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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】レーザー加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/38 20140101AFI20240705BHJP
   B23K 26/082 20140101ALI20240705BHJP
【FI】
B23K26/38 A
B23K26/082
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020193337
(22)【出願日】2020-11-20
(65)【公開番号】P2022082036
(43)【公開日】2022-06-01
【審査請求日】2023-10-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000152675
【氏名又は名称】コマツNTC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】沖田 功
(72)【発明者】
【氏名】柳田 洋司
(72)【発明者】
【氏名】山田 明
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特許第6002355(JP,B1)
【文献】特開2017-098210(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0206965(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 - 26/70
H01M 4/00 - 4/62
H01M 2/00 - 2/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状電極を加工するためのレーザー加工装置であって、
前記帯状電極を搬送方向に搬送する搬送装置と、
前記帯状電極へレーザー光を照射し、前記レーザー光の照射方向を変更可能なレーザー照射部と、
前記帯状電極上で前記レーザー光を所定の軌跡に従って移動させることで、前記帯状電極をタブ形状に切断するように、前記レーザー照射部を制御するコントローラと、
を備え、
前記所定の軌跡は、
第1位置から、前記搬送方向に垂直な幅方向において前記第1位置よりも外方、且つ、前記搬送方向に位置する第2位置まで延びる第1軌跡と、
前記第2位置から、前記第2位置に対して前記搬送方向と反対の方向に位置する第3位置まで延びる第2軌跡と、
前記第3位置から、前記幅方向において前記第3位置よりも内方、且つ、前記搬送方向に位置する第4位置まで延びる第3軌跡と、
を含み、
前記コントローラは、
前記レーザー光を、前記第1位置から前記第2位置へ前記第1軌跡に従って移動させ、
前記レーザー光を、前記第2位置から前記第3位置へ前記第2軌跡に従って移動させ、
前記レーザー光を、前記第3位置から前記第4位置へ前記第3軌跡に従って移動させ
前記第4位置は、前記第1位置と同じ位置である、
レーザー加工装置。
【請求項2】
帯状電極を加工するためのレーザー加工装置であって、
前記帯状電極を搬送方向に搬送する搬送装置と、
前記帯状電極へレーザー光を照射し、前記レーザー光の照射方向を変更可能なレーザー照射部と、
前記帯状電極上で前記レーザー光を所定の軌跡に従って移動させることで、前記帯状電極をタブ形状に切断するように、前記レーザー照射部を制御するコントローラと、
を備え、
前記所定の軌跡は、
第1位置から、前記搬送方向に垂直な幅方向において前記第1位置よりも外方、且つ、前記搬送方向に位置する第2位置まで延びる第1軌跡と、
前記第2位置から、前記第2位置に対して前記搬送方向と反対の方向に位置する第3位置まで延びる第2軌跡と、
前記第3位置から、前記幅方向において前記第3位置よりも内方、且つ、前記搬送方向に位置する第4位置まで延びる第3軌跡と、
を含み、
前記コントローラは、
前記レーザー光を、前記第1位置から前記第2位置へ前記第1軌跡に従って移動させ、
前記レーザー光を、前記第2位置から前記第3位置へ前記第2軌跡に従って移動させ、
