(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】媒体搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/00 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
B65H31/00 Z
(21)【出願番号】P 2020132871
(22)【出願日】2020-08-05
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北川 康彦
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-007093(JP,A)
【文献】特開2018-158835(JP,A)
【文献】特開2002-362763(JP,A)
【文献】特開2015-124016(JP,A)
【文献】特開2006-036504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/00-31/40
B41J 11/00-11/70
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排紙トレイ本体に支持される排紙トレイ延伸部分と、
前記排紙トレイ延伸部分が延伸位置または短縮位置に配置されるように、
駆動源により生成される動力を用いて前記排紙トレイ延伸部分を前記排紙トレイ本体に対して並進させる排紙トレイ伸縮機構と、
前記排紙トレイ延伸部分が前記延伸位置に配置されているときに媒体を前記排紙トレイ本体に載置する搬送部とを備え、
前記排紙トレイ延伸部分が前記延伸位置に向かって移動する速さは、前記排紙トレイ延伸部分が前記短縮位置に向かって移動する速さより遅い
媒体搬送装置。
【請求項2】
前記駆動源は、駆動軸を正回転させ、または、前記駆動軸を逆回転させ、
前記排紙トレイ伸縮機構は、
前記駆動軸が正回転するときに第1軸を正回転させ、前記駆動軸が逆回転するときに第2軸を逆回転させる第1機構と、
前記第1軸が正回転するときに出力軸を正回転させ、前記第2軸が逆回転するときに前記出力軸を逆回転させる第2機構と、
前記出力軸が正回転するときに前記排紙トレイ延伸部分を前記延伸位置に向かって並進させ、前記出力軸が逆回転するときに前記排紙トレイ延伸部分を前記短縮位置に向かって並進させる第3機構とを有し、
前記第2機構は、前記駆動軸が単位量だけ正回転したときに前記出力軸が正回転する回転量が、前記駆動軸が前記単位量だけ逆回転したときに前記出力軸が逆回転する回転量より
小さくなるように形成される
請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
前記第1機構は、
前記駆動軸の回転を遊星歯車に伝達する太陽歯車機構と、
前記駆動軸が正回転するときに、前記第1軸に固定される第1歯車に前記遊星歯車を噛み合わせて前記第2軸に固定される第2歯車から前記遊星歯車を離し、前記駆動軸が逆回転するときに、前記第2歯車に前記遊星歯車を噛み合わせて前記第1歯車から前記遊星歯車を離す遊星歯車機構とを含む
請求項2に記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
前記第1機構は、
前記駆動軸が正回転する回転速度より前記第1軸が正回転する回転速度が小さくならないように、前記駆動軸から前記第1軸に回転を伝達したり遮断したりする第1ワンウェイクラッチと、
前記駆動軸が逆回転する回転速度より前記第2軸が逆回転する回転速度が小さくならないように、前記駆動軸から前記第2軸に回転を伝達したり遮断したりする第2ワンウェイクラッチとを含み、
前記第2機構は、前記出力軸が逆回転するときに、前記出力軸の回転が前記第1軸に伝達されないように回転を遮断する逆入力遮断クラッチを含む
請求項2に記載の媒体搬送装置。
【請求項5】
前記第3機構は、
前記排紙トレイ延伸部分に加わる負荷が閾値より小さいときに、前記出力軸の回転を前記排紙トレイ延伸部分の並進に変換し、前記負荷が前記閾値より大きいときに、前記出力軸の回転を前記排紙トレイ延伸部分の並進に変換しないトルクリミッタを含む
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項6】
前記駆動軸が正回転するときに前記排紙トレイ本体を開放位置に向かって移動させ、前記駆動軸が逆回転するときに前記排紙トレイ本体を閉鎖位置に向かって移動させる排紙トレイ開閉機構をさらに備え、
前記搬送部は、前記排紙トレイ本体が前記開放位置に配置されているときに前記媒体を前記排紙トレイ本体に載置する
請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項7】
前記排紙トレイ開閉機構は、
前記排紙トレイ本体に加わる負荷が閾値より大きいときに、前記駆動軸の回転を前記排紙トレイ本体の移動に変換しないで、前記負荷が前記閾値より小さいときに、前記駆動軸の回転を前記排紙トレイ本体の移動に変換するトルクリミッタを有する
請求項6に記載の媒体搬送装置。
【請求項8】
前記排紙トレイ伸縮機構は、前記排紙トレイ本体が前記開放位置に配置された後に前記排紙トレイ延伸部分が前記延伸位置に配置されるように、かつ、前記排紙トレイ本体が前記閉鎖位置に配置される前に前記排紙トレイ延伸部分が前記短縮位置に配置されるように、前記排紙トレイ延伸部分を並進させる
請求項6または請求項7に記載の媒体搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、媒体搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙が載置されるトレイを自動的に伸縮させる媒体搬送装置が設けられた画像読取装置が知られている。このような画像読取装置は、使用されていないときにコンパクトになり、使用されるときにトレイを延伸させる必要がなく、ユーザの操作を容易化することができる(特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-51361号公報
【文献】特開2020-7093号公報
【文献】特開2018-158835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、画像読取装置は、モータトルクが小さい駆動源をトレイの伸縮に利用した場合に、減速比が大きい減速機を利用する必要があり、このとき、トレイを伸縮する時間が長時間化するという問題がある。
【0005】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、排紙トレイを伸縮させる駆動源に加わる負荷を低減し、排紙トレイの短縮に要する時間を短縮する媒体搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による媒体搬送装置は、排紙トレイ本体に支持される排紙トレイ延伸部分と、前記排紙トレイ延伸部分が延伸位置または短縮位置に配置されるように、駆動源により生成される動力を用いて前記排紙トレイ延伸部分を前記排紙トレイ本体に対して並進させる排紙トレイ伸縮機構と、前記排紙トレイ延伸部分が前記延伸位置に配置されているときに媒体を前記排紙トレイ本体に載置する搬送部とを備えている。前記排紙トレイ延伸部分が前記延伸位置に向かって移動する速さは、前記排紙トレイ延伸部分が前記短縮位置に向かって移動する速さより遅い。
【発明の効果】
【0007】
開示の媒体搬送装置は、排紙トレイを伸縮させる駆動源に加わる負荷を低減することができ、かつ、排紙トレイの短縮に要する時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施例1の媒体搬送装置が設けられた画像読取装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施例1の媒体搬送装置が設けられた画像読取装置を示す側面断面図である。
【
図3】
図3は、排紙トレイ5が格納されているときの画像読取装置を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、排紙トレイ5が格納されているときの画像読取装置を示す側面断面図である。
【
図5】
図5は、排紙トレイ展開格納機構を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、第1排紙トレイ伸縮機構と第2排紙トレイ伸縮機構とを示す斜視図である。
