(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】玉子焼き製造装置及び玉子焼き製造方法
(51)【国際特許分類】
A47J 37/04 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
A47J37/04 101A
(21)【出願番号】P 2020209963
(22)【出願日】2020-12-18
【審査請求日】2023-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】大島 直樹
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-239420(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された卵液を加熱及び成形して、所定の形状の玉子焼きを製造する玉子焼き製造装置において、
卵液が供給される加熱容器と、
前記加熱容器に供給された前記卵液を攪拌する攪拌装置と、
前記加熱容器を加熱する第1加熱部を有し、前記加熱容器に供給された前記卵液を、前記攪拌装置による攪拌動作と協働しつつ、半熟状態の玉子の塊である玉子焼き要素になるまで加熱する第1加熱装置と、
前記所定の形状に対応する成形型と、
前記成形型を加熱する第2加熱部を有し、前記成形型を加熱して、該成形型に収容された前記玉子焼き要素を、前記所定の形状の前記玉子焼きになるまで加熱成形する第2加熱装置と
、
前記玉子焼き要素を前記加熱容器の内面に押し付けて、該玉子焼き要素に含まれる水分を蒸発させる水分飛ばし装置とを備えていることを特徴とする玉子焼き製造装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の玉子焼き製造装置において、
前記加熱容器から該加熱容器とは別体として構成されている前記成形型へ、前記玉子焼き要素を受け渡す受け渡し装置を備えていることを特徴とする玉子焼き製造装置。
【請求項3】
供給された卵液を加熱及び成形して、所定の形状の玉子焼きを製造する玉子焼き製造装置において、
卵液が供給される加熱容器と、
前記加熱容器に供給された前記卵液を攪拌する攪拌装置と、
前記加熱容器を加熱する第1加熱部を有し、前記加熱容器に供給された前記卵液を、前記攪拌装置による攪拌動作と協働しつつ、半熟状態の玉子の塊である玉子焼き要素になるまで加熱する第1加熱装置と、
前記所定の形状に対応する成形型と、
前記成形型を加熱する第2加熱部を有し、前記成形型を加熱して、該成形型に収容された前記玉子焼き要素を、前記所定の形状の前記玉子焼きになるまで加熱成形する第2加熱装置と
、
前記加熱容器から該加熱容器とは別体として構成されている前記成形型へ、前記玉子焼き要素を受け渡す受け渡し装置とを備えており、
前記成形型は、受け渡された前記玉子焼き要素を収容する成形下型と、該玉子焼き要素を前記成形下型に押し付ける成形上型とを含み、
前記成形下型は、上方に開放され、前記成形上型が挿入される開放部を有し、
前記受け渡し装置は、前記開放部が前記加熱容器側に向くように、前記成形下型を傾倒させるカム機構を含んでいることを特徴とする玉子焼き製造装置。
【請求項4】
請求項1~請求項
3のいずれか1項に記載の玉子焼き製造装置において、
前記攪拌装置は、前記加熱容器の内部を移動自在なターナーと、前記ターナーの動作を制御するターナー制御部とを含んでいることを特徴とする玉子焼き製造装置。
【請求項5】
請求項
4の玉子焼き製造装置において、
前記ターナーは、前記加熱容器の底面に沿う方向における往復動作の移動量、及び、前記加熱容器の底面に対する高さの少なくとも一方を調節自在であることを特徴とする玉子焼き製造装置。
【請求項6】
供給された卵液を加熱及び成形して、所定の形状の玉子焼きを製造する玉子焼き製造装置において、
卵液が供給される加熱容器と、
前記加熱容器に供給された前記卵液を攪拌する攪拌装置と、
前記加熱容器を加熱する第1加熱部を有し、前記加熱容器に供給された前記卵液を、前記攪拌装置による攪拌動作と協働しつつ、半熟状態の玉子の塊である玉子焼き要素になるまで加熱する第1加熱装置と、
前記所定の形状に対応する成形型と、
前記成形型を加熱する第2加熱部を有し、前記成形型を加熱して、該成形型に収容された前記玉子焼き要素を、前記所定の形状の前記玉子焼きになるまで加熱成形する第2加熱装置とを備えて
おり、
前記攪拌装置は、前記加熱容器の内部を移動自在なターナーと、前記ターナーの動作を制御するターナー制御部とを含んでおり、
前記ターナー制御部は、前記玉子焼き要素を前記加熱容器に押し付けるように前記ターナーを移動させて、該玉子焼き要素に含まれる水分を蒸発させることを特徴とする玉子焼き製造装置。
【請求項7】
供給された卵液を加熱及び成形して、所定の形状の玉子焼きを製造する玉子焼き製造装置において、
卵液が供給される加熱容器と、
前記加熱容器に供給された前記卵液を攪拌する攪拌装置と、
前記加熱容器を加熱する第1加熱部を有し、前記加熱容器に供給された前記卵液を、前記攪拌装置による攪拌動作と協働しつつ、半熟状態の玉子の塊である玉子焼き要素になるまで加熱する第1加熱装置と、
前記所定の形状に対応する成形型と、
前記成形型を加熱する第2加熱部を有し、前記成形型を加熱して、該成形型に収容された前記玉子焼き要素を、前記所定の形状の前記玉子焼きになるまで加熱成形する第2加熱装置とを備えて
おり、
前記攪拌装置は、前記加熱容器の内部を移動自在なターナーと、前記ターナーの動作を制御するターナー制御部とを含んでおり、
前記ターナー制御部は、前記玉子焼き要素を移動させるように前記ターナーを移動させて、該玉子焼き要素を前記加熱容器から該加熱容器とは別体として構成されている前記成形型へ受け渡すことを特徴とする玉子焼き製造装置。
【請求項8】
請求項
4~請求項
7のいずれか1項に記載の玉子焼き製造装置において、
前記加熱容器の外部に配置され、前記ターナーを清掃する清掃装置を備え、
前記ターナーは、前記清掃装置による清掃の実行位置まで移動自在であることを特徴とする玉子焼き製造装置。
【請求項9】
供給された卵液を加熱及び成形して、所定の形状の玉子焼きを製造する玉子焼き製造装置において、
卵液が供給される加熱容器と、
前記加熱容器に供給された前記卵液を攪拌する攪拌装置と、
前記加熱容器を加熱する第1加熱部を有し、前記加熱容器に供給された前記卵液を、前記攪拌装置による攪拌動作と協働しつつ、半熟状態の玉子の塊である玉子焼き要素になるまで加熱する第1加熱装置と、
前記所定の形状に対応する成形型と、
前記成形型を加熱する第2加熱部を有し、前記成形型を加熱して、該成形型に収容された前記玉子焼き要素を、前記所定の形状の前記玉子焼きになるまで加熱成形する第2加熱装置とを備えて
おり、
前記成形型は、前記玉子焼き要素を収容する成形下型と、該玉子焼き要素を前記成形下型に押し付ける成形上型とで構成され、
前記第2加熱部は、前記成形下型及び前記成形上型を加熱することを特徴とする玉子焼き製造装置。
【請求項10】
請求項1~請求項
9のいずれか1項に記載の玉子焼き製造装置において、
前記加熱容器に供給された前記卵液の加熱の度合いを認識する加熱度合い認識装置を備え、
前記攪拌装置、前記第1加熱装置、及び、前記第2加熱装置の少なくとも1つは、認識された前記卵液の加熱の度合いに基づいて、制御されることを特徴とする玉子焼き製造装置。
【請求項11】
供給された卵液を加熱及び成形して、所定の形状の玉子焼きを製造する玉子焼き製造方法において、