前記レーザー光を、前記第3位置から前記第4位置へ前記第3軌跡に従って移動させ、
前記帯状電極を保持するガイドをさらに備え、
前記ガイドは、前記第1軌跡に沿う第1縁部と前記第軌跡に沿う第2縁部とを有する切り欠きを含み、
前記第1縁部は、前記幅方向において前記帯状電極の外方、且つ、前記搬送方向へ向かって、前記幅方向に対して傾斜しており、
前記第2縁部は、前記第1縁部に対して前記搬送方向の反対方向に位置しており、前記幅方向において前記帯状電極の外方、且つ、前記搬送方向と反対の方向へ向かって、前記幅方向に対して傾斜している
ーザー加工装置。
【請求項3】
前記ガイドは、
前記切り欠きに対して前記搬送方向に配置され、前記帯状電極から切り離された端材の上方に配置される第1上ガイド板と、
前記切り欠きに対して前記搬送方向に配置され、前記端材の下方に配置される第1下ガイド板と、
を含み、
前記第1上ガイド板と前記第1下ガイド板の少なくとも一方は、前記切り欠きに面してテーパ形状を有する、
請求項に記載のレーザー加工装置。
【請求項4】
前記レーザー照射部は、前記ガイドよりも上方に配置され、
前記ガイドは、
前記切り欠きに対して前記搬送方向に配置され、前記帯状電極から切り離された端材の上方に配置される第1上ガイド板と、
前記切り欠きに対して前記搬送方向と反対方向に配置され、前記帯状電極の上方に配置される第2上ガイド板と、
を含み、
前記第1上ガイド板と前記第2上ガイド板の少なくとも一方は、上方に面してテーパ形状を有する、
請求項に記載のレーザー加工装置。
【請求項5】
前記ガイドに対して前記搬送方向に配置され、前記帯状電極から切り離された端材を吸着する吸着ローラをさらに備える、
請求項2から4のいずれかに記載のレーザー加工装置。
【請求項6】
帯状電極上でレーザー光を移動させることで、前記帯状電極をタブ形状に切断するためにレーザー加工装置を制御するための方法であって、
前記帯状電極を搬送方向に搬送することと、
前記帯状電極へ前記レーザー光を照射することと、
第1位置から、前記搬送方向に垂直な幅方向において前記第1位置よりも外方、且つ、前記搬送方向に位置する第2位置まで延びる第1軌跡に従って、前記第1位置から前記第2位置へ前記レーザー光を移動させることと、
前記第2位置から、前記第2位置に対して前記搬送方向と反対の方向に位置する第3位置まで延びる第2軌跡に従って、前記レーザー光を、前記第2位置から前記第3位置へ移動させることと、
前記第3位置から、前記幅方向において前記第3位置よりも内方、且つ、前記搬送方向に位置する第4位置まで延びる第3軌跡に従って、前記レーザー光を、前記第3位置から前記第4位置へ移動させること、
を備え
前記第4位置は、前記第1位置と同じ位置である、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池などの二次電池では、帯状電極が用いられる。帯状電極は、金属箔と、活物質層とを含む。金属箔は、シート状の形状を有する。活物質層は、金属箔の表面に設けられている。帯状電極には、活物質層に覆われない未塗工部が、金属箔の縁に沿って設けられる。
【0003】
従来、帯状電極の未塗工部を加工するためにレーザー加工装置が用いられている。例えば、特許文献1では、レーザー光によって未塗工部を所望の形状に切断するレーザー加工装置が開示されている。このレーザー加工装置では、ヘッドから照射されるレーザー光の方向を変化させることで、帯状電極を移動させながら、未塗工部をタブ形状に切断する。
【0004】
詳細には、図9に示すように、レーザー加工装置は、三角形のループ状の軌跡301に従って、帯状電極300上でレーザー光を移動させる。軌跡301は、3つの頂点X1,X2,X3と3つの辺Y1,Y2,Y3とを有する。頂点X2は、頂点X1に対して帯状電極300の搬送方向Z1と反対方向に位置している。頂点X3は、頂点X1及びX2に対して、帯状電極の幅方向において外方に位置している。頂点X3は、搬送方向において頂点X1と頂点X2との間に位置している。辺Y1は、頂点X1と頂点X2とを結ぶ線分である。辺Y2は、頂点X2と頂点X3とを結ぶ線分である。辺Y3は、頂点X3と頂点X1とを結ぶ線分である。レーザー加工装置は、頂点X1から、辺Y1、頂点X2、辺Y2、頂点X3、辺Y3を順に通り、頂点X1へ戻るように、帯状電極300上でレーザー光を移動させる。それにより、帯状電極300がタブ状に切断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-210277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