【
図7】
図7は、減速比切替機構を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、遊星歯車が第2位置に配置されたときの減速比切替機構を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、排紙トレイが展開されるときの排紙トレイの挙動を示す状態遷移側面図である。
【
図10】
図10は、排紙トレイが格納されるときの排紙トレイの挙動を示す側面状態遷移図である。
【
図11】
図11は、排紙トレイが展開されるときの排紙トレイ角度と排紙トレイ長さとの関係を示すグラフである。
【
図12】
図12は、排紙トレイが格納されるときの排紙トレイ角度と排紙トレイ長さとの関係を示すグラフである。
【
図13】
図13は、実施例2の媒体搬送装置の減速比切替機構を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願が開示する実施形態にかかる媒体搬送装置について、図面を参照して説明する。なお、以下の記載により本開示の技術が限定されるものではない。また、以下の記載においては、同一の構成要素に同一の符号を付与し、重複する説明を省略する。
【実施例1】
【0010】
実施例1の媒体搬送装置は、
図1に示されているように、画像読取装置1に設けられている。
図1は、実施例1の媒体搬送装置が設けられた画像読取装置1を示す斜視図である。画像読取装置1は、画像読取装置本体2と給紙トレイ3と排紙トレイ5とを備えている。画像読取装置本体2は、箱型に形成され、画像読取装置1が設置される設置面に載置される。
【0011】
給紙トレイ3は、画像読取装置本体2の奥側に配置され、給紙トレイ本体10と第1延伸部分11と第2延伸部分12とを備えている。給紙トレイ本体10は、開放位置または閉鎖位置に配置されるように、画像読取装置本体2に支持されている。第1延伸部分11は、第1延伸位置または第1短縮位置に配置されるように、給紙トレイ本体10に対して並進可能に給紙トレイ本体10に支持されている。第2延伸部分12は、第2延伸位置または第2短縮位置に配置されるように、第1延伸部分11に対して並進可能に第1延伸部分11に支持されている。
【0012】
給紙トレイ3は、第1延伸部分11が第1延伸位置に配置され、第2延伸部分12が第2延伸位置に配置されることにより、延伸する。給紙トレイ3には、給紙トレイ3が延伸しているときに、概ね平坦である給紙トレイ載置面14が形成される。給紙トレイ3は、給紙トレイ本体10が開放位置に配置され、かつ、給紙トレイ3が延伸されることにより、展開される。給紙トレイ3は、給紙トレイ3が展開されるときに、
図1に示されているように、給紙トレイ載置面14が斜め上方を向くように、配置される。
【0013】
給紙トレイ3は、図示されていないストッパをさらに備えている。ストッパは、給紙トレイ本体10が開放位置に配置されるときに、給紙トレイ本体10が画像読取装置本体2に対して移動しないように、給紙トレイ本体10を画像読取装置本体2に固定する。ストッパは、さらに、第1延伸部分11が第1延伸位置に配置されるときに、第1延伸部分11が給紙トレイ本体10に対して移動しないように、第1延伸部分11を給紙トレイ本体10に固定する。ストッパは、さらに、第2延伸部分12が第2延伸位置に配置されるときに、第2延伸部分12が第1延伸部分11に対して移動しないように、第2延伸部分12を第1延伸部分11に固定する。ストッパは、ユーザの操作により、第2延伸部分12が第2短縮位置に配置されるように、第2延伸部分12の固定を解除する。ストッパは、ユーザの操作により、第1延伸部分11が第1短縮位置に配置されるように、第1延伸部分11の固定を解除する。ストッパは、ユーザの操作により、給紙トレイ本体10が閉鎖位置に配置されように、給紙トレイ本体10の固定を解除する。
【0014】
排紙トレイ5は、画像読取装置本体2の上側に配置され、排紙トレイ本体15と第1延伸部分16と第2延伸部分17とを備えている。
図2は、実施例1の媒体搬送装置が設けられた画像読取装置1を示す側面断面図である。排紙トレイ本体15は、開放位置または閉鎖位置に配置されるように、回転軸18を中心に回転可能に画像読取装置本体2に支持されている。回転軸18は、画像読取装置1における主走査方向に平行であり、画像読取装置1が設置される設置面6に沿う平面に平行である。第1延伸部分16は、第1延伸位置または第1短縮位置に配置されるように、排紙トレイ本体15に対して並進可能に排紙トレイ本体15に支持されている。第2延伸部分17は、第2延伸位置または第2短縮位置に配置されるように、第1延伸部分16に対して並進可能に第1延伸部分16に支持されている。
【0015】
排紙トレイ5は、第1延伸部分16が第1延伸位置に配置され、第2延伸部分17が第2延伸位置に配置されることにより、延伸する。排紙トレイ5には、排紙トレイ5が延伸しているときに、概ね平坦である排紙トレイ載置面19が形成される。排紙トレイ5は、排紙トレイ本体15が開放位置に配置され、かつ、排紙トレイ5が延伸されることにより、展開される。排紙トレイ5は、排紙トレイ5が展開されるときに、排紙トレイ載置面19が斜め上方を向くように、配置される。
【0016】
画像読取装置本体2の内部には、搬送路21が形成されている。搬送路21は、屈曲した曲面に沿うように形成されている。搬送路21の一端は、画像読取装置本体2の内部のうちの奥側の領域に配置され、展開している給紙トレイ3のうちの画像読取装置本体2に近い側の端に接続されている。搬送路21の他端は、画像読取装置本体2の内部のうちの上側の領域に配置され、展開している排紙トレイ5のうちの画像読取装置本体2に近い側の端の近傍に配置されている。
【0017】
画像読取装置1は、分離部22と搬送部23と読取部24とをさらに備えている。分離部22は、ピックローラ25を備えている。ピックローラ25は、搬送路21のうちの給紙トレイ3に近い側の端に配置され、搬送路21の上部に配置されている。分離部22は、ピックローラ25が回転していないときに、給紙トレイ3に載置される媒体が搬送路21に供給されないように、媒体を保持している。分離部22は、ピックローラ25が正回転することにより、給紙トレイ3に載置される複数の媒体から1つの媒体を分離し、その分離された1つの媒体を搬送路21に供給する。
【0018】
搬送部23は、複数のローラを備えている。搬送部23は、複数のローラがそれぞれ正回転することにより、分離部22により搬送路21に供給された媒体を搬送路21に沿って排紙トレイ5に向けて搬送する。搬送部23は、複数のローラがそれぞれ正回転することにより、さらに、搬送路21に沿って搬送された媒体を、展開している排紙トレイ5に載置する。
【0019】
読取部24は、下側撮像部27と上側撮像部28とを備えている。下側撮像部27は、棒状に形成され、CIS(Contact Image Sensor)タイプのイメージセンサから形成されている。下側撮像部27は、画像読取装置本体2の内部のうちの搬送路21の下側に配置され、主走査方向に平行である直線に沿うように配置されている。下側撮像部27は、搬送路21に沿って搬送される媒体のうちの下側撮像部27に対向する下側面の画像を撮像する。上側撮像部28は、棒状に形成され、CISタイプのイメージセンサから形成されている。上側撮像部28は、画像読取装置本体2の内部のうちの搬送路21の上側に配置され、主走査方向に平行である他の直線に沿うように配置されている。上側撮像部28は、搬送路21に沿って搬送される媒体のうちの上側撮像部28に対向する上側面の画像を撮像する。
【0020】
図3は、排紙トレイ5が格納されているときの画像読取装置1を示す斜視図である。
図4は、排紙トレイ5が格納されているときの画像読取装置1を示す側面断面図である。排紙トレイ5の第1延伸部分16は、第1延伸位置から第1短縮方向に並進することにより、第1短縮位置に向かって移動する。第1延伸部分16は、第1短縮位置に配置されることにより、排紙トレイ本体15の内部に配置される。第2延伸部分17は、第2延伸位置から第2短縮方向に並進することにより、第2短縮位置に向かって移動する。第2延伸部分17は、第2短縮位置に配置されることにより、第1延伸部分16の内部に配置される。排紙トレイ5は、第1延伸部分16が第1短縮位置に配置され、第2延伸部分17が第2短縮位置に配置されることにより、短縮する。排紙トレイ本体15は、開放位置から閉鎖方向に回転することにより、閉鎖位置に向かって移動する。排紙トレイ5は、排紙トレイ5が短縮している場合で、排紙トレイ本体15が閉鎖位置に配置されることにより、画像読取装置本体2の上面に沿うように配置され、画像読取装置本体2に格納される。