加熱容器に供給された卵液を攪拌しつつ該加熱容器を加熱して、半熟状態の玉子の塊である玉子焼き要素になるまで加熱する工程と、
前記所定の形状に対応する成形型を加熱して、該成形型に収容された前記玉子焼き要素を、前記所定の形状の前記玉子焼きになるまで加熱成形する工程と
、
前記玉子焼き要素を加熱成形する前に、該玉子焼き要素を前記加熱容器の内面に押し付けて、該玉子焼き要素に含まれる水分を蒸発させる工程とを備えていることを特徴とする玉子焼き製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給された卵液を加熱及び成形して、所定の形状の玉子焼きを製造する玉子焼き製造装置及び玉子焼き製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、供給された卵液(例えば、ユーザが卵から殻を除去して製造したもの、製造業者等によって製造・供給された液卵等)を、自動的に加熱(例えば、焼成)及び成形して、所定の形状を製造する玉子焼き製造装置がある。
【0003】
この種の玉子焼き製造装置としては、供給された卵液をシート状に加熱して生成された玉子焼き要素を、モータからの動力によって動作するヘラ状のこてによって成形して、厚焼き玉子を製造するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の玉子焼き製造装置では、シート状の玉子焼き要素を加熱した後、その玉子焼き要素を一端側から他端側に向かって順次折り曲げつつ積層して成形することによって、厚焼き玉子を製造している。
【0006】
そのため、この玉子焼き製造装置は、最初に大きなシート状の玉子焼き要素を加熱しなければならず、その玉子焼き要素に対応した大きな加熱容器を備える必要があった。ひいては、装置が大型化し、その設置のために、広いスペースが必要になるという問題があった。
【0007】
また、この玉子焼き製造装置で製造される厚焼き玉子は、加熱されたシート状の玉子焼き要素を積層して成形されるものである。そのため、その厚焼き玉子を半熟状態等の所望の焼き具合のものにしたり、厚焼き玉子以外の玉子焼きを製造したりすることはできないという問題があった。
【0008】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、小型でありながら、所望の形状及び焼き具合の玉子焼きを製造することができる玉子焼き製造装置及び玉子焼き製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の玉子焼き製造装置は、
供給された卵液を加熱及び成形して、所定の形状の玉子焼きを製造する玉子焼き製造装置において、
卵液が供給される加熱容器と、
前記加熱容器に供給された前記卵液を攪拌する攪拌装置と、
前記加熱容器を加熱する第1加熱部を有し、前記加熱容器に供給された前記卵液を、前記攪拌装置による攪拌動作と協働しつつ、半熟状態の玉子の塊である玉子焼き要素になるまで加熱する第1加熱装置と、
前記所定の形状に対応する成形型と、
前記成形型を加熱する第2加熱部を有し、前記成形型を加熱して、該成形型に収容された前記玉子焼き要素を、前記所定の形状の前記玉子焼きになるまで加熱成形する第2加熱装置と、
前記玉子焼き要素を前記加熱容器の内面に押し付けて、該玉子焼き要素に含まれる水分を蒸発させる水分飛ばし装置とを備えていることを特徴とする。
【0010】
ここで、「加熱」とは、卵液又は玉子焼き要素に熱を加える処理を指す。例えば、バーナ、IHヒータ等によって加熱されたフライパン等を用いて行われる焼成の他、蒸し器等を用いて行われる蒸らしによる加熱、電子レンジ等を用いて行われるマイクロ波による加熱等も含む。
【0011】
このように、本発明の玉子焼き製造装置は、まず、加熱容器に供給された卵液を攪拌しつつ加熱することによって、半熟状態の玉子の塊である玉子焼き要素を加熱し、その後、成形型に収容されたその玉子焼き要素を加熱成形することによって、玉子焼きを製造している。
【0012】
この焼き固めによって玉子焼きの成形を行う構成を採用したことにより、この玉子焼き製造装置では、例えば、特許文献1に記載のような従来の玉子焼き製造装置に比べ、成形のための構造が小型のものとなっている。ひいては、その設置のためのスペースを省スペース化することができる。
【0013】
また、この玉子焼き製造装置では、成形型を所望の形状に対応したものにすることによって、ユーザは、所望の形状の玉子焼きを製造することができる。また、ユーザは、成形型の加熱具合(すなわち、第2加熱部の火力)を調整することによって、最終的に生成される玉子焼きの焼き具合を所望のものにすることができる。
【0014】
また、本発明の玉子焼き製造装置においては、
前記玉子焼き要素を前記加熱容器の内面に押し付けて、該玉子焼き要素に含まれる水分
を蒸発させる水分飛ばし装置を備えている。
【0015】
成形型の形状によっては、加熱成形の際に、玉子焼き要素から発生する水分を成形型の外部へ適度に逃がすことができず、製造される玉子焼きに過度に水分が残留してしまう場合がある。また、玉子焼き要素の表面が柔らかすぎると、成形型の形状によっては、加熱成形の際に、玉子焼き要素から過度に水分が蒸発してしまう場合がある。そして、いずれの場合にも製造される玉子焼きの食感、見た目が低下してしまうおそれがある。
【0016】
そこで、このような水分飛ばし装置を備えていると、加熱成形の前に、玉子焼き要素から適度に水分を飛ばすことができ、また、加熱成形の前の段階で卵焼き要素の表面をある程度焼き固めることができる。これにより、成形型の内部で玉子焼き要素から蒸発する水分の量を抑制して、製造される玉子焼きの食感をふっくらとしたものにするとともに、見た目の向上を図ることができる。
【0017】
また、加熱容器と成形型とが別体である場合、玉子焼き要素を加熱容器から成形型に受け渡す動作が必要になる。このとき、玉子焼き要素の表面が柔らかいと、玉子焼き要素が崩れてしまうおそれがある。
【0018】
そこで、このように水分を飛ばす(すなわち、表面の焼き固める)工程を行うと、玉子焼き要素の表面にある程度の硬さを持たせることができる。これにより、その受け渡し動作の際に玉子焼き要素が崩れてしまうことを、抑制することができる。
【0019】
また、本発明の玉子焼き製造装置においては、
前記加熱容器から該加熱容器とは別体として構成されている前記成形型へ、前記玉子焼き要素を受け渡す受け渡し装置を備えていることが好ましい。
【0020】
加熱容器と成形型とが一体又は一部を共用する容器である場合、装置全体のさらなる小型化、製造コストの抑制を図ることができる。一方で、このように、加熱容器と成形型とを別体にするとともに、玉子焼き要素を受け渡すように構成すると、成形型で玉子焼き要素を加熱成形して玉子焼きを製造している間に、次の玉子焼き要素を加熱容器の内部で加熱することができる。これにより、短時間で複数の玉子焼きを製造することができる。
【0021】
また、本発明の玉子焼き製造装置は、
供給された卵液を加熱及び成形して、所定の形状の玉子焼きを製造する玉子焼き製造装置において、
卵液が供給される加熱容器と、
前記加熱容器に供給された前記卵液を攪拌する攪拌装置と、
前記加熱容器を加熱する第1加熱部を有し、前記加熱容器に供給された前記卵液を、前記攪拌装置による攪拌動作と協働しつつ、半熟状態の玉子の塊である玉子焼き要素になるまで加熱する第1加熱装置と、
前記所定の形状に対応する成形型と、
前記成形型を加熱する第2加熱部を有し、前記成形型を加熱して、該成形型に収容された前記玉子焼き要素を、前記所定の形状の前記玉子焼きになるまで加熱成形する第2加熱装置と、
