に乗り上げた切断位置との間で移動させる駆動機構と、を備えている、印字ユニット。
【請求項6】
請求項5に記載の印字ユニットにおいて、
前記可動刃が前記切断位置で停止している状態において、前記ロック位置から前記ロック解除位置に向けた前記操作レバーの操作に伴う操作力を利用して、前記プラテンロック機構が前記プラテンローラを前記ロック解除状態に切り換える前に、前記可動刃を前記切断位置から前記待機位置に移動させる戻し機構と、を備えている、印字ユニット。
【請求項7】
請求項6に記載の印字ユニットにおいて、
前記戻し機構は、
前記駆動ラックに形成された戻しラックと、
前記戻しラックのラック歯に噛み合う戻しピニオンと、
前記操作レバーの前記回転軸線と同軸上に配置された状態で、前記回転軸線回りに回転可能に支持された戻しギア及びサンギアと、
前記サンギアに噛み合うと共に、前記操作レバーの移動に伴って公転するプラネタリギアと、
前記プラネタリギアが噛み合うインターナルギアと、備え、
前記戻しギアは、前記戻しピニオンと噛み合い可能とされている、印字ユニット。
【請求項8】
請求項7に記載の印字ユニットにおいて、
前記ラック歯は、前記可動刃が前記切断位置に位置したときに前記戻しピニオンに対して噛み合い、且つ前記可動刃が前記待機位置に位置したときに前記戻しピニオンに対する噛み合いが解除されるように、前記可動刃における刃先の反対側に形成されている、印字ユニット。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の印字ユニットにおいて、
前記ロックアームは、前記ロック状態で前記開放口を通じた前記収容溝内からの前記プラテン軸受の離脱を防止する直線状の離脱防止面を有し、
前記ロックアームの回転中心から前記プラテン軸受の中心を通る線と前記離脱防止面とは、垂直に交わっている、印字ユニット
【請求項10】
請求項1から8のいずれか1項に記載の印字ユニットにおいて、
前記プラテン軸受が前記収容溝内に保持されるのを補助するプラテン支持ばねを備え、
前記プラテン支持ばねは、前記操作レバーが前記ロック位置から前記ロック解除位置側に向けて移動することに伴って、前記押上げアームが前記プラテン軸受を押上げる前に、前記プラテン軸受の保持を解除する方向に移動し、前記開放口を通じた前記収容溝内からの前記プラテン軸受の離脱を許容可能とする、印字ユニット。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の印字ユニットと、
前記記録紙を収容する記録紙収納部を有すると共に、前記ヘッドユニット及び前記プラテンユニットのうちの一方のユニットが取り付けられたプリンタ本体と、
前記プリンタ本体に対して回動可能に連結され、前記ヘッドユニット及び前記プラテンユニットのうちの他方が取り付けられたプリンタカバーと、を備えていることを特徴とす
るサーマルプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印字ユニット及びサーマルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
サーマルプリンタとして、サーマルヘッドとプラテンローラとが分離可能に組み合わされたものが知られている。
例えば、ロール紙を収納する筐体側にサーマルヘッドを有するヘッドユニットが設けられ、筐体に対して開閉操作可能に連結されたプリンタカバー側にプラテンローラを有するプラテンユニットが設けられたサーマルプリンタが知られている。このサーマルプリンタによれば、プリンタカバーの開閉操作に伴って、サーマルヘッドとプラテンローラとを分離可能に組み合わせることが可能とされている。
【0003】
通常、この種のサーマルプリンタは、サーマルヘッドとプラテンローラとを組み合わせた際、両者が意図しないタイミングで分離することを防止するために、プラテンローラを保持するロック機構を具備している場合が多い。
ロック機構としては、例えば、ばね部材を利用してプラテン軸の両端部に設けられた軸受を押さえ付けるものが知られている。ばね部材は、筐体側のヘッドユニットに設けられ、軸受溝内に軸受が嵌め込まれた際に、自身の弾性復元力(ばね力)を利用して軸受を押さえ付ける。これにより、軸受溝に対して軸受を一定の押圧力で押し付けることができ、プラテンローラをロック(保持)することが可能とされている。
【0004】
しかしながら、ばね部材を利用してプラテンローラをロックする方式の場合、軸受をばね部材で押さえ付けているだけであるので、プラテンローラのロックが不十分になり易い。そのため、例えばプラテンローラに外力が作用したときに、軸受溝内から抜け出る方向に軸受が動いてしまうおそれがあった。
そのため、軸受に一体に設けられた従動ギアと、プラテンローラを駆動するための輪列との噛み合いが不十分になり、いわゆる歯飛びと呼ばれる不都合や、噛み合い自体が解除されてしまう不都合が生じる可能性があった。さらには、軸受溝内から軸受が抜けてしまい、ヘッドユニットとプラテンユニットとが分離する可能性もあった。特に、プリンタカバーにプラテンユニットが設けられている場合には、プラテンカバーを介してプラテンローラに外力が作用し易いので、上述した不都合が生じ易い。
【0005】
上述した不都合に対する対策として、例えばばね部材のばね力を大きくすることが考えられる。ところが、この場合には、ヘッドユニットとプラテンユニットとを分離させる際に、軸受溝内から軸受が抜け難くなってしまうので、プラテンローラの開放に大きな力が必要となってしまう。そのため、操作性の低下を招いてしまうものであった。
【0006】
そこで、ばね部材に代えて、ロックアームを利用してプラテンローラをロックする、ロックアーム方式を採用したサーマルプリンタが知られている。
例えば、下記特許文献1に示されるように、サーマルヘッドをプラテンローラに対して圧接させるためのヘッド加圧ばねのばね力を利用して、ロックアームを介して軸受を軸受溝に対して押し付けることで、プラテンローラをロックするサーマルプリンタが知られている。このサーマルプリンタによれば、ばね部材とは異なり、ロックアームを利用するので、軸受溝内から軸受が抜け出るように動いてしまうことを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ロックアーム方式の場合であっても、ヘッド加圧ばねのばね力を利用してロックアームを軸受に対して押し付けるので、プラテンローラの開放に必要な力がヘッド加圧ばねのばね力に依存するうえ、必要以上に大きな力になり易い。そのため、同様に操作性の低下を招き易く、改善の余地があった。
【0009】
さらに、この種のロックアームは、通常プラテンユニット側から軸受をロックするように構成されているため、ロックを解除する場合には、ロックアームがサーマルヘッド側から離間するようにプラテンユニット側に向けて移動してしまう。従って、ロックアームの可動ストローク量を考慮して、可動スペースを確保する必要があるので、プラテンユニットを大きく設計する必要がある。
一般的にプラテンユニットは、ヘッドユニットに比べて構成部品が少ないため、その分小型化、薄型化を図って、コンパクトに設計することが望まれるが、上述のようにロックアームの可動スペースを確保する必要があるのでコンパクトに設計することが難しい。そのため、可動スペースの確保が結果的にプリンタ全体のサイズに影響を与えてしまい、設計の制約となってしまっていた。
【0010】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、プラテンローラを確実にロックすることができるうえ、僅かな操作力でスムーズにロックを解除することができ、さらに外形サイズのコンパクト化を図ることができる印字ユニット及びサーマルヘッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明に係る印字ユニットは、記録紙に印字を行うサーマルヘッドを有するヘッドユニットと、前記記録紙を紙送りするプラテンローラ、及び前記プラテンローラの両端部をそれぞれ回転可能に軸支する一対のプラテン軸受を有し、前記ヘッドユニットに対して分離可能に組み合わされるプラテンユニットと、前記ヘッドユニットに対して前記プラテンユニットをロックするロック位置と、前記ヘッドユニットに対する前記プラテンユニットのロックを解除するロック解除位置との間で回転軸線回りに移動可能な操作レバーと、前記プラテンローラと平行な揺動軸線回りに揺動可能なロックアームを有し、前記プラテンローラをロックするロック状態と、該ロックを解除するロック解除状態とを切り換えるプラテンロック機構と、前記ロック状態を維持するように、前記ロックアームを前記揺動軸線回りに付勢する付勢部材と、を備え、前記ヘッドユニットには、開放口を通じて一対の前記プラテン軸受を内部に嵌め込み可能とされ、且つ前記操作レバーが前記ロック位置に位置しているときに、前記プラテン軸受を溝底部に接した状態で収容する一対の収容溝が形成され、前記ロックアームは、前記操作レバーが前記ロック位置に位置しているときに、前記収容溝内に収容された一対の前記プラテン軸受の少なくとも一方を前記開放口側から押さえ、且つ前記操作レバーが前記ロック位置から前記ロック解除位置側に向けて移動することに伴って、前記揺動軸線回りを揺動して、前記開放口を通じた前記収容溝内からの前記プラテン軸受の離脱を許容可能とし、前記ロックアームには、前記操作レバーが前記ロック位置から前記ロック解除位置に向けて移動することに伴って、前記プラテン軸受を前記溝底部から前記開放口側に向けて押上げる押上げアームが形成され、前記付勢部材は、前記プラテンユニット側に向けて前記ロックアームを付勢していることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る印字ユニットによれば、ヘッドユニットに対してプラテンユニットが組み合わされ、操作レバーがロック位置に位置している場合、一対のプラテン軸受が一対の収容溝内に収容されている。そして、プラテンロック機構のロックアームが少なくとも一方のプラテン軸受を収容溝の開放口側から押さえている。これにより、ロックアームを利用して、収容溝内からプラテン軸受が抜け出てしまうことを防止することができ、プラテンローラをロック状態に維持することができる。しかも、ロックアームは、ロック状態を維持するように付勢部材によって付勢されているので、意図せずに揺動軸線回りに揺動してロック状態が解除されてしまうことを防止できる。
このように、ロックアームを利用して収容溝内からのプラテン軸受の離脱を防止できるので、プラテンローラを確実にロックすることができる。
【0013】
ヘッドユニットに対してプラテンユニットを分離させる場合には、操作レバーをロック位置からロック解除位置に向けて操作する。これにより、ロックアームを付勢部材の付勢力に抗して揺動軸線回りに揺動させることができる。そのため、ロックアームをプラテン軸受から離間させることができ、収容溝内からのプラテン軸受の離脱を許容させることができる。さらに、ロックアームの動きに連動させて、押上げアームを利用してプラテン軸受を溝底部から開放口側に向けて押上げることができる。これにより、プラテンローラをロック解除状態に切り換えることができ、ヘッドユニットとプラテンユニットとを分離させることが可能となる。
【0014】
特に、操作レバーの操作に連動して、ロックアームを収容溝から退避させるだけでなく、押上げアームを利用してプラテン軸受を開放口側に向けて強制的に押上げることができるので、付勢部材の付勢力に影響されずにプラテンローラを収容溝から離脱させることが可能である。従って、操作レバーを過大な力で操作する必要がなく、僅かな操作力でプラテンローラのロックを解除することができ、ヘッドユニットとプラテンユニットとをスムーズに分離させることができる。
【0015】
さらに、ロックアームを利用してプラテン軸受を押さえるので、一方のプラテン軸受がロックされ、他方のプラテン軸受がロックされない或いはロックが不十分とされた、いわゆる片締まり(片上り)という不具合が生じ難い。そのため、片締まりを防止するための機構等を付加する必要がなく、設計の容易化を図ることができる。さらに、ロックアーム及び押上げアームを一体に形成して一部品としているので、部品点数を削減するこができ、構成の簡略化に繋げることができる。