【0021】
排紙トレイ本体15は、閉鎖位置から閉鎖方向の反対の開放方向に回転することにより、開放位置に向かって移動する。第1延伸部分16は、第1短縮位置から第1短縮方向の反対の第1延伸方向に並進することにより、第1延伸位置に向かって移動する。第2延伸部分17は、第2短縮位置から第2短縮方向の反対の第2延伸方向に並進することにより、第2延伸位置に向かって移動する。
【0022】
給紙トレイ3の第2延伸部分12は、
図4に示されているように、第2短縮位置に配置されることにより、第1延伸部分11の内部に配置される。第1延伸部分11は、第1短縮位置に配置されることにより、給紙トレイ本体10の内部に配置される。給紙トレイ3は、第1延伸部分11が第1短縮位置に配置され、第2延伸部分12が第2短縮位置に配置されることにより、短縮する。給紙トレイ3は、給紙トレイ3が短縮しているときに、給紙トレイ本体10が閉鎖位置に配置されることにより、画像読取装置本体2に格納されている排紙トレイ5の上側に配置され、画像読取装置本体2に格納される。画像読取装置1は、給紙トレイ3と排紙トレイ5とがこのように格納されることにより、画像読取装置1が格納される空間を小さくすることができる。
【0023】
画像読取装置1は、
図5に示されているように、排紙トレイ展開格納機構31をさらに備えている。
図5は、排紙トレイ展開格納機構31を示す斜視図である。排紙トレイ展開格納機構31は、駆動軸32と展開格納用モータ33と排紙トレイ開閉機構34とを備えている。駆動軸32は、棒状に形成されている。駆動軸32は、回転軸35に沿うように画像読取装置本体2の内部のうちの回転軸18の下部に配置され、回転軸35を中心に回転可能に画像読取装置本体2に支持されている。回転軸35は、回転軸18に平行である。展開格納用モータ33は、画像読取装置本体2の内部に配置されている。展開格納用モータ33は、回転軸35を中心に駆動軸32を正回転させ、または、回転軸35を中心に駆動軸32を逆回転させる。
【0024】
排紙トレイ開閉機構34は、開閉用歯車36とトルクリミッタ37と扇形歯車38とを備えている。開閉用歯車36は、回転軸35を中心に回転可能に画像読取装置本体2に支持されている。トルクリミッタ37は、駆動軸32が正回転するときに開閉用歯車36が正回転するように、駆動軸32が逆回転するときに開閉用歯車36が逆回転するように、駆動軸32の回転を開閉用歯車36に伝達する。トルクリミッタ37は、駆動軸32の回転が開閉用歯車36に伝達されるときに加わる負荷が、予め定められた閾値より大きいときに、駆動軸32の回転を開閉用歯車36に伝達しない。扇形歯車38は、排紙トレイ5の排紙トレイ本体15に固定され、すなわち、回転軸18を中心に回転可能に画像読取装置本体2に支持されている。扇形歯車38は、開閉用歯車36に噛み合っている。すなわち、排紙トレイ開閉機構34は、駆動軸32が正回転するときに排紙トレイ本体15が開放方向に回転するように、駆動軸32が逆回転するときに排紙トレイ本体15が閉鎖方向に回転するように、駆動軸32の回転を排紙トレイ本体15に伝達する。
【0025】
排紙トレイ開閉機構34は、図示されていないストッパをさらに備えている。ストッパは、排紙トレイ本体15が開放位置に配置されるときに、排紙トレイ本体15が開放方向に回転しないように、排紙トレイ本体15を画像読取装置本体2に固定する。ストッパは、さらに、排紙トレイ本体15が閉鎖位置に配置されるときに、排紙トレイ本体15が閉鎖方向に回転しないように、排紙トレイ本体15を画像読取装置本体2に固定する。
【0026】
排紙トレイ展開格納機構31は、
図6に示されているように、第1排紙トレイ伸縮機構41と第2排紙トレイ伸縮機構42とをさらに備えている。
図6は、第1排紙トレイ伸縮機構41と第2排紙トレイ伸縮機構42とを示す斜視図である。第1排紙トレイ伸縮機構41は、出力軸43と減速比切替機構44と回転並進変換機構45とを備えている。出力軸43は、回転可能に排紙トレイ本体15に支持されている。減速比切替機構44は、駆動軸32(
図5参照)が正回転するときに出力軸43が正回転するように、駆動軸32が逆回転するときに出力軸43が逆回転するように、駆動軸32の回転を出力軸43に伝達する。
【0027】
回転並進変換機構45は、複数の歯車46とトルクリミッタ47とラック48とを備えている。複数の歯車46は、それぞれ、回転可能に排紙トレイ本体15に支持され、回転が伝達されるように、互いに噛み合っている。トルクリミッタ47は、出力軸43が正回転するときに複数の歯車46のうちの1つの出力軸側歯車49が正回転するように、出力軸43が逆回転するときに出力軸側歯車49が逆回転するように、出力軸43の回転を出力軸側歯車49に伝達する。トルクリミッタ47は、出力軸43の回転を出力軸側歯車49に伝達するときに加わる負荷が、予め定められた閾値より大きいときに、出力軸43の回転を出力軸側歯車49に伝達しない。ラック48は、棒状に形成されている。ラック48は、第1延伸方向に平行である直線に沿うように配置され、第1延伸部分16に固定されている。複数の歯車46のうちの1つのラック側歯車50は、ラック48に噛み合っている。回転並進変換機構45は、出力軸43が正回転するときに第1延伸部分16が第1延伸方向に並進するように、出力軸43が逆回転するときに第1延伸部分16が第1短縮方向に並進するように、出力軸43の回転運動を第1延伸部分16の並進運動に変換する。
【0028】
第1排紙トレイ伸縮機構41は、さらに、図示されていないストッパを備えている。ストッパは、第1延伸部分16が第1延伸位置に配置されるときに、第1延伸部分16が第1延伸方向に移動しないように、第1延伸部分16を排紙トレイ本体15に固定する。ストッパは、さらに、第1延伸部分16が第1短縮位置に配置されるときに、第1延伸部分16が第1短縮方向に移動しないように、第1延伸部分16を排紙トレイ本体15に固定する。
【0029】
第2排紙トレイ伸縮機構42は、本体側ラック51と延伸部分側ラック52と複数の歯車53とを備えている。本体側ラック51は、棒状に形成されている。本体側ラック51は、第1延伸方向に平行である直線に沿うように配置され、排紙トレイ本体15に固定されている。延伸部分側ラック52は、棒状に形成されている。延伸部分側ラック52は、第2延伸方向に平行である直線に沿うように配置され、第2延伸部分17に固定されている。複数の歯車53は、それぞれ、回転可能に第1延伸部分16に支持され、回転が伝達されるように、互いに噛み合っている。複数の歯車53のうちの1つの歯車54は、本体側ラック51に噛み合っている。複数の歯車53のうちの他の1つの歯車55は、延伸部分側ラック52に噛み合っている。
【0030】
第2排紙トレイ伸縮機構42は、このように形成されることにより、第1延伸部分16が第1延伸方向に移動する並進運動を、第2延伸部分17が第2延伸方向に移動する並進運動に変換する。第2排紙トレイ伸縮機構42は、さらに、第1延伸部分16が第1短縮方向に移動する並進運動を、第2延伸部分17が第2短縮方向に移動する並進運動に変換する。第2排紙トレイ伸縮機構42は、さらに、第1延伸部分16が第1延伸位置に配置されたときに第2延伸部分17が第2延伸位置に配置されるように、形成されている。第2排紙トレイ伸縮機構42は、さらに、第1延伸部分16が第1短縮位置に配置されたときに第2延伸部分17が第2短縮位置に配置されるように、形成されている。
【0031】
図7は、減速比切替機構44を示す斜視図である。減速比切替機構44は、第1軸56と第2軸57と第1機構58と第2機構59とを備えている。第1軸56は、回転可能に排紙トレイ本体15に支持されている。第2軸57は、回転可能に排紙トレイ本体15に支持されている。第1機構58は、太陽歯車61と太陽歯車機構62と軸受63と遊星歯車64と遊星歯車機構65と第1歯車66と第2歯車67とを備えている。太陽歯車61は、排紙トレイ本体15の内部に配置され、回転軸68を中心に回転可能に排紙トレイ本体15に支持されている。
【0032】
太陽歯車機構62は、伸縮用駆動軸71と回転伝達機構72と駆動軸側傘歯車73と太陽歯車側傘歯車74とを備えている。伸縮用駆動軸71は、棒状に形成され、回転軸18に沿うように配置され、回転軸18を中心に回転可能に排紙トレイ本体15に支持されている。回転伝達機構72は、