レーザー加工装置では、レーザー光の軌跡を変更することで、様々な形状、或いは大きさのタブを帯状電極に形成することができる。例えば、レーザー光が頂点X3に位置する時間を調整することで、搬送方向におけるタブの長さを変更することができる。レーザー光が頂点X1、辺Y1、或いは頂点X2に位置する時間を調整することで、タブ同士の間隔を変更することができる。しかし、帯状電極の幅方向におけるタブの長さを変更する場合には、頂点X3の位置が、幅方向において変更される。例えば、図10に示すように、頂点X3の位置が、X3’に変更される。そのため、幅方向におけるタブの長さを変更するためには、辺Y2と辺Y3との傾斜角度を変更する必要がある。本発明の課題は、レーザー加工装置においてレーザー光の軌跡の傾斜角度を変更することなく、帯状電極の幅方向におけるタブの長さを変更することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るレーザー加工装置は、搬送装置と、レーザー照射部と、コントローラとを備える。搬送装置は、帯状電極を搬送方向に搬送する。レーザー照射部は、帯状電極へレーザー光を照射し、レーザー光の照射方向を変更可能である。コントローラは、帯状電極上でレーザー光を所定の軌跡に従って移動させることで、帯状電極をタブ形状に切断するように、レーザー照射部を制御する。所定の軌跡は、第1軌跡と、第2軌跡と、第3軌跡とを含む。第1軌跡は、第1位置から第2位置へ延びている。第2位置は、搬送方向に垂直な幅方向において第1位置よりも外方、且つ、搬送方向に位置する。第2軌跡は、第2位置から第3位置へ延びている。第3位置は、第2位置に対して搬送方向と反対の方向に位置する。第3軌跡は、第3位置から第4位置まで延びている。第4位置は、幅方向において第3位置よりも内方、且つ、搬送方向に位置する。コントローラは、レーザー光を、第1位置から第2位置へ第1軌跡に従って移動させる。コントローラは、レーザー光を、第2位置から第3位置へ第2軌跡に従って移動させる。コントローラは、レーザー光を、第3位置から第4位置へ第3軌跡に従って移動させる。
【0008】
本態様に係るレーザー加工装置では、レーザー光が第1軌跡に従って移動することで、タブ形状の側辺の一方が形成される。レーザー光が第2軌跡に従って移動することで、タブ形状の頂辺が形成される。レーザー光が第3軌跡に従って移動することで、タブ形状の側辺のもう一方が形成される。また、第1軌跡と第3軌跡との傾斜角度を変更することなく、第1軌跡と第3軌跡との長さを変更することで、帯状電極の幅方向におけるタブの長さを変更することができる。
【0009】
第4位置は、第1位置と同じ位置であってもよい。この場合、レーザー光の移動距離を短くすることができる。
【0010】
レーザー加工装置は、帯状電極を保持するガイドをさらに備えてもよい。ガイドは、切り欠きを含んでもよい。切り欠きは、第1軌跡に沿う第1縁部と、第2軌跡に沿う第2縁部とを有してもよい。第1縁部は、幅方向において帯状電極の外方、且つ、搬送方向へ向かって、幅方向に対して傾斜していてもよい。第2縁部は、第1縁部に対して搬送方向の反対方向に位置しており、幅方向において帯状電極の外方、且つ、搬送方向と反対の方向へ向かって、幅方向に対して傾斜していてもよい。
【0011】
この場合、ガイドによって帯状電極のばたつきが抑えられる。それにより、加工の品質が向上する。また、第1軌跡と第2軌跡との長さの異なる加工に対して、共通のガイドを用いることができる。すなわち、タブの長さの異なる加工に対して、共通のガイドを用いることができる。
【0012】