【0016】
(2)前記ロックアームは、前記操作レバーが前記ロック位置から前記ロック解除位置側に向けて移動することに伴って、前記プラテンユニット側から前記ヘッドユニット側に向けて前記揺動軸線回りを揺動して、前記開放口を通じた前記収容溝内からの前記プラテン軸受の離脱を許容可能としても良い。
【0017】
この場合には、プラテンローラのロック解除時、従来とは異なり、ロックアームをプラテンユニット側からヘッドユニット側に向けて揺動させるので、プラテンユニット側にロックアームを可動させるための可動スペースを確保する必要がない。従って、その分、プラテンユニットを小型化、薄型化することができ、印字ユニット全体の外形サイズをさらにコンパクトにすることができる。
【0018】
(3)前記押上げアームは、前記操作レバーが前記ロック位置に位置しているときに、前記プラテン軸受に対して非接触とされても良い。
【0019】
この場合には、収容溝の溝底部とロックアームとの間でプラテン軸受を挟み込むように保持することができ、プラテン軸受を収容溝内により安定に収容した状態でロックを行うことができる。
【0020】
(4)前記収容溝の内側面には、前記開放口側から前記溝底部側に向かうにしたがって開口幅を狭まるように形成され、前記プラテン軸受を前記溝底部に向けて案内する傾斜した案内突起が形成され、前記押上げアームは、前記案内突起の頂点部よりも、前記開放口側に前記プラテンローラのローラ中心が移動するように前記プラテン軸受を押上げても良い。
【0021】
この場合には、操作レバーをロック解除位置側に移動させることで、収容溝内において、押上げアームが案内突起の頂点部よりも開放口側にプラテンローラのローラ中心が移動するようにプラテン軸受を大きく強制的に押上げる。これにより、収容溝における開放口付近までプラテン軸受を押上げて、ほぼ離脱させた状態に移行させることができるので、ヘッドユニットとプラテンユニットとの分離作業をさらに容易に行うことができる。
【0022】
(5)前記ロックアームは、前記プラテンローラを挟んだ両側に配置され、一対の前記プラテン軸受に対応して一対設けられ、前記プラテンロック機構は、前記揺動軸線に沿って延びると共に一対の前記ロックアーム同士を連結する連結軸部を備えても良い。
【0023】
この場合には、一対のロックアームを利用して、一対の収容溝内に収容された一対のプラテン軸受のそれぞれを押さえることができるので、プラテンローラをさらに確実にロックすることができる。また、一対のロックアーム同士は連結軸部を介して連結されているので、両者を同期させた状態で揺動軸線回りに揺動させることができる。従って、一対のロックアームを利用したプラテンローラのロック状態とロック解除状態との切り換えをより確実に行うことができる。
【0024】
(6)前記ヘッドユニット及び前記プラテンユニットのうちの一方に設けられた固定刃と、前記ヘッドユニット及び前記プラテンユニットのうちの他方に設けられ、前記固定刃に対して相対移動可能な可動刃と、前記可動刃に連結された駆動ラックを有し、前記可動刃を、前記固定刃から離れた待機位置と、前記固定刃に乗り上げた切断位置との間で移動させる駆動機構と、を備えても良い。
【0025】
この場合には、駆動機構を利用して可動刃を待機位置と切断位置との間で移動させることができるので、固定刃及び可動刃を利用して印字された記録紙を切断することができ、例えばレシートやチケット等として利用することができる。特に、プラテンローラを確実にロックした状態で、ヘッドユニットとプラテンユニットとを組み合わせることができるので、可動刃及び固定刃についても切断に最適な状態でセットすることができ、良好な切断性能を確保することができる。
【0026】
(7)前記可動刃が前記切断位置で停止している状態において、前記ロック位置から前記ロック解除位置に向けた前記操作レバーの操作に伴う操作力を利用して、前記プラテンロック機構が前記プラテンローラを前記ロック解除状態に切り換える前に、前記可動刃を前記切断位置から前記待機位置に移動させる戻し機構と、を備えても良い。
【0027】
この場合には、固定刃と可動刃との間に紙ジャム(紙詰まり)が発生し、この紙ジャムによって可動刃が切断位置に停止した場合であっても、操作レバーの操作によって、紙ジャムを解除した後に、プラテンローラのロックを解除することができる。すなわち、操作レバーをロック位置からロック解除位置に向けて操作すると、プラテンロック機構がプラテンローラをロック解除状態に切り換える前に、戻し機構が操作レバーの操作に伴う操作力を利用して可動刃を切断位置から待機位置に強制的に移動させる。これにより、固定刃と可動刃との間に発生した紙ジャムを解除することができる。そして、可動刃を待機位置に移動させた後に、操作レバーの操作に伴って、ロックアームが収容溝から退避すると共に押上げアームが収容溝内からプラテン軸受を押上げる。従って、紙ジャムが解除された後にプラテンローラのロックを解除することができ、ヘッドユニットとプラテンユニットとを分離させることが可能となる。
このように、操作レバーをロック位置からロック解除位置に向けて操作することに伴って、紙ジャムの解除と、プラテンローラのロック解除とを一連の流れの中で連動して行うことができ、使い易い印字ユニットとすることができる。
【0028】
(8)前記戻し機構は、前記駆動ラックに形成された戻しラックと、前記戻しラックのラック歯に噛み合う戻しピニオンと、前記操作レバーの前記回転軸線と同軸上に配置された状態で、前記回転軸線回りに回転可能に支持された戻しギア及びサンギアと、前記サンギアに噛み合うと共に、前記操作レバーの移動に伴って公転するプラネタリギアと、前記プラネタリギアが噛み合うインターナルギアと、備え、前記戻しギアは、前記戻しピニオンと噛み合い可能とされても良い。
【0029】
この場合には、ロック解除位置側に向けて操作レバーを操作すると、該操作レバーの移動に伴ってプラネタリギアを公転させることができる。このとき、プラネタリギアをインターナルギアに噛み合わせながら公転させることができるので、プラネタリギアを自転させながら公転させることができる。そのため、プラネタリギアの自転に伴って、サンギアを回転させることができると共に、サンギアと共に戻しギアを回転させることができる。これにより、戻しギアの回転に伴って戻しピニオンを回転させることができると共に、戻しピニオンの回転に伴って戻しラックを移動させることができる。その結果、駆動ラックを介して可動刃を切断位置から待機位置側に向けて強制的に移動させることができる。
【0030】
このように、各ギア、戻しピニオンや戻しラック等を介して駆動ラックに操作レバーの操作に伴う操作力を確実に伝達することができるので、可動刃を待機位置側に向けて確実に移動させることができる。特に、プラネタリギアを利用しているので、操作レバーの操作ストローク量に対して戻しギアの回転力を大きく確保することができる。従って、操作レバーの操作ストローク量をより小さく抑えた状態で、可動刃を待機位置側に戻すために必要な戻しギアの回転量を確保することができる。これにより、操作レバーの操作性を良好に確保できる。
【0031】
(9)前記ラック歯は、前記可動刃が前記切断位置に位置したときに前記戻しピニオンに対して噛み合い、且つ前記可動刃が前記待機位置に位置したときに前記戻しピニオンに対する噛み合いが解除されるように、前記可動刃における刃先の反対側に形成されても良い。
【0032】
この場合には、可動刃が待機位置に位置したときに、戻しラックのラック歯と戻しピニオンとの噛み合いを解除できるので、操作レバーを利用してプラテンユニットのロックを解除するときに、戻しピニオンを空転させることができる。これにより、可動刃を待機位置に確実に維持させた状態でプラテンユニットのロックを解除することができる。
【0033】
(10)前記ロックアームは、前記ロック状態で前記開放口を通じた前記収容溝内からの前記プラテン軸受の離脱を防止する直線状の離脱防止面を有し、前記ロックアームの回転中心から前記プラテン軸受の中心を通る線と前記離脱防止面とは、垂直に交わっていても良い。
【0034】
このように、回転中心からの軸受け中心を通った線とロックアームの軸受保持面とが直角となる構造により、ロック状態時にプラテンローラが外力によって収容溝から離脱する方向に引っ張られたとしても、ロックアームを解除方向に移動させる力が生じないため、プラテンローラの離脱を抑止することができる。
【0035】
(11)前記プラテン軸受が前記収容溝内に保持されるのを補助するプラテン支持ばねを備え、前記プラテン支持ばねは、前記操作レバーが前記ロック位置から前記ロック解除位置側に向けて移動することに伴って、前記押上げアームが前記プラテン軸受を押上げる前に、前記プラテン軸受の保持を解除する方向に移動し、前記開放口を通じた前記収容溝内からの前記プラテン軸受の離脱を許容可能とされても良い。
【0036】
このように、プラテンローラの保持を補助するプラテン支持ばねを備えることにより、ロック状態時にロックアームの離脱防止面とプラテン軸受との間に隙間があったとしても、その隙間によるガタを吸収してプラテン軸受を保持することができる。また、ロック解除時に、押上げアームがプラテン軸受を押上げる前に、プラテン支持ばねがプラテン軸受の保持を解除する方向に移動するので、円滑なプラテンローラの離脱を実現することができる。
【0037】
(12)本発明に係るサーマルプリンタは、前記印字ユニットと、前記記録紙を収容する記録紙収納部を有すると共に、前記ヘッドユニット及び前記プラテンユニットのうちの一方のユニットが取り付けられたプリンタ本体と、前記プリンタ本体に対して回動可能に連結され、前記ヘッドユニット及び前記プラテンユニットのうちの他方が取り付けられたプリンタカバーと、を備えていることを特徴とする。
【0038】
本発明に係るサーマルプリンタによれば、上記印字ユニットを備えているので、ヘッドユニットとプラテンユニットとの組み合わせを利用して、プリンタ本体に対してプリンタカバーを確実に閉めることができると共に、僅かな操作力でプリンタカバーを開けることができる。従って、プリンタカバーを開閉する際の操作性を良好に確保できる。さらに、コンパクトで軽量化を図り易いサーマルプリンタとすることができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、プラテンローラを確実にロックすることができるうえ、僅かな操作力でスムーズにロックを解除することができ、さらに外形サイズのコンパクト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明の実施形態に係るサーマルプリンタの斜視図であって、プリンタカバーを閉じた状態を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示すプリンタカバーが開いた状態におけるサーマルプリンタの斜視図である。
【
図4】
図3に示す状態からギアカバー等を除去した状態を示す印字ユニットの斜視図である。
【
図5】
図4に示す状態からプラテンフレーム等を除去した状態を示す印字ユニットの斜視図である。
【
図6】
図4に示すプラテンユニットの斜視図である。
【
図7】
図5に示す矢印A方向から見た側面図であって、収容溝とプラテン軸受との関係を示す図である。
【
図8】固定刃と可動刃との間で記録紙を切断する状態を示す斜視図である。
【
図9】
図5に示す矢印A方向から見た側面図である。
【
図11】
図10に示す操作レバーの周辺を反対側から見た斜視図である。
【
図12】
図11に示す状態から操作レバーを除去した状態を示す斜視図である。
【
図13】
図10に示す状態から操作レバーを除去した状態を示す斜視図である。
【
図14】他方のロックアームの周辺を示す側面図である。
【
図15】
図9に示す状態から、可動刃と固定刃との間に紙ジャムが発生した状態を示す側面図である。
【
図16】