図5に示されているように、複数の歯車を備えている。複数の歯車は、回転可能に画像読取装置本体2に支持され、互いに噛み合っている。回転伝達機構72は、駆動軸32が正回転するときに伸縮用駆動軸71が正回転するように、駆動軸32が逆回転するときに伸縮用駆動軸71が逆回転するように、駆動軸32の回転を伸縮用駆動軸71に伝達する。駆動軸側傘歯車73は、
図7に示されているように、伸縮用駆動軸71に固定されている。太陽歯車側傘歯車74は、太陽歯車61に固定されている。太陽歯車側傘歯車74は、駆動軸側傘歯車73に噛み合っている。すなわち、太陽歯車機構62は、駆動軸32が正回転するときに太陽歯車61が正回転するように、駆動軸32が逆回転するときに太陽歯車61が逆回転するように、駆動軸32の回転を太陽歯車61に伝達する。
【0033】
軸受63は、回転軸68を中心に回転可能に排紙トレイ本体15に支持されている。遊星歯車64は、回転軸69を中心に回転可能に軸受63に支持されている。回転軸69は、回転軸68に平行であり、回転軸68から離れている。遊星歯車64は、軸受63が回転軸68を中心に回転することにより、第1位置または第2位置に配置される。遊星歯車64は、軸受63が回転軸68を中心に回転した場合でも、太陽歯車61が正回転するときに遊星歯車64が正回転するように、太陽歯車61が逆回転するときに遊星歯車64が逆回転するように、太陽歯車61に常に噛み合っている。
【0034】
遊星歯車機構65は、太陽歯車61が正回転するときに、遊星歯車64を第1位置に向かって移動させ、遊星歯車64を第1位置に配置する。遊星歯車機構65は、太陽歯車61が逆回転するときに、遊星歯車64を第2位置に向かって移動させ、遊星歯車64を第2位置に配置する。第1歯車66は、第1軸56に固定されている。第1歯車66は、遊星歯車64が第1位置に配置されているときに、
図7に示されているように、遊星歯車64に噛み合う。第2歯車67は、第2軸57に固定されている。第2歯車67は、遊星歯車64が第1位置に配置されているときに、遊星歯車64から離れている。このため、第1機構58は、駆動軸32が正回転するときに、第1軸56が正回転するように駆動軸32の回転を第1軸56に伝達し、第2軸57が太陽歯車61の回転と無関係に空回りすることができるように、駆動軸32の回転を第2軸57に伝達しない。
【0035】
図8は、遊星歯車64が第2位置に配置されたときの減速比切替機構44を示す斜視図である。第2歯車67は、遊星歯車64が第2位置に配置されているときに、遊星歯車64に噛み合う。第1歯車66は、遊星歯車64が第2位置に配置されているときに、遊星歯車64から離れている。このため、第1機構58は、駆動軸32が逆回転するときに、第2軸57が逆回転するように駆動軸32の回転を第2軸57に伝達し、第1軸56が太陽歯車61の回転と無関係に空回りすることができるように、駆動軸32の回転を第1軸56に伝達しない。
【0036】
第2機構59は、出力歯車75と小径歯車76と大径歯車77とを備えている。出力歯車75は、出力軸43に固定されている。小径歯車76は、第1軸56に固定され、出力歯車75に噛み合っている。すなわち、第2機構59は、第1軸56が正回転しているときに出力軸43が正回転するように、第1軸56の回転を出力軸43に伝達する。大径歯車77は、第2軸57に固定され、出力歯車75に噛み合っている。すなわち、第2機構59は、第2軸57が逆回転しているときに出力軸43が逆回転するように、第2軸57の回転を出力軸43に伝達する。
【0037】
小径歯車76の歯数を第1歯車66の歯数で除算した第1歯数比は、大径歯車77の歯数を第1歯車66の歯数で除算した第2歯数比より小さい。このため、第1軸56が単位回転数だけ正回転したときに出力軸43が正回転する回転数の絶対値は、第2軸57が単位回転数だけ逆回転したときに出力軸43が逆回転する回転数の絶対値より小さい。このとき、第1軸56が単位回転数だけ正回転したときに出力軸43が正回転する回転数の絶対値は、第2軸57が単位回転数だけ逆回転したときに出力軸43が逆回転する回転数の絶対値より小さくなる。すなわち、第2機構59は、第1軸56または第2軸57が回転するときに出力軸43がこのように回転するように、第1軸56または第2軸57の回転を出力軸43に伝達する。
【0038】
[画像読取装置1の動作]
ユーザは、画像読取装置1を用いて複数の媒体の画像を読み取りたいときに、給紙トレイ3を展開し、複数の媒体が給紙トレイ載置面14に対向するように、複数の媒体を給紙トレイ3に載置する。給紙トレイ3に載置された複数の媒体は、給紙トレイ載置面14が傾斜していることにより、重力により分離部22に向かって移動し、分離部22に接触することにより分離部22に保持される。ユーザは、複数の媒体が給紙トレイ3に適切に載置された後に、画像読取装置1を起動する。
【0039】
展開格納用モータ33は、画像読取装置1が起動されると、駆動軸32を正回転させる。排紙トレイ展開格納機構31の伸縮用駆動軸71は、駆動軸32が正回転すると、回転伝達機構72を介して駆動軸32の回転が伝達され、正回転する。太陽歯車61は、伸縮用駆動軸71が正回転すると、駆動軸側傘歯車73と太陽歯車側傘歯車74とを介して伸縮用駆動軸71の回転が伝達され、正回転する。遊星歯車64は、太陽歯車61が正回転するときに、遊星歯車機構65により第1位置に向かって移動し、第1位置に配置される。第1軸56は、遊星歯車64が第1位置に配置されることにより、伸縮用駆動軸71の回転が伝達され、正回転する。出力軸43は、第1軸56が正回転するときに、第2機構59を介して第1軸56の回転が伝達され、正回転する。
【0040】
排紙トレイ5の第1延伸部分16は、出力軸43が正回転するときに、回転並進変換機構45を介して出力軸43の回転が第1延伸部分16の並進運動に変換されることにより、第1延伸方向に並進し、第1延伸位置に配置される。第2延伸部分17は、第1延伸部分16が第1延伸方向に並進するときに、第2排紙トレイ伸縮機構42を介して第1延伸部分16の並進運動が第2延伸部分17の並進運動に変換されることにより、第2延伸方向に並進する。第2延伸部分17は、第1延伸部分16が第1延伸位置に配置されることにより、第2延伸位置に配置される。排紙トレイ5は、第1延伸部分16が第1延伸位置に配置され、第2延伸部分17が第2延伸位置に配置されることにより、延伸する。
【0041】
第1延伸部分16は、第1延伸部分16が第1延伸位置に配置されたときに、第1延伸部分16が第1延伸方向に移動しないように、第1排紙トレイ伸縮機構41により排紙トレイ本体15に固定される。このため、トルクリミッタ47には、第1延伸部分16が第1延伸位置に配置される場合で、伸縮用駆動軸71が正回転するときに、閾値より大きい負荷が加わる。回転並進変換機構45は、閾値より大きい負荷がトルクリミッタ47に加わるときに、出力軸43の回転を第1延伸部分16の並進運動に変換しないで、展開格納用モータ33などに不具合が発生することを防止する。
【0042】
排紙トレイ本体15は、伸縮用駆動軸71が正回転するときに、排紙トレイ開閉機構34を介して駆動軸32の回転が伝達され、開放方向に回転し、開放位置に配置される。排紙トレイ5は、排紙トレイ本体15が開放位置に配置され、かつ、排紙トレイ5が延伸されることにより、展開される。排紙トレイ本体15は、開放位置に配置されるときに、排紙トレイ本体15が開放方向に回転しないように、排紙トレイ開閉機構34により画像読取装置本体2に固定される。このため、排紙トレイ開閉機構34のトルクリミッタ37には、排紙トレイ本体15が開放位置に配置される場合で、伸縮用駆動軸71が正回転するときに、閾値より大きい負荷が加わる。排紙トレイ開閉機構34は、閾値より大きい負荷がトルクリミッタ37に加わるときに、駆動軸32の回転を排紙トレイ本体15に伝達しないで、展開格納用モータ33などに不具合が発生することを防止する。
【0043】
分離部22は、画像読取装置1が起動されると、給紙トレイ3に載置されている複数の媒体を1つずつ搬送路21に供給する。搬送部23は、分離部22により搬送路21に供給された媒体を搬送路21に沿って搬送する。読取部24は、搬送路21に沿って搬送される媒体の画像を撮像する。搬送部23は、画像が撮像された媒体をさらに搬送路21に沿って搬送し、展開された排紙トレイ5に載置する。
【0044】
