(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】加熱システム及び加熱システム用のプログラム
(51)【国際特許分類】
F24C 7/04 20210101AFI20240705BHJP
F24C 3/12 20060101ALI20240705BHJP
F24C 15/00 20060101ALI20240705BHJP
G06F 3/16 20060101ALI20240705BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
F24C7/04 301A
F24C3/12 E
F24C15/00 M
F24C15/00 H
F24C15/00 D
G06F3/16 630
G06F3/01 570
(21)【出願番号】P 2020161200
(22)【出願日】2020-09-25
【審査請求日】2023-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】片柳 秀一
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-041721(JP,A)
【文献】特表2013-503396(JP,A)
【文献】特開2019-159668(JP,A)
【文献】特開2020-003081(JP,A)
【文献】特開2019-078463(JP,A)
【文献】特開2019-002576(JP,A)
【文献】特開2018-181303(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 7/04
F24C 3/12
F24C 15/00
G06F 3/16
G06F 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱装置と、該加熱装置の運転に関する指示情報をユーザが所定の非接触方式で入力可能な第1の情報入力部と、該第1の情報入力部に入力された指示情報の内容を認識すると共に、該指示情報の内容に関する問合せ情報をユーザに対して出力する指示情報応答処理部とを備え、該指示情報応答処理部が出力した問合せ情報に応じてユーザから入力される回答情報を取得し、該回答情報が所定の回答情報である場合に、前記指示情報に応じて加熱装置の運転制御を実行するように構成された加熱システムであって、
前記問合せ情報に応じた回答情報を前記第1の情報入力部と異なる非接触方式でユーザが入力可能な第2の情報入力部と、該第2の情報入力部から前記所定の回答情報が得られることを必要条件として、前記指示情報に応じて加熱装置の運転制御を実行する回答情報応答処理部とを備え
、
前記第1の情報入力部は、前記指示情報を音声入力方式で入力可能な情報入力部であり、
前記第2の情報入力部は、前記回答情報をユーザの動作を被接触方式で入力可能な情報入力部であることを特徴とする加熱システム。
【請求項2】
請求項1記載の加熱システムにおいて、
前記回答情報応答処理部は、前記問合せ情報の出力後、所定時間内に、前記第2の情報入力部から前記所定の回答情報が得られない場合は、前記指示情報に応じた前記加熱装置の運転制御を実行しないことを特徴とする加熱システム。
【請求項3】
請求項1
または2に記載の加熱システムにおいて、
前記加熱装置と通信可能な通信端末をさらに備えており、該通信端末は前記第1の情報入力部と前記第2の情報入力部とのうちの少なくとも一方を備えていることを特徴とする加熱システム。
【請求項4】
請求項
3記載の加熱システムの前記通信端末に実装されたプログラムであって、
前記加熱装置と通信を行う処理と、前記指示情報応答処理部及び前記回答情報応答処理部の一方又は両方の少なくとも一部の処理とを実行するように構成されていることを特徴とする加熱システム用のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器、温風暖房機等の加熱装置を備えるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、加熱調理器等の加熱装置では、その運転操作を非接触で行い得るものが提案されている。例えば特許文献1には、ユーザが発する音声の入力情報に応じて加熱調理器の運転操作を行い得るシステムが提案されている。このようなシステムは、ユーザの手が調理作業等で汚れている場合、あるいは、調理作業を中断できない場合等に、加熱調理器を非接触で操作し得る点で利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