ガイドは、第1上ガイド板と第1下ガイド板とを含んでもよい。第1上ガイド板は、切り欠きに対して搬送方向に配置されてもよい。第1上ガイド板は、帯状電極から切り離された端材の上方に配置されてもよい。第1下ガイド板は、切り欠きに対して搬送方向に配置されてもよい。第1下ガイド板は、端材の下方に配置されてもよい。第1上ガイド板と第1下ガイド板の少なくとも一方は、切り欠きに面してテーパ形状を有してもよい。この場合、テーパ形状によって、帯状電極から切り離された端材が第1上ガイド板と第1下ガイド板との間に入りやすくなる。それにより、帯状電極のばたつきがさらに効果的に抑えられる。
【0013】
レーザー照射部は、ガイドよりも上方に配置されてもよい。ガイドは、第1上ガイド板と第2上ガイド板とを含んでもよい。第1上ガイド板は、切り欠きに対して搬送方向に配置されてもよい。第1上ガイド板は、帯状電極から切り離された端材の上方に配置されてもよい。第2上ガイド板は、切り欠きに対して搬送方向と反対方向に配置されてもよい。第2上ガイド板は、帯状電極の上方に配置されてもよい。第1上ガイド板と第2上ガイド板の少なくとも一方は、上方に面してテーパ形状を有してもよい。この場合、テーパ形状によって、第1上ガイド板、及び/又は、第2上ガイド板がレーザー光に干渉することが抑えられる。そのため、レーザー光の軌跡に近接してガイドを配置することができる。それにより、帯状電極のばたつきがさらに効果的に抑えられる。
【0014】
レーザー加工装置は、吸着ローラをさらに備えてもよい。吸着ローラは、ガイドに対して搬送方向に配置されてもよい。吸着ローラは、帯状電極から切り離された端材を吸着してもよい。この場合、端材の回収が容易となる。
【0015】
本発明の他の態様に係る方法は、帯状電極上でレーザー光を移動させることで、帯状電極をタブ形状に切断するためにレーザー加工装置を制御するための方法である。本態様に係る方法は、以下の処理を備える。第1の処理は、帯状電極を搬送方向に搬送することである。第2の処理は、帯状電極へレーザー光を照射することである。第3の処理は、第1位置から第2位置へ延びる第1軌跡に従って、第1位置から第2位置へレーザー光を移動させることである。第2位置は、搬送方向に垂直な幅方向において第1位置よりも外方、且つ、搬送方向に位置する。第4の処理は、第2位置から第3位置まで延びる第2軌跡に従って、レーザー光を、第2位置から第3位置へ移動させることである。第3位置は、第2位置に対して搬送方向と反対の方向に位置する。第5の処理は、第3位置から第4位置まで延びる第3軌跡に従って、レーザー光を、第3位置から第4位置へ移動させることである。第4位置は、幅方向において第3位置よりも内方、且つ、搬送方向に位置する。なお、各処理の実行の順番は、上記の順番に限らず変更されてもよい。
【0016】
本態様に係る方法では、レーザー光が第1軌跡に従って移動することで、タブ形状の側辺の一方が形成される。レーザー光が第2軌跡に従って移動することで、タブ形状の頂辺が形成される。レーザー光が第3軌跡に従って移動することで、タブ形状の側辺のもう一方が形成される。また、第1軌跡と第3軌跡との傾斜角度を変更することなく、第1軌跡と第3軌跡との長さを変更することで、帯状電極の幅方向におけるタブの長さを変更することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、レーザー加工装置においてレーザー光の軌跡の傾斜角度を変更することなく、帯状電極の幅方向におけるタブの長さを変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態に係るレーザー加工装置の構成を示す模式図である。
図2】帯状電極の一例を示す斜視図である。
図3】レーザー加工装置の制御システムを示すブロック図である。
図4】レーザー加工装置の一部を示す斜視図である。
図5A】レーザー光の所定の軌跡を示す上面図である。
図5B】レーザー加工装置によって加工される帯状電極のタブ形状の一例を示す上面図である。
図6】帯状電極のレーザー加工位置を示す斜視図である。
図7】タブの長さが変更されるときの所定の軌跡の変化を示す図である。
図8】第1変形例に係る所定の軌跡及びガイドの切り欠きの形状を示す図である。
図9】従来技術に係るレーザー光の軌跡を示す図である。
図10】従来技術に係るレーザー光の軌跡を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して実施形態に係る帯状電極を加工するためのレーザー加工装置について説明する。図1は、実施形態に係るレーザー加工装置1の構成を示す模式的な側面図である。図面において矢印A1は、帯状電極100の搬送方向を示している。