展開格納用モータ33は、給紙トレイ3に載置された複数の媒体の全部が搬送路21に供給された後に、駆動軸32を逆回転させる。このとき、駆動軸32が逆回転する角速度の絶対値は、排紙トレイ5が展開するときに駆動軸32が正回転する角速度の絶対値に等しい。伸縮用駆動軸71は、駆動軸32が逆回転すると、回転伝達機構72を介して駆動軸32の回転が伝達され、逆回転する。太陽歯車61は、伸縮用駆動軸71が逆回転すると、駆動軸側傘歯車73と太陽歯車側傘歯車74とを介して伸縮用駆動軸71の回転が伝達され、逆回転する。遊星歯車64は、太陽歯車61が逆回転するときに、遊星歯車機構65により第2位置に向かって移動し、第2位置に配置される。第2軸57は、遊星歯車64が第2位置に配置されることにより、伸縮用駆動軸71の回転が伝達され、逆回転する。出力軸43は、第2軸57が逆回転するときに、第2機構59を介して第2軸57の回転が伝達され、逆回転する。このとき、第2機構59は、第2歯数比が比較的大きいことにより、出力軸43を高速に逆回転させることができる。
【0045】
排紙トレイ5の第1延伸部分16は、出力軸43が高速に逆回転するときに、回転並進変換機構45を介して出力軸43の回転が第1延伸部分16の並進運動に変換されることにより、第1短縮方向に高速で並進し、第1短縮位置に配置される。第2延伸部分17は、第1延伸部分16が第1短縮方向に高速で並進するときに、第2排紙トレイ伸縮機構42を介して第1延伸部分16の並進運動が第2延伸部分17の並進運動に変換されることにより、第2短縮方向に高速で並進する。第2延伸部分17は、第1延伸部分16が第1短縮位置に配置されることにより、第2短縮位置に配置される。排紙トレイ5は、第1延伸部分16が第1短縮位置に配置され、第2延伸部分17が第2短縮位置に配置されることにより、短縮する。このとき、排紙トレイ5は、出力軸43が高速に逆回転していることにより、排紙トレイ5が延伸する時間より短い時間で短縮されることができる。
【0046】
第1延伸部分16は、第1延伸部分16が第1短縮位置に配置されたときに、第1延伸部分16が第1短縮方向に移動しないように、第1排紙トレイ伸縮機構41により排紙トレイ本体15に固定される。このため、トルクリミッタ47には、第1延伸部分16が第1短縮位置に配置される場合で、伸縮用駆動軸71が逆回転するときに、閾値より大きい負荷が加わる。回転並進変換機構45は、閾値より大きい負荷がトルクリミッタ47に加わるときに、出力軸43の回転を第1延伸部分16の並進運動に変換しないで、展開格納用モータ33などに不具合が発生することを防止する。
【0047】
排紙トレイ本体15は、伸縮用駆動軸71が逆回転するときに、排紙トレイ開閉機構34を介して駆動軸32の回転が伝達され、閉鎖方向に回転し、閉鎖位置に配置される。排紙トレイ5は、排紙トレイ本体15が閉鎖位置に配置され、第1延伸部分16が第1短縮位置に配置され、第2延伸部分17が第2短縮位置に配置されることにより、画像読取装置本体2に格納される。排紙トレイ本体15は、閉鎖位置に配置されるときに、排紙トレイ本体15が閉鎖方向に回転しないように、排紙トレイ開閉機構34により画像読取装置本体2に固定される。このため、排紙トレイ開閉機構34のトルクリミッタ37には、排紙トレイ本体15が閉鎖位置に配置される場合で、伸縮用駆動軸71が逆回転するときに、閾値より大きい負荷が加わる。排紙トレイ開閉機構34は、トルクリミッタ37に閾値より大きい負荷が加わるときに、駆動軸32の回転を排紙トレイ本体15に伝達しないで、展開格納用モータ33などに不具合が発生することを防止する。展開格納用モータ33は、排紙トレイ5が画像読取装置本体2に適切に格納された後に、駆動軸32が回転しないように、停止する。
【0048】
図9は、排紙トレイ5が展開されるときの排紙トレイ5の挙動を示す状態遷移側面図である。排紙トレイ5は、画像読取装置1が起動される前の初期に、画像読取装置本体2に格納されている。すなわち、排紙トレイ本体15は、閉鎖位置に配置され、第1延伸部分16は、第1短縮位置に配置され、第2延伸部分17は、第2短縮位置に配置されている。画像読取装置1が起動された後に、排紙トレイ本体15が開放方向に回転し始めるタイミングは、第1延伸部分16が第1延伸方向に移動し始めるタイミングに概ね等しく、第2延伸部分17が第2延伸方向に移動し始めるタイミングに概ね等しい。すなわち、排紙トレイ本体15が開放方向に回転している最中に、第1延伸部分16は、第1延伸方向に移動し、第2延伸部分17は、第2延伸方向に移動する。
【0049】
第2機構59は、第1歯数比が第2歯数比より小さいことにより、駆動軸32が正回転するときに、出力軸43が比較的低速で回転するように、駆動軸32の回転を出力軸43に伝達する。排紙トレイ5は、出力軸43が低速で回転することにより、低速で延伸する。排紙トレイ本体15は、排紙トレイ5が低速で延伸することにより、第1延伸部分16が第1延伸位置に配置される前に、すなわち、第2延伸部分17が第2延伸位置に配置される前に、開放位置に配置される。すなわち、第1歯数比は、排紙トレイ5が展開する場合で第1延伸部分16が第1延伸位置に到達する前に、排紙トレイ5が開放位置に到達するように、設計されている。
【0050】
第1延伸部分16は、排紙トレイ本体15が開放位置に配置された後に、第1延伸方向にさらに並進し、第1延伸位置に配置される。第2延伸部分17は、排紙トレイ本体15が開放位置に配置された後に、第2延伸方向にさらに並進し、第2延伸位置に配置される。排紙トレイ5は、このようにして、展開している給紙トレイ3に干渉しないように、適切に展開することができる。このとき、格納されている排紙トレイ5が展開されるまでに要する時間の長さは、排紙トレイ本体15が開放位置に配置された後に、排紙トレイ5がさらに延伸していることにより、排紙トレイ本体15が閉鎖位置から開放位置に移動する時間の長さより長い。
【0051】
図10は、排紙トレイ5が格納されるときの排紙トレイ5の挙動を示す側面状態遷移図である。排紙トレイ5は、媒体が搬送路21に供給されているときに、展開され、すなわち、排紙トレイ本体15は、開放位置に配置され、第1延伸部分16は、第1延伸位置に配置され、第2延伸部分17は、第2延伸位置に配置されている。給紙トレイ3の複数の媒体の全部が搬送路21に供給されたときに、排紙トレイ本体15が閉鎖方向に回転し始めるタイミングは、第1延伸部分16が第1短縮方向に移動し始めるタイミングに概ね等しく、第2延伸部分17が第2短縮方向に移動し始めるタイミングに概ね等しい。すなわち、第1延伸部分16が第1短縮方向に移動している最中に、および、第2延伸部分17が第2短縮方向に移動している最中に、排紙トレイ本体15は、閉鎖方向に回転する。
【0052】
第2機構59は、第1歯数比が第2歯数比より小さいことにより、駆動軸32が逆回転するときに、出力軸43が比較的高速で回転するように、駆動軸32の回転を出力軸43に伝達する。排紙トレイ5は、出力軸43が高速で回転することにより、高速で短縮する。排紙トレイ本体15は、排紙トレイ5が高速で短縮することにより、第1延伸部分16が第1短縮位置に配置されたタイミングに、閉鎖位置に到達していない。すなわち、第1歯数比は、排紙トレイ5が格納されるときに、排紙トレイ本体15が閉鎖位置に到達する前に第1延伸部分16が第1短縮位置に到達するように、設計されている。
【0053】
排紙トレイ本体15は、第1延伸部分16が第1短縮位置に配置された後に、かつ、第2延伸部分17が第2短縮位置に配置された後に、閉鎖方向にさらに回転し、閉鎖位置に配置される。排紙トレイ5は、このようにして、展開している給紙トレイ3に干渉しないように、画像読取装置本体2に適切に格納されることができる。このとき、展開している排紙トレイ5が格納されるまでに要する時間の長さは、排紙トレイ5が短縮した後に排紙トレイ本体15が閉鎖方向に回転することにより、排紙トレイ本体15が開放位置から閉鎖位置に移動する時間の長さに等しい。
【0054】
駆動軸32が逆回転する角速度の絶対値が、駆動軸32が正回転する角速度の絶対値と等しいことにより、排紙トレイ本体15が閉鎖位置から開放位置に移動する時間の長さは、排紙トレイ本体15が開放位置から閉鎖位置に移動する時間の長さと等しい。このため、展開している排紙トレイ5が格納されるまでに要する時間の長さは、排紙トレイ5が展開する時間が、排紙トレイ本体15が閉鎖位置から開放位置に移動する時間より長いことから、格納している排紙トレイ5が展開するまでに要する時間の長さより短い。すなわち、画像読取装置1は、排紙トレイ5が格納される時間を、排紙トレイ5が展開される時間より短くすることができる。画像読取装置1は、排紙トレイ5が格納される時間が短いことにより、展開格納用モータ33が駆動軸32を逆回転させる時間を短くすることができ、排紙トレイ5が格納されるときに、展開格納用モータ33が消費する電力量を低減することができる。