前記加熱容器から該加熱容器とは別体として構成されている前記成形型へ、前記玉子焼き要素を受け渡す受け渡し装置とを備えており、
前記成形型は、受け渡された前記玉子焼き要素を収容する成形下型と、該玉子焼き要素を前記成形下型に押し付ける成形上型とを含み、
前記成形下型は、上方に開放され、前記成形上型が挿入される開放部を有し、
前記受け渡し装置は、前記開放部が前記加熱容器側に向くように、前記成形下型を傾倒させるカム機構を含んでいることを特徴とする。
【0022】
このように構成すると、受け渡し装置を小型化することができるので、受け渡し装置を設けたことによる装置の大型化を抑制することができる。また、受け渡し装置を簡易な構造にすることができるので、部品点数の削減、製造コストの増加抑制を図ることができる。
【0023】
また、本発明の玉子焼き製造装置においては、
前記攪拌装置は、前記加熱容器の内部を移動自在なターナーと、前記ターナーの動作を制御するターナー制御部とを含んでいることが好ましい。
【0024】
このようにターナーを用いて攪拌装置を構成すると、簡易な構成でありながら加熱容器に供給された卵液を攪拌することができる。これにより、装置のさらなる小型化、製造コストの抑制を図ることができる。
【0025】
また、本発明の玉子焼き製造装置においては、ターナーを用いて攪拌装置を構成している場合、
前記ターナーは、前記加熱容器の底面に沿う方向における往復動作の移動量、及び、前記加熱容器の底面に対する高さの少なくとも一方を調節自在であることが好ましい。
【0026】
加熱容器に供給された卵液を攪拌するための動作としてターナーの往復動作を採用すると、そのような動作を実現するための構造は比較的簡易なものとすることができる。これにより、ターナーを動作させるための機構の大型化を抑制することができる。しかし、ターナーに単純な往復動作を実行させるだけでは、卵液を適切に攪拌することができずに、半熟状態の玉子焼き要素を加熱しにくくなるおそれがある。
【0027】
そこで、このように、往復動作の量、又は、ターナーが当然に実行可能な加熱容器の底面に対する高さの変化を調節するように構成すると、ターナーを動作させるための機構を複雑化(ひいては、大型化)させることなく、ターナーに複雑な往復動作を実行させることができる。これにより、卵液を適切に攪拌して、容易に半熟状態の玉子焼き要素を加熱することができる。
【0028】
また、本発明の玉子焼き製造装置は、
供給された卵液を加熱及び成形して、所定の形状の玉子焼きを製造する玉子焼き製造装置において、
卵液が供給される加熱容器と、
前記加熱容器に供給された前記卵液を攪拌する攪拌装置と、
前記加熱容器を加熱する第1加熱部を有し、前記加熱容器に供給された前記卵液を、前記攪拌装置による攪拌動作と協働しつつ、半熟状態の玉子の塊である玉子焼き要素になるまで加熱する第1加熱装置と、
前記所定の形状に対応する成形型と、
前記成形型を加熱する第2加熱部を有し、前記成形型を加熱して、該成形型に収容された前記玉子焼き要素を、前記所定の形状の前記玉子焼きになるまで加熱成形する第2加熱装置とを備えており、
前記攪拌装置は、前記加熱容器の内部を移動自在なターナーと、前記ターナーの動作を制御するターナー制御部とを含んでおり、
前記ターナー制御部は、前記玉子焼き要素を前記加熱容器に押し付けるように前記ターナーを移動させて、該玉子焼き要素に含まれる水分を蒸発させることを特徴とする。
【0029】
前述のように玉子焼き要素の水分を飛ばす工程を行うことによって、製造される玉子焼きの食感、見た目の向上、玉子焼き要素の崩れの抑制を図ることができる。その水分を飛ばす工程を実行するための構造として、このようにターナーを利用すると、水分飛ばし装置の構造を簡略化、小型化することができる。これにより、装置全体の小型化、製造コストの増大の抑制を図ることができる。
【0030】
また、本発明の玉子焼き製造装置は、
供給された卵液を加熱及び成形して、所定の形状の玉子焼きを製造する玉子焼き製造装置において、
卵液が供給される加熱容器と、
前記加熱容器に供給された前記卵液を攪拌する攪拌装置と、
前記加熱容器を加熱する第1加熱部を有し、前記加熱容器に供給された前記卵液を、前記攪拌装置による攪拌動作と協働しつつ、半熟状態の玉子の塊である玉子焼き要素になるまで加熱する第1加熱装置と、
前記所定の形状に対応する成形型と、
前記成形型を加熱する第2加熱部を有し、前記成形型を加熱して、該成形型に収容された前記玉子焼き要素を、前記所定の形状の前記玉子焼きになるまで加熱成形する第2加熱装置とを備えており、
前記攪拌装置は、前記加熱容器の内部を移動自在なターナーと、前記ターナーの動作を制御するターナー制御部とを含んでおり、
前記ターナー制御部は、前記玉子焼き要素を移動させるように前記ターナーを移動させて、該玉子焼き要素を前記加熱容器から該加熱容器とは別体として構成されている前記成形型へ受け渡すことを特徴とする。
【0031】
前述のように加熱容器と成形型とを別体とすることによって、短時間で複数の玉子焼きを製造することができる。ここで、加熱容器から成形型への受け渡しを実行するための構造として、このようにターナーを利用すると、受け渡し装置の構造を簡略化、小型化することができる。これにより、装置全体の小型化、製造コストの増大の抑制を図ることができる。
【0032】
また、本発明の玉子焼き製造装置においては、ターナーを用いて攪拌装置を構成している場合、
前記加熱容器の外部に配置され、前記ターナーを清掃する清掃装置を備え、
前記ターナーは、前記清掃装置による清掃の実行位置まで移動自在であることが好ましい。
【0033】
ターナーを用いて卵液の攪拌を行うと、その卵液の加熱の過程で、ターナーに卵液が付着してしまう場合がある。そして、連続して玉子焼きを製造する場合、前の玉子焼きの玉子焼き要素を製造する際にターナーに付着した卵液が、次の玉子焼きの玉子焼き要素に混入してしまうおそれがある。そのため、適切なタイミングでターナーに付着した卵液を除去する必要がある。
【0034】
しかし、その除去作業を適切な場所で行わなければ、その作業によって除去された卵液が、加熱容器の内部に落ちてしまい、結局次の玉子焼きの玉子焼き要素に混入してしまうおそれがある。
【0035】
そこで、このように、加熱容器の外に清掃装置を設けるとともに、その清掃装置によってターナーの清掃(ひいては、付着したら卵液の除去)を行うようにすると、連続して玉子焼きを製造する場合であっても、前の玉子焼きの卵液が、次の玉子焼きの玉子焼き要素に混入してしまうことを抑制することができる。
【0036】
また、本発明の玉子焼き製造装置は、
供給された卵液を加熱及び成形して、所定の形状の玉子焼きを製造する玉子焼き製造装置において、
卵液が供給される加熱容器と、
前記加熱容器に供給された前記卵液を攪拌する攪拌装置と、
前記加熱容器を加熱する第1加熱部を有し、前記加熱容器に供給された前記卵液を、前記攪拌装置による攪拌動作と協働しつつ、半熟状態の玉子の塊である玉子焼き要素になるまで加熱する第1加熱装置と、
前記所定の形状に対応する成形型と、
前記成形型を加熱する第2加熱部を有し、前記成形型を加熱して、該成形型に収容された前記玉子焼き要素を、前記所定の形状の前記玉子焼きになるまで加熱成形する第2加熱装置とを備えており、
前記成形型は、前記玉子焼き要素を収容する成形下型と、該玉子焼き要素を前記成形下型に押し付ける成形上型とで構成され、
前記第2加熱部は、前記成形下型及び前記成形上型を加熱することを特徴とする。
【0037】
成形型をこのような成形上型と成形下型とで構成するとともに、それらの両方を加熱するようにすると、玉子焼き要素の全面を短時間で加熱成形することができる。これにより、短時間で、玉子焼きを製造することができる。