【0020】
図2は、帯状電極100の一例を示す図である。図2に示すように、帯状電極100は、縁101を含む。縁101は、帯状電極100の幅方向における一方の縁である。帯状電極100の幅方向は、帯状電極100の長手方向に垂直な方向である。帯状電極100の幅方向は、レーザー加工装置1における帯状電極100の搬送方向A1に垂直な方向である。
【0021】
帯状電極100は、金属箔105と、活物質層106とを含む。活物質層106は、金属箔105の少なくとも一方の面に塗布されている。帯状電極100は、塗工部102と未塗工部103とを含む。活物質層106は、塗工部102に設けられている。未塗工部103は、縁101に沿って設けられる。未塗工部103は、活物質層106が設けられていない部分である。金属箔105は、未塗工部103において露出している。レーザー加工装置1は、未塗工部103をレーザー光L1によって切断することで、帯状電極100にタブ200を形成する。
【0022】
図1に示すように、レーザー加工装置1は、巻出軸2と、巻取軸3と、搬送装置4と、複数のローラ5a-5nと、レーザー照射部6とを含む。巻出軸2には、ロール状に巻回された帯状電極100(以下、「電極ロール110」と呼ぶ)が取り付けられる。巻取軸3は、加工された帯状電極100をロール状に巻き取る。
【0023】
搬送装置4は、巻出軸2から巻取軸3へと帯状電極100を移動させる。搬送装置4は、第1駆動モータ11と第2駆動モータ12とを含む。第1駆動モータ11は、巻出軸2に接続されている。第1駆動モータ11は、巻出軸2を回転させる。第2駆動モータ12は、巻取軸3に接続されている。第2駆動モータ12は、巻取軸3を回転させる。
【0024】
複数のローラ5a-5nは、各ローラ5a-5nの中心軸回りに回転可能に設けられている。複数のローラ5a-5nは、第1ダンサーローラ5aと、ニップローラ5bと、第2ダンサーローラ5cと、複数のガイドローラ5d-5nとを含む。第1ダンサーローラ5aは、巻出軸2とニップローラ5bとの間に配置されている。第1ダンサーローラ5aは、巻出軸2から巻き出された帯状電極100に所定の張力を付与する。ニップローラ5bは、第1ダンサーローラ5aと第2ダンサーローラ5cとの間に配置されている。ニップローラ5bは、第1ローラ5pと第2ローラ5qとを含む。ニップローラ5bは、第1ローラ5pと第2ローラ5qとの間で帯状電極100を押圧する。第2ダンサーローラ5cは、巻取軸3とニップローラ5bとの間に配置されている。第2ダンサーローラ5cは、巻取軸3に巻き取られる帯状電極100に所定の張力を付与する。
【0025】
レーザー照射部6は、帯状電極100にレーザー光L1を照射することで、帯状電極100を切断する。レーザー照射部6は、所謂、ガルバノスキャナ式のレーザー装置である。レーザー照射部6は、レーザー発振器13とヘッド14とを含む。レーザー発振器13は、レーザー光L1を発生させる。ヘッド14は、レーザー発振器13とファイバケーブル15を介して接続されている。ヘッド14は、巻出軸2と巻取軸3との間に配置されている。
【0026】
図1に示すように、ヘッド14は、ミラー16を含む。ミラー16は、回転可能に配置されている。図3は、レーザー加工装置1の制御システムを示すブロック図である。ミラー16は、図3に示すレーザーアクチュエータ17に接続されている。レーザーアクチュエータ17は、例えば電動モータである。ミラー16の回転角度は、レーザーアクチュエータ17によって変更される。レーザー照射部6は、ミラー16の回転角度を変更することで、ヘッド14からのレーザーの照射方向を変化させる。それにより、帯状電極100が所望の形状に切断される。
【0027】