【0055】
第1延伸部分16は、排紙トレイ5が展開するときに、第1延伸部分16が第1延伸方向に並進することにより、重力に対抗して上昇する。第2延伸部分17に関しても、排紙トレイ5が展開するときに、第2延伸部分17が第2延伸方向に並進することにより、重力に対抗して上昇する。画像読取装置1は、排紙トレイ5が展開されるときに第1延伸部分16と第2延伸部分17とが低速で上昇することにより、排紙トレイ5が展開されるときに展開格納用モータ33に加わる負荷を低減することができる。
【0056】
第1延伸部分16は、排紙トレイ5が展開しているときに第1短縮方向が下向きであることにより、第1延伸部分16が第1延伸位置から第1短縮方向に並進し始めるときに、重力に従って加速する。第2延伸部分17に関しても、排紙トレイ5が展開しているときに第2短縮方向が下向きであることにより、第2延伸部分17が第2延伸位置から第2短縮方向に並進し始めるときに、重力に従って加速する。このため、画像読取装置1は、排紙トレイ5が短縮されるときに第1延伸部分16と第2延伸部分17とが高速で並進する場合でも、展開格納用モータ33に加わる負荷を大きく増加させずに、排紙トレイ5を短時間で短縮させることができる。
【0057】
図11は、排紙トレイ5が展開されるときの排紙トレイ角度と排紙トレイ長さとの関係を示すグラフである。排紙トレイ角度は、設置面6に沿う平面と、排紙トレイ本体15に沿う平面とがなす角を示している。排紙トレイ角度は、排紙トレイ本体15が閉鎖位置に配置されているときに、角度θ1に等しい。排紙トレイ角度は、排紙トレイ本体15が展開位置に配置されているときに、角度θ2に等しい。排紙トレイ長さは、排紙トレイ本体15のうちの回転軸18に近い側の端と、第2延伸部分17のうちの回転軸18から遠い側の端との間の距離を示している。排紙トレイ長さは、第1延伸部分16が第1短縮位置に配置され、かつ、第2延伸部分17が第2短縮位置に配置されているときに、長さL1に等しい。排紙トレイ長さは、第1延伸部分16が第1延伸位置に配置され、かつ、第2延伸部分17が第2延伸位置に配置されているときに、長さL2に等しい。
【0058】
図11のグラフのうちの点S1の排紙トレイ角度は、角度θ1に等しく、かつ、点S1の排紙トレイ長さは、長さL1に等しい。すなわち、点S1は、排紙トレイ5が格納されている格納状態に対応している。点S2の排紙トレイ角度は、角度θ2に等しく、かつ、点S2の排紙トレイ長さは、長さL2に等しい。すなわち、点S2は、排紙トレイ5が展開されている展開状態に対応している。
【0059】
折れ線78は、排紙トレイ5が展開されるときの排紙トレイ角度と排紙トレイ長さとの関係を示している。折れ線78は、排紙トレイ本体15が開放方向に回転している最中に、第1延伸部分16が第1延伸方向に並進し、かつ、第2延伸部分17が第2延伸方向に並進することを示している。折れ線78は、点S3を通り、排紙トレイ5が展開される途中に、点S3に対応する展開途中状態に排紙トレイ5が遷移することを示している。点S3の排紙トレイ角度は、角度θ2に等しく、点S3の排紙トレイ長さは、長さL3に等しい。長さL3は、長さL1より大きく、長さL2より小さい。折れ線78は、点S1と点S3とを線分で結んでおり、排紙トレイ5が格納状態から展開途中状態に遷移するときに、排紙トレイ角度の変化量に対する排紙トレイ長さの変化量が一定であることを示している。すなわち、折れ線78は、排紙トレイ5が格納状態から展開途中状態に遷移する場合で、排紙トレイ本体15が一定の角速度で開放方向に回転するときに、排紙トレイ5が一定の速度で延伸することを示している。
【0060】
折れ線78は、点S3と点S2とを線分で結んでおり、排紙トレイ5が展開途中状態から展開状態に遷移するときに、排紙トレイ本体15が開放位置に配置された状態で、排紙トレイ5が延伸していることを示している。
【0061】
図12は、排紙トレイ5が格納されるときの排紙トレイ角度と排紙トレイ長さとの関係を示すグラフである。折れ線79は、排紙トレイ5が格納されるときの排紙トレイ角度と排紙トレイ長さとの関係を示している。折れ線79は、排紙トレイ5が格納されるときに、排紙トレイ本体15が閉鎖方向に回転している最中に、第1延伸部分16が第1短縮方向に並進し、かつ、第2延伸部分17が第2短縮方向に並進することを示している。折れ線79は、点S4を通り、排紙トレイ5が格納されるときに、点S4に対応する格納途中状態に排紙トレイ5が遷移することを示している。点S4の排紙トレイ角度は、角度θ3に等しく、点S4の排紙トレイ長さは、長さL1に等しい。角度θ3は、角度θ1より大きく、角度θ2より小さい。折れ線79は、点S2と点S4とを線分で結んでおり、排紙トレイ5が展開状態から格納途中状態に遷移するときに、排紙トレイ角度の変化量に対する排紙トレイ長さの変化量が一定であることを示している。すなわち、折れ線79は、排紙トレイ5が展開状態から格納途中状態に遷移する場合で、排紙トレイ本体15が一定の角速度で閉鎖方向に回転するときに、排紙トレイ5が一定の速度で短縮することを示している。
【0062】
折れ線79は、点S4と点S1とを線分で結んでおり、排紙トレイ5が格納途中状態から格納状態に遷移するときに、排紙トレイ5が短縮し切った状態で、排紙トレイ本体15が閉鎖位置に向かって移動していることを示している。
【0063】
図11と
図12とは、さらに、点S1と点S3とを結ぶ線分の傾きが、点S4と点S2とを結ぶ線分の傾きより小さいことを示している。すなわち、
図11と
図12とは、展開時減速比が格納時減速比より小さいことを示している。展開時減速比は、駆動軸32が正回転するときに減速比切替機構44が駆動軸32の回転を出力軸43に伝達する減速比を示し、排紙トレイ5が展開されるときに出力軸43が正回転した回転量を、駆動軸32が正回転した回転量で除算した値を示している。格納時減速比は、駆動軸32が逆回転するときに減速比切替機構44が駆動軸32の回転を出力軸43に伝達する減速比を示し、排紙トレイ5が格納されるときに出力軸43が逆回転した回転量を、駆動軸32が逆回転した回転量で除算した値を示している。
【0064】
第1延伸部分16は、排紙トレイ5が展開するときに、第1延伸部分16が第1延伸方向に並進し、重力に対抗して上昇する。第2延伸部分17も、第1延伸部分16と同様に、排紙トレイ5が展開するときに、第2延伸部分17が第2延伸方向に並進し、重力に対抗して上昇する。このため、排紙トレイ5を展開させるときに出力軸43を正回転させるために必要であるトルクは、排紙トレイ5を格納させるときに出力軸43を逆回転させるために必要であるトルクより大きい。画像読取装置1は、展開時減速比が格納時減速比より小さいことにより、排紙トレイ5が展開されるときに出力軸43を大きいトルクで正回転させることができ、排紙トレイ5を適切に延伸させることができる。画像読取装置1は、展開時減速比が格納時減速比より小さいことにより、出力軸43を正回転させることに必要であるトルクが大きい場合でも、排紙トレイ5が展開されるときに展開格納用モータ33に加わる負荷を低減することができる。
【0065】
[実施例1の媒体搬送装置の効果]
実施例1の媒体搬送装置は、第1延伸部分16と第1排紙トレイ伸縮機構41と搬送部23とを備えている。第1延伸部分16は、排紙トレイ本体15に支持されている。第1排紙トレイ伸縮機構41は、第1延伸部分16が第1延伸位置または第1短縮位置に配置されるように、第1延伸部分16を排紙トレイ本体15に対して並進させる。搬送部23は、第1延伸部分16が第1延伸位置に配置されているときに媒体を排紙トレイ本体15に載置する。第1延伸部分16が第1延伸位置に向かって移動する速さは、第1延伸部分16が第1短縮位置に向かって移動する速さより遅い。
【0066】
実施例1の媒体搬送装置は、排紙トレイ5が延伸するときに、第1延伸部分16を移動させる動力を生成する展開格納用モータ33に加わる負荷を低減することができる。このため、実施例1の媒体搬送装置は、展開格納用モータ33が消費する電力を低減することができ、または、モータトルクが小さいモータを展開格納用モータ33に利用することができる。実施例1の媒体搬送装置は、モータトルクが小さいモータが展開格納用モータ33に利用されることにより、媒体搬送装置の製造コストを低減することができる。媒体搬送装置は、さらに、排紙トレイ5が格納される時間を短縮することができ、展開格納用モータ33が消費する電力量を低減することができる。