図15に示すロック位置から操作レバーを押下げ操作した状態を示す側面図である。
【
図17】
図16に示す状態から、操作レバーをさらに押下げ操作した状態を示す側面図である。
【
図18】
図17に示す状態から、操作レバーをさらに押下げ操作して噛合解除位置に位置させた状態を示す側面図である。
【
図19】
図18に示す状態から、操作レバーをさらに押下げ操作して可動刃を待機位置に復帰させた状態を示す側面図である。
【
図20】
図19に示す状態から、操作レバーをさらに押下げ操作してロック解除位置に位置させ、プラテン軸受を収容溝の開放口に押上げた状態を示す側面図である。
【
図21】本発明の他の実施形態に係るサーマルプリンタを示す図であって、
図5に示す矢印A方向から見た側面図である。
【
図22】
図21に示す状態からロックアームを除去した状態を示す側面図である。
【
図24】
図23に示す状態からロックアームを除去した状態を示す斜視図である。
【
図25】本発明の他の実施形態に係るサーマルプリンタにおいて、他方のロックアームの周辺を示す側面図である。
【
図26】
図25に示す状態からロックアームを除去した状態を示す側面図である。
【
図28】
図27に示す状態からロックアームを除去した状態を示す斜視図である。
【
図30】本発明の他の実施形態の変形例に係るサーマルプリンタを示す図であって、操作レバーの周辺部を内側面から見た要部斜視図である。
【
図31A】本発明の他の実施形態の変形例における第1段階(ロック状態)を示す、操作レバーの外側面から見た要部側面図である。
【
図31B】
図31Aに示す第1段階(ロック状態)を操作レバーの内側面から見た要部側面図である。
【
図32A】
図31Aに示す状態から、操作レバーを押下げ操作した第2段階(中間状態)を示す要部側面図である。
【
図32B】
図32Aに示す第2段階(中間状態)を操作レバーの内側面から見た要部側面図である。
【
図33A】
図32Aに示す状態から、操作レバーを押下げ操作した第3段階(ロック解除状態)を示す要部側面図である。
【
図33B】
図33Aに示す第3段階(ロック解除状態)を操作レバーの内側面から見た要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明に係る一実施形態について図面を参照して説明する。
図1及び
図2に示すように、サーマルプリンタ1は、ロール紙状の記録紙(感熱紙)Pに印刷を行って、記録紙Pを例えばチケットやレシート等として利用することが可能なプリンタである。
【0042】
サーマルプリンタ1は、例えば店舗の店頭に設置され、図示しない情報処理装置によって動作が制御されている。そのため、サーマルプリンタ1は、情報処理装置から送信された各種の情報を記録紙Pに印刷すると共に、印刷した記録紙Pを排出するように制御されている。
【0043】
サーマルプリンタ1は、例えば店頭の設置面S上に設置され、全体としてはキューブ状に形成されている。本実施形態では、
図1及び
図2に示す状態において、設置面Sに対して垂直な方向を上下方向L1といい、設置面Sに対して平行な面内において互いに直交する方向を前後方向L2及び左右方向L3という。なお、前後方向L2のうち、前方を矢印FWで示し、後方を矢印BKで示す。従って、
図1及び
図2では、紙面に対して左下側が前方FW、右上側が後方BKとされている。
【0044】
サーマルプリンタ1は、ケーシング(本発明に係るプリンタ本体)2と、プリンタカバー3と、ヘッドユニット5及びプラテンユニット6で構成される印字ユニット4と、を備え、記録紙Pが前方FWに排出される、いわゆる前出しタイプとされている。図示の例では、プリンタカバー3側にプラテンユニット6が設けられ、ケーシング2側にヘッドユニット5が設けられている。
ただし、この場合に限定されるものではなく、例えばプリンタカバー3側にヘッドユニット5を設け、ケーシング2側にプラテンユニット6を設けても構わない。
【0045】
(ケーシング)
ケーシング2は、合成樹脂材料や金属材料或いはこれらを適宜組み合わせることで、前方FWに開口部を有するキューブ状に形成され、設置面Sに対向する底面11を含む複数の外面10を有している。ただし、ケーシング2の形状は、この場合に限定されるものではなく、適宜変更して構わない。
【0046】
複数の外面10のうち、底面11に対して上下方向L1に向い合う外面を天面12という。また複数の外面10のうち、前方FW側に位置する外面を前面13といい、後方BK側に位置する外面を後面14という。これら前面13及び後面14は、前後方向L2に向かい合っている。さらに、複数の外面10のうち、左右方向L3に向かい合う外面を一対の側面15という。
【0047】
ケーシング2の内部には、ケーシング2の前面13に形成された開口部を通じてロール状の記録紙Pを収納可能な記録紙収納部16が形成されている。これにより、プリンタカバー3が開いたときに、記録紙収納部16内に前方FWからロール状の記録紙Pを投入することが可能とされている。
【0048】
プリンタカバー3は、ケーシング2の前面13側の下部に、回転軸部17を介して連結されており、開口部を開放可能に閉塞している。なお、プリンタカバー3は、回転軸部17回りに略90度の角度範囲で回転するように連結されている。
図1に示すように、プリンタカバー3を閉じた際、該プリンタカバー3の先端とケーシング2との間には、若干の隙間があくように設計されている。記録紙Pは、この隙間を利用してケーシング2の内部から前方FWに引き出されて排出される。よって、この隙間は記録紙Pの排出口18として機能する。
【0049】
上述のように構成されたケーシング2及びプリンタカバー3は、プリンタカバー3が閉じた際、プラテンユニット6とヘッドユニット5との組み合わせに伴ってロックされる。これによって、プリンタカバー3は閉状態でロックされる。
【0050】
さらにケーシング2には、
図1に示すように、前面13と天面12と一方の側面15とが交差する角部に、プラテンユニット6とヘッドユニット5との組み合わせ(ロック)を解除するための操作レバー19が設けられている。これにより、
図2に示すようにプリンタカバー3のロックについても解除でき、プリンタカバー3の開操作を行うことが可能となる。なお、操作レバー19は、例えば下方に向けて押下げ操作可能とされている。
【0051】
なお、プリンタカバー3には、例えば電源ボタンや紙送りボタンとされた操作ボタン3aが設けられている。操作ボタン3aは、プリンタカバー3の外面に押下可能に露出した状態で配置されている。図示の例では、操作ボタン3aは操作レバー19の下方に上下方向L1に一列に並ぶように配置されている。
【0052】
(印字ユニット)
図2~
図5に示すように、印字ユニット4は、ケーシング2側に設けられたヘッドユニット5と、プリンタカバー3側に設けられ、ヘッドユニット5に対して分離可能に組み合わされるプラテンユニット6と、を備えている。
【0053】
ヘッドユニット5は、該ヘッドユニット5の基本骨格を形成する例えば合成樹脂製のヘッドフレーム20と、ヘッドフレーム20を前方FW及び左右方向L3から覆うようにヘッドフレーム20に組み合わされた例えば金属製のヘッドカバープレート21と、ヘッドフレーム20を左右方向L3から覆うようにヘッドフレーム20に組み合わされた例えば金属製のギアカバー22、23と、を備えている。
【0054】
さらにヘッドユニット5は、サーマルヘッド25、可動刃26、駆動機構27、操作レバー28、戻し機構29及びプラテンロック機構30を少なくとも備えている。これらサーマルヘッド25、可動刃26、駆動機構27、操作レバー28、戻し機構29及びプラテンロック機構30は、主にヘッドフレーム20を利用して取り付けられ、ヘッドカバープレート21及びギアカバー22、23によって覆われている。
【0055】
上述のように構成されたヘッドユニット5は、ケーシング2の内部に取り付けられている。具体的には、ヘッドユニット5は、記録紙収納部16の上方であって、ケーシング2の前面13寄りに配置され、主にヘッドフレーム20のネジ締結によってケーシング2に取り付けられている。
本実施形態では、ヘッドユニット5は、可動刃26の刃先26aが下方を向くように取り付けられている。なお、ヘッドユニット5については、後に詳細に説明する。
【0056】
プラテンユニット6は、該プラテンユニット6の基本骨格を形成する例えば合成樹脂製のプラテンフレーム40と、プラテンフレーム40を前方FW及び左右方向L3から覆うようにプラテンフレーム40に組み合わされた例えば金属製のプラテンカバープレート41と、を備えている。
さらにプラテンユニット6は、プラテンローラ45及び固定刃46を少なくとも備えている。これらプラテンローラ45及び固定刃46は、主にプラテンフレーム40を利用して取り付けられ、プラテンカバープレート41によって覆われている。
【0057】
上述のように構成されたプラテンユニット6は、主にプラテンカバープレート41を介してプリンタカバー3の内面に取り付けられている。この際、プラテンユニット6は、プリンタカバー3の開閉動作に伴ってヘッドユニット5に分離可能に組み合わされる位置に取り付けられている。
本実施形態では、プラテンユニット6は固定刃46の刃先46aが上方を向くように取り付けられている。
【0058】
プラテンユニット6について、詳細に説明する。
図3~
図6に示すように、固定刃46は、ヘッドユニット5とプラテンユニット6とが組み合わされた際に、刃先46aがヘッドユニット5側に向くようにプラテンフレーム40に支持されている。
図6に示すように、プラテンフレーム40には、固定刃46よりも後方BKに位置する部分にプラテンローラ45を収納するプラテン収納空間47が形成されていると共に、プラテン収納空間47を間にして左右方向L3に向かい合うように配置され、プラテンローラ45を支持する支持壁48が形成されている。
【0059】
プラテンローラ45は、記録紙Pをプリンタカバー3の外部に搬送するゴムローラであって、左右方向L3に延びるプラテン軸50に巻回されている。プラテンローラ45は、ヘッドユニット5側に外周面の一部が露出した状態でプラテン収納空間47内に収納されていると共に、支持壁48によって回転可能に支持されている。
具体的には、プラテンローラ45よりも左右方向L3の外側に延びたプラテン軸50の両端部には、円筒状のプラテン軸受51がそれぞれ被せられている。これにより、一対のプラテン軸受51を押さえ付けたとしても、プラテンローラ45を回転させることが可能とされている。なお、プラテン軸50の一端部には、プラテン軸受51よりも左右方向L3の外側に従動ギア52が固定されている。
【0060】
支持壁48は、例えばスリット孔を利用してプラテン軸受51を挟み込んで固定している。これにより、プラテンローラ45は、プラテン収納空間47内に収納された状態で一対のプラテン軸受51を介して一対の支持壁48に回転可能に支持されている。
一対のプラテン軸受51は、支持壁48よりも左右方向L3の外側に向けて延びており、プリンタカバー3を閉じた際に
図5に示すように、ヘッドユニット5側に設けられた一対の収容溝62内にそれぞれ収容される。
なお、
図5では、プラテンユニット6のうち主にプラテンローラ45及びプラテン軸受51について図示している。
【0061】
次に、ヘッドユニット5について詳細に説明する。
図3~
図5に示すように、ヘッドユニット5は、サーマルヘッド25、可動刃26、駆動機構27、操作レバー28、戻し機構29及びプラテンロック機構30を少なくとも備えている。
【0062】
図5に示すように、サーマルヘッド25は、左右方向L3に沿ってライン状に並んだ複数の図示しない発熱素子を有し、プリンタカバー3が閉位置に位置しているときに、プラテンローラ45に対向するようにヘッドフレーム20に取り付けられている。なお、記録紙Pは、プラテンローラ45とサーマルヘッド25との間を通過可能とされている。
サーマルヘッド25とヘッドフレーム20との間には、サーマルヘッド25をプラテンローラ45側に向けて付勢する図示しないコイルばねが介在されている。これにより、プラテンローラ45によって送り出される記録紙Pに対してサーマルヘッド25を確実に押し付けることができ、印字ユニット4による良好な印刷が可能とされている。