加熱調理器等の加熱装置の運転を音声入力等による非接触方式で操作する場合、外乱ノイズ等の影響で、加熱装置の誤操作がなされてしまう虞がある。例えば、音声入力による運転操作では、騒音が発生しやすい環境下では、ユーザが音声指示を発していないのに、加熱装置の不要な運転操作がなされたり、あるいは、ユーザが発した音声指示の内容が音声認識部で誤認識されて、該音声指示の内容と異なる運転操作がなされてしまう虞がある。
【0005】
ここで、前記特許文献1に見られるシステムでは、加熱調理器の誤操作を防止するために、ユーザからの音声指示(点火等の指示)が入力されたとき、それを確認するための問合せ音声を出力し、その問合せ音声に対して、ユーザが所定の回答音声を発したときに、ユーザからの音声指示に応じて加熱調理器の運転操作を実行するように構成されている。
【0006】
しかしながら、音声指示を誤認識しやすい環境下では、問合せ音声に応じてユーザが発する回答音声も誤認識されやすい。ひいては、加熱調理器の誤操作を防止する効果を十分には得られない虞がある。
【0007】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、加熱装置の運転の誤操作が発生するのを効果的に抑制しつつ、加熱装置の運転操作を非接触で行うことを可能とする加熱システムを提供することを目的とする。また、この加熱システム用のプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の加熱システムは、上記の目的を達成するために、加熱装置と、該加熱装置の運転に関する指示情報をユーザが所定の非接触方式で入力可能な第1の情報入力部と、該第1の情報入力部に入力された指示情報の内容を認識すると共に、該指示情報の内容に関する問合せ情報をユーザに対して出力する指示情報応答処理部とを備え、該指示情報応答処理部が出力した問合せ情報に応じてユーザから入力される回答情報を取得し、該回答情報が所定の回答情報である場合に、前記指示情報に応じて加熱装置の運転制御を実行するように構成された加熱システムであって、前記問合せ情報に応じた回答情報を前記第1の情報入力部と異なる非接触方式でユーザが入力可能な第2の情報入力部と、該第2の情報入力部から前記所定の回答情報が得られることを必要条件として、前記指示情報に応じて加熱装置の運転制御を実行する回答情報応答処理部とを備え、前記第1の情報入力部は、前記指示情報を音声入力方式で入力可能な情報入力部であり、前記第2の情報入力部は、前記回答情報をユーザの動作を被接触方式で入力可能な情報入力部であることを特徴とする(第1発明)。
【0009】
かかる第1発明によれば、第1の情報入力部と異なる非接触方式でユーザが入力可能な第2の情報入力部から前記所定の回答情報が得られることを必要条件として、第1の情報入力部に入力された指示情報に応じて加熱装置の運転制御が実行される。このため、指示情報応答処理部が、第1の情報入力部への外乱入力等に起因して、指示情報を誤認識しやすい状況下であっても、回答情報応答処理部は、問合せ情報に応じた回答情報を誤認識してしまうことが発生するのを抑制し得る。
【0010】
このため、指示情報応答処理部が認識した指示情報の内容が誤っているために、ユーザが該指示情報に応じた加熱装置の運転制御の実行を不許可とする回答情報を第2の情報入力部に入力したのに、誤った指示情報に応じた加熱装置の運転制御が実行されてしまうという事態が発生したり、あるいは、ユーザが、指示情報応答処理部により認識された指示情報に応じた加熱装置の運転制御の実行を許可とする回答情報(前記所定の回答情報)を第2の情報入力部に入力したのに、該指示情報に応じた加熱装置の運転制御が実行されないという事態が発生するのを抑制することが可能となる。
【0011】
よって、本発明の加熱システムによれば、加熱装置の運転の誤操作が発生するのを効果的に抑制しつつ、加熱装置の運転操作を非接触で行うことが可能となる。また、これによれば、ユーザは、第1の情報入力部に様々な指示情報を入力することを容易に実行することができる。
【0012】
上記第1発明では、前記回答情報応答処理部は、前記問合せ情報の出力後、所定時間内に、前記第2の情報入力部から前記所定の回答情報が得られない場合は、前記指示情報に応じた前記加熱装置の運転制御を実行しないことが好ましい(第2発明)。