【0038】
また、本発明の玉子焼き製造装置においては、
前記加熱容器に供給された前記卵液の加熱の度合いを認識する加熱度合い認識装置を備え、
前記攪拌装置、前記第1加熱装置、及び、前記第2加熱装置の少なくとも1つの駆動は、認識された前記卵液の加熱の度合いに基づいて、制御されることが好ましい。
【0039】
本発明の玉子焼き製造装置を用いて実行される各工程は、ユーザの指示に応じて実行してもよい。しかし、このような加熱度合い認識装置を備え、その認識結果に基づいて、他の構成機器の駆動を制御する(すなわち、各工程を自動的に実行する)ように構成すると、ユーザは、製造開始を指示するだけで、自動的に玉子焼きを製造することができるようになる。
【0040】
また、本発明の玉子焼き製造方法は、
供給された卵液を加熱及び成形して、所定の形状の玉子焼きを製造する玉子焼き製造方法において、
加熱容器に供給された卵液を攪拌しつつ該加熱容器を加熱して、半熟状態の玉子の塊である玉子焼き要素になるまで加熱する工程と、
前記所定の形状に対応する成形型を加熱して、該成形型に収容された前記玉子焼き要素を、前記所定の形状の前記玉子焼きになるまで加熱成形する工程と、
前記玉子焼き要素を加熱成形する前に、該玉子焼き要素を前記加熱容器の内面に押し付けて、該玉子焼き要素に含まれる水分を蒸発させる工程とを備えていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】第1実施形態に係る玉子焼き製造装置の全体構成を示す斜視図。
【
図2】
図1の玉子焼き製造装置の全体構成を示す側面図。
【
図3】
図1の玉子焼き製造装置の概略構成を模式的に示す側面図。
【
図4A】
図3の玉子焼き製造装置の要部拡大図であって、卵液供給工程の実行直前の状態を示す側面図。
【
図4B】
図3の玉子焼き製造装置の要部拡大図であって、卵液供給工程の実行中の状態を示す側面図。
【
図5】
図3の玉子焼き製造装置の要部拡大図であって、攪拌工程の実行直前の状態を示す側面図。
【
図6】
図3の玉子焼き製造装置の要部拡大図であって、攪拌工程の実行中の状態を示す図。
【
図7】
図3の玉子焼き製造装置の要部拡大図であって、水分飛ばし工程の実行中の状態を示す図。
【
図8】
図3の玉子焼き製造装置の要部拡大図であって、受け渡し工程の実行中の状態を示す図。
【
図9A】
図3の玉子焼き製造装置の要部拡大図であって、加熱成形工程の実行直前の状態を示す図。
【
図9B】
図3の玉子焼き製造装置の要部拡大図であって、加熱成形工程の実行中の状態を示す図。
【
図10】
図3の玉子焼き製造装置の要部拡大図であって、払い出し工程の実行中の状態を示す図。
【
図11A】
図3の玉子焼き製造装置によって実行される玉子焼き製造方法のフローチャートであって、玉子焼きの製造開始から玉子焼き要素の生成までの工程を示すフローチャート。
【
図11B】
図3の玉子焼き製造装置によって実行される玉子焼き製造方法のフローチャートであって、玉子焼き要素の水分飛ばしから玉子焼きの製造完了までの工程を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、
図1~
図11を参照して、実施形態に係る玉子焼き製造装置Aについて説明する。
【0044】
なお、以下の説明においては、玉子焼き製造装置Aは、飲食店等に設置され、飲食店の店員等のユーザによって供給された卵液(例えば、ユーザが卵から殻を除去して製造したもの、製造業者等によって製造・供給された液卵等)を加熱成形して、ユーザの所望の形状、焼き具合の玉子焼きE3を、連続的に製造するものについて説明する。
【0045】
しかし、本発明の玉子焼き製造装置は、供給された卵液を加熱及び成形して、所定の形状の玉子焼きを製造するものであればよい。そのため、本実施形態の玉子焼き製造装置Aのように飲食店等において提供される玉子焼きを製造するものに限定されるものではない。例えば、卵液の供給及び製造された玉子焼きの包装も自動化して、玉子焼きの製造工場において使用してもよい。
【0046】
[玉子焼き製造装置の構成]
まず、
図1~
図3を参照して、玉子焼き製造装置Aの概略構成について説明する。
【0047】
図1~
図3に示すように、玉子焼き製造装置Aは、卵液供給装置1と、焼成容器2(加熱容器)と、第1ヒータ3(第1加熱装置、第1加熱部)と、ターナー装置4(攪拌装置、水分飛ばし装置、受け渡し装置)と、成形型5と、第2ヒータ6(第2加熱装置、第2加熱部)と、払い出し受け容器7と、清掃装置8と、制御装置9(加熱度合い認識装置、ターナー制御部)とを備えている。
【0048】
卵液供給装置1は、ユーザによって供給される卵液E1を貯蔵する容器である卵液投入カップ10と、卵液投入カップ10から投入された卵液E1を焼成容器2へ導く卵液シュータ11と、卵液投入カップの駆動させる第1駆動機構12とを有している。
【0049】
図4A及び
図4Bに示すように、卵液投入カップ10は、第1駆動機構12から伝達された駆動力によって、傾倒可能に構成されている。卵液投入カップ10が傾倒すると、その内部に貯蔵されていた卵液E1が、卵液シュータ11へ導かれる。なお、卵液投入カップ10の駆動(例えば、傾倒角度、傾倒する時間)は、製造する玉子焼きE3の種類、サイズ等に応じて、制御装置9によって調整される。
【0050】
図1~
図3に戻り、卵液シュータ11は、卵液投入カップ10から投入された卵液E1を、焼成容器2へ導く。それに合わせて、調味料供給装置(不図示)、調理油供給装置(不図示)から、調味料、油等がフライパン20へ投入される。
【0051】
卵液シュータ11を介することによって、供給される卵液E1の攪拌が促進されて、製造する玉子焼きE3の品質の均一さが向上される。なお、そのような調味料、油等の投入、攪拌が不要である場合等には、卵液シュータ11を省略して、卵液投入カップ10から焼成容器2へ卵液E1を直接投入するように構成してもよい。
【0052】
焼成容器2(加熱容器)は、平面視で略矩形の容器であるフライパン20と、フライパン20の位置を第1ヒータ3に固定するための枠体21とを有している。
【0053】
フライパン20は、第1ヒータ3の上に載置され、第1ヒータ3からの熱によって加熱される。なお、フライパン20は、玉子焼き製造装置Aから取り外し自在であり、また、縦横の幅、深さ、材質等の異なるものが複数種類用意されている。フライパン20は、製造する玉子焼きE3の種類、サイズ等に応じて、複数種類用意されているものの中から適宜選択して取り付けられる。
【0054】
枠体21は、第1ヒータ3に対して固定されている。枠体21の幅は、使用されるフライパン20のサイズに応じて、変更可能に構成されている。
【0055】
第1ヒータ3(第1加熱装置、第1加熱部)は、IHヒータである。第1ヒータ3は、その加熱温度、加熱時間は、制御装置9によって制御される。焼成容器2は、第1ヒータ3によって加熱される。
【0056】
なお、本発明の第1加熱装置の第1加熱部は、IHヒータに限定されるものではなく、加熱容器を加熱できるものであればよい。そのため、第1加熱部は、IHヒータに代わって、火力調整可能なガスコンロを採用してもよいし、加熱容器と一体化していてもよい。
【0057】
ターナー装置4(攪拌装置、水分飛ばし装置、受け渡し装置)は、平板状のターナー40と、制御装置9からの指令に基づいて、ターナー40の動作を駆動させる第2駆動機構41とを有している。
【0058】