図4は、レーザー加工装置1の一部を示す斜視図である。図4に示すように、ヘッド14は、帯状電極100の上方に配置される。帯状電極100は、ヘッド14の下方において、水平方向に搬送される。レーザー加工装置1は、第1エアブロー装置18と第2エアブロー装置19とを備えている。第1エアブロー装置18と第2エアブロー装置19とは、ヘッド14と帯状電極100との間に配置されている。第1エアブロー装置18は、帯状電極100がレーザー光L1を受ける位置(以下、「レーザー加工位置」と呼ぶ)へ、空気を吹き付ける。それにより、レーザー光L1による加工によって発生するヒュームを飛散させる。第2エアブロー装置19は、ヒュームがミラー16に付着しないように、空気を吹き出す。
【0028】
レーザー加工装置1は、ガイド20を備えている。ガイド20は、ヘッド14の下方に配置されている。ガイド20は、レーザー加工位置の周囲において、帯状電極100を保持する。ガイド20は、ワークガイド21と箔ガイド22とを含む。ワークガイド21は、塗工部102を保持する。ワークガイド21は、上板23と下板24とを含む。上板23は、塗工部102の上方に配置される。下板24は、塗工部102の下方に配置される。塗工部102は、上板23と下板24との間に挟まれている。塗工部102は、上板23と下板24との間を搬送される。箔ガイド22は、未塗工部103を保持する。箔ガイド22については、後に詳細に説明する。
【0029】
レーザー加工装置1は、回収装置25を備えている。回収装置25は、帯状電極100から切り離された金属箔105(以下、「端材107」と呼ぶ)を回収する。回収装置25は、吸着ローラ26と、第1ニップローラ27と、第2ニップローラ28と、回収ダクト29とを含む。吸着ローラ26は、箔ガイド22に対して搬送方向A1に位置している。吸着ローラ26は、端材107を吸着する。例えば、吸着ローラ26の表面には複数の孔が設けられている。吸着ローラ26の内部は、図3に示す吸引装置30によって負圧になっている。吸引装置30は、例えば、ポンプ、或いはファンである。吸着ローラ26は、図3に示す第3駆動モータ31によって、回転する。第1ニップローラ27と第2ニップローラ28とは、吸着ローラ26と向かい合っている。第1ニップローラ27は、吸着ローラ26の上方に配置される。第1ニップローラ27は、吸着ローラ26に対して搬送方向A1に配置されている。吸着ローラ26が回転することで、端材107は、吸着ローラ26と第1ニップローラ27との間と、吸着ローラ26と第1ニップローラ27との間とを通って、回収ダクト29へ送られる。
【0030】
図3に示すように、レーザー加工装置1は、コントローラ32を含む。コントローラ32は、CPUなどのプロセッサと、RAM及びROMなどのメモリを含む。コントローラ32は、第1駆動モータ11と第2駆動モータ12とを制御することで、電極ロール110から帯状電極100を巻き出し、複数のローラ5a-5n上で帯状電極100を移動させ、巻取軸3においてロール状に巻き取る。
【0031】
コントローラ32は、レーザー発振器13を制御することで、ヘッド14からレーザー光L1を照射させる。コントローラ32は、レーザーアクチュエータ17を制御することで、ヘッド14からのレーザー光L1の照射方向を変更する。コントローラ32は、レーザー照射部6を制御して、ヘッド14からのレーザー光L1を、帯状電極100上で所定の軌跡に沿って移動させることで、帯状電極100の縁101を、図2に示すようなタブ200と底辺201とを有する形状に切断する。図2に示すように、底辺201は、搬送方向A1に延びている。タブ200は、第1側辺202と、第2側辺203と、頂辺204とを含む。第1側辺202と第2側辺203とは、底辺201から幅方向に延びている。頂辺204は、搬送方向A1に延びている。以下、レーザー光L1の所定の軌跡について説明する。
【0032】
図5Aは、帯状電極100のレーザー加工位置を示す上面図である。コントローラ32は、図5Aに示す所定の軌跡40に従って、帯状電極100上でレーザー光L1を移動させる。所定の軌跡40は、第1軌跡41と、第2軌跡42と、第3軌跡43とを含む。第1軌跡41は、幅方向に対して傾斜している。第1軌跡41は、第1位置P1から第2位置P2へ延びている。第1位置P1は、帯状電極100の縁101から、幅方向における内方へ離れている。第2位置P2は、幅方向において第1位置P1よりも外方、且つ、搬送方向A1に位置する。
【0033】