【0067】
また、実施例1の媒体搬送装置の展開格納用モータ33は、駆動軸32を正回転させ、または、逆回転させる。第1排紙トレイ伸縮機構41は、第1機構58と第2機構59と回転並進変換機構45とを備えている。第1機構58は、駆動軸32が正回転するときに第1軸56を正回転させ、駆動軸32が逆回転するときに第2軸57を逆回転させる。第2機構59は、第1軸56が正回転するときに出力軸43を正回転させ、第2軸57が逆回転するときに出力軸43を逆回転させる。回転並進変換機構45は、出力軸43が正回転するときに第1延伸部分16を第1延伸位置に向かって並進させ、出力軸43が逆回転するときに第1延伸部分16を第1短縮位置に向かって並進させる。第2機構59は、駆動軸32が単位量だけ正回転したときに出力軸43が正回転する回転量が、駆動軸32が単位量だけ逆回転したときに出力軸43が逆回転する回転量より小さくなるように形成されている。
【0068】
実施例1の媒体搬送装置は、駆動軸32を正回転または逆回転させることにより、排紙トレイ5を容易に伸縮させることができる。実施例1の媒体搬送装置は、さらに、駆動軸32の正回転の角速度の絶対値と逆回転の角速度の絶対値とを異ならせることなく、排紙トレイが延伸する速度を、排紙トレイが短縮する速度より容易に遅くすることができる。
【0069】
また、実施例1の媒体搬送装置の第1機構58は、太陽歯車機構62と遊星歯車機構65とを備えている。太陽歯車機構62は、伸縮用駆動軸71の回転を遊星歯車64に伝達する。遊星歯車機構65は、伸縮用駆動軸71が正回転するときに、第1軸56に固定される第1歯車66に遊星歯車64を噛み合わせて第2軸57に固定される第2歯車67から遊星歯車64を離す。遊星歯車機構65は、伸縮用駆動軸71が逆回転するときに、第2歯車67に遊星歯車64を噛み合わせて第1歯車66から遊星歯車64を離す。実施例1の媒体搬送装置は、遊星歯車64を用いて、第1機構58を容易に形成することができる。
【0070】
また、実施例1の媒体搬送装置の回転並進変換機構45は、トルクリミッタ47を備えている。トルクリミッタ47は、第1延伸部分16に加わる負荷が閾値より小さいときに、出力軸43の回転を第1延伸部分16の並進に変換し、その負荷が閾値より大きいときに、出力軸43の回転を第1延伸部分16の並進に変換しない。実施例1の媒体搬送装置は、第1延伸部分16が第1延伸位置または第1短縮位置に配置されたタイミングで伸縮用駆動軸71の回転を停止させる必要がなく、第1延伸部分16を第1延伸位置または第1短縮位置に容易に配置することができる。たとえば、実施例1の媒体搬送装置は、伸縮用駆動軸71を十分に正回転させることにより、第1延伸部分16を第1延伸位置に容易に配置することができる。実施例1の媒体搬送装置は、伸縮用駆動軸71を十分に逆回転させることにより、第1延伸部分16を第1短縮位置に容易に配置することができる。
【0071】
また、実施例1の媒体搬送装置は、排紙トレイ開閉機構34をさらに備えている。排紙トレイ開閉機構34は、伸縮用駆動軸71が正回転するときに排紙トレイ本体15を開放位置に向かって移動させ、伸縮用駆動軸71が逆回転するときに排紙トレイ本体15を閉鎖位置に向かって移動させる。このとき、搬送部23は、排紙トレイ本体15が開放位置に配置されているときに媒体を排紙トレイ本体15に載置する。実施例1の媒体搬送装置は、第1延伸部分16が移動する最中に排紙トレイ本体15を移動させることにより、排紙トレイ5を展開したり格納したりする時間を短縮することができる。
【0072】
また、実施例1の媒体搬送装置の排紙トレイ開閉機構34は、トルクリミッタ37を備えている。トルクリミッタ37は、排紙トレイ本体15に加わる負荷が閾値より大きいときに、伸縮用駆動軸71の回転を排紙トレイ本体15の移動に変換しない。トルクリミッタ37は、排紙トレイ本体15に加わる負荷が閾値より小さいときに、伸縮用駆動軸71の回転を排紙トレイ本体15の移動に変換する。実施例1の媒体搬送装置は、排紙トレイ本体15が開放位置または閉鎖位置に配置されたタイミングで駆動軸32の回転を停止させる必要がなく、排紙トレイ本体15を開放位置または閉鎖位置に容易に配置することができる。たとえば、実施例1の媒体搬送装置は、駆動軸32を十分に正回転させることにより、排紙トレイ本体15を開放位置に容易に配置することができる。実施例1の媒体搬送装置は、駆動軸32を十分に逆回転させることにより、排紙トレイ本体15を閉鎖位置に容易に配置することができる。
【0073】
また、実施例1の媒体搬送装置の第1排紙トレイ伸縮機構41は、排紙トレイ5が展開されるときに、排紙トレイ本体15が開放位置に配置された後に第1延伸部分16が第1延伸位置に配置されるように、第1延伸部分16を並進させる。第1排紙トレイ伸縮機構41は、排紙トレイ5が格納されるときに、排紙トレイ本体15が閉鎖位置に配置される前に第1延伸部分16が第1短縮位置に配置されるように、第1延伸部分16を並進させる。実施例1の媒体搬送装置は、排紙トレイ5が展開されるときに、排紙トレイ5が延伸し終わる前に、排紙トレイ本体15を開放方向に回転させることにより、展開格納用モータ33に加わる負荷を低減することができる。実施例1の媒体搬送装置は、排紙トレイ5が格納されるときに、排紙トレイ本体15が閉鎖位置に配置される前に、排紙トレイ5を短縮し終えることにより、排紙トレイ5が給紙トレイ3に干渉しないように、排紙トレイ5を適切に格納することができる。
【0074】
ところで、既述の実施例1の媒体搬送装置の減速比切替機構44は、遊星歯車64を利用して展開時減速比を格納時減速比より小さくしているが、遊星歯車64を利用しないで展開時減速比を格納時減速比より小さくしてもよい。
【実施例2】
【0075】
実施例2の媒体搬送装置は、
図13に示されているように、既述の実施例1の媒体搬送装置の減速比切替機構44が他の減速比切替機構80に置換され、他の部分は、既述の実施例1の媒体搬送装置と同じである。
図13は、実施例2の媒体搬送装置の減速比切替機構80を示す斜視図である。減速比切替機構80は、第1軸81と第2軸82と第1機構83と第2機構84とを備えている。第1軸81は、回転軸18を中心に回転可能に排紙トレイ本体15に支持されている。第2軸82は、回転軸18を中心に回転可能に排紙トレイ本体15に支持されている。
【0076】
第1機構83は、既述の伸縮用駆動軸71と回転伝達機構72とを備え、第1ワンウェイクラッチ85と第2ワンウェイクラッチ86とを備えている。第1ワンウェイクラッチ85は、伸縮用駆動軸71が正回転する角速度が、第1軸81が正回転する角速度より小さくならないように、伸縮用駆動軸71の回転を第1軸81に伝達したり伝達しなかったりする。たとえば、第1ワンウェイクラッチ85は、伸縮用駆動軸71がある角速度で正回転するときに、その角速度と等しい角速度で第1軸81が正回転するように、伸縮用駆動軸71の回転を第1軸81に伝達する。第1ワンウェイクラッチ85は、伸縮用駆動軸71が逆回転するときに、第1軸81が回転しないように、伸縮用駆動軸71の回転を第1軸81に伝達しない。
【0077】
第2ワンウェイクラッチ86は、伸縮用駆動軸71が逆回転する角速度が、第2軸82が逆回転する角速度より小さくならないように、伸縮用駆動軸71の回転を第2軸82に伝達したり伝達しなかったりする。たとえば、第2ワンウェイクラッチ86は、伸縮用駆動軸71がある角速度で逆回転するときに、その角速度と等しい角速度で第2軸82が逆回転するように、伸縮用駆動軸71の回転を第2軸82に伝達する。第2ワンウェイクラッチ86は、伸縮用駆動軸71が正回転するときに、第2軸82が逆回転することができるように、伸縮用駆動軸71の回転を第2軸82に伝達しない。すなわち、第1機構83は、駆動軸32が正回転するときに、駆動軸32の回転を第1軸81に伝達し、第1軸81を正回転させる。第1機構83は、駆動軸32が逆回転するときに、駆動軸32の回転を第2軸82に伝達し、第2軸82を逆回転させる。
【0078】
第2機構84は、複数の第1歯車87と小径歯車88と逆入力遮断クラッチ89とを備えている。複数の第1歯車87は、それぞれ、回転可能に排紙トレイ本体15に支持され、互いに噛み合っている。複数の第1歯車87のうちの1つの傘歯車91は、第1軸81に固定されている。小径歯車88は、回転可能に排紙トレイ本体15に支持され、出力歯車75に噛み合っている。逆入力遮断クラッチ89は、複数の第1歯車87のうちの1つの歯車92が正回転するときに小径歯車88が正回転するように、歯車92の回転を小径歯車88に伝達する。逆入力遮断クラッチ89は、小径歯車88が逆回転するときに歯車92が逆回転しないように、小径歯車88の回転を歯車92に伝達しない。