【0013】
これによれば、ユーザは、指示情報応答処理部が認識した指示情報に応じた加熱装置の運転制御を不許可とする場合には、第2の情報入力部に前記所定の回答情報を入力することを省略できるので、加熱システムの利便性や使い勝手を高めることができる。
【0015】
上記第1発明又は第2発明では、前記加熱装置と通信可能な通信端末をさらに備えており、該通信端末は前記第1の情報入力部と前記第2の情報入力部とのうちの少なくとも一方を備えているという態様を採用し得る(第3発明)。
【0016】
これによれば、通信端末を第1の情報入力部や第2の情報入力部として使用できるので、加熱システムの利便性や使い勝手を高めることができる。また、加熱装置に第1の情報入力部や第2の情報入力部を備えることを省略できるので、該加熱装置の製造コストを低減することが可能となる。
【0017】
また、本発明の加熱システム用のプログラムは、上記第3発明の加熱システムの前記通信端末に実装されたプログラムであって、前記加熱装置と通信を行う処理と、前記指示情報応答処理部及び前記回答情報応答処理部の一方又は両方の少なくとも一部の処理とを実行するように構成されていることを特徴とする(第4発明)。
【0018】
これによれば、前記通信端末に上記プログラムをインストールしておくことで、該通信端末を加熱システムの構成要素として利用することを容易に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態の加熱システムの全体構成を示す図。
【
図2】
図1の加熱システムの制御に係る構成を示すブロック図。
【
図3】
図2に示す制御装置の処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態を
図1~
図3を参照して以下に説明する。
図1を参照して、本実施形態の加熱システム1は、加熱装置の一例としての加熱調理器2と、加熱調理器2のユーザが使用する通信端末50とを含む。
【0021】
加熱調理器2は、本実施形態では、例えばガスコンロであり、調理容器及びこれに収容される調理対象物を含む被加熱物(図示省略)を加熱する燃焼式の加熱部としての複数の(例えば3つの)コンロバーナ5と、各コンロバーナ5の上方で被加熱物を載置し得る五徳6とを加熱調理器2の上面に備える。また、加熱調理器2は、その前面で開閉可能に該加熱調理器2の筐体内に形成されたグリル庫7と、該グリル庫7に配置されたグリルバーナ8(
図2に示す)とを備える。
【0022】
加熱調理器2の前面には、各コンロバーナ5の点火、消火及び火力調整(加熱量調整)を行うための操作ボタン11が各コンロバーナ5毎に設けられている共に、グリルバーナ8の点火、消火及び火力調整を行うための操作ボタン14が設けられている。なお、各コンロバーナ5及びグリルバーナ8のそれぞれの点火及び消火用の操作部と、火力調整用の操作部とは各別の操作部であってもよい。
【0023】
加熱調理器2の前面には、さらに、プッシュオープン式のコンロ操作部12とグリル操作部15とが設けられている。この場合、コンロ操作部12を押し操作すると該コンロ操作部12が開いてコンロ操作パネル13が操作可能に露出するようになっている。詳細な図示は省略するが、コンロ操作パネル13は、各コンロバーナ5を使用した様々な自動調理運転に関する操作スイッチ等の複数の操作スイッチを含むと共に、各コンロバーナ5の作動等に関する様々な情報を表示する表示器を含む。
【0024】
また、グリル操作部15を押し操作すると該グリル操作部15が開いてグリル操作パネル16が操作可能に露出するようになっている。詳細な図示は省略するが、グリル操作パネル16は、グリルバーナ8を使用した様々な自動調理運転に関する操作スイッチ等の複数の操作スイッチを含むと共に、グリルバーナ8の作動等に関する様々の情報を表示する表示器を含む。
【0025】
加熱調理器2は、さらに
図2に示すように、加熱調理器2の全体の作動制御(各コンロバーナ5及びグリルバーナ8の作動制御を含む)を行う機能を有する制御装置20を備える。また、加熱調理器2は、音声入力部21、発音部22、ジェスチャーセンサ23及び通信装置24を備える。
【0026】