【0063】
ヘッドフレーム20は、プラテンユニット6におけるプラテンフレーム40の支持壁48よりも左右方向L3の外側に位置する一対の側壁部60、61を有している。
一対の側壁部60、61には、一対のプラテン軸受51を各別に内部に嵌め込み可能な一対の収容溝62がそれぞれ形成されている。
収容溝62は、
図7に示すように側面視U字状に形成され、プラテンユニット6側に向かう前方FWに開放口62aを向けた状態で形成されている。収容溝62における溝底部62bは、平坦に形成されている。
なお、
図7は、一方の側壁部60に形成された収容溝62を図示し、その他の各構成品に図示を適宜省略している。
【0064】
収容溝62の内側面には、開放口62a側から溝底部62b側に向かうにしたがって開口幅を狭めるように形成され、プラテン軸受51を溝底部62b側に向けて案内する傾斜した案内突起63が形成されている。これにより、収容溝62は、開放口62aが最も開口幅が大きくなるように形成されていると共に、案内突起63における頂点部63a付近で開口幅が最も狭くなるように形成されている。
収容溝62に案内突起63が形成されていることで、プラテン軸受51を案内突起63に沿って溝底部62b側に落とし込むように案内することが可能とされている。
【0065】
上述のように一対の側壁部60、61に収容溝62がそれぞれ形成されているので、ヘッドユニット5とプラテンユニット6とを組み合わせた際に、
図5及び
図7に示すように、一対のプラテン軸受51は一対の収容溝62内に嵌め込まれて、内部に収容された状態となる。この際、プラテン軸受51は、溝底部62bに接した状態で収容溝62内に収容される。
【0066】
図4に示すように、可動刃26は、ヘッドユニット5とプラテンユニット6とが組み合わされた際に、刃先26aがプラテンユニット6側に向くように駆動機構27を介してヘッドフレーム20に取り付けられている。この際、可動刃26は固定刃46に対して上下方向L1に向かい合うように配置されていると共に、切断位置P1に移動したときに、固定刃46に対して前後方向L2に重なるように配置されている。
可動刃26は、
図8に示すように、根元から刃先26aまでの長さが両端から中央に向かって漸次短くなるように形成されたV字状の板状刃とされている。なお、
図8は可動刃26を切断位置P1に移動させて、固定刃46と可動刃26との間で記録紙Pを切断する状態を示す斜視図である。
【0067】
図4に示すように、可動刃26は、可動刃ホルダ70を介して駆動機構27の駆動ラック71に取り付けられている。可動刃26は、駆動機構27の動作によってヘッドフレーム20に対して上下方向L1に移動可能に構成されている。これにより、可動刃26は固定刃46に対して上下方向L1に移動可能に支持されている。
【0068】
図4、
図9及び
図10に示すように、駆動機構27は、切断位置P1と待機位置P2とに可動刃26を移動させる機構である。切断位置P1とは、可動刃26が固定刃46に乗り上げることで、可動刃26が固定刃46と共に記録紙Pを切断する位置(
図8参照)である。待機位置P2とは、固定刃46から可動刃26が適切に離れた位置(
図4参照)である。
駆動機構27は、駆動用モータ75、駆動中間車76、二段中間車77、駆動ピニオン78及び駆動ラック71を備えている。
【0069】
図10に示すように、駆動用モータ75は正逆回転可能なモータとされ、ヘッドフレーム20における一方の側壁部60の内側に固定されている。駆動用モータ75の駆動軸は、減速機構75aに接続されている。さらに、減速機構75aの出力軸75bは、ヘッドフレーム20における一方の側壁部60よりも左右方向L3の外側に突出している。駆動中間車76は、一方の側壁部60よりも左右方向L3の外側に配置され、減速機構75aの出力軸75bに連結されている。従って、駆動中間車76は、減速機構75aを介した駆動用モータ75の回転に伴って回転する。
【0070】
図9及び
図10に示すように、二段中間車77は、駆動中間車76と駆動ピニオン78との間に配置され、中間支持軸80に回転可能に支持されている。
二段中間車77は、大径中間車77a、及び大径中間車77aよりも小径に形成された小径中間車77bを備えている。大径中間車77aは、操作レバー28がロック位置P3に位置している際、駆動中間車76に噛み合っている。これにより、二段中間車77の全体は、駆動中間車76の回転に伴って回転する。なお、小径中間車77bは、大径中間車77aよりも左右方向L3の外側に配置され、駆動ピニオン78に対して噛み合っている。
【0071】
駆動ピニオン78は、小径中間車77bよりも操作レバー28側に位置し、且つ駆動ラック71側に位置するように配置されると共に、ピニオン支持軸81に対して同軸に配置された状態で該ピニオン支持軸81に固定されている。これにより、駆動ピニオン78及びピニオン支持軸81は、一体に回転する。
また、駆動ピニオン78は、小径中間車77bに噛み合っていると共に、駆動ラック71における駆動ラック歯71aに噛み合っている。
【0072】
駆動ラック71は、
図4に示すように、ヘッドフレーム20における一方の側壁部60側だけでなく、他方の側壁部61側にも配置され、ヘッドフレーム20を挟んで左右方向L3の両側に配置されている。そしてピニオン支持軸81は、ヘッドフレーム20を左右方向L3に貫くように形成され、左右方向L3の両側に配置された一対の駆動ピニオン78同士を連結している。これにより、一対の駆動ピニオン78は、ピニオン支持軸81を介して、同期した状態で共回り可能とされている。
【0073】
駆動ラック71は、可動刃ホルダ70の左右方向L3に沿う両端部に取り付けられ、上下方向L1に沿って延在されている。これにより、駆動ラック71は、可動刃ホルダ70を介して可動刃26に対して組み合わされている。
駆動ラック71には、全域に亘って駆動ラック歯71aが形成されている。一対の駆動ピニオン78は、この駆動ラック歯71aに対して噛み合っている。従って、一対の駆動ピニオン78の回転に伴って、駆動ラック71を介して可動刃26を待機位置P2と切断位置P1との間で移動させることが可能とされている。
【0074】
以下、構成の理解を容易にするために、一方の側壁部60側(駆動用モータ75側)に位置する駆動ピニオン78及び駆動ラック71について詳細に説明し、他方の側壁部61側に位置する駆動ピニオン78及び駆動ラック71については説明を省略する。
【0075】
上述のように駆動機構27が構成されているので、
図4及び
図9に示すように、駆動用モータ75の回転によって駆動中間車76及び二段中間車77(大径中間車77a及び小径中間車77b)を介して駆動ピニオン78を回転させることができる。そのため、駆動ラック71を、戻し機構29の後述する戻しラック130と共に矢印F1方向に移動させることができ、同方向に可動刃26を移動させることができる。これにより、可動刃26を待機位置P2から切断位置P1まで移動させることができる。
【0076】
一方、駆動用モータ75を逆回転させることで、駆動中間車76及び二段中間車77を介して駆動ピニオン78を逆回転させることができる。そのため、駆動ラック71を戻しラック130と共に矢印F2方向に移動させることができ、同方向に可動刃26を移動させることができる。これにより、可動刃26を切断位置P1から待機位置P2まで移動させて復帰させることができる。
【0077】
ところで、上述した二段中間車77を支持する中間支持軸80は、ピニオン支持軸81を中心として揺動可能に配置されたスイングプレート90に固定されている。
図7、
図9~
図11に示すように、スイングプレート90には、該スイングプレート90を左右方向L3に貫通すると共にピニオン支持軸81を挿通させる挿通孔91が形成されている。スイングプレート90は、挿通孔91内にピニオン支持軸81を挿通させた状態で、一方の側壁部60の壁面に沿って揺動可能に配置されている。
【0078】
スイングプレート90は、挿通孔91から駆動中間車76と駆動ラック71との間に向けて延びた第1プレート部92と、挿通孔91から後述するロックアーム140の揺動軸線O2に向けて延びた第2プレート部93とを備えている。
【0079】
中間支持軸80は、第1プレート部92から左右方向L3の外側に向けて延びるように形成されている。これにより、中間支持軸80に支持されている二段中間車77は、スイングプレート90に伴ってピニオン支持軸81を中心として揺動可能とされている。
第2プレート部93には、左右方向L3の外側に向けて突出するように係止突起94及び係合ピン95が形成されている。
【0080】
このように構成されたスイングプレート90は、第1付勢部材100による付勢力によって、二段中間車77の大径中間車77aが駆動中間車76に対して噛み合う方向に常に付勢されている。
第1付勢部材100は、例えばコイルばねであって、一方の側壁部60に突設されたコイル支持軸105に支持されたコイル部100aと、ヘッドフレーム20に係止された第1コイル端部100bと、スイングプレート90の係止突起94に係止された第2コイル端部100cと、を有する。
【0081】
これにより、スイングプレート90は、第1付勢部材100の付勢力(弾性復元力)によって、第2プレート部93が操作レバー28側に向けて付勢されるので、大径中間車77aが駆動中間車76に対して押し付けられた状態で位置決めされる。
なお、第1付勢部材100は、コイルばねに限定されるものではなく、例えば板ばね等であっても構わない。
【0082】
また、スイングプレート90は、操作レバー28の操作に伴って、係合ピン95が後述する押上げカム113によって押し上げられることで、第1付勢部材100の付勢力に抗してピニオン支持軸81を中心として揺動し、二段中間車77が駆動中間車76から離間するように構成されている。これにより、二段中間車77と駆動中間車76との噛み合いを解除することが可能とされている。
【0083】
図4、
図9及び
図10に示すように、操作レバー28は、ヘッドフレーム20における一方の側壁部60側に配置されていると共にレバー支持軸106を介して回転可能に支持されている。
操作レバー28は、レバー支持軸106を中心として、ロック位置P3から後述する噛合解除位置P4やロック解除位置P5へ向けて、一方の側壁部60を左右方向L3の外側から見た側面視で時計方向に押込み操作可能に構成されている。
【0084】
レバー支持軸106は、
図11に示すようにギアカバー22の内面から一方の側壁部60側に向けて突設されている。なお、レバー支持軸106の中心軸線が操作レバー28の回転軸線O1となる。
【0085】
ロック位置P3とは、ヘッドユニット5に対してプラテンユニット6がロック状態に保持される位置をいう。噛合解除位置P4とは、操作レバー28における後述する押上げカム113によってスイングプレート90が揺動して、二段中間車77の大径中間車77aと駆動中間車76との噛み合いが解除された位置をいう。ロック解除位置P5とは、ヘッドユニット5に対するプラテンユニット6のロック状態が解除される位置をいう。
【0086】
図9~
図11に示すように、操作レバー28の基端部には、側面視扇状に形成されたレバープレート110が形成されている。
レバープレート110の外面には、左右方向L3の外側に向けてプラネタリ軸111が突設されている。レバープレート110の内面には、後述するロックアーム140に係合するレバー突部112が形成されている。さらに、レバープレート110には、径方向外側に向けて膨らんだ押上げカム113及び規制突片114が形成されている。
【0087】
プラネタリ軸111は、レバー支持軸106に対してオフセットされた位置に形成されている。押上げカム113は、スイングプレート90に形成された係合ピン95よりも反時計方向側に配置され、操作レバー28がロック位置P3からロック解除位置P5側に向けて回転したときに、係合ピン95に対して接触可能とされている。さらに押上げカム113の外面には、左右方向L3の外側に向けて突設された係止突起115が形成されている。