【0079】
第2機構84は、複数の第2歯車94と大径歯車95とをさらに備えている。複数の第2歯車94は、それぞれ、回転可能に排紙トレイ本体15に支持され、互いに噛み合っている。複数の第2歯車94のうちの1つの傘歯車96は、第2軸82に固定されている。大径歯車95は、回転可能に排紙トレイ本体15に支持され、複数の第2歯車94のうちの1つの歯車97に固定され、出力歯車75に噛み合っている。このとき、小径歯車88の歯数を歯車92の歯数で除算した第1歯数比は、大径歯車95の歯数を歯車97の歯数で除算した第2歯数比より小さい。すなわち、第1軸81が単位回転数だけ正回転したときに出力軸43が正回転する回転数は、第2軸82が単位回転数だけ逆回転したときに出力軸43が逆回転する回転数より小さい。
【0080】
すなわち、減速比切替機構80は、このように形成されることにより、駆動軸32が正回転するときに、駆動軸32の回転を出力軸43に伝達し、出力軸43を正回転させる。減速比切替機構80は、駆動軸32が逆回転するときに、駆動軸32の回転を出力軸43に伝達し、出力軸43を逆回転させる。このとき、駆動軸32が正回転するときに減速比切替機構80が駆動軸32の回転を出力軸43に伝達する展開時減速比は、駆動軸32が逆回転するときに減速比切替機構80が駆動軸32の回転を出力軸43に伝達する格納時減速比より小さい。
【0081】
[実施例2の媒体搬送装置の動作]
展開格納用モータ33は、排紙トレイ5を展開させるときに、駆動軸32を正回転させる。伸縮用駆動軸71は、駆動軸32が正回転すると、回転伝達機構72を介して駆動軸32の回転が伝達され、正回転する。第1軸81は、伸縮用駆動軸71が正回転すると、第1ワンウェイクラッチ85を介して伸縮用駆動軸71の回転が伝達され、正回転する。出力軸43は、第1軸81が正回転すると、第2機構84の複数の第1歯車87と逆入力遮断クラッチ89とを介して第1軸81の回転が伝達され、正回転する。
【0082】
第2ワンウェイクラッチ86は、伸縮用駆動軸71が正回転していることにより、伸縮用駆動軸71が正回転する角速度より小さい角速度で第2軸82が正回転することができるように、伸縮用駆動軸71の回転を第2軸82に伝達していない。このため、第2軸82は、出力軸43が正回転すると、第2機構84の複数の第2歯車94を介して出力軸43の回転が伝達され、第2歯数比が第1歯数比より大きいことにより、伸縮用駆動軸71が正回転する角速度より小さい角速度で正回転する。
【0083】
排紙トレイ5の第1延伸部分16は、出力軸43が正回転すると、回転並進変換機構45を介して第1延伸方向に低速で並進し、第1延伸位置に配置される。第2延伸部分17は、第1延伸部分16が第1延伸方向に低速で並進すると、第2排紙トレイ伸縮機構42を介して第2延伸方向に低速で並進する。第2延伸部分17は、第1延伸部分16が第1延伸位置に配置されることにより、第2延伸位置に配置される。排紙トレイ本体15は、駆動軸32が正回転すると、排紙トレイ開閉機構34を介して駆動軸32の回転が伝達され、開放方向に回転し、開放位置に配置される。排紙トレイ5は、排紙トレイ本体15が開放位置に配置され、かつ、第1延伸部分16が第1延伸位置に配置され、かつ、第2延伸部分17が第2延伸位置に配置されることにより、展開される。
【0084】
展開格納用モータ33は、排紙トレイ5を格納させるときに、駆動軸32を逆回転させる。このとき、駆動軸32が逆回転する角速度の絶対値は、排紙トレイ5が展開するときに駆動軸32が正回転する角速度の絶対値に等しい。伸縮用駆動軸71は、駆動軸32が逆回転すると、回転伝達機構72を介して駆動軸32の回転が伝達され、逆回転する。第2軸82は、伸縮用駆動軸71が逆回転すると、第2ワンウェイクラッチ86を介して伸縮用駆動軸71の回転が伝達され、逆回転する。出力軸43は、第2軸82が逆回転すると、第2機構84を介して第2軸82の回転が伝達され、逆回転する。
【0085】
逆入力遮断クラッチ89は、出力軸43が逆回転すると、歯車92が逆回転しないように、出力軸43の回転を歯車92に伝達しない。さらに、第1ワンウェイクラッチ85は、伸縮用駆動軸71が逆回転していることにより、第1軸81が逆回転しないように、伸縮用駆動軸71の回転を第1軸81に伝達していない。このため、第1軸81は、出力軸43が逆回転すると、出力軸43の回転と伸縮用駆動軸71の回転の両方が伝達されないで、逆回転しない。
【0086】
排紙トレイ5の第1延伸部分16は、出力軸43が逆回転するときに、回転並進変換機構45を介して第1短縮方向に並進し、第1短縮位置に配置される。第2延伸部分17は、第1延伸部分16が第1短縮方向に並進するときに、第2排紙トレイ伸縮機構42を介して第2短縮方向に並進する。第2延伸部分17は、第1延伸部分16が第1短縮位置に配置されることにより、第2短縮位置に配置される。排紙トレイ本体15は、駆動軸32が逆回転すると、排紙トレイ開閉機構34を介して駆動軸32の回転が伝達され、閉鎖方向に回転し、閉鎖位置に配置される。排紙トレイ5は、排紙トレイ本体15が閉鎖位置に配置され、かつ、第1延伸部分16が第1短縮位置に配置され、かつ、第2延伸部分17が第2短縮位置に配置されることにより、画像読取装置本体2に格納される。
【0087】
実施例2の媒体搬送装置は、既述の実施例1の媒体搬送装置と同様に、排紙トレイ5を延伸させるときに展開格納用モータ33に加わる負荷を低減することができ、かつ、排紙トレイ5の格納に要する時間を短縮することができる。実施例2の媒体搬送装置は、第1ワンウェイクラッチ85と第2ワンウェイクラッチ86とを用いて展開時減速比が格納時減速比より小さくした場合でも、逆入力遮断クラッチ89を用いて排紙トレイを問題なく展開したり格納したりすることができる。
【0088】
ところで、既述の実施例の媒体搬送装置の減速比切替機構44、80は、展開時減速比が格納時減速比より小さいが、展開時減速比が格納時減速比と等しい他の減速比切替機構に置換されてもよい。その減速比切替機構は、減速比切替機構44、80に比較して、より単純な機構で形成されることができる。このため、その減速比切替機構が設けられた媒体搬送装置は、既述の実施例の媒体搬送装置に比較して、製造コストを低減することができる。その媒体搬送装置の展開格納用モータ33は、排紙トレイ5を延伸させるときに駆動軸32を低速で正回転させ、排紙トレイ5を短縮させるときに駆動軸32を高速で正回転させる。その媒体搬送装置は、このように駆動軸32を回転させることにより、排紙トレイ5を延伸させるときに展開格納用モータ33に加わる負荷を低減することができ、かつ、排紙トレイ5の格納に要する時間を短縮することができる。
【0089】
ところで、既述の実施例の媒体搬送装置は、画像読取装置に利用されているが、他の装置に利用されてもよい。その装置としては、媒体に印字するプリンタが例示される。この場合も、媒体搬送装置は、排紙トレイ5を延伸させるときに展開格納用モータ33に加わる負荷を低減することができ、かつ、排紙トレイ5の格納に要する時間を短縮することができる。
【0090】
以上、実施例を説明したが、前述した内容により実施例が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、実施例の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0091】
1 :画像読取装置
2 :画像読取装置本体
5 :排紙トレイ
10:給紙トレイ本体
11:第1延伸部分
15:排紙トレイ本体
16:第1延伸部分
21:搬送路
23:搬送部
32:駆動軸
34:排紙トレイ開閉機構
37:トルクリミッタ
41:第1排紙トレイ伸縮機構
43:出力軸
44:減速比切替機構
45:回転並進変換機構
46:複数の歯車
47:トルクリミッタ
56:第1軸
57:第2軸
58:第1機構
59:第2機構
61:太陽歯車
62:太陽歯車機構
64:遊星歯車
65:遊星歯車機構
66:第1歯車
67:第2歯車
71:伸縮用駆動軸
75:出力歯車
76:小径歯車
77:大径歯車
80:減速比切替機構
81:第1軸
82:第2軸
83:第1機構
84:第2機構
85:第1ワンウェイクラッチ
86:第2ワンウェイクラッチ
88:小径歯車
89:逆入力遮断クラッチ
95:大径歯車