音声入力部21は、加熱調理器2の運転に関する指示情報(例えば各コンロバーナ5又はグリルバーナ8の点火、消火、火力調整等を行うための指示情報)を、ユーザが非接触方式の1形態としての音声により入力し得る要素であり、マイクにより構成される。本実施形態では、該音声入力部21が本発明における第1の情報入力部に相当するものである。
【0027】
発音部22は、音声情報や警報音等を出力可能な要素であり、スピーカにより構成される。
ジェスチャーセンサ23は、ユーザの動作を被接触方式で認識し得るセンサである。該ジェスチャーセンサとしては、例えば、赤外線等の電磁波、あるいは、超音波などの探査信号を出力し、その探査信号の反射信号からユーザの動作を認識し得るように構成された公知のセンサ、あるいは、カメラの撮像画像からユーザの動作を認識し得るように構成された公知のセンサ等を採用し得る。本実施形態では、該ジェスチャーセンサ23が、本発明における第2の情報入力部に相当するものである。
【0028】
通信装置24は、ユーザが使用する通信端末50等の外部機器との無線通信を行うための通信装置である。この場合、該通信装置24の無線通信の方式としては、例えばBluetooth(登録商標)、赤外線通信、Wi-Fi(登録商標)等を使用し得る。
【0029】
制御装置20は、例えばマイクロコンピュータ、メモリ(RAM、ROM等)、インターフェース回路等を含む1つ以上の電子回路ユニットにより構成される。この制御装置20には、加熱調理器2に備えられた複数のセンサ(前記ジェスチャーセンサ23を含む)の検出信号と、操作ボタン11,14及び操作パネル13,16のそれぞれの操作信号と、音声入力部21に入力された音声に応じた電気信号としての音声信号とが入力される。また、制御装置20は、通信装置24を介して通信端末50と通信を行うことが可能である。
【0030】
そして、制御装置20は、実装されたハードウェア構成及びプログラム(ソフトウェア構成)の両方又は一方により実現される機能として、各コンロバーナ5及びグリルバーナ8のそれぞれの作動制御(詳しくは、点火、消火、火力調整に係る作動制御)を行う機能、操作パネル13,16等の表示部の表示を制御する機能、発音部22から音声や警報音を出力させる機能等を有する。
【0031】
なお、各コンロバーナ5及びグリルバーナ8のそれぞれの作動制御(燃焼運転制御)は、より詳しくは、各コンロバーナ5及びグリルバーナ8のそれぞれに対応する図示しない燃料供給路に設けられた開閉弁及び火力調整弁、並びに、図示しない点火装置の作動制御を通じてなされる。
【0032】
また、制御装置20は、音声入力部21にユーザから音声により入力された指示情報に対する応答処理を実行する指示情報応答処理部20aとしての機能と、ジェスチャーセンサ23あるいは通信端末50から後述する如く入力される回答情報に対する応答処理を実行する回答情報応答処理部20bとを備える。これらの処理部20a,20bの詳細は後述する。
【0033】
通信端末50は、例えば、加熱調理器2のユーザが使用するスマートフォン、タブレット端末、フィーチャーフォン等の携帯型の通信端末により構成される。この通信端末50は、
図2に示すように、通信端末50の作動制御を行う制御装置51と、外部との無線通信を行うための通信装置52と、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等により構成される表示部53と、通信端末50の操作を行うための操作部54と、スピーカにより構成される発音部55と、通信端末50への人体(ユーザの手等)の接近を検知する近接センサ56とを含む。なお、操作部54は表示部53としての機能を含むタッチパネル型のものであってもよい。
【0034】
通信端末50の制御装置51は、例えばマイクロコンピュータ、メモリ、インターフェース回路等を含む電子回路ユニットにより構成され、操作部54の操作信号や、近接センサ56の検出信号等が入力される。また、制御装置51には、加熱調理器2での調理作業の補助用の所定のアプリケーション(以降、調理補助アプリという)があらかじめインストールされている。そして、該調理補助アプリを起動した状態では、制御装置51は、加熱調理器2の制御装置20と通信装置52を介して無線通信を行うことが可能であると共に、加熱調理器2から受信した情報等を表示部53に表示させ、もしくは発音部55から音声情報として出力することや、近接センサ56の検出データを加熱調理器2に送信することが可能である。
【0035】