【0088】
規制突片114は、押上げカム113よりも反時計方向側に配置され、操作レバー28がロック位置P3に位置しているときに、ヘッドフレーム20に形成された規制壁部116に対して時計方向側から接触している。
そのため、操作レバー28の全体は、これ以上時計方向に回転することが規制され、これによってロック位置P3に位置決めされている。
なお、操作レバー28は、ロック解除位置P5に移動し、さらに下方に押下げ操作されたときに、
図3及び
図11に示すギアカバー22の規制壁部117に対して反時計方向側から接触可能とされている。従って、操作レバー28は、ロック解除位置P5を超えてさらに大きく押下げ操作されることが規制されている。
【0089】
操作レバー28の先端部は、ケーシング2に設けられた操作レバー19における連結体19a(
図2参照)の内側に嵌合されている。そのため、操作レバー28は、操作レバー19の操作に連動して操作される。これにより、操作レバー19を操作することにより、これに連動して操作レバー28をロック位置P3からロック解除位置P5に向けて操作することが可能とされている。
【0090】
上述のように構成された操作レバー28は、
図9及び
図10に示すように、第2付勢部材120による付勢力によって、ロック位置P3に向かう方向(時計方向)に常に付勢されている。
第2付勢部材120は、例えばコイルばねであって、ギアカバー22の内面に突設された図示しないコイル支持軸に支持されたコイル部120aと、ギアカバー22の内面に係止された第1コイル端部120bと、操作レバー28の係止突起115に係止された第2コイル端部120cと、を有する。
【0091】
これにより、操作レバー28は、第2付勢部材120の付勢力(弾性復元力)によって、時計方向に付勢されるので、操作レバー28の先端部がロック位置P3に向かう方向に付勢されている。なお、先に述べたように、操作レバー28の規制突片114がヘッドフレーム20の規制壁部116に対して接触するので、これ以上の回転が規制され、ロック位置P3に位置決めされる。
なお、第2付勢部材120は、コイルばねに限定されるものではなく、例えば板ばね等であっても構わない。
【0092】
図4に示すように、戻し機構29は、例えば紙ジャムの発生等によって可動刃26が切断位置P1で停止している状態において、ロック位置P3からロック解除位置P5に向けた操作レバー28に伴う操作力(回転力)を利用して、プラテンロック機構30がプラテンローラ45をロック解除状態に切り換える前に、可動刃26を切断位置P1から待機位置P2に移動させる機構である。
【0093】
図9~
図12に示すように、戻し機構29は、駆動ラック71に形成された戻しラック130と、戻しラック130のラック歯130aに噛み合う戻しピニオン131と、操作レバー28の回転軸線O1と同軸に配置された状態で、回転軸線O1回りに回転可能に支持された戻しギア132及びサンギア133と、サンギア133に噛み合うと共に操作レバー28の移動に伴って公転するプラネタリギア134と、プラネタリギア134が噛み合うインターナルギア135と、を備えている。なお、サンギア133、プラネタリギア134及びインターナルギア135は、加速機構136(
図12参照)を構成している。
【0094】
なお、本実施形態では、戻しギア132とサンギア133とが一部材として構成されている場合を例にしているが、この場合に限定されるものではない。例えば、戻しギア132とサンギア133とが一体的に回転可能(共回り回転可能)であれば、戻しギア132及びサンギア133を別体に形成したうえで組み合わせても構わない。
【0095】
戻しピニオン131は、駆動ピニオン78よりも左右方向L3の外側に配置された状態で、ピニオン支持軸81に回転可能に支持されている。これにより、戻しピニオン131は、駆動ピニオン78と同軸上に配置されている。なお、戻しピニオン131は、操作レバー28の操作に連動して回転する戻しギア132と噛み合い可能とされ、戻しギア132からの回転力によって回転する。
さらに、戻しピニオン131は、戻しラック130におけるラック歯130aに噛み合い可能とされている。
【0096】
戻しラック130は、
図9及び
図10に示すように、駆動機構27における駆動ラック71よりも左右方向L3の外側に配置された状態で、駆動ラック71に一体に形成されている。戻しラック130は複数のラック歯130aを有している。これら複数のラック歯130aは、可動刃26の刃先26a側ではなく、根元側に位置するように形成されている。これにより、戻しラック130は、可動刃26が切断位置P1に位置したときに戻しピニオン131と噛み合い、且つ可動刃26が待機位置P2に位置したときに戻しピニオン131との噛み合いが解除される。
【0097】
なお、図示の例では、駆動ラック71と戻しラック130とを一体に形成したが、この場合に限定されるものではなく、戻しラック130を駆動ラック71とは別体に形成しても構わない。ただし、駆動ラック71と戻しラック130とを一体に形成することで、部品点数を増やすことなく戻しラック130を具備することができるので、構成の簡略化を図ることができると共にコストの低減化を図ることができるので、好ましい。
【0098】
複数のラック歯130aのうち、可動刃26の刃先26a側に位置するラック歯130aは、変位可能なラック歯130bとされている。
このラック歯130bは、ラックアーム139の先端部に形成されている。ラックアーム139の基端部は、戻しラック130のうち可動刃26の刃先26a側に位置する端部に連結されている。そのため、ラックアーム139は、基端部を支点にして戻しピニオン131から離れる方向に弾性変形可能な片持ちアームとされている。
これにより、ラックアーム139を戻しピニオン131から離間する方向に弾性変形させることができ、ラック歯130bを戻しピニオン131の径方向外側へ退避させることが可能とされている。
【0099】
戻しラック130のラック歯130bを戻しピニオン131の径方向外側へ退避可能に形成した理由について、簡単に説明する。
例えば、戻しラック130が
図9に示す矢印F1方向に移動する際に、戻しラック130のラック歯130bが戻しピニオン131における歯部の歯先に当接することが考えられる。この場合、戻しラック130の移動が戻しピニオン131の歯先で阻止されるおそれがある。
このことを考慮して、ラック歯130bをラックアーム139の先端部に形成することで、ラックアーム139の弾性変形によってラック歯130bを戻しピニオン131の径方向外側へ退避させ、戻しピニオン131の歯先を乗り越え可能に構成している。そのため、ラック歯130bが戻しピニオン131の歯先を乗り越えた後、ラックアーム139の弾性復元力を利用してラック歯130bを元の位置に復帰させ、復帰したラック歯130bを戻しピニオン131における次の歯部に適切に噛み合わせることが可能とされている。これにより、戻しラック130の移動が阻害されてしまう不都合を生じさせることなく、戻しラック130のラック歯130bと戻しピニオン131とを適切に噛み合わせることが可能となる。
【0100】
図9及び
図10に示すように、戻しギア132は、操作レバー28におけるレバープレート110よりも左右方向L3の外側に配置された状態で、レバー支持軸106に回転可能に支持されている。これにより、戻しギア132は、操作レバー28の回転軸線O1と同軸上に配置されている。
【0101】
戻しギア132は、ギアプレート132aと、ギアプレート132aの外周縁に沿って形成された複数のギア歯部132bと、を備えている。複数のギア歯部132bは、ギアプレート132aの全周ではなく、略半周に亘る範囲で形成されている。これら複数のギア歯部132bは、戻しピニオン131に対して噛み合い可能とされている。
【0102】
複数のギア歯部132bのうち、ロック位置P3からロック解除位置P5に向けた操作レバー28の操作によって、戻しピニオン131に対して最初に噛み合うギア歯部132bは、戻しギア132の径方向内側に向けて変位可能とされ、戻しピニオン131の歯部から退避することが可能とされている。
【0103】
ギア歯部132bは、弾性アーム部132cの先端部に形成されている。弾性アーム部132cは、基端部がギアプレート132aの外周縁のうちギア歯部132bの未形成部分に一体に形成され、ギアプレート132aの外周縁に沿って時計方向に円弧状に延びている。これにより、弾性アーム部132cは、ギアプレート132aの外周縁に基端部を介して片持ち支持されていると共に、基端部を支点にして径方向に弾性変形可能とされている。
これにより、弾性アーム部132cがギアプレート132a側に向けて弾性変形することにより、ギア歯部132bを戻しギア132の径方向内側に向けて変位させることができ、戻しピニオン131の歯部から退避することが可能とされている。
【0104】
図12に示すように、サンギア133は、ギアプレート132aの内面に一体形成され、操作レバー28の回転軸線O1と同軸上に配置されている。これにより、サンギア133は戻しギア132と共に回転軸線O1回りを回転可能とされている。
【0105】
プラネタリギア134は、サンギア133に噛み合った状態で、操作レバー28にプラネタリ軸111を介して回転可能に支持されている。これにより、プラネタリギア134は、操作レバー28が回転軸線O1回りに回転することにより、操作レバー28の移動に追従して回転軸線O1を中心にして公転する。
ギアカバー22の内面には、プラネタリギア134が噛み合うインターナルギア135が形成されている。従って、プラネタリギア134は、操作レバー28の移動に伴って公転することで、インターナルギア135に噛み合いながら自転することが可能とされている。
【0106】
このようにプラネタリギア134が自転することで、サンギア133及び戻しギア132を回転軸線O1回りに回転させることができると共に、戻しギア132のギア歯部132bを戻しピニオン131に対して噛み合わせることが可能とされている。
【0107】
図5に示すように、プラテンロック機構30は、プラテンローラ45と平行な揺動軸線O2回りに揺動可能なロックアーム140、150を備え、プラテンローラ45をロックするロック状態と、該ロックを解除するロック解除状態とを切り換える機構とされている。
【0108】
図5、
図9及び
図10に示すように、一方のロックアーム140はヘッドフレーム20における一方の側壁部60側に配置され、他方のロックアーム150は他方の側壁部61側に配置されている。
これら一対のロックアーム140、150は、操作レバー28がロック位置P3に位置しているときに、収容溝62内に収容されたプラテン軸受51を開放口62a側から押さえ、且つ操作レバー28がロック位置P3からロック解除位置P5側に向けて移動することに伴って、プラテンユニット6からヘッドユニット5側に向けて揺動軸線O2回りを揺動し、プラテン軸受51から離間して収容溝62内からのプラテン軸受51の離脱を許容する。
【0109】
従って、本実施形態のプラテンロック機構30は、一対のロックアーム140、150を利用して、一対のプラテン軸受51を同時にロックすることができると共に、同時にロック解除することが可能とされている。
【0110】
一方のロックアーム140及び他方のロックアーム150は、左右方向L3に沿って延びる長尺な連結軸部141を介して連結されている。
連結軸部141は、
図10に示すように円柱状のシャフトであり、ヘッドフレーム20を左右方向L3に貫通するように形成されていると共に、一方の側壁部60及び他方の側壁部61に回転可能に支持されている。なお、連結軸部141の中心軸線が揺動軸線O2とされている。
【0111】
そして、一方のロックアーム140及び他方のロックアーム150は、連結軸部141の両端部にそれぞれ連結されている。これにより、一方のロックアーム140及び他方のロックアーム150は、連結軸部141を介して揺動軸線O2回りに同期した状態で揺動可能とされている。
【0112】