図5に示すように、ターナー40は、焼成容器2のフライパン20の長手方向に対して、直交する向き(図面に対して垂直となる向き)で配置されている。
【0059】
また、
図6~
図8に示すように、ターナー40は、フライパン20の底面に沿う方向(図面左右方向)、及び、フライパン20の底面に対する高さ方向(図面上下方向)に移動自在となっている。また、ターナー40は、基端部を中心として先端部が上下動するように、フライパン20の長手方向に直交する軸線を中心として回動自在となっている。ターナー40の具体的な動作については後述する。
【0060】
図1~
図3に戻り、成形型5は、焼成容器2から受け渡された玉子焼き要素E2を収容する成形下型50と、その玉子焼き要素E2を成形下型50に対して押し付ける成形上型51と、成形下型50を駆動させる第3駆動機構52(受け渡し装置)と、成形上型を駆動させる第4駆動機構53とを有している。第3駆動機構52及び第4駆動機構53の駆動は、制御装置9によって制御される。
【0061】
成形下型50は、断面形状の略台形の容器である。成形下型50の上方部分には、上方に開放された開放部50aが設けられている。開放部50aには、成形上型51が挿入自在となっている。
【0062】
図9A及び
図9Bに示すように、成形上型51の下面側は、成形下型50の内面に対応した形状になっている。この成形上型51と成形下型50とによって、焼成容器2から受け渡された玉子焼き要素E2は、所定の形状に変形され、その状態で第2ヒータ6によって加熱成形(焼き固め)される。
【0063】
なお、成形下型50及び成形上型51は、玉子焼き製造装置Aから取り外し自在であり、また、形状、材質等の異なるものが複数種類用意されている。成形下型50及び成形上型51は、製造する玉子焼きE3の種類、サイズ等に応じて、複数種類用意されているものの中から適宜選択して取り付けられる。これにより、ユーザは、所望の形状の玉子焼きE3を製造することができるようになっている。
【0064】
第3駆動機構52は、ターナー40とともに、受け渡し装置を構成している。第3駆動機構52は、駆動源(不図示)と、カム機構52aとで構成されている。第3駆動機構52は、駆動源からの駆動力によって成形下型を、カム機構52aの構造に沿って移動及び傾倒させる。
【0065】
具体的には、
図8~
図10に示すように、第3駆動機構52は、焼成容器2に離間・接近する方向へ移動させる。また、その移動可能位置の両端のうち、焼成容器2側の端部では、
図8に示すように、成形下型50の開放部50aが焼成容器2側を向くように、成形下型50が傾倒される。一方、焼成容器2とは反対側の端部では、
図10に示すように、開放部50aが焼成容器2とは離れる側(すなわち、払い出し受け容器7側)を向くように、成形下型50が傾倒される。
【0066】
このようなカム機構52aを用いて受け渡し装置を構成すると、受け渡し装置を小型化することができるので、受け渡し装置を設けたことによる装置の大型化を抑制することができる。また、受け渡し装置を簡易な構造にすることができるので、部品点数の削減、製造コストの増加抑制を図ることができる。
【0067】
図9A及び
図9Bに示すように、第4駆動機構53は、駆動源(不図示)からの駆動力によって成形上型を、上下方向に移動させる。
【0068】
なお、本発明の玉子焼き製造装置Aでは、焼成容器2と成形型5とを、別体としている。これは、成形型5で玉子焼き要素E2を加熱成形して玉子焼きE3を製造している間に、次の玉子焼き要素E2を焼成容器2の内部で焼成することができるようになっている。ひいては、短時間で複数の玉子焼きE3を製造することができるようになっている。
【0069】
しかし、本発明の第2加熱装置は、そのような構成に限定されるものではなく、加熱容器と成形型とを別体とせず、それらを一体又は一部を共用するように構成してもよい。そのように構成した場合には、第1加熱部と第2加熱部とを共通化することができ、受け渡し装置を省略することができる。これにより、装置全体のさらなる小型化、製造コストの抑制を図ることができる。
【0070】
図1~
図3に戻り、第2ヒータ6は、成形型5の成形下型50を加熱する下型ヒータ60と、成形上型51を加熱する上型ヒータ61とを有している。下型ヒータ60は、IHヒータであり、成形下型50の下方側に配置され、加熱成形の際には、成形下型50が載置される。上型ヒータ61は、成形上型51の内部に配置されている。
【0071】
玉子焼き製造装置Aでは、成形型5を成形下型50と成形上型51とで構成するとともに、それらの両方を加熱するようにしているので、玉子焼き要素E2の全面を短時間で加熱しつつ成形することができるようになっている。これにより、短時間で、玉子焼きE3を製造することができるようになっている。
【0072】
なお、本発明の第2加熱装置は、そのような構成に限定されるものではなく、成形型を加熱して、成形型に収容された玉子焼き要素を、所定の形状の玉子焼きになるまで加熱しつつ成形するものであればよい。そのため、成形型の形状等に応じて、第2加熱部の構成も適宜変更してよい。
【0073】
例えば、本実施形態の玉子焼き製造装置Aのように、成形型5が成形下型50と成形上型51とで構成されている場合に、下型ヒータ60と上型ヒータ61のいずれかを省略して、成形下型50及び成形上型51の一方のみを加熱するようにしてもよい。これにより、装置全体のさらなる小型化、製造コストの抑制を図ることができる。また、例えば、下型ヒータ60は、IHヒータに代わって、火力調整可能なガスコンロを採用してもよいし、成形下型50と一体化していてもよい。
【0074】
払い出し受け容器7は、製造されて、払い出された玉子焼きE3を受け止める容器である。払い出し受け容器7は、単純に製造された玉子焼きE3を受け止めるトレイでもよいし、顧客へ提供する際に用いる皿であってもよい。
【0075】
なお、玉子焼き製造装置Aを、飲食店ではなく工場で使用する場合等には、玉子焼きE3の製造に合わせて、自動的に払い出し受け容器7が交換されるように構成するとよい。また、払い出し工程でストレージを行う(製造した玉子焼きE3をすぐに顧客に提供したり容器に詰めたりせずに、払い出し受け容器7に一旦幾つか溜めておく)場合は、成形型5と払い出し受け容器7との間に、ベルトコンベア等の移送手段を設けてもよい。
【0076】
清掃装置8は、ターナー40に付着した卵液E1を除去するための装置である。ターナー40を用いて卵液E1の攪拌を行うと、その卵液E1の焼成の過程で、ターナー40の表面に卵液E1が付着してしまう場合がある。そして、連続して玉子焼きE3を製造する場合、前の玉子焼きE3の玉子焼き要素E2を製造する際にターナー40に付着した卵液E1が、次の玉子焼きE3の玉子焼き要素E2に混入してしまうおそれがある。そのため、適切なタイミングでターナー40に付着した卵液E1を除去する必要がある。そのため、この清掃装置8が設けられている。
【0077】
清掃装置8は、焼成容器2の外部であって、成形型5側とは異なる側に配置されている。これは、除去作業を適切な場所で行わなければ、その作業によって除去された卵液E1が、焼成容器2又は成形型5の内部に落ちてしまい、結局次の玉子焼きE3の玉子焼き要素E2に混入してしまうおそれがあるためである。
【0078】
清掃装置8は、上方部分に回転するブラシを有している。ターナー40は、その表面がそのブラシに接触する位置(すなわち、清掃の実行可能位置)まで移動自在となっている。
【0079】
制御装置9は、玉子焼き製造装置A全体の動作を制御する。具体的には、制御装置9は、製造する玉子焼きE3の種類、焼き具合、サイズ等に応じて、卵液供給装置1の駆動、第1ヒータ3の加熱、ターナー装置4の駆動、成形型5の駆動、第2ヒータ6の加熱、及び、清掃装置8の駆動を制御する。