次に、音声による加熱調理器2の運転操作に関する作動を説明する。加熱調理器2の電源が投入された状態で、加熱調理器2の制御装置20は、指示情報応答処理部20aと、回答情報応答処理部20bとにより
図3のフローチャートに示す処理を実行する。
【0036】
制御装置20は、まず、指示情報応答処理部20aにより、STEP1、2の処理を実行する。STEP1では、指示情報応答処理部20aは、音声入力部21から出力される音声信号を逐次監視しつつ、該音声入力部21に対してユーザから音声による指示情報が入力されたか否かを判断する。
【0037】
この場合、指示情報応答処理部20aは、例えば音声入力部21から出力される音声信号により示される音声に、加熱調理器2の運転操作に関連する所定のキーワードが含まれている場合に、該音声の内容を音声認識処理により認識し、該音声の内容が加熱調理器2の運転操作を指示する内容である場合に、ユーザから音声による指示情報が入力されたことを検知する。なお、制御装置20が、例えばインターネット等の外部ネットワークを介して外部のサーバと通信を行い得る場合には、音声認識処理を該サーバで行うようにしてもよい。
【0038】
STEP1の判断結果が否定的である場合には、指示情報応答処理部20aは、該判断結果が肯定的になるまでSTEP1の判断処理を逐次繰り返す。そして、STEP2の判断結果が肯定的になると、STEP2の処理を実行する。
【0039】
このSTEP2では、指示情報応答処理部20aは、指示情報の内容に応じた問合せ情報を生成して出力する。該問合せ情報は、指示情報応答処理部20aが認識した指示情報の内容に従って加熱調理器2の運転制御を実行することの可否をユーザに問合せる(確認する)内容の第1情報と、それに対するユーザの回答の仕方をユーザに通知する内容の第2情報とを含む情報である。
【0040】
この場合、上記第2情報は、音声以外の非接触方式で回答すべき旨をユーザに通知する内容の情報である。具体的には、本実施系形態では、第2情報は、指示情報の内容に従って加熱調理器2の運転制御を実行することを許可する旨の回答(上記第1情報の問合せに対して肯定的な回答)をユーザが行おうとする場合には、加熱調理器2のジェスチャーセンサ23の正面側で所定の肯定用動作(例えば手を上下に振る等の動作)を所定時間内(例えば10秒以内)に実行すべき旨をユーザに通知する情報(以降、肯定用動作通知情報という)を含む。
【0041】
さらに、第2情報は、指示情報の内容に従って加熱調理器2の運転制御を実行することを許可しない旨の回答(前記第1情報の問合せに対して否定的な回答)をユーザが行おうとする場合には、加熱調理器2のジェスチャーセンサ23の正面側で所定の否定用動作(例えば手を左右に振る等の動作)を上記所定時間内に実行すべき旨を通知する情報(以降、否定用動作通知情報という)を含む。
【0042】
補足すると、ユーザが上記所定時間内にジェスチャーセンサ23の正面側で肯定的動作を実行しない場合に、第1情報の問合せに対するユーザの回答は、否定的な回答であるとみなし得る。従って、例えばジェスチャーセンサ23に対する否定用動作を規定せず、上記否定用動作通知情報を第2情報から省略してもよい。
【0043】
また、加熱調理器2とユーザの通信端末50(前記調理補助アプリを起動した通信端末50)との通信を行い得る状態では、第2情報は、上記第1情報の問合せに対して肯定的な回答をユーザが行おうとする場合には、ジェスチャーセンサ23の正面側で所定の肯定用動作を実行する代わりに、ユーザの通信端末50に上記所定時間内にユーザの身体部位(例えば手)を近づけてもよい旨をユーザに通知する内容の情報を含む。
【0044】
そして、指示情報応答処理部20aは、上記の如く、第1情報及び第2情報を含む問合せ情報を、加熱調理器2の発音部22から音声情報として出力させる。あるいは、指示情報応答処理部20aは、該音声情報に加えて、加熱調理器2の表示部(例えばコンロ操作パネル13の表示部、あるいは、加熱調理器2の上面又は前面に付設された表示部等)に、該音声情報と同様の内容の文字情報等を表示させる。
【0045】
補足すると、加熱調理器2とユーザの通信端末50(前記調理補助アプリを起動した通信端末50)との通信を行い得る状態では、問合せ情報を加熱調理器2で出力させることに加えて、もしくはその代わりに、該通信端末50に加熱調理器2から問合せ情報を送信し、該問合せ情報を該通信端末50の表示部53もしくは発音部55を介して出力させる処理を該通信端末50の制御装置51に実行させることも可能である。