なお、連結軸部141は、上下方向L1において収容溝62と戻しギア132との間に位置し、且つ前後方向L2において収容溝62よりも後方BKに位置するように配置されている。
【0113】
なお、本実施形態では、左右方向L3に配置された一対のロックアーム140、150同士を、連結軸部141を介して揺動可能に連結している場合を例にしているが、この場合に限定されるものではない。例えば、一対のロックアーム140、150及び連結軸部141を、1枚の板金等を折り曲げて一体形成することで、一部材で構成しても良い。
【0114】
一方のロックアーム140について詳細に説明する。
図13に示すように、ロックアーム140は、収容溝62よりも上方側に配置され、前後方向L2に延びるように形成されている。ロックアーム140の基端部が連結軸部141の端部に連結されている。ロックアーム140の先端部には、収容溝62内に収容されたプラテン軸受51を収容溝62の開放口62a側から覆うロック爪部145が形成されている。これにより、ロック爪部145と収容溝62における溝底部62bとの間でプラテン軸受51を挟み込むように、プラテン軸受51を保持することが可能とされている。
【0115】
なお、ロック爪部145の外側面は、プラテン軸受51を収容溝62内にセットする際にプラテン軸受51を収容溝62内に案内する傾斜した案内面145bとされている。この案内面145bは、収容溝62側の案内突起63との間に側面視でV字状のV溝が画成されるように形成されている。
【0116】
さらにロックアーム140の基端部には、左右方向L3の外側に向けて突設された係合壁部146が形成されている。係合壁部146は、操作レバー28をロック位置P3からロック解除位置P5に向けて操作した際、押上げカム113が係合ピン95を介してスイングプレート90を揺動させた後に、操作レバー28のレバー突部112が接触する壁部とされている。
【0117】
これにより、ロックアーム140の全体は、操作レバー28の操作に伴って係合壁部146を介してレバー突部112から押され、揺動軸線O2を中心に時計方向に揺動するように構成されている。つまり、ロックアーム140は、プラテンユニット6側からヘッドユニット5側に向かうように、揺動軸線O2を中心に上方に向けて揺動するように構成されている。
そのため、ロックアーム140のロック爪部145は、操作レバー28の操作に伴ってプラテン軸受51から徐々に離れ、操作レバー28がロック位置P3に達したときに、収容溝62からヘッドユニット5側に退避して開放口62aを開放する。これにより、収容溝62内からのプラテン軸受51の離脱を許容することが可能とされている。
【0118】
さらに、ロックアーム140には、操作レバー28がロック位置P3からロック解除位置P5に向けて移動することに伴って、プラテン軸受51を収容溝62の溝底部62bから開放口62a側に向けて押上げる押上げアーム147が形成されている。
押上げアーム147は、溝底部62bよりも後方BKに配置され、ロックアーム140、150から下方に向けて延びるように形成されている。押上げアーム147のうち、プラテン軸受51側を向いた面は、溝底部62bに対して平行に延びるように形成され、プラテン軸受51を押上げる押上げ面147aとされている。
【0119】
なお、操作レバー28がロック位置P3に位置している場合には、押上げ面147aとプラテン軸受51との間には隙間が確保されている。これにより、押上げアーム147は、操作レバー28がロック位置P3に位置している際、プラテン軸受51に対して非接触で待機している。
【0120】
特に、押上げアーム147は、下方に向けて長く形成されているので、収容溝62内でプラテン軸受51を押上げる際、プラテン軸受51を開放口62aに向けて大きく押し上げることが可能とされている。具体的には、収容溝62に形成された案内突起63の頂点部63aよりも、開放口62a側にプラテンローラ45のローラ中心が移動するようにプラテン軸受51を押上げることが可能とされている。
【0121】
上述のように構成されたロックアーム140は、ヘッドフレーム20における他方の側壁部61側に配置された他方のロックアーム150(
図5参照)を付勢する付勢力を受けて、プラテンユニット6側に向かう反時計方向に付勢されている。これにより、ロックアーム140は、ロック爪部145がプラテン軸受51を開放口62a側から覆う姿勢となるように常時付勢されている。
【0122】
次に、
図14を参照して、他方のロックアーム150について説明する。ただし、他方のロックアーム150は、一方のロックアーム140と基本的に同様に構成されているため、同様の構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0123】
図14に示すように、他方のロックアーム150には、左右方向L3の外側に向けて突設された係止突起151が形成されている。そして、ロックアーム150は、第3付勢部材(本発明に係る付勢部材)160による付勢力によって、ロック爪部145がプラテン軸受51を開放口62a側から覆う姿勢となるように常時付勢されている。
【0124】
第3付勢部材160は、例えばコイルばねであって、他方のギアカバー23の内面に突設された図示しないコイル支持軸に支持されたコイル部160aと、ヘッドフレーム20に係止された第1コイル端部160bと、ロックアーム150の係止突起151に係止された第2コイル端部160cと、を有する。
【0125】
これにより、ロックアーム150は、第3付勢部材160の付勢力(弾性復元力)によって、
図14に示す状態において時計方向に付勢されている。これにより、一方のロックアーム140は、
図13に示す状態において、反時計方向に付勢される。
なお、第3付勢部材160は、コイルばねに限定されるものではなく、例えば板ばね等であっても構わない。
【0126】
なお、本実施形態のプラテンユニット6は、
図5に示すように、ヘッドユニット5に組み合わされた際、従動ギア52が他方のロックアーム150よりも左右方向L3の外側に配置される。従動ギア52は、ヘッドフレーム20における他方の側壁部61側に配置された図示しないプラテン輪列機構に噛み合い可能とされている。プラテン輪列機構は、プラテンローラ45を駆動するための図示しない駆動用モータからの動力を受けて作動し、該動力を従動ギア52に伝達する役割を果たしている。
これにより、ヘッドユニット5とプラテンユニット6とを組み合わせた際、プラテンローラ45を回転させて記録紙Pの紙送りを行うことが可能とされている。
【0127】
(サーマルプリンタの作用)
次に、上述のように構成されたサーマルプリンタ1の作用について説明する。
はじめに、ヘッドユニット5とプラテンユニット6を組み合わせる場合について説明する。
この場合には、
図2に示すように、ロール状の記録紙Pをケーシング2の記録紙収納部16内に投入してセットした後、プリンタカバー3を閉操作することで、プラテンユニット6をヘッドユニット5に対して接近させることができる。そして、
図1に示すように、プリンタカバー3を完全に閉めることで、記録紙Pをサーマルヘッド25とプラテンローラ45との間に挟んだ状態で、ヘッドユニット5とプラテンユニット6を組み合わせることができる。
【0128】
なお、プリンタカバー3の閉操作に伴って、プラテンローラ45のプラテン軸受51が収容溝62の案内突起63及びロック爪部145の案内面145bで案内されながら収容溝62内に嵌まり込むように案内され、収容溝62内に収容される。この際、プラテン軸受51は、ロック爪部145を第3付勢部材160の付勢力に抗して、僅かに押し退けながら収容溝62内に嵌まり込む。
【0129】
ロックアーム140、150は、プラテン軸受51によって押された後、第3付勢部材160の付勢力によって揺動軸線O2回りを揺動して元の位置に復帰し、ロック爪部145を利用してプラテン軸受51を収容溝62の開放口62a側から押さえ付ける。
これにより、
図5に示すように、一対のロックアーム140、150を利用して、一対の収容溝62内に収容された一対のプラテン軸受51のそれぞれを押さえることができるので、収容溝62内からプラテン軸受51が抜け出てしまうことを防止することができる。従って、プラテンロック機構30を利用して、プラテンローラ45をロック状態に維持することができる。
【0130】
これにより、ヘッドユニット5とプラテンユニット6との組み合わせをロックすることができると同時にケーシング2に対するプリンタカバー3のロックも行うことができる。
なお、ヘッドユニット5とプラテンユニット6とが組み合わされることで、記録紙Pを間に挟んだ状態でサーマルヘッド25とプラテンローラ45とが所定の圧力で圧接される。また、記録紙Pは、可動刃26と固定刃46との間を通過した後、排出口18からケーシング2の外側に引き出された状態となる。さらに、プラテンローラ45の従動ギア52が、ヘッドユニット5側のプラテン輪列機構に噛み合った状態となる。
【0131】
次に、記録紙Pに対して各種情報の印刷を行う場合について簡単に説明する。
この場合には、駆動用モータを駆動して、プラテン輪列機構を介して従動ギア52を回転させる。これにより、プラテンローラ45を回転させることができ、サーマルヘッド25との間で挟みこまれた記録紙Pを排出口18に向けて紙送りさせることができる。
また、これと同時にサーマルヘッド25に印字データに応じた制御信号を出力して発熱素子を適宜発熱させる。これにより、紙送りされる記録紙Pに対して、各種の文字や図形等を明瞭に印刷することができる。
なお、印刷された記録紙Pは固定刃46と可動刃26との間を通過する。
【0132】
次に、記録紙Pを切断する場合について簡単に説明する。
この場合には、駆動用モータ75を駆動して
図9に示す駆動中間車76を回転させる。これにより、二段中間車77(大径中間車77a及び小径中間車77b)を介して駆動ピニオン78を回転させることができ、駆動ラック71を戻しラック130と共に矢印F1方向に移動させることができる。そのため、可動刃26を待機位置P2から切断位置P1まで移動させることができ、
図8に示すように記録紙Pを固定刃46との間で挟み込んで切断することができる。その結果、切断した記録紙Pを例えばレシートやチケット等として使用することが可能である。
【0133】
なお、記録紙Pの切断後、駆動用モータ75を逆回転させる。これにより、駆動中間車76及び二段中間車77を介して駆動ピニオン78を逆回転させることができ、
図9に示すように、駆動ラック71を戻しラック130と共に矢印F2方向に移動させることができる。そのため、可動刃26を切断位置P1から待機位置P2まで移動させて復帰させることができる。
【0134】
また、記録紙Pの切断の際、戻しピニオン131は、戻しギア132におけるギア歯部132bとの噛み合いが解除された状態となっており、空転が許容されている。そのため、可動刃26が切断位置P1に移動したときに、戻しラック130のラック歯130a、130bが戻しピニオン131が噛み合った場合であっても、戻しピニオン131を空転させることができる。従って、戻しピニオン131に影響されることなく、駆動ラック71及び戻しラック130を移動させることができ、記録紙Pの切断を行うことができる。
【0135】
次に、可動刃26と固定刃46との間に紙ジャムが発生した場合に、操作レバー28を操作することで、紙ジャムの解消を行いながら、プラテンユニット6のロック解除を行って、プリンタカバー3を開放する場合の一連の動作について説明する。
なお、記録紙Pの切断中に紙ジャムが発生した場合には、
図15に示すように、可動刃26が固定刃46に乗り上げた切断位置P1で停止した状態となってしまう。
【0136】
この場合には、
図15に示すように、第2付勢部材120の付勢力に抗して、操作レバー28をロック位置P3からロック解除位置P5側に向けて操作する。これにより、回転軸線O1を中心として操作レバー28を反時計方向に回転するように移動させることができ、操作レバー28の移動に伴って、インターナルギア135に噛み合っているプラネタリギア134を、プラネタリ軸111を中心として時計方向に自転させながら回転軸線O1を中心として反時計方向に公転させることができる。