【0080】
また、制御装置9は、玉子焼き製造装置Aに内蔵されていてもよいし、外部に設けられていてもよい。また、ユーザの使用する携帯端末等と連動して、設定の受付、製造完了の通知等を行うように構成されていてもよい。
【0081】
また、制御装置9は、焼成容器2に供給され、第1ヒータ3によって加熱された卵液E1の焼成の度合い(ひいては、玉子焼きE3の焼き具合)を認識する。
【0082】
具体的には、制御装置9は、カメラ(不図示)によって撮影された焼成容器2の内部における卵液E1の画像、温度センサ(不図示)によって検知された焼成容器2の温度、内蔵されているタイマによって計測された焼成容器2の加熱開始からの経過時間等を参照して、予め得られているそれらと焼成の度合いとの相関関係を示すデータに基づいて、焼成の度合い(すなわち、卵液E1がどのような状態であるか)を推定する。
【0083】
なお、本発明の玉子焼き製造装置の加熱度合い認識装置は、このような構成に限定されるものではなく、加熱容器に供給された卵液の加熱の度合いを認識できるものであればよい。
【0084】
そのため、例えば、本実施形態において、焼成容器2に卵液E1が供給されてからの経過時間を参照して、焼成の度合いを認識してもよい。また、前述の画像、温度、経過時間等のいずれかを参照せずに、加熱の度合いを認識してもよい。また、温度センサ等のセンサを卵液に直接挿入して、その検知結果に基づいて、加熱の度合いを認識してもよい。また、攪拌装置に対し攪拌の際に加わる抵抗を測定して、その抵抗に基づいて、加熱の度合いを認識してもよい。
【0085】
[ターナーの動作の説明]
次に、
図6~
図10を参照して、ターナー装置4のターナー40の実行可能な動作について、詳細に説明する。
【0086】
ターナー40は、攪拌装置であるので、
図6に示す一例のように、焼成容器2のフライパン20に供給された卵液E1が第1ヒータ3によって加熱されている状態で、焼成容器2の内部で移動して、その卵液E1を攪拌する。これにより、その卵液E1は、半熟状態の玉子の塊である玉子焼き要素E2に焼成される。
【0087】
ターナー40による攪拌動作は、具体的には、フライパン20の長手方向における複数の往復動作である。ただし、その往復動作における移動量、長手方向における位置、ターナー40の高さは、実行回数に応じて異なり、それらは、製造する玉子焼きE3の種類、焼き具合に応じて、制御装置9によって設定される。
【0088】
このように、攪拌動作としてターナー40の往復動作を採用すると、そのような動作を実現するための構造は比較的簡易なものとすることができる。これにより、ターナー40を動作させるための機構の大型化を抑制することができる。しかし、ターナー40に単純な往復動作を実行させるだけでは、卵液E1を適切に攪拌することができずに、半熟状態の玉子焼き要素E2を焼成しにくくなるおそれがある。
【0089】
そこで、このように、往復動作の量、及び、ターナー40が当然に実行可能なフライパン20の底面に対する高さの変化を調節するように構成すると、ターナー40を動作させるための機構を複雑化(ひいては、大型化)させることなく、ターナー40に複雑な往復動作を実行させることができる。これにより、卵液E1を適切に攪拌して、容易に半熟状態の玉子焼き要素E2を焼成することができるようになっている。
【0090】
なお、本発明のターナーの攪拌動作は、このような構成に限定されるものではなく、加熱容器に供給された卵液を攪拌できるものであればよい。そのため、その動作は、玉子焼き製造装置を構成する各構成部材のレイアウト、ターナーの形状、製造する玉子焼きE3の種類、焼き具合、サイズ等に応じて、適宜変更してよい。
【0091】
また、本実施形態の玉子焼き製造装置Aでは、ターナー40を用いて攪拌装置を構成することにより、攪拌装置の構成を簡易なものとして、装置の小型化、製造コストの抑制が図られている。しかし、本発明の攪拌装置は、このような構成に限定されるものではなく、加熱容器に供給された卵液を攪拌できるものであればよい。
【0092】
例えば、ターナーの形状を、平板状ではなく、菜箸状にしてもよい。また、ターナーを用いたもの以外のものを用いてもよい。例えば、本実施形態の玉子焼き製造装置Aであれば、焼成容器2の枠体21を駆動可能に構成し、その枠体21の駆動によってフライパン20を揺動して、フライパン20に供給された卵液E1を攪拌するようにしてもよい。
【0093】
ところで、成形型5の形状によっては、加熱成形の際に、玉子焼き要素E2から発生する水分を成形型5の外部へ適度に逃がすことができず、製造される玉子焼きE3に過度に水分が残留してしまう場合がある。また、玉子焼き要素E2の表面が柔らかすぎると、成形型5の形状によっては、加熱成形の際に、玉子焼き要素E2から過度に水分が蒸発してしまう場合がある。そして、いずれの場合にも製造される玉子焼きE3の食感、見た目が低下してしまうおそれがある。
【0094】
そこで、玉子焼き製造装置Aでは、ターナー40が水分飛ばし装置となるように構成されている。具体的には、
図7に示すように、ターナー40が、焼成された玉子焼き要素E2をフライパン20の内面に押し付けて、その玉子焼き要素E2に含まれる水分を蒸発させるという動作を実行可能に構成されている。
【0095】
ターナー40による水分飛ばしの動作は、具体的には、垂直状態になったターナー40が、フライパン20の側壁に対して、玉子焼き要素E2を押し付けるような動作である。この動作は、製造する玉子焼きE3の種類、焼き具合、サイズ等に応じて、離間する動作を挟んで複数回繰り返される場合もある。
【0096】
このような水分飛ばし工程を行うと、加熱成形の前に、玉子焼き要素E2から適度に水分を飛ばすことができ、また、加熱成形の前の段階で卵焼き要素の表面をある程度焼き固めることができる。これにより、成形型5の内部で玉子焼き要素E2から蒸発する水分の量を抑制して、製造される玉子焼きE3の食感をふっくらとしたものにするとともに、見た目の向上を図ることができるようになっている。
【0097】
また、玉子焼き製造装置Aは、焼成容器2と成形型5とが別体であるので、玉子焼き要素E2を焼成容器2から成形型5に受け渡す動作が必要である。このとき、玉子焼き要素E2の表面が柔らかいと、玉子焼き要素E2が崩れてしまうおそれがある。
【0098】
そこで、このように水分を飛ばす(すなわち、表面の焼き固める)工程を行うと、玉子焼き要素E2の表面にある程度の硬さを持たせることができる。これにより、その受け渡し動作の際に玉子焼き要素E2が崩れてしまうことを、抑制することができるようになっている。
【0099】
なお、本実施形態の玉子焼き製造装置Aでは、ターナー40を用いて水分飛ばし装置を構成することにより、水分飛ばし装置の構成を簡易なものとして、装置の小型化、製造コストの抑制が図られている。しかし、本発明の玉子焼き製造装置は、このような構成に限定されるものではなく、ターナー以外のものを用いて水分飛ばし装置を構成してもよい。
【0100】
例えば、互いに接近自在な対向する2枚の板上の部材と、それらを加熱するヒータとで構成してもよい。また、水分飛ばし工程を必要としない場合には、水分飛ばし装置自体を省略してもよい。
【0101】
ところで、前述のように、玉子焼き製造装置Aでは、焼成容器2と成形型5とを別体としている。そのため、受け渡しのための機構が必要となっている。
【0102】
そこで、玉子焼き製造装置Aでは、ターナー40が受け渡し装置となるように構成されている。具体的には、
図7及び