第2軌跡42は、搬送方向A1に平行である。第2軌跡42は、第2位置P2から第3位置P3へ延びている。第3位置P3は、第2位置P2に対して搬送方向A1と反対の方向に位置する。第3軌跡43は、幅方向に対して、第1軌跡41と反対方向に傾斜している。第3軌跡43は、第3位置P3から第4位置P4へ延びている。第4位置P4は、幅方向において第3位置P3よりも内方、且つ、搬送方向A1に位置する。本実施形態において、第4位置P4は、第1位置P1と同じ位置である。従って、所定の軌跡40は、第1位置P1と第2位置P2と第3位置P3とを頂点とする三角形のループ状の形状を有している。
【0034】
コントローラ32は、レーザー光L1を第1位置P1に維持する。それにより、図5Bに示すように、帯状電極100が底辺201に沿って切断される。次に、レーザー光L1を第1位置P1から第2位置P2へ、第1軌跡41に従って移動させる。それにより、図5Bに示すように、帯状電極100が、第1側辺202に沿って切断される。次に、コントローラ32は、レーザー光L1を第2位置P2から第3位置P3へ、第2軌跡42に従って移動させる。それにより、図5Bに示すように、帯状電極100が、頂辺204に沿って切断される。次に、コントローラ32は、レーザー光L1を第3位置P3から第1位置P1へ、第3軌跡43に従って移動させる。それにより、図5Bに示すように、帯状電極100が、第2側辺203に沿って切断される。そして、コントローラ32は、レーザー光L1を第1位置P1に維持する。それにより、帯状電極100が、再び底辺201に沿って切断される。上記の処理が繰り返されることで、帯状電極100に、間隔をおいて複数のタブ200が形成される。
【0035】
次に、箔ガイド22について説明する。図6は、帯状電極100においてレーザー加工位置を示す斜視図である。図5A及び図6に示すように、箔ガイド22は、切り欠き50を含む。切り欠き50は、所定の軌跡40に沿う形状を有する。詳細には、切り欠き50は、第1縁部51と第2縁部52とを含む。第1縁部51は、第1軌跡41に沿った形状を有する。第1縁部51は、幅方向において帯状電極100の外方、且つ、搬送方向A1へ向かって、幅方向に対して傾斜している。
【0036】
第2縁部52は、第2縁部52に対して搬送方向A1の反対方向に位置している。第2縁部52は、第3軌跡43に沿った形状を有する。第2縁部52は、幅方向において帯状電極100の外方、且つ、搬送方向A1と反対の方向へ向かって、幅方向に対して傾斜している。
【0037】
図6に示すように、箔ガイド22は、第1上ガイド板53と、第1下ガイド板54と、第2上ガイド板55と、第2下ガイド板56とを含む。第1上ガイド板53は、切り欠き50に対して搬送方向A1に配置されている。第1上ガイド板53は、帯状電極100から切り離された端材107の上方に配置される。第1下ガイド板54は、切り欠き50に対して搬送方向A1に配置される。第1下ガイド板54は、端材107の下方に配置される。上述した吸着ローラ26は、第1上ガイド板53と第1下ガイド板54とに対して、搬送方向A1に位置している。
【0038】
第1上ガイド板53と第1下ガイド板54との間の隙間の入口は、切り欠き50に面してテーパ形状を有する。詳細には、第1上ガイド板53は、第1入口テーパ面57を含む。第1下ガイド板54は、第2入口テーパ面58を含む。第1入口テーパ面57と第2入口テーパ面58とは、搬送方向A1に向かって、第1入口テーパ面57と第2入口テーパ面58との間の間隔が狭まるように傾斜している。端材107は、第1入口テーパ面57と第2入口テーパ面58との間の入口を通って、第1上ガイド板53と第1下ガイド板54との間の隙間に入る。それにより、端材107が第1上ガイド板53と第1下ガイド板54との間の隙間に入り易くなっている。
【0039】
第2上ガイド板55は、切り欠き50に対して搬送方向A1と反対方向に配置される。第2上ガイド板55は、帯状電極100の上方に配置される。第2上ガイド板55は、切り欠き50に対して搬送方向A1と反対方向に配置される。第2下ガイド板56は、帯状電極100の下方に配置される。第1上ガイド板53と第2上ガイド板55とは、上方に面してテーパ形状を有する。詳細には、第1上ガイド板53は、第1上テーパ面59を含む。第2上ガイド板55は、第2上テーパ面60を含む。第1上テーパ面59と第2上テーパ面60とは、上方へ向かって、第1上テーパ面59と第2上テーパ面60との間の距離が広がるように傾斜している。それにより、第1上ガイド板53と第2上ガイド板55とが、レーザー光L1に干渉し難くなっている。