そして、プラネタリギア134の回転に伴って、サンギア133及び戻しギア132を、回転軸線O1を中心として反時計方向に回転させることができる。
【0137】
操作レバー28が反時計方向に回転することで、
図16に示すように、押上げカム113が係合ピン95に対して接触し、係合ピン95を介してスイングプレート90に対して外力を付与する。そのため、さらなる操作レバー28の操作によって、
図17に示すように、押上げカム113でスイングプレート90を押上げることができ、第1付勢部材100の付勢力に抗して、ピニオン支持軸81を中心としてスイングプレート90を時計方向に揺動させることができる。
【0138】
これにより、スイングプレート90に取り付けられている二段中間車77を駆動中間車76から離間させることができ、二段中間車77と駆動中間車76との噛み合いを解除することができる。
従って、このときの操作レバー28の位置が噛合解除位置P4に相当する。
【0139】
また、スイングプレート90の揺動と同時に、操作レバー28の操作に伴ってサンギア133及び戻しギア132が反時計方向に回転するので、
図17に示すように、二段中間車77と駆動中間車76との噛み合いが解除されたタイミングで、戻しギア132の最初のギア歯部132bを戻しピニオン131に噛み合わせることができる。これにより、戻しピニオン131を時計方向に回転させることができる。
【0140】
そのため、
図17に示す噛合解除位置P4からロック解除位置P5側に向けて操作レバー28をさらに操作することで、
図18及び
図19に示すように戻しギア132の残りのギア歯部132bを戻しピニオン131に順次噛み合わせることができ、戻しピニオン131を継続的に時計方向に回転させることができる。
そのため、戻しピニオン131に噛み合っている戻しラック130を矢印F2方向に移動させることができ、可動刃26を切断位置P1から待機位置P2に強制的に復帰させることができる。これにより、固定刃46に対して可動刃26が重なった状態を解消することができ、紙ジャムを解除することができる。
【0141】
なお、戻しピニオン131を利用して可動刃26を待機位置P2に復帰させる際、戻しラック130と共に駆動ラック71も移動するので、駆動ピニオン78が回転する。このとき、先に述べたように、二段中間車77と駆動中間車76との噛み合いが解除されているので、駆動ピニオン78及びこれに噛み合っている二段中間車77をそれぞれ空転させることができる。そのため、駆動ピニオン78及び二段中間車77に影響されることなく、可動刃26を待機位置P2に復帰させることができおる。
【0142】
なお、可動刃26が待機位置P2に復帰することで、
図19に示すように、戻しラック130のラック歯130a、130bが戻しピニオン131から外れた状態となる。従って、可動刃26を待機位置P2に復帰させて紙ジャムの解除を行った段階で、戻しラック130のラック歯130a、130bと戻しピニオン131との噛み合いを解除することができる。
【0143】
また、
図19に示すように、可動刃26が待機位置P2に復帰したタイミングで、操作レバー28のレバー突部112が一方のロックアーム140の係合壁部146に対して接触し、係合壁部146を介してロックアーム140に対して外力を付与する。これにより、ロックアーム140を押上げることができ、第3付勢部材160の付勢力に抗して、プラテンユニット6側からヘッドユニット5側に向かうように、揺動軸線O2を中心にロックアーム140を揺動させることができる。そのため、ロックアーム140の揺動に伴って、ロック爪部145をプラテン軸受51から徐々に離間させることができる。
【0144】
そして、操作レバー28をさらに操作して、
図20に示すようにロック解除位置P5まで移動させることで、ロックアーム140を収容溝62からヘッドユニット5側に退避させることができ、ロック爪部145をプラテン軸受51から大きく離間させて、開放口62aを開放することができる。これにより、収容溝62内からのプラテン軸受51の離脱を許容させることができる。
【0145】
また、上述したロックアーム140の動きに連動させて、
図20に示すように、押上げアーム147を利用して、プラテン軸受51を収容溝62の溝底部62bから開放口62a側に向けて押上げることができる。特に、操作レバー28がロック解除位置P5に達したときに、
図20に示すように、押上げアーム147を利用して、案内突起63の頂点部63aよりも開放口62a側にプラテンローラ45のローラ中心が移動するようにプラテン軸受51を押上げることができる。
【0146】
なお、他方のロックアーム150は、連結軸部141を介して一方のロックアーム140と同期して作動するので、上述と同様に作動させることができる。
従って、操作レバー28をロック解除位置P5に位置させることで、プラテンロック機構30を利用してプラテンローラ45をロック解除状態に切り換えることができ、ヘッドユニット5とプラテンユニット6とを分離させることができる。その結果、プラテンユニット6が取り付けられたプリンタカバー3を開放することができる。
【0147】
以上説明したように、本実施形態の印字ユニット4及びサーマルプリンタ1によれば、ロックアーム140、150を利用して、収容溝62内からのプラテン軸受51の離脱を防止できるので、プラテンローラ45を確実にロックすることができる。しかも、ロックアーム140、150は、ロック状態を維持するように第3付勢部材160によって付勢されているので、意図せずに揺動軸線O2回りに揺動してロック状態が解除されてしまうことを防止することができる。
【0148】
さらに、操作レバー28の操作に連動して、ロックアーム140、150を収容溝62から退避させるだけでなく、押上げアーム147を利用してプラテン軸受51を開放口62a側に向けて強制的に押上げることができるので、第3付勢部材160の付勢力に影響されずにプラテンローラ45を収容溝62から離脱させることができる。従って、操作レバー28を過大な力で操作する必要がなく、僅かな操作力でプラテンローラ45のロックを解除することができ、ヘッドユニット5とプラテンユニット6とをスムーズに分離させることができる。
【0149】
しかも、プラテンローラ45のロック解除時、従来とは異なり、ロックアーム140、150をプラテンユニット6側からヘッドユニット5側に向けて揺動させるので、プラテンユニット6側にロックアーム140、150を可動させるための可動スペースを確保する必要がない。従って、その分、プラテンユニット6を小型化、薄型化することができ、印字ユニット4全体の外形サイズをコンパクトにすることができる。
【0150】
さらに、ロックアーム140、150を利用してプラテン軸受51を押さえるので、一方のプラテン軸受51がロックされ、他方のプラテン軸受51がロックされない或いはロックが不十分とされた、いわゆる片締まり(片上り)という不具合が生じ難い。そのため、片締まりを防止するための機構等を付加する必要がなく、設計の容易化を図ることができる。
さらに、ロックアーム140、150及び押上げアーム147を一体に形成して一部品としているので、部品点数を削減するこができ、構成の簡略化に繋げることができる。
【0151】
また、押上げアーム147を利用してプラテン軸受51を押上げる際、押上げアーム147が案内突起63の頂点部63aよりも開放口62a側にプラテンローラ45のローラ中心が移動するようにプラテン軸受51を大きく強制的に押上げる。そのため、収容溝62における開放口62a付近までプラテン軸受51を押上げて、ほぼ離脱させた状態に移行させることができるので、ヘッドユニット5とプラテンユニット6との分離作業をさらに容易に行うことができる。
【0152】
さらに、戻し機構29を具備しているので、固定刃46と可動刃26との間に紙ジャムが発生し、この紙ジャムによって可動刃26が切断位置P1に停止した場合であっても、操作レバー28の操作によって、紙ジャムを解除した後に、プラテンローラ45のロックを解除することができる。従って、非常に使い易い印字ユニット4及びサーマルプリンタ1とすることができる。
特に、操作レバー28をロック位置P3からロック解除位置P5に向けて操作することに伴って、紙ジャムの解除と、プラテンローラ45のロック解除とを一連の流れの中で連動して行うことができるので、より一層使い易い印字ユニット4及びサーマルプリンタ1とすることができる。
【0153】
それに加え、プラネタリギア134を利用した加速機構136を具備しているので、操作レバー28の操作ストローク量に対して戻しギア132の回転力を大きく確保することができる。従って、操作レバー28の操作ストローク量をより小さく抑えた状態で、可動刃26を待機位置P2側に戻すために必要な戻しギア132の回転量を確保することができる。これにより、操作レバー28の操作性を良好に確保できる。
【0154】
また、本実施形態の戻しギア132は、戻しピニオン131に対して最初に噛み合うギア歯部132bを、戻しギア132の径方向内側に退避させることが可能とされている。そのため、ギア歯部132bより確実に戻しピニオン131に対して噛み合わせることができる。
【0155】
この点について、簡単に説明する。
例えば
図17に示すように、戻しギア132のギア歯部132bが戻しピニオン131に噛み合う際に、戻しピニオン131におけるピニオン歯の歯先131aが、ギア歯部132bの歯先に対して当接することで、戻しギア132の回転が戻しピニオン131によって阻害される可能性が考えられる。
しかしながら、このような場合であっても、弾性アーム部132cの弾性変形によって、ギア歯部132bを戻しギア132の径方向内側へ向けて退避させることができる。これにより、戻しギア132の回転に伴って、ギア歯部132bを、ピニオン歯の歯先131aを乗り越えるように移動させることが可能となる。そのため、ピニオン歯の歯先131aを乗り越えた後、弾性アーム部132cの弾性復元力を利用して、ギア歯部132bを退避位置から元の位置に復帰させることができる。そのため、ギア歯部132bを、次のピニオン歯に対して噛み合わせることができる。
【0156】
次に、本発明の他の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態において、上述した実施形態と同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。したがって、ここでは上述した実施形態とは異なる点について主に説明する。
【0157】
図21~
図24は、本発明の他の実施形態に係るサーマルプリンタの一方の側面を示している。具体的には、
図21は、本発明の他の実施形態に係るサーマルプリンタを示す図であって、
図5に示す矢印A方向から見た側面図である。
図22は、
図21に示す状態から操作レバーを除去した状態を示す側面図である。
図23は、
図21に示す各機構の斜視図である。
図24は、
図23に示す状態から操作レバーを除去した状態を示す斜視図である。
【0158】
また、
図25~
図29は、本発明の他の実施形態に係るサーマルプリンタの他方の側面を示している。具体的には、
図25は、本発明の他の実施形態に係るサーマルプリンタにおいて、他方のロックアームの周辺を示す側面図である。
図26は、
図25に示す状態から操作レバーを除去した状態を示す側面図である。
図27は、
図25に示す各機構の斜視図である。
図28は、
図27に示す状態から操作レバーを除去した状態を示す斜視図である。
図29は、
図25に示すロックアームの要部拡大図である。
【0159】
図21~
図24に示すように、ヘッドフレーム20における一方の側壁部60には、駆動中間車76の噛合部を除く周囲を囲うように囲繞壁170が立設されている。一方、図示されていないが、側壁部60に取り付けられるギアカバー22の内面には、囲繞壁170に対応する位置に、この囲繞壁170の形状と一致する軸部が形成されている。これにより、ギアカバー22を側壁部60に取り付けられる際の位置決めの精度を高めることができる。