【0046】
次に、制御装置20は、STEP3からの処理を回答情報応答処理部20bにより実行する。STEP3では、回答情報応答処理部20bは、STEP2での問合せ情報の出力後の経過時間が、前記第2情報で指定された所定時間(例えば10秒)に達したか否かを判断する。この判断結果が否定的である場合には、回答情報応答処理部20bは、STEP4において、音声以外の非接触方式での回答情報(問合せ情報のうちの第1情報に対する回答を示す情報)の入力がユーザから得られたか否かを判断する。
【0047】
ここで、ユーザは、問合せ情報のうちの第1情報で提示された指示情報が、希望の内容の指示情報である場合には、上記第2情報に従って、前記所定時間内に、ジェスチャーセンサ23の正面側で所定の肯定用動作を行うか、あるいは、自身の通信端末50に、自身の身体部位を近づける。
【0048】
また、問合せ情報のうちの第1情報で提示された指示情報が、STEP2での音声認識の誤りに起因して、ユーザの所望の内容の指示情報と異なっている場合には、ユーザは、上記第2情報に従って、前記所定時間内に、ジェスチャーセンサ23の正面側で所定の否定用動作を行うか、あるいは、該所定時間の期間、ジェスチャーセンサ23の正面側で所定の肯定用動作を実行しないか、あるいは、該所定時間の期間、自身の通信端末50に、自身の身体部位を近づけることを実行しない。
【0049】
そして、ユーザが、前記所定の時間内に、ジェスチャーセンサ23の正面側で所定の肯定用動作を行った場合には、該ジェスチャーセンサ23からその旨を示す検出信号が制御装置20に入力され、このとき、STEP4の判断結果が肯定的になる。また、ユーザが、ジェスチャーセンサ23の正面側で所定の否定用動作を行った場合には、該ジェスチャーセンサ23からその旨を示す検出信号が制御装置20に入力され、このとき、STEP4の判断結果が肯定的になる。
【0050】
また、ユーザの通信端末50が加熱調理器2の制御装置20と通信を行い得る状況では、ユーザが、自身の身体部位を自身の通信端末50に近づけた場合には、その旨を示す検出信号が近接センサ56から該通信端末50の制御装置51に入力される。このとき、該制御装置51は、ユーザが自身の身体部位を通信端末50に近づけたことを検知した旨の情報を通信装置52を介して加熱調理器2に送信する。そして、加熱調理器2の制御装置20が通信端末50から送信された当該情報を通信装置24を介して受信し、このとき、STEP4の判断結果が肯定的になる。
【0051】
STEP4の判断結果が肯定的である場合には、回答情報応答処理部20bは、STEP5において、ユーザからジェスチャーセンサ23、あるいは、通信端末50を介して入力された回答情報が、前記問合せ情報のうちの第1情報に対して肯定的な内容であるか否かを判断する。この場合、ユーザがジェスチャーセンサ23に対して所定の否定用動作を実行した場合に、STEP5の判断結果が否定的になり、その他の場合は、STEP5の判断結果が肯定的になる。
【0052】
そして、STEP5の判断結果が肯定的である場合(ユーザからの回答情報が肯定的な内容の情報である場合)には、回答情報応答処理部20bは、次にSTEP6の処理を実行する。該STEP6では、回答情報応答処理部20bは、ユーザからの指示情報を受諾した旨の報知情報を出力する。該報知情報は、例えば音声情報として発音部22から出力される。あるいは、該音声情報に加えて、もしくはその代わりに、該音声情報と同様の内容を示す文字情報等が、加熱調理器2の表示部で表示される。さらに、STEP6では、回答情報応答処理部20bは、STEP2で認識した指示情報に応じて加熱調理器2の運転制御を実行する。
【0053】
一方、STEP4の判断結果が肯定的にならずに、STEP3の判断結果が肯定的になった場合(すなわち、問合せ情報の出力後、ユーザから肯定的な回答情報が入力されないままで、所定時間が経過した場合)、あるいは、STEP5の判断結果が否定的である場合(ユーザがジェスチャーセンサ23に対して否定用動作を実行した場合)には、回答情報応答処理部20bは、次にSTEP7の処理を実行する。
【0054】
該STEP7では、回答情報応答処理部20bは、STEP2で認識した指示情報を受諾できない旨の報知情報を出力する。該報知情報の出力は、STEP6での報知情報の出力と同様に行われる。なお、この場合は、STEP2で認識した指示情報に応じた加熱調理器2の運転制御は実行されない。
【0055】