【0040】
以上説明した本実施形態に係るレーザー加工装置1では、レーザー光が所定の軌跡40に従って移動することで、帯状電極100にタブ200が形成される。また、図7に示すように、第1軌跡41と第3軌跡43との長さを変更することで、帯状電極100の幅方向におけるタブ200の長さが変更される。図7では、第1軌跡41の長さが第1軌跡41の傾斜方向に沿って延長されている。それにより、第2位置P2がP2’に変更されている。第3軌跡43の長さが第3軌跡43の傾斜方向に沿って延長されている。それにより、第3位置P3がP3’に変更されている。このように、第1軌跡41と第3軌跡43との傾斜角度を変更することなく、帯状電極100の幅方向におけるタブ200の長さを変更することができる。
【0041】
帯状電極100はガイド20によって保持される。レーザー光L1が、ガイド20の切り欠き50を通して、帯状電極100に照射されることで、帯状電極100にタブ200が形成される。切り欠き50は、レーザー光L1の所定の軌跡40に沿う形状を有しているため、帯状電極100のばたつきが効果的に抑えられる。それにより、帯状電極100を精度良く切断することができる。
【0042】
また、第1軌跡41と第3軌跡43との傾斜角度を変更することなく、第1軌跡41と第3軌跡43との長さを変更することで、帯状電極100の幅方向におけるタブ200の長さが変更される。そのため、長さの異なるタブ200が形成される場合にも、共通のガイド20を用いることができる。
【0043】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。レーザー加工装置1の構成は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。
【0044】
巻出軸2、巻取軸3、搬送装置4、複数のローラ5a-5n、或いは、レーザー照射部6の構造、或いは配置は、上記の実施形態のものに限られず、変更されてもよい。例えば、レーザー照射部6は、ガルバノスキャナ式のものに限らず、他の方式のものでもよい。吸着ローラ26の構造、或いは配置は、上記の実施形態のものに限られず、変更されてもよい。
【0045】
箔ガイド22の構造、或いは配置は、上記の実施形態のものに限られず、変更されてもよい。例えば、第1上ガイド板53と第1下ガイド板54の一方のみが、切り欠き50に面してテーパ形状を有してもよい。第1上ガイド板53と第2上ガイド板55の一方のみが、上方に面してテーパ形状を有してもよい。或いは、箔ガイド22は省略されてもよい。
【0046】
所定の軌跡40は、上記の実施形態のものに限られず、変更されてもよい。例えば、図8は、第1変形例に係る所定の軌跡40を示す図である。図8に示すように、第4位置P4は、第1位置P1と異なる位置であってもよい。所定の軌跡40は、第4軌跡44を含んでもよい。第4軌跡44は、第4位置P4から第1位置P1へ延びていてもよい。コントローラ32は、第4位置P4から第1位置P1へ向かって、第4軌跡44に従って、レーザー光L1を移動させてもよい。それにより、帯状電極100が、底辺201に沿って切断されてもよい。また、箔ガイド22の切り欠き50は、第1変形例に係る所定の軌跡40の形状に合わせて、変更されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明によれば、レーザー加工装置においてレーザー光の軌跡の傾斜角度を変更することなく、帯状電極の幅方向におけるタブの長さを変更することができる。
【符号の説明】
【0048】
4 搬送装置
6 レーザー照射部
20 ガイド
26 吸着ローラ
32 コントローラ
50 切り欠き
51 第1縁部
52 第2縁部
53 第1上ガイド板
54 第1下ガイド板
55 第2上ガイド板
71 第1軌跡
73 第3軌跡
100 帯状電極
A1 搬送方向
P1 第1位置
P2 第2位置
P3 第3位置
P4 第4位置
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10