【0160】
また、本実施形態に係る一対のロックアーム140A、150Aのロック爪部145Aは、上述した実施形態のロックアーム140、150のロック爪部145とは異なる形状を有している。
図29に示すように、ロック爪部145Aは、ロック状態で開放口62aを通じた収容溝内62からのプラテン軸受51の離脱を防止する直線状の離脱防止面148Aを有している。そして、ロックアーム150Aの回転中心O2からプラテン軸受51の中心を通る線L1と離脱防止面148A(S1)とは、垂直に交わっている。このロック爪部145Aの形状の特徴は、ロックアーム140Aにおいても同様である。
【0161】
上述したように、本実施形態に係るプラテンロック機構30では、ロックアーム140A、150Aの回転中心からプラテン軸受51の中心O2を通った線とロックアーム140A、150Aのロック爪部145Aに形成された軸受保持面S1とが直角となる構造になっている。これにより、ロック状態時にプラテンローラ45が外力によって収容溝62から離脱する方向に引っ張られたとしても、ロックアーム140A、150Aを解除方向(すなわち、プラテン軸受51から離間する方向)に移動させる力が生じないため、プラテンローラ45の離脱を抑止することができる。
【0162】
また、本実施形態に係る左右の側壁部60、61は、線ばね等で構成されたプラテン支持ばね180、190を備えている。このプラテン支持ばね180、190は、プラテン軸受51を収容溝62内に保持するのを補助する付勢部材である。
【0163】
図21~
図24に示すように、プラテン支持ばね180は、一方の側壁部60とロックアーム140Aとの間に配設されている。プラテン支持ばね180の一端側には、収容溝62内のプラテン軸受51を離脱しない方向に押え付ける山型形状の軸受押圧部181が形成されている。プラテン支持ばね180の他端側は、連結軸部141周りに折り曲げられ、他端部182は、側壁部60に形成された係止部171を介して側壁部60に係止されている。
【0164】
図25~
図29に示すように、プラテン支持ばね190は、他方の側壁部61とロックアーム150Aとの間に配設されている。プラテン支持ばね190の一端側には、収容溝62内のプラテン軸受51を離脱しない方向に押え付ける山型形状の軸受押圧部191が形成されている。プラテン支持ばね190の他端側は、連結軸部141周りに折り曲げられ、他端部192は、側壁部61に形成された係止穴172を介して側壁部61に係止されている。
【0165】
上述のように構成されたプラテン支持ばね180、190によれば、軸受押圧部181、191は、収容溝62内のプラテン軸受51を溝底部62bの方向に常に付勢し、プラテンローラ45の保持を補助している。これにより、ロック状態時にロックアーム140A、150Aの離脱防止面148Aとプラテン軸受51との間に隙間があったとしても、その隙間によるガタを吸収してプラテン軸受51を保持することができる。この結果、上述したロックアーム140A、150Aの設計交差に余裕を持たせることができ、ロックアーム140A、150Aのスムーズな揺動と、上述した離脱防止面148Aによるプラテン軸受51の確実な防止と、を実現可能である。
また、プラテン支持ばね180、190軸受押圧部181は、山型形状に形成されているので、プラテンローラ45を離脱させる際に、その離脱動作を必要以上に妨げることはない。
【0166】
次に、本発明の他の実施形態の変形例を図面に基づいて説明する。なお、本変形例では、上述した実施形態と同一の部材には同一の符号を付してその説明を省略し、上述した実施形態とは異なる点について主に説明する。具体的には、操作レバー28がロック位置P3からロック解除位置P5側に向けて移動することに伴って、操作レバー28側のプラテン支持ばね180がプラテン軸受51の保持を解除する方向に揺動し、これにより開放口62aを通じた収容溝62内からのプラテン軸受51の離脱が許容されることについて説明する。
【0167】
図30は、本発明の他の実施形態の変形例に係るサーマルプリンタを示す図であって、ロックアーム周辺部を内側面から見た要部斜視図である。なお、
図30では、上述した実施形態とは異なる構成を見易く示すために一部省略されているが、これら省略された部品は、実際には上述した実施形態と同様に存在している。
【0168】
図30に示すように、スイングプレート90の内側面にはボス形状の突起部96が形成されている。この突起部96には、スイングプレート90が揺動するとプラテン支持ばね180の一端部183が当接するようになっている。したがって、操作レバー28の押下げ操作でスイングプレート90が揺動すると、それに連動して、プラテン支持ばね180の一端部183および軸受押圧部181がプラテン軸受51とは反対側に押下げられる。この一連の動作について、
図31~
図33に基づいて説明する。なお、これらの
図31~
図33においても、上述した実施形態とは異なる構成を見易く示すために一部省略されているが、これら省略された部品は、実際には上述した実施形態と同様に存在している。
【0169】
図31Aは、本発明の他の実施形態の変形例における第1段階(ロック状態)を示す、操作レバー28の外側面から見た要部側面図である。
図31Bは、
図31Aに示す第1段階(ロック状態)を操作レバー28の内側面から見た要部側面図である。
図32Aは、
図31Aに示す状態から、操作レバーを押下げ操作した第2段階(中間状態)を示す要部側面図である。
図32Bは、
図32Aに示す第2段階(中間状態)を操作レバーの内側面から見た要部側面図である。
図33Aは、
図32Aに示す状態から、操作レバーを押下げ操作した第3段階(ロック解除状態)を示す要部側面図である。
図33Bは、
図33Aに示す第3段階(ロック解除状態)を操作レバーの内側面から見た要部側面図である。
【0170】
図31Aに示すように,第1段階(ロック状態)では、スイングプレート90の第2プレート部93に形成された係合ピン95は、操作レバー28のレバープレート110に形成された押上げカム113には当接していない。また、
図31Bに示すように、スイングプレート90の突起部96は、プラテン支持ばね180の一端部183と当接していない。したがって、この第1段階(ロック状態)においては、プラテン支持ばね180の軸受押圧部181は、収容溝62内のプラテン軸受51を溝底部62bの方向に付勢し、プラテンローラ45の保持を補助している
【0171】
図32Aに示すように,第2段階(中間状態)では、操作レバー28の押下げ操作によって、スイングプレート90の係合ピン95と操作レバー28の押上げカム113とが当接する。そして、更に操作レバー28が押下げられることによって、スイングプレート90が挿通孔91に挿通されたピニオン支持軸81を中心に
図32Bの矢印X方向に搖動する。
図32Bに示すように、スイングプレート90の搖動に伴って、突起部96とプラテン支持ばね180の一端部183とが当接し、プラテン支持ばね180の一端部183側は、プラテン軸受51から離れる方向に押下げられる。これにより、プラテン支持ばね180の軸受押圧部181は、収容溝62内のプラテン軸受51から離れる方向に退避し、プラテン軸受51の離脱経路が開放される。
【0172】
図33Aに示すように、第3段階(ロック解除状態)では、操作レバー28が
図32A、
図32Bに示す状態より更に押下げられることによって、ロックアーム140Aが収容溝62から退避する方向に搖動するとともに、押上げアーム147がプラテン軸受51を開放口62a側に向けて強制的に押上げる。この際、ロック状態時にプラテンローラ45の保持を補助していたプラテン支持ばね180は、既に上述した第2段階(中間状態)で収容溝62から退避しているので、収容溝62内のプラテン軸受51を円滑に開放口62aを通じて離脱させることができる。
【0173】
以上のように、本変形例によれば、プラテンローラ45の保持を補助するプラテン支持ばね180を備えることにより、ロック状態時にロックアーム140Aの離脱防止面148Aとプラテン軸受51との間に隙間があったとしても、その隙間によるガタを吸収してプラテン軸受51を保持することができる。また、ロック解除時に、押上げアーム147がプラテン軸受51を押上げる前に、プラテン支持ばね180がプラテン軸受51の保持を解除して収容溝62から退避する方向に揺動するので、円滑なプラテンローラ45の離脱を実現することができる。この結果、プラテンローラ45の開放に必要な操作レバー28の押下力の低減を図ることが可能となり、操作性の向上を図ることができる。
【0174】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0175】
例えば、上記実施形態では、固定刃46をプリンタカバー3(具体的にはプラテンユニット6)に設け、可動刃26をケーシング2(具体的にはヘッドユニット5)に設けた例について説明したが、この場合に限定されるものではない。例えば固定刃46をケーシング2側に設け、可動刃26をプリンタカバー3側に設けても構わない。
ただし、上記実施形態のように、固定刃46をプリンタカバー3に設けることで、可動刃26を駆動する駆動機構27をプリンタカバー3に設ける必要がないので、プリンタカバー3の軽量化を図ることができ、プリンタカバー3の開閉操作性を良好に確保することができる。
【0176】
さらに上記実施形態では、固定刃46を固定した状態に保持し、操作レバー28で可動刃26を待機位置P2に戻すことにより、紙ジャムを取り除く例について説明したが、この場合に限定されるものではない。例えば、操作レバー28で可動刃26を待機位置P2に戻す際に、固定刃46を可動刃26から離間するように構成しても良い。この場合には、例えば固定刃46を可動刃26から離す動作についても、操作レバー28で操作できるように構成しても良い。
【0177】
さらに上記実施形態では、操作レバー28を、ケーシング2に設けられた操作レバー19の回動動作に連動させた例について説明したが、この場合に限定されるものではない。例えば、操作レバー28の先端部をケーシング2の外側に露出させて、ケーシング2の外側から操作レバー28を直接操作できるように構成しても良い。
【0178】
さらに上記実施形態では、加速機構136をサンギア133、プラネタリギア134及びインターナルギア135で構成した例について説明したが、例えば加速機構136を他の構成とすることも可能である。
さらに、上記実施形態では、戻し機構29を具備した場合を例に挙げて説明したが、戻し機構29は必須なものではなく、具備しなくても構わない。さらに戻し機構29を具備する場合であっても、他の構成を採用しても構わない。
【0179】
さらに、上記実施形態では、一対のロックアーム140、150を利用して、一対のプラテン軸受51の両方を押さえる構成としたが、この場合に限定されるものではなく、1つのロックアームを利用して少なくとも一方のプラテン軸受51を押さえる構成としても構わない。
【符号の説明】
【0180】
P…記録紙
P1…切断位置
P2…待機位置
P3…ロック位置
P5…ロック解除位置
O2…揺動軸線
1…サーマルプリンタ
2…ケーシング(プリンタ本体)
3…プリンタカバー
4…印字ユニット
5…ヘッドユニット
6…プラテンユニット
16…記録紙収納部
25…サーマルヘッド
26…可動刃
27…駆動機構
28…操作レバー
29…戻し機構
30…プラテンロック機構
45…プラテンローラ
46…固定刃
51…プラテン軸受
62…収容溝
62a…開放口
62b…溝底部
63…案内突起
71…駆動ラック
90…スイングプレート
96…突起部
130…戻しラック
130a、130b…ラック歯
131…戻しピニオン
132…戻しギア
133…サンギア
134…プラネタリギア
135…インターナルギア
140、140A、150、150A…ロックアーム
141…連結軸部
145、145A…ロック爪部
147…押上げアーム
148A…離脱防止面
160…第3付勢部材(付勢部材)
180、190…プラテン支持ばね
183…一端部