以上の如くSTEP6又は7の処理を実行した後、制御装置20は、STEP1からの処理を再開する。
【0056】
本実施形態では、以上説明した如く、
図3のフローチャートに示す処理が実行される。この場合、ユーザが音声による指示情報を音声入力部21に入力することに応じて出力される問合せ情報に対する回答情報を、ユーザが音声とは異なる非接触方式で、ジェスチャーセンサ23又は通信端末50の近接センサ56に対して入力する。このため、加熱調理器2の周囲の騒音等の外乱に起因して、制御装置20の指示情報応答処理部20aが、ユーザから入力された音声情報を誤認識しやすい状況であっても、制御装置20の回答情報応答処理部20bが、ユーザから入力された回答情報を誤って認識してしまうのを抑制することが可能となる。ひいては、加熱調理器2の誤った運転制御がなされてしまったり、あるいは、ユーザが指示情報で希望した加熱調理器2の運転制御が実行されなくなってしまうのを効果的に抑制することができる。
【0057】
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態を採用することもできる。以下に他の実施形態をいくつか説明する。
【0058】
前記実施形態では、第1の情報入力部としての音声入力部21を加熱調理器2に備えたが、音声入力部は、加熱調理器2と通信端末50との両方、あるいは、通信端末50だけに備えられていてもよい。この場合、通信端末50の音声入力部としては、該通信端末50の既存の音声入力部を使用し得る。
【0059】
そして、通信端末50の制御装置51は、例えば、インストールされた調理補助アプリ(プログラム)によって、加熱調理器2の前記した指示情報応答処理部20aと同様の音声認識処理を実行することで、通信端末50の音声入力部に入力された指示情報の内容を認識し、その認識した指示情報を加熱調理器2の制御装置20に送信する。このとき、加熱調理器2の制御装置20の指示情報応答処理部20aが通信端末50から受信した指示情報に応じた回答情報を出力する。
【0060】
あるいは、通信端末50の制御装置51は、例えば、通信端末50の音声入力部に入力された指示情報に対する問合せ情報を、通信端末50の発音部55から音声情報として出力したり、あるいは、通信端末50の表示部53で文字情報等により表示する処理を実行してもよい。
【0061】
また、前記実施形態では、ジェスチャーセンサ23を加熱調理器2に備えたが、例えば該加熱調理器2に加えて、あるいは、該加熱調理器2の代わりに、通信端末50にジャスチャーセンサを備えてもよい。この場合、通信端末50のジェスチャーセンサは、例えば、該通信端末50に備えられた既存のカメラの撮像画像からユーザの動作を認識するように構成され得る。
【0062】
また、前記実施形態では、近接センサ56を通信端末50だけに備えたが、例えば該通信端末50に加えて、あるいは、該通信端末50の代わりに、加熱調理器2に近接センサを備えてもよい。
【0063】
また、前記実施形態では、第2の情報入力部として、ジェスチャーセンサ23及び近接センサ56を備えたが、いずれか一方だけのセンサを加熱調理器2及び通信端末50の一方もしくは両方に備えてもよい。
【0064】
また、前記実施形態では、第1の情報入力部として音声入力部21を採用したが、例えばジェスチャーセンサ等を第1の情報入力部として採用することも可能である。この場合、第2の情報入力部としては、例えば音声入力部あるいは近接センサ等を採用し得る。
【0065】
また、前記実施形態では、通信端末50にインストールされた調理補助アプリは、加熱調理器2との通信のための処理と、近接センサ56の検知情報を加熱調理器2に送信する処理とを行い得るように構成したが、例えば、前記指示情報応答処理部20a及び前記回答情報応答処理部20bの両方又は一方の処理部の全体もしくは一部の処理を通信端末50の制御装置51に実行させるように構成されていてもよい。
【0066】
また、前記実施形態では、加熱装置としてガスコンロである加熱調理器2を例示したが、本発明における加熱装置は、ガスコンロに限らず、例えばIHクッキングヒータであってもよく、さらには、例えば温風暖房機等であってもよい。
【符号の説明】
【0067】
1…加熱システム、2…加熱調理器(加熱装置)、21…音声入力部(第1の情報入力部)、23…ジェスチャーセンサ(第2の情報入力部)、50…通信端末、56…近接センサ(第2の情報入力部)。