図8に示すように、ターナー40が、焼成された玉子焼き要素E2を掬い上げるように垂直状態から回動することによって、その玉子焼き要素E2を焼成容器2から成形型5へ受け渡すという動作を実行可能に構成されている。この動作は、水分飛ばしの動作と連続して行われる場合もある。
【0103】
なお、本実施形態の玉子焼き製造装置Aでは、ターナー40を用いて受け渡し装置を構成することにより、受け渡し装置の構成を簡易なものとして、装置の小型化、製造コストの抑制が図られている。しかし、本発明の玉子焼き製造装置は、このような構成に限定されるものではなく、ターナー以外のものを用いて受け渡し装置を構成してもよい。例えば、ターナーが菜箸状のものであった場合等には、加熱容器自体を傾倒させて受け渡しを行うようにしてもよい。
【0104】
[玉子焼き製造方法]
次に、
図3~
図11を参照して、玉子焼き製造装置Aを用いて実行される玉子焼き製造方法について、詳細に説明する。
【0105】
この方法においては、まず、制御装置9が、製造する玉子焼きの設定(種類、焼き具合、大きさ等)を認識する(
図11A/STEP01)。
【0106】
具体的には、ユーザが製造を希望する玉子焼きに関する情報に基づいて、制御装置9は、製造する玉子焼きの設定を認識する。ユーザが製造を希望する玉子焼きに関する情報は、例えば、玉子焼き装置A自体に設けられた制御パネル、ユーザの使用する情報端末(例えば、タブレット、スマートフォン等)を介して、ユーザによって入力される。
【0107】
次に、制御装置9は、製造する玉子焼きの設定に基づいて、卵液E1の量、焼成容器2のフライパン20及び成形型5がその玉子焼きに対応しているか否かを判定する(
図11A/STEP02)。
【0108】
卵液E1の量、フライパン20及び成形型5が製造する玉子焼きに対応したものでなかった場合(STEP02でNOの場合)、制御装置9は、それらの変更が必要な旨を報知する(
図11A/STEP03)。
【0109】
具体的には、制御装置9は、卵液E1の量、フライパン20及び成形型5のうち、製造する玉子焼きに対応していなかったものについて、玉子焼き製造装置Aの報知部(不図示)、ユーザの使用する情報端末の出力部等を介して、ユーザに変更が必要な旨のメッセージの表示及び音声の発生の少なくとも一方を行う。
【0110】
玉子焼き製造装置Aの各種センサ(不図示)によって卵液E1の量、フライパン20及び成形型5のいずれかが変更が認識された場合、又は、所定時間が経過した場合には、再度STEP02の判定を行う。
【0111】
卵液E1の量、フライパン20及び成形型5が製造する玉子焼きに対応したものであった場合(STEP02でYESの場合)、制御装置9は、焼成容器2のフライパン20に卵液E1、油及び調味料を供給する(
図11A/STEP04)。
【0112】
具体的には、
図4A及び
図4Bに示すように、制御装置9は、卵液供給装置1の第1駆動機構12を駆動して、卵液投入カップ10を傾倒させて、卵液シュータ11を介して、フライパン20へ卵液E1を供給する。それに合わせて、調味料供給装置(不図示)、油供給装置(不図示)から、調味料及び油も、フライパン20へ供給される。
【0113】
なお、この工程は、制御装置9が製造開始の指示を認識したタイミングで実行される。例えば、ユーザの使用する情報端末に、製造開始を指示する入力が行われたタイミング等である。
【0114】
次に、制御装置9は、第1ヒータ3によって、焼成容器2のフライパン20を加熱して卵液を加熱する(
図11A/STEP05)。
【0115】
次に、制御装置9は、内蔵されているタイマ等によって、加熱開始からの経過時間が、設定時間を超えたか否かを判定する(
図11A/STEP06)。
【0116】
この設定時間は、製造する玉子焼きの設定(種類、焼き具合、大きさ等)に基づいて定められる。
【0117】
経過時間が設定時間を超えてない場合(STEP06でNOの場合)、制御装置9は、所定の制御周期で、STEP06の判定を繰り返す。
【0118】
経過時間が設定時間を超えていた場合(STEP06でYESの場合)、制御装置9は、ターナー装置4を駆動して、卵液E1を攪拌する(
図11A/STEP07)。
【0119】
具体的には、
図5及び
図6に示すように、制御装置9は、ターナー装置4の第2駆動機構41(
図1及び
図2参照)を駆動して、ターナー40を焼成容器2のフライパン20の内部で移動させて、そのフライパン20の中である程度加熱された状態にあるE1を攪拌する。
【0120】
次に、制御装置9は、卵液E1が半熟状態であるか否かを判定する(
図11A/STEP08)。
【0121】
具体的には、制御装置9は、カメラ(不図示)によって撮影された焼成容器2の内部における卵液E1の画像、温度センサ(不図示)によって検知された焼成容器2の温度、内蔵されているタイマによって計測された焼成容器2の加熱開始からの経過時間等を参照して、予め得られているそれらと焼成の度合いとの相関関係を示すデータに基づいて、卵液E1が半熟状態になったか否かを推定して判定する。
【0122】
卵液E1が半熟状態になっていなかった場合(STEP08でNOの場合)、制御装置9は、所定の制御周期で、STEP08の判定を繰り返す。
【0123】
卵液E1が半熟状態になっていた場合(STEP08でYESの場合)、制御装置9は、ターナー装置4を駆動して、卵液E1を成形して、玉子焼き要素E2を生成する(
図11A/STEP09)。
【0124】
具体的には、制御装置9は、ターナー装置4の第2駆動機構41(
図1及び
図2参照)を駆動して、ターナー40を焼成容器2のフライパン20の内部で移動させることによって、半熟状態の卵液E1を成形して、塊状の玉子焼き要素E2を生成する。
【0125】
次に、制御装置9は、ターナー装置4を駆動して、玉子焼き要素E2の水分飛ばしを行う(
図11B/STEP10)。
【0126】
具体的には、
図7に示すように、制御装置9は、ターナー装置4の第2駆動機構41(
図1及び
図2参照)を駆動して、焼成容器2のフライパン20の内部でターナー40を垂直状態にした後、玉子焼き要素E2に近づける方向に移動させて、玉子焼き要素E2を焼成容器2のフライパン20の側壁に押し付ける。
【0127】
この水分飛ばしのための動作は、製造する玉子焼きE3の種類、焼き具合、サイズ等に応じて、1回だけ行われる場合もあるし、離間する動作を挟んで複数回繰り返される場合もある。
【0128】
なお、本発明の玉子焼き製造方法は、このような構成に限定されるものではなく、製造する玉子焼きの種類、焼き具合、サイズ等によっては、この水分飛ばし工程を省略してもよい。
【0129】
次に、制御装置9は、ターナー装置4及び成形型5を駆動して、玉子焼き要素E2を焼成容器2のフライパン20から成形型5の成形下型50に受け渡す(
図11B/STEP11)。
【0130】
具体的には、
図8に示すように、制御装置9は、まず、成形型5の第3駆動機構52(
図2参照)を駆動して、成形下型50をフライパン20に接近させるとともに、その成形下型50の開放部50aを、フライパン20側に傾倒させる。その成形下型50の駆動に合わせて、制御装置9は、ターナー装置4の第2駆動機構41(
図1及び
図2参照)を駆動して、玉子焼き要素E2を掬い上げるようにターナー40を回動させる。
【0131】
その後、制御装置9は、ターナー40を逆方向にわずかに回動させて、玉子焼き要素E2を成形下型50の内部に転がり込ませて収容する。その後、制御装置9は、成形下型50を、下型ヒータ60上であって、成形上型51に対応する位置(本実施形態では、成形上型51の下方となる位置。
図9A参照。)に移動させる。
【0132】
なお、本発明の玉子焼き製造方法は、このような構成に限定されるものではなく、加熱容器と成形型とが一体又は一部を共用する容器である場合等には、この受け渡し工程を省略してもよい。
【0133】
次に、制御装置9は、成形型5を駆動して、玉子焼き要素E2を成形する(
図11B/STEP12)。
【0134】
具体的には、
図9A及び
図9Bに示すように、制御装置9は、成形型の第4駆動機構53(
図2参照)を駆動して、成形上型51を成形下型50の開放部50aに挿入するように移動させる。これにより、玉子焼き要素E2は、成形下型50の内面と成形上型51の下面とによって、所定の形状に成形される。
【0135】
次に、制御装置9は、第2ヒータ6によって成形型5を加熱することによって玉子焼き要素E2を加熱して、玉子焼きE3を製造する(
図11B/STEP13)。
【0136】
なお、第2ヒータ6による成形型5の加熱は、玉子焼き要素E2の成形(STEP12)が完了した後に実行してもよいし、その成形と同時に実行してもよい。
【0137】
次に、制御装置9は、成形型5を駆動して、玉子焼きE3を払い出し受け容器7に払い出し(
図11B/STEP14)、今回の処理を終了する。
【0138】
具体的には、制御装置9は、まず、成形型の第4駆動機構53(
図2参照)を駆動して、成形下型50から成形上型51を退避させた状態(
図9Aに示す状態)にする。その後、
図10に示すように、成形型5の第3駆動機構52(
図2参照)を駆動して、成形下型50を払い出し受け容器7に接近させるとともに、その成形下型50の開放部50aを、払い出し受け容器7側に傾倒させる。これにより、制御装置9は、玉子焼きE3を払い出し受け容器7の内部に転がり込ませて収容する。
【0139】
なお、玉子焼きE3の製造回数が規定回数に達した場合、又は、カメラ(不図示)若しくはセンサ(不図示)によってターナー装置4のターナー40に汚れ(例えば、卵液E1の付着)が認められた場合には、制御装置9は、ターナー装置4及び清掃装置8を駆動して、ターナー装置4のターナー40の清掃を行う。この清掃は、受け渡し工程(
図11B/STEP11)の後、次回の卵液E1の攪拌(
図11B/STEP07)の前(例えば、受け渡し工程の直後)に実行されることが好ましい。
【0140】
具体的には、制御装置9は、まず、清掃装置8のブラシを回転させる。その後、制御装置9は、ターナー装置4の第2駆動機構41(
図1及び
図2参照)を駆動して、ターナー40の表面をそのブラシに接触させる。
【0141】
なお、この清掃工程は、受け渡し工程(STEP11)の後、いつ実行してもよい。例えば、連続して玉子焼きE3を製造する場合には、受け渡し工程の実行直後に実行するとよい。
【0142】
なお、本発明の玉子焼き製造方法は、このような構成に限定されるものではない。例えば、連続して製造する玉子焼きの種類が同じものである場合等には、この清掃工程を、玉子焼きを1回製造する度に実行せず、所定の数製造するごとに実行するようにしてもよい。また、この清掃工程そのものを省略してもよい。
【0143】
以上説明したように、玉子焼き製造装置Aを用いた玉子焼き製造方法では、まず、焼成容器2に供給された卵液E1を攪拌しつつ加熱することによって、半熟状態の玉子の塊である玉子焼き要素E2を焼成し、その後、成形型5に収容されたその玉子焼き要素E2を加熱成形することによって、玉子焼きE3を製造している。
【0144】
この焼き固めによって玉子焼きE3の成形を行う構成を採用したことにより、この玉子焼き製造装置Aでは、例えば、従来の玉子焼き製造装置に比べ、成形のための構造が小型のものとなっている。ひいては、その設置のためのスペースを省スペース化することができるようになっている。
【0145】
また、この玉子焼き製造装置Aでは、成形型5を所望の形状に対応したものにすることによって、ユーザは、所望の形状の玉子焼きを製造することができる。また、ユーザは、成形型5の加熱具合(すなわち、第2ヒータ6の火力)を調整することによって、最終的に生成される玉子焼きE3の焼き具合を所望のものにすることができる。
【0146】
[その他の実施形態]
以上、図示の実施形態について説明したが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。
【0147】
例えば、上記実施形態では、玉子焼き製造装置Aは、卵液E1を焼成して玉子焼き要素E2及び玉子焼きE3を製造している。しかし、本発明の玉子焼き製造装置Aは、供給された卵液を加熱して玉子焼きを製造するものであればよい。
【0148】
ここで、「加熱」とは、卵液又は玉子焼き要素に熱を加える処理を指す。そのため、例えば、上記実施形態のように、バーナ、IHヒータ等によって加熱されたフライパン等を用いて行われる焼成の他、蒸し器等を用いて行われる蒸らしによる加熱、電子レンジ等を用いて行われるマイクロ波による加熱等によって、玉子焼きを製造するようにしてもよい。
【0149】
また、上記実施形態では、玉子焼き製造装置Aを用いて実行される各工程は、加熱度合い認識装置である制御装置9によって、実行のタイミングが決定されている。これにより、ユーザは、製造開始を指示するだけで、自動的に玉子焼きを製造することができる。しかし、本発明の玉子焼き製造装置は、そのような構成に限定されるものではなく、いずれかの工程の実行のタイミングをユーザが直接指示するように構成されていてもよい。
【0150】
例えば、上記実施形態の玉子焼き製造装置Aでは、ターナー装置4、第1ヒータ3、及び、第2ヒータ6の駆動は、卵液E1の焼成の度合い(すなわち、制御装置9が認識している卵液E1の焼成の度合い)に応じて駆動のタイミングが定まる。しかし、それらの駆動を、ユーザが指示するような構成の場合には、制御装置9は、必ずしも卵液E1の焼成の度合いを認識しなくてもよい。そして、その場合には、制御装置9は、加熱度合い認識装置としての機能を備えていなくてもよい。
【0151】
また、上記実施形態では、
図11AにおけるSTEP6における判定として示したように、卵液E1の攪拌を開始するタイミングを、卵液E1の加熱(厳密には、フライパン20の加熱)が開始されてからの経過時間に基づいて決定している。しかし、本発明の玉子焼き装置における卵液の攪拌のタイミングの決定は、このような決定の仕方に限定されるものではない。
【0152】
例えば、カメラ(不図示)によって撮影された加熱容器の内部における卵液の画像(卵液の気泡の大きさ、数、発生の頻度等)に基づいて、卵液の状態を推定し、その推定された状態に基づいて、攪拌のタイミングを決定してもよい。さらには、その画像に基づいて、攪拌の継続時間、攪拌する物体(ターナー等)の移動経路等を決定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0153】
1…卵液供給装置、2…焼成容器(加熱容器)、3…第1ヒータ(第1加熱装置、第1加熱部)、4…ターナー装置(攪拌装置、水分飛ばし装置、受け渡し装置)、5…成形型、6…第2ヒータ(第2加熱装置)、7…払い出し受け容器、8…清掃装置、9…制御装置(加熱度合い認識装置、ターナー制御部)、10…卵液投入カップ、11…卵液シュータ、12…第1駆動機構、20…フライパン、21…枠体、40…ターナー、41…第2駆動機構、50…成形下型、50a…開放部、51…成形上型、52…第3駆動機構(受け渡し装置)、52a…カム機構、53…第4駆動機構、60…下型ヒータ、61…上型ヒータ、A…玉子焼き製造装置、E1…卵液、E2…玉子焼き要素、E3…玉子焼き。